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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01M
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01M
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01M
管理番号 1377827
異議申立番号 異議2020-700960  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-04 
確定日 2021-09-14 
異議申立件数
事件の表示 特許第6749064号発明「セル、セルスタック装置、モジュール、及びモジュール収納装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6749064号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6749064号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?6に係る特許についての出願は、令和 1年11月27日(優先権主張 平成30年(2018年)11月29日)を国際出願日とする出願であって、令和 2年 8月13日に特許権の設定登録がされ、同年 9月 2日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の経緯は以下のとおりである。

令和 2年12月 4日差出 特許異議申立人である井上 敬也(以下「申立人」という。)による全請求項に対する特許異議の申立て
令和 3年 5月24日付け 当審による審尋
同年 7月 7日 特許権者である京セラ株式会社(以下、「特許権者」という。)との応対記録
同年 同月16日 特許権者による回答書(以下、「回答書」という。)の受付(書留番号898/942)

第2 本件発明
本件特許の請求項1?6に係る発明は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等といい、総称して「本件発明」ということがある。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)。

「【請求項1】
対向する第1面及び第2面を有する固体電解質層、前記第1面に位置する燃料極、前記第2面に位置する空気極、及び前記第2面と前記空気極とに挟まれた中間層を有し、
該中間層が、SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含むCeO_(2)系焼結体である、セル。
【請求項2】
前記中間層が、前記固体電解質層に接する第1中間層と、前記空気極に接する第2中間層とを有し、
前記第1中間層の平均気孔率が、第2中間層21dの平均気孔率より小さい、請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記中間層が、前記固体電解質層に接する第1中間層と、前記空気極に接する第2中間層とを有し、
該第2中間層のSi含有量が、前記第1中間層のSi含有量より大きい、請求項1又は2に記載のセル。
【請求項4】
請求項1?3のいずれかに記載のセルが複数配列されたセルスタックを備える、セルスタック装置。
【請求項5】
収納容器と、該収納容器内に収納された請求項4に記載のセルスタック装置と、を備える、モジュール。
【請求項6】
外装ケースと、該外装ケース内に収納された、請求項5に記載のモジュール及び該モジュールを運転する補機と、を備える、モジュール収納装置。」

第3 特許異議の申立ての理由の概要
本件特許の請求項1?6に係る特許は、下記1?4のとおり、特許法113条2号及び4号に該当する。証拠方法は、下記の本件特許の優先日(平成30年11月29日)に公知となっている甲第1号証?甲第4号証(以下、単に「甲1」等という。)である。

1 申立理由1(新規性)
本件発明1、4?6は、甲1に記載された発明と同一であり、新規性を有しない。

2 申立理由2(進歩性)
本件発明1、4?6は、甲1に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、本件発明2?3は、甲1に記載された発明及び甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、進歩性を有しない。

3 申立理由3(サポート要件)
本件発明1?6は、(ア)中間層のSi含有量の下限値について規定されておらず、中間層のSi含有量が10ppm若しくは元素分析の検出限界以下である態様を含まれるが、これらの態様では本件発明の課題を解決できない可能性があり、(イ)中間層の気孔率は、中間層のSi含有量によって一義的に決まるものではなく、他の条件によって変動し得るものであると理解されるところ、本件発明は中間層の気孔率を直接的に規定する発明特定事項を具備しておらず本件発明の課題を解決できない態様を含んでいるといえ、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。また、(ウ)本件発明3は、第1中間層と第2中間層とのSi含有量の大小関係を規定しておらず、第2中間層の気孔率が第1中間層の気孔率より小さい態様を含んでいるため、本件明細書に記載された効果を奏さないといえ、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。

4 申立理由4(明確性要件)
本件発明1における「該中間層が、SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含むCeO_(2)系焼結体である」との発明特定事項は、元素分析による中間層のSi含有量の測定によってSiが検出されなかった場合に、中間層の構成として、(ア)中間層のSiを一切含有しない構成、若しくは(イ)中間層が元素分析の検出限界以下でSiを含有する構成のいずれを意味するのか不明であるから、本件発明1?6は、明確でない。

5 証拠方法
甲1 特開2017-103244号公報
甲2 J.A.Lane et al. “Mitigation of the deleterious effect of silicon species on the conductivity of ceria electrolytes” Solid State Ionics、Vol.177 PP.1911-1915、2006年 及びその抄訳文
甲3 特表2006-512737号公報
甲4 特開2008-226653号公報

第4 当審の判断
以下に述べるように、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。

1 本件明細書及び図面の記載事項
本件明細書及び図面には以下の記載がある。(下線は当審が付与した。「…」は省略を示す。以下同じ。)
「【0001】
本開示は、セル、セルスタック装置、モジュール、及びモジュール収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、燃料電池が提案されている。燃料電池は、例えば水素含有ガスなどの燃料ガスと、例えば空気などの酸素含有ガスとを用いて、発電することができる。例えば特許文献1には、複数の燃料電池セルをケースに収納した燃料電池モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-59377号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示のセルは、対向する第1面及び第2面を有する固体電解質層、前記第1面に位置する燃料極、前記第2面に位置する空気極、及び前記第2面と前記空気極とに挟まれた中間層を有し、該中間層が、SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含むCeO_(2)系焼結体である。
【0005】
本開示のセルスタック装置は、上記セルが複数配列されたセルスタックを備える。
【0006】
本開示のモジュールは、収納容器と、該収納容器内に収納された上記セルスタック装置と、を備える。
【0007】
さらに、本開示のモジュール収納装置は、外装ケースと、該外装ケース内に収納された上記モジュール及び該モジュールを運転する補機と、を備える。」

