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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47C
審判 全部申し立て 2項進歩性  A47C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A47C
管理番号 1376747
異議申立番号 異議2020-700524  
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-07-28 
確定日 2021-07-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6635552号発明「什器構成部材、及び什器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6635552号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕、7、8、9、10、11、12について訂正することを認める。 特許第6635552号の請求項1、2、4?12に係る特許を維持する。 特許第6635552号の請求項3に係る特許についての異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6635552号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成28年6月10日に出願され、令和1年12月27日にその特許権の設定登録がされ、令和2年1月29日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和2年 7月28日付け:特許異議申立人 歳国純雄(以下「申立人」と いう。)より請求項1?6に係る特許に対する 特許異議の申立て
令和2年11月19日付け:取消理由通知書
令和3年 1月19日付け:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 4月 6日付け:訂正請求があった旨の通知書(特許法第120 条の5第5項)

なお、令和3年4月6日付けの訂正請求があった旨の通知書に対して、申立人からの応答はなかった。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年1月19日付け訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。また、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」といい、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」といい、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面を含めて「本件明細書等」という。)を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に、
「対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有していることを特徴とする什器構成部材。」
と記載されているのを、
「対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記第二面には、前記軟質部材を対をなす前記支持材に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されていることを特徴とする什器構成部材。」
に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2、4、6も同様に訂正する。なお、請求項3は、下記訂正事項2により削除される。)

(2)訂正事項2
本件特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(3)訂正事項3
本件特許請求の範囲の請求項4に、
「前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の什器構成部材。」
とあるのを、
「前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の什器構成部材。」
に訂正する。
(請求項4の記載を引用する請求項6も同様に訂正する。)

(4)訂正事項4
本件特許請求の範囲の請求項5に、
「前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の什器構成部材。」
とあるのを、
「対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持されていることを特徴とする什器構成部材。」
に訂正する。
(請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する。)

(5)訂正事項5
本件特許請求の範囲の請求項6に、
「床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。」
とあるのを、
「床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された請求項1、2、4、5のいずれか1項に記載の什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。」
に訂正する。

(6)訂正事項6
以下の請求項7を追加する。
「【請求項7】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合されていることを特徴とする什器構成部材。」

(7)訂正事項7
以下の請求項8を追加する。
「【請求項8】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする什器構成部材。」

(8)訂正事項8
以下の請求項9を追加する。
「【請求項9】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする什器構成部材。」

(9)訂正事項9
以下の請求項10を追加する。
「【請求項10】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。」

(10)訂正事項10
以下の請求項11を追加する。
「【請求項11】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。」

(11)訂正事項11
以下の請求項12を追加する。
「【請求項12】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。」

本件訂正請求は、一群の請求項〔1?6〕に対して請求されたものである。

2 訂正の適否
訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第二面」に関して、訂正前の請求項3の記載内容に基づき、「前記第二面には、前記軟質部材を対をなす前記支持材に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されている」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項3を削除するものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、請求項4について、訂正事項2による請求項3の削除に伴い、「請求項1乃至3のいずれか1項」を「請求項1又は2」に訂正するものであって、多数引用形式請求項の引用請求項を減少するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前において、請求項5が請求項1乃至4のいずれか1項の記載を引用する請求項であったところ、訂正後に、多数引用形式請求項の引用請求項を減少して、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項5について請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改める訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないことを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、請求項6について、訂正事項2による請求項3の削除に伴い、「請求項1乃至5のいずれか1項」を「請求項1、2、4、5のいずれか1項」と訂正するものであって、多数引用形式請求項の引用請求項を減少するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前において、請求項5が請求項1乃至4のいずれか1項の記載を引用する請求項であったところ、訂正後に、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項2の記載を引用する請求項5について、多数引用形式請求項の引用請求項を減少して、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項とした上で、請求項7として追加する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないことを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前において、請求項5が請求項1乃至4のいずれか1項の記載を引用する請求項であったところ、訂正後に、多数引用形式請求項の引用請求項を減少して、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項4の記載を引用する請求項5について請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項とした上で、請求項8として追加する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないことを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(8)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前において、請求項5が請求項1乃至4のいずれか1項の記載を引用する請求項であったところ、訂正後に、多数引用形式請求項の引用請求項を減少して、訂正前の請求項1及び2の記載を引用する請求項4の記載を引用する請求項5について請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項とした上で、請求項9として追加する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないことを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(9)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前において、請求項6が請求項1乃至5のいずれか1項の記載を引用する請求項であったところ、訂正後に、多数引用形式請求項の引用請求項を減少して、訂正前の請求項1及び2の記載を引用する請求項5の記載を引用する請求項6について請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項とした上で、請求項10として追加する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないことを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(10)訂正事項10について
訂正事項10は、訂正前において、請求項6が請求項1乃至5のいずれか1項の記載を引用する請求項であったところ、訂正後に、多数引用形式請求項の引用請求項を減少して、訂正前の請求項1及び4の記載を引用する請求項5の記載を引用する請求項6について請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項とした上で、請求項11として追加する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないことを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(11)訂正事項11について
訂正事項11は、訂正前において、請求項6が請求項1乃至5のいずれか1項の記載を引用する請求項であったところ、訂正後に、数引用形式請求項の引用請求項を減少して、訂正前の請求項1、2及び4の記載を引用する請求項5の記載を引用する請求項6について、多数引用形式請求項の引用請求項を減少して、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項とした上で、請求項12として追加する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないことを目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?6〕、7、8、9、10、11、12についての訂正を認める。

第3 訂正後の本件発明
上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1、2、4?12に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明12」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、4?12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、請求項3は本件訂正により削除されている。
「【請求項1】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記第二面には、前記軟質部材を対をなす前記支持材に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項2】
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合されていることを特徴とする請求項1に記載の什器構成部材。
【請求項4】
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の什器構成部材。
【請求項5】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項6】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された請求項1、2、4、5のいずれか1項に記載の什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。
【請求項7】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項8】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項9】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項10】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。
【請求項11】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。
【請求項12】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1、2、4、6に係る特許に対して令和2年11月19日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。

[取消理由1]
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、当該発明に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。
[取消理由2]
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、当該発明に係る特許は同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。



[刊行物]
引用文献1:特開2010-119438号公報
引用文献2:特開2011-110280号公報
なお、引用文献1及び2は、申立人が証拠として提出した甲第1及び2号証である。

[取消理由と請求項及び引用文献の関係]
○取消理由1
・請求項1、6
・引用文献:1又は2

○取消理由2
・請求項2
・引用文献:2

・請求項1を引用する請求項4
・引用文献:1

・請求項2を引用する請求項4
・引用文献:2、1

2 各引用文献の記載事項等
(1)引用文献1
(1a)引用文献1の記載事項
「【請求項1】
張力が付与された状態で椅子の構成部品の枠体を覆うと共に縁端に取り付けられた縁端部材を前記枠体に設けられた嵌合部に嵌め合わせて係止することによって前記枠体を覆う張地の保護構造であって、前記縁端部材が硬質部と軟質部とからなり、前記枠体に取り付けられた状態の前記張地の裏面の縁端に前記縁端部材の軟質部が前記張地の内側を向くように少なくとも前記硬質部が取り付けられ、前記枠体を覆うと共に前記硬質部を前記嵌合部に嵌め合わせて前記張地を取り付けた状態において前記椅子の使用状態で少なくとも外物と衝き当たる部分では前記張地と前記枠体との間に前記軟質部を介在させることを特徴とする椅子の張地の保護構造。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子の張地の保護構造に関する。さらに詳述すると、本発明は、椅子の座や背凭れ等の椅子の構成部品を覆う張地を保護する構造に関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の張地の取り付け構造では、椅子の座や背凭れのフレームとして十分な強度を有する硬質のフレームに張地が被せられるので、硬質であって特に凸部を有する外物が衝き当たると当該外物とフレームとに挟まれることになる張地に大きなダメージが与えられる。したがって、椅子の使用中に座の縁部が例えば机の足・支柱に何度もぶつかったり背凭れの縁部が例えば机の天板の周縁に何度もぶつかったりすることによって張地が損傷してほつれや破れが発生してしまう。しかも、椅子の座などに張地を被せる場合には特許文献1の張設構造のように張地に張力を与えて被せるので僅かな損傷によって強度が少しでも落ちた箇所からほつれや破れが発生し急激に拡がってしまう。そして、椅子の構成部品表面の張地のこのような損傷によって外観が大きく損なわれると共に製品としての寿命が短くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、外物が衝き当たることによって椅子の座などのフレーム若しくはインナーシェルを覆う張地に与えられる損傷を軽減して張地の破れを防止することができる椅子の張地の保護構造を提供することを目的とする。なお、以下においては、椅子の座や背凭れ等の構成部品のフレーム若しくはインナーシェルのことを枠体と呼ぶ。」

