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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  A61J
管理番号 1376743
異議申立番号 異議2019-700834  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-23 
確定日 2021-07-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6504053号発明「信号処理装置、開封検出モジュール、プログラム、開封検出方法及び物品包装材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6504053号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6、9?11〕、7、8、12、13、14について訂正することを認める。 特許第6504053号の請求項1、4?6、9?14に係る特許を維持する。 特許第6504053号の請求項2、3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6504053号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?14に係る特許についての出願は、平成31年4月5日にその特許権の設定登録がされ、同年4月24日に掲載公報が発行された。そして、令和元年10月23日に特許異議申立人田中理恵子(以下、「申立人」という。)より請求項1?6、9?14に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、その後の手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 2月19日付け 取消理由通知
同年 4月27日 意見書(特許権者)、訂正請求書の提出
同年 7月28日 意見書(申立人)の提出
同年 9月24日付け 訂正拒絶理由通知
同年10月28日 意見書(特許権者)、手続補正書の提出
同年12月11日付け 取消理由通知(決定の予告)
令和3年 3月 2日 意見書(特許権者)、訂正請求書の提出
同年 4月 2日 意見書(申立人)の提出
なお、令和2年4月27日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。


第2 訂正の適否
1.本件訂正の内容
令和3年3月2日提出の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所である。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記検出部は、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する、
信号処理装置。」
とあるのを、
「プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
信号処理装置。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4?6,9?11も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記検出部は、前記第1の収容部が開封されたことを一度検出した後、前記第1の領域を経由する前記第1の信号が帰還するかを判定しない、請求項1に記載の信号処理装置。」
とあるのを、
「前記検出部は、前記1つ以上の収容部のうちの第1の収容部が開封されたことを一度検出した後、前記第1の収容部に対応する分岐線を伝搬する前記パルス信号が帰還するかを判定しない、請求項1に記載の信号処理装置。」
に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記物品は、医薬品であり、
前記プロセッサは、予め取得される服用計画データに従って、各収容部に収納される医薬品を服用すべきタイミングをユーザへ報知する報知制御部、としてさらに機能する、
請求項1に記載の信号処理装置。」
とあるのを、
「プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記検出部は、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出し、
前記物品は、医薬品であり、
前記プロセッサは、予め取得される服用計画データに従って、各収容部に収納される医薬品を服用すべきタイミングをユーザへ報知する報知制御部、としてさらに機能する、
信号処理装置。」
に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に、
「前記物品は、医薬品であり、
前記プロセッサは、前記検出部により各収容部について記録される開封時刻データを用いて判定される前記医薬品の服用ミスをユーザへ報知する報知制御部、としてさらに機能する、
請求項1に記載の信号処理装置。」
とあるのを、
「プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記検出部は、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出し、
前記物品は、医薬品であり、
前記プロセッサは、前記検出部により各収容部について記録される開封時刻データを用いて判定される前記医薬品の服用ミスをユーザへ報知する報知制御部、としてさらに機能する、
信号処理装置。」
に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項12に、
「信号処理装置のプロセッサを、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出するものであり、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する検出部、
として機能させるためのプログラム。」
とあるのを、
「信号処理装置のプロセッサを、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部として機能させるためのプログラムであって、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記プログラムは、前記プロセッサを、
所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する検出部、
として機能させるためのプログラム。」
に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項13に、
「物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出することと、
送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて、各収容部の開封を検出することと、
を含み、
各収容部の開封を検出する際に、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する、
信号処理装置のプロセッサにより実行される開封検出方法。」
とあるのを、
「物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出することと、
送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて、各収容部の開封を検出することと、
を含み、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
各収容部の開封を検出する際に、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
信号処理装置のプロセッサにより実行される開封検出方法。」
に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項14に、
「物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージと、
前記パッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように、破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線と、
前記1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて、各収容部の開封を検出する開封検出モジュールと、
を備え、
前記開封検出モジュールは、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する、
物品包装材。」
とあるのを、
「物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージと、
前記パッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように、破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線と、
前記1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて、各収容部の開封を検出する開封検出モジュールと、
を備え、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記開封検出モジュールは、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
物品包装材。」
に訂正する。

2.本件訂正の適否
(1)一群の請求項について
訂正事項1?6に係る訂正前の請求項1?11について、請求項2?11は、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件訂正前の請求項1?11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(2)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「1つ以上の信号線」について、「共通線から分岐する1つ以上の分岐線であ」ること、及び「前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し」ていると限定するとともに、請求項1記載の、「検出部は、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する」について、「検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する」と限定して、その記載内容を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、これらの限定は訂正前の請求項3並びに本件特許明細書の段落【0017】、【0024】、【0029】及び図2,6の記載された事項といえるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項2について
訂正事項2は、その訂正の対象である請求項4が、引用する請求項1が訂正され、「第1の収容部」、「第1の領域」及び「第1の信号」の用語を用いなくなったことに伴い、訂正前の請求項4の「前記第1の収容部」及び「前記第1の領域を経由する前記第1の信号」の記載を、それぞれ「前記1つ以上の収容部のうちの第1の収容部」及び「前記第1の収容部に対応する分岐線を伝搬する前記パルス信号」と訂正することにより、「第1の収容部」、「第1の領域」及び「第1の信号」の用語を用いずに訂正前の請求項4の内容を表現したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項3、4について
訂正事項3、4は、それぞれ、訂正前の請求項2、3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。
そして、訂正事項3、4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3、4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項5、6について
訂正事項5、6は、それぞれ、本件訂正前の請求項1の記載を引用する請求項7、8の記載を請求項1を引用しないものとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4項に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
そして、訂正事項5、6は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5、6は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(6)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項12の「開封を検出するものであり、」の記載を「開封を検出する検出部として機能させるためのプログラムであって、」と改め、「1つ以上の信号線」について、「共通線から分岐する1つ以上の分岐線であ」ること、及び「前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し」ていると限定するとともに、「第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する検出部」について、「所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する検出部」と限定して、その記載内容を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、これらの限定等は、訂正前の請求項3並びに本件特許明細書の段落【0017】、【0024】、【0029】及び図2、6の記載された事項といえるから、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(7)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項13の「1つ以上の信号線」について、「共通線から分岐する1つ以上の分岐線であ」ること、及び「前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し」ていると限定するとともに、「各収容部の開封を検出する際に、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する」について、「各収容部の開封を検出する際に、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する」と限定して、その記載内容を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、これら限定は、訂正前の請求項3及び本件特許明細書の段落【0017】、【0024】、【0029】及び図2,6の記載された事項といえるから、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(8)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前の請求項14の「1つ以上の信号線」について、「共通線から分岐する1つ以上の分岐線であ」ること、及び「前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し」ていると限定するとともに、「開封検出モジュールは、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する」について、「開封検出モジュールは、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する」と限定して、その記載内容を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正である。
そして、これら限定は訂正前の請求項3及び本件特許明細書の段落【0017】、【0024】、【0029】及び図2,6の記載された事項といえるから、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において訂正されたものであり、また、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである

(9)小活
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、3、4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。そして、訂正後の請求項7、8については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めるものであるところ、訂正後の〔1?6、9?11〕、7、8、12、13、14について訂正を認める。

