• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06K
管理番号 1378522
審判番号 不服2021-4172  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-01 
確定日 2021-10-19 
事件の表示 特願2018-506322「電力の最適化」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月16日国際公開、WO2017/025481、平成30年10月18日国内公表、特表2018-530812、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2016年(平成28年)8月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年8月7日(以下,「優先日」という。),米国,2015年8月28日,英国)を国際出願日とする出願であって,令和2年3月9日付けで拒絶理由が通知され,令和2年7月3日付けで意見書が提出されたが,令和2年11月24日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和3年4月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年11月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1?13に係る発明は,以下の引用文献1?2に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2010/0039234号明細書
2.米国特許出願公開第2002/0097144号明細書

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって,請求項1において,「指紋認証モジュールであるバイオメトリック認証モジュール」とする補正及び,「前記制御することが,高電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを高クロック速度で動作させ,低電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを低クロック速度で動作させることを含む」とする補正は,それぞれ,補正前の請求項1の発明特定事項である「バイオメトリック認証モジュール」及び「制御すること」を限定的に減縮するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,また,当該補正の内容は,出願当初の特許請求の範囲の請求項3及び明細書の段落0008に記載されているから,当該補正は新規事項を追加するものでもない。
また,審判請求時の補正によって請求項6において,「且つ指紋認証モジュールであるバイオメトリック認証モジュール」とする補正及び,「前記制御することが,高電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを高クロック速度で動作させ,低電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを低クロック速度で動作させることを含んでなる」とする補正は,それぞれ,補正前の請求項8の発明特定事項である「バイオメトリック認証モジュール」及び「制御すること」を限定的に減縮するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり,また,当該補正の内容は,出願当初の特許請求の範囲の請求項9及び明細書の段落0018に記載されているから,当該補正は新規事項を追加するものでもない。
そして,以下の「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項1?9に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願の請求項1?9に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」?「本願発明9」という。)は,令和3年4月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される発明であり,以下の通りの発明である。

「 【請求項1】
アンテナを用いて無線周波数励起場から電力を抽出することと,
前記アンテナから抽出された前記電力を用いて,指紋認証モジュールであるバイオメトリック認証モジュールの処理ユニットに電力を供給することと,
前記処理ユニットへ供給される前記電力を監視することと,
監視された前記電力のレベルに基づいて前記処理ユニットのクロック速度を制御することと
を含み,
前記制御することが,高電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを高クロック速度で動作させ,低電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを低クロック速度で動作させることを含む,
方法。
【請求項2】
前記処理ユニットに電力を供給すると同時に前記アンテナから抽出された前記電力を用いて通信モジュールに電力を供給することをさらに含む,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御することが,前記処理ユニットをその最大クロック速度で動作させると前記通信モジュールの動作を害してしまう時に前記処理ユニットをその最大クロック速度未満のクロック速度で動作させることを含む,請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記励起場がRFID読取装置により生成される,請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アンテナおよび前記処理ユニットがRFIDデバイスのコンポーネントである,請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
無線周波数信号から電力を受信,抽出するためのアンテナと,
前記アンテナにより電力が供給され,クロック速度が変更可能な処理ユニットを有し且つ指紋認証モジュールであるバイオメトリック認証モジュールと,
前記処理ユニットへ供給される前記電力を監視するためのセンサーと,
監視された前記電力のレベルに基づいて前記処理ユニットのクロック速度を制御するためのクロック速度制御ロジックと
を備え,
前記制御することが,高電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを高クロック速度で動作させ,低電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを低クロック速度で動作させることを含んでなる,デバイス。
【請求項7】
前記アンテナから抽出された前記電力により電力が供給される通信モジュールをさらに備えてなる,請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記通信モジュールが前記アンテナを介して通信するためにアクティブロードモジュレーションを用いるように構成されてなる,請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記制御することが,前記処理ユニットをその最大クロック速度で動作させると前記通信モジュールの動作を害しうる時に前記処理ユニットをその最大クロック速度未満のクロック速度で動作させることを含んでなる,請求項7または8に記載のデバイス。」

