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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B60W
管理番号 1378561
審判番号 不服2021-3886  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-25 
確定日 2021-10-19 
事件の表示 特願2017-82408「車両の制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日出願公開、特開2018-177102、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年4月18日の出願であって、令和2年12月28日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和3年3月25日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2 本願発明について
1 本願発明
特許請求の範囲の請求項1?7に係る発明(以下「本願発明1?7」という。)は、特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される以下のとおりのものであると認める。

「【請求項1】
エンジンと、駆動トルクを発生することが可能な回転機と、前記エンジンの動力により充電されると共に前記回転機に電力を供給するバッテリとを備えた車両の、制御装置であって、
運転者の運転操作に基づいて走行する第1 運転制御と、地図情報及び道路情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて自動的に目標走行状態を設定し、前記目標走行状態に基づいて加減速を自動的に行うことで走行する第2運転制御とを選択的に行うことが可能な運転制御部と、
前記エンジンの運転停止時に前記バッテリの充電状態を表す値がエンジン始動閾値よりも低下した場合には前記エンジンを始動するエンジン制御部と、
前記第2運転制御時には、前記第1 運転制御時と比べて前記エンジン始動閾値を小さくする始動閾値設定部と
を、含むことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記エンジン制御部は、前記第2運転制御時には、前記回転機が前記駆動トルクとして発生する出力トルクが、前記第1 運転制御時において前記駆動トルクとして発生することが許可される前記回転機の出力トルクの上限値よりも小さいときに前記エンジンを始動することを特徴とする請求1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記運転制御部は、前記目標走行状態に基づいて前記加減速と操舵とを自動的に行うことで前記第2運転制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記運転制御部は、目標車速、先行車両に対する目標車間距離、前記地図情報における目標地点のうちの少なくとも1つの目標を設定することで前記目標走行状態を設定することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記車両は、前記バッテリに充電される電力を前記エンジンの動力により発電すると共に前記エンジンの始動時には前記バッテリから供給される電力により前記エンジンを回転駆動する第1回転機を備えており、前記回転機は、前記バッテリから供給される電力により前記駆動トルクを発生する第2回転機であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記回転機は、前記バッテリに充電される電力を前記エンジンの動力により発電する発電機としての機能と、前記エンジンの始動時には前記バッテリから供給される電力により前記エンジンを回転駆動するスタータとしての機能と、前記バッテリから供給される電力により前記駆動トルクを発生する電動機としての機能とを有するものであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記運転制御部は、前記第2運転制御として、前記車両に搭乗者がいない状態で前記加減速を自動的に行う無人走行による第2運転制御と、前記車両に搭乗者がいる状態で前記加減速を自動的に行う有人走行による第2運転制御とを選択的に行うことが可能であり、
前記始動閾値設定部は、前記無人走行による第2運転制御時には、前記有人走行による第2運転制御時と比べて前記エンジン始動閾値を小さくすることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の車両の制御装置。」

2 拒絶査定の理由について
拒絶査定の理由は、概略以下のとおりである。

(1)(新規性)この出願の請求項1?5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)(進歩性)この出願の請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明、並びに引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2017-24636号公報
2.特開2001-1787号公報

3 当審の判断
(1) 引用文献1
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば走行計画に基づいて車両を自動的に走行させることが可能な車両制御装置の技術分野に関する。」

(イ)「【0004】
特許文献1に記載した車両制御装置は、上述したように、加速する際の速度によっては、エンジンの熱効率を優先するように加速度パターンを変更することになる。しかしながら、一旦生成された加速度パターンがエンジンの熱効率を優先する目的で車両の走行中に変更される。このため、加速度の変化に起因した違和感を搭乗者に与えてしまいかねないという技術的問題がある。」

(ウ)「【0064】
ECU18は、上述した自動走行動作(つまり、走行計画を生成すると共に走行計画に基づいてハイブリッド車両1を制御する動作)と並行して、自動走行動作を補助する動作に相当する出力制御動作を実行する。出力制御動作は、バッテリ173のSOCが第1閾値TH1以下となる場合にエンジンENGの出力を制御することでエンジンENGの熱効率を制御するように、ハイブリッド車両1を制御する動作である。典型的には、出力制御動作は、バッテリ173のSOCが第1閾値TH1以下となる場合にエンジンENGの出力を増加させることでエンジンENGの熱効率を向上させるように、ハイブリッド車両1を制御する動作である。」

