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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1376570 |
審判番号 | 不服2020-12172 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-08-31 |
確定日 | 2021-08-17 |
事件の表示 | 特願2019- 11623「情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月 6日出願公開、特開2020-119396、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成31年1月25日の出願であって、令和1年9月5日付けで拒絶理由通知がなされ、令和1年11月11日に手続補正がなされ、令和2年2月20日付けで拒絶理由通知(最後)がなされ、令和2年4月25日に手続補正がなされたが、令和2年5月29日付けで補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、令和2年8月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年5月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願請求項1-12に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2018-206211号公報 2.特開2002-63466号公報 3.特開2007-200258号公報 4.特開2018-45649号公報 5.特開2017-146900号公報 6.特開2017-91245号公報 第3 本願発明 本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、令和2年8月31日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 <本願発明1> 「【請求項1】 ユーザに関する情報であるユーザ情報を取得する取得部と、 前記取得部によって取得された所定のユーザ情報に含まれる所定のユーザによって行われた商品を返品する処理に関する割合であるキャンセル率に関する情報と、当該所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴と、当該所定のユーザの与信に関する情報とに基づいて生成される学習モデルに基づいて、前記ユーザの信用に関する情報である信用スコアを算出する算出部と、 前記算出部によって算出された信用スコアと所定の閾値との大小関係に基づいて、前記ユーザに対してインセンティブを付与するタイミングを決定する決定部と、 を備えたことを特徴とする情報処理装置。」 本願発明2-10は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 本願発明12は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の各部を各手順に変更し、各手順をコンピュータに実行させるプログラムとした発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2018-206211号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0016】 (中略)また、サーバ10は、例えば、提携しているショッピングサイトの情報を提示するショッピングモールサービス、当該提携しているショッピングサイトでの購入金額に応じたポイントを付与するポイントサイトサービスを提供する機能を備える。」 イ.「【0035】 (2)サーバのHW構成 サーバ10は、制御装置11(CPU)、記憶装置15、通信I/F14(インタフェース)、入出力装置12、ディスプレイ13を備える。」 ウ.「【0055】 <機能構成> 図1に示すように、サーバ10は、制御装置11により実現される機能として、提供部111、算出部112、決定部113、表示制御部114、及び通信部115を有する。」 エ.「【0058】 決定部113は、算出部112により算出された信用度に応じて、端末20のユーザに付与する各種の特典を決定する。」 オ.「【0061】 また、記憶装置15には、提携先購入履歴データ151、購入履歴データ152、アカウントデータ153、及び決済アカウントデータ154等の各種データが記憶されている。」 カ.『【0068】 続いて、サーバ10の通信部115は、算出した信用度に応じた特典の情報を、端末20に送信する(ステップS5)。ここで、サーバ10は、信用度が高い順に、例えば、「優良」、「普通」、「不良(デフォルト)」の3つの段階(クラス)に分けてもよい。この場合、サーバ10は、信用度に応じた特典を、例えば、ポイントが付与されるまでの期間とし、「優良」のユーザについては、購入サーバ50の運用事業者による購入の承認(オーソライゼーション)等の翌日としてもよい。また、サーバ10は、「普通」のユーザについては、購入手続きの完了等から30日後、「不良(デフォルト)」のユーザについては、購入手続きの完了等から70日後、または翌々月の25日以降としてもよい。』 キ.「【0082】 ステップS101において、算出部112は、提携先購入履歴データ151を参照し、処理対象のユーザの各購入サーバ50における購入履歴に基づいて、信用度のスコアを算出する。」 ク.『【0083】 図6は、提携先購入履歴データ151の一例を示す図である。提携先購入履歴データ151には、例えば、各ユーザの、サーバ10の事業者が提携している事業者の購入サーバ50における購入履歴が記録されている。図6に示す提携先購入履歴データ151には、ユーザIDに対応付けて、日時、購入サーバID、購入金額、購入商品、購入結果、OA登録有無等が記録されている。日時は、例えば、ユーザによる購入サーバ50における購入手続きが完了した日時である。購入金額は、購入手続きを行った商品等の料金である。