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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1377129
審判番号 不服2020-13656  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-30 
確定日 2021-08-11 
事件の表示 特願2016-547552「セルフアライン式プリフォームレンズを有する発光デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月30日国際公開、WO2015/110927、平成29年 2月 2日国内公表、特表2017-504215〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)1月4日(パリ条約による優先権主張、外国庁受理2014年1月23日、米国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成26年 7月26日 :手続補正書の提出
平成30年10月26日付け:拒絶理由通知書
平成31年 1月31日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 6月 6日付け:拒絶理由通知書
令和 元年12月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 5月27日付け:拒絶査定
令和 2年 9月30日 :審判請求書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1?18に係る発明は、令和元年12月10日に提出された手続補正書により補正された請求項1?18に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「レンズ構造であり、
ベース面を備えた半球ドームと、
前記ベース面内のキャビティであり、開口部と、当該キャビティ内の断面積が前記開口部の面積よりも小さいようなテーパーと、を有するキャビティと、
を含むレンズ構造と、
前記キャビティ内に位置付けられ且つ前記テーパーと接触した、自己支持形発光ダイオード(LED)を有する発光デバイスと、
を有するデバイス。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。



引用文献1.特表2012-533904号公報
引用文献2.特表2011-521480号公報
引用文献3.米国特許出願公開第2013/0039050号明細書
引用文献4.特開2007-59618号公報
引用文献9.欧州特許出願公開第2393135号明細書
引用文献10.国際公開第2013/084155号

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 米国特許出願公開第2013/0039050号明細書(以下、「引用文献3」という。)
(1)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献3には、図面とともに、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下同じ。)。

「[0041] According to embodiments of the present technology and as schematically illustrated in FIG. 1, a solid-state luminaire includes one or more LEDs 1, one or more optical couplers 3, a light guide 5, and an optical extractor 7. Depending on the embodiment, the luminaire optionally comprises a secondary reflector (not illustrated). Light 2 emitted by the LEDs under operating conditions is coupled into the one or more optical couplers, which are configured to at least partially collimate the light into one or more beams of light 4 that each diverge into a narrower predetermined solid angle in comparison to the light 2 that enters the corresponding optical coupler.
(当審日本語仮訳:本技術の実施形態によれば、図1に模式的に示されるように、固体照明器具は、1つ以上のLED1と、1つ以上の光カプラ3と、ライトガイド5と、光抽出器7とを含む。実施形態に応じて、照明器具は、オプションで二次反射板(図示せず)を構成する。動作条件の下でLEDによって放出された光2は、対応する光カプラーに入る光2と比較して、それぞれが狭い所定の固体角に発散する1つ以上の光ビーム4に少なくとも部分的にコリメートするように構成されている1つ以上の光カプラーに結合される。)」

「[0049] Depending on the embodiment, an optical coupler may comprise one or more optical elements including non-imaging dielectric TIR concentrators, such as CPC (compound parabolic concentrators), CECs (compound elliptical concentrators), CHC (compound hyperbolic concentrators), tapered or untapered portions, light pipes, segmented concentrators, other geometry concentrators, one or more lenses or other optical elements, for example.
(当審日本語仮訳:実施形態によっては、光カプラーは、例えば、CPC(複合放物線集光器)、CEC(複合楕円集光器)、CHC(複合双曲集光器)などの非撮像誘電体TIR集光器、テーパ状または非テーパ状の部分、ライトパイプ、セグメント化された集光器、他の形状の集光器、1つまたは複数のレンズまたは他の光学要素などを含む1つまたは複数の光学要素で構成されてもよい。)」

