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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B32B 審判 全部申し立て 2項進歩性 B32B 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B32B 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 B32B |
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管理番号 | 1376672 |
異議申立番号 | 異議2020-700378 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-06-02 |
確定日 | 2021-05-24 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6618233号発明「熱線遮蔽構造体およびそれを含む合わせガラスならびにそれらの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6618233号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕について訂正することを認める。 特許第6618233号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6618233号の請求項1?7に係る特許についての出願は、2019(平成31)年 2月25日に国際出願(優先権主張:2018(平成30)年 2月27日 日本国)され、令和 元年11月22日にその特許権の設定登録がされ、同年12月11日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 2年 6月 2日 :特許異議申立人森谷晴美(以下、「申立人」という。)による請求項1?7に係る特許に対する特許異議の申立て 令和 2年 8月 4日付け:取消理由通知書 令和 2年10月 1日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 2年11月 6日付け:審尋(特許権者) 令和 2年11月17日 :特許権者による回答書の提出 令和 3年 2月10日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和 3年 4月 8日 :特許権者による意見書の提出 なお、令和 2年12月 1日付けで申立人に対して期間を指定して、意見書を提出する機会を設けたが、当該期間内に申立人から何らの応答もなかった。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 本件訂正請求書による訂正の内容は、以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を以下の[訂正前の請求項1]から[訂正後の請求項1]に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2?7も同様に訂正する。)。 [訂正前の請求項1] 【請求項1】 第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に熱線遮蔽層のみを含む熱線遮蔽構造体であって、 前記熱線遮蔽層は、 高屈折率層および低屈折率層の繰り返し多層構造を有する第1の熱線反射層もしくは少なくともAu、Ag、CuおよびAlのいずれかを含有する第2の熱線反射層である熱線反射層と 無機酸化物および色素の少なくとも一方ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層のみからなる層、 である熱線遮蔽構造体。」 [訂正後の請求項1] 【請求項1】 第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に熱線遮蔽層のみを含む熱線遮蔽構造体であって、 前記熱線遮蔽層は、 光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層および光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層と 無機酸化物および色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層のみからなる層である熱線遮蔽構造体。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を以下の[訂正前の請求項2]から[訂正後の請求項2]に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3、5、6も同様に訂正する。)。 [訂正前の請求項2] 【請求項2】 以下の工程を有する請求項1に記載の熱線遮蔽構造体の製造方法、 (A)剥離性を有する基材上に、高屈折率層および低屈折率層の繰り返し多層構造を有する第1の熱線反射層もしくは少なくともAu、Ag、CuおよびAlのいずれかを含有する第2の熱線反射層である熱線反射層を積層するか、 前記剥離性を有する基材上に、無機酸化物および色素の少なくとも一方ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層を積層し、 さらに前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか一方の上に前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか他方を積層することで、第1の積層体を得る工程、 (B)工程(A)で得られた前記第1の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第1の樹脂層と張り合わせたのち前記剥離性を有する基材を剥離することで、前記第1の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して第2の積層体を得る工程、 (C)工程(B)で得られた前記第2の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第2の樹脂層と張り合わせて、前記第2の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して熱線遮蔽構造体を得る工程。 [訂正後の請求項2] 【請求項2】 以下の工程を有する請求項1に記載の熱線遮蔽構造体の製造方法、 (A)剥離性を有する基材上に、光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層および光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層を積層するか、 前記剥離性を有する基材上に、無機酸化物および色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層を積層し、 さらに前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか一方の上に前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか他方を積層することで、第1の積層体を得る工程、 (B)工程(A)で得られた前記第1の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第1の樹脂層と張り合わせたのち前記剥離性を有する基材を剥離することで、前記第1の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して第2の積層体を得る工程、 (C)工程(B)で得られた前記第2の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第2の樹脂層と張り合わせて、前記第2の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して熱線遮蔽構造体を得る工程。 (3)訂正事項3 訂正前の明細書の段落【0046】、【0048】にそれぞれ『商品名「SP2020」』と記載されているのを『商品名「SP2002」』に訂正する。 2.一群の請求項について 訂正前の請求項1?7について、請求項2?7は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであり、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1?7〕について請求されたものである。 3.訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 高屈折率層及び低屈折率層について 訂正事項1は、請求項1に記載された高屈折率層及び低屈折率層を、それぞれ「光または熱硬化性樹脂を有する」ものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 高屈折率層及び低屈折率層を「光または熱硬化性樹脂を有する」ものとすることは、明細書の段落【0019】に「バインダーとなる樹脂としては、・・・熱又は光で硬化する硬化性樹脂(熱または光硬化性樹脂とも言う)(具体的には熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂)の硬化物等が挙げられる。」と記載されているから、新規事項を追加するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、高屈折率層及び低屈折率層を「光または熱硬化性樹脂を有する」ものとすることは、発明特定事項を直列的に付加することで高屈折率層及び低屈折率層の樹脂材料を特定するものであるから、特許請求の範囲を拡大・変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 イ 熱線反射層について 訂正事項1は、熱線反射層について択一的な記載の要素である「少なくともAu、Ag、CuおよびAlのいずれかを含有する第2の熱線反射層」を削除することで、熱線反射層を「高屈折率層および低屈折率層の繰り返し多層構造を有する第1の熱線反射層」のみとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 熱線反射層について択一的な記載の要素である第2の熱線反射層を削除することは、新規事項を追加するものでないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 熱線反射層について択一的な記載の要素である第2の熱線反射層を削除することは、特許請求の範囲の拡大・変更に該当しないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 熱線吸収層について 訂正事項1は、熱線吸収層について択一的な記載である「無機酸化物および色素の少なくとも一方」を「無機酸化物および色素」とするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 熱線吸収層について択一的な記載である「無機酸化物および色素の少なくとも一方」を「無機酸化物および色素」とすることは、新規事項を追加するものでないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 熱線吸収層について択一的な記載である「無機酸化物および色素の少なくとも一方」を「無機酸化物および色素」とすることは、特許請求の範囲の拡大・変更に該当しないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 エ 読点の削除について 訂正事項1は、「熱線吸収層のみからなる層、である熱線遮蔽構造体。」を「熱線吸収層のみからなる層である熱線遮蔽構造体。」として読点を削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 読点を削除する訂正は、新規事項を追加するものでないこと及び特許請求の範囲の拡大・変更に該当しないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 オ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号又は第3号に規定する特許請求の範囲の減縮又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 高屈折率層及び低屈折率層について 訂正事項2は、高屈折率層及び低屈折率層を「光または熱硬化性樹脂を有する」ものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 高屈折率層及び低屈折率層を「光または熱硬化性樹脂を有する」ものとすることは、明細書の段落【0019】に「バインダーとなる樹脂としては、・・・熱又は光で硬化する硬化性樹脂(熱または光硬化性樹脂とも言う)(具体的には熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂)の硬化物等が挙げられる。」