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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
審判 全部申し立て 発明同一  C08J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08J
管理番号 1376705
異議申立番号 異議2020-700610  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-18 
確定日 2021-06-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6650466号発明「スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6650466号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-8]について訂正することを認める。 特許第6650466号の請求項1、2、4ないし8に係る特許を維持する。 特許第6650466号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6650466号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、2016年(平成28年)11月 2日(優先権主張 平成27年11月20日)を国際出願日とする特許出願であって、令和 2年 1月22日にその特許権の設定登録(請求項の数8)がされ、同年 2月19日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、令和 2年 8月18日に特許異議申立人 杉村勝(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、同年12月 4日付けで取消理由が通知され、令和 3年 2月 4日に特許権者 株式会社カネカ(以下、「特許権者」という。)より意見書の提出及び訂正の請求がされ、同年 3月15日付けで特許法第120条の5第5項に基づく通知を行ったところ、同年 4月 9日に特許異議申立人より意見書の提出がされたものである。

第2 訂正の許否についての判断

1 訂正の内容

本件訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。)

(1) 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に、
「難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を10mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。」
とあるのを、
「難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
さらに、前記スチレン系樹脂押出発泡体は、前記スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有するものであり、
前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。」
に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2、4ないし8も同様に訂正する。

(2) 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(3) 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項4を請求項1又は2を引用するものに改め、
「前記アルコールがエタノール、プロピルアルコール、及びi-プロピルアルコールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。」
に訂正する。
請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項5ないし8も同様に訂正する。

(4) 訂正事項4

特許請求の範囲の請求項5を請求項1、2、4のいずれかを引用するものに改め、
「前記炭素数3?5の飽和炭化水素の添加量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上3.0重量部以下であることを特徴とする、請求項1、2、4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。」
に訂正する。
請求項5の記載を直接又は間接的に引用する請求項6ないし8も同様に訂正する。

(5) 訂正事項5

特許請求の範囲の請求項6を請求項1、2、4、5のいずれかを引用するものに改め、
「前記ハイドロフルオロオレフィンが、テトラフルオロプロペンであることを特徴とする、請求項1、2、4、5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。」
に訂正する。
請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項7、8も同様に訂正する。

(6) 訂正事項6

特許請求の範囲の請求項7を請求項1、2、4?6のいずれかを引用するものに改め、
「厚みが10mm以上150mm以下であることを特徴とする、請求項1、2、4?6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。」
に訂正する。
請求項7の記載を引用する請求項8も同様に訂正する。

(7) 訂正事項7

特許請求の範囲の請求項8を1、2、4?7のいずれかを引用するものに改め、
「前記スチレン系樹脂100重量部に対して臭素系難燃剤を0.5重量部以上5.0重量部以下含有することを特徴とする、請求項1、2、4?7のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。」
に訂正する。

なお、請求項1ないし8は、一群の請求項である。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1) 訂正事項1に係る請求項1の訂正について

請求項1に係る訂正のうち、スチレン系樹脂押出発泡体に関し、「スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有する」ことを特定する訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、「前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を10mol%とした場合」を「前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合」とする訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。
さらに、「ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を10mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、」との記載の前に「前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、」と付記する訂正は、「ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下」であることが「スチレン系樹脂を発泡させる工程」における条件であることを明瞭にするための記載である。
そして、上記の通り特定することはいずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、4ないし8についても同様である。

(2) 訂正事項2に係る請求項3の訂正について

請求項3に係る訂正は、請求項3の削除を目的とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(3) 訂正事項3ないし7に係る請求項4ないし8の訂正について

請求項4ないし8の訂正はいずれも、請求項3の削除に伴い、引用先請求項から請求項3を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、請求項4ないし8の訂正はいずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

3 小括

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-8]について訂正することを認める。

第3 本件発明

上記第2のとおり、訂正後の請求項[1-8]について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし8に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明8」という。また、総称して「本件発明」という。)は、令和 3年 2月 4日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
さらに、前記スチレン系樹脂押出発泡体は、前記スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有するものであり、
前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項2】
前記ハイドロフルオロオレフィンの添加量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して3.0重量部以上14.0重量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載のスチレン樹脂押出発泡体。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記アルコールがエタノール、プロピルアルコール、及びi-プロピルアルコールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項5】
前記炭素数3?5の飽和炭化水素の添加量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上3.0重量部以下であることを特徴とする、請求項1、2、4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項6】
前記ハイドロフルオロオレフィンが、テトラフルオロプロペンであることを特徴とする、請求項1、2、4、5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項7】
厚みが10mm以上150mm以下であることを特徴とする、請求項1、2、4?6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項8】
前記スチレン系樹脂100重量部に対して臭素系難燃剤を0.5重量部以上5.0重量部以下含有することを特徴とする、請求項1、2、4?7のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。」

第4 特許異議申立人が主張する特許異議申立理由について

特許異議申立人が、請求項1ないし8に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

申立理由1-1(拡大先願) 本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特願2014-118315号(甲第1号証)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由1-2(拡大先願) 本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特願2015-213807号(甲第2号証)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由2(進歩性) 本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、甲第3号証に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有するもの(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

申立理由3(明確性) 本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

なお、申立理由3の具体的理由は概略次のとおり。

・申立理由3-1
本件発明1は、物の発明についての請求項にその物の製造方法が記載されている。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし8も同様である。

・申立理由3-2
発泡体の難燃性及び断熱性は、発泡体製造時の発泡剤としてのハイドロフルオロオレフィンとアルコールの添加量のモル比ではなく、発泡体中に残存する発泡剤の絶対的な量に大きく依存する。しかしながら、本件発明1には、「押出発泡体中に残存する発泡剤の絶対量」について明確に規定した構成要件がないことから、本件発明1は実施不可能部分を含むものである。

