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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H05B
審判 全部申し立て 2項進歩性  H05B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H05B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H05B
管理番号 1378739
異議申立番号 異議2020-701013  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-24 
確定日 2021-08-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6715699号発明「セラミックスヒータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6715699号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正することを認める。 特許第6715699号の請求項2?4に係る特許を維持する。 特許第6715699号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6715699号(以下「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成28年6月27日の出願であって、令和2年6月11日にその特許権の設定登録がされ、令和2年7月1日に特許掲載公報が発行された。
これに対して令和2年12月24日に特許異議申立人である池田 和雄(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1?4に係る特許について特許異議の申立てがされた。
そして、その後の手続は以下のとおりである。
・令和3年3月5日付けで取消理由通知
・令和3年4月22日に特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
・令和3年5月7日付けで訂正請求があった旨の通知
なお、申立人は、訂正請求があった旨の通知に対して指定期間内に意見書の提出はしなかった。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年4月22日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?4について訂正すること(以下「本件訂正」という。)を求めるものであって、その内容は以下の訂正事項1?3のとおりである。なお、下線は、特許権者が訂正箇所を示すために付したものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記第1下側発熱抵抗要素は、前記上側用端子と電気的に接続される構造と離間しつつ、前記セラミックス基材を上下方向に貫通する孔を除き、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より内側の領域の全面に亘って配置されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミックスヒータ。」と記載されているのを独立形式に改め、
「セラミックスからなり、上面に被加熱物が載置されるセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された下側発熱抵抗体と、
前記下側発熱抵抗体より上側にて前記セラミックス基材に埋設された上側発熱抵抗体と、
セラミックスからなり、前記セラミックス基材の下面の中心部に接続された中空のシャフトと、
前記下側発熱抵抗体に電流を流すための下側用端子と、
前記上側発熱抵抗体に電流を流すための上側用端子とを備えたセラミックスヒータであって、
前記下側発熱抵抗体は、前記下側用端子と接続された第1下側発熱抵抗要素と、前記第1下側発熱抵抗要素と接続され、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より外側であって、前記第1下側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の下側環状区域のそれぞれに配置されている第2下側発熱抵抗要素と、隣り合う前記下側環状区域に配置されている前記第2下側発熱抵抗要素同士を接続する第3下側発熱抵抗要素とにより構成され、
前記上側発熱抵抗体は、上面視において、前記シャフトの外周の内側及び外側に位置する領域に配置されており、
前記第1下側発熱抵抗要素は、少なくとも、上面視において、前記シャフトの外周の外側であって、かつ、前記上側発熱抵抗体の最外周より内側に位置する領域を含み、前記下側用端子と前記第2下側発熱抵抗要素とを前記第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有する領域に配置され、前記上側用端子と電気的に接続される構造と離間しつつ、前記セラミックス基材を上下方向に貫通する孔を除き、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より内側の領域の全面に亘って配置されていることを特徴とするセラミックスヒータ。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「抵抗値が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックスヒータ。」と記載されているのを、
「抵抗値が大きいことを特徴とする請求項2に記載のセラミックスヒータ。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する)。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するというものである。
したがって、訂正事項1は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記アに記載したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するというものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アに記載したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2について
ア 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2について、訂正後の請求項2において、その内容を変更することなく訂正前の請求項1の記載を引用しない形へと書き換える記載としたものである。
したがって、訂正事項2は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とするものである。
イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記アに記載したとおり、訂正事項2は、訂正後の請求項2において、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2の内容を変更するものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アに記載したとおり、訂正事項2は、訂正後の請求項2において、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項3の記載が請求項1又は請求項2を引用する記載であったものを、請求項1の削除に伴い請求項2のみを引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

3 一群の請求項について
訂正前の請求項1?4は、請求項2?4が、請求項1を引用する関係にあり、訂正される請求項1に連動して訂正されるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとにされたものである。

4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり本件訂正を認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりであり、本件訂正後の請求項2?4に係る発明(以下「本件訂正発明2」?「本件訂正発明4」という。)は、それぞれ本件訂正後の特許請求の範囲の請求項2?4に記載された事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
セラミックスからなり、上面に被加熱物が載置されるセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された下側発熱抵抗体と、
前記下側発熱抵抗体より上側にて前記セラミックス基材に埋設された上側発熱抵抗体と、
セラミックスからなり、前記セラミックス基材の下面の中心部に接続された中空のシャフトと、
前記下側発熱抵抗体に電流を流すための下側用端子と、
前記上側発熱抵抗体に電流を流すための上側用端子とを備えたセラミックスヒータであって、
前記下側発熱抵抗体は、前記下側用端子と接続された第1下側発熱抵抗要素と、前記第1下側発熱抵抗要素と接続され、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より外側であって、前記第1下側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の下側環状区域のそれぞれに配置されている第2下側発熱抵抗要素と、隣り合う前記下側環状区域に配置されている前記第2下側発熱抵抗要素同士を接続する第3下側発熱抵抗要素とにより構成され、
前記上側発熱抵抗体は、上面視において、前記シャフトの外周の内側及び外側に位置する領域に配置されており、
前記第1下側発熱抵抗要素は、少なくとも、上面視において、前記シャフトの外周の外側であって、かつ、前記上側発熱抵抗体の最外周より内側に位置する領域を含み、前記下側用端子と前記第2下側発熱抵抗要素とを前記第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有する領域に配置され、前記上側用端子と電気的に接続される構造と離間しつつ、前記セラミックス基材を上下方向に貫通する孔を除き、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より内側の領域の全面に亘って配置されていることを特徴とするセラミックスヒータ。
【請求項3】
前記上側発熱抵抗体は、前記上側用端子と接続された第1上側発熱抵抗要素と、前記第1上側発熱抵抗要素と接続され、前記第1上側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の上側環状区域のそれぞれに配置されている第2上側発熱抵抗要素と、隣り合う前記上側環状区域に配置されている前記第2上側発熱抵抗要素同士を接続する第3上側発熱抵抗要素とにより構成され、
上面視において前記シャフトの内側に位置し当該シャフトに最も近い前記第2上側発熱抵抗要素は、上面視において前記シャフトの外側に位置し最も近い前記第2上側発熱抵抗要素と比較して、抵抗値が大きいことを特徴とする請求項2に記載のセラミックスヒータ。
【請求項4】
前記上面視において前記シャフトの内側に位置し当該シャフトに最も近い前記第2上側発熱抵抗要素は、外側から中心部に向う部分を有するように蛇行していることを特徴とする請求項3に記載のセラミックスヒータ。」

