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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01F
管理番号 1376617
審判番号 不服2021-547  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-14 
確定日 2021-08-24 
事件の表示 特願2018- 17544「インダクタ部品およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月 8日出願公開、特開2019-134141、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年2月2日の出願であって、令和2年3月12日付けで拒絶理由が通知され、令和2年5月13日に手続補正がなされたが、令和2年10月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和3年1月14日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年10月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
「本願請求項2ないし8、10ないし13、15、16に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 2-6,8,10-11
・引用文献等 1,3
・請求項 7-8,10-13
・引用文献等 1-3
・請求項 15-16
・引用文献等 1,3-4

<引用文献等一覧>
1.特開2017-098544号公報
2.特開2015-076597号公報
3.特開2017-199799号公報
4.特開2017-130584号公報」

第3 審判請求時の補正について
本件補正内容は、以下のとおり。
1 本件補正前の請求項1、3、9、12、14、17を削除する。

2 本件補正前の請求項2に「前記スパイラル配線と前記柱状配線がビア導体を介さないで直接に接触し、前記柱状配線と前記外部端子が直接に接触している」とあったところを「前記スパイラル配線の上面と前記柱状配線が、前記柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触し、前記柱状配線と前記外部端子が直接に接触しており、前記スパイラル配線の上面は、前記柱状配線と接触する部分以外の全て、前記磁性層に接触している」と補正して、請求項1とする。

3 本件補正前の請求項15に「前記スパイラル配線とビア導体を介さないで直接に接触する柱状配線を形成し、前記柱状配線の上端が露出するように前記磁性層を形成する」とあったところを「前記スパイラル配線に柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触する柱状配線を形成し、前記柱状配線の上端が露出し、かつ、前記スパイラル配線の上面における、前記柱状配線と接触する部分以外の全てに接触するように前記磁性層を形成する」と補正して、請求項10とする。

4 本件補正前の請求項4ないし8、10ないし11、13、16を、それぞれ請求項2ないし6、7ないし8、9、11とするとともに、引用する請求項の項番を整序する。

上記1ないし4の補正は、請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、上記2及び3の補正に係る事項は、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、本件補正後の請求項1ないし11に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
したがって、審判請求時の補正(以下、「本件補正」という。)は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

第4 本願発明について
本願の請求項1ないし11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)は、令和3年1月14日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
磁性体を含有しない絶縁層と、
前記絶縁層の第1主面上に形成され、前記第1主面上に巻回されるスパイラル配線と、
前記スパイラル配線の少なくとも一部に接触する磁性層と
を備え、
前記磁性層の内部を前記第1主面の法線方向に貫通する柱状配線と、前記磁性層の外側に形成された外部端子とをさらに備え、
前記スパイラル配線の上面と前記柱状配線が、前記柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触し、前記柱状配線と前記外部端子が直接に接触しており、
前記スパイラル配線の上面は、前記柱状配線と接触する部分以外の全て、前記磁性層に接触している、インダクタ部品。
【請求項2】
前記磁性層は、前記スパイラル配線との接触部分において、前記スパイラル配線の上面に接触している、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記磁性層は、前記スパイラル配線との接触部分において、前記スパイラル配線の側面から上面にかけて接触している、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記絶縁層の厚みは、前記スパイラル配線の厚みより薄い、請求項1から3の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記絶縁層の厚みは、10μm以下である、請求項4に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記スパイラル配線に沿った形状である、請求項1から5の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記スパイラル配線は、1層のみである、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記スパイラル配線の側面は、全て、前記磁性層に接触している、請求項1から7の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記スパイラル配線は、1周を超えるスパイラル形状であり、
前記スパイラル配線の1周を超えて並走する領域において、前記スパイラル配線の側面は、前記絶縁層に覆われている、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
基板を準備する工程と、
前記基板上に磁性体を含有しない絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の第1主面上に巻回されるように、前記第1主面上にスパイラル配線を形成する工程と、
前記スパイラル配線の少なくとも一部に接触するように、前記絶縁層上に磁性層を形成する工程と、
前記基板を除去する工程と
を備え、
前記スパイラル配線の形成後、前記磁性層の形成前に、前記スパイラル配線から前記第1主面の法線方向に延び、かつ、前記スパイラル配線に柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触する柱状配線を形成し、前記柱状配線の上端が露出し、かつ、前記スパイラル配線の上面における、前記柱状配線と接触する部分以外の全てに接触するように前記磁性層を形成する、インダクタ部品の製造方法。
【請求項11】
前記絶縁層は、前記スパイラル配線に沿った部分を残して除去される、請求項10に記載のインダクタ部品の製造方法。」

