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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1378578
審判番号 不服2021-977  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-25 
確定日 2021-10-29 
事件の表示 特願2018-505630「リソース指示方法、基地局と端末」拒絶査定不服審判事件〔平成29年5月4日国際公開、WO2017/070962、平成30年12月20日国内公表、特表2018-537873、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)10月31日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 5月 2日 手続補正書の提出
令和 元年 5月15日付け 拒絶理由通知書
令和 元年 8月28日 手続補正書、意見書の提出
令和 2年 1月30日付け 拒絶理由通知書(最後)
令和 2年 4月30日 手続補正書、意見書の提出
令和 2年 9月18日付け 令和2年4月30日の手続補正についての
補正の却下の決定
同日付け 拒絶査定
令和 3年 1月25日 拒絶査定不服審判の請求


第2 原査定の概要
原査定(令和2年9月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-2、13-15
・引用文献等 1、9

・請求項 3
・引用文献等 1-2、9

・請求項 4-5、12
・引用文献等 1-3、9

・請求項 6
・引用文献等 1-4、9

・請求項 7
・引用文献等 1-5、9

・請求項 8
・引用文献等 1-6、9

・請求項 9-10
・引用文献等 1-7、9

・請求項 11
・引用文献等 1-9

<引用文献等一覧>
1.大久保 尚人,外 3 名,"高速・大容量・低遅延を実現するLTEの無線方式概要",NTT DOCOMO テクニカル・ジャーナル Vol.19 No.1,2011年4月,pages 11-19
2.特開2008-124832号公報
3.特開2013-013115号公報
4.欧州特許出願公開第2919407号明細書
5.国際公開第2015/080646号
6.国際公開第2014/101810号
7.特表2013-527663号公報
8.特開2014-003701号公報
9.特開2006-352379号公報


第3 本願発明について
令和2年4月30日付け手続補正書による明細書、及び特許請求の範囲についての補正は、令和2年9月18日付け補正の却下の決定により却下された。
したがって、本願の請求項1ないし15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明15」という。)は、令和元年8月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
リソース指示方法であって、
端末が基地局から送信されたリソース指示を受信し、前記リソース指示が第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを示すことに用いられ、前記リソース指示が第二の時間周波数リソースを占有し、少なくとも一つの前記リソース指示に対応する少なくとも一つの時間周波数リソースがセルを構成することと、
前記端末が前記リソース指示に基づき、第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを確定することとを含み、
前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である、
前記リソース指示方法。
【請求項2】
前記第二の時間周波数リソースに占有された時間周波数範囲は第一の時間周波数リソースに占有された時間周波数範囲にあることを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二の時間周波数リソースは少なくとも一つの時間周波数ユニットを含み、前記少なくとも一つの時間周波数ユニットのうちの第一の時間周波数ユニットに対応する時間範囲が予め設定された時間であり、前記第一の時間周波数ユニットに対応する周波数範囲が予め設定された周波数ラスタであり、前記第一の時間周波数ユニットは、前記リソース指示が前記第二の時間周波数リソースを拡張して占有することを示すための情報を含むことを特徴とする
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術、前記第一の時間周波数リソースのための複信モード、前記第一の時間周波数リソースのための通信モードのうちの少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする
請求項1?3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記リソース指示は特徴シーケンスを含み、前記特徴シーケンスは現在のチャネルがリソース指示チャネルであることを示すことに用いられることを特徴とする
請求項1?4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、
前記端末が前記特徴シーケンスに基づいて前記基地局と同期することをさらに含むことを特徴とする
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記端末が基地局から送信されたリソース指示を受信することは、
前記端末がシングルキャリア方式を使用して前記基地局から送信された前記リソース指示を受信することを含むことを特徴とする
請求項1?6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記端末が基地局から送信されたリソース指示を受信することは、
前記端末が、前記基地局がマルチアンテナ送信ダイバーシティにより送信した前記リソース指示を受信することを含むことを特徴とする
請求項1?7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記リソース指示は、前記リソース指示が前記セルの最後のリソース指示であることを示すための情報を含むことを特徴とする
請求項1?8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記リソース指示は、前記セルにおける次のリソース指示を示すための時間範囲と周波数範囲を含むことを特徴とする
請求項1?8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記セルは、複数のリソース指示に対応する複数の時間周波数リソースを含み、前記複数の時間周波数リソースに対応する時間範囲及び/又は周波数範囲が完全に同じではないことを特徴とする
請求項1?10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記リソース指示は、前記第一の時間周波数リソースが使用されないことを示すことに用いられることを特徴とする
請求項1?11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
端末であって、
基地局から送信されたリソース指示を受信するように構成され、前記リソース指示が第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを示すことに用いられ、前記リソース指示が第二の時間周波数リソースを占有し、少なくとも一つの前記リソース指示に対応する少なくとも一つの時間周波数リソースがセルを構成する受信モジュールと、
前記受信モジュールにより受信された前記リソース指示に基づき、第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを確定するように構成される処理モジュールとを含み、
前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である、
前記端末。
【請求項14】
リソース指示方法であって、
基地局がリソース指示を生成し、前記リソース指示が第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを示すことに用いられ、前記リソース指示が第二の時間周波数リソースを占有し、少なくとも一つの前記リソース指示に対応する少なくとも一つの第一の時間周波数リソースがセルを構成することと、
前記基地局が端末へ前記リソース指示を送信することとを含み、
前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である、
前記リソース指示方法。
【請求項15】
前記第二の時間周波数リソースに占有された時間周波数範囲は前記第一の時間周波数リソースに占有された時間周波数範囲内にあることを特徴とする
請求項14に記載の方法。」


