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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1378170
審判番号 不服2020-12496  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-09-07 
確定日 2021-10-05 
事件の表示 特願2017- 32624「特定装置、特定方法、及び特定プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月30日出願公開、特開2018-136881、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月23日の出願であって、令和2年2月25日付けで拒絶理由通知がなされ、同年4月10日に手続補正がなされたが、同年6月4日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年9月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年6月4日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-9に係る発明は、引用文献1-2に記載された発明に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができない。
引用文献1:特表2015-537294号公報
引用文献2:特開2014-102799号公報

第3 審判請求時の補正(以下、「本件補正」という。)について
1 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。また、請求項8、9についても、請求項1に対応する補正がなされた。
「【請求項1】
複数のデータ群間における依存関係を示すリネージ情報を取得する取得部と、
一のデータ群に障害が発生した場合、前記取得部により取得された前記リネージ情報に基づいて、前記一のデータ群における障害により影響を受ける他のデータ群を特定する特定部と、
前記一のデータ群に対して前記他のデータ群がデータの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミングで、前記他のデータ群を管理する管理者装置へ前記一のデータ群の障害を示す障害情報を送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする特定装置。」

2 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
複数のデータ群間における依存関係を示すリネージ情報を取得する取得部と、
一のデータ群に障害が発生した場合、前記取得部により取得された前記リネージ情報に基づいて、前記一のデータ群における障害により影響を受ける他のデータ群を特定する特定部と、
前記一のデータ群と前記他のデータ群との関係に基づくタイミングで、前記他のデータ群を管理する管理者装置へ情報を送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする特定装置。」

3 補正の適否
上記補正の、「タイミング」について、「データの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミング」とする事項、及び、管理装置へ送信される「情報」について、「前記一のデータ群の障害を示す障害情報」とする事項は、当初明細書の【0037】?【0044】に記載されているから、それぞれの事項は、新規事項を追加するものではない。
そして、上記補正は、補正前の請求項1、8、9に記載された発明を特定するために必要な事項について、上記「1」のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1、8、9に記載された発明と補正後の請求項1、8、9に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、本件補正後の請求項1?9に記載される発明は、特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1?9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明9」という。)は、令和2年9月7日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるものであり、本願発明1は以下のとおりのものである。

<本願発明1>
「【請求項1】
複数のデータ群間における依存関係を示すリネージ情報を取得する取得部と、
一のデータ群に障害が発生した場合、前記取得部により取得された前記リネージ情報に基づいて、前記一のデータ群における障害により影響を受ける他のデータ群を特定する特定部と、
前記一のデータ群に対して前記他のデータ群がデータの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミングで、前記他のデータ群を管理する管理者装置へ前記一のデータ群の障害を示す障害情報を送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする特定装置。」

