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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C04B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C04B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C04B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C04B
管理番号 1376746
異議申立番号 異議2020-700601  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-14 
確定日 2021-07-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6646143号発明「バルク材料にグラフェン又は酸化グラフェンを含む建材製品、及び、このような建材製品の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6646143号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?9〕、〔10?13〕、〔14?16〕について訂正することを認める。 特許第6646143号の請求項1、3?5、8?12、14、15に係る特許を維持する。 特許第6646143号の請求項2、6、7、13、16に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6646143号(設定登録時の請求項の数は16。以下、「本件特許」という。)に係る出願は、2015年(平成27年)12月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年11月30日、(DE)ドイツ)を国際出願日とする特許出願であって、令和2年1月14日にその特許権の設定登録がされ、同年2月14日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許の請求項1?16に係る特許に対し、特許異議申立人である谷口俊春より、令和2年8月14日に特許異議の申立てがされた。
本件特許異議申立事件における手続の経緯は、次のとおりである。

令和2年12月 1日付け: 取消理由通知書
令和3年 3月25日 : 意見書の提出及び訂正の請求(特許権者)
同年 5月19日 : 意見書の提出(特許異議申立人)


第2 訂正の適否についての判断
令和3年3月25日に特許権者より請求された訂正(以下、「本件訂正」という。)は適法になされたものと判断する。
以下、その理由につき詳述する。

1 訂正の内容
本件訂正は、本件特許請求の範囲の訂正であって、一群の請求項〔1?9〕、〔10?13〕、〔14?16〕をそれぞれ訂正の単位として請求されたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に従うものであるところ、その訂正の内容(訂正事項)は、次のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含み、前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、グラファイト粉末を剪断すること及び界面活性剤を添加することにより製造された、建材製品。」と記載されているのを、
「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルであり、前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され、前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含む、建材製品。」に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用する請求項3?5、8、9についても同様に訂正をする。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「前記建材製品が、グラフェン及び/又は酸化グラフェンの切削片又は薄片を含む、請求項1又は2に記載の建材製品。」と記載されているのを、
「前記建材パネルが、グラフェン及び/又は酸化グラフェンの切削片又は薄片を含む、請求項1に記載の建材製品。」に訂正する。
請求項3を直接又は間接的に引用する請求項4、5、8、9についても同様に訂正をする。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、前記建材製品に均一に分散されている、請求項3に記載の建材製品。」と記載されているのを、
「前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、前記芯層又は前記外層に均一に分散されている、請求項3に記載の建材製品。」に訂正する。
請求項4を直接又は間接的に引用する請求項5、8、9についても同様に訂正をする。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記建材製品の一部のみが、グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む、請求項3に記載の建材製品。」と記載されているのを、
「前記建材パネルの一部のみが、グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む、請求項3に記載の建材製品。」に訂正する。
請求項5を直接又は間接的に引用する請求項8、9についても同様に訂正をする。

(6)訂正事項6、7
特許請求の範囲の請求項6、7を削除する。

(7)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に、
「前記建材製品が、セメントを含む結合剤を含む、請求項1乃至7いずれか1項に記載の建材製品。」と記載されているのを、
「前記建材パネルが、セメントを含む結合剤を含む、請求項1又は3乃至5いずれか1項に記載の建材製品。」に訂正する。
請求項8を引用する請求項9についても同様に訂正をする。

(8)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に、
「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材製品の製造方法であって、グラフェン及び/又は酸化グラフェンと、セメントを主成分とする結合剤及び水並びに任意の他の添加剤とを混合すること、該混合物を成形すること、及び、このようにして成形された前記建材製品を乾燥することを備え、前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、懸濁液の形態で使用され、前記懸濁液が、グラファイト粉末を剪断すること及び界面活性剤を添加することにより製造される、方法。」と記載されているのを、
「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルの製造方法であって、グラフェン及び/又は酸化グラフェンと、セメントを主成分とする結合剤及び水並びに任意の他の添加剤とを混合すること、該混合物を成形すること、及び、このようにして成形された前記建材パネルを乾燥することを備え、前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含み、前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で前断することにより製造され、前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、懸濁液の形態で使用される、方法。」に訂正する。
請求項10を直接又は間接的に引用する請求項11、12についても同様に訂正をする。

(9)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項13を削除する。

(10)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項14に、
「建材製品の機械的強度を改善するため、又は、前記建材製品の耐火性等級を向上させる ための建材製品におけるグラフェン及び/又は酸化グラフェンの使用であって、前記建材製品は、セメントを含む建材製品であり、前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、グラファイト粉末を剪断すること及び界面活性剤を添加することにより製造される、使用。」と記載されているのを、
「建材製品の機械的強度を改善するため、又は、前記建材製品の耐火性等級を向上させるための建材製品におけるグラフェン及び/又は酸化グラフェンの使用であって、前記建材製品は、セメントを含む建材パネルであり、前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含み、前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造される、使用。」に訂正する。
請求項14を引用する請求項15についても同様に訂正をする。

(11)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項15に、
「前記建材製品が、石膏を含む建材製品である、請求項14に記載の使用。」と記載されているのを、
「前記建材パネルが、石膏を含む建材パネルである、請求項14に記載の使用。」に訂正する。

(12)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項16を削除する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1のうち、「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルであり」の部分、「前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり」の部分、及び「前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含む」の部分についての訂正は、訂正前の請求項7の記載や、本件明細書の【0020】の「この実施形態の改良では、前記建材製品の全体ではなく、一部にだけグラフェン及び/又は酸化グラフェンが含まれているだけのものが提供される。前記建材製品が、建材パネル、例えば、特に石膏ボードパネルのような乾式壁パネルである場合、前記建材パネルは、同一の又は異なる構成物を有する複数の層を備えてもよい。従って、前記建材パネルが、例えば、多孔性の芯層及び高密度の外層を備えることが考えられる。この場合、前記芯層のみ又は一つ以上の外層のみが、グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含んでもよい。これによりコストも削減される。」との記載に基づいて、訂正前の請求項1に記載された建材製品をさらに限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ また、訂正事項1のうち、「前記グラフェン及び/ 又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され」の部分についての訂正は、本件明細書の【0023】に記載された「グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、特に好ましくは、懸濁液の形態で使用される。このような懸濁液は、溶媒中、好ましくは界面活性剤を有する水中で剪断することにより、グラファイト粉末から比較的容易に製造され得る。グラファイト層の束の剪断及びその後のさらなる分裂により産出されるグラフェン及び/又は酸化グラフェンの含量は、剪断速度に依存する。剪断速度が速くなるにつれて、生産されるグラフェン及び/又は酸化グラフェンの切削片又は薄片の割合は大きくなる。それゆえに、前記懸濁液を調製するためには、10^(4)/sよりも速い剪断速度であることが特に好ましい。」との記載に基づいて、訂正前の請求項1の「前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、グラファイト粉末を剪断すること及び界面活性剤を添加することにより製造された」との記載における「グラファイト粉末を剪断すること」という工程と「界面活性剤を添加すること」という工程との関係を明瞭化するとともに、当該工程の内容を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭ではない記載の釈明及び同第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2、6、7、10、13について
訂正事項2、6、7、10、13は、それぞれ訂正前の請求項2、6、7、13、16を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3?5、8、12について
ア 訂正事項3、5、8、12における、「建材製品」を「建材パネル」とする訂正、及び訂正事項4における、グラフェン及び/又は酸化グラフェンが「前記芯層又は前記外層」に均一に分散されているとする訂正は、上記(1)アと同様に、訂正前の請求項7や本件明細書の【0020】の記載に基づいて建材製品を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものあって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ また、訂正事項3、8において引用請求項の一部を削除する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項9、11について
訂正事項9、11のうち、建材パネルに関する部分についての訂正は、上記(1)アと同様に、グラフェン及び/又は酸化グラフェンの製造に関する部分についての訂正は、上記(1)イと同様に、それぞれ特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び明瞭ではない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものといえる。
よって、標記結論のとおり、本件特許第6646143号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1?9〕、〔10?13〕、〔14?16〕について訂正することを認める。


第3 本件訂正後の本件発明
上記「第2」のとおり本件訂正は適法になされたものと認められるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、3?5、8?12、14、15に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に合わせて「本件発明1」などといい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1、3?5、8?12、14、15に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルであり、
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され、
前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、
前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含む、建材製品。
【請求項3】
前記建材パネルが、グラフェン及び/又は酸化グラフェンの切削片又は薄片を含む、請求項1に記載の建材製品。
【請求項4】
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、前記芯層又は前記外層に均一に分散されている、請求項3に記載の建材製品。
【請求項5】
前記建材パネルの一部のみが、グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む、請求項3に記載の建材製品。
【請求項8】
前記建材パネルが、セメントを含む結合剤を含む、請求項1又は3乃至5いずれか1項に記載の建材製品。
【請求項9】
前記結合剤が、石膏を含む結合剤である、請求項8に記載の建材製品。
【請求項10】
グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルの製造方法であって、
グラフェン及び/又は酸化グラフェンと、セメントを主成分とする結合剤及び水並びに任意の他の添加剤とを混合すること、
該混合物を成形すること、及び、
このようにして成形された前記建材パネルを乾燥することを備え、
前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、
前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含み、
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で前断することにより製造され、
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、懸濁液の形態で使用される、方法。
【請求項11】
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、切削片又は薄片の形態で使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記懸濁液が、水の懸濁液の形態で使用される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
建材製品の機械的強度を改善するため、又は、前記建材製品の耐火性等級を向上させるための建材製品におけるグラフェン及び/又は酸化グラフェンの使用であって、
前記建材製品は、セメントを含む建材パネルであり、
前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、
前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含み、
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造される、使用。
【請求項15】
前記建材パネルが、石膏を含む建材パネルである、請求項14に記載の使用。」