「[0078] According to some embodiments, optical couplers may be configured to provide one or more receiving apertures, which may be configured to provide tapered inner walls, protrusions, ribs or other elements that provide a predetermined restorative force to the LEDs during the mating procedure so that LEDs and optical couplers can be aligned with predetermined accuracy.
(当審日本語仮訳:いくつかの実施形態によれば、光カプラーは、LEDと光カプラーとを所定の精度で整列(アライメント)させることができるように、嵌合手順の間にLEDに所定の復元力を与えるテーパ状の内壁、突起、リブ、または他の要素を提供するように構成された1つ以上の受容開口部を提供するように構成されていてもよい。)」

「[0079] According to some embodiments, LEDs may be placed within recesses provided by optical couplers by automated equipment and centered by tapered walls or ribs to centered positions with a surrounding layer of gel to index match and optionally be cured to set their positions. An optional processing step may then planarize the assembly and remove excess material in preparation for testing and subsequent electrical and mechanical bonding to a substrate.
(当審日本語仮訳:いくつかの実施形態によれば、LEDは、自動化された装置によって光カプラーによって提供される凹部内に配置されてもよいし、インデックスマッチのためのゲルの周囲の層を用いて、テーパー状の壁またはリブによってセンタリングされてもよいし、任意に硬化されてそれらの位置を設定してもよい。任意の処理ステップは、次いで、アセンブリを平坦化し、試験およびその後の基板への電気的および機械的接合に備えて余分な材料を除去してもよい。)」

「[0080] In another embodiment, the LEDs may be molded within the optical couplers to form assemblies which then can be optionally pre-tested and sorted and then can be aligned to a registration point on the substrate prior to electrical and thermal bonding. A tab or pin on the optical coupler body may be employed that is aligned to the substrate matching detail which also aligns the electrical contact points of the LEDs in the x, y and z axes for electrical and thermal bonding.
(当審日本語仮訳:別の実施形態では、LEDは、アセンブリを形成するために光カプラ内で成形されてもよく、これは、その後、任意に事前にテストされ、ソートされ、電気的および熱的接合の前に、基板上の登録点に整列されてもよい。光カプラー本体上のタブまたはピンは、また、電気的および熱的結合のためにx、yおよびz軸内のLEDの電気的接触点を整列させる基板整合詳細に整列されたものを採用してもよい。)」

「[0108] FIGS. 5A to 5C show some examples of optical couplers. It is noted that other example optical couplers may have other configurations, for example an optical coupler may be configured as a truncated cone or pyramid. Example truncated pyramid optical couplers may have a square or other cross section perpendicular to an optical axis.
(当審日本語仮訳:図5Aないし5Cは、光カプラのいくつかの例を示す。他の例示的な光カプラは、他の構成を有してもよく、例えば、光カプラは、切り捨てられたコーンまたはピラミッドとして構成されてもよいことに留意されたい。例示的な切り捨てられたピラミッド型光カプラは、光軸に垂直な正方形または他の断面を有していてもよい。)」

「[0109] As illustrated in FIG. 5B, for example, the optical couplers 22 have a receiving opening 42 within which the LED chip 37 or LED package can be disposed. The receiving opening 42 may be designed to maximize extraction efficiency out of the LED chip 37 or LED package. The void between the LED chip 37 and the collimating optic may be filled with optical encapsulation material such as silicone to maximize light extraction efficiency.
(当審日本語仮訳:図5Bを参照すると、例えば、光カプラ22は、LEDチップ37またはLEDパッケージが配置され得る範囲内に受容開口部42を有する。受入開口部42は、LEDチップ37またはLEDパッケージからの抽出効率を最大化するように設計されていてもよい。LEDチップ37とコリメート光学部品との間の空隙は、光の抽出効率を最大化するために、シリコンなどの光学カプセル化材料で満たされていてもよい。)」

「図5B



(2)引用文献3に記載された技術的な事項
ア 図5Bより、「受容開口部42」は、「光カプラ22」における、光が入射する側の「受光端部」に形成されている構成がみてとれる。
イ [0041]より、LEDによって放出された光は、光カプラによって、少なくとも部分的にコリメートされることから、「光カプラ」は、光を屈折させて集束させる作用を有するものと、理解できる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)から、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、参考までに、引用発明の認定に用いた引用文献3の記載等に係る段落番号等を括弧内に付してある。