購入商品は、購入手続きを行った商品等のID、種別、または名称等である。購入結果は、最終的な購入結果を示す情報であり、「キャンセル」、「返品」、「正常完了」等が含まれる。「キャンセル」は、購入手続きが、商品の発送前にキャンセルされたことを示す。「返品」は、商品の発送後に返品されたことを示す。「正常完了」は、商品等の代金が支払われ、また、商品等の受け取りが完了し、購入が確定したことを示す。』 ケ.『【0086】 また、算出部112は、「キャンセル」及び「返品」(「正常完了」以外)の率、及び回数を算出する。』 コ.『【0087】 そして、算出部112は、購入頻度が高い程、信用度のスコアを高く算出する。また、「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数が小さい程、信用度のスコアを高く算出する。』 サ.「【0103】 (中略)また、サーバ10は、各項目に対して算出されたスコアの平均値、中央値、合計値、または最高値等に基づいて、信用度を決定してもよい。当然に、ステップS101乃至ステップS105における各項目のうち、任意の項目の単体またはその組み合わせによって信用度を決定してもよい。」 前記ア?サによれば、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているといえる。 A.前記アの「【0016】(中略)また、サーバ10は、例えば、提携しているショッピングサイトの情報を提示するショッピングモールサービス、当該提携しているショッピングサイトでの購入金額に応じたポイントを付与するポイントサイトサービスを提供する機能を備える」の記載によれば、引用文献1には「提携しているショッピングサイトでの購入金額に応じたポイントを付与するサーバ10」が記載されているといえる。 B.前記イの「【0035】(中略)サーバ10は、制御装置11(CPU)、記憶装置15、通信I/F14(インタフェース)、入出力装置12、ディスプレイ13を備える。」の記載、前記ウの「【0055】(中略)サーバ10は、制御装置11により実現される機能として、提供部111、算出部112、決定部113、表示制御部114、及び通信部115を有する。」の記載、前記オの「【0061】また、記憶装置15には、提携先購入履歴データ151、購入履歴データ152、アカウントデータ153、及び決済アカウントデータ154等の各種データが記憶されている。」の記載によれは、引用文献1には、サーバ10の構成として「算出部と、決定部と、提携先購入履歴データ151を記憶した記憶装置15を備え」が記載されているといえる。 C.前記クの『【0083】(中略)提携先購入履歴データ151には、例えば、各ユーザの、サーバ10の事業者が提携している事業者の購入サーバ50における購入履歴が記録されている。図6に示す提携先購入履歴データ151には、ユーザIDに対応付けて、日時、購入サーバID、購入金額、購入商品、購入結果、OA登録有無等が記録されている。(中略)購入結果は、最終的な購入結果を示す情報であり、「キャンセル」、「返品」、「正常完了」等が含まれる。「キャンセル」は、購入手続きが、商品の発送前にキャンセルされたことを示す。「返品」は、商品の発送後に返品されたことを示す。』の記載によれば、引用文献1には、『提携先購入履歴データ151は、サーバ10の事業者が提携している事業者の購入サーバ50における購入履歴であり、ユーザIDに対応付けて、日時、購入サーバID、購入金額、購入商品、購入結果が記録され、当該購入結果には「キャンセル」、「返品」、「正常完了」が含まれ、「キャンセル」は、購入手続きが商品の発送前にキャンセルされたことを示し、「返品」は商品の発送後に返品されたことを示し』が記載されているといえる。 D.前記キの「【0082】(中略)算出部112は、提携先購入履歴データ151を参照し、処理対象のユーザの各購入サーバ50における購入履歴に基づいて、信用度のスコアを算出する。」の記載、前記ケの『【0086】また、算出部112は、「キャンセル」及び「返品」(「正常完了」以外)の率、及び回数を算出する。』の記載、前記コの『【0087】そして、算出部112は、購入頻度が高い程、信用度のスコアを高く算出する。また、「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数が小さい程、信用度のスコアを高く算出する。』の記載、前記サの「【0103】(中略)また、サーバ10は、各項目に対して算出されたスコアの平均値、中央値、合計値、または最高値等に基づいて、信用度を決定してもよい。当然に、ステップS101乃至ステップS105における各項目のうち、任意の項目の単体またはその組み合わせによって信用度を決定してもよい。」の記載によれば、引用文献1には、『算出部112は、提携先購入履歴データ151を参照し、処理対象のユーザの購入履歴に基づいて、「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数を算出し、「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数が小さい程、信用度のスコアを高く算出し、算出されたスコアに基づいて信用度を決定し』が記載されているといえる。 E.前記エの「【0058】決定部113は、算出部112により算出された信用度に応じて、端末20のユーザに付与する各種の特典を決定する。」の記載によれば、引用文献1には「決定部113は、算出部112により算出された信用度に応じて、ユーザに付与する特典を決定し」が記載されているといえる。 F.前記カの『【0068】(中略)ここで、サーバ10は、信用度が高い順に、例えば、「優良」、「普通」、「不良(デフォルト)」の3つの段階(クラス)に分けてもよい。この場合、サーバ10は、信用度に応じた特典を、例えば、ポイントが付与されるまでの期間とし、「優良」のユーザについては、購入サーバ50の運用事業者による購入の承認(オーソライゼーション)等の翌日としてもよい。また、サーバ10は、「普通」のユーザについては、購入手続きの完了等から30日後、「不良(デフォルト)」のユーザについては、購入手続きの完了等から70日後、または翌々月の25日以降としてもよい。』