第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1?16に係る特許に対して、当審が令和2年12月1日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)取消理由1(サポート要件違反)
本件訂正前の請求項1?16に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(特許法第113条第4号に該当)。
(2)取消理由2(進歩性欠如)
本件訂正前の請求項1?16に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件訂正前の請求項1?16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(特許法第113条第2号に該当)。

2 取消理由についての当審の判断
(1)取消理由1(サポート要件違反)について
ア 上記取消理由1は、要するに、「前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、グラファイト粉末を剪断すること及び界面活性剤を添加することにより製造された(製造される)」という発明特定事項を具備する本件訂正前の請求項1?9、14?16に係る発明、及び「前記懸濁液が、グラファイト粉末を剪断すること及び界面活性剤を添加することにより製造される」という発明特定事項を具備する本件訂正前の請求項10?13に係る発明は、本件明細書の発明の詳細な説明における当該発明特定事項についての説明、特に、「界面活性剤」を用いた製造工程に関連する記載として唯一【0023】に記載される、「グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、特に好ましくは、懸濁液の形態で使用される。このような懸濁液は、溶媒中、好ましくは界面活性剤を有する水中で剪断することにより、グラファイト粉末から比較的容易に製造され得る。」という説明と整合していないことに起因するものである。

イ しかしながら、本件訂正により、上記の不整合は解消され、これに起因する記載不備は存しないものとなったから、本件訂正後の特許請求の範囲の記載について、上記取消理由1は妥当しない。

(2)取消理由2(進歩性欠如)について
ア 証拠一覧
進歩性欠如に係る証拠として採用したものは、以下の文献である(いずれも特許異議申立人が提出したもので、例えば、甲第3号証として提出された証拠を単に「甲3」と略称した。また、外国語表記のものについては、訳文として参照した対応日本語公報を併記した。)。

(ア) グラフェンの製造方法・使用形態に関する文献
・甲3 :国際公開第2014/140324号
(特表2016-515090号公報)
・甲15:国際公開第2015/099457号
(特表2017-502900号公報)
(イ) グラフェンの用途に関する文献
・甲4 :国際公開第2012/085445号
・甲10:Construction and Building Materials 78 (2015) p.234-242
(2015年1月17日オンライン公開)

イ 各証拠の記載事項
各証拠の記載事項は以下のとおりである。なお、記載事項の摘記にあたっては、対応日本語公報の該当箇所あるいは特許異議申立人が提出した抄訳を、段落番号なども含めてそのまま摘記した。

(ア)甲3の記載事項
a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元材料を製造するために、未処理3次元層状材料を剥離するプロセスであって、該プロセスは、該未処理3次元層状材料を液体に混合して、混合物を得る工程;
該混合物に剪断力を付与して、3次元層状材料を剥離し、溶液中に分散剥離2次元材料を製造する工程;および
分散剥離2次元材料が溶液中で遊離かつ非凝集状態を維持するように、該混合物に付与した該剪断力を除去する工程を含む、プロセス。
・・・
【請求項3】
請求項1および2に記載のプロセスであって、前記剪断力が1000s^(-1)より高い剪断速度を生じる、プロセス。
・・・
【請求項7】
前記請求項のいずれか一項に記載のプロセスであって、前記層状材料がグラファイト、または式MXnを有する任意の遷移金属二カルコゲン化物のような任意の3次元層状化合物または遷移金属酸化物、窒化ホウ素(BN)、Bi_(2)Te_(3)、Sb_(2)Te_(3)、TiNCl、または任意の他の無機層状化合物のような任意の他の層状材料から選択される、プロセス。
【請求項8】
請求項7に記載のプロセスであって、前記3次元層状材料がグラファイトであるプロセス。
・・・
【請求項11】
前記請求項のいずれか一項に記載のプロセスであって、前記液体が、好適な溶媒、水-界面活性剤溶液、または好適な溶媒中のポリマーの溶液であってよいプロセス。
・・・
【請求項20】
2次元実質的非酸化グラフェンを製造するために、未処理3次元グラファイトを剥離するプロセスであって、該プロセスが、
該未処理グラファイトを液体に混合して、混合物を得る工程;
該混合物に剪断力を付与して、グラファイトを剥離し、溶液中に分散剥離グラフェンを製造する工程;および
該分散剥離グラフェンが溶液中で遊離かつ非凝集状態を維持するように、該混合物に付与した該剪断力を除去する工程を含む、プロセス。
【請求項23】
請求項1?22のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された剥離2次元材料と、任意の他のナノ材料との混合物を含むデバイス。
・・・
【請求項28】
2次元材料を製造するために、未処理3次元層状材料を剥離するプロセスであって、該プロセスが、該未処理3次元層状材料を液体に混合して、混合物を得る工程;および該混合物に剪断力を付与して、該3次元層状材料を剥離し、溶液中で遊離かつ非凝集状態の剥離分散2次元材料を製造する工程を含む、プロセス。」
b 「【0001】
発明の分野
本発明は、原子的に薄い2次元材料、例えばグラフェンを製造するプロセスに関する。本発明は、特に、高品質、無欠陥、未酸化の2次元材料、例えばグラフェンを、工業量で製造するシンプルかつスケーラブルなプロセスに関する。そのような材料は、複合物、塗料および電子デバイスにおける用途を有する。」
c 「【0165】
剥離2次元材料の濃縮および洗浄
剪断剥離は、例えば無欠陥グラフェンの、高生成速度が可能であるが、多くの用途は、1g/Lを超える濃度のグラフェン分散液を必要とする。
・・・
【0167】
ミキサ剥離グラフェンの用途
剪断混合によって生成されたグラフェンは高品質であるので、様々な用途において有用となり得る。これは、本明細書において、5つの異なる用途におけるミキサ剥離グラフェンの使用例を示すことによって説明される。おそらく、大量生産グラフェンフレークの最も重要な用途は、複合物における充填剤としての用途である。」

(イ)甲15の記載事項
a 「【請求項1】
非酸化グラファイトを含む炭素系素材および分散剤を含む分散液を形成する段階と、
前記分散液を連続的に、流入部と、流出部と、流入部と流出部間を連結し、マイクロメータースケールの直径を有する微細流路を含む高圧均質器(High Pressure Homogenizer)に通過させる段階と、を含み、
前記炭素系素材は、前段力の印加下に前記微細流路を通過しながら剥離されてナノスケールの厚さを有するグラフェン(graphene)で形成されるグラフェンの製造方法。
・・・
【請求項4】
前記分散液は、水溶媒または極性有機溶媒内に前記炭素系素材と分散剤が溶解または分散した分散液である、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。」
b 「【0073】
このように、一実施形態の方法でより薄い厚さおよび大きい面積を有するグラフェン、例えば、グラフェンフレークなどが製造されることによって、このようなグラフェンは、その優れた電気伝導性、熱伝導性および安定性をより極大化して発現することができる。
【0074】
このようなグラフェンの優れた特性により、伝導性ペースト組成物、伝導性インク組成物、放熱基板形成用組成物、電気伝導性複合体、EMI遮蔽用複合体または電池用導電材などの多様な分野および用途に使用することができ、その他にもグラフェンの適用が可能か必要であると知られた任意の分野や用途に非常に好ましく使用することができる。
【0075】
このようなグラフェンは、代表的に極性溶媒に溶解または分散された分散液または分散組成物などの形態で使用することができ、このような分散液または分散組成物を記載に塗布したり、これを印刷した後にパターニングしたり、これを直接フイルムでキャスティングするなどの多様な方法で使用することができる。
【0076】
また、このような分散液または分散組成物で、前記グラフェンを分散させるための極性溶媒としては、水などの水溶媒や、任意の極性溶媒を特別な制限なしに適用することができる。」

(ウ)甲4の記載事項
a 請求項1:「炭素系ナノフィラーを硬化性無機系に導入するための方法であって、少なくとも以下の段階を含む:
a)少なくとも1つの超可塑剤の存在下でのカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン等の炭素系ナノフィラーの水性分散液の調製;
b)高速混合による分散処理;
c)前記処理された分散液を少なくとも1つの硬化性無機系に添加し、硬化性無機系に対して重量比で0.001から0.02%の範囲の炭素系ナノフィラーの含有量を確保する。
ここで、炭素系ナノフィラーは、工程a)の分散液に、マスターバッチの総重量に対して、20?98重量%、好ましくは25?60重量%の炭素系ナノフィラーと2?80重量%、好ましくは40?75重量%の少なくとも1つのポリマーバインダーを含むマスターバッチの形で導入される。」
b 請求項5:「硬化性無機系が、EN-197-1-2000規格に記載されているセメント基材、特にポルトランド型セメントであり、例えば、石灰石、スラグ、フライアッシュ、ポゾラン、焼成頁岩、シリカヒューム、ブラストセメント、ポゾランセメント、マグネシウムセメント、又は単独若しくは混合物として使用されるフルオロアンハイドライトセメント等の他の塩基性無水セメント、又は石膏、一般的な石灰、液体ケイ酸塩又はセラミックからなるポルトランド型セメントである、先の請求項のいずれかに記載の方法。」

(エ)甲10の記載事項
ABSTRACT(要約):「建設におけるナノ材料の適用は、セメントモルタルやコンクリートのような伝統的材料の機械的性質を強化する新しい代替法である。詳細な研究を必要とする最も興味深いナノ材料の一つはグラフェンと酸化グラフェンである。本論文で提示された研究は、セメントに取り込まれた3wt%の酸化グラフェンがセメント複合材のミクロ組織と物理-機械的性質にどのように影響するかを評価することを目的としている。したがって、ここでは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、酸化グラフェンで改質したセメントモルタルの早期材令機械的応答に関する研究を提示する。水和過程の速度論を赤外、ラマン、X線回折(XRD)法により研究した。ナノ複合材料の形態を走査電子顕微鏡(SEM)によって明らかにした。」