<証拠方法>
甲第1号証:特開2015-229771号公報
甲第2号証:特開2017-082147号公報
甲第3号証:特開2013-194101号公報
甲第4号証:特表2012-516381号公報
甲第5号証(参考資料1):特開2019-031636号公報
甲第6号証(参考資料2):国際公開第2012/105657号
甲第7号証(参考資料3):特開2012-56866号公報
(各甲号証の記載はおおむね、特許異議申立書における表記にしたがった。)

第5 令和 2年12月 7日付けで特許権者に通知した取消理由の概要

請求項1ないし8に係る特許に対して、当審が令和 2年12月 7日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。(なお、特許異議申立理由のうち、申立理由1-1、1-2、3-1はいずれも、取消理由に包含される。)

取消理由1:(明確性)本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

なお、取消理由1の具体的理由の概略は次のとおり。

(1) ハイドロフルオロオレフィン、アルコール及び炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することの意味に関する点

本件発明1における、
「ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有すること」
とは、製造された物である「スチレン系樹脂押出成形体」に含まれる成分を特定するものであるのか、「スチレン系樹脂押出成形体」を製造するにあたっての原料を特定するものであるのか、その意味が明確であるとはいえない。

(2) 物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合の明確性要件について

本件発明1?8は、「スチレン系樹脂押出成形体」に関する発明(物の発明)であるが、原料の意味で「ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有する」という、その物の製造方法が記載されているものと認められる。
ここで、物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合において、当該請求項の記載が特許法第36条第6項第2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するときに限られると解するのが相当である(最二小判平成27年6月5日 平成24年(受)1204号、同2658号)。
しかしながら、不可能・非実際的事情が存在することについて、明細書等に記載がなく、また、出願人から主張・立証がされていないため、その存在を認める理由は見いだせない。

取消理由2(拡大先願)本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

・先願1:特願2014-118315号(甲第1号証)
・先願2:特願2015-213807号(甲第2号証)

第6 当審の判断

1 取消理由について

(1)取消理由1(明確性)について

ア 「(1) ハイドロフルオロオレフィン、アルコール及び炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することの意味に関する点」

本件発明1は訂正により、
「難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
さらに、前記スチレン系樹脂押出発泡体は、前記スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有するものであり、
前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。」
となり、「スチレン系樹脂を発泡させる工程」において、「前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有する」であることが明確にされた。
よって、取消理由1(1)に理由はない。

イ 「物の発明に係る請求項にその物の製造方法が記載されている場合の明確性要件について」

本件発明1は、スチレン系樹脂押出発泡体に関し、「前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、」と、その物の製造方法により物を特定するものである。
この点について、ハイドロフルオロオレフィン、アルコール、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルは、いわゆる発泡剤として機能するものであり、これら発泡剤の成分は経時的に発泡成形体から揮発してしまうことは、本願出願時の技術常識といえる。
加えて、これら発泡剤は、種類によって、発泡成形体からの揮発しやすさが異なる。また、発泡成形体の樹脂の組成が異なる場合、一般的にガスの透過速度が異なることも知られている。
してみると、発泡剤による構成上の特徴は、経時的に変化するものであるから、通常用いられる指標によっては規定することができず、本件発明の特徴を物の構造又は特性により直接特定することには、「不可能あるいは非実際的事情」があるものといえる。
よって、取消理由1(2)に理由はない。

(2)取消理由2(拡大先願)について

ア 先願1を根拠とする理由について

(ア) 先願1の記載事項

本件特許の優先権主張日前の特許出願であって、その優先権主張日後に出願公開がされた先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願1明細書等」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付したものである。以下、同様。)

「【請求項1】
熱可塑性樹脂と物理発泡剤と難燃剤とを含有する発泡性樹脂溶融物を押出発泡する、厚さ10?150mm、見かけ密度20?50kg/m^(3)の押出発泡断熱板を製造する方法において、
該熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂と、JIS K7122に基づく融解熱量が5J/g未満であるポリエチレンテレフタレート系共重合体(I)との混合物であり、
該ポリスチレン系樹脂と該共重合体(I)の重量比率が95:5?50:50であり、
該物理発泡剤として、炭素数3?5の飽和炭化水素とハイドロフルオロオレフィンと炭素数1?5の脂肪族アルコールとを少なくとも用いることを特徴とする、熱可塑性樹脂押出発泡断熱板の製造方法。
【請求項2】
前記物理発泡剤が、20?60モル%の炭素数3?5の飽和炭化水素と、3?50モル%のハイドロフルオロオレフィンと、3?40モル%の炭素数1?5の脂肪族アルコールと、0?50モル%の水(ただし、炭素数3?5の飽和炭化水素と、ハイドロフルオロオレフィンと、炭素数1?5の脂肪族アルコールと、水との配合割合の合計量は100モル%である)とからなる、請求項1に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板の製造方法。
【請求項3】
前記ハイドロフルオロオレフィンの配合量(a)が熱可塑性樹脂1kgあたり0.1?0.5モルであり、前記炭素数1?5の脂肪族アルコールの配合量(b)が熱可塑性樹脂1kgあたり0.05?0.3モルであり、前記配合量(b)に対する前記配合量(a)のモル比(a/b)が0.3?4である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板の製造方法。
【請求項4】
前記ハイドロフルオロオレフィンが1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンから選択される少なくとも1種である、請求項1?3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板の製造方法。
【請求項5】
前記共重合体(I)が、ジオール成分として環状エーテル骨格を有するグリコール成分を含む、請求項1?4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板の製造方法。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性脂押出発泡断熱板の製造方法に関し、詳しくは、建築物の壁、床、屋根等の断熱材として好適に使用可能な熱可塑性樹脂押出発泡断熱板の製造方法に関するものである。」

「【0008】
本発明は、オゾン破壊係数や、地球温暖化係数が小さい物理発泡剤を用いて、従来の発泡断熱板よりも熱伝導率が小さく、より長期断熱性に優れる熱可塑性樹脂押出発泡断熱板の製造方法を開発することを課題とするものである。」

