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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 発明同一  G01N
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01N
管理番号 1376681
異議申立番号 異議2020-700701  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-16 
確定日 2021-05-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6668459号発明「硫酸化多糖類を用いた免疫学的測定法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6668459号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2-10〕について訂正することを認める。 特許第6668459号の請求項2,4ないし6,8,9に係る特許を維持する。 特許第6668459号の請求項3,7,10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6668459号の請求項2ないし10に係る特許についての出願は、2017年(平成29年)4月12日(優先権主張 2016年4月13日)を国際出願日とする国際出願PCT/JP2017/014943を国内段階に移行して特願2018-512041号として出願され、令和2年2月28日にその特許権の設定登録がされ、令和2年3月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和2年9月16日に特許異議申立人 所 智恵子(以下「申立人A」という。)により特許異議の申立て(以下「異議申立1」という。)がなされ、令和2年9月16日に特許異議申立人 村上 英子(以下「申立人B」という。)により特許異議の申立て(以下「異議申立2」という。)がなされ、当審は、同年12月7日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和3年2月9日付けで意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、申立人A及びBは、その指定期間内に意見書を提出しなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)ないし(8)のとおりである。
(1)訂正事項1
請求項2に係る「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行う」
を、
「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行い、前記硫酸化多糖類が、デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸であり、前記測定対象物質が、可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原である」
に訂正する。
請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項4-6、8、9も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項3を削除する。

(3)訂正事項3
請求項4に係る「請求項2又は3」を、「請求項2」に訂正する。

(4)訂正事項4
請求項5に係る「請求項2?4のいずれか一項」を、「請求項2又は4」に訂正する。

(5)訂正事項5
請求項6に係る「請求項2?5」を、「請求項2、4、及び5」に訂正する。

(6)訂正事項6
請求項7を削除する。

(7)訂正事項7
請求項8に係る「請求項2?7」を、「請求項2及び4?6」に訂正する。

(8)訂正事項8
請求項10を削除する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、独立特許要件
(1)訂正事項1について
請求項2に係る「硫酸化多糖類」は、「デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸」を選択肢として含む上位概念であり、「測定対象物質」は「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」を選択肢として含む上位概念であるから、「硫酸化多糖類」を「デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸」に限定し、更に、「測定対象物質」を「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」に限定する訂正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
次に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面(以下「明細書等」という。)には、「硫酸化多糖類」の具体例として「デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸」が発明の詳細な説明の段落【0026】に記載されており、「測定対象物質」の具体例として「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」が発明の詳細な説明の段落【0013】に記載されている。よって、「硫酸化多糖類」を「デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸」に限定し、更に、「測定対象物質」を「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」に限定する訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
そして、「硫酸化多糖類」を「デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸」に限定し、更に、「測定対象物質」を「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」に限定する訂正は、「硫酸化多糖類」と「測定対象物質」を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

(2)訂正事項2について
請求項3を削除する訂正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

(3)訂正事項3について
請求項4に係る「請求項2又は3」と記載されているのを、「請求項2」に訂正する訂正は、上記「1.(2)」の訂正事項2の訂正により請求項3が削除されたことに伴い、訂正後の請求項4が、削除された請求項3を引用する記載となることを回避する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

(4)訂正事項4について
請求項5に係る「請求項2?4のいずれか一項」を、「請求項2又は4」に訂正する訂正は、上記「1.(2)」の訂正事項2の訂正により請求項3が削除されたことに伴い、訂正後の請求項5が、削除された請求項3を引用する記載となることを回避する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

(5)訂正事項5について
請求項6に係る「請求項2?5」を、「請求項2、4、及び5」に訂正する訂正は、上記「1.(2)」の訂正事項2の訂正により請求項3が削除されたことに伴い、訂正後の請求項6が、削除された請求項3を引用する記載となることを回避する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

(6)訂正事項6について
請求項7を削除する訂正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

(7)訂正事項7について
請求項8に係る「請求項2?7」を、「請求項2及び4?6」に訂正する訂正は、上記「1.(2)」の訂正事項2の訂正及び上記「1.(6)」の訂正事項6の訂正により請求項3及び7が削除されたことに伴い、訂正後の請求項6が、削除された請求項3及び7を引用する記載となることを回避する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

(8)訂正事項8
請求項10を削除する訂正は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

(9)一群の請求項及び独立特許要件について
訂正前の請求項3ないし10は請求項2を直接又は間接的に引用しているものであるから、請求項2ないし10は一群の請求項である。そして、上記訂正事項1ないし8は、全て一群の請求項に対してされるものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。
また、本件においては、訂正前の全ての請求項2ないし10について異議申立1及び2により特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項2ないし10に係る訂正事項1ないし8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2ないし10について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項2ないし10に係る発明(以下「本件発明2ないし10」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2ないし10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項2】
生体試料中の測定対象物質の免疫学的測定において、抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法であって、測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行い、前記硫酸化多糖類が、デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸であり、前記測定対象物質が、可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原であることを特徴とする、前記方法。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記硫酸化多糖類を検体希釈液及び/又は抗体溶液に含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記形成された免疫複合体をB/F分離する工程を含む、請求項2又は4に記載の方法。
【請求項6】
測定対象物質に特異的に結合する第1抗体と第2抗体を接触させ、抗原抗体反応により形成された免疫複合体を測定する、請求項2、4、及び5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
請求項2及び4?6のいずれか一項に記載の方法のための、測定対象物質に特異的に結合する抗体と、硫酸化多糖類を含有する緩衝液を含む、該測定対象物質測定キット。
【請求項9】
前記抗体として、磁性粒子に担持された前記測定対象物質に特異的に結合する抗体を含む、請求項8に記載のキット。
【請求項10】(削除)」

第4 異議申立の概要について
1.異議申立における証拠の整理
本件特許については異議申立1及び2が申し立てられており、証拠として合わせて13の甲号証が提示されており、その中には同一の文献を示すものもあるので、以下のように甲号証の番号を振り直すこととした。
甲第 1号証 特開2007-170992号公報(異議申立1と異議申立2の甲第1号証)
甲第 2号証 特公昭63-67864号公報(異議申立1の甲第2号証。異議申立2の甲第4号証は同一出願の公開公報に当たり、書誌的事項を除いて記載内容は同じである。)
甲第 3号証 特開2011-7782号公報 (異議申立1の甲第3号証)
甲第 4号証 特開昭62-70761号公報 (異議申立1の甲第4号証)
甲第 5号証 再公表WO2005/121795号公報(異議申立1の甲第5号証)
甲第 6号証 特表2002-502979号公報 (異議申立2の甲第2号証)
甲第 7号証 CYTOKINE,Vol.9,No.9,PP 696-701,1997 (異議申立2の甲第3号証)
甲第 8号証 特開平8-226920号公報 (異議申立2の甲第5号証)
甲第 9号証 特表2006-524319号公報 (異議申立2の甲第6号証)
甲第10号証 特開2017-90132号公報 (異議申立2の甲第7号証)
甲第11号証 特表2001-524084号公報 (異議申立2の甲第8号証)

2.異議申立1について
令和2年9月16日に申立人Aによりなされた異議申立1の要旨は次のとおりである。
(1)取消理由1
請求項2-6,8,9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、その特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
また、請求項7及び10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び甲第3-5号証にも開示された周知技術から、当業者が容易になしえた発明であるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)取消理由2
請求項2-4に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一である、又は甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明であるから、その特許は特許法第29条第1項の規定又は同法同条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
また、請求項5-10に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明、甲第3号証に記載された発明及び甲第3-5号証にも開示された周知技術から、当業者が容易になしえた発明であるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

3.異議申立2について
令和2年9月16日に申立人Bによりなされた異議申立2の要旨は次のとおりである。
(1)取消理由1
請求項2-6,8,9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、その特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)取消理由2
請求項2-6,8,9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術から当業者が容易になしえた発明であるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
また、請求項7及び10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第7号証に記載された発明及び周知技術から当業者が容易になしえた発明であるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
さらに、請求項7及び10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第9号証に記載された発明及び周知技術から当業者が容易になしえた発明であるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)取消理由3
請求項2-6,8,9に係る発明は、甲第10号証に係る特許出願の願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された発明と同一であるから、その特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(4)取消理由4
本件出願の発明の詳細な説明は、請求項2-10に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえないため、その特許は発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(5)取消理由5
請求項2-10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

第5 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
訂正前の請求項2ないし10に係る特許に対して、当審が令和2年12月7日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)理由1(サポート要件)について
請求項2及び請求項2を引用する請求項3ないし10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、その特許が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)理由2(拡大先願)について
請求項2ないし6、請求項2ないし6を引用する請求項8、及び請求項2ないし6を引用する請求項8を引用する請求項9に係る発明は、本件特許出願の優先日前の特許出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた甲第10号証に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者がその優先日前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもない。よって、請求項2ないし6、請求項2ないし6を引用する請求項8、及び請求項2ないし6を引用する請求項8を引用する請求項9に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)理由3(新規性)について
請求項2ないし5、請求項2ないし5を引用する請求項8、及び請求項2ないし5を引用する請求項8を引用する請求項9に係る発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内において、頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する。よって、請求項2ないし5、請求項2ないし5を引用する請求項8、及び請求項2ないし5を引用する請求項8を引用する請求項9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(4)理由4(進歩性)について
請求項2ないし5、請求項2ないし5を引用する請求項8、請求項2ないし5を引用する請求項8を引用する請求項9、請求項6、請求項6を引用する請求項8、及び請求項6を引用する請求項8を引用する請求項9に係る発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内において、頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。よって、請求項2ないし5、請求項2ないし5を引用する請求項8、請求項2ないし5を引用する請求項8を引用する請求項9、請求項6、請求項6を引用する請求項8、及び請求項6を引用する請求項8を引用する請求項9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