ウ 周知技術の整理
(ア)グラフェンの製造方法・使用形態に関する周知技術の整理
まず、甲3、15の記載事項から認められる、グラフェンの製造方法・使用形態に関する周知技術について整理する。
甲3には、その請求項11や請求項20の記載によれば、
「2次元実質的非酸化グラフェンを製造するために、未処理3次元グラファイトを剥離するプロセスであって、該プロセスが、
該未処理グラファイトを、水-界面活性剤溶液などの液体に混合して、混合物を得る工程;
該混合物に剪断力を付与して、グラファイトを剥離し、溶液中に分散剥離グラフェンを製造する工程;および
該分散剥離グラフェンが溶液中で遊離かつ非凝集状態を維持するように、該混合物に付与した該剪断力を除去する工程を含む、プロセス。」
が記載され、さらに、甲3の【0165】、【0167】の記載によれば、当該プロセスにより得られたグラフェン分散液を、複合物における充填剤としての用途などに使用することが記載されているということができる。
甲15にも、その請求項1、4、【0076】の記載によれば、
「非酸化グラファイトを含む炭素系素材および分散剤を含む、水などの水溶媒内に前記炭素系素材と分散剤が溶解または分散した分散液を形成する段階と、
前記分散液を連続的に、流入部と、流出部と、流入部と流出部間を連結し、マイクロメータースケールの直径を有する微細流路を含む高圧均質器(High Pressure Homogenizer)に通過させる段階と、を含み、
前記炭素系素材は、前段力の印加下に前記微細流路を通過しながら剥離されてナノスケールの厚さを有するグラフェン(graphene)で形成されるグラフェンの製造方法。」
が記載され、さらに、甲15の【0074】、【0075】の記載によれば、当該製造方法により得られたグラフェン分散液を、その形態のまま、グラフェンの適用が可能か必要であると知られた任意の用途に使用することができることが記載されているといえる。ここで、甲15記載の「分散剤」及び「前段力」は、それぞれ「界面活性剤」及び「剪断力」に相当するものと解される。
これらの記載内容から、グラフェンの製造方法・使用形態に関する周知技術として、次の技術的事項(以下、「周知発明1」という。)を認めることができる。
・界面活性剤を有する水中でグラファイトを剪断することにより得られたグラフェン分散液を、その形態で、複合物における充填剤など、グラフェンの適用が知られた任意の用途に使用すること。

(イ)グラフェンの用途に関する周知技術の整理
次に、甲4、10の記載事項から認められる、グラフェンの用途に関する周知技術について整理すると、甲4には、グラフェンをセメントや石膏に添加して使用することが、甲10には、セメントモルタルやコンクリートのような伝統的材料の機械的性質を、グラフェンにより強化することが、それぞれ記載されており、これら材料は、最終的に何らかのセメント製品あるいは石膏製品となるものということができるから、これらの記載内容から、グラフェンの用途に関する周知技術として、次の技術的事項(以下、まとめて「周知発明2」という。)を認めることができる。
・グラフェンを含む、セメント製品あるいは石膏製品。
・セメントあるいは石膏にグラフェンを添加する、セメント製品あるいは石膏製品の製造方法。
・セメント製品あるいは石膏製品における、機械的性質の強化などのための、グラフェンの使用。

エ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と周知発明2に係る「グラフェンを含む、セメント製品あるいは石膏製品」とを対比すると、当該周知発明2の「セメント製品あるいは石膏製品」は、広義には本件発明1における「建材製品」ということができるから、本件発明1と周知発明2は、「グラフェンを含む建材製品」である点で一致し、次の点で相違するものといえる。

・相違点1
本件発明1においては、建材製品が、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなる建材パネルであり、建材パネルにおける、芯層又は外層の少なくともいずれか一方が、グラフェンを含む点。
・相違点2
本件発明1においては、建材製品(建材パネル)に含まれるグラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造される点。

(イ)相違点についての検討
a 上記相違点1について検討すると、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなる建材パネルにおいて、建材パネルの芯層又は外層に、グラフェンを含ませるという構成は、周知発明2の認定に用いた甲4、10には何ら記載されていないから、当該構成は、周知発明2において想定されたものとは言い難い。
また、特許異議申立人が特許異議申立書とともに提出した甲1?3、5?9、11?17のいずれの証拠(各証拠については後記第5の3(1)を参照)をみても、上記相違点1に係る本件発明1の構成に関連する記載を認めることはできない。

b 上記相違点1の建材パネルの構成について、特許異議申立人は、令和3年5月19日付け意見書で、「少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなることは、建材パネルとして必然的に備えている構成を記載したに過ぎない」(P.26の12?13行目)、「芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含むことは、言い換えれば、建材パネルのいずれの層にグラフェン及び/又は酸化グラフェンが含まれていてもよいこととなるから、訂正発明1、3?5、8?12及び14?15は、建材パネル中にグラフェン及び/又は酸化グラフェンが含まれていることと構成上何ら変わるところがない。」(同14?19行目)と主張するが、芯層及び外層を有する建材パネルと、そうでない建材パネルでは、建材パネルとしての構成上の違いがあることは明らかであるから、当該主張は採用できない。

c なお、特許異議申立人は、同意見書において、補足資料として提出する甲21?24(ただし、これらの証拠は本件訂正前の請求項7などに対して当初より提出することが可能であったものである。)には、建材パネルの芯層又は外層の少なくともいずれか一方が、グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含むことは周知技術であることが示されている旨主張するが(P.26の20行目?P.28の23行目)、甲21、22には、建材に塗布される塗料がグラフェンを含むことなどが、甲23、24には、石膏ボードとして、石膏芯の表面にカバーシートが付されることなどが、それぞれ示されているだけで、芯層及び外層を備える建材パネルにおいて、その芯層又は外層にグラフェンを含ませるという構成までは開示されていない。

(ウ)まとめ
以上のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、周知発明2、さらには周知発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本件発明10、14について
本件発明10、14は、本件発明1と同様に、建材製品が「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネル」であること、「前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含」むという構成を有するものであるから、上記イの本件発明1についての検討と同様、周知発明1、2に対して進歩性が欠如するということはできない。

エ 本件発明3?5、8、9、11、12、15について
請求項3?5、8、9は請求項1を、請求項11、12は請求項10を、請求項15は請求項14を、それぞれ引用するものであるから、本件発明3?5、8、9、11、12、15は、上記イ、ウの本件発明1、10、14についての検討と同様、周知発明1、2に対して進歩性が欠如するということはできない。

3 小括
上記2の(1)?(2)のとおりであるから、請求項1、3?5、8?12、14、15に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとも、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであるともいえず、同法第113条第4号及び同法第113条第2号に該当しないため、取消理由1(サポート要件)及び取消理由2(進歩性)を理由に、請求項1、3?5、8?12、14、15に係る特許を取り消すことはできない。


第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 採用しなかった特許異議申立理由の概要
異議申立人が、特許異議申立書において主張する特許異議申立理由のうち、当審が上記取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

(1)特許法第36条第6項第2号について(同法第113条第4号)
ア 訂正前の請求項1、10及び14における「界面活性剤」との記載は、どの範囲まで包含されるのかが不明確である。
イ 訂正前の請求項1、3?5、8?10、14及び15における「建材製品」との記載は、どの範囲まで包含されるのかが不明確である。
ウ 訂正前の請求項1、10及び14における「剪断」は具体的にどのような方法なのか不明確である。このため、訂正前の請求項13における「剪断速度」の意味するところも不明確である。
エ 訂正前の請求項1は、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームであり、「不可能又は実際的でない事情」も存在しないので不明確である。
オ 訂正前の請求項3、7及び11における「切削片」の意味するところが不明確である。
カ 訂正前の請求項4における「均一」との記載は定性的で、どの程度均一に分散されているのかが不明確である。
キ 訂正前の請求項5における「一部」及び請求項10における「主成分」との記載は定性的で、どの程度含まれているのかが不明確である。

(2)特許法第36条第4項第1号について(同法第113条第4号)
上記(1)ア?ウ、オ?キに記載の用語、及び訂正前の請求項1、10及び14における「グラファイト粉末」との用語に関して、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が訂正前の請求項1?16に係る発明を実施できる程度に記載されたものではない。

(3)特許法第36条第6項第1号について(同法第113条第4号)
上記(1)ア?ウ、オ?キに記載の用語、及び訂正前の請求項1、10及び14における「グラファイト粉末」との用語に関して、訂正前の請求項1?16に係る発明は明細書に記載された発明ではない。

(4)特許法第29条第1項について(同法第113条第2号)
ア 訂正前の請求項1、3?5、8、10?11、14に係る発明は、甲1に記載されている。
イ 訂正前の請求項1、3?5、8、14に係る発明は、甲2に記載されている。
ウ 訂正前の請求項1、8?9、14?15に係る発明は、甲4に記載されている。
エ 訂正前の請求項1、3?5、8、10?11、14に係る発明は、甲5に記載されている。
オ 訂正前の請求項1、8、14に係る発明は、甲8、甲9及び甲10に記載されている。
カ 訂正前の請求項1、3?5、14に係る発明は、甲11に記載されている。
キ 訂正前の請求項1、3?5、10、12、14に係る発明は、甲12に記載されている。
ク 訂正前の請求項1、3?5、10、12、14に係る発明は、甲15に記載されている。
(5)特許法第29条第2項について(同法第113条第2号)
訂正前の請求項1?16に係る発明は、甲1?甲5、甲8?甲12及び甲15のいずれか単独に基づいて、また、甲1?甲17の任意の組合せ及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 記載不備の理由(特許法第36条第6項第2号、同条第4項第1号、同条第6項第1号)についての当審の判断
(1)「界面活性剤」について
ア 特許異議申立人による主張
特許異議申立書(P.39?40の「イ 記載不備の理由」(ア))において、特許異議申立人は、本件訂正前の請求項1に係る発明などの「界面活性剤」について、「多種多様な界面活性剤のうちいずれを使用してもグラフェンや酸化グラフェンを製造することができるとは考えられない」から、同発明における「グラフェンや酸化グラフェンを製造することができる」界面活性剤に含まれる範囲は明確ではない旨主張する。
また、「本件明細書中では界面活性剤による作用も、グラフェン及び酸化グラフェンが容易に得られる根拠も一切示されていないどころか、実施例も一切存在しないため」、「たとえ当業者であっても、どのように実施すればよいか理解できない」から、実施可能要件とサポート要件を満たさない旨主張する。