第4 引用例の記載事項及び引用発明
1.引用例1について
原査定の拒絶理由で引用された、大久保 尚人,外 3 名,"高速・大容量・低遅延を実現するLTEの無線方式概要",NTT DOCOMO テクニカル・ジャーナル Vol.19 No.1,2011年4月,pages 11-19(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

(1)「LTEは,データの送受信を行うチャネルを複数のユーザで共有するシステムである.基地局(eNodeB:evolved Node B)が,送受信データを有する各ユーザに共有データチャネル上の無線リソースを割り当てるスケジューリングを行う(図3).無線リソースの最小割当て単位は,RB(Resource Block)と呼ばれ,図3に示すように,1RBは,周波数方向に12本のサブキャリア,時間方向に7シンボルで構成されている.スケジューリングの最小時間単位であるTTI(Transmission Time Interval)は,1サブフレームであり,サブフレームごとに,スケジューリングで選択されたUEへRBが割り当てられる.」(12ページ中欄下5行?同右欄13行)

(2)「LTEのチャネル構成は,物理チャネルと物理信号の2種類に大別される.上位プロトコルレイヤからの情報を伝送するものを物理チャネル,物理レイヤに閉じた信号を物理信号と呼ぶ.LTEの物理チャネルおよび物理信号の概要を表1に示す.また,下りリンクおよび上りリンクの物理チャネル構成を図4,5に示す.」(12ページ右欄14行?13ページ右欄1行)

(3)「下り物理報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)には,UEがセルサーチ後に最初に読むべき最低限の情報のみが含まれている.これらの情報は,MIB(Master Information Block)と呼ばれ,システム帯域幅やシステムフレーム番号(SFN:System Frame Number),送信アンテナ数などの基本情報が含まれる.」(14ページ左欄17行?26行)

(4)「PBCHもSSと同様に,帯域幅の事前情報なしで復号できる必要があるため,帯域の中心1.08MHzで送信される.」(14ページ左欄29行?32行)

(5)「LTEでは,時間方向だけでなく周波数方向も考慮した2次元のスケジューリングが可能である.」(15ページ左欄20行?22行)

(6)「eNodeBがスケジューリングにより選択したユーザに対しては,物理下り制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)にて無線リソースの割当てが通知される.PDCCHではスケジューリング情報が運ばれ,これらは下りリンクではDL Scheduling information,上りリンクではUL Scheduling Grantと呼ばれる.これらの制御情報には,割当てRBの位置,変調方式,データサイズ(TB(Transport Block)size),送信電力制御用のコマンド情報などが含まれている.」(15ページ中欄10行?23行)

