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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  G06F
管理番号 1377641
審判番号 無効2020-800105  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-11-05 
確定日 2021-09-06 
事件の表示 上記当事者間の特許第6539374号発明「訃報情報配信システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯

本件無効審判の請求に係る特許第6539374号(以下、「本件特許」という。)は、平成30年4月4日(優先権主張 平成29年4月6日、平成29年7月20日、平成30年2月1日)の出願であって、令和元年5月29日付けで特許査定がされ、同年6月14日に請求項1?10に係る本件特許の特許権の設定の登録がされたものである。
これに対して、ライフエンディングテクノロジーズ株式会社により、令和2年11月5日に、本件特許を無効とすることについて本件無効審判の請求がなされたところ、その審判における手続の経緯は、概略、次のとおりである。
令和2年11月 5日 審判請求
令和3年 1月25日付け 答弁書
同年 5月13日付け 審理事項通知
同年 5月21日付け (被請求人)口頭審理陳述要領書
同年 6月 7日付け (請求人)上申書
同年 6月 8日付け (被請求人)上申書
同年 6月15日付け 口頭審理中止通知

なお、令和3年6月15日付けの口頭審理中止通知は、令和3年6月7日付けで請求人から本件無効審判について書面審理を要望するとともに、請求人としての今後の手続を一切放棄する旨の申立てがあったこと、及び令和3年6月8日付けで被請求人から本件無効審判について書面審理を要望する旨の申立てがあったことに基づき、本件無効審判について口頭審理を中止し、書面審理によるものとする旨を通知したものである。

第2 本件特許発明
本件無効審判に係る、本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」という。)は、それぞれ、本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される発明であり、本件特許発明1及び本件特許発明2は、以下のとおりのものである。(なお、分説記号A?Wは、審判請求書記載のとおりである。)

【請求項1】
A.葬儀社端末と、運営者のサーバーと、喪家の第一携帯端末と、参列者の第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システムであって、
B.前記葬儀社端末は、
C.故人名や式の内容等である訃報情報を入力する入力手段と、
D.前記入力された訃報情報を前記サーバーに送信する送信手段と、を備えるとともに、
E.前記サーバーは、
F.前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段と、
G.前記ウェブページのURL、又は前記ウェブページのURLを二次元コード化したその二次元コードのうち少なくともいずれか一方を表示する電子書類を作成する電子書類作成手段と、
H.前記電子書類を前記葬儀社端末に送信する返信手段と、を備え、
I.前記ウェブページには、前記URLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成され、
J.プリンターを介して前記電子書類を紙に出力させる出力制御手段と、
K.前記紙に記載された前記URL又は前記二次元コードから前記第一携帯端末で前記ウェブページにアクセスされるとともに前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に前記第一携帯端末内にあるリストを使用して前記第二携帯端末が選択されることで、前記ウェブページのURLを前記第二携帯端末と共有可能な共有手段をさらに備える
L.ことを特徴とする訃報情報配信システム。

【請求項2】
M.葬儀社端末と、運営者のサーバーと、喪家の第一携帯端末と、参列者の第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システムであって、
N.前記葬儀社端末は、
O.故人名や式の内容等である訃報情報を入力する入力手段と、
P.前記入力された訃報情報を前記サーバーに送信する送信手段と、を備えるとともに、
Q.前記サーバーは、
R.前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段と、
S.前記ウェブページのURL、又は前記ウェブページのURLを二次元コード化したその二次元コードのうち少なくともいずれか一方を表示する電子書類を作成する電子書類作成手段と、
T.前記電子書類を前記葬儀社端末に送信する返信手段と、を備え、
U.前記ウェブページには、前記URLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成され、
V.前記電子書類に表示された前記URL又は前記二次元コードから前記第一携帯端末で前記ウェブページにアクセスされるとともに前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に前記第一携帯端末内にあるリストを使用して前記第二携帯端末が選択されることで、前記ウェブページのURLを前記第二携帯端末と共有可能な共有手段をさらに備える
W.ことを特徴とする訃報情報配信システム。

第3 請求人の主張
1 請求の趣旨(審判請求書2ページ4行?6行)
請求人の主張する審判請求の趣旨は、次のとおりである。

特許第6539374号発明の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。

2 無効理由(審判請求書6ページ1行?6行)
請求人が主張する無効理由の概要は、次のとおりである。

本件特許の請求項1及び2に係る発明(「本件特許発明1」及び「本件特許発明2」)は、甲第1号証?甲第4号証に記載された発明に基づいて、出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

3 請求人の主張の概要
請求人は、審判請求書により、概ね下記(1)?(4)のとおり主張している。また、令和3年6月7日付けの上申書により、下記(5)のように申し立てている。

(1)本件特許発明について(審判請求書6ページ8行?7ページ19行)

本件特許発明1及び2は、本件特許第6539374号の願書に添付した特許請求の範囲の当該各請求項に記載されたとおりのものである。

(2)引用発明について(審判請求書2ページ7行?5ページ13行、7ページ27行?15ページ18行)

ア 甲第1号証に記載された発明
請求人は、甲第1号証の記載に基づいて、甲第1号証には下記「甲1発明」が記載されていると主張している。

<甲1発明>
「A.情報配信サーバ11と、クライアント端末1と、被配信者の情報端末3,5と、が通信媒体2、4を介して接続された冠婚葬祭情報配信システムであって、
B.情報配信サーバ11は、
C.冠婚葬祭イベントの発生情報Cの入力を受け付けるイベント発生入力手段16と、
D.発生情報Cに係る冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信先に配信する情報配信手段18と、を備えるとともに、
E.情報配信サーバ11は
F.冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報端末3,5に対して冠婚葬祭関係サービスの受注ページで閲覧可能にする手段と、
G.URLを含む冠婚葬祭関係業者リンク集を表示する情報公開手段32と、
H.冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末3,5に対して送信する送信手段と、を備え、
I.冠婚葬祭関係サービスの受注ページには、冠婚葬祭関係業者リンク集が表示されるように構成され、
K.システム10のホームページに形成された受信確認情報Fを表示するための受信確認画面ファイルのURLからクライアント端末1でシステム10のホームページにアクセスされるとともにクライアント端末1で表示した受信確認情報Fにおいて発生情報Cを特定するデータが入力され、さらに配信先Bとして、配信用のデータベースを作ることなく既に受信確認処理手段21内にリストアップされた配信先B毎に表示要求入力Gを受け付ける受信確認処理手段21をさらに備える
L.ことを特徴とする冠婚葬祭情報配信システム。」
及び、
「M.情報配信サーバ11と、クライアント端末1と、被配信者の情報端末3,5と、が通信媒体2、4を介して接続された冠婚葬祭情報配信システムであって、
N.情報配信サーバ11は、
O.冠婚葬祭イベントの発生情報Cの入力を受け付けるイベント発生入力手段16と、
P.発生情報Cに係る冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信先に配信する情報配信手段18と、を備えるとともに、
Q.情報配信サーバ11は
R.冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報端末3,5に対して冠婚葬祭関係サービスの受注ページで閲覧可能にする手段と、
S.公開画面ファイルのURLを表示する冠婚葬祭関係業者リンク集を管理する情報公開手段32と、
T.冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末3,5に対して送信する送信手段と、を備え、
U.冠婚葬祭関係サービスの受注ページには、冠婚葬祭関係業者リンク集が表示されるように構成され、
V.システム10のホームページに形成された受信確認情報Fを表示するための受信確認画面ファイルのURLからクライアント端末1でシステム10のホームページにアクセスされるとともにクライアント端末1で表示した受信確認情報Fにおいて発生情報Cを特定するデータが入力され、さらに配信先Bとして、配信用のデータベースを作ることなく既に受信確認処理手段21内にリストアップされた配信先B毎に表示要求入力Gを受け付ける受信確認処理手段21をさらに備える
W.ことを特徴とする冠婚葬祭情報配信システム。」

イ 甲第2号証に記載された発明
請求人は、甲第2号証の記載に基づいて、甲第2号証には下記「甲2発明」が記載されていると主張している。

<甲2発明>
「G.インターネット上のURLアドレスへのポインティング情報をコード化したQRコードを表示するPDFを生成する生成手段と、
J.印刷用にPDF形式のQRコード及びファイルの生成を実行する実行手段と、」及び、
「S.インターネット上のURLアドレスへのポインティング情報をコード化したQRコードを表示するPDFを生成する生成手段と、」

ウ 甲第3号証に記載された発明
請求人は、甲第3号証の記載に基づいて、甲第3号証には下記「甲3発明」が記載されていると主張している。

<甲3発明>
「I.他のユーザと共有したいと思うウェブページには、ウェブページに関するURLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成され、」及び、
U.他のユーザと共有したいと思うウェブページには、ウェブページに関するURLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成され、」

エ 甲第4号証に記載された発明
請求人は、甲第4号証の記載に基づいて、甲第4号証には下記「甲4発明」が記載されていると主張している。

<甲4発明>
「A.葬儀業者8と、会葬広告業者9のサーバ3と、宗家7と、関係者10のクライアント2と、がインターネット6を介して接続された葬儀情報提供システム1であって、
B.葬儀業者8は、
C.葬儀の日時や場所等の詳細な内容を宗家(喪主)7との間の打ち合わせにより決定する手段と、
D.決定された葬儀の内容を会葬公告業者9に知らせる手段と、を備えるとともに、
E.会葬広告業者9のサーバ3は、
F.知らされた葬儀の内容に基づき葬儀情報を作成する手段と、
J.登録された葬儀情報に対応する固有の検索番号を発行する手段と、
L.ことを特徴とする葬儀情報提供システム1。」
及び、
「M.葬儀業者8と、会葬広告業者9のサーバ3と、宗家7と、関係者10のクライアント2と、がインターネット6を介して接続された葬儀情報提供システム1であって、
N.葬儀業者8は、
O.葬儀の日時や場所等の詳細な内容を宗家(喪主)7との間の打ち合わせにより決定する手段と、
P.決定された葬儀の内容を会葬公告業者9に知らせる手段と、を備えるとともに、
Q.会葬広告業者9のサーバ3は、
R.知らされた葬儀の内容に基づき葬儀情報を作成する手段と、
W.ことを特徴とする葬儀情報提供システム1。」

(3)対比・判断(審判請求書5ページ14行?28行、15ページ19行?19ページ6行)

ア 本件特許発明1について
請求人は、以下のように、本件特許発明1と甲1発明とを対比して、一致点及び相違点を主張し、相違点についての検討を行っている。(審判請求書15ページ19行?17ページ15行)

(ア)本件特許発明1と甲1発明との対比
甲1発明における「情報配信サーバ11と、クライアント端末1と、被配信者の情報端末3,5と、が通信媒体2、4を介して接続された冠婚葬祭情報配信システム」、「情報配信サーバ11」、「イベント発生入力手段16」、「情報配信手段18」、「情報配信サーバ11」、「冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報端末3,5に対して冠婚葬祭関係サービスの受注ページで閲覧可能にする手段」、「情報公開手段32」、「冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末3,5に対して送信する手段」は、夫々、本件特許発明1における「葬儀社端末と、運営者のサーバーと、喪家の第一携帯端末と、参列者の第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システム」、「前記葬儀社端末」、「入力手段」、「送信手段」、「前記サーバー」、「前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段」、「電子書類作成手段」、「返信手段」に相当する。
また、甲1発明における「冠婚葬祭関係サービスの受注ページ」と、本件特許発明1における「ウェブページ」とは、「URLを含むリンクを表示する」点で共通する。
また、甲1発明における「受信確認処理手段21」と、本件特許発明1における「共有手段」とは、「URLから携帯端末で表示した前記ウェブページにおいてデータが入力され、さらに配信先として、配信用のデータベースを作ることなく既にあるリストを使用して配信先が選択される」点で共通する。

したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「A.葬儀社端末と、運営者のサーバーと、喪家の第一携帯端末と、参列者の第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システムであって、
B.前記葬儀社端末は、
C.故人名や式の内容等である訃報情報を入力する入力手段と、
D.前記入力された訃報情報を前記サーバーに送信する送信手段と、を備えるとともに、
E.前記サーバーは、
F.前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段と、
G’.URLを含む冠婚葬祭関係業者リンク集を表示する手段と、
H’.冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末に対して送信する送信手段と、を備え、
I’.前記ウェブページには、冠婚葬祭関係業者リンク集が表示されるように構成され、
K’.URLから携帯端末で表示した前記ウェブページにおいてデータが入力され、さらに配信先として、配信用のデータベースを作ることなく既にサーバー内にあるリストを使用して配信先が選択される手段をさらに備える
L.ことを特徴とする訃報情報配信システム。」

そして、両者は以下の点で相違する。
相違点1(G、H):
本件特許発明1は「URLを二次元コード化した電子書類を作成する」ものであるが、甲1発明はかかる構成を備えない点。

相違点2(J):
本件特許発明1は「プリンターを介して前記電子書類を紙に出力させる」ものであるが、甲1発明はかかる構成を備えない点。

相違点3(I、K):
本件特許発明1は「他の端末と共有可能な共有ボタン」を備えるものであるが、甲1発明はかかる構成を備えない点。

(イ)相違点の検討
相違点1、2について:
甲第2号証には、インターネット上のURLアドレスへのポインティング情報をコード化したQRコードを表示するPDFを生成する生成手段と、印刷用にPDF形式のQRコード及びファイルの生成を実行する実行手段と、が記載されており、URLをQRコードでコード化し、印刷用にQRコードを記載したPDFを生成させることは周知技術である。また、PDFファイルを送信することも、データ転送の技術分野における周知技術である。なお、プリンターを介して紙に出力して提供するか、PDFファイルで提供するかは、システムを具現化する際に適宜選択される設計的事項に過ぎない。
従って、甲1発明に甲第2号証を適用することは、当業者が容易に想到し得うることである。

相違点3について:
甲第3号証には、他のユーザと共有したいと思うウェブページには、ウェブページに関するURLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成されることが記載されており、ウェブページにおいて、共有ボタンが表示される構成、及び当該共有ボタンが選択されることで、ウェブページのURLをSNS又は電子メールで共有する構成は周知技術である。かかる周知の共有化技術を採用して、甲第4号証に記載の宗家7が、携帯端末を利用し、葬儀情報を共有するようにすることに格別の困難性はない。また、甲第4号証に記載の葬儀業者8が葬儀社端末を利用して、各連絡のための手段をシステム化することは、当業者が適宜設計し得る事項である。
従って、甲1発明に甲第3号証及び甲第4号証を適用することは、当業者が容易に想到し得うることである。

従って、本件特許発明1は、甲1発明、並びに、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証記載の事項に基づいて容易に想到し得るものである。

イ 本件特許発明2について
請求人は、以下のように、本件特許発明2と甲1発明とを対比して、一致点及び相違点を主張し、相違点についての検討を行っている。(審判請求書17ページ16行?19ページ6行)

(ア)本件特許発明2と甲1発明との対比
甲1発明における「情報配信サーバ11と、クライアント端末1と、被配信者の情報端末3,5と、が通信媒体2、4を介して接続された冠婚葬祭情報配信システム」、「情報配信サーバ11」、「イベント発生入力手段16」、「情報配信手段18」、「情報配信サーバ11」、「冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報端末3,5に対して冠婚葬祭関係サービスの受注ページで閲覧可能にする手段」、「情報公開手段32」、「冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末3,5に対して送信する手段」は、夫々、本件特許発明2における「葬儀社端末と、運営者のサーバーと、喪家の第一携帯端末と、参列者の第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システム」、「前記葬儀社端末」、「入力手段」、「送信手段」、「前記サーバー」、「前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段」、「電子書類作成手段」、「返信手段」に相当する。
また、甲1発明における「冠婚葬祭関係サービスの受注ページ」と、本件特許発明2における「ウェブページ」とは、「URLを含むリンクを表示する」点で共通する。
また、甲1発明における「受信確認処理手段21」と、本件特許発明2における「共有手段」とは、「URLから携帯端末で表示した前記ウェブページにおいてデータが入力され、さらに配信先として、配信用のデータベースを作ることなく既にあるリストを使用して配信先が選択される」点で共通する。

したがって、本件特許発明2と甲1発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「M.葬儀社端末と、運営者のサーバーと、喪家の第一携帯端末と、参列者の第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システムであって、
N.前記葬儀社端末は、
O.故人名や式の内容等である訃報情報を入力する入力手段と、
P.前記入力された訃報情報を前記サーバーに送信する送信手段と、を備えるとともに、
Q.前記サーバーは、
R.前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段と、
S’.URLを含む冠婚葬祭関係業者リンク集を表示する手段と、
T’.冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末に対して送信する送信手段と、を備え、
U’.前記ウェブページには、冠婚葬祭関係業者リンク集が表示されるように構成され、
V’.URLから携帯端末で表示した前記ウェブページにおいてデータが入力され、さらに配信先として、配信用のデータベースを作ることなく既にサーバー内にあるリストを使用して配信先が選択される手段をさらに備える
W.ことを特徴とする訃報情報配信システム。」

そして、両者は以下の点で相違する。
相違点1(S、T):
本件特許発明2は「URLを二次元コード化した電子書類を作成する」ものであるが、甲1発明はかかる構成を備えない点。

相違点2(U、V):
本件特許発明2は「他の端末と共有可能な共有ボタン」を備えるものであるが、甲1発明はかかる構成を備えない点。

(イ)相違点の検討
相違点1について:
甲第2号証には、インターネット上のURLアドレスへのポインティング情報をコード化したQRコードを表示するPDFを生成する生成手段が記載されており、URLをQRコードでコード化することは周知技術である。また、PDFファイルを送信することも、データ転送の技術分野における周知技術である。
従って、甲1発明に甲第2号証を適用することは、当業者が容易に想到し得うることである。

相違点2について:
甲第3号証には、他のユーザと共有したいと思うウェブページには、ウェブページに関するURLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成されることが記載されており、ウェブページにおいて、共有ボタンが表示される構成、及び当該共有ボタンが選択されることで、ウェブページのURLをSNS又は電子メールで共有する構成は周知技術である。かかる周知の共有化技術を採用して、甲第4号証に記載の宗家7が、携帯端末を利用し、葬儀情報を共有するようにすることに格別の困難性はない。また、甲第4号証に記載の葬儀業者8が葬儀社端末を利用して、各連絡のための手段をシステム化することは、当業者が適宜設計し得る事項である。
従って、甲1発明に甲第3号証及び甲第4号証を適用することは、当業者が容易に想到し得うることである。

従って、本件特許発明2は、甲1発明、並びに、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証記載の事項に基づいて容易に想到し得るものである。

(4)むすび(審判請求書19ページ7行?12行)
以上のとおり、本件特許発明1及び2は、甲1発明、並びに、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証記載の事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、本件特許は無効とすべきものである。

(5)令和3年6月7日付け上申書
請求人は、「今後の手続を一切放棄する」と申立て、これにより、審理事項通知書の当審の暫定的見解については、一切の反論がなかった。

4 証拠方法
請求人は、審判請求書とともに甲第1号証?甲第4号証を証拠方法として提出した。
甲第1号証:特開2001-318999号公報
甲第2号証:特表2016-536702号公報
甲第3号証:特表2014-532219号公報
甲第4号証:特開2001-306723号公報

第4 被請求人の主張
1 答弁の趣旨(答弁書2ページ5行?8行)
被請求人の主張する答弁の趣旨は、次のとおりである。

本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

2 被請求人の答弁書による主張の概要
被請求人は、答弁書により、概ね下記(1)?(3)のとおり主張している。

(1)本件特許発明について(答弁書2ページ17行?5ページ8行)

本件特許発明1及び本件特許発明2は、請求人主張の通り、分説することができる。

(2)無効理由に対する反論の概要(答弁書5ページ9行?16ページ14行)

ア 本件特許発明1について
被請求人は、概ね以下のように請求人の主張に対する反論を含め答弁している。

(ア)発明の目的、構成及び効果について(答弁書7ページ2行?9ページ11行)

本件特許発明1と甲1発明とは基本的に発明の目的、構成及び効果が著しく相違する。
つまり、甲1発明と本件特許発明1は、訃報情報を配信するという点においては共通するものの、甲1発明は、その【図1】,【図3】,【図5】に示されるように、企業において企業Xの端末と配信先3とを情報配信サーバ10を介して接続したものであるのに対して、本件特許発明1では、その【図1】及び【図2】に示されるように、葬儀社(葬儀社の端末1)とその葬儀社を利用する喪家の第一携帯端末2と喪家が選択する参列者の第二携帯端末3とをサーバ10を介して接続したものであるので構成が全く相違する。
その結果、甲1発明によれば、冠婚葬祭イベントが発生した場合、予めそのイベントと関連付けられた配信先にイベントに関する情報が自動的に配信されるので、企業の総務担当者の労力を煩わせることがないといった効果が得られるが、これは、本件特許発明1のように、喪家が選択した参列者に対して簡便に訃報情報を配信することができるとともに、葬儀社も参列者の個人情報を持たなくて済むという効果とは顕著に相違する。
また、目的については、甲1発明では、冠婚葬祭イベントに関する情報を必要な連絡先に迅速且つ正確に配信するもの(段落番号【0004】)に対して、本件特許発明1では、参列者に対して訃報情報を簡便に配信するもの(段落番号【0007】)であるので一見、似ているようであるが、甲1発明では企業内における配信の迅速性でしかも自動配信であるのに対して、本件特許発明1では喪家が配信の主体で喪家による配信の簡便性を目的にするものであるので両者の目的は実質的に相違する。

(イ)請求人が本件特許発明1と甲1発明が共通すると主張する構成要件に関して(答弁書9ページ12行?12ページ13行)

(a)「運営者のサーバー」に相当するもの、「喪家の第一携帯端末」に相当するもの、「参列者の第二携帯端末」に相当するものは何であるか、どのように対応するものであるか理解不能である。

(b)請求人は、甲1発明における「イベント発生入力手段16」が、本件特許発明1における「入力手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1では、入力するのは葬儀社端末であるのに対して、甲1発明では、入力するのはクライアント端末であるので両者は実質的に相違する。

(c)請求人は、甲1発明における「情報配信手段18」が、本件特許発明1における「送信手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1では、訃報情報を送信するのは葬儀社端末であり、しかも配信先はサーバであるのに対して、甲1発明では、イベントに関する情報を送信するのは情報配信サーバ11であり、しかも配信先は被配信者の情報端末3,5であるので両者は実質的に相違する。

(d)請求人は、甲1発明における「情報配信サーバ11」が、本件特許発明1における「前記サーバー」に相当すると主張するが、構成要件Bにおいては、請求人は、甲1発明における「情報配信サーバ11」が、本件特許発明1における「前記葬儀社端末」に相当すると主張するので整合性がない。

