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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H05K 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 H05K 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H05K |
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管理番号 | 1376777 |
異議申立番号 | 異議2021-700470 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-05-18 |
確定日 | 2021-08-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6786025号発明「電波吸収体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6786025号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6786025号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、令和2年2月27日に出願され、令和2年10月29日にその特許権の設定登録がされ、令和2年11月18日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和3年5月18日に特許異議申立人小林喜一(以下、「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。 第2 本件特許発明 特許第6786025号の請求項1ないし3の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明3」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 六方晶フェライト粒子と、 前記六方晶フェライト粒子が充填された保持材と を備えた電波吸収体であって、 前記六方晶フェライト粒子は、 第1粒子と、 前記第1粒子より粒径の大きい第2粒子と を含み、 前記第1粒子の第1粒径は、0.05μm以上であり、かつ1μm未満であり、 前記第2粒子の第2粒径は、5μm以上であり、かつ100μm以下であり、 前記第1粒子は、第1単磁区粒子を含み、 前記第2粒子は、第2単磁区粒子を含み、 前記六方晶フェライト粒子の面積に対する、前記第1単磁区粒子及び前記第2単磁区粒子の面積の割合は、30パーセント以上である 電波吸収体。 【請求項2】 前記電波吸収体は、 前記電波吸収体の第1電波吸収面を形成する第1電波吸収層と、 前記第1電波吸収面の逆位に、前記電波吸収体の第2電波吸収面を形成する第2電波吸収層と を有し、 前記第1電波吸収面における、前記六方晶フェライト粒子の第1配向度は、前記第2電波吸収面における、前記六方晶フェライト粒子の第2配向度よりも小さくなる 請求項1に記載の電波吸収体。 【請求項3】 前記電波吸収体における前記六方晶フェライト粒子の含有量は、70重量パーセント以上かつ95重量パーセント以下である 請求項1又は2に記載の電波吸収体。」 第3 申立理由の概要 異議申立人の申立理由の概要は、次のとおりである。 (理由1) 特許法第29条第2項(進歩性)について 本件請求項1ないし3に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。 よって、請求項1ないし3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (理由2) 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について 請求項1ないし3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 よって、請求項1ないし3に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 (理由3) 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)について 請求項1ないし3に係る発明は、明確でない。 よって、請求項1ないし3に係る発明の特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 (理由4) 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件) 発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1ないし3に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 よって、請求項1ないし3に係る発明の特許は、発明の詳細な説明が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 第4 提出された証拠 異議申立人が提出した証拠は次のとおりである。 