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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E03D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E03D
管理番号 1376712
異議申立番号 異議2020-700903  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-26 
確定日 2021-06-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6698298号発明「水洗大便器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6698298号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第6698298号の請求項2ないし5に係る特許を維持する。 特許第6698298号の請求項1に係る特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6698298号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成27年8月31日に出願され、令和2年5月1日にその特許権の設定登録がされ、同年5月27日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和2年11月26日に特許異議申立人TOTO株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立て(以下「本件特許異議の申立て」という。)がされ、当審は、令和3年2月26日付けで取消理由を通知(以下「本件取消理由通知」という。)した。特許権者は、その指定期間内である令和3年4月28日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。

なお、申立人は、特許異議申立書において特許法120条の5第5項に係る意見書の提出を希望しているが、後記「第2」で示すとおり、本件訂正請求における訂正事項1ないし5は、訂正前の請求項1を削除し、これに伴い、請求項1の記載を引用する請求項2を請求項1の記載を引用しないものとするとともに、請求項3ないし5が引用する請求項から請求項1を削除するものであり、実質的な内容の変更を伴うものではない。
そうすると、本件訂正の請求の内容は実質的な判断に影響を与えるものではなく、訂正後の請求項2ないし5について、申立人は、特許異議申立書において特許法113条2号又は4号に該当する旨説明しているから、特許法120条の5第5項ただし書にいう申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるといえ、迅速かつ効率的な審理の観点から、申立人に意見書を提出する機会を与えることなく、以下検討する。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、特許請求の範囲の記載について、以下の(1)ないし(5)のとおり訂正するものである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
請求項2に「前記凹部は、下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面を有し、前記2つの隙間の部分は、左右方向における前記機能部と前記2つの側面との2つの隙間であることを特徴とする請求項1に記載の水洗大便器。」と記載されているのを、「便鉢と、前記便鉢に対応する前側の開口部を含む2つの開口部を有し、一部に凹部が形成された上面部と、を有する便器本体と、前記便鉢の後方に設けられる機能部と、を備え、前記機能部は、左右方向に並ぶ、局部洗浄装置を含む複数の装置を含み、前記複数の装置はそれぞれ、少なくとも一部は前記凹部内に位置し、前記凹部は、前記2つの開口部のうちの前記前側の開口部の後端から当該2つの開口部のうちの後ろ側の開口部の前端に亘る範囲に連続するよう形成され、前記機能部と前記凹部との隙間のうち、左右方向における前記機能部と前記凹部との2つの隙間の部分には前記機能部と前記凹部とに当接するよう弾性部材が設けられており、前記凹部は、下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面を有し、前記2つの隙間の部分は、左右方向における前記機能部と前記2つの側面との2つの隙間であることを特徴とする水洗大便器。」に訂正する。
(3)訂正事項3
請求項3に「前記凹部は、平坦な底面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の水洗大便器。」と記載されているのを、「前記凹部は、平坦な底面を有することを特徴とする請求項2に記載の水洗大便器。」に訂正する。
(4)訂正事項4
請求項4に「前記2つの隙間の部分に設けられる前記弾性部材は、上下方向における前記機能部と前記凹部との隙間に設けられる、前記機能部と前記凹部とに当接する弾性部材と連なっていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水洗大便器。」と記載されているのを、「前記2つの隙間の部分に設けられる前記弾性部材は、上下方向における前記機能部と前記凹部との隙間に設けられる、前記機能部と前記凹部とに当接する弾性部材と連なっていることを特徴とする請求項2または3に記載の水洗大便器。」に訂正する。
(5)訂正事項5
請求項5に「前記弾性部材は、前記機能部の前縁よりも奥側に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水洗大便器。」と記載されているのを、「前記弾性部材は、前記機能部の前縁よりも奥側に設けられることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の水洗大便器。」に訂正する。

なお、訂正前の請求項2ないし5は、訂正前の請求項1を引用しており、請求項1に連動して訂正がされるものであるから、請求項1ないし5は、特許法120条の5第4項に規定する「一群の請求項」に該当する。
したがって、訂正事項1ないし5に係る訂正は、一群の請求項〔1-5〕について請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
訂正事項1は、単に請求項1を削除するものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項2において請求項1の記載を引用する引用形式請求項として記載していたのを、訂正事項1により請求項1が削除されたのに伴い、請求項1の記載を引用しない独立形式請求項とするものであるから、「明瞭でない記載の釈明」及び「他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。
訂正事項2は、単に訂正前の請求項2において請求項1の記載を引用して記載していたのを、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。
(3)訂正事項3ないし5
訂正事項3ないし5は、訂正前の請求項3ないし5において請求項1の記載を引用していたのを、訂正事項1により請求項1が削除されたのに伴い、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
訂正事項3ないし5は、単に訂正前の請求項3ないし5において請求項1の記載を引用していたのを、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号、3号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正による訂正後の請求項2ないし5に係る発明(以下、「本件発明2ないし5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2ないし5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

