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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1376495
審判番号 不服2020-13362  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-25 
確定日 2021-07-26 
事件の表示 特願2016-107963号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月7日出願公開、特開2017-213109号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年5月30日の出願であって、平成30年12月28日に手続補正書が提出され、令和1年8月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月30日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年3月18日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年5月7日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月18日付け(送達日:同年8月26日)で、同年5月7日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年9月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年9月25日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
令和2年9月25日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和1年10月30日に提出された手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「 遊技球が流下可能な遊技領域と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入賞口と、
所定の実行条件の成立により、遊技者に有利な遊技利益を付与可能な特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技中に実行される演出を制御可能な制御手段と、を備え、
前記特別遊技中に実行される演出として、前記特別遊技中に開始され得る特定期間において視認可能に実行される第1演出と、前記第1演出と異なる演出であって前記入賞口への遊技球の入球に基づく所定条件が成立すると通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する第2演出と、を少なくとも備えた遊技機であって、
前記入賞口は、前記特別遊技中に開放されて遊技球が入球可能となるものであり、
前記第2演出は、開放された前記入賞口に予め定められた個数を超えた遊技球が入球したことを条件として、前記特定音声を出力するものであり、
前記制御手段は、
前記特定期間において前記第2演出における前記特定音声を聴認不能に制御可能であることを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「 遊技球が流下可能な遊技領域と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入賞口と、
所定の実行条件の成立により、遊技者に有利な遊技利益を付与可能な特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技中に実行される演出を制御可能な制御手段と、を備え、
前記特別遊技中に実行される演出として、前記特別遊技中に開始され得る特定期間において視認可能に実行される第1演出と、前記第1演出と異なる演出であって前記入賞口への遊技球の入球に基づき、通常音声または当該通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する第2演出と、を少なくとも備えた遊技機であって、
前記入賞口は、前記特別遊技中に開放されて遊技球が入球可能となるものであり、
前記第2演出は、開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまでは前記通常音声を、当該予め定められた個数を超えた遊技球が入球してからは前記特定音声を出力可能に構成されており、
前記特定期間は、一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しないよう異なるタイミングで複数回開始され得るものであり、
前記制御手段は、
前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る前記特定期間において前記第2演出における前記特定音声を聴認不能に制御可能であることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。
ア 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第2演出」に関して、「前記入賞口への遊技球の入球に基づく所定条件が成立すると通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する」を、「前記入賞口への遊技球の入球に基づき、通常音声または当該通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する」とする補正。

イ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第2演出」に関して、「開放された前記入賞口に予め定められた個数を超えた遊技球が入球したことを条件として、前記特定音声を出力するものであり」を、「開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまでは前記通常音声を、当該予め定められた個数を超えた遊技球が入球してからは前記特定音声を出力可能に構成されており」とする補正。

ウ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「特定期間」に関して、「特定期間は、一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しないよう異なるタイミングで複数回開始され得るものであり」とする補正。

エ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「特定期間」に関して、「前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る」を付加する補正。

2 本件補正の目的、新規事項追加の有無
(1)上記「1(2)ア及びイ」の補正は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0192】、図39及び図40等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「第2演出」において、「通常音声または当該通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する」こと、及び「開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまでは前記通常音声を」「出力可能に構成されて」いることを限定するものである。

(2)上記「1(2)ウ及びエ」の補正は、当初明細書等の【0193】?【0199】、【0237】、図39及び図40等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「特定期間」が、「一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しないよう異なるタイミングで複数回開始され得るものであ」ること、及び「前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る」ことを限定するものである。

(3)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記「1(2)」の補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正後の請求項1に係る上記「1(2)」の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしJは、分説するため合議体が付した。

「A 遊技球が流下可能な遊技領域と、
B 前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入賞口と、
C 所定の実行条件の成立により、遊技者に有利な遊技利益を付与可能な特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 前記特別遊技中に実行される演出を制御可能な制御手段と、を備え、
E 前記特別遊技中に実行される演出として、
E1 前記特別遊技中に開始され得る特定期間において視認可能に実行される第1演出と、
E2 前記第1演出と異なる演出であって前記入賞口への遊技球の入球に基づき、通常音声または当該通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する第2演出と、を少なくとも備えた遊技機であって、
F 前記入賞口は、前記特別遊技中に開放されて遊技球が入球可能となるものであり、
G 前記第2演出は、開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまでは前記通常音声を、当該予め定められた個数を超えた遊技球が入球してからは前記特定音声を出力可能に構成されており、
H 前記特定期間は、一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しないよう異なるタイミングで複数回開始され得るものであり、
I 前記制御手段は、
前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る前記特定期間において前記第2演出における前記特定音声を聴認不能に制御可能である
J ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例(先願)
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の特許出願であって、本願の出願後に出願公開された特願2015-77884号(特開2016-195729号)(出願日:平成27年4月6日、出願人:京楽産業.株式会社、発明者:渡辺直幸)(以下「先願」という。)には、 「遊技機」に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は合議体が付した。)。