(e)請求人は、甲1発明における「冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報端末3,5に対して冠婚葬祭関係サービスの受注ページで閲覧可能にする手段」が、本件特許発明1における「前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1では、訃報情報をウェブページで閲覧可能なのは、喪家の第一携帯端末と、喪家により選択された参列者の第二携帯端末であるのに対して、甲1発明では、予めデータとして記憶された情報端末3,5であるので両者は実質的に相違する。

(f)請求人は、甲1発明における「情報公開手段32」が、本件特許発明1における「電子書類作成手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1の電子書類作成手段は、葬儀社端末によって入力された訃報情報を閲覧可能とするウェブページのURL、又は前記ウェブページのURLを二次元コード化したその二次元コードのうち少なくともいずれか一方を表示する電子書類を作成するのに対して、甲1発明の情報公開手段32は、不特定多数の一般ユーザの情報端末5からの通信媒体6を介したアクセスに対して冠婚葬祭イベントに関する公開情報Hを送信するものである(段落番号【0045】)ので両者は相違する。

(g)請求人は、甲1発明における「冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末3,5に対して送信する送信手段」が、本件特許発明1における「返信手段」に相当する旨主張するが、本件特許発明1の送信手段は、電子書類を葬儀社端末に送信するのに対して、甲1発明の送信手段は、冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末3,5に送信するので両者は相違する。

(h)請求人は、甲1発明における「冠婚葬祭関係サービスの受注ページ」と、本件特許発明1における「ウェブページ」とは、「URLを含むリンクを表示する」点で共通する旨主張するが、本件特許発明1のウェブページは、喪家の第一携帯端末と、喪家により選択された参列者の第二携帯端末だけが閲覧できるものであるのに対して、甲1発明の冠婚葬祭関係サービスの受注ページは、不特定多数の一般ユーザの情報端末5が閲覧できるものであるので両者は実質的に相違する。

(i)請求人は、甲1発明における「受信確認処理手段21」と、本件特許発明1における「共有手段」とは、「URLから携帯端末で表示した前記ウェブページにおいてデータが入力され、さらに配信先として、配信用のデータベースを作ることなく既にあるリストを使用して配信先が選択される」点で共通する旨主張するが、本件特許発明1の共有手段は、紙に記載された前記URL又は前記二次元コードから前記第一携帯端末で前記ウェブページにアクセスされるとともに前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に前記第一携帯端末内にあるリストを使用して前記第二携帯端末が選択されることで、前記ウェブページのURLを前記第二携帯端末と共有可能にするものであるのに対して、甲1発明の受信確認処理手段21は、配信先Bの情報端末3からの受信確認Fを、通信媒体4を介して受信して所定の記憶領域に記憶するとともに、クライアント端末1から通信媒体2を介して入力された表示要求入力Gに基づいて、その受信確認情報Fをクライアント端末1の画像表示装置の表示画面上に出力するよう構成されているので(段落番号【0039】)両者は相違する。

(ウ)請求人が本件特許発明1と甲1発明の相違点1,2,3として主張する構成要件に関して(答弁書12ページ14行?15ページ6行)

(a)相違点1、2に関して、本件特許発明1と甲1発明とは、目的,構成,効果が著しく相違するので、仮に甲1発明に甲第2号証を適用したとしても、その内容から本件特許発明1を想到することはいわゆる当業者であっても至極困難である。

(b)相違点3に関して、本件特許発明1と甲1発明とは、目的,構成,効果が著しく相違するので、仮に甲1発明に甲第3号証及び甲第4号証を適用したとしても、その内容から本件特許発明1を想到することはいわゆる当業者であっても至極困難である。

(c)本件特許発明1は、喪家の第一携帯端末で表示したウェブページにおいて共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に喪家の第一携帯端末内にあるリストを使用して参列者の第二携帯端末が選択されることで、ウェブページのURLを参列者の第二携帯端末と共有可能にすることを特徴的部分とするが、この点は、甲第1号証乃至甲第4号証には一切開示も示唆もない。つまり、ウェブページにおいて、共有ボタンが選択されることで、ウェブページのURLをSNS又は電子メールで共有する構成が単に知られているというだけで本件特許発明1を想到することは困難であることは明らかである。
その結果、本件特許発明1によれば、参列者の氏名や住所を記したデータベースを作ることなく、参列者に対して簡便に訃報情報を配信することができるといった特有の効果が得られるが、この点についても甲第1号証乃至甲第4号証には一切開示も示唆もない。
特に、甲第4号証に記載の宗家7(喪家)は、関係者10(参列者)に対して、葬儀通知をし、これと共に検索番号と会葬公告業者9のホームページアドレスを通知する(図1の矢印c、段落番号【0017】)ものであるので、宗家7(喪家)は関係者10(参列者)に対してFAX(場合によっては電話)によって知らせるものと考えられる。なお、ここに記載の葬儀通知の内容は具体的に開示されていない。
よって、甲第4号証に記載の宗家7(喪家)において、共有ボタンを設けることに加えて、共有先を選択するといった発想はまったく生じるものではない。

(d)したがって、甲第1号証乃至甲第4号証に記載の発明をどのように組み合わせても本件特許発明1に想到することはできない。

イ 本件特許発明2について
被請求人は、概ね以下のように請求人の主張に対する反論を含め答弁している。(答弁書15ページ7行?16ページ14行)

請求人は、本件特許発明1と甲1発明との対比と同様に、本件特許発明2と甲1発明との対比を主張し、さらに、相違点1,2について主張するが、その主張する相違点1(S、T)は、本件特許発明1において主張した相違点1(G、H)と同一であり、相違点2(U、V)は、同じく本件特許発明1において主張した相違点(I、K)と同一である。
したがって、「本件特許発明1の進歩性について」における理由と同様に、甲第1号証乃至甲第4号証に記載の発明をどのように組み合わせても本件特許発明2に想到することはできない。

(3)結論(答弁書16ページ15行?最下行)
以上の通り、本件特許発明1及び2は、甲第1号証乃至甲第4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到できたものではないことは明らかである。
したがって、本件特許発明1及び2は、いずれも発明の進歩性を有し、特許法第29条第2項の規定に違反して特許を得たものでないから、同法第123条第1項第2号によってこれらの特許を無効とすることはできない。

3 被請求人の口頭審理陳述要領書による主張の概要
被請求人は、令和3年5月21日付けの口頭審理陳述要領書により、概ね下記(1)?(4)のとおり主張している。

(1)審理事項通知書の当審の暫定的見解について(口頭審理陳述要領書2ページ12行?14行)
暫定的見解については受け入れる。暫定的見解における各相違点を克服することは、文献(甲第2号証?甲第4号証)を組み合わせても当業者にとって容易ではない。

(2)文献(甲第2号証?甲第4号証)に記載された技術(当該技術が周知技術であるかどうかも含めて)の認定について(口頭審理陳述要領書2ページ14行?3ページ18行)

(a)甲第2号証
段落番号【0024】には、URLをQRコードでコード化することが記載されていると認める。
また、印刷用にQRコードを記載したPDFを生成すること、及びPDFファイルを送信することは周知技術であると認める。

(b)甲第3号証
段落番号【0027】,【0032】には、ウェブページに関するURLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成されることが記載されていると認める。
また、共有ボタンが選択されることでウェブページのURLをSNSや電子メールで共有する構成は周知技術であると認める。

(c)甲第4号証
段落番号【0016】,【0017】,【0025】,【図1】には、葬儀業者8と、会葬公告業者9と、関係者10との間で連絡及び通知が行われ、会葬公告業者9のサーバ3と、開係者10のクライアント2とがインターネット6を介して接続された葬儀情報提供システム1が記載されていると認める。
また、葬儀業者8から会葬公告業者9に対して連絡された(矢印b)葬儀内容に基づいて、サーバ3に接続されるデータベース4に、葬儀情報11(訃報情報)が記憶され、会葬公告業者9は、葬儀情報11に対応する固有の検索番号を発行し、宗家7は、関係者10に対して、サーバ3のアドレスであるホームページアドレスと検索番号とを通知し(矢印c)、関係者10は、通知されたホームページアドレスと検索番号に基づいて、サーバ3にアクセスし、検索番号に対応する葬儀情報11のウェブページを取得することができるシステムが記載されていると認める。

(3)甲1発明に当該(周知)技術を組み合わせることの動機付けがないこと、又は甲1発明に当該(周知)技術を組み合わせることの阻害事由について(口頭審理陳述要領書3ページ19行?4ページ3行)

(a)〈分説Jについて〉に関連して、請求人が主張するように、「プリンターを介して紙に出力して提供するか、PDFファイルで提供するかは、システムを具現化する際に適宜選択される設計的事項」であるとしても、当該「設計的事項」を、甲1発明の「情報配信サーバ11」における、「紙に出力して提供」するような、又は「PDFファイルで提供」するような作用や機能を有さない「情報公開手段32」に適用するには動機付けがない。

(b)これにより、本件特許発明1を想到することは容易ではない。

(4)当該(周知)技術を甲1発明に組み合わせても相違点を克服できないことについて(口頭審理陳述要領書4ページ4行?5ページ2行)

(a)〈分説F、Rについて〉に関連して、甲第1号証には、「冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報端末3,5に対して冠婚葬祭関係サービスの受注ページで閲覧可能にする手段」が明記されたものではなく、仮にこれは、「情報公開手段32」を指すものと考えたとしても、「情報公開手段32」は、「情報E」を「冠婚葬祭関係サービスの受注ページで閲覧可能にする」ものとはいえない。

(b)〈分説G、H、S、Tについて〉に関連して、甲1発明の「情報公開手段32」が「公開画面上に表示」する「公開情報H」には「URL」が含まれるものと考えられるが、その「URL」に、「公開情報H」を表示する「公開画面」そのもののウェブページの「URL」が含まれるとはいえない。

(c)〈分説K、Vについて〉に関連して、甲1発明の「受信確認処理手段21」は、「表示要求入力Gを受け付け」て、「配信先B毎の受信確認F」を「表示する」ものであるが、「配信用のデータベースを作ることなく既にあるリストを使用して配信先が選択される」といった機能を有するものではない。

(d)〈分説I、K、U、Vについて〉に関連して、甲1発明の「ホームページ」の画面を表示する「クライアント端末1」自体は、「リスト」を有するものではない。

(e)以上のように、甲1発明には、本件特許発明1の構成F、G、H、I、Kに相当する構成、及び本件特許発明2の構成R、S、T、U、Vに相当する構成は記載されていないので、仮に甲第2号証?甲第4号証に記載された技術を組み合わせたとしても、本件特許発明1及び本件特許発明2を想到することは容易ではない。