〔本件発明2〕
便鉢と、前記便鉢に対応する前側の開口部を含む2つの開口部を有し、一部に凹部が形成された上面部と、を有する便器本体と、
前記便鉢の後方に設けられる機能部と、を備え、
前記機能部は、左右方向に並ぶ、局部洗浄装置を含む複数の装置を含み、
前記複数の装置はそれぞれ、少なくとも一部は前記凹部内に位置し、
前記凹部は、前記2つの開口部のうちの前記前側の開口部の後端から当該2つの開口部のうちの後ろ側の開口部の前端に亘る範囲に連続するよう形成され、
前記機能部と前記凹部との隙間のうち、左右方向における前記機能部と前記凹部との2つの隙間の部分には、前記機能部と前記凹部とに当接するよう弾性部材が設けられており、
前記凹部は、下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面を有し、
前記2つの隙間の部分は、左右方向における前記機能部と前記2つの側面との2つの隙間であることを特徴とする水洗大便器。
〔本件発明3〕
凹部は、平坦な底面を有することを特徴とする請求項2に記載の水洗大便器。
〔本件発明4〕
前記2つの隙間の部分に設けられる前記弾性部材は、上下方向における前記機能部と前記凹部との隙間に設けられる、前記機能部と前記凹部とに当接する弾性部材と連なっていることを特徴とする請求項2または3に記載の水洗大便器。
〔本件発明5〕
前記弾性部材は、前記機能部の前縁よりも奥側に設けられることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の水洗大便器。

2 甲号証の記載
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証(韓国特許第10?1510431号公報)(以下「甲1」という。)には、次の事項が記載されている(外国語の文献であるため、原文の摘記は省略し、申立人が提出した訳文を一部当審で修正した訳文による(括弧内に修正前の訳文を付記した)。)。
(ア)「【0001】本発明は、セラミック一体型ビデ(修正前は「陶器一体型ビデ」。以下同様に修正する)の着脱装置に関するもの(修正前は「関すること」)で、より詳細には(修正前は「詳細にするように」)、着脱案内部が固定されることで(修正前は「固定されながら」)便器の水槽上面に固定された中間プレート(修正前は「中間版」。以下同様に修正する)にビデの着脱を容易にすることと合わせてビデが中間プレートに着脱される際に(修正前は「時」)、制御部材の配管が給水管と案内管に接続及び解除されるようにすることで、ビデの設置を簡便にさせることはもちろん便器の上面より内部に凹入された水槽上面にビデの下段部が装着されて美観をするようにするセラミック一体型ビデの着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】一般的にビデは、用便者の用便後、後始末を清潔で衛生的に処理するようにノズルに噴射される洗浄水で肛門や局所を洗浄する装置で、通常便器に装着できるが、これは全体的なサイズが大きくて、外見が美麗ではない問題点があって最近では(修正前は「最近には」)ビデと便器が一体に形成されるセラミック一体型ビデが普及されている実情である。」
(イ)「【0020】本発明セラミック一体型ビデの着脱装置(100)は、便器(10)内部に凹入された水槽(110)が構成されて、前記水槽(110)上面に安着固定される中間プレート(120)が構成されて、両端部のフック(131’)が一方向に形成されて中間プレート(120)に固定される第1着脱案内部材(131)が具備されて、前記第1着脱案内部材(131)のフック(131’)と反対方向に(修正前は「反対反響で」)フック(132’)が形成されて中間プレート(120)に固定される第2着脱案内部材(132)が具備された着脱案内部(130)が構成されて、作業者の加圧の有無(修正前は「加圧可否」)によって前、後進に移動しながら着脱案内部(130)の第1着脱案内部材(131)に着脱される加圧着脱部(140)が構成されて、前、後進に移動する前記加圧着脱部(140)によって左、右方向に移動しながら着脱案内部(130)の第2着脱部材(132)に着脱される移動着脱部(150)を含んで構成されるもの(修正前は「こと」)で、これをさらに具体的に説明すると次のとおりである。
【0021】前記加圧着脱部(140)は、前記作業者によって前、後進移動する際に(修正前は「時」)、移動着脱部(150)の移動着脱部材(151)を加圧して移動させることができるように片側が傾斜するように形成された加圧着脱部材(141)が具備されて、前記加圧着脱部材(141)の先端部に折曲されて作業者が引っぱる取っ手(142)が具備されて、前記加圧着脱部材(141)の後端部に突出されて第2着脱案内部材(132)のフック(132’)にかかるようにする係止片(143)が具備されて、前記加圧着脱部材(141)とビデ(20)底盤(21)に同一線上にそれぞれ突出された突出部(修正前は「突出の方」)(144)の間に装着されて作業者の加圧で復元力が圧縮され(修正前は「圧縮されながら」)作業者の加圧力が解除されると圧縮された復元力で(修正前は「復元力に」)移動された加圧着脱部材(141)を修復させる加圧復元部材(145)を含んで具備される。」
(ウ)「【0035】この状態で図4ないし図5に図示されたように、ビデ(20)の底盤(21)(修正前は「底盤(20)」)を中間プレート(120)に安着させると、制御部材(163)の配管(163’)が給水管(161)及び一対(修正前は「科した対」)の案内管(162)に結合されることと同時に図6ないし図7に図示されたように、底盤(21)の結合孔(131a)(132a)が第1,2着脱案内部材(131)(131)のフック(131’)(132’)に結合されながら結合孔(131a)(132a)から(修正前は「で」)フック(131’)(132’)が突出される。」
(エ)「【0040】前記ビデ(20)が便器(10)及び中間プレート(120)に設置されると、水道栓を通じて給水管(161)に供給される水は制御部材(163)の制御によって配管(163’)を通じて一対の案内管(162)を経由して水槽及びリームで排出されて用便を洗浄するのに使われる。」
(オ)図1、図4
「 図1

