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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1377675
審判番号 不服2020-13252  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-23 
確定日 2021-09-30 
事件の表示 特願2018-557121「アンライセンス周波数帯域における無線通信のためのリスンビフォートーク(LBT)構成」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日国際公開、WO2017/196329、令和 1年 7月 4日国内公表、特表2019-519134、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、本願は、2016年(平成28年)5月12日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年12月28日 手続補正書の提出
令和 元年11月21日付け 拒絶理由通知書
令和 2年 1月27日 意見書、手続補正書の提出
令和 2年 6月19日付け 拒絶査定
令和 2年 9月23日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 3年 3月26日 上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年6月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


●理由1

・請求項 1、9
・引用文献等 1

●理由2
・請求項 1ないし3、9
・引用文献等 1

・請求項 1ないし4、6、7、10
・引用文献等 1、2

・請求項 5、8、11ないし15
・引用文献等 1ないし3

引用例1:SONY,eLAA Measurements and Carrier Selection Procedure[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #84bis R1-162554,2016年4月1日アップロード,Internet
引用例2:Nokia, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Channel Access for LAA UL[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #84bis R1-162920,2016年4月1日アップロード, Internet
引用例3:国際公開第2016/028400号

第3 本願発明について
本願の請求項1ないし14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明14」という。)は、令和2年9月23日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし14は以下のとおりの発明である。ここで、令和2年9月23日の手続補正により、請求項2が削除され、請求項3ないし請求項15が請求項2ないし請求項14に繰り上げられた。

「 【請求項1】
セルラー・ネットワークのアンライセンス無線帯域で動作するためのリスンビフォートーク(LBT)特性を決定するための方法(200)であって、
ユーザ機器(UE)と基地局(BS)との間の無線チャネルについて1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)であって、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてチャネル占有メトリックを決定するステップを備え、前記チャネル占有メトリックを決定するステップは、チャネル帯域幅上の受信エネルギー・レベルを決定するステップを含む、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)と、
前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて、(i)LBTモード(220)又は(ii)LBT検知時間(230)を決定するステップと、
を備える方法(200)。
【請求項2】
前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについて前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップが、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてリンク品質メトリックを決定するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LBT検知時間が、初期コンテンション・ウィンドウ・サイズ(CWS)又は固定の検知時間期間を備える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップが、
前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックの第1のチャネル検知メトリックをしきい値と比較するステップと、
前記第1のチャネル検知メトリックを前記しきい値と比較するステップに基づいて、前記LBTモードを決定するステップと、
を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記LBTモードが、コンテンション・ウィンドウ(CW)を必要とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記LBTモードが、固定の検知時間期間を必要とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップが、
前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックの第1のチャネル検知メトリックをしきい値と比較するステップと、
前記第1のチャネル検知メトリックを前記しきい値と比較するステップに基づいて、前記LBT検知時間を決定するステップと、
を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップが、基地局(eNB)によって、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップを備え、
(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップが、前記eNBによって、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップを備え、
前記方法が、前記eNBによって、(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検
知時間をユーザ機器(UE)に送信するステップを備える、請求項1から7までのいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項9】
(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップが、前記eNBによって、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて(i)前記LBTモード及び(ii)前記LBT検知時間を決定するステップを備え、
(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を送信するステップが、前記eNBによって、(i)前記LBTモード及び(ii)前記LBT検知時間をユーザ機器(UE)に送信するステップを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ユーザ機器(UE)によって、(i)前記LBTモード及び(ii)前記LBT検知時間を使用してLBTプロセスを実行するステップを備え、
前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップが、前記UEによって、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップを備え、
(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップが、前記UEによって、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップを備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップが、前記UEによって、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて(i)前記LBTモード及び(ii)前記LBT検知時間を決定するステップを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記UEによって、前記LBTモードを基地局(eNB)から受信するステップを備え、
(i)前記LBTモード又は(ii)前記LBT検知時間を決定するステップが、前記UEによって、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて前記LBT検知時間を決定するステップを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記LBTプロセスを実行するステップが、前記UEによって、コンテンション・ウィンドウ内の時間において、又は固定の検知時間期間の後に信号を送信するステップを備える、請求項10から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
セルラー・ネットワーク(101)のアンライセンス無線帯域(105)で動作するように構成された装置であって、
メモリ、及び前記メモリと通信するプロセッサ・デバイスを有するコンピューティング・プラットフォームと、
前記メモリに格納され、前記プロセッサ・デバイスによって実行可能な制御アプリケーションであって、
ユーザ機器(UE)(104A、104B)と基地局(BS)(108)との間の無線チャネルについて1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定し、
前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて、(i)リスンビフォートーク(LBT)モード又は(ii)LBT検知時間を決定する
ように構成され、
前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定することは、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてチャネル占有メトリックを決定することを含み、前記チャネル占有メトリックを決定することは、チャネル帯域幅上の受信エネルギー・レベルを決定することを含む、制御アプリケーションと、
を備え、
前記制御アプリケーションが、請求項1から7まで及び請求項10から13までのいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される装置。」

