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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
管理番号 1377810
異議申立番号 異議2021-700343  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-14 
確定日 2021-08-27 
異議申立件数
事件の表示 特許第6766819号発明「マヨネーズ様調味料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6766819号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6766819号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?7に係る特許についての出願は、2016年10月13日(優先権主張 2015年10月15日(日本))を国際出願日とする出願であって、令和2年9月23日にその特許権の設定登録がされ、同年10月14日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許の全請求項に対し、令和3年4月14日付けで特許異議申立人 森田 弘潤(以下、「申立人」という。)より特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
本件特許の請求項1?7に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
以下、本件特許の請求項1?7に係る発明を、請求項順にそれぞれ、「本件特許発明1」、「本件特許発明2」などといい、これらをまとめて「本件特許発明」ともいう。

「【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、Rは、水素原子、メチル又はエチルを示す〕
で表される化合物を少なくとも1種含む、マヨネーズ様調味料であって、
前記マヨネーズ様調味料が、前記一般式(I)で表される化合物として、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを含み、
前記マヨネーズ様調味料が、油脂及び食酢を含有し、乳化している、調味料。
【請求項2】
一般式(I)で表される化合物の含有量が、前記調味料に対して0.03?2ppbである、請求項1記載の調味料。
【請求項3】
一般式(I)で表される化合物として、2,4,5-トリメチルチアゾール、5-エチル-2,4-ジメチルチアゾール及び2,4-ジメチルチアゾールを含む、請求項1又は2記載の調味料。
【請求項4】
2,4,5-トリメチルチアゾールの含有量が、前記調味料に対して0.01?1.5ppbであり、
5-エチル-2,4-ジメチルチアゾールの含有量が、前記調味料に対して0.01?1.5ppbであり、
2,4-ジメチルチアゾールの含有量が、前記調味料に対して0.01?1.5ppbである、請求項3記載の調味料。
【請求項5】
一般式(I):
【化2】

〔式中、Rは、水素原子、メチル又はエチルを示す〕
で表される化合物を少なくとも1種添加することを含む、マヨネーズ様調味料の製造方法であって、
前記製造方法は、前記一般式(I)で表される化合物として、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを添加し、
前記マヨネーズ様調味料が、油脂及び食酢を含有し、乳化している、製造方法。
【請求項6】
一般式(I):
【化3】

〔式中、Rは、水素原子、メチル又はエチルを示す〕
で表される化合物を少なくとも1種添加することを含む、マヨネーズ様調味料の酸味マスキング方法であって、
前記酸味マスキング方法は、前記一般式(I)で表される化合物として、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを添加し、
前記マヨネーズ様調味料が、油脂及び食酢を含有し、乳化している、酸味マスキング方法。
【請求項7】
一般式(I):
【化4】

〔式中、Rは、水素原子、メチル又はエチルを示す〕
で表される化合物を少なくとも1種含む、マヨネーズ様調味料の酸味マスキング剤であって、
前記酸味マスキング剤が、前記一般式(I)で表される化合物として、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを含み、
前記マヨネーズ様調味料が、油脂及び食酢を含有し、乳化している、酸味マスキング剤。」

第3 申立理由の概要
申立人は、証拠方法として以下の甲第1号証?甲第17号証(枝番を含む。以下、それぞれ「甲1」、「甲2」などという。)を提出し、以下の申立理由を主張している。

1 証拠方法
(1)甲1-1:“レシピ大百科PRO デミマヨディップソース”,[online],味の素KK業務用商品サイト,[令和3年3月15日検索],インターネット<URL:https://www.ajinomoto.co.jp/foodservice/recipepro/detail.aspx?recipe=30195>
(2)甲1-2:検索エンジンGoogleで甲1-1を検索した検索結果
(3)甲2:特開平11-113526号公報
(4)甲3:“ピーナッツバターと豆乳のドレッシング”,[online],平成23年7月6日,クックパッド,[令和3年3月18日検索],インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/1489204>
(5)甲4:“オキアミマヨトースト”,[online],平成24年8月20日,クックパッド,[令和3年3月25日検索],インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/1924857>
(6)甲5:“洋食屋さんのタルタルソース♪レシピ・作り方”,[online],平成25年10月18日,楽天レシピ,[令和3年3月26日検索],インターネット<URL:htts://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1110008472/>
(7)甲6:「ドレッシングの日本農林規格」、最終改正 平成20年10月16日農林水産省告示第1503号
(8)甲7:“「クノール(登録商標)風味とコクのデミグラスソース」500g袋”,[online],味の素KK業務用商品サイト,[令和3年4月12日検索],インターネット<URL:https://www.ajinomoto.co.jp/foodservice/products/catalogue/Detail.aspx?ProductCode=A141002706>
(9)甲8:“バリエーション豊富!レストランで食べるみたいな「ディップソース」をおうちで作りませんか♪”,[online],令和2年4月10日,キナリノ,[令和3年4月12日検索],インターネット<URL:https://kinarino.jp/cat4/28804>
(10)甲9:“マヨっていートモ!マヨネーズの定義”,[online],平成24年5月24日,アメブロ,[令和3年4月12日検索],インターネット<URL:https://ameblo.jp/mayo-ouentai/entry-11259113892.html>
(11)甲10:再表2008/069173号公報
(12)甲11:特開2018-33422号公報
(13)甲12:Food Chemistry,2010,Vol.120,No.2,p.621-631
(14)甲13:“味噌のこと”,[online],マルコメ株式会社,[令和3年4月12日検索],インターネット<URL:https://www.marukome.co.jp/miso/>
(15)甲14:Agricultural and Biological Chemistry,1981,Vol.45,No.12,p.2761-2768
(16)甲15:Journal of Agricultural and Food Chemistry,1981,Vol.29,No.3,p.684-686
(17)甲16:Agricultural and Biological Chemistry,1982,Vol.46,No.11,p.2835-2839
(18)甲17:Journal of Agricultural and Food Chemistry,1990,Vol.38,No.2,p.461-464

2 申立理由
(1)申立理由1(明確性要件)
本件特許発明1?7に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第113条第4号に該当するから取り消すべきものである。

(2)申立理由2(実施可能要件)
本件特許発明1?7に係る特許は、その発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に適合するものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第113条第4号に該当するから取り消すべきものである。

(3)申立理由3(サポート要件)
本件特許発明1?7に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当するから取り消すべきものである。

(4-1)申立理由4-1(新規性)
本件特許発明1?7は、甲7?10を参照した甲1-1及び甲1-2により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許発明1?7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。
(4-2)申立理由4-2(進歩性)
本件特許発明1?7は、甲7?10を参照した甲1-1及び甲1-2により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。

(5-1)申立理由5-1(新規性)
本件特許発明1?2、5?7は、甲6及び12?13を参照した甲2により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許発明1?2、5?7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。
(5-2)申立理由5-2(進歩性)
本件特許発明1?2、5?7は、甲6及び12?13を参照した甲2により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1?2、5?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。

(6-1)申立理由6-1(新規性)
本件特許発明1、3、5?7は、甲9及び14?15を参照した甲3により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許発明1、3、5?7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。
(6-2)申立理由6-2(進歩性)
本件特許発明1、3、5?7は、甲9及び14?15を参照した甲3により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1、3、5?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。

(7-1)申立理由7-1(新規性)
本件特許発明1、5?7は、甲9及び16を参照した甲4により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許発明1、5?7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。
(7-2)申立理由7-2(進歩性)
本件特許発明1、5?7は、甲9及び16を参照した甲4により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1、5?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。