2.甲号証の記載
(1)甲第1号証
本件特許の優先日前である平成19年(2007年)7月5日に頒布された刊行物である「特開2007-170992号公報」(甲第1号証)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)
ア 「【請求項1】
外因性ポリアニオンの存在下で検体と抗体を反応させることを特徴とする、生体試料中に含まれるホモシステインの免疫学的測定方法。
【請求項2】
ポリアニオンがヘパリン、ポリアクリル酸およびデキストラン硫酸から成る群より選択される請求項1に記載の免疫学的ホモシステイン測定方法。」

イ 「【請求項6】
サンドイッチアッセイである請求項1ないし3および5のいずれか1項に記載のホモシステイン免疫学的測定方法。」

ウ 「【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のホモシステイン免疫学的測定方法に使用するためのポリアニオンを含むキット。」

エ 「【0005】
従来の免疫学的ホモシステイン測定方法により血清または血漿サンプルを測定する場合には、血中に存在すると考えられる阻害物質の影響により、測定誤差が生じることが知られている。」

オ 「【0007】
したがって、サンプルの希釈を行うことなく、すなわち感度を損なったり余分な操作を行うことなく、免疫学的ホモシステイン測定において阻害物質の影響を取り除く方法の開発が強く望まれていた。」

カ 「【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリアニオンと同一または類似の物質がホモシステイン測定系において免疫反応を阻害する原因物質であることを突き止め、含まれるポリアニオン類似物質の量が各検体で異なることが免疫学的ホモシステイン測定値のばらつきの原因であると結論した。
【0009】
しかし、血清中に存在する特定の物質を取り除くことは通常容易ではない。そこで本願発明者は発想を変えて、十分量のポリアニオンを測定試薬に添加することにより、血清中に存在する阻害物質の影響を相対的に減少させることによって、その阻害作用を実質的に取り除くことに成功した。」

キ 「【0014】
本発明においてポリアニオンが所望の効果を奏するためには、ホモシステインと抗体との反応時にポリアニオンが共存する必要があるが、ポリアニオンを添加する経路はどのようなものであってもよい。すなわち、ホモシステインと抗体の反応系に関与する試薬であればどの試薬にポリアニオンを添加しても良く、例えば固相化抗体溶液、標識溶液、アッセイ緩衝液、前処理溶液などいずれの溶液中に添加しても良い。
【0015】
本明細書において「ポリアニオン」とは、1分子中にマイナスイオンが4価以上存在する分子として定義される。1分子中に存在するマイナスイオンがおおよそ10価を超え、分子量が数百以上のものがポリアニオンとして顕著な性質を示す。分子量の上限はその粘性が測定系に影響を与えない範囲で設定できるが、通常は、数十万?数百万の分子量が上限である。
【0016】
本発明に使用するポリアニオンは上記定義に該当するものであればいかなる種類のものでも使用できる。好適なポリアニオンとして、炭素のポリマー鎖にカルボキシル基が多価存在するポリアクリル酸やその類似物質、多糖を硫酸基で置換したデキストラン硫酸、ヘパリン、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ-L-アスパラギン酸及びカルボキシメチルセルロースなどがあげられる。また、これらポリアニオンはナトリウム塩やリチウム塩のような塩の形態であってもよい。但し、これらはあくまで例示であって本発明において使用し得るポリアニオンをこれらに限定するものではない。また、使用されるポリアニオンは単独であってもよいし、複数種のポリアニオンの混合物であってもよい。」

ク 「【0025】
本発明の免疫学的測定方法を用いることにより、サンプルを希釈したり、大量のアッセイ緩衝溶液を使用したりすること無く、サンプル中に存在する阻害物質の影響を取り除くことができ、高感度でかつ信頼性の高い測定結果を簡便に得ることが可能となる。このような本発明の効果は、短時間に大量の検体を処理することが求められる全自動測定において特に有利である。」

ケ 「【0037】
全自動化学発光測定装置を用いたホモシステイン測定方法
試薬
抗s-アデノシルホモシステインマウスモノクローナル抗体(米国アボットラボラトリーズ社より入手)を、カルボキシル基修飾磁性微粒子(米国アボットラボラトリーズ社より入手)上に、EDC(N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド塩酸塩(シグマアルドリッチ社製 )を用いる方法により結合させ、抗体固相化微粒子とした。抗体固相化微粒子をツイーン20 (関東化学社製)、EDTA(エチレンジアミン4酢酸ナトリウム塩)および塩化ナトリウムを含有するビストリス緩衝液中に添加することにより抗体固相化微粒子溶液を作製した。」

コ 「【0041】
方法
アーキテクト全自動免疫測定分析機(アボットジャパン社製)を用いて以下の操作および測定を行った。サンプル18 μlに酵素溶液79 μl、抗体固相化微粒子溶液 50 μlおよび還元剤溶液 10 μl を混合し、第一反応を開始した。本混合溶液内において下記の反応が生じている。(1)サンプル中のホモシステイン結合体が遊離ホモシステインに遊離される、
(2)遊離されたホモシステインがS-アデノシルホモシステインに変換される、(3)変換されたS-アデノシルホモシステインが抗体固相化微粒子に結合する。
21分後に さらにトレーサー溶液を 50 μl混合し、4分間引き続き反応を続けた。この反応により、前記(3)の反応と、トレーサーの間で抗体固相化微粒子に対する競合反応が生じ、サンプル中のホモシステイン濃度に応じて、トレーサーが競合的に抗体固相化微粒子に結合する。すなわちサンプル中のホモシステイン濃度が低いと、多くのトレーサーが抗体固相化微粒子に結合し、サンプル中のホモシステイン濃度が高いと、少量のトレーサーが抗体固相化微粒子に結合する。
【0042】
次に、本機械専用の洗浄液を用いて洗浄した後に、本機械専用の発光トリガー試薬を用いて発光シグナルを観察した。AxSYM ホモシステインキャリブレーター(アボットジャパン社製)を標準液としてロジスティック4パラ法により標準曲線を作成し、サンプルより得られたシグナルに基づいてホモシステイン濃度を計算することにより、サンプル中のホモシステイン濃度を決定した。」

サ 「【0046】
未希釈の検体には、ホモシステイン濃度が正確に測定し得る血清(■)と、シグナル強度が低めに検出されその結果見かけ上ホモシステイン濃度が高く測定される血清(●)が存在することが確認された。
【0047】
これら2種類の未希釈血清では、ヘパリン未添加でシグナル強度に大きな差が認められたが、ヘパリン添加に伴って両者間の差が小さくなり、42 μg/mlのヘパリンを添加することによって両者間にほぼ差が認められなくなることが確認された。
【0048】
このことから、後者の血清中には生体由来のヘパリン様ポリアニオン物質が含まれており、これら物質が本測定系を阻害しているのに対し、前者の血清中には阻害物質が含まれておらず、そのために添加されたヘパリンの影響をより強く受けるものと考えられる。
【0049】
同様にヘパリン採血した血漿(▲)について検討した結果、見かけ上ホモシステイン濃度が高く測定された血清と類似の実験結果が得られた。このことからも見かけ上ホモシステイン濃度が高く測定された血清中には生体由来のヘパリン様ポリアニオン物質が含まれていることが強く示唆される。
【0050】
以上の結果より、十分量のポリアニオンを検体に加えることにより、各検体に含まれている阻害物質の多少に起因する測定数値の変動を排除することが可能であることが確認された。」

シ 「【0053】
実施例2
12種類の血清および2種類のヘパリン採血血漿について、化学発光全自動測定機を用いてホモシステイン濃度を測定し、実施例1と同様にアクシムアナライザーを用いて決定したホモシステイン濃度(既知量)と比較した(図2)。
【0054】
その結果12種類の血清のうち7種類(□)は実際のホモシステイン濃度と差がなく、5種類の血清(●)では実際の濃度よりも高い測定濃度が得られた。また、ヘパリン採血血漿はともに実際の濃度よりも高い測定濃度が得られた(▲)。
【0055】
次に、同じ血清および血漿検体を用いて、ヘパリン42 μg/ml存在下で免疫反応を実施した測定結果を示す(図3)。
【0056】
本実験では、正確に測定し得る検体および実際よりも高濃度の測定値が得られる検体のいずれにおいても、ともに正確な測定結果が得られることが確認された。
【0057】
この実験結果は、ポリアニオンを添加することによって阻害物質の影響を排除することが可能であるとともに、ポリアニオン存在下で正確にホモシステイン濃度を測定し得ることを示している。」

ス 「【0058】
実施例3
ヘパリン以外のポリアニオン添加についても、同様に阻害物質の影響を排除し得るか検討した。
【0059】
図4にヘパリン、デキストラン硫酸、ポリアクリル酸、ゼラチンおよびガンマグロブリン各濃度における、高めサンプル群と通常サンプル群の解離割合について記した。高めサンプル群および通常サンプル群はそれぞれ7ないし8検体を使用した。
【0060】
阻害物質によるサンプル間の測定値のばらつきを無くし、適切にホモシステイン濃度を測定するためには、この値が100%±10%程度であることが必要である。
【0061】
図4より、4.2 μg/ ml 以上のヘパリンが、第一反応中に存在すると効果的に検体による阻害を回避できることが分かる。また、検討した3種類のポリアニオンがいずれも顕著な効果を示す一方で、ポリアニオンでないゼラチンおよびガンマグロブリンがこのような効果を示さなかったことから、阻害物質の影響を排除する効果はポリアニオンが共通して有するものであることが確認された。
【0062】
典型的なヘパリンは分子量約150に対し1つのアニオンを持つとされるが、ポリアニオンの中にはアニオンがより密集して存在する分子も存在する。例えばポリアクリル酸は分子量71に対し1つのアニオンを持つ。さらにアニオンが密集して存在するポリアニオン分子の存在を考慮すると、ポリアニオン濃度でおおよそ 1ug/ml 以上のときに、顕著な阻害抑制効果が得られることが期待できる。」

セ 「【図4】



ソ 上記「サ」「シ」「ス」より、見かけ上ホモシステイン濃度が高く測定される血清(●)とヘパリン採血した血漿(▲)は、見かけ上ホモシステイン濃度が高く測定される「高めサンプル群」に属し、ホモシステイン濃度が正確に測定しうる血清(■と□)は、「通常サンプル群」に属することが読み取れる。