第4 引用発明等について
1.引用例1
原査定の拒絶の理由に引用されたSONY,eLAA Measurements and Carrier Selection Procedure[online](当審訳:eLAA測定及びキャリア選択手順),3GPP TSG RAN WG1 Meeting #84bis R1-162554,2016年4月1日アップロード,Internet
(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

「2.Discussion
(略)
Alternative 2:
Another potential solution to support the “fast carrier selection” is via L1 signalling plus measured Energy Detection status. It is proposed that the type of channel access procedure, e.g. Cat 2 or Cat 4 UE(s) utilize to get access to the channel is configured by eNB. For the procedure of Alternative 2, RRC will configure the UE(s) which carriers UE(s) need to monitor and which kind of LBT UE(s) will utilize on each configured carrier and then UE(s) record and report to eNB the LBT results periodically or event triggered. 」(1ページ下から8行ないし2ページ27行)
(当審訳:
2.議論
(略)
代替案2:
「高速キャリア選択」をサポートする別の可能性のある解決策は、L1シグナリングと測定されたエネルギー検出ステータスによる。チャネルへのアクセスを取得するためにUEが利用する例えばCAT 2又はCAT 4のチャネルアクセス手順のタイプはeNBによって構成されることが提案される。代替案2の手順では、RRCは、UEが監視する必要のあるキャリアと、構成された各キャリアで使用するLBT UEの種類を構成し、そして、UEが記録してLBTの結果は定期的か、イベントがトリガーされた時にeNBへ報告する。)

まず、文献のタイトルが「eLAA測定及びキャリア選択手順」であるから、LAAを行うシステムを前提としているといえる。
そして、上記の「チャネルへのアクセスを取得するためにUEが利用する例えばCAT 2又はCAT 4のチャネルアクセス手順のタイプはeNBによって構成される」との記載によれば、チャネルアクセス手順のタイプであるCAT 2又はCAT 4のどちらをUEが利用するかをeNBが構成する方法が記載されているといえる。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「LAAを行うシステムにおいて、チャネルアクセス手順のタイプであるCAT 2又はCAT 4のどちらをUEが利用するかをeNBが構成する方法。」

2.引用例2
原査定の拒絶の理由に引用されたNokia, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Channel Access for LAA UL[online](当審訳:LAAのULのチャンネルアクセス),3GPP TSG RAN WG1 Meeting #84bis R1-162920,2016年4月1日アップロード, Internet(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

「3.2 Contention window size maintenance
For the downlink transmission, the CWS is maintained at the eNB and adjusted based on HARQ-ACK feedback. Since the PHICH feedback is not available in LAA SCell, the question for LAA UL is whether the CWS adjustment should be performed by the eNB or the UE.
・At the eNB side
The major motivation to perform CWS maintenance at the eNB side is to signal the same CWS/counter to UEs to increase probability of UL multiplexing as much as possible. Since the multi-user multiplexing can be achieved by self-deferral operation, the benefit of eNB controlled CWS is very limited. Furthermore, the eNB could maintain a common CWS for all UEs, even UL channel condition of the UEs may be very different. However, common CWS for all UEs cannot affect the real collision situation for a specific UE, it is a kind of average situation for all UEs in the cell. To force UEs to have the same CWS will corrupt the whole principle of CWS adjustment. Therefore, a common CWS for all UEs may not be an appropriate solution for CWS maintenance.
Another way is that the eNB can perform CWS adjustment for each served UE and sends the CWS indication to the scheduled UEs by UL grant. As we mentioned beforehand, the eNB does not have accurate information on the UE buffer status for each priority class. The eNB should indicate all CWSs of different priority classes to the UE. We see no real benefit to have CWS bookkeeping at the eNB, it will only create additional eNB implementation complexity as well as increase the DL signaling overhead.
・At the UE side
To adjust CWS by UEs could well reflect current UL channel condition of the UEs. Given that the PHICH feedback is not available in LAA SCell, an alternative is that the UE determines the HARQ feedback status based on the NDI indication in UL grant, and does CWS adjustment accordingly.」(4ページ29行ないし5ページ3行)
(当審訳:
3.2 コンテンションウィンドウサイズのメンテナンス
ダウンリンク送信の場合、CWSはeNBで維持され、HARQ-ACKフィードバックに基づいて調整される。PHICHフィードバックはLAA SCellでは利用されないため、LAA ULの問題は、CWS調整をeNBとUEのどちらで実行するかである。
・eNB側
eNB側でCWSメンテナンスを実行する主な動機は、同じCWS/カウンターをUEに通知して、UL多重化の可能性を可能な限り高めることです。マルチユーザー多重化は自己延期操作によって実現できるため、eNB制御のCWSの利点は非常に限られる。さらに、eNBは、UEのULチャネル状態でさえ非常に異なる可能性があるとしても、すべてのUEに対して共通のCWSを維持することができる。ただし、すべてのUEに共通のCWSは、特定のUEの実際の衝突状況に影響を与えることはできない。これは、セル内のすべてのUEの一種の平均的な状況である。UEに同じCWSを持つように強制すると、CWS調整の原則全体が破損される。したがって、すべてのUEに共通のCWSは、CWSのメンテナンスに適したソリューションではない場合がある。
もう1つの方法では、eNBは、サービスされた各UEに対してCWS調整を実行することができ、UL許可によってCWS表示をスケジュールされたUEに送信できる。
前述したように、eNBには、各優先度クラスのUEバッファステータスに関する正確な情報がない。eNBは、異なる優先度クラスのすべてのCWSをUEに示す必要がある。eNBでCWSを作成することによる実際のメリットはない。これにより、eNBの実装がさらに複雑になり、DLシグナリングのオーバヘッドが増加するだけである。
・UE側
UEによってCWSを調整することは、UEの現在のULチャネル状態を十分に反映する可能性がある。PHICHフィードバックがLAA SCellで利用できない場合、代替手段は、UEがUL許可のNDI表示に基づいてHARQフィードバックステータスを決定し、それに応じてCWS調整を行う。)