イ 特許異議申立人の主張についての判断
確かに、本件明細書中では、界面活性剤による作用も、グラフェン及び酸化グラフェンが容易に得られる根拠も示されておらず、また、実施例も存在しないが、「界面活性剤」という用語自体は一般的な用語である上、建材製品を製造する際に用いられる界面活性剤として、減水剤等の混和剤は周知の材料であり、グラファイトに剪断力を加えることでグラフェンが製造することは周知の技術的事項であるから、当業者であれば、本件発明の「界面活性剤」を明確に把握できるといえる。
また、当業者であっても実施できないというに足りる具体的な根拠も見当たらないから、本件明細書に実施例などが示されていないとの理由だけで、実施可能要件やサポート要件を満たさないとまではいえない。

(2)「建材製品」について
ア 特許異議申立人による主張
特許異議申立書(P.40?41の「イ 記載不備の理由」(イ))において、特許異議申立人は、本件訂正前の請求項1に係る発明などの「建材製品」について、「建材製品には、多種多様な製品が包含されるところ、どの範囲の製品まで包含されるのか、その外延が不明確」である旨主張する。
また、「本件特許明細書に記載されている建材製品についても、実施例さえもないため、どのようにして実施することができるのか理解でき」ず、さらに、「所望のグラフェンを1分子だけ含ませればよいかのようにも読み取れるが、その場合は、圧縮強度や曲げ強度の向上には寄与せず、課題を解決できないことが明らかである」。そして、同発明の特定では、「所望のグラフェンを大量に(例えば99.9質量%等)含ませるような態様も包含されるが、その場合には建材製品とはなり得ないことが明らかである」から、実施可能要件とサポート要件を満たさない旨主張する。

イ 特許異議申立人の主張についての判断
本件訂正により、本件発明に係る建材製品は特定のものに限定された上、当該建材製品に、多種多様な製品が包含されるとしても、「建材製品」との用語は一般的な用語であり、本件明細書の記載を参酌すれば、本件特許の「建材製品」に含まれる範囲は明確といえ、本件特許の範囲に含まれるか否か明確でないという具体的な建材製品も見当たらないから、建材製品に多種多様な製品が包含されるとの理由だけで、その範囲が不明確であるとまではいえない。
また、建材製品に含まれるグラフェンの量について、課題を解決できないほどの量や、建材製品となり得ないほどの量が除外されることは、当業者にとって自明なことであるから、本件明細書に実施例などが示されていないとの理由だけで、実施可能要件やサポート要件を満たさないとまではいえない。

(3)「剪断」、「剪断速度」について
ア 特許異議申立人による主張
特許異議申立書(P.41の「イ 記載不備の理由」(ウ))において、特許異議申立人は、本件訂正前の請求項1に係る発明などの「剪断」について、「剪断の具体的な方法について本件明細書中に何も記載がなく、実施例さえもないため、どのようにすれば微小なグラファイト粉末に対して剪断力をかけることができるのかが不明確である」旨主張する。
そして、「本件特許発明1では、ごく微小な剪断力をごく短時間かけた場合にもグラフェン及び酸化グラフェンを得ることができるかのような特定がなされている」が、「ごく微小な剪断力をごく短時間かけたとしてもグラファイト粉末の層間を十分に剥離することができず、グラフェン及び酸化グラフェンを得ることができない蓋然性が高」く、「実施例さえも一切存在しないため、剪断をどのようにすればよいかがたとえ当業者であっても理解できないうえに、課題を解決することができないことは明らかである」から、実施可能要件とサポート要件を満たさない旨主張する。
また、特許異議申立書(P.45の「イ 記載不備の理由」(ケ))において、「剪断自体が不明確」であるから、「何をもって剪断速度であるのか理解することができ」ず、「測定方法によっては剪断速度の値は変化する」から、測定方法が特定されていない本件訂正前の請求項13に係る発明などは不明確であり、さらに、実施可能要件とサポート要件も満たさない旨主張する。

イ 特許異議申立人の主張についての判断
本件発明において、剪断の具体的な方法が特定されていないとしても、グラファイト粉末に剪断力を加えることでグラフェンを製造することは周知の技術的事項であるから、たとえ本件明細書に実施例などが示されていないとしても、当業者であれば、本件発明の「剪断」や「剪断速度」を明確に把握できるといえるし、当業者が通常行う操作を採用することで、グラファイト粉末を剪断し、必要とするグラフェン及び酸化グラフェンを得ることができるといえる。

(4)建材製品という物の発明を製造工程で特定することについて
ア 特許異議申立書における特許異議申立人による主張
特許異議申立書(P.42の「イ 記載不備の理由」(エ))において、特許異議申立人は、本件訂正前の請求項1に係る発明などは、建材製品という物の発明であるところ、「前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、グラファイト粉末を剪断すること及び界面活性剤を添加することにより製造された」と製造工程で特定されていることについて、本件明細書中及び審査過程の意見書等において、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが「不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在することは見出すことができない」から、不明確である旨主張する。

イ 訂正後の本件発明について
上記アの「前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、グラファイト粉末を剪断すること及び界面活性剤を添加することにより製造された」との記載について、上記第4の2(1)で示したとおり、当審は令和2年12月1日付けで特許権者に取消理由1(サポート要件違反)を通知したところ、これに対して特許権者は本件訂正により、当該記載を「前記グラフェン及び/ 又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され」と訂正したので、訂正後の請求項1に係る発明(本件発明1)は、上記「第3」で示したとおり、
「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルであり、
前記グラフェン及び/ 又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され、
前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、
前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含む、建材製品。」
である。

ウ 特許異議申立人の主張についての判断
本件発明1などは、建材製品という物の発明であるところ、「前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され」という製造工程に関する発明特定事項を有している。当該発明特定事項については、本件明細書の【0023】に、「グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、特に好ましくは、懸濁液の形態で使用される。このような懸濁液は、溶媒中、好ましくは界面活性剤を有する水中で剪断することにより、グラファイト粉末から比較的容易に製造され得る。」と記載されていることにも照らすと、本件発明1などにおいて、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を剪断して製造されるグラフェン及び/又は酸化グラフェンは、その形態(すなわち懸濁液の形態)で使用され、最終的に建材パネル(建材製品)中に含まれるものと解するのが合理的である。そして、当該発明特定事項は、このようにして得られた建材パネル(建材製品)の態様を表現するものであって、そこには、グラフェン及び/又は酸化グラフェンの形態、構造又は特性により直接特定することが、不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するといえる。
したがって、本件発明1などの建材製品という物の発明が、グラフェン及び/又は酸化グラフェンの製造工程で特定されていることをもって、本件発明1が不明確であるとはいえない。

(5)「切削片」について
ア 特許異議申立人による主張
特許異議申立書(P.42?43の「イ 記載不備の理由」(オ))において、特許異議申立人は、本件訂正前の請求項3に係る発明などの「切削片」について、「切削片は薄片と並列して記載されていることからも、切削片は薄片とは異なる形状を意図していることが明らかである」が、「グラフェン及び酸化グラフェンは、それ自体が薄片状である(積層数の少ない)炭素材料を意味しており、薄片とは異なる切削片のグラフェン及び酸化グラフェンとは何を表しているのかが不明確である」であり、また、それにより実施可能要件とサポート要件を満たさない旨主張する。

イ 特許異議申立人の主張についての判断
「切削片」や「薄片」との用語は一般的な用語であり、明確な用語であるから、「切削片」と「薄片」との用語により、それぞれ特定されるグラフェンの形態において、重複する形態が含まれるとしても、そのことだけで本件発明3などにおいて、発明に含まれる範囲が不明確とまではいえないし、また、実施可能要件やサポート要件を満たさないともいえない。

(6)「均一」、「一部」、「主成分」について
ア 特許異議申立人による主張
特許異議申立書(P.43?45の「イ 記載不備の理由」(カ)?(ク))において、特許異議申立人は、本件訂正前の請求項4、5、10などに記載された「均一」、「一部」、「主成分」といった用語について、おおよそ以下のように主張する。
(ア) 次のとおり明確性要件違反の不備がある。
・「均一」は定性的な表現であり、どの程度分散していれば均一と言えるのかが理解できず、均一分散していると評価される判断基準が不明確である。
・「一部」は定性的な表現であり、また、含有量が一部なのか、部材が一部なのかさえも分からない。
・「主成分」は定性的な表現であり、どの程度含まれていれば主成分とすることができるのかが理解できない。
(イ) 次の点に起因する実施可能要件及びサポート要件違反の不備がある。
・「均一」との用語は、「何を特定しているのかが曖昧模糊」としている。
・「一部」が含有量を示しておりごく微量の場合は、圧縮強度や曲げ強度の向上に寄与することができない。
・「主成分」の含有量が少ない場合は、圧縮強度や曲げ強度の向上に寄与することができない。

イ 特許異議申立人の主張についての判断
本件発明において、均一分散の判断基準が示されていないとしても、「均一」との用語は一般的な技術用語であり、また、「一部」、「主成分」との用語が定性的な表現であるとしても、これらの用語は一般的な(技術)用語であるから、当業者であれば通常理解できる用語であるし、本件明細書の記載を参酌しても、本件発明において、それぞれの用語の意図するところが、当業者にとって不明確であるとまでの事情は認められない。
また、所定の目的を満たすために、グラフェンの含有量などを適切に調整することは、通常行われる作業であるから、当業者がどのように実施すればよいか理解できないとはいえない。

