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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H03H |
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管理番号 | 1378263 |
審判番号 | 不服2020-15432 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-11-09 |
確定日 | 2021-10-05 |
事件の表示 | 特願2017-192723「マルチプレクサ」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月25日出願公開,特開2019- 68295,請求項の数(9)〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成29年10月2日の出願であって,令和2年2月6日付けで拒絶理由の通知がされ,令和2年3月23日に意見書が提出されると共に手続補正がされ,令和2年8月13日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年11月9日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和2年8月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項 1 ・引用文献等 1-3 ・請求項 2-10 ・引用文献等 1-6 <引用文献等一覧> 1.国際公開第2016/208677号 2.国際公開第2013/065488号(周知技術を示す文献) 3.国際公開第2016/181701号(周知技術を示す文献) 4.特開2012-151697号公報 5.特開2016-184900号公報 6.特開2003-229743号公報 第3 本願発明 本願請求項1-9に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は,令和2年11月9日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 複数のフィルタを備えるマルチプレクサであって, 前記複数のフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは, 第1端子及び第2端子と, 前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ第1経路上に直列に配置されたn個の直列共振子(nは3以上の自然数)と, 前記第1経路上にて隣り合う前記直列共振子の間のノードとグランドとを結ぶ経路上に配置された1以上の並列共振子と, 前記第1経路上にて,前記第1端子と,前記n個の直列共振子のうち前記第1端子に最も近い共振子である第1の直列共振子との間に直列に配置された第1インダクタと, 前記第1経路上にて,前記n個の直列共振子のうち前記第2端子に最も近い共振子である第nの直列共振子と,前記第2端子との間に直列に配置された第2インダクタと, を備え, 前記第1端子はアンテナ端子であり, 前記第1の直列共振子の共振周波数を第1の共振周波数とし,前記第1の直列共振子及び前記第nの直列共振子と異なる他の直列共振子の共振周波数を第2の共振周波数とし,前記第nの直列共振子の共振周波数を第3の共振周波数とした場合に, 前記第1の共振周波数及び前記第3の共振周波数のそれぞれは,前記第2の共振周波数よりも高い, マルチプレクサ。 【請求項2】 前記n個の直列共振子及び前記1以上の並列共振子の各共振子は,圧電性を有する基板上に形成されたIDT電極を有し, 前記IDT電極は,弾性波伝搬方向の直交方向に延びるように配置された複数の電極指を含み, 前記第1の直列共振子において前記弾性波伝搬方向に隣り合う前記複数の電極指のピッチの平均を第1のピッチとし,前記第1の直列共振子及び前記第nの直列共振子と異なる他の直列共振子において前記弾性波伝搬方向に隣り合う前記複数の電極指のピッチの平均を第2のピッチとし,前記第nの直列共振子において前記弾性波伝搬方向に隣り合う前記複数の電極指のピッチの平均を第3のピッチとした場合に, 前記第1のピッチ及び前記第3のピッチのそれぞれは,前記第2のピッチよりも小さい, 請求項1に記載のマルチプレクサ。 【請求項3】 前記第1のピッチ及び前記第3のピッチのそれぞれは,前記第2のピッチの0.952倍以上0.98倍以下である, 請求項2に記載のマルチプレクサ。 【請求項4】 前記第1の直列共振子及び前記第nの直列共振子のそれぞれの容量は,前記他の直列共振子の容量よりも小さい, 請求項1?3のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。 【請求項5】 前記第1の直列共振子及び前記第nの直列共振子のそれぞれの分割数は,前記他の直列共振子の分割数よりも多い, 請求項1?4のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。 