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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1377500
審判番号 不服2021-3353  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-15 
確定日 2021-09-14 
事件の表示 特願2018-514567「被監視者監視システムの端末装置、端末装置の制御方法およびプログラムならびに被監視者監視システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月 2日国際公開、WO2017/188156、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)4月21日(優先権主張 平成28年4月28日)を国際出願日とする出願であって、令和2年9月29日付けで拒絶理由が通知され、同年12月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月11日付けで拒絶査定されたところ、令和3年3月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年12月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1ないし12に係る発明は、以下の引用文献1?3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2011-5173号公報
引用文献2:特開2014-229099号公報
引用文献3:特開2015-204855号公報

第3 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明12」という。)は、令和3年3月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び12は以下のとおりである。
なお、本願発明2?9は本願発明1の端末装置を減縮した端末装置の発明、本願発明10は本願発明1とカテゴリー表現が異なるだけの制御方法の発明、本願発明11は本願発明10の制御方法を実行させるプログラムの発明である。

(本願発明1)
「 【請求項1】
端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、監視対象である被監視者に関わる所定のイベントを検知して前記イベントを前記端末装置へ通知する被監視者監視装置とを備える被監視者監視システムの前記端末装置であって、
音を出力する音出力部と、
前記イベントの通知を受けた場合に、通知音を前記音出力部から出力する通知音制御部と、
前記イベントの通知を受けた場合に、前記イベントの通知を表示する表示処理部とを備え、
前記イベントは、ナースコールを含み、
前記通知音制御部は、前記ナースコールの通知音を前記音出力部から出力中に、新たなナースコールの通知を受けた場合に、前記新たなナースコールの通知音を出力せずに前記出力中の前記ナースコールの通知音を継続する、
端末装置。」

(本願発明12)
「 【請求項12】
端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、監視対象である被監視者に関わる所定のイベントを検知して前記イベントを前記端末装置へ通知する被監視者監視装置とを備える被監視者監視システムであって、
前記端末装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の端末装置である、
被監視者監視システム。」

第4 引用文献等

1 引用文献1

(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した。以下同じ。)

(引1ア)
「【0002】
従来、病院などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病室内の患者の近辺(例えば、ベッド近傍など)に設置されたナースコール子機および医療従事者の居る部屋(例えば、スタッフルームなど)に設置されたナースコール親機を有線などにより接続して構成されている。また、ナースコール子機およびナースコール親機は、廊下灯や制御機などを介して接続されている。さらに、医療従事者が携行している複数の携帯通信端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)やコードレス電話など)は、無線を介してナースコール親機に接続されている。そして、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール親機や携帯通信端末は、自装置に設けられた報知部を動作させて、スピーカから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知している。医療従事者は、呼び出し音を聞いたり、呼び出し表示を見たりして、患者からの呼び出しを把握する。」

(引1イ)
「【0007】
一方、呼び出しが重複した場合に、予め設定しておいた優先順位に従って呼び出しを報知するナースコールシステムが知られている(例えば、特許文献2など)。特許文献2に記載のナースコールシステムでは、ベッド近傍に設置されたナースコール子機により呼び出し操作が行われ、ナースコール親機などがそのナースコール子機からの呼び出しを報知している際に、報知中の呼び出しよりも優先順位が高く設定されている呼び出し(例えば、病室のトイレに設置されたトイレ子機からの呼び出しなど)が行われると、ナースコール親機などは、後から行われた優先順位の高い呼び出しを優先して報知するようにしている。」

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)の記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 病室内の患者の近辺(例えば、ベッド近傍など)に設置されたナースコール子機および医療従事者の居る部屋(例えば、スタッフルームなど)に設置されたナースコール親機を有線などにより接続して構成され、
ナースコール子機およびナースコール親機は、制御機を介して接続され、
医療従事者が携行している複数の携帯通信端末は、無線を介してナースコール親機に接続され、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール親機や携帯通信端末は、自装置に設けられた報知部を動作させて、スピーカから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知する、ナースコールシステムであって、
呼び出しが重複した場合に、予め設定しておいた優先順位に従って呼び出しを報知するように構成され、ベッド近傍に設置されたナースコール子機により呼び出し操作が行われ、ナースコール親機や携帯通信端末がそのナースコール子機からの呼び出しを報知している際に、報知中の呼び出しよりも優先順位が高く設定されている呼び出し(例えば、病室のトイレに設置されたトイレ子機からの呼び出しなど)が行われると、ナースコール親機や携帯通信端末は、後から行われた優先順位の高い呼び出しを優先して報知するようにしている、
ナースコールシステム。」

