• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02S
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02S
管理番号 1377431
審判番号 不服2019-9046  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-04 
確定日 2021-08-24 
事件の表示 特願2016-555734「光起電力パワー発生システム及び同システムに関する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月11日国際公開、WO2015/134047、平成29年 6月29日国内公表、特表2017-518011〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)4月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年3月3日、米国、2014年3月7日、米国、2014年3月21日、米国、2014年3月31日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 3月28日 :手続補正書
平成30年 3月20日付け:拒絶理由通知書
平成30年 9月27日 :意見書・手続補正書
平成30年10月11日 :上申書(7通)
平成31年 2月28日付け:拒絶査定
令和 元年 7月 4日 :審判請求書・手続補正書
令和 元年 8月26日 :手続補正書(審判請求書の補正)
令和 2年 3月16日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 9月18日 :意見書・手続補正書

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1?11に係る発明は、令和2年9月18日に提出された手続補正書により補正(以下、この補正を「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりであると認められる。
「直接的な電気エネルギー及び熱エネルギーの少なくとも1つを発生するパワー・システムであって、
少なくとも1つの槽と、
a) 金属、金属ハロゲン化物、及びH_(2)Oの混合物;
b) 金属、金属酸化物、及びH_(2)Oの混合物;
c) 金属、金属オキシ水酸化物、及びH_(2)Oの混合物;又は
d) 金属酸化物及びH_(2)Oの混合物;
を含む反応物と、
少なくとも1つのセットの電極と、
電極によって閉じ込められる反応物に高電流が印加される高電流電気エネルギーのショート・バーストをデリバリするための電気的パワーの源と、及び
少なくとも1つの光起電力コンバーター又は少なくとも1つのプラズマ・ダイナミック・コンバーターと、を含むパワー・システム。」

なお、請求項1の「b)」における「金属酸化化物」の記載は、「金属酸化物」の明らかな誤記であると認められるので、その誤記を正した上で、上記のとおり本願発明を認定した。

第3 当審が通知した拒絶の理由
当審がした令和2年3月16日付け拒絶理由通知は、要旨、次の内容を含むものである。
1 本件補正前の請求項1?17に係る発明は、発生するパワーが入力エネルギーよりも大きいシステムを含むところ、そのようなシステムは、本願の発明の詳細な説明によって裏付けられていないから、当該各発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2 本件補正前の請求項1?17に係る発明は、原理的に「ハイドリノ理論」を想定したものであるところ、「ハイドリノ理論」は技術常識に反するものである上、本願の願書に添付された明細書又は図面(以下「本願明細書等」という。)の記載をみても、当該発明に係るシステムが、発生するパワーが入力エネルギーよりも大きいシステムとして実験的に証明されたものであるとは認められないから、本願の発明の詳細な説明は、当該各発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとは認められず、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4 当審の判断
当審は、上記第3の1及び2の理由により、本願を拒絶すべきものと判断する。
1 認定事実
(1)本願明細書等の記載
本願明細書等には、次の記載がある(下線は、請求人が付したものである。)。
ア 「【技術分野】」、
「本開示は、パワー発生の分野に、そして、特に、システム、装置、及びパワーの発生のための方法に関する。より詳しくは、本開示の実施例は、パワー発生装置及びシステム、更に、関連する方法に関し、それらは、光パワー、プラズマ、及び熱パワーを生成し、光-電気パワー・コンバーターにより、プラズマ-電気パワー・コンバーターにより、光-電気パワー・コンバーターにより、又は熱-電気パワー・コンバーターにより、電気エネルギーを生成する。それに加えて、本開示の実施例は、光起電力パワー・コンバーターを使用して、光パワー、機械的パワー、電気パワー、及び/又は熱パワーを生成するため、水又は水ベースの燃料源の点火を使用する、システム、装置、及び方法を記述する。これらの及び他の関連する実施例は、本開示の中に詳しく記述される。」(【0002】)

イ 「【背景技術】」、
「パワー発生は、プラズマからパワーを利用して、多くの形(form)を取ることができる。プラズマの成功裏の商業化は、プラズマを効率的に形成することができ、そして、生成されたプラズマのパワーを捕獲することができるパワー発生システムに依存するかもしれない。」(【0003】)

ウ 「【課題を解決するための手段】」、
「プラズマは、特定の燃料の点火の間に形成されるかもしれない。これらの燃料は、水又は水ベースの燃料源を含むことができる。点火の間、電子をはく奪された電子のプラズマ雲が形成され、そして、高い光パワーが解放されるかもしれない。プラズマの高い光パワーは、本開示の電気コンバーターによって利用され得る。イオン及び励起状態の原子は、光パワーを発するように、再結合でき、そして、電子緩和を経ることができる。光パワーは、光起電力技術でもって、電気に変換可能である。」(【0004】)