なお、本願発明2?9の概要は以下のとおりである。
本願発明2?7は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明8は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明9は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の各部に対応する手順を、コンピュータに実行させるプログラムとした発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特表2015-537294号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)。
ア 「【0007】
詳細な説明
1つの実施形態では、データウェアハウス内に格納することができる1組のデータに対して施される1つ以上の変換の道筋を通したータ系統追跡を提供することができるシステムが提供され、1組のデータは1つ以上のテーブル内に格納され、各々のテーブルは1つ以上のデータ記録を含む。「変換」または「データ変換」は、第1の形式の1つ以上のデータ記録を第2の形式の1つ以上のデータ記録に転換することであり、データ記録は1つ以上のデータ値を含むことができる。所与の目標データ要素について、システムは、目標データ要素を発生した1組のソースデータ要素および1組のソースデータ要素から目標データ要素への経路を同定することができ、「データ要素」は、データ記録の列の中に格納されるデータ値を含む。同様に、所与のソースデータ要素について、システムは、ソースデータ要素から導出される正確な組の目標データ要素およびソースデータ要素から目標データ要素の各々への経路を同定することができる。(略)」
イ 「【0008】
当該実施形態に従うと、ソースデータ要素から目標データ要素へおよびその逆にデータ系統を追跡するために、システムは、各々の変換毎に以下のデータ系統追跡情報を格納することができる:すなわち、(a)1つ以上のソーステーブル定義中の1つ以上の列から、変換によって行なわれるデータ再編成に関するメタデータ情報である「列マッピングデータ」として同定される変換の目標テーブル中の各々の列への1つ以上のメタデータマッピング;(b)1つ以上のソーステーブル中の1つ以上の実際のデータ記録から、「記録マッピングデータ」と同定される変換の実行によってポピュレートされる目標テーブル中の各々の実際のデータ記録への1つ以上のマッピング;および(c)変換の種類などの、変換に特定的な付加的なデータ系統追跡情報、である。(略)」
ウ 「【0010】
当該実施形態に従うと、「関連オブジェクト」は、データウェアハウス内に格納されるデータ要素と関連付けられる任意の関連情報(すなわち、関連オブジェクトが関連付けられているデータ要素、または既にデータ系統によって関連付けられているデータウェアハウス中の任意の他のデータ要素以外の任意の情報)であることができる。関連オブジェクトの一種が演算オブジェクトである。1つ以上の関連オブジェクトを「関連情報」としても同定することができる。関連オブジェクトの例が「不一致」である。「不一致」は、データ要素の1つ以上の特性が予測される特性から乖離していることの指標である。そのような乖離は、1つ以上のデータ駆動規則に基づいて人が検出するかまたは機械が検出することができる。さらに、システムのユーザが手動で不一致を作成することができるか、または、データの確認の結果、たとえば、システムが自動的に作成することができる。不一致の例はエラー報告である。(略)」
エ 「【0011】
当該実施形態に従うと、システムは、関連オブジェクトと、関連オブジェクトに関連付けられるデータ要素またはデータ記録との間のリンクを格納することができる。関連オブジェクトが最初に作成されたまたは元から関連付けられていた(というのも、関連オブジェクトは先存する関連オブジェクトであることができるので)データ要素またはデータ記録を一次リンクとしてマークすることができる。システムによって生成されて、データ要素またはデータ記録の上流およびデータ要素またはデータ記録の下流の両者を含むデータ系統内の関連オブジェクトの可視性を提供するリンクを二次リンクとしてマークすることができる。このように、当該実施形態に従うと、不一致などの関連オブジェクトは、データ系統内のデータ要素またはデータ記録の上流およびデータ要素またはデータ記録の下流の両方で可視であることができる。この可視性を提供するため、システムは、(a)関連オブジェクトとデータ要素(またはデータ記録)との間の一次リンクを格納し、(b)データ要素(またはデータ記録)のソースおよび目標系統を追跡し、(c)一次データ要素
からの、ソースおよび目標追跡中の関連オブジェクトと各データ要素との間の1つ以上の二次リンクを格納し、かつ(d)関連オブジェクト可視性の表示のためのユーザインターフェイスに一次および二次リンク情報の両方を与えることができる。(略)」
オ 「【0020】
(変換実行処理240として図2に図示される)変換の実行の間、記録マッピングデータ205を1つ以上のソースサロゲートキーの中に格納することができ、1つ以上のサロゲートキーを、(図2にデータテーブル245として図示される)変換の1つ以上の目標テーブルの1つ以上の補助列の中に格納することができる。当該実施形態に従うと、記録マッピングデータ205および列マッピングデータ215と他のデータ系統追跡情報との組合せを用いて、以下にさらに詳細に記載するように、(図2に系統追跡250として図示される)ソースまたは目標データ要素のデータ系統の追跡を表示することができる。(略)」
カ 「【0029】

【0030】
当該実施形態に従うと、システムは、システムのユーザインターフェイス内に上記データを表示することができる。システムのユーザは、女性、年齢42歳、BMI値33.3である被験者1007についてソースデータを調査したいかもしれない。ユーザは、ユーザインターフェイス内で被験者1007についてのデータ値33.3を選択し、ユーザがデータ値のソースデータ系統を検討することを望んでいると示すことができる。応答して、システムは、ユーザインターフェイス内に図4のデータ系統400を表示することができ、これをさらにより詳細に説明する。」
キ 「【0035】
このように、1つの実施形態では、システムのユーザは、データブラウザを通してデータ一覧ページへ移動してユーザインターフェイス内に表示されるデータグリッド上のデータ要素を選択することができる。「データグリッド」は、データテーブルの行および列またはデータのビューを提示する表示である。データ要素を選択する際、ユーザは、選択されたデータ要素の導出元であるソースデータをユーザが見たいと示すことができる。応答して、システムは、ソースデータ要素の集合を入手して、各ソースデータ要素毎にデータモデル、テーブル、および列についての対応の情報とともにソースデータ要素値の集合を表示することができる。選択されたデータ要素についてのソースデータを構成する経路のツリーとして集合をユーザインターフェイス中に表示することができるように集合が編成されかつ集合が情報を含むことができる。好ましいソース経路を表示できるように情報を含むこともできる。」