(7)「グラファイト粉末」について
特許異議申立書(P.45の「イ 記載不備の理由」(コ))において、特許異議申立人は、本件訂正前の請求項1に係る発明などの「グラファイト粉末」について、「グラファイト粉末の大きさと剪断装置の種類によっては、剪断力を物理的にかけることが不可能である場合も想定され」、「例えば、グラファイト粉末が極端に小さい場合に、どのようにすれば剪断力をかけることができるのか、たとえ当業者であっても理解できない」から、実施可能要件とサポート要件を満たさない旨主張する。
この点について検討すると、グラファイト粉末に剪断力を加えることでグラフェンが製造すること自体は周知の技術的事項であるから、当業者であれば、本件発明において、グラフェンなどを製造する際に用いる「グラファイト粉末」を明確に把握することができ、本件発明を実施することはできるといえる。そして、剪断力を物理的にかけることが不可能なほど極端に小さいグラファイト粉末が、本件特許の「グラファイト粉末」から除外されることは、当業者にとって自明のことである。

(8)小括
上記(1)?(7)のとおりであるから、請求項1、3?5、8?12、14、15に係る特許は、特許法第36条第4項第1号又は第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえず、同法第113条第4号に該当しないため、取消理由1(サポート要件違反)、取消理由2(明確性要件違反)、及び取消理由3(実施可能要件違反)を理由に、当該請求項1、3?5、8?12、14、15に係る特許を取り消すことはできない。

3 新規性欠如、進歩性欠如の理由(特許法第29条第1項第3号、同条第2項)についての当審の判断
(1)特許異議申立人が提出した証拠一覧
特許異議申立人が提出した証拠は、以下の文献である(外国語表記のものについては、訳文として参照した対応日本語公報を併記した。)。

・甲1 :国際公開第2012/177864号(特表2014-529325号公報)
・甲2 :中国特許登録第103130466号(機械翻訳による日本語抄訳文)
・甲3 :国際公開第2014/140324号(特表2016-515090号公報)
・甲4 :国際公開第2012/085445号(機械翻訳による日本語抄訳文)
・甲5 :国際公開第2014/130069号(特表2016-511737号公報)
・甲6 :国際公開第2010/049892号(特表2012-507501号公報)
・甲7 :国際公開第02/087821号
・甲8 :Construction and Building Materials 96 (2015) 189-197(機械翻訳による日本語抄訳文)
・甲9 :Cement & Concrete Composite 58 (2015) 140-147(機械翻訳による日本語抄訳文)
・甲10:Construction and Building Materials 78 (2015) 234-242(機械翻訳による日本語抄訳文)
・甲11:国際公開第2011/055198号(特表2013-510065号公報)
・甲12:国際公開第2015/099378号(特表2017-500265号公報)
・甲13:国際公開第2016/093645号(特表2017-536517号公報)
・甲14:通信ソサイエティマガジンNo.10[秋号]2009,28-35
・甲15:国際公開第2015/099457号(特表2017-502900号公報)
・甲16:国際公開第2014/038674号
・甲17:特開2015-188377号公報

(2)各証拠の記載事項
各証拠の記載事項は以下のとおりである。なお、記載事項の摘記にあたっては、対応日本語公報の該当箇所あるいは特許異議申立人が提出した抄訳を、段落番号なども含めてそのまま摘記した。

ア 甲1(国際公開第2012/177864号)
甲1は英語で記載されているため、対応日本出願である特表2014-529325号公報の該当箇所を摘記した。

・『個々のプレートの厚さが10ナノメートル未満の無機プレートを含む組成物であって、前記無機プレートは、離散ナノチューブであって、直径が約1ナノメートルから150ナノメートルの範囲であり、アスペクト比が約10から500の範囲である前記ナノチューブが散りばめられている、前記組成物。』(請求項1)
・『前記無機プレートがグラフェンナノプレートである、請求項1に記載の組成物。』(請求項2)
・『無機プレート-カーボンナノチューブ複合体を調製する方法であって、a)非離散カーボンナノチューブ繊維を酸性溶液にある一定時間懸濁させて懸濁液を生成するステップ;b)カーボンナノチューブの前記懸濁液を音波処理して離散カーボンナノチューブ繊維を生成するステップ;c)前記離散カーボンナノチューブ繊維を酸性溶液から単離するステップ;d)前記離散カーボンナノチューブ繊維を水または他の液体で洗浄するステップ;e)前記離散カーボンナノチューブ繊維を無機プレートと共に、場合によっては界面活性剤および音波処理を用いて再分散させるステップ;f)場合によってポリマーを添加するステップ;g)場合によって遷移金属錯体を添加するステップ;h)場合によって電気活性材料を添加するステップ;i)場合によってセラミックを添加するステップ;ならびにj)前記混合物を分離し、場合によって乾燥するステップを含む方法。』(請求項9)
・『基礎、道路、あるいは橋に使用されるコンクリート混合物、またはセラミック部品を製造するための素地に使用されるセラミック混合物における請求項1に記載の組成物の使用。』(請求項16)
・『本発明は、ナノプレートおよびナノチューブの組成物であって、ナノプレートの少なくとも一部が、2枚のナノプレートの間に散在させた少なくとも1つのナノチューブを有する組成物に関する。詳細には、様々な媒体に容易に分散する、高アスペクト比で表面が改質されたカーボンナノチューブ/グラフェン組成物が得られるカーボンナノチューブおよびグラフェン構造の剥離および分散が記載される。本明細書では、グラフェン構造とは、グラフェンおよび含酸素グラフェン構造を含む意味である。本明細書では、カーボンナノチューブとは、カーボンナノチューブおよび酸化カーボンナノチューブを含む意味である。カーボンナノチューブまたはグラフェンの含酸素構造とは、炭素表面に結合したカルボン酸、アミド、グリシジル基およびヒドロキシル基を含むが、これに限らない。』(【0003】)

イ 甲2(中国特許登録第103130466号)
甲2は中国語で記載されているため、特許異議申立人が提出した抄訳を摘記した。

・『グラフェン/セメント基体の複合材料であり、その特徴は以下の通りである:前記複合材料はセメント基体と均一に前記セメント基体に分散するグラフェンより構成され、その中、前記グラフェンとセメント基体の質量比は(0.0001?0.5):1であり、前記グラフェンは、グラファイト及びセメント基体を用いて、ボールミル媒体の作用で10?5000回転/分の回転速度で1?240時間ボールミルすることによって産生する高速機械剪断応力により、前記複合材料中のグラフェン厚さは0.3nm?5nmであり、グラフェン寸法は10nm?500μmであり、前記グラフェン寸法は最大の径方向寸法である。』(請求項1)
・『従来技術に存在する前記問題に直面して、本発明者はグラファイトをセメント基体に入れて、グラファイトとセメント基体が産生する高速機械剪断応力を利用して高速剪断を行い、グラファイトをグラフェンに薄くし、更に均一に分散するグラフェン/セメント基体複合材料が得られることが期待される。』([0004])
・『本発明の複合材料の中に、グラフェンは均一にセメント基体の中に分散しており、従来の直接に混合して調製する材料と比較して、より優れる力学性能と電気学性能を有し、多機能建築材料分野に適用できる。』([0006])
・『本発明はグラファイト及びセメント基体を原料として、高速ボールミルによってグラファイト及びセメント基体が産生する高速機械剪断力を利用して、グラファイトをグラフェンに薄くすると同時に得られるグラフェンをセメント基体に複合する。これによってグラフェンが均一にセメント基体に分散し、優れた力学特性と電気学性能を有する複合材料が得られ、多機能建築材料分野に応用できる。』([0020])
・『産業応用性:本発明のグラフェン/セメント基体の複合材料は優れた力学特性と電気学性能を有し、調製方法工芸が簡単で、過程が制御しやすく、調製コストが低く、多機能建築材料分野に適用できる。』([0048])

ウ 甲5(国際公開第2014/130069号)
甲5は英語で記載されているため、対応日本出願である特表2016-511737号公報の該当箇所を摘記した。

・『 黒鉛材料の機能化方法であって、 黒鉛材料を提供する工程と; 前記黒鉛材料を切削する工程と; 金属原子、金属カチオン、金属アルコラート、金属アルカノエート、金属スルホネート及び金属粉の少なくとも1つの触媒を含む触媒を提供する工程と; 試薬を提供する工程と; 前記触媒を前記試薬に結合させる工程と; 前記黒鉛材料に前記試薬を結合させる工程と; 前記触媒を回収する工程とを含む、前記方法。』(請求項1)
・『 前記切削が、超音波振動、ソノトロード、電磁放射線、機械的切削及び剪断力の少なくとも1つの切削を含む請求項1 に記載の方法。』(請求項4)
・『 黒鉛材料を含む機能化された黒鉛組成物であって、前記黒鉛材料が 黒鉛材料を提供する工程と; 前記黒鉛材料を切削する工程と; 金属原子、金属カチオン、金属アルコラート、金属アルカノエート、金属スルホネート及び金属粉の少なくとも1つの触媒を含む触媒を提供する工程と; 試薬を提供する工程と; 前記触媒を前記試薬に結合させる工程と; 前記黒鉛材料に前記試薬を結合させる工程と; 前記触媒を回収する工程とを含む方法によって調製される、前記組成物。』(請求項10)
・『カーボンナノチューブ(CNT)及びグラフェンは、エポキシ、ポリウレタン及びシリコーンのような熱硬化性プラスチックを強化するのに使用されている。CNT、機能化CNT(またはハイブリッドCNT、示されたHNT)、炭素繊維、黒鉛、グラフェン及び機能化グラフェンはまとめて黒鉛材料と呼ばれ得る。黒鉛材料は高い引張強度を有し得る。引張強度及び他の特性を改善するために黒鉛材料を種々のマトリクス材に組み込むことによって複合材料及び他のハイブリッド材料を製作することができる。たとえば、これらの黒鉛材料をエポキシ樹脂のようなエポキシ組成物及び硬化剤のいずれかに組み込むことができる。黒鉛材料はポリウレタン及びシリコーンにも組み込まれ得る。そのような黒鉛材料はファンデルワールス力を介してマトリクス材料と及び互いに相互作用し得る。』(【0002】)
・『機能化されたCNTに関して本明細書で記載される組成物及び方法、材料及び方法を用いて、熱可塑性プラスチック、熱硬化性樹脂、ゴム、金属及びコンクリートのような材料を強化することができる。』(【0039】)