甲第1号証:特開2007-250823号公報(以下、「引用文献1」という。) 甲第2号証:特開2018-56492号公報(以下、「引用文献2」という。) 甲第3号証:特開2018-67593号公報(以下、「引用文献3」という。) 甲第4号証:岡本祥一「磁気と材料」、共立出版株式会社、1991年10月20日 初版2刷、第56-69頁(以下、「引用文献4」という。) 第5 引用文献の記載 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項について 引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 ア 「【0010】 発明者らは種々検討の結果、マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粉体において、従来よりも粒径の大きいものを使用したとき、シート厚を薄くしても76GHz付近で優れた減衰量が実現できることを確認した。」 イ 「【0020】 〔組成〕 本発明では、組成式AFe_((12-x))Al_(x)O_(19)、ただしAはSr、Ba、CaおよびPbの1種以上、x:1.0?2.2、で表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライトを採用する。下記ピーク粒径の規定を満たす粉体である限り、この組成範囲において、シート厚さを0.5mm以下とした場合の吸収ピークを76GHz±10GHzの範囲にコントロールすることができる。 【0021】 〔ピーク粒径〕 発明者らは詳細な検討の結果、マグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体を構成する粒子のサイズを大きくすることによって、76GHz付近で使用する電波吸収体の薄肉化が図れることを見出した。具体的には、レーザー回折散乱粒度分布のピーク粒径が10μm以上になるように粒度調整されたマグネトプランバイト型六方晶フェライトを使用することが重要である。ピーク粒径を10μm以上にすると、0.5mm以下の薄肉シートにおける76GHz付近での減衰量を急激に向上させることができるのである。ピーク粒径を12μm以上とすることが一層好ましい。・・・(以下、省略)・・・。」 ウ 「【0036】 次に、上記粉砕後の磁性粉体(マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粉体)の含有量が表1に示す割合となるように、当該粉体と高分子基材を混練して電波吸収体素材(混練物)を作製した。高分子基材としては合成ゴム(JSR(日本合成ゴム)製、N215SL)を使用した。この電波吸収体素材を圧延ロールにより厚さ0.33?0.40mmに圧延し、電波吸収体シートを得た。一部の粉体については同様にして厚さ1.1mm前後の電波吸収体シートも作製した。」 エ 「【0038】 【表1】 」 オ 「【0041】 【図1】実施例および比較例で得られたマグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体の粒度分布曲線を示したグラフ。」 カ 「【図1】 」 (2)引用文献1に記載された技術事項について ア 段落【0036】より、「マグネトプランバイト型六方晶フェライト」の「磁性粉体」と「高分子基材を混練し」、「圧延し」て「得た」「電波吸収体シート」との技術事項を読み取ることができる。 イ 表1より、マグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体の含有量は、85質量%であることが読み取れる。 ウ 段落【0021】より、「レーザー回折散乱粒度分布のピーク粒径が10μm以上になるように粒度調整されたマグネトプランバイト型六方晶フェライトを使用する」との技術事項を読み取ることができる。 エ 図1の「マグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体の粒度分布曲線」(【0041】)より、マグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体は、「0.2μm以上であり、かつ1μm未満である」第1粒径の第1粒子と、「5μm以上であり、かつ30μm以下である」第2粒径の第2粒子とを含んでいることが見て取れる。 (3)引用文献1に記載された発明について よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの磁性粉体と高分子基材を混練し、圧延して得た電波吸収体シートであって、 前記マグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体の含有量は、85質量%であり、 レーザー回折散乱粒度分布のピーク粒径が10μm以上になるように粒度調整されたマグネトプランバイト型六方晶フェライトを使用し、 マグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体の粒度分布より、マグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体は、0.2μm以上であり、かつ1μm未満である第1粒径の第1粒子と、5μm以上であり、かつ30μm以下である第2粒径の第2粒子とを含む、 電波吸収体シート。」 