<引用発明>
「固体照明器具は、1つ以上のLEDと、1つ以上の光カプラと、ライトガイドと、光抽出器とを含み、([0041])
動作条件の下でLEDによって放出された光2は、対応する光カプラーに入る光2と比較して、それぞれが狭い所定の固体角に発散する1つ以上の光ビーム4に少なくとも部分的にコリメートするように構成されている1つ以上の光カプラーに結合され、([0041])
光カプラ22は、LEDチップまたはLEDパッケージが配置され得る範囲内に、受容開口部42を有し、([0109])
受容開口部42は、光カプラ22における、光が入射する側の受光端部に形成され、(図5B、上記(2)ア)
受容開口部42は、LEDと光カプラーとを所定の精度で整列(アライメント)させることができるように、嵌合手順の間にLEDに所定の復元力を与えるテーパ状の内壁を提供するように構成される固体照明器具。([0078])」

第5 対比、判断
1 対比
(1)引用発明の「光カプラ」は、上記第4の1(2)イのとおり、光を屈折させて集束させる作用を有するものと解されるから、本願発明の「レンズ構造」に相当するといえる。
(2)引用発明の「LED」は、発光する素子(チップ)または装置(パッケージ)であるから、本願発明の「発光デバイス」に相当するといえる。
(3)引用発明の「受容開口部42」は、「LEDチップまたはLEDパッケージが配置され」る開口部であるから、本願発明の「発光デバイス」が「位置付けられ」る、「キャビティ」に相当するといえる。
(4)引用発明の「受容開口部42」は、「光カプラ22における、光が入射する側の受光端部に形成され」ている。
一方、本願発明の「キャビティ」は、「レンズ構造」の「ベース面内」に設けられている。
したがって、両者の構成を対比してみれば、引用発明の「光カプラ22における、光が入射する側の受光端部」は、本願発明の「ベース面」に相当するといえる。
(5)引用発明の「受容開口部42」は、「テーパ状の内壁」を有しており、「LEDと光カプラーとを所定の精度で整列(アライメント)させることができるように、嵌合手順の間にLEDに所定の復元力を与える」作用を備えるものであるから、嵌合手順が進むにつれて整列させることができるように、本願発明の「開口部と、当該キャビティ内の断面積が前記開口部の面積よりも小さいようなテーパーと、を有する」との構成を備えることは明らかである。
(6)引用発明の「LED」は、「受容開口部42」への「嵌合手順の間」に、「テーパ状の内壁」が「LEDに所定の復元力を与える」ことにより、「光カプラー」と「所定の精度で整列(アライメント)」されるものであるから、「LED」が「受容開口部42」に配置された場所においては、必然的に、「LED」は「テーパ状の内壁」の底において、「テーパ状の内壁」に接するものと解される。
したがって、引用発明は、本願発明の「前記キャビティ内に位置付けられ且つ前記テーパーと接触した」との構成を備えるといえる。
(7)引用発明の「固体照明器具」は、「1つ以上のLEDと、1つ以上の光カプラと」を有している。
一方、本願発明の「デバイス」は、「レンズ構造」と「発光デバイス」とを有するものである。
そして、上記(1)及び(2)を踏まえると、引用発明の「固体照明器具」は、本願発明の「デバイス」に相当するといえる。

上記(1)?(7)のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、以下の構成において一致する。
<一致点>
「レンズ構造であり、
ベース面を備え、
前記ベース面内のキャビティであり、開口部と、当該キャビティ内の断面積が前記開口部の面積よりも小さいようなテーパーと、を有するキャビティと、
を含むレンズ構造と、
前記キャビティ内に位置付けられ且つ前記テーパーと接触した、発光デバイスと、
を有するデバイス。」