と記載されているから、新規事項を追加するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 また、高屈折率層及び低屈折率層を「光または熱硬化性樹脂を有する」ものとすることは、発明特定事項を直列的に付加することで高屈折率層及び低屈折率層の樹脂材料を特定するものであるから、特許請求の範囲を拡大・変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 イ 熱線反射層について 訂正事項2は、熱線反射層について択一的な記載の要素である「少なくともAu、Ag、CuおよびAlのいずれかを含有する第2の熱線反射層」を削除することで、熱線反射層を「高屈折率層及び低屈折率層の繰り返し多層構造を有する第1の熱線反射層」のみとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 熱線反射層について択一的な記載の要素である第2の熱線反射層を削除することは、新規事項を追加するものでないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 熱線反射層について択一的な記載の要素である第2の熱線反射層を削除することは、特許請求の範囲の拡大・変更に該当しないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 ウ 熱線吸収層について 訂正事項2は、熱線吸収層について択一的な記載である「無機酸化物および色素の少なくとも一方」を「無機酸化物および色素」とするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 熱線吸収層について択一的な記載である「無機酸化物および色素の少なくとも一方」を「無機酸化物および色素」とすることは、新規事項を追加するものでないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 熱線吸収層について択一的な記載である「無機酸化物および色素の少なくとも一方」を「無機酸化物および色素」とすることは、特許請求の範囲の拡大・変更に該当しないことが明らかだから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 エ 小括 以上のとおりであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、明細書の段落【0046】及び【0048】の『商品名「SP2020」』を『商品名「SP2002」』と変更するものであるが、明細書の段落【0046】及び【0048】に記載された当該商品の発売元である「東洋クロス株式会社」のホームページに『商品名「SP2020」』は存在しないから、当該記載が誤記であることは明らかであり、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 明細書の段落【0014】の記載、および訂正前の【請求項6】の記載から、本件特許で使用される剥離性フィルムは、25mm幅の粘着テープとの剥離力が1000mN/25mm以上5000mN/25mm以下である。 当該商品の発売元である「東洋クロス株式会社」のホームページに掲載されたカタログ(乙第1号証)を参酌すると、剥離力が該当する商品は「SP2002」と「SP2005」のみであるが、「SP2005」は剥離力が4800mN/25mmであり商品名を構成する数値も異なるものであるから、訂正前の『商品名「SP2020」』が訂正後の『商品名「SP2002」』を意味していることも明らかである。 また、明細書の段落【0046】及び【0048】に記載された本件訂正前の『商品名「SP2020」』のものは、「剥離性を有する基材1」の実施態様であるところ、本件特許の請求項2の「熱戦遮蔽構造体を得る工程」において、「剥離性を有する基材」を用いるものであり、本件特許の請求項2は、請求項1を引用するものであるから、「剥離性を有する基材」は、請求項1に係る「熱戦遮蔽構造体」を製造する方法である。そうすると、訂正事項3は、一群の請求項〔1?7〕について請求されたものである。 よって、訂正事項3が新規事項を追加するものではなく、特許請求の範囲を拡大・変更するものでもないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 4.訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第2号又は第3号に規定する特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕について訂正することを認める。 第3 取消理由の概要 訂正後の請求項1?7に係る特許に対して、当審が令和 3年 2月10日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 理由(進歩性) 本件特許の請求項1、4、7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1?4に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1,4,7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献一覧> 引用文献1:特開2017-223827号公報(申立人提出:甲第2号証) 引用文献2:国際公開第2013/099564号明細書(申立人提出:甲第3号証) 引用文献3:特開2016-069259号公報(申立人提出:甲第4号証) 引用文献4:国際公開第2017/094453号明細書(申立人提出:甲第1号証) 第4 当審の判断 1.本件特許発明 本件特許の請求項1?請求項7に係る発明(以下、「本件特許発明1」?「本件特許発明7」という。)は、令和 2年10月 1日に特許権者が提出した訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?請求項7に記載された事項により特定される、以下のとおりである。 【請求項1】 第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に熱線遮蔽層のみを含む熱線遮蔽構造体であって、 前記熱線遮蔽層は、 光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層および光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層と 無機酸化物および色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層のみからなる層である熱線遮蔽構造体。 【請求項2】 以下の工程を有する請求項1に記載の熱線遮蔽構造体の製造方法、 (A)剥離性を有する基材上に、光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層および光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層を積層するか、 前記剥離性を有する基材上に、無機酸化物および色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層を積層し、 さらに前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか一方の上に前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか他方を積層することで、第1の積層体を得る工程、 (B)工程(A)で得られた前記第1の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第1の樹脂層と張り合わせたのち前記剥離性を有する基材を剥離することで、前記第1の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して第2の積層体を得る工程、 (C)工程(B)で得られた前記第2の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第2の樹脂層と張り合わせて、前記第2の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して熱線遮蔽構造体を得る工程。 【請求項3】 前記剥離性を有する基材は、25mm幅の粘着テープと前記剥離性を有する基材との速度300mm/minにおける180°剥離試験での剥離力が1000mN/25mm以上5000mN/25mm以下である、請求項2に記載の熱線遮蔽構造体の製造方法。 【請求項4】 第1のガラス板と、請求項1に記載の熱線遮蔽構造体と、第2のガラス板とをこの順に有する熱線遮蔽構造体を構成中に含む合わせガラス。 【請求項5】 請求項2に記載の工程(A)、(B)および(C)を有し、さらに以下の工程を有する合わせガラスの製造方法、 (D)第1のガラス板と第2のガラス板との間に請求項2に記載の工程(C)で得られた熱線遮蔽構造体を配置する工程。 【請求項6】 前記剥離性を有する基材は、25mm幅の粘着テープと前記剥離性を有する基材との速度300mm/minにおける180°剥離試験での剥離力が1000mN/25mm以上5000mN/25mm以下である、請求項5に記載の合わせガラスの製造方法。 【請求項7】 請求項4に記載の合わせガラスを含む窓。 2.引用文献の記載事項及び引用発明 (1)引用文献1について 引用文献1には、以下の事項が記載されている。 ア「【請求項1】 微粒子を含有した高屈折率樹脂層と、微粒子を含有した低屈折率樹脂層とが交互に積層した積層膜と可視光透過率70%以上、L*a*b*表色系でb*の値が10以下の赤外線吸収色素からなる層をさらに備える赤外線遮蔽シートにおいて、前記低屈折率樹脂層の少なくとも1層が、550nmの波長での屈折率から780nm?2500nmの任意波長における屈折率を差し引いた値が0.1以上であり、前記低屈折率樹脂層が、550nm以上前記任意波長以下の任意の波長において前記高屈折率樹脂層よりも低い屈折率を示すことを特徴とする赤外線遮蔽シート。」 イ「【請求項18】 請求項1?請求項16のいずれか一項に記載の赤外線遮蔽シートと、前記赤外線遮蔽シートの少なくとも一方の最外層の上に形成された中間膜とを備える合わせガラス用中間膜。 【請求項19】 前記中間膜が、ポリビニルブチラールを含む請求項18に記載の合わせガラス用中間膜。 【請求項20】 請求項18または請求項19に記載の合わせガラス用中間膜と、複数のガラス板とを備え、前記複数のガラス板間に前記合わせガラス用中間膜が挿入されている合わせガラス。」 ウ「【請求項24】 請求項20?請求項23に記載のいずれか1項に記載の合わせガラスを含む窓用部材。」 エ「【技術分野】 【0001】 本発明は、効率的に赤外線を吸収及び反射するとともに透明性に優れ、低ヘイズ性の新たな赤外線遮蔽シート及びその製造方法並びにその用途(ガラス用中間膜、合わせガラス、及び窓用部材)に関するものである。」 オ「【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明は、可視光領域における透明性、電波透過性、赤外線遮蔽性、製造コスト、色相を大幅に改善した新たな赤外線遮蔽シートを提供することを目的とする。」 カ「【発明の効果】 【0014】 本発明の赤外線遮蔽シートは、赤外線の広い領域に対して良好な吸収特性に加え反射特性を有し且つ、電波透過性、透明性、製造コストに優れ、低ヘイズ性であり、赤外線遮蔽性能を効果的に大幅に向上させることができる。本発明の赤外線遮蔽シートを住宅や自動車の窓ガラスに敷設した場合に住宅や自動車の冬季暖房費低減効果および夏期温度低減効果を両方ともに向上させることができる。」 キ「【0019】 本発明の一例に係る赤外線遮蔽シートは、図4に示すように、透明支持体20上に、微粒子を含有した高屈折率樹脂層21と、微粒子を含有した低屈折率樹脂層22とが交互に積層した積層膜23を備え、積層膜とは反対側の透明支持体20に赤外線吸収色素層24を備えている。なお、図4に示す例では、高屈折率樹脂層21及び低屈折率樹脂層22の層数の合計が偶数(8)であり、積層膜23における透明支持体20側の端の層が低屈折率樹脂層22となっているが、高屈折率樹脂層21及び低屈折率樹脂層22の層数の合計を奇数(例えば7)とし、積層膜23における透明支持体20側の端の層が高屈折率樹脂層21となるようにしてもよい。また、積層膜と赤外線吸収色素層を透明支持体に備える順番は特に制限無く、例えば透明支持体上に積層膜を備え、更に赤外線吸収色素層を備える事ができ、更に目的に応じて透明支持体を剥離して使用することもできる。」 ク「【0022】 本発明中、赤外線遮蔽シートの高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層とを交互に積層してなる積層膜は、赤外線領域における両者の屈折率差と、高屈折率樹脂層の屈折率の絶対値とが赤外線反射機能を決定するのに重要となる。即ち、屈折率差、屈折率の絶対値とも、大きい方が赤外線反射機能は大きくなる。」 ケ「【0048】 前記高屈折率樹脂層及び前記低屈折率樹脂層からなる積層膜では遮蔽できない赤外領域の光を遮蔽するために、赤外線吸収色素からなる層を組み合わせることで更に赤外遮蔽性が向上した赤外線遮蔽シートを作製することができる。前記赤外線吸収色素からなる層は、780nm?2000nmの波長の光を選択的に吸収するものであることが好ましい。また、透明性を確保する為に、赤外吸収色素層の可視透過率は70%以上が好ましく、75%以上がより好ましい。・・・」 コ「【0056】 前記高屈折率樹脂層や低屈折率樹脂層は、樹脂バインダー中に微粒子が分散されたものである。前記樹脂バインダーとしては、微粒子を分散維持できる樹脂であれば、特に制限はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。赤外吸収色素層の樹脂バインダーも同様である。」 サ「【0072】 本発明の赤外線遮蔽シートを製造する方法は、前記高屈折率樹脂層及び前記低屈折率樹脂層を塗布により形成する工程を含むことが好ましい。本発明の赤外線遮蔽シートは、高屈折率樹脂層及び低屈折率樹脂層を形成するための塗布液を、公知の塗布方式から適宜選択した塗布方式により透明支持体等の支持体上に塗布し、乾燥する工程を含む方法で製造することが好ましい。前記塗布液の塗布方式としては、特に限定されず、・・・薄膜作製に適したコーティング装置を使用する方法が好ましい。 【0073】 また、目的に応じて、赤外線遮蔽シートの上に、粘着層、ハードコート層、等の機能層を積層させて赤外線遮蔽シートとしても構わない。さらに、前記高屈折率樹脂層、前記低屈折率樹脂層や赤外吸収色素層中に、若しくは必要に応じて積層される前記機能層中に、必要に応じ、例えば、赤外線吸収色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種添加剤を添加することができる。」 シ「【0086】 なお、赤外線遮蔽シートの作製時に使用した透明支持体は、前記熱接着工程前後で剥離してもよいし、剥離せずに合わせガラス用中間膜の一部としても良い。」 ス「【0104】 〔実施例1〕 (高屈折率樹脂層の作製) 平均一次粒子径35nmである酸化チタン微粒子(商品名「TTO-51A」、石原産業株式会社製)1.4部、KAYARAD DPHA0.4部、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア907」)0.05部、及び分散剤(商品名「DISPERBYK-2001」、ビック・ケミージャパン株式会社製)0.3部をトルエン7部中に加え、ビーズミルを用いて周速10m/sにて分散させ、高屈折率樹脂層Bを形成するための高屈折率樹脂塗布液Bを作製した。