第5 引用発明、引用文献等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するものである。」

「【0013】
<コイル部品>
以下では、本発明のコイル部品を説明するにあたり、便宜上、インダクタ(Inductor)として用いられるコイル部品の構造を例に挙げて説明するが、上述のようにインダクタ以外の他の多様な用途のコイル部品にも本発明のコイル部品構造を適用することができる。」

「【0015】
図2は、コイル部品の一例を示す概略斜視図である。図面を参照すると、一例によるコイル部品100Aは、本体10と、本体10上に配置された外部電極50と、を含む。本体10の内部にはコイル20が配置される。本体10の内部に配置されたコイル20は磁性物質の中に埋め込まれる。外部電極50は、本体10上に互いに離隔して配置された第1の外部電極51及び第2の外部電極52を含む。第1の外部電極51及び第2の外部電極52はそれぞれコイル20の互いに異なる引出端子と接続される。但し、外部電極50の配置形態は、適用されるコイル部品の種類に応じて変わってもよい。」



「【0018】
図3は、図2に示すコイル部品をI-I'線に沿う切断面で切って見た場合の概略断面図である。図4は、図3に示すコイル部品のQ1領域を拡大表示して見た場合の概略拡大断面図である。図面を参照すると、本体10は、第1から第4の導電層21、22、23、24と、第1から第4の導電層21、22、23、24の間にそれぞれ配置され、第1から第4の導電層21、22、23、24の間を絶縁する第1から第3の絶縁層31、32、33と、第1から第3の絶縁層31、32、33に形成され、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に接続する第1から第3のビア41、42、43と、第1から第4の導電層21、22、23、24を囲む第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16と、を含む。第1から第4の導電層21、22、23、24は接続されて水平方向及び垂直方向にターン数が増加する一つのコイル(巻線パターン)20を構成する。」



「【0021】
第1から第4の導電層21、22、23、24はそれぞれ平面スパイラル状のパターンを有する。ここで、平面スパイラル状のパターンとは、例えば、コア部Cを中心として径方向に延びる平面内で導線が螺旋状に重ね巻きされるようにして形成された巻回パターンを指す。・・・(省略)・・・第1から第4の導電層21、22、23、24のそれぞれは単一のめっき層で構成されるので、形成方法が容易である。第1から第4の導電層21、22、23、24は別個のシード層を有しない。即ち、後述の工程から分かるように、シード層の役割を果たす金属層は除去される。したがって、その上面及び/又は下面が第1から第3の絶縁層31、32、33と接触する。第1から第4の導電層21、22、23、24の形成材料としては、通常のめっき材料である銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、又はこれらの合金などの導電性物質を用いることができる。
【0022】
第1から第3の絶縁層31、32、33は、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に絶縁させる役割を果たす。第1から第3の絶縁層31、32、33の材質は、絶縁物質を含むものであればいずれのものであってもよい。例えば、公知の感光性絶縁(Photo Imageable Dielectric:PID)樹脂などが用いられることができる。一方、第1から第3の絶縁層31、32、33は絶縁樹脂及び磁性フィラーを含む磁性フィルムでもよい。・・・(以下、省略)・・・」

「【0026】
・・・(省略)・・・よって、第1から第4の導電層21、22、23、24の径方向を向いた側面はそれぞれ第1から第4の磁性層11、12、13、14と接触している。第5及び第6の磁性層15、16はコイル20の上部及び下部をカバーする。コイル部品100Aは、上述のように第1から第3の絶縁層31、32、33の厚さが薄いため、第5及び第6の磁性層15、16の厚さを十分に確保することができ、その結果、高いインダクタンスを実現するのに有利である。・・・(以下、省略)・・・」