(2)上記(1)によれば、引用文献1には、次の事項が記載されている。
ア 上記(1)アの「【0007】(中略)1つの実施形態では、データウェアハウス内に格納することができる1組のデータに対して施される1つ以上の変換の道筋を通したータ系統追跡を提供することができるシステムが提供され」との記載によれば、引用文献1には「データウェアハウス内に格納された1組のデータに対して施される1つ以上の変換の道筋を通したデータ系統追跡を提供するシステム」が記載されている。
イ 上記(1)アの『【0007】(中略)1組のデータは1つ以上のテーブル内に格納され、各々のテーブルは1つ以上のデータ記録を含む。「変換」または「データ変換」は、第1の形式の1つ以上のデータ記録を第2の形式の1つ以上のデータ記録に転換することであり、データ記録は1つ以上のデータ値を含むことができる。(中略)「データ要素」は、データ記録の列の中に格納されるデータ値を含む。』との記載によれば、引用文献1には、「1組のデータは1つ以上のテーブル内に格納され、各々のテーブルは1つ以上のデータ記録を含み、データ記録は1つ以上のデータ値を含」むこと、及び、「変換は、第1の形式の1つ以上のデータ記録を第2の形式の1つ以上のデータ記録に転換することであり、データ要素は、データ記録の列の中に格納されるデータ値であ」ることが記載されている。
ウ 上記(1)アの『【0007】(中略)所与の目標データ要素について、システムは、目標データ要素を発生した1組のソースデータ要素および1組のソースデータ要素から目標データ要素への経路を同定することができ、「データ要素」は、データ記録の列の中に格納されるデータ値を含む。同様に、所与のソースデータ要素について、システムは、ソースデータ要素から導出される正確な組の目標データ要素およびソースデータ要素から目標データ要素の各々への経路を同定することができる。』との記載によれば、ソースデータ要素は、第1の形式の1つ以上のデータ記録に含まれるデータ要素であって、変換によって、第2の形式の1つ以上のデータ記録に含まれる目標データ要素を発生させたデータ要素である。また、目標データ要素は、第2の形式の1つ以上のデータ記録に含まれるデータ要素であって、変換によって、第1の形式の1つ以上のデータ記録に含まれるソースデータ要素から導出されたデータ要素である。
また、上記(1)イの「【0008】当該実施形態に従うと、ソースデータ要素から目標データ要素へおよびその逆にデータ系統を追跡するために、システムは、各々の変換毎に以下のデータ系統追跡情報を格納することができる」との記載によれば、システムは、ソースデータ要素から、目標データ要素へ、およびその逆にデータ系統を追跡するために、各々の変換毎にデータ系統追跡情報を格納する。
よって、引用文献1には、「ソースデータ要素(変換によって目標データ要素を発生させたデータ要素)から、目標データ要素(変換によってソースデータ要素から導出されたデータ要素)へ、およびその逆にデータ系統を追跡するために、各々の変換毎にデータ系統追跡情報を格納」することが記載されているといえる。
エ 上記(1)イの『【0008】(中略)システムは、各々の変換毎に以下のデータ系統追跡情報を格納することができる:すなわち、(a)1つ以上のソーステーブル定義中の1つ以上の列から、変換によって行なわれるデータ再編成に関するメタデータ情報である「列マッピングデータ」として同定される変換の目標テーブル中の各々の列への1つ以上のメタデータマッピング;(b)1つ以上のソーステーブル中の1つ以上の実際のデータ記録から、「記録マッピングデータ」と同定される変換の実行によってポピュレートされる目標テーブル中の各々の実際のデータ記録への1つ以上のマッピング;および(c)変換の種類などの、変換に特定的な付加的なデータ系統追跡情報、である。』との記載によれば、列マッピングデータと、記録マッピングデータと、変換に特定的な付加的なデータ系統追跡情報は、データ系統追跡情報として格納されるものである。
このことを踏まえると、上記(1)オの「記録マッピングデータ205および列マッピングデータ215と他のデータ系統追跡情報との組合せを用いて、以下にさらに詳細に記載するように、(図2に系統追跡250として図示される)ソースまたは目標データ要素のデータ系統の追跡を表示すること」との記載は、データ系統追跡情報を用いて、ソースまたは目標データ要素のデータ系統を表示することといえる。
また、上記(1)カの「【0030】(中略)システムは、ユーザインターフェイス内に図4のデータ系統400を表示することができ」との記載によれば、データ系統400はユーザインターフェイス内に表示されるといえる。
よって、引用文献1には「データ系統追跡情報を用いて、ユーザインターフェイス内にソースまたは目標データ要素のデータ系統を表示」することが記載されているといえる。
オ 上記(1)ウの『【0010】(中略)関連オブジェクトの例が「不一致」である。「不一致」は、データ要素の1つ以上の特性が予測される特性から乖離していることの指標である。そのような乖離は、1つ以上のデータ駆動規則に基づいて人が検出するかまたは機械が検出することができる。さらに、システムのユーザが手動で不一致を作成することができるか、または、データの確認の結果、たとえば、システムが自動的に作成することができる』との記載、及び、上記(1)エの「【0011】(中略)システムは、関連オブジェクトと、関連オブジェクトに関連付けられるデータ要素またはデータ記録との間のリンクを格納することができる。(中略)システムは、(a)関連オブジェクトとデータ要素(またはデータ記録)との間の一次リンクを格納し、(b)データ要素(またはデータ記録)のソースおよび目標系統を追跡し、(c)一次データ要素からの、ソースおよび目標追跡中の関連オブジェクトと各データ要素との間の1つ以上の二次リンクを格納し、かつ(d)関連オブジェクト可視性の表示のためのユーザインターフェイスに一次および二次リンク情報の両方を与えることができる。」との記載によれば、引用文献1には、「データ要素の特性が予測される特性から乖離していると、不一致の関連オブジェクトを作成して、当該関連オブジェクトとデータ要素との間の一次リンクを格納し、そのデータ要素のソースおよび目標系統を追跡し、ソースおよび目標追跡中の各データ要素と関連オブジェクトとの間の二次リンクを格納し、関連オブジェクトの表示のためのユーザインターフェイスに一次および二次リンク情報の両方を与える」ことが記載されているといえる。