図4


(カ)図5、図6及び図8
「 図5

図6

図8


(キ)図1及び図4からは、便器(10)の前側(図面上で左下方向)に楕円状の開口が形成されるとともに、便器(10)の後側(図面上で右上方向)に便器(10)内部に凹入された水槽(110)が形成され、前記楕円状の開口及び水槽(110)を取り囲む上面が形成されており、前記水槽(110)と前記楕円状の開口との間には、水平面に垂直な2つの側面と前記上面よりも低い位置に底面を有する凹部であって、前記底面は、前記楕円状の開口の後端から後方にかけて高い位置となるように傾斜し、これと連続して前記水槽(110)の前端にかけて水平面と略平行であることが看て取れる。
(ク)図4において符号「21」が付された部材は、図1において符号「20」が付されたビデ(20)の底盤(21)であることは明らかであり、上記(ア)、(イ)の記載を参酌すると、上記ビデ(20)の底盤(21)は、ビデの下段部を構成する。
また、図1及び図8から、ビデ(20)は、便器(10)の上面に形成された楕円状の開口よりも後方に設けられていることが看て取れる。
さらに、図5及び図6から、上記ビデ(20)の下段部を構成する底盤(21)は、便器(10)及び中間プレート(120)に設置されており、制御部材(163)の近傍から取っ手(142)の近傍まで、便器(10)の上面よりも低い位置に配置されている低い部分が存在することが看て取れる。
(ケ)図8において、ビデ(20)は、便器(10)上面に形成された楕円状の開口内の位置に至るまで覆うように配置されており、上記(ク)で述べたビデ(20)の底盤(21)の低い部分は、上記楕円状の開口内に至る位置まで延びているから、図4、図6及び図8から、ビデ(20)の底盤(21)を図4における下方向に延びる矢印のように移動して便器(10)及び中間プレート(120)に設置すると、上記(ク)で述べたビデ(20)の底盤(21)の低い部分の一部が、上記(キ)において述べた凹部に位置することとなることは明らかである。
イ 甲1発明
上記アによれば、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
【甲1発明】
「便器(10)の前側に楕円状の開口が形成されるとともに、便器(10)の後側に便器(10)内部に凹入された水槽(110)が形成され、前記楕円状の開口及び水槽(110)を取り囲む上面が形成されており、便器の上面より内部に凹入された水槽上面にビデの下段部が装着されて美観をするようにするセラミック一体型ビデを有する便器であって、
前記水槽(110)と前記楕円状の開口との間には、水平面に垂直な2つの側面と便器(10)の上面よりも低い位置に底面を有する凹部であって、当該底面は、前記楕円状の開口の後端から後方にかけて高い位置となるように傾斜し、これと連続して前記水槽(110)の前端にかけて水平面と略平行であり、
ビデ(20)は、便器(10)の前側に形成された楕円状の開口よりも後方に設けられており、ノズルに噴射される洗浄水で局所を洗浄する装置であり、
前記ビデ(20)の下段部を構成する底盤(21)には、制御部材(163)の近傍から取っ手の(142)の近傍まで、便器(10)の上面よりも低い位置に配置されている低い部分が存在し、前記底盤(21)を前記便器(10)及び中間プレート(120)に設置すると、前記底盤(21)の低い部分の一部が、前記凹部に位置する、
ビデと便器が一体に形成されるセラミック一体型ビデを有する便器。」