第5 無効理由についての当審の判断

1 甲号証の記載等
(1)甲第1号証の記載及び甲1発明1
甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 「【0025】
【発明の実施の形態】本発明に係る冠婚葬祭情報配信システム(以下、適宜「本発明システム」という。)及び本発明に係る冠婚葬祭情報配信方法(以下、適宜「本発明方法」という。)の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0026】〈第一実施形態〉図1に示すように、第一実施形態の本発明システム10は、複数のクライアント端末1と通信媒体2を介して接続可能な情報配信サーバ11内に第1セキュリティゾーン12と第2セキュリティゾーン13を形成し、第1セキュリティゾーン12に、冠婚葬祭イベントの属性情報Aと前記冠婚葬祭イベントに関する情報の配信先Bを関連付けてなる配信先データDを保管する配信先データ保管手段14と、配信先データDの入力を受け付けるデータ入力手段15とを備え、第2セキュリティゾーン13に、冠婚葬祭イベントの発生情報Cの入力を受け付けるイベント発生入力手段16と、イベント発生入力手段16が発生情報Cの入力を受け付けると発生情報Cに含まれる属性情報Aに基づいて配信先データ保管手段14から配信先Bを検索する配信先検索手段17と、配信先検索手段17が検索した配信先Bの情報端末3に発生情報Cに係る冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信する情報配信手段18を備えて構成される。
【0027】第1セキュリティゾーン12及び第2セキュリティゾーン13は、どちらも予め情報配信サーバ11へのアクセス権を有する本発明システム10の利用会員企業であるクライアントのクライアント端末1からのみアクセス可能である。第1セキュリティゾーン12では、配信先データ保管手段14に複数のクライアントの配信先データDが保管されるため、自己の配信先データDの作成や更新のためのデータ入力手段15へのアクセスは当然に認められるものの、他のクライアントの配信先データDへのアクセスは禁止される。第2セキュリティゾーン13では、全てのクライアントがイベント発生入力手段16に対してアクセスできる。但し、入力できる発生情報Cは自社の冠婚葬祭イベントの属性情報Aを含むものに限定される。」

イ 「【0029】情報配信サーバ11は、一般的な汎用コンピュータで構成される。上記したように、クライアント端末1からインターネット2aを介してアクセス可能であるとともに、配信先Bの情報端末3にも所定の通信媒体4を介してデータ通信可能である。ここで、情報端末3は、インターネットへの接続が可能なパソコン3a、電子メール機能を有する携帯電話等の携帯情報端末3b、或いは、ファクシミリ端末3c等で、配信先Bが所有する情報端末3の機種によって、これらの1台以上に対して冠婚葬祭イベントに関する情報Eが配信される。また、通信媒体4も、パソコン3aや携帯情報端末3bへの配信の場合は、インターネット4a、或いは、インターネット2a以外の各種通信網4bであり、ファクシミリ端末3cへの配信の場合は公衆電話回線4cを使用する。尚、携帯情報端末3bとしては、電子メールやインターネット接続機能を有する携帯電話(例えば、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモのiモード等)の利用も考えられる。」

ウ 「【0030】次に、配信先データ保管手段14への配信先データDの作成処理、及び、実際に冠婚葬祭イベント発生時における冠婚葬祭イベントに関する情報Eの配信処理について説明する。
【0031】図2に示すように、本発明システム10を用いた冠婚葬祭情報配信方法(本発明方法)は、大きく分けて、配信先データ作成ステップS10、イベント発生受信ステップS20、配信先検索ステップS30、情報配信ステップS40の4つのステップからなる。
【0032】配信先データ作成ステップS10では、クライアント(例えば、企業の総務担当者)がクライアント端末1からインターネット2aを介して情報配信サーバ11にアクセスする場合、クライアント端末1に既設のブラウザソフトを起動して本発明システム10のホームページに形成された配信先データ作成を支援するためのデータ入力画面ファイルのURLを入力すると、情報配信サーバ11のデータ入力手段15は当該データ入力要求に応じて前記データ入力画面をクライアント端末1の画像表示装置の表示画面上に表示させるデータ入力画面提供ステップS15を実行する。
【0033】前記データ入力画面がクライアント端末1に表示されると、そのデータ入力画面は、予めクライアント別にカスタマイズされているため、クライアントはそのデータ入力画面に従って、冠婚葬祭イベントの属性情報Aと前記冠婚葬祭イベントに関する情報の配信先Bを入力すれば、データ入力手段15によって属性情報Aと配信先Bは自動的に相互に関連付けられて配信先データ保管手段14に記憶される。ここで、属性情報Aは、訃報の配信であれば、死亡者と直接関係するクライアント企業の所属員の氏名、識別コード、所属部署、役職、死亡者と所属員本人との関係等であるが、配信先Bとの関連付けに使用されるのはその一部で、例えば、所属部署や役職等である。また、配信先Bがこれらの属性情報A(所属部署、役職等)別に予めグループ化され、属性情報Aと配信先Bの関連付けが行われる。ここでは、所属員等の各人と配信先を個別に関連付けするとすれば、配信先データDが膨大となりデータ量が過大となり情報として冗長であるばかりか、後の検索処理における高速処理も阻害される。但し、所属部署、役職等だけで決定されない配信先Bがある場合は、前記データ入力画面に従って、かかる配信先Bの入力を個別に行う。
【0034】配信先データ作成ステップS10において、配信先データ保管手段14に配信先データDが作成保管され、実際に、そのクライアント企業において冠婚葬祭イベントが発生すると、イベント発生受信ステップS20において、クライアント(この場合は、必ずしも企業の総務担当者に限定されない)が、自分のクライアント端末1に既設のブラウザソフトを起動して本発明システム10のホームページに形成された発生情報Cの入力を支援するための発生情報入力画面ファイルのURLを入力すると、情報配信サーバ11のイベント発生入力手段16が当該発生情報入力要求に応じて前記発生情報入力画面をクライアント端末1の画像表示装置の表示画面上に表示させる発生情報入力画面提供ステップS25を実行する。
【0035】引き続き、イベント発生受信ステップS20において、前記発生情報入力画面が発生情報入力要求をしたクライアント端末1に表示されると、クライアントはその発生情報入力画面に従って、発生情報Cの入力を行うことができ、イベント発生入力手段16が入力された発生情報Cを受け付け、発生情報Cに含まれる属性情報Aを配信先検索手段17に出力するとともに、発生情報Cに含まれる冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報配信手段18に出力する。
【0036】引き続き、配信先検索ステップS30において、配信先検索手段17が、イベント発生入力手段16から発生情報Cに含まれる属性情報Aを受け取り、その属性情報Aに、配信先データDの配信先Bと関連付けられている属性情報A(例えば、所属部署、役職等)が直接含まれていれば、その属性情報Aに基づいて配信先データ保管手段14から配信先Bを検索する。また、発生情報Cに含まれる属性情報Aに配信先データDの配信先Bと関連付けられている属性情報Aが含まれていない場合、例えば、クライアント企業の所属員の氏名、識別コードが含まれていて、所属部署、役職等の関連付けに用いられた属性情報Aが含まれていない場合は、所属員の氏名、識別コードから所属部署、役職等を別途設けられたテーブルから検索して、その検索した関連付けに用いられた属性情報Aに基づいて配信先データ保管手段14から配信先Bを検索する。配信先検索手段17は検索した配信先Bを情報配信手段18に出力する。
【0037】引き続き、情報配信ステップS40において、情報配信手段18は、イベント発生入力手段16から入力された冠婚葬祭イベントに関する情報E(訃報の場合であれば、例えば、通夜や葬儀の場所及び日時、死亡者、クライアント企業の所属員との関係、喪主等)を所定のフォーマットに構成し、配信先検索手段17から入力された配信先Bの情報端末3a?3cへ配信する。前記フォーマットは、情報端末3の機種に依らず一定のものを使用してもよいが、機種別に適切なフォーマットに組み換えても構わない。」

エ 「【0039】〈第二実施形態〉図3に示すように、第二実施形態の本発明システム20は、第一実施形態の本発明システム10の構成に対して、更に、第2セキュリティゾーン13に、受信確認処理手段21を備えて構成される。受信確認処理手段21は、配信先Bの情報端末3からの受信確認Fを、通信媒体4を介して受信して所定の記憶領域に記憶するとともに、クライアント端末1から通信媒体2を介して入力された表示要求入力Gに基づいて、その受信確認情報Fをクライアント端末1の画像表示装置の表示画面上に出力するように構成されている。」

オ 「【0045】〈第三実施形態〉図5に示すように、第三実施形態の本発明システム30は、第二実施形態の本発明システム20の構成に対して、更に、情報配信サーバ11内の第1及び第2セキュリティゾーン12,13とは別の第3セキュリティゾーン31に、不特定多数の一般ユーザの情報端末5からの通信媒体6を介したアクセスに対して冠婚葬祭イベントに関する公開情報Hを送信する情報公開手段32を備えるとともに、第3セキュリティゾーン31に、情報公開手段32に冠婚葬祭イベントに関する公開情報Hを入力する公開情報入力手段33を備えて構成される。
【0046】情報公開手段32は、本発明システム30のホームページに形成された不特定多数への冠婚葬祭イベントに関する情報Hの公開を目的とした公開画面ファイルを管理する。公開情報Hとして、例えば、情報配信手段18によって配信された冠婚葬祭イベントに関する情報Eの他、冠婚葬祭伝言板、冠婚葬祭電報サービス、香典・お祝いサービス、宿泊・交通予約サービス、冠婚葬祭関係サービス(例えば、花、香典返し、仏壇等の手配)、冠婚葬祭関係業者リンク集、冠婚葬祭に関するマナー集、等々の情報が、前記公開画面上に表示される。
【0047】具体的には、一般ユーザが情報端末5上のブラウザソフトを起動して公開画面ファイルのURLを入力すると、情報配信サーバ11の情報公開手段32が当該アクセスに応じて通信媒体6を介して前記公開画面を情報端末5の画像表示装置の表示画面上に表示させる。
【0048】一般ユーザは、本発明システム30のホームページの公開画面にアクセスすることで、冠婚葬祭イベントの発生状況をいながらに確認できるとともに、上記した有償無償の付加サービスを受けることができるのである。また、情報配信手段18によって冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信された被配信者も、一般ユーザとともに配信された情報Eの再確認や、その付加情報の入手ができるのである。
【0049】通信媒体6は、通信媒体2,4と同様に所定の通信網または通信路が使用されるが、本実施形態では、情報端末5として、インターネットに接続可能なパソコン5aや携帯情報端末5b(例えば、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモのiモード等)を想定しており、通信媒体6としては、使用する情報端末5に対応したインターネット6a等のデータ通信網を使用する。
【0050】情報公開手段32によって公開される冠婚葬祭イベントに関する公開情報Hは、上記したように複数の情報からなっており、当該情報の提供者も複数存在する。公開情報Hの入力作業も、情報公開手段32へのアクセスと同様に当該公開情報の提供者の情報端末7(例えば、インターネットに接続可能なパソコン7a)から通信媒体6を介して公開情報入力手段33へアクセスして行われる。ここで、情報配信手段18によって配信された冠婚葬祭イベントに関する情報Eについては、発生情報Cの入力時点で一般に公開しても差し支えない情報を自動的に抽出して公開情報Hとするようにしてもよい。
【0051】更に、本第三実施形態において、上記公開画面にアクセスした一般ユーザや被配信者が、前記付加サービスの内の何れかの受給を希望する場合は、前記公開画面に従って当該サービスの要求を入力し、情報公開手段32が通信媒体6を介して当該サービス要求を受信可能に構成するのも好ましい。
【0052】情報公開手段32が前記サービス要求を受信すると、情報公開手段32に付随して設けられたサービス要求処理手段34が、そのサービス要求に係るサービス業者の情報端末7にそのサービス要求を送信するか、或いは、上記公開画面にアクセスした一般ユーザや被配信者の情報端末5,3に対して、前記サービス業者の当該サービスの受注ページを自動的にリンクさせる等の処理を行う。これらの結果、前記付加サービスの内の何れかの受給を希望するユーザに対して迅速なサービスの提供が可能となる。」

