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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  D03D
管理番号 1377837
異議申立番号 異議2021-700406  
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-28 
確定日 2021-09-28 
異議申立件数
事件の表示 特許第6775115号発明「涼感織布及びそれを使用して構成される布製品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6775115号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第6775115号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成28年11月9日を出願日とする特許出願であって、令和2年10月8日に特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:同年10月28日)がされ、令和3年4月28日に株式会社アン・ドゥー(以下「申立人」という。)から特許異議の申立てがされたものである。


第2.本件発明
特許第6775115号の請求項1?5の特許に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明5」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
普通糸と機能性糸とから構成される織布であって、
機能性糸は、中空状の合成樹脂製フィラメントを含むものであって、赤外線反射材と熱伝導性向上材とを含有し、
織布の一方の面において機能性糸が露出する面積に対して普通糸が露出する面積が大きくなるように織成した涼感織布。
【請求項2】
織布の組織は、織布の一方の面において普通糸の露出率が50%を超える綾織又は朱子織である請求項1に記載の涼感織布。
【請求項3】
普通糸は、綿、毛、麻、及び絹からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の天然繊維を含有するものである請求項1又は2に記載の涼感織布。
【請求項4】
機能性糸は、ナイロン、ポリエステル、及びポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の合成樹脂材料を含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の涼感織布。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の涼感織布で構成された布製品。」


第3.特許異議の申立理由の概要
申立人の主張する申立理由は、次のとおりである。
なお、申立人が本件特許異議申立書(以下、「申立書」という。)に添付した甲第1号証等をそれぞれ「甲1」等という。

本件発明1?5は、本件特許の出願日前に日本国内又は外国において、公然知られた発明、公然実施された発明、あるいは、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1乃至甲8により立証された発明、並びに、甲10及び甲11に例示される周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

(証拠方法)
甲1:中村二郎、デニムジーンズ、株式会社アン・ドゥー内、令和3年1月15日撮影
甲2:中村二郎、一部の生地が切り取られた状態のデニムジーンズ、株式会社アン・ドゥー内、令和3年1月15日撮影
甲3:中村二郎、デニムジーンズに縫い付けられている品質表示タグ、株式会社アン・ドゥー内、令和3年1月15日撮影
甲4:中村二郎、デニムジーンズの表面の拡大、株式会社アン・ドゥー内、令和3年1月15日撮影
甲5:中村二郎、デニムジーンズの裏面の拡大、株式会社アン・ドゥー内、令和3年1月15日撮影
甲6:中村二郎、デニムジーンズに付されていた2種の下げ札の表面、株式会社アン・ドゥー内、令和3年1月15日撮影
甲7:中村二郎、デニムジーンズに付されていた2種の下げ札の裏面、株式会社アン・ドゥー内、令和3年1月15日撮影
甲8:一般財団法人化学物質評価研究機構東京事業所、試験報告書、令和3年2月19日
甲9:中村二郎、ファッションセンターしまむらにおける株式会社アン・ドゥーから導入されたデニムジーンズの売上在庫管理文書、平成28年7月11日
甲10:特開2016-113714号公報
甲11:特開平8-269868号公報


第4.当審の判断
1.証拠方法に記載された事項
(1)甲1
股関節から太ももにかけて色が白くなった藍色のズボン(以下、単に「ズボン」という。)。
(2)甲2
一部の生地が切り取られた状態のズボン。
(3)甲3
最上段の行に「HL9851R1」との記載があり、上から7?9行に、「綿70%」、「ナイロン27%」、「ポリウレタン3%」との記載があり、さらに、下から2行目には、洗濯時の注意事項を示す図が記載された品質表示タグ。
(4)甲4
白色と藍色が混在した生地。
(5)甲5
白色と黒色が混在した生地。
(6)甲6
「-3℃ 遮熱効果」という記載がある下げ札(左側)と、「SUMMER POWDER STRETCH」という記載がある下げ札(右側)。
(7)甲7
「-3℃ 遮熱効果 遮熱糸を生地に使用することで、一般的な遮熱糸不使用の生地よりも赤外線をはねかえす効果があり、生地と肌の間の温度上昇を抑えます。 ※-3℃:遮熱糸の使用生地と不使用生地とで温度上昇を比較し測定した温度差」という記載がある下げ札(左側)と、「サラっと快適! パウダーストレッチの使用により肌ざわりが良く快適なはき心地を提供します。」、「吸水速乾 体から汗を素早く吸い取り蒸発させ夏でも涼しくベタつきにくい。」、「接触冷感 ひんやり感があり快適なはき心地。」、「UV対策 肌にダメージをもたらす紫外線の影響を軽減します。」という記載がある下げ札(右側)。
(8)甲8
ア.「1.依頼者 株式会社アン・ドゥー」
イ.「2.受付日 令和3年2月1日」
ウ.「3.件名 ヒスイ鉱石の組成解析及び、酸化チタン、灰分の定量」
エ.「4.試料 HL9851R1 デニム 1点」
オ.「5.1 X線回折(XRD)測定による結晶性化合物の定性分析
前処理
試料を550℃で灰化して測定に供した。」
カ.「5.2 誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)法による酸化チタン(TiO_(2))の定量分析」
キ.「6.試験結果
6.1 XRD測定による結晶性化合物の定性分析
(1)試料の灰化物について、XRDにより同定された物質を下表に示す。



