ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する A47L 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A47L 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する A47L 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する A47L |
---|---|
管理番号 | 1378106 |
審判番号 | 訂正2021-390058 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-04-01 |
確定日 | 2021-08-16 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5291827号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5291827号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第5291827号の請求項1ないし2に係る発明についての出願は、平成20年10月23日に出願した特願2008-272924号の一部を、平成22年10月15日に特願2010-232634号として出願し、更にその一部を平成23年12月27日に特願2011-285808号として出願し、更にその一部を平成24年5月11日に特願2012-109639号として出願し、更にその一部を平成24年6月25日に特願2012-141902号として出願し、更にその一部を平成24年10月29日に特願2012-237359号として出願したものであって、平成25年6月14日に特許権の設定登録がされた。 そして、令和3年4月2日に本件訂正審判の請求がされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許5291827号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正(以下、「本件訂正」という。)することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 1.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」と記載されているのを、「塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれる導入口」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 2.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「掃除機本体の垂直方向」と記載されているのを、「前記掃除機本体の垂直方向」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。 第4 当審の判断(以下、下線は当審で付与した。) 1.訂正事項1について (1)訂正の目的について 本件訂正前の請求項1における「旋回気流を導入する導入口」との記載は、当該導入口が、すでに旋回している気流を導入するものなのか、それとも旋回気流となる空気を導入するものなのか明瞭ではない記載であった。 しかし、訂正事項1により「塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれる導入口」と訂正することにより、旋回気流となる空気を導入するものであることが明確となり、記載が明瞭でないことが解消される。したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないか否かを検討するにあたり、本件訂正前の請求項1における「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」との記載の技術上の意味について検討する。 本件訂正前の請求項1における「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」との記載、及び、「前記集塵容器は、遠心力で塵埃を分離する分離部・・を有し」との記載から、「導入口」に入る旋回気流は塵埃を含んでおり、「分離部」において塵埃が分離されることが分かるから、「導入口」は「分離部」よりも上流側に位置するものである。 また、サイクロン式の電気掃除機において、外部から導入される空気が、塵埃の遠心分離を行う集塵容器内の分離部で旋回気流となることは技術常識である。 そうすると、本件訂正前の請求項1における「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」との記載において、当該導入口は、塵埃を含む空気が旋回気流となる集塵容器より上流側に位置することから、「塵埃を含む旋回気流を導入する」とは、塵埃を含む空気であって、集塵容器において旋回気流となる空気を導入するものであると理解できる。 また、本件訂正前の請求項1には、「前記掃除機本体に設けられ吸気された空気を機外へと排気するための電動送風機」と記載されていることから、電動送風機によって空気は吸気されて排気されるものであり、導入口から空気が吸い込まれることをふまえると、本件訂正前の「導入する」とは吸い込まれることであると理解できる。 そうすると、本件訂正前の請求項1の記載全体を総合すれば、本件訂正前の請求項1における「塵埃を含む旋回気流を導入する」ことは、もともと塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれることを意味していたことは明らかであるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(2)で検討したとおり、本件訂正前の請求項1の記載全体を総合すれば、本件訂正前の請求項1における「塵埃を含む旋回気流を導入する導入口」は、もともと塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれる導入口を意味していたことは明らかであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)独立特許要件について 訂正事項1は、上記(1)で検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 2.訂正事項2について (1)訂正の目的について 本件訂正前の請求項1には「掃除機本体」に関して、「掃除機本体に着脱可能」、「前記掃除機本体に設けられ」、「前記掃除機本体に装着した」、「掃除機本体の垂直方向」との記載があり、同じ「掃除機本体」という用語に「前記」が付されている場合と付されていない場合が混在しているため、本件訂正前の請求項1における「掃除機本体」が全て同一のものを意味しているのか否か判別できず、本件訂正前の請求項1の記載は明瞭でない記載であった。 訂正事項2により、本件訂正前の請求項1に記載されている「掃除機本体の垂直方向」を、「前記掃除機本体の垂直方向」と訂正することで、請求項1における「掃除機本体」が全て同一のものであることが明確となり、記載が明瞭でないことが解消される。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 本件訂正前の請求項1には、「掃除機本体」との用語が複数あるが、本件訂正前の請求項1の記載全体を総合すると、これらの「掃除機本体」が全て同一のものを意味していることは明らかである。そうすると、「掃除機本体」を「前記掃除機本体」とする訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記(2)で検討したとおり、本件訂正前の請求項1の記載全体を総合すると、本件訂正前の請求項1における「掃除機本体」が全て同一のものを意味していることは明らかであるから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (4)独立特許要件について 訂正事項2は、上記(1)で検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3.一群の請求項ごとに訂正を請求することについて 本件訂正前の請求項2は、訂正前の請求項1を引用したものであるから、訂正前の請求項1及び請求項2は、特許法施行規則第45条の4に規定する関係を有する一群の請求項を構成する。そして、本件審判請求は、訂正事項1及び訂正事項2により、訂正前の請求項1及び請求項2の記載を訂正しようとするものであり、一群の請求項1及び請求項2に対して請求されている。 したがって、本件訂正審判の請求は特許法第126条第3項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 塵埃を含む旋回気流となる空気が吸い込まれる導入口を有し、旋回気流により塵埃を集塵する集塵容器、前記集塵容器から排気するための内筒排気口が形成された内筒、及び前記内筒排気口から排気される空気の出口となる開口を有し掃除機本体に着脱可能なサイクロン集塵装置、前記掃除機本体に設けられ吸気された空気を機外へと排気するための電動送風機を、備えた電気掃除機において、 前記集塵容器は、遠心力で塵埃を分離する分離部、分離した塵埃を収容する集塵部、該集塵部の底部より突出し前記内筒の下部に挿入される突出部、及び該突出部の外周に設けられ隙間を埋めるシール部材を有し、 前記サイクロン集塵装置は、前記掃除機本体に装着したときに、前記集塵容器を含めた前記サイクロン集塵装置の軸を、前記掃除機本体の垂直方向に対して前記電動送風機側に斜めに配置させることを特徴とする電気掃除機。 【請求項2】 前記開口から前記電動送風機に空気を導くダクト部を前記掃除機本体に設け、 前記開口と前記ダクト部との気密を保つパッキン部を、さらに備えた請求項1に記載の電気掃除機。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-06-30 |
結審通知日 | 2021-07-06 |
審決日 | 2021-08-04 |
出願番号 | 特願2012-237359(P2012-237359) |
審決分類 |
P
1
41・
841-
Y
(A47L)
P 1 41・ 853- Y (A47L) P 1 41・ 855- Y (A47L) P 1 41・ 854- Y (A47L) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
小川 恭司 |
特許庁審判官 |
佐々木 芳枝 神山 貴行 |
登録日 | 2013-06-14 |
登録番号 | 特許第5291827号(P5291827) |
発明の名称 | 電気掃除機 |
代理人 | 井上 知哉 |
代理人 | 井上 知哉 |