【請求項6】 前記n個の直列共振子は,5個以上の直列共振子である, 請求項1?5のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。 【請求項7】 前記フィルタは,2496MHz以上2690MHz以下の周波数を通過帯域とする, 請求項1?6のいずれか1項に記載のマルチプレクサ。 【請求項8】 前記n個の直列共振子及び前記1以上の並列共振子の各共振子は,バルク波の厚み縦振動を利用する圧電薄膜共振子であって,圧電体層と,前記圧電体層の一方主面に形成された一方電極層と,前記圧電体層の他方主面に形成された他方電極層とを有し, 前記第1の直列共振子において前記一方電極層及び前記他方電極層の厚みの平均を第1の厚みとし,前記第1の直列共振子及び前記第nの直列共振子と異なる他の直列共振子において前記一方電極層及び前記他方電極層の厚みの平均を第2の厚みとし,前記第nの直列共振子において前記一方電極層及び前記他方電極層の厚みの平均を第3の厚みとした場合に, 前記第1の厚み及び前記第3の厚みのそれぞれは,前記第2の厚みよりも薄い, 請求項1に記載のマルチプレクサ。 【請求項9】 複数のフィルタを備えるマルチプレクサであって, 前記複数のフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは, 第1端子及び第2端子と, 前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ第1経路上に直列に配置された3以上の直列共振子と, 前記第1経路上にて隣り合う前記直列共振子の間のノードとグランドとを結ぶ経路上に配置された1以上の並列共振子と, 前記第1経路上にて,前記第1端子と,前記3以上の直列共振子のうち前記第1端子に最も近い共振子である第1の直列共振子との間に直列に配置された第1インダクタと, を備え, 前記3以上の直列共振子及び前記1以上の並列共振子の各共振子は,圧電性を有する基板上に形成されたIDT電極を有し, 前記IDT電極は,弾性波伝搬方向の直交方向に延びるように配置された複数の電極指を含み, 前記第1端子はアンテナ端子であり, 前記第1の直列共振子において前記弾性波伝搬方向に隣り合う前記複数の電極指のピッチの平均を第1のピッチとし,前記第1の直列共振子と異なる他の直列共振子において前記弾性波伝搬方向に隣り合う前記複数の電極指のピッチの平均を第2のピッチとした場合に, 前記第1のピッチは,前記第2のピッチの0.952倍以上0.98倍以下である, マルチプレクサ。」 第4 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2016/208677号(以下,「引用文献1」という。下線は当審が付与。)には, 「[0026] (実施例) [1.デュプレクサの基本構成] 本実施例では,LTE(Time Division Long Term Evolution)規格のBand25(送信通過帯域:1850-1915MHz,受信通過帯域:1930-1995MHz)に適用されるアンテナデュプレクサについて例示する。 [0027] 図1は,実施例に係るデュプレクサ1の回路構成図である。同図に示すように,デュプレクサ1は,送信側フィルタ10と,受信側フィルタ20と,アンテナ端子31と,インダクタンス素子311とを備える。 [0028] 送信側フィルタ10は,送信回路(RFICなど)で生成された送信波を,送信入力端子11を経由して入力し,当該送信波を送信通過帯域でフィルタリングして送信側出力端子であるアンテナ端子31へ出力する非平衡入力-非平衡出力型の帯域通過フィルタである。送信側フィルタ10は,本発明の要部の弾性波フィルタであり,ラダー型の弾性表面波フィルタである。送信側フィルタ10の構成については,後述する送信側フィルタの構成において詳述する。」 「[0030] インダクタンス素子311は、アンテナ端子31と送信側フィルタ10および受信側フィルタ20の接続点との間に設けられたインピーダンス整合素子である。これにより、アンテナ素子と送信側フィルタ10および受信側フィルタ20とのインピーダンス整合をとることが可能となる。」 「[0049] [3.送信側フィルタの回路構成] 図1に示すように,送信側フィルタ10は,直列共振子101?105と,並列共振子151?154と,整合用のインダクタンス素子141および161と,送信入力端子11とを備える。 [0050] 直列共振子101?105は,送信入力端子11とアンテナ端子31との間に互いに直列に接続されている。また,並列共振子151?154は,送信入力端子11,アンテナ端子31および直列共振子101?105の各接続点と基準端子(グランド)との間に互いに並列に接続されている。直列共振子101?105および並列共振子151?154の上記接続構成により,送信側フィルタ10は,ラダー型のバンドパスフィルタを構成している。