「 【0028】
中間層21は、固体電解質層4と空気極5との間に配置される。固体電解質層4の成分と空気極5の成分とが反応すると、電気抵抗の高い反応層が形成され、発電性能が低下する。中間層21を固体電解質層4と空気極5との間に配置することで、固体電解質層4の成分と空気極5の成分とが反応し難くなる。
【0029】
中間層21は、CeO_(2)、又はCe以外の希土類元素を含有するCeO_(2)系材料の焼結体である。CeO_(2)、又はCe以外の希土類元素を含有するCeO_(2)系材料の焼結体を、総じてCeO_(2)系焼結体という。CeO_(2)系材料は、例えば、組成式(CeO_(2))_(1-x)(REO_(1.5))_(x)で表される組成を有していてもよい。組成式中、REはSm、Y、Yb、Gdのうち少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数である。例えば、SrとLaが共存する複合酸化物を用いた空気極5と、安定化ジルコニアを用いた固体電解質層4との間に、中間層21としてCeO_(2)又はCeO_(2)系材料を用いると、空気極5中のSrと固体電解質層4中のZrが反応し難くなる。
【0030】
中間層21の材料に、REとしてSm又はGdを含むCeO_(2)系材料を用いると、中間層21の電気抵抗を小さくすることができる。Sm又はGdを含むCeO_(2)系材料として、例えば10?25モル%のSmO_(1.5)又はGdO_(1.5)が固溶したCeO_(2)を用いてもよい。中間層21は、2層構造を有していてもよい。
【0031】
本実施形態の中間層21は、さらに微量のSiを含むCeO_(2)系焼結体である。中間層21すなわちCeO_(2)系焼結体が微量のSiを含むことで、CeO_(2)系焼結体に気孔が形成される。固体電解質層4と空気極5との熱膨張率の差に起因して、固体電解質層4と空気極5との間に応力が蓄積し、空気極5が剥離したり、固体電解質層4が損傷して、ガスがリークしたりする懸念がある。固体電解質層4と空気極5との間に気孔を有する中間層21があることで、固体電解質層4と空気極5との間に生じる応力が緩和され、空気極5の剥離、及び固体電解質層4の損傷が発生し難くなり、ガスがリークし難くなる。
【0032】
中間層21のSi含有量は、SiO_(2)換算で150ppm(0.015質量%)以下である。以下、中間層21に含まれるSiのSiO_(2)換算値を、単に中間層21のSi含有量という場合もある。中間層21のSi含有量をSiO_(2)換算で150ppm以下とすると、CeO_(2)系焼結体の平均気孔率を30%以下とすることができる。CeO_(2)系焼結体の平均気孔率が30%以下であると、中間層21に開気孔が形成されにくくなり、ガスがリークし難くなる。中間層21のSi含有量は、130ppm以下でもよい。中間層21のSi含有量を130ppm以下とすると、CeO_(2)系焼結体の平均気孔率を24%以下とすることができ、さらにガスがリークし難くなる。中間層21のSi含有量は、10ppm以上でもよい。中間層21のSi含有量を10ppm以上とすると、CeO_(2)系焼結体の平均気孔率を5%以上とすることができ、固体電解質層4と空気極5との熱膨張差により生じる応力を緩和することができる。
【0033】
図5に示すように、中間層21は、固体電解質層4に接する第1中間層21cと、空気極5に接する第2中間層21dとを有する。換言すれば、中間層21を厚さ方向yに2等分したとき、その固体電解質層4に接する側が第1中間層21cであり、空気極5に接する側が第2中間層21dである。セル1では、第1中間層21cの平均気孔率が、第2中間層21dの平均気孔率より小さくてもよい。すなわち、固体電解質層4に接する第1中間層21cが緻密で、空気極5に接する第2中間層21dが多孔質でもよい。第1中間層21cが緻密であることにより、固体電解質層4と空気極5とが反応し難くなるとともに、ガスがリークし難くなる。第2中間層21dが多孔質であることにより、固体電解質層4と空気極5との間に生じる応力が緩和されやすくなる。
【0034】
第1中間層21cと第2中間層21dのSi含有量は、およそ同じでもよい。第2中間層21dのSi含有量が第1中間層21cのSi含有量より大きくてもよい。第2中間層21dのSi含有量が第1中間層21cのSi含有量より大きいと、第1中間層21cは緻密になりやすく、第2中間層21dは多孔質になりやすい。第2中間層21dを、造孔材を用いて形成することで、第2中間層21dの気孔率を第1中間層21cより大きくすることもできる。
【0035】
中間層21において、CeO_(2)系焼結体の平均粒径は、例えば0.1μm以上、0.5μm以下でもよい。CeO_(2)系焼結体は、第1中間層21cにおける平均粒径が、第2中間層21dにおける平均粒径より大きくてもよい。第1中間層21cの平均粒径が大きいと、第1中間層21cの気孔率がより小さくなり、ガスがリークし難くなる。
【0036】
中間層21のSi含有量は、例えばセル1から中間層21を切りとり、又は削りとり、ICP発光分光分析等の元素分析により確認できる。
【0037】
中間層21の平均気孔率は、以下の方法で測定できる。セル1の各層の厚さ方向yに沿った断面を研磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて中間層21の断面の微構造を観察する。SEMで得られた中間層21の断面の画像について、気孔の部分と気孔でない部分とを判別して画像処理を行い、気孔の面積比率を算出する。得られた気孔の面積比率を、中間層21の平均気孔率とする。第1中間層21c、第2中間層21d、及び他の部位についても、該当する部分の断面画像に上述の画像処理を行い、平均気孔率を算出すればよい。なお、平均気孔率は、同じ部位の複数箇所について画像処理を行い、得られた結果の平均値でもよい。」

「 【0044】
中間層のSi含有量は、以下のように調整してもよい。例えばGDC粉末のSi含有量を測定したのち、GDC粉末に例えば平均粒径0.1μm以下のSiO_(2)微粉末を配合して混合し、所望のSi含有量としてもよい。GDC粉末とSiO_(2)微粉末との混合は、例えばトルエンを溶媒として湿式混合してもよい。また、造孔材を含む中間層用スラリーを用いて、中間層の気孔率を調整してもよい。造孔材は、例えば熱処理により分解除去可能な有機樹脂粉末、炭素粉末等を用いてもよい。」