2 引用文献2

(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。

(引2ア)
「【0002】
ビル内部の状況を監視し、ビル内部の監視情報に基づいてビル内部の設備を制御するビル監視システムが知られている。ビル監視装置(HIS:Human Interface Station)は、一般に、監視対象となるビルの状況を各設備から送信される監視情報に基づいて把握し、各設備の状況をユーザ(オペレータ)に報知する。
【0003】
従来のビル監視装置は、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、キーボード及びスピーカー等を備える。ビル監視装置は、ビル内で異常が発生すると、警報を発生し、警報が新規に発生したことをディスプレイに表示する。また、ビル監視装置は、ビル内で異常が発生すると、警報音をスピーカーで鳴動することにより、ビル内部を監視するユーザに何かしらの異常が発生したことを報知する。このビル監視装置は、異常を報知する警報の重要度によって警報音の音色を異ならせて、重要度の高い警報が発生したことを音色で判断できるようにしている。
【0004】
しかしながら、従来のビル監視装置は、例えば、設置されるスピーカーがステレオスピーカーであれば、左(L)のスピーカー及び右(R)のスピーカーからそれぞれ同じ音が鳴動していた。これは、モノラル音声または左右同じ音であるステレオ音声を鳴動させていたためである。また、従来のビル監視装置は、スピーカーで警報音が鳴動している際、より重要度の高い警報が発生すると、鳴動中の警報音を停止後、重要度の高い警報音を鳴動させなおしていた。すなわち、従来のビル監視装置は、最も重要度の高い警報音だけが鳴動されていた。
【0005】
また、従来のビル監視装置は、スピーカーで警報音が鳴動している際、鳴動している警報の重要度と同じか低い警報が発生すると、鳴動中の警報音を停止せず、鳴動中の警報音を鳴動させ続けてしまう。このため、ユーザは、新規に警報が発生したことを警報音で気づくことができなかった。」

(2)引用文献2に記載された技術事項
上記(1)の記載事項から、引用文献2には、次の技術事項が記載されていると認められる。

「 ビル内で異常が発生すると、警報音をスピーカーで鳴動することにより、ビル内部を監視するユーザに何かしらの異常が発生したことを報知するビル監視装置であって、
スピーカーで警報音が鳴動している際、より重要度の高い警報が発生すると、鳴動中の警報音を停止後、重要度の高い警報音を鳴動させなおし、鳴動している警報の重要度と同じか低い警報が発生すると、鳴動中の警報音を停止せず、鳴動中の警報音を鳴動させ続ける、ビル監視装置。」

3 引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。

(引3ア)
「【0004】
一般的に、ナースコールの種類には、一般呼出、緊急呼出、トイレ・浴室呼出等があり、緊急度や呼出理由等に応じて患者が使い分けることができる。ナースコールの呼び出しを受けたナースコール親機では、ナースコールの種類に応じた表示をしたり、ナースコールの種類に応じた呼出音を鳴らしたりすることにより、ナースコールの種類を看護師が容易に判別できるようになっている。」

第5 対比・判断

1 本願発明12について

(1)対比
本願発明12(請求項1を引用するもの)と引用発明とを対比する。

請求項1の記載を引用する本願発明12は、独立形式請求項に書き直すと、次のとおりである。
「 端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、監視対象である被監視者に関わる所定のイベントを検知して前記イベントを前記端末装置へ通知する被監視者監視装置とを備える被監視者監視システムであって、
前記端末装置は、
音を出力する音出力部と、
前記イベントの通知を受けた場合に、通知音を前記音出力部から出力する通知音制御部と、
前記イベントの通知を受けた場合に、前記イベントの通知を表示する表示処理部とを備え、
前記イベントは、ナースコールを含み、
前記通知音制御部は、前記ナースコールの通知音を前記音出力部から出力中に、新たなナースコールの通知を受けた場合に、前記新たなナースコールの通知音を出力せずに前記出力中の前記ナースコールの通知音を継続する、端末装置である、
被監視者監視システム。」

ア 引用発明の「携帯通信端末」は、本願発明12の「端末装置」に相当する。

イ 引用発明の「病室内の患者」、「呼び出し」及び「ナースコール親機」は、それぞれ、本願発明12の「監視対象である被監視者」、「所定のイベント」及び「被監視者監視装置」に相当する。
また、引用発明の「携帯通信端末」に「接続され」る「ナースコール親機」は、本願発明12の「前記端末装置と通信可能に接続され」る「被監視者監視装置」に相当する。そして、引用発明では、「ナースコール子機」と「ナースコール親機」が「接続」されているから、「携帯通信端末」は、「ナースコール親機」を介して「ナースコール子機が操作され」たことを知ることになる。よって、引用発明の「患者によりナースコール子機が操作され」たことを「携帯通信端末」に知らせる「ナースコール親機」は、本願発明12の「監視対象である被監視者に関わる所定のイベントを検知して前記イベントを前記端末装置へ通知する被監視者監視装置」に相当する。
まとめると、引用発明の「携帯通信端末」に「接続され、患者によりナースコール子機が操作され」たことを「携帯通信端末」に知らせる「ナースコール親機」は、本願発明12の「前記端末装置と通信可能に接続され、監視対象である被監視者に関わる所定のイベントを検知して前記イベントを前記端末装置へ通知する被監視者監視装置」に相当する。