「【0072】
前記臭素系難燃剤の総配合量は、所望の難燃性に応じて適宜決定されるものであるが、JIS A9511(2006R)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板の燃焼性規格を満足するポリスチレン系樹脂押出発泡体を得るためには、熱可塑性樹脂100重量部に対して1?10重量部配合することが好ましく、より好ましくは2?8重量部である。上記範囲内であれば、難燃剤が発泡性を阻害することなく、良好な表面状態の押出発泡体が得られる。」

「【0077】
本発明においては熱可塑性樹脂に、断熱性向上剤を配合してさらに断熱性を向上させることができる。断熱性向上剤としては、例えば、酸化チタン等の金属酸化物、アルミ等の金属、セラミック、カーボンブラック、黒鉛等の微粉末、赤外線遮蔽顔料、ハイドロタルサイトなどが例示される。これらは1種又は2種以上を使用することができる。該断熱性向上剤の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.5?5重量部の範囲で使用される。」

「【実施例1】
【0099】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0100】
実施例及び比較例で使用したポリスチレン系樹脂を表1に、共重合体(I)を表2に示す。
なお、実施例、比較例ではポリスチレン系樹脂として、表1に示す樹脂の混合樹脂を用いた。
樹脂1:表1に示すPS1とPS2の配合比率が、PS1:PS2=60重量%:40重量%の混合樹脂(なお、この配合比率で溶融混練してペレットとし、このペレットの溶融粘度を測定すると、溶融粘度は(200℃、100s-1)950Pa・sであった)。
樹脂2:PS1:PS2=65重量%:35重量%の混合樹脂(上記と同様にして測定した溶融粘度(200℃、100s-1)は906Pa・sであった。
樹脂3:PS1:PS2=50重量%:50重量%の混合樹脂(上記と同様にして測定した溶融粘度(200℃、100s-1)は1069Pa・sであった。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
気泡調整剤
ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、タルク(松村産業(株)製、商品名:ハイフィラー#12)60重量%を含有するタルクマスターバッチを用いた。
【0104】
難燃剤
SR130:テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬製SR130)
SR720:テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)(第一工業製薬製SR720)
FR122P:臭素化されたブタジエン-スチレン共重合体(ICL-IP社のFR122P)
【0105】
発泡剤
(1)炭素数3?5の飽和炭化水素:イソブタン(略称「i-Bu」)
(2-1)HFO:トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(略称「HFO1234ze」)
(2-2)HFO:ssトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(略称「HFO1233zd」)
(3)炭素数1?5の脂肪族アルコール:エタノール
(4)水
【0106】
装置
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、間隙1mm×幅115mmの幅方向断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結されており、更にフラットダイの樹脂出口にはこれと平行するように上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板が設置された賦形装置(ガイダー)が付設されている製造装置を用いた。
【0107】
実施例1?10、比較例1?6
表3、表4中に示すそれぞれの配合量となるように樹脂、難燃剤及び気泡調整剤を、前記第1押出機に供給し、これらを220℃まで加熱し、溶融、混練し、第1押出機の先端付近に設けられた発泡剤注入口から表3、表4中に示す配合組成の物理発泡剤を表中に示す割合で溶融物に供給し溶融混練して発泡性樹脂溶融物とし、続く第2押出機及び第3押出機に供給して樹脂温度を表中に示すような発泡適性温度(表中では押出樹脂温度と表記した。この発泡温度は押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性樹脂溶融物の温度である。)に調整した後、吐出量70kg/hrでダイリップからガイダー内に押出し、発泡させながら厚み方向に28mmの間隙で平行に配置されたガイダー内を通過させることにより板状に成形(賦形)し熱可塑性樹脂押出発泡断熱板(厚み28mm)を製造した。得られた発泡断熱板の物性、評価結果を表3、表4にまとめて示す。
【0108】
【表3】



(イ) 先願1明細書等に記載された発明

(ア)の記載、特に実施例10の記載を中心に整理すると、先願1明細書等には以下の発明(以下、「先願1発明」という。)が記載されていると認める。

「下記に示すそれぞれの配合量となるように熱可塑性樹脂、難燃剤及び物理発泡剤を、押出機に供給し、板状に成形(賦形)し得られた、厚み28mm、見かけ密度35kg/m^(3)、独立気泡率95%の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。

(熱可塑性樹脂)
・表1に示すPS1とPS2の配合比率が、PS1:PS2=60重量%:40重量%の混合樹脂:80重量%
【表1】

・表2に示すSPET:20重量%
【表2】

(難燃剤)
・SR130:テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬製SR130)を、熱可塑性樹脂100重量部に対して、3.2重量部
・SR720:テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)(第一工業製薬製SR720)を、熱可塑性樹脂100重量部に対して、2.2重量部
(物理発泡剤)
・イソブタン(略称「i-Bu」)を、熱可塑性樹脂1kgに対して0.4mol
・トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(略称「HFO1234ze」)を、熱可塑性樹脂1kgに対して0.35mol
・エタノールを、熱可塑性樹脂1kgに対して0.16mol」

(ウ) 対比・判断

A 本件発明1について

本件発明1と先願1発明を対比する。

(スチレン系樹脂押出発泡体について)
先願1発明の「熱可塑性樹脂」には、「PS1とPS2の配合比率が、PS1:PS2=60重量%:40重量%の混合樹脂」が80重量%含まれるところ、PS1、PS2はともに、ポリスチレンであるから、先願1発明の「熱可塑性樹脂」を構成する「PS1とPS2の混合樹脂」は、本件発明1の「スチレン系樹脂」に相当し、先願1発明の「熱可塑性樹脂押出発泡断熱板」は、本件発明1の「スチレン系樹脂押出発泡体」に相当する。
そして、先願1発明の「熱可塑性樹脂押出発泡断熱板」は、「見かけ密度35kg/m^(3)」、「独立気泡率95%」であるから、本件発明1の「スチレン系樹脂押出発泡体」の、「見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上」との特定事項を有している。