「【0022】
図1及び図2に、本発明の椅子の張地の保護構造の実施形態の一例を示す。この椅子の張地の保護構造は、張力が付与された状態で椅子の構成部品の枠体3を覆うと共に縁端に取り付けられた縁端部材1を枠体3に設けられた嵌合部3aに嵌め合わせて係止することによって枠体3を覆う張地2の保護構造であって、縁端部材1が硬質部1aと軟質部1bとからなり、枠体3に取り付けられた状態の張地2の裏面の縁端に縁端部材1の軟質部1bが張地2の内側を向くように硬質部1aが取り付けられ、枠体3を覆うと共に硬質部1aを嵌合部3aに嵌め合わせて張地2を取り付けた状態において椅子の使用状態で少なくとも外物と衝き当たる部分では張地2と枠体3との間に軟質部1bを介在させるようにしている。
【0023】
なお、本発明は、椅子の座,背凭れ,ヘッドレスト,肘掛け等の構成部品に張地を取り付ける場合に適用可能である。具体的には例えば図6に示す椅子の座103や背凭れ104のフレーム101のおもて面を張地(図7においては符号102)で覆う場合に適用可能である。
【0024】
縁端部材1は、本実施形態では、全体として細長薄板状をなし、長手方向帯状に二分される、係止部材としての硬質部1aと緩衝部材としての軟質部1bとからなる。本実施形態では、硬質部1aと軟質部1bとは2色同時成形により一体のものとして成形される。
【0025】
縁端部材1を硬質部1aと軟質部1bとから構成するに際しては、両素材の境界である接触面を縁端部材1の厚さ方向に沿う面(即ち部材垂直断面)にしても良いし、素材が異なることを考慮し、両者の結合力を高めてはがれを防止するために硬質部1aと軟質部1bとの接触面1cの面積を大きくするように工夫しても良い。具体的には、両者の接触面1cを、円弧形状にしたり(図3(A))、楔形(及び逆楔形)にしたり(図3(B))、部材の厚さ方向に対して傾斜面にしたり(図3(C))することが考えられる。このような形状にすることによって部材の厚さ方向に沿う面(即ち部材垂直断面)の場合と比べて接触面積を増加させることができるので望ましい。なお、両者の接触面1cを円弧形状にすると硬質部1aと軟質部1bとの接触面積が増加すると共に軟質部1bの曲がりに対して追従することができるので両者のはがれが防止され接触面の形状としてより望ましい。
【0026】
なお、縁端部材1の成形は2色同時成形等による一体成形に限られない。すなわち、硬質部1aと軟質部1bとを別々に成形した後に接着、溶着等によって結合させるようにしても良い。
【0027】
硬質部1aは、張地2の縁端部に取り付けられ、張力が付与されて張地2が枠体3に被せられた状態で枠体3に設けられた嵌合部としての凹溝3aに嵌め込まれ、張地2の張力によって凹溝3aに嵌め込まれた状態で係止部材として機能して張地2を枠体3に取り付けるものである。このため、硬質部1aは、凹溝3aに嵌め込まれた状態から抜けないように簡単には折り曲がらない程度の硬さを有する素材で形成される。具体的には、硬質部1aは、所定の硬さを有する合成樹脂で形成され、例えばポリプロピレンによって形成される。
【0028】
なお、本実施形態では、硬質部1aが細長薄板状をなしていると共に枠体3側の嵌合部として細長薄板を嵌め込む凹溝3aが形成されているようにしているが、硬質部1aの嵌合の仕方、言い換えれば硬質部1aと嵌合部3aとの形状はこれに限られるものではない。具体的には例えば、硬質部1aをコ字形部材にすると共に該コ字形部材を嵌め合わせる凸部を有する嵌合部3aを枠体3に設けるようにしたり(図4(A),(B))、硬質部1aをL字形部材にすると共に該L字形部材を嵌め合わせる凹部を有する嵌合部3aを枠体3に設けるようにしたり(図4(C))することが考えられる。
【0029】
軟質部1bは、張地2が枠体3に取り付けられた状態で張地2と枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものである。このため、軟質部1bは、少なくとも枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成される。すなわち、比較的硬質な素材によって形成される枠体3と例えば机の天板などの外物とが衝き当たる際にこれらの間に挟まって張地2が損傷することを防ぐため、外物が衝き当たった際に自身が変形して(具体的には凹んで)張地2が受ける外物衝突の衝撃を緩和することができる弾力性を有する素材によって形成される。具体的には例えばエラストマー素材によって形成される。
【0030】
なお、本実施形態では、硬質部1aと軟質部1bとからなる縁端部材1全体として細長薄板状のものとして成形されているが、縁端部材1を取り付けた際に軟質部1bを載置する枠体3の形状に予め合わせておくようにしたり取り付けを容易にしたりすることを考慮し、縁端部材1全体としてL字形に成形したり(図5(A))、U字形に成形したり(図5(B))するようにしても良い。
【0031】
縁端部材1は、張地2の、枠材3に取り付けられた状態における裏面の周縁に沿って取り付けられる。また、縁端部材1は、縁端部材1の軟質部1bが張地2の内側を向くように配置された状態で、少なくとも硬質部1aが張地2の縁端部に結合されることによって張地2に取り付けられる。なお、硬質部1a(及び軟質部1b)の張地2への結合方法は特定の方法に限定されるものではなく、具体的には例えば縫合、接着、溶着等によって結合される。
【0032】
このように配置されて取り付けられた硬質部1aと軟質部1bとからなる縁端部材1により、枠体3を覆うと共に縁端部材1の硬質部1aを枠体3に設けられた凹溝3aに嵌め入れて係止させると、張地2と枠体3との間に軟質部1bを介在させた状態で張地2が枠体3に取り付けられる。
【0033】
そして、これにより、軟質部1bが緩衝部材として機能して外物の衝突による衝撃を吸収して張地2に与えられるダメージを軽減することができる張地の保護構造が構成される。
【0034】
なお、本発明においては、椅子の使用状態において外物と衝き当たる部分については少なくとも張地2と枠体3との間に縁端部材1の軟質部1bを介在させるようにしていれば良い。したがって、少なくとも外物と衝き当たる部分において軟質部1bを介在させるようにすれば良いとの観点から、張地2の周縁に沿って帯状に取り付けられた周縁部材1のうち硬質部1aと共に軟質部1bを設けるようにする範囲を適宜設定したり、軟質部1bの長さ(即ち硬質部1aからの延出長)を適宜設定したりすれば良い。すなわち、張地2の周縁に沿って取り付けられる係止部材としての硬質部1aの全体に亘って軟質部1bを設けることは本発明の必須の要件ではなく、また、本発明において軟質部1bの長さが特定の長さに限定されるものではない。さらに、軟質部1bの厚みは、軟質部1bの素材を考慮して外物の衝突による衝撃を適切に吸収することができる程度の厚さに適宜調整されれば良く、特定の厚さに限定されるものではない。」