(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載
甲第2号証(国際公開第2014/195017号)(以下「甲2」という。)には、次の事項が記載されている(外国語の文献であるため、原文の摘記は省略し、申立人が提出した訳文による。)。
(ア)「シート/組立ゾーン3と便器25との間のエッジ領域26は、後部に凹部27を有する。また、凹部27は底面、すなわち座/組立ゾーンから便器25に斜めに傾斜するベース面28を有する。・・・シャワートイレアタッチメント11の一部は、インデント27の上方に配置され、サブシャワー29は、図11に示すように、シャワートイレアタッチメント11から便器25へのインデントを通して少なくとも1つの位置で動作する。アンダーシャワー29に加えて、更なる機能要素は、シャワートイレットアタッチメント11から便器25に成形を通して、例えばファンおよび/または吸引パイプを通り抜けることができる。」(原文11頁1ないし12行)
(イ)「図12aおよび図12bでは、便器25の後部領域が示され、その下げ27の上方に配置されているシャワートイレアタッチメント11と、便器25内に凹み27を突き出した様々な機能要素、または便器25からアクセス可能である。シャワートイレアタッチメント11のこれらの機能要素は、拡張可能な下にシャワー29,熱風用ファン32(ヘアドライヤー)、臭気を吸引するための吸引管33、およびシャワートイレアタッチメントのタンクから水を便器25に空にするためのドレンボタン34を含む。図12bに係る断面図では、シャワートイレアタッチメント11がラインFに沿ってトイレ本体2と一致しているのが分かる。」(原文11頁下から4行ないし12頁6行)
(ウ)図10ないし図12
「 Figure 10

Figure 11

Figure 12


(エ)図12によれば、シャワー(29)と熱風用ファン(32)は、ユーザが通常の姿勢で着座した状態における左右方向に並んで便器(25)の凹み(27)内に位置していることが看て取れる。
イ 甲2に記載された技術的事項
上記アによれば、甲2には、次の事項(以下「甲2記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
「便器(25)の後部領域の上方にシャワートイレアタッチメント(11)が配置されており、シャワートイレアタッチメント(11)のシャワー(29)と熱風用ファン(32)が左右方向に並んで便器(25)の凹み(27)内に位置し、シャワートイレアタッチメント(11)はトイレ本体(2)と一致するように設けられているシャワートイレアタッチメント付きの便器。」

(3)甲第3号証
ア 甲第3号証の記載
甲第3号証(特開2010-24780号公報)(以下「甲3」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0018】
そして、本実施形態においては、便器200のリム面210に切欠部250が形成されている。より詳細には、便器200の上面はリム面210と略面一となるように形成され、切欠部250は、リム面210のうちボウル部220の後端にあたる位置で、下方に向けて切り欠かれて窪んだ形態を有する。この切欠部250は、衛生洗浄装置100の下方に位置しており、開口251でボウル部220に連通している。また、切欠部250の底面は、便器200の後方から開口251に亘って下方に傾斜している。後述するように、切欠部250には衛生洗浄装置100の吐水ノズル140が配置され、吐水ノズル140は開口251からボウル部220に進退可能とされている。」
(イ)「【0044】
本実施形態では、下ケーシング132に、切欠部250に挿入されるべく、その形状に対応して下方に凹ませた下ケーシング溝部154が形成されている。この下ケーシング溝部154は、吐水ノズル140の下方を覆って保護するものである。すなわち、衛生洗浄装置100を便器200から取り外して搬送する際などに、誤って衛生洗浄装置100を落下させたりして、吐水ノズル140が破損してしまうことを防ぐ。
【0045】
下ケーシング溝部154と切欠部250との間にはパッキン500が配置され、その間の水密性が保持されている。・・・」
(ウ)図1及び図5
「 【図1】

【図5】


イ 甲3に記載された技術的事項
上記アによれば、甲3には、次の事項(以下「甲3記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
「便器200の上面におけるボウル部220の後端に位置する窪んだ形態を有する切欠部250に、切欠部250の上方に位置する衛生洗浄装置100の下ケーシング132に切欠部250の形状に対応するように下方に凹ませて形成した下ケーシング溝部154が挿入されており、下ケーシング溝部154は、吐水ノズル140の下方を覆って保護するものであり、下ケーシング溝部154と切欠部250との間にはパッキン500が配置され、その間の水密性が保持されている衛生洗浄装置付きの便器。」