(エ)「【0079】
図3に示すように、ECU18は、ハイブリッド車両1が自動走行動作を実行中であるか否かを判定する(ステップS121)。
【0080】
ステップS121の判定の結果、ハイブリッド車両1が自動走行動作を実行中でないと判定される場合には(ステップS121:No)、ECU18は、図3に示す出力制御動作を終了する。その後、ECU18は、第3所定期間経過後に、再度図3に示す出力制御動作を開始してもよい。
【0081】
他方で、ステップS121の判定の結果、ハイブリッド車両1が自動走行動作を実行中であると判定される場合には(ステップS121:Yes)、出力制御部187は、走行計画生成部184が生成した走行計画を取得する(ステップS122)。更に、出力制御部187は、内部状況認識部183から、SOCを取得する(ステップS123)。【0082】 その後、出力制御部187は、ステップS123で取得したSOCが、「第1所定量」の一具体例である第1閾値TH1以下であるか否かを判定する(ステップS124)。
【0083】
第1閾値TH1は、モータジェネレータMG1が発電した電力を蓄積する余力がバッテリ173に残っているか否かを判定するための指標である。このため、第1閾値TH1として、モータジェネレータMG1が発電した電力を蓄積する余力がバッテリ173に残っている状態とモータジェネレータMG1が発電した電力を蓄積する余力がバッテリ173に残っていない状態とを好適に識別可能な値が用いられることが好ましい。【0084】 第1閾値TH1の一例として、SOCが回復されるべきである(つまり、バッテリ173が充電されるべきである)と判定されるSOCの上限値があげられる。或いは、第1閾値TH1の一例として、更なる電力の出力(つまり、放電)が進行するとバッテリ173が劣化する可能性が大きくなると判定されるSOCの上限値があげられる。例えば、バッテリ173は、SOCが40%以下になる場合に充電されるべきである又は劣化する可能性が大きくなると判定される場合がある。この場合には、第1閾値TH1として、「40%(或いは、40%以下の任意の数値)」というパラメータが用いられてもよい。
【0085】
第1閾値TH1の一例として、SOCが収まるべき一定の範囲の下限値があげられる。具体的には、SOCは、通常、ある値を中心値とする一定の範囲に収まるように制御される。例えば、SOCは、50%を中心値とし、40%を下限値とし且つ60%を上限値とする一定の範囲に収まるように制御される。この場合、第1閾値TH1として、下限値に相当する「40%」というパラメータが用いられてもよい。
【0086】
ステップS124の判定の結果、SOCが第1閾値TH1以下でないと判定される場合には(ステップS124:No)、ECU18は、図3に示す出力制御動作を終了する。その後、ECU18は、第3所定期間経過後に、再度図3に示す出力制御動作を開始してもよい。
【0087】
他方で、ステップS124の判定の結果、SOCが第1閾値TH1以下であると判定される場合には(ステップS124:Yes)、出力制御部187は、必要に応じて走行制御部185と協調しながら、エンジンENGの出力を増加させる(ステップS125)。例えば、出力制御部187は、スロットルアクチュエータ151にスロットル開度を制御させることで、エンジンENGの出力を増加させてもよい。出力制御部187は、エンジンENGに設置されている燃料噴射弁からの燃料の噴射量及び噴射時期のうちの少なくとも一方を制御することで、エンジンENGの出力を増加させてもよい。出力制御部187は、その他の方法でエンジンENGの出力を増加させてもよい。」

