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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61J
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61J
管理番号 1378757
異議申立番号 異議2021-700553  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-06-08 
確定日 2021-10-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6796270号発明「薬剤払出し装置、並びに、薬剤払出し方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6796270号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6796270号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?7に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)3月17日(優先権主張 平成26年3月18日)を国際出願日とする特願2016-508729号の一部を平成31年3月25日に新たな特許出願とした特願2019-56610号の一部を、令和1年9月4日に新たな特許出願としたものであって、令和2年11月18日にその特許権の設定登録がされ、令和2年12月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和3年6月8日に特許異議申立人中谷浩美(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

2 本件発明
本件特許の請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ請求項に対応して「本件発明1」などという。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
本体装置と、薬剤秤量装置と、薬剤容器とを備えた薬剤払出し装置であって、
前記薬剤秤量装置は、薬剤の重量を検知する重量検知手段を有し、
前記本体装置は、前記薬剤容器を載置して振動させる容器振動台を有し、
薬剤容器は、薬剤が一時的に溜め置かれる薬剤溜め置き部と、本体装置の容器振動台に載置された際に横方向に開口する薬剤排出部とを有し、
前記薬剤容器は、薬剤容器に薬剤が投入され、前記重量検知手段で薬剤の秤量が行われ、薬剤が薬剤容器に入れられたままの状態で、薬剤容器が本体装置の容器振動台に載置され、容器振動台で薬剤容器が振動され、薬剤排出部から薬剤分配装置に薬剤が排出されるものであることを特徴とする薬剤払出し装置。
【請求項2】
薬剤秤量装置の重量検知手段は、前記薬剤容器を載置する容器載置部を有し、重量検知手段は、薬剤投入部から薬剤容器の薬剤溜め置き部に導入された薬剤の重量を検知するものであり、薬剤容器は、前記薬剤秤量装置の容器載置部に載置された際に上方に開口する薬剤投入部を有することを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項3】
本体装置は、本体側情報読み取り手段を有し、
薬剤容器は情報記録部材を有し、調剤に関連する情報が前記情報記録部材に記録され、情報記録部材に記録された情報が本体側情報読み取り手段で読み取られることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤払出し装置。
【請求項4】
薬剤容器の底には、鉄板が取り付けられており、容器振動台には、電磁石が設けられ、
当該電磁石を作用させて薬剤容器を容器振動台に固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項5】
薬剤容器は、前記薬剤秤量装置の容器載置部に載置された際に横長となり、長手方向の一端が開口していて薬剤排出部を構成しており、且つ、前記薬剤秤量装置の容器載置部に載置された際に上方に開口する薬剤投入部をさらに有し、内部に空間を有するものであって、
薬剤投入部が薬剤排出部よりも大きく開口していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項6】
本体装置は、薬剤を包装する包装装置と、印刷手段を有し、処方に関連する情報が印刷手段で印刷されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項7】
薬剤払出し装置を使用して薬剤を払い出す薬剤払出し方法において、
前記薬剤払出し装置は、本体装置と、薬剤秤量装置と、薬剤容器とを備えた薬剤払出し装置であって、前記薬剤秤量装置は、薬剤の重量を検知する重量検知手段と、調剤に関連する情報を読み込む調剤情報読み込み手段と、情報書き込み手段及び/又は秤量装置側情報読み取り手段を有し、前記本体装置は、前記薬剤容器を載置して振動させる容器振動台と、散薬を所定量に区分して複数に分割する薬剤分配装置と、本体側情報読み取り手段を有し、薬剤容器は、薬剤排出部と、情報記録部材及び/又は容器識別部材とを有し、調剤に関連する情報が、薬剤容器に関連付けて本体装置に送られるものであり、
薬剤容器に薬剤を投入して前記重量検知手段で薬剤の秤量を行い、薬剤を薬剤容器に入れたままの状態で、薬剤容器を本体装置の容器振動台に載置し、容器振動台で薬剤容器を振動させ、薬剤排出部から薬剤分配装置に薬剤を排出するものであることを特徴とする薬剤払出し方法。」

3 申立理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証?甲第5号証(以下、各甲号証に付された数字に対応して「甲1」などという。)を提出し、本件特許を取り消すべき理由として、次の理由1?3を主張している。
(理由1)
本件発明1は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当するものである。また、本件発明1、4、5及び6は、甲1に記載された発明並びに甲2及び3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明2、3及び7は、甲1に記載された発明並びに甲2?4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反するものである。よって、それらの特許は特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(理由2)
本件発明1?7に係る特許出願は、特許法第44条第1項柱書に規定する分割要件を満たさないものであるから、同条第2項に規定する出願日の遡及は認められない。そして、本件発明1?7は、原出願の公開特許公報である甲5に記載された発明であるか、又は甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第1項第3号に該当するか、又は同条第2項の規定に違反するものであるから、それらの特許は特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(理由3)
本件発明1?7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