カ 「



したがって、上記甲第1号証には、第一実施形態(「本発明システム10」)、第二実施形態(「本発明システム20」)及び第三実施形態(「本発明システム30」)が開示されており、当該第三実施形態は、第一実施形態に「受信確認処理手段21」等の構成を追加した第二実施形態(段落【0039】等参照。)に、更に「第3セキュリティゾーン」等の構成を追加したもの(段落【0045】等参照)であるから、第一実施形態及び第二実施形態のシステムの構成を全て備えているといえる。したがって、上記甲第1号証には、特に「第三実施形態」に関して、以下の甲1発明1が記載されていると認められる。

<甲1発明1>
「冠婚葬祭情報配信システム(以下、適宜「本発明システム」という。)10は、複数のクライアント端末1と通信媒体2を介して接続可能な情報配信サーバ11内に第1セキュリティゾーン12と第2セキュリティゾーン13を形成し、第1セキュリティゾーン12に、冠婚葬祭イベントの属性情報Aと前記冠婚葬祭イベントに関する情報の配信先Bを関連付けてなる配信先データDを保管する配信先データ保管手段14と、配信先データDの入力を受け付けるデータ入力手段15とを備え、第2セキュリティゾーン13に、冠婚葬祭イベントの発生情報Cの入力を受け付けるイベント発生入力手段16と、イベント発生入力手段16が発生情報Cの入力を受け付けると発生情報Cに含まれる属性情報Aに基づいて配信先データ保管手段14から配信先Bを検索する配信先検索手段17と、配信先検索手段17が検索した配信先Bの情報端末3に発生情報Cに係る冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信する情報配信手段18を備えて構成され、(【0025】?【0026】)
第1セキュリティゾーン12及び第2セキュリティゾーン13は、どちらも予め情報配信サーバ11へのアクセス権を有する本発明システム10の利用会員企業であるクライアントのクライアント端末1からのみアクセス可能であり、(【0027】)
情報配信サーバ11は、一般的な汎用コンピュータで構成され、クライアント端末1からインターネット2aを介してアクセス可能であるとともに、配信先Bの情報端末3にも所定の通信媒体4を介してデータ通信可能であり、ここで、情報端末3は、インターネットへの接続が可能なパソコン3a、電子メール機能を有する携帯電話等の携帯情報端末3b、或いは、ファクシミリ端末3c等で、配信先Bが所有する情報端末3の機種によって、これらの1台以上に対して冠婚葬祭イベントに関する情報Eが配信され、また、通信媒体4も、パソコン3aや携帯情報端末3bへの配信の場合は、インターネット4aであり、(【0029】)
本発明システム10を用いた冠婚葬祭情報配信方法は、大きく分けて、配信先データ作成ステップS10、イベント発生受信ステップS20、配信先検索ステップS30、情報配信ステップS40の4つのステップからなり、(【0031】)
配信先データ作成ステップS10では、クライアント(例えば、企業の総務担当者)がクライアント端末1からインターネット2aを介して情報配信サーバ11にアクセスする場合、クライアント端末1に既設のブラウザソフトを起動して本発明システム10のホームページに形成された配信先データ作成を支援するためのデータ入力画面ファイルのURLを入力し、前記データ入力画面がクライアント端末1に表示されると、クライアントはそのデータ入力画面に従って、冠婚葬祭イベントの属性情報Aと前記冠婚葬祭イベントに関する情報の配信先Bを入力すれば、データ入力手段15によって属性情報Aと配信先Bは自動的に相互に関連付けられて配信先データ保管手段14に記憶され、ここで、属性情報Aは、訃報の配信であれば、死亡者と直接関係するクライアント企業の所属員の氏名、識別コード、所属部署、役職、死亡者と所属員本人との関係等であるが、配信先Bとの関連付けに使用されるのはその一部で、例えば、所属部署や役職等であり、また、配信先Bがこれらの属性情報A(所属部署、役職等)別に予めグループ化され、属性情報Aと配信先Bの関連付けが行われ、(【0032】?【0033】)
配信先データ作成ステップS10において、配信先データ保管手段14に配信先データDが作成保管され、実際に、そのクライアント企業において冠婚葬祭イベントが発生すると、イベント発生受信ステップS20において、クライアントが、自分のクライアント端末1に既設のブラウザソフトを起動して本発明システム10のホームページに形成された発生情報Cの入力を支援するための発生情報入力画面ファイルのURLを入力し、前記発生情報入力画面が発生情報入力要求をしたクライアント端末1に表示されると、クライアントはその発生情報入力画面に従って、発生情報Cの入力を行うことができ、イベント発生入力手段16が入力された発生情報Cを受け付け、発生情報Cに含まれる属性情報Aを配信先検索手段17に出力するとともに、発生情報Cに含まれる冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報配信手段18に出力し、(【0034】?【0035】)
引き続き、配信先検索ステップS30において、配信先検索手段17が、イベント発生入力手段16から発生情報Cに含まれる属性情報Aを受け取り、その属性情報Aに、配信先データDの配信先Bと関連付けられている属性情報A(例えば、所属部署、役職等)が直接含まれていれば、その属性情報Aに基づいて配信先データ保管手段14から配信先Bを検索し、(【0036】)
引き続き、情報配信ステップS40において、情報配信手段18は、イベント発生入力手段16から入力された冠婚葬祭イベントに関する情報E(訃報の場合であれば、例えば、通夜や葬儀の場所及び日時、死亡者、クライアント企業の所属員との関係、喪主等)を所定のフォーマットに構成し、配信先検索手段17から入力された配信先Bの情報端末3a?3cへ配信し、(【0037】)
本発明システム30は、更に、情報配信サーバ11内の第1及び第2セキュリティゾーン12,13とは別の第3セキュリティゾーン31に、不特定多数の一般ユーザの情報端末5からの通信媒体6を介したアクセスに対して冠婚葬祭イベントに関する公開情報Hを送信する情報公開手段32を備えるとともに、第3セキュリティゾーン31に、情報公開手段32に冠婚葬祭イベントに関する公開情報Hを入力する公開情報入力手段33を備え、(【0045】)
情報公開手段32は、本発明システム30のホームページに形成された不特定多数への冠婚葬祭イベントに関する情報Hの公開を目的とした公開画面ファイルを管理し、公開情報Hとして、例えば、情報配信手段18によって配信された冠婚葬祭イベントに関する情報Eの他、冠婚葬祭伝言板、冠婚葬祭電報サービス、香典・お祝いサービス、宿泊・交通予約サービス、冠婚葬祭関係サービス(例えば、花、香典返し、仏壇等の手配)、冠婚葬祭関係業者リンク集、冠婚葬祭に関するマナー集、等々の情報が、前記公開画面上に表示され、(【0046】)
一般ユーザが情報端末5上のブラウザソフトを起動して公開画面ファイルのURLを入力すると、情報配信サーバ11の情報公開手段32が当該アクセスに応じて通信媒体6を介して前記公開画面を情報端末5の画像表示装置の表示画面上に表示させ、(【0047】)
一般ユーザは、本発明システム30のホームページの公開画面にアクセスすることで、冠婚葬祭イベントの発生状況をいながらに確認できるとともに、上記した有償無償の付加サービスを受けることができ、また、情報配信手段18によって冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信された被配信者も、一般ユーザとともに配信された情報Eの再確認や、その付加情報の入手ができ、(【0048】)
情報端末5として、インターネットに接続可能なパソコン5aや携帯情報端末5bを想定し、通信媒体6としては、使用する情報端末5に対応したインターネット6a等のデータ通信網を使用し、(【0049】)
公開情報Hの入力作業も、情報公開手段32へのアクセスと同様に当該公開情報の提供者の情報端末7(例えば、インターネットに接続可能なパソコン7a)から通信媒体6を介して公開情報入力手段33へアクセスして行われ、ここで、情報配信手段18によって配信された冠婚葬祭イベントに関する情報Eについては、発生情報Cの入力時点で一般に公開しても差し支えない情報を自動的に抽出して公開情報Hとするようにしてもよく、(【0050】)
上記公開画面にアクセスした一般ユーザや被配信者が、前記付加サービスの内の何れかの受給を希望する場合は、前記公開画面に従って当該サービスの要求を入力し、情報公開手段32が通信媒体6を介して当該サービス要求を受信可能に構成するのも好ましく、(【0051】)
情報公開手段32が前記サービス要求を受信すると、情報公開手段32に付随して設けられたサービス要求処理手段34が、そのサービス要求に係るサービス業者の情報端末7にそのサービス要求を送信するか、或いは、上記公開画面にアクセスした一般ユーザや被配信者の情報端末5,3に対して、前記サービス業者の当該サービスの受注ページを自動的にリンクさせる等の処理を行う(【0052】)
冠婚葬祭情報配信システム10。」

(2)甲第2号証の記載及び甲第2号証に記載された事項
甲第2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0022】
本発明に係る方法は、インターネット上のURLアドレスへのポインティング情報をコード化している、少なくとも1つの静的QRコードを生成することを提供する。」

「【0024】
特に本明細書において記載される実施例は、動的コンテンツを表現するQRコードを生成することにより、動的な情報コンテンツの遠隔供給、表示または提示のための方法に関し、以下を提供する。
・生成する一連のQRコードの数を定める。
・x=nとなるまで、インターネット上にx個のURLアドレスを生成する。
・URLアドレスリストに格納されたURLアドレスと生成されたURLアドレスとを比較することにより、生成されたx個のURLアドレスの各々の一義性を確認する。
・生成され、一義的であると確認されたx=n個のURLアドレスをそれぞれコード化するn個のQRコードを生成する。
・・・(中略)・・・
・前記一人以上の受信ユーザーが光学的にQRコードを取得し、コード化されたURLアドレスを復号化する。前記QRコードは、割り当てられたURLアドレスの情報コンテンツに受信ユーザーを導き、そして前記情報コンテンツおよび(供給ユーザーまたはシステム管理者のみによって随時修正する)動的な情報コンテンツにアクセスまたは表示する。」

「【0042】
供給ユーザ-は、前記一つ以上の情報、テキストまたはマルチメディアのコンテンツをロードし、それらをURLからアクセス可能にする。供給ユーザ-は、受信ユーザ-にURLアドレスをコード化しているQRコードを供給する。QRコードはリアルまたはヴァーチャルな対象(例えばウェブコンテンツに基づく)にスタンプされるかまたは印刷されることができ、それを供給ユーザーが受信ユーザーに提供する。
受信ユーザーは、QRコードを読み、それからウェブブラウザでURLアドレスに接続し、そして前記情報コンテンツに関連付けられる。受信ユーザーは、情報コンテンツを表示、受信または使用することができるが、変更または統合させることはできない。」

「【0071】
例えば、GNU LESSER GENERAL PUBLIC LICENSEによって共に配布された2つのオープンソースライブラリーによって印刷用に、例えばPDF形式のQRコードおよひファイルの生成が実行される。」

したがって、甲第2号証には、次の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

<甲2記載事項>
「インターネット上のURLアドレスへのポインティング情報をコード化している、QRコードを生成する方法であって、
URLアドレスをコード化するQRコードを生成し、
受信ユーザーが光学的にQRコードを取得し、コード化されたURLアドレスを復号化し、前記QRコードは、割り当てられたURLアドレスの情報コンテンツに受信ユーザーを導き、そして前記情報コンテンツを表示し、
QRコードはリアルまたはヴァーチャルな対象にスタンプされるかまたは印刷されることができ、例えば、印刷用に、PDF形式のQRコードの生成が実行されること。」