タ 上記「サ」「シ」「ス」「セ」「ソ」より、デキストラン硫酸420μg/ml存在下で免疫反応を実施した場合、見かけ上ホモシステイン濃度が高く測定される血清(●)とヘパリン採血した血漿(▲)とが含まれる高めサンプル群と、ホモシステイン濃度が正確に測定しうる血清(■と□)が含まれる通常サンプル群の乖離割合が約95%であることから、阻害物質によるサンプル間の測定値のばらつきを無くし、適切にホモシステイン濃度を測定することができたことが読み取れる。

上記甲第1号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「外因性ポリアニオンの存在下で検体と抗体を反応させることを特徴とする、生体試料中に含まれるホモシステインの免疫学的測定方法及びそれに使用するためのポリアニオンを含むキットにおいて、
十分量のポリアニオンを測定試薬に添加することにより、血清中に存在する阻害物質の影響を相対的に減少させることによって、その阻害作用を実質的に取り除き、
ポリアニオンがデキストラン硫酸であり、
サンドイッチアッセイを用いるものであり、
ホモシステインと抗体の反応系に関与する試薬であればどの試薬にポリアニオンを添加しても良く、例えば固相化抗体溶液、標識溶液、アッセイ緩衝液、前処理溶液などいずれの溶液中に添加しても良く、
試薬は、
抗s-アデノシルホモシステインマウスモノクローナル抗体を、カルボキシル基修飾磁性微粒子上に、EDC(N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド塩酸塩を用いる方法により結合させ、抗体固相化微粒子とし、その抗体固相化微粒子をツイーン20 、EDTA(エチレンジアミン4酢酸ナトリウム塩)および塩化ナトリウムを含有するビストリス緩衝液中に添加することにより抗体固相化微粒子溶液を作製したものであり、
測定手順は、
サンプル18μlに酵素溶液79μl、抗体固相化微粒子溶液50μlおよび還元剤溶液10 μlを混合し、第一反応を開始し、本混合溶液内において
(1)サンプル中のホモシステイン結合体が遊離ホモシステインに遊離される、
(2)遊離されたホモシステインがS-アデノシルホモシステインに変換される、
(3)変換されたS-アデノシルホモシステインが抗体固相化微粒子に結合する、
という反応が生じており、
21分後に さらにトレーサー溶液を50μl混合し、4分間引き続き反応を続け、この反応により、前記(3)の反応と、トレーサーの間で抗体固相化微粒子に対する競合反応が生じ、サンプル中のホモシステイン濃度に応じて、トレーサーが競合的に抗体固相化微粒子に結合し、
次に、洗浄液を用いて洗浄した後に、発光トリガー試薬を用いて発光シグナルを観察する
というものであり、
デキストラン硫酸420μg/ml存在下で免疫反応を実施した場合、見かけ上ホモシステイン濃度が高く測定される血清(●)とヘパリン採血した血漿(▲)とが含まれる高めサンプル群と、ホモシステイン濃度が正確に測定しうる血清(■と□)が含まれる通常サンプル群の乖離割合が約95%であることから、阻害物質によるサンプル間の測定値のばらつきを無くし、適切にホモシステイン濃度を測定することができる、
方法及びキット。」

(2)甲第2号証
本件特許の優先日前である昭和63年(1988年)12月27日に頒布された刊行物である「特公昭63-67864号公報」(甲第2号証)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)

ア 「【特許請求の範囲】
1 反応媒体中で測定すべき抗原または抗体と、それに対応する抗体または抗原とを反応させる抗原抗体反応の測定方法において、測定すべき抗原または抗体を含む試料を、該反応媒体に可溶なポリアニオンで処理し、得られる試料を用いて該反応を行なうことを特徴とする抗原抗体反応の測定方法。
2 該反応をポリアニオンの存在下に行なうことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
3 ポリアニオンがデキストラン硫酸である特許請求の範囲第1項又は第2項記載の方法。
4 抗原抗体反応が凝集反応である特許請求の範囲第1項記載の方法。
5 凝集反応が逆受身凝集反応である特許請求の範囲第4項記載の方法。」(第1頁左欄第1-16行)

イ 「本発明において使用されるポリアニオンとしては、多糖類、ポリスチレン等の天然又は合成高分子化合物中に、複数のスルホン基又はカルボキシル基等のアニオンを有するものであって、抗原抗体反応における反応媒体に可浴なものが挙げられる。
このようなポリアニオンとしては、具体的には、デキストラン硫酸、ヘパリン、ポリスチレンスルホン酸、フタル酸酢酸セルロース、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等が挙げられる。本発明方法において、測定すべき抗原または抗体を含む試料は、上記ポリアニオンで処理され、次いでそれに対応する抗体または抗原と反応媒体中で抗原抗体反応が行なわれる。」(第2頁左欄第11-24行)

ウ「抗原抗体反応における、反応媒体としては、水性媒体、例えば水や緩衝液が挙げられ、これらは安定剤、防腐剤、キレート剤、界面活性剤等の添加物を含んでいてもよい。
反応媒体のpHは通常の抗原抗体反応の適用範囲であればよく、通常5?10程度が選ばれる。
反応媒体中のポリアニオンの濃度は、通常5重量%以下、好ましくは、0.001?0.5重量%が採用される。」(第2頁左欄第34-42行)

エ 「測定物および反応物となる抗原としては、例えば蛋白質、ポリペプチド、ステロイド、多糖類、脂質、花粉、塵あるいはハプテン等種々のものが挙げられる。また、抗体としては、例えば上記した抗原に対する抗体である蛋白質が挙げられる。」(第2頁右欄第4-8行)

上記甲第2号証の記載事項を総合勘案すると、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「反応媒体中で測定すべき抗原または抗体と、それに対応する抗体または抗原とを反応させる抗原抗体反応の測定方法において、
測定すべき抗原または抗体を含む試料を、該反応媒体に可溶なデキストラン硫酸で処理し、得られる試料を用いて該反応をデキストラン硫酸の存在下に行ない、
該反応媒体は、水性媒体、例えば水や緩衝液が挙げられ、これらは安定剤、防腐剤、キレート剤、界面活性剤等の添加物を含んでいてもよく、
測定物および反応物となる抗原としては、例えば蛋白質、ポリペプチド、ステロイド、多糖類、脂質、花粉、塵あるいはハプテン等種々のものが挙げられ、抗体としては、例えば上記した抗原に対する抗体である蛋白質が挙げられる、
測定方法。」

(3)甲第3号証
本件特許の優先日前である平成23年(2011年)1月13日に頒布された刊行物である「特開2011-7782号公報」(甲第3号証)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の可溶性インターロイキン-2受容体(以下、sIL-2Rと記す)の測定方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法。
(1)試料を濃縮することなく、試料中のsIL-2Rを、水性媒体中で、sIL-2Rに結合する第1抗体若しくはそのフラグメントが固定化された磁性粒子と反応させる工程;
(2)sIL-2Rに結合する第2抗体若しくはそのフラグメントを、水性媒体中で、工程(1)で生成したsIL-2Rに結合する第1抗体若しくはそのフラグメントとsIL-2Rの免疫複合体が固定化された磁性粒子と反応させる工程;
(3)工程(2)後の反応混合物中の磁性粒子を磁力により集めて、磁力により集められた磁性粒子とそれ以外の反応液とを分離する工程;及び、
(4)工程(3)で分離された磁性粒子上の第2抗体若しくはそのフラグメントを測定する工程。」

上記甲第3号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「試料中の可溶性インターロイキン-2受容体(以下、sIL-2Rと記す)の測定方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法。
(1)試料を濃縮することなく、試料中のsIL-2Rを、水性媒体中で、sIL-2Rに結合する第1抗体若しくはそのフラグメントが固定化された磁性粒子と反応させる工程;
(2)sIL-2Rに結合する第2抗体若しくはそのフラグメントを、水性媒体中で、工程(1)で生成したsIL-2Rに結合する第1抗体若しくはそのフラグメントとsIL-2Rの免疫複合体が固定化された磁性粒子と反応させる工程;
(3)工程(2)後の反応混合物中の磁性粒子を磁力により集めて、磁力により集められた磁性粒子とそれ以外の反応液とを分離する工程;及び、
(4)工程(3)で分離された磁性粒子上の第2抗体若しくはそのフラグメントを測定する工程。」

(4)甲第4号証
本件特許の優先日前である昭和62年(1987年)4月1日に頒布された刊行物である「特開昭62-70761号公報」(甲第4号証)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)

ア 「リガンドインターロイキン-2[IL-2]及びそのレセプタ[IL-2R]それ自体は,良く知られた実体である。」(第3頁左上欄第4-6行)

イ 「後に詳しく記載するが,IL-2Rは可溶性形態で生産され,免疫活性の結果として又は一定の悪性疾患条件の下で特にリンパ細網悪性疾患において体液内を循環することが見出だされた。
従来,IL-2 レセプタ[IL-2R]の測定は,ヒトIL-2Rに対する数種の単一クローン坑体を含む免疫学技術によって細胞会合[associated]IL-2Rの測定に限られていた。」(第3頁右上欄第7-14行)

ウ 「この発明の目的は,更に,特にヒトのプラスマ又は血清における,可溶性IL-2Rを検出するこのサンドイッチELISAの各種の要素を含む用具を提供する。」(第4頁左上欄第2-5行)

上記甲第4号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「リガンドインターロイキン-2[IL-2]及びそのレセプタ[IL-2R]それ自体は,良く知られた実体であり、IL-2Rは可溶性形態で生産され,免疫活性の結果として又は一定の悪性疾患条件の下で特にリンパ細網悪性疾患において体液内を循環することが見出だされ、IL-2 レセプタ[IL-2R]は,ヒトIL-2Rに対する数種の単一クローン坑体を含む免疫学技術によって測定され、ヒトのプラスマ又は血清における,可溶性IL-2Rを検出する、サンドイッチELISA。」

(5)甲第5号証
本件特許の優先日前である平成20年(2008年)4月10日に頒布された刊行物である「再公表WO2005/121795号公報」(甲第5号証)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)