酸化チタン微粒子の平均分散粒子径は、45nmであった。 【0105】 次いで、高屈折率樹脂塗布液をPET基材にワイヤーバーコーターにて塗布し、100℃で2分間乾燥させることによってトルエンを蒸発させた後、UV照射によって高屈折率樹脂層を作製した。高屈折率樹脂層に含有される微粒子の含有率は、高屈折率樹脂層B全体に対して65重量%である。・・・ 【0106】 (低屈折率樹脂層Aの作製) 非中空微粒子である平均一次分散粒子径25.6nm、60MPaで圧縮した際の粉体抵抗0.8Ω・cmであるスズドープ酸化インジウム微粒子(商品名「ITO-R」、CIKナノテック株式会社製)1.4部、KAYARAD DPHA 0.4部、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(商品名「ルシリンTPO」、光重合開始剤、BASFジャパン株式会社製)0.05部、アミノアルキルメタクリレート共重合体分散剤(商品名「DISPERBYK-167」、ビック・ケミージャパン株式会社製)0.3部を、溶媒としての1-メトキシ-2-プロパノール(以下、「PGM」と表記する)7部中に加え、ビーズミルを用いて周速10m/sにて分散させ、低屈折率樹脂層Aを形成する為の低屈折率樹脂塗布液Aを作製した。スズドープ酸化インジウム微粒子の平均分散粒子径は、40nmであった。 【0107】 次いで、低屈折率樹脂塗布液AをPET基材にワイヤーバーコーターにて塗布し、100℃で2分間乾燥させることによってPGMを蒸発させた後、UV照射によって低屈折率樹脂層Aを作製した。低屈折率樹脂層Aに含有される微粒子の含有率は、低屈折率樹脂層A全体に対して93重量%である。・・・ 【0108】 (低屈折率樹脂塗布液Bの作製) KAYARAD DPHA0.4部及びイルガキュア184 0.05部をMEK4部に溶解した溶液中に、中空シリカ微粒子(商品名「スルーリア1110」、平均一次粒子径50nm、固形分濃度20重量%、日揮触媒化成株式会社製、分散媒:メチルイソブチルケトン)3部を分散させ、低屈折率樹脂層Fを形成するための低屈折率樹脂層塗布液Fを調製した。 【0109】 次いで、低屈折率樹脂塗布液AをPET基材にワイヤーバーコーターにて塗布し、100℃で2分間乾燥させることによってPGMを蒸発させた後、UV照射によって低屈折率樹脂層Bを作製した。低屈折率樹脂層Bに含有される微粒子の含有率は、低屈折率樹脂層A全体に対して60重量%である。・・・ 【0110】 (積層膜の作製) 積層膜が反射させる光の波長を1000nmに設定し、PET基材(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡株式会社製;以下、適宜、単に「PET基材」と表記する)上に、各層の、1000nmの波長における光学厚さ及びそのQWOT係数が表1の値になるように、作製した高屈折率樹脂塗布液、低屈折率樹脂塗布液A、低屈折率樹脂塗布液Bを適宜希釈して塗布することにより各層を表1の順番(表「層」の数値は、その層がPET基材から遠い方から数えて何番目の層であるかを示す)で積層し、高屈折率樹脂層及び低屈折率樹脂層の層数の合計が8である積層膜を作製した。なお、各層は、表1の「樹脂層」の欄に記載の樹脂層を形成するための塗布液をワイヤーバーコーターにて塗布し、100℃で2分間乾燥させることによって溶媒を蒸発させた後、UV照射によって作製した。また、表1では各層の、550nmの波長での屈折率(表中では「屈折率n(550nm」と表記する)、1000nmの波長での屈折率(表中では「屈折率n(1000nm)」と表記する)、550nmの波長での屈折率から1000nmの波長での屈折率を差し引いた値Δn、及び表面抵抗の測定結果も併せて示す。 【0111】 【表1】 【0112】 (赤外吸収色素層の作製) 銅(II)2,3-ナフタロシアニン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製)0.03部、KAYARAD DPHA 0.2部、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(商品名「ルシリンTPO」、光重合開始剤、BASFジャパン株式会社製)0.01部、アミノアルキルメタクリレート共重合体分散剤(商品名「DISPERBYK-167」、ビック・ケミージャパン株式会社製)0.06部を、溶媒としてのメチルエチルケトン(以下、「MEK」と表記する)3部中に加え、ビーズミルを用いて周速10m/sにて分散させ、赤外吸収色素層を形成する為の赤外吸収色素含有塗布液Aを作製した。 【0113】 次いで、赤外吸収色素含有塗布液Aを前記作製した積層膜の反対側(積層膜が配置されている反対側のPET基材上)にワイヤーバーコーターにて幾何学厚さが4μmとなるよう塗布し100℃で2分間乾燥させることによって溶媒を蒸発させた後、UV照射によって赤外吸収色素層を作製し、本発明の一実施例に係る赤外線遮蔽シートを作製した。 【0114】 〔実施例2〕 (合わせガラス用中間膜の作製) 作製した実施例1の赤外線遮蔽シートの積層膜側に第一の中間膜であるPVBフィルムを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体の表面側及び裏面側に配置された2つのラミネート用加熱ローラーで、全周(4辺)の赤外線遮蔽シートの端部から1mm以下の位置の積層体を挟圧し、赤外線遮蔽シートと第一の中間膜とを熱圧着して貼り合わせた。このとき、ラミネート用加熱ローラーは、第一の中間膜の裏面のエンボスをつぶさないように中間膜側のラミネートローラーの温度を25℃とし、逆に第一の中間膜の赤外線遮蔽シート側表面のエンボスを十分につぶして第一の中間膜と赤外線遮蔽シートとの接着性を高めるように赤外吸収色素層側のラミネート用加熱ローラーの温度を120℃とした。その後、赤外線遮蔽シートにおける第一の中間膜が貼り合わされた面の裏面上に、第二の中間膜であるPVBフィルムを積層し、実施例1の赤外線遮蔽シートを含む合わせガラス用中間膜を作製した。 【0115】 (合わせガラス化) 前記作製した実施例1の赤外線遮蔽シートを用いた合わせガラス用中間膜を、ガラス板(フロート板ガラス FL3、セントラル硝子株式会社製)/第一の中間膜/赤外線遮蔽シート/第二の中間膜/ガラス板の順序となるように重ね合わせて、2枚のガラス板に合わせガラス用中間膜が挟持された(2枚のガラス板間に合わせガラス用中間膜が挿入された)積層体を製造した。ここで、2枚のガラス板の端部と第一及び第2の中間膜の端部とは同じ位置であった。また、前記ガラス板として、厚さが3mmのガラス板を用いた。得られた、2枚のガラス板に合わせガラス用中間膜が挟持された積層体を、真空下、95℃で30分予備圧着を行った。予備圧着後、ガラス板に挟持された積層体をオートクレーブ内で1.3MPa、120℃の条件で加熱しながら圧着処理し、合わせガラスを作製した。 【0116】 〔実施例3〕 実施例2で使用した合わせガラス用中間膜を用いて、ガラス板(フロート板ガラス FL3、セントラル硝子株式会社製)/第一の中間膜/赤外線遮蔽シート/第二の中間膜/グリーンガラス板(グリーンラル MFL3、セントラル硝子株式会社製)の順序となるように重ね合わせて、実施例2と同様に合わせガラスを作製した。 【0117】 〔実施例4〕 実施例1で使用した赤外吸収色素を特開平08-207459記載の化合物、4,11,-ジアミノ-3-チオキソ-2,3,-ジヒドロ-1H-ナフト[2,3-f]イソインドール-1,5,10-トリオンに変更した以外は実施例1と同様にして赤外線遮蔽シートを作製した。作製した赤外線遮蔽シートを実施例2と同様にして、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製した。」 セ 摘記事項スの【0110】の「各層を表1の順番(表「層」の数値は、その層がPET基材から遠い方から数えて何番目の層であるかを示す)で積層し、高屈折率樹脂層及び低屈折率樹脂層の層数の合計が8である積層膜を作製した。」記載、及び、【0111】【表1】から、引用文献1の積層膜は、高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層とを交互に繰り返して8層構造とした積層膜であると認められる。 ソ 摘記事項スの【0105】、【0107】、【0109】には、高屈折率樹脂層、低屈折率樹脂層A、低屈折率樹脂層Bのそれぞれについて、「UV照射」によって塗布液を硬化させていることが記載されているから、引用文献1の高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層は、いずれもUV硬化性樹脂であると認められる。 摘記事項ア?ス及び認定事項セ、ソから、引用文献1には以下の二つの発明が記載されている(以下、「引用発明1」、「引用発明2」という。)。 (引用発明1) 「第1の中間膜と第2の中間膜との間に赤外線遮蔽シートを含む合わせガラス用中間膜であって、前記熱線遮蔽シートは、PET基材上にUV硬化性樹脂を有する高屈折樹脂層とUV硬化性樹脂を有する低屈折樹脂層とを交互に繰り返して8層構造とした積層膜と、PET基材上に形成された赤外線吸収色素と樹脂バインダーを含有する赤外吸収色素層からなる合わせガラス用中間膜。」 (引用発明2) 「以下の工程を有する引用発明1の製造方法。 (A)PET基材上に、UV硬化性樹脂を有する高屈折率樹脂層およびUV硬化性樹脂を有する低屈折率樹脂層とを交互に繰り返して8層構造を有する積層膜を積層し、 (C)工程(A)で得られたPET基材上に積層膜を積層した膜のPET基材上に赤外線吸収色素と樹脂バインダーを含有する赤外吸収色素層を積層する工程。」 (2)引用文献4について 引用文献4には、以下の事項が記載されている。 ア「[請求項1] 屈折率の異なる層が積層された赤外反射層を有する赤外反射フィルムと、前記赤外反射フィルムを挟持する一対の透明基体とを備える合わせガラスであって、 入射角度5度及び60度の光線に対する、波長425?480nmの平均反射率[R_(ave)(425-480)]、波長510?615nmの平均反射率[R_(ave)(510-615)]、波長435?455nmの平均反射率[R_(ave)(435-455)]、及び、波長545?645nmの平均反射率[R_(ave)(545-645)]において、 0.90≦R_(ave)(425-480)/R_(ave)(510-615)≦1.25 ・・・式(1)、及び、 0.90≦[R_(ave)(435-455)×0.1+R_(ave)(545-645)×0.9]/R_(ave)(510-615)≦1.10 ・・・式(2) を満たす 合わせガラス。 ・・・ [請求項4] 前記赤外反射フィルムが、赤外吸収層を有する請求項1に記載の合わせガラス。」 イ「[0001] 本発明は、赤外反射フィルムを備える合わせガラスに係わる。」 ウ「 [0008] 上述した問題の解決のため、本発明においては、可視光透過率の低下を抑制することが可能な合わせガラスを提供するものである。」 エ「[0028] [合わせガラスの構成] 図1に合わせガラスの概略構成を示す。図1に示す合わせガラス10は、第1透明基体11、第2透明基体12、及び、第1透明基体11と第2透明基体12とに挟持された赤外反射フィルム13を有する。また、赤外反射フィルム13は、基材14と、基材14上に設けられた赤外反射層15とを有する。 [0029] 合わせガラス10は、赤外反射フィルム13が直接又は接着剤を介して、ガラス又はガラス代替樹脂等の透明基体(第1透明基体11、第2透明基体12)に貼合された構成を有する。合わせガラス10の透明基体としては、ガラス以外にも、ガラス代替物としての樹脂基体等の透明な基体を含む。 [0030] [赤外反射フィルム] 赤外反射フィルム13は、基材14と基材14上に設けられた赤外反射層15とを有する。なお、赤外反射フィルム13は、基材14と赤外反射層15とを有していれば、基材14と赤外反射層15との間に他の層が形成されていてもよい。また、基材14及び赤外反射層15の外側に他の層が設けられ、この他の層を介して赤外反射フィルム13が合わせガラス10の第1透明基体11、第2透明基体12と貼り合わされていてもよい。また、赤外反射フィルム13は、赤外反射層15とともに、図示しない赤外吸収層を有していてもよい。」 オ「[0078][赤外吸収層] 赤外反射フィルム13は、赤外反射層15とともに、図示しない赤外吸収層を有していてもよい。赤外吸収層は、例えば赤外線を吸収する赤外吸収材料を含んで構成される。赤外吸収層は、赤外吸収材料のみで形成されていてもよく、赤外吸収材料とバインダー等の樹脂とから形成されていてもよい。赤外吸収層は、赤外反射フィルム13の積層体中のどの位置に設けてもよいが、製造工程の簡便さを考慮すると、基材上に直接形成し、この上に赤外反射層15を配置することが好ましい。 [0079] 赤外吸収層を構成する赤外線を吸収する赤外吸収材料としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の金属酸化物を用いることができる。 [0080] また、赤外吸収材料としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物などが挙げられる。また、赤外吸収材料として、金属錯体系化合物、アミニウム系化合物(アミニウム誘導体)、フタロシアニン系化合物(フタロシアニン誘導体)、ナフタロシアニン系化合物(ナフタロシアニン誘導体)、ジイモニウム系化合物(ジイモニウム誘導体)、スクワリウム系化合物(スクワリウム誘導体)等の有機物を用いることもできる。」 カ「[0092] [接着層] 接着層は、第1透明基体11及び第2透明基体12と赤外反射フィルム13とを接着するために設けられ、例えば熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物の接着剤から形成される。接着層の厚さは特に限定されず、例えば0.1?1.5mmが好ましく、0.2?1.0mmがより好ましい。」 キ「[0102] [第1塗布液(低屈折率層塗布液)の調製] コロイダルシリカ(日産化学社製スノーテックスOXS、粒子径4?6nm)の10質量%水溶液650部に、ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA103、ケン化度:98.0?99.0mol%、重合度:300)の4質量%水溶液30部、ホウ酸の3質量%水溶液150部をそれぞれ混合した後、純水で1000部に仕上げて、酸化ケイ素分散液を調製した。 [0103] 次に、上記酸化ケイ素分散液を45℃に加熱し、撹拌しながら、ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA-235、ケン化度:87.0?89.0mol%、重合度:3500)の4質量%水溶液750部と、アニオン性界面活性剤(日油製ラピゾールA30)の1質量%水溶液40部とを混合し、低屈折率層塗布液を調製した。低屈折率層用塗布液の粘度は45℃で30mPa・s(30cP)であった。」 ク「[0109](高屈折率層塗布液の調製) 上記で得られた20.0質量%の酸化チタン粒子ゾル水系分散液28.9部と、1.92質量%のクエン酸水溶液10.5部と、10質量%のポリビニルアルコール(PVA103、クラレ社製)水溶液2.0部と、3質量%のホウ酸水溶液9.0部を混合して、酸化チタン粒子分散液を調製した。 [0110] 次に、酸化チタン分散液を撹拌しながら、純水16.3部と、4.0質量%のポリビニルアルコール(PVA235、クラレ社製)水溶液41.9部とを混合した。さらに、アニオン性界面活性剤(日油製ラピゾールA30)の1質量%水溶液を0.5部添加し、最後に純水で150部に仕上げて、高屈折率層塗布液を調製した。高屈折率層用塗布液の粘度は45℃で20mPa・s(20cP)であった。 [0111] [赤外反射フィルムの作製] スライドホッパー塗布装置を用い、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製A4300:両面易接着層)上に、上記調製した低屈折率層塗布液及び高屈折率層塗布液を45℃に保温しながら、同時重層塗布を行った。その直後、膜面が15℃以下となる条件で冷風を5分間吹き付けてセットさせた後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて赤外反射膜を形成し、赤外反射フィルムを作製した。赤外反射膜は、下記の表1に示す光学膜厚で、それぞれ交互に低屈折率層(L1?L6)が6層、高屈折率層(H1?H5)が5層、計11層となるように作製した。 [0112] [合わせガラスの作製] 上述の方法で作製した赤外反射フィルムを、厚さ0.38mmの2枚のポリビニルブチラール(PVB)フィルム(接着シート)の間に挟持し、さらに厚さが2mmの2枚のガラス板を用い、次のようにして、合せガラスを作製した。 [0113] ガラス板(第1透明基体)、PVBフィルム(接着シート)、赤外反射フィルム、PVBフィルム(接着シート)、ガラス板(第2透明基体)を順次積載し、ガラス板のエッジ部からはみ出したPVBフィルムと赤外反射フィルムの余分な部分を切断及び除去した後、150℃に加熱したオートクレーブ中で30分、加圧脱気して合せ処理した。作製後の赤外反射フィルムにはシワやクラックがなく、良好な外観を有する合わせガラスが得られた。」 3 対比・判断 (1)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「第1の中間膜」、「第2の中間膜」、「赤外線遮蔽シート」、「合わせガラス用中間膜」、「高屈折率樹脂層」、「低屈折率樹脂層」、「8層構造」、「積層膜」、「赤外線吸収色素」、「樹脂バインダー」、「赤外吸収色素層」が、それぞれ本件特許発明1の「第1の樹脂層」、「第2の樹脂層」、「熱線遮蔽層」、「熱線遮蔽構造体」、「高屈折率層」、「低屈折率層」、「多層構造」、「熱線反射層」、「色素」、「バインダー樹脂」、「熱線吸収層」に相当する。 本件特許発明1の「高屈折率層」および「低屈折率層」の「光または熱硬化性樹脂」は、本件明細書の段落【0046】を参酌すると、「紫外線照射」により硬化する樹脂を含みうるから、引用発明1の「UV硬化性樹脂」は、本件特許発明1の「「光または熱硬化性樹脂」に相当する。 してみると、本件特許発明1と引用発明1とは、 「第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に熱線遮蔽層を含む熱線遮蔽構造体であって、 前記熱線遮蔽層は、 光硬化性樹脂を有する高屈折率層および光硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層と 色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層からなる層、 である熱線遮蔽構造体。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 本件特許発明1は、熱線遮蔽層が熱線反射層と熱線吸収層「のみ」からなり、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間が熱線遮蔽層「のみ」であるのに対して、引用発明は、赤外線遮蔽シートがPET基材上に積層された積層膜と、PET基材上に形成された赤外吸収色素層からなり、第1の中間膜と第2の中間膜との間がPET基材を含む赤外線遮蔽シートである点。 (相違点2) 本件特許発明1では、熱線吸収層が「無機酸化物」を含むのに対して、引用発明の「赤外線吸収色素層」が、そのような構成を備えたものであるか不明な点。 イ 判断 上記相違点1について検討すると、第4の2.(1)(シ)に摘記したとおり、引用文献1の段落【0086】には、「なお、赤外線遮蔽シートの作製時に使用した透明支持体は、前記熱接着工程前後で剥離してもよいし、剥離せずに合わせガラス用中間膜の一部としても良い。」と記載されており、PET基材シートを剥離して赤外線遮蔽シートを形成することが示唆されている。 しかしながら、引用文献1の段落【0086】における当該記載は、一般的・抽象的な記載であって、何ら具体的方法等を明示したものではなく、種々存在する可能性を実現可能性とは無関係に列挙するに過ぎず、具体的な技術水準を示すものでもない。 そして、引用文献1の実施例で用いられているコスモシャイン(東洋紡製)は高透明性ポリエステルフィルムとされているものであり、引用文献1の実施例、比較例のヘイズも0.3%(合わせガラスとして0.4%)と非常に低い値なので、引用文献1に接した当業者が、試行錯誤の上PETフィルムを剥離するという動機付け自体、考えにくいものである。 また、仮に引用文献1において「易接着処理がなされている面」ではなく剥離可能な面に高屈折率樹脂層及び低屈折率樹脂層を積層」し「さらにPET基材シートを積層体から剥離した」ことを想定しても、当該積層体が自立性を備え、積層体として取り扱うことができるものか否か不明であって、その積層体上に熱吸収色素層を積層することができるか否かも不明である。 してみると、相違点2について判断するまでもなく、本件特許発明1は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないというべきである。 したがって、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 (2)本件特許発明2について ア 対比 本件特許発明2と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「合わせガラス用中間膜」、「高屈折率樹脂層」、「低屈折率樹脂層」、「8層構造」、「積層膜」、「赤外線吸収色素」、「樹脂バインダー」、「赤外吸収色素層」が、それぞれ本件特許発明2の「熱線遮蔽構造体」、「高屈折率層」、「低屈折率層」、「多層構造」、「熱線反射層」、「色素」、「バインダー樹脂」、「熱線吸収層」に相当する。 引用発明2の「PET基材」は、高屈折率樹脂層及び低屈折率樹脂層を積層する際の「基材」の限りにおいて、本件特許発明2の「基材」に一致する。 本件特許発明2の「高屈折率層」および「低屈折率層」の「光または熱硬化性樹脂」は、本件明細書の段落【0046】を参酌すると、「紫外線照射」により硬化する樹脂を含みうるから、引用発明2の「UV硬化性樹脂」は、本件特許発明2の「光または熱硬化性樹脂」に相当する。 してみると、本件特許発明2と引用発明2とは、 「以下の工程を有する熱線遮蔽構造体の製造方法、 基材上に、光硬化性樹脂を有する高屈折率層および光硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層を積層し 色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層を配置して熱線遮蔽構造体を得る工程。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点3) 本件特許発明2では、基材が「剥離性を有する」ものであるのに対して、引用発明2では、基材が剥離性を有さない点。 (相違点4) 本件特許発明2では、基材上の「熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか一方の上に前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか他方を積層することで、第1の積層体を得る工程」を有するのに対して、引用発明2では、そのような構成ではない点。 (相違点5) 本件特許発明2では、「工程(A)で得られた前記第1の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第1の樹脂層と張り合わせたのち前記剥離性を有する基材を剥離することで、前記第1の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して第2の積層体を得る工程」を有するのに対して、引用発明2では、そのような構成ではない点。 (相違点6) 本件特許発明2では、「工程(B)で得られた前記第2の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第2の樹脂層と張り合わせて、前記第2の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して熱線遮蔽構造体を得る」のに対して、引用発明2では、そのような構成ではない点。 イ 判断 上記相違点3、相違点5について検討すると、第4の2.(1)(シ)に摘記したとおり、引用文献1の段落【0086】には、「なお、赤外線遮蔽シートの作製時に使用した透明支持体は、前記熱接着工程前後で剥離してもよいし、剥離せずに合わせガラス用中間膜の一部としても良い。」と記載されており、PET基材シートを剥離して赤外線遮蔽シートを形成することが示唆されている。 しかしながら、引用文献1の段落【0086】における当該記載は、一般的・抽象的な記載であって、何ら具体的方法等を明示したものではなく、種々存在する可能性を実現可能性とは無関係に列挙するに過ぎず、具体的な技術水準を示すものでもない。 そして、引用文献1の実施例で用いられているコスモシャイン(東洋紡製)は高透明性ポリエステルフィルムとされているものであり、引用文献1の実施例、比較例のヘイズも0.3%(合わせガラスとして0.4%)と非常に低い値なので、引用文献1に接した当業者が、試行錯誤の上PETフィルムを剥離するという動機付け自体、考えにくいものである。 また、仮に引用文献1において「易接着処理がなされている面」ではなく剥離可能な面に高屈折率樹脂層及び低屈折率樹脂層を積層」し「さらにPET基材シートを積層体から剥離した」ことを想定しても、当該積層体が自立性を備え、積層体として取り扱うことができるものか否か不明であって、その積層体上に熱吸収色素層を積層することができるか否かも不明である。 してみると、相違点4、相違点6について判断するまでもなく、本件特許発明2は、引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないというべきである。 したがって、本件特許発明2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 (3)本件特許発明4、本件特許発明7について 本件特許発明4、本件特許発明7も、本件特許発明1と同様に、熱線遮蔽層が熱線反射層と熱線吸収層「のみ」からなり、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間が熱線遮蔽層「のみ」である構成を備えるものであるから、本件特許発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1に基いて容易に発明することができたものとはいえないのは、明らかである。 (4)本件特許発明3、本件特許発明5及び本件特許発明6について 本件特許発明3、本件特許発明5及び本件特許発明6も、本件特許発明2と同様に、基材が「剥離性を有する」ものであって、「工程(A)で得られた前記第1の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第1の樹脂層と張り合わせたのち前記剥離性を有する基材を剥離することで、前記第1の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して第2の積層体を得る工程」を備えるものであるから、本件特許発明2と同じ理由により、当業者であっても、引用発明2に基いて容易に発明することができたものとはいえないのは、明らかである。 (5)小括 以上のとおりであるから、本件特許発明1?7は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない発明とはいえない。 4 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 4-1 引用文献2を主引用例とした場合の新規性・進歩性について (1)引用文献2に記載された事項 引用文献2には、以下の事項が記載されている。 ア「[請求項1] 高屈折率層と低屈折率層とを積層したユニットを少なくとも1つ含む赤外遮蔽フィルムであって、 前記高屈折率層が、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種ならびに金属酸化物粒子を含むことを特徴とする赤外遮蔽フィルム。 [請求項2] 前記金属酸化物粒子が酸化チタン粒子である、請求項1に記載の赤外遮蔽フィルム。 [請求項3] 請求項1または2に記載の赤外遮蔽フィルムと、 前記赤外遮蔽フィルムを挟持する一対の中間膜と、 前記赤外遮蔽フィルムおよび前記中間膜を挟持する一対の板ガラスと、を有する、熱線反射合わせガラス。 ・・・」 イ「[0007] しかしながら、上記特許文献1に開示された赤外遮蔽フィルムは、屈折率の制御は容易であるものの、フィルムの延伸による屈折率制御を利用しているため、フィルムに垂直に入射する光に対する赤外線反射率は高いが、斜めからの入射光に対しては屈折率差が小さくなるため、赤外線反射率が低下してしまう。さらに、車両用等の曲面形状ガラスにフィルムを用いた場合には、さらに可視光線の反射による色ムラが生じる場合があった。 [0008] そこで本発明は、太陽光のどの入射角度に対しても赤外遮蔽効果が高い赤外遮蔽フィルムおよびこれを用いた合わせガラスを提供することを目的とする。 [0009] また、本発明の他の目的は、赤外遮蔽フィルムを曲面形状のガラスに用いた際にも十分な赤外遮蔽効果が得られ、また、可視光の反射による色ムラの小さい赤外遮蔽フィルムおよびこれを用いた合わせガラスを提供することを目的とする。」 ウ「[0018] 本発明の赤外遮蔽フィルムは、基本的な構成として、高屈折率層、および低屈折率層から構成されるユニットを含む。そして、高屈折率層に金属酸化物粒子およびポリマーを用いることに特徴を有する。」 エ「[0066] 赤外遮蔽フィルムは、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)などの機能層の1つ以上を有していてもよい。 [0067] 〔合わせガラス〕 本発明の赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備(基体)に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムが中間膜を介してガラスの基体に貼合されている部材には好適である。」 オ「[0071](中間膜) 中間膜は、赤外遮蔽フィルムとガラスとを張り合わせる接着性能を有する膜であればいずれの膜も用いることができる。 [0072] 中間膜は好適には、ポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂などの樹脂材料を含む。具体的には可塑性ポリビニルブチラール〔積水化学工業社製、三菱モンサント社製等〕、エチレン-酢酸ビニル共重合体〔デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン〕、変性エチレン-酢酸ビニル共重合体〔東ソー社製、メルセンG〕等を含有する。これらの樹脂材料は、中間膜100質量%に対して80?100質量%であることが好ましい。 [0073] 中間膜は上記樹脂膜の単層で構成されてもよいし、2層以上を積層された状態で用いられてもよい。また、2枚の中間膜とは同一種類の樹脂から構成されていてもよいし、異なる種類の樹脂から構成されていてもよい。 [0074] また、中間膜は、熱線遮蔽効果の点から、熱線遮蔽吸収能を有する平均粒径が0.2μm以下の熱線遮蔽性微粒子を含有することが好ましい。熱線遮蔽性微粒子を含有した中間膜を用いると、フィルムを曲面形状のガラスに適用した場合の可視光の反射による色ムラが低減される効果もある。これは熱線遮蔽性微粒子による散乱および吸収により可視光の反射が目立たなくなるためであると考えられる。」 カ「[0084] [赤外遮蔽フィルムの製造方法] 本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法について特に制限はなく、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ形成することができるのであれば、いかなる方法でも用いられうる。 [0085] 本発明の赤外遮蔽フィルムの製造方法では、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを積層して形成される。具体的には、(1)基材上に高屈折率層と低屈折率層とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成する方法、(2)同時押し出しにより積層体を形成後、該積層体を延伸してフィルムを形成する方法が挙げられる。本発明では、高屈折率層に金属酸化物を含有するので、上記(1)および(2)の双方の製造方法でフィルムを作製することができる。中でも、膜厚が均一な薄膜積層体を形成でき、入射光の角度に依存することなく赤外遮蔽効果が上がるので、(2)の同時押し出し工程を用いる方法が好ましい。」 キ「[0104] [合わせガラスの製造方法] 本発明の合わせガラスの好適な一実施形態は、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種および金属酸化物粒子を含む高屈折率層形成用組成物と、低屈折率層形成用組成物と、を用いて同時押し出しにより高屈折率層および低屈折率層を形成して赤外遮蔽フィルムを得る工程と、前記赤外遮蔽フィルムを一対の中間膜で挟持させ、さらに前記赤外遮蔽フィルムおよび前記中間膜を一対の板ガラスで挟持させる工程と、を含む。赤外遮蔽フィルムを得る工程については、上述のとおりである。」 ク「[0111] 樹脂:ポリカーボネート樹脂ユーピロンHL-4000(三菱エンジニアリングプラスチックス社製) 金属酸化物粒子:ルチル型酸化チタン(石原産業社製、TTO-55A、水酸化アルミニウム表面処理品、粒径30?50nm、屈折率2.60)(光学フィルムの形成)(赤外遮蔽フィルム1の作製) 米国特許第6049419号に記載の溶融押し出し方法に従い、ポリエチレンナフタレート(PEN)TN8065S(帝人化成社製)とポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂アクリペットVH(三菱レイヨン社製)とを、300℃に溶融し、押出しにより積層し、(PMMA(152nm)/PEN(137nm))64/(PMMA(164nm)/PEN(148nm))64/(PMMA(177nm)/PEN(160nm))64/(PMMA(191m)/PEN(173nm))64となるように縦横約3倍に延伸した後、熱固定、冷却を行って、計256層交互積層した赤外遮蔽フィルム1を得た。ここで、上記層構成において、「(PMMA(152nm)/PEN(137nm))64」とは、膜厚152nmのPMMA、膜厚137nmのPENをこの順に積層したユニットを64個積層させたという意味である。 [0112] (赤外遮蔽フィルム2の作製) 50μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300:両面易接着層、東洋紡社製)上に、下記の低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液を、乾燥膜厚が高屈折率層(120nm)/低屈折率層(157nm)となるように逐次重層塗布し、計20層交互積層した赤外遮蔽フィルム2を得た。 [0113] 低屈折率層用塗布液:PMMAアクリペットVH(三菱レイヨン社製)10質量部を酢酸2-メトキシエチル90質量部に溶解させた液 高屈折率層用塗布液:樹脂ペレット1 5質量部を酢酸2-メトキシエチル95質量部に溶解させた液 (赤外遮蔽フィルム3の作製) 赤外遮蔽フィルム2と同様の方法で、50μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300:両面易接着層、東洋紡株式会社製)上に、下記の低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液を、乾燥膜厚が、高屈折率層(120nm)/低屈折率層(157nm)で逐次重層塗布し、計20層交互積層した赤外遮蔽フィルム3を得た。 [0114] 低屈折率層用塗布液:PMMAアクリペットVH(三菱レイヨン社製)10質量部を酢酸2-メトキシエチル90質量部に溶解させた液 高屈折率層用塗布液:樹脂ペレット2 5質量部を酢酸2-メトキシエチル95質量部に溶解させた液 (赤外遮蔽フィルム4の作製) 米国特許第6049419号に記載の溶融押し出し方法に従い、低屈折率層に用いるPMMAアクリペットVH(三菱レイヨン社製)と、高屈折率層に用いるペレット2とを、300℃に溶融し、押出しにより積層し、高屈折率層(120nm)/低屈折率層(157nm)となるように、縦3倍、横3倍に延伸した後、熱固定、冷却を行って、計20層交互積層した赤外遮蔽フィルム4を得た。 [0115] (赤外遮蔽フィルム5の作製) 米国特許第6049419号に記載の溶融押し出し方法に従い、低屈折率層に用いるPMMAアクリペットVH(三菱レイヨン社製)と、高屈折率層に用いるペレット3とを、300℃に溶融し、押出しにより積層し、高屈折率層(120nm)/低屈折率層(157nm)となるように、縦3倍、横3倍に延伸した後、熱固定、冷却を行って、計20層交互積層した赤外遮蔽フィルム5を得た。 [0116] (赤外遮蔽フィルム6の作製) 米国特許第6049419号に記載の溶融押し出し方法に従い、低屈折率層に用いるPMMAアクリペットVH(三菱レイヨン社製)と、高屈折率層に用いるペレット4とを、300℃に溶融し、押出しにより積層し、高屈折率層(120nm)/低屈折率層(157nm)となるように、縦3倍、横3倍に延伸した後、熱固定、冷却を行って、計20層交互積層した赤外遮蔽フィルム6を得た。 [0117] (合わせガラスの作製) 作製した赤外遮蔽フィルム1?4を用いて、下記の方法により合わせガラス1(比較例1)および合わせガラス2?4(実施例1?3)を作製した。」 (2)当審の判断 上記摘記事項ア?クから、引用文献2に記載された赤外遮蔽フィルムを構成する高屈折率層及び低屈折率層は、ポリエチレンナフタレート(PEN)TN8065S(帝人化成社製)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂アクリペットVH(三菱レイヨン社製)を材料とするものであって、いずれの材料も熱可塑性樹脂であるから、本件特許発明1又は本件特許発明2の「光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層」及び「光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層」に該当しないことは明らかである。 そして、引用文献2に記載された赤外遮蔽フィルムを構成する高屈折率層及び低屈折率層は、これらの層の材料が熱可塑性樹脂であるから溶融押し出し法により製造することができるのであって、引用文献2に記載された赤外遮蔽フィルムを構成する高屈折率層及び低屈折率層の材料を、光または熱硬化性樹脂に置換することができないことも、明らかである。 してみると、本件特許発明1又は本件特許発明2は、引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができた発明ではないことが明らかであるから、その余について判断するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 4-2 引用文献4を主引用例とした場合の新規性・進歩性について (1)引用文献4に記載された事項 引用文献4に記載された事項は、上記第4の2.(2)ア?クのとおりである。 (2)当審の判断 上記第4の2.(2)ア?クから、引用文献4に記載された赤外反射フィルムを構成する高屈折率層及び低屈折率層は、ポリビニルアルコール(PVA)を材料とするものであって、ポリビニールアルコールは熱可塑性樹脂であるから、本件特許発明1又は本件特許発明2の「光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層」及び「光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層」に該当しないことは明らかである。 そして、引用文献4に記載された赤外反射フィルムを構成する高屈折率層及び低屈折率層は、これらの層の材料が熱可塑性樹脂であるから溶融押し出し法により製造することができるのであって、引用文献4に記載された赤外反射フィルムを構成する高屈折率層及び低屈折率層の材料を、光または熱硬化性樹脂に置換することができないことも、明らかである。 してみると、本件特許発明1又は本件特許発明2は、引用文献4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができた発明ではないことが明らかであるから、その余について判断するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 4-3 記載要件について (1)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について ア 本件特許発明1、4、7の「熱線反射層」は、本件訂正により、「光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層および光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層」のみとなったから、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲のものである。 イ 本件特許発明1、4、7の「熱線遮蔽層」は、本件訂正により、「前記熱線遮蔽層は、光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層および光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層と無機酸化物および色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層のみからなる層」となったから、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲のものである。 (2)特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について 発明の詳細な説明の段落【0048】の「剥離性を有する基材1」について、本件訂正により、『ポリエステル製剥離製フィルム(商品名「SP2002」東洋クロス株式会社製)』に訂正されたことから、発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明2、3、5、6を実施できる程度に記載されているものといえる。 第5 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許発明1?本件特許発明7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許発明1?本件特許発明7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 熱線遮蔽構造体およびそれを含む合わせガラスならびにそれらの製造方法 【技術分野】 【0001】 本発明は、太陽光の熱輻射によって生じる車両や建物の室内温度上昇を低減するために用いられる熱線遮蔽機能を有する熱線遮蔽構造体およびそれを含む合わせガラスならびにそれらの製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、省エネルギーや地球環境問題の観点から、空調機器の負荷を軽減することが求められている。