第5 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許出願公開第2010/0039234号明細書)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「[0060] FIG. 7 illustrates a functional block diagram of a biometric device 700 in accordance with some embodiments of the present invention.・・・
[0061] As illustrated in FIG. 7, the biometric device 700 can comprise various components. The components can include an antenna 710, interface pads 715, a processor or microcontroller 720 (CPU), a power circuit 725, an RF chip 730, and a biometric sensor 735 (e.g., a finger pint sensor(当審注:「a finger pint sensor」は「a finger print sensor」の誤記である。). As illustrated, the biometric device 700 does not include a local power supply (in other embodiments, the biometric device may include a lower power supply, such as a battery or solar cell system). ・・・」
(当審訳:[0060]図7は,本発明のいくつかの実施形態に係る生体認証装置700の機能ブロック図を示す。・・・
[0061]図7に示すように,生体認証装置700は,様々な構成要素を含むことができる。構成要素は,アンテナ710,インタフェース・パッド715,プロセッサ又はマイクロコントローラ720(CPU),電力回路725,RFチップ730及びバイオメトリックセンサ735(例えば,指紋センサ)を含むことができる。図示されるように,生体認証装置700は,ローカル電源を含んでいない(他の実施形態では,生体認証装置は,電池,又は,太陽電池システムなどのより低い電源を含んでいてもよい)。・・・)

イ 「[0064]・・・When a user with the biometric device approaches the RFID reader, the antenna 710 harvests energy from the RF field, the power circuit 725 converts the harvested power to DC, and then the DC voltage is distributed for use.
[0065] When receiving power, the fingerprint sensor 735 activates and captures external finger print data. The external finger print data is provided to the CPU 720. The CPU 720 compares the external finger print data to the stored fingerprint template. Based on the comparison, the CPU 720 can calculate a comparison score. The CPU 720 can then contrast the comparison score with a set threshold to determine if a match or no match condition has occurred. The threshold can be adjusted to ensure sensory integrity. If the CPU 720 determines that the external fingerprint data matches to stored template, the CPU 720 can proceed to take steps to communicate this information. For example, the CPU 720 can signal the RF chip 730 to generate a signal for wireless transmission by the antenna 710. ・・・」
(当審訳:[0064]・・・生体認証装置を有するユーザがRFIDリーダに接近すると,アンテナ710は,RFフィールドからエネルギーを収集し,電力回路725は,収集した電力を直流に変換し,直流電圧は使用のために配布される。
[0065]電力を受信すると,指紋センサ735が起動し,外部の指紋データを取り込む。外部の指紋データはCPU720に提供される。CPU720は,外部の指紋データを記憶された指紋テンプレートと比較する。この比較に基づいて,CPU 720は,比較スコアを計算することができる。次にCPU 720は,比較スコアを設定された閾値と対比して,一致状態又は不一致状態が発生したかどうかを判定することができる。閾値は,感知の完全性を保証するように調整することができる。CPU720は,外部の指紋データが,記憶されたテンプレートと一致すると判定した場合,CPU720は,この情報を通信するステップに進むことができる。例えば,CPU720は,アンテナ710による無線送信のための信号を生成するようにRFチップ730に信号を送ることができる。・・・)

ウ 「[0069] FIG. 8 illustrates a schematic of a biometric device 800 in accordance with some embodiments of the present invention. ・・・」
(当審訳:[0069]図8は,本発明のいくつかの実施形態に係る生体認証装置800の概略を示す図である。・・・)