エ 「【発明を実施するための形態】」、
「ここにおいて開示されるのは、より低いエネルギー状態を形成するように原子水素からエネルギーを放出するための触媒システムであるが、その電子殻は、核に対してより近い位置を取る。放出されたパワーはパワー発生のために利用され、そして、加えて、新たな水素種及び化合物が所望の生成物である。これらのエネルギー状態は、古典物理的法則(classical physical laws)により予測され、そして、対応するエネルギー放出遷移(energy-releasing transition)を受けるために水素からエネルギーを受け取る触媒を必要とする。」(【0029】)、
「古典的物理学は、水素原子、水素化物イオン、水素分子イオン、及び、水素分子の閉形式解を与え、分数の主量子数を持つ対応する種を予測する。マクスウェル方程式を使い、電子は、束縛されたn=1状態の電子がエネルギーを放出できないと拘束して遷移間の時間変動性の電磁気場のソース電流を含むとして、電子の構造が境界値問題として導かれた。H原子の解によって予測される反応は、以前に可能と思われていたよりも低いエネルギー状態における水素を形成するために、さもなければ安定な原子水素から、エネルギーを受け入れることができる触媒へと、非放射的なエネルギー伝達を含む。具体的には、古典物理学は、E_(h)が1ハートリーであるときに、E_(h)=27.2eVである原子水素のポテンシャル・エネルギーの整数倍の正味エンタルピーを伴う反応を提供する、ある特定の原子、エキシマー、イオン、及び、2原子水素化物との、触媒反応を、原子水素が、経験するかもしれないことを予測する。それらの知られた電子エネルギーレベルを基礎として識別可能な特定の種(例えば、He^(+)、Ar^(+)、Sr^(+)、K、Li、HCl、そして、NaH、OH、SH、SeH、発生期のH_(2)O、nH(n=整数))は、プロセスを触媒するために原子水素と共に存在することが要求される。反応は、分数の主量子数に対応する未反応の原子水素よりもエネルギーにおいて低い水素原子、及び、特に熱く、励起状態のHを形成するために、Hへのq・13.6eVの移動又はq・13.6eVの連続発光に続く非放射的なエネルギー移動を含む。即ち、水素原子の主エネルギー準位に対する式において、
En = -(e^(2)/n^(2)8πε_(0)a_(H)) = -(13.598eV/n^(2)) (1)
n = 1、2、3、 ・・・ (2)
であり、ここで、a_(H)は、水素原子(52.947 pm)のボーア半径であり、eは電子の電荷の大きさ、ε0は真空の誘電率であり、分数の量子数は、次のようになる。
n = 1、1/2、1/3、1/4、 ・・・ 、1/p (3)
それらは、水素の励起状態に対するリュードベリ公式(Rydberg equation)においてよく知られるパラメータn=整数を置き換える。そして、マクスウェルの方程式の解析解を持つ励起状態と同様に、ハイドリノ原子はまた、1つの電子(electron)、1つの陽子(proton)、及び、1つの光子(photon)を含む。しかしながら、後者の電場(electric field)は、励起状態にあるように、エネルギーの吸収で中心場を減少させるよりもむしろ、エネルギーの吸収に対応して結合を増加させ、そして、結果として生じるハイドリノの陽子-電子相互作用が放射性というよりむしろ安定である。」(【0030】)、
「水素のn=1の状態、及び、水素のn=1/整数の状態は、非放射性であるが、例えばn=1からn=1/2というような2つの非放射性の状態の間での遷移は、非放射性のエネルギー移動により可能である。水素は、水素又はハイドリノ原子の対応する半径が、次の式で与えられ、式(1)及び(3)によって与えられる安定状態の特別なケースである。
r = a_(H)/p (4)
ここで、p=1、2、3、・・・である。エネルギーを保存するために、エネルギーは、水素原子から触媒へと、
m・27.2eV、m = 1、2、3、4、 ・・・ (5)
及び、a_(H)/(m+p)へとの半径遷移(radius transitions)、の単位で、移動させられるにちがいない。触媒反応はエネルギー放出の2つのステップ:触媒への非放射的なエネルギーの移動と、それに続いて、対応する安定な最終状態に半径が減少する際の追加のエネルギー放出とを含む。正味反応エンタルピーがよりm・27.2eVに一致するようになるにつれて、触媒の割合が増加すると考えられる。m・27.2eVの±10%、好ましくは±5%以内の正味反応エンタルピーを有する触媒が、ほとんどの用途に適合することが見出されている。より低いエネルギー状態へのハイドリノ原子の触媒反応の場合において、m・27.2eV(式(5))の反応のエンタルピーは、ハイドリノのポテンシャル・エネルギーと同じファクターによって、相対論的に補正される1つの実施例において、触媒は、原子水素からエネルギーを共鳴的に及び放射なしに受け取る。」(【0031】)、
「このようにして、一般的な反応は、次式で表される。
m・27.2eV+Cat^(q-)+H[a_(H)/p]
→ Cat^((q+r)+)+re^(-) H^(*)[a_(H)/(m+p)]
+m・27.2eV (6)
H^(*)[a_(H)/(m+p)]
→ H[a_(H)/(m+p)]+[(m+p)^(2)-p^(2)]・13.6eV
-m・27.2eV (7)
Cat^((q+r)+)+re^(-) → Cat^(q+)+m・27.2eV (8)
そして、全反応は、次式の通りである。
H[a_(H)/p]
→ H[a_(H)/(m+p)]+[(m+p)^(2)-p^(2)]・13.6eV (9)
q、r、m、及びpは、整数である。H^(*)[a_(H)/(m+p)]は、水素原子(分母において1に対応する)の半径と、及び、陽子のそれの(m+p)倍に同等な中心場とを持ち、H[a_(H)/(m+p)]は、Hのそれの1/(m+p)の半径を備える対応する安定な状態である。電子が、水素原子の半径からこの距離の1/(m+p)の半径へと半径方向加速度を受けると、エネルギーは、特徴的な発光として、又は、第三体の運動エネルギーとして、放出される。発光は、[(p+m)^(2)-p^(2)-2m]・13.6eV又は91.2/[(m+p)^(2)-p^(2)-2m]nmで端を持し、より長い波長にまで延びる、極端紫外連続放射の形態においてであるかもしれない。放射に加えて、高速Hを形成する共鳴運動エネルギー移動が起こるかもしれない。対応するH(n=3)の高速原子の放出を伴う、バックグラウンドH_(2)との衝突によるこれらの高速H(n=1)の後に続く励起は、広がったバルマーα線放射を生じさせる。その代わり、高速Hは、その触媒として機能するH又はハイドリノの直接的な生成物であるが、共鳴エネルギー移動の受取は、イオン化エネルギーというよりはむしろ、ポテンシャルエネルギーと考える。エネルギーの保存則は、前者の場合、半分のポテンシャルエネルギーに対応する運動エネルギーの陽子を与え、後者の場合には本質的に止まっている触媒イオンを与える。高速陽子のHの再結合放射は、過剰なパワー・バランスと合致して、熱い水素の在庫に不釣り合いなブロード化したバルマーα線放射を生じる。」(【0032】)、
「本開示において、ハイドリノ反応、H触媒作用、H触媒作用反応、水素に言及するときの触媒作用、ハイドリノを形成するための水素の反応、及びハイドリノ形成反応の全てが、式(1)及び(3)によって与えられるエネルギーレベルを持つ水素の状態を形成するため、原子Hとの、式(5)によって規定される触媒の式(6-9)のそれのような反応に、言及する。より低いエネルギー状態の水素又はハイドリノを形成する又は生産する、反応物、ハイドリノ形成のための反応物、触媒混合物、ハイドリノ反応混合物、ハイドリノ反応物、のような対応する用語はまた、式(1)及び(3)によって与えられるエネルギーレベルを持つハイドリノ状態又はH状態へのHの触媒作用を発揮させる反応混合物に言及する際に、交換可能に使用される。」(【0033】)、
「本開示の触媒的なより低いエネルギー水素への遷移は、その遷移を引き起こすために原子Hからエネルギーを受取る、27.2eVの無触媒原子水素のポテンシャルエネルギーの整数mの吸熱化学反応の形態においてであるかもしれない触媒を要求する。吸熱の触媒反応は、原子またはイオンのような(例えば、Li→Li^(2+)に対するm=3)種からの1又はそれ以上のイオン化であるかもしれず、最初の結合(例えば、NaH→Na^(2+)+Hに対するm=2)のパートナーの1又はそれ以上から、1又はそれ以上の電子のイオン化で結合切断の協奏反応を更に含むかもしれない。He^(+)は、それが2・27.2eVという54.417eVでイオン化するので、27.2eVの整数倍に等しいエンタルピー変化を伴う化学的又は物理的プロセスという触媒基準を満たす。水素原子の整数の数はまた、27.2eVエンタルピーの整数倍の触媒として機能するかもしれない。水素原子H(1/p) p=1、2、3、・・・137 は、式(1)及び(3)によって与えられるより低いエネルギー状態へと更なる遷移を経ることができるが、1つの原子の遷移が、そのポテンシャルエネルギーにおける付随する逆の変化と共にm・27.2eVを共鳴的にかつ非放射的に受け取る、1又はそれ以上の追加のH原子によって触媒作用が及ぼされる。H(1/p・)へのm・27.2eVの共鳴伝達により誘発されるH(1/p)からH(1/(p+m))への遷移に対する全体の一般式は、次のように表される。
H(1/p’)+H(1/p)
→ H+H(1/(m+p))+[2pm+m^(2)-p’^(2)+1]・13.6eV (10)」(【0034】)

オ 「I.触媒
He^(+)、Ar^(+)、Sr^(+)、Li、K、NaH、nH(n=整数)、及びH_(2)Oは、触媒の基準、すなわち原子水素のポテンシャルエネルギー27.2eVの整数倍に等しいエンタルピー変化での化学的又は物理的プロセスを満たしているため、触媒として機能すると予測される。特に、t電子のイオン化のイオン化エネルギーの合計が近似的にm・27.2eV(ここで、mは整数である)となるように、触媒システムが、原子から連続エネルギー・レベルへのt電子のイオン化によって供給される。その上、更なる触媒遷移が、H(1/2)が最初形成される場合:n=1/2→1/3、1/3→1/4、1/4→1/5、 ・・・ におけるように起こるかもしれない。触媒反応が一度起こると、H又はH(1/p)は、もう1つのH又はH(1/p’)(pはp’と等しいかもしれない)に対して触媒として機能する。」(【0050】)、
「H_(2)Oのポテンシャル・エネルギーは、81.6eV(式(43))である[ミルズGUT]。そして、同じメカニズムにより、発生期のH_(2)Oの分子(固体、液体、又はガス状態に結合された水素ではない)は、触媒として機能するかもしれない(式(44-47))。いわゆる「ハイドリノ」状態のより低いエネルギー状態へのHの理論的に予測された遷移に対する、10.1nmで及びより長い波長への連続放射は、最初ブラックライト・パワー・インク(BLP)によって、そして、ハーバード・センター・フォー・アストロフィジックス(CfA)で再現された、パルス・ピンチ・水素放電からのみ生じ、観測された。Hからハイドリノ状態への予測される遷移にマッチした10から30nm領域における連続放射は、HOH触媒を形成するようにH還元を受けるように熱力学的に有利な金属酸化物と共にパルス・ピンチ水素放電からのみ生じ、観測された。しかるに、有利ではない反応は、如何なる連続放射を見せなかったが、これは、試験された低融点金属が、よりパワフルなプラズマ源において強い短波長連続放射と共に金属イオンプラズマを形成することに非常に有利であるとしてでもある。」(【0056】)