「【実施例】
【0087】
(サンプルの作製)
図3に示すようなセルスタック装置のサンプルを作製した。各セルスタック装置は、セルを30個含み、各セルは図1及び2に示すような板形状を有する。セルは、長さ方向に20cmの長さ、幅方向に20mmの長さ、及び2mmの厚みを有する。
【0088】
セル及びセルスタック装置は、上述の製造方法に基いて作製した。中間層のSi含有量が異なるセルは、以下のように作製した。GdドープCeO_(2)(以下、GDCという)粉末、SmドープCeO_(2)(以下、SDCという)粉末、及びCeO_(2)粉末をそれぞれ準備した。各粉末のSi含有量を測定したのち、各粉末に平均粒径0.05μmの球状のSiO_(2)微粉末を所定量配合して混合し、トルエンを溶媒として湿式混合した。
【0089】
(Si含有量の測定)
中間層のSi含有量は、作製したセルから中間層を切りとり、ICP発光分光分析により測定した。各セルの中間層のSi含有量を表1に示す。なお、試料No.1の中間層のSi含有量は、測定下限未満であった。
【0090】
(気孔率の測定)
作製したセルの中間層の平均気孔率は、上述したように、セルの「樹脂埋め」処理を行い、機械研磨を行った後、断面の微構造を走査型電子顕微鏡で観察して、中間層の気孔の面積割合を算出した。結果を表1に示す。
【0091】
(空気極の剥離の有無)
作製したセルについて、空気極の剥離の有無を確認した。1サンプルにつき10枚のセルを、隣り合うセルの空気極とインターコネクタとが対向するように並べて、隣り合うセルの空気極とインターコネクタとを接着剤で接着した。接着した10枚のセルを、インターコネクタ側から1枚ずつ剥離する剥離試験を行った。接着剤が両側のセルに残った場合、すなわち接着剤の破壊による剥離の場合を、空気極の剥離無とし、接着剤がインターコネクタ側だけに残った場合を、空気極の剥離有と判断した。結果を表1に示す。
【0092】
各セルを用いて、セルスタック装置を作製した。使用したセルは、図1、2のような板形状とした。セルスタック装置は、上述のような製造方法で製造した。セルの長さ方向の長さは20cm、セルの幅方向の長さは20mm、厚みは2mmであった。
【0093】
支持体として、長円形状の孔をひとつ有する支持体、すなわち図6、7に示すような支持体を用いた。シール材として、SiO_(2)-MgO-B_(2)O_(5)-Al_(2)O_(3)系のガラスを用いた。マニホールド、すなわち支持体及びガスタンクの材質として、ステンレス鋼を使用した。
【0094】
(燃料利用率の測定)
上記の各サンプルについて、燃料利用率と電圧との関係を確認した。700℃、0.3A/cm^(2)において、投入した燃料の80%が使用される条件(Uf80)における電圧に対する、投入した燃料の90%が使用される条件(Uf90)における電圧の比をUf90/80とし、表1に記載した。Uf90/80が小さいと、燃料ガスのリークにより発電効率が低いことになる。
【0095】
【表1】


【0096】
試料No.2?7、10?11は、中間層がSiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含有し、空気極の剥離は発生しなかった。また、試料No.2?7、10?11は、Uf90/80が90%より大きく、燃料ガスのリーク量が小さかったと考えられる。試料No.1は、中間層のSi含有量が元素分析の検出限界以下であり、中間層の気孔率が小さく剥離試験で空気極がセルから剥離した。試料No.1については、燃料利用率の測定は行わなかった。試料No.8、9は中間層のSi含有量が150ppmよりも大きく、空気極の剥離は発生しなかったが、Uf90/80が小さく、燃料ガスのリーク量が大きかったと考えられる。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



2 申立理由3(サポート要件)
事案を鑑み、申立理由3から検討する。

(1)特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり、明細書のサポート要件の存在は、特許権者が証明責任を負うと解するのが相当である(知的財産高等裁判所、平成17年(行ケ)第10042号、同年11月11日特別部判決)。以下、検討する。

(2)本件請求項1?6について
ア 本件明細書の発明の詳細な説明には、「発明が解決しようする課題」が明示的には記載されていないが、特に【0031】の「固体電解質層4と空気極5との熱膨張率の差に起因して、固体電解質層4と空気極5との間に応力が蓄積し、空気極5が剥離したり、固体電解質層4が損傷して、ガスがリークしたりする懸念がある。固体電解質層4と空気極5との間に気孔を有する中間層21があることで、固体電解質層4と空気極5との間に生じる応力が緩和され、空気極5の剥離、及び固体電解質層4の損傷が発生し難くなり、ガスがリークし難くなる。」との記載や、実施例に関する【0095】【表1】において空気極の剥離とUf90/80を評価していること、【0096】に「試料No.2?7、10?11は、中間層がSiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含有し、空気極の剥離は発生しなかった。また、試料No.2?7、10?11は、Uf90/80が90%より大きく、燃料ガスのリーク量が小さかったと考えられる。試料No.1は、中間層のSi含有量が元素分析の検出限界以下であり、中間層の気孔率が小さく剥離試験で空気極がセルから剥離した。試料No.1については、燃料利用率の測定は行わなかった。試料No.8、9は中間層のSi含有量が150ppmよりも大きく、空気極の剥離は発生しなかったが、Uf90/80が小さく、燃料ガスのリーク量が大きかったと考えられる。」との記載より、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明が解決しようとする課題は、固体電解質層と空気極との間に応力が蓄積し、空気極が剥離したり、固体電解質層が損傷して、ガスがリークしたりすることであることと解される。

イ そして、【0031】等の記載によれば、固体電解質層と空気極との間に気孔を有する中間層を設けるという手段を採用することにより、固体電解質層と空気極との間に生じる応力が緩和され、空気極の剥離が発生し難くなり、または、固体電解質層の損傷が発生し難くなることでガスがリークし難くなり、上記アの課題を解決するものと認められる。
また、【0032】の「中間層21のSi含有量は、SiO_(2)換算で150ppm(0.015質量%)以下である。以下、中間層21に含まれるSiのSiO_(2)換算値を、単に中間層21のSi含有量という場合もある。中間層21のSi含有量をSiO_(2)換算で150ppm以下とすると、CeO_(2)系焼結体の平均気孔率を30%以下とすることができる。CeO_(2)系焼結体の平均気孔率が30%以下であると、中間層21に開気孔が形成されにくくなり、ガスがリークし難くなる。」との記載や【0095】【表1】や【0096】において、中間層がSiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含有する試料No.2?7、10?11は、空気極の剥離は発生せず、また、試料No.2?7、10?11は、Uf90/80が90%より大きく、燃料ガスのリーク量が小さかったと考えられる旨が記載されていることを考慮すれば、中間層のSi含有量をSiO_(2)換算で150ppm以下とすると、CeO_(2)系焼結体の平均気孔率が固体電解質層と空気極との間に生じる応力が緩和され、空気極の剥離が発生し難くなり、及び固体電解質層の損傷が発生し難くなることでガスがリークし難くなり、上記アの課題を解決できると認識することができる。

ウ 一方、本件特許の請求項1には、「該中間層が、SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含むCeO_(2)系焼結体である」との記載があり、上記イで検討したとおり、上記アの課題を解決すると認識される中間層のSi含有量をSiO_(2)換算で150ppm以下とする旨について記載されているから、請求項1に係る発明は、上記アの課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1の記載は特許法第36条第6項第1号(サポート要件)に適合するものである。また、請求項1を引用する請求項2?6の記載も、同様の理由により特許法第36条第6項第1号(サポート要件)に適合するものである。