また、以下の図面が示されている。


(1b)引用文献1からの認定事項
引用文献1には、「椅子2の張地の保護構造」(【請求項1】)が記載されているところ、次の事項が認定できる。
ア 段落【0023】の「本発明は、椅子の座,背凭れ,ヘッドレスト,肘掛け等の構成部品に張地を取り付ける場合に適用可能である。具体的には例えば図6に示す椅子の座103や背凭れ104のフレーム101のおもて面を張地(図7においては符号102)で覆う場合に適用可能である。」との記載及び【図6】から、「椅子の張地の保護構造」は、椅子の背凭れはフレーム101を有するところ、さらに【図1】の「枠体3」及び【図7】の「フレーム101」の配置関係を併せみると、枠体3は、対向して配置された左右一対のものであることが理解できる。

イ 段落【0030】の「本実施形態では、硬質部1aと軟質部1bとからなる縁端部材1全体として細長薄板状のものとして成形されているが、縁端部材1を取り付けた際に軟質部1bを載置する枠体3の形状に予め合わせておくようにしたり取り付けを容易にしたりすることを考慮し、縁端部材1全体としてL字形に成形したり(図5(A))、U字形に成形したり(図5(B))するようにしても良い。」との記載から、硬質部1aと軟質部1bとからなる縁端部材1は、軟質部1bを載置する枠体3の形状に予め合わせて、全体としてU字形に成形するものであるところ、【図1】を参照すると、「枠体3」に関し、張地2に対して交差する方向に延びる円弧状の面を有すること、及び、前記円弧状の面に交差し前記張地2に沿って配置された上面を有することが、「軟質部1b」に関し、枠体3の円弧状の面と張地2との間に挟み込まれる部位と、枠体3の上面と前記張材との間に挟み込まれる部位とを有することが理解できる。
さらに、【図1】から、軟質部1bは、前記円弧状の面から嵌合部3aに向けて一部が延設された部位を有することが看取できる。

ウ 【図1】から、嵌合部3aは枠体3の円弧状の面に内方に凹むように形成されていることが、看取できる。

エ 段落【0029】の「軟質部1bは、張地2が枠体3に取り付けられた状態で張地2と枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものである。このため、軟質部1bは、少なくとも枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成される。」との記載から、「軟質部1b」は、張地2が枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成されることが理解できる。

(1c)引用文献1に記載された発明
上記(1a)及び(1b)から、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明1」という。)。
<引用発明1>
「張力が付与された状態で椅子の構成部品の枠体3を覆うと共に縁端に取り付けられた縁端部材1を前記枠体3に設けられた嵌合部3aに嵌め合わせて係止することによって前記枠体3を覆う椅子の張地2の保護構造であって、
前記縁端部材1が硬質部1aと軟質部1bとからなり、前記枠体3に取り付けられた状態の前記張地2の裏面の縁端に前記縁端部材1の前記軟質部1bが前記張地2の内側を向くように前記硬質部1aが取り付けられ、前記枠体3を覆うと共に前記硬質部1aを前記嵌合部3aに嵌め合わせて前記張地2を取り付けた状態において前記椅子の使用状態で少なくとも外物と衝き当たる部分では前記張地2と前記枠体3との間に前記軟質部1bを介在させ、
前記枠体3は、
対向して配置された左右一対のものである共に、前記張地2に対して交差する方向に延びる円弧状の面及び前記円弧状の面に交差し前記張地2に沿って配置された上面を有するものであり、
前記縁端部材1は、前記軟質部1bを載置する前記枠体3の形状に予め合わせて、全体としてU字形に成形するものであり、
嵌合部3aは、前記円弧状の面に内方に凹むように形成され、
前記軟質部1bは、
前記張地2が前記枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され、
前記円弧状の面と前記張地2との間に挟み込まれる部位と、
前記上面と前記張材との間に挟み込まれる部位と、
前記円弧状の面から前記嵌合部3aに向けて一部が延設された部位と、を有する椅子の張地2の保護構造。」

さらに、引用文献1の【図6】から、床面に設置される4つの脚と支柱からなる構造体 が看取できるから、引用文献1には「張地2の保護構造を備えた椅子」に関し、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明1’」という。)。
<引用発明1’>
「張力が付与された状態で椅子の構成部品の枠体3を覆うと共に縁端に取り付けられた縁端部材1を前記枠体3に設けられた嵌合部3aに嵌め合わせて係止することによって前記枠体3を覆う張地2の保護構造を備えた椅子であって、
前記縁端部材1が硬質部1aと軟質部1bとからなり、前記枠体3に取り付けられた状態の前記張地2の裏面の縁端に前記縁端部材1の前記軟質部1bが前記張地2の内側を向くように前記硬質部1aが取り付けられ、前記枠体3を覆うと共に前記硬質部1aを前記嵌合部3aに嵌め合わせて前記張地2を取り付けた状態において前記椅子の使用状態で少なくとも外物と衝き当たる部分では前記張地2と前記枠体3との間に前記軟質部1bを介在させ、
前記枠体3は、
対向して配置された左右一対のものである共に、前記張地2に対して交差する方向に延びる円弧状の面及び前記円弧状の面に交差し前記張地2に沿って配置された上面を有するものであり、
前記縁端部材1は、前記軟質部1bを載置する前記枠体3の形状に予め合わせて、全体としてU字形に成形するものであり、
嵌合部3aは、前記円弧状の面に内方に凹むように形成され、
前記軟質部1bは、
前記張地2が前記枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され、
前記円弧状の面と前記張地2との間に挟み込まれる部位と、
前記上面と前記張材との間に挟み込まれる部位と、
前記円弧状の面から前記嵌合部3aに向けて一部が延設された部位と、を有し、
さらに、床面に設置される4つの脚と支柱からなる構造体を有し、
前記構造体に支持された前記張地2の保護構造と、
を備えた椅子。」

(2)引用文献2に記載された事項等
(2a)引用文献2の記載事項
「【請求項1】
枠体を覆う張地の縁に帯状の係止プレートを取り付け、前記張地に張力を付与した状態で前記枠体を覆いながら前記張地の縁と前記係止プレートとを共に折り返すようにして前記枠体の外側面に設けられた溝に嵌め込んで係止する張地固定構造において、前記枠体のコーナー部に前記外側面に形成された溝と連続するコーナー面のコーナー部溝を設け、前記外側面の溝と嵌合する前記係止プレートとは別のコーナー部係止プレートを前記コーナー部に被せられる前記張地の縁に備え、前記コーナー部に被せられる前記張地の縁と前記コーナー部係止プレートとを前記コーナー部溝に嵌合させ、前記コーナー部に被せられる前記張地の縁を前記コーナー部係止プレートともども前記コーナー部に係止させることを特徴とする張地の固定構造。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子の座や背凭れ等の身体を支える面を構成する張地のフレームへの固定構造に関する。さらに詳述すると、本発明は、張地の角部のフレームからの外れ防止に好適な張地のフレームへの固定構造に関する。」

「【0010】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、枠体を覆う張地の縁に帯状の係止プレートを取り付け、前記張地に張力を付与した状態で前記枠体を覆いながら前記張地の縁と前記係止プレートとを共に折り返すようにして前記枠体の外側面に設けられた溝に嵌め込んで係止する張地固定構造において、前記枠体のコーナー部に前記外側面に形成された溝と連続するコーナー面のコーナー部溝を設け、前記外側面の溝と嵌合する前記係止プレートとは別のコーナー部係止プレートを前記コーナー部に被せられる前記張地の縁に備え、前記コーナー部に被せられる前記張地の縁と前記コーナー部係止プレートとを前記コーナー部溝に嵌合させ、前記コーナー部に被せられる前記張地の縁を前記コーナー部係止プレートともども前記コーナー部に係止させるようにしている。」