まず、文献のタイトルが「LAAのULのチャンネルアクセス」であるから、LAAのシステムであるといえる。
そして上記の「ダウンリンク送信の場合、CWSはeNBで維持され、HARQ-ACKフィードバックに基づいて調整される。」及び「UEがUL許可のNDI表示に基づいてHARQフィードバックステータスを決定し、それに応じてCWS調整を行う。」との記載によれば、HARQ-ACKに基づいてコンテンションウィンドウサイズCWSが調整されることが記載されている。

したがって、引用例2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「LAAを行うシステムにおいて、HARQ-ACKに基づいてコンテンションウィンドウサイズCWSが調整される。」

3.引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2016/028400号(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

「[0053] (略)Each time that the Wi-Fi node determines that the energy level exceeds the threshold, detects a transmission of a Wi-Fi preamble, and/or receives a non-acknowledgement (NACK) from a Wi-Fi node to which a transmission was made, the Wi-Fi node may increase (e.g., double) the size of the contention window, to reduce the probability of a data collision or interference during a next transmission to or from the Wi-Fi node.(略)」
(当審訳:
[0053](略)
Wi-Fiノードが、エネルギーレベルが閾を超えると決定し、Wi-Fiプリアンブルの送信を検出し、及び/又は、送信が行われたWi-Fiノードから否定応答(NACK)を受信するたびに、Wi-Fiノードは、Wi-Fiノードとの間の次の送信中のデータ衝突又は干渉の確率を低下させるために、コンテンションウィンドウのサイズを増大させ(たとえば、倍にし)てよい。(略))

したがって、引用例3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「Wi-Fiノードが、エネルギーレベルが閾を超えると決定し、Wi-Fiプリアンブルの送信を検出するたびに、Wi-Fiノードは、Wi-Fiノードとの間の次の送信中のデータ衝突又は干渉の確率を低下させるために、コンテンションウィンドウのサイズを増大させる。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の方法は「LAAを行うシステム」における方法であり、LAAを行うシステムとはセルラー・ネットワークのアンライセンス無線帯域で動作するシステムであることは技術常識である。
そして、引用発明の「CAT 2」又は「CAT 4」は、3GPPのLAAのチャネルアクセス手順のタイプであり、リッスンビフォートーク(LBT)特性やリッスンビフォアトーク(LBT)のモードに含まれることは明らかであるから、本願発明1の「リスンビフォートーク(LBT)特性」や「LBTモード」に含まれる。
更に、引用発明では「CAT 2又はCAT 4のどちらをUEが利用するかをeNBが構成する」ことから、eNBはCAT 2又はCAT 4のどちらを利用するかを決定しており、リスンビフォートーク(LBT)特性を決定しているといえる。
よって、引用発明の方法は、本願発明1と同様に、「セルラー・ネットワークのアンライセンス無線帯域で動作するためのリスンビフォートーク(LBT)特性を決定するための方法」といえる。