(2)引用文献1に記載された技術事項
ア 段落【0013】より、引用文献1は「インダクタ」「として用いられるコイル部品」に関するものであることがわかる。

イ 段落【0015】より「コイル部品100Aは、本体10と、本体10上に配置された外部電極50と、を含」み、「本体10の内部にはコイル20が配置され」、「本体10の内部に配置されたコイル20は磁性物質の中に埋め込まれ」、「外部電極50は、本体10上に互いに離隔して配置された第1の外部電極51及び第2の外部電極52を含」み、「第1の外部電極51及び第2の外部電極52はそれぞれコイル20の互いに異なる引出端子と接続される」ことを読み取ることができる。

ウ 段落【0018】より、「本体10は、第1から第4の導電層21、22、23、24と、第1から第4の導電層21、22、23、24の間にそれぞれ配置され、第1から第4の導電層21、22、23、24の間を絶縁する第1から第3の絶縁層31、32、33と、第1から第3の絶縁層31、32、33に形成され、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に接続する第1から第3のビア41、42、43と、第1から第4の導電層21、22、23、24を囲む第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16と、を含」み、「第1から第4の導電層21、22、23、24は接続されて」「一つのコイル(巻線パターン)20を構成する」ことを読み取ることができる。

エ 段落【0021】より、「第1から第4の導電層21、22、23、24はそれぞれ平面スパイラル状のパターンを有」し、「第1から第4の導電層21、22、23、24」「の下面が第1から第3の絶縁層31、32、33と接触する」することを読み取ることができる。

オ 段落【0022】より、「第1から第3の絶縁層31、32、33は、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に絶縁させる役割を果たす」ことを読み取ることができる。

カ 段落【0026】より「第1から第4の導電層21、22、23、24の径方向を向いた側面はそれぞれ第1から第4の磁性層11、12、13、14と接触し」、「第5及び第6の磁性層15、16はコイル20の上部及び下部をカバー」し、「コイル部品100Aは」、「第1から第3の絶縁層31、32、33の厚さが薄いため、第5及び第6の磁性層15、16の厚さを十分に確保することができ、その結果、高いインダクタンスを実現するのに有利である」ことを読み取ることができる。

(3)引用文献1に記載された発明
上記(2)より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「インダクタとして用いられるコイル部品であって、
コイル部品100Aは、本体10と、本体10上に配置された外部電極50と、を含み、本体10の内部にはコイル20が配置され、本体10の内部に配置されたコイル20は磁性物質の中に埋め込まれ、外部電極50は、本体10上に互いに離隔して配置された第1の外部電極51及び第2の外部電極52を含み、第1の外部電極51及び第2の外部電極52はそれぞれコイル20の互いに異なる引出端子と接続され、
本体10は、第1から第4の導電層21、22、23、24と、第1から第4の導電層21、22、23、24の間にそれぞれ配置され、第1から第4の導電層21、22、23、24の間を絶縁する第1から第3の絶縁層31、32、33と、第1から第3の絶縁層31、32、33に形成され、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に接続する第1から第3のビア41、42、43と、第1から第4の導電層21、22、23、24を囲む第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16と、を含み、第1から第4の導電層21、22、23、24は接続されて一つのコイル(巻線パターン)20を構成し、
第1から第4の導電層21、22、23、24はそれぞれ平面スパイラル状のパターンを有し、第1から第4の導電層21、22、23、24の下面が第1から第3の絶縁層31、32、33と接触し、
第1から第3の絶縁層31、32、33は、第1から第4の導電層21、22、23、24を相互に絶縁させる役割を果たし、
第1から第4の導電層21、22、23、24の径方向を向いた側面はそれぞれ第1から第4の磁性層11、12、13、14と接触し、第5及び第6の磁性層15、16はコイル20の上部及び下部をカバーし、コイル部品100Aは、第1から第3の絶縁層31、32、33の厚さが薄いため、第5及び第6の磁性層15、16の厚さを十分に確保することができ、その結果、高いインダクタンスを実現するのに有利である、
インダクタとして用いられるコイル部品。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、コイル基板及びその製造方法、並びにコイル基板を備えたインダクタに関する。」

「【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、従来よりも小型化が可能なコイル基板等を提供することを課題とする。」

「【0006】
本コイル基板は、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成されたコイルの一部となる配線と、を備えた構造体を複数個積層した積層体と、前記積層体の表面を被覆する絶縁膜と、を有し、隣接する前記構造体の前記配線同士を直列に接続して螺旋状のコイルを形成したことを要件とする。」