エ 「[0074] When the biometric device 800 is positioned proximate an energy source (e.g., an RFID card reader), the device will begin to operate (FIG. 9 explains additional operational state details). ・・・
[0075]・・・After acting on the captured finger print data, the CPU 820 can compare the extracted image to previously stored finger print data. ・・・
[0076] To implement the comparison of the two data sets, the CPU 820 can implement a matching algorithm. The matching algorithm can retrieve the stored finger print data from memory and compare with the received external data. Results of the comparison may produce a comparison score. After obtaining the comparison score, the CPU 820 can determine if the score exceeds or falls below a predetermined threshold. In some embodiments, a comparison score that exceeds the threshold indicates a match condition and a comparison score that falls below the threshold indicates a no match condition.
[0077] After determining the existence of a match or no match condition, the CPU 820 can initiate control of the RF chip 830. For example, upon confirming a match condition, the CPU 820 holds the register of an IO port to output a signal to enable Q1 to drive the antenna 810 at tap C (tap C can be located at roughly the center of the whole antenna 810). By controlling the output signal to Q1, the CPU can toggle Q1's gate thereby turning Q1 off and on. This off and on modulates antenna transmission. The toggling activity, thus, enables the RF chip 830 to modulate data transmitted by the antenna 810.
[0078] While the CPU 820 is controlling Q1, the CPU 820 can hold its IO port. When doing this, the CPU 820 can reduce its clock cycle to induce a sleep mode or a low frequency clock mode. When entering a sleep mode, the CPU 820 can also instruct the finger print sensor 835 to enter a sleep mode. By entering a sleep mode, the CPU 820 and the finger print sensor consume less power thereby preserving power for other components.
[0079] By operating in this fashion, the biometric device 800 can obtain full power from a wireless energy source. This full power can be initially used by the CPU 820 and the finger print sensor 835 to focus on calculations. Then the device 800 can focus on sending signal data via RF chip 830. ・・・」
(当審訳:[0074]生体認証装置800は,エネルギー源(例えば,RFIDリーダ)の近くに配置されると,装置は動作を開始する(図9は,付加的な動作状態の詳細を説明する)。・・・
[0075]・・・撮像された指紋データに作用した後,CPU820は,抽出した画像を予め記憶された指紋データと比較することができる。・・・
[0076]2個のデータセットの比較を実現するために,CPU820は,マッチングアルゴリズムを実行することができる。マッチングアルゴリズムは,メモリから記憶された指紋データを読み出し,受信した外部データと比較することができる。比較の結果,比較スコアを生成することができる。比較スコアを取得した後,CPU820は,スコアが所定の閾値を上回るか下回るかを判定することができる。いくつかの実施形態では,閾値を越える比較スコアは一致状態を示し,閾値を下回るという比較スコアは,不一致状態を示している。
[0077]一致状態又は不一致状態の存在を決定した後,CPU820は,RFチップ830の制御を開始することができる。例えば,一致状態を確認すると,CPU820は,Q1がTAP Cでアンテナ810を駆動できるようにするための信号を出力するように,IOポートのレジスタを保持する(タップCは,アンテナ810全体のほぼ中央に配置することができる)。Q1への出力信号を制御することによって,CPUは,Q1のゲートをトグルさせることができ,それによってQ1をオフ及びオンにする。このオフとオンがアンテナの送信を変調させる。したがって,トグル動作は,RFチップ830がアンテナ810によって送信されるデータを変調することを可能にする。
[0078]CPU820がQ1を制御している間,CPU820はそのIOポートを保持することができる。この際,CPU820は,そのクロック・サイクルを低減するスリープモード又は低周波クロックモードを誘発させることができる。スリープモードに入ると,CPU820は,さらに,指紋センサ835がスリープモードに入るように命令することができる。スリープモードに入ることにより,CPU820と,指紋センサは,より少ない電力を消費し,それによって他の構成要素のための電力を保持する。
[0079]このように動作することにより,生体認証装置800は,無線エネルギー源から全電力を得ることができる。この全電力は,最初に,計算に集中するCPU820と,指紋センサ835によって使用することができる。次に,生体認証装置800は,RFチップ830を介して信号データを送信することに集中することができる。・・・)

オ 「図7



カ 「図8



(2)ア 引用文献1の上記図7は,「生体認証装置700の機能ブロック図」であり,また,図8は,「生体認証装置800の概略を示す図」であるところ,両者は「生体認証装置」の同じ実施形態を説明するための図面であると認められるので,図7の説明と図8の説明の両者を合わせて以下の引用発明を認定する。