第3 訂正後の本件発明
上記のとおり、本件訂正は認められたので、請求項1?14に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1?14」といい、まとめて「本件特許発明」ということもある。)は、令和3年3月2日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
信号処理装置。
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記検出部は、前記1つ以上の収容部のうちの第1の収容部が開封されたことを一度検出した後、前記第1の収容部に対応する分岐線を伝搬する前記パルス信号が帰還するかを判定しない、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記検出部により各収容部について記録される開封時刻データを、
通信インタフェースを介して外部装置へ出力するデータ出力部、としてさらに機能する、
請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記通信インタフェースを介して予め取得されるユーザの識別子に関連付けて、前記開封時刻データを記録する、請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記検出部は、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出し、
前記物品は、医薬品であり、
前記プロセッサは、予め取得される服用計画データに従って、各収容部に収納される医薬品を服用すべきタイミングをユーザへ報知する報知制御部、としてさらに機能する、
信号処理装置。
【請求項8】
プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記検出部は、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出し、
前記物品は、医薬品であり、
前記プロセッサは、前記検出部により各収容部について記録される開封時刻データを用いて判定される前記医薬品の服用ミスをユーザへ報知する報知制御部、としてさらに機能する、
信号処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置を前記1つ以上の信号線に接続させるための1つ以上の接続端子と、
を備える開封検出モジュール。
【請求項10】
請求項1に記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置により記録されるデータを外部装置へ送信する通信インタフェースと、
を備える開封検出モジュール。
【請求項11】
前記通信インタフェースは、無線通信インタフェースであり、
前記開封検出モジュールは、前記無線通信インタフェースにより使用されるアンテナ、
をさらに備える、
請求項10に記載の開封検出モジュール。
【請求項12】
信号処理装置のプロセッサを、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部として機能させるためのプログラムであって、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記プログラムは、前記プロセッサを、
所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する検出部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出することと、
送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて、各収容部の開封を検出することと、
を含み、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
各収容部の開封を検出する際に、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
信号処理装置のプロセッサにより実行される開封検出方法。
【請求項14】
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージと、
前記パッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように、破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線と、
前記1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて、各収容部の開封を検出する開封検出モジュールと、
を備え、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記開封検出モジュールは、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
物品包装材。」

第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
当審が、令和2年12月11日付けで通知した取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。

(1)請求項1?6及び9?14に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の文献1に記載された発明及び文献2?4,6に記載された技術に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?6及び9?14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)請求項1?6及び9?14に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の文献5に記載された発明及び文献2?4,6に記載された技術に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?6及び9?14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(3)請求項1?6及び9?14に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の文献6に記載された発明及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1?6及び9?14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

引用文献一覧:
文献1:特開2012-130537号公報(甲第1号証)
文献2:特開2008-151131号公報(甲第3号証)
文献3:特開2009-50129号公報(甲第4号証)
文献4:特開平10-178715号公報(甲第5号証)
文献5:特開2012-120619号公報(甲第6号証)
文献6:特表平8-501013号公報(当審で新たに発見した文献)

2.引用文献の記載
(1)文献1の記載について
ア.文献1には、図面と共に次の記載がある。
「【0001】
本発明は、在宅医療や臨床試験に用いられる薬剤を収容するドーズパッケージと、このドーズパッケージを用いたドーズパッケージシステムに関する。」

「【0018】
<ドーズパッケージ>
図2に示すように、ドーズパッケージ2は、ポリエチレン等の透明樹脂を素材とする真空成型品(あるいは、圧空成型品)のパッケージ本体11と、グラシン紙を素材とする打ち抜き加工品のカバーシート12とからなっている。」

「【0019】
パッケージ本体11の裏面には複数(本実施形態では、縦に7個、横に4個、計28個)の薬剤収容セル13が突設されており、これら薬剤収容セル13に1日4回、1週間分の薬剤(カプセルや錠剤)14が収容される。パッケージ本体11の左端には上下に長い矩形の電極保護タブ15が区画されており、この電極保護タブ15がミシン目16にそって除去可能となっている。なお、パッケージ本体11の表面には粘着材17が適所に塗布されており、薬剤収容セル13に薬剤14を収容した後にパッケージ本体11にカバーシート12を貼着させることができる。」

「【0020】
カバーシート12の表面には、各薬剤収容セル13に対応する開封タブ21がそれぞれ配置され、これら開封タブ21をその輪郭に形成されたミシン目22にそって切り剥がせるようになっている。各開封タブ21には、薬剤の服薬タイミング(朝、昼、夕、就寝前)を示すシンボル23a?23dが左右1列で上下7行にわたって印刷されるとともに、左端のシンボル23aの左には曜日(あるいは、日付)を書き込むための記入欄24が設けられている。なお、開封タブ21には、シンボル23a?23dに代えて、番号や記号(1?28、A1?F4等)を付してもよい。」

「【0021】
一方、図3に示すように、カバーシート12の裏面には、各開封タブ21を水平に横切るプラス線25と、各プラス線25が接続する共用のアース線(コモン線)26とが配置され、左端側にこれらプラス線25およびアース線26の端部(電極端子)25a,26aが集結するパッケージ側電極部27が設置されている。本実施形態の場合、プラス線25およびアース線26は、導電性インクを用いた印刷によって形成されている。なお、パッケージ側電極部27の上下には、後述する位置決めピン33(図4参照)が嵌入する位置決め孔28がそれぞれ穿設されるとともに、位置決め孔28から側縁に向けて廃棄用ミシン目29が設けられている。なお、ミシン目22は、導電性インクによる印刷の妨げにならないように(プラス線25やアース線26の断裂等が生じないように)、表面側にのみ切り込みを入れるハーフカットで形成されている。」

「【0023】
図5に示すように、ユニット本体31は、マイクロコントローラ41と、リアルタイムクロック42と、音声コントローラ43と、スピーカ44と、警告ランプ45と、停止スイッチ46と、ランダムアクセスメモリ(以下、RAMと記す)47と、赤外線LED48と、赤外線受光素子49とを備えている。マイクロコントローラ41は、制御中枢となる集積回路であり、ユニット側電極部36の電極端子35が接続するとともに、ユニット本体31の他の構成部品との間で電気信号の授受を行う。」

「【0024】
リアルタイムクロック42は、マイクロコントローラ41等から独立したバッテリで作動し、マイクロコントローラ41に時刻信号を常時出力する。音声コントローラ43は、マイクロコントローラ41からの指令に基づき、合成音声や警告音をスピーカ44から出力させる。警告ランプ45は、マイクロコントローラ41からの指令に基づき、所定の発光パターンをもって発光する。停止スイッチ46は、外部(使用者)の入力に基づき、マイクロコントローラ41に警告停止指令を出力する。RAM47は、PC5等から入力された服薬予定薬剤や服薬予定時刻を記憶するとともに、電極端子35からの検出信号やリアルタイムクロック42からの時刻情報に基づく服薬データを記憶する。赤外線LED48は、マイクロコントローラ41からの出力指令に基づき、送受信ユニット4の赤外線受光部51(図1参照)に対して赤外線信号を出力する。赤外線受光素子49は、送受信ユニット4の赤外線LED52(図1参照)から出力された赤外線信号を受信し、その受信結果をマイクロコントローラ41に出力する。」

「【0029】
次に、マイクロコントローラ41は、ステップS3で所定の値(例えば、5min)を有するカウントダウンタイマTcdを起動した後、ステップS4で開封信号が入力したか否かを判定する。開封信号は、薬剤収容セル13が開封されることによって(すなわち、開封タブ21が切り剥がされることによって)プラス線25が切断し、プラス線25とアース線26との間の抵抗(電極端子25a,26a間の抵抗)が増大することで生成される。なお、開封信号は、当然のことながら、どの開封タブ21が切り剥がされたかが認識できるように、各開封タブ21に対応するものが生成される。ステップS4の初回の判定は通常Noとなるため、マイクロコントローラ41は、ステップS5でカウントダウンタイマTcdの値が0であるか否かを判定し、この判定がNoである間はステップS4の判定を繰り返す。」

「【0030】
患者や被験者が薬剤収容セル13を開封してステップS4の判定がYesになると、マイクロコントローラ41は、ステップS6で、服薬スケジュールの服薬予定薬剤と開封信号とを比較することにより、開封された薬剤収容セル13が正しいものであるか否か(開封が正規に行われたか否か)を判定する。マイクロコントローラ41は、ステップS6の判定がYesであった場合、ステップS7でRAM47に服薬データ(服用薬剤および服薬時刻)を記録する。」

