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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09K
審判 全部申し立て 発明同一  C09K
管理番号 1377795
異議申立番号 異議2020-700817  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-21 
確定日 2021-08-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6693412号発明「離型層、離型層を備える成形体および離型剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6693412号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、11?13〕、〔4?8〕、9について訂正することを認める。 特許第6693412号の請求項1、9、11ないし13に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯と本件発明
特許第6693412号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成27年12月15日(優先権主張 平成26年12月18日)を国際出願日とする出願であって、令和2年4月20日にその特許権の設定登録(請求項の数10)がされ、同年5月13日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1、4?9に係る特許に対し、令和2年10月21日に特許異議申立人 岡 幹男により特許異議の申立てがなされた。当審は令和3年3月31日付けで取消理由を通知し、この取消理由通知に対して、特許権者は同年6月1日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行った。その訂正の請求に対して、特許異議申立人は同年6月24日に意見書を提出した。

第2 訂正の可否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、次の訂正事項1?7のとおりである(下線は変更箇所)。なお、訂正前の請求項4?8は、訂正前の請求項1の記載を引用するものであるから、本件訂正は、一群の請求項1、4?8について請求されている。また、特許権者は、訂正後の請求項1、11?13については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求め、訂正後の請求項4?8については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における「前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を1モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まない、離型層。
【化1】

(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上20以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)」との記載を、「前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下であり、
前記ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型層。
【化1】

(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上16以下の整数)、R_(4)はHを示す)」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4に「前記ポリマーは、重量平均分子量が5,000以上150,000以下である、請求項1?3のいずれか1項に記載の離型層。」と記載されているのを「前記ポリマーは、重量平均分子量が5,000以上150,000以下である、請求項2または3に記載の離型層。」に訂正する。
(3)訂正事項3
(訂正事項3-1)
特許請求の範囲の請求項5に「前記ポリマーの水酸基価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、請求項1?4のいずれか1項に記載の離型層。」と記載されているのを、「前記ポリマーの水酸基価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、請求項2?4のいずれか1項に記載の離型層。」に訂正する。
(訂正事項3-2)
特許請求の範囲の請求項5に「前記ポリマーの水酸基価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、請求項1?4のいずれか1項に記載の離型層。」と記載されているのを「前記ポリマーの水酸基価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、請求項1に記載の離型層。」と記載し、新たに請求項11とする。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「前記ポリマーは、架橋剤によって架橋される、請求項1?5のいずれか1項に記載の離型層。」と記載されているのを「前記ポリマーは、架橋剤によって架橋される、請求項2?5のいずれか1項に記載の離型層。」に訂正する。
(5)訂正事項5
(訂正事項5-1)
特許請求の範囲の請求項7に「前記式(1)中、R_(1)は直鎖状である、請求項1?6のいずれか1項に記載の離型層。」と記載されているのを「前記式(4)中、R_(1)は直鎖状である、請求項2?6のいずれか1項に記載の離型層。」に訂正する。
(訂正事項5-2)
特許請求の範囲の請求項7に「前記式(1)中、R_(1)は直鎖状である、請求項1?6のいずれか1項に記載の離型層。」と記載されているのを「前記式(1)中、R_(1)は直鎖状である、請求項1または11に記載の離型層。」と記載し、新たに請求項12とする。
(6)訂正事項6
(訂正事項6-1)
特許請求の範囲の請求項8に「基材と、前記基材の表面に配置された請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の離型層とを備える成形体。」と記載されているのを「基材と、前記基材の表面に配置された請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の離型層とを備える成形体。」に訂正する。
(訂正事項6-2)
特許請求の範囲の請求項8に「基材と、前記基材の表面に配置された請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の離型層とを備える成形体。」と記載されているのを「基材と、前記基材の表面に配置された請求項1、11および12のいずれか1項に記載の離型層とを備える成形体。」と記載し、新たに請求項13とする。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9における「前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を1モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まない、離型剤。
【化8】

(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上20以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)」との記載を、「前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下であり、
前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型剤。
【化8】

(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上16以下の整数)、R_(4)はHを示す)」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、段落[0070]、[0072]、[0060]?[0061]、[0132]の記載に基づいて、訂正前の請求項1におけるポリマーに含まれるY成分の範囲を「X成分100モルに対して、Y成分1モル以上30モル以下」から「X成分100モルに対して、Y成分5モル以上30モル以下」へと減縮し、「ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下であり、」「ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである」ことを特定し、式(1)で示されるX成分について、「(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上20以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)」から「式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上16以下の整数)、R_(4)はHを示す」へと減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(2)訂正事項2について
訂正前の請求項4は、請求項1?3を引用する記載であるところ、訂正事項2は、訂正前の請求項4について、引用する請求項の数を減少させて請求項2および請求項3を引用する記載とするものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(3)訂正事項3について
訂正前の請求項5は、請求項1?4を引用する記載であるところ、訂正事項3-1は、引用する請求項を減少させて請求項2?4を引用する記載とするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であって、訂正事項3-2は、訂正前の請求項5の請求項1を引用する部分について、訂正前の請求項5の請求項1を引用する記載としたものを新たに請求項11として設けたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
そして、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(4)訂正事項4について
訂正前の請求項6は、請求項1?5を引用する記載であるところ、訂正事項4は、引用する請求項を減少させて請求項2?5を引用する記載とするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(5)訂正事項5について
訂正前の請求項7は、請求項1?6を引用する記載であるところ、訂正事項5-1は、引用する請求項を減少させて請求項2?5を引用する記載とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、さらに、訂正前の請求項7において、請求項2?5を引用するものについては、「式(1)中」との記載は、「式(1)」が存在しないことから「式(4)中」の誤記であることは明らかであるところ、訂正事項5-1の「式(1)中、」との記載を「式(4)中、」とする記載は、誤記の訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正である。
また、訂正事項5-2は、訂正前の請求項7の請求項1を引用する部分と請求項1を引用する請求項5を引用する部分について、新たに請求項12として設けたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする。
そして、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(6)訂正事項6について
訂正前の請求項8は、請求項1?7を引用する記載であるところ、訂正事項6-1は、引用する請求項を減少させて請求項2?7を引用する記載とするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であって、訂正事項6-2は、訂正前の請求項8の請求項1並びに請求項1を直接又は間接的に引用する請求項5及び請求項7を引用する部分について、新たに請求項13として設けたものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正である。
そして、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(7)訂正事項7について
訂正前の請求項9は、本件明細書に記載された「第1の発明」における一実施の形態に係る離型剤であるところ、訂正事項7は、「第1の発明」についての明細書の記載である段落[0070]、[0072]、[0060]?[0061]及び[0132]の記載に基づいて、ポリマーに含まれるY成分の範囲を「X成分100モルに対して、Y成分1モル以上30モル以下」から「X成分100モルに対して、Y成分5モル以上30モル以下」へと減縮し、「ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下であり、」「前記架橋剤はポリイソシアネートである」ことを特定し、式(1)で示されるX成分について、「(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上20以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)」から「式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上16以下の整数)、R_(4)はHを示す」へと減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(8)訂正事項1?7についてのまとめ
以上のとおり、訂正事項1?7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1、2又は4号に規定する事項を目的とするものであり、いずれも、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。なお、訂正後の請求項4?8は、訂正後の請求項1を引用しないものとなった。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、11?13〕、〔4?8〕、9について訂正することを認める。