「【0059】
絶縁層20_(1)としては、例えば、フィルム状のエポキシ系絶縁性樹脂等を用いることができる。或いは、絶縁層20_(1)として、液状又はペースト状のエポキシ系絶縁性樹脂等を用いてもよい。絶縁層20_(1)の厚さは、例えば、8?12μm程度とすることができる。金属箔300_(1)は、パターニングされて金属層301_(1)及び接続部35となる部位であり、例えば、銅箔を用いることができる。金属箔300_(1)の厚さは、例えば、12?50μm程度とすることができる。」

よって、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「コイル基板を備えたインダクタ(【0001】)において、
コイル基板は、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成されたコイルの一部となる配線と、を備えた構造体を複数個積層した積層体と、前記積層体の表面を被覆する絶縁膜と、を有し、隣接する前記構造体の前記配線同士を直列に接続して螺旋状のコイルを形成し(【0006】)、
絶縁層の厚さは、例えば、8?12μm程度とすることができる(【0059】)」技術。

3 引用文献3について
(1)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【解決手段】コイル部品10は、巻線部21、22及び巻線部21、22と同一層内において巻線部21、22の周囲を覆う絶縁樹脂層12、13を含む少なくとも一層の環状の平面コイル部23、24と、平面コイル部23、24に重なる絶縁樹脂層14?16とを有するコイル部25と、コイル部25を被覆する被覆部7と、を備え、絶縁樹脂層14?16は、平面コイル部23、24に重なる方向から見て、平面コイル部23、24の形成領域Sの内周縁及び外周縁の少なくともいずれか一方から形成領域Sの内部側に窪んだ窪み領域14a?16a、15b、16bを有する。」(フロントページ)

「【0019】
図3に示されるように、コイル部品10は、後述するコイル部25と、コイル部25を被覆する被覆部7と、被覆部7の主面7a上に設けられた絶縁層30とを備えている。・・・(以下、省略)・・・
【0020】
主面7aには、絶縁層30を介して端子電極20A、20Bが設けられている。端子電極20Aは、主面7aにおける一方の短辺に沿っており、端子電極20Bは、主面7aにおける他方の短辺に沿っている。端子電極20A、20Bは、主面7aにおける長辺に沿った方向に互いに離間している。」

「【0025】
図4及び図5に示されるように、磁性樹脂層18の内部には、コイル部25及び引出導体19A、19Bが配置されている。
【0026】
コイル部25は、複数層(本実施形態では、二層)の環状の平面コイル部23、24と、平面コイル部23、24に重なる複数層(本実施形態では、三層)の絶縁樹脂層14?16と、連結部17a、17bとを有している。」

「【0031】
・・・(省略)・・・絶縁樹脂層16は、主面7a側から平面コイル部24と対向し、当該平面コイル部24に重なっている。」

「【0033】
連結部17aは、絶縁樹脂層15と同一層に位置しており、絶縁樹脂層15を貫通している。連結部17aは、巻線部21と巻線部22との間に介在して、巻線部21の最も内側の巻回部分と巻線部22の最も内側の巻回部分とを連結している。連結部17bは、巻線部21の最も外側の巻回部分から絶縁樹脂層13、15を貫通して主面7a側に延び、巻線部21と引出導体19Bとを連結している。連結部17a、17bは、例えばCu等の金属材料で構成されている。
【0034】
引出導体19A、19Bは、例えばCu等の金属材料で構成されている。引出導体19Aは、巻線部22の最も外側の巻回部分に接続されている。引出導体19Aは、絶縁樹脂層16及び磁性樹脂層18を貫通するようにして、巻線部22の最も外側の巻回部分から被覆部7の主面7aまで延びて、主面7aに露出している。主面7aにおける引出導体19Aの露出した部分に対応する位置に、端子電極20Aが設けられている。引出導体19Aは、絶縁層30の貫通孔31a内の導体部31によって、端子電極20Aに接続されている。これにより、引出導体19A及び導体部31を介して、巻線部22の最も外側の巻回部分と端子電極20Aとが電気的に接続されている。」