例えば、住宅や自動車の分野では太陽光からの熱線を遮蔽できる熱線遮蔽性シート(フィルム)等を窓ガラスに添付する、または熱線遮蔽機能を有する中間層を2枚のガラスの間に担持するなどして室内や社内の温度上昇を抑えることが行われている。 【0003】 窓部材に熱線遮蔽機能を付与する方法として、特許文献1ではガラスとガラスとの間に担持された中間層に熱線遮蔽機能を付与することが提案されており、吸収性の熱線吸収材料を含有した熱可塑性樹脂を中間層として用いることが例示されている。しかしながら熱線吸収材料は可視域の光も吸収するために熱線遮熱性能向上のため含有量を増やすと可視光透過率が損なわれるといった課題があり、熱線吸収材料だけでは熱線遮蔽性能の著しい向上は困難である。 【0004】 特許文献2には、剥離性を有する支持基材上に吸収性の熱線遮蔽層を作製すること、特許文献3には銀平板粒子を樹脂が含む反射性の遮蔽層を作成し、接着性樹脂層と貼り合わせた後に剥離性を有する基材を剥離し、熱線遮蔽層を転写する手法が例示されている。支持基材を用いないため透明性に優れるが、熱線吸収層および/または熱線反射層からの多層構造を有しておらず、熱線吸収層単独または熱線反射層単独においても熱線遮蔽機能が十分ではない課題がある。 【0005】 特許文献4は、内側ガラス板と、第1の樹脂層と、赤外線反射フィルムと、第2の樹脂層と、外側ガラス板と、をこの順に有する窓用合わせガラスを開示している。フィルムは成形後に単体で薄膜状の構造を成立させるものであり自立性を有している。フィルム自体が熱線遮蔽機能を有することで、合わせガラス製造工程でのハンドリングが容易であるが、自立性を持たせるためにベース層やポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートといった材料を用いなければフィルムとして取り扱えない。熱線遮蔽層の材質が制限されてしまう。その窓用合わせガラスは、吸収材料を含む有機物からなる反射層を担持しているが、材質の制限により屈折率差が小さく積層数を多くしなければ熱線遮蔽性能を十分に得ることができない。 【0006】 特許文献5には、プラスチック基材上に高屈折率層層と低屈折率層とからなる熱線反射層を形成した熱線遮蔽フィルムを2枚の接着性樹脂層の間に担持した中間層および、中間層を2枚のガラスで挟んだ熱線遮蔽合わせガラスが開示されている。これらの手法は樹脂フィルム基材上に多様な材質を用いた層構成を作製できるため遮熱性能の向上が望めること、ロール状態で連続的に遮蔽層が形成できるためコストに優れているが、本来熱線遮蔽性能には不要である樹脂フィルムが支持基材として構成中に含まれることにより透明性が悪化するといったデメリットがあった。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0007】 【特許文献1】日本国特開2001-151539号公報 【特許文献2】日本国特開2000-219543号公報 【特許文献3】日本国特許第5599639公報 【特許文献4】日本国特許第4848872公報 【特許文献5】国際公開第2011/074425号 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 透明性を損なわず熱線遮蔽性能を向上するためには熱線遮蔽性能に必要な層のみを構造中に形成することが好ましいが、熱線遮蔽性能を有する層は、成形した基材から単独では分離が困難である。そのため従来技術では、耐溶剤性やアウトガスの発生等で湿式、乾式コーティングにより熱線遮蔽層が形成できない材質上へ優れた熱線遮蔽性能を付与するためには、熱線遮蔽機能には不要な支持基材やベース層を構造中に含んだフィルムを用いざるを得ない。しかしながら、フィルムを用いることで透明性が損なわれたり、構成材料が制限されてしまうため、優れた熱線遮蔽性能を有する層のみを簡易に追加形成できる方法が求められる。そこで本発明は、窓材への熱線遮蔽性付与に関して、透明性、可視光透過率を損なわず、優れた熱線遮蔽機能を容易に提供できる熱線遮蔽構造体および合わせガラス、ならびに製造コストを大幅に改善できる熱線遮蔽構造体および合わせガラスの製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、下記(1)?(7)に関する。 (1) 第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に熱線遮蔽層を含む熱線遮蔽構造体であって、 前記熱線遮蔽層は、 高屈折率層および低屈折率層の繰り返し多層構造を有する第1の熱線反射層もしくは少なくともAu、Ag、CuおよびAlのいずれかを含有する第2の熱線反射層である熱線反射層、 無機酸化物および色素の少なくとも一方ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層、または 前記熱線反射層および前記熱線吸収層を含む層、 である熱線遮蔽構造体。 (2) 以下の工程を有する熱線遮蔽構造体の製造方法、 (A)剥離性を有する基材上に、高屈折率層および低屈折率層の繰り返し多層構造を有する第1の熱線反射層もしくは少なくともAu、Ag、CuおよびAlのいずれかを含有する第2の熱線反射層である熱線反射層を積層するか、 前記剥離性を有する基材上に、無機酸化物および色素の少なくとも一方ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層を積層するか、または、 前記剥離性を有する基材上に、前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか一方を積層し、さらに前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか一方の上に前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか他方を積層することで、第1の積層体を得る工程、 (B)工程(A)で得られた前記第1の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第1の樹脂層と張り合わせたのち前記剥離性を有する基材を剥離することで、前記第1の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して第2の積層体を得る工程、 (C)工程(B)で得られた前記第2の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第2の樹脂層と張り合わせて、前記第2の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して熱線遮蔽構造体を得る工程。 (3) 前記剥離性を有する基材は、25mm幅の粘着テープと前記剥離性を有する基材との速度300mm/minにおける180°剥離試験での剥離力が1000mN/25mm以上5000mN/25mm以下である、(2)に記載の熱線遮蔽構造体の製造方法。 (4) 第1のガラス板と、(1)に記載の熱線遮蔽構造体と、第2のガラス板とをこの順に有する熱線遮蔽構造体を構成中に含む合わせガラス。 (5) (2)に記載の工程(A)、(B)および(C)を有し、さらに以下の工程を有する合わせガラスの製造方法、 (D)第1のガラス板と第2のガラス板との間に(2)に記載の工程(C)で得られた熱線遮蔽構造体を配置する工程。 (6) 前記剥離性を有する基材は、25mm幅の粘着テープと前記剥離性を有する基材との速度300mm/minにおける180°剥離試験での剥離力が1000mN/25mm以上5000mN/25mm以下である、(5)に記載の合わせガラスの製造方法。 (7) (4)に記載の合わせガラスを含む窓。 【発明の効果】 【0010】 本発明の熱線遮蔽構造体は、可視光透過性、全日射透過率およびヘイズに関する性能が総合的に優れている。また、本発明の熱線遮蔽構造体の製造方法を用いれば、熱線遮蔽性能付与に必要な材料選定の自由度が高く、プロセスの工程を大幅に増やすことなく優れた熱線遮蔽機能を有する構造体を低コストかつ容易に製造することができる。さらに、本発明の熱線遮蔽構造体を構成する窓材はプラスチック支持基材を用いないため、熱線遮蔽性および透明性に優れる。 【図面の簡単な説明】 【0011】 【図1】剥離性を有する基材上の熱線遮蔽機能を有する層の一例を示す概略図である。 【図2】実施例1に係る熱線遮蔽構造体Aを構成中に含む合わせガラスを示す概略図である。 【図3】実施例2に係る熱線遮蔽構造体Bを構成中に含む合わせガラスを示す概略図である。 【図4】比較例1に係る熱線遮蔽構造体Cを構成中に含む合わせガラスを示す概略図である。 【図5】比較例2に係る構造体Dを構成中に含む合わせガラスを示す概略図である。 【発明を実施するための形態】 【0012】 以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。 本実施形態に係る熱線遮蔽構造体は、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に熱線遮蔽層を含む。本実施形態における熱線遮蔽層は、図1に示すように剥離性を有する基材1上に熱線遮蔽機能を有する層として設けられる(熱線遮蔽層2)。剥離性を有する基材1上に熱線遮蔽層2を備える第1の積層体(図1)によれば、ロール状に連続作製して窓材に張り付けて、剥離性を有する基材1を剥がすことで熱線遮蔽層2を容易に転写できる。これにより合わせガラスや窓の生産性を向上させることができる。 【0013】 熱線遮蔽層は、熱線を反射する層である熱線反射層および熱線を吸収する層である熱線吸収層のいずれかまたは両方の層で構成されていても良く、それらの層を多層積層し、反射と吸収の両機能を有していても良い。また必要に応じて熱線遮蔽層の上部に接着性を有する樹脂層を設けることもできる。熱線遮蔽層の厚みは特に限定されるものでは無いが、透明性の確保という点で0μmより大きく50μm以下であることが好ましい。層厚が薄いため自立性に乏しく、熱線遮蔽層だけを分離し単独でフィルムとして取り扱うことは困難である。 【0014】 剥離性を有する基材としては紙、プラスチック等限定されることは無い。また剥離性については基材上に形成する熱線遮蔽機能を有する層の剥離が可能であれば良く、離形剤の有無は限定されない。剥離性を有する基材の剥離性の尺度は、日東電工株式会社製粘着テープ(製品名:31B、25mm幅)と剥離性を有する基材との速度300mm/minにおける180°剥離試験での剥離力が1000mN/25mm以上5000mN/25mm以下の範囲が好ましい。剥離力が1000mN/25mmよりも低い基材を用いると、湿式コーティングで熱線遮蔽機能を有する層を作製する際に、塗布液の基材への濡れが十分確保できず熱線遮蔽機能を有する層の作製が困難となる。また剥離力が5000mN/25mmよりも高い基材を用いると剥離性を有する基材と熱線遮蔽機能を有する層の密着力が強くなり剥離が困難となる。 【0015】 本実施形態の熱線反射層は、780nm?2500nmの波長の光を反射し、熱エネルギーを透過させない層を意味する。ただし、「反射」とは完全に光を透過させないものを指すわけではない。熱線反射層は、780nm?2500nmの波長の入射光を15%以上反射する層であればよいが、この反射率は高いほうが好ましい。好ましい反射率は、20%以上であり、より好ましくは25%以上であり、更に好ましくは28%以上である。780nm?2500nmの波長の光を反射する層としては、高屈折率層と低屈折率層との繰り返し多層構造を有する熱線反射層(本明細書にて第1の熱線反射層ともいう。)または、少なくともAu、Ag、CuおよびAlのいずれかを含有する熱線反射層(本明細書にて第2の熱線反射層ともいう。)を用いることができる。 【0016】 第1の熱線反射層の繰り返し多層構造とは詳細には、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されて2以上の層によって熱線反射層が構成されている構造を意味する。層の数は、偶数であっても奇数であってもよく、高屈折率層または低屈折率層が熱線反射層の最も下の層と最も上の層の両方にあってもよい。第1の熱線反射層は、誘電体の積層による光学干渉原理を用いており、反射波長や反射率を層の屈折率および厚みで容易に制御できる利点がある。誘電体の積層においては構成材料を広く選定することができるため屈折率の調整が容易であるという利点がある。ここで高屈折率層は例えば1.6以上2.4以下、好ましくは1.7以上2.2以下、さらに好ましくは1.8以上2.0以下の屈折率を有する層が挙げられる。また低屈折率層は、前期高屈折率層の屈折率に比べて低い屈折率からなる層であり、例えば0より大きく1.5以下、好ましくは0より大きく1.4以下の屈折率を有する層が挙げられる。前記屈折率の値はいずれも波長550nmにおける値である。高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が大きいほど最大反射率が向上するため、熱線遮蔽性能を達成するに必要な積層数を少なくすることができる。 【0017】 ここで高屈折率層、低屈折率層の材質は特に限定されないが、TiO_(2)、Nb_(2)O_(5)、WO_(3)、MWO_(3)(タングステン複合酸化物)、Ta_(2)O_(5)、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、ZrO_(2)、MgF_(2)等の金属酸化物から適当な屈折率を有するものを選び、単独またはバインダーとなる樹脂と混合し、層とすることができる。また金属酸化物を用いず、高屈折率、低屈折率の有機物質を単独で用いても良い。また、必要に応じて、分散剤、近赤外線吸収色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の各種添加剤を含んでもよい。 【0018】 熱線反射層中の上記の金属酸化物等の微粒子の含有率は該熱線反射層の総量に対して、40重量%?90重量%であることが好ましい。 【0019】 バインダーとなる樹脂としては、上記の金属酸化物等の微粒子を分散維持できる樹脂であれば、特に制限はない。通常、熱可塑性樹脂、又は/及び、熱又は光で硬化する硬化性樹脂(熱または光硬化性樹脂とも言う)(具体的には熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂)の硬化物等が挙げられる。