第3 本件発明
第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1?13に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1?13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に応じて「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)。
「【請求項1】
表面自由エネルギーが30mJ/m^(2)以上60mJ/m^(2)以下であり、常態剥離力が50mN/50mm以上400mN/50mm以下である離型層であって、
前記離型層は、下記式(1)で示されるX成分と、下記式(2)で示されるY成分とを含むポリマーが架橋してなり、かつ、ポリエステル樹脂を含まず、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下であり、
前記ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型層。
【化1】

(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上16以下の整数)、R_(4)はHを示す)
【化2】

(式(2)中、R_(2)は(C_(m)H_(2m)OH)(m=1以上10以下の整数)またはH、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【化3】

(式(3)中、R_(3)は(C_(a)H_(2a)O)_(q)(a=1以上4以下の整数、q=2以上30以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)、R_(5)は(C_(b)H_(2b+1))(b=1以上20以下の整数)を示す)
【化4】

(式(13)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=7以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【請求項2】
常態剥離力が50mN/50mm以上400mN/50mm以下であり、加熱後剥離力が前記常態剥離力の2倍以下である離型層であって、
前記離型層は、下記式(4)で示されるX成分と、下記式(5)で示されるY成分と、下記式(6)で示されるZ成分とを含むポリマーが架橋してなり、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下およびZ成分を1モル以上30モル以下の範囲で含む、離型層。
【化5】

(式(4)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上20以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【化6】

(式(5)中、R_(2)は(C_(m)H_(2m)OH)(m=1以上10以下の整数)またはH、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【化7】

(式(6)中、R_(3)は(C_(a)H_(2a)O)_(q)(a=1以上4以下の整数、q=5以上30以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)、R_(5)は(C_(b)H_(2b+1))(b=1以上20以下の整数)を示す)
【請求項3】
表面自由エネルギーが30mJ/m^(2)以上60mJ/m^(2)以下である、請求項2に記載の離型層。
【請求項4】
前記ポリマーは、重量平均分子量が5,000以上150,000以下である、
請求項2または3に記載の離型層。
【請求項5】
前記ポリマーの水酸基価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、
請求項2?4のいずれか1項に記載の離型層。
【請求項6】
前記ポリマーは、架橋剤によって架橋される、
請求項2?5のいずれか1項に記載の離型層。
【請求項7】
前記式(4)中、R_(1)は直鎖状である、
請求項2?6のいずれか1項に記載の離型層。
【請求項8】
基材と、
前記基材の表面に配置された請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の離型層とを備える成形体。
【請求項9】
下記式(1)で示されるX成分と、下記式(2)で示されるY成分とを含むポリマーと、架橋剤とを含み、かつ、ポリエステル樹脂を含まず、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下であり、
前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型剤。
【化8】

(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上16以下の整数)、R_(4)はHを示す)
【化9】

(式(2)中、R_(2)は(C_(m)H_(2m)OH)(m=1以上10以下の整数)またはH、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【化10】

(式(3)中、R_(3)は(C_(a)H_(2a)O)_(q)(a=1以上4以下の整数、q=2以上30以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)、R_(5)は(C_(b)H_(2b+1))(b=1以上20以下の整数)を示す)
【化11】

(式(13)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=7以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【請求項10】
下記式(4)で示されるX成分と、下記式(5)で示されるY成分と、下記式(6)で示されるZ成分とを含むポリマーと、架橋剤とを含み、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下およびZ成分を1モル以上30モル以下の範囲で含む、離型剤。
【化12】

(式(4)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上20以下の整数)、R_(4)はHまたは(CH_(3))を示す)
【化13】

(式(5)中、R_(2)は(C_(m)H_(2m)OH)(m=1以上10以下の整数)またはH、R_(4)はHまたは(CH_(3))を示す)
【化14】

(式(6)中、R_(3)は(C_(a)H_(2a)O)q(a=1以上4以下の整数、q=5以上30以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)、R_(5)は(C_(b)H_(2b+1))(b=1以上20以下の整数)を示す)
【請求項11】
前記ポリマーの水酸基価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、
請求項1に記載の離型層。
【請求項12】
前記式(1)中、R_(1)は直鎖状である、
請求項1または11に記載の離型層。
【請求項13】
基材と、
前記基材の表面に配置された請求項1、11および12のいずれか1項に記載の離型層とを備える成形体。」