イ.「ア」で説示したように、引用発明の「CAT 2又はCAT 4のどちらをUEが利用するかをeNBが構成する」ことは、eNBがCAT 2又はCAT 4のどちらを利用するかを決定しているといえる。そして、「ア」で説示したように、引用発明の「CAT 2」又は「CAT 4」は、本願発明1の「LBTモード」に含まれる。
よって、本願発明1の「前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて、(i)LBTモード(220)又は(ii)LBT検知時間(230)を決定するステップ」と、引用発明の「CAT 2又はCAT 4のどちらをUEが利用するかをeNBが構成する」こととは、「(i)LBTモード(220)又は(ii)LBT検知時間(230)を決定するステップ」の点で共通する。

以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「セルラー・ネットワークのアンライセンス無線帯域で動作するためのリスンビフォートーク(LBT)特性を決定するための方法であって、
(i)LBTモード(220)又は(ii)LBT検知時間(230)を決定するステップ、
を備える方法。」

(相違点)
(i)LBTモード(220)又は(ii)LBT検知時間(230)を決定する上で、本願発明1では「ユーザ機器(UE)と基地局(BS)との間の無線チャネルについて1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)であって、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてチャネル占有メトリックを決定するステップを備え、前記チャネル占有メトリックを決定するステップは、チャネル帯域幅上の受信エネルギー・レベルを決定するステップを含む、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)」を備え、「前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて」LBTモードを決定するのに対し、引用発明では(i)LBTモード(220)であるCAT 2又はCAT 4のどちらをUEが利用するかを決定する際に何に基づいて決定するか特定されておらず、また(ii)LBT検知時間(230)を決定することは特定されていない点で相違する。

(2)相違点についての判断
(i)LBTモード(220)を決定する際に、「ユーザ機器(UE)と基地局(BS)との間の無線チャネルについて1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)であって、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてチャネル占有メトリックを決定するステップを備え、前記チャネル占有メトリックを決定するステップは、チャネル帯域幅上の受信エネルギー・レベルを決定するステップを含む、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)」を備え、「前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて」(i)LBTモードを決定することは、引用例2、3に記載されておらず、公知技術でも周知技術でもない。
また、引用発明では(ii)LBT検知時間(230)を決定することは特定されていないことから、(ii)LBT検知時間(230)を決定する際に、「ユーザ機器(UE)と基地局(BS)との間の無線チャネルについて1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)であって、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてチャネル占有メトリックを決定するステップを備え、前記チャネル占有メトリックを決定するステップは、チャネル帯域幅上の受信エネルギー・レベルを決定するステップを含む、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)」を備え、「前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて」(ii)LBT検知時間(230)を決定する構成を採用する動機付けが認められず、当業者であっても、容易に想到しえない。
したがって、本願発明1は、引用発明ではなく、また、当業者であっても、引用発明、並びに、引用例2及び引用例3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2ないし7及び本願発明9ないし14について
本願発明2ないし7及び本願発明9ないし14も、本願発明1の「ユーザ機器(UE)と基地局(BS)との間の無線チャネルについて1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)であって、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてチャネル占有メトリックを決定するステップを備え、前記チャネル占有メトリックを決定するステップは、チャネル帯域幅上の受信エネルギー・レベルを決定するステップを含む、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)」を備え、「前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて」(i)LBTモード(220)又は(ii)LBT検知時間(230)を決定するという発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、並びに、引用例2及び引用例3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3.本願発明8について
本願発明8も、本願発明1の「ユーザ機器(UE)と基地局(BS)との間の無線チャネルについて1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)であって、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてチャネル占有メトリックを決定するステップを備え、前記チャネル占有メトリックを決定するステップは、チャネル帯域幅上の受信エネルギー・レベルを決定するステップを含む、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)」を備え、「前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて」(i)LBTモード(220)又は(ii)LBT検知時間(230)を決定するという発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明ではなく、また、当業者であっても、引用発明、並びに、引用例2及び引用例3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和2年9月23日の手続補正により補正された本願発明1ないし14は、「ユーザ機器(UE)と基地局(BS)との間の無線チャネルについて1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)であって、前記ユーザ機器(UE)と前記基地局(BS)との間の前記無線チャネルについてチャネル占有メトリックを決定するステップを備え、前記チャネル占有メトリックを決定するステップは、チャネル帯域幅上の受信エネルギー・レベルを決定するステップを含む、前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックを決定するステップ(210)」を備え、「前記1つ又は複数のチャネル検知メトリックに基づいて」(i)LBTモード(220)又は(ii)LBT検知時間(230)を決定するという発明特定事項を備えるものであるから、上記「第5」のとおり、引用発明ではなく、当業者であっても、原査定において引用された引用発明、並びに、引用例2及び引用例3に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-09-15 
出願番号 特願2018-557121(P2018-557121)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齋藤 浩兵  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 中木 努
本郷 彰
発明の名称 アンライセンス周波数帯域における無線通信のためのリスンビフォートーク(LBT)構成  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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