2 引用文献2について (1)引用文献2に記載された事項について 引用文献2には、次の技術が記載されている(下線は、当審で付与した。)。 ア 「【0010】 本開示は、上記電波吸収シートに対する要請を踏まえて、ミリ波帯域以上の高い周波数の電波を良好に吸収することができ、かつ、取り扱いの容易な電波吸収シートを実現することを目的とする。」 イ 「【0026】 本実施形態で例示する電波吸収シートは、粒子状の電波吸収材料1aと樹脂製のバインダー1bとを含む電波吸収層1を備えている。なお、図1に示す電波吸収シートは、電波吸収層1の背面側(図1における下方側)に、電波吸収シートを所望する箇所に貼着可能とするため接着層2を備えている。」 ウ 「【0055】 本実施形態にかかる電波吸収シートでは電波吸収特性を向上させるために、電波吸収層1中に分散して配置された磁性酸化鉄粉1aを、その磁化容易軸が電波吸収層の面内の一方向に向くように磁場配向させる。磁性体粉の磁化容易軸を所定の方向に磁場配向させるためには、磁性酸化鉄粉1aが分散された状態の磁性塗料が未だ乾燥・硬化していない間に、外部から磁界を印加して磁性酸化鉄粉の磁化容易軸の方向を一方向に揃える。この時に、磁性塗料に溶媒を使用している場合、溶媒の乾燥と共に磁性塗料の流動性が低下することで、外部磁界により磁性酸化鉄粉の磁化容易軸が一方向に揃えられる。一方、磁性塗料に溶媒を使用せず硬化させる場合は、主に磁性塗料を硬化させることで、外部磁界により磁性酸化鉄粉の磁化容易軸が一方向に揃えられる。」 エ 【0069】 磁性塗料中のバインダーが乾燥・硬化されていない状態、すなわち、磁性酸化鉄粉21が自由にその方向を変えることができる状態で、外部から一定の大きさ以上の磁界を印加すると、それぞれの磁性酸化鉄粉21は、図4(b)に示すように、外部磁界の作用によって磁化容易軸の方向22が印加された外部磁界の方向と揃うようにその場で回転する。」 【図4】 オ 「【0125】 図9は、電波吸収層の電波吸収材料として、ストロンチウムフェライトを用いた場合の電波吸収特性を示している。」 カ 「【0132】 図9、および、表2に示されているように、電波吸収材料としてストロンチウムフェライトを用いた場合でも、ストロンチウムフェライトの磁化容易軸を電波吸収シートの面内方向に磁場配向させることで、高い電波吸収特性を実現することができる。」 キ 「【0144】 例えば、六方晶フェライトの粒子は、上記実施形態で例示したイプシロン酸化鉄の粒子と比較して粒子径が十数μm程度と大きく、また、粒子形状も略球状ではなく板状や針状の結晶となる。このため、樹脂製バインダーを用いて磁性塗料を形成する際に、分散剤の使用や、バインダーとの混練条件を調整して、磁性塗料として塗布した状態において、電波吸収層中になるべく均一に磁性酸化鉄粉が分散された状態で、なおかつ、空隙率がなるべく小さくなるように調整することが好ましい。 (2)引用文献2に記載された技術について 「ストロンチウムフェライト」が段落【0144】の「六方晶フェライト」であって、その「六方晶フェライトの粒子」が同段落の「磁性酸化鉄粉」の一つであることは技術常識である。 よって、用語の統一を図るため、段落【0069】の「磁性酸化鉄粉」を「ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)粒子」と読み替え、段落【0125】、【0132】の「ストロンチウムフェライト」も「ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)」と読み替えることにより、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。 「粒子状の電波吸収材料と樹脂製のバインダーとを含む電波吸収層を備えている電波吸収シートにおいて(【0026】)、 電波吸収材料として、ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)を用い(【0125】)、バインダーが乾燥・硬化されていない状態、すなわち、ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)粒子が自由にその方向を変えることができる状態で、外部から一定の大きさ以上の磁界を印加すると、それぞれのストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)粒子は、外部磁界の作用によって磁化容易軸の方向が印加された外部磁界の方向と揃うようにその場で回転し(【0069】)、 ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)の磁化容易軸を電波吸収シートの面内方向に磁場配向させることで、高い電波吸収特性を実現することができる(【0132】)」技術。 3 引用文献3 引用文献3には、次の事項が記載されている。 ア 「【0010】 ここで、強磁性層を構成する強磁性体は、多くのミクロな磁区を有しており、各磁区の自発磁化がお互い打ち消すことによって静磁エネルギーを下げて安定な状態になっている消磁状態では外部に磁場を発生させない(図1(a))。