一方、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
・相違点1
「レンズ構造」について、本願発明では、「半球ドーム」と特定されるのに対し、引用発明では、そのような形状ではない点。
・相違点2
「発光デバイス」について、本願発明では、「自己支持形発光ダイオード(LED)」と特定されるのに対し、引用発明では、「LEDパッケージ」と特定されるものの、具体的に特定されていない点。

2 判断
(1)相違点1について
引用文献3の[0041]に記載のとおり、引用発明の光カプラが有する機能は、少なくとも部分的なコリメートであるところ、[0049]において、光カプラとして、種々の形状の光学素子が例示されており、当該機能を奏する形状であれば、その形状を変更することについての示唆がある。
そして、半球ドーム形状のレンズは、光をコリメートするレンズとして周知(例えば、下記周知文献1?3参照)であり、上記示唆に基づいて、引用発明に当該周知技術を適用し、光カプラを半球ドームとして構成することは、当業者が容易になし得た事項である。

(2)相違点2について
本願発明に特定される「自己支持形発光ダイオード(LED)」について、本願の【0008】には、「自己支持形のチップは、更なるパッケージングなしで取り扱われることができるので、一般的に’チップスケールパッケージ’(CSP)と呼ばれている」と記載されており、当該記載を参酌すると、本願発明の「自己支持形発光ダイオード(LED)」は、「チップスケールパッケージ(CSP)」を含むものと解される。
ここで、いわゆる「チップスケールパッケージ(CSP)」は、周知(例えば、下記周知文献4?5参照)であり、当業者が適宜用い得るLEDパッケージである。
そして、引用発明では、受容開口部42に嵌合されるLEDとして、「LEDパッケージ」を想定しているのであるから、当該「LEDパッケージ」として、周知な「チップスケールパッケージ(CSP)」を採択することは、当業者であれば、容易になし得る事項である。

<周知技術を示す文献>
・周知文献1:特表2012-533904号公報(図3参照)
・周知文献2:特表2011-521480号公報(図1参照)
・周知文献3:国際公開第2009/145298号公報(図1?2、図12参照)
・周知文献4:欧州特許出願公開第2393135号明細書(図1参照)
・周知文献5:国際公開第2013/084155号(図8参照)
なお、上記周知文献1?2、4及び5は、原査定において引用された、引用文献1?2、9及び10である。

3 小括
上記のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものである。

4 本願発明の効果について
上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

5 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和元年12月10日に提出された意見書において、
「本願発明は、レンズ構造のテーパー付きキャビティ内に、自己支持形LEDを有する発光デバイスが挿入された構成を含んでおり、この構成は、テーパーを利用して、自己支持形LEDそれ自体を、レンズ構造の軸と正確にアライメントすることを可能にします。
仮に、LEDが、比較的大きい厚さを持つ自己支持形LEDではなく、薄いベアダイであったとすると、そのようなLEDダイを、テーパーを利用してアライメント及び固定することは困難であり、引用文献3、4においてのようにLEDダイをサブマントなどにマウントする必要が生じることになります。そして、そうすることは、LEDダイの、サブマウントに対するミスアライメント、ひいては、レンズ構造の軸に対するミスアライメントの発生につながります。
すなわち、本願発明が含む自己支持形LEDとテーパー付きキャビティとの新規な組み合わせに係る構成は、引用文献1-10のいずれにも開示されない顕著な効果を奏します」と主張している。
しかしながら、上記2の(2)のとおり、引用発明において、受容開口部42に嵌合されるLEDとして、「チップスケールパッケージ(CSP)」を採択することに困難性はなく、その効果も、当業者であれば予想し得るものである。
上記のとおりであるから、請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2021-03-05 
結審通知日 2021-03-09 
審決日 2021-03-25 
出願番号 特願2016-547552(P2016-547552)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橿本 英吾島田 英昭竹村 真一郎  
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 吉野 三寛
近藤 幸浩
発明の名称 セルフアライン式プリフォームレンズを有する発光デバイス  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
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