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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C07K 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する C07K 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する C07K 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C07K 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C07K |
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管理番号 | 1378093 |
審判番号 | 訂正2021-390075 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-05-14 |
確定日 | 2021-07-27 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6393270号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6393270号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔17-22、27-36、66-68〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6393270号は、平成25年11月21日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2012年11月21日 米国、2012年11月21日 米国、2012年11月21日 米国、2013年 3月14日 米国、2013年 4月 8日 米国)として出願され、その請求項1?68に係る発明について平成30年 8月31日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和 3年 5月14日に本件の訂正審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 本件審判の請求の趣旨は、特許第6393270号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、請求項17?22、27?36及び66?68について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 そして、本件審判の請求による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、以下の訂正事項1のとおりである。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項17に「二重特異性分子。」と記載されているのを、 「二重特異性分子であって、 配列番号108のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組合せを含む二重特異性分子、および 配列番号135のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組合せを含む二重特異性分子、 を除く、 二重特異性分子。」 に訂正する。 (請求項17を直接若しくは間接に引用する請求項18?22、27?36及び66?68も同様に訂正する。) 第3 当審の判断 1 訂正の目的について 本件訂正前の請求項17は、 「【請求項17】 前記リンカーは、配列番号78?84又は224のうちの1つに示されるアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の二重特異性分子。」であり、 この請求項が引用する請求項16は、 「【請求項16】 前記第1のFN3ドメイン及び前記第2のFN3ドメインは、リンカーによって連結される、請求項1?15のいずれか一項に記載の二重特異性分子。」であり、 また、この請求項16が引用する請求項1?15には、これらの第1のFN3ドメイン、第2のFN3ドメインが、種々の配列番号のアミノ酸配列を含むドメインであることが記載されている。 例えば請求項12には、 第1のFN3ドメインとして、配列番号18?29、107?110、122?137、又は194?211を含むものが、また、第2のFN3ドメインとして、配列番号32?49、111?114、又は212?223を含むものが、それぞれ採り得るFN3ドメインとして記載がなされているところ、本件訂正事項1は、 この請求項12にも挙げられているFN3ドメインの組み合わせのうちから、 「配列番号108のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組み合わせを含む二重特異性分子」と、 「配列番号135のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組み合わせを含む二重特異性分子」、 を除く訂正を行うことを目的とするものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 すなわち、訂正後の請求項17は、訂正前の請求項17に含まれる二重特異性分子から、二種類の二重特異性分子を削除するものであって、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 請求項17を引用する訂正後の請求項18?22、27?36及び66?68についても同様である。