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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04R
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04R
管理番号 1378249
審判番号 不服2020-13786  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-01 
確定日 2021-09-16 
事件の表示 特願2016-165697「音響機器用インシュレータ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年3月1日出願公開、特開2018-33083〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年8月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年12月24日付け:拒絶理由通知書
2年 2月14日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月16日付け:拒絶査定
同年10月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和2年10月1日にされた手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
令和2年10月1日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、令和2年2月14日にされた手続補正により補正された請求項1について以下のとおり補正する補正事項を含むものである。

〔本件補正前の請求項1〕
「【請求項1】
脚本体を主部材とする音響機器用インシュレータであって、
前記脚本体の底面に、該脚本体の中心部側から外周部側に向かう断面V字形を呈する複数の放音溝が形成され、
前記底面の中央部と前記放音溝を除いた周縁部側に間欠的に貼着する複数の制振マットと、前記底面と隣合う前記制振マットとの間に形成された放音空間と、前記底面の前記制振マットと前記放音空間の内周側に形成された集音空間と、を有し、
前記脚本体の底面に形成される放音溝の溝幅が前記脚本体の中心部側から外周部側へかけて拡幅していることを特徴とする、
音響機器用インシュレータ。」

〔本件補正後の請求項1〕
「【請求項1】
脚本体を主部材とする音響機器用インシュレータであって、
前記脚本体の中心部に、該脚本体を音響機器の底面に取付ネジにより可動的に取り付けるための段付孔が形成され、
前記脚本体の底面に、該脚本体の中心部の前記段付孔に連通し、外周部側に向かう断面V字形を呈する複数の放音溝が形成され、
前記底面の中央部と前記放音溝を除いた周縁部側に間欠的に貼着する複数のフェルト製の制振マットと、前記底面と前記放音溝と隣合う前記制振マットとの間に形成された放音空間と、前記制振マットと前記放音空間の内周側に形成された前記底面と前記放音溝と前記段付孔との間に形成される集音空間と、を有し、
前記脚本体の底面に形成される放音溝の溝幅が前記脚本体の中心部側から外周部側へかけて拡幅していることを特徴とする、
音響機器用インシュレータ。」

2 補正の適否
上記1の補正事項は、
本件補正前の請求項1の特定事項である「脚本体」について「前記脚本体の中心部に、該脚本体を音響機器の底面に取付ネジにより可動的に取り付けるための段付孔が形成され、」との限定を加え、
「放音溝」について「該脚本体の中心部側から外周部側に向かう」との構成を「該脚本体の中心部の前記段付孔に連通し、外周部側に向かう」との構成に限定し、
「制振マット」について「フェルト製の」との限定を加え、
「放音空間」について「前記底面と隣合う前記制振マットとの間に形成された」との構成を「前記底面と前記放音溝と隣合う前記制振マットとの間に形成された」との構成に限定し、
「集音空間」について「前記底面の前記制振マットと前記放音空間の内周側に形成された集音空間」との構成を「前記制振マットと前記放音空間の内周側に形成された前記底面と前記放音溝と前記段付孔との間に形成される集音空間」との構成に限定する
というものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1の〔本件補正後の請求項1〕に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、以下に再掲する。
なお、各構成の符号(A)?(E)は、当審が付したものであり、以下、各構成を構成A?構成Eという。

〔本件補正発明〕【請求項1】
(A)脚本体を主部材とする音響機器用インシュレータであって、
(B)前記脚本体の中心部に、該脚本体を音響機器の底面に取付ネジにより可動的に取り付けるための段付孔が形成され、
(C)前記脚本体の底面に、該脚本体の中心部の前記段付孔に連通し、外周部側に向かう断面V字形を呈する複数の放音溝が形成され、
(D)前記底面の中央部と前記放音溝を除いた周縁部側に間欠的に貼着する複数のフェルト製の制振マットと、前記底面と前記放音溝と隣合う前記制振マットとの間に形成された放音空間と、前記制振マットと前記放音空間の内周側に形成された前記底面と前記放音溝と前記段付孔との間に形成される集音空間と、を有し、
(E)前記脚本体の底面に形成される放音溝の溝幅が前記脚本体の中心部側から外周部側へかけて拡幅していることを特徴とする、
(A)音響機器用インシュレータ。

(2)引用文献
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由において引用文献1として引用された、本件出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2016-86408号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の記載がある。
なお、以下の下線は、強調のために当審が付したものである。