「【0038】
<メモリユニットと送受信ユニットとの通信>
メモリユニット3は、所定の送信タイミング(例えば、服薬データが更新された時点)で送受信ユニット4に服薬データを送信する。また、送受信ユニット4は、この服薬データをリアルタイムにPC5を介して外部PCに送信する。これにより、医療機関や製薬会社は、医師が患者の服薬状況を把握することや、研究者が服薬データベースを構築することができる。なお、メモリユニット3から送受信ユニット4への送信は、PC5や外部PC5からの指令に基づいて行うようにしてもよい。」

「【0040】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態ではメモリユニットと送受信ユニットとの間で赤外線による無線通信を行わせるようにしたが、電波による無線通信を行わせるようにしてもよいし、コネクタ等を用いた有線通信を行わせるようにしてもよい。また、上記実施形態では、メモリユニットが送受信ユニットを介してPCや外部PCとの間で通信を行うものとしたが、このような通信は必須ではなく、メモリユニットが一体化されたドーズパッケージを患者や被験者に渡し、服薬の完了後にメモリユニットのみ(あるいは、ドーズパッケージおよびメモリユニット)を医療機関や製薬会社に返却させるようにしてもよい。この場合は、医療機関や製薬会社において、メモリユニットに記憶された服薬データをPCにダウンロードすることにより、投薬の管理や投薬データベースの構築を行うことができる。」

イ.以上の記載から、次の事項が認められる。
(ア)【0018】の「ドーズパッケージ2は、・・・パッケージ本体11と、・・・カバーシート12とからなっている。」との記載、【0019】の「パッケージ本体11の裏面には複数・・・の薬剤収容セル13が突設されており、これら薬剤収容セル13に1日4回、1週間分の薬剤(カプセルや錠剤)14が収容される。」との記載から、「ドーズパッケージ2」は、「薬剤14を収容するための複数の薬剤収容セル13」を有するといえ、「薬剤14を収容するための複数の薬剤収容セル13を有するドーズパッケージ2」が記載されているといえる。

(イ)【0020】の「カバーシート12の表面には、各薬剤収容セル13に対応する開封タブ21がそれぞれ配置され、これら開封タブ21をその輪郭に形成されたミシン目22にそって切り剥がせるようになっている。」との記載、【0021】の「各開封タブ21を水平に横切るプラス線25」との記載から、「各薬剤収容セル13に対応する開封タブ21を水平に横切るプラス線25」が記載されているといえる。さらに、【0029】の「薬剤収容セル13が開封されることによって(すなわち、開封タブ21が切り剥がされることによって)プラス線25が切断し」との記載から、「プラス線25」は、「切断可能な材質で形成される」といえる。

(ウ)【0029】の「マイクロコントローラ41は、・・・開封信号が入力したか否かを判定する。開封信号は、薬剤収容セル13が開封されることによって(すなわち、開封タブ21が切り剥がされることによって)プラス線25が切断し、プラス線25とアース線26との間の抵抗(電極端子25a,26a間の抵抗)が増大することで生成される。なお、開封信号は、当然のことながら、どの開封タブ21が切り剥がされたかが認識できるように、各開封タブ21に対応するものが生成される。」との記載から、「マイクロコントローラ41」は、「プラス線25とアース線26との間の抵抗(電極端子25a,26a間の抵抗)が増大することで生成される開封信号が入力したか否かを判定し、各開封タブ21に対応する開封信号が生成されることによって、どの開封タブ21が切り剥がされたかが認識できる」、「部分」を備えるといえる。また、プラス線25が切断し、プラス線25とアース線26との間の抵抗(電極端子25a,26a間の抵
抗)が増大することで開封信号が生成されることから、マイクロコントローラ41が、プラス線25へ電流を送出していることは、技術常識に照らして明らかである。

ウ.以上から、文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。
「薬剤14を収容するための複数の薬剤収容セル13を有するドーズパッケージ2の各薬剤収容セル13に対応する開封タブ21を水平に横切り、切断可能な材質で形成されるプラス線25へ電流を送出し、プラス線25とアース線26との間の抵抗(電極端子25a,26a間の抵抗)が増大することで生成される開封信号が入力したか否かを判定し、各開封タブ21に対応する開封信号が生成されることによって、どの開封タブ21が切り剥がされたかが認識できる部分を備える、マイクロコントローラ41。」

(2)文献2の記載について
ア.文献2には、図面と共に次の記載がある。
「【0001】
本発明は、請求項1の上位概念事項による保護システムおよび保護システムの検査のための方法に関する。」

「【0036】
図1は、図示されていない設備のための電気保護システム10の部分的な概略回路図を示す。設備は、例えばターボセットまたはガスタービン設備であってよい。以下においてはガスタービンの保護システムが説明されている。」

「【0066】
バイアス電流線30の信号の帰還およびトリップ線24の信号の帰還によって、自動化システム12は、制御リレー36の1つの開閉要素40の開路による検査信号の発生とバイアス電流線30cもしくはトリップ線24における従属した信号の受信との間に、いかなる信号伝搬時間が経過したかを求めることができる。一般に検査信号は1秒までの持続時間だけ用意されていて、自動化システム12による縦リレー46の1つの制御によって発生させられる。自動化システム12が検査信号の開始後0.5秒以内に、とりわけ0.3秒以内に、バイアス電流線30cの出力28(またはトリップ線24)での期待される応答が入力52において受信されない場合には、これは故障と評価される。・・・」

イ.以上から、文献2には、次の技術(以下、「文献2に記載された技術」という。)が記載されているといえる。
「ターボセットまたはガスタービン設備のための電気保護システム10の検査方法において、1秒までの持続時間だけ用意された検査信号の開始後0.5秒以内に、とりわけ0.3秒以内に、バイアス電流線30cの出力28での期待される応答が入力52において受信されない場合には、これは故障と評価すること。」

(3)文献3の記載について
ア.文献3には、図面と共に次の記載がある。
「【0009】
入力デバイス、セーフティコントローラ、及び出力デバイスを含む制御システム全体の確実な動作を保証するために、MPUが実行するシステム処理には、入力デバイスのそれぞれが正常か異常かを診断するための入力デバイス診断処理が含まれている。これをセーフティコントローラにおける入力デバイス自己診断機能と言うこともある。」

「【0010】
一般に、この種の入力デバイス診断処理においては、特定のテスト端子からパルス(又は一定周期のパルス列)を送り出しながら、特定の入力端子から取り込まれる信号中に現れる戻りパルス(又は一定周期のパルス列)を監視し、戻りパルス(又は一定周期のパルス列)がパルス送出時点から起算される一定の評価時間(Tev)内に戻ってくるか否かに基づいて、その入力デバイスが正常か異常か(入力デバイス自体の短絡・断線、配線長の不適切等々)を評価すると言う診断手法が採用される。」

「【0048】
・・・セーフティコントローラ1は、中央処理部(CPU)101、通信制御部102、USB制御部103、入出力回路104、及び端子台1aを含んで構成される。」

「【0051】
CPU101は、マイクロプロセッサ(MPU)101a、システムプログラムメモリ101b、ユーザプログラムメモリ101c、IOメモリ101d、及びワークメモリ101eを含んで構成される。」

「【0053】
MPU101aは、システムプログラムメモリ101bに格納されたシステムプログラムをワークメモリ101eをワークエリアとして実行することにより、図5に示されるように、初期処理(ステップ101又は111)に続いて、当該コントローラに必要な各種のシステム機能を実現するためのシステム処理(ステップ102又は112)と、ネットワークを介する他の通信ノードとの通信やツール装置などとの通信を実現する通信処理(ステップ103又は113)と、IOメモリ101dと入出力端子列106,107との間で入出力回路104を介してIOデータの更新を行うIOリフレッシュ(入出力更新)処理(ステップ104又は114)と、ユーザプログラムメモリ101cに格納されたユーザプログラムを構成する各ファンクションブロックを順次に読み出しては解読実行するユーザプログラム実行処理(ステップ105又は115)とを含む一連の処理をサイクリックに実行する。」

