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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08L
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C08L
管理番号 1377322
審判番号 不服2019-11443  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-02 
確定日 2021-08-25 
事件の表示 特願2016-540389「衝撃エネルギーを吸収する可撓性ポリウレタン及びポリウレタン/ポリオルガノシロキサンフォーム材料」拒絶査定不服審判事件〔平成27年3月12日国際公開、WO2015/035068、平成28年10月20日国内公表、特表2016-532761〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年9月4日を国際出願日とする国際特許出願(パリ条約による優先権主張 2013年9月4日:(US)米国)に係るものであって、平成31年4月25日付けで拒絶査定がなされたのに対して、令和元年9月2日に拒絶査定不服の審判請求がなされると同時に手続補正書が提出され、令和2年5月25日付けで当審から拒絶の理由が通知され、同年8月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月9日付けで当審から審尋が通知され、令和3年2月9日に意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?31に係る発明(以下、各々「本願発明1」?「本願発明31」、まとめて「本願発明」という。)は、令和2年8月24日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?31に記載された事項により特定されるものである。
このうち、本願の請求項1は、以下のとおり規定されている。
「【請求項1】
a)イソシアネート及びポリオールから形成されるポリウレタン、
b)イソプレノイド化合物である重合反応開始剤、
c)重合反応促進剤、
d)ポリオルガノシロキサン、および
e)重合触媒
を含み、
前記d)ポリオルガノシロキサンは、イソシアネート-反応性官能基の少なくとも1つを有し、前記d)ポリオルガノシロキサンは、下記構造を有し、
【化1】

式中、nは1000?5000であり、R^(2)及びR^(3)はメチル、エチル及びフェニル基から選択された有機基であり、R^(1)はトリアルキルシリル基から選択された末端基であり、R^(a)はヒドロキシル又はアミン基であり、
前記ポリウレタン及び前記ポリオルガノシロキサンが、架橋剤を使用して共通の層内で架橋され、
前記重合反応開始剤は、アビエチン酸、メントール、アミリン及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、かつ
前記重合反応促進剤は、炭、活性炭、ダイヤモンド、フラーレン、黒鉛、コークス、石炭、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記ポリウレタンは第1の部分に存在し、かつ前記ポリオルガノシロキサンは第2の隣接部分に存在し、これらの部分は互いに架橋されて複合材料を形成している、
ポリウレタンフォーム材料。」

第3 当審の判断
当審は、本願の発明の詳細な説明の記載は、本願請求項1?31に係る発明について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、本願の特許請求の範囲の請求項1?31についての記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないことから、本願は拒絶されるべきものと判断する。理由は以下のとおりである。

1 本願明細書の記載
(1)「【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム及びポリオルガノシロキサンフォーム材料に関する。フォーム材料は、車両のバンパー、車両のドア、保護ヘルメット、保護パッド、鼠径部カップ、及び靴底等を含むがこれらに限定されない、様々な環境内における衝撃保護用具にて使用可能である。したがって、本発明は一般に、ポリマー化学、及びポリウレタン/ポリオルガノシロキサンスポンジゴムフォームの分野に関する。」

(2)「【0005】
可撓性ポリウレタンフォームは、対象をスポーツ活動、自動車用途、及びボート使用用途等における衝撃力から保護するのに使用される、一般的な材料である。かかるフォームは軽量であり、材料が圧縮されるとエネルギーが吸収され、散逸するように、衝撃下にてフォームが弾性的に変形することができる小孔を含有する。しかしながら、可塑性フォームは非常に特定の衝撃エネルギーの範囲内に対応するようにしかカスタマイズすることができないため、一般に、広範囲の衝撃の種類にわたって良好に機能することができない。衝撃に対してあまりに軟らかいフォームは、あまりに素早く圧縮し、衝撃を受けた物体に過度の力を伝達する。可塑性フォームの局部圧縮は、力が伝達される面積を減少させるため、衝撃の圧力及び被害を増加させる。特定の種類の衝撃に対して硬すぎるフォームは十分に圧縮せず、衝撃を受けた物体の速度を急激に落とす。これは、衝撃の初期段階における過度の抵抗を生じ、衝撃距離又は衝撃時間を延ばすのに十分なほどには圧縮されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、軽量性、抵抗力、及び様々な衝撃の種類に対する所望の衝撃応答を示す、衝撃フォームにおける進歩が引き続き求められている。
【0007】
耐熱性及び耐化学性、電気絶縁特性、撥水性並びに人間への安全性というそれらの優れた特性のために、シリコーン樹脂が一般的であり、様々な用途に用いられている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ポリウレタン、重合反応開始剤、及び重合反応促進剤を含むポリウレタンフォーム材料を提供する。ポリウレタンはイソシアネート及びポリオールから形成される。重合反応開始剤はイソプレノイド化合物である。
【0009】
フォーム材料は所望により、ポリオルガノシロキサンポリマーを更に含むことができる。ポリオルガノシロキサンポリマーはポリウレタンに架橋している。
【0010】
これらのフォームは層状をなし、ポリウレタン及びポリウレタン/ポリオルガノシロキサン複合材料を生成することができる。層状複合体は、改質ハイブリッドポリウレタンフォーム/ポリオルガノシロキサン/スポンジゴム混合物からなる第2の硬質フォーム層と縮合した架橋ゴムポリマーを有する、改質した連続気泡可撓性ポリウレタンフォーム層を含むことができる。フォーム材料を強化するために、更なる任意成分を加えることができ、これらは以下の詳述にてより完全に解説される。
【0011】
したがって、以下に続くこれらの詳細の記述がより理解され得るように、かつ、当技術分野へのこの貢献がより評価されるように、どちらかと言えば広範囲にわたり、本発明のより重要な特徴を略述した。本発明の他の特徴は、添付図面及び特許請求の範囲を合わせた、以下の本発明の詳細な記載より明確となるか、又は、本発明の実践により教示され得る。」