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 2 願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲である本件訂正前の請求項17に含まれる二重特異性分子から、 「配列番号108のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組み合わせを含む二重特異性分子」と、 「配列番号135のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組み合わせを含む二重特異性分子」 を削除するだけのものであるから、この訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 請求項17を引用する訂正後の請求項18?22、27?36及び66?68についても同様である。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上述のとおり、訂正事項1は、本件訂正前の請求項17に含まれる二重特異性分子から、上記の 「配列番号108のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組み合わせを含む二重特異性分子」と、 「配列番号135のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組み合わせを含む二重特異性分子」 を削除するものであり、この訂正は、訂正前の請求項17に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項17に記載された発明の対象や目的を変更するものでもない。 請求項17を引用する訂正後の請求項18?22、27?36及び66?68についても同様である。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。 4 独立特許要件 訂正事項1は、本件訂正前の請求項17に含まれる二重特異性分子から、 「配列番号108のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組み合わせを含む二重特異性分子」と、 「配列番号135のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組み合わせを含む二重特異性分子」 を削除するだけのものであり、訂正後の請求項17に記載の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出せない。 請求項17を引用する訂正後の請求項18?22、27?36及び66?68についても同様である。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 第1のフィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン及び第2のFN3ドメインを含む単離二重特異性FN3ドメイン含有分子であって、 前記第1のFN3ドメインは、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むものであり、 前記第2のFN3ドメインは、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むものであり、 前記第1のFN3ドメインは、上皮成長因子受容体(EGFR)と特異的に結合し、上皮成長因子(EGF)とEGFRとの結合をブロッキングし、該第2のFN3ドメインは、肝細胞増殖因子受容体(c-Met)と特異的に結合し、肝細胞増殖因子(HGF)とc-Metとの結合をブロッキングする、単離二重特異性FN3ドメイン含有分子。 【請求項2】 請求項1に記載の二重特異性分子であって、 a)前記第1のFN3ドメインは、50ng/mLのヒトEGFを用いて、A431細胞において測定したとき、2.5×10^(-6)M未満のIC_(50)値にて、EGFR残基チロシン1173におけるEGF誘発性のEGFRリン酸化を阻害し、前記第2のFN3ドメインは、100ng/mLのヒトHGFを用いて、NCI-H441細胞において測定したとき、1.5×10^(-6)M未満のIC_(50)値にて、c-Met残基チロシン1349におけるHGF誘発性のc-Metリン酸化を阻害するか、 b)前記第1のFN3ドメインは、50ng/mLのヒトEGFを用いて、A431細胞において測定したとき、1.8×10^(-8)M?2.5×10^(-6)MのIC_(50)値にて、EGFR残基チロシン1173におけるEGF誘発性のEGFRリン酸化を阻害し、前記第2のFN3ドメインは、100ng/mLのヒトHGFを用いて、NCI-H441細胞において測定したとき、4×10^(-9)M?1.5×10^(-6)MのIC_(50)値にて、c-Met残基チロシン1349におけるHGF誘発性のc-Metリン酸化を阻害するか、 c)前記第1のFN3ドメインは、ヒトEGFRと、1×10^(-8)M未満の解離定数(K_(D))にて結合し、前記第2のFN3ドメインは、ヒトc-Metと、5×10^(-8)M未満のK_(D)にて結合し、該K_(D)は表面プラズモン共鳴を用いて測定されるか、又は d)前記第1のFN3ドメインは、ヒトEGFRと、2×10^(-10)?1×10^(-8)MのK_(D)にて結合し、前記第2のFN3ドメインは、ヒトc-Metと、3×10^(-10)?5x10^(-8)MのK_(D)にて結合し、該K_(D)は表面プラズモン共鳴を用いて測定される、二重特異性分子。 