(難燃剤について)
先願1発明の「SR130:テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬製SR130)」、「SR720:テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)(第一工業製薬製SR720)」は、いずれも難燃剤であり、その添加割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、(3.2重量部+2.2重量部)である。そして、先願1発明の熱可塑性樹脂のうち、ポリスチレンは、80重量%を占めるものであるから、先願1発明のポリスチレン(スチレン系樹脂)に対する難燃剤の割合は、(3.2重量部+2.2重量部)/(80/100)=6.75重量部となり、本件発明1の難燃剤の割合である、「スチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有」との特定事項を有している。

(ハイドロフルオロオレフィンとアルコールについて)
先願1発明の「トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(略称「HFO1234ze」)」、「エタノール」はそれぞれ、本件発明1の「ハイドロフルオロオレフィン」、「アルコール」に相当する。
そして、そのmol比率について、先願1発明は、「HFO1234ze」を、熱可塑性樹脂1kgに対して0.35mol、「エタノール」を、熱可塑性樹脂1kgに対して0.16mol添加するものであるから、「HFO1234ze」と「エタノール」の添加量のmol比率は、
・「HFO1234ze」:0.35/(0.35+0.16)
≒68.6mol%
・「エタノール」 :0.16/(0.35+0.16)
≒31.4mol%
となり、先願1発明は、本件発明1の「前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下」との特定事項を有している。

(炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することについて)
先願1発明の「イソブタン(略称「i-Bu」)」は、炭素数3の飽和炭化水素であるから、本件発明1の「炭素数3?5の飽和炭化水素」に相当する。

以上の点をふまえると、両者は、
「難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有する、スチレン系樹脂押出発泡体。」
の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
スチレン系樹脂押出発泡体において、本件発明1は、「スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有する」ことを特定するのに対し、先願1発明にはそのような特定がない点。

上記相違点1について検討する。
先願1明細書等には、「熱可塑性樹脂押出発泡断熱板」に対し、断熱性向上剤として「黒鉛」を添加しうることが記載されている(段落【0077】)
しかしながら、本件発明1は、グラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有させるものにおいても、「優れた断熱性及び難燃性を有し、更に、外観美麗で、且つ、使用に適した十分な厚みのスチレン系樹脂押出発泡体を得る」(段落【0010】)ものであり、その効果についても、実施例及び比較例を通じて裏付けられている。
してみると、相違点1は、実質的な相違点であるといえるから、本件発明1と先願1発明は同一ではない。

B 本件発明2及び4ないし8について

本件発明2及び4ないし8はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記(1)のとおり、本件発明1は先願1発明と同一ではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である本件発明2及び4ないし8も、先願1発明と同一ではない。

イ 先願2を根拠とする理由について

(ア) 先願2の記載事項

本件特許の優先権主張日前の特許出願であって、その優先権主張日後に出願公開がされた先願2の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願2明細書等」という。)には、次の記載がある。

「【請求項1】
ポリスチレン系樹脂、物理発泡剤及び難燃剤を混練してなる発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡させ板状に成形する工程を含むポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法において、
前記難燃剤が、臭素化ブタジエン-スチレン系共重合体を含み、
前記物理発泡剤が、10?60mol%の炭素数3?6の飽和炭化水素と、5?50mol%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと、50mol%以下(0を含む)のその他の発泡剤とからなり(ただし、飽和炭化水素、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及びその他の発泡剤の合計が100mol%である)、
前記物理発泡剤の総配合量が前記ポリスチレン系樹脂1kgに対して0.8?2.0molであり、かつ、前記1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの配合量が前記ポリスチレン系樹脂1kgに対して0.1?0.6molであることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法。
【請求項2】
前記その他の発泡剤が、エタノール、二酸化炭素及び水から選択される1又は2以上の発泡剤を主成分とし、前記物理発泡剤中の前記その他の発泡剤の割合が5?50mol%であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法。
【請求項3】
前記飽和炭化水素がブタンであり、その配合量が前記ポリスチレン系樹脂1kgに対して0.1?0.7molであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法。
【請求項4】
前記ポリスチレン系樹脂発泡板の見掛け密度が20kg/m^(3)以上40kg/m^(3)未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法。
【請求項5】
前記ポリスチレン系樹脂発泡板の幅が800mm以上、かつ、押出方向垂直断面積が200cm2以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法に関する。」

「【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、ポリマータイプの臭素系難燃剤を用いても、発泡体外観と製造安定性に優れた発泡板を得ることが可能なポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法を提供することを課題とする。」

「【0027】
[飽和炭化水素]
本発明で用いる炭素数3?6の飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、シクロブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等を用いることができ、これらの飽和炭化水素は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。
【0028】
また、飽和炭化水素の配合量は、飽和炭化水素、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及びその他の発泡剤の合計を100mol%とした場合、10?60mol%の範囲である。
【0029】
本発明においては、上記飽和炭化水素の中でもn-ブタン、イソブタンが好ましく、その配合量としては、ポリスチレン系樹脂1kgに対して0.1?0.7mol、好ましくは0.2?0.6molの範囲である。
【0030】
飽和炭化水素の配合量を上記の下限値以上とすることにより、押出後の発泡体収縮を抑制することができ、上記の上限値以下とすることにより難燃性を維持させることができる。」

「【0031】
[1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン]
本発明で用いる1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの配合量としては、飽和炭化水素、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及びその他の発泡剤の合計を100mol%とした場合、5?50mol%、好ましくは10?50mol%の範囲である。
【0032】
また、ポリスチレン系樹脂1kgに対する配合量は0.05?0.6mol、好ましくは0.1?0.6molの範囲である。
【0033】
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの配合量を上記の下限値以上とすることにより、良好な表面性の外観を有する発泡体を得ることができる。また、上記の上限値以下とすることにより優れた発泡性を発揮するとともに、スポットと呼ばれる過大気泡の発生がない良好な外観の発泡体を得ることができる。」