「【0024】
図1から図10に、本発明の張地の固定構造を張地によって覆われる部分が非環状のフレームから成る椅子に適用した実施の一形態を示す。なお、本明細書においては座4に座った着座者を基準にして上下、前後、左右を定義する。さらに、本明細書において使用する「コーナー部」という用語は、枠体の張地によって覆われる部分が縦横に四辺を有する図11に示すような環状のフレームの場合における各四隅の角部を言うことは勿論のこと、枠体の張地によって覆われる部分が互いに向かい合う2本の有端のフレームから成る図7及び図8に示すような非環状フレームの場合における各フレームのそれぞれの端部を含むものである。
【0025】
本実施形態の椅子1は、キャスターを有する脚14と、脚14の脚支柱14aの上端に取り付けられる弓形のメインフレーム2と、このメインフレーム2の両側端に立ち上げられた支持アーム2aに前側端部6dで片持ち支持される一対のサイドフレーム6と、これら左右一対のサイドフレーム6の間に張り渡される1枚の張地7とを備え、一対のサイドフレーム6と1枚の張地7とによって座4及び背凭れ8が連続的に形成されている。即ち、この実施形態の椅子1は、張力が付与された状態で張地7によって覆われる部分が2本の平行なサイドフレーム6のみによって構成される非環状フレームを構成したものである。」

「【0030】
左右のサイドフレーム6の外側面には、張地7の縁部を嵌め込み固定するための主たる固定手段としての溝11が全長に亘ってそれぞれ形成されている。この溝11は、椅子の座や背などの身体支持構造物としての支持剛性を主として担うものとして機能し、張地7に張力が付与された状態で係止プレート15と共に張地7の縁が嵌め込まれる。そして、サイドフレーム6の端部(有端の非環状フレームにおいてはコーナー部に該当する)6d,6gには、溝11と連続するコーナー部溝12A,12Bが端面(有端の非環状フレームにおいてはコーナー面に該当する)6e,6fにそれぞれ形成されている。具体的には、張地7の前縁部の角部を嵌め込むためのコーナー部溝12Aが前側端部6dの前端面6eに形成されると共に張地7の後縁部の角部を嵌め込むためのコーナー部溝12Bが後側端部6gの後端面6fに形成されている。これらコーナー部溝12A,12Bは、張地7の前後端縁のコーナー部に形成されるポケット部17にサイドフレーム6の端面6e,6fのコーナー部溝12A,12Bよりも上方が完全に包み込まれるように嵌合するように、サイドフレーム6の外側面の溝11と連通してサイドフレーム6の内側に完全に貫通するように形成されている( 図2参照)。
【0031】
他方、張地7のサイドフレーム6の端部(コーナー部)6d,6gに被せられる縁には、外側面の溝11と嵌合する係止プレート15とは別のコーナー部係止プレート18を備え、コーナー部の張地の縁とコーナー部係止プレート18とをコーナー部溝12A,12Bに嵌合させ、コーナー部の張地の縁をコーナー部係止プレート18ともどもコーナー部溝12A,12Bに係止させるようにしている。
【0032】
具体的には、張地7によって覆われる部分が互いに向かい合う2本の有端の非環状フレームを構成するサイドフレーム6のコーナー部たる端部6d,6gの端面6e,6fにコーナー部溝12A,12Bを形成する一方、端面6e,6fと対向する位置の張地7の縁を折り返して部分的に開口部を設けたポケット部17を設けると共に該ポケット部17の折り返し部分17aにコーナー部係止プレート18を取り付け、フレーム端部6d,6gにポケット部17を被せるようにコーナー部係止プレート18とポケット部17の折り返し部分である張地の前端側あるいは後端側の縁とを端面6e,6fのコーナー部溝12A,12Bに嵌合させ、さらにフレーム6の外側面に設けられた溝11に張地7の縁と係止プレート15とを共に折り返すようにして嵌め込んで係止するようにしている。
【0033】
なお、張地7の材質は、左右のサイドフレーム6の間に張り渡された状態で座4及び背凭れ8として適度な弾力性と張力とを発揮し得る材質(言い換えると、伸縮自在の素材)であれば特定のものに限定されるものではなく、例えばポリエステル製メッシュシート,各種の樹脂フィルム,布地,不織布などが用いられている。
【0034】
また、本実施形態の係止プレート15は、例えば樹脂製であり、二色成形によって溝11に嵌合される硬質部分(コードとも呼ばれる)15aと溝11の縁からサイドフレーム6の上面にかけて配置される軟質部分15bとから成るものとして一体成形されている。そして、係止プレート15は、左右のサイドフレーム6の上に被せられる張地7の左右の縁部のそれぞれに、前端から後端の全体に亘って設けられ、展開状態においては軟質部15bが張地7の内側に配置されると共に外側に硬質部15aが配置されるようにして縫い付けられている(縫い線7a)。
【0035】
硬質部15aは、張地7の縁部に取り付けられ、張力が付与されて張地7がサイドフレーム6に被せられた状態で外側面の溝11に嵌め込まれたときに、張地7の張力によって溝11に引っかかって抜け止めとして機能することにより、張地7をサイドフレーム6に固定するものである。本実施形態の場合、硬質部15aの先端にはさらにフック15cが形成され、溝11の奥側の底面にも凹み11aが形成されている。したがって、溝11に係止プレート15が嵌め込まれた状態では、張地7にかかる張力で引っ張られる係止プレート15の先端のフック15cが凹部11aに引っかかってさらに抜け止めとして機能を向上させる。そこで、硬質部15aは、溝3aに嵌め込まれた状態から抜けないように簡単には折り曲がらない程度の硬さを有する素材で形成される。具体的には、硬質部15aは、所定の硬さを有する合成樹脂、例えばポリプロピレンによって形成されている。
【0036】
他方、軟質部15bは、張地7がサイドフレーム6に取り付けられた状態で張地7とサイドフレーム6との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものである。同時に、着座者の着座時のフレームとの接触面を軟らかくする効果も奏するものである。このため、軟質部15bは、少なくともサイドフレーム6よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成される。すなわち、弾力性を有する素材例えばエラストマー素材によって形成される。勿論、係止プレート15は、場合によっては硬質部15aのみから構成する場合もある。なお、張地7への係止プレート15の取付方法は縫い付けには限られず、例えば接着や溶着などで取り付けるようにしても良い。なお、硬質部15aと軟質部15bとは別々に成形した後に接着、溶着等によって結合させるようにしても良いし、場合によっては軟質部15bを必要としないこともある。また、本実施形態では、硬質部15aと軟質部15bとからなる係止プレート15を全体として帯状のものとして成形されているが、係止プレート15を取り付けた際に軟質部15bを載置するフレームの形状に予め合わせておくようにしたり取り付けを容易にしたりすることを考慮し、係止プレート15全体としてL字形に成形したり、U字形に成形したりするようにしても良い。尚、本実施形態において、コーナー部係止プレート18は、硬質部分(コードとも呼ばれる)だけで構成されているが、場合によっては図示していないが外側面の溝11に引っ掛けられる係止プレート15と同様に、硬質部分と軟質部分とから成るものとして一体成形しても良い。この場合には、サイドフレーム6の端部(あるいは環状フレーム21のコーナー部21a)と張地7との間に係止プレート18の軟質部分が介在されるため、端部あるいはコーナー部の張地7が外物と衝突しても軟質部分が緩衝部材として機能すると共に、着座者の着座時のフレームとの接触面を軟らかくする効果も奏するものである。」

また、以下の図面が示されている。

(2b)引用文献2からの認定事項
引用文献2には、「張地の固定構造」(【請求項1】)が記載されているところ、次の事項が認定できる。
ア 段落【0025】の「これら左右一対のサイドフレーム6の間に張り渡される1枚の張地7とを備え」との記載から、請求項1の「枠体を覆う張地の縁に帯状の係止プレートを取り付け」における枠体は、左右一対のサイドフレーム6であることが理解できる。