エ 異議申立書の3(4)IIウ(ア)における申立人の主張(概略、本件特許の請求項1には、中間層のSi含有量の下限値が規定されておらず、中間層のSi含有量が10ppm(本件明細書【0096】【表1】の試料No.2)未満である態様を含み、この中間層のSi含有量が10ppm未満では、固体電解質層と空気極との熱膨張差により生じる応力を緩和して空気極の剥離を抑制する中間層の平均気孔率5%以上とすることができないため、本件発明の課題を解決できないこと、実施例の試料No.1における中間層が仮に中間層が元素分析の検出限界以下の含有量でSiを含有するものであった場合、試料No.1は空気極の剥離が生じ、本件発明の課題を解決できておらず、本件発明1は、中間層がSiを含有するものの、その含有量が元素分析の検出限界以下である態様を含んでおり、この態様では本件発明を解決できない可能性があるとの主張)について検討する。
「本件特許の請求項1では「SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含む」と「中間層」にSiを含むことを限定しているが、検出限界以下でSiが含まれているか判断できない場合には「Siを含み」とは言い難いこと、【0096】の記載によれば、実施例において、中間層のSi含有量が元素分析の検出限界以下である試料No.1については中間層がSiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含有する試料としていないことを参酌すれば、請求項1では、Siの下限値を明記していないものの元素分析の検出限界以上のSiは含まれていることは読み取れる。そうすると、中間層には、元素分析の検出限界以上のSiは含まれていることから中間層の平均気孔率は、空気極の剥離が生じた実施例の試料No.1より大きいものとなると解され、試料No.1と同程度の空気極の剥離は生じないとも解されるし、本件発明1は、中間層がSiを含有するものの、その含有量が元素分析の検出限界以下である態様を含むことにもならない。
以上から、異議申立書の3(4)IIウ(ア)における申立人の主張を採用できない。

オ さらに、異議申立書の3(4)IIウ(イ)における申立人の主張(概略、本件発明1は、中間層の気孔率を直接的に規定する発明特定事項を具備していないが、【0044】の記載から中間層の気孔率は、中間層のSi含有量によって一義的に決まるものではなく、他の条件によって変動しうるものであることから、本件発明1は、中間層の気孔率が30%超である態様や、中間層の気孔率が5%未満である態様を含み、これらの態様ではガスのリークの抑制ないしは空気極の剥離の抑制といった本件発明の課題を解決できず、本件発明1は本件発明の課題を解決できない態様を含んでいるとの主張)についても検討する。
確かに、本件特許の請求項1には「中間層」の「気孔率」についての規定はなく、気孔率を調整する手段として、本件明細書には、Si含有量のみではなく、【0044】に「造孔材」が挙げられている。しかしながら、上記エで説示した中間層のSi含有量の下限値近傍で、造孔材を用いれば中間層の気孔率が上がり、むしろ空気極の剥離が生じ難くなるものと解されるし、上記イで摘示した【0032】の記載や、【0095】【表1】より中間層のSi含有量を「SiO_(2)換算で150ppm以下」にすれば、「SiO_(2)換算で150ppm」より多い場合と比較して、Uf90/80が良い結果が得られ、燃料ガスのリーク量が小さかったと考えられる旨の記載を考慮すれば、Si含有量以外に気孔率を変動する他の条件があったとしても「SiO_(2)換算で150ppm以下」とすれば、「SiO_(2)換算で150ppm」より多い場合よりも燃料ガスのリーク量は抑制されると解される。
そうすると、本件発明1は、中間層の気孔率を直接的に規定する発明特定事項を具備していないものの、「該中間層が、SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含むCeO_(2)系焼結体である」の発明特定事項を含んでいれば、上記アの課題を解決できない態様を含んでいるとは言い難いため、異議申立書の3(4)IIウ(イ)における申立人の主張を採用できない。

カ 異議申立書の3(4)IIウ(ウ)における申立人の主張(概略、【0043】?【0044】の記載から本件発明3の発明特定事項G(「該第2中間層のSi含有量が、前記第1中間層のSi含有量より大きい」)により達成される効果は、第1中間層が緻密になりやすくなるために、固体電解質層と空気極とが反応しがたくなるとともに、ガスがリークし難くなり、かつ、第2中間層が多孔質になりやすくなるために、固体電解質層と空気極との間に生じる応力が緩和されやすくなることであると認められるところ、上記本件発明3の発明特定事項Gは、第2中間層と第1中間層との間のSi含有量の大小関係を規定しているものの、両者の間の気孔率の大小関係を規定しておらず、中間層の気孔率は、中間層のSi含有量によって一義的に決まるものではなく、他の条件によって変動しうるものであり、本件発明3は第2中間層の気孔率が第1中間層の気孔率より小さい態様も含み、この態様では、本件明細書に記載された効果を奏しないとの主張)についても検討する。
この点については、そもそも本件特許の請求項3は請求項1を引用しており、上記で検討してきたとおり、本件発明3も有することとなる本件発明1に係る「該中間層が、SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含むCeO_(2)系焼結体である」の発明特定事項を含んでいれば、上記アの課題を解決することと解されるため、異議申立書の3(4)IIウ(ウ)における申立人の主張を採用できない。

(3)申立理由3(サポート要件)のまとめ
よって、申立理由3(サポート要件)によっては、本件特許の請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。

3 申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)
(1)甲1?4の記載事項及び甲1に記載にされた発明
ア 甲1の記載事項及び甲1に記載された発明
(ア)甲1の記載事項
a 甲1には、以下の記載がある。
「【0012】
図1に示すように、セル1は、一対の対向する平坦面n1、n2をもつ柱状(中空平板状等)の導電性支持基板2(以下、支持基板2と略す場合がある)の一方の平坦面n1上に、燃料極3、固体電解質層4及び空気極5を積層してなる素子部aを有している。」

「【0014】
図2に示すように、中間層21は、固体電解質層4と空気極5との間に位置し、かつ、セル1の一端部(下端部)まで延びている。このセル1の一端部において、中間層21は空気極5から露出している。」

「【0025】
中間層21としては、Ce以外の他の希土類元素酸化物を含有するCeO_(2)系焼結体からなるもので、例えば、(CeO_(2))_(1-x)(REO_(1.5))_(x)(式中、REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数)で表される組成を有していることがよい。…」