(7)「図3 サブフレーム構成とRB配置



(8)「表1 物理チャネルおよび物理信号概要



(9)「図4 下りリンク物理チャネル構成



引用例1の上記記載、及びこの技術分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記(3)には「下り物理報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)」と記載されており、また、上記(2)には、「LTEのチャネル構成は,物理チャネルと物理信号の2種類に大別される.…下りリンクおよび上りリンクの物理チャネル構成を図4,5に示す.」と記載されている。
さらに、上記(9)の「図4」から、以下(i)ないし(iii)の内容が読み取れる。
(i) 文字列「#0」ないし「#9」は、時間軸を区分した「サブフレーム」の番号を示すこと。
(ii) 1本の横線に沿って「中心周波数」という文字列が記載され、当該「中心周波数」を示す横線を中心とし横線の間隔6個分の周波数範囲及び「サブフレーム#0」の一部の時間範囲で区画される青色領域が記載されるとともに、当該青色領域と「PBCH」という文字列を結ぶ第1の矢印が記載されていること。
(iii) 前記青色領域と同じ周波数範囲及び「サブフレーム#0」の一部であって前記青色領域と重ならない時間範囲で区画される緑色領域が記載されるとともに、当該緑色領域と「SS」という文字列を結ぶ第2の矢印が記載されていること。
そして、上記(4)には「PBCHもSSと同様に,・・・帯域の中心1.08MHzで送信される.」と記載されており、また上記(7)の「図3」には「1RB=180kHz」と記載されているから、上記(9)の「図4」に示された横線の間隔6個分の周波数範囲は、RB6個分(=1080kHz=1.08MHz)の周波数範囲に相当し、上記青色領域は「PBCH」が送信される周波数範囲および時間範囲を示し、上記緑色領域は「SS」が送信される周波数範囲および時間範囲を示すこと、が明らかである。
そうすると、「PBCH」が送信される時間範囲は「SS」が送信される時間範囲と重ならないから、「PBCH」は、帯域の中心1.08MHzである周波数範囲、及びサブフレーム#0の一部である時間範囲で区画される青色領域を占有する、といえる。
したがって、引用例1に記載された内容から、LTEにおいて、下り物理報知チャネル(PBCH)は、帯域の中心1.08MHzである周波数範囲、かつサブフレーム#0の一部である時間範囲で送信され、当該周波数範囲及び当該時間範囲で区画される領域を占有することが把握でき、引用例1には、LTEにおける下り物理報知チャネル(PBCH)の送信方法が記載されていることが明らかである。

イ 上記(1)には「基地局(eNodeB:evolved Node B)が,送受信データを有する各ユーザに共有データチャネル上の無線リソースを割り当てるスケジューリングを行う(図3).」と記載され、上記(5)には「LTEでは,時間方向だけでなく周波数方向も考慮した2次元のスケジューリングが可能である.」と記載されており、上記「ユーザ」とはユーザ端末を意味することが技術常識であるから、引用例1に記載された内容から、基地局が,送受信データを有する各ユーザ端末に共有データチャネル上の無線リソースを割り当てるスケジューリングを行い、時間方向だけでなく周波数方向も考慮した2次元のスケジューリングが可能であることが把握される。

ウ 上記(2)には「LTEの物理チャネルおよび物理信号の概要を表1に示す.」と記載されており、また、上記(8)の「表1」から、「PBCH」及び「PDCCH」は「下りリンクの物理チャンネル」に含まれることが読み取れ、ここで、「下りリンクの物理チャンネル」が、下りリンクの物理チャネルとも呼ばれ、基地局が生成しユーザ端末へ送信するチャネルであることは技術常識であるから、引用例1に記載された内容から、LTEにおいて、PBCH及びPDCCHは下りリンクの物理チャネルに含まれ、基地局がPBCH及びPDCCHを生成しユーザ端末へ送信することが把握される。
また、上記(3)には、「下り物理報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)には,UEがセルサーチ後に最初に読むべき最低限の情報のみが含まれている.これらの情報は,・・・システム帯域幅やシステムフレーム番号(SFN:System Frame Number),送信アンテナ数などの基本情報が含まれる.」と記載されており、ここで、「UE」は、User Equipmentすなわちユーザ端末、を意味することが技術常識であり、さらに、上記「ア」で説示したとおり、引用例1に記載された内容から、LTEにおいて、下り物理報知チャネル(PBCH)は、帯域の中心1.08MHzである周波数範囲、かつサブフレーム#0の一部である時間範囲で送信され、当該周波数範囲及び当該時間範囲で区画される領域を占有することが把握される。
そうすると、引用例1には、基地局がPBCHを生成し、前記PBCHには、ユーザ端末がセルサーチ後に最初に読むべき、システム帯域幅やシステムフレーム番号、送信アンテナ数など最低限の情報のみが含まれており、PBCHは、帯域の中心1.08MHzである周波数範囲、及びサブフレーム#0の一部である時間範囲で区画される領域を、占有することが記載されているといえる。