【請求項3】 前記二重特異性分子は、前記第1のFN3ドメイン及び前記第2のFN3ドメインの混合物によるNCI-H292細胞増殖阻害のIC_(50)値と比較した場合、少なくとも30倍小さいIC_(50)値にて、NCI-H292細胞の増殖を阻害し、該細胞増殖は、7.5ng/mLのHGFを含有する10% FBSによって誘発される、請求項1又は2に記載の二重特異性分子。 【請求項4】 請求項1?3のいずれか一項に記載の二重特異性分子であって、前記二重特異性分子は、 a)50ng/mLのヒトEGFを用いて、NCI-H292細胞において測定したとき、8×10^(-7)M未満のIC_(50)値にて、EGFR残基チロシン1173におけるEGF誘発性のEGFRリン酸化を阻害するか、 b)100ng/mLのヒトHGFを用いて、NCI-H441細胞において測定したとき、8.4×10^(-7)M未満のIC_(50)値にて、c-Met残基チロシン1349におけるHGF誘発性のc-Metリン酸化を阻害するか、 c)9.5×10^(-6)M未満のIC_(50)値にて、HGF誘発性NCI-H292細胞増殖を阻害し、該細胞増殖は、7.5ngのHGFを含有する10% FBSによって誘発されるか、 d)2.0×10^(-8)M未満のK_(D)にてEGFRに結合するか、又は e)2.0×10^(-8)M未満のK_(D)にてc-Metに結合し、該K_(D)は表面プラズモン共鳴を用いて測定される、二重特異性分子。 【請求項5】 前記第1のFN3ドメインは、配列番号107又は108のアミノ酸配列を含み、前記第2のFN3ドメインは、配列番号114のアミノ酸配列を含む、請求項1?4のいずれか一項に記載の二重特異性分子。 【請求項6】 前記第1のFN3ドメインは、P54AR4-83v2(配列番号27)の残基D23、F27、Y28、V77及びG85に対応する1つ以上のアミノ酸残基により、EGFRに結合する、請求項1?5のいずれか一項に記載の二重特異性分子。 【請求項7】 前記第2のFN3ドメインは、P114AR7P95-A3(配列番号41)の残基R34、F38、M72及びI79に対応する1つ以上のアミノ酸残基により、c-Metと結合する、請求項6に記載の二重特異性分子。 【請求項8】 請求項1?7のいずれか一項に記載の二重特異性分子であって、 a)前記第1のFN3ドメインは、 i)配列番号179のアミノ酸配列又は配列番号180のアミノ酸配列を含むFGループと、 ii)配列番号181のアミノ酸配列を含むBCループと、を含み、 b)前記第2のFN3ドメインは、 i)配列番号184のアミノ酸配列を含むCストランド及びCDループと、 ii)配列番号185のアミノ酸配列を含むFストランド及びFGループと、を含む、二重特異性分子。 【請求項9】 請求項1?8のいずれか一項に記載の二重特異性分子であって、 a)前記第1のFN3ドメインは、配列番号182のアミノ酸配列又は配列番号183のアミノ酸配列を含み、 b)前記第2のFN3ドメインは、配列番号186のアミノ酸配列を含む、二重特異性分子。 【請求項10】 前記第1のFN3ドメイン及び/又は前記第2のFN3ドメインは、Tencon(配列番号1)の11、14、17、37、46、73及び86位に対応する1つ以上の残基位置で置換を含む、請求項1?9のいずれか一項に記載の二重特異性分子。 【請求項11】 前記第1のFN3ドメインは、配列番号187のアミノ酸配列を含み、前記第2のFN3ドメインは、配列番号188のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の二重特異性分子。 【請求項12】 前記第1のFN3ドメインは、配列番号18?29、107?110、122?137、又は194?211のうちの1つに示される配列を含み、前記第2のFN3ドメインは、配列番号32?49、111?114、又は212?223のうちの1つに示される配列を含む、請求項1?11のいずれか一項に記載の二重特異性分子。 【請求項13】 前記第1のFN3ドメイン及び前記第2のFN3ドメインは、 a)それぞれ、27及び32、 b)それぞれ、27及び41、 c)それぞれ、27及び40、 d)それぞれ、27及び33、 e)それぞれ、107及び41、 f)それぞれ、107及び40、 g)それぞれ、107及び33、 h)それぞれ、107及び32、 i)それぞれ、107及び114、 j)それぞれ、108及び111、 k)それぞれ、108及び112、 l)それぞれ、108及び113、 m)それぞれ、108及び114、 n)それぞれ、109及び111、 o)それぞれ、109及び112、 p)それぞれ、109及び113、 q)それぞれ、109及び114、 r)それぞれ、110及び111、 s)それぞれ、110及び112、 t)それぞれ、110及び113、又は u)それぞれ、110及び114、の配列番号のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の二重特異性分子。 【請求項14】 前記第1のFN3ドメイン及び/又は前記第2のFN3ドメインは、Tencon(配列番号1)の置換L17A、N46V及びE86Iに対応する1つ以上の置換を含む、請求項13に記載の二重特異性分子。 【請求項15】 前記第1のFN3ドメイン及び/又は前記第2のFN3ドメインは、配列番号1のTencon配列に基づいて設計されたライブラリから単離される、請求項1?14のいずれか一項に記載の二重特異性分子。 