カ 「II.ハイドリノ
次の式で与えられる結合エネルギーを持つ水素原子は、本開示のH触媒反応の生成物である。 結合エネルギー = 13.6eV/(1/p)^(2) (34)ここで、pは1より大きい整数であり、好ましくは、2から137である。イオン化エネルギーとしても知られる、原子、イオン、または分子の結合エネルギーは、原子、イオン、または分子から1つの電子を取り除くために必要とされるエネルギーである。式(34)において与えられる結合エネルギーを持つ水素原子は、以下、「ハイドリノ原子」又は「ハイドリノ」と言及される。半径a_(H)/p(式中a_(H)は通常の水素原子の半径であり、pは整数である)のハイドリノの記号表示は、H[a_(H)/p]である。半径a_(H)の水素原子は、以降、「通常の水素原子」又は「普通の水素原子」と称される。通常の原子水素は、13.6eVの結合エネルギーで特徴付けられる。」(【0058】)、
「ハイドリノは、普通の水素原子を、次のような反応の正味のエンタルピーを持つ妥当な触媒と、反応させることにより形成される。 m・27.2eV (35)ここで、mは整数である。正味の反応エンタルピーがよりm・27.2eVに一致するようになるにつれて、触媒反応の速度が増加すると考えられる。m・27.2eVの±10%以内、好ましくは、±5%以内の反応の正味のエンタルピーを持つ触媒が、大抵の応用に妥当であると見出されてきた。」(【0059】)、
「この触媒反応は、水素原子のサイズ r_(n)=na_(H) における、相応した減少とともに、水素原子からエネルギーを放出する。例えば、H(n=1)からH(n=1/2)への触媒反応は40.8eVを放出し、そして、水素半径は、a_(H)から(1/2)а_(H)に減少する。触媒システムは、t電子のイオン化エネルギーの和が近似的にm・27.2eV(式中、mは整数である)であるような、連続エネルギー準位までの各々の原子からのt電子のイオン化により提供される。パワー源として、触媒反応の間に放たれるエネルギーは、触媒に持って行かれるエネルギーより非常に大きい。放出されるエネルギーは、従来の化学反応に比べ大きい。例えば、次のように、水を形成するため、水素及び酸素ガスが燃焼を被るとき、水形成の既知のエンタルピーは、ΔH_(f)=-286kJ/mole又は水素原子あたり1.48eVである。
H_(2)(g)+(1/2)O_(2)(g) → H_(2)O(l) (36)
対照的に、触媒反応を被る各通常の水素原子(n=1)は、正味40.8eVを放出する。そして、更なる触媒の遷移が起きるかもしれない。n=1/2→1/3、1/3→1/4、1/4→1/5、等。一旦触媒反応が始まると、ハイドリノは、不均化と呼ばれるプロセスにおいて自動触媒化する。このメカニズムは、無機イオン触媒のメカニズムと類似している。しかし、ハイドリノ触媒反応は、エンタルピーがm・27.2eVにより良く一致するために、無機イオン触媒の反応速度より速い反応速度を有する。」(【0060】)、
「1つの実施例において、分子又は正に若しくは負に帯電した分子イオンの少なくとも1つは、約m・27.2eVによる正に若しくは負に帯電した分子イオン又は分子のポテンシャルエネルギーの大きさにおける減少と共に、原子Hから約m・27.2eVを受け取る触媒として機能する。例えば、ミルズGUTCPにおいて与えられるH_(2)Oのポテンシャルエネルギーは、次のようになる。

」(【0088】)、
「分子のポテンシャルエネルギーの大きさにおいて、同じエネルギーだけの減少を備える原子Hからm・27.2eVを受け取る分子は、触媒として機能するかもしれない。例えば、H_(2)Oのポテンシャルエネルギーに関する触媒反応(m=3)は、次のようになる。
81.6eV+H_(2)O+H[a_(H)] → 2H_(fast)^(+)+O^(-)+e^(-)+H^(*)[a_(H)/4]+81.6eV (44)
H^(*)[a_(H)/4] → H[a_(H)/4]+122.4eV (45)
2H_(fast)^(+)+O^(-)+e^(-) → H_(2)O+81.6eV (46)」(【0089】)、
「また、全体的な反応は、以下の通りである。
H[a_(H)] → H[a_(H)/4]+81.6eV+122.4eV (47)
ここで、H^(*)[a_(H)/4]は、水素原子の半径及び陽子のそれの4倍に等しい中心場を持ち、そして、H[a_(H)/4]は、Hのそれの1/4の半径を持つ対応する安定な状態である。電子が、水素原子の半径からこの距離の1/4の半径へと半径方向加速度を受けて、エネルギーは、特徴的な発光として、又は、第三体の運動エネルギーとして、放出される。0℃から100℃の水まで行く過程の蒸発の熱における10%のエネルギー変化に基づき、沸騰水内の水分子あたりのH結合の平均の数は3.6である。このようにして、1つの実施例において、H_(2)Oは、ハイドリノを形成するための触媒として機能するために、妥当な活性化エネルギーで、単離された分子として化学的に形成されなければならない。1つの実施例において、H_(2)O触媒は発生期のH_(2)Oである。」(【0090】)

キ 「VII.固体燃料触媒誘導ハイドリノ遷移(SF-CIHT)セル及びパワー・コンバーター
1つの実施例において、直接の電気的エネルギー及び熱エネルギーの少なくとも1つを発生させるパワー・システムは、少なくとも1つの槽と、(a)発生期のH_(2)Oを含む触媒又は触媒源の少なくとも1つ、(b)原子水素又は原子水素源の少なくとも1つ、及び(c)導体及び導電性マトリクスの少なくとも1つ、を含む反応物と、ハイドリノ反応物を閉じ込める少なくとも1セットの電極と、高電流の電気エネルギーのショート・バーストをデリバリするための電気的パワー源と、再充填システムと、反応生成物から初期反応物を再生する少なくとも1つのシステムと、及び、直接的なプラズマから電気へのコンバータの少なくとも1つ及び熱から電気パワーへのコンバータの少なくとも1つと、を含むパワーシステム。1つの更なる実施例において、その槽は、大気圧、大気圧より高い、及び大気圧より低い、の少なくとも1つの圧力が可能となる。もう1つの実施例において、少なくとも1つの直接のプラズマ-電気コンバーターが、プラズマダイナミック・パワー・コンバーター(plasmadynamic power converte)、(ベクトルE)×(ベクトルB)ダイレクト・コンバーター(E x B direct converter)、電磁流体力学的パワー・コンバーター(magnetohydrodynamic power converter)、磁気ミラー電磁流体力学的パワー・コンバーター(magnetic mirror magnetohydrodynamic power converter)、チャージ・ドリフト・コンバーター(charge drift converter)、ポスト又はベネチアン・ブラインド・パワー・コンバーター(Post or Venetian Blind power converter)、ジャイロトロン(gyrotron)、フォトン・バンチング・マイクロウェーブ・パワー・コンバーター(photon bunching microwave power converter)、及びフォトエレクトリック・コンバーター(photoelectric converter)のグループからの少なくとも1つを含むことができる。1つの更なる実施例において、少なくとも1つの熱-電気コンバータが、熱機関、蒸気機関、蒸気タービン、発電機、ガスタービン及び発電機、ランキン・サイクル・エンジン、ブレイトン・サイクル・エンジン、スターリング・エンジン、熱電子パワー・コンバーター、及び熱電パワー・コンバーター、のグループからの少なくとも1つを含むことができる。」(【0171】)、
「1つの実施例において、H_(2)Oは、熱の、プラズマの、及び電磁気(光)のパワーの少なくとも1つの形成においてエネルギーの高い解放と共にハイドリノを形成するように点火される。(本開示における「点火」は、バースト、パルス又は他の高いパワー放出の形態として、明示されるかもしれないHからハイドリノへの非常に高い反応速度を意味する。)H_(2)Oは、約2000Aから100,000Aの範囲内の1つのような高電流の適応により点火されるかもしれない燃料を含むかもしれない。これは、アークのような第1フォームの高く導電性のあるプラズマへの5,000から100,000Vのような高い電圧の適用によって達成されるかもしれない。その代わりとして、高電流は、H_(2)Oを含む化合物又は混合物を通して通されるかもしれないが、ここで、固体燃料のような結果としてなる燃料の導電率は高い。(本開示において、固体燃料又はエネルギー物質が、ハイドリノを形成するため更に反応するH及びHOHのような触媒を形成する反応混合物を意味するために使用される。しかしながら、反応混合物は、固体以外の物理状態を含んでいるかもしれない。実施例において、反応混合物は、ガス状、液体、固体、スラリ、ゾルゲル、溶液、混合物、ガス状の懸濁、空気圧の流れ、及び当業者に知られる他の状態の少なくとも1つであるかもしれない。)1つの実施例において、非常に低い抵抗を持つ固体燃料は、H_(2)Oを含む反応混合物を含む。低い抵抗は、反応混合物の導体構成要素のせいであるかもしれない。実施例において、固定燃料の抵抗は、約10^(-9)Ωから100Ω、(中略)の範囲の少なくとも1つである。もう1つの実施例において、高い抵抗を持つ燃料は、添加される化合物又は材料の微量又は少ないモルパーセントを含むH_(2)Oを含む。後者の場合、高電流は、アーク又はアーク・プラズマのような高く導電性の状態を形成する絶縁破壊(ブレークダウン(breakdown))を引き起こすことにより点火を達成するように燃料を通して流されるかもしれない。」(【0172】)、
「実施例において、固体燃料は、炭素又は活性炭及びH_(2)Oを含むことができるが、その混合物は、H_(2)Oの追加を含む再水和によって再生される。更なる実施例において、反応物は、スラリー、溶液、エマルション、複合物、及び化合物の少なくとも1つを含むことができる。実施例において、高電流の電気的エネルギーのショート・バーストをデリバリするため電気的パワーの源の電流は、ハイドリノ反応物が非常に高い速度でハイドリノを形成する反応を受けることを引き起こすのに十分である。実施例において、高電流電気エネルギーのショート・バーストをデリバリする(deliver)電気的パワーの源は、以下のものの少なくとも1つを含む。100Aから1,000,000A、1kAから100,000A、10kAから50kAの少なくとも1つの範囲の中にある電流、100A/cm^(2)から1,000,000A/cm^(2)、1000A/cm^(2)から100,000A/cm^(2)、及び2000A/cm^(2)から50,000A/cm^(2)の少なくとも1つの範囲内あるDC又はピークAC電流密度、の高いAC、DC、又は、AC-DC混合を引き起こすように選択される電圧、その電圧が、固体燃料又はエネルギー物質の導電率により決定されるが、その電圧は、所望の電流に固体燃料又はエネルギー物質サンプルの抵抗をかけることにより与えられ、DC又はピークAC電圧が、約0.1Vから500kV、0.1Vから100kV、及び1Vから50kV、から選択される少なくとも1つの範囲内であるかもしれず、そして、AC周波数が、約0.1Hzから10GHz、1Hzから1MHz、10Hzから100kHz、及び100Hzから10kHz、の範囲内にあるかもしない。実施例において、固体燃料又はエネルギー物質サンプルの抵抗は、約0,001mΩから100MΩ、0.1Ωから1MΩ、及び10Ωから1kΩから選択される少なくとも1つの範囲内にあり、そして、ハイドリノを形成する活性な電極面積あたりの妥当な負荷の伝導度は、約10^(-10)Ω^(-1)cm^(-2)から10^(6)Ω^(-1)cm^(-2)、(中略)から選択される少なくとも1つの範囲内にある。」(【0177】)、
「固体燃料又はエネルギー物質は、金属、炭素、又は炭化物のような支持体又は導体又は導電性マトリクス、及び、H_(2)O又は本開示のそれらのような反応してH_(2)Oを形成する化合物又は結合されたH_(2)Oを解放する化合物のようなH_(2)O源を含むかもしれない。固体燃料は、H_(2)O、H_(2)Oと相互作用する材料又は化合物、及び導体を含むかもしれない。H_(2)Oは、水和の水又は物理吸着H_(2)Oのような結合された又は吸収されたH_(2)OのようなバルクH_(2)O以外の状態で存在するかもしれない。その代わりとして、H_(2)Oは、妥当な電圧の適用によって高く導電性があるようにされた又は高く導電性の混合物の状態のバルクH_(2)Oとして存在するかもしれない。固体燃料は、H_(2)O及び、H形成を容易にしHOH触媒の可能性を容易にするように金属酸化物のような酸化物のような化合物又は材料及び高導電率を提供する炭素又は金属粉末のような化合物又は材料を含むかもしれない。典型的な固体燃料は、R-Niを単独で及び、遷移金属及びAlのそれらのような添加剤と共に、含むかもしれず、R-Niは、水和されたAl_(2)O_(3)、及びAl(OH)_(3)の分解によってH及びHOHを解放する。妥当な典型的な固体燃料は、TiOOH、GdOOH、CoOOH、InOOH、FeOOH、GaOOH、NiOOH、AlOOH、CrOOH、MoOOH、CuOOH、MnOOH、ZnOOH、及びSmOOH、のようなオキシ水酸化物、及び、金属粉末及び炭素粉末の少なくとも1つのような導電性マトリクス、及びオプション的にH_(2)Oを含む。固体燃料は、Cu(OH)_(2)、Co(OH)_(2)、Fe(OH)_(2)、及びNi(OH)_(2)、の少なくとも1つのような遷移金属水酸化物、Al(OH)3、のようなアルミニウム水酸化物のような水酸化物と、炭素粉末及び金属粉末の少なくとも1つのような導体と、及びオプションとしてH_(2)Oを含むかもしれない。固体燃料は、CuO、Cu_(2)O、NiO、Ni_(2)O_(3)、FeO、及びFe_(2)O_(3)、の少なくとも1つのような遷移金属酸化物の少なくとも1つのような少なくとも1つの酸化物と、炭素粉末及び金属粉末の少なくとも1つのような導体と、及びH_(2)Oとを含むかもしれない。固体燃料は、MgCl_(2)のようなアルカリ土類金属ハロゲン化物のような金属ハロゲン化物のようなハロゲン化物の少なくとも1つと、炭素粉末及び金属粉末の少なくとも1つのような導体と、及びH_(2)Oとを含むかもしれない。固体燃料は、水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、及び金属ハロゲン化物のようなハロゲン化物からの少なくとも2つを含むもののような固体燃料の混合物と、少なくとも1つの導体又は導電性マトリクスと、及びH_(2)Oとを含むかもしれない。導体は、固体燃料、R-Ni、遷移金属粉末のような金属粉末、Ni又はCoセルメット、炭素、又は炭化物或いは他の導体、又は導電性の支持体又は導電性のマトリクスで当業者に知られるものを含む反応混合物の他の構成要素の1又はそれ以上でコーティングされた金属スクリーンの少なくとも1つを含むかもしれない。1つの実施例において、H_(2)Oベースの固体燃料の少なくとも1つの導体は、Cu、Al、及びAgのような遷移金属の少なくとも1つのような金属粉末のような金属を含む。」(【0181】)