の記載によれば、引用文献1には『特典は、信用度に応じてポイントが付与されるまでの期間が異なり、信用度が高い順に「優良」、「普通」、「不良(デフォルト)」の3つの段階に分け、「優良」のユーザについては、購入サーバ50の運用事業者による購入の承認の翌日にポイントを付与し、「普通」のユーザについては、購入手続きの完了等から30日後にポイントを付与し、「不良(デフォルト)」のユーザについては、購入手続きの完了から70日後または翌々月の25日以降にポイントを付与する』が記載されているといえる。 前記A?Fによれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 <引用発明> 『 提携しているショッピングサイトでの購入金額に応じたポイントを付与するサーバ10であって、 算出部と、決定部と、提携先購入履歴データ151を記憶した記憶装置15を備え、 提携先購入履歴データ151は、サーバ10の事業者が提携している事業者の購入サーバ50における購入履歴であり、ユーザIDに対応付けて、日時、購入サーバID、購入金額、購入商品、購入結果が記録され、当該購入結果には「キャンセル」、「返品」、「正常完了」が含まれ、「キャンセル」は、購入手続きが商品の発送前にキャンセルされたことを示し、「返品」は商品の発送後に返品されたことを示し、 算出部112は、提携先購入履歴データ151を参照し、処理対象のユーザの購入履歴に基づいて、「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数を算出し、「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数が小さい程、信用度のスコアを高く算出し、算出されたスコアに基づいて信用度を決定し、 決定部113は、算出部112により算出された信用度に応じて、端末20のユーザに付与する特典を決定し、 特典は、信用度に応じてポイントが付与されるまでの期間が異なり、信用度が高い順に「優良」、「普通」、「不良(デフォルト)」の3つの段階に分け、「優良」のユーザについては、購入サーバ50の運用事業者による購入の承認の翌日にポイントを付与し、「普通」のユーザについては、購入手続きの完了等から30日後にポイントを付与し、「不良(デフォルト)」のユーザについては、購入手続きの完了から70日後または翌々月の25日以降にポイントを付与する、 サーバ10。』 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2002-63466号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 「【0085】なお、ポイントを付与するタイミングについては任意であるが、購入決定時ではなく、発送手続時に顧客データベースに追加するようにしてもよい。なぜならば、オンラインショップは、注文と商品の受け渡しが同時でないという特徴を有しているため、注文受付時にポイントを付与するとすると、注文受付後から商品配送時までの間に注文キャンセル等が発生した場合のポイント調整が煩雑になってしまうからである。この場合は、顧客IDと付与ポイント数とを関連づけた情報を、顧客データベース236のポイント数2366とは別に、一時的に記録しておいて、発送手続時にこの情報を基に、顧客データベース236にポイントを追加するようにすればよい。」 当該記載によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているといえる。 <引用文献2記載の技術的事項> 「顧客にポイントを付与するタイミングを発送手続時とすること。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2007-200258号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 「【0026】 次ぎに、当該商品の申込総数に応じこれに対応した付与ポイント数を決定する。そして、発送処理において入力される出荷伝票番号等により出荷を行い、商品の到着によって付与ポイント数を会員顧客エンティティ(B)内の保有ポイント数に反映させる。」 当該記載によれば、引用文献3には、次の技術的事項が記載されているといえる。 <引用文献3記載の技術的事項> 「商品の到着によって、付与ポイント数を顧客の保有ポイント数に反映させること。」 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2018-45649号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0006】 本願は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザの社会的信用度を高精度に判定することができる判定装置、判定方法および判定プログラムを提供することを目的とする。」 イ.「【0017】 本実施形態では、判定装置100は、所定の金融機関(例えば、銀行、カード会社、ローン会社等)によって利用されるサーバ装置であるものとする。」 ウ.「【0031】 〔2.判定装置の構成〕 次に、図2を用いて、実施形態にかかる判定装置100について説明する。図2は、実施形態にかかる判定装置100の構成例を示す図である。図2に示すように、実施形態にかかる判定装置100は、通信部110と、行動傾向記憶部120と、制御部130とを有する。」 エ.『【0033】 (行動傾向記憶部120について) 行動傾向記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子またはハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、行動傾向記憶部120は、これまでに金融取引のあったユーザにおけるインターネット上での行動情報と、金融取引における信用度を示す指標とを対応付けて記憶する記憶部である。 【0034】 ここで、図3に実施形態にかかる行動傾向記憶部120の一例を示す。