また,インダクタンス素子141は,送信入力端子11と直列共振子101との間に接続され,インダクタンス素子161は,並列共振子152,153および154の接続点と基準端子との間に接続されている。 [0051] 表1に,本実施例に係る送信側フィルタ10の直列共振子101?105,並列共振子151?154の設計パラメータ(ピッチλ,交叉幅L,IDT対数N,デューティー比D)の詳細を示す。 [0052][表1] [0053] 上記表1に示された各共振子のピッチλは,各共振子の波長と定義される。また,各共振子の容量は,表1に示された設計パラメータおよび圧電基板50の誘電率などにより決定される。 [0054] なお,本実施例では,9個の共振子によりT型のラダー型フィルタを構成しているが,π型のラダー型フィルタを構成してもよい。また,共振子の数は9個に限らず,直列共振子は4以上であればよい。 [0055] ここで,送信入力端子11に最も近く接続された直列共振子101(第1共振子)の反共振周波数fas1と共振周波数frs1との周波数差(fas1-frs1)をΔf1と定義する。また,アンテナ端子31に最も近く接続された直列共振子105の反共振周波数fas5と共振周波数frs5との周波数差(fas5-frs5)をΔf5と定義する。同様にして,直列共振子101および105以外の直列共振子102,103および104の反共振周波数fas2,fas3およびfas4と共振周波数frs2,frs3およびfrs4との周波数差を,それぞれ,Δf2(=fas2-frs2),Δf3(=fas3-frs3)およびΔf4(=fas4-frs4)と定義する。 [0056] 本実施例に係る送信側フィルタ10では,以下の関係式(式1)かつ(式2)が成立する。 [0057] fas1,fas5>fas2,fas3,fas4 (式1) Δf1,Δf5>Δf2,Δf3,Δf4 (式2) [0058] つまり,送信入力端子11に最も近く接続された直列共振子101およびアンテナ端子31に最も近く接続された直列共振子105以外の全ての直列共振子102,103および104の反共振周波数と共振周波数の差である周波数差Δf2,Δf3およびΔf4は,直列共振子101および105の反共振周波数と共振周波数との周波数差Δf1およびΔf5よりも小さく,かつ,直列共振子102,103および104の反共振周波数fas2,fas3およびfas4は,直列共振子101および105の反共振周波数fas1およびfas5よりも低い。 [0059] なお,上記式1を実現する構成として,直列共振子102,103および104の波長を,直列共振子101および105の波長よりも大きくしてもよい。つまり,直列共振子101?105のIDT電極を構成する複数の電極指の繰り返しピッチを,それぞれ,λ1?λ5とすると,式1における関係を,以下の式3となる構成で実現してもよい。 [0060] λ1,λ5<λ2,λ3,λ4 (式3) [0061] これにより,例えば,Band25のような広い通過帯域かつ狭い隣接帯域を有する周波数規格に対しても,通過帯域内の所望のインピーダンスを維持しつつ通過帯域外における通過特性の高い急峻性を有する送信側フィルタ10および送信側フィルタ10を備えるデュプレクサ1を提供することが可能となる。」 「[0129] なお,上記説明では,デュプレクサを例に説明したが,本発明は,例えば,3つのフィルタのアンテナ端子が共通化されたトリプレクサや,4つのフィルタのアンテナ端子が共通化されたクワッドプレクサについても適用することができる。つまり,高周波フロントエンド回路および通信装置は,2以上のフィルタを備えていればよい。」 「【図1】 」 の記載があるから, 「送信側フィルタ10と,受信側フィルタ20と,アンテナ端子31と,インダクタンス素子311とを備えるデュプレクサ1であって, インダクタンス素子311は、アンテナ素子と送信側フィルタ10および受信側フィルタ20とのインピーダンス整合をとるインピーダンス整合素子であり, 送信側フィルタ10は,直列共振子101?105と,並列共振子151?154と,整合用のインダクタンス素子141および161と,送信入力端子11とを備え, 直列共振子101?105は,送信入力端子11とアンテナ端子31との間に互いに直列に接続され,並列共振子151?154は,送信入力端子11,アンテナ端子31および直列共振子101?105の各接続点と基準端子(グランド)との間に互いに並列に接続され, インダクタンス素子141は,送信入力端子11と直列共振子101との間に接続され,インダクタンス素子161は,並列共振子152,153および154の接続点と基準端子との間に接続され, 送信入力端子11に最も近く接続された直列共振子101およびアンテナ端子31に最も近く接続された直列共振子105以外の全ての直列共振子102,103および104の反共振周波数と共振周波数の差である周波数差Δf2,Δf3およびΔf4は,直列共振子101および105の反共振周波数と共振周波数との周波数差Δf1およびΔf5よりも小さく,かつ,直列共振子102,103および104の反共振周波数fas2,fas3およびfas4は,直列共振子101および105の反共振周波数fas1およびfas5よりも低く, 直列共振子101?105のIDT電極を構成する複数の電極指の繰り返しピッチを,それぞれ,λ1?