「【0028】
セルスタック装置10は、配列された複数個のセル1と、マニホールド7とを備える。」

「【0045】
具体的には、中間層21のうち固体電解質層4と空気極5との間に挟まれた部分の気孔率は、5?25%とすることができる。5%以上である場合には、長期間発電を繰り返した際などに固体電解質層4と空気極5との熱膨張差により生じる応力を、気孔を有する中間層21で緩和することができる。従って、固体電解質層4が損傷してガスリークが生じることを抑制することができる。なお、固体電解質層4と空気極5との熱膨張差が大きくなる場合としては、例えば、固体電解質層4がY_(2)O_(3)の固溶したZrO_(2)からなり、空気極5がLa_(x)Sr_(1-x)Co_(y)Fe_(1-y)O_(3)からなるような場合である。25%以下である場合には、気孔率が高過ぎないことから、反応防止層としての機能を向上させることができる。」

「【0052】
次に、電解質層と空気極との間に配置する中間層を形成する。例えば、GdO_(1.5)が固溶したCeO_(2)粉末を800?900℃にて2?6時間、熱処理を行い、中間層成形体用の原料粉末を調整し、これに、溶媒としてトルエンを添加し、中間層用スラリーを作製し、このスラリーを電解質層成形体上に塗布して中間層成形体を作製する。なお、中間層の露出部、又は、固体電解質層と空気極とで挟まれた部分の気孔率を所定の値にしようとする場合には、当該スラリーとは別に、スラリー中のポア材の量を調節した露出部用のスラリーを準備すればよい。」

「【0067】
(モジュール収容装置)
図7は、外装ケース内に図6で示したモジュール20と、モジュール20を動作させるための補機(図示せず)とを収納してなる本実施形態のモジュール収容装置の一例を示す分解斜視図である。なお、図7においては一部構成を省略して示している。
【0068】
図7に示すモジュール収容装置40は、支柱41と外装板42から構成される外装ケース内を仕切板43により上下に区画し、その上方側を上述したモジュール20を収納するモジュール収納室44とし、下方側をモジュール20を動作させるための補機を収納する補機収納室45として構成されている。なお、補機収納室45に収納する補機を省略して示している。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



「【図4】



「【図7】


b 甲1の図1及び図2並びにこれらの図面を説明する【0045】から、以下の点が看取される。
「固体電解質4が対向する第1面及び第2面を有し、固体電解質層4の第1面に燃料極3が位置し、固体電解質層4の第2面に空気極5が位置し、中間層21が固体電解質層4の第2面と空気極5とに挟まれていること。」

(イ)甲1に記載された発明
甲1の記載(特に【0012】、【0014】、【0025】、【0045】、図1、2、上記(ア)bで看取した事項)によれば、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。

「対向する第1面及び第2面を有する固体電解質4、固体電解質層4の第1面に位置する燃料極3、固体電解質層4の第2面に位置する空気極5、固体電解質層4の第2面と空気極5とに挟まれている中間層21を有し、
中間層21としては、Ce以外の他の希土類元素酸化物を含有するCeO_(2)系焼結体からなる
セル1。」(以下「甲1発明」という。)

イ 甲2の記載事項
甲2には、以下の記載事項がある。なお、抄訳は、申立人が提出したものによる。
“Doped ceria powders with the nominal composition Ce_(0.9)Gd_(0.1)O_(2-δ) were obtained from several commercial venders. The powder from vender #1 (CGO10 #1) was known to have a low silicon content(?20ppm).”(第1911頁右欄第4?7行目)
「組成式Ce_(0.9)Gd_(0.1)O_(2-δ)を有するドープされたセリア粉末が、いくつかの商業的ベンダーから入手された。ベンダー#1の粉末(CGO10 #1)は、シリコン含有量が低い(?20ppm)ことが知られている。」

ウ 甲3の記載事項
甲3には、以下の記載事項がある。
「【0003】
イオン伝導体は、高くされた温度において酸素イオンを伝導させることができ、かつ低い電子伝導度を持つセラミック物質、で構成されている。それらの伝導体は、酸素発生器および固体酸化物燃料電池の内部において通常使用される電解質の製造に用いられる。そのような電解質は、電解質をサンドイッチ状に挟み込んでいるアノードとカソードを持つ層状構造で採用されている。それらの物質にはスチーム電解槽等などの業界で公知の他の用途もある。」

「【0005】
酸素発生器、固体酸化物燃料電池等の装置は、アイソスタティックプレスおよびテープキャスティングなどの公知技術により製造された、平板状または管状の層をなしたアノード‐電解質‐カソード構造を持つ構成要素を使用している。そのような方法では、粉末状の、ドープされているジルコニア(酸化ジルコニウム)、またはガドリニウムがドープされているセリア(酸化セリウム)などの酸素イオン伝導性材料(酸素イオン伝導物質)に有機結合剤を混合し、その後に所望の形に成形し、またはアノード層の上にモールドする。アノード層は、不活性構造体により支持されている銀、または酸素イオンと電子との双方を通すことができる混合されている伝導体などの導電性金属とすることができる。このようにして得た未加工物を焼いて結合剤を追い出し、それを焼結して緊密に固まった塊にする。その後、カソード層を付着させる。」