この消磁状態の強磁性体に外部磁場(H)を印可することによって、磁区を構成する磁壁が磁場方向と同じ磁化を持つ磁区が成長するように移動して、その外部磁場と同じ方向を向いた磁区が増大すると全体としてその方向に磁化(M)を持つようになり(図1(b))、この状態になるとこの強磁性体は、外部に磁場を発生する。さらに、外部磁場と同じ方向を向いた磁区のみになって磁壁が消失した状態が磁化の飽和状態であり、この状態で最大の磁場を外部に発生する。このときの磁化は飽和磁化(Ms)と呼ばれる(図1(c))。 このように、図1(a)の状態では外部に磁場を発生しなかった強磁性体は、図1(b)に示すように同じ磁場方向を向いた磁区が増えるにつれて、外部に磁場を発生するようになり、図1(c)に示すように、外部磁場と同じ方向を向いた磁区のみになることで、その方向については最大の大きさの磁場を外部に発生するようになる。・・・(以下、省略)・・・。」 イ 「【0028】 【図1】強磁性体が磁化された状態を説明するための概念図であり、(a)は消磁状態、(b)は磁壁移動状態、(c)は飽和状態、を示すものである。」 「【図1】 」 4 引用文献4について 引用文献4には、次の事項が記載されている。 ア 「図5.8は、消磁状態から出発し,磁場の強さを少しずつ増した場合の磁区と磁壁の変化を模式的に示したものである。磁場が加わると,磁場の向きととほぼ同じ向きに自発磁化されている磁区の体積が増加するように,磁壁が移動する。その結果として,磁場の向きに試料全体としての磁化の値が増加する。」(第58頁第13ないし17行) イ「さらに磁場が強くなるとやがて磁壁が消滅し,試料全体が一つの磁区の状態になる。その後は全体の自発磁化が印加磁場の方向に回転することにより磁化が増加し(図5.8(d)),ついに飽和に達する。」(第60頁第8ないし11行) ウ「 図5.8 多結晶体の磁化過程」 エ 「強磁性体をしだいに細かくする。その大きさがほぼ1μm以下になると,個々の粒子に磁壁がなくなる。そして自発磁化が磁化容易軸に平行な一つの向きに向いて,いわば、永久磁石と同じ構造となる。単磁区構造と呼ばれている。」(第64頁第14行ないし17行) 第6 (理由1)進歩性について 1 本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と引用発明1とを対比する。 (ア)引用発明1における「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの磁性粉体」が、本件特許発明1における「六方晶フェライト粒子」に相当する。 (イ)引用発明1では、「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの磁性粉体と高分子基材を混練し、圧延して」いるから、引用発明1における「高分子基材」は、その中に「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの磁性粉体」が充填されており、本件特許発明1における「前記六方晶フェライト粒子が充填された保持材」に相当する。 (ウ)本件特許明細書の段落【0024】には「電波吸収体100における第1粒子1aの第1粒径及び第2粒子1bの第2粒径は、例えば、レーザー回折散乱法を用いて粒径分布測定を行うことによって求めることができる。」と記載されているところ、引用発明1における粒度分布の測定も「レーザー回折散乱」によって行われているから、引用発明1における「マグネトプランバイト型六方晶フェライト粉体は、0.2μm以上であり、かつ1μm未満である第1粒径の第1粒子と、5μm以上であり、かつ30μm以下である第2粒径の第2粒子とを含む」ことが、本件特許発明1における「前記六方晶フェライト粒子は、第1粒子と、前記第1粒子より粒径の大きい第2粒子とを含み、前記第1粒子の第1粒径は、0.05μm以上であり、かつ1μm未満であり、前記第2粒子の第2粒径は、5μm以上であり、かつ100μm以下であ」ることに含まれるものである。 (エ)本件特許発明1では「前記第1粒子は、第1単磁区粒子を含み、前記第2粒子は、第2単磁区粒子を含み、前記六方晶フェライト粒子の面積に対する、前記第1単磁区粒子及び前記第2単磁区粒子の面積の割合は、30パーセント以上である」のに対し、引用発明1では、第1粒子及び第2粒子について、そのようなことは示されていない点で相違する。 (オ)引用発明1における「電波吸収体シート」の「電波吸収体」が、本件特許発明1における「電波吸収体」に相当する。 よって、上記(ア)ないし(オ)によれば、本件特許発明1と引用発明1との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 「六方晶フェライト粒子と、 前記六方晶フェライト粒子が充填された保持材と を備えた電波吸収体であって、 前記六方晶フェライト粒子は、 第1粒子と、 前記第1粒子より粒径の大きい第2粒子と を含み、 前記第1粒子の第1粒径は、0.05μm以上であり、かつ1μm未満であり、 前記第2粒子の第2粒径は、5μm以上であり、かつ100μm以下である、 電波吸収体。」 (相違点) 本件特許発明1では「前記第1粒子は、第1単磁区粒子を含み、前記第2粒子は、第2単磁区粒子を含み、前記六方晶フェライト粒子の面積に対する、前記第1単磁区粒子及び前記第2単磁区粒子の面積の割合は、30パーセント以上である」のに対し、引用発明1では、第1粒子及び第2粒子について、そのようなことは示されていない点。 