イ 段落【0032】の「フレーム6の外側面に設けられた溝11に張地7の縁と係止プレート15とを共に折り返すようにして嵌め込んで係止するようにしている」との記載から、「サイドフレーム6」は、張地7の縁と係止プレート15とを共に折り返した部分で覆われるものであるところ、さらに、【図4】を参照すると、サイドフレーム6は、張地7に対して交差する方向に延びる湾曲した面を有すること、及び、前記湾曲した面に交差し前記張地7に沿って配置された上面を有することが理解できる。

ウ 【図4】から、溝11は、サイドフレーム6の湾曲した面に内方に凹むように形成されていることが看取できる。

エ 段落【0034】の「本実施形態の係止プレート15は、例えば樹脂製であり、二色成形によって溝11に嵌合される硬質部分(コードとも呼ばれる)15aと溝11の縁からサイドフレーム6の上面にかけて配置される軟質部分15bとから成る」との記載から、「係止プレート15」は、溝11に嵌合される硬質部分15aと前記溝11の縁からサイドフレーム6の上面にかけて配置される軟質部分15bとから成ること、及び、「軟質部分15b」は、【図4】を参照すると、サイドフレーム6の湾曲した面と張地7との間に挟み込まれる部位と、サイドフレーム6の上面と前記張材7との間に挟み込まれる部位とを有することが理解できる。
また、【図4】から、「軟質部分15b」は、前記湾曲した面から溝11の奥側に向けて延設された部位を有することが看取できる。

オ 段落【0036】の「軟質部15bは、張地7がサイドフレーム6に取り付けられた状態で張地7とサイドフレーム6との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものである。同時に、着座者の着座時のフレームとの接触面を軟らかくする効果も奏するものである。このため、軟質部15bは、少なくともサイドフレーム6よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成される。」との記載から、軟質部分15bは、張地7がサイドフレーム6に取り付けられた状態で張地7とサイドフレーム6との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものであり、少なくともサイドフレーム6よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成されることが理解できる。

カ 段落【0035】の「硬質部15aは、張地7の縁部に取り付けられ、張力が付与されて張地7がサイドフレーム6に被せられた状態で外側面の溝11に嵌め込まれたときに、張地7の張力によって溝11に引っかかって抜け止めとして機能することにより、張地7をサイドフレーム6に固定するものである。」との記載及び【図4】から、「硬質部分15a」は、軟質部分15bの湾曲した面から溝11の奥側に向けて延設された部位に連なるところ、前記溝11に嵌め込まれたときに、前記張地7の張力によって前記溝11に引っかかって抜け止めとして機能することが理解できる。

(2c)引用文献2に記載された発明
上記(2a)及び(2b)から、引用文献2には次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明2」という。)。
<引用発明2>
「枠体を覆う張地7の縁に帯状の係止プレート15を取り付け、前記張地7に張力を付与した状態で前記枠体を覆いながら前記張地7の縁と前記係止プレート15とを共に折り返すようにして前記枠体の外側面に設けられた溝11に嵌め込んで係止する張地の固定構造であって、
前記枠体は、左右一対のサイドフレーム6であり、
前記サイドフレーム6は、
前記張地7に対して交差する方向に延びる湾曲した面と、前記湾曲した面に交差し前記張地7に沿って配置された上面を有するものであり、
前記溝11は、前記湾曲した面に内方に凹むように形成され、
前記係止プレート15は、前記溝11に嵌合される硬質部分15aと前記溝11の縁から前記サイドフレーム6の上面にかけて配置される軟質部分15bとから成り、
前記軟質部分15bは、
張地7がサイドフレーム6に取り付けられた状態で張地7とサイドフレーム6との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものであり、少なくともサイドフレーム6よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され、
前記湾曲した面と前記張地7との間に挟み込まれる部位と、
前記上面と前記張材7との間に挟み込まれる部位と、
前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された部位と、を有し、
前記軟質部分15bの前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された前記部位に連なる前記硬質部分15aは、前記溝11に嵌め込まれたときに、前記張地7の張力によって前記溝11に引っかかって抜け止めとして機能する張地の固定構造。」

さらに、引用文献2には、段落【0025】の「本実施形態の椅子1は、キャスターを有する脚14と、脚14の脚支柱14aの上端に取り付けられる弓形のメインフレーム2と、このメインフレーム2の両側端に立ち上げられた支持アーム2aに前側端部6dで片持ち支持される一対のサイドフレーム6と、これら左右一対のサイドフレーム6の間に張り渡される1枚の張地7とを備え」との記載、及び【図7】から、床面に設置されるキャスターを有する脚14と、脚14の脚支柱14aの上端に取り付けられる弓形のメインフレーム2と、このメインフレーム2の両側端に立ち上げられた支持アーム2aとからなる構造体が記載されているといえるから、引用文献2には、「張地の固定構造を備えた椅子1」に関し、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明2’」という。)。
<引用発明2’>
「枠体を覆う張地7の縁に帯状の係止プレート15を取り付け、前記張地7に張力を付与した状態で前記枠体を覆いながら前記張地7の縁と前記係止プレート15とを共に折り返すようにして前記枠体の外側面に設けられた溝11に嵌め込んで係止する張地の固定構造を備えた椅子1であって、
前記枠体は、左右一対のサイドフレーム6であり、
前記サイドフレーム6は、
前記張地7に対して交差する方向に延びる湾曲した面と、前記湾曲した面に交差し前記張地7に沿って配置された上面を有するものであり、
前記溝11は、前記湾曲した面に内方に凹むように形成され、
前記係止プレート15は、前記溝11に嵌合される硬質部分15aと前記溝11の縁から前記サイドフレーム6の上面にかけて配置される軟質部分15bとから成り、
前記軟質部分15bは、
張地7がサイドフレーム6に取り付けられた状態で張地7とサイドフレーム6との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものであり、少なくともサイドフレーム6よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され、
前記湾曲した面と前記張地7との間に挟み込まれる部位と、
前記上面と前記張材7との間に挟み込まれる部位と、
前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された部位と、を有し、
前記軟質部分15bの前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された前記部位に連なる前記硬質部分15aは、前記溝11に嵌め込まれたときに、前記張地7の張力によって前記溝11に引っかかって抜け止めとして機能し、
さらに、床面に設置されるキャスターを有する脚14と、脚14の脚支柱14aの上端に取り付けられる弓形のメインフレーム2と、このメインフレーム2の両側端に立ち上げられた支持アーム2aとからなる構造体を有し、
前記構造体に支持された前記張地の固定構造と、
を備えた椅子1。」

3 当審の判断
3-1 取消理由1について
(1)本件発明1について
ア 引用発明1を主たる引用発明とする場合
(ア)対比
本件発明1と引用発明1とを対比すると、
a 後者の「対向して配置された左右一対の」「前記枠体3」は、前者の「対向して配置された一対の支持材」に相当する。

b 上記aを踏まえると、後者の「張力が付与された状態で椅子の構成部品の枠体3を覆う」「張地2」は、前者の「前記一対の支持材同士の間に張設される張材」に相当する。

c 後者の「軟質部1b」は、「張地2が枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され」るものであるから、張地2の張力によっても弾性変形可能であることは明らかである。
そうすると、後者の「張地2が枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成される」「軟質部1b」は、前者の「前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材」に相当する。

d 後者の「枠体3」の「前記張地2に対して交差する方向に延びる円弧状の面」は、前者の「前記張材に対して交差する方向に延びる第一面」に相当し、後者の「張地2」の「縁端」は、前者の「張材の外周縁端」に相当し、後者の「前記円弧状の面に内方に凹むように形成され、」「前記枠体3を覆う張地2」の「縁端に取り付けられた縁端部材1を」「嵌め合わせて係止する」「前記枠体3に設けられた嵌合部3a」は、前者の「該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝」に相当する。また、後者の「枠体3」の「前記円弧状の面に交差し前記張地2に沿って配置された上面」は、前者の「前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面」に相当する。
そうすると、後者の「枠体3」の構成は、前者の「前記支持材は、前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し」との構成に相当する。

e 後者の「軟質部1b」は、前者の「軟質部材」に相当し、後者の「前記円弧状の面と前記張地2との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位」に相当し、後者の「前記上面と前記張材との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位」に相当し、後者の「前記円弧状の面から前記嵌合部3aに向けて一部が延設された部位」は、前者の「前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位」に相当する。

f 後者の「椅子の張地の保護構造」は、前者の「什器構成部材」に相当する。

以上によれば、本件発明1と引用発明1とは、
「対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有している什器構成部材。」
で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本件発明1は、「前記第二面には、前記軟質部材を対をなす前記支持材に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されている」のに対し、
引用発明1は、かかる規制部が形成されていることが特定されていない点。