ア「【0012】
図1に例示されるように、パチンコ遊技機1は、入賞や判定に関する役物等が設けられた遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行配置された透明なガラス板を支持しており、このガラス板と遊技盤2とによって、遊技球が流下可能な遊技領域10が形成されている。」

イ「【0017】
遊技領域10に打ち出された遊技球は、遊技盤2に沿って流下する過程で、第1始動口11、第2始動口12、第1大入賞口13、普通入賞口14、及び第2大入賞口19のいずれかに入球して入賞し得る。これにより、入賞した箇所に応じた所定数の賞球が上皿28又は下皿29に払い出される。なお、入賞しなかった遊技球は、排出口18を介して遊技領域10から排出される。」

ウ「【0020】
第1大入賞口13は、特別図柄判定の結果に応じて開放される。この第1大入賞口13の開口部には、第1大入賞口13を開閉するプレートが設けられている。第1大入賞口13は、通常はこのプレートによって閉塞されている。これに対して、特別図柄判定の判定結果が「大当たり」であることを示す所定の大当たり図柄が表示器4に停止表示された場合、上記プレートを作動させて第1大入賞口13を開放する大当たり遊技が実行される。大当たり遊技中は、所定条件(本実施形態では、第1大入賞口13への9個の遊技球の入賞、又は第1大入賞口13が開放されてから29.5秒の経過)を満たすまで第1大入賞口13が開放状態に維持されてから閉塞されるラウンド遊技が所定回数実行される。このため、遊技者は、大当たり遊技中に右打ちを行うことで、大当たり遊技が行われていないときに比べてより多くの賞球を得ることができる。」

エ「【0027】
液晶表示装置5は、演出画像を表示する画像表示装置であり、液晶表示装置5の表示画面は、遊技者によって視認され易い位置に設けられている。この表示画面には、例えば、特別図柄判定の判定結果を報知する装飾図柄、予告演出などを行うキャラクタやアイテム、特別図柄判定が保留されている数だけ表示される保留表示画像(保留アイコン)等の各種表示オブジェクトを含む演出画像が表示される。なお、画像表示装置は、EL表示装置等の他の画像表示装置によって構成されてもよい。」

オ「【0185】
本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、長開放ラウンド遊技が行われることによって第1大入賞口13(又は第2大入賞口19)が長開放されている間に、9個を超える遊技球が第1大入賞口13(又は第2大入賞口19)にオーバー入賞すると、オーバー入賞音が出力される。」

カ「【0203】
[第1始動口11への入賞に係る大当たり遊技中に行われる演出] 次に、図16を参照しつつ、第1始動口11への入賞に係る大当たり遊技中に行われる演出について説明する。ここで、図16は、第1始動口11への入賞に係る大当たり遊技中に行われる演出と、オーバー入賞音が出力されるタイミングとの関係を例示したタイムチャートである。
・・・
【0205】
具体的には、例えば、13R目のラウンド遊技が開始されるのに伴って、V領域195が開放されるか否かを遊技者に暗示させるゲーム演出が行われる(図16(A)及び(B)参照)。このゲーム演出は、大当たりの種類(短開放当たり又は長開放当たり)にかかわらず同様の演出態様で行われる。例えば、ゲーム演出としては、所定のゲームに成功するか否かの演出が行われたり、所定のキャラクタと敵キャラクタが対戦し所定のキャラクタの攻撃が成功するか否かの演出が行われたりする。そして、13R目のラウンド遊技終了後にゲーム演出が終了すると、14R目のラウンド遊技の開始に伴ってゲーム演出の結果としての結果報知演出が行われる。ここで、結果報知演出では、V入賞が容易ではない(すなわち、大当たり遊技終了後に確変遊技状態にならない)ことを報知する失敗報知、又はV入賞が容易である(すなわち、大当たり遊技終了後に確変遊技状態になる)ことを報知する成功報知が行われる。例えば、結果報知演出(失敗報知)実行中には「失敗」というメッセージをが表示されたり(図17(B)参照)、結果報知演出(成功報知)実行中には「成功!」というメッセージと共にゲーム演出において表示されたエフェクト画像が引き続き表示されたりする(図18(B)参照)。
・・・
【0207】
一方、大当たりの種類が長開放当たりの場合、14R目のラウンド遊技の開始に伴って結果報知演出(成功報知)が行われる(図16(B)参照)。そして、14R目のラウンド遊技終了後に結果報知演出(成功報知)が終了すると、15R目のラウンド遊技の開始に伴ってV入賞前報知演出が行われる。このV入賞前報知演出は、V領域195(第2大入賞口19)への遊技球の打ち出しを遊技者に促す演出である。V入賞前報知演出では、例えば、「OPEN!狙え!」というメッセージが表示されると共に、遊技者に第2大入賞口19(V領域195)を注視させるような演出画像として、例えば、第2大入賞口19を指し示す矢印画像が表示される(図18(C)参照)。
【0208】
15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングでV入賞前報知演出が終了して、V入賞報知演出が行われる。V入賞報知演出は、大当たり遊技終了後に確変遊技状態に移行することを報知する演出である。V入賞報知演出では、例えば、遊技球のV入賞を報知するV入賞音がスピーカ24から所定時間(例えば4秒)出力されると共に、「V」といったV入賞を報知するV入賞報知画像が表示画面に表示される(図18(D)及び(E)参照)。このV入賞報知演出は、15R目のラウンド遊技の途中から、16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時まで行われる。その後、エンディング期間において、確変遊技状態への移行を報知する確変移行エンディング演出が行われる。」