第4 取消理由の概要
訂正前の本件発明1、本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明4?8及び本件発明9に係る特許に対して、令和3年3月31日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次の1?5である。なお、取消理由が通知された請求項1、4?8及び9に対応する訂正後の請求項は、それぞれ請求項1、11?13及び9であり、訂正後の請求項2?8及び10に対しては、特許異議申立はされておらず、取消理由も通知されていない。
1 (拡大先願)本件発明1、4?8及び9は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた先願1(特願2014-155598号(特開2016-33173号公報)(特許異議申立人が提出した甲第1号証))の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2 (新規性)本件発明1、4?9は、本件発明の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物2(特開2003-147327号公報(特許異議申立人が提出した甲第2号証))に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するものであるから、本件発明1、4?9は、特許法第29条の規定に違反してされたものである。
3 (進歩性)本件発明1、4?9は、本件発明の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された上記刊行物2に記載された発明に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1、4?9は、特許法第29条の規定に違反してされたものである。
4 (実施可能要件)本件は、発明の詳細な説明の記載について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
5 (サポート要件)本件は、請求項9の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第5 取消理由に対する当審の判断
1 取消理由1(拡大先願)について
(1)先願1の明細書の記載
先願1には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0053】
本発明の剥離剤原料組成物は、前記成分(A)?(C)を反応させて得られるプレポリマーと、前記成分(D)(架橋剤)とを反応(架橋反応)させることにより、本発明の剥離剤組成物を製造することができる。前記本発明の剥離剤組成物は、例えば、基材の少なくとも片面に形成された剥離剤層の形態で用いることが好ましい。(中略)
【0058】
なお、前記共重合反応の反応温度および反応時間により、前記成分(A)?(C)を反応(共重合)させて得られるプレポリマーの分子量を、ある程度コントロールすることができる。反応温度を低めに、または反応時間を長めにすると、前記ポリマーの分子量が大きくなりやすい傾向がある。逆に、反応温度を高めに、または反応時間を短めにすると、前記ポリマーの分子量が小さくなりやすい傾向がある。前記プレポリマーの分子量は、特に限定されないが、剥離力の低下の観点から、5千(5×10^(3))?4万(4×10^(4))が好ましい。なお、本発明において、ポリマーの「分子量」は、特に断らない限り、重量平均分子量を表す。」
イ 「【実施例】
【0067】
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0068】
[実施例1]
以下のようにして、成分(A)?(C)を反応させてプレポリマーを合成(製造)し、さらに、前記プレポリマーおよび成分(D)を含む剥離剤原料組成物を用いて剥離材を製造した。
【0069】
まず、成分(A)?(C)を反応させてプレポリマーを合成(製造)した。すなわち、攪拌機、窒素導入管、温度計、および冷却管を備えた1Lフラスコ内に、アクリル酸ステアリル(成分(A))45g、アクリル酸ラウリル(成分(B))97.5g、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(成分(C))7.5g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.75g、n-ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)4.5g、酢酸エチル127gを添加し、窒素気流化、80℃で8時間重合反応を行うことにより、目的とする本実施例(実施例1)のポリマーを得た。得られた本実施例のプレポリマーの分子量は、1.0万であった。なお、前記本実施例のプレポリマーの分子量(重量平均分子量)は、ウォーターズ社製の分析モジュールWaters e2695、検出器Waters 2414、データ処理Empower2 ソフトウェア(商品名)を用いて測定した。以下の各実施例および比較例で合成したプレポリマーにおいても同様である。
【0070】
さらに、本実施例(実施例1)のプレポリマーおよび成分(D)を含む剥離剤原料組成物を用いて剥離材を製造した。すなわち、まず、前記本実施例のプレポリマーと、デュラネートTPA-100(旭化成株式会社の商品名、3官能イソシアネート架橋剤、成分(D))と、TN-12(堺化学工業株式会社の商品名、ジブチル錫ジラウレート、有機錫系ウレタン化触媒)とをトルエンに溶解させて溶液とし、この溶液を剥離剤原料組成物とした。このとき、本実施例のプレポリマー(不揮発分)/架橋剤/触媒の質量比が100/4/0.1となり、かつこれらの合計質量に基づく濃度が6質量%となるように前記トルエン溶液(剥離剤組成物)を調製した。つぎに、PETフィルム(基材)上に、ガラス棒を用いて前記トルエン溶液(剥離剤組成物)を塗工し、剥離剤組成物層を形成した。さらに、前記剥離剤組成物層を100℃で1hr加熱することにより、乾燥させる(トルエンを除去する)とともに、本実施例(実施例1)のプレポリマーと前記成分(D)(架橋剤)とを反応させて剥離剤層を形成し、本実施例の剥離材(剥離剤フィルム)を製造した。なお、前記剥離剤層の厚み(膜厚)が0.1μmとなるようにした。前記剥離剤層の厚み(膜厚)は、前記剥離材(剥離剤フィルム)に対し、反射分光膜厚計FE-3000(大塚電子の商品名)を用いて測定した。以下の各実施例および比較例においても同様である。
【0071】
[実施例2?4、比較例1?7]
成分(A)?(D)およびTN-12(触媒)の質量比を、後述の表1に記載の数値に変更すること以外は実施例1と同様にして、プレポリマー、剥離剤組成物および剥離材を製造した。
【0072】
さらに、実施例1?4および比較例1?7の剥離材について、剥離力(軽剥離性)、再接着性(再接着率)および耐ブロッキング性を、以下のようにして評価した。
【0073】
[剥離力(軽剥離性)]
アクリル系粘着テープである9313(3M社の商品名)を、実施例1?4および比較例1?7のいずれかの剥離材(剥離剤フィルム)に、2kgゴムローラーにて5往復で圧着した。それを、23℃(湿度50RH)の恒温室で2時間放置した。その後、引っ張り試験機により、23℃にて剥離角度180°、剥離速度0.3m/minで前記粘着テープを剥離し、その剥離に要する力すなわち剥離力(N/25mm)を測定した。測定された剥離力に応じて、軽剥離性(粘着剤に対する剥離力が軽く(小さく)て剥離しやすい性質)を、下記のとおり○、△または×で評価した。
○:剥離力が0.1N/25mm以下
△:剥離力が0.1N/25mmより大きく1.0N/25mm以下
×:剥離力が1.0N/25mmより大きい(重い)
【0074】
[再接着性(再接着率)]
前記剥離力測定後の前記粘着テープを、SUS304ステンレス板に、2kgゴムローラーを用いて5往復で圧着した。それを、23℃(湿度50RH)の恒温室で2時間放置した。その後、引っ張り試験機により、23℃にて剥離角度180°、剥離速度0.3m/minで前記粘着テープを剥離し、その剥離に要する力すなわち剥離力(N/25mm)と、ブランクテープ(前記剥離力測定に供する前の前記粘着テープ9313)の剥離に要した剥離力との比から再接着率を算出した。算出した再接着率に基づき、再接着性を、下記のとおり○、△または×で評価した。
○:再接着率が90%以上
△:再接着率が80%以上?90%未満
×:再接着率が80%未満
【0075】
[耐ブロッキング性]
実施例1?4および比較例1?7のいずれかの剥離材(剥離フィルム)上にPETフィルムを重ね、2kPaの圧力をかけて23℃で3日間放置した。その後、引っ張り試験機により、剥離速度0.3m/min、25mm幅の試験片で剥離試験を行い、密着の有無を確認した。その確認結果を、下記のとおり、○、△または×で評価した。
○:密着しない
△:密着するが、剥離時に剥離剤層がPETフィルム上に移行しない。
×:密着し、さらに、剥離時に剥離剤層がPETフィルム上に移行する。
【0076】
下記表1に、実施例1?4および比較例1?7の各剥離材(剥離剤層)の成分比、および前記剥離力(軽剥離性)、再接着性(再接着率)および耐ブロッキング性の試験結果を示す。下記表1において、成分(A)?(D)および触媒の欄の数値は、前記各成分の相対質量(質量比)を表す。特に、成分(D)(架橋剤)の欄の数値は、成分(A)?(C)を共重合させて得られたポリマー100質量部に対する質量部(質量%)を表す。「A:B」は、成分(A)と成分(B)との質量比を表す。「膜厚(μm)」は、剥離剤層の厚み(膜厚)を表し、いずれの実施例および比較例においても、0.1μmである。
【0077】

【0078】
前記表1に示したとおり、実施例1?4の剥離材は、剥離力(軽剥離性)、再接着性(再接着率)および耐ブロッキング性が、いずれも良好であった。一方、比較例1?7の剥離力(軽剥離性)、再接着性(再接着率)および耐ブロッキング性の少なくとも一つに問題があった。具体的には、成分(A)を添加していない比較例1、および、成分(A)/(B)の質量比が1/99である(成分(A)の含有率が少なすぎる)比較例2は、再接着性(再接着率)が良くなかった。成分(A)/(B)の質量比が74/26である(成分(A)の含有率が多すぎる)比較例3は、剥離力(軽剥離性)が良くなかった。[(A)+(B)]/(C)の質量比が99.9/0.1である(成分(C)の含有率が少なすぎる)比較例4は、再接着性(再接着率)および耐ブロッキング性が良くなかった。[(A)+(B)]/(C)の質量比が85/15である(成分(C)の含有率が多すぎる)比較例5は、剥離力(軽剥離性)が良くなかった。成分(D)(架橋剤)の質量が、ポリマーの質量に対し12%である(架橋剤が多すぎる)比較例6は、剥離力(軽剥離性)が良くなかった。また、成分(D)(架橋剤)の質量が、ポリマーの質量に対し0.1%である(架橋剤が少なすぎる)比較例7は、再接着性(再接着率)および耐ブロッキング性が良くなかった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上、説明したとおり、本発明によれば、粘着剤に対する剥離力が小さくて剥離しやすく、再接着性に優れ、かつ耐ブロッキング性に優れたポリ(メタ)アクリル酸エステル系剥離剤組成物、剥離剤原料組成物、剥離材の製造方法、剥離材、および剥離材付き粘着シートを提供することができる。本発明の剥離剤組成物、剥離剤原料組成物、剥離材、および剥離材付き粘着シートの使用分野は、特に限定されないが、特に、精密機器である電子材料関連・光学フィルム製造関連等で使用する粘着テープおよび剥離フィルム(離型フィルム)、転写フィルム等の分野に広く用いることができる。」