ク 「1つの典型的なエネルギー物質において、0.05ml(50mg)のH_(2)Oが、アルミDSCパン(アルミ坩堝30μl、D:6.7x3(Setaram、S08/HBB37408)及びアルミカバーD:6,7,スタンピングされた,気密ではない(Setaram、S08/HBB37409))内にシールされた、20mg又はCo_(3)O_(4)若しくはCuOに添加された。そして、Taylor-WinfieldモデルND-24-75スポット溶接機を用いて、約8V RMSで15,000から25,000Aの間の電流で点火された。大きなエネルギーバーストが、観測され、サンプルが蒸発したが、各々エネルギーのある高イオン化、膨張プラズマであった。もう1つの典型的な固体燃料で同じように点火されたもので同様な結果を得たものは、Cu(42.6mg)+CuO(14.2mg)+H_(2)O(16.3mg)を含むが、これは、アルミDSCパン(71.1mg)(アルミ坩堝30μl、D:6.7x3(Setaram、S08/HBB37408)及びアルミカバーD:6,7,スタンピングされた,気密な(Setaram、S08/HBB37409))内にシールされた。」(【0190】)

ケ 「A. プラズマダイナミック・コンバーター(PDC)
プラズマの正にチャージしたイオンの質量は、少なくとも電子のそれの1800倍であり、サイクロトロンの軌道は1800倍大きい。この結果は、電子がドリフトするかもしれないところ、磁気場ラインの上に電子が磁気的にトラップされることを許す。チャージ分離は、プラズマダイナミック・コンバーターへの電圧の供給で起こるかもしれない。」(【0194】)