ア 「【請求項1】
水性媒体中、測定対象物に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体を用いて試料中の測定対象物を定量する免疫学的定量法において、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2、1:3および2:1である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体を試料に反応させ測定対象物との免疫複合体を形成させる行程および免疫複合体の酵素活性を測定する工程を含むことを特徴とする非特異的反応が抑制された測定対象物の免疫学的定量方法。」

イ 「【請求項11】
測定対象物が、可溶性インターロイキン-2受容体である請求項1?10のいずれかに記載の免疫学的定量方法。」

上記甲第5号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第5号証には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。

「水性媒体中、測定対象物に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体を用いて試料中の測定対象物を定量する免疫学的定量法において、測定対象物が、可溶性インターロイキン-2受容体である、免疫学的定量方法。」

(6)甲第6号証
本件特許の優先日前である平成14年(2002年)1月29日に頒布された刊行物である「特表2002-502979号公報」(甲第6号証)には、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)
「【0005】
種々の心臓トロポニンを評価するために、血液試料(血清、血漿または全血)が通常使用される。しかし、この選択は使用する方法によって制限され得る。なぜなら、血清はトロポニン評価用の特定の方法(例えば、トロポニンTの迅速な評価のための方法)に不適切な生物学的試料であること、および全血は常に定量的アッセイの実施を可能にすることが知られているからである。ヘパリン含有血漿を用いて実施するイムノアッセイに関して、使用する方法の性能が非常に高い場合でさえ、さほど信頼性が高くない結果がしばしば得られる。一般に、血漿中のトロポニン濃度がさほど高くない場合に、この問題に遭遇する(P.O. Collison et al., Ann. Clin. Biochem., (1995), 32, pp. 454-458)。実際、血液試料中のヘパリンの存在は種々のイムノアッセイの間に干渉し得、従ってかなり最終結果を、そしてそれによって医師の臨床診断を修飾し得ることが知られている。現在、トロポニンのアッセイは重篤な疾患の診断またはモニターのために実施されており、これには非常に正確な結果を得ることが必要とされる。その結果、ヘパリン含有材料(ヘパリン処理したチューブなど)の使用は、血液試料の採集およびイムノアッセイの実施の両方についてしばしば回避されるべきである。」

上記甲第6号証の記載事項を総合勘案すると、甲第6号証には、次の事項(以下「甲6開示事項」という。)が記載されていると認められる。
「ヘパリン含有血液試料を用いる免疫学的測定法においてヘパリンが干渉物質として測定結果に影響を与えること」

(7)甲第7号証
本件特許の優先日前である1997年に頒布された刊行物である「R.De Jongh et al.,”THE EFFECTS OF ANTICOAGULATION AND PROCESSING ON ASSAYS OF IL-6,sIL-6R,sIL-2R AND SOLUBLE TRANSFERRIN RECEPTOR”,CYTOKINE,1997年,Vol.9,No.9,pp696-701」(甲第7号証)には、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)なお、訳については、申立人Bが提示したものを参照した。
ア 「Heparin can interfere with antigen-antibody binding during enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA) or can modulate some immunological processes.」(第697頁左欄第1-4行。)
(訳:ヘパリンは、Enzyme-Linked Immunosorbent Assay(ELISA)において抗原抗体結合を干渉し、一部の免疫学的プロセスを変化させ得る。)

イ 「sIL-2R values were slightly but significantly higher in heparinized blood or when EDTA was added to serum than in serum alone.」(第697頁右欄下から6-3行)
(訳:sIL-2R値は、ヘパリン添加血液またはEDTA添加血液で、血清の場合よりもわずかではあるが有意に高値であった。)

上記甲第7号証の記載事項を総合勘案すると、甲第7号証には、次の事項(以下「甲7開示事項」という。)が記載されていると認められる。
「ヘパリンが免疫学的測定法であるELISA法において抗原抗体結合を干渉して測定結果に影響を与え、sIL-2Rの測定値はヘパリン添加血液で、血清の場合よりも有意に高値であること」

(8)甲第8号証
本件特許の優先日前である平成8年(1996年)9月3日に頒布された刊行物である「特開平8-226920号公報」(甲第8号証)には、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)

ア 「【請求項1】グルコサミノグルカンを共有結合させた不溶性担体を用いてグリコヘモグロビンを捕捉した後、従来法により定量する方法。
【請求項2】グルコサミノグルカンを共有結合させた不溶性担体を用いてフルクトサミン(糖化蛋白)を捕捉した後、従来法により定量する方法。」

イ 「【請求項9】当該グルコサミノグルカンがデルマタン硫酸、デルマタン、プロツベリン酸、プロツベリン、ヒアルロン酸、ヒアルロン、アルギン酸、アルギン、コロミン酸、コロミン、ヘパリン、脱N硫酸-ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヘパラン、デキストラン硫酸、デキストラン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン、キチン硫酸、キチン、N-アセチルノイラミン酸、D-グルクロン酸、ガラクトサミン、グルコサミン、ポリアミノ酸、ポリリン酸、ポリガラクツロン酸の中から選択することを特徴とする、請求項1記載のグリコヘモグロビンの定量方法。
【請求項10】当該グルコサミノグルカンがデルマタン硫酸、デルマタン、プロツベリン酸、プロツベリン、ヒアルロン酸、ヒアルロン、アルギン酸、アルギン、コロミン酸、コロミン、ヘパリン、脱N硫酸-ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヘパラン、デキストラン硫酸、デキストラン、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン、キチン硫酸、キチン、N-アセチルノイラミン酸、D-グルクロン酸、ガラクトサミン、グルコサミン、ポリアミノ酸、ポリリン酸、ポリガラクツロン酸の中から選択することを特徴とする、請求項2記載のフルクトサミン(糖化蛋白)の定量方法。」

ウ 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、第一に、グリコヘモグロビンの正確な測定値の得られる診断薬及び測定キットを提供することにある。本発明の第二の目的は、上記還元性物質、乳ビ、血液凝固因子による影響の少ない、フルクトサミン(糖化蛋白)の正確な測定値の得られる診断薬及び測定キットを提供することにある。」

エ 「【0018】《実施例5.》
コンドロイチン硫酸を共有結合したPETフィルムを用いたグリコヘモグロビンの定量
(1)実施例3.で調製したコンドロイチン硫酸を共有結合したPETフィルムを1cm^(2)四方に切断した。
(2)(1)のPETフィルム各1枚を小試験管に分取した。
(3)(2)の小試験管にリン酸緩衝液各1mlを分取した。
(4)(3)の小試験管に被検赤血球溶液の遠心上清各200ulを分取し、37℃で30分間反応させた。
(5)(4)の小試験管中の赤血球溶液の遠心上清を吸引した後、PETフィルムをリン酸緩衝液各2mlで3回洗浄した。
(6)新規に小試験管中を準備し、ラクトパーオキシダーゼ標識抗ヘモグロビン抗体溶液各2mlを分注し、濾紙で充分に水切りした、(5)の小試験管中のPETフィルムを移し、37℃で30分間反応させた。
(7)(6)の小試験管中の溶液を吸引した後、PETフィルムをリン酸緩衝液各2mlで3回洗浄した。
(8)(7)の小試験管に酵素基質液各1mlを分注し、37℃で30分間反応させた。
(9)(8)の小試験管に反応停止し液各1mlを分注し、反応を停止した。
(10)(9)の小試験管の溶液の492nmの吸光度を測定した。
(11)標準グリコヘモグロビンを用いて、同様の操作を行ない、検量線を描いた。
(12)(11)の検量線から、被検検体中のグリコヘモグロビン量を求めた。」

オ 「【0020】《実施例7.》
ヒアルロン酸固定化不織布を用いたフルクトサミンの定量
(1)実施例6.で調製したヒアルロン酸固定化不織布を(1cm x 1cm)切断し、各1枚を小試験管に分取した。
(2)(1)の小試験管にリン酸緩衝液各1mlを分取した。
(3)(2)の小試験管に被検血清各200ulを分取し、37℃で30分間反応させた。
(4)(3)の小試験管中のヒアルロン酸固定化不織布をリン酸緩衝液2mlで1回洗浄し充分に水を切った。
(5)(4)の小試験管に酵素標識抗アルブミン抗体溶液各2mlを分注し、37℃で30分間反応させた。
(6)(5)の小試験管中のヒアルロン酸固定化不織布をリン酸緩衝液2mlで3回洗浄し充分に水を切った。
(7)(2)の小試験管に酵素基質液各200ulを分取し、室温で30分間反応させた。
(8)(7)の小試験管に反応停止液各1mlを分注し、反応を停止した。
(9)(8)の小試験管の溶液の492nmの吸光度を測定した。
(10)標準糖化アルブミンを用いて、同様の操作を行ない、検量線を描いた。
(11)(10)の検量線から、被検検体中のフルクトサミン量を求めた。」

カ 「【0024】《実施例10.》
ヒアルロン酸ハイドロゲルビーズを用いたフルクトサミンの定量
(1)実施例11で調製したヒアルロン酸ハイドロゲルビーズ100ulを小試験管に分取した。
(2)(1)の小試験管にリン酸緩衝液各1mlを分取した。
(3)(2)の小試験管に被検血清各100ulを分取し、室温で30分間反応させた。
(4)(5)の小試験管中の被検血清を吸引した後、ヒアルロン酸ハイドロゲルビーズをリン酸緩衝液各2mlで3回洗浄し充分に水を切った。
(5)(4)の小試験管中に酵素標識抗アルブミン抗体溶液各2mlを分注し、37℃で30分間反応させた。
(6)(5)の小試験管中のヒアルロン酸ハイドロゲルビーズををリン酸緩衝液2mlで3回洗浄し充分に水を切った。
(7)(6)の小試験管に酵素基質液各2mlを分取し、室温で30分間反応させた。
(8)(7)の小試験管に反応停正液各1mlを分注し、反応を停止した。
(9)(8)の小試験管の溶液の492nmの吸光度を測定した。
(10)標準糖化アルブミンを用いて、同様の操作を行ない、検量線を描いた。
(11)(10)の検量線から、被検検体中のフルクトサミン量を求めた。」