(イ)判断
上記(ア)で述べたように、本件発明1と引用発明1とは、上記相違点1で相違するから、本件発明1は引用発明1であるとはいえない。

イ 引用発明2を主たる引用発明とする場合
(ア)対比
本件発明1と引用発明2とを対比すると、
a 後者の「左右一対のサイドフレーム6であ」る「前記枠体」は、前者の「対向して配置された一対の支持材」に相当する。

b 上記aを踏まえると、後者の「張力を付与した状態で前記枠体を覆」う「張地7」は、前者の「前記一対の支持材同士の間に張設される張材」に相当する。

c 後者の「軟質部分15b」は、「張地7がサイドフレーム6に取り付けられた状態で張地7とサイドフレーム6との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものであり、少なくともサイドフレーム6よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され」るものであるところ、張地7の張力によって弾性変形可能であることは明らかであるから、後者の「軟質部分15b」は、前者の「前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材」に相当する。

d 後者の「サイドフレーム6」の「前記張地7に対して交差する方向に延びる湾曲した面」は、前者の「前記張材に対して交差する方向に延びる第一面」に相当し、後者の「張地7の縁」は前者の「張材の外周縁端」に相当するから、後者の「前記湾曲した面に内方に凹むように形成され、」「前記張地7に張力を付与した状態で前記枠体を覆いながら前記張地7の縁と前記係止プレート15とを共に折り返すようにして」「嵌め込んで係止する」ための「前記枠体の外側面に設けられた溝11」は、前者の「該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝」に相当する。また、後者の「サイドフレーム6」の「前記湾曲した面に交差し前記張地7に沿って配置された上面」は、前者の「前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面」に相当する。
そうすると、後者の「サイドフレーム6」の構成は、前者の「前記支持材は、前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し」との構成に相当する。

e 後者の「軟質部分15b」は、前者の「軟質部材」に相当し、後者の「前記湾曲した面と前記張地7との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位」に相当し、後者の「前記上面と前記張材との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位」に相当し、後者の「前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された部位」は、前者の「前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位」に相当する。

f 後者の「張地の固定構造」は、前者の「什器構成部材」に相当する。

以上によれば、本件発明1と引用発明2とは、
「対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有している什器構成部材。」
で一致し、以下の点で相違する。

[相違点A]
本件発明1は、「前記第二面には、前記軟質部材を対をなす前記支持材に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されている」のに対し、
引用発明2は、かかる規制部が形成されていることが特定されていない点。

(イ)判断
上記(ア)で述べたように、本件発明1と引用発明2とは、上記相違点Aで相違するから、本件発明1は引用発明2であるとはいえない。

(2)本件発明6について
(2-1)請求項1、2、4のいずれか1項を引用する請求項6に係る発明について
ア 引用発明1’を主たる引用発明とする場合
(ア)対比
請求項1、2、4のいずれか1項を引用する請求項6に係る発明(以下「本件発明6-1」ということがある。)と引用発明1’とを対比すると、上記「(1)ア」の「引用発明1を主引用発明とする場合」の「(ア)対比」に加えて、後者の「床面に設置される4つの脚と支柱からなる構造体」は、前者の「床面に設置される支持構造体」に相当し、後者の「前記構造体に支持された前記張地2の保護構造と、を備えた椅子」は、前者の「該支持構造体に支持された什器構成部材と、を備えた什器」に相当する。
以上によれば、本件発明6-1と引用発明1’とは、

「床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有している什器構成部材と、
を備えた什器。」
で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1’]
本件発明6-1は、「前記第二面には、前記軟質部材を対をなす前記支持材に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されている」のに対し、
引用発明1’は、かかる規制部が形成されていることが特定されていない点。

(イ)判断
上記(ア)で述べたように、本件発明6-1と引用発明1’とは、上記相違点1’で相違するから、本件発明6-1は、引用発明1’であるとはいえない。

イ 引用発明2’を主たる引用発明とする場合
(ア)対比
本件発明6-1と引用発明2’とを対比すると、上記「(1)イ」の「引用発明2を主引用発明とする場合」の「(ア)対比」に加えて、後者の「床面に設置されるキャスターを有する脚14と、脚14の脚支柱14aの上端に取り付けられる弓形のメインフレーム2と、このメインフレーム2の両側端に立ち上げられた支持アーム2aとからなる構造体」は、前者の「床面に設置される支持構造体」に相当し、後者の「前記構造体に支持された前記張地の固定構造と、を備えた椅子1」は、前者の「該支持構造体に支持された什器構成部材と、を備えた什器」に相当する。

以上によれば、本件発明6-1と引用発明2’とは、

「床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有している什器構成部材と、
を備えた什器。」
で一致し、以下の点で相違する。

[相違点A’]
本件発明6-1は、「前記第二面には、前記軟質部材を対をなす前記支持材に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されている」のに対し、
引用発明2’は、かかる規制部が形成されていることが特定されていない点。

(イ)判断
上記(ア)で述べたように、本件発明6-1と引用発明2’とは、上記相違点A’で相違するから、本件発明6-1は、引用発明2’であるとはいえない。

(2-2)請求項5を引用する請求項6に係る発明について
ア 引用発明1’を主たる引用発明とする場合
(ア)対比
請求項5を引用する請求項6に係る発明(以下「本件発明6-5」ということがある。)と引用発明1’とを対比すると、
a 後者の「対向して配置された左右一対の」「前記枠体3」は、前者の「対向して配置された一対の支持材」に相当する。

b 上記aを踏まえると、後者の「張力が付与された状態で椅子の構成部品の枠体3を覆う」「張地2」は、前者の「前記一対の支持材同士の間に張設される張材」に相当する。

c 後者の「軟質部1b」は、「張地2が枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され」る」ものであるから、張地2の張力によっても弾性変形可能であることは明らかである。
そうすると、後者の「張地2が枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成される」「軟質部1b」は、前者の「前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材」に相当する。

d 後者の「枠体3」の「前記張地2に対して交差する方向に延びる円弧状の面」は、前者の「前記張材に対して交差する方向に延びる第一面」に相当し、後者の「張地2」の「縁端」は、前者の「張材の外周縁端」に相当し、後者の「前記円弧状の面に内方に凹むように形成され、」「前記枠体3を覆う張地2」の「縁端に取り付けられた縁端部材1を」「嵌め合わせて係止する」「前記枠体3に設けられた嵌合部3a」は、前者の「該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝」に相当する。また、後者の「枠体3」の「前記円弧状の面に交差し前記張地2に沿って配置された上面」は、前者の「前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面」に相当する。
そうすると、後者の「枠体3」の構成は、前者の「前記支持材は、前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し」との構成に相当する。

e 後者の「軟質部1b」は、前者の「軟質部材」に相当し、後者の「前記円弧状の面と前記張地2との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位」に相当し、後者の「前記上面と前記張材との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位」に相当し、後者の「前記円弧状の面から前記嵌合部3aに向けて一部が延設された部位」は、前者の「前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位」に相当する。

f 後者の「椅子の張地の保護構造」は、前者の「什器構成部材」に相当する。

g 後者の「床面に設置される4つの脚と支柱からなる構造体」は、前者の「床面に設置される支持構造体」に相当し、後者の「前記構造体に支持された前記張地2の保護構造と、を備えた椅子」は、前者の「該支持構造体に支持された什器構成部材と、を備えた什器」に相当する。
以上によれば、本件発明6-5と引用発明1’とは、