(4)甲第4号証
ア 甲第4号証の記載
甲第4号証(特開平10-237929号公報)(以下「甲4」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洋式便器の洗浄構造に関するものである。

(イ)「【0019】このように、ボウル(1)の上端とカバー(2)の上端との間の隙間を密閉して、通水路(4)からの上方への水漏れを防止するように設けた軟質材からなるパッキン材(3)を段部(7)に沿って延設し、パッキン材(3)の下部をボウル(1)の表面から突出させ、その突出した部分にカバー(2)下部を当接させたので、パッキン材(3)とカバー(2)とでボウル(1)に流れ落ちていく洗浄水をせき止めて、通水路(4)全周にわたって洗浄水が流れるようにすることができるようになり、また、凹部(5)がパッキン材(3)の突出した部分に形成されているので、全周にわたって通水路(4)を流れる洗浄水が凹部(5)から適当な水量でボウル(1)の表面全面に流れ落ちるようになる。また、パッキン材(3)が軟質材であるので、多少の凹凸がボウル(1)表面やカバー(2)にあったり、段部(7)とカバー(2)との隙間寸法に多少のバラツキがあっても、パッキン材(3)の弾性でそれらを吸収して、パッキン材(3)とカバー(2)を当接することができるようになり、ボウル(1)及びカバー(2)の設計・製造において精密な寸法精度を要求する必要がなくなる。」
(ウ)図1及び図7
「 【図1】 【図7】


イ 甲4に記載された技術的事項
上記アによれば、甲4には、次の事項(以下「甲4記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
「ボウル(1)の段部(7)に沿ってパッキン材(3)を延設したので、段部(7)とカバー(2)との隙間寸法に多少のバラツキがあってもパッキン材(3)の弾性で吸収でき、ボウル(1)及びカバー(2)の設計・製造において精密な寸法精度を要求する必要がない洋式便器。」

(5)甲第5号証
ア 甲第5号証の記載
甲第5号証(特開2003-284655号公報)(以下「甲5」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0027】また第2の実施例の便器装置9(当審注:「便座装置9」の誤記と認める。)では、本体部11の上面および前面を含めた領域を構成している外郭部材11aに固定した場合に生じる組立時の信号線の処理等を考慮して、人体検知装置10を本体部11の上面および前面を含めた領域を構成している外郭部材11aではなく、便座装置9が備える各機能を生成する各機能生成部を、本体部11内に固定している土台である取付基板から立てられる固定ボス11eに、人体検知装置10のシールド部材10bの固定面10b1の左右に設けた固定フランジ10b6で固定するようにしている。この際、部品自身の公差や取付誤差等への対策として、2つの弾性部材を用いており、1つは本体部11と人体検知装置10間の隙間を埋める隙間部材11cであり、もう1つは人体検知装置10と固定ボス11e間に配置されるバネ11dである。」
(イ)図8、図9
「 【図8】 【図9】


イ 甲5に記載された技術的事項
上記アによれば、甲5には、次の事項(以下「甲5記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
「便座装置9の本体部11内の取付基板に立てられる固定ボス11eに、人体検知装置10を固定する際、部品自身の公差や取付誤差等への対策として、本体部11と人体検知装置10間の隙間を弾性部材である隙間部材11cにより埋めるようにした便座装置。」

3 当審の判断
(1)特許法29条2項について
本件取消理由通知における特許法29条2項の規定違反の取消理由は、訂正前の請求項2に係る発明について通知していない。そして、前記「第2」で示したとおり、本件発明3ないし5は、本件発明2の構成を更に限定するものである。
したがって、後記「第5」でも示すとおり、本件発明2ないし5に係る発明は、甲1ないし5に記載された発明又は技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、請求項2ないし5に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。
なお、前記「第2」で示したとおり、請求項1は本件訂正によって削除されているから、本件訂正により、請求項1についての特許法29条2項の規定違反の取消理由はないものとなった。
(2)特許法36条6項2号について
本件取消理由通知における特許法36条6項2号の規定違反の取消理由は、訂正前の請求項1の記載では、「前記凹部」の形状が特定されておらず、「前記機能部と前記凹部」との「隙間」がどのような態様で存在しているのかが理解できないから、「2つの隙間」の意味するところが理解できない旨指摘したものである。
しかしながら、前記「第2」で示したとおり、請求項1は本件訂正によって削除され、本件発明2では、「前記凹部」について、「下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面を有」することが特定され、「前記2つの隙間」について、「左右方向における前記機能部と前記2つの側面との2つの隙間である」ことが特定されており、「前記凹部」、「2つの隙間」の意味するところは明確である。そして、本件発明3ないし5は、本件発明2の構成を含むものである。
したがって、後記「第5」でも示すとおり、本件訂正後の請求項2ないし5の記載は明確であり、請求項2ないし5に係る特許は、特許法36条6項2号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。