(3)上記(2)によると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
<引用発明>
「データウェアハウス内に格納された1組のデータに対して施される1つ以上の変換の道筋を通したデータ系統追跡を提供するシステムであって、
1組のデータは1つ以上のテーブル内に格納され、各々のテーブルは1つ以上のデータ記録を含み、データ記録は1つ以上のデータ値を含み、
変換は、第1の形式の1つ以上のデータ記録を第2の形式の1つ以上のデータ記録に転換することであり、データ要素は、データ記録の列の中に格納されるデータ値であり、
ソースデータ要素(変換によって目標データ要素を発生させたデータ要素)から、目標データ要素(変換によってソースデータ要素から導出されたデータ要素)へ、およびその逆にデータ系統を追跡するために、各々の変換毎にデータ系統追跡情報を格納し、
データ系統追跡情報を用いて、ユーザインターフェイス内にソースまたは目標データ要素のデータ系統を表示し、
データ要素の特性が予測される特性から乖離していると、不一致の関連オブジェクトを作成して、当該関連オブジェクトとデータ要素との間の一次リンクを格納し、そのデータ要素のソースおよび目標系統を追跡し、ソースおよび目標追跡中の各データ要素と関連オブジェクトとの間の二次リンクを格納し、関連オブジェクトの表示のためのユーザインターフェイスに一次および二次リンク情報の両方を与える、
システム。」