「【0043】
輻射抑制剤としては、例えば、輻射抑制効果を有する微粉末状のものが挙げられ、具体的には、酸化チタン等の金属酸化物、アルミニウム等の金属、カーボンブラック、黒鉛等のカーボン、セラミック等を例示することができる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。輻射抑制剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対し、0.5?5質量部、好ましくは1?4質量部の範囲で使用される。」

「【実施例】
【0054】
以下、本発明のポリスチレン系樹脂発泡板の製造方法について、実施例により具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0055】
[装置]
内径150mmの第1押出機と内径200mmの第2押出機とが直列に連結されており、間隙4mm×幅370mmの幅方向断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結され、該フラットダイの樹脂出口には、これと平行するように設置された上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板により構成された賦形装置(間隔100mm)が付設されている押出装置を用いた。
【0056】
なお、上記製造装置に導入する各材料は、以下のものを用いた。
[ポリスチレン系樹脂]
ポリスチレン:重量平均分子量Mw=27万、溶融粘度1100Pa・s(重量平均分子量Mw=32万のポリスチレン50質量%と重量平均分子量Mw=20万のポリスチレン50質量%との混合樹脂)
上記溶融粘度は、キャピログラフ1D((株)東洋精機製作所製)の流動特性測定機を用いて、温度200℃、せん断速度100秒-1の条件で測定した値である。
【0057】
[難燃剤]
Br-SBS:臭素化ブタジエン-スチレンブロック共重合体(ICL-IP製、製品名「FR-122P」)
660:トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート(鈴裕化学製、製品名「FCP-660」)
【0058】
[物理発泡剤]
飽和炭化水素:イソブタン
1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO1233zd):(ハネウェル製、製品名「ソルスティス1233zd(E)」)その他の発泡剤:二酸化炭素、水、エタノール」

「【0060】
(製造条件)
表1に示す配合及び配合量となるように、ポリスチレン系樹脂、難燃剤、さらに難燃助剤、熱安定剤及び気泡調整剤を、前記装置の第1押出機に供給し、200℃まで加熱し、これらを混練し、発泡剤注入口から表1に示す配合組成及び量の物理発泡剤を溶融物に供給してさらに混練した。そして、その発泡性樹脂溶融物を順次第2押出機に供給するとともに、樹脂温度を同表に示すような発泡に適した発泡樹脂温度(押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性樹脂溶融物の温度)に調整した後、吐出量800kg/hrでダイリップからガイダー内に押出し、ガイダー内を通過させ板状に成形(賦形)し、さらに、切削加工により原板の幅及び長さを調整して、実施例1?5及び比較例1?3の直方体状のポリスチレン系樹脂発泡板(幅:1000mm、長さ:2000mm、厚み:100mm、押出方向断面積:1000cm^(2))を得た。なお、製造直後に発泡板を23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に移し、該恒温恒湿室内に発泡板を静置した。
【0061】
得られた上記実施例1?7及び比較例1?3のポリスチレン系樹脂発泡板について、見かけ密度、厚み、断面積、独立気泡率(以上の項目は製造後5日後)、熱伝導率(製造後5日後及び30日後)を以下の方法で測定し、難燃性、外観(表面性及びスポット)製造安定性について以下の基準で評価した。その結果を表1及び表2に示す。」

「【0071】
【表1】



(イ) 先願2明細書等に記載された発明

(ア)の記載、特に実施例4の記載を中心に整理すると、先願2明細書等には以下の発明(以下、「先願2発明」という。)が記載されていると認める。

「下記に示すそれぞれの配合量となるようにポリスチレン系樹脂、難燃剤及び発泡剤を、押出機に供給し、板状に成形(賦形)し得られた、厚み100mm、見かけ密度36kg/m3、独立気泡率95%のポリスチレン系樹脂発泡板。

(ポリスチレン系樹脂)
・重量平均分子量Mw=27万、溶融粘度1100Pa・s(重量平均分子量Mw=32万のポリスチレン50質量%と重量平均分子量Mw=20万のポリスチレン50質量%との混合樹脂)を100質量部
(難燃剤)
・Br-SBS(臭素化ブタジエン-スチレンブロック共重合体(ICL-IP製、製品名「FR-122P」))をポリスチレン系樹脂100質量部に対して2.0質量部
(発泡剤)
・1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO1233zd):(ハネウェル製、製品名「ソルスティス1233zd(E)」)をポリスチレン系樹脂1kgに対して0.15mol
・エタノールをポリスチレン系樹脂1kgに対して0.07mol
・イソブタンをポリスチレン系樹脂1kgに対して0.60mol」

(ウ) 対比・判断

A 本件発明1について

本件発明1と先願2発明を対比する。

(スチレン系樹脂押出発泡体について)
先願2発明の「ポリスチレン系樹脂」は、本件発明1の「スチレン系樹脂」に相当し、先願2発明の「ポリスチレン系樹脂発泡板」は、本件発明1の「スチレン系樹脂押出発泡体」に相当する。
そして、先願2発明の「ポリスチレン系樹脂発泡板」は、「見かけ密度36kg/m^(3)」、「独立気泡率95%」であるから、本件発明1の「スチレン系樹脂押出発泡体」の、「見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上」との特定事項を有している。

(難燃剤について)
先願2発明の「Br-SBS(臭素化ブタジエン-スチレンブロック共重合体(ICL-IP製、製品名「FR-122P」))」は難燃剤であり、その添加割合は、ポリスチレン系樹脂100質量部に対して、2.0質量部であるから、本件発明1の難燃剤の割合である、「スチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有」との特定事項を有している。

(ハイドロフルオロオレフィンとアルコールについて)
先願2発明の「1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO1233zd)」、「エタノール」はそれぞれ、本件発明1の「ハイドロフルオロオレフィン」、「アルコール」に相当する。
そして、そのmol比率について、先願2発明は、「HFO1233zd」を、ポリスチレン系樹脂1kgに対して0.15mol、「エタノール」を、ポリスチレン系樹脂1kgに対して0.07mol添加するものであるから、「HFO1233zd」と「エタノール」の添加量のmol比率は、
・「HFO1233zd」:0.15/(0.15+0.07)
≒68.2mol%
・「エタノール」 :0.07/(0.15+0.07)
≒31.8mol%
となり、先願2発明は、本件発明1の「前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下」との特定事項を有している。

(炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することについて)
先願2発明の「イソブタン」は、炭素数3の飽和炭化水素であるから、本件発明1の「炭素数3?5の飽和炭化水素」に相当する。

以上の点をふまえると、両者は、
「難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有する、スチレン系樹脂押出発泡体。」
の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点2)
スチレン系樹脂押出発泡体において、本件発明1は、「スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有する」ことを特定するのに対し、先願2発明にはそのような特定がない点。

上記相違点2について検討する。

先願2明細書等には、「ポリスチレン系樹脂発泡板」に対し、輻射抑制剤として「黒鉛」を添加しうることが記載されている(段落【0043】)
しかしながら、本件発明1は、グラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有させるものにおいても、「優れた断熱性及び難燃性を有し、更に、外観美麗で、且つ、使用に適した十分な厚みのスチレン系樹脂押出発泡体を得る」(段落【0010】)ものであり、その効果についても、実施例及び比較例を通じて裏付けられている。
してみると、相違点2は、実質的な相違点であるといえるから、本件発明1と先願2発明は同一ではない。

B 本件発明2及び4ないし8について

本件発明2及び4ないし8はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記(1)のとおり、本件発明1は先願2発明と同一ではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である本件発明2及び4ないし8も、先願2発明と同一ではない。

2 取消理由で採用しなかった特許異議申立理由書に記載した申立ての理由について

(1) 申立理由3-2(明確性)について

本件発明1は、
「難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
さらに、前記スチレン系樹脂押出発泡体は、前記スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有するものであり、
前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。」
であり、スチレン系樹脂押出発泡体として、
「難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上である」ことは明らかである。
してみれば、本件発明1の「スチレン系樹脂押出発泡体」そのものの性状は明らかであるといえるから、本件発明1は明確でないとはいえない。

なお、特許異議申立人は、本件発明1には、「押出発泡体中に残存する発泡剤の絶対量」について明確に規定した構成要件がないことを主張しているが、上記1(1)イで検討したとおり、発泡剤による構成上の特徴は、経時的に変化するものであるから、通常用いられる指標によっては規定することができず、本件発明の特徴を物の構造又は特性により直接特定することには、「不可能あるいは非実際的事情」があるものといえるから、発泡体製造時の発泡剤としてのハイドロフルオロオレフィンとアルコールの添加量のモル比で特定することで、本件発明1が明確ではないものとはいえない。
よって、申立理由3-2に理由はない。

(2) 申立理由2(甲第3号証を主引用例とする進歩性)について

ア 甲第3号証の記載事項

本件特許の優先権主張日前に公開された甲第3号証には、次の記載がある。

「【請求項1】
ポリスチレン系樹脂を主成分とする基材樹脂と物理発泡剤と難燃剤とを含有する発泡性樹脂溶融物を押出発泡する、厚さ10?150mm、見かけ密度20?50kg/m^(3)、独立気泡率80%以上の押出発泡断熱板を製造する方法であって、前記物理発泡剤として、3?50モル%のハイドロフルオロオレフィンと、30?70モル%の炭素数3?5の飽和炭化水素と、5?50モル%の水及び/又は二酸化炭素(ただし、前記ハイドロフルオロオレフィンと、炭素数3?5の飽和炭化水素と、水及び/又は二酸化炭素の配合割合の合計量は100モル%である。)を用いることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板の製造方法。
【請求項2】
前記ハイドロフルオロオレフィン及び炭素数3?5の飽和炭化水素の配合量の合計が前記基材樹脂1kgあたり0.4?2モルであり、前記水及び/又は二酸化炭素の配合量の合計が前記基材樹脂1kgあたり0.05?0.6モルであることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板の製造方法。
【請求項3】
前記ハイドロフルオロオレフィンがテトラフルオロプロペンであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板の製造方法。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において、発泡剤として前記HFOを用い、ポリスチレン系樹脂を主成分とする基材樹脂を押出発泡した場合においては、厚みが厚く、さらに独立気泡率が高く、外観に優れる発泡断熱板、特に長期の断熱性に優れた高度な断熱特性を有する発泡断熱板を得ることに関しては未だ課題を有するものであった。
【0008】
本発明は、ポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板の製造に当たって、オゾン層破壊係数がゼロか又は極めて低く、地球温暖化係数も小さな物理発泡剤を使用して、熱伝導率が小さく、長期の断熱性や難燃性に優れ、高厚み、高発泡倍率で、外観等が良好なポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板の製造方法を提供することを目的とする。」