キ「【0213】
一方、結果報知演出(成功報知)では、V入賞が容易であることが報知されるため、オーバー入賞音の出力よりも結果報知演出(成功報知)を優先して実行するのが望ましい。さらに、結果報知演出(成功報知)の実行終了後には、15R目の長開放ラウンド遊技の開始に伴って、V領域195への遊技球の打ち出しを遊技者に促すV入賞前報知演出が実行される(図16(B)参照)。本実施形態では、V入賞を条件に大当たり遊技終了後に確変遊技状態で遊技が制御される。このため、V入賞前報知演出は、オーバー入賞音よりも遊技に関して遊技者にとってより関心の高い重要な情報を示す演出であるといえる。それ故、オーバー入賞音の出力よりもV入賞前報知演出を優先して実行する構成が好ましい。加えて、V入賞前報知演出の実行終了後には、V入賞したこと、すなわち、大当たり遊技終了後の確変遊技状態への移行が確定したことを報知するV入賞報知演出が実行される。このため、V入賞報知演出開始後は、大当たり遊技終了後に確変遊技状態に移行することが確定しているので、大当たり遊技終了後の確変遊技状態への移行の条件であるV入賞が容易か否かを示唆するオーバー入賞音を出力する意味がない。また、仮にV領域195の長開放中にV領域195に遊技球が入賞しなかった場合も、大当たり遊技終了後に時短遊技状態に移行することが確定しているため、V入賞前報知演出の実行終了後はオーバー入賞音を出力する意味がない。」

ク「【0242】
ゲーム演出が終了すると、14R目のラウンド遊技の開始に伴い、結果報知演出(成功報知)が行われる。図18(B)は、14R目のラウンド遊技が行われることによってオーバー入賞が1回されたタイミングを例示している。すなわち、14R目のラウンド遊技が終了した後のインターバル期間であるため、ラウンド画像として「14R」の文字が表示されており、第1大入賞口13及び第2大入賞口19は閉塞している。なお、オーバー入賞に伴ってオーバー入賞音は出力されない(図16(B)参照)。また、出玉数画像として、8R目のラウンド遊技によって2回、9R目?14R目のラウンド遊技によって1回ずつオーバー入賞した場合の合計賞球数である「994t」が表示される。
・・・
【0244】
その後、V領域195が開放されてV入賞すると、V入賞前報知演出が終了するのに伴い、大当たり遊技終了後の確変遊技状態への移行が確定したことを報知するV入賞報知演出が実行される。このV入賞報知演出は、15R目のラウンド遊技終了後に行われる16R目のラウンド遊技終了後のエンディング期間開始時まで行われる。V入賞報知演出では、「V」といったV入賞を報知するV入賞報知画像が表示画面に表示されると共に、V入賞音がスピーカ24から出力される。図18(D)は、15R目のラウンド遊技が行われることによってオーバー入賞が1回されたタイミングを例示している。すなわち、15R目のラウンド遊技が終了した後のインターバル期間であるため、ラウンド画像として「15R」の文字が表示されており、第1大入賞口13及び第2大入賞口19は閉塞している。なお、オーバー入賞に伴ってオーバー入賞音は出力されない(図16(B)参照)。また、出玉数画像として、8R目のラウンド遊技によって2回、9R目?15R目のラウンド遊技によって1回ずつオーバー入賞した場合の合計賞球数である「1134t」が表示される。」