2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2014-102799号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。)
ア 「【0001】
本発明は、登録されたメンバーから測定データを収集、提供するデータ受配信システム及び前記データ受配信システムを利用したソーシャル・ネットワーキング・サービスに関する。」
イ 「【0019】
また、本発明の一実施形態に係るデータ受配信システムによれば、場所的・時間的に密度の高い測定データ情報のうち、近傍の領域における測定データと比較して著しく乖離した測定データ情報に対して、閲覧対象から除去若しくは正確性に疑念がある趣旨の情報をデータの利用者に表示することができる。また、前記不正確な疑いの可能性のある測定データの提供者に対して、本発明のデータ受配信システムを介して確認依頼を通知することができる。これによって、本発明のデータ受配信システム及び本発明のソーシャル・ネットワーキング・サービスによれば、利用価値の高い統合的なデータ情報を構築することができる。」
ウ 「【0023】(中略)図1において、本発明の実施形態1のデータ受配信システム1は、要求データ情報受信装置10、測定データ情報受信部20、演算処理部30及び目的環境データ情報送信装置40を含むように構成されている。」
エ 「【0030】
実施形態1の要求データ情報受信装置10は、前記需要者P_(1)、P_(2)、P_(3)・・・P_(k)・・・P_(N)(1≦k≦N;1≦N)から、通信端末300を介して、それぞれが取得を所望する環境データ情報(以下、「リクエスト・データ」ともいう。)を受信する。尚、前記要求データ情報受信装置10は、複数の需要者P_(1)、P_(2)、P_(3)・・・P_(k)・・・P_(N)(1≦k≦N;1≦N)からそれぞれ異なる種類の環境データを含むリクエスト・データを受信できるように構成されていても良い。また、前記要求データ情報受信装置10は、各需要者から1種類のみのリクエスト・データに限らず、2種類以上のリクエスト・データを各需要者から一度に受信できるように構成されていても良い。
【0031】
前記リクエスト・データは、要求される環境データ、前記要求される環境データの位置を特定する要求場所及び前記要求される環境データの時刻を特定する要求時刻を含むように構成されている。また、前記要求される環境データの種類は特に限定されず、放射能、湿度、有毒ガスの濃度、気温、気圧、降雨量、紫外線の強さ、花粉の量、騒音の量、特定の場所から特定の場所へ移動するのに必要な時間、車両の乗車人数、撮影された画像、等を例示することができる。」
オ 「【0036】
提供者U_(1)、U_(2)、U_(3)・・・U_(j)・・・U_(M)(1≦j≦M;1≦M)は、それぞれが所有する通信端末100を介して、前記リクエスト・データに対応する測定データ情報、すなわち、提供測定データ情報を送信し、前記提供測定データ情報はネットワーク60を経由して前記測定データ情報受信部20の提供測定データ情報受信装置21で受信される。
【0037】
前記提供測定データ情報は、前記リクエスト・データに対応するものであって、前記要求される環境データと同一種類の測定データ、測定場所及び測定時刻を少なくとも含むように構成されている。」
カ 「【0044】
[実施形態1における演算処理部の構成]
実施形態1における演算処理部30は、提供測定データ情報評価装置31、登録メンバー管理装置32及び目的環境データ情報提供装置33を含むように構成されている。」
キ 「【0051】
前記目的環境データ情報提供装置33は、測定場所及び測定時刻が前記要求場所及び前記要求時刻からそれぞれ所定範囲内に存在する提供測定データ情報に基づいて、前記要求場所及び前記要求時刻に合致する目的環境データ情報を検索又は算出する。(略)」
ク 「【0057】
[実施形態1における目的環境データ情報送信装置の構成]
目的環境データ情報送信装置40は、前記目的環境データ情報提供装置33が算出した前記目的環境データ情報を、前記リクエスト・データを要求した需要者へ送信する。(略)」