図3の例では、行動傾向記憶部120は、「ユーザID」、「評価点」、「コメント長さ」、「コメント率」、「貸し倒れ率」といった項目を有する。』 オ.『【0036】 「評価点」、「コメント長さ」、「コメント率」は、ユーザの行動情報の一例である。「評価点」は、購入商品に対して評価点を付与するといった評価行動を示す情報である。図3の例では、ユーザID「U1」によって識別されるユーザが、自身の購入商品に対して「評価点2」を付与といった評価行動を行ったことを示す。 【0037】 「コメント長さ」は、購入商品に対してレビューコメントを投稿するといった評価行動を示す情報である。図3の例では、ユーザID「U1」によって識別されるユーザが、自身の購入商品に対してコメント長さ「90文字」のレビューコメントを投稿するといった評価行動を行ったことを示す。 【0038】 「コメント率」は、対応するユーザがこれまでの購入商品に対して、どれくらいの割合でレビューコメントを投稿したかといった評価行動を示す情報である。図3の例では、ユーザID「U1」によって識別されるユーザが、自身の購入商品に対して、これまでにレビューコメントを投稿した割合が「3%」であることを示す。なお、行動傾向記憶部120において対象とされる購入商品は、全てのユーザで同一のものである。あるいは、行動傾向記憶部120において対象とされる購入商品は、全てのユーザで同一種別、または、同一カテゴリのものであってもよい。 【0039】 「貸し倒れ率」は、判定装置100あるいは判定装置100を管理する金融機関との間でのユーザの金融取引のうち、かかるユーザが貸し倒れした割合を示す。図3の例では、ユーザID「U1」によって識別されるユーザの貸し倒れ率が「75%」である例を示す。』 カ.「【0041】 図2に示すように、制御部130は、モデル生成部131と、提供部132と、取得部133と、判定部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。」 キ.『【0042】 (モデル生成部131について) モデル生成部131は、任意のユーザの行動情報と任意のユーザの信用度との間での相関関係を機械学習することにより信用度モデルを生成する。この点について、図3の例を用いて説明する。 【0043】 例えば、モデル生成部131は、行動傾向記憶部120を参照し、どれくらいの評価点を付与するユーザが、どれくらいの貸し倒れ率であるかといった行動情報と信用度との間での相関関係を機械学習する。 【0044】 例えば、モデル生成部131は、行動傾向記憶部120に記憶される各ユーザによって付与された評価点の平均値を算出し、算出した平均値より低い評価点を付与しているユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間での相関関係を機械学習する。また、例えば、モデル生成部131は、算出した平均値より高い評価点を付与しているユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間での相関関係を機械学習する。 【0045】 ここで、モデル生成部131は、機械学習により「平均値より低い評価点を付与しているユーザは、貸し倒れ率が高い傾向にある」といった相関関係を得たとする。また、一方で、モデル生成部131は、機械学習により「平均値より高い評価点を付与しているユーザは、貸し倒れ率が低い傾向にある」といった相関関係を得たとする。かかる場合、モデル生成部131は、平均値より低い評価点を付与しているユーザには、金融取引における信用度を低く算出するための信用度モデルであって、平均値より高い評価点を付与しているユーザには金融取引における信用度を高く算出するための信用度モデルM1aを生成する。 【0046】 また、モデル生成部131は、行動傾向記憶部120を参照し、どれくらいの長さのレビューコメントを投稿するユーザが、どれくらいの貸し倒れ率であるかといった行動情報と信用度との間での相関関係を機械学習する。例えば、モデル生成部131は、行動傾向記憶部120に記憶される各ユーザによって投稿されたコメント長さの平均値を算出し、算出した平均値より短いレビューコメントを投稿しているユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間での相関関係を機械学習する。また、例えば、モデル生成部131は、算出した平均値より長いレビューコメントを投稿しているユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間での相関関係を機械学習する。 【0047】 ここで、モデル生成部131は、機械学習により「平均値より短いレビューコメントを投稿しているユーザは、貸し倒れ率が高い傾向にある」といった相関関係を得たとする。また、一方で、モデル生成部131は、機械学習により「平均値より長いレビューコメントを投稿しているユーザは、貸し倒れ率が低い傾向にある」といった相関関係を得たとする。かかる場合、モデル生成部131は、平均値より短いレビューコメントを投稿しているユーザには、金融取引における信用度を低く算出するための信用度モデルであって、平均値より長いレビューコメントを投稿しているユーザには、金融取引における信用度を高く算出するための信用度モデルM1bを生成する。 【0048】 また、モデル生成部131は、行動傾向記憶部120を参照し、どれくらいのコメント率のユーザが、どれくらいの貸し倒れ率であるかといった行動情報と信用度との間での相関関係を機械学習する。例えば、モデル生成部131は、行動傾向記憶部120に記憶される各ユーザによって投稿されたコメント率の平均値を算出し、算出した平均値より低いコメント率のユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間での相関関係を機械学習する。また、例えば、モデル生成部131は、算出した平均値より高いコメント率のユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間での相関関係を機械学習する。 