(8-1)申立理由8-1(新規性)
本件特許発明1、5?7は、甲9及び17を参照した甲5により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許発明1、5?7に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。
(8-2)申立理由8-2(進歩性)
本件特許発明1、5?7は、甲9及び17を参照した甲5により、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1、5?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。

第4 甲号証に記載された事項
1 甲1-1及び甲1-2の記載事項
(甲1a)「デミマヨディップソース
・・・
材料(2人分)
デミマヨディップソース
「クノール(登録商標)風味とコクのデミグラスソ 40g
ース」500g袋
水 200ml
「味の素KKマヨネーズ」1kgチューブ 50g
「瀬戸のほんじお」1kg袋 1g
作り方
(1)鍋に水、「クノール風味とコクのデミグラスソース」を入れて混ぜて火にかけ、焦げないようにかき混ぜながら中火でとろみがつくまで数分加熱する。
(2)ボウルに(1)のデミグラスソース100g、マヨネーズを入れて混ぜ、「瀬戸のほんじお」で味を調える。」(甲1-1)

(甲1b)「www.ajnomoto co.jp > foodservice > recipepro > detail ▼
デミマヨディップソース|レシピ大百科PRO|【味の素KK...
2015/9/18-ボウルに(1)のデミグラスソース100g、マヨネーズを入れて混ぜ、「瀬戸のほんじお」で味を調える。栄蓑成分(1人前当たり)
255kcal」(甲1-2)

2 甲2の記載事項
(甲2a)「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的に即して種々検討を重ねたところ、香辛料や発酵調味料を配合した水中油型乳化食品の分野で従来乳化剤成分として典型的に用いられていた卵黄に代えて、或いはその一部に代えて、リゾ化処理した卵黄を用いたところ、予め加熱処理してない香辛料や発酵調味料をそのまま配合して製した製品であっても経時的な粘度低下が認め難いことを見出し、本発明を完成するに至った。」

(甲2b)「【0013】上記香辛料或いは発酵調味料を配合する基材の水中油型乳化食品としては、本発明において、代表的なものとして、マヨネーズ、乳化タイプのドレッシング等を挙げることができる。これら水中油型乳化食品の配合成分、配合割合等は、本発明において乳化剤成分として卵黄に代えて、或いはその一部に代えて、リゾ化処理した卵黄を配合することを除いてすべて従来の当分野のそれぞれの製品のものと特に異ならない。」

(甲2c)「【0021】
【実施例】・・・
実施例1
別途調製しておいたリゾ化率50%の卵黄700g、辛子粉(市販品:未加熱)85g、食酢(酸度:6.4%)715g、清水700g、食塩150g、および砂糖150g(全水相原料:2500g)をミキサーに入れ、これらを撹拌しながらサラダ油7500gを徐々に添加して粗乳化した。次いでコロイドミルに移して仕上げ乳化を行なった。このようにして得られた本発明品(加熱処理してない辛子粉0.85%およびリゾ化処理した卵黄7%含有品)を1kg入りプラスチック製の袋に充填し、8袋製造した。
・・・
【0035】試験例5
・・・一方、実施例1において、リゾ化率50%の卵黄に代えて、未処理卵黄(通常の殺菌処理卵黄)を同量用い、味噌(市販品)(未加熱)を最終製品中の配合割合が0.5%、3%、5%となる量用い、清水で調整して全水相原料を2500gとした他はすべて実施例1に準じて、対照の味噌風味の水中油型乳化食品を3種類製造した。」

3 甲3の記載事項
(甲3a)「ピーナッツバターと豆乳のドレッシング
ピーナツバターで簡単、コクうまです!!サラダにも、和え物、海藻サラダ、冷やして冷奴にかけてもお箸がすすみます!
・・・
材料(4人前サラダ1回分)
ピーナツバター(砂糖抜きのもの) 大さじ1
砂糖 小さじ1+2分の1
塩 小さじ2分の1
しょう油 小さじ1
マヨネーズ 大さじ1
かつおぶし 2分の1パック
豆乳 大さじ3
・・・
作り方
1 すり鉢に豆乳とかつおぶし以外の材料をいれ、すりこぎでまぜる。
2 よくまざってなじんだら、分量の豆乳をいれ、さらによくなじませる。
3 最後にかつおぶしをたっぷりいれて完成!
4 サラダにドレッシングもいいですが、和え物もおいしいです!いんげんと鳥のささみの和え物。
5 写真のサラダは、水なときゅうりと生ハムです。ミックスナッツもトッピングしてみました。
・・・
レシピID:1489204 公開日:11/07/06 更新日:11/07/06」(1ページ)

4 甲4の記載事項
(甲4a)「オキアミマヨトースト
おとなにもこどもにも大好評!石巻の小さくておいしい海の幸を使ったとってもおいしいオキアミマヨトースト。
・・・
材料(2?3人分)
オキアミ 大さじ3杯
マヨネーズ 大さじ3杯
フランスパン(食パンでも可) 適量
作り方
1 フランスパンを薄切りにしておく。
2 小さいボウルにオキアミとマヨネーズを入れて混ぜ合わせる。
3 フランスパンに2でできたものをのせて、オーブントースターで焦げ目がつく程度に焼いてできあがり♪
・・・
レシピID:1924857 公開日:12/08/20 更新日:12/08/20」(1ページ)

5 甲5の記載事項
(甲5a)「洋食屋さんのタルタルソース♪レシピ・作り方
・・・
混ぜるだけで簡単に美味しいタルタルソースが出来上がります☆お肉、お魚、サラダにどうぞ♪
・・・
材料(2人分)
ゆで卵のみじん切り 1個分
玉ねぎのみじん切り 1/2個分
マヨネーズ 大さじ6
ピクルスのみじん切り 大さじ3
パセリのみじん切り 大さじ2
砂糖 小さじ1
・・・
作り方
1 材料をすべて合わせて混ぜたら出来上がり。
・・・
レシピID:1110008472 公開日:2013/10/18」(1?2ページ)

6 甲6の記載事項
(甲6a)「(定義)
第2条 この規格において、次の表の左欄に掲げる用語の定義は、それぞれ同表の右欄に掲げるとおりとする。

(マヨネーズの規格)
第3条 マヨネーズの規格は、次のとおりとする。

」(1?2ページ)

7 甲7の記載事項
(甲7a)「「クノール(登録商標)」粉体洋風ソース
・・・
「クノール(登録商標)風味とコクのデミグラスソース」500g袋
・・・
特長
・・・
使い方
・・・
商品情報
品名 デミグラスソース(粉末)
原材料名 デキストリン、小麦粉、砂糖、果糖、オニオンエキス調味料、ロ
ーストオニオンパウダー、粉末しょうゆ、ポークエキス、食用油
脂、クリーミングパウダー、トマトパウダー、たん白加水分解物
、酵母エキス、野菜エキス調味料、酵母エキス調味料、バターソ
テーオニオンパウダー、食用風味油、ミルポアパウダー、ビーフ
エキス調味料、香辛料、食塩、粉末醸造酢/調味料(アミノ酸等
)、増粘剤(加工デンプン)、カラメル色素、酸味料、(一部に
小麦・乳成分・牛肉・大豆・鶏肉・豚肉を含む)
内容量 500g」(1ページ)