λ5とすると,λ1,λ5<λ2,λ3,λ4となる構成で実現してもよい, ことにより, 広い通過帯域かつ狭い隣接帯域を有する周波数規格に対しても,通過帯域内の所望のインピーダンスを維持しつつ通過帯域外における通過特性の高い急峻性を有する送信側フィルタ10および送信側フィルタ10を備えるデュプレクサ1を提供することが可能となる, トリプレクサやクワッドプレクサについても適用することができる, デュプレクサ。」(以下,「引用発明」という。) の発明が記載されている。 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2013/065488号(以下,「引用文献2」という。下線は当審が付与。)には, 「[0001] 本発明は,窒化アルミニウム系材料を用いた圧電薄膜共振子及びフィルタ装置に関し,より詳細には,Scが含有されている窒化アルミニウム膜を用いた圧電薄膜共振子,フィルタ装置及びデュプレクサに関する。」 「[0040] 図5は,本発明の第3の実施形態としてのデュプレクサの回路図である。本実施形態のデュプレクサ21は,アンテナ22に接続されるアンテナ端子23と,送信端子24と受信端子25とを有する。アンテナ端子23と送信端子24との間にラダー型回路構成の送信フィルタ26が接続されている。 [0041] 送信フィルタ26では,アンテナ端子23と送信端子24とを結ぶ直列腕が構成されている。この直列腕に,インダクタL1及び直列腕共振子S21?S24が配置されている。また,直列腕共振子S21,S22間の接続点とグラウンド電位とを結ぶ第1の並列腕と,直列腕共振子S23と直列腕共振子S24との間の接続点と,グラウンド電位とを結ぶ第2の並列腕が構成されている。第1の並列腕には,並列腕共振子P21と,並列腕共振子P21に直列に接続されたインダクタL2とが設けられている。同様に第2の並列腕においても,並列腕共振子P22と,インダクタL3とが直列に接続されている。直列腕共振子S24と送信端子24との間にインダクタL4が接続されている。 [0042] 送信フィルタ26では,破線Cで囲んだ並列腕共振子P21,P22が,第1の実施形態の圧電薄膜共振子からなる。直列腕共振子S21?S24が,Scを含有していない前述した第2の圧電薄膜共振子からなる。 [0043] 従って,第2の実施形態と同様に,通過帯域低域側の肩部の周波数位置を,容易に調整でき,かつ周波数温度特性も調整することができる。」 「[0050] 上述のように,本実施形態では,送信フィルタ26と受信フィルタ27の通過帯域の間の周波数ギャップのロールオフ特性を決定する圧電薄膜共振子が,周波数温度特性に優れたScを含有しない窒化アルミニウム膜を用いた第2の圧電薄膜共振子からなる。従って,上記周波数ギャップに臨む通過帯域端部における減衰特性を改善することができる。他方,周波数ギャップに望まない通過帯域端部の周波数特性を決定する残りの圧電薄膜共振子については,比帯域の大きなSc含有窒化アルミニウム膜を用いた第1の実施形態の圧電薄膜共振子からなる。そのため,送信フィルタ26及び受信フィルタ27の通過帯域の拡大を図ることができる。よって,帯域幅拡大に必要なインダクタL1?L4,L5?L10のインダクタンス値を小さくすることができる。場合によっては,これらのインダクタL5?L10を省略することもできる。」 「[図5] 」 の記載があるから, 「Scが含有されている窒化アルミニウム膜を用いた圧電薄膜共振子,フィルタ装置及びデュプレクサであって, デュプレクサ21は,アンテナ22に接続されるアンテナ端子23と,送信端子24と受信端子25とを有し,アンテナ端子23と送信端子24との間にラダー型回路構成の送信フィルタ26が接続され, 送信フィルタ26では,アンテナ端子23と送信端子24とを結ぶ直列腕が構成され,この直列腕に,インダクタL1及び直列腕共振子S21?S24が配置され, 直列腕共振子S24と送信端子24との間にインダクタL4が接続され, 並列腕共振子P21,P22が,第1の実施形態の圧電薄膜共振子からなり,直列腕共振子S21?S24が,Scを含有していない前述した第2の圧電薄膜共振子からなり, 従って,通過帯域低域側の肩部の周波数位置を,容易に調整でき,かつ周波数温度特性も調整することができ, 通過帯域の間の周波数ギャップのロールオフ特性を決定する圧電薄膜共振子が,周波数温度特性に優れたScを含有しない窒化アルミニウム膜を用いた第2の圧電薄膜共振子からなることで,上記周波数ギャップに臨む通過帯域端部における減衰特性を改善することができ, 通過帯域端部の周波数特性を決定する残りの圧電薄膜共振子については,比帯域の大きなSc含有窒化アルミニウム膜を用いた第1の実施形態の圧電薄膜共振子からなるため,送信フィルタ26及び受信フィルタ27の通過帯域の拡大を図ることができ,帯域幅拡大に必要なインダクタL1?L4,L5?L10のインダクタンス値を小さくすることができる, デュプレクサ。」