キ 上記「エ」ないし「カ」より、グリコヘモグロビン、フルクトサミンの測定が免疫学的方法により行われることが読み取れる。

上記甲第8号証の記載事項を総合勘案すると、甲第8号証には、次の事項(以下「甲8開示事項」という。)が記載されていると認められる。
「免疫学的方法によるグリコヘモグロビン、フルクトサミンの測定において、免疫複合体の形成を不溶性担体に共有結合させた硫酸化多糖類(脱N硫酸-ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸)の存在下で行うことにより、還元性物質、乳ビ、血液凝固因子による影響を少なくできること」

(9)甲第9号証
本件特許の優先日前である平成18年(2006年)10月26日に頒布された刊行物である「特表2006-524319号公報」(甲第9号証)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)

ア 「【請求項1】
サンプル中の対象分析物の検出又は同定方法であって、
(i)分析物に対して親和性をもつ1個以上のアフィニティー分子に分析物を含有するサンプルを接触させて分析物と1個以上のアフィニティー分子の複合体を形成する段階と;
(ii)約0.1?500ミクロンの少なくとも1個のマイクロスケール寸法をもつ少なくとも1個の分離チャネルを含むマイクロフルイディックデバイスの分離チャネルを使用することにより、荷電ポリマーの存在下に複合体と未結合アフィニティー分子を分離する段階と;
(iii)複合体を検出して分析物の存在を同定するか又はサンプル中の分析物の量を測定する段階を含み、荷電ポリマーは検出妨害を低減するものである前記方法。」

イ 「【請求項4】
荷電ポリマーが、poly-dIdC、ヘパリン硫酸、デキストラン硫酸、ポリタングステン酸、ポリアネトールスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリアクリレート、コンドロイチン硫酸、プラスミドDNA、仔ウシ胸腺DNA、サケ精子DNA、セルロースに結合したDNA、ガラス粒子、コロイドガラス、及び乳白ガラスからなる群から選択されるポリアニオン性ポリマーである請求項1に記載の方法。」

ウ 「【請求項43】
サンプルが血清、血漿、全血、組織抽出物、細胞抽出物、核抽出物、培地、微生物培養抽出物、分子ライブラリーのメンバー、臨床サンプル、唾液検体、大便検体、脳髄液、尿サンプル、尿道-性器スワブ、咽喉スワブ、又は環境サンプルを含む請求項1に記載の方法。」

エ 「【請求項44】
分析物がAFP、hCG、TSH、FSH、LH、インターロイキン、Fasリガンド、CA19-9、CA125、PSA、HBsAg、抗HIV抗体、又はT4を含む請求項1に記載の方法。」

オ 「【0047】
D.アフィニティー分子
アフィニティー分子(例えばアフィニティー物質)はサンプル中の対象分析物に対して特異的親和性をもつ任意分子とすることができ、例えば抗体、抗体のFab、F(ab’)2又はFab’フラグメント、抗体可変領域、レクチン、アビジン、受容体、アフィニティーペプチド、アプタマー、及びDNA結合蛋白質からなる群から選択することができる。アフィニティー分子は例えば酵素、抗体、ホルモン、サイトカイン、構造成分、シグナリング分子、及び所定受容体のリガンド等として機能し、場合により腫瘍マーカー、炎症マーカー、及び感染性疾患マーカーとして認識されるリガンド(例えばウイルス粒子、細菌細胞、蛋白質、ペプチド、炭水化物、抗原、脂質、ステロイド、小化学物質等)に対して特異的親和性を有することができる。これらのアフィニティー分子としては、AFP、hCG、TSH、FSH、LH、インターロイキン、Fasリガンド、CA19-9、
CA125、PSA、HBsAg、抗HIV抗体、T4、及び/又は類似物が挙げられる。更に、キャリヤー蛋白質と共役したリガンド、核酸と共役したリガンド、細胞内蛋白質、シグナリング分子、及び/又は類似物も挙げられる。本発明で使用されるアフィニティー分子としては、例えば、蛋白質-蛋白質相互作用、蛋白質-化学物質相互作用、又は化学物質-化学物質相互作用に応じて目的物質と結合することが可能な性質を有するものが挙げられる。具体的には、抗原-抗体相互作用、糖鎖-レクチン相互作用、酵素-インヒビター相互作用、蛋白質-ペプチド鎖相互作用、染色体もしくは核酸鎖-核酸鎖相互作用、ヌクレオチド-リガンド相互作用又は受容体-リガンド相互作用に基づいて結合するものが挙げられる。上記対における物質の一方が目的物質である場合には、他方はアフィニティー分子である。例えば、目的物質が抗原である場合には、アフィニティー分子は抗体であり、目的物質が抗体である場合には、アフィニティー分子は抗原である(他の上記対についても同様)。アフィニティー分子の具体例は上記分析物と同じである。」

上記甲第9号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第9号証には、次の発明(以下「甲9発明」という。)が記載されていると認められる。

「血清中のPSAの検出又は同定方法において、
分析物に対して親和性をもつ1個以上のアフィニティー分子に分析物を含有するサンプルを接触させて分析物と1個以上のアフィニティー分子の複合体を形成し、
デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸などの荷電ポリマーの存在下に複合体と未結合アフィニティー分子を分離し、
複合体を検出して分析物の存在を同定するか又はサンプル中の分析物の量を測定することにより、試料中の成分による検出妨害を低減させる、
方法。」

(10)甲第10号証
本件特許の優先日前である平成27年(2015年)11月5日に出願され、本件特許出願の国際出願後である平成29年(2017年)5月25日に甲第10号証として出願公開された、特願2015-217909号(以下「先願甲10」という。)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)

ア 「【請求項1】
心筋トロポニンIに対する抗体、及びポリアニオン性高分子を含む、心筋トロポニンI測定試薬。」

イ 「【請求項3】
前記試薬が、前記抗体及び前記高分子を含有する溶液を含む、請求項1又は2記載の試薬。」

ウ 「【請求項8】
ポリアニオン性高分子の存在下において、心筋トロポニンIに対する抗体を用いて血液試料中の心筋トロポニンI量を測定することを含む、心筋トロポニンIの測定方法。」

エ 「【0006】
心筋トロポニンIは心筋梗塞の診断に利用されているが、心筋トロポニンIの測定値は、血液試料の種類によって異なる値を示すことがある。例えば、血清を血液試料として用いた場合の心筋トロポニンIの測定値、及び血漿を血液試料として用いた場合の心筋トロポニンIの測定値は必ずしも同一の値を示さないことが知られている。また医療の現場では、種々の抗凝固剤(例、ヘパリン、EDTA、クエン酸)を含む採血管が血漿の調製に利用されているが、血漿中の心筋トロポニンIの測定値は、血漿の調製に用いた抗凝固剤の種類によって異なる値を示すことがある。したがって、心筋トロポニンI量を測定する心筋梗塞の診断においては、心筋トロポニンIのカットオフ値として血液試料の種類によらない一定の値を採用し難い場合があるという課題がある。」

オ 「【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリアニオン性高分子の存在下で心筋トロポニンI量を測定することにより、各種試料間における心筋トロポニンI量の測定値の乖離を抑制できること、ひいては上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。」

カ 「【0010】
本発明によれば、各種試料間における心筋トロポニンI量の測定値の乖離を抑制できる。したがって、本発明には、心筋トロポニンI量を測定する心筋梗塞の診断において、心筋トロポニンIのカットオフ値として血液試料の種類によらない一定の値を採用し易いという利点がある。また、本発明には、血漿の調製に用いるべき採血管の種類によらず、心筋トロポニンI量を一定の値として測定できるという利点がある。」

キ 「【0022】
好ましい実施形態では、ポリアニオン性高分子は、上述したような1種又は2種以上のアニオン性部分を含む繰り返し単位を含むポリマーであってもよい。本発明では、1種又は2種以上のアニオン性部分を含む繰り返し単位を含むポリマーを、「ポリアニオン性ポリマー」と称することがある。ポリアニオン性ポリマーは、1種又は2種以上のアニオン性部分を含む繰り返し単位以外の構成単位を含んでいてもよい。したがって、ポリアニオン性ポリマーは、ホモポリマーであっても、コポリマー(例、ブロックコポリマー)であってもよい。また、ポリアニオン性ポリマーは、線状ポリマー、分岐構造を有するポリマー、又はデンドリマーであってもよい。さらに、ポリアニオン性ポリマーは、アニオン性部分を含むモノマー(必要に応じて、他の構成単位とのブロック単位)の重合により得られるポリマー、又はアニオン性部分を含まないポリマーに複数のアニオン性部分を導入することにより得られるポリマー(例、特許第3327070号公報に記載される、水酸基が硫酸エステルで置換されたデキストラン化合物)であってもよいが、好ましくは、アニオン性部分を含むモノマーの重合により得られるポリマーである。ポリアニオン性ポリマーは、塩の形態であってもよい。」

ク 「【0024】
具体的には、ポリアニオン性ポリマーとしては、例えば、ポリ硫酸化合物(例、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸)、ポリスルホン酸化合物(例、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸)、ポリカルボン酸化合物(例、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸)、ポリアニオン性多糖類(例、デキストラン硫酸、カルボキシメチルデキストラン、カラギーナン、キサンタンガム)、及びポリアニオン性タンパク質(例、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸)が挙げられる。好ましく
は、ポリアニオン性ポリマーは、デキストラン硫酸、ポリスチレンスルホン酸、又はポリアクリル酸であってもよい。」