(2)ア 上記(1)ア、ウ?クによれば、引用文献2には、実施形態1のデータ受配信システムについて、次の事項が記載されている。
「登録されたメンバーから測定データを収集、提供するデータ受配信システム1であって(【0001】)、
データ受配信システム1は、要求データ情報受信装置10、測定データ情報受信部20、演算処理部30及び目的環境データ情報送信装置40を含み(【0023】)、
要求データ情報受信装置10は、需要者から通信端末300を介して、要求される環境データ、前記要求される環境データの位置を特定する要求場所及び前記要求される環境データの時刻を特定する要求時刻を含むリクエスト・データを受信し(【0030】、【0031】)、
測定データ情報受信部20は、提供者が所有する通信端末100を介して、環境の測定データ、測定場所及び測定時刻を含む提供測定データ情報を受信し(【0036】、【0037】)、
演算処理部30は目的環境データ情報提供装置33を含み(【0044】)、目的環境データ情報提供装置33は、測定場所及び測定時刻が前記要求場所及び前記要求時刻からそれぞれ所定範囲内に存在する提供測定データ情報に基づいて、前記要求場所及び前記要求時刻に合致する目的環境データ情報を検索又は算出し(【0051】)、
目的環境データ情報送信装置40は、前記目的環境データ情報提供装置33が算出した前記目的環境データ情報を、前記リクエスト・データを要求した需要者へ送信する(【0057】)、
データ受配信システム。」(以下、「引用文献2記載事項1」という。)
イ また、上記(1)イによれば、引用文献2には、一実施形態に係るデータ受配信システムとして、次の事項が記載されている。
「場所的・時間的に密度の高い測定データ情報のうち、近傍の領域における測定データと比較して著しく乖離した測定データ情報に対して、閲覧対象から除去若しくは正確性に疑念がある趣旨の情報をデータの利用者に表示し、また、前記不正確な疑いの可能性のある測定データの提供者に対して、確認依頼を通知するデータ受配信システム。」(以下、「引用文献2記載事項2」という。)

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明は、「変換」により、第1の形式の1つ以上のデータ記録を第2の形式の1つ以上のデータ記録に転換するが、この変換の元になった第1の形式の1つ以上のデータ記録と、変換によって得られた第2の形式の1つ以上のデータ記録は、本願発明1の「複数のデータ群」に相当する。
イ 引用発明の「データ系統追跡情報」は、「第1の形式の1つ以上のデータ記録」というデータ群を、「第2の形式の1つ以上のデータ記録」というデータ群に転換し、「ソースデータ要素(変換によって目標データ要素を発生させたデータ要素)から、目標データ要素(変換によってソースデータ要素から導出されたデータ要素)へ、およびその逆にデータ系統を追跡するために」、各々の変換ごとに格納されたものであるから、「第1の形式の1つ以上のデータ記録」というデータ群と「第2の形式の1つ以上のデータ記録」というデータ群との「依存関係を示す情報」といえる。
そして、本願発明1の「リネージ情報」とは、「各データ群に関する依存関係や管理者に関する情報等」を総称したものである(本願明細書【0018】)から、引用発明の「第1の形式の1つ以上のデータ記録」というデータ群と「第2の形式の1つ以上のデータ記録」というデータ群との依存関係を示す情報である「データ系統追跡情報」は、本願発明1の「複数のデータ群間における依存関係を示すリネージ情報」に相当する。
ウ 引用発明において「各々の変換毎にデータ系統追跡情報を格納」することは、そのデータ系統追跡情報を取得しているといえる。
よって、引用発明の「各々の変換毎にデータ系統追跡情報を格納」するためにデータ系統追跡情報を取得する構成は、本願発明1の「複数のデータ群間における依存関係を示すリネージ情報を取得する取得部」に相当する。
エ 引用発明の「データ要素の特性が予測される特性から乖離していると、不一致の関連オブジェクトを作成」することは、そのデータ要素に障害が発生した場合に、不一致の関連オブジェクトを作成することといえる。また、データ要素に障害が発生したことは、そのデータ要素を含む「第1の形式の1以上のデータ記録」というデータ群、または、「第2の形式の1以上のデータ記録」というデータ群に障害が発生したことといえる。
よって、引用発明の「データ要素の特性が予測される特性から乖離している」場合は、本願発明1の「一のデータ群に障害が発生した場合」に相当する。
オ 引用発明の「不一致の関連オブジェクトを作成して、当該関連オブジェクトとデータ要素との間の一次リンクを格納し、そのデータ要素のソースおよび目標系統を追跡し、ソースおよび目標追跡中の各データ要素と関連オブジェクトとの間の二次リンクを格納」することは、リネージ情報に基づいて、障害が発生したデータ要素により影響を受ける他のデータ要素(目標追跡中の各データ要素)を特定することといえる。
また、引用発明において、データ要素は、第1の形式の1つ以上のデータ記録または第2の形式の1つ以上のデータ記録というデータ群に含まれるから、障害が発生したデータ要素により影響を受ける他のデータ要素を特定することは、一のデータ群における障害により影響を受ける他のデータ群を特定することといえる。
よって、引用発明の「不一致の関連オブジェクト」と「データ要素との間の一次リンク」及び、「ソースおよび目標追跡中の各データ要素と関連オブジェクトとの間の二次リンク」により、不一致のデータ要素に対する他のデータ群を特定する構成は、本願発明1の「前記取得部により取得された前記リネージ情報に基づいて、前記一のデータ群における障害により影響を受ける他のデータ群を特定する特定部」に相当する。
カ 引用発明の「システム」は、前記の通り、一のデータ群における障害により影響を受ける他のデータ群を特定する機能を有するから、本願発明1と同様の「特定装置」であるといえる。