イ.以上から、文献3には、次の技術(以下、「文献3に記載された技術」という。)が記載されているといえる。
「入力デバイス、セーフティコントローラ、及び出力デバイスを含む制御システムの入力デバイス診断処理において、特定のテスト端子からパルス(又は一定周期のパルス列)を送り出しながら、特定の入力端子から取り込まれる信号中に現れる戻りパルス(又は一定周期のパルス列)を監視し、戻りパルス(又は一定周期のパルス列)がパルス送出時点から起算される一定の評価時間(Tev)内に戻ってくるか否かに基づいて、その入力デバイスが正常か異常か(入力デバイス自体の断線等々)を評価すること。」

(4)文献4の記載について
ア.文献4には、図面と共に次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガス絶縁機器のガス漏れをその場所と共に早期に検出するガス絶縁機器監視装置に関するものである。」

「【0029】実施の形態2.上記実施の形態1は一定時間以上検査用パルスが信号線3を通して親監視装置1Aに戻って来ない場合にガス漏れ無しを判定したが、本実施の形態は実施の形態1の機能に加えて信号線2、3の断線或いは装置の故障を検出する機能を備える。」

「【0030】図3、図4は本実施の形態に係るガス絶縁機器監視装置の構成図である。尚、図中、図1、2と同一符号は同一または相当部分を示す。図1、2では信号線2と3を並列に敷設し信号線間に各ガス密度スイッチ4aを所定間隔で並列に配置したが、本実施の形態では信号線2、3の終端を接続して信号線5をループ状にする。」

「【0032】信号線5の途中に断線も無く、ガス漏れ検知によりガス密度スイッチ4cがON状態でなければ、パルス発生器1aから発生した検査用パルスは信号線5の全長によって決まる一定の戻り時間後に親監視装置1Aに戻ってくる。」

「【0034】ところが、例えば、図4の様に断線箇所があった場合、終端を通って戻ってくる検査用パルスは親監視装置1Aに入力されない。このように、一定の時間後に親監視装置1Aに戻って来るべき検査用パルスが検知出来なかった場合は、監視装置1Aの故障や信号線5に断線が発生したことが判定される。」

イ.以上から、文献4には、次の技術(以下、「文献4に記載された技術」という。)が記載されているといえる。
「ガス絶縁機器監視装置において、信号線2、3の終端を接続してループ状にした信号線5の全長によって決まる一定の時間後に、親監視装置1Aに戻って来るべき検査用パルスが検知出来なかった場合は、信号線5に断線が発生したことを判定すること。」

(5)文献5の記載について
ア.文献5には、図面と共に次の記載がある。
「【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1には、錠剤のサプリメント(物質)を収容した電子パッケージ(携帯型情報発信装置)10の斜視図、図2(a)には、電子パッケージ10を開いた平面図、図2(b)には、その部分断面図、図3には、電子パッケージ10の基板の展開図を示す。電子パッケージ10は、片手で把持できる程度の大きさであり、扉部11、ボタン配列部12、物質保持部13を備える。扉部11とボタン配列部12との間には側部16を、ボタン配列部12と物質保持部13との間には側部17を備える。物質保持部13には、7×4の配列で28個のサプリメント(物質)15を備える。」

「【0021】
サプリメント15は、プラスチックシート14の内側に収容される。プラスチックシート14には、上に凸に湾曲した略半球殻状の湾曲部14Aを28個備える。プラスチックシート14は、保持部第1パネル13AとアルミシートALとの間に挟むようにして備えられる。そして、湾曲部14AとアルミシートALとの間に形成された収容部30にサプリメント15を1つずつ収容する。アルミシートALの下には保持部第3パネル13Dを設け、保持部第3パネル13Dの下には電気回路ECを介して保持部第2パネル13Bを備える。なお、プラスチックシート14は、湾曲部14Aを7×4の配列で一体に形成したシートである。また、保持部第1パネル13Aには湾曲部14Aに沿った円状の切り欠き13AXを、保持部第2パネル13B、保持部第3パネル13Dにはそれぞれ、湾曲部14Aに沿った円状のミシン目C1,C2を備える(後述)。湾曲部14Aは、保持部第1パネル13Aの切り欠き13AX、保持部第2パネル13Bのミシン目C2、保持部第3パネル13Dのミシン目C1と略同一の間隔で配置される。」

「【0027】
扉部第2パネル11Bには、電子モジュールMが貼着される。また、扉部第2パネル11B、配列部第2パネル12B、側部パネル16B,17B、保持部第3パネル13Dには、電気回路ECを形成する。電気回路ECの陰極端子は、電子モジュールMの一端より出て、扉部第2パネル11B、側部パネル16B,17B、配列部第2パネル12B、保持部第3パネル13Dのそれぞれ縁部を通って、電子モジュールMの他端へ入るように回路構成される。一方、電気回路ECの陽極端子は合計で32個あり、そのうちの1つが不連続部22の一方に達し、不連続部22の他方は、陰極回路に合流する。また、3つの陽極端子はそれぞれ3つの不連続部23の一方に達し、不連続部23の他方は、陰極回路に合流する。」

「【0028】
残りの28個の陽極端子は、それぞれ、保持部第3パネル13Dの形成された28個のミシン目C1に向かい、ミシン目C1を略直径方向に横切り、陰極回路に合流する。なお、陽極端子から伸びた28本の回路線のそれぞれがミシン目C1で区切られる部分を検知部(検知手段)24と称する。導電スポット21A、導電スポット21B1,21B2,21B3、不連続部22,23A,23B,23C、電気回路ECは、導電物質をインクジェット方式により板紙P上に印刷することによって形成される。なお、印刷方法は、インクジェット方式に限定されるものではなく、シルク印刷、グラビア印刷などどのような印刷方法であってもよい。」

「【0035】
図4には、使用者情報管理システム(物質情報管理システム)を示す。使用者情報管理システムは、電子パッケージ10、データ読取装置(電子情報読取装置)40、解析装置50、複数のモニター(表示手段)60などで構成される。電子パッケージ10に備える電子モジュールMは、動作磁界により発電する発電回路31、電磁波(RF信号)を送信するアンテナ(送信手段)32、電子データを記憶する記憶手段33、タイムスタンプを付与するリアルタイムクロック34、電気回路ECに連結して電気回路ECを作動させる電池35、電池35の電源供給を所定時間で停止するオートスリープ手段36、制御部37などを備える。」

「【0039】
そして、一日1錠、サプリメント15を服用する。服用する際、まず、使用者は、電子パッケージ10のスタートボタン(スタートスイッチ)17を押す(S1)。すると不連続部22と導電スポット21Aが接触して不連続部22前後の回路線が導通し、電子モジュールMの制御部37が電池35を電気回路ECに接続して電気回路ECをONにする(S2)。次に、電子パッケージ10に表示されている使用者に対する質問文18、「お肌の調子はいかがですか」に回答する
ために回答ボタン19A?19Cのいずれかを押す(S3)。今回は、「悪い」(回答)に相当する回答ボタン19Aを押下する。すると、不連続部23Aと導電スポット21B1が接触して不連続部23A前後の回路線が導通し、電子モジュールMの制御部37がリアルタイムクロック34を作動させて、回答ボタン19Aが押された日時をタイムスタンプし、回答とその回答がなされた日時(回答情報と称す)を記憶手段33に記憶する(S4)。」

「【0040】
次に、サプリメント15を1つ取り出す。28個のサプリメント15は1つずつ湾曲部14Aと保持部第3パネル13Dとの間に形成された収容部30に収容されている(図5(a))。この湾曲部14Aを上方より親指THで押して、サプリメント15を下方に押し出す(S5)。すると、ミシン目C1に沿って保持部第3パネル13Dが、ミシン目C2に沿って保持部第2パネル13Bが切り取られるとともに、アルミシートALが破断して、サプリメント15が収容部30から押し出される。このとき、電気回路ECの検知部24も同時に切り取られ(断線して)、この電気回路ECの電流が停止する。電子モジュールMの制御部37は、このサプリメント15が取り出された日時のタイムスタンプと、取り出された収容部30の位置(取出情報と称す)とを記憶手段33に記憶させる(S6)。すなわち、検知部24は収容部30からサプリメント15が取り出されたことを検知する。なお、このとき、前記回答情報とこの取出情報とをリンクさせて記憶するようにしてもよい。」