熱線反射層中のバインダー樹脂の含有率は、各熱線反射層の総量に対して、10重量%?60重量%であることが好ましい。 【0020】 第2の熱線反射層は、金属導体の自由電子の電磁波遮蔽効果により生じる反射を原理としている。金属単層から成り、蒸着、スパッタリングといった乾式コーティングにより作製される。金属単層で高い反射率が得られるためコーティング回数が少なく製造プロセスへの負荷を少なくすることができる。 【0021】 本実施形態において、熱線吸収層とは780nm?2500nmの波長の光を吸収し、熱エネルギーを透過させない層を意味する。ただし、「吸収」とは完全に光を透過させないものを指すわけではない。熱線吸収層と熱線反射層とを組み合わせる場合には、熱線反射層では遮蔽できない赤外領域の光を遮蔽できるように、780nm?2500nmの波長の光を選択的に吸収できるようにすると好ましい。熱線吸収層は、無機酸化物および色素の少なくとも一方ならびにバインダー樹脂を含有する。別の言い方では、熱線吸収層は、780nm?2500nmの波長の光を吸収する材料(熱線吸収材料)を必須成分とし、バインダーとなる樹脂との混合物から構成される。 【0022】 本実施形態において780nm?2500nmの波長の光を吸収する材料は特に限定されない。当該材料としては、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、酸化亜鉛、タングステン複合酸化物、アンチモンドープ酸化亜鉛、6ホウ化ランタン等の無機酸化物、および色素から選ばれる少なくとも一つが挙げられる。当該色素とは無機系、有機系の染料および顔料のいずれでも良く特に限定されない。また、無機系顔料として、例えばコバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素等を用いることができる。有機系顔料、有機系染料としては、例えばジイモニウム系色素、アンスラキノン系色素、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素等を用いることができる。可視光透過率を損なわずに熱線遮蔽性能を向上するためには波長500nm?600nmに極大吸収を有さない色素が好ましい。 【0023】 熱線吸収層中の無機酸化物、色素の含有率は該熱線吸収層の総量に対して、5重量%?75重量%であることが好ましい。 【0024】 本実施形態にて使用されるバインダー樹脂としては特に限定されないが、アクリル、エポキシ、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂またはアクリレート、エポキシ等の紫外線硬化樹脂またはポリウレタン、エポキシ、ポリオレフィン等の熱硬化性樹脂を用いることができる。生産性の観点から熱可塑性樹脂または紫外線硬化樹脂が好ましい。熱線を吸収する層の厚みは特に限定されないが、厚すぎると生産性が損なわれるため、50μm以下が好ましい。熱線吸収層中のバインダー樹脂の含有率は、熱線吸収層の総量に対して、25重量%?95重量%であることが好ましい。 【0025】 第1の樹脂層および第2の樹脂層は、窓部材として使用されうる透明性の高い樹脂、例えばPVB(ポリビニルブチラール)、ポリカーボネート、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などのアクリル樹脂、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン、窓用中間層のようなポリビニルアセタールやエチレン酢酸ビニル共重合体等が好ましいが、透明性が高い樹脂であればこれに限定されるものでは無い。またはそれらの積層体でも良い。第1の樹脂層および第2の樹脂層は、上記の中でもPVB(ポリビニルブチラール)、ポリカーボネート、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などのアクリル樹脂で構成されているとより好ましい。第1の樹脂層および第2の樹脂層は、接着性を有していてもよい。また、第1の樹脂層および第2の樹脂層は、添加剤を含んでいてもよい。前記添加剤としては、例えば、熱線遮蔽用の微粒子及び遮音用の微粒子、可塑剤等を挙げることができる。前記の熱線遮蔽用の微粒子及び遮音用の微粒子としては、例えば、無機微粒子、金属微粒子を挙げることができる。第1の樹脂層および第2の樹脂層の微粒子の添加量は、特に制限はないが、樹脂成分100重量部に対して0.1?10重量部であることが好ましい。 【0026】 必要に応じて熱線遮蔽層と、第1の樹脂層または第2の樹脂層と、の間に設けてもよい接着性を有する樹脂層としては、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等から構成される層が挙げられる。具体的に熱可塑性樹脂としてはポリビニルアセタール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン等が挙げられる。紫外線硬化樹脂としては紫外線硬化型アクリレート類や紫外線硬化型エポキシ樹脂類、熱硬化性樹脂としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。 【0027】 本実施形態の熱線遮蔽構造体は、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に、熱線遮蔽層と、任意選択で接着性を有する樹脂層と、のみが配置されていると、用いられる材料が少なく製造上また透明度の観点から好ましい。すなわち、熱線遮蔽層を支持するための支持基材を含まないことにより、製造効率を向上させ、透明度も向上させることができる。本実施形態の熱線遮蔽構造体は、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に、熱線遮蔽層のみが配置されていると、用いられる材料が少なく製造上また透明度の観点からより好ましい。 また上記観点から、本実施形態の熱線遮蔽構造体中に支持基材(例えばPET等)を含有しない構成も、好ましい実施態様である。 【0028】 本実施形態に係る合わせガラスは、第1のガラス板と、上記の熱線遮蔽構造体と、第2のガラス板とをこの順に有する。本実施形態に係る窓は、上記の合わせガラスを含む。第1のガラス板および第2のガラス板は、同一であっても異なっていてもよく、態様は特に限定されるものではない。 【0029】 第1のガラス板および第2のガラス板は、曲率を有さないガラスであっても、曲面ガラスであってもよい。また、2枚のガラス板は、厚みが異なっていてもよく、着色されていてもよい。特に、遮熱性を目的として自動車のフロントガラス等に用いる場合は、合わせガラスの可視光透過率がJIS R 3211で定められている70%を下回らない程度にガラス板中に金属などの着色成分を混入させてもよく、一般的にはガラス板にグリーンガラスを用いることで効果的に遮熱性を向上させることができる。グリーンガラスの色濃度については、添加する金属成分の量を調整したり、厚みを調整したりすることで、目的に合った濃度に調節することが好ましい。本実施形態のグリーンガラスの可視光透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。さらに外観上好ましい色相とする為に、合わせガラスのL*a*b*表色系でb*の値は10以下が好ましく、8以下がより好ましい。b*値が10より大きくなると、不快に感じる色相となり好ましくない。また、本実施形態の合わせガラスの可視光透過率は好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。さらに外観上好ましい色相とする為に、合わせガラスのL*a*b*表色系でb*の値は10以下が好ましく、8以下がより好ましい。b*値が10より大きくなると、不快に感じる色相となり好ましくない。 【0030】 本実施形態の熱線遮蔽構造体の製造方法は以下の工程(A)、(B)および(C)を有する。 (A)剥離性を有する基材上に、第1の熱線反射層もしくは第2の熱線反射層である熱線反射層を積層するか、 剥離性を有する基材上に、熱線吸収層を積層するか、または、 前記剥離性を有する基材上に、熱線反射層および熱線吸収層のいずれか一方を積層し、さらに熱線反射層および熱線吸収層のいずれか一方の上に熱線反射層および熱線吸収層のいずれか他方を積層することで、第1の積層体を得る工程、 (B)工程(A)で得られた第1の積層体の熱線反射層または熱線吸収層を第1の樹脂層と張り合わせたのち剥離性を有する基材を剥離することで、第1の樹脂層上に熱線反射層または熱線吸収層を配置して第2の積層体を得る工程、 (C)工程(B)で得られた第2の積層体の熱線反射層または熱線吸収層を第2の樹脂層と張り合わせて、第2の樹脂層上に熱線反射層または熱線吸収層を配置して熱線遮蔽構造体を得る工程。 なお、剥離性を有する基材上に熱線反射層および熱線吸収層の両方を積層する場合、その積層順番は限定されない。 【0031】 本発明の合わせガラスの製造方法は上記の工程(A)、(B)および(C)を有し、さらに以下の工程を有する。 (D)第1のガラス板と第2のガラス板の間に工程(C)で得られた熱線遮蔽構造体を配置する工程。 【0032】 工程(A)に使用される熱線反射層および熱線吸収層の形成方法は、蒸着、スパッタリングといった乾式コーティング法、溶剤に溶解または分散し塗布液としたものを塗布後乾燥し層を形成するスピンコーティングやロールコーティングに代表される湿式コーティング法、または無溶剤の材料を溶融しダイスから押出し薄層化する押出成形法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。生産性の観点からロール状態で連続してコーティングすることが好ましい。 【0033】 工程(B)における貼り合わせ方法については、熱圧着または粘着剤を塗布し粘着層を形成した後に貼り合わせる感圧接着法、液状接着材層を塗布形成後に紫外線硬化や加熱硬化による接着、接着剤を用いないプラズマ接合法等を用いても良い。特に限定されないが生産性の観点からは熱圧着やプラズマ接合方式が好ましい。また、熱線反射層および/または熱線吸収層と第1の樹脂層または第2の樹脂層とを貼り合わせる方法は特に限定されるものではないが、一般的なロールラミネート方式が好ましい。第1の樹脂層が板状であれば枚葉方式で、ロール状であれば、ロールtoロールの連続方式で行うことができる。生産性の観点から連続方式が好ましい。 【0034】 第1の樹脂層が熱可塑性樹脂からなりガラス転移温度がさほど高温でない場合にはそのガラス転移温度より50℃以上、好ましくは70℃以上高い温度で第1の樹脂層側を加熱圧着することで熱線反射層および/または熱線吸収層との良好な密着が得られる。第1の樹脂層が100℃を超えるガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂やガラスの場合には加熱圧着時に高温が必要となるため、熱線反射層および/または熱線吸収層の面に接着性を有する樹脂層を設けると好ましい。接着性を有する樹脂層のガラス転移点を調整し熱線反射層および/または熱線吸収層の面を加熱することで加熱圧着条件を調整することができる。 【0035】 接着層を介して貼り合わせる場合には、上述の接着性を有する樹脂層を採用できる。接着性を有する樹脂層は加熱により溶融し接着性を発現するホットメルト型、液状体を塗布し被着体と貼合した後、紫外線または熱により硬化させ接着性を発現する液状接着剤のいずれを用いても良い。また、前記熱線吸収材料を接着層に含有することで、熱線吸収機能を有する接着層としても良い。接着性を有する層の厚みは被着体との接着力が十分に得られる厚みであれば特に限定されない。薄すぎると接着力が不足し、厚すぎると生産性が損なわれるため、0.001?0.05mmが好ましい。 【0036】 工程(C)における貼り合わせは、工程(B)で説明した貼合せ方法と同様の方法を採用できる。 【0037】 工程(D)における貼り合わせる工程については、熱圧着または粘着剤を塗布し粘着層を形成した後に貼り合わせる感圧接着法、液状接着材層を塗布形成後に紫外線硬化や加熱硬化にて接着し転写しても良い。接着剤を用いないプラズマ接合法等を用いても良い。生産性の観点からは粘着層または接着層を必要としない熱圧着やプラズマ接合方式が好ましい。 【0038】 本実施形態における、熱線遮蔽構造体の可視光透過性は、分光光度計(株式会社島津製作所、商品名「UV-3100」)を用いて、JIS R 3106に準拠して、波長380nm?780nmにおける可視光透過率を測定することにより評価される。 【0039】 本実施形態における、熱線遮蔽構造体の全日射透過率(Tts;Total Solar Transmittance)は、ISO13837に定義されている測定方法および計算式にて算出される。 【0040】 本実施形態における、熱線遮蔽構造体のヘイズは、ヘイズメーター(有限会社東京電色製、商品名「TC-HIIIDPK」)を用いて、JIS K 6714に準拠して、測定される。 【実施例】 【0041】 以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。本実施例においては図面を参照して、各態様を説明する。 【0042】 図1は、剥離性を有する基材上の熱線遮蔽機能を有する層の一例を示す概略図である。図2は、実施例1に係る熱線遮蔽構造体Aを構成中に含む合わせガラスを示す概略図である。図3は、実施例2に係る熱線遮蔽構造体Bを構成中に含む合わせガラスを示す概略図である。図4は、比較例1に係る熱線遮蔽構造体Cを構成中に含む合わせガラスを示す概略図である。図5は、比較例2に係る構造体Dを構成中に含む合わせガラスを示す概略図である。 【0043】 製造例1 (熱線反射層用の高屈折率樹脂塗布液の作製) 平均一次粒子径35nmである酸化チタン微粒子(商品名「TTO-51A」、石原産業株式会社製) 1.4質量部、KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製) 0.4質量部、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア907」) 0.05質量部、および分散剤(商品名「DISPERBYK-2001」、ビック・ケミージャパン株式会社製) 0.3質量部をトルエン 7質量部中に加え、高屈折率樹脂塗布液を作製した。 【0044】 (熱線反射層用の低屈折率樹脂塗布液の作製) KAYARAD DPHA 0.4質量部およびイルガキュア907 0.05質量部をメチルエチルケトン(MEK) 4質量部に溶解した溶液中に、中空シリカ微粒子(商品名「スルーリア」、平均一次粒子径50nm、固形分濃度20重量%、日揮触媒化成株式会社製、分散媒:メチルイソブチルケトン) 3質量部を分散させ、低屈折率樹脂塗布液を調製した。 