8 甲8の記載事項
(甲8a)「バリエーション豊富!レストランで食べるみたいな「ディップソース」をおうちで作りませんか♪
外食やパーティーなどでよく目にするディップ。・・・2020年04月10日更新
・・・
簡単で美しい「ディップソース」でパーティーを♪
・・・
「ディップ」とは?
・・・
ディップとは、野菜やクラッカーなどにつけて食べるクリーム状のソースのこと。英語のディップ(dip)は、本来は「液体に少し潜らせる」という意味があります。」(1?2ページ)

9 甲9の記載事項
(甲9a)「マヨネーズの定義
2012-05-24 09:47:01
テーマ:マヨネーズ雑学
みんなが大好きなマヨネーズ、何から出来てるか知ってるマヨか!?
マヨネーズは食用油と卵・お酢をよくかき混ぜてつくるクリーム状の半固形ドレッシングソースなのマヨ!!」(1ページ)

10 甲10の記載事項
(甲10a)「【請求項1】
システイン、シスチン、メチオニン、グルタチオン、γ-グルタミルシステイン、システニルグリシン及びこれらの塩又は水和物の少なくとも1種を固形分あたり1質量%以上含む酵母エキスと、糖類及び/又は核酸関連物質とを水溶液中で混合し、当該混合物を、pH3.5?5.5及びpH6.0?8.0の2種類の異なるpH条件において、それぞれ80?130℃にて、0.5?8時間加熱することを特徴とする調味料の製造方法。
・・・
【請求項5】
請求項1?4何れか記載の方法により製造されることを特徴とする調味料。
【請求項6】
香気成分として、少なくとも2,4-ジメチルチアゾール、2,4,5-トリメチルチアゾール、及び5-エチル-2,4-ジメチルチアゾールを含有することを特徴とする請求項5記載の調味料。」

(甲10b)「【0009】
本発明者らは、上記の現状に鑑み、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、システイン、シスチン、メチオニン、グルタチオン、γ-グルタミルシステイン、及びシステニルグリシンの少なくとも1種を固形分あたり1質量%以上含む酵母エキスに、糖類及び/又は核酸関連物質を添加して加熱することにより、酵母由来の不快臭、糖由来の焦げ臭がなく、優れたローストミート様の風味を有する調味料が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。」

(甲10c)「【0012】
本発明の第2は、上記本発明の方法により製造されることを特徴とする調味料、又はそれを配合した食品に関する。このような本発明の調味料及び食品は、香気成分として、少なくとも2,4-ジメチルチアゾール、2,4,5-トリメチルチアゾール、及び5-エチル-2,4-ジメチルチアゾールを含有することを特徴とする。
・・・
【0025】
本発明の調味料がローストミート様のフレーバーを有するのは、加熱反応中にチアゾール類が生成するためと推定している。・・・中でも、2,4-ジメチルチアゾール、2,4,5-トリメチルチアゾール、及び5-エチル-2,4-ジメチルチアゾールの3種類のチアゾールを含むことが好ましく、本発明の方法により調味料を調製すると、これら3種類のチアゾールが生成する。」

(甲10d)「【0035】
[実施例2]
システインを固形分あたり4.5質量%含有する酵母エキス粉末6.7g(味の素(株)製)に、ブドウ糖0.2gとキシロース1.0gを混合し、水11.7gに溶解した。その後、水酸化ナトリウム溶液にてpHを4.6に調整し、オイルバスにて95℃で5時間加熱した。加熱終了後、pHを6.6に調整し、再度オイルバスにて95℃で2時間加熱した。加熱終了後、速やかに冷却し調味料を得た。
【0036】
デミグラスソース270g缶(ハインツ日本(株)製)に0.1質量%となるように本実施例の調味料、もしくは前記比較例の調味料を添加した。その後、デミグラスソースの2重量倍の熱湯で希釈し、官能評価を実施した。」

11 甲11の記載事項
(甲11a)「【0035】
また、本発明のごま含有液状調味料には、市販の複数のごま含有調味料に含まれる香気成分を用いることができる。具体的には、下記表1に挙げるこれらの香気成分から、1種又は2種以上を選択して用いることが可能である。表1に挙げる香気成分は、市販の複数のごま含有調味料に含まれる香気成分を、固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフィー-質量スペクトル分析(SPME-GC-MS)法により測定した結果検出された香気成分である。」

(甲11b)「【0038】
【表1-3】

・・・
【0041】
【表1-6】



12 甲12の記載事項
(甲12a)「概要
本研究では、豆味噌や米味噌と比較した日本の発酵魚肉味噌の製造に、4種の雑魚が適しているかどうかを、製品の香りの観点から検討した。また、魚肉の洗浄が製品に与える影響についても評価した。異なる味噌サンプルのヘッドスペース揮発成分を固相マイクロ抽出(SPME)技術を用いて分析した。合計107種類の揮発性化合物が同定され、そのうち94種類はすべての味噌サンプルに共通していた。」(621ページ、概要の1?5行)

(甲12b)「2.4 魚介類や豆類の発酵食品の調製
・・・・大豆と米の味噌は、それぞれ蒸した大豆(「大粒ツルムスメ」、北海道産)と蒸した米を、塩と麹(魚の発酵物と同じ)をスターターとして使用して調製したものである。大豆と米は、あらかじめ真水に12時間浸し、90℃で1時間蒸した後、発酵魚ペーストと同様の手順で調理した。」(622ページ左欄34行?右欄5行)

(甲12c)「表1
魚味噌、大豆味噌、米味噌の各試料から検出された揮発性物質の濃度、においの説明、しきい値(μg/サンプル100g中)
ピーク番号 揮発性化合物・・・・・・・・・・・・・大豆味噌 米味噌
・・・
58 2,4,5-トリメチルチアゾール・・・2.52 2.33
」(623?624ページ)

13 甲13の記載事項
(甲13a)「味噌のこと
・・・
味噌とは
味噌の種類
味噌は大きく分けて米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌の4種類に分類することができます。
その中でも、現在国内で生産されている8割が米味噌です。」(1ページ)

14 甲14の記載事項
(甲14a)「材料及び方法
・・・
方法
a)揮発性の香り成分の採取。150kgの沸騰したお湯に10kgのかつおぶしを入れ、3分間温度を維持した。得られた溶液を急冷し、ろ過して残留するかつおぶしを除去した後、レシーバーと3つのコールドトラップ(第1トラップはドライアイス-アセトン、他の2つは液体窒素で冷却)を接続した薄膜エバポレーターを用いて減圧下(28℃/10mmHg)で蒸留した。揮発性の香気成分を含む蒸留液40kgが得られた。その後、蒸留液を塩化ナトリウムで飽和させ、再蒸留した4リットルのジエチルエーテルで3回抽出した。エーテル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ビグリューカラムを用いて1リットルまで濃縮した。このかつおぶし特有の風味を持つフレーバーコンセントレートから、さらに100mlをガスクロマトグラフィー分析用に約100mgまで濃縮し、残りの900mlを以下の方法で分取した。
b)濃縮フレーバーの分取。図1に示すように、フレーバー濃縮液を塩基性画分、酸性画分、弱酸性画分、中性画分に分離し、それぞれ約20mg、15mg、300mg、300mgに濃縮した。そのうち、塩基性、酸性、弱酸性の各画分は、メチル化後に分析した酸性画分を除いて、ガスクロマトグラフィー(GC)とガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)で分析した。
c)GCの条件。・・・
d)ガスクロマトグラムの各ピークで放出される香気成分を嗅いで評価する。・・・
e)GC-MSの条件。・・・
結果及び考察
表1は、かつおぶしから抽出した濃縮フレーバーの各画分のおおよその収量である。香り成分の総量は320mgで、使用した原料の32ppmに相当した。その結果、弱酸性と中性の画分が全香気成分の95%を占め、塩基性と酸性の画分はわずか5%と少ないことがわかった。」(2761ページ右欄3行?2762ページ右欄15行)