イ そうすると,上記(1)のア?カに摘記した引用文献1の記載事項から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「生体認証装置は,アンテナ,CPU,電力回路,RFチップ及び指紋センサを含み,生体認証装置は,ローカル電源を含んでおらず,([0061],図7)
生体認証装置を有するユーザがRFIDリーダに接近すると,アンテナは,RFフィールドからエネルギーを収集し,電力回路は,収集した電力を直流に変換し,直流電圧は使用のために配布され,([0064],図7)
電力を受信すると,指紋センサが起動し,外部の指紋データを取り込み,外部の指紋データはCPUに提供され,CPUは,外部の指紋データを記憶された指紋テンプレートと比較し,この比較に基づいて,CPUは,比較スコアを計算し,([0064],図7)
次にCPUは,比較スコアを設定された閾値と対比して,一致状態又は不一致状態が発生したかどうかを判定し,([0064],図7)
一致状態又は不一致状態の存在を決定した後,CPUは,RFチップの制御を開始し,([0077],図8)
例えば,一致状態を確認すると,CPUは,Q1がアンテナを駆動できるようにするための信号を出力するように,IOポートのレジスタを保持し,([0077],図8)
この際,CPUは,そのクロック・サイクルを低減するスリープモードを誘発させ,([0078],図8)
スリープモードに入ると,CPUは,さらに,指紋センサがスリープモードに入るように命令し,([0078],図8)
スリープモードに入ることにより,CPUと,指紋センサは,より少ない電力を消費し,それによって他の構成要素のための電力を保持し,([0078],図8)
このように動作することにより,生体認証装置は,無線エネルギー源から全電力を得ることができ,この全電力は,最初に,計算に集中するCPUと,指紋センサによって使用することができ,次に,生体認証装置は,RFチップを介して信号データを送信することに集中することができる,([0079],図8)
方法。」

2.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(米国特許出願公開第2002/0097144号明細書)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「[0005] FIG. 1 illustrates a block diagram of a contactless smart card system having a reader 100 and a smart card 110 . The reader 100 comprises a signal source 102 and a resonant output circuit, which comprises capacitors 104 and 106 and an inductive antenna 108 . The resonant frequency of the resonant output circuit 104 , 106 , 108 is substantially equal to the frequency of signal source 102 . The inductive antenna 108 generates an electromagnetic field when a signal is applied to it.
[0006] The smart card 110 comprises an integrated circuit 114 and an inductive loop 112 . When the smart card 110 is brought into the proximity of the reader 100 , the inductive antenna 108 of the reader 100 and the inductive loop 112 of the smart card 110 form a loosely coupled transformer. A coupling coefficient M 115 for the loosely coupled transformer is a function of distance and orientation of the inductive antenna 108 and the inductive loop 112 . The electromagnetic field generated by the inductive antenna 108 is received by the inductive loop 112 and converted to a current. This received current can be used to power the integrated circuit 114 . The electromagnetic field can also be used for data transfer between the reader 100 and the smart card 110 .」
(当審訳:[0005]図1は,リーダ100とスマートカード110を有する非接触スマートカードシステムのブロック図を示す。リーダ100は,信号源102と共振出力回路とを備え,共振出力回路は,キャパシタ104,106及び誘導アンテナ108を備えている。共振出力回路104,106,108の共振周波数は信号源102の周波数と実質的に等しい。誘導アンテナ108は,信号が印加されているときに電磁界を生成する。
[0006]スマートカード110は,集積回路114と誘導ループ112を備えている。スマートカード110がリーダ100に近づけられると,リーダ100の誘導アンテナ108とスマートカード110の誘導ループ112が疎結合の変圧器を形成する。疎結合変圧器の結合係数M 115は,誘導アンテナ108と誘導ループ112の距離及び配向の関数である。誘導アンテナ108によって生成される電磁界は,誘導ループ112により受信され,電流に変換される。この受け取られた電流は,集積回路114に電力を供給するために使用することができる。また電磁場は,リーダ100とスマートカード110との間のデータ転送のために使用することができる。)