エ 上記「ウ」で説示したとおり、引用例1に記載された内容から、基地局がPBCHを生成しユーザ端末へ送信することが把握され、また、上記「ア」で説示したとおり、引用例1に記載された内容から、LTEにおいて、下り物理報知チャネル(PBCH)は、帯域の中心1.08MHzである周波数範囲、かつサブフレーム#0の一部である時間範囲で送信され、当該周波数範囲及び当該時間範囲で区画される領域を占有することが把握されるから、引用例1には、前記基地局が前記周波数範囲かつ前記時間範囲でユーザ端末へ前記PBCHを送信すること、が記載されていることが明らかである。

オ 上記(1)には「LTE」において「無線リソースの最小割当て単位は,RB(Resource Block)と呼ばれ,図3に示すように,1RBは,周波数方向に12本のサブキャリア・・・で構成されている.」と記載されており、また、上記(7)の「図3」には、「Resource Block」という文字列を囲むとともに横線の間隔12個分の周波数範囲を含む太線の矩形が記載され、当該矩形の周波数方向の長さに等しい矢印とともに「1RB=180kHz」という文字列が記載され、また周波数方向に並んだ2本の横線の間隔と同じ長さの矢印とともに「1サブキャリア15kHz」という文字列が記載されていることが読み取れる。
そして、「サブキャリア」は「サブ搬送波」を意味することが技術常識であるから、引用例1に記載された内容から、LTEにおいて、1RBは、周波数方向に12本のサブ搬送波で構成されており、サブ搬送波の間隔は15kHzであることが把握される。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。

「 LTEにおける下り物理報知チャネル(PBCH)の送信方法であって、
基地局が,送受信データを有する各ユーザ端末に共有データチャネル上の無線リソースを割り当てるスケジューリングを行い、時間方向だけでなく周波数方向も考慮した2次元のスケジューリングが可能であり、
基地局がPBCHを生成し、前記PBCHには、ユーザ端末がセルサーチ後に最初に読むべき、システム帯域幅やシステムフレーム番号、送信アンテナ数など最低限の情報のみが含まれており、PBCHは、帯域の中心1.08MHzである周波数範囲、及びサブフレーム#0の一部である時間範囲で区画される領域を、占有し、
前記基地局が前記周波数範囲かつ前記時間範囲でユーザ端末へ前記PBCHを送信することを含み、
サブ搬送波の間隔は15kHzである、
前記送信方法。」


ところで、引用例1の上記記載、及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のこともいえる。

カ 上記(1)には「LTE」において、「基地局(eNodeB:evolved Node B)が,・・・無線リソースを割り当てるスケジューリングを行う(図3).」と記載され、また上記(6)には「eNodeBがスケジューリングにより選択したユーザに対しては,物理下り制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)にて無線リソースの割当てが通知される.」と記載されているから、引用例1には、LTEにおける無線リソースの通知方法が記載されている。

キ 上記「ウ」で説示したとおり、引用例1に記載された内容から、基地局がPDCCHを生成しユーザ端末へ送信することが把握され、また、上記(6)には、「PDCCHではスケジューリング情報が運ばれ・・・る.これらの制御情報には,割当てRBの位置,変調方式,データサイズ(TB(Transport Block)size),送信電力制御用のコマンド情報などが含まれている.」と記載されている。
そして、上記(1)には「無線リソースの最小割当て単位は,RB(Resource Block)と呼ばれ,図3に示すように,1RBは,周波数方向に12本のサブキャリア,時間方向に7シンボルで構成されている.」と記載されているから、上記(6)の「割当てRBの位置」は、割当てられた無線リソースの時間範囲と周波数範囲、すなわち割り当てられた時間周波数リソースを意味する。また、上記(6)の変調方式は、上記割当てRBの位置で使用されることが技術常識である。
そうすると、引用例1に記載された内容から、基地局がPDCCHを生成し、前記PDCCHが、割り当てられた時間周波数リソースと前記時間周波数リソースで使用される変調方式を含むことが把握される。

ク 上記「ウ」で説示したとおり、引用例1に記載された内容から、基地局がPDCCHをユーザ端末へ送信することが把握される。

ケ 上記「オ」で説示したとおり、引用例1に記載された内容から、サブ搬送波の間隔は15kHzであることが把握される。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1-2」という。)も記載されていると認められる。

「 LTEにおける無線リソースの通知方法であって、
基地局がPDCCHを生成し、前記PDCCHが、割り当てられた時間周波数リソースと前記時間周波数リソースで使用される変調方式を含み、
前記基地局がユーザ端末へ前記PDCCHを送信することを含み、
サブ搬送波の間隔は15kHzである、
前記LTEにおける無線リソースの通知方法。」