(甲14b)「表2に、塩基性画分から同定された化合物を示す。」(2764ページ右欄12?13行)

(甲14c)「表2 塩基性画分から同定された揮発性化合物
ピークNo. 化合物 量
ピリジン
17’^(b) ピリジン +
・・・
チアゾール
22’^(*) チアゾール +
27’^(*) 2,4-ジメチルチアゾール +
38’^(*) 2,4,5-トリメチルチアゾール +
・・・
^(*) 新たに発見されたもの。
・・・
^(b) 図2及び図3-A(又は図3-B)中で、2つのピークが重なっている場合、ピークNo.は’でマークされている。
+,微量成分;・・・」(2765ページ左欄)

15 甲15の記載事項
(甲15a)「特別に設計された装置を用いて、70kgのローストピーナッツから揮発性の香気成分を分離した。分離された揮発性香気成分化合物は、広範なガスクロマトグラフィー分画にかけられ、得られた純粋な画分は、赤外線及び質量分析によって同定された。その結果、チアゾール系8種、オキサゾール系7種、オゾキサゾリン系3種が同定された。4-メチルチアゾールを除くすべての成分が、ローストピーナッツのフレーバーにとって新しいものであった。」(684ページ標題下1?5行)

(甲15b)「表1。ローストピーナッツの揮発性香気成分に含まれるチアゾール類、オキサゾール類、及びオキサゾリン類
・・・
チアゾール類
2-メチルチアゾール
4-メチルチアゾール
5-メチルチアゾール
5-ブチルチアゾール
2-イソプロピル-4,5-ジメチルチアゾール
4-ブチル-2,5-ジメチルチアゾール
2-プロピル-4,5-ジメチルチアゾール
2,4-ジメチル-5-エチルチアゾール」(685ページ)

16 甲16の記載事項
(甲16a)「濃縮臭の調製。調理済みの冷凍オキアミ1kgに1リットルの水を加えたものを、蒸留したばかりのジエチルエーテルを抽出溶媒として使用し、同時蒸留抽出を行った。蒸留抽出を2時間続けた。冷却後、残渣をスラリー状に分散させ、同じ条件でさらに2時間蒸留を続けた。合計8kgのオキアミについて同様の操作を繰り返し、合わせたエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して全臭気濃縮物を得た。濃縮物の適切な部分は、ガスクロマトグラフ分析と薄層クロマトグラフ分析のために、弱い窒素の流れの下でさらに濃縮され、残りの部分は、塩基性画分、カルボニル画分、カルボニルを含まない画分に分画された。」(2835ページ右欄4?19行)

(甲16b)「結果及び考察
調理済みオキアミの濃縮臭をガスクロマトグラフィーで分析した。クロマトグラムには140以上の化合物が含まれていた。この匂いの濃縮物を、塩基性画分、カルボニル画分、カルボニルを含まない画分に分画した。・・・ ・・・
塩基性画分
・・・図1と表2に、それぞれ塩基性画分のガスクロマトグラムと同定された化合物を示す。」(2836ページ左欄46行?右欄18行)

(甲16c)「表2。塩基性画分から同定された揮発性成分(図1参照)
ピーク 化合物 t_(R) ピークエリア(%)
・・・
f 2,4-ジメチルチアゾール^(*) 8.97 0.1
・・・
l 2,4,5-トリメチルチアゾール 14.18 6.0
・・・
^(*) 新しく同定された。」(2837ページ左欄)

17 甲17の記載事項
(甲17a)「加熱した全卵、卵白、卵黄から、同時精製抽出装置を用いて得られたヘッドスペースサンプルを、ガスクロマトグラフィー(GC)及びガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)で分析した。」(461ページ1?3行)

(甲17b)「サンプルの準備。加熱された卵試料(全卵、卵黄、卵白)から生成された揮発性香気成分を、ウマノ及びシバモトが開発した同時精製抽出装置を用いて採取した(1987年、図1)。3つ口の丸底フラスコに卵のサンプルを入れ、200℃のサンドバスで1時間加熱した。全卵、卵黄、卵白の使用量は、それぞれ538g、377g、500gだった。加熱中はサンプルを攪拌した。サンドバスの温度はサーミスタプローブで制御した。生成した揮発性化学物質を精製空気(1mL/分)でウォータートラップ(250mL)にパージし、同時に溶解した化学物質をジクロロメタン(70mL)で抽出した。ウォータートラップの温度(15℃)は、ブリンクマン社製のRM6型恒温水槽で制御した。抽出液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、ビグリューカラムで分留してジクロロメタンを除去し、さらに精製窒素気流で溶媒を減圧留去して、最終的な試料重量を150mgとした。
揮発性物質の分析。各成分のGCコバッツ保持指数(I)とMSフラグメンテーションパターンを真正化合物のものと比較した。」(461ページ左欄下から10行?右欄11行)

(甲17c)「表1。調理済み卵のサンプルで同定された揮発性化合物
GCピークエリア
化合物 全卵 卵黄 卵白
・・・
2,4,5-トリメチルチアゾール b b 0.18
・・・
・・・。b 検出されず。」(463ページ)

第5 当審の判断
当審は、本件特許発明1?7に係る特許は、特許異議申立理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
その理由は以下のとおりである。

1 申立理由1(明確性要件)について
(1)申立人の主張する申立理由1の概要
特許請求の範囲の「マヨネーズ様調味料」という記載は、その技術的意味が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるため、本件特許発明は、明確性要件違反の取消理由を有する。
すなわち、本件特許明細書【0025】に「本発明において『マヨネーズ様調味料』とは、日本農林規格(JAS)のマヨネーズの規格に適合する調味料に加え、該調味料と同様の又は類似の食味、食感、性状を有するが、成分組成(原材料、油脂含有率)はJASのマヨネーズの規格に適合しない調味料をも包含する概念である。」と定義されているが、どのような調味料が日本農林規格(JAS)のマヨネーズの規格に適合する調味料と同様の又は類似の食味、食感、性状を有すると言えるかは、技術常識を考慮しても明確に把握することができない。
また、マヨネーズと他の材料を混ぜ合わせた調味料であっても「マヨネーズ様調味料」と言えるのか、その場合、具体的にどの程度マヨネーズが含まれていればその調味料が「マヨネーズ様調味料」と言えるのかは、本件特許明細書の記載を参酌しても判別できない。
特許権者は、本件特許の審査過程で、令和2年7月9日付け意見書において、資料1?3を示して明確であると述べているが、依然として不明確である。