「【0035】
引出導体19Bは、巻線部21の最も外側の巻回部分に接続されている。引出導体19Bは、絶縁樹脂層16及び磁性樹脂層18を貫通するようにして、連結部17bから被覆部7の主面7aまで延びて、主面7aに露出している。主面7aにおける引出導体19Bの露出した部分に対応する位置に、端子電極20Bが設けられている。引出導体19Bは、絶縁層30の貫通孔32a内の導体部32によって、端子電極20Bに接続されている。これにより、連結部17b、引出導体19B、及び導体部32を介して、巻線部21の最も外側の巻回部分と端子電極20Bとが電気的に接続されている。」


「【0059】
続いて、図10の(c)に示されるように、上述した工程と同様にして、絶縁樹脂層15の上に、巻線部22および絶縁樹脂層13、16を形成する。・・・(省略)・・・
【0060】
そして、絶縁性樹脂を巻線部22の上に塗布した後、フォトリソグラフィー等の手法でパターニングすることにより、絶縁樹脂層16を形成する。その際、絶縁樹脂層16に、引出導体19A、19Bを形成するための開口部19A’、19B’を形成する。
【0061】
続いて、図10の(d)に示されるように、めっき層44のうち、巻線部21、22を構成していない部分(巻線部21、22の内周部及び外周部に対応する部分)をエッチング処理によって除去する。換言すると、図10の(c)の絶縁樹脂層12?16に覆われていないめっき層44を除去する。続いて、図11の(a)に示されるように、絶縁樹脂層16の開口部19A’に対応する位置に引出導体19Aを形成すると共に、開口部19B’に対応する位置に引出導体19Bを形成する。具体的には、所定のマスクを用いてめっきやスパッタリング等により、開口部19A’、19B’上に引出導体19A、19Bのためのシード部を形成し、当該シード部を用いて引出導体19A、19Bをめっき形成する。



(2)引用文献3に記載された技術事項
よって、引用文献3には、次の技術事項が記載されている。
ア フロントページ【解決手段】、段落【0019】及び【0020】より、「コイル部品10は、巻線部21、22」「を含む」「平面コイル部23、24と」「平面コイル部23、24に重なる絶縁樹脂層14?16とを有するコイル部25と、コイル部25を被覆する被覆部7と、を備え」、「被覆部7の主面7a」には「端子電極20A、20Bが設けられ」ていることを読み取ることができる。

イ 段落【0025】、【0026】及び【0031】より、「磁性樹脂層18の内部に」「コイル部25及び引出導体19A、19Bが配置され」、「コイル部25は」「連結部17a、17b」「を有し」、「絶縁樹脂層16は、主面7a側から平面コイル部24と対向し、当該平面コイル部24に重なっている」ことを読み取ることができる。

ウ 段落【0033】より、「連結部17aは、」「巻線部21の最も内側の巻回部分と巻線部22の最も内側の巻回部分とを連結し」、「連結部17bは、巻線部21の最も外側の巻回部分から絶縁樹脂層13、15を貫通して主面7a側に延び」ていることを読み取ることができる。

エ 段落【0034】より、「引出導体19Aは、巻線部22の最も外側の巻回部分に接続され」、「絶縁樹脂層16及び磁性樹脂層18を貫通するようにして、巻線部22の最も外側の巻回部分から被覆部7の主面7aまで延びて」、「端子電極20Aに接続され」ることを読み取ることができる。

オ 段落【0035】より、「引出導体19Bは、絶縁樹脂層16及び磁性樹脂層18を貫通するようにして、連結部17bから被覆部7の主面7aまで延びて」「端子電極20Bに接続され」ることを読み取ることができる。

カ 段落【0060】、【0061】、及び図10(c)ないし(d)、図11'(a)より、「巻線部22の上に」「絶縁樹脂層16を形成する」「際、絶縁樹脂層16に」、「引出導体19A、19B」より断面積の小さな「開口部19A’、19B’を形成」し、その「上」に「引出導体19A、19B」を「形成する」ことを読み取ることができる。