コ 「B.SF-CIHTセルの固体燃料の熱量測定
熱量測定は、パー6774熱量計温度計のオプション付きのパー1341プレイン・ジャケット付熱量計を使用して、固体燃料ペレットについて行われた。熱量計のパー1108酸素燃焼チャンバは、高電流で化学反応の開始を許すように変更された。12インチの長さの銅シリンダーにより1/2インチの外径(OD)からなる銅ロッド点火電極は、固体燃料ペレット又は熱量計の熱容量のキャリブレーションのためのコントロール抵抗負荷としてのグラファイト・ペレット(?1000mg L×W×H=0.18インチ×0.6インチ×0.3インチ)を含むシールされたチャンバを通して導入されたが、ここで、端は、各サンプルを緊密に閉じ込めた銅クランプを持っていた。熱量計ウォーターバスは、2,000gのDI水で充填されていた(パーのマニュアルに従って)。固体燃料ペレットのキャリブレーション及び点火のためのパワー源は、約8V RMSの60Hzの低電圧、及び、約15,000から20,000Aの高電流の形態において、電気的エネルギーのショートバースト(short burst)を供給するテイラー・ウィンフィールドのモデルND-24-75スポット溶接機であった。固体燃料のキャリブレーション及び点火の入力エネルギーは、入力の時間に渡って積分された電圧及び電球の積として与えられた。電圧は、ナショナルインスツルメンツUSB-6210データ・アクィジッション・モジュール及びLabview VI付のPCからなるデータ・アクィジッション・システム(DAS)によって測定された。電流はまた、信号源として0.3%までの精度を持つロゴウィスキ・コイル(700mmのケーブル付のモデルCWT600LF)を使用して、同じDASによって測定された。V及びI入力データは、10 KS/sで得られ、そして、電圧アッテネーターは、USB-6210の±10Vの範囲内にアナログ入力電圧をもってくるために使用された。」(【0374】)、
「熱量計及び電極装置の較正された熱容量は、そのスポット溶接機により995Jのエネルギー入力でグラファイト・ペレットを使用して12,000J/℃であると決定された。アルミニウムDSCパン(70mg)(アルミニウム坩堝30μl、D:6.7x3(セタラム、S08/HBB37408)及びアルミニウム・カバーD:6,7、押し潰された、気密(セタラム、S08/HBB37409))内にシールされたCu(45mg)+CuO(15mg)+H_(2)O(15mg)からなる固体燃料のサンプルは、印加されたピーク60Hzの電圧の3V、及び、ピーク電流の約11,220Aで点火された。時間に渡る電圧及び電流から測定された入力エネルギーは、スポット溶接機のパワー・パルスによって全899J入力を備える波形における分裂スパイクにより示されるようにサンプルに点火するため、46Jであったが、そして、較正された熱容量を使用して点火された固体燃料から解放されたエネルギーへの熱量計の熱応答に対して計算された全出力エネルギーは、3,035.7Jであった。入力エネルギーを引き算することにより、正味のエネルギーは、0.075gのサンプルに対して、2,136.7Jであった。H_(2)Oを備えるコントロール実験において、アルミナ・パンは、その爆発(blast)において蒸発させられる以外の反応を受けなかった。XRDはまた、酸化アルミニウムの形成を示さなかった。このようにして、理論化学反応エネルギーは、ゼロであったが、固体燃料は、ハイドリノの形成において28,500J/gの過剰エネルギーを生成した。」(【0375】)、
「C.光起電力パワー変換
アルミニウムDSCパン(70mg)(アルミニウム坩堝30μl、D:6.7×3(セタラム、S08/HBB37408)及びアルミニウム・カバーD:6,7、押し潰された、気密(セタラム、S08/HBB37409))内にシールされたCu(45mg)+CuO(15mg)+H_(2)O(15mg)からなる固体燃料サンプルは、印加されたピーク60Hzの電圧の3-6V及びピーク電流の約10,000-15,000Aで点火された。可視スペクトルは、オーシャンオプティクスの可視分光計(オーシャンオプティクス・ジャズ、ILX511b 検出器付き、OFLV-3 フィルター、L2 レンズ、5umスリット、350-1000nm)で記録された。スペクトルは、約6000Kの黒体にフィットする。太陽の黒体温度は5800Kである。太陽及びSF-CIHTプラズマは共に5800K-6000Kであるので(図40)、また、太陽が地球で1000W/m^(2)の標準黒体であるので、太陽電池はパワーメーターとして機能した。点火中心から太陽電池への与えられた距離でプラズマの光パワー密度は、太陽のそれに対してプラズマ源に応答する相対的な太陽電池パワー密度に基づき計算された。プラズマ源の全光パワーは、そして、パワー密度及びその密度が決定された球の殻の立体角面積を掛け算することにより計算された。」(【0376】)、
「標準光源として1000W/m^(2)の太陽光のパワーを取って、多結晶太陽光パネルの効率は決定された。その面積だけでなく単結晶太陽光について記録されたエネルギー、及び、秒あたり150,000フレームの高速ビデオにより決定される20usの点火の事象の継続時間、を使用して、プラズマのパワー密度が6×10^(6)W/m^(2)であると決定された。プラズマの光パワーは、オーシャンオプティクスの可視分光計で確認された。標準ポイント源のそれとパワー光源をマッチさせるため、スペクトル強度という結果になったプラズマ中心からの光ファイバー・ケーブルの入口の分離距離は、決定された。そして、プラズマ源のパワーは、分離距離の二乗によって標準パワーを補正することにより与えられた。典型的な分離距離は、700cmのような大きいものであった。」(【0377】)、
「点火中心及び太陽光パネルの間の距離である、10インチの半径での立体角球面積で、パワー密度を掛け算することにより、プラズマの全光パワーが0.8m^(2)×6×10^(6)W/m^(2)=4.8×10^(6)W光パワーであると決定された。爆発(blast)継続期間の20usに全パワーを掛け算することにより与えられる全エネルギーは、(4.8×10^(6)W)(20×10^(-6)s)=96Jであった。固体燃料の爆発により解放される典型的な熱量測定的に測定されたエネルギーは、約1000Jであった。記録された光エネルギーのより少ない量は、速い点火発光を不利な立場に置く単結晶太陽電池の遅い応答時間のためであると考慮された。GaAsセルは、より妥当であるかもしれない。」(【0378】)、
「D.プラズマダイナミック・パワー変換
0.05ml(50mg)のH_(2)Oが、アルミニウム DSC パン(アルミニウム坩堝30μl、D:6.7x3(セタラム、S08/HBB37408)及びアルミニウム・カバーD:6,7、押し潰された、気密(セタラム、S08/HBB37409))内にシールされた20mgのCo_(3)O_(4)又はCuOのいずれかに加えられた。テイラー・ウィンフィールドのモデルND-24-75スポット溶接機を使用して、各サンプルは、5/8インチ外径(OD)×3インチ長さの銅シリンダーからなる点火電極に印加された約8V RMSで、15,000から25,000Aの間の電流で点火されたが、ここで、フラットな端がサンプルを閉じ込めた。大きなパワー・バースト(power burst)が、観察され、エネルギーを持つ、高くイオン化した、膨張するプラズマとして、各サンプルが蒸発させられた。PDC電極は、2つの1/16インチ OD 銅ワイヤからなった。磁化されたPDC電極は、燃料サンプルの平面内において、点火電極の周りに囲むように置かれた1インチの直径を備えるオープン・ループ(open loop)として、成形された。電流は軸方向であったので、高電流からの磁場は、半径方向で、ループPDC電極の輪郭に平行であった。対向する非磁化されたPDC電極は、点火電極及び高電流の方向に平行であり、そして、そのようにして、半径方向の磁力線は、このPDC電極に対して垂直であった。対向するPDC電極は、サンプルの平面から上及び下に、2.5インチ延びていた。PDC電圧は、標準の0.1オームの抵抗器を渡って測定された。対応する点火に続くPDC電極の電圧は、25Vであった。」(【0384】)、
「F.分子ハイドリノの分光学的同定
0.05ml(50mg)のH_(2)Oは、アルミニウムDSCパン(アルミニウム坩堝30μl、D:6.7x3(セタラム、S08/HBB37408)及びアルミニウム・カバーD:6,7、押し潰された、非気密(セタラム、S08/HBB37409))内にシールされた、20mgのCo_(3)O_(4)又はCuOのいずれかに追加され、そして、テイラー・ウィンフィールドのモデルND-24-75スポット溶接機を使用して、約8V RMSで、15,000から25,000Aの間の電流で点火された。各々がエネルギーの高い、高くイオン化された、膨張するプラズマとして、サンプルを蒸発させた、大きなパワー・バースト(power burst)が観察された。MoCuホイル確認プレート(50-50at%、アメテック、0.020インチ 厚み)は、膨張するプラズマが、H_(2)(1/4)分子を表面の中に埋め込むため、表面の上に入射するように、点火サンプルの中心から3.5インチのところに置かれた。」(【0387】)、
「マクロモードで780nmのダイオードレーザーを備えるサーモ・サイエンティフィックDXRスマートラマン(Thermo Scientific DXR SmartRaman)を使用して、40cm^(-1)のブロードな吸収ピークが、H_(2)(1/4)を含むプラズマに晒されたMoCuホイルの上で観察された。ピークは、バージン合金においては観察されず、かつ、ピーク強度はプラズマ強度及びレーザー強度の増加と共に増加した。1.33eV(780nmレーザーのエネルギー引く1950cm^(-1))での赤外線の近くのシングル40cm^(-1)(0.005eV)の吸収ができる如何なる他の元素又は化合物も知られていないので、H_(2)(1/4)が考慮された。1950cm^(-1)で開始する吸収ピークは、4桁の有効数字でH_(2)(1/4)の自由空間回転エネルギーにマッチした。そして、40cm^(-1)の幅が、軌道-核カップリング・エネルギー分裂(orbital-nuclear coupling energy splitting)にマッチする[ミルズ GUTCP]。」(【0388】)、
「ラマン・スペクトルは、アルミニウムDSCパン(アルミニウム坩堝30μl、D:6.7x3(セタラム、S08/HBB37408)及びアルミニウム・カバーD:6,7、押し潰された,気密(セタラム、S08/HBB37409))内にシールされた、CuO(30mg)+Cu(10mg)+H_(2)O(14.5mg)を各々が含む15の分離した固体燃料ペレットの15の断続的な起爆の中心から2インチ離れたところに置かれた、1gのKOH-KCl(1:1)ゲッター・サンプルについて実施された。固体燃料の各サンプルは、低電圧、高電流の電気エネルギーのショート・ブラストを印加するテイラー・ウィンフィールドのモデルND-24-75スポット溶接機で、点火された。印加された60Hz電圧は、約8Vピーク、及び、ピーク電流は約20,000Aであった。ゲッター・サンプルは、その坩堝の周りに結ばれたポリマー・メッシュ・ワイヤでカバーされたアルミナ坩堝内に収容された。メッシュは、如何なる固体反応生成物もサンプルに入ることを妨げたが、一方、ガスはそれを通過することを許した。15個の分離した固体燃料サンプルは、迅速に連続的に点火され、そして、15の暴露を蓄積したゲッターサンプルは、Arグローブ・ボックスへと移動され、そこで、乳鉢と乳棒を使用して均一に混ぜられた。40Xの倍率で、顕微モードで、HeCd 325nmレーザで、Horiba Jobin Yvon LabRAM Aramisラマン分光計を使用して、ν=1→ν=0の遷移内でH_(2)(1/4)の第2次の回転発光とマッチした、一連の1000cm^(-1)の同一エネルギー間隔のラマンピークが、観測された。特に、Q、R、及びPブランチ・ピークのQ(0)、R(0)、R(1)、R(2)、P(1)、P(2)、P(3)、P(4)、及びP(5)は、それぞれ、12,194、11,239、10,147、13,268、14,189、15,127、16,065、17,020、及び17,907cm^(-1)で観測されたが、これで、点火された固体燃料のエネルギーのあるブラスト(energetic blast)の源として、分子ハイドリノH_(2)(1/4)が確認された。」(【0406】)