ケ 「【0031】
特定の実施形態では、心筋トロポニンIに対する抗体、及びポリアニオン性高分子を含む本発明の試薬は、心筋トロポニンIに対する抗体についての溶液又は粉末、及びポリアニオン性高分子についての溶液又は粉末を、同一又は異なる容器に含むキットの形態で提供されてもよいが、用事調製の手間を省く等の観点から、心筋トロポニンI、及び心筋トロポニンIに対する抗体を同一溶液に含む形態(プレミックス)で提供されてもよい。本発明の試薬においてポリアニオン性高分子が溶液として提供される場合、溶液中のポリアニオン性高分子の濃度は、分析されるべき試料との混合比率、及び希釈倍率等の使用条件によっても異なるが、例えば0.06mg/mL以上85mg/mL以下である。溶液中のポリアニオン性高分子の濃度は、好ましくは0.08mg/mL以上、より好ましくは0.2mg/mL以上、更により好ましくは0.8mg/mL以上であってもよい。溶液中のポリアニオン性高分子の濃度はまた、好ましくは8.5mg/mL以下、より好ましくは4.0mg/mL以下、更により好ましくは3.0mg/mL以下であってもよい。」

コ 「【0032】
好ましい実施形態では、本発明の試薬は、採用されるべきイムノアッセイの種類に応じた構成を有していてもよい。例えば、サンドイッチ法が採用される場合、本発明の試薬は、必須の構成成分として、i)心筋トロポニンIに対する抗体、及びii)ポリアニオン性高分子、並びに任意の構成成分として、iii)心筋トロポニンIに対する別の抗体、iv)標識物質、v)希釈液(緩衝液)、及び、必要に応じて、vi)標識物質と反応する基質を含んでいてもよい。i)及びii)の構成成分は、同一溶液に含まれていてもよい。iii)の構成成分は、iv)標識物質で標識化されていてもよい。好ましくは、心筋トロポニンIに対する抗体は、磁性粒子に固相化されていてもよい。本発明の試薬の構成の具体例は、i’)心筋トロポニンIに対する抗体が固相化された磁性粒子、及びポリアニオン性高分子を含む緩衝液、ii’)心筋トロポニンIに対する別の抗体(標識物質で標識化)を含む緩衝液、及びiii’)希釈液(緩衝液)である。」

サ 「【0051】
自動免疫測定装置(ルミパルスG1200、富士レビオ製)を用いて、以下の手順に従って、被検試料の心筋トロポニンI量を測定した。
(1)抗体結合粒子溶液150μLに被検試料100μLが分注されて、第1反応液が調製される。第1反応液は撹拌後37℃で10分間インキュベートされて、磁性粒子に結合した抗心筋トロポニンI抗体と被検試料に含まれる心筋トロポニンI抗原との免疫複合体が形成される。
(2)インキュベーション後、磁性粒子は磁石によって管壁に集められ、磁性粒子に未結合の物質が除去される。その後、洗浄液(ルミパルス(登録商標)洗浄液、富士レビオ社製)の注入及び洗浄液の除去が繰り返され、磁性粒子が洗浄される。
(3)洗浄後、標識化抗体溶液250μL及び磁性粒子が混合され、第2反応液が調製される。第2反応液は37℃で10分間インキュベートされて、磁性粒子に固相化された抗心筋トロポニンI抗体-心筋トロポニンI抗原-アルカリフォスファターゼにより標識された抗心筋トロポニンI抗体から構成される免疫複合体が形成される。
(4)インキュベーション後、磁性粒子は再び磁石によって管壁に集められ、磁性粒子に未結合の物質が除去される。その後、洗浄液の注入及び洗浄液の除去が繰り返され、磁性粒子が洗浄される。
(5)AMPPD(3-(2’-スピロアダマンタン)-4-メトキシ-4-(3’-ホスホリルオキシ)フェニル-1,2-ジオキセタン・2ナトリウム塩)を含む基質液(ルミパルス(登録商標)基質液、富士レビオ社製)200μLが磁性粒子に加えられ、撹拌後37℃で5分間インキュベートされる。基質液に含まれるAMPPDが、磁性粒子に間接的に結合したアルカリフォスファターゼの触媒作用により分解し、波長477nmに発光極大を持つ光が放出される。発光強度は磁性粒子に結合した心筋トロポニンI量を反映するため、波長477nmの発光強度を測定することで心筋トロポニンI量を測定することができる。
【0052】
被検試料として、4例又は5例の心筋トロポニンI高値検体(ProMedDx社製)及び4例又は5例の血清血漿ペア検体(同一ドナーより得られた血清、EDTA血漿、クエン酸血漿及びヘパリン血漿)を準備し、心筋トロポニンI高値検体を血清血漿ペア検体に1/10容量以下となるように添加して調製した。
【0053】
[実施例2]心筋トロポニンI測定におけるデキストラン硫酸ナトリウムの血清血漿相関性への影響
デキストラン硫酸ナトリウム(デキストラン硫酸ナトリウム5000、和光純薬工業製)を、試薬Aの抗体結合粒子溶液中に0、0.77、1.55、又は2.32mg/mL(第1反応液中の濃度は、それぞれ0、0.462、0.930、又は1.392mg/mL)となるように添加し、被検試料を測定した。結果を表1及び図1?図3に示す。各測定値は、波長477nmの発光強度(カウント値)である。対血清カウント値(平均)は、各検体につき、血清のカウント値に対する各血漿のカウント値の百分率を算出し、次いで、それらの平均値を算出することにより得た。実施例3及び実施例4における対血清カウント値(平均)も同様にして得られた値である。
【0054】
【表1】


【0055】
その結果、デキストラン硫酸ナトリウム非存在下における測定では、被検試料の測定値が、血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、及びヘパリン血漿間で大きく異なっていた(表1、及び図1?3)。他方、デキストラン硫酸ナトリウムを含有する抗体結合粒子溶液を用いて、心筋トロポニンIの測定をデキストラン硫酸ナトリウムの存在下で行うことにより、被検試料の測定値が、血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、及びヘパリン血漿間で概ね一致した(表1、及び図1?3)。
【0056】
以上より、心筋トロポニンIの測定をデキストラン硫酸ナトリウムの存在下で行うことにより、血清と血漿の測定値の乖離が抑制されることが明らかとなった。」

上記甲第10号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、先願甲10には、次の発明(以下「先願甲10発明」という。)が記載されていると認められる。
「ポリアニオン性高分子の存在下において、心筋トロポニンIに対する抗体を用いて血液試料中の心筋トロポニンI量を測定することを含む、心筋トロポニンIの測定方法において、
当該測定方法は、血清を血液試料として用いた場合の心筋トロポニンIの測定値、及び血漿を血液試料として用いた場合の心筋トロポニンIの測定値は必ずしも同一の値を示さないことが知られているが、ポリアニオン性高分子の存在下で心筋トロポニンI量を測定することにより、各種試料間における心筋トロポニンI量の測定値の乖離を抑制できる測定方法であり、
心筋トロポニンIに対する抗体、及びポリアニオン性高分子を含む、溶液を含む心筋トロポニンI測定試薬を用い、
ポリアニオン性高分子は、1種又は2種以上のアニオン性部分を含む繰り返し単位を含むポリアニオン性ポリマーであってもよく、例えば、ポリアニオン性ポリマーは、デキストラン硫酸であり、
サンドイッチ法が採用される場合、試薬は、必須の構成成分として、i)心筋トロポニンIに対する抗体、及びii)ポリアニオン性高分子、並びに任意の構成成分として、iii)心筋トロポニンIに対する別の抗体、iv)標識物質、v)希釈液(緩衝液)、及び、必要に応じて、vi)標識物質と反応する基質を含んでいてもよく、試薬の構成の具体例は、i’)心筋トロポニンIに対する抗体が固相化された磁性粒子、及びポリアニオン性高分子を含む緩衝液、ii’)心筋トロポニンIに対する別の抗体(標識物質で標識化)を含む緩衝液、及びiii’)希釈液(緩衝液)であり、
心筋トロポニンIに対する抗体、及びポリアニオン性高分子を含む本発明の試薬は、心筋トロポニンIに対する抗体についての溶液又は粉末、及びポリアニオン性高分子についての溶液又は粉末を、同一又は異なる容器に含むキットの形態で提供されてもよいが、用事調製の手間を省く等の観点から、心筋トロポニンI、及び心筋トロポニンIに対する抗体を同一溶液に含む形態(プレミックス)で提供されてもよく、
以下の手順(1)ないし(5)に従って、被検試料の心筋トロポニンI量を測定するものであり、
(1)抗体結合粒子溶液150μLに被検試料100μLが分注されて、第1反応液が調製される。第1反応液は撹拌後37℃で10分間インキュベートされて、磁性粒子に結合した抗心筋トロポニンI抗体と被検試料に含まれる心筋トロポニンI抗原との免疫複合体が形成される。
(2)インキュベーション後、磁性粒子は磁石によって管壁に集められ、磁性粒子に未結合の物質が除去される。その後、洗浄液(ルミパルス(登録商標)洗浄液、富士レビオ社製)の注入及び洗浄液の除去が繰り返され、磁性粒子が洗浄される。
(3)洗浄後、標識化抗体溶液250μL及び磁性粒子が混合され、第2反応液が調製される。第2反応液は37℃で10分間インキュベートされて、磁性粒子に固相化された抗心筋トロポニンI抗体-心筋トロポニンI抗原-アルカリフォスファターゼにより標識された抗心筋トロポニンI抗体から構成される免疫複合体が形成される。
(4)インキュベーション後、磁性粒子は再び磁石によって管壁に集められ、磁性粒子に未結合の物質が除去される。その後、洗浄液の注入及び洗浄液の除去が繰り返され、磁性粒子が洗浄される。
(5)AMPPD(3-(2’-スピロアダマンタン)-4-メトキシ-4-(3’-ホスホリルオキシ)フェニル-1,2-ジオキセタン・2ナトリウム塩)を含む基質液(ルミパルス(登録商標)基質液、富士レビオ社製)200μLが磁性粒子に加えられ、撹拌後37℃で5分間インキュベートされる。基質液に含まれるAMPPDが、磁性粒子に間接的に結合したアルカリフォスファターゼの触媒作用により分解し、波長477nmに発光極大を持つ光が放出される。発光強度は磁性粒子に結合した心筋トロポニンI量を反映するため、波長477nmの発光強度を測定することで心筋トロポニンI量を測定することができる。
以上の測定手順により、デキストラン硫酸ナトリウムを含有する抗体結合粒子溶液を用いて、心筋トロポニンIの測定をデキストラン硫酸ナトリウムの存在下で行うことにより、被検試料の測定値が、血清、EDTA血漿、クエン酸血漿、及びヘパリン血漿間で概ね一致する、
測定方法及び測定キット。」