「【0007】
本発明は、樹脂組成物を成型してなるポーラス構造の脚本体を主部材とする音響機器用インシュレータであって、前記脚本体の底面側に、該脚本体の中心部側から外周部側に向かう複数の放音空間を形成したことを特徴とする。(以降略)」

「【0011】
<1>音響機器用インシュレータの概要
図1を参照して説明すると、音響機器用インシュレータ100は音響機器50の底面51の複数箇所に取り付けた支持脚と振動減衰部材を兼ねた部材である。
本例における音響機器用インシュレータ100は、マイクロポーラス構造を呈する脚本体20と、脚本体20の底面22の周縁部の近傍に所定の間隔を隔てて貼着した複数の制振マット30と、音響機器50の底面51に脚本体20を可動的に取り付ける段付きの集音取付ネジ40とを含む。
本発明では、音響機器50の音響性能を改善するため、脚本体20の底面22の中央部を除いた周縁部近傍に所定の間隔Gを隔てて複数の制振マット30を間欠的に貼着して、脚本体20の底面側に、脚本体20の中心部側から外周部側へ向かう複数の放音空間S2を形成するようにした。
【0012】
<2>脚本体
脚本体20は内部に微細気孔を有するマイクロポーラス構造の硬質成型体である。
脚本体20の平面形状は円形が望ましいが、その他に楕円形や多角形でもよく、脚本体20の平面形状に特別な制約はない。形状的には扁平した柱状であればよい。
脚本体20の上面21及び底面22は共に平滑であって互いに平行である。
脚本体20はその中心部に異径の段付孔23が穿設してある。
【0013】
<2.1>段付孔
図2を参照して説明すると、段付孔23は脚本体20の底面22側に形成した大径孔23aと、小径孔23bとからなり、脚本体20の大径孔23a側から集音取付ネジ40を挿入する。
ネジ孔23と集音取付ネジ40の寸法関係については後述する。」

「【0027】
<3.1>集音空間と放音空間
脚本体20は複数の制振マット30を介して載置面60に載置し、脚本体20の底面22と載置面との間に空隙を形成する。
脚本体20の底面22には、この底面22と複数の制振マット30で囲繞され、下方が開放された集音空間S1を形成するとともに、隣り合う各制振マット30の間には集音空間S1と連通したスリット状の放音空間S2を形成する。
これらの各空間S1,S2は複数の制振マット30を介して脚本体20を載置面60に載置させたときに下方の開口が閉鎖される。」

「【0029】
<3.3>制振マットの素材
制振マット30は音響機器50の重量により圧縮変形しない耐圧性(硬度)を有するように、天然繊維等をプレスして固めた羊毛の含有率が30%以上のフェルトからなる。
フェルトの組成は、例えば羊毛60%、残部がセルロース繊維、レーヨン、ポリエステル等のものが好ましい。」

「【0075】
<1>図8(A)の形態
図8(A)は脚本体20の平滑な底面22に均一の幅と深さを有する複数の細幅の溝(スリット)を放射状に形成した他の脚本体20の形態を示す。
脚本体20の底面22の本例では細幅の溝が放音空間S3を形成する。
溝(スリット)状の放音空間S3は、図9に拡大して示すように、段付孔23を通り脚本体20の底面22を横断する全長を有する。実用上、溝状の放音空間S3の溝幅は1?5mmの範囲で、溝の深さは概ね2.5mmが望ましい。
各放音空間S3はその一端が中心部の段付孔23に連通し、他端が脚本体20の側面に露出する。
溝状の放音空間S3の断面形状は図示した半円形に限定されず、断面形状は矩形や三角形等でもよい。
本例では脚本体20の底面22に等間隔で4本の放音空間S3を設けた形態を示すが、実用上、放音空間S3の数は2?8の範囲が望ましい。
【0076】
<2>図8(B)の形態
図8(B)は脚本体20の平滑な底面22に形成する溝状の放音空間S3の溝幅を不均一に形成した他の形態を示す。
本例では図10に拡大して示すように、各放音空間S3の内周側(脚本体20の中心部から半径の略1/2までの範囲)を拡幅して形成する。
放音空間S3の拡幅する溝幅は2?8mmの範囲が望ましい。
【0077】
<3>図8(C)の形態
図8(C)は、脚本体20の平滑な底面22に形成する溝状の放音空間S3の溝幅の組み合わせを図8(B)とは逆に形成した他の形態を示す。
本例では、図11に拡大して示すように、各放音空間S3の外周側(脚本体20の半径の略1/2のから外縁までの範囲)を拡幅して形成する。」