(3)引用文献3に記載された技術
上記(2)より、引用文献3には、次の技術(以下、「引用文献3に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「コイル部品10は、巻線部21、22を含む平面コイル部23、24と平面コイル部23、24に重なる絶縁樹脂層14?16とを有するコイル部25と、コイル部25を被覆する被覆部7と、を備え、被覆部7の主面7aには端子電極20A、20Bが設けられ、
磁性樹脂層18の内部にコイル部25及び引出導体19A、19Bが配置され、コイル部25は連結部17a、17bを有し、絶縁樹脂層16は、主面7a側から平面コイル部24と対向し、当該平面コイル部24に重なり、
連結部17aは、巻線部21の最も内側の巻回部分と巻線部22の最も内側の巻回部分とを連結し、連結部17bは、巻線部21の最も外側の巻回部分から絶縁樹脂層13、15を貫通して主面7a側に延び、
引出導体19Aは、巻線部22の最も外側の巻回部分に接続され、絶縁樹脂層16及び磁性樹脂層18を貫通するようにして、巻線部22の最も外側の巻回部分から被覆部7の主面7aまで延びて、端子電極20Aに接続され、
引出導体19Bは、絶縁樹脂層16及び磁性樹脂層18を貫通するようにして、連結部17bから被覆部7の主面7aまで延びて端子電極20Bに接続され、
巻線部22の上に絶縁樹脂層16を形成する際、絶縁樹脂層16に、引出導体19A、19Bより断面積の小さな開口部19A’、19B’を形成し、その上に引出導体19A、19Bを形成する」技術。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0078】
次に、コイル部品1の製造方法について、図5A?図5Oを用いて説明する。なお、図5A?図5Oの断面は図2の断面に相当するものである。
【0079】
図5Aに示すように、基台50を準備する。基台50は、絶縁基板51と、絶縁基板51の両面に設けられたベース金属層52とを有する。この実施形態では、絶縁基板51は、ガラスエポキシ基板であり、ベース金属層52は、Cu箔である。
【0080】
そして、図5Bに示すように、基台50の一面上にダミー金属層60を接着する。この実施形態では、ダミー金属層60は、Cu箔である。ダミー金属層60は、基台50のベース金属層52と接着されるので、ダミー金属層60は、ベース金属層52の円滑面に接着される。このため、ダミー金属層60とベース金属層52の接着力を弱くすることができて、後工程において、基台50をダミー金属層60から容易に剥がすことができる。好ましくは、基台50とダミー金属層60を接着する接着剤は、低粘着接着剤とする。また、基台50とダミー金属層60の接着力を弱くするために、基台50とダミー金属層60の接着面を光沢面とすることが望ましい。
【0081】
その後、基台50に仮止めされたダミー金属層60上にベース絶縁樹脂30を積層する。このとき、ベース絶縁樹脂30を真空ラミネータにより積層してから熱硬化する。
【0082】
そして、図5Cに示すように、ベース絶縁樹脂30上に、第1コイル導体21と、内磁路に対応する第1犠牲導体71と、外周接続配線25aとを設ける。このとき、第1コイル導体21、第1犠牲導体71および外周接続配線25aを、セミアディティブ工法により、同時に形成する。なお、内周接続配線24a,24b(図3A、3B参照)も、外周接続配線25aと同様に形成する。
【0083】
そして、図5Dに示すように、第1コイル導体21および第1犠牲導体71を第1絶縁樹脂31で覆う。このとき、第1絶縁樹脂31を真空ラミネータで積層してから熱硬化する。
【0084】
そして、図5Eに示すように、第1絶縁樹脂31の一部にビアホール31aを設けて、外周接続配線25aを露出させ、第1絶縁樹脂31の一部に開口部31bを設けて、第1犠牲導体71を露出させる。ビアホール31aおよび開口部31bは、レーザ加工により形成される。
【0085】
そして、図5Fに示すように、第1絶縁樹脂31上に第2コイル導体22を設ける。また、外周接続配線25cを第1絶縁樹脂31のビアホール31aに設けて第1コイル導体21と同層の外周接続配線25aに接続させる。また、第1絶縁樹脂31の開口部31b内の第1犠牲導体71上に、内磁路に対応する第2犠牲導体72を設ける。
【0086】
そして、図5Gに示すように、第2コイル導体22および第2犠牲導体72を第2絶縁樹脂32で覆う。このようにして、コイル導体21,22および絶縁樹脂30?32により、コイル基板5を形成する。
【0087】
そして、図5Hに示すように、第2絶縁樹脂32の一部に開口部32bを設けて、第2犠牲導体72を露出させる。また、コイル基板5の端部を基台50の端部とともにカットライン10で切り落とす。カットライン10は、ダミー金属層60の端面よりも内側に位置する。
【0088】
そして、図5Iに示すように、第1と第2犠牲導体71,72を取り除き、絶縁樹脂30?32で構成される絶縁樹脂体35に、内磁路に対応する内径孔部35aを設ける。第1と第2犠牲導体71,72は、エッチングにより除去される。犠牲導体71,72の材料は、例えば、コイル導体21,22の材料と同じである。
【0089】
そして、図5Jに示すように、基台50(ベース金属層52)の一面とダミー金属層60との接着面で基台50をダミー金属層60から剥がし、ダミー金属層60をエッチングにより取り除く。」