(2)本願発明の技術的意義
上記(1)の各記載によれば、本願発明の技術的意義は、おおむね、次のとおりであると認められる。
ア 本願発明は、パワー発生の分野に関するものであり、光パワー、プラズマ、及び熱パワーを生成し、光-電気パワー・コンバーターにより、プラズマ-電気パワー・コンバーターにより、光-電気パワー・コンバーターにより、又は熱-電気パワー・コンバーターにより、電気エネルギーを生成する。パワー発生は、生成されたプラズマのパワーを捕獲することができるパワー発生システムに依存するかもしれない。(【0002】【0003】)。

イ プラズマは、特定の燃料の点火の間に形成されるかもしれないものであり、これらの燃料は、水又は水ベースの燃料源を含む。点火の間、プラズマ雲が形成されて、高い光パワーが解放され、この高い光パワーが、電気コンバーターによって利用され得る。(【0004】)

ウ より低いエネルギー状態を形成するように原子水素からエネルギーを放出するための触媒システムにおいて、原子水素の電子殻は、核に対してより近い位置を取り、放出されたパワーはパワー発生のために利用される。これらのエネルギー状態は、古典物理的法則により予測されるものであり、対応するエネルギー放出遷移を受けるために、水素からエネルギーを受け取る触媒を必要とする。(【0029】)
すなわち、古典的物理学によれば、水素原子等について分数の主量子数n(n=1,1/2,1/3、1/4,・・・,1/p)を持つ種が予測されるところ、結合エネルギーが13.6eV/(1/p)^(2)(pは1より大きい整数。)で表される水素原子を「ハイドリノ原子」又は「ハイドリノ」という。ハイドリノ原子の半径はa_(H)/p(a_(H)は水素原子のボーア半径)であり、当該半径のハイドリノの記号表示はH[a_(H)/p]である。なお、半径a_(H)の水素原子は、「通常の水素原子」又は「普通の水素原子」と称され、通常の原子水素は、13.6eVの結合エネルギーで特徴付けられる。(【0030】【0031】【0058】)
触媒反応は、触媒への非放射的なエネルギーの移動と、それに続いて、対応する安定な最終状態に半径が減少する際の追加のエネルギー放出とを含んでおり、電子が、水素原子の半径から、この距離の1/(m+p)の半径へと半径方向加速度を受けると、エネルギーは、特徴的な発光として、又は、第三体の運動エネルギーとして、放出される。(【0032】)
触媒的なより低いエネルギー水素への遷移は、その遷移を引き起こすために原子Hからエネルギーを受取る、27.2eVの無触媒原子水素のポテンシャルエネルギーの整数mの吸熱化学反応の形態においてであるかもしれない触媒を要求する。(【0034】)

エ H_(2)Oのポテンシャルエネルギーは、81.6eVであり、同じメカニズムにより、発生期のH_(2)Oは、触媒として機能するかもしれない。(【0056】)
そして、H_(2)Oのポテンシャルエネルギーに関する触媒反応(m=3)によれば、電子が、水素原子の半径から、この距離の1/4の半径へと半径方向加速度を受けて、エネルギーは、特徴的な発光として、又は、第三体の運動エネルギーとして放出される。H_(2)Oは、ハイドリノを形成するための触媒として機能するために、妥当な活性化エネルギーとして、単離された分子として化学的に形成されなければならない。(【0089】【0090】)

オ 1つの実施例において、直接の電気的エネルギー及び熱エネルギーの少なくとも1つを発生させるパワー・システムは、少なくとも1つの槽と、(a)発生期のH_(2)Oを含む触媒又は触媒源の少なくとも1つ、(b)原子水素又は原子水素源の少なくとも1つ、及び(c)導体及び導電性マトリクスの少なくとも1つ、を含む反応物と、ハイドリノ反応物を閉じ込める少なくとも1セットの電極と、高電流の電気エネルギーのショート・バーストをデリバリするための電気的パワー源と、再充填システムと、反応生成物から初期反応物を再生する少なくとも1つのシステムと、及び、直接的なプラズマから電気へのコンバータの少なくとも1つ及び熱から電気パワーへのコンバータの少なくとも1つと、を含む。(【0171】)
高電流の電気的エネルギーのショート・バーストをデリバリするため電気的パワーの源の電流は、ハイドリノ反応物が非常に高い速度でハイドリノを形成する反応を受けることを引き起こすのに十分である。【0177】

カ 実施例において、反応物は、金属、その金属酸化物、及びH_(2)Oの混合物を含むことができ、また、反応物は、金属、金属ハロゲン化物、及びH_(2)Oの混合物を含むことができる。(【0175】【0176】)
また、妥当な典型的な固体燃料は、オキシ水酸化物、及び、金属粉末及び炭素粉末の少なくとも1つのような導電性マトリクス、及びオプション的にH_(2)Oを含む。(【0181】)

(3)本願発明の「反応物」に係る実施例
本願発明には「反応物」が特定されているところ、本願明細書等には、その「反応物」に係る実施例として、次のものが記載されていると認められる。
ア 0.05ml(50mg)のH_(2)Oが、アルミDSCパン内にシールされた、20mg又はCo_(3)O_(4)若しくはCuOに添加されたもの。
約8V RMSで15000から25000Aの間の電流で点火された。
大きなエネルギーバーストが観測され、サンプルが蒸発したが、各々エネルギーのある高イオン化、膨張プラズマであった。(【0190】)

イ Cu(42.6mg)+CuO(14.2mg)+H_(2)O(16.3mg)を、アルミDSCパン内にシールしたもの。
上記アと同じように点火され、同様な結果を得た。(【0190】)

ウ アルミニウムDSCパン内にシールされたCu(45mg)+CuO(15mg)+H_(2)O(15mg)からなる固体燃料のサンプル。
印加されたピーク60Hzの電圧の3V、及び、ピーク電流の約11220Aで点火された。
入力エネルギーは、全899J入力のうち、46Jであったが、全出力エネルギーは、3035.7Jであった。正味のエネルギーは、0.075gのサンプルに対して、2136.7Jであった。H_(2)Oを備えるコントロール実験において、アルミナ・パンは、その爆発において蒸発させられる以外の反応を受けず、XRDは酸化アルミニウムの形成を示さなかった。理論化学反応エネルギーは、ゼロであったが、固体燃料は、ハイドリノの形成において28500J/gの過剰エネルギーを生成した。(【0374】【0375】)

エ アルミニウムDSCパン内にシールされたCu(45mg)+CuO(15mg)+H_(2)O(15mg)からなる固体燃料サンプル。
印加されたピーク60Hzの電圧の3-6V及びピーク電流の約10000から15,000Aで点火された。
プラズマの全光パワーが0.8m^(2)×6×10^(6)W/m^(2)=4.8×10^(6)W光パワーであると決定され、爆発継続期間の20usを掛け算することにより与えられる全エネルギーは、96Jであった。これに対し、固体燃料の爆発により解放される典型的な熱量測定的に測定されたエネルギーは、約1000Jであった。記録された光エネルギーのより少ない量は、速い点火発光を不利な立場に置く単結晶太陽電池の遅い応答時間のためであると考慮された。(【0376】?【0378】)

オ 0.05ml(50mg)のH_(2)Oが、アルミニウムDSCパン内にシールされた20mgのCo_(3)O_(4)又はCuOのいずれかに加えられたもの。
各サンプルは、点火電極に印加された約8V RMSで、15,000から25,000Aの間の電流で点火された。
大きなパワー・バーストが、観察され、エネルギーを持つ、高くイオン化した、膨張するプラズマとして、各サンプルが蒸発させられた。対応する点火に続くPDC(プラズマダイナミック・コンバーター)電極の電圧は、25Vであった。(【0384】【0194】)

カ 0.05ml(50mg)のH_(2)Oが、アルミニウムDSCパン内にシールされた、20mgのCo_(3)O_(4)又はCuOのいずれかに追加されたもの。
約8V RMSで、15000から25000Aの間の電流で点火された。
各々がエネルギーの高い、高くイオン化された、膨張するプラズマとして、サンプルを蒸発させた、大きなパワー・バーストが観察された。また、40cm^(-1)のブロードな吸収ピークが、H_(2)(1/4)を含むプラズマに晒されたMoCuホイルの上で観察された。ピークは、バージン合金においては観察されず、かつ、ピーク強度はプラズマ強度及びレーザー強度の増加と共に増加した。1.33eVでの赤外線の近くのシングル40cm^(-1)(0.005eV)の吸収ができる如何なる他の元素又は化合物も知られていないので、H_(2)(1/4)が考慮された。(【0387】【0388】)