ケ「【0250】
また、他の実施形態では、オーバー入賞したときに限らず、第1大入賞口13(又は第2大入賞口19)に遊技球が入賞したことに応じて、音を出力(画像を表示)させてもよい。例えば、長開放ラウンド遊技中における第1大入賞口13(又は第2大入賞口19)への規定数以内(例えば9個以内)の遊技球の入賞に伴って、選択割合の異なる複数の入賞音の中から選択したいずれかの入賞音を出力して、V入賞が容易か否か、すなわち、大当たり遊技終了後に確変遊技状態に移行するか否かを示唆してもよい。また、他の実施形態では、大当たり遊技中における第1始動口11、第2始動口12、又は普通入賞口14への遊技球の入賞に伴って、選択割合の異なる複数の入賞音の中から選択したいずれかの入賞音を出力することで、大当たり遊技中に大当たりの種類を示唆(又は報知)してもよい。」

コ「【0261】
[遊技制御基板100の構成例] 遊技制御基板100は、メインCPU101、メインROM102、及びメインRAM103を備えている。メインCPU101は、メインROM102に記憶されたプログラム等に基づいて、判定や払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。メインRAM103は、メインCPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。」

サ「【0267】
メインCPU101は、第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行する。また、第2始動口スイッチ112からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第2特別図柄判定を実行する。そして、大当たりであると判定した場合には、第1大入賞口制御部119及び第2大入賞口制御部120を介して第1大入賞口13及び第2大入賞口19を開閉して大当たり遊技を実行する。また、第2大入賞口19に係るラウンド遊技に伴って、V入賞口制御部121を介してV領域195を開閉する。そして、V入賞口スイッチ117からの検知信号が入力された場合には、大当たり遊技終了後の遊技状態を確変遊技状態に設定し、V入賞口スイッチ117からの検知信号が入力されなかった場合には、大当たり遊技終了後の遊技状態を時短遊技状態に設定する。」

シ「【0270】
[演出制御基板130の構成例] 演出制御基板130は、サブCPU131、サブROM132、サブRAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。サブCPU131は、サブROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。サブRAM133は、サブCPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時(日付及び時刻)を計測する。
【0271】
サブCPU131は、遊技制御基板100から送信される特別図柄判定や普通図柄判定、大当たり遊技等に関する遊技情報に基づいて演出内容を設定する。その際、演出ボタン26又は演出キー27からの操作情報の入力を受け付けて、その操作情報に応じた演出内容を設定する場合もある。サブCPU131は、設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御基板140及びランプ制御基板150に送信する。」

ス「【0548】
[変形例] 上記実施形態では、図36?図41に示す処理を演出制御基板130が、図42?図47に示す処理を画像音響制御基板140が行うものとして説明した。他の実施形態では、これらの処理の一部または全部を、演出制御基板130、画像音響制御基板140、及びランプ制御基板150のいずれにおいて実行してもよい。」

セ「【図16】




ソ 【0207】には、「14R目のラウンド遊技の開始に伴って結果報知演出(成功報知)が行われる(図16(B)参照)。そして、14R目のラウンド遊技終了後に結果報知演出(成功報知)が終了すると、15R目のラウンド遊技の開始に伴ってV入賞前報知演出が行われる」と記載され、図16(B)には、「結果報知演出(成功報知)」が、14Rの開始に伴って行われ、15Rの開始に伴って終了していることが示されている。
よって、先願明細書には、「結果報知演出(成功報知)は、14R目のラウンド遊技の開始から、15R目のラウンド遊技が開始するまでの期間に行われる」ことが記載されていると認められる。

タ 【0207】には、「15R目のラウンド遊技の開始に伴ってV入賞前報知演出が行われる」と記載され、【0208】には、「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングでV入賞前報知演出が終了」することが記載されている。
よって、先願明細書には、「V入賞前報知演出は、15R目のラウンド遊技の開始に伴って行われ、15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで終了するまでの期間に行われる」ことが記載されていると認められる。

チ 【0208】には、「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングでV入賞前報知演出が終了して、V入賞報知演出が行われる」、「V入賞報知演出は、15R目のラウンド遊技の途中から、16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時まで行われる」と記載されている。
よって、先願明細書には、「V入賞報知演出は、15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで行われ、16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時までの期間に行われる」ことが記載されていると認められる。