(2)判断
特許請求の範囲の「マヨネーズ様調味料」という記載は、本件特許明細書【0025】の記載から、甲6の上記(甲6a)に定義されるマヨネーズ、及び、原材料や油脂含有率は適合しないが、マヨネーズと同様の又は類似の食味、食感、性状を有するものを意味するものと、当業者であれば理解できるといえる。
また、本件特許明細書【0031】の「本発明のマヨネーズ様調味料は、油脂、食酢に加え、マヨネーズ様調味料の製造に際して通常使用される原料を含有し得る。当該原料は特に制限されないが、例えば、水;食塩;クエン酸、コハク酸、乳酸及びかんきつ類の果汁(例えば、レモン果汁、ライム果汁及びカボス果汁等)等の酸味料(食酢を除く);砂糖類;グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウム等の調味料;卵黄、卵白、全卵及び液卵等の乳化剤;加工でん粉、ぺクチン、キサンタンガム、グアガム、アルギン酸ナトリウム及びカラギーナン等の増粘剤;香料;香辛料;香辛料抽出物等が挙げられる。これらの原料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。」(下線は、当審で追加。以下同様。)との記載や、【0036】の「本発明のマヨネーズ様調味料は、化合物(I)そのものの代わりに又はこれと併せて、化合物(I)を少なくとも1種含む食品素材(例、酵母エキス等)を用いて製造してよい。」との記載から、マヨネーズと、調味料の製造に使用される原料や食品素材ではない他の食材などの材料を混ぜ合わせた調味料は意味しないことも、当業者であれば理解できるといえる。
これらのことは、申立人が示した、特許権者が審査過程で提出した資料1?3に、「『ドレッシング』は、食品表示法に基づく『食品表示基準』(平成27年内閣府令第10号)で定義されており、大きく3つに分けられます。1つ目は、『半固体状ドレッシング』といって、固体でも液体でもない一定の粘度(とろみ)をもったものです。この半固体状ドレッシングは、さらに『マヨネーズ』、『サラダクリーミードレッシング』、『その他の半固体状ドレッシング』の3種類に分けられます。サラダクリーミードレッシングやその他の半固体状ドレッシングは、見た目はマヨネーズに似ていますが、使用できる原材料や食用植物油脂の重量割合が異なります。これらは、いわゆるカロリーカットしたものや特定の風味付けをしたもので、マヨネーズタイプ調味料とかマヨネーズ風調味料と呼ばれています。2つ目は『乳化液状ドレッシング』、3つ目は『分離液状ドレッシング』です。」(資料1:全国マヨネーズ・ドレッシング類協会のホームページ)、「サラダクリーミードレッシングは、五訂日本食品標準成分表に分析例が記載されていない新名称であるが、いわゆるハーフカロリータイプのマヨネーズ様ドレッシングがこの分類に入る。」(資料2:「マヨネーズ・ドレッシング入門」、第113頁、日本食糧新聞社、平成17年2月25日初版発行)、「最近では,機能性を付与したマヨネーズタイプ調味料が拡大し,日本農林規格(以下,JAS)定義のサラダクリーミードレッシングや半固体状ドレッシングの範疇のものも多く使用されている.」(資料3:「日本食品工学会誌」、Vol.12、No.2、pp.113?115、2011“マヨネーズに機能性を付与する最新の技術開発”)と記載されていることにも沿う。
したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は明確であり、申立人の主張する不備はなく、上記申立人の主張は採用できない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1?7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものではなく、特許法第113条第4号により取り消すべきものではない。

2 申立理由2(実施可能要件)について
(1)申立人の主張する申立理由2の概要
申立理由1のとおり、ある調味料について「マヨネーズ様調味料」という要件を充足するか否かを判断することは不可能というほかないため、第三者において過度の試行錯誤を要することなく、本件特許発明を実施できないことは明らかである。

(2)判断
申立人の主張する実施可能要件違反の理由は、特許請求の範囲の「マヨネーズ様調味料」という記載が不明確であることにつきるところ、上記1(2)のとおり、特許請求の範囲の「マヨネーズ様調味料」という記載は明確である。
そして、本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許発明1?4のマヨネーズ様調味料、本件特許発明5のマヨネーズ様調味料の製造方法、本件特許発明6のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング方法及び本件特許発明7のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング剤のそれぞれについて、実施例を伴い、製造する方法や使用する方法について記載されている。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであり、申立人の主張する不備はなく、上記申立人の主張は採用できない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1?7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号の規定に違反してされたものではなく、特許法第113条第4号により取り消すべきものではない。

3 申立理由3(サポート要件)について
(1)申立人の主張する申立理由3の概要
ア 実施例について
本件特許明細書に記載の実施例における調味料の官能評価は、その評価基準が極めて曖昧であり、専門パネル3名において加点の基準を共通にするなどの手順が踏まれているような形跡は存在しない。
また、本件特許明細書【0075】の【表3】には3名のパネラーの評価の平均値が記載されているが、個別の回答が不明であるため、例えば「-0.33」の評点は「-2:2:-1」のパターンもあり得、その場合、1名は「弱い」、1名は「やや弱い」、もう1名は「強い」と回答したことになり、パネラー間で真逆の評価がなされていることになり、「強い」と回答した者がいる以上、酸味をマスキングするという本件特許発明の課題を解決し得るとは言えないことになり、官能評価の結果から酸味マスキング効果を当業者が読み取ることはできない。

イ 化合物(I)の含有量について
本件特許発明の課題は「油脂配合量が少なく、且つ酸味がマスキングされたマヨネーズ様調味料を提供すること」である。
本件特許明細書【0022】に「本発明のマヨネーズ様調味料における化合物(I)の含有量は、マヨネーズ様調味料に対して、好ましくは0.03?2ppbであり・・・」、「化合物(I)の含有量が少なすぎる場合には、酸味をマスキングする効果が得られにくい傾向があり、化合物(I)の含有量が多すぎる場合には、化合物(I)特有の風味が強くなりマヨネーズ様調味料の風味としては適さない傾向がある」と記載されているとおり、化合物(I)の含有量が少なすぎる場合に酸味をマスキングするという課題を解決できないことや、多すぎる場合に調味料の風味として適さないことが明確に記載されている。
また、実施例は、2,4,5-トリメチルチアゾール、5-エチル2,4ジメチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾールについて、それぞれ0.03ppb(実施例5)?0.720ppb(実施例4)であり、本件特許発明2及び4で数値範囲が規定されている「0.03?2ppb」及び「0.01?1.5ppb」の上限ないし下限付近がサポートされているとは到底言い難い。
したがって、本件特許発明は、化合物(I)の含有量について規定が全くなされていないか、規定されていたとしても実施例に示された数値範囲は極めて限定されたものであるので、実施例をもって、本件特許発明の範囲にまでその作用効果を一般化・抽象し得ないため、サポート要件に違反することは明らかである。

ウ 油脂及び食酢の含有量について
油脂の含有量について、本件特許明細書【0027】に「より高い酸味マスキング効果が得られることから、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下である。」と記載され、食酢について、【0028】に「食酢の酸度は特に制限されないが、・・・特に好ましくは5?15%である。」と、【0029】に「食酢の含有量は、酸度14.5%の食酢換算で、通常3?30重量%であり、適度な酸味を付与するため、好ましくは4?25重量%であり、より好ましくは5?20重量%である。」と記載されている。
実施例は、油脂含有量が9.0%(実施例1?9)、食酢含有量が5.7%(実施例1?8)又は6.3%(実施例9)の場合しかない。
本件特許発明は、油脂及び食酢の含有量が多い態様を包含するが、そのような場合であっても単に一般式(I)の化合物を配合するのみで、課題が解決できるとは到底認識できないから、実施例をもって、本件特許発明の範囲にまでその作用効果を一般化・抽象し得ないためサポート要件に違反することは明らかである。