「【0006】
上記からわかるように、酸素発生器または固体酸化物燃料電池などの、実用的な装置に実用できるようにするためには、酸素イオン伝導度を特定の物質について得ることができる最高のものにすること、およびそれの焼結された密度したがってそれの強度を最高にすることが重要である。106ソリッド・ステイト・アイオニックス(106Solid State Ionics)(1998年)の予講集の247?253ページにおけるBae他による論文「ガドリニウムをドープした酸化セリウム(CGO)電解質上のLa_(0.6)Sr_(0.4)Co_(0.2)Fe_(0.8)O_(3?δ)(LSCF)二重層カソードの諸特性I.SiO_(2)の役割(Properties of La_(0.6)Sr_(0.4)Co_(0.2)Fe_(0.8)O_(3?δ)(LSCF)Double Layer Cathodes on Gadolinium‐Doped cerium Oxide(CGO)electrolytes I.Role of SiO_(2))に記載されているように、酸化シリコンの態様のシリコンはあらゆる酸化物中にあまねく存在する。そのようなシリコンは、ガドリニウムをドープした酸化セリウム(以後「CGO」と記す)で構成されている電解質の伝導度に悪影響を及ぼすことがある。
【0007】
特に低温における、CGO電解質の伝導度を高くする必要が、固体酸化物燃料電池に関して先行技術において認められている。CGOは、高い伝導度を持つが、固体酸化物燃料電池内部に存在する高温度の還元性雰囲気内では強くない。したがって、500℃?700℃の付近における比較的低温での運転の用途にCGOを使用する必要がある。更に、より低い温度で運転すると温度の影響をあまり受けない部品ですむので、固体酸化物燃料電池のコストは、より低い温度で運転することによっても低減される。しかし、そのような温度では、酸素イオン伝導度はCGOに対して特に敏感になる。したがって、そのような用途および運転においては、CGOの伝導度を最高にする必要性が存在する。
【0008】
575マテリアル・リサーチ・ソサイエティ・シンポジウム会報(575Material Research Society Symposium Proceedings)(2000)309?314ページ所載のRalph他による論文「低温固体酸化物燃料電池用のGdをドープした酸化セリウムの改良(Improving Gd‐Doped Ceria Electrolytes for Low Temperature Solid Oxide Fuel Cells)」には、CGOにカルシウムをドープすることにより、二酸化シリコンなどの不純物を含んでいるCGOの伝導度を改善することが述べられている。この文献では、プラセオジムおよび鉄のドーパントが同じ効果を持つであろうと示唆されている。カルシウムをドープし不純物を含んでいるCGOは、調製中に無定形クエン酸塩を用いることによって製造される。そのような調製は陽イオンの塩をクエン酸に適切な化学量論的な比で混合することと、それで得られた混合物をその後に水中に溶解して水溶液を生ずることとを含む原子混合技術である。その後にその溶液を加熱し、カ焼して酸化物を生ずる。
【0009】
Ralph他の論文では、SiO_(2)などの不純物酸化物の低い伝導度と比較してかなり高い伝導度の第二相が形成されるために、粒界伝導度が、標準のCGO試料より高くされたことが示された、と述べられている。Ralph他の論文では、SiO_(2)濃度が20ppmより低いことが述べられている。
【0010】
129ソリッド・ステイト・アイオニックス(129Solis State Ionics)(2000)予稿集95?110ページ所載のSteeleによる論文「500℃におけるIT‐SOF運転のためのCe_(1-y)Gd_(y)O_(2-y/2)電解質の評価(Appraisal of Ce_(1-y)Gd_(y)O_(2-y/2) Electrolytes for IT‐SOFC Operation at 500℃.)」には、CGOおよびドープされている酸化ジルコニウム電解質用の高度に精製された、すなわち、SiO_(2)含有量が50ppmより低い、粉末を使用して、低い運転温度において十分な伝導度の電解質物質を得ることが言及されている。
【0011】
したがって、酸化シリコンの形態のシリコンなどの不純物は、CGOとドープされている酸化ジルコニウムの電解質物質中のイオン伝導度を低くするように作用することが前記諸文献から理解できる。CGOおよびその他の物質で構成された電解質を採用しているSOFCを低温度で運転するためには、電解質を構成しているイオン伝導物質は可能な限り純粋であること、すなわち、含有するシリコンの量が最少であることが必要である。更に、そのように純粋な態様のCGOの低温度における伝導度を一層高くするために、CGOにカルシウム・ドーパントを用いてドープできる。これから分かるように、固体酸化物燃料電池にCGOとYSZを使用するための基準と同じ基準が、酸素発生器などのその他の類似の装置に等しく適用される。」

「【0035】
図1を参照して、シリコン含有量が高い、すなわち、約100ppmと約300ppmの間の、ドープされたCGO酸素イオン伝導物質と、シリコン含有量が低い、すなわち、約50ppmより低い、ドープされたCGO酸素イオン伝導物質とへの本発明の適用を示すために、いくつかのイオン伝導体を試験した。全ての試験において、試験試料は、約2.5グラムの粉末を型内でまずプレスして、直径が約13mm、厚さが約5mmの新しい試験片をつくった。その新しい試験片を2℃において1400℃まで加熱して4時間保持し、その後に1分間当たり2℃で周囲温度まで冷却して焼結された試験片を製造した。焼結された試験片を、酸素イオン伝導体として、その後ACインピーダンス分光器を用いて試験した。ASTM規格C1161に従った4点曲げ形状で強度試験を電気機械的試験装置によって行った。
【0036】
本発明に従って製造された試料では、図1でCGO5として参照されているカルシウムをドープしたCGOの形成は、本発明に従って行われる製造の例である。この特定の試料の製造においては、ガドリニウムをドープした、組成がCe_(0.9)Gd_(0.1)O_(2-d)である(dの値はこの物質が電気的に中性であるようにされるようなものである)二酸化セリウム粉末をアメリカ合衆国ワシントン州シアトル所在のPraxair Specialty Chemicalsから入手した。この粉末のシリコン含有量は高く、約100ppmと約300ppmの間であった。」

「【0045】
図2は、アルカリ土類金属をドープされたCGOを製造するために、本発明に従ってCGOを製造するのに用いられる、シリコン不純物を約100ppmのレベルで含んでいる陽イオン酸化物を処理することの諸利点を示す。試料CGO11は、化学式Ce_(0.9)Gd_(0.1)O_(2-x)により与えられる平均組成を持つCGOを製造するための、市販の二酸化セリウム粉末と酸化ガドリニウム粉末との焼結された混合物である。それのシリコン含有度は高くて約100ppmと約300ppmの間である。…」

エ 甲4の記載事項
甲4には、以下の記載事項がある。
「【0032】
燃料電池セル10は、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状の導電性支持基板3を備えている。導電性支持基板3の内部には、適当な間隔で複数の燃料ガス通路5が長手方向に形成されており、燃料電池セル10は、この導電性支持基板3上に各種の部材が設けられた構造を有している。
【0033】
導電性支持基板3は、図1に示されている形状から理解されるように、平坦部nと平坦部nの両端の弧状部mとからなっている。平坦部nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、平坦部nの一方の面(下面)と両側の弧状部mを覆うように燃料側電極7が設けられており、さらに、この燃料側電極7を覆うように、緻密質な固体電解質9が積層されている。また、固体電解質9の上には、中間層4を介して、燃料側電極7と対面するように、Srを含有する酸素側電極1が積層されている。また、燃料側電極7及び固体電解質9が積層されていない他方の平坦部nの表面には、インターコネクタ2が形成されている。図1から明らかな通り、燃料側電極7及び固体電解質9は、インターコネクタ2の両サイドにまで延びており、導電性支持基板3の表面が外部に露出しないように構成されている。」