(2)先願1の明細書に記載の発明(先願発明1)
先願1の明細書の【0069】((1)イ)には、「アクリル酸ステアリル(成分(A))45g、アクリル酸ラウリル(成分(B))97.5g、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(成分(C))7.5g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.75g、n-ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)4.5g、酢酸エチル127gを添加し、窒素気流化、80℃で8時間重合反応を行うことにより、・・・本実施例(実施例1)のポリマーを得た。得られた本実施例のプレポリマーの分子量は、1.0万であった。」こと、同【0070】には、「さらに、本実施例(実施例1)のプレポリマーおよび成分(D)を含む剥離剤原料組成物を用いて剥離材を製造した。すなわち、まず、前記本実施例のプレポリマーと、デュラネートTPA-100(旭化成株式会社の商品名、3官能イソシアネート架橋剤、成分(D))と、TN-12(堺化学工業株式会社の商品名、ジブチル錫ジラウレート、有機錫系ウレタン化触媒)とをトルエンに溶解させて溶液とし、この溶液を剥離剤原料組成物とした。・・・つぎに、PETフィルム(基材)上に、ガラス棒を用いて前記トルエン溶液(剥離剤組成物)を塗工し、剥離剤組成物層を形成した。さらに、前記剥離剤組成物層を100℃で1hr加熱することにより、乾燥させる(トルエンを除去する)とともに、本実施例(実施例1)のプレポリマーと前記成分(D)(架橋剤)とを反応させて剥離剤層を形成し、本実施例の剥離材(剥離剤フィルム)を製造した。」ことが記載されている。
また、同【0077】の【表1】には、上記実施例1の剥離材が、軽剥離性が○であることが記載されているところ、同【0073】の記載によれば、軽剥離性が○であることは、剥離力が0.1N/25mm(200mN/50mm)以下であるから、実施例1の剥離材は、剥離力が200mN/50mm以下であることが記載されているといえる。

してみれば、先願1の明細書には、
「アクリル酸ステアリル(成分(A))45g、アクリル酸ラウリル(成分(B))97.5g、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(成分(C))7.5g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.75g、n-ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)4.5g、酢酸エチル127gを添加し、窒素気流化、80℃で8時間重合反応を行うことにより得られた分子量1.0万のプレポリマーと、デュラネートTPA-100と、TN-12とをトルエンに溶解させた剥離剤原料組成物をPETフィルム上に塗工し、加熱することにより、剥離剤組成物層を形成して得られた、剥離力が200mN/50mm以下である剥離材(剥離剤フィルム)」(以下、「先願発明1」という。)、及び、
「アクリル酸ステアリル(成分(A))45g、アクリル酸ラウリル(成分(B))97.5g、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(成分(C))7.5g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.75g、n-ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)4.5g、酢酸エチル127gを添加し、窒素気流化、80℃で8時間重合反応を行うことにより得られた分子量1.0万のプレポリマーと、デュラネートTPA-100と、TN-12とをトルエンに溶解させた剥離剤原料組成物」(以下、「先願発明1組成物」という。)が記載されていると認められる。

(3)対比・判断
ア 本件発明1について
本件発明1と先願発明1とを対比する。
先願発明1の「アクリル酸ラウリル(成分(B))」は、本件発明1の「式(1)で表されるX成分」のうち、R_(1)がC_(12)H_(25)であり(n=12)、R_(4)がHであるものに相当する。
また、先願発明1の「アクリル酸2-ヒドロキシエチル(成分(C))」は、本件発明1の「式(2)で表されるY成分」のうち、R_(2)がC_(2)H_(4)OHであり(m=2)、R_(4)がHであるものに相当する。
そして、アクリル酸ラウリルの含有量は97.5/240.39≒0.41(モル)、アクリル酸2-ヒドロキシエチルの含有量は7.5/116.12≒0.065(モル)であるから、先願発明1のポリマーは、「X成分100モルに対して、Y成分」を16.25モル含むものであり、本件発明1の「X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で」含むという構成を充足するものである。
また、先願発明1の「プレポリマー」は、本件発明1の「式(3)で示されるZ成分および・・・式(13)で示される成分」を含んでいない。
さらに、当該「プレポリマー」は、架橋剤であるデュラネートTPA-100を添加され、加熱されており、「架橋剤であるデュラネートTPA-100」はポリイソシアネートであることは明らかであるから、本件発明1の「ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである」構成を充足する。
そして、先願発明1の「剥離剤原料組成物」は、ポリエステル樹脂を含むものではない。
また、先願発明1の「剥離力」は、【0073】の記載から、加熱後などでなく、23℃(湿度50RH)の「常態」で測定されたものであるといえるから、本件発明1の「常態剥離力」に相当するものである。
よって、先願発明1の「剥離力が200mN/50mm以下である」ことは、本件発明1の「常態剥離力が400mN/50mm以下である」ことに相当する。
そして、先願明細書1の【0079】には、剥離材は、剥離フィルム(離型フィルム)の分野に用いることができる旨が記載されているし、離型フィルムは離型層(剥離剤組成物層)を有する成型体であるから、先願発明1の「剥離材(剥離剤フィルム)」の「剥離剤組成物層」は本件発明1の「離型層」に相当する。

そうすると、本件発明1と先願発明1とは、
「常態剥離力が400mN/50mm以下である離型層であって、
前記離型層は、下記式(1)で示されるX成分と、下記式(2)で示されるY成分とを含むポリマーが架橋してなり、かつ、ポリエステル樹脂を含まず、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型層。」である点で一致し、次の点で相違が認められる(式(1)、式(2)、式(3)及び式(13)の記載は省略した。)。

(相違点1-1)
本件発明1は「表面自由エネルギーが30mJ/m^(2)以上60mJ/m^(2)以下」であるのに対して、先願発明1は「表面自由エネルギー」の大きさは不明な点
(相違点1?2)
本件発明1の常態剥離力の下限は「50mN/50mm以上」であるのに対して、先願発明1の常態剥離力の下限は規定されていない点
(相違点1-3)
本件発明1は「ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下」であるのに対し、先願発明1の「プレポリマー」の重量平均分子量は、1.0万である点(先願発明1では「分子量」が規定されているが、先願1の明細書の【0058】の「ポリマーの『分子量』は、特に断らない限り、重量平均分子量を表す。」という記載から、先願発明1の「プレポリマー」の「分子量」の値は重量平均分子量であるといえる。)

ここで、事案に鑑み、まず相違点1-3について検討する。
重量平均分子量は、ポリマー(プレポリマー)の特性に影響を与えることは技術常識であり、異なる重量平均分子量のポリマー(プレポリマー)から得られた本件発明1に係る離型層や先願発明1に係る剥離材(剥離剤フィルム)の特性が異なるものとなることは明らかである。したがって、上記相違点1-3は、実質的な相違点である。
また、先願1の明細書の【0058】には、「プレポリマーの分子量は、特に限定されないが、剥離力の低下の観点から、5千(5×10^(3))?4万(4×10^(4))が好ましい。」という記載はあるものの、先願発明1において、プレポリマーの分子量を異なるものとすれば、剥離剤フィルムとして先願発明1としての所望の特性を備えたものが得られるかどうかは明らかではなく、先願発明1の「プレポリマー」の重量平均分子量(1.0万)の規定に、本件発明1の「ポリマー」の重量平均分子量の範囲(20,000以上150,000以下)のものが含まれているとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1と先願発明1とは同一ではない。