イ 相違点についての判断 (ア)引用文献2に記載された技術を再掲すれば、次のとおりである。 「粒子状の電波吸収材料と樹脂製のバインダーとを含む電波吸収層を備えている電波吸収シートにおいて、 電波吸収材料として、ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)を用い、バインダーが乾燥・硬化されていない状態、すなわち、ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)粒子が自由にその方向を変えることができる状態で、外部から一定の大きさ以上の磁界を印加すると、それぞれのストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)粒子は、外部磁界の作用によって磁化容易軸の方向が印加された外部磁界の方向と揃うようにその場で回転し、 ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)の磁化容易軸を電波吸収シートの面内方向に磁場配向させることで、高い電波吸収特性を実現することができる」技術。 (イ)引用文献2に記載された技術は、外部磁界を印加して、(硬化前の樹脂中の)ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)粒子自体を回転させ、ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)粒子の磁化容易軸が外部磁界の方向に揃うようにする技術であるが、ストロンチウムフェライト(六方晶フェライト)粒子が単磁区粒子となるように磁場処理する技術ではない。 (ウ)また、引用文献3について前記「第5」「3」で摘記した摘記事項「ア」ないし「イ」(以下、「引用文献3の摘記事項」という。)、及び、引用文献4について前記「第5」「4」で摘記した摘記事項「ア」ないし「ウ」(以下、「引用文献4の摘記事項」という。)では、外部磁場を印加すると、磁性体中の磁壁が移動し、ついには消失して磁化の飽和状態となり、外部磁場と同じ方向を向いた磁区のみになるという、磁性体の磁化過程における一般的な現象が説明されている。 しかし、単磁区粒子とは、外部磁場が印加されていない状態で磁区が1つである粒子を意味し、磁化過程において外部磁場により磁壁が消失した状態の粒子のことではないから、引用文献3の摘記事項及び引用文献4の摘記事項を「多磁区粒子に外部磁場を印加し飽和させれば、多磁区粒子は、単磁区粒子に変化する」などと理解することは困難である。 さらに、引用文献4について前記「第5」「4」で摘記した摘記事項「エ」も、「強磁性体」の「大きさがほぼ1μm以下になる」と「単磁区構造」になることを示しているに過ぎず、引用発明1における「5μm以上であり、かつ30μm以下である第2粒径の第2粒子」に「単磁区粒子」が含まれていることを示唆するものではない。 したがって、引用発明1に引用文献2に記載された技術を適用し、さらに引用文献3、4の記載事項を斟酌しても、上記相違点に係る構成とはならない。 よって、本件特許発明1は、当業者といえども、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3、4の記載事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。 2 本件特許発明2ないし3について 本特許発明2ないし3は、本件特許発明1に係る構成を備えて更に限定したものであるから、本件特許発明1について述べたのと同様の理由によって、当業者といえども、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3、4の記載事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。 第7 (理由2)サポート要件について 1 異議申立人の主張(特許異議申立書第30頁第11行ないし第31頁第26行) (1)本件特許発明1について (ア)保持材について 請求項1には、「六方晶フェライト粒子が充填された保持材とを備えた電波吸収体」と記載されている。 しかしながら、請求項1に「保持材」の「種類」は特定されておらず、実施例には、「塩素化ポリエチレン樹脂」の1つの例が記載されているに過ぎない。 そして、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件特許発明1の奏する作用効果が「保持材の種類」によらないことの理論的な説明もなされていない。 よって、請求項1の記載は、発明の詳細な説明の記載より当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えている。 (イ)「六方晶フェライト粒子」について 本件特許発明1(特許異議申立書第30頁下から7行目に「本件特許発明2」とある記載は、異議申立ての理由の内容からみて、「本件特許発明1」の誤記と認める。)に係る請求項1には「六方晶フェライト粒子と・・・を備えた電波吸収体」と記載されている。 