「【0043】
販売舗には、データ読取装置40、解析装置50、モニター60が備えられている。店頭で、使用者は、使用済みの電子パッケージ10を販売員に渡す。販売員は、電子パッケージ10の扉部11(すなわち、電子モジュールMが収納されている部分)をデータ読取装置40に近づける。データ読取装置40は、外部電源Eによって発信手段41が常時、動作磁界を発生させており、電子パッケージ10の発電回路31がこの動作磁界によって励磁され、誘導電流を発生させる。これによって、電子モジュールMは電源がONとなり、アンテナ32より、記憶手段33に記憶されている全てのサプリメント15に対する回答情報と取出情報、および、商品の固有情報が無線通信波として送信される。」

「【0044】
送信された回答情報、取出情報および商品の固有情報は、データ読取装置40のアンテナ42を介して取り込まれ、サーバー51に格納される。次に、販売員は、この生データ(回答情報、取出情報、商品の固有情報)に基づいてカウンセリングを行い、新しく提供する商品(サプリメント)を検討する。このとき、販売員は必要に応じて、解析手段52を用いて、生データを解析する。そして、解析データに基づいて使用者に最適な商品を販売する。」

イ.以上の記載から、次の事項が認められる。
(ア)【0020】の「錠剤のサプリメント(物質)を収容した電子パッケージ(携帯型情報発信装置)10」との記載、【0021】の「サプリメント15は、プラスチックシート14の内側に収容される。プラスチックシート14には、上に凸に湾曲した略半球殻状の湾曲部14Aを28個備える。・・・そして、湾曲部14AとアルミシートALとの間に形成された収容部30にサプリメント15を1つずつ収容する。」との記載から、「サプリメント15を収容するための28個の収容部30を有する電子パッケージ10」が記載されているといえる。

(イ)【0020】の「湾曲部14AとアルミシートALとの間に形成された収容部30」との記載、【0021】の「それぞれ、湾曲部14Aに沿った円状のミシン目C1,C2を備える(後述)。湾曲部14Aは、・・・保持部第3パネル13Dのミシン目C1と略同一の間隔で配置される。」との記載から、「収容部30の湾曲部14Aに沿って、収容部30の湾曲部14Aと略同一の間隔で配置される円状のミシン目C1」が記載されているといえる。

(ウ)【0028】の「残りの28個の陽極端子は、それぞれ、保持部第3パネル13Dの形成された28個のミシン目C1に向かい、ミシン目C1を略直径方向に横切り、陰極回路に合流する。」及び「陽極端子から伸びた28本の回路線のそれぞれがミシン目C1で区切られる部分を検知部(検知手段)24と称する。」との記載から、「ミシン目C1を略直径方向に横切る、28本の回路線」が記載されているといえる。さらに、【0040】の「サプリメント15が収容部30から押し出される。このとき、電気回路ECの検知部24も同時に切り取られ(断線して)、この電気回路ECの電流が停止する。」との記載から、「28本の回路線」は、「切り取られ可能な材質で形成される」といえる。

(エ)【0027】の「電気回路ECの陽極端子は合計で32個あり」との記載、【0028】の「残りの28個の陽極端子は、それぞれ、保持部第3パネル13Dの形成された28個のミシン目C1に向かい、ミシン目C1を略直径方向に横切り、陰極回路に合流する。」及び「陽極端子から伸びた28本の回路線」との記載から、「28本の回路線」は「電気回路EC」を構成するものといえる。そして、【0039】の「電子モジュールMの制御部37が電池35を電気回路ECに接続して電気回路ECをONにする」という記載、「電池を電気回路に接続して電気回路をONにする」ことが、「電気回路に電流を流す」ことを意味するという技術常識から、「制御部37」は、「28本の回路線へ電流を流す」といえる。

(オ)【0040】の「サプリメント15を1つ取り出す。・・・サプリメント15が収容部30から押し出される。このとき、電気回路ECの検知部24も同時に切り取られ(断線して)、この電気回路ECの電流が停止する。電子モジュールMの制御部37は、このサプリメント15が取り出された日時のタイムスタンプと、取り出された収容部30の位置(取出情報と称す)とを記憶手段33に記憶させる(S6)。すなわち、検知部24は収容部30からサプリメント15が取り出されたことを検知する。」との記載、【0028】の「陽極端子から伸びた28本の回路線のそれぞれがミシン目C1で区切られる部分を検知部(検知手段)24と称する。」との記載から、「制御部37」は、「サプリメント15が収容部30から取り出され、28本の回路線のそれぞれがミシン目C1で区切られる部分が切り取られ(断線して)、電流が停止した日時のタイムスタンプと取り出された収容部30の位置とを記憶手段33に記憶させる」、「部分」を備えるといえる。

ウ.以上から、文献5には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
「サプリメント15を収容するための28個の収容部30を有する電子パッケージ10の、収容部30の湾曲部14Aに沿って、収容部30の湾曲部14Aと略同一の間隔で配置される円状のミシン目C1を略直径方向に横切り、切り取られ可能な材質で形成される、28本の回路線へ電流を流し、サプリメント15が収容部30から取り出され、28本の回路線のそれぞれがミシン目C1で区切られる部分が切り取られ(断線して)、電流が停止した日時のタイムスタンプと、取り出された収容部30の位置とを記憶手段33に記憶させる部分を備える、制御部37。」

(6)文献6の記載について
ア.文献6には、図面と共に次の記載がある。
「ブリスタパッケージ20および30は、ポケットまたはブリスタ22および32の配列が形成されるプラスチックシート23および33よりなる。薬剤21および31はブリスタ内に入れられ・・・」(第16ページ第11?14行)

「電子ハウジング112は薬剤ディスペンサ110のための電子回路を収容する。」(第17ページ第23?24行)

「通常は、邪魔されず分与される製品の通過によって変化する感知領域の2つの状況のみが関係があるため、感知されるパラメータの2つの異なる値のみが必要であり、・・・」(第18ページ第24?26行)

「ディスペンサ内の検出回路による感知シートの次の走査の間、この特定のスイッチの状況の変化が検出され、特定の薬剤が分与され、それが何時分与されたかという情報がディスペンサのメモリに記録される。」(第20ページ第9?11行)

「この感知位置からの引き続いての開回路信号は、新しい製品パッケージおよび感知シートが次に装填されるまで無視され、これにより間違った分与信号が与えられる可能性が回避される。」(第20ページ第13?16行)

「図6?図8は上記好適な実施態様のセンサシート148を示す。この実施態様は、非導電性外層150および152、ならびにこれらの間に2つの導電性金属箔回路層154および156を有する。回路層154はセンサシートの感知通路のすべてに対して共通のリターンまたは供給回路を提供する。信号回路要素156は製品要素領域の各々の共通の回路層に重なり、これによって、感知領域の各々で通常は閉鎖した単純なスイッチ構造が形成される。」(第20ページ第20
?25行)

「この押圧力によって、エラストマー性コネクタ180がセンサシート148とプリント配線基板上の対応する端子172との間の電気接続を行い、これにより、検出回路が完成し、分与動作を監視する装置が作動態勢となる。」(第22ページ第17?20行)

「薬剤が患者によってブリスタパッケージ30から分与されるとき、対応するセンサシート148の感知領域が変更され、検出回路によるセンサシート回路の次の走査によって特定の薬剤が分与されたということが示されることになる。走査回数は、所望の分与時間分解能およびバッテリの耐久性を考慮にいれてこれらに適合する回数であればよい。」(第22ページ第26行?第23ページ第2行)