【0045】 (熱線吸収層用の樹脂塗布液の作製) KAYARAD PET30(日本化薬株式会社製) 63.5質量部およびイルガキュア184 5質量部を、MEK 200質量部に溶解させた溶液中にスズドープ酸化インジウム微粒子(商品名「ITO-R」、CIKナノテック株式会社製) 30質量部、銅(II)2,3-ナフタロシアニン(シグマアルドリッチジャパン合同会社製) 1.5質量部を分散させ、熱線吸収層用の樹脂塗布液を調整した。 【0046】 製造例2 (積層体Aの作製) 剥離性を有する基材1として75μm厚みのポリエステル製剥離性フィルム(商品名「SP2002」 東洋クロス株式会社製)を用い、マイクログラビアコーター(商品名「プライムコーター」、康井精機社製社製)により基材上に高屈折率樹脂塗布液を乾燥後に層厚が120nmになるように塗布した。60℃で1分乾燥後、紫外線照射することで基材上に高屈折率樹脂層を作製した。続いて、高屈折樹脂層上に低屈折率樹脂塗布液を乾燥後に層厚が150nmになるよう塗布した。60℃で1分乾燥後、紫外線照射することで基材上に高屈折樹脂層と、低屈折樹脂層とをこの順に積層した。以降同様に高屈折率樹脂層、低屈折率樹脂層、高屈折率樹脂層、低屈折率樹脂層をこの順に積層し、計6層で構成される熱線反射層を作製した。次いで、熱線反射層上に熱線吸収層用の樹脂塗布液を乾燥後に層厚が2μmになるよう塗布し熱線吸収層を作製した。これにより剥離性を有する基材1上に6層で構成される熱線反射層3と熱線吸収層4とを有する熱線遮蔽層Aを有する積層体Aを作製した。層厚が2.81μmである熱線遮蔽層Aを、剥離性を有する基材1から剥離したところ、自立性に劣り、脆く容易にちぎれてしまうため熱線遮蔽層Aを単独で取り扱うことはできなかった。 【0047】 製造例3 (積層体Bの作製) 製造例2において剥離性を有する基材1上に熱線反射層3を形成した後、次いで熱線吸収層4を作製しない以外は製造例2と同様にして熱線遮蔽層Bを有する積層体Bを作製した。層厚が0.81μmである熱線遮蔽層Bを、剥離性を有する基材1から剥離したところ、自立性に劣り、脆く容易にちぎれてしまうため熱線遮蔽層Bを単独で取り扱うことはできなかった。 【0048】 製造例4 (積層体Cの作製) 製造例2において剥離性を有する基材1として75μm厚みのポリエステル製剥離性フィルム(商品名「SP2002」 東洋クロス株式会社製)の代わりに、剥離性を有さない基材として厚み75μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300 東洋紡株式会社製)(プラスチック支持基材9)を用いて積層体Cを作製した。層厚が2.81μmである熱線遮蔽層Aはポリエステルフィルムに固着しており剥離することはできなかった。ただし、ポリエステルフィルムの基材上に熱線遮蔽層Aを有しており自立性を有するフィルムとして取り扱うことができた。 【0049】 製造例5 (第1のシート状接着樹脂5の作製) ポリビニルブチラール樹脂(商品名「エスレック」、積水化学社製) 360g、およびトリエチレングリコールビス(2-エチルブチレート)130gを、3本ロールミキサーにより約70℃で15分間練りこみ混合することで第1のシート状接着樹脂原料を得た。次いで押出し成形機を用いて、成形温度200℃で押出し成形することで、厚み約0.8mmの第1のシート状接着樹脂5を作製した。 【0050】 製造例6 (第2のシート状接着樹脂6の作製) ポリビニルブチラール樹脂(商品名「エスレック」、積水化学社製) 360g、ITO微粒子(粒径0.02μm以下)1.6gを添加したトリエチレングリコールビス(2-エチルブチレート)130gを、3本ロールミキサーにより約70℃で15分間練りこみ混合することで第2のシート状接着樹脂原料を得た。次いで押出し成形機を用いて、成形温度200℃で押出し成形することで、厚み約0.8mmの熱線吸収性を有する第2のシート状接着樹脂6を作製した。 【0051】 実施例1 (熱線遮蔽構造体Aを構成中に含む合わせガラスの作製) 製造例2で作製した積層体Aの熱線吸収層4の面に第1の樹脂層として製造例5で作製した第1のシート状接着樹脂5を、ロールラミネータを用いて熱接着させた。ラミネーターロールの温度は140℃、ニップ圧力は0.2MPa、搬送速度は0.7m/分であった。熱接着後、積層体から剥離性を有する基材1を剥離し、第1の樹脂上に熱線遮蔽層を配置した。次いで、熱線反射層3の面と第2の樹脂層として製造例5で作製した第1のシート状接着樹脂5とをロールラミネータを用いて熱接着させて熱線遮蔽構造体Aを作製した。ラミネーターロールの温度は140℃、ニップ圧力は0.2MPa、搬送速度は0.7m/分であった。次いで厚さ2mのソーダガラス7、熱線遮蔽構造体A、および厚さ2mmのグリーンガラス8をこの順で重ねあわせた後、真空バッグに入れ、-0.09MPaまで真空ポンプで減圧した。その後、減圧下で110℃、30分間保持し予備圧着した。予備圧着後、オートクレーブにて圧力1.5Mpa、150℃の条件で30分間保持し本圧着した。その後常温常圧まで戻すことで本発明に係る熱線遮蔽構造体Aを構成中に含む合わせガラスを作製した(図2参照)。 【0052】 実施例2 (熱線遮蔽構造体Bを構成中に含む合わせガラスの作製) 実施例1において積層体Aの代わりに製造例3で作製した積層体Bを用いる以外は実施例1と同様にして第1の樹脂上に熱線反射層3を配置した。次いで熱線反射層3の面と第2の樹脂層として製造例6で作製した第2のシート状接着樹脂6を、ロールラミネータを用いて熱接着させて熱線遮蔽構造体Bを作製した。ラミネーターロールの温度は140℃、ニップ圧力は0.2MPa、搬送速度は0.7m/分であった。次いで厚さ2mのソーダガラス7、熱線遮蔽構造体B、および厚さ2mmのグリーンガラス8をこの順で重ね合わせた後、真空バッグに入れ、-0.09MPaまで真空ポンプで減圧した。その後、減圧下で110℃、30分間保持し予備圧着した。予備圧着後、オートクレーブにて圧力1.5Mpa、150℃の条件で30分間保持し本圧着した。その後常温常圧まで戻すことで本発明に係る熱線遮蔽構造体Bを構成中に含む合わせガラスを作製した(図3参照)。 【0053】 比較例1 厚さ2mのソーダガラス7、第1のシート状接着樹脂5、製造例4で作製した積層体C、第1のシート状接着樹脂5、および厚さ2mmのグリーンガラス8をこの順で重ねあわせた後、真空バッグに入れ、-0.09MPaまで真空ポンプで減圧した。その後、減圧下で110℃、30分間保持し予備圧着した。予備圧着後、オートクレーブにて圧力1.5Mpa、150℃の条件で30分間保持し本圧着した。その後常温常圧まで戻すことで構造中にプラスチック支持基材9を含む比較用の熱線遮蔽構造体Cを構成中に含む合わせガラスを作製した(図4参照)。 【0054】 比較例2 厚さ2mのソーダガラス7、第2のシート状接着樹脂6、および厚さ2mmのグリーンガラス8をこの順で重ね合わせた後、真空バッグに入れ、-0.09MPaまで真空ポンプで減圧した。その後、減圧下で110℃、30分間保持し予備圧着した。予備圧着後、オートクレーブにて圧力1.5Mpa、150℃の条件で30分間保持し本圧着した。その後常温常圧まで戻すことでシート状接着樹脂層が熱線吸収機能を有している比較用の構造体Dを配置した合わせガラスを作製した(図5参照)。 【0055】 実施例1、実施例2および比較例1の熱線遮蔽構造体A?C、ならびに比較例2の構造体Dの可視光透過率、全日射透過率(Tts)およびヘイズを以下の方法で測定した。 【0056】 (可視光透過率の測定) 分光光度計(株式会社島津製作所、商品名「UV-3100」)を用いて、JIS R 3106に準拠して、得られた熱線遮蔽構造体の波長380nm?780nmにおける可視光透過率を測定した。 【0057】 (全日射透過率(Tts)の測定) 全日射透過率(Tts;Total Solar Transmittance)は、太陽からの熱的エネルギー(全日射エネルギー)のうちどの程度の熱的エネルギーが、測定対象となる材料を透過するかという尺度である。熱線遮蔽構造体の全日射透過率(Tts)は、ISO13837に定義されている測定方法および計算式にて算出した。算出された熱線遮蔽構造体の全日射透過率の数値が小さいほど、熱線遮蔽構造体を透過する全日射エネルギーが小さいことを示し、熱線遮蔽構造体の熱線遮蔽性が高いことを示す。尚、分光光度計で透過率、反射率を測定する際、入射光はソーダガラス側(外気側)より入射させた。 【0058】 (ヘイズ測定) ヘイズメーター(有限会社東京電色製、商品名「TC-HIIIDPK」)を用いて、JIS K 6714に準拠して、得られた熱線遮蔽構造体のヘイズを測定した。 【0059】 実施例1、2および比較例1の熱線遮蔽構造体A?C、ならびに比較例2の構造体Dの可視光透過率、全日射透過率およびヘイズの測定結果を表1に示す。 【0060】 【表1】 【0061】 表1より実施例1は熱線遮蔽構造体に支持基材を含んでいないためにヘイズが低く、比較例1と比べて透明性に優れている。比較例1は構造中に支持基材であるポリエステルフィルムを含んでいるためヘイズが高く透明性が損なわれている。 【0062】 実施例2の熱線遮蔽構造体Bは熱線反射層3を転写することで容易に反射による熱線遮蔽機能を付与できており、比較例2の構造体Dと比べて可視光透過率を損なうことなく全日射透過率が大幅に改善されている。 【0063】 実施例1および実施例2の熱線遮蔽構造体は、ロール状に連続作製した熱線遮蔽層を窓材に転写するのみで作製できることから生産性に優れている。 【0064】 本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。 なお、本願は、2018年2月27日付で出願された日本国特許出願(特願2018-32984)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。 【産業上の利用可能性】 【0065】 本発明の熱線遮蔽構造体を住宅や自動車の窓ガラスに敷設した場合に、住宅や自動車の空間の温度上昇を抑え、住宅や自動車の空調機器の負荷を軽減し、省エネルギーや地球環境問題に貢献できる。さらに、本発明の熱線遮蔽構造体は、建造物用の窓用部材、車両用の窓用部材、冷蔵、冷凍ショーケースの窓ガラス、IRカットフィルター等に利用可能である。 【符号の説明】 【0066】 1 剥離性を有する基材、2 熱線遮蔽層、3 熱線反射層、4 熱線吸収層、5 第1のシート状接着樹脂、6 第2のシート状接着樹脂、7 ソーダガラス、8 グリーンガラス、9 プラスチック支持基材 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に熱線遮蔽層のみを含む熱線遮蔽構造体であって、 前記熱線遮蔽層は、 光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層および光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層と 無機酸化物および色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層のみからなる層である熱線遮蔽構造体。 【請求項2】 以下の工程を有する請求項1に記載の熱線遮蔽構造体の製造方法、 (A)剥離性を有する基材上に、光または熱硬化性樹脂を有する高屈折率層および光または熱硬化性樹脂を有する低屈折率層の繰り返し多層構造を有する熱線反射層を積層するか、 前記剥離性を有する基材上に、無機酸化物および色素ならびにバインダー樹脂を含有する熱線吸収層を積層し、 さらに前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか一方の上に前記熱線反射層および前記熱線吸収層のいずれか他方を積層することで、第1の積層体を得る工程、 (B)工程(A)で得られた前記第1の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第1の樹脂層と張り合わせたのち前記剥離性を有する基材を剥離することで、前記第1の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して第2の積層体を得る工程、 (C)工程(B)で得られた前記第2の積層体の前記熱線反射層または前記熱線吸収層を第2の樹脂層と張り合わせて、前記第2の樹脂層上に前記熱線反射層または前記熱線吸収層を配置して熱線遮蔽構造体を得る工程。 【請求項3】 前記剥離性を有する基材は、25mm幅の粘着テープと前記剥離性を有する基材との速度300mm/minにおける180°剥離試験での剥離力が1000mN/25mm以上5000mN/25mm以下である、請求項2に記載の熱線遮蔽構造体の製造方法。 【請求項4】 第1のガラス板と、請求項1に記載の熱線遮蔽構造体と、第2のガラス板とをこの順に有する熱線遮蔽構造体を構成中に含む合わせガラス。 【請求項5】 請求項2に記載の工程(A)、(B)および(C)を有し、さらに以下の工程を有する合わせガラスの製造方法、 (D)第1のガラス板と第2のガラス板との間に請求項2に記載の工程(C)で得られた熱線遮蔽構造体を配置する工程。 【請求項6】 前記剥離性を有する基材は、25mm幅の粘着テープと前記剥離性を有する基材との速度300mm/minにおける180°剥離試験での剥離力が1000mN/25mm以上5000mN/25mm以下である、請求項5に記載の合わせガラスの製造方法。 【請求項7】 請求項4に記載の合わせガラスを含む窓。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2021-05-14 |
出願番号 | 特願2019-537191(P2019-537191) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(B32B)
P 1 651・ 113- YAA (B32B) P 1 651・ 537- YAA (B32B) P 1 651・ 536- YAA (B32B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 塩屋 雅弘 |
特許庁審判長 |
久保 克彦 |
特許庁審判官 |
間中 耕治 村山 達也 |
登録日 | 2019-11-22 |
登録番号 | 特許第6618233号(P6618233) |
権利者 | 日本化薬株式会社 |
発明の名称 | 熱線遮蔽構造体およびそれを含む合わせガラスならびにそれらの製造方法 |
代理人 | 落 直之 |
代理人 | 落 直之 |