(以下,「引用文献2記載技術」という。) が記載されている。 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2016/181701号(以下,「引用文献3」という。下線は当審が付与。)には, 「[0041] デュプレクサ101?101Eは,第1外部接続端子P1,第2外部接続端子P2,第3外部接続端子P3,送信信号用のフィルタ部20,受信信号用のフィルタ部30,インダクタ41L,インダクタ42L,インダクタ50,およびインダクタ60を備える。 [0042] 送信信号用のフィルタ部20は,第1外部接続端子P1と第3外部接続端子P3との間に接続されている。受信信号用のフィルタ部30は,第2外部接続端子P2と第3外部接続端子P3との間に接続されている。インダクタ41Lは,整合素子であり,第1外部接続端子P1と送信信号用のフィルタ部20との間の経路401に対しシャント接続される。インダクタ42Lは,整合素子であり,第3外部接続端子P3と送信信号用のフィルタ部20との間の経路402に対しシャント接続される。 [0043] 送信信号用のフィルタ部20は,シリーズ接続端子P21,シリーズ接続端子P22,シャント接続端子P23,およびシャント接続端子P24を備える。シリーズ接続端子P21は,第1外部接続端子P1に接続される。シリーズ接続端子P22は,第3外部接続端子P3に接続される。 [0044] シャント接続端子P23は,インダクタ60を介して,グラウンドに接続されている。シャント接続端子P24は,インダクタ50を介して,グラウンドに接続されている。インダクタ60は,本発明の第2インダクタに相当する。インダクタ50は,本発明の第1インダクタに相当する。 [0045] なお,本願では,シャント接続とは,経路とグラウンドとの間の接続を意味する。また,シリーズ接続とは,回路構成間の直列接続を意味する。 [0046] 送信信号用のフィルタ部20は,複数のSAW共振子201,202,203,204,205,および206(以下,これらSAW共振子をまとめて説明する場合にはSAW共振子201?206と称する)を備える。また,送信信号用のフィルタ部20は,複数のSAW共振子211,212,および213を備える。SAW共振子201?206は,本発明の直列腕共振子に相当する。SAW共振子211,212,213は,それぞれ本発明の並列腕共振子に相当する。」 「[0054] (第1回路例) 図1に示すデュプレクサ101では,インダクタ50とインダクタ60との間の電磁界結合を阻害するようにインダクタ50とインダクタ60は配置される。例えば,インダクタ60とインダクタ50との間にグラウンドが配置される,あるいはインダクタ60とインダクタ50との間の距離は,インダクタ60とインダクタ42Lとの間の距離と比べて,長くなるようにインダクタ60とインダクタ50は配置される。これにより,インダクタ50とインダクタ60との間に電磁界結合が生じなくなるため,インダクタ60とインダクタ50とは,個別に調整可能である。 [0055]インダクタ50と電磁界結合しないインダクタ60と,インダクタ42Lとの間に電磁界結合(容量性結合または誘導性結合)が生じるように構成されている。この電磁界結合により,アイソレーション特性を調整するための調整経路が形成される。この調整経路は,接続導体303,SAW共振子211,シャント接続端子P23,インダクタ60,インダクタ42Lを含む。 [0056] 第1外部接続端子P1から送信信号用のフィルタ部20及び経路402を通過する送信信号と,当該調整経路を通過する送信信号とが,第3外部接続端子P3において相殺されるように,調整経路を形成する電磁界結合の結合態様,および電磁界結合の強度が調整される。具体的には,第3外部接続端子P3において,第1外部接続端子P1から送信信号用のフィルタ部20及び経路402を通過する送信信号と,調整経路を通過する送信信号の振幅が一致し,かつ位相が180°異なるように,インダクタ60とインダクタ42Lとの電磁界結合の態様及び強度を調整する。電磁界結合の態様とは,インダクタ60及びインダクタ42Lの誘導性結合,及びインダクタ60及びインダクタ42Lを構成する導体間の容量性結合を含む。電磁界結合の強度は,例えばインダクタ60とインダクタ42Lとの距離に対応する。電磁界結合の態様及び強度の調整により,第1外部接続端子P1から送信信号用のフィルタ部20及び経路402を通過する送信信号が,調整経路を流れる送信信号によって相殺されるので,送信経路における送信信号の減衰量が増加する。その結果,第2外部接続端子P2においても送信信号が減衰されるので,デュプレクサ101の送信?受信間のアイソレーション特性は向上する。」 「[図1] 」 「[0086] なお,上述の例は,第1外部接続端子P1側の整合素子として,シャント接続型の整合素子であるインダクタ41Lを示し,第3外部接続端子P3側の整合素子として,シャント接続型のインダクタ42Lを示した。しかし,第1外部接続端子P1側および第3外部接続端子P3側の整合素子として,以下に示すものを用いてもよい。 [0087] 具体的には,第1外部接続端子P1側の整合素子は,図9(A)に示すインダクタ41Lに限らず,図9(B)に示すシャント接続型のキャパシタ41Cであってもよいし,図9(C)に示すシリーズ接続のインダクタ43L,又は図9(D)に示すシリーズ接続のキャパシタ43Cであってもよい。 [0088] また,第3外部接続端子P3側の整合素子は,図9(E)に示すインダクタ42Lに限らず,図9(F)に示すシャント接続型のキャパシタ42Cであってもよいし,図9(G)に示すシリーズ接続のインダクタ44L,又は図9(H)に示すシリーズ接続のキャパシタ44Cであってもよい。」 「[図9] 」 の記載があるから, 「デュプレクサ101は,第1外部接続端子P1,第2外部接続端子P2,第3外部接続端子P3,送信信号用のフィルタ部20,受信信号用のフィルタ部30,インダクタ41L,インダクタ42L,インダクタ50,およびインダクタ60を備え, 送信信号用のフィルタ部20は,第1外部接続端子P1と第3外部接続端子P3との間に接続され,インダクタ41Lは,整合素子であり,第1外部接続端子P1と送信信号用のフィルタ部20との間の経路401に対しシャント接続され,インダクタ42Lは,整合素子であり,第3外部接続端子P3と送信信号用のフィルタ部20との間の経路402に対しシャント接続され, 送信信号用のフィルタ部20は,直列腕共振子である複数のSAW共振子201,202,203,204,205,および206と,並列共振子である複数のSAW共振子211,212,および213を備え, P1側の整合素子は,インダクタ41Lに限らず,シリーズ接続のインダクタ43Lであってもよく, 第3外部接続端子P3側の整合素子は,インダクタ42Lに限らず,シリーズ接続のインダクタ44Lであってもよい デュプレクサ。」(以下,「引用文献3記載技術」という。) が記載されている。 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-151697号公報(以下,「引用文献4」という。下線は当審が付与。)には, 「【0074】 図18のように,直列共振器S11を直列に分割することにより,トリプルビート値が改善する。このように直列共振器S11の分割はトリプルビート値の改善に非常に有効である。しかしながら,直列共振器S11を5分割してもトリプルビート値は-77dBc程度である。さらに分割数を増やしてもトリプルビート値は飽和傾向にある。さらに,共振器の分割数を増やすと,分割された共振器1個当りの静電容量を増加させるため面積が大きくなる。例えば,共振器をn分割すると,共振器のサイズはn^(2)倍となり,フィルタ面積が増大してしまう。さらに,共振器の分割により電極の抵抗が増大し,フィルタの損失が増加してしまう。」 「【0114】 実施例4は,直列共振器S23の反共振周波数を調整する例である。図28(a)は,実施例4のシミュレーションに用いた分波器の回路図である。図28(b)は,直列共振器S23が分割されていない分波器の回路図である。図28(a)のように,受信用フィルタ10の直列共振器S11を2分割とした。送信用フィルタ20の並列共振器P21とP22とに共通に寄生グランドインダクタンスL21,並列共振器P23に寄生グランドインダクタンスL22を設けた。2分割された直列共振器S21,S22およびS23は,送信端子Ttx側を共振器S21a,S22aおよびS23aとした。アンテナ端子Tant側を共振器S21b,S22bおよびS23bとした。その他の構成は実施例1の図17と同じであり説明を省略する。」 「【図28】 」 の記載があるから, 「トリプルビート値を改善するため,直列共振器S11を直列に分割する場合に,直列共振器S23の反共振周波数を調整するために,直列共振器S23が分割されない分波器。」(以下,「引用文献4記載技術」という。) が記載されている。 5.引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された特開2016-184900号公報(以下,「引用文献5」という。下線は当審が付与。)には, 「【0065】 [2-1.弾性表面波フィルタの基本構成] 本発明の実施例2に係る弾性表面波フィルタの基本構成について説明する。本実施例では,TD-LTE規格のBand41 FullBand-Filter(通過帯域:2496-2690MHz,比帯域:7.46%)に適用される帯域通過型の弾性表面波フィルタについて例示する。」 の記載があるから, 「TD-LTE規格のBand41 FullBand-Filter(通過帯域:2496-2690MHz)に適用される帯域通過型の弾性表面波フィルタ」(以下,「引用文献5記載技術」という。) が記載されている。 6.引用文献6について 原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-229743号公報(以下,「引用文献6」という。下線は当審が付与。)には, 「【0027】図3は上記直列共振子と並列共振子として用いる圧電共振子の断面図であリ,(A)は直列共振子を構成する圧電共振子部分(以下,「直列共振子部分」という。),(B)は並列共振子を構成する圧電共振子部分(以下「並列共振子部分」という。)