【0049】 ここで、モデル生成部131は、機械学習により「平均値より低いコメント率のユーザは、貸し倒れ率が高い傾向にある」といった相関関係を得たとする。また、一方で、モデル生成部131は、機械学習により「平均値より高いコメント率のユーザは、貸し倒れ率が低い傾向にある」といった相関関係を得たとする。かかる場合、モデル生成部131は、平均値より低いコメント率のユーザには、金融取引における信用度を低く算出するための信用度モデルであって、平均値より高いコメント率のユーザには、金融取引における信用度を高く算出するための信用度モデルM1cを生成する。 【0050】 そして、モデル生成部131は、上記のように生成した信用度モデルM1a?M1cを統合した一つの信用度モデルとして、例えば、信用度モデルM11を生成する。』 ク.「【0052】 (取得部133について) 取得部133は、電子商取引における所定のユーザの行動情報を取得する。例えば、取得部133は、行動情報として、商品に対する評価行動、商品の販売元に対する評価行動、商品の購入者に対する評価行動、コメントを投稿する行動、商品売買において取引をキャンセルする行動、または、商品を購入するまで行った行動の各行動のうち少なくとも1つの行動に関する情報を取得する。」 ケ.『【0053】 (判定部134について) 判定部134は、電子商取引における任意のユーザの行動情報と任意のユーザの信用度との関係に基づいて、取得部133により行動情報が取得された所定のユーザの信用度を判定する。具体的には、判定部134は、取得部133により取得された行動情報を信用度モデルに適用することで、所定のユーザの信用度を判定する。 【0054】 ここで、上記のようにモデル生成部131によって生成された信用度モデルM11を用いて、ユーザU10の信用度を判定する処理について説明する。まず、取得部133は、ショッピングサーバ10にアクセスし、ユーザU10の行動情報を取得する。 【0055】 例えば、取得部133は、購入商品に対する評価行動に関する情報として「評価点1を付与」を取得したとする。また、取得部133は、コメントを投稿する行動に関する情報として「コメント長さ70文字のレビューコメントを投稿」を取得したとする。また、取得部133は、「コメント率10%」を取得したとする。 【0056】 そして、判定部134は、取得部133により取得された上記3つの行動情報を信用度モデルM11に適用することにより信用度スコアを算出する。』 コ.「【0061】 〔4.変形例〕 上記実施形態にかかる判定装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、判定装置100の他の実施形態について説明する。 (中略) 【0085】 〔4-5.モデル生成(5)〕 また、上記実施形態では、モデル生成部131が、購入商品に対する評価行動、コメントを投稿する行動、あるいは、商品を購入するまで行った行動に関する情報を用いて、信用度モデルを生成する例を示した。しかし、モデル生成部131は、これら以外の行動情報を用いて、信用度モデルを生成してもよい。 【0086】 例えば、モデル生成部131は、商品の販売元に対する評価行動、商品の購入者に対する評価行動、あるいは、商品売買において取引をキャンセルする行動(ユーザが取引をキャンセルしたキャンセル率)に関する情報を用いて、信用度モデルを生成してもよい。」 前記ア?ケによれば、引用文献4には、実施形態にかかる判定装置について、次の事項が記載されている。 <引用文献4に記載された実施形態に係る判定装置> 「 ユーザの社会的信用度を判定する判定装置であって(前記ア)、 判定装置100は、所定の金融機関によって利用されるサーバ装置であり(前記イ)、 行動傾向記憶部120と、モデル生成部131と、取得部133と、判定部134とを有し(前記ウ、カ)、 取得部133は、電子商取引における所定のユーザの行動情報として、商品に対する評価行動、コメントを投稿する行動、商品売買において取引をキャンセルする行動に関する情報を取得し(前記ク)、 行動傾向記憶部120は、これまでに金融取引のあったユーザにおけるインターネット上での行動情報と、金融取引における信用度を示す指標とを対応付けて記憶する記憶部であり、「ユーザID」、「評価点」、「コメント長さ」、「コメント率」、「貸し倒れ率」の項目を有し(前記エ)、 「評価点」は、ユーザIDによって識別されるユーザが、自身の購入商品に対してその「評価点」を付与する評価行動を行ったことを示し(前記オ)、 「コメント長さ」は、ユーザIDによって識別されるユーザが、自身の購入商品に対してその長さのレビューコメントを投稿する評価行動を行ったことを示し(前記オ)、 「コメント率」は、ユーザIDによって識別されるユーザがこれまでの購入商品に対して、どれくらいの割合でレビューコメントを投稿したかという評価行動を示す情報であり(前記オ)、 「貸し倒れ率」は、判定装置100あるいは判定装置100を管理する金融機関との間でのユーザIDによって識別されるユーザの金融取引のうち、貸し倒れした割合を示し(前記オ)、 モデル生成部131は、行動傾向記憶部120に記憶される各ユーザによって付与された評価点の平均値を算出し、平均値より低い評価点を付与しているユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間の相関関係と、平均値より高い評価点を付与しているユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間の相関関係を機械学習し、当該機械学習により、平均値より低い評価点を付与しているユーザは貸し倒れ率が高い傾向にあり、平均値より高い評価点を付与しているユーザは貸し倒れ率が低い傾向にあるという相関関係を得ると、平均値より低い評価点を付与しているユーザには金融取引における信用度を低く算出し、平均値より高い評価点を付与しているユーザには金融取引における信用度を高く算出する信用度モデルM1aを生成し(前記キ)、 