【請求項16】 前記第1のFN3ドメイン及び前記第2のFN3ドメインは、リンカーによって連結される、請求項1?15のいずれか一項に記載の二重特異性分子。 【請求項17】 前記リンカーは、配列番号78?84又は224のうちの1つに示されるアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の二重特異性分子であって、 配列番号108のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組合せを含む二重特異性分子、および 配列番号135のアミノ酸配列を含む前記第1のFN3ドメインと、配列番号111のアミノ酸配列を含む前記第2のFN3ドメインとの組合せを含む二重特異性分子、 を除く、 二重特異性分子。 【請求項18】 配列番号50?72、106、118?121、138?165又は190?193で示すアミノ酸配列を含み、任意選択的に、前記分子のN末端に連結されるメチオニン(Met)を含む、請求項1?17のいずれか一項に記載の二重特異性分子。 【請求項19】 前記分子のC末端に連結されるシステインを更に含む、請求項18に記載の二重特異性分子。 【請求項20】 半減期延長部分に連結される、請求項1?19のいずれか一項に記載の二重特異性分子。 【請求項21】 前記半減期延長部分が、アルブミン結合分子、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン、アルブミン変異体、又は免疫グロブリンのFc領域の少なくとも一部である、請求項20に記載の二重特異性分子。 【請求項22】 前記半減期延長部分は、配列番号189の前記アルブミン変異体である、請求項21に記載の二重特異性分子。 【請求項23】 請求項1に記載の二重特異性分子をコードする、単離ポリヌクレオチド。 【請求項24】 請求項23に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。 【請求項25】 請求項24に記載のベクターを含む、単離宿主細胞。 【請求項26】 二重特異性分子を作製する方法であって、請求項25に記載の単離宿主細胞を、該二重特異性分子が発現するような条件下で培養することと、該二重特異性分子を精製することと、を含む、方法。 【請求項27】 請求項1?22のいずれか一項に記載の二重特異性分子と、製薬上許容できる担体と、を含む医薬組成物。 【請求項28】 癌の治療を行うために十分な時間にわたって、治療的に有効な量の前記二重特異性分子を、その必要のある患者に投与することを含む治療であって、癌を有する被験体の治療のために使用される、請求項27に記載の医薬組成物。 【請求項29】 癌は、EGFR活性化突然変異、EGFR遺伝子増幅、c-Met活性化突然変異又はc-Met遺伝子増幅と関連がある、請求項28に記載の医薬組成物。 【請求項30】 前記EGFR活性化突然変異は、G719A、G719X(Xは、任意のアミノ酸)、L861X(Xは、任意のアミノ酸)、L858R、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、L858P又はT790Mの置換、E746?A750の欠失、R748?P753の欠失、M766?A767間のAla(A)の挿入、S768?V769間のSer、Val及びAla(SVA)の挿入、並びにP772?H773間のAsn及びSer(NS)の挿入である、請求項29に記載の医薬組成物。 【請求項31】 前記被験体は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、CO-1686、AZD9192又はセツキシマブによる治療に対して、耐性を示すか、又は耐性を得ている、請求項28に記載の医薬組成物。 【請求項32】 癌は、上皮細胞癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、非小細胞性肺癌(NSCLC)、肺腺癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、肛門癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頚部癌、咽頭癌、鼻腔癌、膵癌、皮膚癌、口腔癌、舌癌、食道癌、膣癌、子宮頸癌、脾臓癌、精巣癌、胃癌、胸腺癌、大腸癌、甲状腺癌、肝癌、肝細胞癌(HCC)、散発性又は遺伝乳頭状腎細胞癌(PRCC)である、請求項28に記載の医薬組成物。 【請求項33】 前記治療がさらに第2の治療薬を投与することを含む、請求項28に記載の医薬組成物。 【請求項34】 前記第2の治療薬は、化学療法剤又は標的抗癌治療剤である、請求項33に記載の医薬組成物。 【請求項35】 前記第2の治療薬は、シスプラチン、ビンブラスチン、EGFR、c-Met、HER2、HER3、HER4若しくはVEGFRのチロシンキナーゼ阻害物質、エルロチニブ、ゲフィチニブ又はアファチニブである、請求項34に記載の医薬組成物。 【請求項36】 前記第2の治療薬は、前記二重特異性分子と同時に、逐次的に又は別途に投与される、請求項33に記載の医薬組成物。 【請求項37】 配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、上皮成長因子受容体(EGFR)と特異的に結合し、上皮成長因子(EGF)とEGFRとの結合をブロッキングする、単離フィブロネクチンIII型(FN3)ドメインであって、該FN3ドメインは、配列番号1のTenconアミノ酸配列に基づいて設計されたライブラリから単離される、FN3ドメイン。 