「ディスペンサ10の電気システム図を図10に示す。システムは通常は閉鎖したスイッチ群312を形成するセンサシート148の重複するトレース群310を有する。センサシート148は、エラストマー性コネクタ180と係合し、これにより、エラストマー性コネクタの交互に積層された層内の電気通路318を通してプリント配線基板上の端子172と電気接続を行う。プリント配線基板の端子172は読み出し専用メモリおよびランダムアクセスメモリを有するマイクロプロセッサ350に接続する。マイクロプロセッサは所望の投与スケジュールを確立して薬剤の実際の分与時間をメモリに記憶する様にプログラムし得る。マイクロプロセッサをプログラムして分与データをダウンロードするためにマイクロプロセッサとの外部通信が通信部352および354を介して実現される。」(第23ページ第23行?第24ページ第5行)

「好適な実施例において、感知アレイの感知されるパラメータは、ブリスタパッケージの各ブリスタ下のスイッチを流れる電流である。薬剤が分与されながら感知シートを通過するとき、スイッチを形成する覆いである箔状電気接点を押し破り感知領域を通る電流路を破断する。感知電流の存在如何により、検知回路の別の部分中の抵抗器の両端の電圧の降下が発生し、装置のマイクロプロセッサによって検知され得る信号が発生される。」(第26ページ第15?20行)

「センサシートの導電性回路は、絶縁性基板にシルクスクリーン加工その他の方法で塗布された導電性インクまたは接着剤からなっていてもよい。」(第27ページ第13?15行)

「本発明の監視されるディスペンサと一体化する分与システム全体では、外部装置は、ディスペンサと連絡するために用いられ得る。外部装置あるいは外部システムは、ディスペンサと共に用いられることだけを意図された専用コントローラであっても、ディスペンサとインタフェースするようにされ得るコンピュータなどの汎用装置であってもよい。どちらの場合でも、2つの装置が互いにインタフェースするためのディスペンサおよび外部装置内で連絡手段が要求される。連絡手段は、シリアルデータあるいはパラレルデータを運び得るコネクタ配線ポートであってもよい。光学周波数連結あるいは無線周波数連結などの他のワイアレス連絡手段も適している。また、上記のように、センサシート自体あるいはプログラミングカードは、命令をエラストマーコネクタ信号経路を通ってディスペンサに伝えるために用いられ得る。ディスペンサの好ましい実施態様は、コネクタを用いずに共通に備えられた外部装置と光学的に連絡するための発光ダイオードおよびホトダイオード素子を備えている。」(第32ページ第24行?第33ページ第9行)

「この方法でなければ確実には利用できないこの情報によって、薬品の有効性が現れないことあるいは薬品の副作用は、薬品自体によるものなのか、あるいは所定の処方箋に対して患者のコンプライアンスが低いためなのかに関して薬剤師は詳しい決定をし得る。」(第34ページ第12?16行)

「図10



イ.以上の記載から、次の事項が認められる。
(ア)第16ページ第11?14行の「ブリスタパッケージ20および30は、ポケットまたはブリスタ22および32の配列が形成されるプラスチックシート23および33よりなる。薬剤21および31はブリスタ内に入れられ」との記載から、「薬剤を入れるブリスタの配列が形成されたブリスタパッケージ」が記載されているといえる。

(イ)第23ページ第23行?第24ページ第2行の「ディスペンサ10の電気システム図を図10に示す。システムは通常は閉鎖したスイッチ群312を形成するセンサシート148の重複するトレース群310を有する。センサシート148は、エラストマー性コネクタ180と係合し、これにより、エラストマー性コネクタの交互に積層された層内の電気通路318を通してプリント配線基板上の端子172と電気接続を行う。プリント配線基板の端子172は読み出し専用メモリおよびランダムアクセスメモリを有するマイクロプロセッサ350に接続する。」との記載、第22ページ第17?20行の「エラストマー性コネクタ180がセンサシート148とプリント配線基板上の対応する端子172との間の電気接続を行い、これにより、検出回路が完成し、分与動作を監視する装置が作動態勢となる。」との記載、第26ページ第18?20行の「感知電流の存在如何により、検知回路の別の部分中の抵抗器の両端の電圧の降下が発生し、装置の
マイクロプロセッサによって検知され得る信号が発生される。」との記載、図10の図示内容から、「検出回路」は「検知回路」を意味し、「検知回路」は、「マイクロプロセッサ350から出た配線が、通常は閉鎖したスイッチ群312を形成するセンサシート148の重複するトレース群310を経由して、マイクロプロセッサ350に戻るように構成される」といえ、「マイクロプロセッサ350」は、検知を実行し、分与動作を監視する「検知部」を備えるといえる。

(ウ)第24ページ第2?3行の「マイクロプロセッサは所望の投与スケジュールを確立して薬剤の実際の分与時間をメモリに記憶する様にプログラムし得る。」との記載から、「マイクロプロセッサ」は、「所望の投与スケジュールを確立して薬剤の実際の分与時間をメモリに記憶する」ための「プログラム」を「実行する部分」を備えるといえる。

(エ)第23ページ第28行?第24ページ第1行の「読み出し専用メモリおよびランダムアクセスメモリを有するマイクロプロセッサ350」との記載から、「マイクロプロセッサ350」は、「読み出し専用メモリおよびランダムアクセスメモリ」を備えるといえる。

(オ)第22ページ第26行?第23ページ第2行の「薬剤が患者によってブリスタパッケージ30から分与されるとき、対応するセンサシート148の感知領域が変更され、検出回路によるセンサシート回路の次の走査によって特定の薬剤が分与されたということが示されることになる。走査回数は、所望の分与時間分解能およびバッテリの耐久性を考慮にいれてこれらに適合する回数であればよい。」との記載と、上記イで認定された検出回路(検知回路)の構成及び検出回路
(検知回路)におけるマイクロプロセッサ350の役割から、「マイクロプロセッサ350」の「検知部」は、「所望の分与時間分解能およびバッテリの耐久性を考慮にいれてこれらに適合する走査回数で走査し」、「特定の薬剤が分与されたということを示す」といえる。

(カ)第26ページ第16行の「各ブリスタ下のスイッチ」という記載、同ページ第17?18行の「スイッチを形成する覆いである箔状電気接点を押し破り感知領域を通る電流路を破断する」との記載から、「感知領域」は「各ブリスタ下」にあり、「感知領域を通る電流路」は、「破断」可能な材質で形成されるといえる。さらに、第22ページ第27行?第23ページ第2行の「検出回路によるセンサシート回路の次の走査」、「走査回数は、所望の分与時間分解能およびバッテリの耐久性を考慮にいれてこれらに適合する回数であればよい。」との記載と、上記イで認定された検出回路(検知回路)の構成及び検出回路(検知回路)におけるマイクロプロセッサ350の役割を考慮すると、「マイクロプロセッサ350」の「検知部」は、「感知領域を通る電流路」に、「所望の分与時間分解能およびバッテリの耐久性を考慮にいれてこれらに適合する走査回数」の「電流」を流すといえる。

(キ)第26ページ第18?20行の「感知電流の存在如何により、検知回路の別の部分中の抵抗器の両端の電圧の降下が発生し、装置のマイクロプロセッサによって検知され得る信号が発生される。」との記載から、「マイクロプロセッサ」の「検知部」は、「感知電流の存在如何により、検知回路の別の部分中の抵抗器の両端の電圧の降下が発生」することにより「発生される」「信号」を「検知」するといえる。さらに、上記オで認定された「特定の薬剤が分与されたということを示す」という「マイクロプロセッサ350」の「検知部」の機能を考慮すると、「マイクロプロセッサ」の「検知部」は、「信号」を「検知」した場合に、「特定の薬剤が分与されたということを示す」といえる。