しかし、本件特許明細書の発明の詳細な説明において、優れた改善効果があったとして記載されているのは、実施例として記載された「BaFe_(12)O_(19)の組成を有するM型六方晶フェライト」のみである。 よって、請求項1の記載は、発明の詳細な説明の記載より当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えている。 (ウ)「第1単磁区粒子及び第2単磁区粒子の面積」について 請求項1には、「六方晶フェライト粒子の面積に対する、前記第1単磁区粒子及び前記第2単磁区粒子の面積の割合は、30パーセント以上である」電波吸収体が記載されている。 一方、実施例1?9において説明される「単磁区粒子の割合」(段落【0085】?【0087】、【表2】等)とは、第1粒子と第2粒子及び(第1粒子と第2粒子とは粒径の異なる)その他の粒子、すなわち、すべての粒径の粒子のうち、単磁区粒子であるものの割合である。 すなわち、実施例1?9は、すべての粒径の粒子のうち、第1粒子に含まれる第1単磁区粒子、及び、第2粒子に含まれる第2単磁区粒子について記述するものではない。 そうすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項1に記載された「六方晶フェライト粒子の面積に対する、前記第1単磁区粒子及び前記第2単磁区粒子の面積の割合は、30パーセント以上である」電波吸収体についての実施例等の具体的記載はないといえる。 よって、請求項1の記載は、発明の詳細な説明の記載より当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えている。 (2)本件特許発明2、3について 本件特許発明2、3に係る請求項2、3は、請求項1を引用して記載されているから、請求項2、3の記載は、上記「(1)本件特許発明1について」にて述べたのと同様の理由で、発明の詳細な説明の記載より当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えている。 2 当審の判断 (1)本件特許発明1について (ア)保持材について 本件特許明細書の段落【0018】には「保持材2は、六方晶フェライト粒子1を充填する基材である。保持材2としては、限定しないが、例えば、熱可塑性樹脂等の有機高分子樹脂が用いられる。」と記載されている。 したがって、「保持材」は、六方晶フェライト粒子を充填する「基材」としての性質を有するものであれば足り、実施例に記載された「塩素化ポリエチレン樹脂」に限定されないことは、当業者が容易に理解し得ることである。 よって、異議申立人の主張は採用できない。 (イ)「六方晶フェライト粒子」について 本件特許明細書の段落【0014】には「また、六方晶フェライト粒子1としては、M型六方晶フェライトと異なる六方晶型結晶構造を有する六方晶フェライト粒子1を用いてもよい。」と記載されている。 また、段落【0016】には、「一方、六方晶フェライト粒子1は、スピネル型フェライト粒子と比較して結晶の磁気異方性が大きいため、20GHz以上の高い周波数帯域での電波吸収材料として適している」こと、及び「六方晶フェライト粒子1としては、・・・(途中省略)・・・M型六方晶フェライトを用いるのが好適である」ことが記載されている。 したがって、発明の詳細な説明には、「六方晶フェライト粒子」を用いる理由として「結晶の磁気異方性が大き」く、「20GHz以上の高い周波数帯域での電波吸収材料として適している」ことが説明されている。 そして、実施例に用いられた「M型六方晶フェライト」は、その「好適」な一例に過ぎないのであるから、本件特許発明1に用いられる「六方晶フェライト粒子」が「M型六方晶フェライト」に限られないことは上記各記載より当業者が容易に認識し得ることである。 よって、異議申立人の主張は採用できない。 (ウ)「第1単磁区粒子及び第2単磁区粒子の面積」について 本件特許明細書の段落【0055】には「第1粒子1aは、第1単磁区粒子1a1を有しており、第2粒子1bは、第2単磁区粒子1b1を有している」と記載されている。そして、該記載に続く段落【0056】には、「以降の説明においては、特に区別する必要がない場合は、単磁区粒子10は、第1単磁区粒子1a1及び第2単磁区粒子1b1の両方を指すものとする。」と記載されている。 以上の記載を総合すれば、本件特許明細書において「単磁区粒子10の面積」は、「第1粒子1a」に含まれる「第1単磁区粒子1a1」の「面積」と、「第2粒子1b」に含まれる「第2単磁区粒子1b1」の「面積」との「総和」と解釈するのが自然である。 よって、実施例1?9において説明されている「単磁区粒子」の「面積」の「割合」は、「その他の粒子」(第1粒子と第2粒子とは粒径の異なる粒子)ではなく、第1粒子と第2粒子に含まれる「単磁区粒子」の「面積」の「割合」である。 したがって、発明の詳細な説明の記載(実施例1?9)の記載と請求項1の記載とは一致しており、異議申立人の主張するような齟齬はない。 以上より、異議申立人の主張は採用できない。 (2)本件特許発明2、3について 本件特許発明2、3についても、同様の理由で、異議申立人の主張は採用できない。 第8 (理由3)明確性について 1 異議申立人の主張(特許異議申立書第31頁第27行ないし第32頁第33行) (1)本件特許発明1について ア 「単磁区粒子の面積」について 請求項1には「前記第1粒子は、第1単磁区粒子を含み、前記第2粒子は、第2単磁区粒子を含み、前記六方晶フェライト粒子の面積に対する、前記第1単磁区粒子及び前記第2単磁区粒子の面積の割合は、30パーセント以上である」と記載されている。 