上記ア?チからみて、先願には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。なお、aないしjについては本願補正発明のAないしJに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 遊技球が流下可能な遊技領域10と(【0012】)、
b 遊技領域10に打ち出された遊技球が、遊技盤2に沿って流下する過程で、入球して入賞し得る第1大入賞口13及び第2大入賞口19と(【0017】)、
c、f 第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行し、また、第2始動口スイッチ112からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第2特別図柄判定を実行し、大当たりであると判定した場合には、第1大入賞口制御部119及び第2大入賞口制御部120を介して第1大入賞口13及び第2大入賞口19を開閉して、遊技者が多くの賞球を得ることができる大当たり遊技を実行する遊技制御基板100のメインCPU101と(【0020】、【0261】、【0267】)、
d 遊技制御基板100から送信される大当たり遊技に関する遊技情報に基づいて演出内容を設定し、実行する演出制御基板130のサブCPU131と(【0270】、【0271】、【0548】)、
を備えたパチンコ遊技機1(【0012】)であって、
e、g、h 演出制御基板130のサブCPU131が、大当たり遊技中に行う演出として(【0203】、【0271】、【0548】)、
14R目のラウンド遊技の開始から、15R目のラウンド遊技が開始するまでの期間において行われる演出であって、「成功!」というメッセージが表示される結果報知演出と(【0205】、認定事項ソ)、
15R目のラウンド遊技の開始に伴って行われ、15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで終了するまでの期間に行われる演出であって、「OPEN!狙え!」というメッセージが表示されるV入賞前報知演出と(【0207】、認定事項タ)、
15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで行われ、16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時までの期間に行われる演出であって、「V」といったV入賞を報知するV入賞報知画像が表示画面に表示されるV入賞報知演出(【0208】、認定事項チ)があり、
演出画像を表示する液晶表示装置5の表示画面は、遊技者によって視認され易い位置に設けられており(【0027】)、
また、演出制御基板130のサブCPU131は、大当たり遊技中に(【0203】、【0271】、【0548】)、
第1大入賞口13又は第2大入賞口19が長開放されている間に、9個を超える遊技球が第1大入賞口13又は第2大入賞口19にオーバー入賞すると、オーバー入賞音を出力し(【0185】)、
オーバー入賞したときに限らず、第1大入賞口13又は第2大入賞口19に遊技球が入賞したことに応じて、音を出力するものであり(【0250】)、
i 演出制御基板130のサブCPU131は(【0203】、【0271】、【0548】)、
14R目のラウンド遊技の開始から、15R目のラウンド遊技が開始するまでの期間に行われる結果報知演出では、オーバー入賞音の出力よりも結果報知演出を優先して実行し、オーバー入賞に伴ってオーバー入賞音は出力せず(認定事項ソ、【0213】、【0242】)、
15R目のラウンド遊技の開始に伴って行われ、15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで終了するまでの期間に行われるV入賞前報知演出では、オーバー入賞音の出力よりもV入賞前報知演出を優先して実行し(認定事項タ、【0213】)、
15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで行われ、16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時までの期間に行われるV入賞報知演出では、オーバー入賞に伴ってオーバー入賞音は出力しない(認定事項チ、【0244】)
j パチンコ遊技機1(【0012】)。」

(3)対比・判断
ア 本願補正発明と先願発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(j)は、本願補正発明のAないしJに対応させている。

(a)先願発明の構成aは、本願補正発明の構成Aに相当する。

(b)先願発明の「第1大入賞口13及び第2大入賞口19」は、本願補正発明の「入賞口」に相当する。
よって、先願発明の構成bは、本願補正発明の構成Bに相当する。

(c)先願発明の「第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行し、また、第2始動口スイッチ112からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第2特別図柄判定を実行し、大当たりであると判定した場合」は、本願補正発明の「所定の実行条件の成立」に相当する。
また、先願発明の「遊技者が多くの賞球を得ることができる大当たり遊技を実行する」ことは、本願補正発明の「遊技者に有利な遊技利益を付与可能な特別遊技を実行する」ことに相当する。
よって、先願発明の「遊技制御基板100のメインCPU101」は、本願補正発明の構成Cの「特別遊技実行手段」の機能を備える。

(d)先願発明の「遊技制御基板100から送信される大当たり遊技に関する遊技情報に基づいて演出内容を設定し、実行する」ことは、本願補正発明の「前記特別遊技中に実行される演出を制御可能」であることに相当する。
よって、先願発明の「演出制御基板130のサブCPU131」は、本願補正発明の構成Dの「制御手段」の機能を備える。

(e、e1)先願発明の「結果報知演出」が行われる「14R目のラウンド遊技の開始から、15R目のラウンド遊技が開始するまでの期間」、「V入賞前報知演出」が行われる「15R目のラウンド遊技の開始」から「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで終了するまでの期間」及び「V入賞報知演出」が行われる「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミング」から「16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時までの期間」は、いずれも、「大当たり遊技中」に開始される「期間」といえるから、それぞれ、本願補正発明の「前記特別遊技中に開始され得る特定期間」に相当する。
そして、先願発明の「「成功!」というメッセージが表示される結果報知演出」、「「OPEN!狙え!」というメッセージが表示されるV入賞前報知演出」及び「「V」といったV入賞を報知するV入賞報知画像が表示画面に表示されるV入賞報知演出」は、視認可能に行われる演出である。
そうすると、先願発明の「大当たり遊技中に行う演出」である、「結果報知演出」、「V入賞前報知演出」及び「V入賞報知演出」は、いずれも、「前記特別遊技中に開始され得る特定期間において視認可能に実行される」演出といえるから、本願補正発明の「第1演出」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成E、E1を備える。