第5 取消理由通知おいて採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許法29条2項について
本件特許異議申立てにおいては、本件発明2についても特許法29条2項の規定違反の申立てがされていたので、本件発明2及び請求項2を引用する本件発明3ないし5が、甲1ないし5に記載された発明又は技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないか以下検討する。
(1)対比・判断
ア 対比
本件発明2と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「便器(10)」は、本件発明2における『便器本体』に相当し、甲1発明の「便器(10)」は、「上面」を有していることから、本件発明2における『上面部』に相当する構成を有している。
甲1発明の「便器(10)」の「上面」には、「楕円状の開口」及び「便器(10)内部に凹入された水槽(110)」の「2つの開口」が形成されており、本件発明2における『2つの開口部』に相当する構成を有している。甲1発明の「楕円状の開口」はいわゆる『便鉢』に対応しているから、本件発明2の『前記便鉢に対応する前側の開口部』に相当する。また、甲1発明の「楕円状の開口」と「水槽(110)」との間には『凹部』が形成されている。
以上から、甲1発明は、本件発明2の『便鉢と、前記便鉢に対応する前側の開口部を含む2つの開口部を有し、一部に凹部が形成された上面部と、を有する便器本体』に相当する構成を有している。
(イ)甲1発明の「ビデ(20)」は、本件発明2の『機能部』を構成する。甲1発明の「ビデ(20)」の下段部は、「便器(10)の後側」に位置し、『便鉢』に対応する「楕円状の開口」より後方に位置する「水槽(110)」の上面に装着されるから、「ビデ(20)」は、『便鉢の後方に設けられる』といえる。
以上から、甲1発明は、本件発明2の『前記便鉢の後方に設けられる機能部』に相当する構成を有している。
(ウ)甲1発明の「ビデ(20)」は、本件発明2の『局部洗浄装置』に相当するから、甲1発明は、本件発明2の『前記機能部は、左右方向に並ぶ、局部洗浄装置を含む複数の装置を含み、』と、『前記機能部は、局部洗浄装置を含み、』の点において共通する構成を有している。
甲1発明において、「前記ビデ(20)の下段部を構成する底盤(21)には、制御部材(163)の近傍から取っ手(142)の近傍まで、便器(10)の上面よりも低い位置に配置されている低い部分が存在し、前記底盤(21)を前記便器(10)及び中間プレート(120)に設置すると、前記底盤(21)の低い部分の一部が、前記凹部に位置する」ことは、本件発明2において、『前記装置は、少なくとも一部は前記凹部内に位置し』の点において共通する構成を有している。
(エ)甲1発明の「凹部」において、「当該底面」が「前記楕円状の開口の後端から後方にかけて高い位置となるように傾斜し、これと連続して前記水槽(110)の前端にかけて水平面と略平行であ」ることは、本件発明2の『前記凹部は、前記2つの開口部のうちの前記前側の開口部の後端から当該2つの開口部のうちの後ろ側の開口部の前端に亘る範囲に連続するよう形成され』ていることに相当する。
(オ)上記(ア)より、甲1発明は、本件発明2の『凹部』に相当する構成を有しており、上記(イ)より、甲1発明は、本件発明2の『機能部』に相当する構成を有している以上、甲1発明は、本件発明2における『前記機能部と前記凹部との隙間』に相当する構成を有している。甲1発明の「凹部」は、「水平面に垂直な2つの側面」を有しているから、甲1発明は、本件発明2における『左右方向における前記機能部と前記凹部との2つの隙間の部分』に相当する構成を有しており、本件発明2における『前記2つの隙間の部分は、左右方向における前記機能部と前記2つの側面との2つの隙間』に相当する構成も有している。
(カ)甲1発明における「ビデと便器が一体に形成されるセラミック一体型ビデを有する便器」が、本件発明2における「水洗大便器」に相当することは明らかである。