エ 甲6(国際公開第2010/049892号)
甲6は英語で記載されているため、対応日本出願である特表2012-507501号公報の該当箇所を摘記した。

・『本組成物での使用に好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤は、アルカン酸(およびアルカノエート)等のカルボン酸(および塩)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルスクシネート)、エーテルカルボン酸、およびその同類のものを含む。そうしたカルボキシレートは、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)を含む。本組成物において有用な第2級カルボキシレートは、第2級炭素に結合したカルボキシル単位を含むものを含む。第2級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにあるような環構造にあることができる。第2級カルボキシレート界面活性剤は、典型的にはエーテル結合を含まず、エステル結合(linkage)を含まず、そしてヒドロキシル基を含まない。さらに、これらは頭部基(両親媒性の部分)中に典型的には窒素原子を有さない。(例えば、16までの)より多くの炭素原子が存在できるが、好適な第2級石鹸界面活性剤は、典型的には11?13の全炭素原子を有する。好適なカルボキシレートは、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えばN-アシルサルコシネート)、タウレート(例えばN-アシルタウレートおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)、およびその同類のもの等のアシルアミノ酸(および塩)をまた含む。』(【0097】)

オ 甲7(国際公開第02/087821号)

・『冷凍庫、冷蔵庫、エアーコンディショナー等の冷凍機器が備える冷媒循環システムには様々な金属製部品(以下、「冷凍機部品」という)が用いられている。 このような冷凍機部品の切削・研削加工方法としては、比較的多量の加工油を非加工部材の加工部位に供給しながら切削・研削加工する方法が一般的である。加工油としては、塩素化パラフィン等の塩素系極圧剤、正リン酸エステル、酸性燐酸エステル等のリン系極圧剤、ZnDTP等の焼き付き防止剤、金属スルホネート類等のさび止め剤等が配合された不水溶性切削・研削加工油や、金属スルホネート等の界面活性剤、アミン化合物等のpH調整剤、オレイン酸等の油性剤等が配合された水溶性切削・研削加工油等が広く用いられている。』(1ページ9?18行)

カ 甲8(Construction and Building Materials 96 (2015) 189-197)
甲8は英語で記載されているため、特許異議申立人が提出した抄訳を摘記した。

・『ここでは、籾殻由来グラフェン(GRH)を添加することによるセメント質モルタルの圧縮強度の改善を実証する。種々の用量の籾殻灰及び水酸化カリウムとともに活性化温度範囲を用いて最適化GRHを合成するためにいくつかの製造試験を行った。モルタルへのGRHの添加は、その高い比表面積のために、グラフェンナノプレートレット(GNP)及び多層カーボンナノチューブ(MWNT)と比較して一般的に強化効果を示す。SEM/TEM画像解析により、GRHが波形グラフェン構造を持ち、原子スケールでクリーンなエッジを持つことを確認した。GRHは、多層カーボンナノチューブ及びGNP(50?200m^(2)/g)と比較して、非常に高いBET表面積(2274m^(2)/g)を示した。』(要約)

キ 甲9(Cement & Concrete Composite 58 (2015) 140-147)
甲9は英語で記載されているため、特許異議申立人が提出した抄訳を摘記した。

・『酸化グラフェン(GO)は黒鉛の化学的剥離の生成物である。水中での良好な分散性、高アスペクト比及び優れた機械的性質により、GOはセメント系材料におけるナノ強化剤としての使用のための潜在的候補である。本論文では、GOを普通ポルトランドセメントペーストの機械的性質を強化するために使用した。0.05wt%GOの導入により、GO-セメント複合材料の圧縮強度を15-33%、曲げ強度を41-59%それぞれ増加させることができる。GO-セメント複合材の走査型電子顕微鏡画像は高い亀裂屈曲度を示し、二次元GOシートが亀裂伝搬に対する障壁を形成する可能性があることを示している。その結果、GO-セメント複合材は、ピーク後ゾーン内でより広い応力-ひずみ曲線を示し、突発的な破壊は少ない。GOの添加はまた、GO-セメント複合材の表面積を増加させる。これはケイ酸カルシウム水和物の生産増加に起因する。本研究で得られた結果は、GOがセメント系複合材料におけるナノ補強材として使用し得ることを示唆する。』(要約)

ク 甲11(国際公開第2011/055198号)
甲11は英語で記載されているため、対応日本出願である特表2013-510065号公報の該当箇所を摘記した。

・『ナノスケールグラフェンプレートレットを製造する方法であって、(a)黒鉛材料を分子状若しくは原子状酸素又は分子状若しくは原子状酸素を放出可能な物質と接触させることによって、酸素基で官能化した黒鉛材料(FOG)から成る、8:1より高い炭素/酸素モル比を特徴とする前駆体を得る工程、(b)続いて前記FOG前駆体を化学的又は物理的に還元することによって、20:1より高い炭素/酸素モル比を特徴とするナノスケールグラフェンプレートレットを得る工程、を含むことを特徴とする方法。』(請求項1)
・『請求項1?11のいずれかに記載の方法に従って調製されるナノスケールグラフェンプレートレットであって、300nm以下の厚さ、50μm以下の平均サイズ及び40m^(2)/gより広い表面積を有し、20:1より大きい炭素/酸素モル比を特徴とする、ナノスケールグラフェンプレートレット。』(請求項12)
・『熱可塑性ポリマーをベースとした組成物であって、1種以上の重合性モノマーを含むベースの重合によって生成されるポリマーマトリックスと、ポリマーの質量に対して最高で30質量%の、請求項12?18のいずれかに記載のナノスケールグラフェンプレートレットと、を含むことを特徴とする組成物。』(請求項19)
・『本発明は、極性が低いポリマーマトリックス中での高分散性を備えたナノスケールグラフェンプレートレット(graphene platelet)を製造する方法及び関連するポリマー組成物に関する。 より具体的には、後述の方法で得られるナノスケールプレートレットは概して、既に知られている他の方法で得られるナノスケールプレートレットより簡単に大規模に且つ環境への影響を抑えて製造することができる。本発明の目的である方法で得られるナノスケールプレートレットは、驚くべきことに、改善された電子伝導性、並びに、当該分野で既知の方法で得られるナノスケールプレートレットと比較すると、中遠赤外線レンジ内でのより高い吸収力及び放射線放出を有する。このナノスケールプレートレットは、驚くべきことに、従来のナノスケール充填材より、無極性又は極性がごくわずかなポリマーマトリックスに容易に分散可能である。』(【0001】)
・『したがって、本発明は、ポリマーの質量に対してある濃度(例えば、30%以下)でナノスケールグラフェンプレートレットを充填した発泡性熱可塑性ポリマー(例えば、発泡性スチレンのポリマー)をベースとした顆粒/ビーズにも関する。このビーズ/顆粒から得られる発泡最終産物は、典型的には、黒鉛、石炭(カーボンブラック)等の従来の充填材を使用した類似の配合物より優れた機械抵抗、改善された断熱性及び帯電防止能を有する。これらの最終産物は、建築産業向けの断熱分野で特に有用である。』(【0003】)
・『出願人は、重合それ自体の最中にナノスケールグラフェンプレートレットを製造する方法も発見した。この方法は、本発明の目的である官能化グラフェン前駆体(FOG)を、界面活性剤(例えば、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート)を使用して水性懸濁液中に分散させることを含む。次にモノマーを添加し、重合を懸濁下で行う。重合の開始と同時又はその前に、ただし水溶液中にモノマーを既に懸濁させた状態で、還元剤(例えば、ヒドラジン又はメチルヒドラジン)を添加してナノスケールグラフェンプレートレットの前駆体を還元する。次に、重合を、使用されている通常の方法に従って終了させ得る。これによって、ポリマーマトリックス中でのナノスケールプレートレットの最適な分散度が得られる。』(【0033】)
・『実施例3ポリスチレン/ナノスケールグラフェンプレートレットコンポジットの調製ナノスケールグラフェンプレートレットの前駆体(FOG)を、実施例2に従って製造する。97.5部のポリスチレンを、N,N-ジメチルホルムアミドに溶解させる。ナノスケールグラフェンプレートレットの前駆体2.5部を、溶液に浸漬させた超音波ソノトロードの助けを借りて溶液中に分散させる。溶液を90℃にまで加熱し、次にジメチルヒドラジンを添加し、24時間にわたって作用させる。この溶液を、メタノールを満たした容器に滴加し、力強い撹拌下に維持する。遠心分離で分離した化合物を洗浄、乾燥させ、乳棒を使用して粉末形態に細分化する。』(【0043】)