(3)甲第3号証の記載及び甲第3号証に記載された事項
甲第3号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0027】
第1のユーザが、ウェブブラウザアプリケーションを用いてウェブサイトの様々なウェブページを閲覧している時に、他のユーザと共有したいと思うウェブページを見つけることがある。いくつかの実施形態では、ウェブアドレス情報の共有に関連するボタンが、ウェブサイトの特定のウェブページに提示されてよく、ユーザは、ウェブページを共有したいと思った時に、ボタンを選択してよい。いくつかの実施形態において、そのボタンは、第1のユーザが閲覧しているウェブページのウェブサイトによって提示される。ウェブページを共有する旨のユーザによる指示(例えば、ボタンの選択)に応答して、要求が、ユーザのために送信されてよい。」

「【0032】
第1のウェブアドレス情報(すなわち、ウェブページに関する元々のウェブアドレス情報)をユーザに提示する代わりに、第2のウェブアドレス情報が、ユーザに提示される。例えば、第1のユーザによる共有ボタンの選択によって要求がなされた場合に、第2のウェブアドレス情報が、ポップアップフレームに提示されてよい。あるいは、例えば、第1のユーザによるウェブページの訪問によって第1のユーザの代わりに自動的に要求が発行された場合に、第2のウェブアドレス情報が、第1のユーザの用いるウェブブラウザアプリケーションのナビゲーションバー/アドレスフィールド内に提示されてもよい(その際、ウェブブラウザは、第1のウェブアドレス情報に関連するウェブページのコンテンツも表示する)。生成された第1のウェブアドレス情報が第1のユーザに提示された後、第1のユーザは、別のウェブページ(例えば、ブログまたはマイクロブログまたはソーシャルネットワーキングプラットフォーム)で、もしくは、メッセージシステム(例えば、電子メールまたはインスタントメッセージシステム)を介して、第2のウェブアドレス情報をコピーおよび共有しうる。その後、第2のユーザが、共有された第2のウェブアドレス情報を見て、第1のユーザが他のユーザと共有したいと思ったウェブページに誘導されるために、それを選択しうる。」

したがって、甲第3号証には、次の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。

<甲3記載事項>
「ウェブサイトの様々なウェブページを閲覧している時に、他のユーザと共有したいと思うウェブページを見つけ、ウェブアドレス情報の共有に関連するボタンが、ウェブサイトの特定のウェブページに提示され、ユーザは、ウェブページを共有したいと思った時に、ボタンを選択し、ウェブページを共有する旨のユーザによる指示(ボタンの選択)に応答して、要求が、ユーザのために送信され、
例えば、第1のユーザによるウェブページの訪問によって、要求が発行された場合に、第1のユーザは、メッセージシステム(例えば、電子メールまたはインスタントメッセージシステム)を介して、ウェブアドレス情報をコピーおよび共有し、その後、第2のユーザが、共有されたウェブアドレス情報を見て、第1のユーザが他のユーザと共有したいと思ったウェブページに誘導されること。」

(4)甲第4号証の記載及び甲第4号証に記載された事項
甲第4号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。本実施形態は、本発明の集会情報提供システムを葬儀に適用した態様である。図1は、本実施形態に係る葬儀情報提供システムの概略構成図である。同図に示すように、葬儀情報提供システム1は、葬儀の関係者10により操作されるクライアントコンピュータ(以下、単にクライアントという)2、会葬公告業者9が有し葬儀情報を提供するサーバコンピュータ(以下、単にサーバという)3とこれに接続されるデータベース4、及び宅配業者5を備えて構成される。また、クライアント2とサーバ3は、インターネット6を介して接続されている。尚、同図では、説明の便宜のため、クライアント2を1つで示しているが、実際には、複数のクライアント2があるものとする。また、データベース4は、サーバ3と直接接続されているが、インターネット6やその他ネットワークを介して接続される構成でも良い。
【0016】図1に示すように、まず、葬儀の日時や場所等の詳細な内容が、宗家(喪主)7と葬儀業者8との間の打ち合わせにより決定される(両矢印a)。この打ち合わせにより葬儀の内容が決定されると、葬儀業者8は、決定された葬儀の内容を会葬公告業者9に知らせる(矢印b)。会葬公告業者9は、知らされた葬儀の内容に基づき葬儀情報を作成し、これをデータベース4に登録し、同時に、登録された葬儀情報に対応する固有の検索番号を発行する。
【0017】後に、この発行された検索番号並びに会葬公告業者9のホームページアドレス(サーバ3のアドレス)は、宗家(喪主)7から故人の関係者10に通知される葬儀通知と共に通知される(矢印c)。このようにして、葬儀通知を受けた関係者10は、クライアント2が備えるブラウザー(閲覧用ソフトウェア)を使用して、前述のホームページアドレスにアクセスし、会葬公告業者9のサーバ3にアクセスする。これにより、クライアント2の表示画面には、会葬広告業者のホープページが表示され、関係者10は、このホームページ上から前述の検索番号を入力する。これにより、この検索番号がクライアント2からサーバ3に送られる。サーバ3は、クライアント2から送られる検索番号に基づき、データベース4に記憶される、対応する葬儀情報を、クライアント2に送る。これにより、クライアント2の表示画面には、検索番号に対応する葬儀情報のウェブページが表示される。従って、関係者10は、宗家(喪主)7や葬儀業者8等に連絡することなく、容易に葬儀情報を得ることができる(両矢印d)。」

(当審注:段落【0017】の「ホープページ」は、「ホームページ」の誤記と認められる。また、甲第4号証には、「会葬広告業者」と「会葬公告業者」が混在して記載されているが、両者は同一の対象を示す用語であって、後者は「会葬広告業者」の誤記と認められる。)

したがって、甲第4号証には、次の事項(以下、「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。

<甲4記載事項>
「葬儀の関係者10により操作されるクライアントコンピュータ(以下、単にクライアントという)2、会葬広告業者9が有し葬儀情報を提供するサーバコンピュータ(以下、単にサーバという)3とこれに接続されるデータベース4、を備えて構成され、クライアント2とサーバ3は、インターネット6を介して接続されている葬儀情報提供システム1において、
葬儀の日時や場所等の詳細な内容が、宗家(喪主)7と葬儀業者8との間の打ち合わせにより決定され、この打ち合わせにより葬儀の内容が決定されると、葬儀業者8は、決定された葬儀の内容を会葬広告業者9に知らせ、会葬広告業者9は、知らされた葬儀の内容に基づき葬儀情報を作成し、これをデータベース4に登録し、同時に、登録された葬儀情報に対応する固有の検索番号を発行し、
後に、この発行された検索番号並びに会葬広告業者9のホームページアドレス(サーバ3のアドレス)は、宗家(喪主)7から故人の関係者10に通知される葬儀通知と共に通知され、葬儀通知を受けた関係者10は、クライアント2が備えるブラウザー(閲覧用ソフトウェア)を使用して、前述のホームページアドレスにアクセスし、会葬広告業者9のサーバ3にアクセスし、これにより、クライアント2の表示画面には、会葬広告業者のホームページが表示され、関係者10は、このホームページ上から前述の検索番号を入力し、これにより、この検索番号がクライアント2からサーバ3に送られ、サーバ3は、クライアント2から送られる検索番号に基づき、データベース4に記憶される、対応する葬儀情報を、クライアント2に送り、これにより、クライアント2の表示画面には、検索番号に対応する葬儀情報のウェブページが表示され、従って、関係者10は、宗家(喪主)7や葬儀業者8等に連絡することなく、容易に葬儀情報を得ることができる、葬儀情報提供システム1。」

2 対比・判断
(1)本件特許発明1について

ア.対比
本件特許発明1と甲1発明1とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)甲1発明1の「情報配信サーバ11」は、「予め情報配信サーバ11へのアクセス権を有する本発明システム10の利用会員企業であるクライアントのクライアント端末1からのみアクセス可能」であることから、「複数のクライアント」を「利用会員」とする「本発明システム10」を「運営する者」がいるといえる。よって、当該「運営する者」の「情報配信サーバ11」は、後述する相違点を除き、本件特許発明1の「運営者のサーバー」に相当する。

(イ)甲1発明1の「クライアント端末1」及び「端末7」と、本件特許発明1の「葬儀社端末」は、「端末」である点で共通している。

(ウ)甲1発明1の「冠婚葬祭情報配信システム10」は、後述する相違点を除き、本件特許発明1の「訃報情報配信システム」に相当する。

(エ)甲1発明1の「携帯情報端末5b」は、「不特定多数の一般ユーザ」の「携帯端末」である他、「冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信された被配信者も、一般ユーザとともに配信された情報Eの再確認」のため「冠婚葬祭イベントに関する公開情報H」を入手するために使用する「携帯端末」といえるから、当該「携帯情報端末5b」は複数台の携帯端末、すなわち、「第一携帯端末」及び「第二携帯端末」として存在するといえる。
さらに、「公開情報H」として、通常、「喪家」のみが利用する「香典返し」や「仏壇」の情報や、通常、冠婚葬祭の「参列者」が利用する「香典・お祝いサービス、宿泊・交通予約サービス」の情報が含まれていることを考慮すると、「冠婚葬祭イベントに関する公開情報H」を受信する「携帯情報端末5b」のユーザとして、「喪家」や「参列者」も当然に含まれ得ると考えられる。
よって、甲1発明1の複数台、すなわち、少なくとも2台以上が存在する「携帯情報端末5b」のうちの任意の2台と、本件特許発明1の「喪家の第一携帯端末」及び「参列者の第二携帯端末」とは、少なくとも、携帯端末の所有者を限定しない「第一携帯端末」及び「第二携帯端末」である点で共通しているといえる。

(オ)甲1発明1の「情報配信サーバ11」は、上記クライアント端末1からインターネット2aを介してアクセス可能」であること、また、「インターネット6a等のデータ通信網を使用」して「携帯情報端末5b」に「公開情報H」を送信することから、甲1発明1の「情報配信サーバ11」は、「クライアント端末1」及び「携帯情報端末5b」と「インターネットを介して接続」しているといえる。
したがって、以上の(ア)?(エ)の事項も踏まえると、甲1発明1の「冠婚葬祭情報配信システム10」と、本件特許発明1の「葬儀社端末と、運営者のサーバーと、喪家の第一携帯端末と、参列者の第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システム」とは、「端末と、運営者のサーバーと、第一携帯端末と、第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システム」である点で共通している。

(カ)甲1発明1の「訃報の場合」の「冠婚葬祭イベントに関する情報E」に含まれる「通夜や葬儀の場所及び日時、死亡者、クライアント企業の所属員との関係、喪主等」は、本件特許発明1における「故人名や式の内容等である訃報情報」に相当する。
また、甲1発明1では、「発生情報Cに含まれる冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報配信手段18に出力」するから、「通夜や葬儀の場所及び日時、死亡者、クライアント企業の所属員との関係、喪主等」が含まれる「冠婚葬祭イベントに関する情報E」は、「発生情報Cに含まれる」情報である。
そして、甲1発明1の「クライアント端末1」は、「情報配信サーバ11」に備えられた「イベント発生入力手段16」が受け付ける「発生情報Cの入力」をするための「端末」であるといえることから、「通夜や葬儀の場所及び日時、死亡者、クライアント企業の所属員との関係、喪主等」を入力する「入力手段」を備えているといえる。
したがって、甲1発明1の当該「入力手段」は、本件特許発明1の「故人名や式の内容等である訃報情報を入力する入力手段」に相当するといえる。