以上から、本件発明2と甲1発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
<一致点>
「便鉢と、前記便鉢に対応する前側の開口部を含む2つの開口部を有し、一部に凹部が形成された上面部と、を有する便器本体と、
前記便鉢の後方に設けられる機能部と、を備え、
前記機能部は、局部洗浄装置を含み、
前記装置は、少なくとも一部は前記凹部内に位置し、
前記機能部は、局部洗浄装置を含み、
前記装置は、少なくとも一部は前記凹部内に位置し、
前記凹部は、前記2つの開口部のうちの前記前側の開口部の後端から当該2つの開口部のうちの後ろ側の開口部の前端に亘る範囲に連続するよう形成され、
前記機能部と前記凹部との隙間のうち、左右方向における前記機能部と前記凹部との2つの隙間の部分を有し、
前記凹部は、2つの側面を有し、
前記2つの隙間の部分は、左右方向における前記機能部と前記2つの側面との2つの隙間である水洗大便器。」
【相違点1】
本件発明2は、「前記機能部は、左右方向に並ぶ、局部洗浄装置を含む複数の装置を含み、前記複数の装置はそれぞれ、少なくとも一部は前記凹部内に位置し」ているのに対し、
甲1発明では、そのような特定はされていない点。
【相違点2】
左右方向における機能部と凹部の2つの側面との2つの隙間の部分において、
本件発明2では、「前記機能部と前記凹部とに当接するよう弾性部材が設けられており、前記凹部は、下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面を有し」ているのに対し、
甲1発明では、2つの隙間の部分に弾性部材を設けることは特定されておらず、凹部の2つの側面は、水平面に垂直な2つの側面であり、下側となるほど互いに近づくように傾斜するものではない点。