(e、e2、g)先願発明の「第1大入賞口13又は第2大入賞口19が長開放されている間に、9個を超える遊技球が第1大入賞口13又は第2大入賞口19にオーバー入賞すると、オーバー入賞音を出力」すること、及び、「オーバー入賞したときに限らず、第1大入賞口13又は第2大入賞口19に遊技球が入賞したことに応じて、音を出力」することは、いずれも「第1大入賞口13又は第2大入賞口19に」「入賞」したことに応じて、「音」を「出力」するものであり、「メッセージ」や「画像」を「表示」する「結果報知演出」、「V入賞前報知演出」及び「V入賞報知演出」とは異なる演出であることは明らかであるから、本願補正発明の「前記第1演出と異なる演出であって前記入賞口への遊技球の入球に基づき」、「音声を聴認可能に出力する」「演出」に相当する。
また、先願発明の「オーバー入賞音」は、「第1大入賞口13又は第2大入賞口19が長開放されている間に、9個を超える遊技球が第1大入賞口13又は第2大入賞口19にオーバー入賞すると」「出力」されるから、本願補正発明の「開放された前記入賞口に」「予め定められた個数を超えた遊技球が入球してから」「出力」される「音声」に相当する。
そして、先願発明の「オーバー入賞したときに限らず、第1大入賞口13又は第2大入賞口19に遊技球が入賞したことに応じて」「出力」される「音」は、「第1大入賞口13又は第2大入賞口19に」「遊技球が」「9個」入賞するまで「出力」される「音」といえるから、本願補正発明の「開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまで」「出力」される「音声」に相当する。
そうすると、先願発明の「大当たり遊技中に」、「第1大入賞口13又は第2大入賞口19が長開放されている間に、9個を超える遊技球が第1大入賞口13又は第2大入賞口19にオーバー入賞すると、オーバー入賞音を出力し、オーバー入賞したときに限らず、第1大入賞口13又は第2大入賞口19に遊技球が入賞したことに応じて、音を出力する」ことは、本願補正発明の構成E、E2と「前記特別遊技中に実行される演出として」、「前記第1演出と異なる演出であって前記入賞口への遊技球の入球に基づき」、「音声を聴認可能に出力する」「演出」を備える点で共通し、本願補正発明の構成Gと「前記」「演出」は、「開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまでは」「音声を、当該予め定められた個数を超えた遊技球が入球してからは」「音声を出力可能に構成されて」いる点で共通する。

(f)上記(b)(c)より、先願発明の「第1大入賞口13及び第2大入賞口19」、「大当たり遊技」は、それぞれ、本願補正発明の「入賞口」、「特別遊技」に相当する。
先願発明の「第1大入賞口13及び第2大入賞口19」は、「開閉して」、「大当たり遊技を実行する」ものであり、「遊技球が」、「入球して入賞し得る」ものであるから、本願補正発明の「前記特別遊技中に開放されて遊技球が入球可能となる」「入賞口」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明の構成Fを備える。

(h)上記(e、e1)より、先願発明の「14R目のラウンド遊技の開始から、15R目のラウンド遊技が開始するまでの期間」、「15R目のラウンド遊技の開始」から「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで終了するまでの期間」及び「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミング」から「16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時までの期間」は、それぞれ、本願補正発明の「特定期間」に相当する。
そして、先願発明のこれらの「期間」は、「大当たり遊技中」の互いに重複しない「期間」であり、その「期間」が開始されるタイミングも異なるタイミングであることは明らかであるから、本願補正発明の「一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しないよう異なるタイミングで複数回開始され得る」「特定期間」に相当する。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Hを備える。