イ 「[0029] In accordance with the preferred embodiment of the present invention, FIG. 4 a illustrates a general block diagram of a portable data device (e.g., a smart card) 400 that utilizes its available [ath 0223 ]power in a more efficient manner than that of the prior art design. FIG. 4 b illustrates an exploded view of the coupling between the digital circuit 432 , the clock generator 428 , and the power controller 430 of the portable data device of FIG. 4 a [ath 0224 ] The digital circuit 432 provides the signal processing or computation requirements of the device 400 . The digital circuit 432 could be, but not limited to, a microprocessor, a micro-controller, a digital signal processor, or custom digital hardware. A power controller 430 couples a power signal from input power ports 427 and 429 to power ports 435 and 437 on the digital circuit 432 . The power controller 430 also provides a measure of the available power at signal 433 . A clock generator 428 generates [ath 0225 ]a clock signal 439 used by the digital circuit 432 . The clock generator 428 uses the measured available power signal 433 from the power controller 430 to adjust the frequency of the clock signal 439 for the digital circuit 432 . FIG. 4 a includes a reference clock input 431 for generation of the clock signal 439 for the digital circuit 432 . The clock generator 428 may or may not require a reference clock frequency input.
[0030] The clock generator 428 can vary the frequency of the clock signal 439 as a function of the available power represented by the signal 433 . In accordance with the preferred embodiment of the present invention, when excess power is available (i.e., when there is close coupling between the portable data device 400 and the interface device 100 ), the clock frequency is increased. If less power is available (i.e., when the portable data device 400 is further away from the interface device 100 ), the clock frequency is reduced. One advantage of the present invention is that when excess power is available, the digital processing can be completed faster. Another advantage of the present invention is that when sufficient power is not available from the RF field, processing can continue at a reduced rate. The prior art solution exemplified by smart card 110 in FIG. 1 has a fixed transaction time in its powering range and is non-functional beyond that range (e.g., 10 cm-see FIG. 3).」
(当審訳:[0029]本発明の好ましい実施形態によれば,図4aは,従来の設計のものよりもより効率的な方法で利用可能な電力を利用する携帯型データ装置(例えば,スマートカード)400の一般的なブロック図を示している。図4bは,図4aの携帯型データ装置のデジタル回路432,クロック発生器428,及び電力コントローラ430の間の結合の分解図を示す。デジタル回路432は,装置400の信号処理又は計算要件を提供する。デジタル回路432は,限定されないが,マイクロプロセッサ,マイクロコントローラ,デジタルシグナルプロセッサ,又はカスタムデジタルハードウェアであってもよい。電力コントローラ430は,入力電力ポート427及び429からの電力信号をデジタル回路432上の電力ポート435及び437に結合する。また,電力コントローラ430は,信号433で,利用可能な電力の測定値を提供する。クロック発生器428は,デジタル回路432によって使用されるクロック信号439を発生する。クロック発生器428は,電力コントローラ430からの測定された利用可能な電力の信号433を使用して,デジタル回路432に対するクロック信号439の周波数を調整する。図4aは,デジタル回路432のためのクロック信号439を生成するための基準クロック入力431を含む。クロック発生器428は,基準クロック周波数の入力を必要とする場合としない場合がある。
[0030]クロック発生器428は,信号433によって表された利用可能な電力の関数としてクロック信号439の周波数を変化させることができる。本発明の好ましい実施形態によれば,余剰電力が利用可能であるとき(すなわち,携帯型データ装置400とインタフェース装置100との間に密接な結合があるとき),クロック周波数を増加させる。より少ない電力しか利用できない場合(すなわち,携帯型データ装置400が,インタフェース装置100から遠く離れている場合),クロック周波数を低下させる。本発明の1つの利点は,余剰電力が利用可能である場合には,デジタル処理がより速く完了することができることである。本発明の別の利点は,RFフィールドから十分な電力が利用可能でない場合,処理は,低下した速度で続けることができることである。図1のスマートカード110によって例示される先行技術の解決策は,その電力供給範囲において固定されたトランザクション時間を有し,その範囲(例えば,10cm。図3を参照。)を超えると機能しない。)

ウ 「図1



エ 「図4a



(2)上記(1)アの「スマートカード110」,上記(1)イの「スマートカード400」,及び「携帯型データ装置400」は,いずれも「スマートカード」を意味するものであり,また,上記(1)アの「リーダ100」及び上記(1)イの「インタフェース装置100」は,いずれも「リーダ」を意味するものである。
そうすると,上記(1)に摘記した引用文献2の記載事項から,引用文献2には,次の技術(以下,「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。