(キ)甲1発明1の「クライアント端末1」は、当該入力された「発生情報C」に含まれる「通夜や葬儀の場所及び日時、死亡者、クライアント企業の所属員との関係、喪主等」を、「情報配信サーバ11」に「送信する手段」を、当然、備えているといえる。
したがって、甲1発明1の当該「送信する手段」は、本件特許発明1の「前記入力された訃報情報を前記サーバーに送信する送信手段」に相当するといえる。

(ク)上記の(イ)、(カ)、(キ)を踏まえると、甲1発明1と本件特許発明1は、「前記端末は、故人名や式の内容等である訃報情報を入力する入力手段と、前記入力された訃報情報を前記サーバーに送信する送信手段と、を備える」点で共通している。

(ケ)甲1発明1の「情報公開手段32」による「冠婚葬祭イベントに関する情報Hの公開を目的とした」「ホームページ」は、本件特許発明1の「ウェブページ」に相当する。また、甲1発明1の「冠婚葬祭イベントに関する公開情報H」は、「情報E」に含まれる「訃報」に関する情報を含むといえる。
そして、甲1発明1の「情報配信サーバ11」は、「不特定多数の一般ユーザの情報端末5からの通信媒体6を介したアクセスに対して冠婚葬祭イベントに関する公開情報Hを送信する情報公開手段32を備え」ることから、当該「情報公開手段32」は、「公開情報H」を「ホームページ」で「閲覧可能」にしているといえる。
したがって、甲1発明1の「情報配信サーバ11」が備える「情報公開手段32」は、本件特許発明1の「前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段」とは、「前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にする手段」である点で共通している。

したがって、本件特許発明1と甲1発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「A.端末と、運営者のサーバーと、第一携帯端末と、第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システムであって、
B.前記端末は、
C.故人名や式の内容等である訃報情報を入力する入力手段と、
D.前記入力された訃報情報を前記サーバーに送信する送信手段と、を備えるとともに、
E.前記サーバーは、
F.前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にする手段と、
を備える
L.ことを特徴とする訃報情報配信システム。」

<相違点>
<相違点1-1>
「端末」が、本件特許発明1では、「葬儀社端末」であるのに対し、甲1発明1の「クライアント端末1」及び「端末7」は、そのような特定がされていない点。

<相違点1-2>
「第一携帯端末」が、本件特許発明1では、「喪家の第一携帯端末」であるのに対し、甲1発明1にはそのような特定がされていない点。

<相違点1-3>
「第二携帯端末」が、本件特許発明1では、「参列者の第二携帯端末」であるのに対し、甲1発明1にはそのような特定がされていない点。

<相違点1-4>
訃報情報をウェブページで閲覧可能にする手段は、本件特許発明1では、「アップロード手段」であるのに対し、甲1発明1には「アップロード手段」であるとの特定がされていない点。

<相違点1-5>
サーバーは、本件特許発明1では、「前記ウェブページのURL、又は前記ウェブページのURLを二次元コード化したその二次元コードのうち少なくともいずれか一方を表示する電子書類を作成する電子書類作成手段」を備えるのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

<相違点1-6>
サーバーは、本件特許発明1では、「前記電子書類を前記葬儀社端末に送信する返信手段」を備えるのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

<相違点1-7>
本件特許発明1では、「前記ウェブページには、前記URLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成」されているのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

<相違点1-8>
本件特許発明1では、「プリンターを介して前記電子書類を紙に出力させる出力制御手段」を備えるのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

<相違点1-9>
本件特許発明1では、「前記紙に記載された前記URL又は前記二次元コードから前記第一携帯端末で前記ウェブページにアクセスされるとともに前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に前記第一携帯端末内にあるリストを使用して前記第二携帯端末が選択されることで、前記ウェブページのURLを前記第二携帯端末と共有可能な共有手段」を備えるのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

イ.相違点についての判断

<相違点1-1>について
甲1発明1において、「情報端末7」の所有者である「サービス業者」のサービスとしては、一例として「冠婚葬祭関係サービス(例えば、花、香典返し、仏壇等の手配)」との特定がされている。そして、一般に、「葬儀社」がそのようなサービスを提供する業者であることは周知の事項であるから、甲1発明1の「サービス業者の情報端末7」を、例えば、花、香典返し、仏壇等の手配のサービスを提供する業者として周知である「葬儀社」の「端末」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

<相違点1-2>について
上記「ア.(エ)」で示したように、甲1発明1の少なくとも2台以上が存在する「携帯情報端末5b」は、「不特定多数の一般ユーザ」の「携帯端末」である他、「冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信された被配信者も、一般ユーザとともに配信された情報Eの再確認」のため「冠婚葬祭イベントに関する公開情報H」を入手するために使用する「携帯端末」といえる。
そして、「公開情報H」には、通常、「喪家」のみが利用する「香典返し」や「仏壇」の情報が含まれていることを考慮すると、そのような「公開情報H」を受信する「携帯情報端末5b」のユーザを、「喪家」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

<相違点1-3>について
上記<相違点1-2>についての検討に加え、甲1発明1の少なくとも2台以上が存在する「携帯情報端末5b」は、受信する「公開情報H」として、通常、冠婚葬祭の「参列者」が利用する「香典・お祝いサービス、宿泊・交通予約サービス」の情報も含まれていることを考慮すると、そのような「公開情報H」を受信する「携帯情報端末5b」のユーザを、「参列者」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

<相違点1-4>について
一般に、任意の情報をウェブページで閲覧可能とするために、当該ウェブページを管理するサーバ等のコンピュータに当該情報を「アップロード」することは、引用文献を挙げるまでもなく周知技術である。
したがって、甲1発明1における、「公開情報H」を「ホームページ」で「閲覧可能」にする「情報公開手段32」に、当該周知技術を適用し、「アップロード手段」を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

<相違点1-5>について
相違点1-5に係る構成である本件特許発明1の「前記ウェブページのURL、又は前記ウェブページのURLを二次元コード化したその二次元コードのうち少なくともいずれか一方を表示する電子書類を作成する電子書類作成手段」は、甲第2号証?甲第4号証のいずれにも、記載も示唆もされておらず、本願優先日前において周知技術でもない。
特に、甲2記載事項には、上述したように、
「インターネット上のURLアドレスへのポインティング情報をコード化している、QRコードを生成する方法であって、
URLアドレスをコード化するQRコードを生成し、
受信ユーザーが光学的にQRコードを取得し、コード化されたURLアドレスを復号化し、前記QRコードは、割り当てられたURLアドレスの情報コンテンツに受信ユーザーを導き、そして前記情報コンテンツを表示し、
QRコードはリアルまたはヴァーチャルな対象にスタンプされるかまたは印刷されることができ、例えば、印刷用に、PDF形式のQRコードの生成が実行されること」が、特定されている。
しかしながら、当該甲2記載事項の技術を、甲1発明1の「情報公開手段32」に適用しても、「情報公開手段32」により表示される「冠婚葬祭関係業者リンク集」についてのQRコードを生成する構成を想到し得るものであって、訃報情報を閲覧可能にする「ウェブページ」である「公開情報H」を表示する「公開画面」そのもののウェブページの「URL」、又はそのQRコードを生成する構成を想到するには至らない。
したがって、上記相違点1-5に係る構成は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

<相違点1-6>について
上記相違点1-5についての検討を踏まえると、相違点1-5に係る構成である本件特許発明1の「電子書類を作成する電子書類作成手段」は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえないことから、相違点1-6に係る構成である本件特許発明1の「前記電子書類を前記葬儀社端末に送信する返信手段」についても、同様に、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

<相違点1-7>について
相違点1-7に係る構成である本件特許発明1の「前記ウェブページには、前記URLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成」されることは、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
すなわち、甲3記載事項には、上述したように、
「ウェブサイトの様々なウェブページを閲覧している時に、他のユーザと共有したいと思うウェブページを見つけ、ウェブアドレス情報の共有に関連するボタンが、ウェブサイトの特定のウェブページに提示され、ユーザは、ウェブページを共有したいと思った時に、ボタンを選択し、ウェブページを共有する旨のユーザによる指示(ボタンの選択)に応答して、要求が、ユーザのために送信され、
例えば、第1のユーザによるウェブページの訪問によって、要求が発行された場合に、第1のユーザは、メッセージシステム(例えば、電子メールまたはインスタントメッセージシステム)を介して、ウェブアドレス情報をコピーおよび共有し、その後、第2のユーザが、共有されたウェブアドレス情報を見て、第1のユーザが他のユーザと共有したいと思ったウェブページに誘導されること」が、特定されている。
しかしながら、甲1発明1と甲3記載事項は、「ウェブページの閲覧」という共通の分野に属するといえるものの、甲1発明1の「不特定多数の一般ユーザ」及び「冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信された被配信者」が所持する「携帯情報端末5b」において訃報情報を閲覧可能とする「公開情報H」のウェブページに対し、甲3記載事項である「ウェブアドレス情報の共有に関連するボタン」を適用するべき課題の共通性等の動機付けは見出し難い。
同様に、たとえ、「ウェブアドレス情報の共有に関連するボタン」が周知技術であったとしても、不特定多数の一般ユーザが「公開情報H」のウェブページに対してアクセスできる甲1発明1において、さらにこのようなボタンを適用するべき課題の共通性等の動機付けは見出し難い。
その他、甲第2号証及び甲第4号証においても、相違点1-7に係る上記構成については記載も示唆もされていない。
したがって、上記相違点1-7に係る構成は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

<相違点1-8>について
上記相違点1-5についての検討を踏まえると、相違点1-5に係る構成である本件特許発明1の「電子書類を作成する電子書類作成手段」は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえないことから、相違点1-8に係る構成である本件特許発明1の「プリンターを介して前記電子書類を紙に出力させる出力制御手段」についても、同様に、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

<相違点1-9>について
相違点1-9に係る構成である本件特許発明1の「前記紙に記載された前記URL又は前記二次元コードから前記第一携帯端末で前記ウェブページにアクセスされるとともに前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に前記第一携帯端末内にあるリストを使用して前記第二携帯端末が選択されることで、前記ウェブページのURLを前記第二携帯端末と共有可能な共有手段」は、甲第2号証?甲第4号証のいずれにも、記載も示唆もされておらず、本願優先日前において周知技術でもない。
また、上記相違点1-8についての検討を踏まえると、相違点1-8に係る構成である本件特許発明1の「プリンターを介して前記電子書類を紙に出力させる出力制御手段」は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえないこと、さらに、
上記相違点1-7についての検討を踏まえると、相違点1-7に係る構成である本件特許発明1の「前記ウェブページには、前記URLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成」されることも、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえないことから、
相違点1-9に係る構成である本件特許発明1の「前記紙に記載された前記URL又は前記二次元コード」は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえず、さらに、
相違点1-9に係る構成である本件特許発明1の「前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され」る構成も、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
したがって、上記相違点1-9に係る構成は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

(2)本件特許発明2について

ア.対比
本件特許発明2の構成要件M?U及びWと、本件特許発明1の構成要件A?I及びLとは、同じ記載であるため、本件特許発明2と甲1発明1の対比は、上述した本件特許発明1と甲1発明1の対比において、「本件特許発明1」を「本件特許発明2」に読み替えたものと、同様である。