エ 化合物(I)と食酢の含有量の割合について
本件特許明細書【0030】に「本発明のマヨネーズ様調味料が食酢を含有する場合、本発明のマヨネーズ様調味料における食酢の含有量と化合物(I)の含有量との重量比(食酢:化合物(I))は、使用する食酢の酸度によって異なるが、酸度14.5%の食酢換算で好ましくは1:1.3×10^(-9)?25×10^(-9)・・・である。化合物(I)の含有量が少なすぎる場合には、酸味をマスキングする効果が得られにくい傾向があり、化合物(I)の含有量が多すぎる場合には、化合物(I)特有の風味が強くなりマヨネーズ様調味料の風味としては適さない傾向がある。」との記載がある。
実施例1?9は、酸度14.5%の食酢換算で1:1.57895×10^(-9)?1:12.6316×10^(-9)の限定的な例しかない。
したがって、化合物(I)と食酢の含有量の割合が規定されていない本件特許発明は、実施例をもって、本件特許発明の範囲にまでその作用効果を一般化・抽象し得ないため、サポート要件に違反することは明らかである。

(2)判断
ア 本件特許明細書全体の記載からみて、本件特許発明1?4、5、6及び7の解決しようとする課題は、それぞれ「油脂配合量が少なく、且つ酸味がマスキングされたマヨネーズ様調味料」、「油脂配合量が少なく、且つ酸味がマスキングされたマヨネーズ様調味料の製造方法」、「マヨネーズ様調味料の酸味マスキング方法」及び「マヨネーズ様調味料の酸味マスキング剤」を提供することにあると認める。
そして、本件特許明細書【0002】に「油脂配合量が少ないマヨネーズは、水分量が多いため、静菌性を確保するための食酢の配合量が多くなり、酸味の強いものになるという問題があった」ことが記載され、【0006】に「特定のチアゾール類を添加することによってマヨネーズ様調味料の酸味をマスキングし得ること」が記載されており、実施例において、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを含むことで、酸味がマスキングされたことが確認されている。
したがって、本件特許発明は、発明の詳細な説明において、課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものである。

イ 申立人の主張について検討する。
上記(1)アについては、専門パネルが評価基準に則り官能評価を実施した結果が記載されているのであるから、当業者であれば、課題が解決できることを認識できるといえる。仮に、個別にみれば申立人の主張するような極端な評価結果が得られていたとしても、全体でみれば酸味マスキング効果を奏しているのであるから問題があるとはいえない。
上記(1)イについては、本件特許の発明の詳細な説明には、好ましい範囲が説明されているのであって、その範囲外では課題が解決できないことが明らかにされているのではない。また、実施例では、好ましい範囲の下限値に近い配合量で課題が解決できたことが示されていることに加え、「また本試験における化合物(I)の含有量の範囲内では、化合物(I)の含有量依存的に酸味マスキング効果が高まる傾向にあることも確認された。」(【0076】)という結果から、当業者は、上限値に近い配合量でも課題が解決できることを認識できるといえる。
上記(1)ウ及びエについても同様であり、それぞれ好ましい範囲が説明されており、その範囲内の含有量や割合で行った実施例で、酸味マスキング効果を確認していることから、当業者であれば、課題が解決できることを認識できるといえる。そもそも、申立人も主張するとおり、油脂及び食酢の含有量が、マヨネーズ様調味料の風味や酸味に大きな影響を与えることは技術常識であるから、特許請求の範囲にこれらの配合量や割合に関する規定がなされていないとしても、発明の詳細な説明の記載及び技術常識から、それぞれの含有量や割合についても、当業者は理解できるといえる。
よって、申立人の主張する不備はなく、上記申立人の主張はいずれも採用できない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1?7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものではなく、特許法第113条第4号により取り消すべきものではない。

4 申立理由4-1(新規性)から申立理由8-2(進歩性)について
(1)甲1?甲5に記載された発明
ア 甲1発明
甲1-1の記載(上記(甲1a))からみて、甲1-1には、次の発明が記載されていると認める。

甲1発明:
「水200mlと「クノール(登録商標)風味とコクのデミグラスソース」40gとを混ぜて得られたデミグラスソース100gと、「味の素KKマヨネーズ」50gと、「瀬戸のほんじお」1gからなるデミマヨディップソース。」

イ 甲2発明
甲2の試験例5の対照品(上記(甲2c))からみて、甲2には、次の発明が記載されていると認める。

甲2発明:
「未処理卵黄(通常の殺菌処理卵黄)700g、食酢(酸度:6.4%)715g、食塩150g、砂糖150g、最終製品中の0.5%、3%又は5%の割合の味噌(市販品)(未加熱)及び清水(全水相原料2500gとなる量)、サラダ油7500gを含有し、乳化している、味噌風味の水中油型乳化食品。」

ウ 甲3発明
甲3の記載(上記(甲3a))からみて、甲3には、次の発明が記載されていると認める。

甲3発明:
「ピーナツバター(砂糖抜きのもの)大さじ1と、砂糖小さじ1+2分の1と、塩小さじ2分の1と、しょう油小さじ1と、マヨネーズ大さじ1と、かつおぶし2分の1パックと、豆乳大さじ3からなる、ピーナツバターと豆乳のドレッシング。」

エ 甲4発明
甲4の記載(上記(甲4a))からみて、甲4には、次の発明が記載されていると認める。

甲4発明:
「オキアミ大さじ3杯と、マヨネーズ大さじ3杯を混ぜ合わせたもの。」

オ 甲5発明
甲5の記載(上記(甲5a))からみて、甲5には、次の発明が記載されていると認める。

甲5発明:
「ゆで卵のみじん切り1個分と、玉ねぎのみじん切り1/2個分と、マヨネーズ大さじ6と、ピクルスのみじん切り大さじ3と、パセリのみじん切り大さじ2と、砂糖小さじ1からなるタルタルソース。」

(2)判断
ア 甲1発明について
(ア)甲1発明は、甲1の記載(上記(甲1a))のとおり、マヨネーズとデミグラスソースと塩とを混ぜて作るデミマヨディップソースに関する。
一方、本件特許明細書【0002】の「しかし、油脂配合量が少ないマヨネーズは、水分量が多いため、静菌性を確保するための食酢の配合量が多くなり、酸味の強いものになるという問題があった。」という記載から理解できるとおり、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」は、その場で複数の材料を混ぜて作る調味料とは異なり、静菌性の確保が必要とされる調味料の技術的事項に関するものといえる。
また、上記1(2)で述べたとおり、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」は、マヨネーズと、調味料の製造に使用される原料や食品素材ではない他の食材などの材料を混ぜ合わせた調味料ではない。
したがって、マヨネーズとデミグラスソースと塩とを混ぜて作る甲1発明のデミマヨディップソースは、そもそも本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」とは異なるものであり、「マヨネーズ様調味料」とすることを動機付けるところもない。
よって、甲1発明が、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを含むか否かについて検討するまでもなく、本件特許発明1?4のマヨネーズ様調味料及び本件特許発明5のマヨネーズ様調味料の製造方法は、甲1に記載された発明ではないし、甲1発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。
また、甲1の記載を検討しても、マヨネーズ様調味料の酸味をマスキングすることに関することはないから、本件特許発明6のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング方法及び本件特許発明7のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング剤は、甲1に記載された発明ではないし、甲1発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。