(i)上記(h)より、先願発明の「14R目のラウンド遊技の開始から、15R目のラウンド遊技が開始するまでの期間」、「15R目のラウンド遊技の開始」から「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで終了するまでの期間」及び「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミング」から「16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時までの期間」は、それぞれ、本願補正発明の「特定期間」に相当する。
また、本願発明の「特定音声」は、構成Gより、「開放された前記入賞口に」「予め定められた個数を超えた遊技球が入球してから」「出力可能に構成されて」いるものである。
そうすると、先願発明の「第1大入賞口13又は第2大入賞口19が長開放されている間に、9個を超える遊技球が第1大入賞口13又は第2大入賞口19にオーバー入賞すると」「出力」される「オーバー入賞音」は、本願補正発明の「特定音声」に相当する。
そして、先願発明は「14R目のラウンド遊技の開始から、15R目のラウンド遊技が開始するまでの期間(「特定期間」に相当。)に行われる結果報知演出では、オーバー入賞音の出力よりも結果報知演出を優先して実行し、オーバー入賞に伴ってオーバー入賞音(「特定音声」に相当。)は出力せず」、「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで行われ、16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時までの期間(「特定期間」に相当。)に行われるV入賞報知演出では、オーバー入賞に伴ってオーバー入賞音(「特定音声」に相当。)は出力しない」ことから、「オーバー入賞音(「特定音声」に相当。)の出力よりもV入賞前報知演出を優先して実行」する「15R目のラウンド遊技の開始に伴って行われ、15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで終了するまでの期間(「特定期間」に相当。)に行われるV入賞前報知演出」においても同様に、オーバー入賞に伴ってオーバー入賞音(「特定音声」に相当。)は出力しないようにするものと認められ、先願発明は、本願補正発明の「前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る前記特定期間において前記第2演出における前記特定音声を聴認不能に制御可能」な構成を備えているといえる。
よって、先願発明は、本願補正発明の構成Iを備える。

(j)先願発明は、本願補正発明の構成Jを備える。

以上のことから、本願補正発明と先願発明は、
「A 遊技球が流下可能な遊技領域と、
B 前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入賞口と、
C 所定の実行条件の成立により、遊技者に有利な遊技利益を付与可能な特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 前記特別遊技中に実行される演出を制御可能な制御手段と、を備え、
E 前記特別遊技中に実行される演出として、
E1 前記特別遊技中に開始され得る特定期間において視認可能に実行される第1演出と、
E2’前記第1演出と異なる演出であって前記入賞口への遊技球の入球に基づき、音声を聴認可能に出力する演出と、を少なくとも備えた遊技機であって、
F 前記入賞口は、前記特別遊技中に開放されて遊技球が入球可能となるものであり、
G’前記演出は、開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまでは音声を、当該予め定められた個数を超えた遊技球が入球してからは音声を出力可能に構成されており、
H 前記特定期間は、一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しないよう異なるタイミングで複数回開始され得るものであり、
I 前記制御手段は、
前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る前記特定期間において前記第2演出における前記特定音声を聴認不能に制御可能である
J ことを特徴とする遊技機。」である点で一致し、以下の点で一応相違する。

[相違点](構成E、E2、G)
「特別遊技中に実行される演出として」、
本願補正発明は「前記入賞口への遊技球の入球に基づき、通常音声または当該通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する第2演出」を備え、
「前記第2演出は、開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまでは前記通常音声を、当該予め定められた個数を超えた遊技球が入球してからは前記特定音声を出力可能に構成されて」いるのに対し、
先願発明は「第1大入賞口13又は第2大入賞口19が長開放されている間に、9個を超える遊技球が第1大入賞口13又は第2大入賞口19にオーバー入賞すると、オーバー入賞音を出力し、
オーバー入賞したときに限らず、第1大入賞口13又は第2大入賞口19に遊技球が入賞したことに応じて、音を出力する」としている点、すなわち、「オーバー入賞したときに限らず、第1大入賞口13又は第2大入賞口19に遊技球が入賞したことに応じて」「出力」される「音」と「オーバー入賞音」が異なる「音」であるか否か特定されていない点。

上記相違点について検討する。
大入賞口への遊技球の入賞に伴って音を出力する演出において、オーバー入賞したときに限らず、大入賞口に遊技球が入賞したときに出力する音(以下「通常の入賞音」という。)とオーバー入賞音は、同じ音とするか異なる音とするかの二者択一でしかないから、上記相違点は、実質的な相違点とはいえない。
遊技機の技術分野において、大入賞口への遊技球の入賞に伴って音を出力する演出において、通常の入賞音とオーバー入賞音を異なる音とすることは周知でもある(必要があれば、特開2016-52456号公報(通常入賞音とオーバー入賞音とは、異なる楽曲で構成された演出音であるパチンコ遊技機1が記載されている(【0020】、【0263】)。)、特開2016-36602号公報(大入賞口23へのオーバー入賞ではない通常の遊技球入賞が発生すると、オーバー入賞音とは異なる通常の入賞音が出力されるパチンコ遊技機1が記載されている(【0011】、【0250】)。)等参照されたい。)。
よって、本願補正発明と先願発明は実質同一である。