「【0087】
<3>図13(C)の形態
図13(C)は実施形態1の図1と実施形態3の図8(C)を組み合せたもので、脚本体20の平滑な底面22の外周部側に複数の制振マット30を付設して集音空間S1及び放音空間S2を形成すると共に、脚本体20の露出した底面22を機械加工することにより各放音空間S3の外周側を拡幅した溝状の放音空間S3を形成した他の形態を示す。両放音空間S2,S3は集音空間S1と連通している。」

「【図1】



「【図8】(C)



「【図13】(C)



イ 引用文献に記載されている技術事項
上記【0075】では、「<1>図8(A)の形態」として「脚本体20の平滑な底面22に均一の幅と深さを有する複数の細幅の溝(スリット)を放射状に形成した他の脚本体20の形態」が示され、「脚本体20の底面22の本例では細幅の溝が放音空間S3を形成する」とされている。
次に、上記【0076】では、「<2>図8(B)の形態」として「脚本体20の平滑な底面22に形成する溝状の放音空間S3の溝幅を不均一に形成した他の形態」が示されており、さらに上記【0077】では、「<3>図8(C)の形態」として「脚本体20の平滑な底面22に形成する溝状の放音空間S3の溝幅の組み合わせを図8(B)とは逆に形成した他の形態」が示されている。
以上の記載によれば、「<3>図8(C)の形態」は、「<1>図8(A)の形態」から「溝状の放音空間S3の溝幅」のみが変更されているから、上記【0075】に示されている、「溝(スリット)状の放音空間S3」が「段付孔23を通り脚本体20の底面22を横断する全長を有する」こと、及び、「溝状の放音空間S3の断面形状」が「三角形等でもよい」ことは、上記【0077】の「<3>図8(C)の形態」においても共通して備わる構成であると認められる。
したがって、引用文献には、「<3>図8(C)の形態」において「溝(スリット)状の放音空間S3」が「段付孔23を通り脚本体20の底面22を横断する全長を有する」こと、及び、「溝状の放音空間S3の断面形状」が「三角形等でもよい」ことが実質的に記載されているといえる。

ウ 引用発明
上記アの記載及びイの技術事項から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、引用発明の各構成の符号(a)?(i)は、説明のために当審が付したものであり、以下、構成a?構成i」という。また、各構成の末尾において、対応する記載箇所を括弧内に付した。

(引用発明)
(a)脚本体を主部材とする音響機器用インシュレータであって、(段落0007)
(b)脚本体20と、脚本体20の底面22の周縁部の近傍に所定の間隔を隔てて貼着した複数の制振マット30と、音響機器50の底面51に脚本体20を可動的に取り付ける段付きの集音取付ネジ40とを含み、(段落0011)
(c)脚本体20はその中心部に異径の段付孔23が穿設してあり、(段落0012)
(d)段付孔23は脚本体20の底面22側に形成した大径孔23aと、小径孔23bとからなり、脚本体20の大径孔23a側から集音取付ネジ40を挿入し、(段落0013)
(e)脚本体20の底面22には、この底面22と複数の制振マット30で囲繞され、下方が開放された集音空間S1を形成するとともに、隣り合う各制振マット30の間には集音空間S1と連通したスリット状の放音空間S2を形成し、(段落0027)
(f)制振マット30はフェルトからなり、(段落0029)
(g)脚本体20の平滑な底面22の外周部側に複数の制振マット30を付設して集音空間S1及び放音空間S2を形成すると共に、脚本体20の露出した底面22を機械加工することにより各放音空間S3の外周側を拡幅した溝状の放音空間S3を形成し、(段落0087)
(h)溝(スリット)状の放音空間S3は、段付孔23を通り脚本体20の底面22を横断する全長を有し、(段落0075)
(i)溝状の放音空間S3の断面形状は三角形でもよい(段落0075)
(a)音響機器用インシュレータ。

(3)対比
本件補正発明と引用発明を対比する。

ア 構成Aについて
本件補正発明と引用発明(構成a)は、「脚本体を主部材とする音響機器用インシュレータ」である点で一致する。

イ 構成Bについて
引用発明は、脚本体20の中心部に異径の段付孔23が穿設してあり(構成c)、当該段付孔23は脚本体20の底面22側に形成した大径孔23aと、小径孔23bとからなり、脚本体20の大径孔23a側から「音響機器50の底面51に脚本体20を可動的に取り付ける段付きの集音取付ネジ40(構成b)」を挿入する(構成d)ものであるから、本件補正発明と引用発明は、「前記脚本体の中心部に、該脚本体を音響機器の底面に取付ネジにより可動的に取り付けるための段付孔が形成され、」との構成を備える点で一致する。