第4 特許異議申立理由の概要及び証拠方法
特許異議申立書における特許異議申立理由の概要及び証拠方法は以下のとおりである。
1 特許異議申立理由の概要
(1)理由1:特許法第29条第1項第3号(請求項1)について
本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一である。
よって、本件の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。
(2)理由2:特許法第29条第2項(請求項1?4)について
仮に、本件の請求項1に係る発明が特許法第29条第1項第3号に該当しないとしても、本件の請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件の請求項2に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件の請求項3及び請求項4に係る発明は、甲第1号証及び甲第4号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件の請求項1、請求項2、請求項3及び請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に該当し、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。
(3)理由3:特許法第36条第6項第1号(請求項1)について
本件の請求項1に係る発明は、特許査定時の発明の詳細な説明に記載したものではない。
よって、本件の請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしておらず、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。
(4)理由4:特許法第36条第4項第1号(請求項1)について
特許査定時の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件の請求項1に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
よって、本件の請求項1に係る特許は、特許法第36条第4項第1号の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。

2 証拠方法
・甲第1号証:特開2002-57107号公報(以下「甲1」という。)
・甲第2号証:特開2014-99313号公報(以下「甲2」という。)
・甲第3号証:特開2002-50461号公報(以下「甲3」という。)
・甲第4号証:特開平11-339939号公報(以下「甲4」という。)

第5 取消理由の概要
当審において、令和3年3月5日付けで通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
ここで、甲1、2及び4は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である。
1 理由1(新規性)
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

2 理由2(進歩性)
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものである。
本件特許の請求項3に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲4に記載された事項に基いて、又は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許の請求項4に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲4に記載された事項に基いて、又は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件特許の請求項1、3及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

3 理由3(サポート要件)
本件特許の請求項1、3及び4の記載は、発明の詳細な説明において、本件発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものとなっている。
したがって、本件特許の請求項1、3及び4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

第6 本件特許の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて
本件特許の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立ては、本件特許の請求項1が本件訂正により削除されたことにより、申立ての対象が存在しないものとなったため、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものである。
したがって、本件特許の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。

そして、上記第5の取消理由における理由1、理由2の請求項1についての理由、理由3の請求項1についての理由は検討を要しないものとなった。
また、上記第4の特許異議申立理由における理由1、理由2の請求項1についての理由、理由3及び理由4は検討を要しないものとなった。
そこで、取消理由における理由2の請求項3、4についての理由、取消理由における理由3の請求項3、4についての理由及び取消理由で採用しなかった特許異議申立理由における理由2の請求項2についての理由を検討することとする。

第7 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由における理由2(進歩性)について
(1)理由2(進歩性)の概要
訂正前の請求項3及び4に係る特許に対して、当審が令和3年3月5日に特許権者に通知した取消理由における理由2の要旨は、上記第5の「2 理由2(進歩性)」に示したとおりである。

(2)甲1、甲2及び甲4について
ア 甲1について
(ア)甲1の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲1には、次の記載がある。なお、下線は当審で付したものである。
a 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、半導体ウエハ、液晶用ガラス基板、磁気ヘッド用基板などのウエハを加熱するのに用いるウエハ加熱部材及びこれを用いたウエハの均熱化方法並びに昇温方法に関するものである。」
b 「【0026】次に、本発明の他の実施形態について図6乃至図10を基に説明する。
【0027】この加熱部材22は、円盤状をした板状セラミック体23の内部中央には、図8に示すような平面形状が円形をなし、単一パターンからなる発熱体W_(1)を載置面4近傍に埋設するとともに、板状セラミック体23の内部周辺には、図9に示すような平面形状がリング状をなし、単一パターンからなる発熱体W_(2)、及び図10に示すような平面形状がリング状をなし、単一パターンからなる発熱体W_(3)を各々埋設し、板状セラミック体23の下面には、各発熱体W_(1),W_(2),W_(3)とそれぞれ電気的に接続される給電端子29,30,31を接合し、筒状体24内を通って真空処理室12外へ取り出すようになっており、給電端子29は電圧計15a、電流計16a、電力制御部19aと、給電端子30は電圧計15b、電流計16b、電力制御部19bと、給電端子31は電圧計15c、電流計16c、電力制御部19cとそれぞれ接続し、各電圧計15a?15c、電流計16a?16cから得られた信号は演算部17へ送るようになっている。
【0028】なお、板状セラミック体23の下面中央で、かつ最も内側に位置する発熱体W_(1)の近傍には、熱電対等の温度検出手段32を内蔵してあり、載置面25上に載せたウエハ34の温度変化を疑似的にモニターするようになっている。」
c 「【0035】ところで、上記ウエハ加熱部材1,22を構成する板状セラミック体2,23の材質としては、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスを用いることができるが、この中でも窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスは他のセラミックスと比較して高い熱伝導率を有することから好適であり、具体的には窒化アルミニウムの含有量が90%以上であるものが良い。
【0036】また、上記板状セラミック体2,23中に埋設する発熱体W_(1),W_(2),W_(3)の材質としては、板状セラミック体2,23を形成するセラミックスとの熱膨張差ができるだけ小さいものが良く、例えば、WやMo等の金属やWCを用いることができ、これらにAlN,Al_(2)O_(3),Si_(3)N_(4)等のセラミック粉体を添加することが好ましい。特に室温(25℃)付近から900℃程度の処理温度域における数1のKxが50?700の範囲にあるものが良い。即ち、室温(25℃)付近から900℃程度の処理温度域における数1のKxが50未満又は700を超えると、温度変動が大きくなり、温度制御できなくなるからで、好ましくは90?400とすることが良い。更に好ましくは90?300の範囲が良い。
【0037】更に、上記板状セラミック体2,23中に埋設する発熱体W_(1),W_(2),W_(3)の間隔が2mm以下では、発熱体W_(1),W_(2),W_(3)間の絶縁不良を起こすことがあり、また8mm以上では発熱体W_(1),W_(2),W_(3)間に温度の低い領域が発生し、ウエハ面内の温度差が大きくなり好ましくない。その為、各発熱体W_(1),W_(2),W_(3)の間隔は2mmから8mmが好ましく、更には2mmから5mmであると更にウエハ面の温度差を低減することができ望ましい。」
d 「【0061】(実施例4)次に、図6に示すウエハ加熱部材22を製作し、ウエハを加熱した時のウエハの面内温度差について調べる実験を行った。
【0062】本実験にあたり、ウエハ加熱部材22を構成する板状セラミック体23は窒化アルミニウム質セラミックスにより形成し、外径340mm、厚み15mmの円盤状とした。また、板状セラミック体23中の内側で外径100mmの範囲内には図8に示すパターン形状を有する発熱体W_(1)を、その外側で外径200mm、内径102mmの範囲内には図9に示すパターン形状を有する発熱体W_(2)を、その外側で外径320mm、内径202mmの範囲内には図10に示すパターン形状を有する幅2mmの発熱体W_(3)をそれぞれ厚み方向に2mmの間隔で深さを異ならせて埋設したものを用いた。
【0063】また、ウエハ加熱部材22の下面に接合する筒状体24は板状セラミック体23と同様に窒化アルミニウム質セラミックスにより形成し、外径80mm、内径50mmの筒状とした。
【0064】筒状支持体24は、板状セラミック体23の下面に気密に接合し、ウエハ加熱部材22を真空処理室12内に設置するとともに、図7に示す制御回路を構成した。
【0065】そして、ウエハ加熱部材22の載置面25に、図5(b)に示す外径300mmの測温用TCウエハ(センサレー社製、測温点9点)を載せ、真空処理室12の冷却水や加熱電源を遮断した状態で室内温度を20℃に保ち、この状態で12時間放置した後、測温用定TCウエハの各測温点における温度を測定した。この時、測温用TCウエハの各測定点の温度は、以下の通りであった。」
e 「【0071】そこで、ウエハ加熱部材22の載置面25に測温用TCウエハを載せた状態で700℃に加熱し、各発熱体W_(1),W_(2),W_(3)の抵抗値R_(1)、R_(2),R_(3)の間に以下の関係が成り立つように調整した。
124.251×R_(1)-173.731=115.989×R_(2)-252.266=98.958×R_(3)-354.313
この結果、表4に示すように、本発明のウエハ加熱部材22は、測温用TCウエハの内面温度差が2.1℃であった。」
f 「【0080】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係る発明によれば、ウエハの載置面を有する板状セラミック体中に、複数の発熱体を埋設したウエハ加熱部材において、上記各発熱体のKXの値をそれぞれ50?700としたことによって、300℃?900℃の処理温度域における各発熱体の温度変動が小さいため、この範囲で容易に温度制御を行うことができる。特に、請求項2に係る発明のように、板状セラミック体を窒化アルミニウム質セラミックスで形成すれば、熱伝導性に優れるため、ウエハをより均一に加熱することができる。」
g 「