2.引用例2について
原査定の拒絶理由で引用された特開2008-124832号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「周波数ラスター(Frequency Raster:200kHz)の関係で、図15に示すように、同期チャネルSCHおよび/または報知チャネルBCHは、周波数ラスターに合わせるために、基地局装置RF中心周波数を中心に、一部のシステム周波数帯域幅、例えば1.25MHzに配置する方法がある(非特許文献1参照)。」(段落【0016】)

上記記載によれば、引用例2には、「報知チャネルBCHは、周波数ラスターに合わせるために、基地局装置RF中心周波数を中心に、一部のシステム周波数帯域幅に配置する。」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用例3について
原査定の拒絶理由で引用された特開2013-013115号公報(以下、「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「ブロードキャスト情報の部分組に含まれる情報は、システム1100にアクセスする能力を受信先1104に提供するためにシステム1100の基本構成に関連させることができる。前記部分組には、システムタイミング情報、スペクトル割り当て情報、送信電力情報、サービス情報、通信技術情報、システムバージョン(互換性)情報、スペクトル帯域情報、サービスオペレータ情報、システムローディング情報、等のうちの1つ以上(又はその組合せ)を含めることができる。」(段落【0070】)

「スペクトル割り当て情報は、割り当てが周波数分割多重(FDD)システム、時分割多重(TTD)システム又は他の型の割り当てであるかどうかを示すことができる。」(段落【0072】)

上記記載によれば、引用例3には、「ブロードキャスト情報の部分組には、スペクトル割り当て情報を含めることができ、スペクトル割り当て情報が、周波数分割多重システム、時分割多重システム又は他の型の割り当てであるかどうかを示すことができる。」という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用例4について
原査定の拒絶理由で引用された欧州特許出願公開第2919407号明細書(以下、「引用例4」という。)には、以下の事項が記載されている。

「Like the synchronization signal SSS, PBCH is scrambled using a sequence based on the cell identity.」(段落[0022])
(当審仮訳:同期信号SSSと同様に、PBCHはセル識別子に基づくシーケンスを用いてスクランブルされる。)

上記記載によれば、引用例4には、「PBCHはセル識別子に基づくシーケンスを用いてスクランブルされる。」という技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用例5について
原査定の拒絶理由で引用された国際公開第2015/080646号(以下、「引用例5」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「In some embodiments herein, a system with multiple transmission nodes is considered, where each node has an array antenna capable of generating many beams with small HPBW. These nodes may then for instance use one or multiple LTE-Nx carriers, so that a total transmission bandwidth of multiples of hundreds of MHz can be achieved leading to downlink peak user throughputs reaching as much as 10 Gigabytes (Gbit/s) or more.」(3ページ13行?18行)
(当審仮訳:ここで、いくつかの実施形態において、複数の伝送ノードを備えたシステムが検討され、それぞれのノードは、HPBWの狭い多数のビームを生成可能なアレイアンテナを備える。これらのノードは、例えば、1つ以上のLTE-Nxキャリアを用いてもよく、これにより、数百MHzの数倍の合計伝送帯域幅を達成することができて、下りリンク最大ユーザスループットは10Gbit/s以上にも達する。)

上記記載によれば、引用例5には、「複数の伝送ノードが、1つ以上のLTE-Nxキャリアを用いて下りリンク伝送を行う。」という技術的事項が記載されていると認められる。

6.引用例6について
原査定の拒絶理由で引用された国際公開第2014/101810号(以下、「引用例6」という。)には、以下の事項が記載されている。



」(6ページ10行?11行)
(当審仮訳:また、安定したPBCH受信を確保するために、時間ダイバーシティおよびアンテナダイバーシティを採用している。)

上記記載によれば、引用例6には、「安定したPBCH受信を確保するために、時間ダイバーシティおよびアンテナダイバーシティを採用している。」という技術的事項が記載されていると認められる。

7.引用例7について
原査定の拒絶理由で引用された特表2013-527663号公報(以下、「引用例7」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「本発明の一実施形態による制御情報、例えば、DCI for E-PDSCHは、E-PDSCHでのマルチユーザ多入力多出力(MU-MIMO)送信をサポートするために以下のような情報を含む。」(段落【0030】)

「・次のリソース割当周期で、PDCCH及びE-PDCCHのうちからリソース割当情報を送信するために用いられるチャネルを示す1Bitインジケータのようなインジケータ情報」(段落【0031】)