(11)甲第11号証
本件特許の優先日前である平成13年(2001年)11月27日に頒布された刊行物である「特表2001-524084号公報」(甲第11号証)には、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与)
「親水性ポリマーは当業者には周知である。これらは、アルギネート、カルボキシメチルアミロース、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、エチレン無水マレイン酸コポリマー(半エステル)、カルボキシメチルセルロース、硫酸デキストラン、ヘパリン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシセルロース、2,3-ジカルボキシセルロース、トリカルボキシセルロース、カルボキシアラビアゴム、カルボキシカラゲナン、カルボキシペクチン、カルボキシトラガカントゴム、ペントサンポリスルフェート、カルボキシデンプン、カルボキシメチルキチン/キトサン、カードラン、イノシトールヘキサスルフェート、β-シクロデキストリン硫酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン硫酸、カルボキシメチルデンプン、カラゲナン、ポリガラクツロネート、カルボキシグアーゴム、ポリリン酸塩、ポリアルデヒド-炭酸、ポリ-1-ヒドロキシ-1-スルホネート-プロペン-2、コポリスチレンマレイン酸、アガロース、メソグリカン、スルホプロピル化ポリビニルアルコール、硫酸セルロース、硫酸プロタミン、ホスホグアーゴム、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリアミノ酸、それらの誘導体あるいはそれらの組合せのような陰イオン性多糖類を含めたポリアニオンを含むが、それらに限定されない。」(第11頁下から2行-第12頁第15行)

上記甲第11号証の記載事項を総合勘案すると、甲第11号証には、次の事項(以下「甲11開示事項」という。)が記載されていると認められる。
「β-シクロデキストリン硫酸が硫酸デキストランと同様にポリアニオンであること」

3.当審の判断
(1)取消理由1(サポート要件)について
ア 本件発明2は、訂正により「硫酸化多糖類」が「デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸」に限定され、「測定対象物質」が「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」に限定された。これは、上記「第2 2.(1)」で検討したとおり、明細書の発明の詳細な説明に記載されている。
イ また、本件発明2には「硫酸化多糖類」の濃度については限定されていないが、本件特許の明細書の段落【0027】及び【0028】の以下の記載(下線は当審が付与)
「【0027】
本発明における硫酸化多糖類の濃度としては、前記免疫複合体形成時の濃度として、0.0000004%より大きく、0.000004%以上、好ましくは0.00004%以上、より好ましくは0.0004%以上、より好ましくは0.004%以上、より好ましくは0.04%以上、より好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上、また、1%以下、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.04%以下の範囲から適宜組み合わせて選択される。本発明では、生体試料中の硫酸化多糖類(例えば、ヘパリン加血漿中のヘパリン)の存在にかかわらず、反応液中の硫酸化多糖類が上記の濃度範囲となるように存在させておくものである。尚、反応液中の硫酸化多糖類をあまり高めると、抗原抗体反応が抑制(阻害)されて目的の測定が精度よく行なうことができなくなるので、注意が必要である。また、本発明に従って検体の種類に関係なく安定して高精度に生体試料中のsIL-2Rを測定するために、検体に含まれる測定対象物質(例えばsIL-2R)の量や使用する硫酸化多糖によって、添加する濃度を決定することは設計の範囲である。
例えば、デキストラン硫酸(分子量20,000)は0.000004%以上0.04%以下、デキストラン硫酸(分子量4,000)は0.0004%以上0.04%以下、βシクロデキストリン硫酸塩は0.02%以上0.4%以下等が挙げられる。
【0028】
本発明における硫酸化多糖類の濃度や種類は、後述の実施例に示すように、ヘパリンを添加した血液試料(ヘパリン加血漿)と、それ以外の血液試料(血清)とを用意し、複数の異なる濃度の硫酸化多糖類の存在下で、各血液試料中の測定対象物質(例えばsIL-2R)を測定し、両試料の測定値が一致する硫酸化多糖類の濃度範囲を把握することにより、当業者であれば容易に決定することができる。すなわち、本発明における硫酸化多糖類の濃度や種類は、抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料(ヘパリン加血漿)を用いた場合の測定値と、それ以外の血液試料(血清)を用いた場合の測定値とが一致する濃度範囲から選択することができる。測定値が一致するとは、具体的には、測定値(測定機器から提供された光学カウントや標準物質を用いて計算された濃度等)が、マイナス10%?プラス10%の間に入っていることを意味する。一般的に、この間に入っていれば、臨床的に有用であるとすることができる。」
にもあるように、デキストラン硫酸にも分子量が4000のものや20000のものがあるように多種多様であり、測定対象であるsIL-2Rの含有量もさまざまであることから、硫酸化多糖類であるデキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸の添加濃度は、その測定状況において当業者が適宜選択しうるものであることが分かる。
ウ そして、硫酸化多糖類であるデキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸の添加濃度の例は、上記段落【0027】に開示されていることから、当業者がその添加濃度を適宜選択して、本件発明2により「生体試料中の測定対象物質(例えば、sIL-2R)を検出する場合に、一般的に多用される、異なる血液凝固阻害剤の使用による血清、ヘパリン加血漿といった被検試料の種類に関わらず、被検試料中の干渉物質の影響を受けることなく安定的で高精度な測定値を得る」(段落【0007】参照。)という課題を解決できると当業者が認識できると認められる。
エ したがって、本件発明2は発明の詳細な説明に記載したものとなり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものとなった。
オ 上記「エ」より、本件発明2を引用する本件発明4,5,6,8,9についても、発明の詳細な説明に記載したものとなり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものとなった。なお、本件発明3,7,10は削除されている。
カ 以上のことから、本件発明2ないし10は、発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

(2)取消理由2(拡大先願)について
ア 先願甲10発明との対比・判断
本件発明2と先願甲10発明とを比較する。
(ア)先願甲10発明の「ヘパリン血漿」は、本件発明2における「抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料」に相当する。
(イ)先願甲10発明の「被検試料」である「血清」及び「ヘパリン血漿」は、本件発明2における「生体試料」に相当する。
(ウ)先願甲10発明の「心筋トロポニンI」は、「血清」及び「ヘパリン血漿」を試料として測定されるものであるから、本件発明2における「生体試料中の測定対象物質」に相当する。
(エ)先願甲10発明の「心筋トロポニンIに対する抗体を用いて血液試料中の心筋トロポニンI量を測定すること」は、本件発明2における「生体試料中の測定対象物質の免疫学的測定」に相当する。
(オ)先願甲10発明の「心筋トロポニンIに対する抗体」は、本件発明2における「測定対象物質に特異的に結合する抗体」に相当する。
(カ)先願甲10発明の「磁性粒子に結合した抗心筋トロポニンI抗体と被検試料に含まれる心筋トロポニンI抗原との免疫複合体」は、本件発明2における「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体」に相当する。
(キ)先願甲10発明の「デキストラン硫酸」は、本件発明2における「硫酸化多糖類」に相当する。
(ク)先願甲10発明の「被検試料の心筋トロポニンI量を測定する」手順では、「(1)抗体結合粒子溶液150μLに被検試料100μLが分注されて、第1反応液が調製される。第1反応液は撹拌後37℃で10分間インキュベートされて、磁性粒子に結合した抗心筋トロポニンI抗体と被検試料に含まれる心筋トロポニンI抗原との免疫複合体が形成される。」という工程を含み、「抗体結合粒子溶液」は「デキストラン硫酸ナトリウムを含有する抗体結合粒子溶液」であることから、先願甲10発明と本件発明2とは「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行う」点で一致する。
(ケ)先願甲10発明の「血清を血液試料として用いた場合の心筋トロポニンIの測定値、及び血漿を血液試料として用いた場合の心筋トロポニンIの測定値は必ずしも同一の値を示さないことが知られているが、ポリアニオン性高分子の存在下で心筋トロポニンI量を測定することにより、各種試料間における心筋トロポニンI量の測定値の乖離を抑制できる測定方法」は、「血漿」として「ヘパリン血漿」を用いていることから、本件発明2の「抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法」に相当する。

すると、本件発明2と、先願甲10発明とは、
「生体試料中の測定対象物質の免疫学的測定において、抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法であって、測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行い、前記硫酸化多糖類がデキストラン硫酸である、前記方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
測定対象物質が、本件発明2は「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原である」のに対し、先願甲10発明は「心筋トロポニンI」である点。

ゆえに、本件発明2は、先願甲10発明と同一又は実質的に同一ではない。

イ したがって、本件発明2及び本件発明2を引用する本件発明4,5,6,8及び9は、先願甲10発明と同一又は実質的に同一ではなく、特許法第29条の2の規定に該当しない発明である。

(3)取消理由3(新規性)について
ア 甲1発明との対比・判断
本件発明2と甲1発明とを比較する。
(ア)甲1発明の「ヘパリン採血した血漿」は、本件発明2における「抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料」に相当する。
(イ)甲1発明の「被検試料」である「血清」及び「ヘパリン採血した血漿」は、本件発明2における「生体試料」に相当する。
(ウ)甲1発明の「生体試料中に含まれるホモシステイン」は、本件発明2における「生体試料中の測定対象物質」に相当する。
(エ)甲1発明の「外因性ポリアニオンの存在下で検体と抗体を反応させることを特徴とする、生体試料中に含まれるホモシステインの免疫学的測定方法」は、本件発明2における「生体試料中の測定対象物質の免疫学的測定」に相当する。
(オ)甲1発明の「抗s-アデノシルホモシステインマウスモノクローナル抗体」は、本件発明2における「測定対象物質に特異的に結合する抗体」に相当する。
(カ)甲1発明の「S-アデノシルホモシステインが抗体固相化微粒子に結合」したものは、本件発明2における「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体」に相当する。
(キ)甲1発明の「デキストラン硫酸」は、本件発明2における「硫酸化多糖類」に相当する。
(ク)甲1発明では、「デキストラン硫酸420μg/ml存在下で免疫反応を実施し」していることから、甲1発明と本件発明2とは「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行う」点で一致する。
(ケ)甲1発明の、「デキストラン硫酸420μg/ml存在下で免疫反応を実施した場合、見かけ上ホモシステイン濃度が高く測定される血清(●)とヘパリン採血した血漿(▲)とが含まれる高めサンプル群と、ホモシステイン濃度が正確に測定しうる血清(■と□)が含まれる通常サンプル群の乖離割合が約95%であることから、阻害物質によるサンプル間の測定値のばらつきを無くし、適切にホモシステイン濃度を測定することができる」「方法」は、本件発明2における「抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法」に相当する。