(3)「【0034】
可撓性ポリウレタンフォーム-ポリオルガノシロキサンコポリマー-硬質フォーム
本開示の一実施形態において、上記のポリウレタンフォーム材料を、ポリオルガノシロキサン組成物の成分と組み合わせる。これにより、約85のショア硬さ値を有する、可撓性がありかつ強靭な連続気泡ポリウレタン/ポリオルガノシロキサンフォームをもたらすが、約50?約100を使用することができる。ポリオルガノシロキサンを作製するために、上からのポリウレタンフォームをポリオルガノシロキサン、重合触媒(通常白金)、ベンジルアルコール、重合反応開始剤、及び重合反応促進剤と組み合わせる。一実施形態において、ポリオルガノシロキサンはSoma-Foama 15(Smooth-On Inc)とすることができ、約5体積%を含む。別の実施形態において、触媒は約10体積%を占めることができる。
【0035】
使用するポリオルガノシロキサンは、1つの連結基を介して化合物の一端に結合した2つのアミン又はヒドロキシル基を有する。この末端基は、ポリウレタン、様々な他のポリオール、及び架橋分子との架橋を行うことができる。オルガノシロキサンは、1つ以上のイソシアネート-反応性官能基を有する。ポリオルガノシロキサン成分は以下の式を有する:
R-(O-SiR)-(LINK)-R、又は
【0036】
【化2】

式中、R^(1)は末端基であり、R^(2)及びR^(3)はメチル、エチル及びフェニル基等の有機基とすることができ、無機ケイ素-酸素骨格nは、約1000?5000の反復単位長であり、LINKは連結基であり(括弧で閉じていないSiR^(2)R^(3)基として上に示している)、かつR^(a)はヒドロキシル又はアミン基である。場合によっては、有機側基(R^(2)及びR^(3))を使用して、2つ以上のケイ素-酸素骨格を結合することができる。連結基の一例は、骨格炭素原子と置換した1つ以上の硫黄原子、窒素又は酸素原子を有し得るアルキレン基である。一実施形態において、R^(1)末端基はトリアルキルシリル基(R_(3)Si基)である。別の実施形態において、R^(1)末端基はRR_(2)Si基とすることができる。RR_(2)Si基のある特定の実施形態は、ブチルジメチルシリル(BuMe_(2)Si-)基である。」