(2)試料のXRDパターンからは、ヒスイ鉱石由来と推定されるケイ酸塩化合物(NaAlSi_(2)O_(6))と類似する回折パターンが認められた。
・・・
6.2 ICP-AES法による酸化チタン(TiO_(2))の定量分析

6.3 灰分の測定




(9)甲9
甲9は、MSエクセルのアイコンで表示され、名称が「2016-7-11」であって、「更新日時」が、「2016/07/11 9:32」と記載されている。
以下の事項が表形式で記載されている。
最上行には、左端の列から、「No.」、「帳票区分」、「品番コード」、「単品コード」、「品名」、「商品記号」、「カラー」、「サイズ」、「棚割1」、「棚割2 当週(月)」・・・「在庫数」、「売上数」、「納品数」、「消化率」、「導入日」、「在日」が記載され、「No.」の列が「866」?「869」のものは、「商品記号」が「HL9851R1」であって、「導入日」が「20160603」である。
(10)甲10
ア.「【請求項1】
酸化チタン微粒子を0?10質量%含有するポリエステル樹脂からなる仮撚中空マルチフィラメント糸」
イ.「【請求項3】
請求項1に記載の仮撚中空マルチフィラメント糸を含む織編物。」
(11)甲11
「【請求項1】中空率が5?40%の中空部が異形であるポリエステル中空糸からなる織編物であって、中空糸は外層成分が5-ナトリウムスルホイソフタル酸を1?10モル共重合したポリエステルであり、・・・内層成分がポリエステルホモポリマーからなる複合中空糸であることを特徴とするポリエステル中空糸織編物。」

2.甲1乃至甲8に基づく発明(以下、「引用発明」という。)
(1)甲8より、甲1乃至甲5に記載のデニムジーンズの構成糸は、赤外線反射材として機能する酸化チタン及び熱伝導性向上材として機能するヒスイ鉱石を含有する機能性糸であると認められる。
(2)甲6及び甲7より、甲1乃至甲5に記載のデニムジーンズは、遮熱効果があり、接触冷感を覚えることができるものであると認められる。
以上より、次の引用発明を認定することができる。
<引用発明>
「機能性糸を含むデニムジーンズであって、機能性糸は、赤外線反射材と熱伝導性向上材とを含有し、遮熱効果があり、接触冷感を覚えることができるデニムジーンズ。」

3.本件発明1
(1)対比
本件発明1と引用発明を対比すると、引用発明の「接触冷感を覚えることができるデニムジーンズ」は、本件発明1の「涼感織布」に相当するから、本件発明1と引用発明は、次の点で一致し、相違する。

<一致点>
「機能性糸を含む織布であって、機能性糸は、赤外線反射材と熱伝導性向上材とを含有する涼感織布。」

<相違点1>
涼感織布について、本件発明1は、「普通糸と機能性糸から構成される」のに対し、引用発明は、「機能性糸を含む」ものの、普通糸が含まれるのか否か不明である点。
<相違点2>
機能性糸について、本件発明1は、「中空状の合成樹脂製フィラメント」であるのに対し、引用発明は、不明である点。
<相違点3>
本件発明1は、「織布の一方の面において機能性糸が露出する面積に対して普通糸が露出する面積が大きくなるように織成」されているのに対し、引用発明は、不明である点。

(2)判断
事案に鑑み、まず<相違点3>について検討する。
いずれの証拠方法においても、「織布の一方の面において機能性糸が露出する面積に対して普通糸が露出する面積が大きくなるように織成」されている点については記載も示唆もない。
また、そのような点については、周知の技術や技術常識を示す証拠もない。
そうすると、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということができない。

4.本件発明2?5
本件発明2?5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであるから、本件発明1と同様の理由から、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということができない。

5.申立人の主張について
申立人は、「甲第4号証及び甲第5号証によれば、甲第1号証、甲第2号証のデニムジーンズに使用されている織布は、織布の一方の面において機能性糸が露出する面積に対して普通糸が露出する面積が大きくなるよう織成されている。」(申立書第18頁第2行-同頁第4行)と主張するが、甲4及び甲5を参照しても、如何なる部分が普通糸であり、如何なる部分が機能性糸であるかが判然としない上に、仮に普通糸及び機能性糸を特定できたとしても、双方の露出面積の算出及び比較をすることができるとまでは言えないから、上記申立人の主張は採用できない。

6.小括
以上のとおり、本件発明1?5は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明とはいえないから、その特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。


第5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに本件発明1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-09-14 
出願番号 特願2016-218632(P2016-218632)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (D03D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 斎藤 克也  
特許庁審判長 石井 孝明
特許庁審判官 村山 達也
久保 克彦
登録日 2020-10-08 
登録番号 特許第6775115号(P6775115)
権利者 聯潤翔(青島)紡績科技有限公司 皿海衣料株式会社
発明の名称 涼感織布及びそれを使用して構成される布製品  
代理人 西川 孝  
代理人 西川 孝  
代理人 末次 渉  
代理人 木村 満  
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