「【0038】
そして本発明においては、固体電解質9の表面に中間層4を備える。ここで、中間層4は、固体電解質9側の表層領域(本図においては4aで示す)が他の領域(本図においては4bで示す)よりも緻密に形成されている。それにより、燃料電池セル10の長時間の発電により、酸素側電極1に含有されるSrが固体電解質9側に拡散する場合であっても、中間層4により、Srが固体電解質9中へ拡散することを防止できる。さらに、Srが中間層4の他の領域4bを透過した場合であっても、中間層4の緻密質な表層領域4aにより、Srの拡散を防止することができ、Srが固体電解質9中へ拡散することを防止できる。これは、はっきりとした要因は分からないが、主にSrが粒界拡散をするためと考えられる。それにより、固体電解質9中において、固体電解質9の成分と酸素側電極1に含有されるSrとの反応による電気抵抗の高い反応層の形成を防止することができることから、燃料電池セル10の性能劣化が引き起こされることが抑制でき、長時間の発電における燃料電池セル10の発電性能の劣化を抑制することができる。
【0039】
なお、このような中間層4の表層領域4aと中間層の他の領域4bは、表層領域を第1の層4aとし、他の領域を第2の層4bとして形成することができる。この場合において、第2の層4bは、第1の層4aよりも緻密度が低ければよく、複数の層より形成されていてもよい。それゆえ、例えば第2の層4bを2層から形成し、中間層4を全体として3層から形成することや、それ以上の層数として形成することも可能である。
【0040】
そして、中間層4を第1の層4aと第2の層4bとから形成する場合においては、第1の層4aおよび第2の層4bは、例えば同一の希土類元素(Srを除く)を含有するように形成することが好ましい。それにより、第1の層4aと第2の層4bとの熱膨張係数を近づけることができ、第1の層4aと第2の層4bとの接合強度を向上することができる。なおここで、Srを除くこととしたのは、長期間の発電により固体電解質9中にSrが含有されることを有効に防止するためである。
【0041】
そのような同一の希土類元素としては、例えばCeが挙げられ、特には、第1の層4aおよび第2の層4bを作製するにあたり、その原料粉末は、例えば、下記式
(1):(CeO_(2))_(1-x)(REO_(1.5))_(x)
(1)式中、REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数であるで表される組成を有していることが好ましい。ここでCe以外の希土類元素REとしては、Sm、Y、Yb、Gdが挙げられ、さらにこれらの希土類元素を適宜選択して用いることができる。これにより、同一の希土類元素を少なくとも1種含有する原料粉末により第1の層4aおよび第2の層4bを形成した場合には、第1の層4aおよび第2の層4bの熱膨脹係数を小さくすることができる。それにより、例えばZrを含有する固体電解質9の熱膨張係数に近づけることができるため、熱膨張差に起因するクラックの発生や剥離を抑制することができる。なお、第1の層4aおよび第2の層4bを、同じ組成より作製することもできる。」

「【図1】



「【図2】



(2)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「対向する第1面及び第2面を有する固体電解質4」は、本件発明1の「対向する第1面及び第2面を有する固体電解質層」に相当する。
甲1発明の「固体電解質層4の第1面に位置する燃料極3」は、本件発明1の「前記第1面に位置する燃料極」に相当する。
甲1発明の「固体電解質層4の第2面に位置する空気極5」は、本件発明1の「前記第2面に位置する空気極」に相当する。
甲1発明の「固体電解質層4の第2面と空気極5とに挟まれている中間層21」は、本件発明1の「前記第2面と前記空気極とに挟まれた中間層」に相当する。
甲1発明の「中間層21としては、Ce以外の他の希土類元素酸化物を含有するCeO_(2)系焼結体からなる」ことは、本件発明1の「該中間層が」、「CeO_(2)系焼結体である」ことに相当する。
甲1発明の「セル1」は、本件発明1の「セル」に相当する。

イ 以上によれば、本件発明1と甲1発明との「一致点」並びに「相違点1」は以下のとおりである。

(一致点)
「対向する第1面及び第2面を有する固体電解質層、前記第1面に位置する燃料極、前記第2面に位置する空気極、及び前記第2面と前記空気極とに挟まれた中間層を有し、
該中間層が、CeO_(2)系焼結体である、セル。」

(相違点1)
本件発明1では、「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」は「SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含む」と規定されているのに対して、甲1発明では、「Si」を含有しているのか不明である点。

ウ 相違点1に対する判断
相違点1について検討する。
(ア)a 甲1には、「中間層21のうち固体電解質層4と空気極5との間に挟まれた部分の気孔率は、5?25%とすることができる」(【0045】)との記載がある。
他方、本件明細書の発明の詳細な説明【0032】においても、「中間層21のSi含有量をSiO_(2)換算で150ppm以下とすると、CeO_(2)系焼結体の平均気孔率を30%以下とすることができる。」との記載があり、「CeO_(2)系焼結体の平均気孔率を30%以下」であれば、「中間層21のSi含有量をSiO_(2)換算で150ppm以下」となり得る可能性もある。この点については、特許異議申立書の3(4)IVイ(ア)ii)で申立人も同旨の主張をしている。そこで、甲1には「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」における「Si」の含有量について直接の記載は無いが、本件発明の「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」の「平均気孔率」と甲1発明の「中間層」の「平均気孔率」が同じであれば、甲1発明においても「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」は「SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含む」となり得るのか、そして、相違点1は実質的な相違点とはならないのか検討する。

b 本件明細書の発明の詳細な説明【0044】には、「造孔材を含む中間層用スラリーを用いて、中間層の気孔率を調整してもよい。」との記載があり、造孔材があると中間層の気孔率が変化しうることが記載されている。そうすると、「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」の「平均気孔率」は、「中間層」の「Si含有量」のみならず、少なくとも「造孔材」の有無によっても変化しうることと解される。
そして、甲1の【0052】には、「なお、中間層の露出部、又は、固体電解質層と空気極とで挟まれた部分の気孔率を所定の値にしようとする場合には、当該スラリーとは別に、スラリー中のポア材の量を調節した露出部用のスラリーを準備すればよい。」と記載されており、本件明細書の「造孔材」に相当する「ポア材」を使用しうることは記載されているが、本件明細書における「造孔材」と同条件で「ポア材」を使用しているか不明であり、また甲1には、「CeO_(2)系焼結体」の「平均粒径」についての記載がなく、本件明細書における「CeO_(2)系焼結体の平均粒径」と同じであるか不明である。以上より、「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」の「平均気孔率」の値に影響を与えうる「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」における「Si」の含有量以外の要素が同一であるか不明であることを考慮すれば、本件発明の「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」の「平均気孔率」と甲1発明の「中間層」の「平均気孔率」が同じであれば、甲1発明においても「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」は「SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含む」ということはできない。 したがって、本件発明の「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」の「平均気孔率」と甲1発明の「中間層」の「平均気孔率」が同じであれば、甲1発明においても「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」は「SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含む」となり得るとはいえないため、相違点1は実質的な相違点である。