(オ)「【0105】
(3)出力制御動作の変形例
続いて、図5から図9を参照しながら、上述した出力制御動作の変形例について説明する。以下では、出力制御動作の第1変形例及び第2変形例について順に説明する。
【0106】
(3-1)出力制御動作の第1変形例
図5を参照しながら、本実施形態のハイブリッド車両1が行う出力制御動作の第1変形例の流れについて説明する。図5は、本実施形態のハイブリッド車両1が行う出力制御動作の第1変形例の流れを示すフローチャートである。尚、図3に示す出力制御動作が行う動作と同一の動作については、同一のステップ番号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0107】
図5に示すように、出力制御動作の第1変形例は、SOCが第1閾値TH1以下でないと判定された後の動作が異なるという点で、図3に示す出力制御動作とは異なる。出力制御動作の第1変形例のその他の動作は、図3に示す出力制御動作のその他の動作と同一であってもよい。
【0108】
具体的には、ステップS124の判定の結果、SOCが第1閾値TH1以下でないと判定される場合には(ステップS124:No)、出力制御部187は、SOCが、「第2所定量」の一具体例であって且つ第1閾値TH1よりも大きい第2閾値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS131)。
【0109】
第2閾値TH2は、モータジェネレータMG2が消費できるだけの電力をバッテリ173が十分に蓄積しているか否かを判定するための指標である。このため、第2閾値TH2として、モータジェネレータMG2が消費できるだけの電力をバッテリ173が十分に蓄積している状態とモータジェネレータMG2が消費できるだけの電力をバッテリ173が十分に蓄積していない状態とを好適に識別可能な値が用いられることが好ましい。
【0110】
第2閾値TH2の一例として、SOCを減少させるべきである(つまり、バッテリ173が放電するべきである)と判定されるSOCの下限値があげられる。第2閾値TH2の一例として、更なる電力の入力(つまり、充電)が進行するとバッテリ173が劣化する可能性が大きくなると判定されるSOCの下限値が例示される。例えば、バッテリ173は、SOCが60%以上になる場合に放電されるべきである又は劣化する可能性が大きくなると判定される場合がある。この場合には、第2閾値TH2として、「60%(或いは、60%以上の任意の数値)」というパラメータが用いられる。
【0111】
第2閾値TH1の一例として、SOCが収まるべき一定の範囲の上限値があげられる。具体的には、SOCは、通常、ある値を中心値とする一定の範囲に収まるように制御される。例えば、SOCは、50%を中心値とし、40%を下限値とし且つ60%を上限値とする一定の範囲に収まるように制御される。この場合、第2閾値TH2として、上限値に相当する「60%」というパラメータが用いられてもよい。
【0112】
ステップS131の判定の結果、SOCが第2閾値TH2以上でないと判定される場合には(ステップS131:No)、ECU18は、図5に示す出力制御動作の第1変形例を終了する。その後、ECU18は、第3所定期間経過後に、再度図5に示す出力制御動作の第1変形例を開始してもよい。
【0113】
他方で、ステップS131の判定の結果、SOCが第2閾値TH2以上であると判定される場合には(ステップS131:Yes)、出力制御部187は、SOCが第2閾値TH2以上でないと判定される場合と比較して、停止しているエンジンENGが再始動しにくくなるように、停止しているエンジンENGが再始動するために満たされるべき始動条件を変更する(ステップS132)。停止しているエンジンENGが再始動しにくくなるほど、ハイブリッド車両1がEV(Electrical Vehicle)モードで走行する時間(言い換えれば、期間)が増加する。従って、始動条件を変更する動作は、ハイブリッド車両1がEVモードで走行する時間を増加させる動作の一例であるとも言える。
【0114】
EVモードは、エンジンENGが停止する(つまり、エンジンENGに燃料が供給されない)走行モードである。従って、EVモードは、エンジンENGの出力がハイブリッド車両1の駆動力として用いられることがない走行モードである。加えて、EVモードは、モータジェネレータMG2の出力がハイブリッド車両1の駆動力として用いられる走行モードである。尚、EV走行モードは、「所定走行モード」の一具体例である。
【0115】
始動条件の一例として、SOCが満たすべき条件があげられる。例えば、「SOCが第1始動閾値を下回る」という条件が始動条件として用いられてもよい。この場合には、第1始動閾値が小さくなるほど、SOCが第1始動閾値を下回りにくくなる。このため、出力制御部187は、SOCが第2閾値TH2以上でないと判定される場合と比較して、第1始動閾値を小さくするように始動条件を変更してもよい。」