すると、本件発明2と、甲1発明とは、
「生体試料中の測定対象物質の免疫学的測定において、抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法であって、測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行い、前記硫酸化多糖類がデキストラン硫酸である、前記方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2>
測定対象物質が、本件発明2は「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原である」のに対し、甲1発明は「ホモシステイン」である点。

ゆえに、本件発明2は、甲1発明と同一ではない。

イ したがって、本件発明2及び本件発明2を引用する本件発明4,5,6,8及び9は、甲1発明と同一ではなく、特許法第29条第1項の規定を満たす発明である。

(4)取消理由4(進歩性)について
本件発明2と甲1発明の相違点は、上記(3)で検討したとおり<相違点2>であるから、<相違点2>について検討する。
ア 測定対象物質としての可溶性インターロイキン-2受容体は、上記「2.」の甲3発明ないし甲5発明、及び甲7開示事項にあるように、本件特許の優先日前において公知であり、測定対象物質としての前立腺特異抗原であるPSAは、上記「2.」の甲9発明にあるように、本件特許の優先日前において周知である。
イ しかしながら、「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を」「デキストラン硫酸」「の存在下で行」う「生体試料中の測定対象物質の免疫学的測定方法」において、測定対象物質を「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」とすることは、甲第2号証ないし甲第9号証及び甲第11号証には開示も示唆もなく、本件発明2の優先日前において周知のことでもない。
ウ さらに、「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を」「デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸」「の存在下で行」う「生体試料中の測定対象物質の免疫学的測定方法」において、測定対象物質を「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」とすることについても、甲第1号証ないし甲第9号証及び甲第11号証には開示も示唆もなく、本件発明2の優先日前において周知のことでもない。
エ ゆえに、本件発明2は、甲第1号証ないし甲第9号証及び甲第11号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではない。
オ したがって、本件発明2及び本件発明2を引用する本件発明4,5,6,8及び9は、甲第1号証ないし甲第9号証及び甲第11号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではなく、特許法第29条第2項の規定に該当しない発明である。

4.小括
以上のことから、当審が令和2年12月7日付けで特許権者に通知した取消理由1ないし4はいずれも解消されており、本件特許2ないし10を取り消す理由とはならない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.甲号証について
申立人AおよびBが特許異議申立書において証拠として提示した甲号証は、上記「第4 1.」で整理し、その内容は「第5 2.」に示したとおりである。

2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人A及びBが特許異議申立書において申し立てた理由のうち、上記「第5 1.」の取消理由通知で採用した理由以外の特許異議申立理由の概要は以下のとおりである。
(1)申立人Aによりなされた異議申立1の取消理由2
ア 本件発明2ないし4は、甲2発明である、又は甲2発明と甲1発明から当業者が容易になしえた発明である。
イ 本件発明5ないし10は、甲2発明と、周知技術、甲1発明又は甲3発明を参酌することにより、当業者が容易になしえた発明である。
(2)申立人Bによりなされた異議申立2の取消理由4
ア 発明の詳細な説明は、本件発明2ないし10を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえない。

3.当審の判断
(1)申立人Aによりなされた異議申立1の取消理由2について
ア 甲第2号証
甲第2号証に記載された発明である甲2発明は、上記「第5 2.(2)」のとおりである。
イ 対比・判断
本件発明2と甲2発明とを比較する。
(ア)甲2発明の「測定すべき抗原または抗体」は、本件発明2における「測定対象物質」に相当する。
(イ)甲2発明の「抗原抗体反応の測定方法」は、本件発明2における「免疫学的測定」に相当する。
(ウ)甲2発明の「測定すべき抗原または抗体を含む試料を、該反応媒体に可溶なデキストラン硫酸で処理し、得られる試料を用いて該反応をデキストラン硫酸の存在下に行な」うことから、甲2発明と本件発明2とは、「測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行い、前記硫酸化多糖類がデキストラン硫酸である」点で一致する。

すると、本件発明2と、甲2発明とは、
「測定対象物質の免疫学的測定において、測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行い、前記硫酸化多糖類がデキストラン硫酸である、前記方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点3>
本件発明2は「抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法」であるのに対し、甲2発明は上記構成を備えていない点。
<相違点4>
測定対象物質が、本件発明2は「生体試料中の」「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原である」のに対し、甲2発明は「測定物および反応物となる抗原としては、例えば蛋白質、ポリペプチド、ステロイド、多糖類、脂質、花粉、塵あるいはハプテン等種々のものが挙げられ、抗体としては、例えば上記した抗原に対する抗体である蛋白質が挙げられる」点。

上記各相違点のうち、<相違点4>は、上記「第5 3.(3)ないし(4)」で検討した<相違点2>に係る構成である。よって、上記「第5 3.(4)」で検討したとおり、<相違点4>に係る構成を備える本件発明2は、甲第1号証ないし甲第9号証及び甲第11号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではない。

ウ 小括
したがって、本件発明2及び本件発明2を引用する本件発明4,5,6,8及び9は、甲第1号証ないし甲第9号証及び甲第11号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではなく、特許法第29条第2項の規定に該当しない発明である。
以上のことから、取消理由で採用しなかった申立人Aによりなされた異議申立1の取消理由2は採用することができない。

(2)申立人Bによりなされた異議申立2の取消理由4について
申立人Bは、訂正前の請求項2に係る発明は、「測定対象物質」、「免疫学的測定方法」、「硫酸化多糖類」についての限定がなく、発明の詳細な説明が訂正前の請求項2に係る発明及び請求項2を引用する請求項3ないし10に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない旨主張する。
しかしながら、本件発明2は、上記「第5 3.(1)」で検討したとおり、訂正により「硫酸化多糖類」が「デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸」に限定され、「測定対象物質」が「可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原」に限定された発明となり、発明の詳細な説明に記載された発明である。
そして、本件発明2の免疫学的測定方法の実施にあたり、硫酸化多糖類であるデキストラン硫酸やβシクロデキストリン硫酸をどの程度添加するかを決定する際には、段落【0027】に記載された濃度を参照して、当業者が「生体試料中の測定対象物質(例えば、sIL-2R)を検出する場合に、一般的に多用される、異なる血液凝固阻害剤の使用による血清、ヘパリン加血漿といった被検試料の種類に関わらず、被検試料中の干渉物質の影響を受けることなく安定的で高精度な測定値を得る」(段落【0007】参照。)という課題を解決できるよう、その添加濃度を適宜選択して実施することができると認められる。
さらに、免疫学的測定方法は、段落【0014】に様々な測定法を使用できることが例示されていることから、当業者がその測定方法を適宜選択して実施することができると認められる。
よって、発明の詳細な説明は、本件発明2及び本件発明2を引用する本件発明4,5,6,8及び9を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されている。
したがって、本件発明2及び本件発明2を引用する本件発明4,5,6,8及び9は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである。
以上のことから、申立人Bによりなされた異議申立2の取消理由4は採用することができない。

(3)小括
以上のことから、当審が取消理由通知において採用しなかった上記2つの特許異議申立理由は、本件発明1ないし10に係る特許を取り消す理由とはならない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2,4ないし6,8,9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2,4ないし6,8,9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項3,7,10に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人A及びBによる特許異議の申立てについて、、請求項3,7,10に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
生体試料中の測定対象物質の免疫学的測定において、抗凝固剤としてヘパリンを添加した血液試料を用いた場合の測定値と、血清を用いた場合の測定値との間の乖離を減少させる方法であって、測定対象物質と該測定対象物質に特異的に結合する抗体との免疫複合体の形成を硫酸化多糖類の存在下で行い、前記硫酸化多糖類が、デキストラン硫酸又はβシクロデキストリン硫酸であり、前記測定対象物質が、可溶性インターロイキン2受容体又は前立腺特異抗原であることを特徴とする、前記方法。
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記硫酸化多糖類を検体希釈液及び/又は抗体溶液に含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記形成された免疫複合体をB/F分離する工程を含む、請求項2又は4に記載の方法。
【請求項6】
測定対象物質に特異的に結合する第1抗体と第2抗体を接触させ、抗原抗体反応により形成された免疫複合体を測定する、請求項2、4、及び5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
請求項2及び4?6のいずれか一項に記載の方法のための、測定対象物質に特異的に結合する抗体と、硫酸化多糖類を含有する緩衝液を含む、該測定対象物質測定キット。
【請求項9】
前記抗体として、磁性粒子に担持された前記測定対象物質に特異的に結合する抗体を含む、請求項8に記載のキット。
【請求項10】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-05-14 
出願番号 特願2018-512041(P2018-512041)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G01N)
P 1 651・ 536- YAA (G01N)
P 1 651・ 161- YAA (G01N)
P 1 651・ 113- YAA (G01N)
P 1 651・ 121- YAA (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 三木 隆  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 渡戸 正義
伊藤 幸仙
登録日 2020-02-28 
登録番号 特許第6668459号(P6668459)
権利者 株式会社LSIメディエンス
発明の名称 硫酸化多糖類を用いた免疫学的測定法  
代理人 森田 憲一  
代理人 山口 健次郎  
代理人 森田 憲一  
代理人 山口 健次郎  
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