【請求項38】 請求項37に記載のFN3ドメインであって、前記FN3ドメインは、 a)50ng/mLのヒトEGFを用いて、A431細胞において測定したとき、2.5×10^(-6)M未満のIC_(50)値にて、EGFR残基チロシン1173におけるEGF誘発性のEGFRリン酸化を阻害するか、 b)50ng/mLのヒトEGFを用いて、A431細胞において測定したとき、1.8×10^(-8)M?2.5×10^(-6)MのIC_(50)値にて、EGFR残基チロシン1173におけるEGF誘発性のEGFRリン酸化を阻害するか、 c)1×10^(-8)M未満の解離定数(K_(D))にて、ヒトEGFRに結合するか、又は d)2×10^(-10)?1×10^(-8)MのK_(D)にて、ヒトEGFRに結合し、該K_(D)は表面プラズモン共鳴を用いて測定される、FN3ドメイン。 【請求項39】 前記FN3ドメインは、P54AR4-83v2(配列番号27)の残基D23、F27、Y28、V77及びG85に対応する1つ以上のアミノ酸残基により、EGFRに結合する、請求項37又は38に記載のFN3ドメイン。 【請求項40】 請求項37?39のいずれか一項に記載のFN3ドメインであって、前記FN3ドメインは、 a)配列番号179のアミノ酸配列又は配列番号180のアミノ酸配列を含むFGループと、 b)配列番号181のアミノ酸配列を含むBCループと、を含む、FN3ドメイン。 【請求項41】 配列番号182のアミノ酸配列又は配列番号183のアミノ酸配列を含む、請求項40に記載のFN3ドメイン。 【請求項42】 前記FN3ドメインは、配列番号18?29、107?110、122?137又は194?211のうちの1つに示される配列を含む、請求項37?41のいずれか一項に記載のFN3ドメイン。 【請求項43】 前記FN3ドメインは、Tencon(配列番号1)の11、14、17、37、46、73及び86位に対応する1つ以上の残基位置で置換を含む、請求項42に記載のFN3ドメイン。 【請求項44】 前記FN3ドメインは、配列番号1のTenconアミノ酸配列の置換L17A、N46V及びE86Iに対応する1つ以上の置換を含む、請求項43に記載のFN3ドメイン。 【請求項45】 請求項37に記載のFN3ドメインをコードする、単離ポリヌクレオチド。 【請求項46】 請求項45に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。 【請求項47】 請求項46に記載のベクターを含む、単離宿主細胞。 【請求項48】 EGFRと特異的に結合するFN3ドメインを作製する方法であって、請求項46に記載の単離宿主細胞を、EGFRと特異的に結合する該FN3ドメインが発現するような条件下で培養することと、該FN3ドメインを精製することと、を含む、方法。 【請求項49】 配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、肝細胞増殖因子受容体(c-Met)と特異的に結合し、肝細胞増殖因子(HGF)とc-Metとの結合をブロッキングする、単離フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン。 【請求項50】 請求項49に記載のFN3ドメインであって、前記FN3ドメインは、 a)100ng/mLの組換え型ヒトHGFを用いて、NCI-H441細胞において測定したとき、1.5×10^(-6)M未満のIC_(50)値にて、c-Met残基チロシン1349におけるHGF誘発性のc-Metリン酸化を阻害するか、 b)100ng/mLの組換え型ヒトHGFを用いて、NCI-H441細胞において測定したとき、4×10^(-9)M?1.5×10^(-6)MのIC_(50)値にて、c-Met残基チロシン1349におけるHGF誘発性のc-Metリン酸化を阻害するか、 c)5×10^(-8)M未満のK_(D)にて、ヒトc-Metに結合するか、又は d)3×10^(-10)?5×10^(-8)MのK_(D)にて、ヒトc-Metに結合し、該K_(D)は表面プラズモン共鳴を用いて測定される、FN3ドメイン。 【請求項51】 前記FN3ドメインは、P114AR7P95-A3(配列番号41)の残基R34、F38、M72及びI79に対応する1つ以上のアミノ酸残基により、c-Metに結合する、請求項49又は50に記載のFN3ドメイン。 【請求項52】 請求項49?51のいずれか一項に記載のFN3ドメインであって、前記FN3ドメインは、 a)配列番号184のアミノ酸配列を含むCストランド及びCDループと、 b)配列番号185のアミノ酸配列を含むFストランド及びFGループと、を含む、FN3ドメイン。 【請求項53】 配列番号186のアミノ酸配列を含む、請求項52に記載のFN3ドメイン。 【請求項54】 前記FN3ドメインは、配列番号32?49、111?114、又は212?223のうちの1つに示される配列を含む、請求項49?53のいずれか一項に記載のFN3ドメイン。 【請求項55】 前記FN3ドメインは、配列番号1のTenconアミノ酸配列の11、14、17、37、46、73及び86位に対応する1つ以上の残基位置で置換を含む、請求項54に記載のFN3ドメイン。 【請求項56】 前記FN3ドメインは、配列番号1のTenconアミノ酸配列の置換L17A、N46V及びE86Iに対応する1つ以上の置換を含む、請求項55に記載のFN3ドメイン。 【請求項57】 前記FN3ドメインは、配列番号1のTenconアミノ酸配列に基づいて設計されたライブラリから単離される、請求項49?56のいずれか一項に記載のFN3ドメイン。 