したがって、本件特許発明2と甲1発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「M.端末と、運営者のサーバーと、第一携帯端末と、第二携帯端末と、がインターネットを介して接続された訃報情報配信システムであって、
N.前記端末は、
O.故人名や式の内容等である訃報情報を入力する入力手段と、
P.前記入力された訃報情報を前記サーバーに送信する送信手段と、を備えるとともに、
Q.前記サーバーは、
R.前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にする手段と、
を備える
W.ことを特徴とする訃報情報配信システム。」

<相違点>
<相違点2-1>
「端末」が、本件特許発明2では、「葬儀社端末」であるのに対し、甲1発明1の「クライアント端末1」及び「端末7」は、そのような特定がされていない点。

<相違点2-2>
「第一携帯端末」が、本件特許発明2では、「喪家の第一携帯端末」であるのに対し、甲1発明1にはそのような特定がされていない点。

<相違点2-3>
「第二携帯端末」が、本件特許発明2では、「参列者の第二携帯端末」であるのに対し、甲1発明1にはそのような特定がされていない点。

<相違点2-4>
訃報情報をウェブページで閲覧可能にする手段は、本件特許発明2では、「アップロード手段」であるのに対し、甲1発明1には「アップロード手段」であるとの特定がされていない点。

<相違点2-5>
サーバーは、本件特許発明2では、「前記ウェブページのURL、又は前記ウェブページのURLを二次元コード化したその二次元コードのうち少なくともいずれか一方を表示する電子書類を作成する電子書類作成手段」を備えるのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

<相違点2-6>
サーバーは、本件特許発明2では、「前記電子書類を前記葬儀社端末に送信する返信手段」を備えるのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

<相違点2-7>
本件特許発明2では、「前記ウェブページには、前記URLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成」されているのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

<相違点2-8>
本件特許発明2では、「前記電子書類に表示された前記URL又は前記二次元コードから前記第一携帯端末で前記ウェブページにアクセスされるとともに前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に前記第一携帯端末内にあるリストを使用して前記第二携帯端末が選択されることで、前記ウェブページのURLを前記第二携帯端末と共有可能な共有手段」を備えるのに対し、甲1発明1には、そのような特定がされていない点。

イ.相違点についての判断

<相違点2-1>?<相違点2-7>について
相違点2-1乃至相違点2-7は、それぞれ、上記相違点1-1乃至相違点1-7において「本件特許発明1」を「本件特許発明2」に読み替えたものと同様である。したがって、相違点2-1乃至相違点2-7についての判断は、上記相違点1-1乃至相違点1-7についての判断と同様であり、相違点2-5乃至相違点2-7に係る構成は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

<相違点2-8>について
相違点2-8に係る構成である本件特許発明2の「前記電子書類に表示された前記URL又は前記二次元コードから前記第一携帯端末で前記ウェブページにアクセスされるとともに前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に前記第一携帯端末内にあるリストを使用して前記第二携帯端末が選択されることで、前記ウェブページのURLを前記第二携帯端末と共有可能な共有手段」は、甲第2号証?甲第4号証のいずれにも、記載も示唆もされておらず、本願優先日前において周知技術でもない。
また、相違点2-5に係る構成である本件特許発明2の「電子書類を作成する電子書類作成手段」は、相違点2-5と同内容の上記相違点1-5についての検討を踏まえると、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえないこと、さらに、
相違点2-7に係る構成である本件特許発明2の「前記ウェブページには、前記URLを他の端末と共有可能な共有ボタンが表示されるように構成」されることも、相違点2-7と同内容の上記相違点1-7についての検討を踏まえると、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえないことから、
相違点2-8に係る構成である本件特許発明2の「前記電子書類に記載された前記URL又は前記二次元コード」は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえず、さらに、
相違点2-8に係る構成である本件特許発明2の「前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され」る構成も、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
したがって、上記相違点2-8に係る構成は、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

3 小括
以上のとおり、本件特許発明1は、少なくとも上記相違点1-5乃至1-9について、また、本件特許発明2は、少なくとも上記相違点2-5乃至2-8について、甲1発明1及び甲第2号証?甲第4号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、特許法第29条第2項に違反して特許されたものではないから、同法第123条第1項第2号に該当せず、請求人が主張する無効理由によっては、本件特許発明1及び2に係る特許を無効とすることはできない。

4 請求人の主張する甲1発明について

請求人は、審判請求書において、甲第1号証に記載された発明として、上記「第3 請求人の主張 3 請求人の主張の概要 (2)ア」で示した「甲1発明」を主張し、上記「第3 請求人の主張 3 請求人の主張の概要 (3)ア」及び「イ」に示すように、本件特許発明1及び2との対比・判断に関する主張をしているので、当該主張について検討する。

(1)本件特許発明1と甲1発明との対比及び一致点について

ア 請求人は、甲1発明における「情報配信サーバ11」は、本件特許発明1における「前記葬儀社端末」に相当すると主張するが、甲第1号証には、「情報配信サーバ11」が「葬儀社端末」であるとの記載はないことから、両者は直ちに一致点であるということはできない。

イ 請求人は、甲1発明における「イベント発生入力手段16」は、本件特許発明1における「入力手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1において、訃報情報を入力する「入力手段」が備えられているのは「葬儀社端末」であるのに対して、甲1発明の「イベント発生入力手段16」が備えられているのは「情報配信サーバ11」であって、上述したように、甲第1号証には、「情報配信サーバ11」が「葬儀社端末」であるとの記載はないことから、両者は直ちに一致点であるということはできない。

ウ 請求人は、甲1発明における「情報配信手段18」は、本件特許発明1における「送信手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1において、訃報情報を送信する「送信手段」が備えられているのは「葬儀社端末」であり、しかも配信先はサーバであるのに対して、甲1発明では、「情報配信手段18」が備えられているのは「情報配信サーバ11」であり、しかも配信先は被配信者の情報端末3,5であるので、両者は直ちに一致点であるということはできない。

エ 請求人は、甲1発明における「情報配信サーバ11」は、上記アで示したように、本件特許発明1における「前記葬儀社端末」に相当すると主張し、かつ、「前記サーバー」に相当するとも主張するが、その主張の前提に立つと、甲1発明の「情報配信手段18」が本件特許発明1における「送信手段」に相当するという上記ウにおける主張により、甲1発明の「情報配信サーバ11」に備えられる「情報配信手段18」は、自らの「情報配信サーバ11」に訃報情報を送信するものとなり、上記ウと上記エの主張は整合性がとれないものとなる。
したがって、甲1発明における「情報配信サーバ11」が、本件特許発明1の「前記葬儀社端末」及び「前記サーバー」の両方に相当するとの出願人の主張は、他の主張と整合性がとれないので採用できない。

オ 請求人は、甲1発明における「冠婚葬祭イベントに関する情報Eを情報端末3,5に対して冠婚葬祭関係サービスの受注ページで閲覧可能にする手段」は、本件特許発明1における「前記入力された訃報情報をウェブページで閲覧可能にするアップロード手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1では、訃報情報をウェブページで閲覧可能なのは、喪家の第一携帯端末と、喪家により選択された参列者の第二携帯端末であるのに対して、甲1発明では、予めデータとして記憶された情報端末3,5であるので、直ちに一致点であるということはできない。

カ 請求人は、甲1発明における「情報公開手段32」は、本件特許発明1における「電子書類作成手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1の電子書類作成手段は、葬儀社端末に返信するため、葬儀社端末によって入力された訃報情報を閲覧可能とするウェブページのURL、又は前記ウェブページのURLを二次元コード化したその二次元コードのうち少なくともいずれか一方を表示する電子書類を作成するのに対して、甲1発明の情報公開手段32は、不特定多数の一般ユーザ、及び、冠婚葬祭イベントに関する情報Eを配信された被配信者の情報端末からの通信媒体6を介したアクセスに対して冠婚葬祭イベントに関する公開情報Hを送信するものであるので、両者は一致しているとはいえない。

キ 請求人は、甲1発明における「冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末3,5に対して送信する手段」は、本件特許発明1における「返信手段」に相当すると主張するが、本件特許発明1の返信手段は、電子書類を葬儀社端末に送信するのに対して、甲1発明の前記「送信する手段」は、冠婚葬祭関係業者リンク集を情報端末3,5に送信するものであるので、両者は一致しているとはいえない。

ク 請求人は、甲1発明における「冠婚葬祭関係サービスの受注ページ」と、本件特許発明1における「ウェブページ」とは、「URLを含むリンクを表示する」点で共通する旨を主張し、構成要素G’として「URLを含む冠婚葬祭関係業者リンク集を表示する手段」を本件特許発明1と甲1発明の共通点として挙げているが、本件特許発明1には、「URLを含む冠婚葬祭関係業者リンク集を表示する手段」との構成は無く、この点で両者は一致しているとはいえない。

ケ 請求人は、甲1発明における「受信確認処理手段21」と、本件特許発明1における「共有手段」とは、「URLから携帯端末で表示した前記ウェブページにおいてデータが入力され、さらに配信先として、配信用のデータベースを作ることなく既にあるリストを使用して配信先が選択される」点で共通する旨を主張するが、本件特許発明1の共有手段は、紙に記載された前記URL又は前記二次元コードから前記第一携帯端末で前記ウェブページにアクセスされるとともに前記第一携帯端末で表示した前記ウェブページにおいて前記共有ボタンが押下され、さらに共有先として、配信用のデータベースを作ることなく既に前記第一携帯端末内にあるリストを使用して前記第二携帯端末が選択されることで、前記ウェブページのURLを前記第二携帯端末と共有可能にするものであるのに対して、甲1発明の受信確認処理手段21は、配信先Bの情報端末3からの受信確認Fを、通信媒体4を介して受信して所定の記憶領域に記憶するとともに、クライアント端末1から通信媒体2を介して入力された表示要求入力Gに基づいて、その受信確認情報Fをクライアント端末1の画像表示装置の表示画面上に出力するよう構成されるものであるので、両者は一致しているとはいえない。

(2)本件特許発明2と甲1発明との対比及び一致点について

本件特許発明2と甲1発明との対比及び一致点については、本件特許発明1と甲1発明との対比及び一致点について検討した上記(1)ア?ケと同様のことがいえる。

(3)小括

以上のことから、請求人が主張する甲1発明と、本件特許発明1及び2の対比による一致点の主張は、少なくとも上記(1)ア?ケに示したように誤りであると言わざるを得ない。そして、請求人の主張する相違点とその検討についても、当該誤りである対比の主張に基づくものであるので、採用することができない。
したがって、請求人が審判請求書において主張した「甲1発明」に基づく無効理由は採用することができない。

第6 むすび
以上のとおり、請求人が主張する理由及び提出した証拠方法によっては、請求項1及び2に係る発明の特許を無効にすることはできない。
審判費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-07-06 
結審通知日 2021-07-08 
審決日 2021-07-20 
出願番号 特願2018-72677(P2018-72677)
審決分類 P 1 123・ 121- Y (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安藤 一道今川 悟  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 北川 純次
角田 慎治
登録日 2019-06-14 
登録番号 特許第6539374号(P6539374)
発明の名称 訃報情報配信システム  
代理人 竹上 幸雄  
代理人 中畑 稔  
代理人 山広 宗則  
代理人 影山 剛士  
代理人 岩本 牧子  
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