イ 本件発明9について
本件発明9と先願発明1組成物とを対比する。
先願発明1組成物の「アクリル酸ラウリル(成分(B))」は、本件発明9の「式(1)で表されるX成分」のうち、R1がC_(12)H_(25)であり(n=12)、R_(4)がHであるものに相当する。
また、先願発明1組成物の「アクリル酸2-ヒドロキシエチル(成分(C))」は、本件発明9の「式(2)で表されるY成分」のうち、R_(2)がC_(2)H_(4)OHであり(m=2)、R_(4)がHであるものに相当する。
そして、アクリル酸ラウリルの含有量は97.5/240.39≒0.41(モル)、アクリル酸2-ヒドロキシエチルの含有量は7.5/116.12≒0.065(モル)であるから、先願発明1組成物のポリマーは、「X成分100モルに対して、Y成分」を16.25モル含むものであり、本件発明9の「X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で」含むという構成を充足するものである。
また、先願発明1組成物の「プレポリマー」は、本件発明9の「式(3)で示されるZ成分および・・・式(13)で示される成分」を含んでいない。
さらに、当該「プレポリマー」は、架橋剤であるデュラネートTPA-100を添加され、加熱されており、「架橋剤であるデュラネートTPA-100」はポリイソシアネートであることは明らかであるから、先願発明1組成物の「架橋剤であるデュラネートTPA-100」は、本件発明9の「前記架橋剤はポリイソシアネートである」構成に相当する。
そして、先願発明1組成物は、ポリエステル樹脂を含むものではない。
また、先願発明1組成物の「剥離剤原料組成物」は本件発明9の「離型剤」に相当する。

そうすると、本件発明9と先願発明1組成物とは、
「下記式(1)で示されるX成分と、下記式(2)で示されるY成分とを含むポリマーが架橋してなり、かつ、ポリエステル樹脂を含まず、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型剤。」である点で一致し、次の点で相違が認められる(式(1)?式(3)については記載を省略した)。

(相違点2-1)
本件発明9は、「ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下」であるのに対し、先願発明1組成物の「プレポリマー」の重量平均分子量は、1.0万である点

そこで、相違点2-1について検討する。
上記相違点1-3で検討したように、この相違点は、実質的な相違点である。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明9と先願発明1組成物とは同一ではない。

ウ 本件発明11?13について
本件発明11?13は、本件発明1を引用し、さらに特定するものであるから、本件発明1と同様な理由から、本件発明11?13は、先願発明1と同一ではない。

2 取消理由2(新規性)、取消理由3(進歩性)について
(1)刊行物2の記載事項
刊行物2には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 側鎖に炭素数12?28の長鎖アルキル基を有するとともに、官能基として水酸基または/およびカルボキシル基を有する剥離性ポリマーを主剤とし、かつ上記の官能基と反応する架橋剤を含むことを特徴とする長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤。・・・
【請求項4】 剥離性ポリマーの生成に際し、式(1);CH_(2 )=C(R^(1))COOR^(2)(式中、R^(1)は水素またはメチル基、R^(2)は炭素数12?28の長鎖アルキル基である)で表されるアクリル系単量体を必須とした単量体を、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、リビングラジカル重合するとともに、官能基として水酸基または/およびカルボキシル基を導入する手段を付加して、側鎖に炭素数12?28の長鎖アルキル基を有するとともに、官能基として水酸基または/およびカルボキシル基を有するアクリル系重合体を生成する請求項3に記載の長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤の製造方法。」
イ 「【0003】このような粘着シートや剥離シートなどの剥離処理層に用いられる剥離処理剤には、シリコーン系、長鎖アルキルペンダント系、ワツクス系、フッ素系などがあり、用途に応じて使い分けられている。このうち、長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤は、シリコーン系剥離処理剤などに比べて、剥離抵抗が大きいが、加熱によるシリコーン成分の飛散や粘着剤層への移行がなく、またペインタブル性(油性インク印字性)にすぐれるなどの利点があるため、各種の粘着シート、たとえば、結束用テープ、マスキングテープ、包装用テープ、シリコーン成分を嫌う電子部品用テープなどに幅広く用いられている。」
ウ 「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、側鎖に長鎖アルキル基を有する剥離性ポリマーを主剤とした長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤において、上記の剥離性ポリマーに特定の官能基を導入し、かつこの官能基と反応する架橋剤を配合して、上記官能基と架橋剤との反応により上記ポリマーを架橋処理したときには、剥離処理層の耐熱性が改良され、100℃以上の加熱を行っても剥離性能が大きく低下することのない、満足できる剥離性能が得られることを知り、本発明を完成するに至ったものである。」
エ 「【0019】式(1)で表されるアクリル系単量体には、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが用いられる。他の単量体には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートなどの短鎖アルキル(メタ)アクリレートや、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ?ト、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが用いられる。これら他の単量体の使用量は、剥離性能の面から、式(1)で表されるアクリル系単量体が単量体全体の30重量%以上、通常は50重量%以上、好ましくは60重量%以上となる割合とするのがよい。」
オ 「【0049】実施例
撹拌機、窒素導入管、冷却管、ラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、オクタデシルアクリレート50gを入れ、これに2,2′-ビピリジン0.6gを加えて、系内を窒素置換した。これに窒素気流下、臭化銅0.24gを加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸2-ヒドロキシエチル0.42gを加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、90℃で10時間重合した。重合率が85重量%以上であることを確認したのち、これに2-エチルヘキシルアクリレート50gをラバーセプタムから添加し、110℃で15時間加熱して重合し、再度、重合率が85重量%以上であることを確認したのち、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート1.2gを加えて、さらに110℃で15時間加熱して重合した。
【0050】このようにして得られた重合反応物を100℃に加熱し、8,000gの遠心力で30分間遠心処理して、上澄みの重合体を得た。この重合体50gにスルホン酸型イオン交換樹脂10gを加え、100℃で1時間撹拌後、上記のイオン交換樹脂をろ去して、高純度のアクリル系重合体を生成した。このアクリル系重合体は、側鎖に長鎖アルキル基としてオクタデシル基を有するオクタデシルアクリレート重合体ブロックAと2-エチルヘキシルアクリレート重合体ブロックBとからなるA-B型ジブロック共重合体であって、官能基として水酸基をポリマー鎖末端に1個、他末端に平均3個(計算値)有する重合体であり、数平均分子量は5.1万であった。
【0051】このアクリル系重合体からなる剥離性ポリマーを主剤とし、この主剤100部あたり、架橋剤としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン誘導体1.7部(水酸基とイソシアネート基との当量比は1.0である)と、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.1部とを配合し、よく混合して、長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤を製造した。
【0052】ついで、この長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤を、基材として厚さが25μmのポリエステルフイルムの片面に、ワイヤーバーにより、0.1g/mm^(2) の塗布量となるように塗布し、100℃で1分間加熱して架橋反応を行い、架橋処理した剥離処理層を形成して、剥離シートを作製した。」

(2)刊行物2に記載の発明(引用発明2)
刊行物2の【0049】?【0052】には、「・・・4つ口フラスコに、オクタデシルアクリレート50gを入れ、これに2,2′-ビピリジン0.6gを加えて、系内を窒素置換した。これに窒素気流下、臭化銅0.24gを加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開始剤として2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸2-ヒドロキシエチル0.42gを加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、90℃で10時間重合した。・・・これに2-エチルヘキシルアクリレート50gをラバーセプタムから添加し、110℃で15時間加熱して重合し、再度、重合率が85重量%以上であることを確認したのち、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート1.2gを加えて、さらに110℃で15時間加熱して重合した。」こと、「このようにして得られた重合反応物を100℃に加熱し、8,000gの遠心力で30分間遠心処理して、上澄みの重合体を得た。この重合体50gにスルホン酸型イオン交換樹脂10gを加え、100℃で1時間撹拌後、上記のイオン交換樹脂をろ去して、高純度のアクリル系重合体を生成した。」こと、「アクリル系重合体は、側鎖に長鎖アルキル基としてオクタデシル基を有するオクタデシルアクリレート重合体ブロックAと2-エチルヘキシルアクリレート重合体ブロックBとからなるA-B型ジブロック共重合体であって、官能基として水酸基をポリマー鎖末端に1個、他末端に平均3個(計算値)有する重合体であり、数平均分子量は5.1万であった。」こと、「このアクリル系重合体からなる剥離性ポリマーを主剤とし、この主剤100部あたり、架橋剤としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン誘導体1.7部(水酸基とイソシアネート基との当量比は1.0である)と、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.1部とを配合し、よく混合して、長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤を製造した。」こと、及び「ついで、この長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤を、基材として厚さが25μmのポリエステルフイルムの片面に、ワイヤーバーにより、0.1g/mm^(2) の塗布量となるように塗布し、100℃で1分間加熱して架橋反応を行い、架橋処理した剥離処理層を形成して、剥離シートを作製した。」ことが記載されている。