イ 請求人の主張について
請求人は、令和2年9月25日提出の審判請求書において、次の主張をしている。
「(4)引用文献に記載された発明の説明
・・・
ここで、上記補正後の請求項1に係る発明においては、「特定期間は、一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しないよう異なるタイミングで複数回開始され」る点、および、「制御手段は、前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る前記特定期間において前記第2演出における前記特定音声を聴認不能に制御可能」である点が明確になっております。
この点、引用文献1における結果報知演出は大当たり遊技中の規定のラウンド(例えば14ラウンド目)でのみ行われるものとなっており、一の大当たり遊技中に複数回の結果報知演出を行う例示やそのようにしてもよい等の示唆は何ら記載されておりません。また、それゆえ、当然のことながら、一の大当たり遊技中に複数回、特定音声が聴認不能に制御される点についても何ら開示されておりません。」

しかしながら、上記「ア(h)」において検討したように、先願発明の「14R目のラウンド遊技の開始から、15R目のラウンド遊技が開始するまでの期間」、「15R目のラウンド遊技の開始」から「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミングで終了するまでの期間」及び「15R目のラウンド遊技において長開放されたV領域195にV入賞した場合、V入賞に応じたタイミング」から「16R目のラウンド遊技が終了した後に到来するエンディング期間の開始時までの期間」は、本願補正発明の「一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しない異なるタイミングで複数回開始され得る」「特定期間」に相当するものである。
そして、本願発明の「第1演出」は、発明の詳細な説明の【0190】等の記載によれば、「特別遊技が開始された旨を示す表示」や「上乗せ報知演出」といった、異なる演出を含むものであるから、先願発明の上記の各期間に実行される「結果報知演出」、「V入賞前報知演出」、「V入賞報知演出」は、いずれも、本願発明の「前記特別遊技中に開始され得る特定期間において視認可能に実行される第1演出」に相当する。
よって、先願明細書等に「一の大当たり遊技中に複数回の結果報知演出を行う例示やそのようにしてもよい等の示唆は何ら記載されて」いないからといって、先願発明が「前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る前記特定期間」を備えていないとはいえない。
また、先願発明は、上記「ア(i)」において検討したように、本願補正発明の「特定期間」に相当する「期間」において、「オーバー入賞音」を出力しないものである。
そうすると、先願発明も、一の大当たり遊技中に複数回、特定音声が聴認不能に制御されるといえるから、この主張は採用できない。

(4)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、先願に記載された発明と同一である。また、本件出願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また、本件の出願の時に、本件の出願人と先願の出願人とが同一でもない。
よって、本願補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下するものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和1年10月30日に提出された次のとおりのものである。なお、記号AないしJは、分説するため合議体が付した。

「A 遊技球が流下可能な遊技領域と、
B 前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入賞口と、
C 所定の実行条件の成立により、遊技者に有利な遊技利益を付与可能な特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
D 前記特別遊技中に実行される演出を制御可能な制御手段と、を備え、
E1 前記特別遊技中に実行される演出として、前記特別遊技中に開始され得る特定期間において視認可能に実行される第1演出と、
E2’前記第1演出と異なる演出であって前記入賞口への遊技球の入球に基づく所定条件が成立すると通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する第2演出と、を少なくとも備えた遊技機であって、
F 前記入賞口は、前記特別遊技中に開放されて遊技球が入球可能となるものであり、
G’前記第2演出は、開放された前記入賞口に予め定められた個数を超えた遊技球が入球したことを条件として、前記特定音声を出力するものであり、
I’前記制御手段は、
前記特定期間において前記第2演出における前記特定音声を聴認不能に制御可能である
J ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の令和1年10月30日に提出された手続補正書により補正された請求項1に係る発明が、下記先願の明細書等に記載された発明と同一の発明であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない、というものである。

先願 特願2015-77884号(特開2016-195729号)

3 引用例(先願)
先願明細書等の記載事項及び先願発明は、上記「第2〔理由〕3(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」で検討した本願補正発明から、「第2演出」において、「通常音声または当該通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する」こと、及び「開放された前記入賞口に予め定められた個数の遊技球が入球するまでは前記通常音声を」「出力可能に構成されて」いることに係る限定事項、及び、「特定期間」が、「一の前記特別遊技の実行中に、互いに重複しないよう異なるタイミングで複数回開始され得るものであ」ること、及び「前記一の前記特別遊技において複数回開始され得る」ことに係る限定事項を削除したものである。
先願発明との一応の相違点であった、「第2演出」において、「通常音声または当該通常音声とは異なる特定音声を聴認可能に出力する」ことに係る限定事項が削除されたので、本願発明と先願発明とは、上記「第2〔理由〕3(3)」に記載したとおり、全ての点で一致し、相違点はない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、先願に記載された発明である。また、本件出願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また本件の出願の時に、本件の出願人と先願の出願人とが同一でもない。
したがって、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-05-25 
結審通知日 2021-05-26 
審決日 2021-06-08 
出願番号 特願2016-107963(P2016-107963)
審決分類 P 1 8・ 161- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 河本 明彦  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 蔵野 いづみ
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 石井 豪  
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