「【0018】
本発明の混合発泡剤において、前記HFO(C1)の配合割合は、前記発泡剤(C1)、(C2)、(C3)の合計を100モル%として、3?50モル%である。前記HFOの配合割合が低い場合にはHFOによる断熱性の向上効果が期待できない。一方、前記HFOの配合割合が上記範囲を超える場合には、前記HFOが押出発泡時に樹脂溶融物から分離して、発泡断熱板表面にスポット孔が発生したり、独立気泡率が低下してしまうおそれがある。上記観点から、前記HFOの配合割合は、好ましくは、5?45モル%であり、更に好ましくは10?40モル%である。
【0019】
また、前記HFO(C1)の配合量は、前記基材樹脂1kg当たり0.05?0.7モル/kgであることが好ましい。上記範囲内であれば、押出発泡後の発泡断熱板の気泡中にHFOが有効量残存して、長期断熱性を有する押出発泡断熱板を得ることができる。上記観点から、前記HFOの配合量は0.1?0.6モル/kgであることがより好ましい。
・・・(略)・・・
【0022】
該炭素数3?5の飽和炭化水素の配合割合は、前記発泡剤(C1)、(C2)、(C3)の合計を100モル%として、30?70モル%である。該配合割合が少なすぎると、発泡性樹脂溶融物の可塑化が不十分となって押出発泡安定性が低下したり、発泡断熱板の表面性が低下するおそれがある。一方、該配合割合が多すぎると発泡断熱板の難燃性が低下したり、発泡断熱板製造時に、静電気による着火の危険性が増加するおそれがある。かかる観点から、炭素数3?5の飽和炭化水素の配合割合は、物理発泡剤の(C1)?(C3)の合計を100モル%として、35?60モル%が好ましく、40?55モル%がより好ましい。
【0023】
また、上記炭素数3?5の飽和炭化水素の配合量は、前記基材樹脂1kg当たり、0.05モル?0.8モルであることが好ましい。上記範囲内であれば、押出発泡後の発泡断熱板の難燃性を阻害することなく、長期断熱性を有する、外観良好な押出発泡断熱板を製造することができる。上記観点から、前記炭素数3?5の飽和炭化水素の配合量は、前記基材樹脂1kg当たり、0.1?0.7モルであることがより好ましい。」

「【0030】
上記混合物理発泡剤以外の発泡剤として、本発明の所期の効果を阻害しない範囲内において添加できるものとしては、例えば、塩化アルキル、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類等が挙げられる。これらの発泡剤の中でも炭素数1?3の塩化アルキル、炭素数1?4の脂肪族アルコール、アルキル鎖の炭素数が1?3のエーテル類、蟻酸メチルなどのエステル類等が発泡剤として好適なものである。炭素数1?3の塩化アルキルとしては、例えば塩化メチル、塩化エチル等が挙げられる。炭素数1?4の脂肪族アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、アリールアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール等が挙げられる。アルキル鎖の炭素原子数が1?3のエーテル類としては、例えばジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチレンジメチルエーテル等が挙げられる。特に、発泡倍率向上効果などが期待できるものとして、塩化メチル、ジメチルエーテル、メタノール、エタノールが挙げられる。これらの発泡剤は上記特定の混合物理発泡剤に加えて、単独または2種以上を併用して添加することもできる。」

「【0036】
(III)難燃剤
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板の製造において使用できる難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく使用される。臭素系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2-ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)(=2,2-ビス[4-(2,3-ジブロモ-2-メチルプロポキシ)-3,5-ジブロモフェニル]プロパン)、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールS-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、デカブロモジフェニルオキサイド、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、N-2,3-ジブロモプロピル-4,5-ジブロモヘキサヒドロフタルイミド、臭素化ポリスチレン、臭素化ビスフェノールエーテル誘導体、SBSブロックポリマーなどが挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。上記の臭素系難燃剤の中でも、その熱安定性が高く、高い難燃効果が得られることから、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートが特に好ましい。なお、これらの難燃剤は単独または2種以上を併用して配合することもできる。
【0037】
また、2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル構造を有する臭素系難燃剤とその他の難燃剤との複合難燃剤を用いることが熱安定性の面で特に好ましい。上記の2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル構造を有す臭素系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールF-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)などが挙げられ、それらの中でもテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)が好ましい。
【0038】
ポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板中における難燃剤の含有量は、難燃性を向上させるとともに、発泡性の低下および機械的物性の低下を抑制するうえで、基材樹脂100重量部当たり1?10重量部が好ましく、1.5?7重量部がより好ましく、2?5重量部が更に好ましい。」

「【0041】
本発明により得られる押出発泡断熱板は、主に建築用断熱材料として使用されることから、JIS A9511(2006年)5・13・1に規定される、「測定方法A」に記載の押出ポリスチレンフォーム保温板を対象とする燃焼性規格を満足する高度な難燃性が要求される。さらに、本発明により得られる押出発泡断熱板は、JIS A9511(2006年)4.2で規定される熱伝導率の規格を満足することが望ましい。したがって、本発明における物理発泡剤としてのHFO、炭素数3?5の飽和炭化水素の添加は、難燃性と熱伝導率が両立するように行われる。
【0042】
(IV)断熱性向上剤
本発明においては基材樹脂に、断熱性向上剤を添加してさらに断熱性を向上することができる。断熱性向上剤としては、例えば、酸化チタン等の金属酸化物、アルミ等の金属、セラミック、カーボンブラック、黒鉛等の微粉末、赤外線遮蔽顔料、ハイドロタルサイトなどが例示される。これらは1種又は2種以上を使用することができる。該断熱性向上剤の添加量は基材樹脂100重量部に対し、0.5?5重量部、好ましくは1?4重量部の範囲で使用される。
【0043】
(V)その他の添加剤
また、本発明においては基材樹脂に、必要に応じて、気泡調整剤、顔料,染料等の着色剤、熱安定剤、充填剤等の各種の添加剤を適宜添加することができる。前記気泡調整剤として、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末、アゾジカルボジアミド等の従来公知の化学発泡剤などを用いることができる。なかでも難燃性を阻害することがなく気泡径を調整することが容易であるタルクが好適である。特にJIS Z8901(2006年)に規定される粒径が0.1?20μm、更に0.5?15μmの大きさのタルクが好ましい。気泡調整剤の添加量は、該調整剤の種類、目的とする気泡径等によって異なるが、基材樹脂100重量部に対し、概ね、0.01?8重量部、更に0.01?5重量部、特に0.05?3重量部が好ましい。」

イ 甲第3号証に記載された発明

アの記載、特に請求項1及び3の記載を中心に整理すると、甲第3号証には以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認める。