イ 判断
(ア)相違点1について
上記相違点1について検討する。
甲2記載の技術事項における「シャワートイレアタッチメント(11)」における「シャワー(29)と熱風用ファン(32)」が、「左右方向に並」んで「便器(25)の凹み(27)内に位置」することは、本件発明2の「機能部」が、「左右方向に並ぶ、局部洗浄装置を含む複数の装置を含んで」おり、「当該複数の装置はそれぞれ、少なくとも一部は凹部内に位置している」ことに相当する。
甲1及び甲2は、いずれも水洗大便器の技術に関するものであるから、甲1発明の「ビデ(20)」を、甲2記載の技術事項のように「左右方向に並ぶ、局部洗浄装置を含む複数の装置を含んで」おり、「当該複数の装置」が「それぞれ、少なくとも一部は凹部内に位置」するようにすることで、相違点1に係る本件発明2の構成に到ることは、当業者が容易になし得たことと認められる。
(イ)相違点2について
上記相違点2について検討する。
甲1ないし5のいずれにも、水洗大便器において、便鉢に対応する前側の開口部と後ろ側の開口部の間において上面部の一部に形成される「凹部」において、「下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面」を有するようにすることは記載されておらず、ましてや、「機能部」と上記のように傾斜する2つの側面を有する「凹部」とに「当接するよう弾性部材が設け」られ?ることは記載されていない。そして、本件発明2は、側面が底面に対して傾斜しているので、本件明細書の段落【0038】に記載されるように、側面が底面に対して直立する場合に側面と底面との連結部分で弾性部材が凹部から離れて浮き隙間が生じうるのとは異なり、連結部分で弾性部材が浮かないよう弾性部材を凹部に沿わせることができるという効果を有するものと認められる。
したがって、水洗大便器における「機能部」と「凹部」との隙間に、弾性部材(パッキン)を配置することでその間の水密性を保持することが、甲3記載の技術事項により周知技術であり、水洗大便器の分野においても、水洗大便器を構成する部材間の寸法誤差や取付誤差を部材間の隙間に弾性部材を配置することで吸収するようにすることは、甲4記載の技術事項や甲5記載の技術事項により周知技術であると認められるとしても、水洗大便器において、便鉢に対応する前側の開口部と後ろ側の開口部の間において上面部の一部に形成される「凹部」において、「下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面」を有するようにすることが公知ないし周知技術であることが示されていない以上、相違点2に係る本件発明2の構成に到ることが当業者が容易になし得たことと認めることはできない。
(2)小括
したがって、本件発明2は、甲1ないし5に記載された発明又は技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明3ないし5は、本件発明2の構成を更に限定したものであるから、本件発明2と同様の理由により、甲1ないし5に記載された発明又は技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 特許法36条6項2号について
本件特許異議申立てにおいては、請求項1の記載について、以下の理由により特許法36条6項2号の規定に違反する旨主張しているところ、請求項1は削除されたものの、当該主張は、訂正後の請求項2ないし5の記載とも関連し得るので、以下、付加的に検討しておく。
(1)2つの開口部が便鉢にどのように対応しているのか不明であるという主張について、請求項2の「前記便鉢に対応する前側の開口部を含む2つの開口部」との記載から、2つの開口部のうち前側の開口部が便鉢に対応していることが理解でき、図9の便器本体の斜視図、本件明細書の段落【0016】の「開口部40は、便鉢14の上方に位置する」との記載を参酌すれば、開口部が便鉢にどのように対応しているか理解できる。
(2)上面部が2つの開口部をどのように有しているのか不明であるという主張について、請求項2の「前記便鉢に対応する前側の開口部を含む2つの開口部」との記載から、図9の便器本体の斜視図、本件明細書の段落【0016】の「上面部16は、便鉢14の上端周縁に接続されている。上面部16は、便鉢14の上端周縁の形状よりも僅かに小さい略楕円形状の開口部40を有する。」との記載、段落【0042】の「上面部16の後方側には、下向きに凹んだ横長の凹部22が形成されている。」との記載を参酌すれば、上面部が2つの開口部をどのように有しているのか理解できる。
(3)凹部が上面部のどの位置でどの向きに凹んで形成されたものであるのか不明であるという主張について、請求項2の「前記凹部は、前記2つの開口部のうちの前記前側の開口部の後端から当該2つの開口部のうちの後ろ側の開口部の前端に亘る範囲に連続するよう形成され」との記載から、図9の便器本体の斜視図、本件明細書の段落【0042】の「上面部16の後方側には、下向きに凹んだ横長の凹部22が形成されている。本実施の形態では、凹部22は、開口部40の後端縁から上面部16の後端縁に亘る範囲に連続する溝状に形成される。」との記載を参酌すれば、凹部が上面部のどの位置でどの向きに凹んで形成されたものか理解できる。
(4)複数の装置がどの位置で左右方向に並んでいるのか不明であるという主張について、請求項2の「前記複数の装置はそれぞれ、少なくとも一部は前記凹部内に位置し、」との記載から、本件明細書の段落【0027】の「機能部12は、その前方中央部に、下向きに突出した突出部12aを有する。この突出部は、下向きに凹んだベースプレート42のベース凹部42aと、そのベース凹部42aに収容された局部洗浄装置34のノズル34aの先端部と、乾燥装置36の温風吹出口36aと、脱臭装置38の脱臭吸込口38aおよび脱臭吐出口38bと、それらの後方に位置する脱臭カートリッジ38cとによって構成される。」との記載、図6(a)、(b)の凹部とその周辺を示す正面図の記載を参酌すれば、複数の装置がどの位置で左右方向に並んでいるのか理解できる。
(5)2つの隙間の部分がどの位置を示しているのか不明であるという主張について、請求項2の「前記機能部と前記凹部との隙間のうち、左右方向における前記機能部と前記凹部との2つの隙間の部分には、前記機能部と前記凹部とに当接するよう弾性部材が設けられており、前記凹部は、下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面を有し、前記2つの隙間の部分は、左右方向における前記機能部と前記2つの側面との2つの隙間である」との記載から、2つの隙間の部分がどの位置を示しているのか理解できる。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正後の請求項2ないし5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項2ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項1に係る特許は、訂正により削除され、これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項1に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
便鉢と、前記便鉢に対応する前側の開口部を含む2つの開口部を有し、一部に凹部が形成された上面部と、を有する便器本体と、
前記便鉢の後方に設けられる機能部と、を備え、
前記機能部は、左右方向に並ぶ、局部洗浄装置を含む複数の装置を含み、
前記複数の装置はそれぞれ、少なくとも一部は前記凹部内に位置し、
前記凹部は、前記2つの開口部のうちの前記前側の開口部の後端から当該2つの開口部のうちの後ろ側の開口部の前端に亘る範囲に連続するよう形成され、
前記機能部と前記凹部との隙間のうち、左右方向における前記機能部と前記凹部との2つの隙間の部分には、前記機能部と前記凹部とに当接するよう弾性部材が設けられており、
前記凹部は、下側となるほど互いに近づくように傾斜する2つの側面を有し、
前記2つの隙間の部分は、左右方向における前記機能部と前記2つの側面との2つの隙間であることを特徴とする水洗大便器。
【請求項3】
前記凹部は、平坦な底面を有することを特徴とする請求項2に記載の水洗大便器。
【請求項4】
前記2つの隙間の部分に設けられる前記弾性部材は、上下方向における前記機能部と前記凹部との隙間に設けられる、前記機能部と前記凹部とに当接する弾性部材と連なっていることを特徴とする請求項2または3に記載の水洗大便器。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記機能部の前縁よりも奥側に設けられることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の水洗大便器。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-06-11 
出願番号 特願2015-171094(P2015-171094)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (E03D)
P 1 651・ 121- YAA (E03D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津熊 哲朗小林 俊久大谷 純  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 長井 真一
西田 秀彦
登録日 2020-05-01 
登録番号 特許第6698298号(P6698298)
権利者 株式会社LIXIL
発明の名称 水洗大便器  
代理人 森下 賢樹  
代理人 日向寺 雅彦  
代理人 森下 賢樹  
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