ケ 甲12(国際公開第2015/099378号)
甲12は韓国語で記載されているため、対応日本出願である特表2017-500265号公報の該当箇所を摘記した。

・『黒鉛またはその誘導体を含む炭素系素材および分散剤の分散液に物理的力を印加する段階を含み、前記分散剤は、複数種のポリ芳香族炭化水素酸化物の混合物であって、分子量300乃至1000のポリ芳香族炭化水素酸化物を60重量%以上の含有量で含む混合物を含み、前記黒鉛またはその誘導体は、物理的力の印加下にナノスケールの厚さを有するグラフェン(graphene)フレークで形成されるグラフェンの製造方法。』(請求項1)
・『黒鉛またはその誘導体は、グラファイト、膨張黒鉛(expanded graphite)、不定形黒鉛、板状型黒鉛、人造黒鉛、炭素層間にインターカレーション化合物が挿入されている改質黒鉛および炭素ナノ繊維からなる群より選択された1種以上である、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項2)
・『前記分散液は、水溶媒または極性有機溶媒内に炭素系素材および分散剤が溶解または分散された分散液である、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項3)
・『前記物理的力の印加段階は、高速均質器(High Speed Homogenizer)、高圧均質器(High Pressure Homogenizer)、ボールミル、ビードミルまたは超音波照射器を使用した方法で行われる、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項7)
・『前記グラフェンフレークは、1.5乃至50nmの厚さを有する、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項8)
・『前記グラフェンフレークの分散液からグラフェンフレークを回収および乾燥する段階をさらに含む、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項11)
・『複数種のポリ芳香族炭化水素酸化物の混合物であって、分子量300乃至1000のポリ芳香族炭化水素酸化物を60重量%以上の含有量で含む混合物を含む分散剤が表面に物理的に付着されているグラフェンフレークと、前記グラフェンフレークを溶解または分散させる極性溶媒と、を含むグラフェンの分散組成物。』(請求項14)
・『前記極性溶媒は、水、NMP、アセトン、DMF、DMSO、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、ブタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-メトキシプロパノール、THF、エチレングリコール、ピリジン、ジメチルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、メチルエチルケトン、ブタノン、α-テルピネオール、ギ酸、酢酸エチルおよびアクリロニトリルからなる群より選択された1種以上を含む、請求項14に記載のグラフェンの分散組成物。』(請求項16)
・『伝導性ペースト組成物、伝導性インク組成物、放熱基板形成用組成物、電気伝導性複合体、EMI遮蔽用複合体または電池用導電材として使用される、請求項14に記載のグラフェンの分散組成物。』(請求項18)
・『本発明はまた、前述した製造方法で得られたグラフェンフレークを含み、このようなグラフェンフレークが極性溶媒内に高濃度で均一に分散されたグラフェンの分散組成物を提供する。このようなグラフェンの分散組成物は、複数種のポリ芳香族炭化水素酸化物の混合物であって、分子量約300乃至1000のポリ芳香族炭化水素酸化物を約60重量%以上の含有量で含む混合物を含む分散剤が表面に物理的に付着されているグラフェンフレークと、前記グラフェンフレークを溶解または分散させる極性溶媒と、を含むことができる。』(【0020】)
・『しかも、前述した分散剤は、酸素含有作用基などによる親水性領域の存在により、それ自体で水溶性を示すことができるため、環境にやさしい水溶媒内でも前記炭素系素材を均一に分散させることができる。特に、前記分散剤は、環境にやさしい水溶媒だけでなく、多様な極性有機溶媒内で、前記炭素系素材を高濃度で均一に分散させることができる優れた分散力を示すことが確認された。』(【0045】)
・『図1を参照すると、高圧均質器は、原料の流入部と、グラフェンフレークなど剥離結果物の流出部と、前記流入部と流出部の間を連結し、マイクロメータースケールの直径を有する微細流路とを含む構造を有することができる。このような高圧均質器の流入部を通じて、例えば、約100乃至3000barの高圧を印加しながら黒鉛またはその誘導体を含む分散液状態の原料を流入させると、このような原料がミクロン(μm)スケール、例えば、約10乃至800μm直径を有する微細流路を通過しながら、このような原料に高い前段力(shear force)が印加され得る。このような前段力の作用で前記黒鉛またはその誘導体が非常に効率的に剥離され、その結果、前述した分散剤との上昇作用で非常に薄い厚さおよび大面積を有するグラフェンフレークを製造できるようになることが確認された。』(【0065】)

コ 甲13(国際公開第2016/093645号)
甲13は韓国語で記載されているため、対応日本出願の該当箇所を摘記した。

・『また、前記膨張グラファイトの分散度を高めるために、分散剤を使用する。前記分散剤は、両新媒性によって、疎水性の膨張グラファイト、層間剥離された膨張グラファイトまたはグラフェンを介在させてこれらの分散した状態を維持する役割を果たし、別の用語で界面活性剤とも呼ばれる。前記分散剤としては、グラフェン剥離に使用されるものであれば特に制限なく使用することができ、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および陽イオン性界面活性剤などを使用することができる。これらの具体例としては、ピレン系誘導体低分子;セルロース系高分子;陽イオン系界面活性剤;陰イオン系界面活性剤;ガムアラビック(gum arabic);n-ドデシルb-D-マルトシド(n-Dodecyl b-D-maltoside);両性界面活性剤;ポリビニルピロリドン系高分子;ポリエチレンオキシド系高分子;エチレンオキシド-プロピレンオキシド共重合体;タンニン酸;または複数種のポリ芳香族炭化水素酸化物の混合物であって、分子量300?1000のポリ芳香族炭化水素酸化物を60重量%以上の含有量で含む混合物などが挙げられる。』(【0021】)

サ 甲第14号証(通信ソサイエティマガジンNo.10[秋号]2009)

・『(1)シールド材料の選定と加工電磁波シールドの概念図を図9に示す.図9に示すように,電磁波シールドの設計に際しては,建築空間内で発射する電磁波を反射させて外部に漏らさないようにすることと,外部から到来する不要な電磁波を反射させて内部に入れないことを目的に導電性のある電磁波シールド建材を用いて建築空間の六面体(床・壁・天井)を覆うなどの工夫が必要となる.また表1に示したように,用途によって,要求されるシールド性能は異なるが,対象部位ごとに最良なシールド材(導電性材料)を選定・加工することになる.またその選定に際しては,その電磁波シールド建材が所定どおりの電磁波シールド性能があるかどうかを電波暗室内隔壁で確認する作業が求められる.次に,図10(a)は外壁及び屋根の材料として使用される金属製折板を隔壁開口部に供試体として設置した例である.また,その際,電磁波シールド性能測定した結果例(垂直,水平偏波)を図10(b)に示す.本例では,10?1,000MHzの帯域において,30dB以上のシールド効果を有することを示しており,金属製折板自体は非常に高い電磁波シールド性能を有することが確認された.』(33ページ3.3(1))

シ 甲15(国際公開第2015/099458号)
甲15は韓国語で記載されているため、対応日本出願である特表2017-502900号公報の該当箇所を摘記した。

・『非酸化グラファイトを含む炭素系素材および分散剤を含む分散液を形成する段階と、前記分散液を連続的に、流入部と、流出部と、流入部と流出部間を連結し、マイクロメータースケールの直径を有する微細流路を含む高圧均質器(High Pressure Homogenizer)に通過させる段階と、を含み、前記炭素系素材は、前段力の印加下に前記微細流路を通過しながら剥離されてナノスケールの厚さを有するグラフェン(graphene)で形成されるグラフェンの製造方法。』(請求項1)
・『前記非酸化グラファイトは、板状黒鉛を含む、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項3)
・『前記分散液は、水溶媒または極性有機溶媒内に前記炭素系素材と分散剤が溶解または分散した分散液である、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項4)
・『前記分散剤は、複数種のポリ芳香族炭化水素酸化物の混合物であって、分子量300乃至1000のポリ芳香族炭化水素酸化物を60重量%以上の含有量で含む混合物を含む、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項5)
・『前記グラフェンは、0.3乃至50nmの厚さを有するグラフェンフレークを含む、請求項1に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項11)
・『前記グラフェンフレークの分散液からグラフェンフレークを回収および乾燥する段階をさらに含む、請求項1 に記載のグラフェンの製造方法。』(請求項13)
・『このような分散剤の優れた分散力により、一実施形態の製造方法で原料である非酸化グラファイトをより均一に高濃度に分散させることができるようになる。したがって、このような最適化された分散状態で原料を剥離することによって、より薄い厚さおよび大面積を有するグラフェンがより容易に製造され得る。ひいては、前記分散剤は、最終形成されたグラフェン表面に物理的に付着された状態で維持され得るため、一実施形態の方法で製造されたグラフェンがそれ自体で多様な極性溶媒に優れた分散性などを示すようにすることができる。』(【0054】)
・『図1を参照すると、高圧均質器は、原料の流入部と、グラフェンフレークなど剥離結果物の流出部と、前記流入部と流出部間を連結し、マイクロメータースケールの直径を有する微細流路とを含む構造を有することができる。このような高圧均質器の流入部を通じて、例えば、約100乃至3000barの高圧を印加しながら非酸化グラファイトを含む分散液状態の原料を流入させると、このような原料がミクロン(μm)スケール、例えば、約1mm以下、あるいは10乃至800μmの直径を有する微細流路を通過しながら、このような原料の速度が超音速に加速されながら高い前段力(shear force)が印加され得る。』(【0068】)
・『このようなグラフェンの優れた特性により、伝導性ペースト組成物、伝導性インク組成物、放熱基板形成用組成物、電気伝導性複合体、EMI遮蔽用複合体または電池用導電材などの多様な分野および用途に使用することができ、その他にもグラフェンの適用が可能か必要であると知られた任意の分野や用途に非常に好ましく使用することができる。』(【0074】)
・『また、このような分散液または分散組成物で、前記グラフェンを分散させるための極性溶媒としては、水などの水溶媒や、任意の極性溶媒を特別な制限なしに適用することができる。このような極性溶媒の具体的な例としては、水、NMP、アセトン、DMF(N,N-dimethylformamide)、DMSO(Dimethyl sulfoxide)、エタノール、イソプロピルアルコール、メタノール、ブタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-メトキシプロパノール、THF(tetrahydrofuran)、エチレングリコール、ピリジン、ジメチルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、メチルエチルケトン(ブタノン)、α-テルピネオール、ギ酸、酢酸エチルおよびアクリロニトリルからなる群より選択された1種以上を使用することができる。』(【0076】)

ス 甲16(国際公開第2014/038674号)

・『原料化合物としては、例えば、界面活性剤、糖類、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属アルコキシド、アリル基を有する炭化水素化合物などを用いることができる。(界面活性剤)界面活性剤は、重合膜が良好に得られる傾向がある。人工化合物の他、サポニン、リン脂質、ペプチドなど天然由来の界面活性剤からも重合膜を得ることができる。』(【0028】)
・『例えば、サポニン、大豆レシチン、リジン、ポリL-リジン、タンニン酸などからの良好な成膜を確認している。』(【0029】)