「スマートカードがリーダに近づけられると,リーダの誘導アンテナとスマートカードの誘導ループが疎結合の変圧器を形成し,誘導アンテナによって生成される電磁界は,誘導ループにより受信され,電流に変換され,この受け取られた電流は,集積回路に電力を供給するために使用することができる非接触スマートカードシステムにおいて,(段落0005,0006,図1)
効率的な方法で利用可能な電力を利用するスマートカードは,デジタル回路,クロック発生器,及び電力コントローラを備え,デジタル回路はマイクロプロセッサであってもよく,電力コントローラは,信号433で,利用可能な電力の測定値を提供し,クロック発生器は,電力コントローラからの測定された利用可能な電力の信号433を使用して,デジタル回路に対するクロック信号の周波数を調整し,余剰電力が利用可能であるとき(すなわち,スマートカードとリーダとの間に密接な結合があるとき),クロック周波数を増加させ,より少ない電力しか利用できない場合(すなわち,スマートカードが,リーダから遠く離れている場合),クロック周波数を低下させる技術。(段落0029,0030,図4a)」


第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明の「アンテナ」,「RFフィールド」は,それぞれ,本願発明1の「アンテナ」,「無線周波数励起場」に相当するから,引用発明の「アンテナは,RFフィールドからエネルギーを収集」することは,本願発明1の「アンテナを用いて無線周波数励起場から電力を抽出すること」に相当する。

イ 引用発明は,「電力を受信すると,指紋センサが起動し,外部の指紋データを取り込み,外部の指紋データはCPUに提供され,CPUは,外部の指紋データを記憶された指紋テンプレートと比較し,この比較に基づいて,CPUは,比較スコアを計算し」,「次にCPUは,比較スコアを設定された閾値と対比して,一致状態又は不一致状態が発生したかどうかを判定し」ているところ,引用発明の「受信」される「電力」は,本願発明1の「前記アンテナから抽出された前記電力」に相当し,引用発明の「生体認証装置」は,ローカル電源を含んでいないから,「受信」される「電力」を用いて,「指紋センサ」と「CPU」に電力を供給しているといえる。
また,引用発明では,「指紋センサ」と「CPU」とによって,指紋認証機能を実行しているから,引用発明の「指紋センサ」と「CPU」は,本願発明1の「指紋認証モジュールであるバイオメトリック認証モジュール」に相当し,そのうちの「CPU」は本願発明1の「指紋認証モジュールであるバイオメトリック認証モジュールの処理ユニット」に相当する。
したがって,引用発明と本願発明1とは,「前記アンテナから抽出された前記電力を用いて,指紋認証モジュールであるバイオメトリック認証モジュールの処理ユニットに電力を供給する」点で一致している。

ウ したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「アンテナを用いて無線周波数励起場から電力を抽出することと,
前記アンテナから抽出された前記電力を用いて,指紋認証モジュールであるバイオメトリック認証モジュールの処理ユニットに電力を供給することと
を含む,方法。」

(相違点)
本願発明1では,
「前記処理ユニットへ供給される前記電力を監視することと,
監視された前記電力のレベルに基づいて前記処理ユニットのクロック速度を制御することと
を含み,
前記制御することが,高電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを高クロック速度で動作させ,低電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを低クロック速度で動作させることを含む」
のに対して,引用発明は,そのような構成となっていない点。