(2)上記(1)によると、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりである。
<一致点>
「複数のデータ群間における依存関係を示すリネージ情報を取得する取得部と、
一のデータ群に障害が発生した場合、前記取得部により取得された前記リネージ情報に基づいて、前記一のデータ群における障害により影響を受ける他のデータ群を特定する特定部と、
を備えた特定装置。」
<相違点>
本願発明1は「前記一のデータ群に対して前記他のデータ群がデータの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミングで、前記他のデータ群を管理する管理者装置へ前記一のデータ群の障害を示す障害情報を送信する送信部」を備えるのに対し、引用発明は上記送信部を備えていない点。

(3)判断
ア 相違点について
引用文献2記載事項1、2によると、データ受配信システムは、測定データ情報のうち、近傍の領域における測定データと比較して著しく乖離した測定データ情報に対して、正確性に疑念がある趣旨の情報をデータの利用者に表示し、また、測定データの提供者に対して確認依頼を通知するが、この乖離した測定データは、近傍の領域における測定データに依存するものではなく、疑念の表示をされる利用者、疑念を通知される提供者は、相違点に係る他のデータ群を管理する管理者とはいえない。また、利用者への表示と提供者への通知は、一のデータ群に対して他のデータ群がデータの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミングで送信するものでもない。
よって、上記相違点に係る構成は引用文献2にも記載されておらず、上記相違点に係る構成が、本願出願前に周知技術であったともいえないから、上記相違点に係る構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
イ 作用効果について
本願発明1は、上記相違点に係る構成により、本願明細書に記載の「依存関係があるデータ群に障害が発生した場合に、迅速な復旧作業を可能にする」(【0116】)という作用効果を奏するものである。
ウ むすび
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2?7について
本願発明2?7も、本願発明1の「前記一のデータ群に対して前記他のデータ群がデータの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミングで、前記他のデータ群を管理する管理者装置へ前記一のデータ群の障害を示す障害情報を送信する送信部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本願発明8について
本願発明8は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記一のデータ群に対して前記他のデータ群がデータの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミングで、前記他のデータ群を管理する管理者装置へ前記一のデータ群の障害を示す障害情報を送信する送信部」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

4 本願発明9について
本願発明9は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「前記一のデータ群に対して前記他のデータ群がデータの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミングで、前記他のデータ群を管理する管理者装置へ前記一のデータ群の障害を示す障害情報を送信する送信部」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1?9は「前記一のデータ群に対して前記他のデータ群がデータの提供元側である場合と、データの提供先側である場合とで異なるタイミングで、前記他のデータ群を管理する管理者装置へ前記一のデータ群の障害を示す障害情報を送信する送信部」という事項またはそれに対応する事項を有するものとなっており、拒絶査定において引用された引用文献1-2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。






 
審決日 2021-09-16 
出願番号 特願2017-32624(P2017-32624)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松尾 真人  
特許庁審判長 畑中 高行
特許庁審判官 吉田 誠
高瀬 勤
発明の名称 特定装置、特定方法、及び特定プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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