してみれば、刊行物2には、
「オクタデシルアクリレート50g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート1.2gを重合させて得られた数平均分子量5.1万のアクリル系重合体を主剤とし、この主剤100部あたり、架橋剤としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン誘導体1.7部と、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.1部とを配合して製造された長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤を、基材の片面に塗布し、加熱して架橋反応を行い、架橋処理した剥離処理層」(以下、「引用発明2」という。)、及び、
「オクタデシルアクリレート50g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート1.2gを重合させて得られた数平均分子量5.1万のアクリル系重合体を主剤とし、この主剤100部あたり、架橋剤としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン誘導体1.7部と、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.1部とを配合して製造された長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤」(以下、「引用発明2組成物」という。)が記載されていると認められる。

(3)対比・判断
ア 本件発明1について
本件発明1と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「2-エチルヘキシルアクリレート」は、本件発明1の「式(1)で示されるX成分」のうち、R_(1)がC_(8)H_(17)でR_(4)がHであるものに相当する。
また、引用発明2の「6-ヒドロキシヘキシルアクリレート」は、本件発明1の「式(2)で示されるY成分」のうち、R_(2)がC_(6)H_(12)OHでR_(4)がHであるものに相当する。
そして、引用発明2の「アクリル系重合体」は、本件発明1の「ポリマー」に相当し、本件発明1の「式(3)で示されるZ成分および・・・式(13)で示される成分」を含んでおらず、また、架橋剤であるトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン誘導体を添加され、加熱して架橋反応されるのであるから、引用発明2の「架橋剤としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン誘導体」は、本件発明1の「ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである」構成に相当する。
そして、引用発明2の「長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤」は、ポリエステル樹脂を含むものではない。
また、刊行物2の【0003】には、引用発明2の「剥離処理層」を設けた剥離シートは、シリコーン成分を嫌う電子部品用テープなどに用いられることが記載されているから、「剥離処理層」は離型層として用いられるものであるといえ、引用発明2の「剥離処理層」は、本件発明1の「離型層」に相当する。

そうすると、本件発明1と引用発明2とは、
「離型層であって、
前記離型層は、下記式(1)で示されるX成分と、下記式(2)で示されるY成分とを含むポリマーが架橋してなり、かつ、ポリエステル樹脂を含まず、
前記ポリマーは、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型層。」である点で一致し、次の点で相違が認められる(式(1)、式(2)、式(3)及び式(13)の記載は省略した。)。

(相違点3-1)
本件発明1は「表面自由エネルギーが30mJ/m^(2)以上60mJ/m^(2)以下」のものであるのに対して、引用発明2の「表面自由エネルギー」は不明な点
(相違点3?2)
本件発明1は「常態剥離力が50mN/50mm以上400mN/50mm以下」のものであるのに対して、引用発明2の「常態剥離力」は不明な点
(相違点3-3)
本件発明1は、ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含むのに対し、引用発明2では、X成分100モルに対して、Y成分を約2.59モル含む点(引用発明2において、「2-エチルヘキシルアクリレート」(本件発明1のX成分に相当)の含有量は、50/184.3≒0.27モル、「6-ヒドロキシヘキシルアクリレート」(本件発明1のY成分に相当)の含有量は、1.2/172.22≒0.0070モルであるから、引用発明2のポリマーは、本件発明1に則して記載すると、「X成分100モルに対して、Y成分を約2.59モル含む」ものである。)
(相違点3-4)
本件発明1は、「ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下」であるのに対し、引用発明2の「アクリル系重合体」の数平均分子量は、5.1万である点

そこで、事案に鑑み、まず相違点3-3について検討する。
ポリマー(重合体)の成分はその特性に大きな影響を与えるものであるから、上記相違点3-3は、ポリマーの成分が異なることを意味し、実質的な相違点であるといえ、本件発明1と引用発明2とは同一ではない。
また、刊行物2には、X成分及びY成分について言及はなく、しかも、式(1)で示されるX成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含むことについては何ら記載も示唆もされていない。
そして、引用発明2において、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含むようにする動機付けは見当たらない。
一方、本件明細書の【0154】の試料No.3及び試料No.18とを比較すると、ポリマーがX成分100モルに対してY成分を5モル以上含むときに、離型層の常態剥離力は低下するのに対し、ポリマーがX成分100モルに対してY成分を5モル以上含むとき、軽い離型性を有する離型層を得ることができることが理解できる。そうすると、本件発明1は、X成分100モルに対してY成分を5モル以上含むかどうかによって得られた離型層の離型性に影響を与えるものであるということができ、このようなことは、刊行物2の記載からは当業者が予測し得るものではない。
したがって、本件発明1は、上記相違点3-3に係る発明特定事項を有することで、刊行物2の記載から予想できない顕著な作用効果を奏するものであって、上記相違点3-3に係る発明特定事項は当業者が容易に想到し得るものであるということはできない。
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2と同一であるとはいえないし、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるということもできない。

(特許異議申立人の主張について)
特許異議申立人は意見書において、刊行物2の【0019】には、式(1)で表されるアクリル系単量体の具体例として、本件発明1のX成分に相当する、ラウリル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数12)、ミリスチル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数14)、パルミチル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数16)が記載されており、刊行物2の実施例1のポリマー(剥離性ポリマー)において、式(1)で表されるアクリル系単量体の一例である「オクタデシルアクリレート」50gを、他の例の「ラウリル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数12)、ミリスチル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数14)、パルミチル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数16)」のいずれか50gに置き換えることについて、何ら困難ではないため、X成分100モルに対して、Y成分5モル以上30モル以下の範囲で含むポリマーについても容易に想到し得る旨主張している。
しかしながら、同【0019】には、上記のアクリレートと並んで本件発明1のX成分に相当しないステアリル(メタ)アクリレートやメチル(メタ)アクリレートなども多く記載されており、これらの本件発明1のX成分に相当するものと本件発明1のX成分に相当しないものの中から、特に、本件発明1のX成分に相当するもののみを選択して、さらに、引用発明2の「オクタデシルアクリレート」を、その選択されたものに置き換る動機付けがあるとはいえず、特許異議申立人の上記主張は採用することができない。