「ポリスチレン系樹脂を主成分とする基材樹脂と物理発泡剤と難燃剤とを含有する発泡性樹脂溶融物を押出発泡する、厚さ10?150mm、見かけ密度20?50kg/m^(3)、独立気泡率80%以上の押出発泡断熱板を製造する方法であって、臭素系難燃剤を前記基材樹脂100重量部当たり1?10重量部含み、前記物理発泡剤として、3?50モル%のテトラフルオロプロペン、30?70モル%の炭素数3?5の飽和炭化水素と、5?50モル%の水及び/又は二酸化炭素(ただし、前記ハイドロフルオロオレフィンと、炭素数3?5の飽和炭化水素と、水及び/又は二酸化炭素の配合割合の合計量は100モル%である。)を用いるポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板の製造方法により製造したポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板。」

ウ 対比・判断

(ア) 本件発明1について

本件発明1と甲3発明とを対比する。

(スチレン系樹脂押出発泡体について)
甲3発明の「ポリスチレン系樹脂」は、本件発明1の「スチレン系樹脂」に相当し、甲3発明の「ポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板」は、本件発明1の「スチレン系樹脂押出発泡体」に相当する。
そして、甲3発明の「ポリスチレン系樹脂押出発泡断熱板」は、「見かけ密度20?50kg/m^(3)」、「独立気泡率80%以上」であるから、本件発明1の「スチレン系樹脂押出発泡体」の、「見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上」との条件と重複する。

(難燃剤について)
甲3発明の「臭素系難燃剤」は難燃剤であり、その添加割合は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、「1?10重量部」であるから、本件発明1の難燃剤の割合である、「スチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有」との条件と重複している。

(ハイドロフルオロオレフィンについて)
甲3発明の「テトラフルオロプロペン」は、本件発明1の「ハイドロフルオロオレフィン」に相当する。

(炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することについて)
甲3発明は本件発明1と同様に「炭素数3?5の飽和炭化水素」を含有する。

以上の点をふまえると、両者は、
「難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンを含有し、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有する、スチレン系樹脂押出発泡体。」
の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点3)
スチレン系樹脂を発泡させる工程において、本件発明1は、「ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であ」るのに対して、甲3発明にはそのような特定がない点。

(相違点4)
スチレン系樹脂押出発泡体において、本件発明1は、「スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有する」ことを特定するのに対し、甲3発明にはそのような特定がない点。

上記相違点について検討する。

(相違点3について)
甲第3号証の段落【0030】には、物理発泡剤以外の発泡剤としてアルコールを用いることができる旨の記載はあるものの、その添加割合については明らかではない。
また、他の証拠を通じてみても、スチレン系樹脂を発泡させる工程において、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールを含有し、さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有するものにおいて、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールの割合を「ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下」とすることを示唆する記載もない。

なお、特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲第4号証の請求項7、9、段落【0015】及び【0016】の記載から、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールの割合を導き、甲3発明に適用できる旨主張する。
しかし、甲3発明における発泡剤組成と甲第4号証に記載された発泡剤組成は異なるものであるから、甲3発明の発泡剤のうち、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールの割合の部分のみについて、甲第4号証に記載された事項を適用する動機付けはない。

そして、本件発明1は、相違点3に係る本件発明1の特定事項を満たすことにより、「押出発泡体の成形性を改善し、且つ、押出発泡体に好適な難燃性を付与」し(段落【0032】)、グラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有させるものにおいても、「優れた断熱性及び難燃性を有し、更に、外観美麗で、且つ、使用に適した十分な厚みのスチレン系樹脂押出発泡体を得る」(段落【0010】)との、格別の効果を奏するものである。

してみると、相違点4については検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(イ) 本件発明2及び4ないし8について

本件発明2及び4ないし8はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記(ア)のとおり、本件発明1は甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である本件発明2及び4ないし8も、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ) 申立理由2についてのまとめ

上記(ア)及び(イ)のとおりであるから、申立理由2に理由はない。

第7 結語

上記第5及び第6のとおり、本件特許の請求項1、2及び4ないし8に係る特許は、取消理由及び特許異議申立書に記載した申立の理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件特許の請求項1、2及び4ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件請求項3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃剤をスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上8.0重量部以下含有し、見掛け密度が20kg/m^(3)以上45kg/m^(3)以下、独立気泡率が90%以上であるスチレン系樹脂押出発泡体であって、
さらに、前記スチレン系樹脂押出発泡体は、前記スチレン系樹脂100重量部に対してグラファイトを1.0重量部以上5.0重量部以下含有するものであり、
前記スチレン系樹脂を発泡させる工程において、前記スチレン系樹脂は、ハイドロフルオロオレフィンとアルコールとを含有し、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの添加量のmol比率が、前記ハイドロフルオロオレフィンと前記アルコールとの合計量を100mol%とした場合に、前記ハイドロフルオロオレフィンが65mol%以上90mol%以下であり、前記アルコールが10mol%以上35mol%以下であり、
さらに、炭素数3?5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、及び塩化アルキルからなる群の少なくとも1種を含有することを特徴とする、スチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項2】
前記ハイドロフルオロオレフィンの添加量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して3.0重量部以上14.0重量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載のスチレン樹脂押出発泡体。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記アルコールがエタノール、プロピルアルコール、及びi-プロピルアルコールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項5】
前記炭素数3?5の飽和炭化水素の添加量が前記スチレン系樹脂100重量部に対して1.0重量部以上3.0重量部以下であることを特徴とする、請求項1,2,4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項6】
前記ハイドロフルオロオレフィンが、テトラフルオロプロペンであることを特徴とする、請求項1,2,4,5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項7】
厚みが10mm以上150mm以下であることを特徴とする、請求項1,2,4?6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
【請求項8】
前記スチレン系樹脂100重量部に対して臭素系難燃剤を0.5重量部以上5.0重量部以下含有することを特徴とする、請求項1,2,4?7のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂押出発泡体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-06-04 
出願番号 特願2017-551813(P2017-551813)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C08J)
P 1 651・ 121- YAA (C08J)
P 1 651・ 161- YAA (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 横島 隆裕  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 大島 祥吾
植前 充司
登録日 2020-01-22 
登録番号 特許第6650466号(P6650466)
権利者 株式会社カネカ
発明の名称 スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
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