(イ)上記(ア)の記載から分かること
a 上記(ア)の段落0001、0027、0035、0061?0065及び0071並びに図6の記載によれば、甲1にはウエハ加熱部材22が記載されている。
b 上記(ア)の段落0026?0028、0035及び0062並びに図6の記載によれば、ウエハ加熱部材22は、窒化アルミニウム質セラミックスからなり、上面にウエハ34が載置される板状セラミック体23を備えることが分かる。
c 上記(ア)の段落0027及び0062並びに図6及び10の記載によれば、ウエハ加熱部材22は、板状セラミック体23に埋設された発熱体W_(3)を備えることが分かる。
d 上記(ア)の段落0027及び0062並びに図6及び9の記載によれば、ウエハ加熱部材22は、発熱体W_(3)より上側にて板状セラミック体23に埋設された発熱体W_(2)を備えることが分かる。
e 上記(ア)の段落0027及び0062?0064並びに図6の記載によれば、ウエハ加熱部材22は、窒化アルミニウム質セラミックスからなり、板状セラミック体23の下面の中心部に接続された筒状体24を備えることが分かる。
f 上記(ア)の段落0027並びに図6及び10の記載によれば、ウエハ加熱部材22は、発熱体W_(3)に電流を流すための給電端子31を備えることが分かる。
g 上記(ア)の段落0027並びに図6及び9の記載によれば、ウエハ加熱部材22は、発熱体W_(2)に電流を流すための給電端子30を備えることが分かる。
h 上記(ア)の段落0062並びに図6及び10の記載によれば、発熱体W_(3)は、給電端子31と接続された第1下側発熱抵抗要素と、前記第1下側発熱抵抗要素と接続され、上面視において発熱体W_(2)の最外周より外側であって、前記第1下側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の下側環状区域のそれぞれに配置されている第2下側発熱抵抗要素と、隣り合う前記下側環状区域に配置されている前記第2下側発熱抵抗要素同士を接続する第3下側発熱抵抗要素とにより構成されることが分かる。
i 上記(ア)の段落0062及び0063並びに図6及び9の記載によれば、発熱体W_(2)は、上面視において、筒状体24の外周の内側及び外側に位置する領域に配置されていることが分かる。
j 上記(ア)の段落0062及び0063並びに図4、6、9及び10の記載によれば、第1下側発熱抵抗要素は、少なくとも、上面視において、筒状体24の外周の外側であって、かつ、発熱体W_(2)の最外周より内側に位置する領域を含み、給電端子31と第2下側発熱抵抗要素とを第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有する領域に配置されていることが分かる。

(ウ) 甲1発明1
上記(ア)及び(イ)を総合して整理すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認める。
「窒化アルミニウム質セラミックスからなり、上面にウエハ34が載置される板状セラミック体23と、
前記板状セラミック体23に埋設された発熱体W_(3)と、
前記発熱体W_(3)より上側にて前記板状セラミック体23に埋設された発熱体W_(2)と、
窒化アルミニウム質セラミックスからなり、前記板状セラミック体23の下面の中心部に接続された筒状体24と、
前記発熱体W_(3)に電流を流すための給電端子31と、
前記発熱体W_(2)に電流を流すための給電端子30とを備えたウエハ加熱部材22であって、
前記発熱体W_(3)は、前記給電端子31と接続された第1下側発熱抵抗要素と、前記第1下側発熱抵抗要素と接続され、上面視において前記発熱体W_(2)の最外周より外側であって、前記第1下側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の下側環状区域のそれぞれに配置されている第2下側発熱抵抗要素と、隣り合う前記下側環状区域に配置されている前記第2下側発熱抵抗要素同士を接続する第3下側発熱抵抗要素とにより構成され、
前記発熱体W_(2)は、上面視において、前記筒状体24の外周の内側及び外側に位置する領域に配置されており、
前記第1下側発熱抵抗要素は、少なくとも、上面視において、前記筒状体24の外周の外側であって、かつ、前記発熱体W_(2)の最外周より内側に位置する領域を含み、前記給電端子31と前記第2下側発熱抵抗要素とを前記第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有する領域に配置されている、ウエハ加熱部材22。」

(エ)甲1発明2
上記(ア)及び(イ)を総合して整理すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認める。
「甲1発明1において、前記発熱体W_(2)は、前記給電端子30と接続された第1上側発熱抵抗要素と、前記第1上側発熱抵抗要素と接続され、前記第1上側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の上側環状区域のそれぞれに配置されている第2上側発熱抵抗要素と、隣り合う前記上側環状区域に配置されている前記第2上側発熱抵抗要素同士を接続する第3上側発熱抵抗要素とにより構成された、ウエハ加熱部材22。」

イ 甲2について
(ア)甲2の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲2には、次の記載がある。
a 「【0007】
2ゾーン制御でT型構造のヒータユニットにおいて、加熱面と発熱体とを同一平面上に配置すると、ヒータ中央部の電極と外ヒータとを接続する経路、いわゆる渡り部が、加熱面に形成される。この渡り部は、他の領域と比較して発熱増大による温度上昇(ホットスポット)又は発熱減少による温度低下(コールドスポット)が多く見られ、温度制御が困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、2ゾーン制御でT型構造のヒータユニットにおいて、均熱性を向上させることを目的とする。」
b 「【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の特徴を有する。本発明の第1の特徴は、帯状の発熱体(発熱体33)によって形成される略円形状の加熱面(加熱面31)を備えるヒータユニットであって、前記加熱面は、前記加熱面の中心を含む中央部と、前記中央部を囲む内側領域と、前記内側領域を囲む外側領域とを含み、前記加熱面は、前記中央部から延びる前記発熱体によって前記内側領域に形成される内側ヒータ(内ヒータ34)と、前記中央部から径方向外側に延びる前記発熱体によって前記内側領域に形成される連絡部(渡り部36)、及び前記連絡部から延びる前記発熱体によって前記外側領域に形成される外側部分を含む外側ヒータ(外ヒータ35)と、を有し、前記連絡部における前記発熱体の幅は、前記外側部分における前記発熱体の幅よりも広いことを要旨とする。
【0011】
かかる特徴によれば、外側ヒータにおいて、連絡部における発熱体の幅が、外側部分における発熱体の幅よりも広いことにより、連絡部の抵抗が外側部分よりも小さくなる。そのため、連絡部における発熱が抑制されると共に、外側部分における発熱量が増大し、均熱性が向上する。つまり、2ゾーン制御でT型構造のヒータユニットにおいて、帯状の発熱体が形成するヒータパターンの最適化により、加熱面に連絡部が形成されても均熱性を確保することができるため、加熱面と発熱体を同一平面上に配置した簡易な構成にすることができる。」
c 「【0030】
加熱面31は、加熱面31の中心を含む中央部Cと、中央部を囲む内側領域Iと、内側領域を囲む外側領域Oとに区分される。内側領域Iの外周は、加熱面31より小径の同心円であるが、内側領域Iの径は任意に定めることができる。ヒータユニット30は、加熱面31の中央部Cで複数の電極32と接続する。
【0031】
加熱面31は、内ヒータ34と、外ヒータ35とに区分される。内ヒータ34は、中央部Cから延びる発熱体33によって内側領域Iに形成される。外ヒータ35は、中央部Cから径方向外側に延びる発熱体33によって内側領域Iに形成される渡り部36と、渡り部36から延びる発熱体33によって外側領域Oに形成される外側部分37とを含む。
【0032】
内ヒータ34及び外ヒータ35には、中央部Cから延びる帯状の発熱体33が一筆書き状に連続したパターンが形成されている。内ヒータ34の発熱体33は、外ヒータ35の渡り部36と当接する位置で折り返すことによって、内ヒータ34をC形の形状に形成する。これにより、電極32と接続する中央部Cで生じた熱が、発熱体33を介して内ヒータ34全域に伝達される。外ヒータ35の発熱体33は、中央部Cから渡り部36を介して外側領域Oに至り、外側領域Oにおいて円環状の外側部分37を形成する。これにより、電極32と接続する中央部Cで生じた熱が、渡り部36の発熱体33を介して外側部分37まで伝達され、外ヒータ35全域に伝達される。
【0033】
ここで、外ヒータ35において、連絡部36における発熱体33の幅は、外側部分37における発熱体33の幅よりも広く形成されている。
d 「【0036】
発熱体33は、加熱面31の周方向に延びる帯状部33Aと、帯状部33Aを、その端部において、隣接する帯状部33Aの端部と接続する接続部33Bとを含む。接続部33Bが帯状部33Aと径方向溝39との間に介在することにより、概ね周方向に延びる発熱体33が、径方向溝39と当接する位置で折り返され、反対方向に向かうこれにより、内ヒータ34及び外ヒータ35において、中央部Cから延びる帯状の発熱体33が一筆書き状に連続したパターンが形成される。」
e 「【0038】
発熱体33の抵抗は、原則として、発熱体33の幅に反比例する。そのため、図2に示すヒータユニット20では、内ヒータ24及び渡り部26の発熱が顕著で、均熱性が悪化していた。しかし、図3に示すヒータユニット30では、渡り部36における発熱体33の幅が、外ヒータ35の外側部分37における発熱体33の幅よりも広く構成される。これにより、渡り部36の抵抗が外側部分37の抵抗よりも小さくなるため、渡り部36における発熱が抑制されると共に、外側部分37における発熱が増大する。その結果、外ヒータ25(特に、外側部分37)における熱引きや、渡り部26のホットスポット化が防止され、均熱性が向上する。つまり、ヒータユニット30は、2ゾーン制御でT型構造のヒータユニットでありながらも、加熱面と発熱体と一体化した簡易な構成としつつ、均熱性を向上させることができる。」
f 「



(イ)上記(ア)によると、甲2には、次の事項(以下「甲2の記載事項」という。)が記載されていると認める。
「ヒータユニット30において、発熱体33の渡り部36を、電極32と外側部分37とを前記外側部分37における径方向に延びる接続部の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有するように前記接続部より幅広に配置すること。」

ウ 甲3について
(ア)甲3の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲3には、次の記載がある。
a 「【0004】上記第1の従来例は、加熱の均一性の観点で改善すべきものであった。すなわち、半導体ウエハの製造工程等においては、半導体ウエハの高集積化、大口径化がすすむにつれ、ウエハの面内温度の均一性をいかに確保するかが重要な課題となっている。また、この温度均一性は、真空度、プロセスガスなどの変化等の、いわゆる熱処理条件が変化しても維持されていることが必要である。
【0005】係る観点から、上記第1の従来例を改良した基板加熱装置として、図6及び図7に示す第2の従来例に係る基板加熱装置が用いられていた。両図において、図4及び図5に示す構成部材と同一の構成部材には、同一の符号を附してその説明を省略する。第2の従来例に係る基板加熱装置30は、面状ヒータ31a、31b、給電用電極33a、33a、33b、33b及びヒータケース4とを備えている。この面状ヒータ31a、31bは各々同一平面内の内周部と外周部とに配置されており、共に、ヒーターケース4内に収容されている。そして、各々半円形の円弧を折り返すようにして配置された帯状の発熱体32a、32bを備えている。この発熱体32a、32bの幅Wは、発熱体32aの方が発熱体32bより大きく、また、各々の幅Wは、内周部中心に近づくほど大きく、外周部の外側に近づくほど小さくなっている。」
b 「【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記第2の従来例の基板加熱装置では、いわゆる熱処理環境が変化しても基板の面内温度の均一性は充分確保されるものの、膜形成工程に使用されて各種の薄膜を成膜する場合には、成膜性が悪く、良質の膜を成膜することが困難であった。また、所望の熱処理温度まで急速に昇温するのが困難であり、さらに、それぞれの給電用電極は分散して配設されているので、基板加熱装置の占有スペースが増大するという不都合があった。」
c 「【0020】面状ヒータ11A、11Bは、共に基板5とほぼ同径でほぼ同面積に形成されている。そして、各々その面積全面にわたって、半円形の円弧を折り返すようにして配置された帯状の発熱体12A、12Bを備えている。上側に配置された面状ヒータ11A(第1の面状ヒータ)の発熱体12Aは、その幅WAが内周部の中心に近づくほど小さく、外周部に行くほど大きくなっている。すなわち、内周部が外周部に比べてより多く発熱するように形成されている。一方下側に配置された面状ヒータ11B(第2の面状ヒータ)の発熱体12Bは、その幅WBが内周部の中心に近づくほど大きく、外周部に行くほど小さくなっている。すなわち、外周部が内周部に比べてより多く発熱するように形成されている。」
d 「



(イ)上記(ア)によると、甲3には、次の事項(以下「甲3の記載事項」という。)が記載されていると認める。
「基板加熱装置において、発熱体のうち、給電用電極が設けられている最内周側の部分を二つの半円形状にすることは従来より行われており、また、基板の面積全面にわたって、半円形の円弧を折り返すようにして配置された帯状の発熱体を備えた二つの面状ヒータは、共に基板とほほ同径でほぼ同面積に形成され、下側に配置された面状ヒータの発熱体の幅が内周部の中心に近づくほど大きくされること。」

エ 甲4について
(ア)甲4の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲4には、次の記載がある。
a 「【0011】図1(a)は本発明のセラミックヒータを示す斜視図、(b)は(a)のX?X線断面図であり、抵抗発熱体4を埋設してなる円盤状をしたセラミック体2からなり、該セラミック体2の上面を被加熱物Wの載置面3としてある。また、上記セラミック体2の下面中央にはセラミックヒータ1を反応処理室(不図示)内に設置するためのセラミックスからなる筒状支持体6を接合してあり、該筒状支持体6によって反応処理室の内外を気密にシールするとともに、上記筒状支持体6の内側より前記抵抗発熱体4へ通電するための給電端子5を反応処理室外へ取り出するようになっている。
【0012】また、上記セラミック体2中に埋設する抵抗発熱体4の発熱パターンは、例えば、図2に示すような略同心円状としてあり、上記発熱パターンQが占める面積をSとした時、面積Sは載置面3全体の80%以上となるようにしてある。なお、発熱パターンQのパターン形状としては図2に示したものだけに限定されるものではなく、図6に示す渦巻き状をしたものなど載置面3を均一に加熱できるパーン形状であれば良い。
【0013】そして、本発明は、上記発熱パターンQのうち筒状支持体6の最外周より内側に位置する領域Q1の面積をS1、上記筒状支持体6の最外周より内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの抵抗値をR1とするとともに、上記発熱パターンQのうち筒状支持体6の最外周より外側に位置する領域Q2の面積をS2、上記筒状支持体6の最外周より外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの抵抗値をR2とした時、上記筒状支持体6の内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)を、上記筒状支持体6の外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)より大きくしたことを特徴とする。
【0014】即ち、上記セラミックヒータ1を発熱させると、筒状支持体6を介して反応処理室側へ熱が奪われて熱引けが発生し、載置面3の均熱化が阻害されるとともに、特に昇温時において、筒状支持体6が接合されているセラミックヒータ1の中央と、筒状支持体6が接合されていないセラミックヒータ1の周縁との境界に大きな熱応力が発生し、セラミックヒータ1が割れてしまうといった恐れがあるが、本発明では、発熱パターンQの筒状支持体6より内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4aの単位面積当たりの抵抗値(R1/S1)を、筒状支持体6より外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4bの単位面積当たりの抵抗値(R2/S2)より大きくし、筒状支持体6が接合されているセラミックヒータ1の中央の発熱量を周縁より大きくしてあることから、熱引けに伴う温度損失を補い、載置面6の温度分布を均一化することができるとともに、昇温時においてセラミックヒータ1の中央の発熱量を周縁より大きくできるため、セラミックヒータ1に発生する熱応力を緩和し、急速昇温によるセラミックヒータ1の破損を防ぐことができる。」
b 「



(イ)上記(ア)によると、甲4には、次の事項(以下「甲4の記載事項」という。)が記載されていると認める。
「セラミックヒータ1(セラミックスヒータ)において、抵抗発熱体4(発熱抵抗体)は、給電端子5(端子)と接続された第1発熱抵抗要素と、前記第1発熱抵抗要素と接続され、前記第1発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の環状区域のそれぞれに配置されている第2発熱抵抗要素と、隣り合う前記環状区域に配置されている前記第2発熱抵抗要素同士を接続する第3発熱抵抗要素とにより構成され、上面視において筒状支持体6(シャフト)の内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4a(シャフトに最も近い第2発熱抵抗要素を含む)が、上面視において前記筒状支持体6の外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4b(シャフトに最も近い第2発熱抵抗要素を含む)と比較して、単位面積あたりの抵抗値が大きいものとされ、前記上面視において前記筒状支持体6の内側に位置し当該筒状支持体6に最も近い前記第2発熱抵抗要素が、外側から中心部に向う部分を有するように蛇行していること。」

(3)当審の判断
ア 本件訂正発明3について
(ア)対比
本件訂正発明3と甲1発明2とを対比する。
・後者の「窒化アルミニウム質セラミックス」は、前者の「セラミックス」に相当し、同様に、「ウエハ34」は「被加熱物」に、「板状セラミック体23」は「セラミックス基材」に、「発熱体W_(3)」は「下側発熱抵抗体」に、「発熱体W_(2)」は「上側発熱抵抗体」に、「筒状体24」は「中空のシャフト」に、「給電端子31」は「下側用端子」に、「給電端子30」は「上側用端子」に、「ウエハ加熱部材22」は「セラミックスヒータ」に、「第1下側発熱抵抗要素」は「第1下側発熱抵抗要素」に、「下側環状区域」は「下側環状区域」に、「第2下側発熱抵抗要素」は「第2下側発熱抵抗要素」に、「第3下側発熱抵抗要素」は「第3下側発熱抵抗要素」に、「上側環状区域」は「上側環状区域」に、「第3上側発熱抵抗要素」は「第3上側発熱抵抗要素」に、それぞれ相当する。

そうすると、両者の間には次の一致点及び相違点が認められる。
[一致点]
「セラミックスからなり、上面に被加熱物が載置されるセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された下側発熱抵抗体と、
前記下側発熱抵抗体より上側にて前記セラミックス基材に埋設された上側発熱抵抗体と、
セラミックスからなり、前記セラミックス基材の下面の中心部に接続された中空のシャフトと、
前記下側発熱抵抗体に電流を流すための下側用端子と、
前記上側発熱抵抗体に電流を流すための上側用端子とを備えたセラミックスヒータであって、
前記下側発熱抵抗体は、前記下側用端子と接続された第1下側発熱抵抗要素と、前記第1下側発熱抵抗要素と接続され、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より外側であって、前記第1下側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の下側環状区域のそれぞれに配置されている第2下側発熱抵抗要素と、隣り合う前記下側環状区域に配置されている前記第2下側発熱抵抗要素同士を接続する第3下側発熱抵抗要素とにより構成され、
前記上側発熱抵抗体は、上面視において、前記シャフトの外周の内側及び外側に位置する領域に配置されており、
前記第1下側発熱抵抗要素は、少なくとも、上面視において、前記シャフトの外周の外側であって、かつ、前記上側発熱抵抗体の最外周より内側に位置する領域を含み、前記下側用端子と前記第2下側発熱抵抗要素とを前記第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有する領域に配置されており、
前記上側発熱抵抗体は、前記上側用端子と接続された第1上側発熱抵抗要素と、前記第1上側発熱抵抗要素と接続され、前記第1上側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の上側環状区域のそれぞれに配置されている第2上側発熱抵抗要素と、隣り合う前記上側環状区域に配置されている前記第2上側発熱抵抗要素同士を接続する第3上側発熱抵抗要素とにより構成された、セラミックスヒータ。」

[相違点]
[相違点3-1]
本件訂正発明3では、「前記第1下側発熱抵抗要素」は、「前記上側用端子と電気的に接続される構造と離間しつつ、前記セラミックス基材を上下方向に貫通する孔を除き、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より内側の領域の全面に亘って配置されている」のに対して、甲1発明2では、そのような構成を有していない点。

[相違点3-2]
本件訂正発明3では、「上面視において前記シャフトの内側に位置し当該シャフトに最も近い前記第2上側発熱抵抗要素は、上面視において前記シャフトの外側に位置し最も近い前記第2上側発熱抵抗要素と比較して、抵抗値が大きい」のに対して、甲1発明2では、そのような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。
a 相違点3-1について
甲2の記載事項における「ヒータユニット30」は甲1発明2の「ヒータ」に対応し、同様に、「発熱体33」は「発熱抵抗体」に、「渡り部36」は「第1下側発熱抵抗要素」に、「電極32」は「下側用端子」に、「外側部分37」は「第2下側発熱抵抗要素」に、「接続部」は「第3下側発熱抵抗要素」に、それぞれ対応しており、甲2の記載事項は次のとおりのものといえる。
「ヒータにおいて、発熱抵抗体の第1下側発熱抵抗要素を、下側用端子と第2下側発熱抵抗要素とを前記第2下側発熱抵抗要素における径方向に延びる第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有するように前記第3下側発熱抵抗要素より幅広に配置すること。」
また、甲3の記載事項における「基板加熱装置」は甲1発明2の「セラミックスヒータ」に対応し、同様に、「発熱体」は「発熱抵抗要素」に、「給電用電極」は「電流を流すための」「端子」に、「面状ヒータ」は「発熱抵抗体」に、「基板」は「被加熱物」に、それぞれ対応しており、甲3の記載事項は次のとおりのものといえる。
「基板加熱装置において、発熱抵抗要素のうち、電流を流すための端子が設けられている最内周側の部分を二つの半円形状にすることは従来より行われており、また、被加熱物の面積全面にわたって、半円形の円弧を折り返すようにして配置された帯状の発熱抵抗要素を備えた二つの発熱抵抗体は、共に被加熱物とほほ同径でほぼ同面積に形成され、下側に配置された発熱抵抗体の発熱抵抗要素の幅が内周部の中心に近づくほど大きくされること。」
しがしながら、これら甲2の記載事項及び甲3の記載事項は、上記相違点3-1に係る本件訂正発明3の構成を示すものでない。
さらに、上記相違点3-1に係る本件訂正発明3の構成は、下記(イ)の検討で挙げた甲4の記載事項においても示されておらず、本件特許の出願前において技術常識であるとも認めることができない。
そうすると、甲1発明2において、上記相違点3-1に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

b 相違点3-2について
甲4の記載事項における「セラミックヒータ1」は甲1発明2の「セラミックスヒータ」に対応し、同様に、「抵抗発熱体4」は「発熱抵抗体」に、「給電端子5」は「電流を流すための」「端子」に、「筒状支持体6」は「シャフト」に、「単位面積あたりの抵抗値が大きい」は「抵抗値が大きい」に、それぞれ対応し、「上面視において筒状支持体6の内側に位置する領域Q1における抵抗発熱体4a」は「シャフトに最も近い第2発熱抵抗要素」を含むものといえ、「上面視において前記筒状支持体6の外側に位置する領域Q2における抵抗発熱体4b」は「シャフトに最も近い第2発熱抵抗要素」を含むものといえ、甲4の記載事項は次のとおりのものといえる。
「セラミックスヒータにおいて、発熱抵抗体は、電流を流すための端子と接続された第1発熱抵抗要素と、前記第1発熱抵抗要素と接続され、前記第1発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の環状区域のそれぞれに配置されている第2発熱抵抗要素と、隣り合う前記環状区域に配置されている前記第2発熱抵抗要素同士を接続する第3発熱抵抗要素とにより構成され、上面視においてシャフトの内側に位置しシャフトに最も近い第2発熱抵抗要素が、上面視において前記シャフトの外側に位置しシャフトに最も近い第2発熱抵抗要素と比較して、抵抗値が大きいものとされ、前記上面視において前記シャフトの内側に位置し当該シャフトに最も近い前記第2発熱抵抗要素が、外側から中心部に向う部分を有するように蛇行していること。」
そして、甲4の記載事項は、第1発熱抵抗要素、第2発熱抵抗要素及び第3発熱抵抗要素により構成されているセラミックスヒータの発熱抵抗体という基本的構造において甲1発明2と共通しており、また、被加熱物の載置面の温度分布を均一化するものであるところ、甲1発明2においても均一加熱を課題とするものであるから(甲1の段落0005?0007、0037及び0080)、甲1発明2の発熱体W_(2)(上側発熱抵抗体)に甲4の記載事項を適用し、上記相違点3-2に係る本件訂正発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

c 効果について
そして、本件訂正発明3は、上記相違点3-1を備えることにより、「第1下側発熱抵抗要素の抵抗値が小さくなり、この部分での発熱が抑制されることにより、基材の均熱化を図ることが可能となる。」(本件特許の明細書の段落0009)という効果に加え、「第1下側発熱抵抗要素の領域を可能な限り広くできる。これに、第1下側発熱抵抗要素の抵抗値がさらに小さくなり、この部分での発熱がさらに抑制されることにより、基材のさらなる均熱化を図ることが可能となる。」(本件特許明細書の段落0012)という所期の効果を奏するものである。

d まとめ
したがって、本件訂正発明3は、甲1発明2、甲2の記載事項、甲3の記載事項及び甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件訂正発明4について
(ア)対比
本件訂正発明4と甲1発明2とを、上記ア(ア)の対比を踏まえて対比すると、両者は相違点3-1及び相違点3-2に加えて、次の点で相違する。
[相違点4-1]
本件訂正発明4は、前記上面視において前記シャフトの内側に位置し当該シャフトに最も近い前記第2上側発熱抵抗要素は、外側から中心部に向う部分を有するように蛇行している」のに対して、甲1発明2は、そのような構成を有していない点。

(イ)判断
a 相違点3-1について
上記ア(イ)aのとおり、甲1発明2において、上記相違点3-1に係る本件訂正発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

b 相違点3-2について
上記ア(イ)bのとおり、甲1発明2の発熱体W_(2)(上側発熱抵抗体)に甲4の記載事項を適用し、上記相違点3-2に係る本件訂正発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

c 相違点4-1について
上記ア(イ)bで示したように、甲4の記載事項において、上面視においてシャフトの内側に位置し当該シャフトに最も近い第2発熱抵抗要素が、外側から中心部に向う部分を有するように蛇行している構成を備えているといえる。
したがって、上記ア(イ)bの検討を踏まえると、甲1発明2の発熱体W_(2)(上側発熱抵抗体)に甲4の記載事項を適用し、上記相違点4-1に係る本件訂正発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

d 効果について
そして、本件訂正発明4は、上記相違点3-1を備えることにより、「第1下側発熱抵抗要素の抵抗値が小さくなり、この部分での発熱が抑制されることにより、基材の均熱化を図ることが可能となる。」(本件特許の明細書の段落0009)という効果に加え、「第1下側発熱抵抗要素の領域を可能な限り広くできる。これに、第1下側発熱抵抗要素の抵抗値がさらに小さくなり、この部分での発熱がさらに抑制されることにより、基材のさらなる均熱化を図ることが可能となる。」(本件特許明細書の段落0012)という所期の効果を奏するものである。

e まとめ
したがって、本件訂正発明4は、甲1発明2、甲2の記載事項、甲3の記載事項及び甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)小活
上記(3)ア及びイのとおりであるから、本件特許の請求項3及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、特許法第113条第2号に該当しない。

2 取消理由における理由3(サポート要件)について
(1)理由3(サポート要件)の概要
訂正前の請求項3及び4に係る特許に対して、当審が令和3年3月5日に特許権者に通知した取消理由における理由3の要旨は、上記第5の「3 理由3(サポート要件)」に示したとおりである。

(2)当審の判断
本件特許の発明が解決しようとする課題(以下「本件発明の課題」という。)は、「基材の均熱化を図ることが可能なセラミックスヒータを提供すること」(本件特許明細書の段落0007)である。
そして、本件訂正後の請求項3及び4において直接又は間接的に引用する請求項2には、「前記第1下側発熱抵抗要素は、少なくとも、上面視において、前記シャフトの外周の外側であって、かつ、前記上側発熱抵抗体の最外周より内側に位置する領域を含み、前記下側用端子と前記第2下側発熱抵抗要素とを前記第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有する領域に配置されている」(18?21行)という特定事項に加え、「前記第1下側発熱抵抗要素」は、「前記上側用端子と電気的に接続される構造と離間しつつ、前記セラミックス基材を上下方向に貫通する孔を除き、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より内側の領域の全面に亘って配置されている」(19?21)という特定事項を備えており、これにより、下側用端子と第2下側発熱抵抗要素とを第3下側発熱抵抗要素の幅と同程度の幅で直線的に接続する領域に第1下側発熱抵抗要素が配置されている従来のセラミックスヒータと比較して、第1下側発熱抵抗要素の存在する領域の面積が大きくなることで、第1下側発熱抵抗要素の抵抗値が小さくなり、この部分での発熱が抑制されることにより、基材の均熱化を図ることが可能となることから(本件特許の明細書の段落0009)、本件訂正発明3及び4は本件発明の課題を解決することができるものと認められる。
そうすると、本件訂正後の特許請求の範囲における請求項3及び4の記載は、本件訂正発明3及び4が、発明の詳細な説明において、本件発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものとはいえない。

(3)小活
したがって、本件特許の請求項3及び4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものでないから、特許法第113条第4号に該当しない。

第8 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許法第29条第2項(進歩性)の特許異議申立理由の概要について
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は、上記第4の1(2)に示したとおり、「本件の請求項2に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。」というものである。

2 甲1及び甲3について
甲1及び甲3の記載並びに甲1発明1及び甲3の記載事項は、上記第7の1(2)ア及びウに示したとおりである。

3 当審の判断
(1)対比
本件訂正発明2と甲1発明1とを、上記第7の1(3)ア(ア)の対比を踏まえて対比すると、両者の間には次の一致点及び相違点が認められる。
[一致点]
「セラミックスからなり、上面に被加熱物が載置されるセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された下側発熱抵抗体と、
前記下側発熱抵抗体より上側にて前記セラミックス基材に埋設された上側発熱抵抗体と、
セラミックスからなり、前記セラミックス基材の下面の中心部に接続された中空のシャフトと、
前記下側発熱抵抗体に電流を流すための下側用端子と、
前記上側発熱抵抗体に電流を流すための上側用端子とを備えたセラミックスヒータであって、
前記下側発熱抵抗体は、前記下側用端子と接続された第1下側発熱抵抗要素と、前記第1下側発熱抵抗要素と接続され、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より外側であって、前記第1下側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の下側環状区域のそれぞれに配置されている第2下側発熱抵抗要素と、隣り合う前記下側環状区域に配置されている前記第2下側発熱抵抗要素同士を接続する第3下側発熱抵抗要素とにより構成され、
前記上側発熱抵抗体は、上面視において、前記シャフトの外周の内側及び外側に位置する領域に配置されており、
前記第1下側発熱抵抗要素は、少なくとも、上面視において、前記シャフトの外周の外側であって、かつ、前記上側発熱抵抗体の最外周より内側に位置する領域を含み、前記下側用端子と前記第2下側発熱抵抗要素とを前記第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有する領域に配置されている、セラミックスヒータ。」

[相違点]
[相違点2-1]
本件訂正発明2は、「前記第1下側発熱抵抗要素」は、「前記上側用端子と電気的に接続される構造と離間しつつ、前記セラミックス基材を上下方向に貫通する孔を除き、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より内側の領域の全面に亘って配置されている」のに対して、甲1発明1では、そのような構成を有していない点。

(2)判断
ア 相違点2-1について
上記相違点2-1は上記相違点3-1と同じであり、上記第7の1(3)ア(イ)aの検討を踏まえると、甲1発明1において、甲3の記載事項を考慮しても、上記相違点2-1に係る本件訂正発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

イ 効果について
そして、本件訂正発明2は、上記相違点2-1を備えることにより、「第1下側発熱抵抗要素の抵抗値が小さくなり、この部分での発熱が抑制されることにより、基材の均熱化を図ることが可能となる。」(本件特許の明細書の段落0009)という効果に加え、「第1下側発熱抵抗要素の領域を可能な限り広くできる。これに、第1下側発熱抵抗要素の抵抗値がさらに小さくなり、この部分での発熱がさらに抑制されることにより、基材のさらなる均熱化を図ることが可能となる。」(本件特許明細書の段落0012)という所期の効果を奏するものである。

ウ まとめ
したがって、本件訂正発明2は、甲1発明1及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)小活
上記(2)のとおりであるから、本件特許の請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、特許法第113条第2号に該当しない。

第9 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項2?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反するものではないとともに、本件特許の請求項3、4に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものではないから、特許法第113条第2号及び第4号には該当せず、取消理由通知書に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に本件特許の請求項2?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについては、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
セラミックスからなり、上面に被加熱物が載置されるセラミックス基材と、
前記セラミックス基材に埋設された下側発熱抵抗体と、
前記下側発熱抵抗体より上側にて前記セラミックス基材に埋設された上側発熱抵抗体と、
セラミックスからなり、前記セラミックス基材の下面の中心部に接続された中空のシャフトと、
前記下側発熱抵抗体に電流を流すための下側用端子と、
前記上側発熱抵抗体に電流を流すための上側用端子とを備えたセラミックスヒータであって、
前記下側発熱抵抗体は、前記下側用端子と接続された第1下側発熱抵抗要素と、前記第1下側発熱抵抗要素と接続され、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より外側であって、前記第1下側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の下側環状区域のそれぞれに配置されている第2下側発熱抵抗要素と、隣り合う前記下側環状区域に配置されている前記第2下側発熱抵抗要素同士を接続する第3下側発熱抵抗要素とにより構成され、
前記上側発熱抵抗体は、上面視において、前記シャフトの外周の内側及び外側に位置する領域に配置されており、
前記第1下側発熱抵抗要素は、少なくとも、上面視において、前記シャフトの外周の外側であって、かつ、前記上側発熱抵抗体の最外周より内側に位置する領域を含み、前記下側用端子と前記第2下側発熱抵抗要素とを前記第3下側発熱抵抗要素の幅で直線的に接続した領域の面積を超える面積を有する領域に配置され、前記上側用端子と電気的に接続される構造と離間しつつ、前記セラミックス基材を上下方向に貫通する孔を除き、上面視において前記上側発熱抵抗体の最外周より内側の領域の全面に亘って配置されていることを特徴とするセラミックスヒータ。
【請求項3】
前記上側発熱抵抗体は、前記上側用端子と接続された第1上側発熱抵抗要素と、前記第1上側発熱抵抗要素と接続され、前記第1上側発熱抵抗要素を重畳的に囲む相互に離間している1又は複数の上側環状区域のそれぞれに配置されている第2上側発熱抵抗要素と、隣り合う前記上側環状区域に配置されている前記第2上側発熱抵抗要素同士を接続する第3上側発熱抵抗要素とにより構成され、
上面視において前記シャフトの内側に位置し当該シャフトに最も近い前記第2上側発熱抵抗要素は、上面視において前記シャフトの外側に位置し最も近い前記第2上側発熱抵抗要素と比較して、抵抗値が大きいことを特徴とする請求項2に記載のセラミックスヒータ。
【請求項4】
前記上面視において前記シャフトの内側に位置し当該シャフトに最も近い前記第2上側発熱抵抗要素は、外側から中心部に向う部分を有するように蛇行していることを特徴とする請求項3に記載のセラミックスヒータ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-08-20 
出願番号 特願2016-127063(P2016-127063)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H05B)
P 1 651・ 121- YAA (H05B)
P 1 651・ 537- YAA (H05B)
P 1 651・ 536- YAA (H05B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 沼田 規好  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 槙原 進
平城 俊雅
登録日 2020-06-11 
登録番号 特許第6715699号(P6715699)
権利者 日本特殊陶業株式会社
発明の名称 セラミックスヒータ  
代理人 田邊 淳也  
代理人 田邊 淳也  
代理人 特許業務法人創成国際特許事務所  
代理人 特許業務法人創成国際特許事務所  
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