イ 本件発明9について
本件発明1と引用発明2組成物とを対比する。
引用発明2組成物の「2-エチルヘキシルアクリレート」は、本件発明9の「式(1)で示されるX成分」のうち、R_(1)がC_(8)H_(17)でR_(4)がHであるものに相当する。
また、引用発明2組成物の「6-ヒドロキシヘキシルアクリレート」は、本件発明9の「式(2)で示されるY成分」のうち、R_(2)がC_(6)H_(12)OHでR_(4)がHであるものに相当する。
そして、引用発明2組成物の「アクリル系重合体」は、本件発明9の「ポリマー」に相当し、本件発明9の「式(3)で示されるZ成分および・・・式(13)で示される成分」を含んでおらず、また、架橋剤であるトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン誘導体を添加され、加熱して架橋反応されるのであるから、引用発明2組成物の「架橋剤であるトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン誘導体」は、本件発明9の「架橋剤はポリイソシアネートである」構成に相当する。
そして、引用発明2組成物の「長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤」は、ポリエステル樹脂を含むものではない。
また、刊行物2の【0003】には、引用発明2組成物から得られた剥離処理層を設けた剥離シートは、電子部品用テープなどに用いられることが記載されているから、引用発明2組成物の「長鎖アルキルペンダント系剥離処理剤」は、本件発明9の「離型剤」に相当する。

そうすると、本件発明9と引用発明2組成物とは、
「下記式(1)で示されるX成分と、下記式(2)で示されるY成分とを含むポリマーが架橋してなり、かつ、ポリエステル樹脂を含まず、
前記ポリマーは、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型剤。」である点で一致し、次の点で相違が認められる(式(1)、式(2)、式(3)及び式(13)の記載は省略した。)。

(相違点4-1)
本件発明9は、ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含むのに対し、引用発明2組成物では、X成分100モルに対して、Y成分を約2.59モル含む点
(相違点4-2)
本件発明9は、「ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下」であるのに対し、引用発明2組成物の「アクリル系重合体」の数平均分子量は、5.1万である点

ここで、事案に鑑み、まず相違点4-1について検討する。
上記相違点3-3で検討したように、上記相違点4-1は、実質的な相違点であり、本件発明9と引用発明2組成物とは同一ではない。
また、上記相違点3-3で検討したように、引用発明2組成物において、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含むようにする動機付けは見当たらない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明9は、引用発明2組成物と同一であるとはいえないし、引用発明2組成物に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるということもできない。

ウ 本件発明11?13について
本件発明11?13は、本件発明1を引用し、さらに特定するものであるから、本件発明1と同様な理由から、本件発明11?13は、引用発明2と同一であるとはいえないし、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるということもできない。

3 理由4(実施可能要件)について
架橋剤の種類、X成分におけるR^(1)の炭素数、X成分に対するY成分の含有量、X成分におけるR^(4)等が特定された本件特許1は、当業者が実施するためにどのようなものをどの程度用いて実施すればよいのかが十分に理解される。
したがって、本件発明1及びこれを引用する本件発明11?13について、当業者が実施できる程度に明細書等が明確かつ十分に記載されているため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たす。

(特許異議申立人の主張について)
特許異議申立人は意見書において、架橋剤の使用量を規定せずに、架橋剤の種類がポリイソシアネートであることを規定しただけでは、離型層における常態剥離力が「50mN/50mm以上400mN/50mm以下」の範囲を充足しないことも、充分にあり得るから、当業者であっても、架橋剤の使用量が規定されていない本件発明1において、いかにして常態剥離力を「50mN/50mm以上400mN/50mm以下」の範囲とするかについて、過度の試行錯誤を要する旨主張している。

しかしながら、本件明細書の実施例には、常態剥離力を「50mN/50mm以上400mN/50mm以下」の範囲のものが示されており、それらの実施例において、架橋剤の種類や使用量が具体的に示され、得られた離型層の常態剥離力の大きさも示されている(【0154】【表1】、【0157】【表2】参照)。 そうすると、これらの実施例を手がかりとして、ポリイソシアネートの中から架橋剤を定め、その使用量を決めることで、常態剥離力を本件発明において規定された範囲のものとすることは、過度の試行錯誤をせずとも、当業者が適宜なし得ることといえる。
したがって、特許異議申立人の上記主張は採用することができない。

4 理由5(サポート要件)について
(1)一般に「特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり,明細書のサポート要件の存在は,特許出願人(・・・)が証明責任を負うと解するのが相当である。・・・」されているところ〔知財高裁平成17年(行ケ)10042号平成17年11月11日判決言渡。〕、このような観点に基づいて、本件請求項9についてのサポート要件の適否を以下に検討する。
(2)本件明細書の【0010】には、本件発明の目的が「被離型体との濡れ性が良好で、軽い剥離性を有する離型層、該離型層を備える成型体、および離型剤を提供すること」であると記載されている。また、離型剤は離型層を形成するために用いられるものであるから、離型剤に係る本件発明9の課題は、「被離型体との濡れ性が良好で軽い剥離性を有する離型層を形成しうる離型剤を提供すること」であるといえる。
(3)本件発明9は、上記第3の【請求項9】に記載されたとおりのものであるところ、請求項9における式(1)で示される成分、式(2)で示される成分、X成分100モルに対するY成分の量、ポリマーの重量平均分子量について、本件明細書には、それぞれ、次のように記載されている。
「【0060】
X成分を示す式(1)中、R_(1)は炭素数nが8以上20以下のアルキル基である。炭素数nが7以下であると、X成分が離型性を失い、粘着性を示すようになる。一方、炭素数nが21以上であると、X成分の柔軟性が損なわれ、離型層の被膜表面の濡れ性が不十分となる。炭素数nは10以上18以下が好ましく、12以上16以下がさらに好ましい。また、R_(1)は直鎖状および分岐状のいずれでもよい。なお、R1が直鎖状であると、離型層の剥離性が軽くなる傾向があるため好ましい。」
「【0065】
Y成分を示す式(2)のR_(2)中、炭素数mは1以上10以下である。炭素数mが11以上であると、架橋密度が疎となり、離型層自体の凝集力が弱まり、剥離力が重くなる。炭素数mは2以上8以下が好ましく、2以上4以下がさらに好ましい。」
「【0073】
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を1モル以上30モル以下の範囲で含むことが好ましい。これによると、ポリマーは濡れ性が良好で、かつ剥離性が軽くなる。ポリマー中のX成分とY成分の配合量は、X成分100モルに対して、Y成分を10モル以上25モル以下とすることがさらに好ましい。」
「【0070】
前記ポリマーは、重量平均分子量が5,000以上150,000以下であることが好ましい。本明細書中、重量平均分子量とは、GPCを用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量を算出した値である。ポリマーの重量平均分子量が5,000未満であると、ポリマー鎖同士の絡み合いが弱く、離型層を成型したときの膜の強度が弱くなるために、摩擦等による離型層の脱落が後加工の工程で問題となる場合がある。一方、ポリマーの重量平均分子量が150,000を超えると、ポリマーの粘度が高くなり、離型層を成型しにくくなる。ポリマーの重量平均分子量は、20,000以上120,000以下がさらに好ましい。」
(4)本件発明9は、式(1)中、R_(1)は炭素数nが8以上16以下であること、式(2)のR_(2)中、炭素数mは1以上10以下であること、ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含むこと、及び、ポリマーの重量平均分子量が20,000以上150,000以下であることが特定されている。
そして、本件明細書【0154】に記載の試料No.1?17に用いられる離型剤は、本件発明9の発明特定事項を満たすものであって、その離型剤から形成された離型層は、表面自由エネルギーが30mJ/m^(2)以上60mJ/m^(2)以下であり、常態剥離力が50mN/50mm以上400mN/50mm以下となっていることが確認されている。
(5)そうすると、本件明細書の記載から、本件発明9によって得られた離型層は、離型性を失い、粘着性を示すようなことがなく、柔軟性が損なわれ、離型層の被膜表面の濡れ性が不十分となることもなく、本架橋密度が疎となり、離型層自体の凝集力が弱まり、剥離力が重くなることもないものであって、ポリマーは濡れ性が良好で、かつ剥離性が軽くなるものであることが理解できる。さらに、ポリマー鎖同士の絡み合いが弱く、離型層を成型したときの膜の強度が弱くなって、摩擦等による離型層の脱落が後加工の工程で問題となることもなく、ポリマーの粘度が高くなり、離型層を成型しにくくなることもない、ことも理解できる。
そして、これらの作用効果は実施例(試料No.1?17)において確認されているといえる。
以上のことから、本件発明9は、本件発明9の課題を解決する離型層を形成するものであって、本件発明9の課題を解決し得ないものを包含しない。したがって、本件発明9はサポート要件を満たす。