(4)「【実施例】
【0126】
実施例1-ポリウレタンフォーム
一実施形態では、ポリウレタンフォーム組成物を、30グラムのヒドロゲル-N(Polytek(登録商標))(体積で120mL)を含む20グラムの活性硬材炭(体積で60mL)、24グラムのヒュームドシリカ(Polytek(登録商標))(体積で240mL)、2グラムのヒドロキシエチルセルロース(体積で5mL)、及び、室温で2000mLのポリオール(B部-Polytek)の液体溶液を含有するポリオール混合物に対する、0.1mLの着色剤(Polytek)を混合することにより製造した。次に、60mLの溶融濾過したロッジポール松脂又は松脂(200℃)、10mLの溶融天然ゴム(177℃(350°F))、10mLの溶融ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリスチレン(スチレン30重量%-Aldrich)(191℃(375°F))、120mLのポリブタジエン合成ゴム、240mLのポリスルフィドポリマー溶液、及び3mLの純粋な絹フィブロイン溶液(Silktap)を上記の混合物に室温で添加し、それぞれ3グラムの硫黄、ステアリン酸及び酸化亜鉛の存在下にて攪拌した。次に、この混合物を5分間真空槽に配置し、負圧下にて10分間放置した。この後、1000mLのポリメチレンビスフェニルイソシアネート(MDI)及びブチルベンジルフタレート溶液(フォームA部-Polytek)を上の混合物全体に添加し、10秒間激しく攪拌した。次に、全体混合物をモールドに流し込み、ここでは重合反応が速やかに開始し、64g/L(4lb/立方ft)の濃度の、新規の改質軟質フォームを形成する。
【0127】
実施例2-ポリウレタン/ポリオルガノシロキサンフォーム
別の実施形態において、ポリウレタン/ポリオルガノシロキサンフォーム組成物を製造した。まず、上記のポリウレタンフォーム混合物2000mLを、MDI溶液を添加せず、かつ混合物をモールドに流し込むことなく作製した。次に、160mLのポリオルガノシロキサン白金触媒溶液(Soma FoamaA部-Smooth-On Inc)をこの混合物に添加し、攪拌した。次に、1000mLのMDI及びブチルベンジルフタレート溶液(Polytek A部)、並びに80mLのポリオルガノシロキサン(Soama Foama B部-Smooth-On Inc)を含有する別の混合物を上記の混合物に組み合わせ、添加し、10秒間激しく攪拌した。全体混合物をモールドに流し込む。重合反応は即座に発熱反応で起こり、衝撃吸収に使用される従来のポリウレタンフォーム及びポリスチレンよりもはるかに良い難燃性品質を有する、大変高い引張り強度、強靱性及び耐圧縮性を有する硬質フォームが生成する。
【0128】
実施例1及び2の変更
実施例の変更には、異なるイソシアネート、ポリオール、及び/又はシリコーン製品、イソプレノイド、ゴム、フィブロイン及び他の補強剤、異なる方法でのゲル化剤及び添加剤、体積濃度及び密度を含む。上記の体積濃度を変更し、より硬質又は軟質のフォームを形成することができる。より硬質の可塑性フォームに関しては、溶融松脂6?10体積%を、重合発泡反応に影響を与えることなく添加することができる。あるいは、より低い松脂の濃度、例えば2.5体積%を、より軟質の可塑性フォームに対して使用することができる。更に、様々な体積密度の活性硬材炭、ヒュームドシリカ、ヒドロゲル-N、セルロース、天然及び合成ゴム、絹フィブロイン並びにポリスルフィドポリマーを様々な濃度の溶融松脂と共に使用することができる。これらの成分の変化により、より軟質又は硬質のポリウレタンフォームを生成し、異なる商業的保護用途に使用することができる。
【0129】
加えて、ポリウレタン、ポリスルフィドポリマー、天然及び合成ゴム並びに絹フィブロインと共に、様々な種類及び濃度のポリオルガノシロキサンを使用して、特定用途の硬質及び軟質フォームの孔サイズ、硬さ、弾力性及び強靱性に影響を与えることができる。Soma Foama 15(1Lあたり240グラム(1立方ftあたり15lb)の密度)の代わりに、又はSoma Foama 15と組み合わせてSoma Foama 25(1Lあたり400グラム(1立方ftあたり25lb)の密度)を使用して、硬質フォームを更に強化することができることは注目に値する。他の種類の化学構造のケイ素ポリマーを、最終フォーム製品の同様及び/又は異なる特性の少なくとも1つの代用品として使用することができる。」

2 検討
(1)特許法第36条第4項第1号に規定する要件について
ア 上記1(2)、特に【0006】の記載に鑑みると、本願発明1が解決しようとする課題は、請求項1に規定される「d)ポリオルガノシロキサン」として【化1】の構造を有するものを用いることで、「軽量性、抵抗力、及び様々な衝撃の種類に対する所望の衝撃応答を示す、衝撃フォーム」を得ることにあると認められる。

イ この点に関し、請求項1に規定される「d)ポリオルガノシロキサン」は【化1】の構造を有するものであるが、本願発明の詳細な説明には、この規定を満たす実施例が存在しない。実施例1では「d)ポリオルガノシロキサン」に相当する成分は用いられておらず、実施例2で用いられるポリオルガノシロキサンは、その構造が明らかでない。
そして、上記1に示した本願明細書のいかなる記載に鑑みても、請求項1に規定される「d)ポリオルガノシロキサン」として【化1】の構造を有するものを用いることによって本願発明1が実施しうると解することはできず、また、仮に実施できたとしても、上記課題を解決するものとなると解することができない。