【請求項58】 請求項49に記載のFN3ドメインをコードする、単離ポリヌクレオチド。 【請求項59】 請求項58に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。 【請求項60】 請求項59に記載のベクターを含む、単離宿主細胞。 【請求項61】 c-Metと特異的に結合するFN3ドメインを作製する方法であって、請求項60に記載の単離宿主細胞を、c-Metと特異的に結合する該FN3ドメインが発現するような条件下で培養することと、c-Metと特異的に結合する該FN3ドメインを精製することと、を含む、方法。 【請求項62】 請求項37又は49に記載のFN3ドメインと、製薬上許容できる担体と、を含む医薬組成物。 【請求項63】 癌の治療を行うために十分な時間にわたって、治療的に有効な量の請求項62に記載の医薬組成物を、その必要のある患者に投与することを含む治療であって、癌を有する被験体の治療のために使用される、請求項62に記載の医薬組成物。 【請求項64】 前記被験体は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、CO-1686、AZD9192又はセツキシマブによる治療に対して、耐性を示すか、又は耐性を得ている、請求項63に記載の医薬組成物。 【請求項65】 癌は、上皮細胞癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、非小細胞性肺癌(NSCLC)、肺腺癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、肛門癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頚部癌、咽頭癌、鼻腔癌、膵癌、皮膚癌、口腔癌、舌癌、食道癌、膣癌、子宮頸癌、脾臓癌、精巣癌、胃癌、胸腺癌、大腸癌、甲状腺癌、肝癌、肝細胞癌(HCC)、散発性又は遺伝乳頭状腎細胞癌(PRCC)である、請求項63に記載の医薬組成物。 【請求項66】 請求項1?32のいずれか一項に記載の二重特異性FN3ドメイン含有分子、 請求項37?44のいずれか一項に記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する単離フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン、又は、 請求項49?57のいずれか一項に記載の肝細胞増殖因子受容体(c-Met)と特異的に結合する、単離フィブロネクチンIII型(FN3)ドメインの、癌に対する医薬組成物の製造ための使用。 【請求項67】 請求項1?32のいずれか一項に記載の二重特異性FN3ドメイン含有分子、 請求項37?44のいずれか一項に記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する単離フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン、又は、 請求項49?57のいずれか一項に記載の肝細胞増殖因子受容体(c-Met)と特異的に結合する、単離フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン を含む、癌の治療に使用するための医薬組成物。 【請求項68】 請求項1?22のいずれか一項に記載の二重特異性FN3ドメイン含有分子、または 請求項37?44のいずれか一項に記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する単離フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン を含む、癌の治療に使用するための医薬組成物であって、 前記癌は、上皮細胞癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、非小細胞性肺癌(NSCLC)、肺腺癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、肛門癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頚部癌、咽頭癌、鼻腔癌、膵癌、皮膚癌、口腔癌、舌癌、食道癌、膣癌、子宮頸癌、脾臓癌、精巣癌、胃癌、胸腺癌、大腸癌、甲状腺癌、肝癌、肝細胞癌(HCC)、散発性又は遺伝乳頭状腎細胞癌(PRCC)である、医薬組成物。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-06-24 |
結審通知日 | 2021-06-29 |
審決日 | 2021-07-15 |
出願番号 | 特願2015-544132(P2015-544132) |
審決分類 |
P
1
41・
841-
Y
(C07K)
P 1 41・ 855- Y (C07K) P 1 41・ 854- Y (C07K) P 1 41・ 856- Y (C07K) P 1 41・ 851- Y (C07K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田ノ上 拓自 |
特許庁審判長 |
長井 啓子 |
特許庁審判官 |
田村 聖子 安居 拓哉 |
登録日 | 2018-08-31 |
登録番号 | 特許第6393270号(P6393270) |
発明の名称 | EGFR及びC-METフィブロネクチンIII型ドメイン結合分子 |
代理人 | 小林 純子 |
代理人 | 小林 純子 |
代理人 | 小林 浩 |
代理人 | 小林 浩 |