上記記載によれば、引用例7には、「制御情報は、次のリソース割当周期で、リソース割当情報を送信するために用いられるチャネルを示すインジケータ情報を含む。」という技術的事項が記載されていると認められる。

8.引用例8について
原査定の拒絶理由で引用された特開2014-003701号公報(以下、「引用例8」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「次に、CC#1?#5とE-PBCHとの関係について説明する。
図22は、拡張報知情報の第1の送受信例を示す図である。図22の例では、基地局100または中継局200が、CC#1?#3をLTE移動局に使用させ、CC#4,#5をLTE-A移動局に使用させるよう制御している。」(段落【0144】)

「また、基地局100または中継局200は、CC#1?#5の全てに、PBCHとE-PBCHとを設けている。各CCのPBCHでは、当該CCに接続するために用いられる情報を含む報知情報が送信される。PBCHで送信される報知情報は、CCによって異なる場合がある。各E-PBCHでは、CC#1?#5と移動局の種類との関係を示す情報を含む拡張報知情報が送信される。E-PBCHで送信される拡張報知情報は、全てのCCで同一であってもよい。」(段落【0145】)

「図23は、拡張報知情報の第2の送受信例を示す図である。図23の例では、基地局100または中継局200は、CC#1?#5の全てにPBCHを設け、LTE-A移動局の使用できるCC#4,#5にのみE-PBCHを設けている。」(段落【0150】)

「図24は、拡張報知情報の第3の送受信例を示す図である。図24の例では、基地局100または中継局200は、CC#1?#5の全てにPBCHを設け、周波数軸上でCC#1?#5の中心に位置するCC#3のみにE-PBCHを設けている。」(段落【0154】)

上記記載によれば、引用例8には、「PBCHは、CC#1?#5の全てに設ける一方、E-PBCHは、CC#1?#5の全て、LTE?A移動局の使用できるCC#4,#5のみ、または周波数軸上でCC#1?#5の中心に位置するCC#3のみに設ける。」という技術的事項が記載されていると認められる。

9.引用例9について
原査定の拒絶理由で引用された特開2006-352379号公報(以下、「引用例9」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「広帯域の移動通信システムでは、マルチパス環境による周波数選択性フェージングの影響が顕著になる。このため、直交周波数分割多重化(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が、次世代の通信方式に有望視されている。」(段落【0003】)

「基地局は、N_(D)個のデータチャネル処理部302-1?N_(D)と、制御チャネル処理部304と、多重部(MUX)306と、高速逆フーリエ変換部(IFFT)308と、ガードインターバル挿入部310と、ディジタルアナログ変換部(D/A)312と、シンボルパラメータ調整部320と、TTI調整部321とを有する。」(段落【0015】)

「シンボルパラメータ調整部320は、通信に使用されるシンボルのパラメータを調整する。シンボルパラメータ(群)は、OFDM方式のシンボルのフォーマットを規定する情報を含み、ガードインターバル部の期間T_(GI)、有効シンボル部の期間、1シンボル中のガードインターバル部の占める割合、サブキャリア間隔Δf等の値を特定する一群の情報を含む。なお、有効シンボル部の期間はサブキャリア間隔の逆数1/Δfに等しい。シンボルパラメータ調整部320は、通信状況に応じて或いは他の装置からの指示に応じて、適切なシンボルパラメータ群を設定する。」(段落【0022】)

上記記載によれば、引用例9には、「OFDM方式が、次世代の通信方式に有望視されていた時期において、基地局が有するシンボルパラメータ調整部320は、通信状況に応じて或いは他の装置からの指示に応じて、サブキャリア間隔Δf等の値を特定する一群の情報を含むシンボルパラメータ(群)を適切に設定する。」という技術的事項が記載されていると認められる。


第5 対比・判断
1.本願発明14と引用発明1-1との対比及び判断について
事案に鑑みて、始めに本願発明14と引用発明1-1とを対比する。

(1) 引用発明1-1の「PBCH」は、「ユーザ端末がセルサーチ後に最初に読むべき、システム帯域幅やシステムフレーム番号、送信アンテナ数など最低限の情報のみが含まれて」いるから、ユーザ端末に対して、当該システム帯域幅やシステムフレーム番号、送信アンテナ数などに応じた通信を行わせる指示を含み、引用発明1-1の「下り物理報知チャネル(PBCH)の送信方法」は、指示方法に含まれる。
そうすると、本願発明14の「リソース指示方法」と、引用発明1-1の「下り物理報知チャネル(PBCH)の送信方法」は、「指示方法」の点で共通する。