キ アルミニウムDSCパン内にシールされた、CuO(30mg)+Cu(10mg)+H_(2)O(14.5mg)を各々が含む15の分離した固体燃料ペレット。
固体燃料の各サンプルは、印加された60Hz電圧は、約8Vピーク、及び、ピーク電流は約20000Aで、点火された。
固体燃料サンプルは、迅速に連続的に点火され、そして、15の暴露を蓄積したゲッターサンプルにより、ラマン分光計を使用して、ν=1→ν=0の遷移内でH_(2)(1/4)の第2次の回転発光とマッチした、一連の1000cm^(-1)の同一エネルギー間隔のラマンピークが、観測された。特に、Q、R、及びPブランチ・ピークのQ(0)、R(0)、R(1)、R(2)、P(1)、P(2)、P(3)、P(4)、及びP(5)は、それぞれ、12194、11239、10147、13268、14189、15127、16065、17020、及び17907cm^(-1)で観測されたが、これで、点火された固体燃料のエネルギーのあるブラストの源として、分子ハイドリノH_(2)(1/4)が確認された。(【0406】)

2 判断
(1)実施可能要件違反について
ア 物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、同法第36条第4項第1号の「その実施をすることができる」とは、その物を作ることができ、かつ、その物を使用できることであり、物の発明については、明細書にその物を生産する方法及び使用する方法についての具体的な記載が必要であるが、そのような記載がなくても、明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき、当業者がその物を作ることができ、かつ、その物を使用できるのであれば、上記の実施可能要件を満たすということができる。
さらに、ここにいう「使用できる」といえるためには、本願発明に係る物について、例えば発明が目的とする作用効果等を奏する態様で用いることができるなど、少なくとも何らかの技術上の意義のある態様で使用することができることを要するというべきである。

イ これを本願発明についてみると、本願発明は「パワー・システム」に係るものであって、上記1(2)アのとおり、パワー発生の分野に関し、電気エネルギーを生成するためのものであるから、入力されたエネルギーよりも出力されたエネルギーが、少なくとも原理上においては、大きくなるといえるものでなければ、技術上の意義を観念し難いものである。
そして、本願発明の「反応物」は、「a) 金属、金属ハロゲン化物、及びH_(2)Oの混合物」、「b) 金属、金属酸化物、及びH_(2)Oの混合物」、「c) 金属、金属オキシ水酸化物、及びH_(2)Oの混合物」又は「d) 金属酸化物及びH_(2)Oの混合物」(以下、それぞれ、「a反応物」、「b反応物」、「c反応物」又は「d反応物」ということがある。)を含むものであるところ、これらの各反応物について、具体的な金属元素についての特定はなされておらず、あらゆる金属元素であってよいことが理解できる。
そうすると、本願発明の実施をすることができるというためには、本願発明に係る「パワー・システム」が、当業者であれば、本願明細書等の記載及び技術常識に基づき、これらの各反応物の全体について、入力されたエネルギーよりも出力されたエネルギーが、少なくとも原理上においては、大きくなるといえる態様(「入力されたエネルギーよりも出力されたエネルギーが、少なくとも原理上においては、大きくなるといえる態様」を、以下「過剰エネルギー態様」という。)で用いることができることを要すると解される。

ウ そこで、本願発明の「反応物」に含まれる各反応物の全体について、当業者であれば、本願明細書等の記載及び技術常識に基づき、過剰エネルギー態様で用いることができるか否かを、事案にかんがみ、b反応物、d反応物、a反応物及びc反応物の順に検討する。
(ア)b反応物について
a b反応物は、その特定事項の文言や【0175】に「反応物は、金属、その金属酸化物、及びH_(2)Oの混合物を含むことができる」と記載されていることからみて、「金属」に係る元素と「金属酸化物」における「金属」に係る元素とが同じである態様(このような態様に係るb反応物を、以下「特定b反応物」という。)を主に想定したものであると解される。そして、この理解は、上記1(3)で認定した本願発明の反応物に係る実施例のうち「b反応物」に係るものがもっぱら「Cu」と「CuO」と「H_(2)O」からなることからも、首肯される。
しかしながら、技術常識に照らしては、特定b反応物の全体についての本願発明に係る「パワー・システム」を、過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。すなわち、本願発明に係る「パワー・システム」に入力されるエネルギーは、「高電流電気エネルギーのショック・バースト」であるところ、特定b反応物に該当するいかなる混合物であっても、高電流を印加しただけで、何らかの化学反応が生じるとはいえないし、本願発明の特定事項は、特定b反応物をそのような化学反応が生じる態様に限定するものでもない。
他方で、本願明細書等の記載をみると、上記1(2)ウ及びエで認定したとおり、古典物理的法則に予測されるハイドリノ原子の存在を前提としたエネルギー発生原理(以下「本件エネルギー発生原理」という。)が開示されており、本件エネルギー発生原理に基づけば、特定b反応物に高電流を印加することにより、過剰エネルギー態様で用いることができるとみる余地がある。
そうすると、本願明細書等に記載された本件エネルギー発生原理が妥当といえるのであれば、特定b反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができると評価する余地が生じることになる。もっとも、本件エネルギー発生原理が妥当といえるかどうかは、以上の意味において問題となるのであって、仮に、本件エネルギー発生原理が妥当とはいえなくても、そのことによりただちに、特定b反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえないとの帰結をもたらすものではなく、本願明細書等に記載された特定b反応物に係る実施例に着目して、その実施例を過剰エネルギー態様で用いることができるのであれば、本願明細書等の記載に基づいて、特定b化合物の全体についての本願発明の実施をすることができると評価する余地が生じることになる。

b そこで、まず、本件エネルギー発生原理について検討する。
本件エネルギー発生原理は、上記1(2)ウで認定したとおり、ハイドリノ原子の存在を前提としたものであるところ、ハイドリノ原子は、水素原子等について分数の主量子数の状態を意味するものである。
しかしながら、量子力学として確立した技術常識によれば、水素原子の主量子数は正の整数であることを要するから、ハイドリノ原子の存在は、このような技術常識に反することが明らかである。
この点、本願明細書等には、上記1(3)キのとおり、アルミニウムDSCパン内にシールされた、CuO(30mg)+Cu(10mg)+H_(2)O(14.5mg)を各々が含む15の分離した固体燃料ペレットを点火することにより、分子ハイドリノH_(2)(1/4)に由来するラマンピークが観測された旨の記載がある。しかしながら、当該記載は、単に検出結果を羅列してあるにすぎないものであって、この検出結果が、環境からの侵入や検出器の電圧又は温度変動などを原因とするノイズの誤認でないことの確認が具体的になされているものではない。さらに、ハイドリノ原子の存在が量子力学として確立した技術常識に明らかに反することからすれば、この検出結果により直ちにハイドリノ原子の存在が立証されたとはいい難いというべきである。
なお、本願明細書等には、特定b反応物以外の反応物について、ハイドリノに由来したピークが観測された旨の記載があるが、上記と同様の理由により、これをもって、ハイドリノ原子の存在が立証されたとはいえないし、いずれにせよ、特定b反応物についてハイドリノ原子の生成反応が生じたことを立証するものではない。
このように、ハイドリノ原子の存在は、量子力学として確立した技術常識に明らかに反するものである上、本願明細書等の記載によっても、ハイドリノ原子の生成反応が生じたことが立証されているとはいえないから、本件エネルギー発生原理は、妥当とはいえない。
よって、本件エネルギー発生原理の妥当性を根拠として、特定b反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができるということはできない。

c 次に、特定b反応物に係る実施例を過剰エネルギー態様で用いることができるかどうかについて検討する。
特定b反応物に係る実施例(上記1(3)イ、ウ、エ及びキ)では、「金属」がもっぱらCuとされているところ、このような特定b反応物に高電流を印加したことをもって、原理上、入力されたエネルギーよりも出力されたエネルギーが大きくなるようにできるとは考えにくく、このことは、【0375】に「理論化学反応エネルギーは、ゼロであった」と記載されているとおりでもある。
この点、特定b反応物に係る実施例のうち、上記1(3)ウのものには、過剰エネルギーの生成に係る記載がある。しかしながら、当該記載は、単に検出結果を羅列してあるにすぎないものであって、仮にアルミナ・パンが爆発したのだとしても、反応物及びアルミナ・パンその他の残滓が具体的にどうなったのかが確認されておらず、また、XRDが酸化アルミニウムの形成を示さなかったことについての具体的な確認方法も不明である。そうすると、当該実施例からは、特定b反応物に高電流を印加したことをもって、過剰エネルギー態様で用いることができることが立証されたということはできない。
また、特定b反応物に係る他の実施例は、そもそも過剰エネルギーの生成を確認したと記載されるものではないが、それを措くとしても、上記と同様の指摘が成り立つといえる。
よって、特定b反応物に係る実施例を過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。

d 以上によれば、当業者は、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、特定b反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。そして、上記aのとおり、b反応物としては主に特定b反応物が想定されているところ、仮に本願発明のb反応物が特定b反応物以外のものを含むとしても、そのようなb反応物の全体について、過剰エネルギー態様で用いることができるのかは、本件エネルギー発生原理が妥当とはいえない以上、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいても不明である。
よって、当業者は、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、b反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。

e また、仮に、特定b反応物に係る実施例を過剰エネルギー態様で用いることができるとしても、当該実施例に該当しないb反応物については、本件エネルギー発生原理が妥当ではないことを踏まえれば、本願明細書等の記載及び技術常識に照らしても、過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえないことになる。
よって、この意味においても、当業者は、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、b反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。