(イ)次に、甲1の【0052】によれば、CeO_(2)粉末を用いて中間層21を作成する方法が記載されている。そして、甲2の第1911頁右欄第4?7行目、甲3の【0003】、【0005】?【0011】には、不純物として20ppm前後のシリコンを含有している市販のCeO_(2)系粉末が存在することは読み取れることから、CeO_(2)系粉末を用いれば「CeO_(2)系焼結体」は「SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含む」こととなり、相違点1は実質的な相違点ではないとなるのか検討する。この点については、特許異議申立書の3(4)IVイ(ア)iii)で申立人も同旨の主張をしている。
甲3の【0035】、【0036】、【0045】からシリコン含有量が約100ppmと約300ppmの間でCGO粉末も市販されている旨が記載されており、市販のCeO_(2)系粉末における不純物のシリコンは必ずしも20ppm前後のみ含有しているものではなく、本件請求項1の「中間層21のSi含有量をSiO_(2)換算で150ppm以下」の範囲より外れる「約100ppmと約300ppm」の範囲で含まれる可能性もあることから、甲1発明において、「中間層」として「CeO_(2)系焼結体」を用いていれば、不純物のシリコンは20ppm前後のみ含有されているとは読み取れず、甲2、3の記載事項を参酌すれば甲1発明においても「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」は「SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含む」との構成を備えているとして相違点1は実質的な相違点である。
さらに、甲1発明において、甲2、3に記載の、不純物として20ppm前後のシリコンを含有している市販のCeO_(2)系粉末を用いる動機付けも見当たらない。

(ウ)また、上記2で検討したとおり、本件請求項1に係る「該中間層が、SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含むCeO_(2)系焼結体である」との構成により、CeO_(2)系焼結体の平均気孔率が固体電解質層と空気極との間に生じる応力を緩和し、空気極の剥離、及び固体電解質層の損傷が発生し難くし、ガスがリークし難くするとの効果を奏するものであり、甲1において、「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」における「Si」含有量を「SiO_(2)換算で150ppm以下」とすることは当業者が通常行う設計的事項ということはできない。

イ そして、本件発明1の発明特定事項を有することで、本件発明1は、空気極の剥離を抑制し、Uf90/80(回答書によれば、各セルスタック装置を構成する30枚のセルが理論上消費可能な最大の燃料ガス流量をAとしたときに、Uf80の燃料ガス流量とは、燃料ガス流量がAに相当する燃料ガス流量(A/0.8)とし、Uf90の燃料ガス流量とは、燃料ガス流量がAに相当する燃料ガス流量(A/0.9)とするものである。そして、Uf80、Uf90の各条件における電圧を測定すると、Uf90の条件はセルスタックが消費可能な燃料ガスの流量Aに対し、余剰の燃料ガスが少ない条件であり、燃料ガスのリークがあると、セルスタックが消費可能な燃料ガスの量に対してセルスタックの発電に消費される燃料ガスの量が不足しやすい条件であるのに対し、Uf80の条件はセルスタックが消費可能な燃料ガスの流量Aに対し、余剰の燃料ガスが多い条件であり、燃料ガスのリークがあっても、燃料ガスの量が不足しにくく、セルスタックが発電した時の電圧が低下しにくい条件であるため、Uf90/80の電圧比が小さい場合は、燃料ガスのリークにより、供給した燃料ガスに対する発電した電力量、すなわち発電効率が小さいことになる。)が90%より大きく、燃料ガスのリーク量が小さかったと考えられるとの効果を奏するものであり、この効果は、甲1発明及び甲2?4の記載事項から予測可能なものとはいえず、顕著な効果であるといえる。
したがって、甲1発明において、「中間層」の「CeO_(2)系焼結体」における「Si」含有量を「SiO_(2)換算で150ppm以下」とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえず、甲1に記載された発明及び甲2?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明であるともいえない。

(3)本件発明2?6について
本件発明1を引用することによって本件発明1の特定事項の全てを備える本件発明2?6も、本件発明1と同様の理由で、甲1に記載された発明であるとはいえず、甲1に記載された発明及び甲2?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(4)申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)のまとめ
以上のとおりであるから、甲1を主たる引用例とする申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)によっては、本件特許の請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。

4 申立理由4(明確性)
(1)申立人は、本件明細書には、中間層のSi含有量の測定をICP発光分析等の元素分析により行うことが記載されており(【0036】、【0089】)、ここで本件明細書にも記載があるように(例えば、【0096】)、元素分析によるSi含有量の測定には検出限界があるため、元素分析による中間層のSi含有量の測定によってSiが検出されなかった場合に、中間層の構成として、
1.中間層がSiを一切含有しない構成、および
2.中間層が元素分析の検出限界以下の含有量でSiを含有する構成
の2つの可能性が考えられ、本件発明1における「該中間層が、SiO_(2)換算で150ppm以下のSiを含むCeO_(2)系焼結体である」との発明特定事項は、上記1.の構成に限定することを意味しているのか、上記2.の構成を含むことを意味しているのか、不明であり、本件発明1は中間層の構成が不明確であり、その結果、発明の範囲が不明確となっている旨主張している(特許異議申立書(4)III)。

(2)しかしながら、上記2(2)エで検討したとおり、本件請求項1では、Siの下限値を明記していないものの元素分析の検出限界以上のSiは含まれていることは読み取れる。そうすると、本件発明1には、上記(1)で記載した元素分析による中間層のSi含有量の測定によってSiが検出されなかった場合は含まれず、上記(1)における上記1.の構成、及び上記2.の構成を含まれないことは明らかである。

(3)したがって、本件発明1及び請求項1を直接又は間接的に引用する本件発明2?6は、この点で明確である。

(4)申立理由4(明確性)のまとめ
以上のとおりであるから、申立理由4(明確性)によっては、本件特許の請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。

5 まとめ
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては、請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-08-30 
出願番号 特願2020-526169(P2020-526169)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01M)
P 1 651・ 113- Y (H01M)
P 1 651・ 537- Y (H01M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松本 陶子  
特許庁審判長 平塚 政宏
特許庁審判官 粟野 正明
村川 雄一
登録日 2020-08-13 
登録番号 特許第6749064号(P6749064)
権利者 京セラ株式会社
発明の名称 セル、セルスタック装置、モジュール、及びモジュール収納装置  
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