ウ 請求人は、令和2年8月24日提出の意見書において、「出願当初の明細書段落0127の実施例2に記載されたポリオルガノシロキサン(Soama Foama B部-Smooth-On Inc)は、本願請求項1で規定されたd)ポリオルガノシロキサンに相当します。したがいまして、本願明細書には、請求項1に規定される「d)ポリオルガノシロキサン」を満たす実施例が存在します。」と主張した。
これに対し当審は、令和2年11月9日付けで、「実施例2に記載された「ポリオルガノシロキサン(Soama Foama B部-Smooth-On Inc)」が請求項1の【化1】の構造を有するものであるとは、この主張のみならず、本願明細書、各意見書、審判請求書のいかなる記載を参照しても、理解することはできない。」として、「「ポリオルガノシロキサン(Soama Foama B部-Smooth-On Inc)」が請求項1の【化1】の構造を有するものであると確認できる根拠を、具体的な証拠をもって示されたい。」と審尋した。
これを受けて、請求人は、令和3年2月9日提出の意見書において、「本願請求項1で規定された下記のd)ポリオルガノシロキサンは、当業界で広く使用され、イソシアネート-反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンと言えば、そのほとんどが下記構造を有していると言っても過言ではありません。
【化1】
(審決注:上記第2の【化1】と同一であるため、図を省略する。)
(式中、nは1000?5000であり、R^(2)及びR^(3)はメチル、エチル及びフェニル基から選択された有機基であり、R^(1)はトリアルキルシリル基から選択された末端基であり、R^(a)はヒドロキシル又はアミン基である。)
したがいまして、当業者であれば、実施例2で使用された「ポリオルガノシロキサン(Soama Foama B部-Smooth-On Inc)」が、上記構造式を満たすことを合理的に予測することができます。
なお、ご参考までに実施例2で使用されたポリオルガノシロキサンのMSDSを添付いたします。」と、主張している。

エ しかし、「本願請求項1で規定された下記のd)ポリオルガノシロキサンは、当業界で広く使用され」ているとしても、「イソシアネート-反応性官能基を有するポリオルガノシロキサンと言えば、そのほとんどが下記構造(審決注:上記【化1】)を有している」といえることの根拠を、本願明細書のみならずいかなる技術常識からも見いだすことができない。
【化1】の構造では、「イソシアネート-反応性官能基」の位置は直鎖状ポリオルガノシロキサンの片方の末端一箇所のみに存在するが、なぜこの位置にのみ「イソシアネート-反応性官能基」が存在する直鎖状ポリオルガノシロキサンが「イソシアネート-反応性官能基を有するポリオルガノシロキサン」と言えばこの構造を有しているといえるのか、なぜ鎖端以外の箇所に「イソシアネート-反応性官能基」が存在するものではないのか、なぜ複数箇所に「イソシアネート-反応性官能基」が存在するものではないのか、そして、なぜ「Soama Foama」が【化1】の構造を有するといえるのか、請求人は何ら示さない。
そして、上記イで述べたとおり、請求項1に規定される「d)ポリオルガノシロキサン」として【化1】の構造を有するものを用いることによって本願発明1が実施しうると解することはできず、また、仮に実施できたとしても、上記課題を解決するものとなると解することができない。
このため、上記主張を採用することはできない。

オ よって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
そして、請求項1を引用する請求項2?31に係る発明についても同様、本願の発明の詳細な説明は、係る発明を実施しうる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。

(2)特許法第36条第6項第1号に規定する要件について
ア 本願発明1は上記第2で認定したとおりであり、また、本願の発明の詳細な説明には上記1(1)?(4)の記載がある。

イ 本願発明1は、上記(1)アに示したとおりの解決課題を有するものと認められる。

ウ この点に関し、上記(1)イで示したとおり、本願発明の詳細な説明には、この規定を満たす実施例が存在しない。
そして、請求人は上記(1)ウのとおり主張するが、上記(1)エと同様、この主張を採用することはできず、本願発明1の構成を有するものが本願発明の課題を解決するものと認識することができない。

エ よって、請求項1に係る発明は、その課題を解決することができると当業者が認識できるように、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。
そして、請求項1を引用する請求項2?31に係る発明についても同様、その課題を解決することができると当業者が認識できるように、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

第4 むすび
以上のとおり、本願の発明の詳細な説明の記載は、本願請求項1?31に係る発明について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、本願の特許請求の範囲の請求項1?31についての記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないことから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2021-03-29 
結審通知日 2021-03-30 
審決日 2021-04-12 
出願番号 特願2016-540389(P2016-540389)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (C08L)
P 1 8・ 537- WZ (C08L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 孝泰  
特許庁審判長 近野 光知
特許庁審判官 大熊 幸治
安田 周史
発明の名称 衝撃エネルギーを吸収する可撓性ポリウレタン及びポリウレタン/ポリオルガノシロキサンフォーム材料  
代理人 野田 茂  

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