[証拠方法]
甲1:特開2001-95896号公報
甲2:特開平7-132135号公報
甲3:特開平4-286526号公報
甲4:特開昭63-55001号公報
甲5:特開2019-115735号公報

4 甲各号証の記載
(1)甲1
甲1には、以下の記載がある(下線は当審が付した。以下同様。)。

ア 「【0008】[第2の解決手段]第2の解決手段の散薬供給装置は(、出願当初の請求項2に記載の如く)、振動して散薬を送り出す散薬フィーダと、その一部として設けられ何れか一方又は双方が着脱可能な散薬収容器および散薬送出部と、前記散薬フィーダの振動状態を制御する制御手段と、前記制御手段の一部として設けられ又は別個に設けられ前記振動状態についての設定値を前記散薬フィーダの特性に基づいて補正する補正手段と、前記散薬収容器または前記散薬送出部側に設けられ前記補正手段にて用いられる前記散薬フィーダの特性データを保持する記憶装置とを備えたものである。
【0009】このような第2の解決手段の散薬供給装置にあっては、散薬に触れる部材が洗浄等のために現場でも容易に取り外せるよう着脱可能となっているが、そのような散薬収容器および散薬送出部の何れか一方または双方を交換するとそれに伴って固有の補正用データも入れ替わるため、洗浄等の作業が簡単に而も誤り無く行える。したがって、この発明によれば、振動状態を自動設定する散薬供給装置であって製造や調整に加えて洗浄作業等も容易なものを実現することができる。
【0010】[第3の解決手段]第3の解決手段の散薬供給装置は(、出願当初の請求項3に記載の如く)、上記の第1,第2の解決手段の散薬供給装置であって、前記散薬フィーダの散薬収容器および散薬送出部が一体成形されている、というものである。
【0011】このような第3の解決手段の散薬供給装置にあっては、散薬に触れる部材が一体に纏まっているので、洗浄等の作業が一層簡便になる。しかも、固有の補正用データまで一体に纏め得るので、装置の複雑化を回避しつつ、洗浄作業等に伴う誤りもより確実に防止することができる。なお、一体成形化により部材形状等の微調整がし難くなっても、補正手段によって部材形状等の許容範囲が広げられているので、不都合は無く、コストダウン等のメリットを十分に享受することができる。したがって、この発明によれば、振動状態を自動設定する散薬供給装置であって製造や調整に加えて洗浄作業等も容易なものを安価に実現することができる。」

イ 「【0022】散薬フィーダ10は(図1参照)、振動するために、振幅可変な発振回路とその発振信号に従ってスイッチングするパワートランジスタとを有して所望の駆動電圧や駆動電流を生成する駆動回路11と、その駆動電圧等を受けて伸縮や回転等して振動を生じるピエゾ素子や偏心モータ等を含んだ振動発生部材15とを具えている。また、その支持部となる散薬分包機40等への搭載・装着を容易にするとともに加振を効率良く行う等のために、バネやゴム等を適宜組み合わせたダンパー17に対しその上下にアッパーベース16とユニットベース18とを連結し、さらにアッパーベース16上に又は下に振動発生部材15及び駆動回路11を固定的に取り付けておいて、ユニットベース18を散薬分包機40に取り付ける際には、ボルト等で着脱可能に或いはフック等で着脱容易に行えるようになっている。」

ウ 「【0024】また、散薬フィーダ10には(図1参照)、その振動にて散薬を送り出すために、送出を待っている散薬を一時貯留しておく散薬収容器12と、この散薬収容器12から排出された散薬に振動を与えながら一定経路を流下させることで排出量・流量を安定させる散薬送出部13も、設けられている。これらの散薬収容器12と散薬送出部13は、プラスチックの射出成形等にて一体成形されており、振動発生部材15の上に又はアッパーベース16の上に纏めて装着されるようになっている。その装着に際しては、散薬収容器12側より散薬送出部13側が少し低くなるように傾斜がつけられるとともに、着脱可能なように更には着脱容易または着脱自在なように、ネジ等による締結や、フック等による掛止・係止、クランパやクリップ等による挟持などで取り付けられるようになっている。
【0025】散薬収容器12は(図2参照)、ホッパーやタッパーのような箱形の容器で、上部が大きく開口しており、その下端部のうち散薬送出部13に連なるところには横長で狭い排出口12aも開口形成されている。この排出口12aは散薬送出部13によって下側から両脇まで囲まれている。散薬送出部13は、そこを始端として断面U字状のまま延びて所定長の直線溝状案内路を形成しており、そのためトラフとも呼ばれている。
【0026】その散薬送出部13の先端のところには、そこを散薬が流れ出て落ちて来ているか否かを即ち散薬送出の有無を検出するために、送出検出部材14が付設されている。」