セ 甲第17号証(特開2015-188377号公報)

・『前記界面活性剤が、NP40、Triton-X100、またはTween20である、請求項8に記載の核酸増幅反応用カートリッジ。』(請求項9)

(3)甲1?5、8?12、15に記載された発明について
上記(2)の記載によれば、甲1?5、8?12、15には、次の発明(以下、「甲1発明」などという。)が記載されているといえる。

ア 甲1発明について
「無機プレート-カーボンナノチューブ複合体を含むコンクリート混合物が使用された基礎、道路、あるいは橋であって、無機プレート-カーボンナノチューブ複合体は、カーボンナノチューブの前記懸濁液を音波処理して生成される離散カーボンナノチューブ繊維を、グラフェンナノプレートである無機プレートと共に界面活性剤および音波処理を用いて再分散させ、これを分離させることで調製されるものである、基礎、道路、あるいは橋。」

イ 甲2発明について
「グラフェン/セメント基体の複合材料が適用された建築材料であって、複合材料は、グラファイト及びセメント基体を原料として、高速ボールミルによってグラファイト及びセメント基体が産生する高速機械剪断力を利用して産生され、セメント基体と均一に前記セメント基体に分散するグラフェンより構成される、建築材料。」

ウ 甲3発明について
「2次元実質的非酸化グラフェンを製造するために、未処理3次元グラファイトを剥離するプロセスとして、未処理グラファイトを水-界面活性剤溶液に混合して、混合物を得る工程;混合物に剪断力を付与して、グラファイトを剥離し、溶液中に分散剥離グラフェンを製造する工程;および分散剥離グラフェンが溶液中で遊離かつ非凝集状態を維持するように、該混合物に付与した該剪断力を除去する工程を含む、プロセスによって製造された、2次元実質的非酸化グラフェンと、任意の他のナノ材料との混合物を含むデバイス。」

エ 甲4発明について
「炭素系ナノフィラーが導入されたセメント基材等の硬化性無機系であって、炭素系ナノフィラーを硬化性無機系に導入するための方法は、少なくとも
a)少なくとも1つの超可塑剤の存在下でのグラフェン等の炭素系ナノフィラーの水性分散液の調製;
b)高速混合による分散処理;
c)前記処理された分散液を少なくとも1つの硬化性無機系に添加し、硬化性無機系に対して重量比で0.001から0.02%の範囲の炭素系ナノフィラーの含有量を確保する。
との段階を含む、硬化性無機系。」

オ 甲5発明について
「コンクリートのような材料を強化する黒鉛材料を含む機能化された黒鉛組成物であって、前記黒鉛材料が
黒鉛材料を提供する工程と;
前記黒鉛材料を切削する工程と;
金属原子、金属カチオン、金属アルコラート、金属アルカノエート、金属スルホネート及び金属粉の少なくとも1つの触媒を含む触媒を提供する工程と;
試薬を提供する工程と;
前記触媒を前記試薬に結合させる工程と;
前記黒鉛材料に前記試薬を結合させる工程と;
前記触媒を回収する工程とを含む方法によって調製され、
前記切削が、超音波振動、ソノトロード、電磁放射線、機械的切削及び剪断力の少なくとも1つの切削を含む、前記組成物。」

カ 甲8発明について
「籾殻由来のグラフェンを含むモルタル供試体。」

キ 甲9発明について
「酸化グラフェン(GO)-セメント複合材。」

ク 甲10発明について
「酸化グラフェン(GO)/セメントマトリックス複合材料。」

ケ 甲11発明について
「熱可塑性ポリマーをベースとした組成物であって、
1種以上の重合性モノマーを含むベースの重合によって生成されるポリマーマトリックスと、
ポリマーの質量に対して最高で30質量%の、ナノスケールグラフェンプレートレットと、を含む組成物。」

コ 甲12発明について
「物理的力の印加下にナノスケールの厚さを有するグラフェン(graphene)フレークで形成される黒鉛またはその誘導体を含む炭素系素材および、複数種のポリ芳香族炭化水素酸化物の混合物であって、分子量300乃至1000のポリ芳香族炭化水素酸化物を60重量%以上の含有量で含む混合物を含む分散剤の分散液に物理的力を印加する段階を含む製造方法により製造される、前記分散剤が表面に物理的に付着されているグラフェンフレークと、前記グラフェンフレークを溶解または分散させる極性溶媒と、を含むグラフェンの分散組成物を使用したEMI遮蔽用複合体。」

サ 甲15発明について
「非酸化グラファイトを含む炭素系素材および分散剤を含む分散液を形成する段階と、前記分散液を連続的に、流入部と、流出部と、流入部と流出部間を連結し、マイクロメータースケールの直径を有する微細流路を含む高圧均質器(High Pressure Homogenizer)に通過させる段階と、を含み、前記炭素系素材は、剪断力の印加下に前記微細流路を通過しながら剥離されてナノスケールの厚さを有するグラフェン(graphene)で形成されるグラフェンの製造方法。」

(4)本件発明1について
ア 対比
本件発明1は、上記「第3」で示したとおりのものと認められ、
「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルであり、
前記グラフェン及び/ 又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^4/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され、
前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、
前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含む、建材製品。」である。
本件発明1と、甲1?5、8?12、15発明をそれぞれ対比すると、本件発明1は、「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネル」であり、「前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含む」という構成を有しているのに対し、甲1?5、8?12、15発明は、いずれもそのような構成を有していない点で少なくとも相違する(実施的な相違点)。

イ 相違点についての検討
上記相違点について検討すると、上記「第4の2(2)エ(イ)」において説示したとおり、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなる建材パネルであって、それらの層にグラフェンを含むものなどは、甲1?5、8?12、15には示されていないから、甲1?5、8?12、15に記載された事項から、当該相違点に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、甲6、7、13、14、16、17のいずれの文献にも、当該構成の容易想到性を認めるに足りる開示乃至示唆があるとはいえない。
なお、補足資料として提出された上記甲21?24についてみても同様である。

(5)本件発明10、14について
本件発明10、14は本件発明1と同様に、建材製品が「グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネル」であること、「前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含」むという構成を有するものであるから、上記(4)における対比・検討と同様に、甲1?5、8?12、15に記載された発明ではなく、また、甲1?17に記載された発明から、当業者が容易に想到し得るものではない。

(6)本件発明3?5、8、9、11、12、15について、
請求項3?5、8、9は請求項1を、請求項11、12は請求項10を、請求項15は請求項14を、それぞれ引用するものであるから、上記(4)、(5)における対比・検討と同様に、甲1?5、8?12、15に記載された発明ではなく、また、甲1?17に記載された発明から、当業者が容易に想到し得るものではない。

(7)小括
上記(1)?(6)のとおりであるから、本件発明1、3?5、8?12、14、15は、甲第1?17号証に記載された発明に対して新規性進歩性が欠如するということはできないので、請求項1、3?5、8?12、14、15に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるとはいえず、同法第113条第2号に該当しないため、取り消すことはできない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1、3?5、8?12、14、15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、3?5、8?12、14、15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
更に、本件特許の特許請求の範囲の請求項2、6、7、13、16は、本件訂正により削除され、当該請求項2、6、7、13、16に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルであり、
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され、
前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、
前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含む、建材製品。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記建材パネルが、グラフェン及び/又は酸化グラフェンの切削片又は薄片を含む、請求項1に記載の建材製品。
【請求項4】
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、前記芯層又は前記外層に均一に分散されている、請求項3に記載の建材製品。
【請求項5】
前記建材パネルの一部のみが、グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む、請求項3に記載の建材製品。
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】
前記建材パネルが、セメントを含む結合剤を含む、請求項1又は3乃至5いずれか1項に記載の建材製品。
【請求項9】
前記結合剤が、石膏を含む結合剤である、請求項8に記載の建材製品。
【請求項10】
グラフェン及び/又は酸化グラフェンを含む建材パネルの製造方法であって、
グラフェン及び/又は酸化グラフェンと、セメントを主成分とする結合剤及び水並びに任意の他の添加剤とを混合すること、
該混合物を成形すること、及び、
このようにして成形された前記建材パネルを乾燥することを備え、
前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、
前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含み、
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造され、
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンは、懸濁液の形態で使用される、方法。
【請求項11】
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、切削片又は薄片の形態で使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記懸濁液が、水の懸濁液の形態で使用される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】(削除)
【請求項14】
建材製品の機械的強度を改善するため、又は、前記建材製品の耐火性等級を向上させるための建材製品におけるグラフェン及び/又は酸化グラフェンの使用であって、
前記建材製品は、セメントを含む建材パネルであり、
前記建材パネルは、少なくとも一つの芯層及び少なくとも一つの外層からなり、
前記芯層又は前記外層の少なくともいずれか一方が、前記グラフェン及び/又は前記酸化グラフェンを含み、
前記グラフェン及び/又は酸化グラフェンが、界面活性剤を有する水中でグラファイト粉末を10^(4)/sよりも速い剪断速度で剪断することにより製造される、使用。
【請求項15】
前記建材パネルが、石膏を含む建材パネルである、請求項14に記載の使用。
【請求項16】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-06-22 
出願番号 特願2018-516431(P2018-516431)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (C04B)
P 1 651・ 537- YAA (C04B)
P 1 651・ 121- YAA (C04B)
P 1 651・ 113- YAA (C04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西垣 歩美  
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 正 知晃
後藤 政博
登録日 2020-01-14 
登録番号 特許第6646143号(P6646143)
権利者 クナーフ ギプス カーゲー
発明の名称 バルク材料にグラフェン又は酸化グラフェンを含む建材製品、及び、このような建材製品の製造方法  
代理人 特許業務法人藤本パートナーズ  
代理人 特許業務法人藤本パートナーズ  
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