(イ)申立人は、甲1発明のデミマヨディップソースは、マヨネーズを材料中に33.1%含むこと、甲8の記載(上記(甲8a))から、ディップという用語は「マヨネーズ様調味料」に該当すると理解できること、甲9の記載(上記(甲9a))から、マヨネーズを含むから、油脂及び食酢を含有し乳化していることが明らかであると主張している。
また、甲1発明のデミマヨディップソースは、甲1-2の記載(上記(甲1b))もあわせて、本件特許権者のウェブサイトで本件特許の優先日前に公開された発明であり、本件特許権者が販売する甲7の記載(上記(甲7a))から、「『クノール(登録商標)風味とコクのデミグラスソース』500袋」に由来する酵母エキス及び酵母エキス調味料を含有し、しかも、そのデミグラスソースに用いられた材料中の酵母エキス調味料は、甲1-1の公開日より前に公開された本件特許権者による甲10の実施例2に記載のデミグラスソースに用いた酵母エキス調味料(上記(甲10d))である蓋然性が高いから、2,4-ジメチルチアゾール、2,4,5-トリメチルチアゾール、及び5-エチル-2,4-ジメチルチアゾールを含有する(上記(甲10a)、(甲10c))と主張している。
甲8や甲9の記載から、甲1発明のデミマヨディップソースが、本件特許発明のマヨネーズ様調味料に該当すると理解できるところはないが、仮に該当するとしても、甲1-1に記載の「『クノール(登録商標)風味とコクのデミグラスソース』500袋」が甲7に記載のものか不明であるうえ、甲7の公知日も不明であるから、甲1発明が、酵母エキス調味料を含むことが明らかであるとはいえないし、甲7に記載のものと同一であるとしても、そこに含まれている酵母エキス調味料が、甲10に記載の酵母エキス調味料であるかどうかは全く不明といわざるを得ない。
申立人はさらに、甲1発明が甲7に記載のデミグラスソース由来の酵母エキス調味料を含有することを前提とした上で、酵母由来の不快臭がなく、より良好な風味をもたせるという甲1発明にも内在する課題の解決ために、甲10の記載(上記(甲10b))を参酌し、甲10の実施例2の酵母エキス調味料を添加するかこれに置換するという明確な動機付けが存在するとも主張するが、甲1発明は、味の素KK業務用商品サイトから認定した発明であるとおり、市販品を用いるものであるから、特定の食品素材のみを添加したり、他の市販品に変更したりする動機付けがあるとはいえない。
なお、申立人は、甲11は、本件特許の優先日後の出願であるが、2,4,5-トリメチルチアゾール及び2,4-ジメチルチアゾールが市販の複数のごま含有調味料に含まれる成分であることを開示していることから(上記(甲11a)、(甲11b))、これらの香気成分を含むこと自体何ら特殊なことでないことを念のため付言するとしているが、そのことは、上記判断に影響しない。
よって、上記申立人の主張はいずれも採用できない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1?7に係る特許は、甲1に記載された発明でなく、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、申立理由(4-1)及び(4-2)は理由がない。

イ 甲2発明について
(ア)甲2発明の「味噌風味の水中油型乳化食品」は、発酵調味料(味噌)を配合する基材の水中油型乳化食品として、マヨネーズ、乳化タイプのドレッシング等があげられるとの記載(上記(甲2b))や、その製造方法の記載(上記(甲2c))からすると、味噌を配合する基材である水中油型乳化食品はマヨネーズか乳化タイプのドレッシングであるということはできる。
しかしながら、上記1(2)で述べたとおり、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」は、マヨネーズと、調味料の製造に使用される原料や食品素材ではない他の食材などの材料を混ぜ合わせた調味料ではないから、味噌を配合した甲2発明は、マヨネーズか乳化タイプのドレッシングであるかに関わらず、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」には該当せず、味噌を配合しない「マヨネーズ様調味料」とすることを動機付けるところもない。
よって、甲2発明が、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを含むか否かについて検討するまでもなく、本件特許発明1?2のマヨネーズ様調味料及び本件特許発明5のマヨネーズ様調味料の製造方法は、甲2に記載された発明ではないし、甲2発明に基いて当業者が容易になし得たものでもない。
また、甲2は、乳化成分としてリゾ化処理した卵黄を用いることで、予め加熱処理していない香辛料や発酵調味料(味噌)を配合した水中油型乳化食品であっても経時的な粘度低下を生じ難いものとしたことに関するものであり(上記(甲2a))、甲2発明は、その比較例であるリゾ化処理していない未処理卵黄を用いた対照品から認定したものである。したがって、甲2発明はもとより、甲2全体の記載を検討しても、マヨネーズ様調味料の酸味をマスキングすることに関する記載はないから、本件特許発明6のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング方法及び本件特許発明7のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング剤は、甲2に記載された発明ではないし、甲2発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。

(イ)申立人は、甲2発明は、味噌を配合する以外は、一般的なマヨネーズの製造工程と同様であり、味噌の配合量割合は最終製品中の0.5%、3%又は5%に過ぎないことから、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」に該当すること、味噌が配合されているところ、甲13の記載(上記(甲13a))から米味噌か豆味噌であるか、そうでなくてもそれらを選択することに困難性もなく、甲12に、米味噌や豆味噌には、2,4,5-トリメチルチアゾールが含まれていることが開示されているから(上記(甲12a)?(甲12c))、味噌を含む甲2発明は、必然的に2,4,5-トリメチルチアゾールを含むことになると主張している。
仮に、甲2発明の味噌風味の水中油型乳化食品が、本件特許発明のマヨネーズ様調味料に該当するとしても、甲12に開示された発酵魚肉味噌との比較のために同定された米味噌や豆味噌の揮発性化合物に関する報告の結果だけから、甲2発明の味噌風味の水中油型乳化食品についても、2,4,5-トリメチルチアゾールを含むことが明らかであるとはいえない。そして、申立人は、甲2発明の味噌風味の水中油型乳化食品が2,4,5-トリメチルチアゾールを含むことは示していない。
よって、上記申立人の主張は採用できない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1?2、5?7に係る特許は、甲2に記載された発明でなく、甲2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、申立理由(5-1)及び(5-2)は理由がない。

ウ 甲3発明について
(ア)甲3発明の「ピーナツバターと豆乳のドレッシング」は、マヨネーズとピーナツバターやかつおぶしなどの材料を混ぜて作るドレッシングに関するものであるから、上記ア(ア)で甲1発明について検討したのと同様に、そもそも本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」とは異なるものであり、「マヨネーズ様調味料」とすることを動機付けるところもない。
よって、甲3発明が、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを含むか否かについて検討するまでもなく、本件特許発明1及び3のマヨネーズ様調味料及び本件特許発明5のマヨネーズ様調味料の製造方法は、甲3に記載された発明ではないし、甲3発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。
また、甲3の記載(上記(甲3a))を検討しても、マヨネーズ様調味料の酸味をマスキングすることに関することはないから、本件特許発明6のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング方法及び本件特許発明7のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング剤は、甲3に記載された発明ではないし、甲3発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。