(2) 上記(1)で説示したとおり、引用発明1-1の「PBCH」は指示を含むから、引用発明1-1において「基地局がPBCHを生成」することは、基地局が指示を生成することを含む。
また、引用発明1-1では、「基地局が,送受信データを有する各ユーザ端末に共有データチャネル上の無線リソースを割り当てるスケジューリングを行い、時間方向だけでなく周波数方向も考慮した2次元のスケジューリングが可能であ」ることから、「PBCH」を受信するユーザ端末に対して、時間方向だけでなく周波数方向も考慮した無線リソースの割り当てが行われることが明らかである。
さらに、引用発明1-1の「基地局」は、本願発明14の「基地局」に相当することが明らかである。
そして、引用発明1-1では、「PBCHは、帯域の中心1.08MHzである周波数範囲、及びサブフレーム#0の一部である時間範囲で区画される領域を、占有し、前記基地局が前記周波数範囲かつ前記時間範囲でユーザ端末へ前記PBCHを送信する」ことから、指示を含むPBCHが占有する前記周波数範囲及び前記時間範囲で区画される領域は、前記時間方向だけでなく周波数方向も考慮した上記「無線リソース」に含まれ、本願発明14と同様に、「第二の時間周波数リソース」といえる。
そうすると、本願発明14と、引用発明1-1とは、「基地局が指示を生成し、前記指示が第二の時間周波数リソースを占有し」ている点で共通する。

(3) 引用発明1-1の「ユーザ端末」は、本願発明14の「端末」に含まれる。
また、上記(1)で説示したとおり、引用発明1-1の「PBCH」は指示を含むから、引用発明1-1において前記基地局がユーザ端末へ前記PBCHを送信することは、前記基地局が端末へ前記指示を送信することを含む。
よって、本願発明14と、引用発明1-1とは、前記基地局が端末へ前記指示を送信することを含む点で共通する。


以上のことから、本願発明14と引用発明1-1との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「 指示方法であって、
基地局が指示を生成し、前記指示が第二の時間周波数リソースを占有し、
前記基地局が端末へ前記指示を送信することを含む、
前記指示方法。」

(相違点1)
本願発明14では、指示が「リソース指示」であって、「前記リソース指示が第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを示すことに用いられ」るという発明特定事項、「少なくとも一つの前記リソース指示に対応する少なくとも一つの第一の時間周波数リソースがセルを構成すること」という発明特定事項、及び「前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である」という発明特定事項を含むのに対し、引用発明1-1では、指示が「リソース指示」でなく、上記各発明特定事項が特定されていない点。

事案に鑑みて、上記相違点1に関する本願発明14の発明特定事項の一部である、「前記リソース指示が第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを示すことに用いられ」ること、及び「前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である」ことについて、先に検討する。
引用発明1-1は、LTEにおける下り物理報知チャネル(PBCH)の送信方法であって、「サブ搬送波の間隔は15kHzである」から、そもそも、引用発明1-1において、サブ搬送波の間隔を基地局からの指示により示す必要性はない。
また、引例例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項を参酌しても、LTEにおいてサブ搬送波の間隔を基地局からの指示により示すことが周知技術であると認めるに足りる根拠はない。
そうすると、本願発明14の発明特定事項の一部のように、「前記リソース指示が第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを示すことに用いられ」、「前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である」構成とすることは、当業者であっても、引用発明1-1及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。

したがって、上記相違点1に関する本願発明14の他の発明特定事項について論及するまでもなく、本願発明14は、当業者であっても、引用発明1-1及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明14と引用発明1-2との対比及び判断について
次に、本願発明14と引用発明1-2とを対比する。

(1) 引用発明1-2の「LTEにおける無線リソースの通知方法」は、「基地局がPDCCHを生成し、前記PDCCHが、割り当てられた時間周波数リソースと前記時間周波数リソースで使用される変調方式を含み、前記基地局がユーザ端末へ前記PDCCHを送信すること」により、基地局が、ユーザ端末に対して、上記時間周波数リソースを指示する方法といえるから、本願発明14の「リソース指示方法」と、引用発明1-2の「LTEにおける無線リソースの通知方法」は、「リソース指示方法」である点で共通する。

(2) 上記(1)で説示したとおり、引用発明1-2は、基地局が「PDCCH」を生成し、ユーザ端末へ送信することにより、基地局がユーザ端末に対して、「割り当てられた時間周波数リソースと前記時間周波数リソースで使用される変調方式」を用いて通信することを指示するものであるから、引用発明1-2のPDCCHに含まれる「割り当てられた時間周波数リソースと前記時間周波数リソースで使用される変調方式」は、本願発明14の「第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータ」に含まれ、本願発明14の「リソース指示」に含まれる。
また、引用例1には、基地局が「PDCCH」を送信する時間周波数リソースがどのようなものであるか明記されていない。しかしながら、「LTE」において、基地局から送信される「PDCCH」が、当該「PDCCH」によりユーザ端末に通知される時間周波数リソース(PDSCH)とは異なる、特定の時間周波数リソースを占有することは、技術常識である。
さらに、引用発明1-2の「基地局」は、本願発明14の「基地局」に相当することが明らかである。
そうすると、本願発明14と、引用発明1-2とは、「基地局がリソース指示を生成し、前記リソース指示が第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを示すことに用いられ、前記リソース指示が第二の時間周波数リソースを占有」するという構成を含む点で、共通する。

(3) 引用発明1-2は「前記基地局がユーザ端末へ前記PDCCHを送信すること」を含み、引用発明1-2の「ユーザ端末」は、本願発明14の「端末」に含まれるから、本願発明14と、引用発明1-2は、「前記基地局が端末へ前記リソース指示を送信することとを含む」点で、共通する。

以上のことから、本願発明14と引用発明1-2との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「 リソース指示方法であって、
基地局がリソース指示を生成し、前記リソース指示が第一の時間周波数リソースと前記第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータを示すことに用いられ、前記リソース指示が第二の時間周波数リソースを占有し、
前記基地局が端末へ前記リソース指示を送信することを含む、
前記リソース指示方法。」

(相違点2-1)
第一の時間周波数リソースについて、本願発明14では、「少なくとも一つの前記リソース指示に対応する少なくとも一つの第一の時間周波数リソースがセルを構成すること」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明1-2では、そのような特定がない点。

(相違点2-2)
基地局が生成するリソース指示が示す第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータについて、本願発明14では、「前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である」のに対して、引用発明1-2では、基地局が生成するリソース指示が示す第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータとして「変調方式」を備えてはいるが、当該「変調方式」が「前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である」とは特定されていない点。

事案に鑑みて、上記相違点2-2について先に検討すると、引用発明1-2は、LTEにおける無線リソースの通知方法であって、「サブ搬送波の間隔は15kHzである」とするものであるから、そもそも、引用発明1-2において、サブ搬送波の間隔を基地局からの指示により示す必要性はない。
また、引例例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項を参酌しても、LTEにおいてサブ搬送波の間隔を基地局からの指示により示すことが周知技術であると認めるに足りる根拠はない。
そうすると、本願発明14のように、基地局が生成するリソース指示が示す第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータについて、「前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である」構成とすることは、当業者であっても、引用発明1-2及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。

したがって、上記相違点2-1について論及するまでもなく、本願発明14は、当業者であっても、引用発明1-2及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明15について
本願発明15は、本願発明14の発明特定事項を全て含むから、本願発明14と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1-1及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえず、また、引用発明1-2及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものともいえない。

4.本願発明1ないし13について
本願発明1ないし13は、本願発明14の上記相違点1及び相違点2-2に共通する、基地局から送信されるリソース指示が示す第一の時間周波数リソースを使用する場合の通信パラメータについて、「前記通信パラメータは、前記第一の時間周波数リソースのための多元接続技術に対応する基本物理層パラメータを含み、前記基本物理層パラメータがサブ搬送波の間隔である」という発明特定事項を備えるから、本願発明14と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1-1及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえず、また、引用発明1-2及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものともいえない。


第6 原査定についての判断
本願発明1ないし15は、上記「第5」の「1.」ないし「4.」のとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用例1に記載された発明(引用発明1-1、または引用発明1-2)及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし15は、当業者が引用例1に記載された発明(引用発明1-1、または引用発明1-2)及び引用例2ないし9のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-10-15 
出願番号 特願2018-505630(P2018-505630)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石原 由晴  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 國分 直樹
圓道 浩史
発明の名称 リソース指示方法、基地局と端末  
代理人 中村 行孝  
代理人 吉田 昌司  
代理人 宮嶋 学  
代理人 関根 毅  

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