(カ)「【0125】
加えて、SOCが第2閾値TH2以上であると判定されるがゆえに、図6の4段目のグラフに示すように、第1始動閾値は、SOCが第2閾値TH2以上でないと判定される場合に用いられる第1始動閾値よりも小さくなる。その結果、SOCが第2閾値TH2以上であると判定される場合には、時刻t63において、SOCが第1始動閾値を下回ると判定される。このため、SOCが第2閾値TH2以上であると判定される場合には、時刻t63において、エンジンENGが再始動する。」

(キ)「【図3】



(ク)「【図5】



(ケ)「【図6】



(2)引用発明
上記記載を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「走行計画に基づいてハイブリッド車両1を自動的に走行させることが可能な車両制御装置であって、
ECU18は、
ハイブリッド車両1が自動走行動作を実行中であるか否かを判定するステップS121と、
ステップS121の判定の結果、ハイブリッド車両1が自動走行動作を実行中であると判定される場合には(ステップS121:Yes) 、出力制御部187が、内部状況認識部183から、SOCを取得する(ステップS123)と、
ステップS123で取得したSOCが、第1閾値TH1以下であるか否かを判定するステップS124と、
ステップS124の判定の結果、SOCが第1 閾値TH1以下であると判定される場合には(ステップS12 4:Yes) 、出力制御部187は、エンジンENGの出力を増加させるステップS125と、
ステップS124の判定の結果、SOCが第1閾値TH1以下でないと判定される場合には(ステップS124:No) 、SOCが、第1閾値TH1よりも大きい第2閾値TH2以上であるか否かを判定するステップS131と、
SOCが第2閾値TH2以上であると判定された場合には、第1始動閾値は、SOCが第2閾値TH2以上でないと判定される場合に用いられる第1始動閾値よりも小さくするハイブリッド車両1の車両制御装置。」

(3)本願発明1と引用発明の対比・判断
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ハイブリッド車両1」は、エンジンと、駆動トルクを発生することが可能な回転機と、前記エンジンの動力により充電されると共に前記回転機に電力を供給するバッテリとを備えていることが明らかである。
したがって、引用発明の「走行計画に基づいてハイブリッド車両1を自動的に走行させることが可能な車両制御装置」は、本願発明1の「エンジンと、駆動トルクを発生することが可能な回転機と、前記エンジンの動力により充電されると共に前記回転機に電力を供給するバッテリとを備えた車両の、制御装置」に相当する。
(イ)引用発明の「走行計画に基づいてハイブリッド車両1を自動的に走行させることが可能な車両制御装置であって」、「ハイブリッド車両1 が自動走行動作を実行中であるか否かを判定するステップS121」を有する態様は、走行計画に基づいて自動的に走行させる運転制御と運転者の運転操作に基づいて走行する運転制御とを有しており、引用文献1の【0049】?【0063】を参照すると、走行計画に基づいて自動的に走行させる運転制御が、地図情報及び道路情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて自動的に目標走行状態を設定し、前記目標走行状態に基づいて加減速を自動的に行うことで走行する運転制御と表現できるものである。
したがって、引用発明の当該事項は、本願発明1の「運転者の運転操作に基づいて走行する第1運転制御と、地図情報及び道路情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて自動的に目標走行状態を設定し、前記目標走行状態に基づいて加減速を自動的に行うことで走行する第2運転制御とを選択的に行うことが可能な運転制御部」に相当する。
(ウ)引用発明の「ステップS124の判定の結果、SOCが第1閾値TH1以下であると判定される場合には(ステップS12 4:Yes) 、出力制御部187は、エンジンENGの出力を増加させるステップS125」を備える「出力制御部187」は、引用文献1の【0125】等を参照すると、エンジンの運転停止時にSOCが第1閾値TH1以下であると判定される場合にエンジンを再始動する出力制御部187であるから、本願発明1の「前記エンジンの運転停止時に前記バッテリの充電状態を表す値がエンジン始動閾値よりも低下した場合には前記エンジンを始動するエンジン制御部」に相当する。
(エ)引用発明の「ハイブリッド車両1の車両制御装置」は、本願発明1の「車両の制御装置」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、
<一致点>
「エンジンと、駆動トルクを発生することが可能な回転機と、前記エンジンの動力により充電されると共に前記回転機に電力を供給するバッテリとを備えた車両の、制御装置であって、
運転者の運転操作に基づいて走行する第1運転制御と、地図情報及び道路情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて自動的に目標走行状態を設定し、前記目標走行状態に基づいて加減速を自動的に行うことで走行する第2運転制御とを選択的に行うことが可能な運転制御部と、
前記エンジンの運転停止時に前記バッテリの充電状態を表す値がエンジン始動閾値よりも低下した場合には前記エンジンを始動するエンジン制御部と、
を、含む車両の制御装置。」