(イ)d反応物について
a d反応物は、b反応物から「金属」を除外しただけであることを踏まえれば、上記(ア)aで説示したことと同様に、技術常識に照らしては、d反応物についての本願発明に係る「パワー・システム」も、過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。
そのため、d反応物についても、本願明細書等に記載された本件エネルギー発生原理及びd反応物に係る実施例が問題になる。

b 本件エネルギー発生原理がd反応物について妥当するかについては、上記1(3)カの0.05ml(50mg)のH_(2)Oが、アルミニウムDSCパン内にシールされた、20mgのCo_(3)O_(4)又はCuOのいずれかに追加された燃料に係る実施例が問題となる。しかしながら、上記(ア)bで説示したことと同様に、当該実施例についても、単に検出結果が羅列されているにすぎず、この検出結果により直ちにハイドリノ原子の存在が立証されたとはいい難いというべきである。

c d反応物に係る実施例(上記1(3)ア、オ及びカ)については、過剰エネルギーの生成を確認したと記載されるものはなく、また、それを措くとしても、上記ウ(ア)cで説示したことと同様の指摘が成り立つ。
よって、d反応物に係る実施例を過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。

d さらにいえば、d反応物は、金属が含まれていないことから、同じ電流値を得るために必要な入力エネルギーがより高くなると考えられ、b反応物に比べて、より過剰エネルギー態様の実現が困難といえるものでもある。

e よって、当業者は、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、d反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。

f また、仮に、d反応物に係る実施例を過剰エネルギー態様で用いることができるとしても、上記(ア)eと同様の理由で、当該実施例に該当しないd反応物については、本願明細書等の記載及び技術常識に照らしても、過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。
よって、この意味においても、当業者は、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、d反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。

(ウ)a反応物及びc反応物について
a反応物の全体及びc反応物の全体についての本願発明に係る「パワー・システム」を、過剰エネルギー態様で用いることができるといえる技術常識を示す証拠はないから、これらの反応物についても、本願明細書等に記載された本件エネルギー発生原理及び実施例が問題になる。
しかしながら、これらの反応物については、本願明細書等に実施例が存在しない。また、そのことを措き、本願明細書等に記載された他の実施例等をみるとしても、上記ウ(ア)b及びcで説示したことと同様の指摘が成り立つ。
よって、当業者は、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、a反応物の全体及びc反応物の全体について過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。

(エ)小括
以上によれば、当業者は、a反応物、b反応物、c反応物及びd反応物のいずれについても、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、過剰エネルギー態様で用いることができるとはいえない。

エ よって、本願発明は、技術上の意義のある態様で使用することができるものではないから、当業者が、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、本願発明に係る物を使用できるとはいえない。
したがって、当業者は、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、本願発明の実施をすることができるとはいえない。

オ これに対し、請求人は、次のように主張するが、いずれも失当である。
(ア)請求人は、本願発明に係る物を構成する「パワー・システム」、「槽」、「反応物」、「電極」、「電気的パワーの源」及び「プラズマ・ダイナミック・コンバーター又は光起電力コンバーター」は、当業者であれば、本願明細書等の記載及び技術常識を考慮して準備できるから、本願発明に係る物は、本願明細書等の記載に基づき、作ることができ、使用することができるのであり、よって、請求項に記載のない「ハイドリノ理論」について、検討するまでもなく、本願発明は実施可能である旨主張する。
しかしながら、本願発明に係る物について「使用できる」といえるためには、上記アで説示したとおり、少なくとも何らかの技術上の意義のある態様で使用することができることを要するというべきであるから、請求人の主張した事実をもって、本願発明に係る物を使用することができることにはならない。
請求人は、明細書に容易に発明を実施することができる程度にその発明の目的、効果が記載されている以上、その理論的根拠までを明らかにする必要はない旨主張するが、上記ウ(ア)aで説示したとおり、当審は、理論的根拠が明らかであれば、本願発明の実施をすることができるとみる余地があるという意味において、それを検討したのであり、理論的根拠が明らかでないから、本願発明の実施をすることができるとはいえないと判断したものではない。そして、当業者が、本願明細書等の記載及び技術常識に基づいて、本願発明の実施をすることができるとはいえないことは、上記ウ及びエで説示したとおりである。

(イ)請求人は、発明者の理論についての第三者のレポートとして、「ブリリアント・ライト・パワーでの固体ペレットウォーターバス熱量計のパワー出力、固体ペレットの熱出力、及びSunCell(登録商標)の出力パワーに関するレポート」(翻訳)と題する書面(以下「レポート1」という。)、「SF-CIHT技術の検証」(翻訳)と題する書面(以下「レポート2」という。)及び「銀河の中心からの511keVの信号及びその可能な結果を説明する新しい方法」(翻訳)と題する論文(以下「レポート3」という。)を提出した上で、基底状態よりも小さい水素が存在しないということは、当業者にとって必ずしも真実とはいえない旨主張する。
しかしながら、レポート1は、水が含まれていない反応物を対象とするものであるし、アルゴン-水素雰囲気といった特定の環境を前提としている(翻訳文3頁12行?14行、10頁1行?3行及び11頁下から5行?下から4行等を参照。)ことから、本願発明の実施態様とはいえないものである。
また、レポート1及び2ともに、反応により発生した熱量やスペクトルが検討されているものの、上記ウ(ア)b及びcで説示したことと同様に、これらの検出が他の要因に起因する可能性につき詳細かつ具体的に確認がなされたものではない上、ハイドリノ原子の存在が量子力学として確立した技術常識に明らかに反することからすれば、これらの検出結果により直ちにハイドリノ原子の存在が立証されたとはいい難いというべきである。
さらに、レポート1及び2は、請求人が行った実験を、レポートの作成者が見学した記録であって(レポート1の翻訳文3頁1行?10行、レポ-ト2の翻訳文2頁2行?4行)、独立した第三者による検証とはいえないから、これらのレポ-トが本願明細書等の記載内容を裏付ける程度には限界があると言わざるを得ない。一方で、本願発明に係る物が使用できるか否かの確認は、大がかりな装置や特殊な試料を必要としないことから、さほどの困難があるとは考えられないにも関わらず、請求人は、独立した第三者による実験成績証明書等を提出しない。
また、レポート3は、銀河の中心からの511keVの信号などを説明するために小さな水素原子(本願明細書等でいうハイドリノに相当するものと解される。)の存在を仮定するものであるが、ハイドリノの存在を実証するものではない。
そうすると、これらのレポートによって、上記ウ及びエの判断が左右されるとはいえない。

カ 以上によれば、本願の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえないから、本願は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(2)サポート要件違反について
ア 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

イ これを本願発明についてみると、まず、本願発明の解決しようとする課題(以下「本件課題」という。)は、【0002】?【0004】の記載からみて、水又は水ベースの燃料源の点火を使用したパワー発生を実現することであると認められる。
そこで、本願発明に記載された特定事項により、当業者が本件課題を解決できると認識できるか否かについて検討する。

ウ 本件課題は、パワー発生に係るものであるから、「パワー・システム」に係る本願発明が過剰エネルギー態様を少なくとも想定したものであることが明らかである。
しかしながら、本願発明の「反応物」は、a反応物、b反応物、c反応物及びd反応物のいずれについても、上記(1)ウ(エ)で説示したとおり、過剰エネルギー態様で用いることができるものとはいえない。また、仮に、本願明細書等に記載された実施例について過剰エネルギー態様で用いることができたとしても、上記(1)ウ(ア)eで説示したのと同様の理由で、当該実施例に該当しない「反応物」については、本件エネルギー発生原理が妥当ではないことを踏まえれば、本願明細書等の記載及び技術常識に照らしても、当業者は、過剰エネルギー態様で用いることができると認識することはできないことになる。
そうすると、本願発明に記載された特定事項により、当業者が本件課題を解決できると認識できるとはいえないというべきである。

エ これに対し、請求人は、本願明細書等には、各部材の形状、構造及び機能が、当業者ならば把握できる程度に記載されている旨主張するが、上記の判断を左右するものではない。

オ したがって、本願発明は発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3 むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第4項第1号及び第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲

 
審理終結日 2021-03-25 
結審通知日 2021-03-26 
審決日 2021-04-09 
出願番号 特願2016-555734(P2016-555734)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H02S)
P 1 8・ 537- WZ (H02S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹村 真一郎  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 瀬川 勝久
山村 浩
発明の名称 光起電力パワー発生システム及び同システムに関する方法  
代理人 相川 俊彦  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