について示している。これらは同一の基板上に設けるが,図においては個別に表している。 【0028】図3において1は基板であり,フィルタ単位で分断する前はシリコンウェハである。2はSiO_(2)による薄膜,3はZnOなどによる圧電性薄膜,4はAlなどによる下部電極,5は同じくAlなどによる上部電極である。この例では,1層の圧電性薄膜3により薄膜部を構成している。この薄膜部は複数層の圧電性薄膜により構成してもよい。このように,圧電性の薄膜部の上下面を上部電極5と下部電極4とによって挟み込むことによって,振動部を構成している。基板1には,薄膜2を形成した面とは反対の面に凹部を形成している。この凹部により,振動部の質量を調整して,所定の共振周波数に定めている。なお,凹部に代えて,基板の下部が開口した開口部を設けてもよい。 【0029】(B)に示す並列共振子部分の下部電極4の膜厚は,(A)に示す直列共振子部分の下部電極4の膜厚より厚く成膜している。 【0030】直列共振子部分と並列共振子部分のいずれも,薄膜2,圧電性薄膜3,下部電極4,上部電極5の複合体が,圧電性薄膜の圧電振動により厚み振動する。 【0031】図3に示したように,並列共振子部分の下部電極4の膜厚を直列共振子部分の下部電極4の膜厚より厚くしているため,上記複合体による共振領域全体の厚みが増し,また下部電極4の膜厚が増した分だけ共振領域の質量が増すため,並列共振子部分の共振周波数が直列共振子部分の共振周波数より低下する。」 「【図3】 」 の記載があるから, 「薄膜2,圧電性薄膜3,下部電極4,上部電極5の複合体が,圧電性薄膜の圧電振動により厚み振動する直列共振子部分と並列共振子部分において, 並列共振子部分の下部電極4の膜厚を直列共振子部分の下部電極4の膜厚より厚くすると,並列共振子部分の共振周波数が直列共振子部分の共振周波数より低下する」(以下,「引用文献6記載技術」という。) が記載されている。 第5 対比と検討 1.本願発明1に対して (1)対比 本願発明1と引用発明を対比する。 引用発明の「アンテナ端子31」は,本願発明1の「第1端子」に,引用発明の「送信入力端子11」は,本願発明1の「第2端子」に,それぞれ相当する。 引用発明は,「直列共振子101?105は,送信入力端子11とアンテナ端子31との間に互いに直列に接続され」ており,直列共振子101?105の個数である「5」は,3以上の自然数であるから,本願発明1の「前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ第1経路上に直列に配置されたn個の直列共振子(nは3以上の自然数)」を備えているといえる。 引用発明は,「並列共振子151?154は,送信入力端子11,アンテナ端子31および直列共振子101?105の各接続点と基準端子(グランド)との間に互いに並列に接続され」ているから,本願発明1の「前記第1経路上にて隣り合う前記直列共振子の間のノードとグランドとを結ぶ経路上に配置された1以上の並列共振子」を備えているといえる。 引用発明の「整合用のインダクタンス素子141」は,直列共振子101と送信入力端子11の間に直列に配置されているから,本願発明1の「前記第1経路上にて,前記n個の直列共振子のうち前記第2端子に最も近い共振子である第nの直列共振子と,前記第2端子との間に直列に配置された第2インダクタ」であるといえる。 したがって,本願発明1と引用発明とは, 「複数のフィルタを備える装置であって, 前記複数のフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは, 第1端子及び第2端子と, 前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ第1経路上に直列に配置されたn個の直列共振子(nは3以上の自然数)と, 前記第1経路上にて隣り合う前記直列共振子の間のノードとグランドとを結ぶ経路上に配置された1以上の並列共振子と, 前記第1経路上にて,前記n個の直列共振子のうち前記第2端子に最も近い共振子である第nの直列共振子と,前記第2端子との間に直列に配置された第2インダクタと, を備え, 前記第1端子はアンテナ端子である, 装置。」 で一致し,下記の点で相違している。 相異点1 複数のフィルタを有する装置として,本願発明1はマルチプレクサであるのに対し,引用発明は,「トリプレクサやクワッドプレクサについても適用することができるデュプレクサ」である点。 相異点2 本願発明1は,「前記第1経路上にて,前記第1端子と,前記n個の直列共振子のうち前記第1端子に最も近い共振子である第1の直列共振子との間に直列に配置された第1インダクタ」を備えるのに対し,引用発明は,該インダクタがない点。 