また、モデル生成部131は、行動傾向記憶部120に記憶される各ユーザによって投稿されたコメント長さの平均値を算出し、平均値より短いレビューコメントを投稿しているユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間の相関関係と、平均値より長いレビューコメントを投稿しているユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間の相関関係を機械学習し、当該機械学習により、平均値より短いレビューコメントを投稿しているユーザは貸し倒れ率が高い傾向にあり、平均値より長いレビューコメントを投稿しているユーザは貸し倒れ率が低い傾向にあるという相関関係を得ると、平均値より短いレビューコメントを投稿しているユーザには金融取引における信用度を低く算出し、平均値より長いレビューコメントを投稿しているユーザには金融取引における信用度を高く算出する信用度モデルM1bを生成し(前記キ)、 また、モデル生成部131は、行動傾向記憶部120に記憶される各ユーザによって投稿されたコメント率の平均値を算出し、平均値より低いコメント率のユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間の相関関係と、平均値より高いコメント率のユーザと、かかるユーザの貸し倒れ率との間の相関関係を機械学習し、当該機械学習により、平均値より低いコメント率のユーザは貸し倒れ率が高い傾向にあり、平均値より高いコメント率のユーザは貸し倒れ率が低い傾向にあるという相関関係を得ると、平均値より低いコメント率のユーザには金融取引における信用度を低く算出し、平均値より高いコメント率のユーザには金融取引における信用度を高く算出する信用度モデルM1cを生成し(前記キ)、 そして、モデル生成部131は、上記のように生成した信用度モデルM1a?M1cを統合した一つの信用度モデルM11を生成し(前記キ)、 取得部133は、ショッピングサーバ10にアクセスし、信用度を判定するユーザU10の行動情報として「評価点1を付与」、「コメント長さ70文字のレビューコメントを投稿」、「コメント率10%」を取得し(前記ケ)、 判定部134は、取得部133により取得された上記3つの行動情報を信用度モデルM11に適用することにより信用度スコアを算出する(前記ケ)、 判定装置。」 また、前記コによれば、引用文献4には、他の実施形態のモデル生成部について、次の事項が記載されている。 <引用文献4に記載された他の実施形態のモデル生成部> 「モデル生成部131は、商品売買において取引をキャンセルする行動(ユーザが取引をキャンセルしたキャンセル率)に関する情報を用いて、信用度モデルを生成すること(前記コ)。」 5.引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2017-146900号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0051】 (SNS情報テーブル124について) SNS情報テーブル124は、ユーザが利用するSNSに関する情報を記憶する。ここで、図6に、実施形態に係るSNS情報テーブル124の一例を示す。図6に示すように、SNS情報テーブル124は、「ユーザID」、「SNS評価」、「SNS使用情報」といった項目を有する。 【0052】 「ユーザID」は、図4で示した同一の項目に対応する。「SNS評価」は、ユーザが使用するSNSに関する評価値を示す。実施形態では、SNS評価は、10段階の数値で表され、10が最も評価が高く、1が最も評価が低いものとする。SNS評価は、SNSの利用の履歴に基づいて、ユーザの社会的信用度等を評価した値である。SNS評価は、例えば、ユーザが利用するSNSにおいて他のユーザと関係を有している数(実施形態では「つながり数」と表記する)や、関係を有する他のユーザの評価値等に基づき算出される。 【0053】 「SNS使用情報」は、ユーザが利用するSNSの使用状況に関する情報を示す。SNS使用情報は、「SNS名称」、「つながり数」、「つながり先評価」といった小項目を有する。 【0054】 「SNS名称」は、ユーザが利用しているSNSの名称を示す。「つながり数」は、SNSにおいて他のユーザと関係を有している数を示す。例えば、つながり数は、SNS上におけるフォローユーザ数などが該当する。「つながり先評価」は、SNSでつながりを有する他のユーザの評価を示す。例えば、つながり先評価は、「SNS評価」と同様、10段階の数値で示され、ユーザがつながっている他のユーザにおける評価値を平均すること等により算出される。つながり先評価が高いということは、ユーザがつながっている他のユーザのSNS評価が高いということであり、言い換えれば、当該ユーザが、社会的信用度の高い他のユーザと多くつながっていることを示している。 【0055】 すなわち、図6では、ユーザのSNS使用情報の一例として、ユーザID「U01」で識別されるユーザU01のSNS使用に関する情報が記憶されており、ユーザU01のSNS評価は「6」であることを示している。また、図6に示す情報の一例は、ユーザU01が使用しているSNSの一例は、SNS名称「AAA」であり、SNSサイト「AAA」における他のユーザとのつながり数は「70」であり、つながり先評価は「4」であることを示している。 【0056】 なお、SNS情報テーブル124には、例えば、ユーザとつながる他のユーザの社会的地位や収入等の情報が記憶されてもよい。また、融資サーバ100は、ユーザとつながる他のユーザの社会的地位や収入等の情報に基づいて、つながり先評価の値を算出してもよい。融資サーバ100は、このように他のユーザの社会的地位や収入等の情報が加味されたつながり先評価を、ユーザ自身のSNS評価の算出に用いることにより、当該ユーザの社会的信用度を精度よく算出することができる。」 イ.「【0162】 また、取得部131は、ユーザがネットワーク上で提供されているサービスを閲覧した履歴である閲覧履歴を取得する。算出部132は、取得部131によって取得された閲覧履歴に基づいて、ユーザの信用度を算出する。 【0163】 このように、実施形態に係る融資サーバ100は、ユーザのネットワーク上の閲覧履歴を参照する。