(イ)申立人は、甲3発明のドレッシングはマヨネーズを16.7%程度含み、相当の割合を占めていることや、甲9の記載(上記(甲9a))も参酌すれば、その作り方と完成後のドレッシングの写真から看取される性状に照らして、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」に該当し、油脂及び食酢を含有し、乳化していることが明らかであると主張している。
そして、甲3発明のドレッシングは、かつおぶしとピーナツバターを含むところ、甲14には、かつおぶし中に香気成分の2,4,5-トリメチルチアゾール及び2,4-ジメチルチアゾールが含まれることが開示されており(上記(甲14a)?(甲14c))、甲15には、ローストビーナッツ中に香気成分の2,4-ジメチル-5-エチルチアゾール(5-エチル-2,4-ジメチルチアゾール)が含まれることが開示されているから(上記(甲15a)?(甲15b))、かつおぶしとピーナツバターを含む甲3発明のドレッシングは、必然的に2,4,5-トリメチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾール及び5-エチル-2,4-ジメチルチアゾールを含むことになると主張している。
しかしながら、甲3発明は、少なくともマヨネーズ大さじ1とピーナツバター大さじ1に対し豆乳を大さじ3で混ぜたものであるから、食味、食感及び性状がマヨネーズと同様又は類似とはいえない。
仮に、甲3発明のドレッシングが、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」に該当するとしても、甲14には、かつおぶしから抽出した濃縮フレーバーに、2,4-ジメチルチアゾール及び2,4,5-トリメチルチアゾールが同定された塩基性画分は、酸性画分とあわせてもわずか5%と少ないことがわかったと記載されており(上記(甲14a))、甲15には、70kgのローストピーナツから揮発性の香気成分を分離して同定したことが記載されているに過ぎず(上記(甲15a))、これらの記載から、甲3発明のピーナツバターと豆乳のドレッシングが、かつおぶしやピーナツバターを含むからといって、2,4,5-トリメチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾール及び5-エチル-2,4-ジメチルチアゾールが含まれていることが明らかとはえない。そして、申立人は、甲3発明のピーナツバターと豆乳のドレッシングが2,4,5-トリメチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾール及び5-エチル-2,4-ジメチルチアゾールを含むことは示していない。
よって、上記申立人の主張はいずれも採用できない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1、3、5?7に係る特許は、甲3に記載された発明でなく、甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、申立理由(6-1)及び(6-2)は理由がない。

エ 甲4発明について
(ア)甲4発明は、マヨネーズとオキアミを混ぜて作るパンにのせてトーストするためのものに関するから、上記ア(ア)で甲1発明について検討したのと同様に、そもそも本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」とは異なるものであり、「マヨネーズ様調味料」とすることを動機付けるところもない。
よって、甲4発明が、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを含むか否かについて検討するまでもなく、本件特許発明1のマヨネーズ様調味料及び本件特許発明5のマヨネーズ様調味料の製造方法は、甲4に記載された発明ではないし、甲4発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。
また、甲4の記載(上記(甲4a)を検討しても、マヨネーズ様調味料の酸味をマスキングすることに関することはないから、本件特許発明6のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング方法及び本件特許発明7のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング剤は、甲4に記載された発明ではないし、甲4発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。

(イ)申立人は、甲4発明はマヨネーズが50%の割合を占めていることや、甲9の記載(上記(甲9a))も参酌すれば、その作り方と完成後のトーストの写真から看取される性状に照らして、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」に該当し、油脂及び食酢を含有し、乳化していることが明らかであると主張している。
そして、甲4発明は、オキアミを含むところ、甲16には、オキアミ中に香気成分の2,4,5-トリメチルチアゾール及び2,4-ジメチルチアゾールが含まれることが開示されているから(上記(甲16a)?(甲16c))、オキアミを含む甲4発明は、必然的に2,4,5-トリメチルチアゾールを含むことになると主張している。
仮に、甲4発明が、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」に該当するとしても、甲16には、合計8kgのオキアミから得られた臭気濃縮物から、2,4,5-トリメチルチアゾール及び2,4-ジメチルチアゾールを同定したこと記載されているに過ぎず(上記(甲16a))、甲4発明が、オキアミを含むからといって、2,4,5-トリメチルチアゾールが含まれていることが明らかとはいえない。そして、申立人は、甲4発明が2,4,5-トリメチルチアゾールを含むことは示していない。
よって、上記申立人の主張は採用できない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1、5?7に係る特許は、甲4に記載された発明でなく、甲4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、申立理由(7-1)及び(7-2)は理由がない。

オ 甲5発明について
(ア)甲5発明は、マヨネーズと、ゆで卵、玉ねぎ、ピクルス及びパセリのみじん切りと、砂糖とを混ぜて作るタルタルソースに関するものであるから、上記ア(ア)で甲1発明について検討したのと同様に、そもそも本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」とは異なるものであり、「マヨネーズ様調味料」とすることを動機付けるところもない。
よって、甲5発明が、少なくとも2,4,5-トリメチルチアゾールを含むか否かについて検討するまでもなく、本件特許発明1のマヨネーズ様調味料及び本件特許発明5のマヨネーズ様調味料の製造方法は、甲5に記載された発明ではないし、甲5発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。
また、甲5の記載(上記(甲5a))を検討しても、マヨネーズ様調味料の酸味をマスキングすることに関することはないから、本件特許発明6のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング方法及び本件特許発明7のマヨネーズ様調味料の酸味マスキング剤は、甲5に記載された発明ではないし、甲5発明に基いて、当業者が容易になし得たものでもない。

(イ)申立人は、甲5発明のタルタルソースは材料中にマヨネーズを含むことや、甲9の記載(上記(甲9a))も参酌すれば、完成後のタルタルソースの写真から看取される性状に照らして、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」に該当し、油脂及び食酢を含有し、乳化していることが明らかであると主張している。
そして、甲5発明のタルタルソースは、ゆで卵を含むところ、甲17には、卵白中に香気成分の2,4,5-トリメチルチアゾールが含まれることが開示されているから(上記(甲17a)?(甲17c))、ゆで卵(卵白を含む)を含む甲5発明のタルタルソースは、必然的に2,4,5-トリメチルチアゾールを含むことになると主張している。
仮に、甲5発明のタルタルソースが、本件特許発明の「マヨネーズ様調味料」に該当するとしても、甲17には、全卵では2,4,5-トリメチルチアゾールは検出されなかったことが示されており(上記(甲17c))、しかも「十分なヘッドスペース揮発性物質を得るために、サンプルを1時間加熱する必要があった。これは、卵の通常の調理条件を超える可能性がある。したがって、本研究で特定された揮発性物質の一部は、通常調理された卵からは得られない可能性がある。」(464ページ左欄17?21行)ことも記載されている。したがって、甲17の記載から、甲5発明のタルタルソースが、ゆで卵を含むからといって、2,4,5-トリメチルチアゾールが含まれていることが明らかとはえない。そして、申立人は、甲5発明のタルタルソースが2,4,5-トリメチルチアゾールを含むことは示していない。
よって、上記申立人の主張は採用できない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1、5?7に係る特許は、甲5に記載された発明でなく、甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、申立理由(8-1)及び(8-2)は理由がない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1?7に係る特許は、特許法第29条第1項又は同条第2項の規定に違反してされたものではなく、特許法第113条第2号により取り消すべきものではない。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?7に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?7に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-08-16 
出願番号 特願2017-545472(P2017-545472)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (A23L)
P 1 651・ 536- Y (A23L)
P 1 651・ 537- Y (A23L)
P 1 651・ 121- Y (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堂畑 厚志  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 関 美祝
冨永 みどり
登録日 2020-09-23 
登録番号 特許第6766819号(P6766819)
権利者 味の素株式会社
発明の名称 マヨネーズ様調味料  
代理人 鎌田 光宜  
代理人 高島 一  
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