「床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有している什器構成部材と、
を備えた什器。」
で一致し、以下の点で相違する。

[相違点5’]
本件発明6-5は、「前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持されている」のに対し、
引用発明1’は、「前記縁端部材1が硬質部1aと軟質部1bとからなり、・・・前記軟質部1bが・・・前記硬質部1aが取り付けられ、前記枠体3を覆うと共に前記硬質部1aを前記嵌合部3aに嵌め合わせて前記張地2を取り付け」ているものであって、「張地2」の外周縁端に、「嵌合部3a」に圧入される抜止部が形成されることの特定がなく、前記「嵌合部3a」内に位置する「軟質部1b」の「円弧状の面から前記嵌合部3aに向けて一部が延設された部位」は、前記「嵌合部3a」の内壁と前記抜止部との間に挟持されていることも特定されていない点。

(イ)判断
上記(ア)で述べたように、本件発明6-5と引用発明1’とは、上記相違点5’で相違するから、本件発明6-5は、引用発明1’であるとはいえない。

イ 引用発明2’を主たる引用発明とする場合
(ア)対比
本件発明6-5と引用発明2’とを対比すると、
a 後者の「左右一対のサイドフレーム6であ」る「前記枠体」は、前者の「対向して配置された一対の支持材」に相当する。

b 上記aを踏まえると、後者の「張力を付与した状態で前記枠体を覆」う「張地7」は、前者の「前記一対の支持材同士の間に張設される張材」に相当する。

c 後者の「軟質部分15b」は、「張地7がサイドフレーム6に取り付けられた状態で張地7とサイドフレーム6との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能するものであり、少なくともサイドフレーム6よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され」るものであるところ、張地7の張力によって弾性変形可能であることは明らかであるから、後者の「軟質部分15b」は、前者の「前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材」に相当する。

d 後者の「サイドフレーム6」の「前記張地7に対して交差する方向に延びる湾曲した面」は、前者の「前記張材に対して交差する方向に延びる第一面」に相当し、後者の「張地7の縁」は前者の「張材の外周縁端」に相当するから、後者の「前記湾曲した面に内方に凹むように形成され、」「前記張地7に張力を付与した状態で前記枠体を覆いながら前記張地7の縁と前記係止プレート15とを共に折り返すようにして」「嵌め込んで係止する」ための「前記枠体の外側面に設けられた溝11」は、前者の「該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝」に相当する。また、後者の「サイドフレーム6」の「前記湾曲した面に交差し前記張地7に沿って配置された上面」は、前者の「前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面」に相当する。
そうすると、後者の「サイドフレーム6」の構成は、前者の「前記支持材は、前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し」との構成に相当する。

e 後者の「軟質部分15b」は、前者の「軟質部材」に相当し、後者の「前記湾曲した面と前記張地7との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位」に相当し、後者の「前記上面と前記張材との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位」に相当し、後者の「前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された部位」は、前者の「前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位」に相当する。

f 後者の「張地の固定構造」は、前者の「什器構成部材」に相当する。

g 後者の「床面に設置されるキャスターを有する脚14と、脚14の脚支柱14aの上端に取り付けられる弓形のメインフレーム2と、このメインフレーム2の両側端に立ち上げられた支持アーム2aとからなる構造体」は、前者の「床面に設置される支持構造体」に相当し、後者の「前記構造体に支持された前記張地の固定構造と、を備えた椅子1」は、前者の「該支持構造体に支持された什器構成部材と、を備えた什器」に相当する。

以上によれば、本件発明6-5と引用発明2’とは、

「床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有している什器構成部材と、
を備えた什器。」
で一致し、以下の点で相違する。

[相違点E’]
本件発明6-5は、「前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持されている」のに対し、
引用発明2’は、「前記軟質部分15bの前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された前記部位に連なる前記硬質部分15aは、前記溝11に嵌め込まれたときに、前記張地7の張力によって前記溝11に引っかかって抜け止めとして機能し」ているものであって、「張地7」の外周縁端に、「溝11」に圧入される抜止部が形成されることのが特定がなく、前記「溝11」内に位置する「前記軟質部分15bの前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された前記部位」は、前記「溝11」の内壁と前記抜止部との間に挟持されていることも特定されていない点。

(イ)判断
上記(ア)で述べたように、本件発明6-5と引用発明2’とは、上記相違点E’で相違するから、本件発明6-5は、引用発明2’であるとはいえない。

3-2 取消理由2について
(1)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と引用発明2とを対比すると、上記「3-1(1)イ(ア)」で述べた一致点及び相違点Aに加え、以下の相違点Bで相違する。
<相違点B>
「第3の部位」に関し、
本件発明2では、「前記嵌合溝の内壁に係合されている」のに対し、
引用発明2は「前記軟質部分15bの前記湾曲した面から前記溝11の奥側に向けて延設された前記部位に連なる前記硬質部分15aは、前記溝11に嵌め込まれたときに、前記張地7の張力によって前記溝11に引っかかって抜け止めとして機能する」点。

イ 判断
上記相違点Aについて検討する。
引用発明2の「左右一対のサイドフレーム6であ」る「前記枠体」の「前記湾曲した面に交差し前記張地7に沿って配置された上面」は、本件発明2の「第二面」に相当するが、この「上面」は、「軟質部分15b」を「左右一対のサイドフレーム6」に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されるものではなく、引用文献2には、前記規制部が記載も示唆もされていない。また、かかる規制部を形成することが周知・慣用といえるものではないから、上記相違点Aに係る本件発明2の構成は容易想到といえるものでない。
したがって、相違点Bについて検討するまでもなく、本件発明2は引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本件発明4について
(2-1)請求項1を引用する請求項4に係る発明(以下「本件発明4-1」ということがある。)について
ア 対比
本件発明4-1と引用発明1を対比すると、上記「3-1(1)ア」の「(ア)対比」で述べた一致点及び相違点1に加えて、以下の点で相違する。
<相違点4>
本件発明4-1は、「前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されている」のに対し、
引用発明1は、そのように特定されていない点。

イ 判断
上記相違点1について検討する。
引用発明1の「枠体3」の「前記円弧状の面に交差し前記張地2に沿って配置された上面」は、本件発明4の「第二面」に相当するが、この「上面」は、「軟質部1b」を「対向して配置された左右一対の」「枠体3」に向かう方向への移動を 規制する規制部が形成されるものではなく、引用文献1には、前記規制部が記載も示唆もされていない。また、かかる規制部を形成することが周知・慣用といえるものではないから、上記相違点1に係る本件発明4-1の構成は容易想到といえるものでない。
したがって、相違点4について検討するまでもなく、本件発明4-1は引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2-2)請求項2を引用する請求項4に係る発明(以下「本件発明4-2」ということがある。)について
ア 対比
本件発明4-2と引用発明2を対比すると、上記「3-1(1)イ」の「(ア)対比」で述べた一致点及び相違点Aに加えて、(1)の「(ア)対比」で述べた相違点B及び以下の点で相違する。
<相違点D>
本件発明4-2は、「前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されている」のに対し、
引用発明1は、かかる構成が特定されていない点。

イ 判断
上記相違点Aについて検討する。
引用発明2の「左右一対のサイドフレーム6であ」る「前記枠体」の「前記湾曲した面に交差し前記張地7に沿って配置された上面」は、本件発明4-2の「第二面」に相当するが、この「上面」は、「軟質部分15b」を「左右一対のサイドフレーム6」に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されるものではなく、引用文献2には、前記規制部が 記載も示唆もされていないし、引用発明1の「枠体3」の「前記円弧状の面に交差し前記張地2に沿って配置された上面」は、本件発明4-2の「第二面」に相当するが、この「上面」は、「軟質部1b」を「対向して配置された左右一対の」「枠体3」に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されるものではなく、引用文献2には、前記規制部が記載も示唆もされていない。また、かかる規制部を形成することが周知・慣用といえるものではないから、上記相違点Aに係る本件発明4-2の構成は容易想到といえるものでない。
したがって、相違点B、Dについて検討するまでもなく、本件発明4-2は引用発明2及び引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第5 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人が主張する特許異議申立理由の概要
上記第4 「取消理由通知に記載した取消理由について」を踏まえると、取消理由において採用しなかった特許異議申立理由の概要は、以下のとおりである。
[申立理由1]本件発明2?5は甲第1号証に記載された発明である。
したがって、請求項2?5に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
[申立理由2]本件発明2は、は甲第2号証に記載された発明である。
したがって、請求項2に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
なお、本件訂正により、請求項3に係る発明は削除された。