相異点3 本願発明1は,「前記第1の直列共振子の共振周波数を第1の共振周波数とし,前記第1の直列共振子及び前記第nの直列共振子と異なる他の直列共振子の共振周波数を第2の共振周波数とし,前記第nの直列共振子の共振周波数を第3の共振周波数とした場合に,前記第1の共振周波数及び前記第3の共振周波数のそれぞれは,前記第2の共振周波数よりも高い」のに対し,引用発明は,「直列共振子102,103および104の反共振周波数と共振周波数の差である周波数差Δf2,Δf3およびΔf4は,直列共振子101および105の反共振周波数と共振周波数との周波数差Δf1およびΔf5よりも小さく,かつ,直列共振子102,103および104の反共振周波数fas2,fas3およびfas4は,直列共振子101および105の反共振周波数fas1およびfas5よりも低」く,「直列共振子101?105のIDT電極を構成する複数の電極指の繰り返しピッチを,それぞれ,λ1?λ5とすると,λ1,λ5<λ2,λ3,λ4となる構成で実現してもよい」点。 (2)検討 事案に鑑み,相違点2について検討する。 引用文献2記載技術には,「アンテナ端子23と送信端子24とを結ぶ直列腕が構成され,この直列腕に,インダクタL1及び直列腕共振子S21?S24が配置され,直列腕共振子S24と送信端子24との間にインダクタL4が接続され」ているが,引用文献2記載技術は,並列腕共振子P21,P22が,比帯域の大きなSc含有窒化アルミニウム膜を用いた第1の実施形態の圧電薄膜共振子からなり,直列腕共振子S21?S24が,Scを含有していない前述した第2の圧電薄膜共振子からなることによって,「通過帯域低域側の肩部の周波数位置を,容易に調整でき,かつ周波数温度特性も調整する」ものである。 一方,本願発明1は,【0037】に「本実施の形態のフィルタは,通過帯域幅を広げるとともに,共振周波数と異なる周波数にて不要共振が発生することを抑制し,通過帯域外における減衰量を大きくすることができる構成を有している。」と記載しているように,「通過帯域外における減衰量を大きくする」ことを目的の一つとしており,「通過帯域外における減衰量を大きくする」ものではない(即ち,目的が本願発明1と全く異なる)引用文献2記載技術を採用する動機がない。 また,引用文献3記載技術には,「第1外部接続端子P1,第2外部接続端子P2,第3外部接続端子P3,送信信号用のフィルタ部20,受信信号用のフィルタ部30,インダクタ41L,インダクタ42L,インダクタ50,およびインダクタ60を備え」るデュプレクサの「整合素子は,インダクタ41Lに限らず,シリーズ接続のインダクタ43Lであってもよく,第3外部接続端子P3側の整合素子は,インダクタ42Lに限らず,シリーズ接続のインダクタ44Lであってもよい」ことが記載されているから,整合素子として,シャント接続されるインダクタ41L,42Lの代わりにシリーズ接続のインダクタ43L,44Lとすることが周知であるとしても,引用発明においてフィルタ10の第1の直列共振子105側には,そもそも整合素子はないから,「直列に配置された第1インダクタ」を備えるようにすることは当業者であっても容易に想到し得るとはいえない。 引用発明のインダクタンス素子311は,アンテナ素子と送信側フィルタ10および受信側フィルタ20とのインピーダンス整合をとるインピーダンス整合素子であって,「送信側フィルタ10」が備えるインダクタンス素子ではない。 (3)小括 したがって,他の相違点を検討するまでもなく,本願発明1は引用発明及び引用文献2-3に記載された事項により当業者が容易に発明することができたものである,とはいえない。 2.本願発明2-8に対して 本願発明2-8は,本願発明1と同一の構成を備えるから,本願発明1と同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである,とはいえない。 3.本願発明9に対して 本願発明9と引用発明を対比すると,上記「第5 対比と検討」の「1.本願発明1に対して」における「相異点2」と同じ相異点を少なくとも有し,さらに,原査定の拒絶の理由に引用された,引用文献4-6のいずれの文献にも,かかる事項は記載も示唆もされていないから,上記「1.本願発明1に対して」で検討したのと同様の理由により,本願発明9は引用発明及び引用文献2-6に記載された事項により当業者が容易に発明することができたものである,とはいえない。 第6 原査定について 上記第2?第5のとおり,原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。 第7 むすび 以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-09-17 |
出願番号 | 特願2017-192723(P2017-192723) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H03H)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | ▲高▼橋 徳浩 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
吉田 隆之 衣鳩 文彦 |
発明の名称 | マルチプレクサ |
代理人 | 吉川 修一 |
代理人 | 傍島 正朗 |