ウ 構成Cについて
引用発明の「溝状の放音空間S3」は、本件補正発明の「放音溝」に相当する。
そして、引用発明は、脚本体20の露出した底面22を機械加工することにより各放音空間S3の外周側を拡幅した溝状の放音空間S3を形成し(構成g)、溝(スリット)状の放音空間S3は、段付孔23を通り(構成h)、溝状の放音空間S3の断面形状は三角形(構成i)であるから、本件補正発明と引用発明は、「前記脚本体の底面に、該脚本体の中心部の前記段付孔に連通し、外周部側に向かう断面V字形を呈する複数の放音溝が形成され、」との構成を備える点で一致する。

エ 構成Dについて
引用発明の「複数の制振マット30」は、脚本体20の底面22の周縁部の近傍に所定の間隔を隔てて貼着したものであり(構成b)、フェルトからなる(構成f)から、本件補正発明の「前記底面の周縁部側に間欠的に貼着する複数のフェルト製の制振マット」に相当する。
また、引用発明は、脚本体20の露出した底面22に溝状の放音空間S3が形成され(構成g)、脚本体20の中心部に段付孔23が穿設され(構成c)、脚本体20の平滑な底面22に制振マット30が付設される(構成g)から、「複数の制振マット30」が貼着される箇所は「前記底面の中央部と前記放音溝を除いた」部分である。
したがって、本件補正発明と引用発明は、「前記底面の中央部と前記放音溝を除いた周縁部側に間欠的に貼着する複数のフェルト製の制振マット」を有する点で一致する。

引用発明は、脚本体20の底面22には、この底面22と複数の制振マット30で囲繞され、下方が開放された集音空間S1を形成するとともに、隣り合う各制振マット30の間には集音空間S1と連通したスリット状の放音空間S2を形成し(構成e)、さらに、脚本体20の露出した底面22を機械加工することにより各放音空間S3の外周側を拡幅した溝状の放音空間S3を形成する(構成g)から、当該「放音空間S2」及び「放音空間S3」のうち隣り合う各制振マット30の間に対応する部分は、本件補正発明の「前記底面と前記放音溝と隣合う前記制振マットとの間に形成された放音空間」に相当する。
また、脚本体20の中心部には、脚本体20の底面22側に形成した大径孔23aと、小径孔23bとからなる段付孔23が存在し(構成c、構成d)、上記底面22と複数の制振マット30で囲繞された集音空間S1における底面には、中心部に当該段付孔23、及び、段付孔23を通る溝状の放音空間S3(構成h)が存在するから、引用発明の「底面22と複数の制振マット30で囲繞され、下方が開放された集音空間S1」は、本件補正発明の「前記制振マットと前記放音空間の内周側に形成された前記底面と前記放音溝と前記段付孔との間に形成される集音空間」に相当する。

以上から、本件補正発明と引用発明は、構成Dを備える点で一致する。

オ 構成Eについて
引用発明の「溝状の放音空間S3」は、「放音空間S3の外周側を拡幅した」(構成g)ものであるから、本件補正発明と引用発明は、「前記脚本体の底面に形成される放音溝の溝幅が前記脚本体の中心部側から外周部側へかけて拡幅している」との構成を備える点で一致する。

カ まとめ
以上のとおり、本件補正発明は、全ての構成において引用発明と一致するものであり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年10月1日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和2年2月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1において〔本件補正前の請求項1〕として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
本願発明に係る原査定の拒絶の理由は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項、図面に記載された技術事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比
本願発明は、上記第2[理由]2において検討した本件補正発明の「脚本体」に係る構成Bの限定事項を削除し、「放音溝」に係る構成Cの限定事項を削除し、「制振マット」に係る構成Dの限定事項を削除し、「放音空間」に係る構成Dの限定事項を削除し、「集音空間」に係る構成Dの限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明と一致するものであるから、本願発明も引用発明と一致するものである

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-07-09 
結審通知日 2021-07-13 
審決日 2021-07-30 
出願番号 特願2016-165697(P2016-165697)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04R)
P 1 8・ 113- Z (H04R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨澤 直樹  
特許庁審判長 五十嵐 努
特許庁審判官 樫本 剛
木方 庸輔
発明の名称 音響機器用インシュレータ  
代理人 長谷川 修  
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