よって、引用文献4には、次の技術(以下、「引用文献4に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「コイル部品1の製造方法において(【0078】)、
絶縁基板51と、絶縁基板51の両面に設けられたベース金属層52とを有する基台50を準備し(【0079】)、
基台50の一面上にダミー金属層60を接着し(【0080】)、
基台50に仮止めされたダミー金属層60上にベース絶縁樹脂30を積層し(【0081】)、
ベース絶縁樹脂30上に、第1コイル導体21を設け(【0082】)、
第1コイル導体21を第1絶縁樹脂31で覆い(【0083】)、
第1絶縁樹脂31上に第2コイル導体22を設け(【0085】)、
第2コイル導体22を第2絶縁樹脂32で覆い、このようにして、コイル導体21,22および絶縁樹脂30?32により、コイル基板5を形成し(【0086】)、
基台50(ベース金属層52)の一面とダミー金属層60との接着面で基台50をダミー金属層60から剥がし、ダミー金属層60をエッチングにより取り除く(【0089】)」技術。

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 引用文献1の段落【0022】に「一方、第1から第3の絶縁層31、32、33は絶縁樹脂及び磁性フィラーを含む磁性フィルムでもよい。」とある記載を反対解釈すれば、引用発明1における「第1から第3の絶縁層31、32、33」には、磁性フィラーを含まず絶縁樹脂のみからなるものも包含されることは明らかであり、かかる磁性フィラーを含まない「第1から第3の絶縁層31、32、33」は、本願発明1における「磁性体を含有しない絶縁層」に相当する。

イ 引用発明1における「第1から第3の絶縁層31、32、33」の上面が、本願発明1における「前記絶縁層の第1主面」に相当する。

ウ 引用発明1における「第1から第4の導電層21、22、23、24」は、「それぞれ平面スパイラル状のパターンを有し」それらの「下面が第1から第3の絶縁層31、32、33と接触し」ている(言い換えると、「第1から第4の導電層21、22、23、24」は、第1から第3の絶縁層31、32、33の上面に接触している)から、本願発明1における「前記絶縁層の第1主面上に形成され、前記第1主面上に巻回されるスパイラル配線」に相当する。

エ 引用発明1における「第1から第4の磁性層11、12、13、14」は、「第1から第4の導電層21、22、23、24の径方向を向いた側面」と「接触」し、「第5及び第6の磁性層15、16はコイル20の上部及び下部をカバー」しているから、引用発明1における「第1から第6の磁性層11、12、13、14、15、16」(以下、包括的に「磁性層」という。)が、本願発明1における「前記スパイラル配線の少なくとも一部に接触する磁性層」に相当する。

オ 引用発明1における「平面スパイラル状のパターンを有」する「コイル20の互いに異なる引出端子」が「第1の外部電極51及び第2の外部電極52」と接続されていることと、本願発明1とは、「前記スパイラル配線と引出配線とが接続され、引出配線と前記外部端子が接続されて」いる点で共通する。
しかしながら、引出配線について、本願発明1では、「柱状配線」であって、「前記磁性層の内部を前記第1主面の法線方向に貫通」し、「前記スパイラル配線の上面と」「前記柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触し」、「前記柱状配線と前記外部端子が直接に接触し」ているのに対し、引用発明1ではそのようなことは示されていない点で相違する。