(2)相違点についての判断
ア 引用文献2には,上記第5の2.で認定したように,
「スマートカードがリーダに近づけられると,リーダの誘導アンテナとスマートカードの誘導ループが疎結合の変圧器を形成し,誘導アンテナによって生成される電磁界は,誘導ループにより受信され,電流に変換され,この受け取られた電流は,集積回路に電力を供給するために使用することができる非接触スマートカードシステムにおいて,
効率的な方法で利用可能な電力を利用するスマートカードは,デジタル回路,クロック発生器,及び電力コントローラを備え,デジタル回路はマイクロプロセッサであってもよく,電力コントローラは,信号433で,利用可能な電力の測定値を提供し,クロック発生器は,電力コントローラからの測定された利用可能な電力の信号433を使用して,デジタル回路に対するクロック信号の周波数を調整し,余剰電力が利用可能であるとき(すなわち,スマートカードとリーダとの間に密接な結合があるとき),クロック周波数を増加させ,より少ない電力しか利用できない場合(すなわち,スマートカードが,リーダから遠く離れている場合),クロック周波数を低下させる技術。」(引用文献2記載技術)
が記載されている。
引用文献2記載技術の「デジタル回路」は本願発明1の「処理ユニット」に対応し,引用文献2記載技術の「電力コントローラ」は,「信号433で,利用可能な電力の測定値を提供し」ているから,「処理ユニットへ供給される電力を監視」している点で本願発明1と一致し,引用文献2記載技術の「クロック発生器」は,「電力コントローラからの測定された利用可能な電力の信号433を使用して,デジタル回路に対するクロック信号の周波数を調整し」ているから,「監視された前記電力のレベルに基づいて前記処理ユニットのクロック速度を制御する」点で本願発明1と一致し,さらに,引用文献2記載技術の「余剰電力が利用可能であるとき(すなわち,スマートカードとリーダとの間に密接な結合があるとき),クロック周波数を増加させ,より少ない電力しか利用できない場合(すなわち,スマートカードが,リーダから遠く離れている場合),クロック周波数を低下させる」ことは,本願発明1の「高電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを高クロック速度で動作させ,低電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを低クロック速度で動作させる」ことに相当するから,結局,引用文献2記載技術は,本願発明1の「前記処理ユニットへ供給される前記電力を監視することと,
監視された前記電力のレベルに基づいて前記処理ユニットのクロック速度を制御することと
を含み,
前記制御することが,高電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを高クロック速度で動作させ,低電力レベルが検出された時に前記処理ユニットを低クロック速度で動作させることを含む」ことに相当する構成であるといえる。

ここで,引用発明と引用文献2記載技術の組合せについて検討すると,引用発明は,指紋認証機能を有するデバイスにおいて,指紋認証の処理が終了するとCPUのクロックを低速にしてスリープモードに入り,これにより,他の構成,特にRFチップに十分な電力が行き渡るようにするという技術である一方,引用文献2記載技術は,RFIDタグが存在する電磁界の強さに応じてクロック速度を変更するというものであり,両者は,エネルギーを効率的に利用しようとするものである点では共通しているものの,その実現方法において,全く異なるものであり,前者の,指紋認証処理が終了すると,CPUのクロックを低速にするという制御態様(以下,「第1のクロック制御態様」という。)と,後者の,電磁界の強さに応じてクロックの速度を変更するという制御態様(以下,「第2のクロック制御態様」という。)とを組み合わせることは当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
加えて,引用文献1には,第1のクロックの制御態様を第2のクロックの制御態様に置き換える動機付けとなる記載はなく,また,仮にそのような置き換えを行うと,指紋認証処理が終了して,CPUのクロックを低速にすることにより,RFチップに十分な電力が行き渡るようにするという引用発明の効果を失うことになるから,引用発明に引用文献2記載技術を採用する動機付けがあるとはいえない。
したがって,引用発明に引用文献2記載技術を適用して相違点に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことであるということはできない。
また,指紋認証モジュールの処理ユニットへ供給される電力を監視し,監視された前記電力のレベルに基づいて前記処理ユニットのクロック速度を制御することが,本願の優先日前に当該技術分野における周知技術であったともいえない。

イ よって,本願発明1は,当業者であっても引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2?5について
本願発明2?5は,本願発明1を直接・間接に引用するものであって,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
また,本願発明6は,本願発明1に対応するデバイスの発明であって,本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
また,本願発明7?9は,本願発明6を直接・間接に引用するものであって,本願発明6と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明1?9は,当業者が引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-09-30 
出願番号 特願2018-506322(P2018-506322)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅沢 俊  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 須田 勝巳
山澤 宏
発明の名称 電力の最適化  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