エ 「【0027】また、散薬収容器12には、素直に単一の容器になっているもの(図2(a)参照)の他、内側に仕切り12bが形成されたもの(図2(b)参照)も実用化されている。前者は手作業で散薬を投入する場合など広く用いられる汎用品であるが、後者は散薬の秤量から投入まで自動機械で行うような場合に好適なものとなっている。」

オ 「【0032】入力装置30は、制御装置20の振動制御ルーチン21による入力処理を補助するため或いは可成りの部分を肩代わりするため、制御装置20に付加して設けられており又は適宜のインターフェイスを介して制御装置20に接続されている。そして、必要なデータを打ち込み可能なキーボードやパネルキーであったり、秤量済み散薬を手で運ぶ際に用いられる容器に付加されているデータキャリアから該当データを非接触で読み取るリーダであったり、処方箋データや調剤データをマニュアルで受け付けて或いはいわゆるオーダリングシステムのホストコンピュータからそれらのデータをオンラインでダウンロードして一連の又は一群の錠剤分包機や散薬分包機等の調剤装置を有機的に関連付けて管理する処方入力卓であったりする。要するに、入力装置30は、散薬フィーダ10で処理しようとする散薬について、その振動強度と時間という情報を抽出して又は抽出可能にして、そのデータを制御装置20の利用に供するものである。
【0033】このような散薬供給装置は、散薬分包機40に搭載して用いられることが多いので、それについても言及する(図2(c),(d)参照)。最近よく用いられている散薬分包機40は、それぞれが散薬フィーダ10を実装した2台の散薬分配分割装置(43?45)が左右に並んで設置されており(なお、基本動作には1台あれば足りるので図2(c)では2台目を二点鎖線で示している)、何れも、必要量だけ秤量された散薬を分包単位で均等に分割するために、散薬を等速で少しずつ送出する上述の散薬フィーダ10に加えて、回転しながらその散薬を溝に受けることで円環状に均す環状テーブル44と、これを回転させるテーブル駆動部43と、環状テーブル44の溝から散薬を所定量ずつ切り出す切り出し装置45とを具えている。両散薬分配分割装置(43?45)の中間位置には、共通ホッパー46が設置されており、これによって、それらの切り出された散薬を包装装置(41,42)へ導くようになっている。」

カ 「【0037】この散薬供給装置を用いて散薬の定量送りを行う場合、分包しようとする散薬を必要量だけ秤量して散薬収容器12へ投入するとともに、その種類や重量等に基づいて適宜決定・選定した振動条件の標準設定値を、すなわち振動強度および時間の情報を、入力装置30を介して制御装置20に入力する。すると、その振動強度が振動制御ルーチン21から補正ルーチン26に通知され、これを受けた補正ルーチン26によって、標準設定値の振動強度が補正係数αを掛けられて個別設定値の振動強度に補正変換される
【0038】これが振動制御ルーチン21に返されると、それに基づいて振動制御ルーチン21が散薬フィーダ10を制御し、所定の弱い振動強度で散薬フィーダ10が振動を開始する。そして、その状態が継続しているうちに、散薬送出部13の先端から散薬の流出が検出されると、それからは、設定された時間の間に個別設定値の振動強度まで振動強度を増し、その後、散薬の流出が無くなったことが確認されるまで、その振動強度で振動し、締めくくりに強振も行って振動を終える。
【0039】こうして、散薬フィーダ10から散薬が適正状態で即ち安定して速やかに送出されるが、そのとき、散薬分包機40では、環状テーブル44が定速回転していて、散薬フィーダ10から送出・排出された散薬は、環状テーブル44上へほぼ均一に分配される。そして、分配が済むと、逐次、環状テーブル44を所定角度ずつ回転させながら、切り出し装置45による切り出しが行われ、切り出された散薬は、共通ホッパー46を経て、投入ホッパー42が上下動する度にそこへ投入され、包装装置本体41によって分包帯のそれぞれの区分内に封じられる。」