カ 引用発明1における「第5及び第6の磁性層15、16」が「平面スパイラル状のパターンを有」する「コイル20の上部及び下部をカバー」していることが、本願発明1における「前記スパイラル配線の上面は、前記柱状配線と接触する部分以外の全て、前記磁性層に接触している」ことに相当する。

キ 引用発明1における「インダクタとして用いられるコイル部品」が、本願発明1における「インダクタ部品」に相当する。

上記アないしキより、本願発明1と引用発明1との一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
「磁性体を含有しない絶縁層と、
前記絶縁層の第1主面上に形成され、前記第1主面上に巻回されるスパイラル配線と、
前記スパイラル配線の少なくとも一部に接触する磁性層と
を備え、
引出配線と、前記磁性層の外側に形成された外部端子とをさらに備え、
前記スパイラル配線と引出配線とが接続され、引出配線と前記外部端子が接続されており、
前記スパイラル配線の上面は、前記柱状配線と接触する部分以外の全て、前記磁性層に接触している、インダクタ部品。」

(相違点1)
「引出配線」について、本願発明1では「柱状配線」であって、「前記磁性層の内部を前記第1主面の法線方向に貫通」し、「前記スパイラル配線の上面と」「前記柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触し」、「前記柱状配線と前記外部端子が直接に接触し」ているのに対し、引用発明1では、そのようなことは示されていない点。

(2)判断
そこで上記相違点1について検討すると、
ア 引用発明1は、「第5及び第6の磁性層15、16はコイル20の上部及び下部をカバーしコイル部品100Aは、第1から第3の絶縁層31、32、33の厚さが薄いため、第5及び第6の磁性層15、16の厚さを十分に確保することができ、その結果、高いインダクタンスを実現する」ものである。

イ これに対し、引用文献3に記載された技術では、「主面7a側から平面コイル部24と対向し、当該平面コイル部24に重な」る「絶縁樹脂層16」を設けているから、引用発明1に引用文献3に記載された技術を適用した場合には、該「絶縁樹脂層16」の厚み分だけ引用発明1における「第5及び第6の磁性層15、16の厚さ」を薄くしなければならず、その結果、「高いインダクタンスを実現する」ことが困難となることは明らかである。

ウ よって、引用発明1において、引用文献3に記載され技術を採用する動機付けは見いたせない。

エ また、引用文献3に記載された技術では、「引出導体19A、引出導体19B」(本願発明1における「柱状配線」に相当する。)と「巻線部22」(本願発明1における「スパイラル配線」に相当する。)とを、「引出導体19A、引出導体19B」(柱状配線)よりも断面積の小さな開口部19A’、19B’(本願発明1における「ビア」に相当する。)を介して接続している。

オ よって、仮に、引用発明1に引用文献3に記載された技術を適用しても、上記相違点1に係る構成、つまり、「柱状配線」が「前記スパイラル配線の上面と」「前記柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触」する構成とはならない。

カ また、引用文献2、4に記載された技術にも、上記相違点1に相当する構成は示されていない。

ク よって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9は、本願発明1を技術的に限定した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明10について
本願発明10は、本願発明1に係る「インダクタ部品」に対応する「製造方法」の発明であり、本願発明1と同様に、「前記スパイラル配線から前記第1主面の法線方向に延び、かつ、前記スパイラル配線に柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触する柱状配線を形成」する構成を備えるものである。
よって、本願発明10は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明11について
本願発明11は、本願発明10を技術的に限定した発明であるから、本願発明10と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし9は、「柱状配線」が「前記磁性層の内部を前記第1主面の法線方向に貫通」し、「前記スパイラル配線の上面と」「前記柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触し」、「前記柱状配線と前記外部端子が直接に接触し」ているという構成を備え、また、本願発明10、11は「前記スパイラル配線から前記第1主面の法線方向に延び、かつ、前記スパイラル配線に柱状配線よりも断面積の小さいビア導体を介さないで直接に接触する柱状配線を形成」する構成を備えるものとなった。
よって、上記「第6」で述べたのと同様の理由により、当業者であっても、拒絶査定に引用された引用文献1ないし4に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-08-04 
出願番号 特願2018-17544(P2018-17544)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 健一  
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 畑中 博幸
清水 稔
発明の名称 インダクタ部品およびその製造方法  
代理人 山尾 憲人  
代理人 山中 誠司  
代理人 吉田 環  

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