ウ 引用発明の「ナースコールシステム」は、本願発明12の「被監視者監視システム」に相当する。

エ 引用発明では、「携帯通信端末は、自装置に設けられた報知部を動作させて、スピーカから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知する」から、引用発明の「音を出力」する「スピーカ」は、本願発明12の「音を出力する音出力部」に相当する。

オ 引用発明の「呼び出し音」が、本願発明12の「通知音」に相当するところ、引用発明の「携帯通信端末は、自装置に設けられた報知部を動作させて、スピーカから呼び出し音を出力させ」ることから、呼び出し音制御部を備えているといえる。よって、引用発明は、本願発明12の「前記イベントの通知を受けた場合に、通知音を前記音出力部から出力する通知音制御部」に相当する構成を備えているといえる。

カ 引用発明の「携帯通信端末は、自装置に設けられた報知部を動作させて、」「表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせ」ることから、呼び出し表示処理部を備えているといえる。よって、引用発明は、本願発明12の「前記イベントの通知を受けた場合に、前記イベントの通知を表示する表示処理部」に相当する構成を備えているといえる。

キ 上記イのとおり、引用発明の「呼び出し」は、ナースコールに係るものであるから、本願発明1の「前記イベントは、ナースコールを含み」を満たす。

すると、本願発明12と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。

(一致点)
「端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続され、監視対象である被監視者に関わる所定のイベントを検知して前記イベントを前記端末装置へ通知する被監視者監視装置とを備える被監視者監視システムであって、
前記端末装置は、音を出力する音出力部と、
前記イベントの通知を受けた場合に、通知音を前記音出力部から出力する通知音制御部と、
前記イベントの通知を受けた場合に、前記イベントの通知を表示する表示処理部とを備え、
前記イベントは、ナースコールを含む、
被監視者監視システム。」

(相違点)
通知音制御部は、本願発明1では、「前記ナースコールの通知音を前記音出力部から出力中に、新たなナースコールの通知を受けた場合に、前記新たなナースコールの通知音を出力せずに前記出力中の前記ナースコールの通知音を継続する」のに対し、引用発明では、「ナースコール子機からの呼び出しを報知している際に、報知中の呼び出しよりも優先順位が高く設定されている呼び出し(例えば、病室のトイレに設置されたトイレ子機からの呼び出しなど)が行われると、」「後から行われた優先順位の高い呼び出しを優先して報知する」点。

(2)判断
上記相違点について検討する。

ア 引用文献2は、「第4」2(2)の技術事項を踏まえると、「スピーカーで警報音が鳴動している際、より重要度の高い警報が発生すると、鳴動中の警報音を停止後、重要度の高い警報音を鳴動させなおし、鳴動している警報の重要度と同じか低い警報が発生すると、鳴動中の警報音を停止せず、鳴動中の警報音を鳴動させ続ける」というものであって、上記相違点に係る本願発明12の構成、すなわち、「前記ナースコールの通知音を前記音出力部から出力中に、新たなナースコールの通知を受けた場合に、前記新たなナースコールの通知音を出力せずに前記出力中の前記ナースコールの通知音を継続する」点について記載も示唆もない。
また、上記相違点に係る本願発明12の構成は、引用文献3(「第4」3参照。)に記載も示唆もなく、周知である証拠も発見されていない。

イ そして、本願発明12は、「通知音の1フレーズが終了しないうちに、新たな通知があった場合でも、前記新たな通知に応じて通知音が最初から新たに出力されない。このため、上記端末装置は、通知音の1フレーズが終了しないうちに、新たな通知があった場合でも、耳障りさや煩わしさを低減できる」という効果を奏するものである(【0130】参照)。

ウ したがって、本願発明12は、当業者であっても引用発明及び引用文献2、3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明1?11について
本願発明1?11は、本願発明12の上記相違点に係る構成を実質的に備えるものであるから、本願発明12と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2、3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について
上記「第5」で検討したように、本願発明1ないし12は、拒絶査定において引用された引用文献1?3に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-08-30 
出願番号 特願2018-514567(P2018-514567)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 右▲高▼ 孝幸  
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
渡戸 正義
発明の名称 被監視者監視システムの端末装置、端末装置の制御方法およびプログラムならびに被監視者監視システム  
代理人 小谷 昌崇  
代理人 小谷 悦司  
代理人 櫻井 智  
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