ウ.以上から、文献6には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているといえる。
「所望の投与スケジュールを確立して薬剤の実際の分与時間をメモリに記憶するためのプログラムを実行する部分と、薬剤を入れるブリスタの配列が形成されたブリスタパッケージの各ブリスタ下の感知領域を通り、破断可能な材質で形成される電流路に、所望の分与時間分解能およびバッテリの耐久性を考慮にいれてこれらに適合する走査回数の電流を流し、感知電流の存在如何により、検知回路の別の部分中の抵抗器の両端の電圧の降下が発生することにより発生される信号を検知した場合に、特定の薬剤が分与されたということを示す検知部と、読み出し専用メモリおよびランダムアクセスメモリとを、備える、マイクロプロセッサ350。」

また、文献6には、次の技術(以下、「文献6に記載された技術」という。)も記載されているといえる。
「分与を感知した後のこの感知位置からの引き続いての開回路信号を、新しい製品パッケージおよび感知シートが次に装填されるまで無視すること。」

3.対比・判断
(1)引用発明1を主たる引用発明とした場合
ア.本件特許発明1、4?6、9?11について
(ア)対比
本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「マイクロコントローラ41」は、本件特許発明1の「信号処理装置」に相当し、以下同様に、「薬剤14」は「物品」に、「複数の薬剤収容セル13」は「1つ以上の収容部」に、「ドーズパッケージ2」は「パッケージ」に、「各薬剤収容セル13に対応する開封タブ21」は「1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域」に、「プラス線25」は「信号線」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1において、「開封信号」は、「プラス線25とアース線26との間の抵抗(電極端子25a,26a間の抵抗)が増大することで生成される」ことから、引用発明1の「電流」は、それにより、「どの開封タブ21が切り剥がされたか」を確認するものであるといえ、本件特許の請求項1に係る発明の「信号」に相当する。
また、引用発明1の「どの開封タブ21が切り剥がされたかが認識できる部分」は、本件特許発明1の「各収容部の開封を検出する検出部」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と引用発明1との一致点及び相違点は次のとおりである。

【一致点】
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、各収容部の開封を検出する検出部を備える、信号処理装置。

【相違点1】
信号処理装置の構成要素について、本件特許発明1では、プログラムを実行するプロセッサと、前記プロセッサを機能させるための前記プログラムを記憶するメモリとを備えるのに対し、引用発明1では、そのような構成を備えるか不明な点。

【相違点2】
検出部について、本件特許発明1では、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出するものであって、1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、前記1つ以上の分岐線それぞれは、1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、前記検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出するものであるのに対し、引用発明1では、そのような構成を備えていない点。

(イ)判断
まず上記相違点2について検討する。
本件特許発明1は、「1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、前記1つ以上の分岐線それぞれは、1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、前記検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する」という構成(以下、「構成」という。)を備えるものである。
そして本件特許発明1は、上記構成を備えることにより、(a)所定のパルス幅を有するパルス信号を共通線へ送出することで、パルス信号を送出する制御の簡略化及び送信電力の低減が可能である。(b)パルス信号の送出時刻から、1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで分岐線ごとにパルス信号の帰還の有無を検出すればよいため、パルス信号のパルス幅を短くすることが可能になり、それにより、送信電力のさらなる低減が可能になる。(c)パルス信号の送出時刻から、1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで分岐線ごとにパルス信号の帰還の有無を検出すればよいため、分岐線ごとに帰還するパルス信号の検出期間を短くすることが可能となり、それにより、検出に要する電力の低減が可能になる。という本件特許発明独自の作用効果を奏するものである。
ここで、上記文献2?4に記載された技術に基づけば、本件特許発明1の「送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する」点は、文献2?4の記載から容易に導き出せるといえる。
しかし、本件特許発明1は上記点に加えて上記構成(特に、パルス信号の送出時刻から、1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べるという構成)を備えることにより、上記(a)?(c)という特有の作用効果(特に、(b)及び(c))を奏するものであり、このような構成及び作用効果は文献2?4に開示が無いし、文献2?4から容易に導き出せるものともいえない。
また、文献6に記載された技術も上記点を示唆するものではない。
よって、本件特許発明1の上記相違点2に係る構成は、引用発明1及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、上記相違点1について検討するまでもなく本件特許発明1は、引用発明1及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明4?6及び9?11は、いずれも直接又は間接的に本件特許発明1を引用するものであるから、同様に引用発明1及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ.本件特許発明12?14について
本件特許発明12?14は、それぞれ、本件特許発明1の信号処理装置のプロセッサを機能させるためのプログラム、本件特許発明1の信号処理装置のプロセッサにより実行される開封検出方法、並びに、物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージと、前記パッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように、破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線と、本件特許発明1の信号処理装置を含む開封検出モジュールとを備える物品包装材であり、上記ア.で検討した相違点2に係る構成を実質的に包含するものである。
よって、上記ア.で検討したのと同様の理由により、引用発明及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて当業者が容易に発明できたものではない。

ウ.小括
以上のとおり、本件特許発明1、4?6及び9?14は、引用発明1及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)引用発明2を主たる引用発明とした場合
ア.本件特許発明1、4?6、9?11について
(ア)対比
本件特許発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「制御部37」は、本件特許発明1の「信号処理装置」に相当し、以下同様に、「サプリメント15」は「物品」に、「28個の収容部30」は「1つ以上の収容部」に、「電子パッケージ10」は「パッケージ」に、「28本の回路線」は「1つ以上の信号線」に、それぞれ相当する。
また、引用発明2の「円状のミシン目C1」は、「収容部30の湾曲部14Aに沿って、収容部30の湾曲部14Aと略同一の間隔で配置される」ので、「円状のミシン目C1」で囲まれた領域は、28個の収容部30にそれぞれ対応する領域といえ、「円状のミシン目C1を略直径方向に横切り、切り取られ可能な材質で形成される、28本の回路線」は、本件特許発明1の「1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線」に相当する。
また、引用発明2の「電流」は、「停止した」ことにより、「サプリメント15が収容部30から取り出され」た「タイムスタンプ」と、「取り出された収容部30の位置」とを「記憶手段33に記憶させる」ので、サプリメント15がどの収容部30から取り出されたかを確認するものであるといえ、本件特許発明1の「信号」に相当する。
また、引用発明2の「サプリメント15が収容部30から取り出され、28本の回路線のそれぞれがミシン目C1で区切られる部分が切り取られ(断線して)、電流が停止した日時のタイムスタンプと、取り出された収容部30の位置とを記憶手段33に記憶させる部分」は、本件特許発明1の「各収容部の開封を検出する検出部」に相当するといえる。
そうすると、本件特許発明1と引用発明2との一致点及び相違点は次のとおりである。

【一致点】
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、各収容部の開封を検出する検出部を備える、信号処理装置。

【相違点3】
信号処理装置の構成要素について、本件特許発明1では、プログラムを実行するプロセッサと、前記プロセッサを機能させるための前記プログラムを記憶するメモリとを備えるのに対し、引用発明2では、そのような構成を備えるか不明な点。

【相違点4】
検出部について、本件特許発明1では、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出するものであって、1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、前記1つ以上の分岐線それぞれは、1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、前記検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出するものであるのに対し、引用発明2では、そのような構成を備えていない点。

(イ)判断
まず、上記相違点4について検討すると、上記相違点4における本件特許発明1に係る構成は上記(1)ア.(イ)で検討した相違点2に係る構成と同じであるから、上記相違点2と同様に、相違点4に係る構成についても引用発明2及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、上記相違点3について検討するまでもなく本件特許発明1は、引用発明2及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明4?6及び9?11は、いずれも直接又は間接的に本件特許発明1を引用するものであるから、同様に引用発明2及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ.本件特許発明12?14について
本件特許発明12?14は、結局上記(1)イ.で指摘したとおりのものとなるので、対比・判断については、上記ア.で示したとおりである。