の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点>
本願発明1は、「前記第2運転制御時には、前記第1運転制御時と比べて前記エンジン始動閾値を小さくする始動閾値設定部」を含むのに対して、引用発明は、ステップS123で取得したSOCが、第1閾値TH1以下であるか否かを判定するステップS124と、ステップS124の判定の結果、SOCが第1 閾値TH1以下であると判定される場合には(ステップS12 4:Yes) 、出力制御部187は、エンジンENGの出力を増加させるステップS125と、ステップS124の判定の結果、SOCが第1閾値TH1以下でないと判定される場合には(ステップS124:No) 、SOCが、第1閾値TH1よりも大きい第2閾値TH2以上であるか否かを判定するステップS131と、SOCが第2閾値TH2以上であると判定された場合には、第1始動閾値は、SOCが第2閾値TH2以上でないと判定される場合に用いられる第1始動閾値よりも小さくする点。

イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
本願発明は、本願明細書の【0013】等の記載から、地図情報及び道路情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて自動的に設定された目標走行状態に基づいて加減速を自動的に行うことで走行する第2運転制御時に、運転者の運転操作に基づいて走行する第1運転制御時と比べてエンジン始動閾値が小さくされるので、エンジン始動過程でエンジン回転速度の上昇がもたつくことによるドライバビリティの悪化が第1運転制御時と比べて運転者に認識され難いと考えられる第2運転制御時のエンジン停止時間を長くすることで燃費を向上させるものである。
一方、引用文献1には、【0109】に「第2閾値TH2として、モータジェネレータM G2が消費できるだけの電力をバッテリ173が十分に蓄積している状態とモータジェネレータMG2が消費できるだけの電力をバッテリ173が十分に蓄積していない状態とを好適に識別可能な値が用いられることが好ましい。」、【0110】に「第2閾値TH2の一例として、SOCを減少させるべきである(つまり、バッテリ173 が放電するべきである) と判定されるSOCの下限値があげられる。第2閾値TH2の一例として、更なる電力の入力(つまり、充電)が進行するとバッテリ173が劣化する可能性が大きくなると判定されるSOCの下限値が例示される。」及び【0111】に「第2閾値TH1の一例として、SOCが収まるべき一定の範囲の上限値があげられる。具体的には、SOCは、通常、ある値を中心値とする一定の範囲に収まるように制御される。」と記載されている。
そうすると、上記相違点に係る本願発明1の事項と引用発明の事項とは、エンジンを始動するタイミングを、本願発明1は、加減速を自動的に行う運転制御時に、運転者の運転操作に基づいて走行する運転制御と比べて遅くするのに対して、引用発明は、SOCが第1閾値TH1以下でなく、かつ、第2閾値TH2以上である時に、それ以外の時より遅くするものであるから、実質的な相違点であって、その技術的意義が異なるものである。
そして、加減速を自動的に行う運転制御時に、運転者の運転操作に基づいて走行する運転制御と比べてエンジン始動閾値を小さくすることが、周知であるとする証拠はない。

(4)むすび
したがって、本願発明1は、引用発明であるとはいえず、又、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(5)本願発明2?7に係る発明について
本願発明2?6は、本願発明1の発明特定事項を全て有し、さらに限定を加える発明であるから、上記(3)で検討したのと同様の理由により、本願発明2?5は、引用発明であるとはいえず、又、本願発明2?7は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。


第3 まとめ
以上のとおり、拒絶査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また他に拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-09-28 
出願番号 特願2017-82408(P2017-82408)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (B60W)
P 1 8・ 121- WY (B60W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 淳鶴江 陽介  
特許庁審判長 山本 信平
特許庁審判官 佐々木 正章
高島 壮基
発明の名称 車両の制御装置  
代理人 池田 治幸  
代理人 池田 光治郎  
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