これにより、融資サーバ100は、ユーザの興味関心を捉えることで、融資の種別を適切なものになるよう選択したり、融資先として望ましくないウェブページを頻繁に訪問するユーザの信用度を低く算出したりといった、融資情報の調整を適切に行うことができる。」 前記アによれば、引用文献5には次の技術的事項1が記載されている。 <引用文献5に記載された技術的事項1> 「ユーザが利用するSNSにおいて、他のユーザと関係を有している数(つながり数)と、関係を有する他のユーザの評価値に基づいて、ユーザの社会的信用度を評価するSNS評価を算出すること。」 また、前記イによれば、引用文献5には次の技術的事項2が記載されている。 <引用文献5に記載された技術的事項2> 「ユーザがネットワーク上で提供されているサービスを閲覧した履歴である閲覧履歴を取得する取得部131と、 取得された閲覧履歴に基づいて、ユーザの信用度を算出する算出部132を備え、 これにより、融資先として望ましくないウェブページを頻繁に訪問するユーザの信用度を低く算出する、融資サーバ100。」 6.引用文献6について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6(特開2017-91245号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 『【0100】 〔4-2.ユーザ情報〕 上記実施形態では、事業者サーバ100が取得するユーザ情報について説明した。ここで、事業者サーバ100は、上記実施形態で例示したユーザ情報以外の情報についても取 得し、取得した情報に基づいてチャージを実行してもよい。 【0101】 例えば、事業者サーバ100は、ユーザ端末10が送信するメールや、ウェブサイトやSNSサービス等に投稿するメッセージを取得してもよい。そして、事業者サーバ100は、取得したメール等を形態素解析する。そして、事業者サーバ100は、ユーザが送信するメール等に登場する単語の出現割合等に基づいて、ユーザの信用度を算出する。 【0102】 例えば、事業者サーバ100は、「キャッシング」等、負債関係で用いられる単語を頻繁に発するユーザに対しては、信用度を低く算出することができる。一方、事業者サーバ100は、「投資」等、資金の調達に用いられる単語を頻繁に発するユーザに対しては、信用度を高く算出することができる。また、事業者サーバ100は、信用度の算出対象となるユーザのみならず、SNSでつながる他のユーザ等が発するメッセージ等を解析してもよい。そして、事業者サーバ100は、信用度の算出対象となるユーザとつながりのある他のユーザのメッセージに「キャッシング」等の単語が頻繁に登場するのであれば、信用度の算出対象となるユーザについても、社会的信用性が低いと推定し、信用度を低く算出するようにしてもよい。 【0103】 また、事業者サーバ100は、メール等のテキスト情報のみならず、ユーザやつながりのある他のユーザから発信される画像情報等を取得してもよい。そして、事業者サーバ100は、画像情報を解析し、画像に示される場所や同時に写っているユーザ等の情報に基づいて、ユーザの信用度を算出する。例えば、事業者サーバ100は、画像情報に基づいて、画像に示された場所が富裕層の集まる傾向にある場所であると解析する。この場合、事業者サーバ100は、当該ユーザの社会的信用性が高いと推定し、信用度を高く算出するようにしてもよい。』 前記記載によれば、引用文献6には、次の技術的事項が記載されている。 <引用文献6に記載された技術的事項> 「SNSサービスに投稿されたメッセージを取得し、 取得されたメッセージを形態素解析し、「キャッシング」等、負債関係で用いられる単語を頻繁に発するユーザに対しては、信用度を低く算出し、「投資」等、資金の調達に用いられる単語を頻繁に発するユーザに対しては、信用度を高く算出する、 事業者サーバ100。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ・引用発明の「算出部112は、提携先購入履歴データ151を参照し」は、提携先購入履歴データというユーザ情報を取得することといえる。したがって、提携先購入履歴データを参照するための構成は、本願発明1の「ユーザに関する情報であるユーザ情報を取得する取得部」に相当する。 ・引用発明の「信用度」は、本願発明1の「信用スコア」に相当する。 ・引用発明の『処理対象のユーザの購入履歴に基づいて、「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数を算出し、「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数が小さい程、信用度のスコアを高く算出し、算出されたスコアに基づいて信用度を決定』する算出部112と、本願発明1の「前記取得部によって取得された所定のユーザ情報に含まれる所定のユーザによって行われた商品を返品する処理に関する割合であるキャンセル率に関する情報と、当該所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴と、当該所定のユーザの与信に関する情報とに基づいて生成される学習モデルに基づいて、前記ユーザの信用に関する情報である信用スコアを算出する算出部」は、「前記ユーザの信用に関する情報である信用スコアを算出する算出部」の点で共通する。 そして、当該信用スコアの算出が、本願発明1では「前記取得部によって取得された所定のユーザ情報に含まれる所定のユーザによって行われた商品を返品する処理に関する割合であるキャンセル率に関する情報と、当該所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴と、当該所定のユーザの与信に関する情報とに基づいて生成される学習モデルに基づいて」算出するものであるのに対し、引用発明では、上記学習モデルに基づいて算出するものではない点で相違する。 ・引用発明の「決定部113は、算出部112により算出された信用度に応じて、端末20のユーザに付与する特典を決定し、 特典は、信用度に応じてポイントが付与されるまでの期間が異なり、信用度が高い順に「優良」、「普通」、「不良(デフォルト)」の3つの段階に分け、「優良」のユーザについては、購入サーバ50の運用事業者による購入の承認の翌日にポイントを付与し、「普通」のユーザについては、購入手続きの完了等から30日後にポイントを付与し、「不良(デフォルト)」のユーザについては、購入手続きの完了から70日後または翌々月の25日以降にポイントを付与する」は、決定部が、算出部により算出された信用度を何らかの閾値と比較し、この閾値との大小の関係からユーザを「優良」、「普通」、「不良(デフォルト)」の3つの段階に分け、この3つの段階に応じて、ユーザにポイント(インセンティブ)を付与するタイミングを決定しているといえる。 したがって、引用発明の上記決定部は、本願発明1の「前記記算出部によって算出された信用スコアと所定の閾値との大小関係に基づいて、前記ユーザに対してインセンティブを付与するタイミングを決定する決定部」に相当する。 ・引用発明の「サーバ10」は、本願発明1の「情報処理装置」に相当する。 よって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 <一致点> 「 ユーザに関する情報であるユーザ情報を取得する取得部と、 前記ユーザの信用に関する情報である信用スコアを算出する算出部と、 前記算出部によって算出された信用スコアと所定の閾値との大小関係に基づいて、前記ユーザに対してインセンティブを付与するタイミングを決定する決定部と、 を備えた情報処理装置。」 <相違点> 算出部における信用スコアの算出が、本願発明1では「前記取得部によって取得された所定のユーザ情報に含まれる所定のユーザによって行われた商品を返品する処理に関する割合であるキャンセル率に関する情報と、当該所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴と、当該所定のユーザの与信に関する情報とに基づいて生成される学習モデルに基づいて」算出するものであるのに対し、引用発明は、『「キャンセル」及び「返品」の率、及び回数が小さい程、信用度のスコアを高く算出し、算出されたスコアに基づいて信用度を決定』するものであり、学習モデルに基づいて算出するものではない点。 (2)相違点についての判断 引用文献4に記載された信用度モデルM11は、機械学習により生成されることから、信用度を算出するための学習モデルといえる。 しかし、引用文献4に記載された実施形態に係る判定装置では、この信用度モデルを、「評価点」と「コメント長さ」と「コメント率」と「貸し倒れ率」とに基づいて生成しており、所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴に基づいて生成してはいない。 また、同文献の他の実施形態のモデル生成部では、商品売買において取引をキャンセルする行動(ユーザが取引をキャンセルしたキャンセル率)に関する情報を用いて、信用度モデルを生成しているが,所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴に基づいて生成してはいない。 したがって、引用文献4に記載された信用度モデルは、相違点に係る学習モデルとは相違する。 また、引用文献5には、閲覧履歴に基づいてユーザの信用度を算出する算出部132が記載されているが、この閲覧履歴は信用度の算出に用いるものであり、相違点に係る学習モデルの生成に用いるものではない。 また、他の引用文献にも、相違点に係る学習モデルは記載されていない。 そうすると、相違点に係る学習モデルは、引用文献2-6のいずれにも記載されておらず、本願発明1は、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2.本願発明2-10について 本願発明2-10も、本願発明1の「前記取得部によって取得された所定のユーザ情報に含まれる所定のユーザによって行われた商品を返品する処理に関する割合であるキャンセル率に関する情報と、当該所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴と、当該所定のユーザの与信に関する情報とに基づいて生成される学習モデルに基づいて」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 3.本願発明11について 本願発明11は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 4.本願発明12について 本願発明12は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「前記取得部によって取得された所定のユーザ情報に含まれる所定のユーザによって行われた商品を返品する処理に関する割合であるキャンセル率に関する情報と、当該所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴と、当該所定のユーザの与信に関する情報とに基づいて生成される学習モデルに基づいて」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-12は「前記取得部によって取得された所定のユーザ情報に含まれる所定のユーザによって行われた商品を返品する処理に関する割合であるキャンセル率に関する情報と、当該所定のユーザによって閲覧されたコンテンツの閲覧履歴と、当該所定のユーザの与信に関する情報とに基づいて生成される学習モデルに基づいて」という事項、または、これに対応する事項を有するものとなっており、拒絶査定において引用された引用文献1-6に基づいて、当業者が容易に発明することができたとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-07-26 |
出願番号 | 特願2019-11623(P2019-11623) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田付 徳雄 |
特許庁審判長 |
畑中 高行 |
特許庁審判官 |
渡邊 聡 松田 直也 |
発明の名称 | 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |