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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1378743
異議申立番号 異議2020-701008  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-24 
確定日 2021-09-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6713255号発明「液晶化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6713255号の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。 特許第6713255号の請求項1?3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6713255号(以下、「本件特許」という。)は、平成27年6月23日に出願された特願2015-125506号について、令和2年6月5日に特許権の設定登録がされ、令和2年6月24日に特許掲載公報が発行されたものである。
本件特許に対し、令和2年12月24日に特許異議申立人 山下桂 (以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。以後の経緯は、次のとおりである。
令和3年3月8日付け 取消理由通知
令和3年5月7日付け 意見書・訂正請求書の提出(特許権者)
なお、令和3年5月24日付けで、申立人に対して、期間を指定して訂正の請求につき意見を述べる機会を与えたが、指定した期間内に何ら応答はなかった。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年5月7日付け訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)の請求の趣旨は、「特許第6713255号の明細書、特許請求の範囲を、本件請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?3について訂正することを求める。」というものであり、本件訂正請求は、以下の訂正事項を含むものである。(以下、令和3年5月7日付け訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲を、それぞれ、「本件訂正明細書」及び「本件訂正特許請求の範囲」ということがある。なお、下線は訂正箇所であり、上記訂正請求書の記載のとおりである。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「非イオン性界面活性剤」とあるのを「ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、「非イオン性界面活性剤」とあるのを「非イオン性界面活性剤(モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を除く)」に訂正する。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0019】において、「炭素数16?22の直鎖脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれでもよいが、例えば、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられ」とあるのを「炭素数16?22の直鎖脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれでもよいが、例えば、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられ」に訂正する。

2 訂正の適否の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
上記訂正事項1は、請求項1において、非イオン性界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上であることを特定する訂正をするものである。
これは、上位概念である非イオン性界面活性剤から、下位概念であるポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上へ変更するものである。
したがって、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。

イ 新規事項について
上記訂正事項1は、願書に添付した明細書の【0013】には「非イオン性界面活性剤は、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができ」との記載があり、また、【0016】には「これらのうち、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルがより好ましく」との記載があるから、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでないかのどうかの判断について
上記アから明らかなように、上記訂正事項1は、上位概念から下位概念へ変更するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
上記訂正事項2は、請求項1において、非イオン性界面活性剤から、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を除くことを特定する訂正をするものである。これは、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を除くという請求項に係る発明に包含される一部の事項のみをその請求項に記載した事項から除外するものである。
したがって、当該訂正事項2は、特許法第120条の5ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。

イ 新規事項について
上記訂正事項2は、請求項に係る発明に包含される一部の事項のみをその請求項に記載した事項から除外するものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでないかどうかの判断について
上記アから明らかなように、上記訂正事項2は、請求項に係る発明に包含される一部の事項のみをその請求項に記載した事項から除外するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
上記訂正事項3は、明細書の段落【0019】において、「炭素数16?22の直鎖脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれでもよいが、例えば、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられ」とあるのを「炭素数16?22の直鎖脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれでもよいが、例えば、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられ」に訂正するものである。
これは、イソステアリン酸が炭素数16?22の直鎖脂肪酸に該当しないため、誤記の訂正のためにイソステアリン酸を削除するものである。
したがって、当該訂正事項3は、特許法第120の5第2項ただし書き第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

イ 新規事項について
当初明細書等の記載に接した当業者であれば、出願時の技術常識に照らして、イソステアリン酸が前記炭素数18?22の直鎖脂肪酸に該当しないことを明らかに理解できるものであるから、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでないかどうかの判断について
上記アのとおり、上記訂正事項3は、明細書の段落【0019】に炭素数16?22の直鎖脂肪酸の例として炭素数16?22の直鎖脂肪酸に該当しないためイソステアリン酸が記載されていたところ、誤記の訂正のためにイソステアリン酸を削除するものであり、特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(4)一群の請求項について
訂正事項1及び2に係る訂正前の請求項1?3について、請求項1の記載を請求項2及び3がそれぞれ引用しているから、請求項2及び3は、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、請求項1?3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(5)特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許異議申立事件においては、訂正前のすべての請求項1?3に対して特許異議申立てがされているので、訂正事項1?3による訂正について、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する要件(独立特許要件)は課されない。

3 小括
上記のとおり、訂正事項1及び2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、訂正事項1?3に係る訂正は、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?3に係る発明(以下、請求項の番号によって「本件訂正発明1」などといい、まとめて「本件訂正発明」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

【請求項1】
炭素数16?22のアルコールと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤(モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を除く)と、化粧料全量に対して 65?95質量%の多価アルコールとを含有し、液晶構造を有する、塗布動作を伴うスキンケア用化粧料(ただし、噴射剤を含有するものを除く)。
【請求項2】
さらに炭素数16?22の直鎖脂肪酸を含有する、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
さらに水を含有する、請求項1又は2に記載の化粧料。

第4 取消理由の概要
訂正前の請求項1?3に係る特許に対して、当審が令和3年3月8日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

理由1(新規性)本件発明1?3は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲1に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当するから、本件発明1?3についての特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2(進歩性)本件発明1?3は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲1?3に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?3についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由3(実施可能要件)本件特許の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1?3について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから、本件発明1?3についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない出願についてされたものであり、取り消されるべきものである。
理由4(サポート要件)本件発明1?3は、下記の点で発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件発明1?3についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない出願についてされたものであり、取り消されるべきものである。
理由5(明確性)本件発明2、3についての特許は、特許請求の範囲の請求項2、3の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない出願についてされたものであるから、取り消されるべきものである。

甲1:特開2013-107871号公報
甲2:日本公定書協会 編、「化粧品原料基準第二版注解 1」、薬事日報社、1984年発行、p.1187-1189
甲3:「化粧品原料基準第二版注解 (薬事日報社): 1984|書誌詳細|国立国会図書館サーチ」、検索日2020年12月21日、1枚目:URL https://iss.ndl.go.jp、2枚目:後述のハードコピー、3枚目:URL https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I012454325-00

第5 当審の判断
1 甲号証の記載(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。

【請求項1】
(A)トコフェリルリン酸エステルの塩、
(B)高級アルコール、
(C)水、
で形成された液晶が分散している組成物。

【0001】
本発明は、液晶が分散している組成物に関する。

【0003】
・・・乳化組成物のクリーミングを防止し、高温安定性を高めることを目的として、一定量或いは一定比率の高級アルコールと界面活性剤と水から形成される液晶(ラメラ液晶)が外相(水相)に分散しゲル化して組成物の粘度を高め、ラメラ液晶の集合体による球晶がラメラ液晶の分散した外相中に分散した乳化組成物の研究が知られている(・・・)。・・・液晶の形成は、液晶含有組成物を増粘固化させ高温安定性を向上させるが、高温安定性を十分確保させるには一定量の液晶形成が必要であり、液晶を形成させる為の界面活性剤や高級アルコールの量は通常の乳化よりも多くなる。その為、化粧料や皮膚外用剤として肌に塗布した時にのびが重くなったり、べたついたりしてさっぱりした使用感が得られないなどの問題だけでなく、多量に使用する界面活性剤に起因する安全性の低下(皮膚刺激性)が問題であった。

【発明が解決しようとする課題】
【0006】
細胞毒性の低い液晶分散組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、トコフェリルリン酸エステル塩と高級アルコールと水を組み合わせると液晶が形成されること、該液晶を含む液晶分散組成物が安全性に優れることを見出し、本発明を完成した。・・・
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)(A)トコフェリルリン酸エステルの塩、
(B)高級アルコール、
(C)水、
で形成された液晶が分散している組成物。
【0008】
本発明の構成をとることにより、液晶の分散した組成物を得ることが出来る。本発明の液晶分散組成物は、細胞毒性が低く皮膚への刺激が少ないので、保湿ローション、保湿美容液、保湿ゲル、美白ゲル、マッサージゲル、パック等の化粧料や、皮膚外用剤(医薬部外品や医薬品を含む)として好適に用いることが出来る。さらに、皮膚の脂質成分を形成する液晶が破壊されにくいため、皮膚の水分保持機能の亢進・維持、皮膚機能の改善・修復が期待できる。

【0010】
以下に、本発明の液晶が分散している組成物を調製する為の構成成分について説明する。
必須成分
〔トコフェリルリン酸エステルの塩(A)〕
本発明で用いるトコフェリルリン酸エステルの塩類は特に限定されない。ナトリウム塩、ジナトリウム塩、カリウム塩、ジカリウム塩等の金属塩が好ましい。特に好ましくはトコフェリルリン酸ナトリウムである。トコフェリルリン酸エステルの塩類の配合量は特に限定されないが0.05?3質量%が好ましい。より好ましくは0.1?2質量%である。0.05質量%に満たないと液晶が形成され難く、3質量%を超えると液晶の形成を阻害する恐れがある。

【0012】
〔高級アルコール(B)〕
本発明の(B)成分である高級アルコールは、トコフェリルリン酸塩と水とともに液晶を形成する。前記液晶を形成する高級アルコールとしてはステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキルアルコール、水添ナタネアルコール等が挙げられる。ベヘニルアルコールを配合することが好ましい。ベヘニルアルコールは、組成物に1?7質量%配合することが好ましい。より好ましくは1?5質量%配合することが好ましい。1質量%に満たないと十分に液晶が形成されない恐れがある。7質量%を超えるとのびが悪くなり使用感が損なわれる恐れがある。・・・
【0013】
〔水(C)〕
本発明において組成物中に液晶を形成させるために水は必須である。トコフェリルリン酸塩と高級アルコールと水を組み合わせることで、液晶を形成することができる。水は4?99質量%の範囲で配合することが好ましい。
【0014】
本発明に於いて、トコフェリルリン酸塩(A)と高級アルコール(B)の配合比率は1:5?1:1.6好ましくは1:5?1:2、より好ましくは1:5?2:5である。トコフェリルリン酸塩(A)よりも高級アルコール(B)の配合量を多くした方が、強固な液晶が形成され、高温安定性が高まるのでより好ましい。

【0016】
〔モノグリセリン脂肪酸エステル(E)〕
本発明の基本構成に、さらにモノグリセリン脂肪酸エステルを添加すると、モノグリセリン脂肪酸エステルが組成物中で結晶を形成することで、本発明の基本構成で得られる液晶が分散した液晶分散組成物のクリーミングを防止し、より高温での温度安定性が向上する。モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル等が例示できる。モノステアリン酸グリセリルを用いることが好ましい。モノステアリン酸グリセリルの市販品としては、日本エマルジョン株式会社製のEMALEXGMS-BやEMALEXGMS-F、日光ケミカルズ株式会社製のMGS-ASE、MGS-AV、MGS-BVを入手して用いることができる。モノグリセリン脂肪酸エステルは、組成物に0?5質量%配合することが好ましい。より好ましくは0?3質量%配合することが好ましい。5質量%を超えるとのびが悪くなり使用感が損なわれる恐れがある。
【0017】
任意成分
本発明の液晶分散組成物には、目的に応じて任意成分として発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられる成分、例えば、油性成分、多価アルコール、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、保香剤、防腐剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤その他の美容成分、薬効成分などを配合することができる。
【0018】
油性成分としては、エステル油、炭化水素類、高級脂肪酸、シリコ-ン油などが例示できる。・・・高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等が挙げられる。・・・
【0019】
また、必要に応じて多価アルコールを配合することができる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレン グリコール、ソルビトール等が例示できる。
【0020】
本発明の液晶分散組成物は、従来の技術と異なり界面活性剤を含まなくても調製することができる。しかし、本発明の特徴を損なわない範囲で、任意成分として界面活性剤を配合しても構わない。皮膚刺激のより低い化粧料や皮膚外用剤を求める場合や、環境を配慮した界面活性剤を使用したい場合には、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ポリオキシエチレン鎖の付いた非イオン性界面活性剤を含まない方が好ましい。
【0021】
本発明の液晶分散組成物はそのまま保湿ローション、保湿美容液、保湿ゲル、美白ゲル、マッサージゲル、パック等の化粧料として使用することができる。また、必要に応じて香料や美容成分を配合することができる。あるいは医薬品、医薬部外品として承認されている成分を配合することで、医薬部外品や医薬品などの皮膚外用剤としても使用することができる。

【0023】
表1?3に示す組成にて実施例1?18、比較例1?10の組成物を調製した。
調製方法
(A)トコフェリルリン酸エステルの塩と(C)水を80℃で均一に混合し水相とする。
(B)高級アルコールと任意で油性成分を80℃で均一に混合し油相とする。
油相に水相を添加して混合し、水で冷却しながら室温まで撹拌を続けて液晶を形成させた液晶分散組成物を調製する。
(D)さらに水溶性高分子を配合する場合には、混合前に水相に添加する。カルボキシビニルポリマーなど中和が必要な(D)水溶性高分子を用いる場合には中和剤を添加して中和する。
(E)さらにモノグリセリン脂肪酸エステルを配合する場合には、混合前に油相に添加する。
グリセリンなどの多価アルコールを配合する場合には、混合前に油相に添加する。尚、(A)トコフェリルリン酸エステルの塩が分散した状態の(B)高級アルコールを含む油相(80℃)の中に、(C)水相(80℃)を添加して混合し、水で冷却しながら室温まで撹拌を続けても、液晶を形成させた液晶分散組成物は調製することができる。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
液晶形成の確認(偏光顕微鏡観察)、安定性の評価、安全性の評価(細胞毒性試験)
実施例と比較例の組成物を、下記に示す方法により測定、評価した。
【0028】
<液晶形成の確認>
調製した組成物について、偏光顕微鏡にて観察し、液晶を形成しているときに観察される特有の像である「マルタ十字架」(福島正二著、セチルルコールの物理化学、第68頁、図6.2)の有無を確認し下記基準で判断した。
(基準)
◎:「マルタ十字架」が観察でき、菱形の粒子は観察されない
○:「マルタ十字架」が観察できるが、菱形の粒子がごく一部観察される
△:「マルタ十字架」が観察できるが、菱形の粒子も観察される
×:「マルタ十字架」が全く観察できない

尚、菱形の粒子は高級アルコールなどが結晶化したものと考えられ、実験中の何等かの影響により生じたものと思われるが、「マルタ十字架」が観察できたという観点から「◎、○、△」はすべて「液晶が形成した」と判断した。
・・・
尚、目視観察の結果、×の判定、つまり組成物に分離や析出が見られた場合は、偏光顕微鏡観察は行わなかった。表中では(-)と記載した。
【0030】
<安全性の評価(細胞毒性試験)>
正常ヒト線維芽細胞(新生児由来)を96wellプレートに播種し、CO_(2)インキュベーター内で培養した。コンフルエントの状態で培地を被験物質に置換し、細胞に曝露させた。CO_(2)インキュベーター内で24時間曝露後、生細胞がMTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazoliumbromide)を吸収分解した際の生成物が発する青紫色の強度から細胞生存率を求めるMTTアッセイ法を用いて、細胞生存率からEC50(細胞が50%死滅する濃度)を求め細胞毒性を評価した。EC50値は、数値が高いほど細胞毒性が低いことを示す。
皮膚刺激性などの関係性が高いことから、皮膚への安全性を評価する指標となる。
【0031】
結果1
表1の実施例1?3により、(A)トコフェリルリン酸塩(トコフェリルリン酸ナトリウム)、(B)高級アルコール(ベヘニルアルコール)および(C)水の3成分により、液晶が形成されることが確認できた。特に、(A)トコフェリルリン酸ナトリウムと(B)ベヘニルアルコールの配合比率が1:5?2:5の時に、より多くの液晶が形成されていることが観察された。
【0032】
これに対して、トコフェリルリン酸塩(トコフェリルリン酸ナトリウム)、高級アルコール(ベヘニルアルコール)のいずれか一方の成分しか含まない比較例1、2の組成では、液晶が形成されなかった。比較例1は分離しており、比較例2はベヘニルアルコールの固形物が表面に浮いてしまった。比較例1、2の組成に水溶性高分子(カルボキシビニルポリマー)やモノグリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸グリセリル)を配合しても、液晶は形成されなかった(比較例3?5)。比較例4、5の組成物は、ベヘニルアルコールと思われる固形の粒が析出していた。

【0035】
結果2
次に、さらに多価アルコール(グリセリン)を高配合した表2の組成で、同様の実験を行った。多価アルコールを高配合したことにより、相対的に(C)水の配合量が減じられている。(C)水が比較的少ない系に於いても、(A)トコフ ェリルリン酸塩(トコフェリルリン酸ナトリウム)、(B)高級アルコール(ベヘニルアルコール)および(C)水の3成分により、液晶が形成されることが確認できた。特に、(A)トコフェリルリン酸ナトリウムと(B)ベヘニルアルコールの配合比率が1:5?1:2の時に、より多くの液晶が形成されていることが観察された。実施例6?16の本発明の液晶を含む液晶分散組成物は、25℃、40℃、50℃のいずれの保管温度に於いても30日後の観察で分離や析出等なく、液晶も残存しており安定性が良好であった。
【0036】
これに対して、トコフェリルリン酸塩(トコフェリルリン酸ナトリウム)、高級アルコール(ベヘニルアルコール)のいずれか一方の成分しか含まない比較例6?9の組成では、液晶が形成されなかった。比較例9はベヘニルアルコールと思われる結晶の粒が析出した。
【0037】
結果3
表3は、高級アルコール(ベヘニルアルコール)と水と共に用いると液晶を形成することが公知の界面活性剤(ステアロイルメチルタウリンナトリウム)を、本発明の(A)成分に置き換えた組成で試作したものを比較例とし、得られた組成物の安定性と細胞毒性試験の結果を本発明の実施例と比較した結果を示す表である。実施例17、18の本発明の組成物は、液晶が形成され安定性に優れているだけでなく、比較例10の組成物よりも細胞毒性が低く、安全性が高い(皮膚刺激性が低くなる)ことが確認できた。

(2)甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
「自己乳化型モノステアリン酸グリセリン
Glyceryl Monostearate, Selfemulsifying
本品は,親油型モノステアリン酸グリセリンとその他の界面活性剤との混合物である.」(1187頁下から7行?下から4行)

「 純度試験 遊離グリセリン 本品約1gを精密に量り,クロロホルム20mlを加え、加温して溶かす.冷後、分液漏斗に移し、氷酢酸溶液(2→25)25mlずつで3回抽出する.抽出液は500mlのヨウ素びんに合わせる.これに過ヨウ素酸試液20mlを正確に加えて振り混ぜ,15分間放置した後,ヨウ化カリウム溶液(1→4)10mlを加え、直ちに0.2Nチオ硫酸ナトリウム液で滴定するとき、その限度は、10.0%以下である(指示薬:デンプン試液3ml).同様の方法で空試験を行って補正する.」(1188頁10行?15行)

「〔注解〕
名称〔化学名〕自己乳化型モノステアリン酸グリセリン.(英名)Glyceryl Monostearate, Selfemulsifying.〔公定書名〕(BP’80)Selfemulsifying Monostearin.(CTFA)Glyceryl Stearate SE.
基原 グリセリンのモノステアリン酸エステルを主体とし,これに石けんあるいは非イオン性界面活性剤などを加えて親水性を増強したものである.市販されているものは加える界面活性剤を適当に選択して乳化性に特長をもたせている.非イオン性界面活性剤としては酸化エチレンを重合させたものが多い.」(1188頁20行?27行)

「 酸価 10%前後の遊離脂肪酸を含み,酸価の高いものがある.」(1189頁3行)

(3)甲3の記載


2 取消理由について
(1)理由1(新規性)について
ア 本件訂正発明1について
(ア)甲1に記載された発明
甲1には、実施例1?13、比較例1?10として、表1?3に示す組成の組成物を調製したことが記載されている(【0023】)。表1?3には、組成の表示の基準が記載されていないが、甲1の他の箇所では一貫して配合成分の配合量が質量%により記載されていることからみて、表1?3の組成も、質量%により記載されていると認められる。
そうすると、甲1の実施例9より、甲1には以下の発明が記載されているといえる。

(甲1発明1)
以下の組成(質量%)を有する組成物。
トコフェリルリン酸ナトリウム 1
ベヘニルアルコール 5
精製水 11.8
カルボキシビニルポリマー 0.1
モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型) 2
水酸化カリウム10%水溶液 0.1
グリセリン 80

また、甲1の比較例10より、甲1には以下の発明が記載されているといえる。

(甲1発明2)
以下の組成(質量%)を有する組成物。
ベヘニルアルコール 1
精製水 5.8
カルボキシビニルポリマー 0.1
モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型) 2
水酸化カリウム10%水溶液 0.1
グリセリン 80
ペンチレングリコール 1.5
1,3-ブチレングリコール 5
ステアロイルメチルタウリンナトリウム 0.5

(イ)対比
まず、本件訂正発明1と甲1発明1を対比する。
甲1発明1のベヘニルアルコールは、本件訂正発明1の炭素数16?22のアルコールに相当し、甲1発明1のモノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)は、非イオン性界面活性剤に相当し、甲1発明1のグリセリンは、本件訂正発明1の多価アルコールに相当し、その配合量は、化粧料全量に対して65?95質量パーセントの範囲内である。そして、甲1発明1のトコフェリルリン酸、精製水、カルボキシビニルポリマー、水酸化カリウム10%水溶液については、本件訂正発明1では、これらの配合は排除されておらず、また、本件明細書【0023】【0020】【0039】【0040】【0041】の記載からみて、本件訂正発明1の任意成分に相当する。また、甲1には、甲1発明1である実施例9の組成物では、実際に液晶が形成されていたことが記載されている(表2、【0035】)。そして、甲1発明1は、噴射剤を含有しない。
そうすると、本件訂正発明1と甲1発明1の一致点及び相違点は以下のとおりとなる。

(一致点1)
炭素数16?22のアルコールと、非イオン性界面活性剤と、化粧料全量に対して65?95質量パーセントの多価アルコールとを含有し、液晶構造を有する化粧料(ただし、噴射剤を含有するものを除く)。

(相違点1-1)
本件訂正発明1は、組成物に含まれる非イオン性界面活性剤がモノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を除くものであって、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれるものであるのに対し、甲1発明1は、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を含むものである点。

(相違点1-2)
本件訂正発明1は、塗布動作を伴うスキンケア用化粧料であるのに対し、甲1発明1は、塗布動作を伴うスキンケア用化粧料であるとは特定されていない点。

次に、本件訂正発明1と甲1発明2を対比する。
甲1発明2のベヘニルアルコールは、本件訂正発明1の炭素数16?22のアルコールに相当し、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)は、非イオン性界面活性剤に相当し、甲1発明2のグリセリン、ペンチレングリコール及び1,3-ブチレングリコールは、本件訂正発明2の多価アルコールに相当し、その合計の配合量は、化粧料全量に対して65?95質量パーセントの範囲内である。そして、甲1発明2の精製水、カルボキシビニルポリマー、水酸化カリウム10%水溶液、ステアロイルメチルタウリンナトリウムは、本件訂正発明1では、これらの配合は排除されておらず、また、本件明細書【0023】【0020】【0028】【0039】【0040】【0041】の記載からみて、本件訂正発明1の任意成分に相当する。本件訂正発明1の任意成分に相当する。また、甲1には、甲1発明2である比較例10の組成物では、実際に液晶が形成されていたことが記載されている(表3)。そして、甲1発明2は、噴射剤を含有しない。
そうすると、本件訂正発明1と甲1発明2の一致点及び相違点は以下のとおりとなる。

(一致点2)
炭素数16?22のアルコールと、非イオン性界面活性剤と、化粧料全量に対して65?95質量パーセントの多価アルコールとを含有し、液晶構造を有する化粧料(ただし、噴射剤を含有するものを除く)。

(相違点2-1)
本件訂正発明1は、組成物に含まれる非イオン性界面活性剤がモノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を除くものであって、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれるものであるのに対し、甲1発明2は、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を含むものである点。

(相違点2-2)
本件訂正発明1は、塗布動作を伴うスキンケア用化粧料であるのに対し、甲1発明2は、塗布動作を伴うスキンケア用化粧料であるとは特定されていない点。

(ウ)判断
本件訂正発明1と甲1発明1は、少なくとも、上記相違点1-1において相違する。また、本件訂正発明1と甲1発明2は、少なくとも、上記相違点2-1において相違する。
したがって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明ではない。

イ 本件訂正発明2及び3について
本件訂正発明2及び3は、本件訂正発明1をさらに限定して特定した発明である。そして、本件訂正発明1と甲1発明1、本件訂正発明1と甲1発明2の間に相違点があることから、本件訂正発明2及び3についても、甲1発明1及び甲1発明2との間に相違点があることは明らかである。
したがって、本件訂正発明2及び3は、甲1に記載された発明ではない。

ウ 小括
以上より、本件訂正発明1?3についての特許は、特許法第29条1項第3号に該当する発明についてされたものではなく、取消理由通知で通知した理由1によって取り消されるべきものでない。

(2)理由2(進歩性)について
ア 本件訂正発明1について
(ア)甲1発明1に対して
上記(1)ア(ア)のとおり、甲1には甲1発明1が記載されており、上記(1)ア(イ)のとおり、本件訂正発明1と甲1発明1とは、一致点1において一致し、相違点1-1及び相違点1-2において相違する。
相違点1-1について検討すると、甲1発明1から本件訂正発明1に到達するためには、甲1発明1の組成物に含まれる非イオン性界面活性剤であるモノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を取り除いて、これをポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤に置き換える必要がある。
甲1は、細胞毒性の低い液晶分散組成物を提供することを課題とするものであり(【0006】)、トコフェリルリン酸エステル塩と高級アルコールと水を組み合わせると液晶が形成されること、該液晶を含む液晶分散組成物が安全性に優れることを見出したものであると認められる(【0007】)。
そして、甲1の【0016】には、甲1に記載の発明の組成物において、モノグリセリン脂肪酸エステルを添加すると、モノグリセリン脂肪酸エステルが組成物中で結晶を形成することで、液晶が分散した液晶分散組成物のクリーミングを防止し、より高温での温度安定性が向上するものであることが記載されている。
そうすると、甲1発明1が含有するモノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)は、甲1の課題の解決手段である、トコフェリルリン酸エステル塩と高級アルコールと水を組み合わせて形成された液晶を含む液晶分散組成物とすることにおいて、当該液晶分散組成物のクリーミングを防止するための成分として、課題の解決に密接に関わる成分であると認められるから、甲1の記載から、当業者が甲1発明1から、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を取り除くことに対する動機付けられるとはいえない。
また、甲1の【0020】の記載によれば、甲1に記載の発明の液晶分散組成物は、従来の技術と異なり界面活性剤を含まなくても調製することができるものであって、界面活性剤は、あくまで任意成分として記載され、皮膚刺激のより低い化粧料や皮膚外用剤を求める場合や、環境を配慮した界面活性剤を使用したい場合には、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ポリオキシエチレン鎖の付いた非イオン性界面活性剤を含まない方が好ましいというものである。
そうすると、界面活性剤を含まなくても調製できるとの甲1【0020】の記載に基づき、甲1に記載の発明の組成物から、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を取り除いたとしても、別の界面活性剤を添加する必要性もなく、本件訂正発明1における非イオン性界面活性剤のうち、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルは、上記のとおり、細胞毒性の低い液晶分散組成物の提供を課題とする甲1に記載の発明において、任意成分として界面活性剤を添加する場合であっても、含まない方がよいものとして挙げられているポリオキシエチレン鎖の付いた非イオン性界面活性剤に該当するものであるから(【0020】)、甲1は、甲1発明1に、本件訂正発明1における非イオン性界面活性剤を添加することを当業者に動機付けるものでもない。
さらに、本件訂正明細書の記載からみると、本件訂正発明1は、皮膚への刺激が生じない程度の塗布動作後に気液エマルションを形成して白化するため、塗布動作終了のタイミングが可視化されて分かりやすいというもので(【0009】)、炭素数16?22のアルコールと非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤を含むことにより、65質量%以上の多価アルコールを含有する組成物においても液晶構造を有し、これを皮膚に塗布してマッサージした際には、クリーム状に白化して適切なマッサージ回数を知ることができるという効果を奏する(【0013】、【0019】、【0021】及び【0044】?【0050】の実施例)と認められる。これに対し、甲1の記載が、当業者に甲1発明1の組成物からモノステアリン酸グリセリルを取り除き、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤を添加して、本件訂正発明1の上記効果を奏する組成物を得ることに対する動機付けを与えるような記載はない。
甲2及び甲3を考慮しても、甲2には、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)が、グリセリンのモノステアリン酸エステルを主体とし、これに石けんあるいは非イオン性界面活性剤などを加えて親水性を増強したものであって、非イオン性界面活性剤としては酸化エチレンを重合させたものが多いことが記載され、甲3には、甲2が1984年に発行された書籍であることが記載されているにすぎない。そして、甲2及び甲3のいずれにも、モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を含まずに、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤を含む組成物の効果については、何ら記載されていない。そうすると、これら文献の記載を考慮しても、当業者に甲1発明1の組成物からモノステアリン酸グリセリルを取り除き、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤を添加して、本件訂正発明1の上記効果を奏する組成物を得ることに対する動機付けを与えるとはいえない。
したがって、相違点1-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明1及び甲1の記載から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。

(イ)甲1発明2に対して
上記(1)ア(ア)のとおり、甲1には甲1発明2が記載されており、上記(1)ア(イ)のとおり、本件訂正発明1と甲1発明2とは、一致点2において一致し、相違点2-1及び相違点2-2において相違する。
相違点2-1について検討すると、甲1発明2から本件訂正発明1に到達するためには、甲1発明2の組成物に含まれる非イオン性界面活性剤であるモノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を取り除いて、これをポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤に置き換える必要がある。
しかしながら、上記(ア)のとおり、甲1の記載は、甲1に記載の発明の組成物からモノステアリン酸グリセリルを取り除いた上で、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤を添加することに対する動機付けを当業者に与える記載であるとはいえない。
そして、上記(ア)のとおり、本件訂正発明1は、炭素数16?22のアルコールと非イオン性界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤を含むことにより、65質量%以上の多価アルコールを含有する組成物においても液晶構造を有し、これを皮膚に塗布してマッサージした際には、クリーム状に白化して適切なマッサージ回数を知ることができるという効果を奏すると認められるのに対し、甲2及び甲3の記載を考慮しても、甲1の記載に基づいて、甲1発明2の組成物からモノステアリン酸グリセリルを取り除き、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤を添加して、本件訂正発明1の上記効果を奏する組成物を得ることを当業者に動機付けるとはいえない。
したがって、相違点2-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明2及び甲1の記載から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。

イ 本件訂正発明2及び3について
本件訂正発明2及び3は、いずれも、本件訂正発明1をさらに限定した発明である。そうすると、上記アのとおり、本件訂正発明1が、甲1発明1及び甲1の記載から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえないのであるから、これと同様の理由で、本件訂正発明2及び3は、甲1発明1及び甲1の記載から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえないことは明らかである。また、同様に、本件訂正発明2及び3は、甲1発明2及び甲1の記載から、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえないことも明らかである。

ウ 小括
以上より、本件訂正発明1?3は、甲1に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものでない。
したがって、本件訂正発明1?3についての特許は、特許法第29条2項の規定に違反してされたものではなく、取消理由通知で通知した理由2によって取り消されるべきものでない。

(3)理由3(実施可能要件)について
ア 本件訂正明細書の記載
本件訂正明細書には、以下の記載がある。
【0006】
スキンケアの際に通常行われる化粧料の塗布動作では、過度の擦過で皮膚が刺激やダメージを受け、赤味を生じたり、皮膚バリア能が損なわれたりしてしまうことがある。このような刺激やダメージを抑制できる塗布動作を、一般消費者であっても簡単に行えることが望ましい。
また、パック(マスク)やマッサージ等のスキンケアにおける血行促進効果を、より向上させることも望まれている。
このような状況に鑑みて、本発明は、温感効果が得られ、かつ塗布時の皮膚への刺激を抑制できるスキンケア用化粧料を提供することを課題とする。

【0009】
本発明の化粧料は、肌に塗布するだけで温感効果が得られる上、塗布時ののびの良さ等の使用性も良好で、また皮膚への刺激が生じない程度の塗布動作後に気液エマルションを形成して白化するため、塗布動作終了のタイミングが可視化されて分かりやすい。また、気液エマルションは保温性を発揮し温感作用を高める。したがって、本発明により、優れた温感効果が得られ、かつ塗布時の皮膚への刺激を抑制できるスキンケア用化粧料が提供される。
なお、従来、肌上で擦過しているうちに白化する組成物には、非イオン系界面活性剤とカルボキシビニルポリマーを含有するジェル洗浄料があったが、これは泡立ち(白化)による洗浄効果を期待するものであった。すなわち、塗布時の皮膚への刺激抑制を企図して、化粧料に白化する処方を採用することは全くなされてこなかった。

【0011】
本発明の化粧料は、炭素数16?22、好ましくは18?22のアルコール(いわゆる高級アルコール)を含有する。高級アルコールは後述する非イオン性界面活性剤のHLB(Hydrophilic-Lypophilic Balance)を低下させて液晶構造を形成する。
炭素数16?22のアルコールの含有量は、化粧料全量に対して0.1?20質量%が好ましく、1?10質量%がより好ましく、5?10質量%がさらに好ましい。
なお、炭素数16?22のアルコールは、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができる。
【0012】
炭素数16?22のアルコールは、通常は脂肪族アルコールであり、分岐はあってもなくてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよい。また、好ましくは一価のアルコールである。例えば、セタノール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデカノール、1-ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、エライドリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エライドリノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、及びエルシルアルコールが挙げられ、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコールが特に好ましい。
【0013】
本発明の化粧料は、非イオン性界面活性剤を含有する。これにより、液晶構造を形成する。
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、親水性のものが好ましく、HLBが好ましくは8?18、より好ましくは12のものが液晶構造の形成しやすさの観点から好ましく挙げられる。なお、ここでHLB(Hydrophilic-Lypophilic Balance)は、グリフィンの式より算出した値をいう。
非イオン性界面活性剤の含有量は、化粧料全量に対して1?20質量%が好ましく、1?10質量%がより好ましく、3?8質量%がさらに好ましい。
なお、非イオン性界面活性剤は、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができ、二種以上を組み合わせることがより好ましい。
・・・
【0015】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル等);POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);・・・等が挙げられる。
【0016】
これらのうち、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルがより好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステル類がさらに好ましい。これらの二種以上を組み合わせることが特に好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの重合度が6?14のものが好ましく、10がより好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化度は30%以下のものが好ましく、10%以下のものがより好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸は、不飽和のものが好ましく、また炭素数が好ましくは14?22、より好ましくは16?20、さらに好ましくは18で、オレイン酸が特に好ましい。
【0017】
本発明の化粧料は、多価アルコールを含有する。多価アルコールは水和熱により発熱し、化粧料を肌に塗布した際に温感効果を付与する役割を果たす。
多価アルコールの含有量は、温感効果を十分に付与する観点から大量であり、化粧料全量に対して50?95質量%が好ましく、60?95質量%がより好ましく、70?95質量%がさらに好ましい。
なお、多価アルコールは、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができる。
【0018】
多価アルコールとしては、2価以上であれば特に限定されないが、3価以上のものが好ましい。具体的には、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);・・・等が挙げられる。
これらのうち、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコールがより好ましく、グリセリンが特に好ましい。
【0019】
本発明の化粧料は、さらに炭素数16?22の直鎖脂肪酸(いわゆる高級直鎖脂肪酸)を含有することが好ましい。これにより、塗布動作により化粧料が白化しやすくなる。
炭素数16?22の直鎖脂肪酸の含有量は、化粧料全量に対して0.1?10質量%が好ましく、0.1?5質量%がより好ましく、0.1?2質量%がさらに好ましい。
炭素数16?22の直鎖脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれでもよいが、例えば、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられ、ステアリン酸が特に好ましい。
なお、炭素数16?22の直鎖脂肪酸は、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができる。
【0020】
本発明の化粧料は、さらに水を含有することが好ましい。これにより、化粧料を塗布する際ののびやすくなり使用性が良好になる。
水の含有量は、化粧料全量に対して0.1?20質量%が好ましく、0.1?15質量%がより好ましく、0.1?10質量%がさらに好ましい。
【0021】
本発明の化粧料は液晶構造を有する。液晶構造体は、通常透明なジェル状であるが、化粧料の塗布動作により空気を抱き込み、気液エマルションを形成し、透明から白化する。本発明の化粧料は微細な気液エマルションを形成することができ、その粒径は好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
液晶構造体は、従来のスキンケア化粧料に比べて少ない塗布動作で白化する(気液エマルションに変化する)ため、皮膚への刺激が生じない程度で塗布動作終了のサインが可視的に現れることになる。また、少ない塗布動作やマッサージ時間であっても、多価アルコールリッチな処方により温感効果が付与されるため、血行促進効果やマッサージによる満足感が損なわれることはない。さらに、液晶構造体が変化して、塗布後の肌の上には微細な気液エマルションの層が広がるため保温性を発揮し、温感作用を高めることができる。

【0043 】
・・・
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
表1及び表2に示す処方に従って、実施例及び比較例の各液晶乳組成物を調製した。
すなわち、まず成分A(油相)及び成分B(水相)をそれぞれ、80℃に加熱溶解して混合した。次いで成分A(油相)に成分B(水相)を徐々に添加し、撹拌混合して、30℃まで冷却し、ジェル状の組成物を得た。
【0046】
<液晶の確認>
調製した各組成物について、外観観察および小角X線散乱解析により液晶構造の形成を確認した。すなわち、外観がジェル状の構造体であること、且つ、X線小角散乱曲線においてラメラ液晶構造由来の一次および二次ピークの回折ピークが出現することにより、液晶構造が形成していることを確認した(図1)。小角X線散乱解析の測定条件は以下の通りである。
小角X線散乱装置:Anton Paar社製 SAXSpaceシステム
検出器:ダイオードアレイ検出器
線源:Cu線
電圧:60kV
測定温度:20℃
試料は液体セル(ガラスキャピラリー1mmφ)に充填し測定した。
結果を表1及び2に示す。実施例1?11及び13並びに比較例3ではジェル状且つ液晶構造の形成が確認された。実施例12はジェル状であったが、液晶構造体が小角X線散乱解析の測定可能強度以下のピーク強度であったことから、明確な二次ピークが確認できなかった。また、比較例1?2は外観が流動的でありジェルの形成が確認できず、比較例1、2、4及び5では、回折ピークが出現せず液晶構造の形成を確認できなかった。
【0047】
<白化までの回数の評価>
調製した各組成物を腕に1gずつ取り、手で軽く円を描くようにマッサージして塗布し、ジェル状から白色のクリーム(フォーム)状に変化するまでに要する回数を数えた。
結果を表1及び2に示す。白化後の実施例1の組成物を顕微鏡下で観察すると、気液エマルションを形成していることがわかる(図2)。
【0048】
<使用感の評価>
調製した各組成物を腕に1gずつ取り、手で軽く円を描くようにして組成物が白化するまでマッサージした際の使用感について、以下の項目毎に評価した。結果を表1及び2に示す。
(のびの良さ)
○:のびやすい、△:ややのびにくい、×:のびにくい、-:未評価
(温感の持続性)
◎:マッサージ後もしばらく温感が持続する、○:マッサージ後も温感が持続する、△:マッサージ中に温感が弱まる、×:温感が感じられない、-:未評価
(刺激性)
○:肌の赤味を生じない、△:やや肌の赤味が生じる、×:肌の赤味を生じる、-:未評価
【0049】

【0050】

イ 訂正明細書の記載から理解できる事項
本件訂正明細書の記載から、本件訂正発明の組成物とその成分について、以下の事項を理解することができる。

(ア)炭素数16?22のアルコールについて
炭素数16?22のアルコールは、好ましくは、いわゆる高級アルコールである18?22のアルコールであり、高級アルコールは後述する非イオン性界面活性剤のHLBを低下させて液晶構造を形成することが記載され、炭素数16?22のアルコールの含有量は、化粧料全量に対して0.1?20質量%が好ましく、5?10質量%がさらに好ましい(【0011】)。炭素数16?22のアルコールは、通常は脂肪族アルコールであり、好ましくは一価のアルコールであり、具体的なアルコールの名称が挙げられており、中でも、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコールが特に好ましい(【0012】)。

(イ)非イオン性界面活性剤について
本発明の化粧料は、非イオン性界面活性剤を含有することにより、液晶構造を形成し、非イオン性界面活性剤としては、親水性のものが好ましく、HLBが好ましくは8?18、より好ましくは12のものが液晶構造の形成しやすさの観点から好ましく挙げられ、その含有量は、化粧料全量に対して1?20質量%が好ましく、3?8質量%がさらに好ましい(【0013】)。非イオン性界面活性剤である親水性非イオン界面活性剤のうち、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルがより好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステル類がさらに好ましく、特に好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの重合度が6?14、特に10のものが好ましく、エステル化度は30%以下のものが好ましく、10%以下のものがより好ましく、脂肪酸は、不飽和のものが好ましく、また炭素数が好ましくは14?22、さらに好ましくは18で、オレイン酸が特に好ましい(【0015】、【0016】)。

(ウ)多価アルコールについて
多価アルコールは水和熱により発熱し、化粧料を肌に塗布した際に温感効果を付与する役割を果たし、温感効果を十分に付与する観点から大量である(【0017】)。多価アルコールとしては、3価以上のものが好ましく、グリセリンが特に好ましい(【0018】)。

(エ)炭素数16?22の直鎖脂肪酸について
本発明の化粧料は、さらに炭素数16?22の直鎖脂肪酸(いわゆる高級直鎖脂肪酸)を含有することが好ましく、これにより、塗布動作により化粧料が白化しやすくなる。16?22の直鎖脂肪酸の含有量は、化粧料全量に対して0.1?10質量%が好ましく、0.1?2質量%がさらに好ましい(【0019】)。

(オ)水について
本発明の化粧料は、さらに水を含有することが好ましく、これにより、塗布する際ののびと使用性が良好になる。水の含有量は、化粧料全量に対して0.1?20質量%が好ましく、0.1?10質量%がさらに好ましい(【0020】)。

(カ)具体的組成物について
本件訂正明細書の実施例には、非イオン性界面活性剤として、上記イ(イ)のとおり、本件訂正明細書において、好ましい非イオン性界面活性剤として記載された、リグリセリン脂肪酸エステルであるモノオレイン酸ポリグリセリル、POE脂肪酸エステルであるモノオレイン酸ポリエチレングリコール及びPOEアルキルエーテルであるポリオキシエチレンベヘニルアルコールを用いた具体例が記載されている。そして、炭素数16?22のアルコールについては、本件訂正請求項1で特定されたアルコールの炭素数の範囲において、上限に対応する炭素数22の直鎖アルコールであるベヘニルアルコールを用いた実施例1、5?13のほか、下限に対応する炭素数16の直鎖アルコールであるセタノールを用いた実施例4が具体的に記載されていることが理解できる。また、各実施例において、多価アルコールである、グリセリンは、上記(ウ)で特に好ましいものとして挙げられたものに対応し、水和により温熱効果を与えるための成分として、周知慣用の成分でもあると認められる。
実施例中、ベヘニルアルコールを用いた実施例では、その化粧料中の含有量が、0.1質量%(実施例12)、0.5質量%(実施例11)、2.0質量%(実施例9)、8.0質量%(実施例1?1、5?8)、12.0質量%(実施例12)のものが具体的に記載されているところ、ベヘニルアルコールの含有量が0.1質量%である実施例12では、液晶の形成が確認できず、白化までの回数が50で、使用後にやや皮膚の赤みを生じる刺激性があったのに対し、0.5質量%(実施例11、13)、2.0質量%(実施例9)又は8.0質量%(実施例1?1、5?8)含有する組成物では、液晶が形成され、のびなどの使用感に優れ、刺激性もなかったことが示されていると認められる。
また、炭素数18の直鎖脂肪酸であるステアリン酸を含有する実施例1?6、8、9、13では、白化までに要する塗布動作の回数が2?10のものが得られ、また、炭素数18の直鎖脂肪酸であるステアリン酸を含有する実施例1では、白化までの回数が5であるのに対し、ステアリン酸を含有しない実施例7では、白化までの回数が10であったことが記載され、上記(エ)のとおり、炭素数16?22の直鎖脂肪酸を含有すると、塗布動作により化粧料が白化しやすくなることが示されているといえる。

実施可能要件についての判断
上記イ(ア)?(オ)のとおり、本件訂正明細書の記載から、炭素数16?22のアルコール;非イオン性界面活性剤であるポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテル;多価アルコール;炭素数16?22の直鎖脂肪酸;水について、これら成分の役割と代表的な好ましい物質、好ましい含有量について理解することができ、また、上記イ(カ)のとおり、実施例の記載から、各成分の選択と含有量について、その技術的意義を理解するのに役立つ具体的な記載があると認められる。
したがって、本件訂正明細書の記載を手がかりとして、当業者は、実施例に記載された個別の組成物以外にも、使用可能な成分を選択し、好ましい含有量を決定して、本件訂正発明の発明の組成物を製造することができるといえるから、本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件訂正発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

エ 小括
以上より、本件訂正発明1?3についての特許は、特許法第36条4項第1号に規定する要件を満たしていない出願についてされたものではなく、取消理由通知で通知した理由3によって取り消されるべきものでない。

(4)理由4(サポート要件)について
本件訂正明細書【0006】、【0009】の記載からみて、本件訂正発明は、温感効果が得られ、かつ塗布時の皮膚への刺激を抑制できるスキンケア用化粧料を提供することを課題とし、当該課題を、液晶構造を有する組成物によって、皮膚への刺激が生じない程度の塗布動作後に気液エマルションを形成して白化するため、塗布動作終了のタイミングが可視化されて分かりやすいことを利用して解決するものと認められる。
上記(3)のとおり、本件訂正明細書には、その記載に基づいて、当業者が本件訂正発明の組成物を、塗布動作により白化する、刺激性のない皮膚化粧料液晶組成物として製造することができるように記載されているといえるから、本件訂正発明は、発明の詳細な説明の記載から、本件訂正発明の課題を解決可能であると当業者に認識可能な範囲内ものである。
したがって、本件訂正発明1?3についての特許は、特許法第36条6項1号に規定する要件を満たしていない出願についてされたものでなく、取消理由通知で通知した理由4によって取り消されるべきものでない。

(5)理由5(明確性)について
本件訂正前の請求項2には、「さらに炭素数16?22の直鎖脂肪酸を含有する」と記載されているところ、本件訂正前の本件特許明細書【0019】には、「炭素数16?22の直鎖脂肪酸」の具体例として直鎖脂肪酸には該当しないイソステアリン酸が記載され、「炭素数16?22の直鎖脂肪酸」の記載に関し、本件訂正前の請求項2の記載と明細書の記載に技術的に不整合がある結果、本件訂正前の請求項2及び本件訂正前の請求項3を引用する請求項3に発明された発明が明確でないとの不備があったところ、本件訂正により、【0019】には、「炭素数16?22の直鎖脂肪酸」の具体例としてイソステアリン酸は削除され、当該不備は解消し、本件訂正後の請求項2及び3に記載された発明は、明確となった。
したがって、本件訂正発明1?3についての特許は、特許法第36条6項2号に規定する要件を満たしていない出願についてされたものでなく、取消理由通知で通知した理由5によって取り消されるべきものでない。

3 異議申立ての理由について
特許異議申立書に記載された特許異議申立理由の要点は、以下のとおりである。

理由1 本件の請求項1?3に係る特許発明(それぞれ、「本件特許発明1」などという。)は、甲第1号証に記載された甲1発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号(特許法第113条第2号)の規定により特許を受けることができない。
理由2 本件特許発明1?3は、甲第1号証に記載された甲1発明、甲第2および3号証の記載ならびに本件特許出願時の周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項(特許法第113条第2号)の規定により特許を受けることができない。
理由3 本件の特許請求の範囲の記載には不備があり、本件特許発明1?3についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(特許法第113条第4号)。
理由4 本件の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえず、本件特許発明1?3についての特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(特許法第113条第4号)。
理由5 本件の特許請求の範囲の記載には不備があり、本件特許発明2および3についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(特許法第113条第4号)。

申立人が提示した甲第1号証?甲第3号証は、取消理由通知で引用した甲1?甲3と同じものであり、異議申立理由は全て、取消理由通知で採用された理由であり、上記3のとおり、本件訂正発明1?3の特許は、これらの理由によっては、取り消されるべきものでない。

第6 むすび
上記第2のとおり、本件特許についての令和3年5月7日付けの訂正請求は適法なものであって、認められるべきものである。
そして、上記第4 3及び4のとおり、本件訂正発明1?3は、取消理由通知で通知した理由1?5及び異議申立ての理由1?5のいずれによっても、取り消されるべきものでない。
さらに、他に本件訂正発明1?3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、上記結論のとおり、決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液晶化粧料
【技術分野】
【0001】
本発明は、パック(マスク)やマッサージに好適なスキンケア化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パック(マスク)やマッサージ等のスキンケアは、停滞した血流を正常化して、皮膚全体の新陳代謝を促進したり、細胞機能を活性化して重要な成分の産生を高めたり、ダメージを受けた部分の修復力を高めたりすることで、皮膚に活力を与え、いきいきとした肌、ふっくらとしたうるおいとはりに満ちた肌を実現する美容法である。
一般に、パック(マスク)やマッサージ等のスキンケアを行う際には、顔や四肢の肌にそれ用の化粧料を塗布する動作工程を伴い、場合によっては塗布した化粧料を一定時間肌の上に留まらせる工程を設ける。これらの工程をスムーズに行うため、また良好な使用感と美容効果を得るため、パック(マスク)マッサージに用いられる化粧料にはジェル、クリーム、泡(フォーム)等の剤型が採用されている。
【0003】
また、血行促進効果等を期待して肌に温感を付与する化粧料が、種々提案されている。かかる化粧料に配合する温感付与成分としては、トウガラシやショウガ等の植物抽出物やバニリルアルキルエーテル等が知られている(特許文献1)。また、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールも、高い水和熱を生じるため、温感付与剤として化粧料に配合される(特許文献2?3)。
【0004】
近年、化粧料における審美性や系の分散性の向上等を企図して、液晶構造を有する組成物を採用することがある。例えば、特許文献4には、高級アルコールとエステル型非イオン性界面活性剤とを含有する水中油滴型液晶構造を有する皮膚外用剤組成物が、持続性と保湿性に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-153675号公報
【特許文献2】特許3660560号
【特許文献3】特許5368236号
【特許文献4】特開2013-49635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スキンケアの際に通常行われる化粧料の塗布動作では、過度の擦過で皮膚が刺激やダメージを受け、赤味を生じたり、皮膚バリア能が損なわれたりしてしまうことがある。このような刺激やダメージを抑制できる塗布動作を、一般消費者であっても簡単に行えることが望ましい。
また、パック(マスク)やマッサージ等のスキンケアにおける血行促進効果を、より向上させることも望まれている。
このような状況に鑑みて、本発明は、温感効果が得られ、かつ塗布時の皮膚への刺激を抑制できるスキンケア用化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、炭素数16?22のアルコールと、非イオン性界面活性剤と、多価アルコールとを含有し、液晶構造を形成する組成物を化粧料とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]炭素数16?22のアルコールと、非イオン性界面活性剤と、多価アルコールとを含有し、液晶構造を有する化粧料。
[2]多価アルコールを化粧料全量に対して50?95質量%含有する、[1]に記載の化粧料。
[3]さらに炭素数16?22の直鎖脂肪酸を含有する、[1]又は[2]に記載の化粧料。
[4]さらに水を含有する、[1]?[3]の何れかに記載の化粧料。
[5]スキンケア用である、[1]?[4]の何れかに記載の化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧料は、肌に塗布するだけで温感効果が得られる上、塗布時ののびの良さ等の使用性も良好で、また皮膚への刺激が生じない程度の塗布動作後に気液エマルションを形成して白化するため、塗布動作終了のタイミングが可視化されて分かりやすい。また、気液エマルションは保温性を発揮し温感作用を高める。したがって、本発明により、優れた温感効果が得られ、かつ塗布時の皮膚への刺激を抑制できるスキンケア用化粧料が提供される。
なお、従来、肌上で擦過しているうちに白化する組成物には、非イオン系界面活性剤とカルボキシビニルポリマーを含有するジェル洗浄料があったが、これは泡立ち(白化)による洗浄効果を期待するものであった。すなわち、塗布時の皮膚への刺激抑制を企図して、化粧料に白化する処方を採用することは全くなされてこなかった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の化粧料の小角X線散乱チャート。
【図2】本発明の化粧料を肌に塗布した際の形状変化写真、及び白化後の拡大顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化粧料は、炭素数16?22、好ましくは18?22のアルコール(いわゆる高級アルコール)を含有する。高級アルコールは後述する非イオン性界面活性剤のHLB(Hydrophilic-Lypophilic Balance)を低下させて液晶構造を形成する。
炭素数16?22のアルコールの含有量は、化粧料全量に対して0.1?20質量%が好ましく、1?10質量%がより好ましく、5?10質量%がさらに好ましい。
なお、炭素数16?22のアルコールは、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができる。
【0012】
炭素数16?22のアルコールは、通常は脂肪族アルコールであり、分岐はあってもなくてもよく、飽和又は不飽和のいずれでもよい。また、好ましくは一価のアルコールである。例えば、セタノール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデカノール、1-ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、エライドリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エライドリノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、及びエルシルアルコールが挙げられ、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコールが特に好ましい。
【0013】
本発明の化粧料は、非イオン性界面活性剤を含有する。これにより、液晶構造を形成する。
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、親水性のものが好ましく、HLBが好ましくは8?18、より好ましくは12のものが液晶構造の形成しやすさの観点から好ましく挙げられる。なお、ここでHLB(Hydrophilic-Lypophilic Balance)は、グリフィンの式より算出した値をいう。
非イオン性界面活性剤の含有量は、化粧料全量に対して1?20質量%が好ましく、1?10質量%がより好ましく、3?8質量%がさらに好ましい。
なお、非イオン性界面活性剤は、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができ、二種以上を組み合わせることがより好ましい。
【0014】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等);グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0015】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル等);POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);POEアルキルフェニルエーテル類(例えば、POEノニルフェニルエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POPアルキルエーテル類(例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等);テトラ POE・テトラPOPエチレンジアミン
縮合物類(例えば、テトロニック等);POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルグルコシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0016】
これらのうち、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルがより好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステル類がさらに好ましい。これらの二種以上を組み合わせることが特に好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの重合度が6?14のものが好ましく、10がより好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化度は30%以下のものが好ましく、10%以下のものがより好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸は、不飽和のものが好ましく、また炭素数が好ましくは14?22、より好ましくは16?20、さらに好ましくは18で、オレイン酸が特に好ましい。
【0017】
本発明の化粧料は、多価アルコールを含有する。多価アルコールは水和熱により発熱し、化粧料を肌に塗布した際に温感効果を付与する役割を果たす。
多価アルコールの含有量は、温感効果を十分に付与する観点から大量であり、化粧料全量に対して50?95質量%が好ましく、60?95質量%がより好ましく、70?95質量%がさらに好ましい。
なお、多価アルコールは、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができる。
【0018】
多価アルコールとしては、2価以上であれば特に限定されないが、3価以上のものが好ましい。具体的には、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル等が挙げられる。
これらのうち、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコールがより好ましく、グリセリンが特に好ましい。
【0019】
本発明の化粧料は、さらに炭素数16?22の直鎖脂肪酸(いわゆる高級直鎖脂肪酸)を含有することが好ましい。これにより、塗布動作により化粧料が白化しやすくなる。
炭素数16?22の直鎖脂肪酸の含有量は、化粧料全量に対して0.1?10質量%が好ましく、0.1?5質量%がより好ましく、0.1?2質量%がさらに好ましい。
炭素数16?22の直鎖脂肪酸は、飽和又は不飽和のいずれでもよいが、例えば、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられ、ステアリン酸が特に好ましい。
なお、炭素数16?22の直鎖脂肪酸は、一種又は二種以上を組み合わせて化粧料に含有させることができる。
【0020】
本発明の化粧料は、さらに水を含有することが好ましい。これにより、化粧料を塗布する際ののびやすくなり使用性が良好になる。
水の含有量は、化粧料全量に対して0.1?20質量%が好ましく、0.1?15質量%がより好ましく、0.1?10質量%がさらに好ましい。
【0021】
本発明の化粧料は液晶構造を有する。液晶構造体は、通常透明なジェル状であるが、化粧料の塗布動作により空気を抱き込み、気液エマルションを形成し、透明から白化する。本発明の化粧料は微細な気液エマルションを形成することができ、その粒径は好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
液晶構造体は、従来のスキンケア化粧料に比べて少ない塗布動作で白化する(気液エマルションに変化する)ため、皮膚への刺激が生じない程度で塗布動作終了のサインが可視的に現れることになる。また、少ない塗布動作やマッサージ時間であっても、多価アルコールリッチな処方により温感効果が付与されるため、血行促進効果やマッサージによる満足感が損なわれることはない。さらに、液晶構造体が変化して、塗布後の肌の上には微細な気液エマルションの層が広がるため保温性を発揮し、温感作用を高めることができる。
【0022】
したがって、本発明の化粧料はパック(マスク)やマッサージ等のスキンケア用途に好適に適用できる。なお、本発明の化粧料を適用するのは、顔、四肢、胴体等特に限定されず、低刺激な塗布動作でスキンケアを行えることから、皮膚の薄い顔に対しても好適に塗布できる。また、塗布後あるいは塗布して一定時間おいた後に、洗い流してもよく、スキンケア用化粧料としてはパック用やマッサージ用の他に又は兼ねて洗浄用であってもよい。
【0023】
本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、通常化粧料に用いられる他の成分を任意に配合することができる。かかる任意成分としては、例えば、油剤、保湿剤、粉末成分、ロウ類、他の界面活性剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0024】
油剤としては、極性油、天然油、炭化水素油、シリコーン油等が挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等が挙げられる。
【0025】
天然油として、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、ワセリン、水添ポリ(C6-12オレフィン)、水添ポリイソブテン等が挙げられ、中でもワセリンが好ましい。
シリコーン油としてはシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ジメチコン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられ、これらのうち粘度10?800万mPasの高重合ジメチコンが好ましい。
【0026】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0027】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0028】
他の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0029】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0030】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0031】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0032】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0033】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0034】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0035】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0036】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0037】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0038】
pH調製剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0039】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0040】
また、その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0041】
本発明の化粧料は、水溶性高分子は実質的に含有しないことが好ましい。水溶性高分子を含有すると、化粧料の粘度が上がりやすく、化粧料が塗布動作により気液エマルションを形成しにくくなり、白化までの時間を長く要する(擦過を多く行う)ため、過度な塗布動作により皮膚に刺激やダメージを与えてしまう恐れがあるからである。
なお、「実質的に含有しない」とは、特に限定されないが、化粧料全量に対して好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、さらに好ましくは0.0001質量%以下をいう。
【0042】
ここで水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等の天然の水溶性高分子、
デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等の半合成の水溶性高分子、
ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等の合成の水溶性高分子が挙げられる。
【0043】
本発明の化粧料は、定法により製造することができる。例えば、炭素数16?22のアルコール、非イオン性界面活性剤、及び必要に応じて炭素数16?22の直鎖脂肪酸を含む油相成分と、多価アルコール及び必要に応じて水を含む水相成分とをそれぞれ加熱溶解して混合した後、油相成分に水相成分を添加して撹拌混合しながら冷却することにより製造することができる。
液晶構造を形成しているか否かは定法により確認でき、例えば目視による外観からの判定、相平衡図の作成、電気伝導度測定、NMRによる自己拡散係数の測定、小角X線散乱、フリーズフラクチャー法を用いて調製したレプリカの電子顕微鏡観察等により判別することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0045】
表1及び表2に示す処方に従って、実施例及び比較例の各液晶乳組成物を調製した。
すなわち、まず成分A(油相)及び成分B(水相)をそれぞれ、80℃に加熱溶解して混合した。次いで成分A(油相)に成分B(水相)を徐々に添加し、撹拌混合して、30℃まで冷却し、ジェル状の組成物を得た。
【0046】
<液晶の確認>
調製した各組成物について、外観観察および小角X線散乱解析により液晶構造の形成を確認した。すなわち、外観がジェル状の構造体であること、且つ、X線小角散乱曲線においてラメラ液晶構造由来の一次および二次ピークの回折ピークが出現することにより、液晶構造が形成していることを確認した(図1)。小角X線散乱解析の測定条件は以下の通りである。
小角X線散乱装置:Anton Paar社製 SAXSpaceシステム
検出器:ダイオードアレイ検出器
線源:Cu線
電圧:60kV
測定温度:20℃
試料は液体セル(ガラスキャピラリー1mmφ)に充填し測定した。
結果を表1及び2に示す。実施例1、2、4?11及び13並びに比較例3及びAではジェル状且つ液晶構造の形成が確認された。実施例12はジェル状であったが、液晶構造体が小角X線散乱解析の測定可能強度以下のピーク強度であったことから、明確な二次ピークが確認できなかった。また、比較例1?2は外観が流動的でありジェルの形成が確認できず、比較例1、2、4及び5では、回折ピークが出現せず液晶構造の形成を確認できなかった。
【0047】
<白化までの回数の評価>
調製した各組成物を腕に1gずつ取り、手で軽く円を描くようにマッサージして塗布し、ジェル状から白色のクリーム(フォーム)状に変化するまでに要する回数を数えた。
結果を表1及び2に示す。白化後の実施例1の組成物を顕微鏡下で観察すると、気液エマルションを形成していることがわかる(図2)。
【0048】
<使用感の評価>
調製した各組成物を腕に1gずつ取り、手で軽く円を描くようにして組成物が白化するまでマッサージした際の使用感について、以下の項目毎に評価した。結果を表1及び2に示す。
(のびの良さ)
○:のびやすい、△:ややのびにくい、×:のびにくい、-:未評価
(温感の持続性)
◎:マッサージ後もしばらく温感が持続する、○:マッサージ後も温感が持続する、△:マッサージ中に温感が弱まる、×:温感が感じられない、-:未評価
(刺激性)
○:肌の赤味を生じない、△:やや肌の赤味が生じる、×:肌の赤味を生じる、-:未評価
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明により、温感効果が得られ、かつ過度の施術による皮膚への刺激を抑制できるスキンケア用化粧料が提供されるため、産業上非常に有用である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数16?22のアルコールと、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、及びPOEアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上の非イオン性界面活性剤(モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型)を除く)と、化粧料全量に対して65?95質量%の多価アルコールとを含有し、液晶構造を有する、塗布動作を伴うスキンケア用化粧料(ただし、噴射剤を含有するものを除く)。
【請求項2】
さらに炭素数16?22の直鎖脂肪酸を含有する、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
さらに水を含有する、請求項1又は2に記載の化粧料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-08-20 
出願番号 特願2015-125506(P2015-125506)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (A61K)
P 1 651・ 121- YAA (A61K)
P 1 651・ 537- YAA (A61K)
P 1 651・ 113- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田中 雅之  
特許庁審判長 井上 典之
特許庁審判官 齋藤 恵
冨永 みどり
登録日 2020-06-05 
登録番号 特許第6713255号(P6713255)
権利者 ポーラ化成工業株式会社
発明の名称 液晶化粧料  
代理人 特許業務法人秀和特許事務所  
代理人 特許業務法人秀和特許事務所  
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