(特許異議申立人の主張について)
特許異議申立人は、意見書において、本件発明9は、架橋剤(ポリイソシアネート)の使用量について、規定されておらず、架橋剤(ポリイソシアネート)の使用量によっては、本件発明9の課題を解決することができず、その効果(特に軽い剥離性)を奏し得ない態様を含んでいるから、本件発明9は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えている旨主張している。

しかしながら、架橋剤(ポリイソシアネート)の使用量によって常態剥離力が変化するとしても、特許異議申立人は、架橋剤(ポリイソシアネート)の使用量によって常態剥離力が本件発明9の課題を解決しないものとなるような具体的な根拠は示しておらず、架橋剤(ポリイソシアネート)の使用量によって常態剥離力が本件発明9の課題を解決しないものとなるということはできない。そして、上述したように、本件発明9は、本件発明9の課題を解決することが、明細書の記載から理解できるものであり、しかも、本件明細書【0154】に記載の試料No.1?17に用いられる離型剤は、本件発明9の発明特定事項を満たし、「回路基板の製造工程において、成形型と被成形型との分離を容易にする離型フィルムに設けられる、表面自由エネルギーが30mJ/m^(2)以上60mJ/m^(2)以下であり、常態剥離力が50mN/50mm以上400mN/50mm以下である離型層を形成できる離型剤を提供すること」が確認されていることから、本件発明9は、本件発明9の課題を解決するものである。
したがって、特許異議申立人の上記主張は採用することができない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、9、11?13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、9、11?13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面自由エネルギーが30mJ/m^(2)以上60mJ/m^(2)以下であり、常態剥離力が50mN/50mm以上400mN/50mm以下である離型層であって、
前記離型層は、下記式(1)で示されるX成分と、下記式(2)で示されるY成分とを含むポリマーが架橋してなり、かつ、ポリエステル樹脂を含まず、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下であり、
前記ポリマーは架橋剤によって架橋され、前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型層。
【化1】

(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上16以下の整数)、R_(4)はHを示す)
【化2】

(式(2)中、R_(2)は(C_(m)H_(2m)OH)(m=1以上10以下の整数)またはH、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【化3】

(式(3)中、R_(3)は(C_(a)H_(2a)O)_(q)(a=1以上4以下の整数、q=2以上30以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)、R_(5)は(C_(b)H_(2b+1))(b=1以上20以下の整数)を示す)
【化4】

(式(13)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=7以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【請求項2】
常態剥離力が50mN/50mm以上400mN/50mm以下であり、加熱後剥離力が前記常態剥離力の2倍以下である離型層であって、
前記離型層は、下記式(4)で示されるX成分と、下記式(5)で示されるY成分と、下記式(6)で示されるZ成分とを含むポリマーが架橋してなり、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下およびZ成分を1モル以上30モル以下の範囲で含む、離型層。
【化5】

(式(4)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上20以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【化6】

(式(5)中、R_(2)は(C_(m)H_(2m)OH)(m=1以上10以下の整数)またはH、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【化7】

(式(6)中、R_(3)は(C_(a)H_(2a)O)_(q)(a=1以上4以下の整数、q=5以上30以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)、R_(5)は(C_(b)H_(2b+1))(b=1以上20以下の整数)を示す)
【請求項3】
表面自由エネルギーが30mJ/m^(2)以上60mJ/m^(2)以下である、請求項2に記載の離型層。
【請求項4】
前記ポリマーは、重量平均分子量が5,000以上150,000以下である、
請求項2または3に記載の離型層。
【請求項5】
前記ポリマーの水酸基価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、
請求項2?4のいずれか1項に記載の離型層。
【請求項6】
前記ポリマーは、架橋剤によって架橋される、
請求項2?5のいずれか1項に記載の離型層。
【請求項7】
前記式(4)中、R_(1)は直鎖状である、
請求項2?6のいずれか1項に記載の離型層。
【請求項8】
基材と、
前記基材の表面に配置された請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の離型層とを備える成形体。
【請求項9】
下記式(1)で示されるX成分と、下記式(2)で示されるY成分とを含むポリマーと、架橋剤とを含み、かつ、ポリエステル樹脂を含まず、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下の範囲で含み、かつ、下記式(3)で示されるZ成分および下記式(13)で示される成分を含まず、
前記ポリマーは、重量平均分子量が20,000以上150,000以下であり、
前記架橋剤はポリイソシアネートである、離型剤。
【化8】

(式(1)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上16以下の整数)、R_(4)はHを示す)
【化9】

(式(2)中、R_(2)は(C_(m)H_(2m)OH)(m=1以上10以下の整数)またはH、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【化10】

(式(3)中、R_(3)は(C_(a)H_(2a)O)_(q)(a=1以上4以下の整数、q=2以上30以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)、R_(5)は(C_(b)H_(2b+1))(b=1以上20以下の整数)を示す)
【化11】

(式(13)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=7以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)を示す)
【請求項10】
下記式(4)で示されるX成分と、下記式(5)で示されるY成分と、下記式(6)で示されるZ成分とを含むポリマーと、架橋剤とを含み、
前記ポリマーは、X成分100モルに対して、Y成分を5モル以上30モル以下およびZ成分を1モル以上30モル以下の範囲で含む、離型剤。
【化12】

(式(4)中、R_(1)は(C_(n)H_(2n+1))(n=8以上20以下の整数)、R_(4)はHまたは(CH_(3))を示す)
【化13】

(式(5)中、R_(2)は(C_(m)H_(2m)OH)(m=1以上10以下の整数)またはH、R_(4)はHまたは(CH_(3))を示す)
【化14】

(式(6)中、R_(3)は(C_(a)H_(2a)O)q(a=1以上4以下の整数、q=5以上30以下の整数)、R_(4)はHまたはCH_(3)、R_(5)は(C_(b)H_(2b+1))(b=1以上20以下の整数)を示す)
【請求項11】
前記ポリマーの水酸基価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である、
請求項1に記載の離型層。
【請求項12】
前記式(1)中、R_(1)は直鎖状である、
請求項1または11に記載の離型層。
【請求項13】
基材と、
前記基材の表面に配置された請求項1、11および12のいずれか1項に記載の離型層とを備える成形体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-07-28 
出願番号 特願2016-515565(P2016-515565)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C09K)
P 1 651・ 161- YAA (C09K)
P 1 651・ 121- YAA (C09K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 悦司  
特許庁審判長 亀ヶ谷 明久
特許庁審判官 川端 修
瀬下 浩一
登録日 2020-04-20 
登録番号 特許第6693412号(P6693412)
権利者 東洋紡株式会社
発明の名称 離型層、離型層を備える成形体および離型剤  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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