2 当審の判断
(1)[申立理由1]について
ア 本件発明2、4について
甲第1号証に記載された発明は、引用発明1であるところ、「第2 3 3-1(1)」の「ア 引用発明1を主引用発明とする場合」で述べたとおり、本件発明1は、甲1発明であるとはいえないものであるところ、本件発明2、4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに減縮したものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明であるとはいえない。

イ 本件発明5について
(ア)対比
本件発明5と引用発明1を対比すると、
a 後者の「対向して配置された左右一対の」「前記枠体3」は、前者の「対向して配置された一対の支持材」に相当する。

b 上記aを踏まえると、後者の「張力が付与された状態で椅子の構成部品の枠体3を覆う」「張地2」は、前者の「前記一対の支持材同士の間に張設される張材」に相当する。

c 後者の「軟質部1b」は、「張地2が枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成され」る」ものであるから、張地2の張力によっても弾性変形可能であることは明らかである。
そうすると、後者の「張地2が枠体3に取り付けられた状態で前記張地2と前記枠体3との間に介在して外物の衝突に対する緩衝部材として機能する少なくとも前記枠材3よりも柔らかく弾力性を有する素材で形成される」「軟質部1b」は、前者の「前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材」に相当する。

d 後者の「枠体3」の「前記張地2に対して交差する方向に延びる円弧状の面」は、前者の「前記張材に対して交差する方向に延びる第一面」に相当し、後者の「張地2」の「縁端」は、前者の「張材の外周縁端」に相当し、後者の「前記円弧状の面に内方に凹むように形成され、」「前記枠体3を覆う張地2」の「縁端に取り付けられた縁端部材1を」「嵌め合わせて係止する」「前記枠体3に設けられた嵌合部3a」は、前者の「該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝」に相当する。また、後者の「枠体3」の「前記円弧状の面に交差し前記張地2に沿って配置された上面」は、前者の「前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面」に相当する。
そうすると、後者の「枠体3」の構成は、前者の「前記支持材は、前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し」との構成に相当する。

e 後者の「軟質部1b」は、前者の「軟質部材」に相当し、後者の「前記円弧状の面と前記張地2との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位」に相当し、後者の「前記上面と前記張材との間に挟み込まれる部位」は、前者の「前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位」に相当し、後者の「前記円弧状の面から前記嵌合部3aに向けて一部が延設された部位」は、前者の「前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位」に相当する。

f 後者の「椅子の張地の保護構造」は、前者の「什器構成部材」に相当する。

以上によれば、本件発明5と引用発明1とは、

「対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有している什器構成部材。」
で一致し、以下の点で相違する。

<相違点5>
本件発明5は、「前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持されている」のに対し、
引用発明1は、「前記縁端部材1が硬質部1aと軟質部1bとからなり、・・・前記軟質部1bが・・・前記硬質部1aが取り付けられ、前記枠体3を覆うと共に前記硬質部1aを前記嵌合部3aに嵌め合わせて前記張地2を取り付け」ているものであって、「張地2」の外周縁端に、「嵌合部3a」に圧入される抜止部が形成されることのが特定がなく、前記「嵌合部3a」内に位置する「軟質部1b」の「円弧状の面から前記嵌合部3aに向けて一部が延設された部位」は、前記「嵌合部3a」の内壁と前記抜止部との間に挟持されていることも特定されていない点。

(イ)判断
上記(ア)で述べたように、本件発明5と引用発明1とは、上記相違点5で相違するから、本件発明5は、引用発明1であるとはいえない。

ウ 本件発明7?12について
本件発明7は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項2の記載を引用する請求項5に係る発明であり、
本件発明8は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項4の記載を引用する請求項5に係る発明であり、
本件発明9は、訂正前の請求項1及び2の記載を引用する請求項4の記載を引用する請求項5に係る発明であり、
本件発明10は、訂正前の請求項1及び2の記載を引用する請求項5の記載を引用する請求項6に係る発明であり、
本件発明11は、訂正前の請求項1及び4の記載を引用する請求項5の記載を引用する請求項6に係る発明であり、
本件発明12は、訂正前の請求項1、2及び4の記載を引用する請求項5の記載を引用する請求項6に係る発明であって、
上記本件発明7?12は、いずれも訂正後の本件発明5の構成を全て含み、さらに減縮したものであるから、上記イのとおり、本件発明5と同様に、甲1発明であるとはいえない。

(2)[申立理由2]について
ア 対比
甲第2号証に記載された発明は、引用発明2であるところ、本件発明2と引用発明2を対比すると、「第2 3-2(1)イ」の「(ア)対比」で述べた一致点で一致し、相違点A、Bで相違する。

イ 判断
上記アで述べたように、本件発明2と引用発明2とは、上記相違点A、Bで相違するから、本件発明2は、引用発明2であるとはいえない。

(3)小括
以上のとおり、申立人の主張する[申立理由1]及び[申立理由2]により本件請求項1、3?12に係る特許を取り消すことができない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、4?12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2、4?12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項3に係る特許は、本件訂正により削除されたため、本件特許の請求項3に対して、申立人がした特許異議申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記第二面には、前記軟質部材を対をなす前記支持材に向かう方向への移動を規制する規制部が形成されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項2】
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合されていることを特徴とする請求項1に記載の什器構成部材。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の什器構成部材。
【請求項5】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項6】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された請求項1、2、4、5のいずれか1項に記載の什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。
【請求項7】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項8】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項9】
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されていることを特徴とする什器構成部材。
【請求項10】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。
【請求項11】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。
【請求項12】
床面に設置される支持構造体と、
該支持構造体に支持された、
対向して配置された一対の支持材と、
前記一対の支持材同士の間に張設される張材と、
前記支持材と前記張材との間に介在され、前記張材の張力によって弾性変形可能な材料から形成された軟質部材と、
を備え、
前記支持材は、
前記張材に対して交差する方向に延びる第一面と、
該第一面に内方に凹むように形成され、前記張材の外周縁端を係合する嵌合溝と、
前記第一面に交差し前記張材に沿って配置された第二面と、を有し、
前記軟質部材は、
前記第一面と前記張材との間に挟み込まれる第一部位と、
前記第二面と前記張材との間に挟み込まれる第二部位と、
前記第一部位から前記嵌合溝に向けて少なくとも一部が延設された第三部位と、を有し、
前記張材の外周縁端には、前記嵌合溝に圧入される抜止部が形成され、
前記嵌合溝内に位置する前記軟質部材の前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁と前記抜止部との間に挟持され、
前記第三部位は、前記嵌合溝の内壁に係合され、
前記軟質部材における前記第一部位と前記第二部位との交差部分は、他部位よりも厚肉に形成されている什器構成部材と、
を備えたことを特徴とする什器。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-06-29 
出願番号 特願2016-116595(P2016-116595)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A47C)
P 1 651・ 113- YAA (A47C)
P 1 651・ 537- YAA (A47C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小原 正信  
特許庁審判長 佐々木 一浩
特許庁審判官 島田 信一
出口 昌哉
登録日 2019-12-27 
登録番号 特許第6635552号(P6635552)
権利者 株式会社オカムラ
発明の名称 什器構成部材、及び什器  
代理人 松沼 泰史  
代理人 鈴木 三義  
代理人 鈴木 三義  
代理人 松沼 泰史  
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