ウ.小括
以上のとおり、本件特許発明1、4?6及び9?14は、引用発明2及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)引用発明3を主たる引用発明とした場合
ア.本件特許発明1について
(ア)対比
本件特許発明1と引用発明3とを対比すると、引用発明3の「マイクロプロセッサ350」は、本件特許発明1の「信号処理装置」に相当し、以下同様に、「プログラムを実行する部分」は「プログラムを実行するプロセッサ」に、「薬剤」は「物品」に、「ブリスタの配列」は「1つ以上の収容部」に、「ブリスタパッケージ」は「パッケージ」に、「各ブリスタ下の感知領域」は「1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域」に、「電流路」は「信号線」に、「特定の薬剤が分与されたということを示す」は「各収容部の開封を検出する」に、「検知部」は「検出部」に、「読み出し専用メモリおよびランダムアクセスメモリ」は「メモリ」に、それぞれ相当する。
また、引用発明3の「所望の分与時間分解能およびバッテリの耐久性を考慮にいれてこれらに適合する走査回数の電流」は、いずれかの「感知領域」を通るものであり、「所定のパルス幅を有するパルス信号」といえるから、本件特許の請求項1に記載された「第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号」に相当する。
また、引用発明3において、ある「走査」の「電流」を流した時刻から、「検知回路の別の部分中の抵抗器の両端の電圧の降下が発生することにより発生される信号を検知し、特定の薬剤が分与されたということを示す」までに、所定の遅延時間が経過することは、技術常識に照らして明らかであるから、「感知電流の存在如何により、検知回路の別の部分中の抵抗器の両端の電圧の降下が発生することにより発生される信号を検知した場合に、特定の薬剤が分与されたということを示す」は、本件特許発明1の「第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する」に相当する。
そうすると、本件特許発明1と引用発明3との一致点及び相違点は次のとおりである。

【一致点】
プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、各収容部の開封を検出する検出部と、
メモリと、を備える、
信号処理装置。

【相違点5】
検出部について、本件特許発明1では、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出するものであって、1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、前記1つ以上の分岐線それぞれは、1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、前記検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出するものであるのに対し、引用発明3では、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の収容部が開封されたことを検出するものである点。

【相違点6】
プロセッサ及びメモリについて、本件特許発明1では、プロセッサを検出部として機能させ、メモリはそのためのプログラムを記憶するのに対して、引用発明3では、プログラムを実行する部分を検知部として機能させるか不明であり、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリがそのためのプログラムを記憶するかどうかも不明である点。

(イ)判断
上記相違点5について検討すると、上記相違点5おける本件特許発明1に係る構成は上記(1)ア.(イ)で検討した相違点2に係る構成と同じであるから、上記相違点2と同様に、上記相違点5に係る構成についても引用発明3及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、相違点5に係る構成について、引用発明3には、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の収容部が開封されたことを検出する点についての記載があるが、1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、前記1つ以上の分岐線それぞれは、1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、前記検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べる点については記載がなく、この点は文献2?4及び6にも記載がないのであるから、上記(1)ア.(イ)記載の(a)?(c)に係る作用効果が期待できないことは、上記引用発明1又は2を主たる引用発明とした場合と同様である。
よって、相違点6について検討するまでもなく、本件特許発明1は、引用発明3及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明4?6及び9?11は、いずれも直接又は間接的に本件特許発明1を引用するものであるから、同様に引用発明3及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ.本件特許発明12?14について
本件特許発明12?14は、結局上記(1)イ.で指摘したとおりのものとなるので、対比・判断については、上記ア.で示したとおりである。

ウ.小括
以上のとおり、本件特許発明1、4?6及び9?14は、引用発明3及び文献2?4及び6に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 取消理由通知で採用しなかった証拠について
申立人は特許異議申立書において、甲第2号証(特開平11-110671号公報)を、「第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の領域で断線が生じたことを検出すること」を公知の事項として示す文献として提示する。
しかしながら、当該事項を公知技術として示す文献は他に上記文献2ないし4(甲第3ないし5号証)が存在していることから、取消理由通知では甲第2号証を採用せず、同等のものとして、上記文献2ないし4を引用文献として提示した。
そして、仮に取消理由通知で甲第2号証を引用文献として提示したとしても、上記甲第3ないし5号証を引用文献として採用し、対比・判断した上記第4の3.で説示したのと同様に、本件特許発明は甲第2号証に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

第6 まとめ
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1、4?6及び9?14に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、4?6及び9?14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件訂正が認められることにより、本件特許の請求項2、3に係る特許は削除された。これにより、申立人による、請求項2、3に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなり、不適法なものであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。



 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記検出部は、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
信号処理装置。
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
前記検出部は、前記1つ以上の収容部のうちの第1の収容部が開封されたことを一度検出した後、前記第1の収容部に対応する分岐線を伝搬する前記パルス信号が帰還するかを判定しない、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記検出部により各収容部について記録される開封時刻データを、通信インタフェースを介して外部装置へ出力するデータ出力部、としてさらに機能する、請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記通信インタフェースを介して予め取得されるユーザの識別子に関連付けて、前記開封時刻データを記録する、請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項7】
プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記検出部は、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出し、
前記物品は、医薬品であり、
前記プロセッサは、予め取得される服用計画データに従って、各収容部に収納される医薬品を服用すべきタイミングをユーザへ報知する報知制御部、としてさらに機能する、
信号処理装置。
【請求項8】
プログラムを実行するプロセッサと、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部、として前記プロセッサを機能させるための前記プログラム、を記憶するメモリと、を備え、
前記検出部は、第1の収容部に対応する第1の領域を経由すべき所定のパルス幅を有するパルス信号である第1の信号の送出時刻から所定の遅延時間が経過した時刻に、前記第1の信号が前記第1の領域を経由して帰還しないことを認識した場合に、前記第1の収容部が開封されたことを検出し、
前記物品は、医薬品であり、
前記プロセッサは、前記検出部により各収容部について記録される開封時刻データを用いて判定される前記医薬品の服用ミスをユーザへ報知する報知制御部、としてさらに機能する、
信号処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置を前記1つ以上の信号線に接続させるための1つ以上の接続端子と、
を備える開封検出モジュール。
【請求項10】
請求項1に記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置により記録されるデータを外部装置へ送信する通信インタフェースと、
を備える開封検出モジュール。
【請求項11】
前記通信インタフェースは、無線通信インタフェースであり、
前記開封検出モジュールは、前記無線通信インタフェースにより使用されるアンテナ、をさらに備える、
請求項10に記載の開封検出モジュール。
【請求項12】
信号処理装置のプロセッサを、
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて各収容部の開封を検出する検出部として機能させるためのプログラムであって、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記プログラムは、前記プロセッサを、
所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する検出部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線へ信号を送出することと、
送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて、各収容部の開封を検出することと、
を含み、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
各収容部の開封を検出する際に、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
信号処理装置のプロセッサにより実行される開封検出方法。
【請求項14】
物品を収容するための1つ以上の収容部を有するパッケージと、
前記パッケージの前記1つ以上の収容部にそれぞれ対応する領域を通過するように、破断可能な材質で形成される1つ以上の信号線と、
前記1つ以上の信号線へ信号を送出し、送出した信号が各領域を経由して帰還するかに基づいて、各収容部の開封を検出する開封検出モジュールと、
を備え、
前記1つ以上の信号線は、共通線から分岐する1つ以上の分岐線であり、
前記1つ以上の分岐線それぞれは、前記1つ以上の収容部それぞれと一対一に対応し、
前記開封検出モジュールは、所定のパルス幅を有するパルス信号を前記共通線へ送出し、前記パルス信号の送出時刻から、前記1つ以上の分岐線それぞれに対して設定された遅延時間が経過した時刻それぞれのタイミングで前記分岐線ごとに前記パルス信号の帰還の有無を調べ、前記パルス信号が帰還しないことを認識した場合に、前記パルス信号の帰還が認識されなかった分岐線に対応する収容部が開封されたことを検出する、
物品包装材。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-06-29 
出願番号 特願2015-527202(P2015-527202)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (A61J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 立花 啓今井 貞雄  
特許庁審判長 芦原 康裕
特許庁審判官 井上 哲男
莊司 英史
登録日 2019-04-05 
登録番号 特許第6504053号(P6504053)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 信号処理装置、開封検出モジュール、プログラム、開封検出方法及び物品包装材  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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