ここで、実施例に用いられている六方晶フェライトは板状粒子であるから、その観察される面積は観察される角度次第で著しく結果が異なることが予想される。しかし、本件においてはどのような方位で断面を形成しているか不明である。 したがって、請求項1の記載は不明確である。 イ 「粒径」について 請求項1の「粒径」は、粒径の評価方法によって異なる。レーザー回折散乱法に基づく粒度分布の測定結果は、測定条件によってことなり、また測定試料の状態、例えば粒子の形状などに著しく依存する。また、本件特許明細書の段落【0024】には、「測定に用いられる六方晶フェライト粒子1の試料は、・・・電波吸収体100を熱処理して灰化することによって得られる。」ことが記載されている。しかしながら当該条件では、測定資料に灰化した保持材としての有機化合物樹脂等が残留している可能性があり、粒度分布測定の結果がフェライトのみなのか否かを判別することがでない。 したがって、請求項1の記載は不明確である。 (2)本件特許発明2について ア 本件特許発明2に係る請求項2は、請求項1を引用して記載されているから、上記「(1)本件特許発明1について」にて述べたのと同様の理由により、請求項2の記載は不明確である。 イ 「逆位」の定義について 発明の詳細な説明では、段落【0046】に「第2電波吸収層100bは、第1電波吸収面100a1の逆位において、電波吸収体100の第2電波吸収面100b1を形成している。」ことが記載されているが、該記載をみても、請求項2の「逆位」の意味が不明である。 (3)本件特許発明3について 本件特許発明3に係る請求項3は、請求項1又は2を引用して記載されているから、上記「(1)本件特許発明1について」及び「(2)本件特許発明2について」「イ」にて述べたのと同様の理由により、請求項3の記載は不明確である。 2 当審の判断 (1)本件特許発明1について ア 「単磁区粒子の面積」について 一般に、試料の断面における粒子の面積の割合は、例えば所定間隔に切断した複数の断面における面積測定の結果を平均して求めるものである。そして、そのように平均して求めた面積の割合(粒子の断面積/試料断面の全面積)がどのような方位で断面を形成したかに依存しないことは技術常識である。 よって、異議申立人の主張は採用できない。 イ 「粒径」について レーザー回折散乱法は、例えば、日本工業規格JIS Z 8825:2013 「粒子径解析ーレーザ回折・散乱法」にあるように、規格化された測定法である。また、当業者が、敢えて、灰化が不十分などといった不完全な試料を用いて粒径分布の測定を行うことは常識では考えられないことである。 よって、異議申立人の主張は採用できない。 (2)本件特許発明2について ア 上記「(1)本件特許発明1について」で述べたのと同様の理由により、異議申立人の主張は採用できない。 イ 「逆位」の定義について 本件特許明細書の段落【0045】及び図2の記載を併せ見れば、段落【0046】における「逆位」とは、「第1電波吸収面100a1」と「第2電波吸収面100b1」とが表裏の上下対称面を構成している様子を意味していることは明らかである。 よって、請求項2に用いられた「逆位」の意味は明確である。 したがって、異議申立人の主張は採用できない。 (2)本件特許発明3について 上記「(1)本件特許発明1について」及び「(2)本件特許発明2について」「イ」で述べたのと同様の理由により、異議申立人の主張は採用できない。 第9 (理由4)実施可能要件について 1 異議申立人の主張(特許異議申立書第32頁第34行ないし第33頁最下行) (1)本件特許発明1について ア 単磁区粒子の面積の評価について 発明の詳細な説明の段落【0059】には、「単磁区粒子10の面積及び多磁区粒子20の面積は、例えば、走査プローブ顕微鏡、及びカー効果偏光顕微鏡等を用いて、電波吸収体100の断面の磁区観察によって算出される。電波吸収体100の断面は、撮像等による画像処理され、単磁区粒子10の面積及び多磁区粒子20の面積がそれぞれ計測される。」ことが記載されているのみであって、評価プロセスや評価条件をどのように設定して「前記六方晶フェライト粒子の面積に対する、前記第1単磁区粒子及び前記第2単磁区粒子の面積の割合は、30パーセント以上である」ことを評価するのか、不明である。 よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許発明1を容易に実施できる程度に記載されていない。 イ 粒子の粒度分布について 第1粒子の第1粒径と第2粒径の第2粒径との間、すなわち1?5μmの粒径の粒子が存在する場合、本件特許発明の効果にどのような影響が及ぶか開示されていない。 また、第1粒子の第1粒径分布と第2粒径の粒径分布がそれぞれ独立していないものでも、本件特許発明の実施例といえるのか不明である。 さらに、第1粒子の第1粒径の下限を0.05μm、第2粒子の第2粒径の上限を100μmとする根拠が見いだせない。 したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許発明1を実施することができる程度に記載されているとはいえない。 (2)本件特許発明2、3について ア 本件特許発明2、3に係る請求項2、3は、請求項1を引用して記載されているから、上記「(1)本件特許発明1について」で述べたのと同様の理由により、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件特許発明2、3を実施することができる程度に記載されているとはいえない。 2 当審の判断 (1)本件特許発明1について ア 単磁区粒子の面積の評価について 本件特許発明の実施に必要な単磁区粒子の面積及び多磁区粒子の面積の計測方法は、段落【0059】に記載されているとおりである。 評価プロセスや評価条件は、製品の品質管理のため、必要に応じて設定されるものであって、それらの記載がないからといって、本件特許発明1が実施できないわけではない。 よって、異議申立人の主張は採用できない。 イ 粒子の粒度分布について 本件特許明細書の段落【0022】には「一方、六方晶フェライト粒子1の磁性損失特性は、六方晶フェライト粒子1の粒径によって変化する性質があるため、六方晶フェライト粒子1の磁性損失が極大となる周波数帯域は、六方晶フェライト粒子1の粒径によって変化する。また、電波吸収体100は、六方晶フェライト粒子1の磁性損失特性に伴う電波吸収性能を利用しているため、第1粒子1a及び第2粒子1bは、電波吸収性能が要求される周波数帯域で、磁性損失特性が極大となることが要求される。したがって、六方晶フェライト粒子1の粒径を調整することで、所望の周波数帯域において電波吸収性能を有する電波吸収体100を得ることができる。」と記載されている。 したがって、上記記載より、第1粒子の第1粒径と第2粒子の第2粒径との間の1?5μmの粒径の「その他の粒子」が存在する場合には、本件特許発明1の作用効果に加え、「その他の粒子」の粒径に対応した周波数帯域での電波吸収性能も付加されること(つまり、本件特許発明1の効果が阻害されない実施形態であること)を当業者は容易に理解し得るものである。 また、第1粒子の第1粒径の下限を0.05μm、第2粒子の第2粒径の上限を100μmとする根拠は、明細書の段落【0027】に記載されている。 よって、異議申立人の主張は採用できない。 (2)本件特許発明2、3について ア 上記「(1)本件特許発明1について」で述べたのと同様の理由により、異議申立人の主張は採用できない。 第10 まとめ (理由1) 特許法第29条第2項(進歩性)について 請求項1?3に係る発明は、当業者であっても、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものであるとはいえない。 よって、請求項1?3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、取り消されるべきものではない。 (理由2) 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について 請求項1ないし3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した発明である。 よって、請求項1ないし3に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、取り消されるべきものではない。 (理由3) 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)について 請求項1ないし3に係る発明は、明確である。 よって、請求項1ないし3に係る発明の特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、取り消されるべきものではない。 (理由4) 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について 発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1ないし3に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものである。 よって、請求項1ないし3に係る発明の特許は、発明の詳細な説明が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、取り消されるべきものではない。 第11 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2021-08-04 |
出願番号 | 特願2020-542915(P2020-542915) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(H05K)
P 1 651・ 536- Y (H05K) P 1 651・ 121- Y (H05K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 佐久 聖子 |
特許庁審判長 |
酒井 朋広 |
特許庁審判官 |
清水 稔 須原 宏光 |
登録日 | 2020-10-29 |
登録番号 | 特許第6786025号(P6786025) |
権利者 | 三菱電機株式会社 |
発明の名称 | 電波吸収体 |
代理人 | 特許業務法人きさ特許商標事務所 |