キ 「【0042】【第2実施例】本発明の散薬供給装置の第2実施例について、その具体的な構成を、図3のブロック図を引用して説明する。この散薬供給装置が上述した第1実施例のと相違するのは、記憶装置19が記憶装置19a,19bの二つに分かれるとともにそのうち記憶装置19aを駆動回路11側に残して記憶装置19bが散薬収容器12側に移った点と、これに伴い制御装置20でも補正データ27が第1補正データ27aと第2補正データ27bとに分かれた点である。第1補正データ27aは一の第1補正係数αからなり、第2補正データ27bも一の第2補正係数βからなる。
【0043】記憶装置19bの導入された散薬収容器12や散薬送出部13は、一体のままであり、フック等にて振動発生部材15やアッパーベース16等から容易に着脱しうるようになっている。また、補正データ読込ルーチン26aは、記憶装置19aの保持データを読み込んで第1補正係数αをセットアップするとともに、記憶装置19bの保持データを読み込んで第2補正係数βをセットアップするようになっている。さらに、補正ルーチン26は、振動制御ルーチン21から振動強度の標準設定値を受け取ると、それに補正係数α,補正係数βを共に乗じて個別設定値を求めるようになっている。
【0044】この場合、洗浄等のために散薬収容器12及び散薬送出部13を交換する作業は、散薬収容器12側を交換すれば、それだけで終わりである。」

ク 「【0064】最後に 仕切り12bの付いた散薬フィーダ10を使用して2種類の散薬を一緒に分包する場合について述べる。この場合、それぞれの散薬は、それぞれの指定量だけ秤量されてから、今度は混合すること無く散薬収容器12へ投入される。しかも、その際、仕切り12bの両側へ分離して投入される。」

ケ 「【図1】



【図2】



【図3】





コ 上記エの段落【0027】には、「散薬収容器12」のうち「素直に単一の容器になっているもの(図2(a)参照)」は「手作業で散薬を投入する場合など広く用いられる汎用品」であり、「内側に仕切り12bが形成されたもの(図2(b)参照)」は「散薬の秤量から投入まで自動機械で行うような場合に好適なもの」であることが記載されている。後者に関し、上記クの段落【0064】には、散薬の秤量から投入までを行う主体の明記はないものの、2種類の散薬が、それぞれの指定量だけ秤量されてから散薬収容器12へ投入されることが記載されている。また、上記カの段落【0037】には、「分包しようとする散薬を必要量だけ秤量して散薬収容器12へ投入する」の記載がある。以上より、甲1には、散薬を秤量する薬剤秤量装置が記載されていると認められる。そして、散薬の秤量を手作業で行うか自動機械で行うかによらず、薬剤秤量装置で散薬を必要量だけ秤量して散薬収容器12へ投入することが記載されていると認められる。また、薬剤秤量装置が、散薬の重量を検知する重量検知手段を有することは、技術常識より明らかであるから、甲1には、薬剤秤量装置の重量検知手段で散薬の秤量が行われ、散薬収容器12に散薬が投入されることが記載されていると認められる。

サ 上記カの段落【0037】?【0039】の記載によれば、手作業又は自動機械で分包しようとする散薬を必要量だけ秤量して散薬収容器12へ投入した後、当該散薬収容器12を振動発生部材15に装着するステップを経ることなく振動を開始している。これより、甲1の散薬収容器12及び散薬送出部13は、散薬収容器12に散薬が投入される時点において、散薬分包機40の振動発生部材15に予め装着されているものと認められる。

シ 上記サで認定したように、散薬収容器12及び散薬送出部13が散薬分包機40の振動発生部材15に予め装着された状態で、上記コで認定したように、重量検知手段で散薬の秤量が行われ、散薬収容器12に散薬が投入されると、上記ウの段落【0024】に「送出を待っている散薬を一時貯留しておく散薬収容器12」と記載されているように、投入された散薬は、散薬収容器12内に一時貯留される。そして、上記ウの段落【0024】?【0026】及び上記オの段落【0033】の記載並びに上記ケの図2の記載からみて、次に、振動発生部材15で散薬収容器12及び散薬送出部13が振動されると、散薬収容器12内の散薬は、排出口12aから散薬送出部13に排出され、振動を与えられながら一定経路を流下し、散薬送出部13の先端から散薬分配分割装置(43?45)に排出されるものと認められる。

上記ア?ケにおいて摘記した記載内容並びにコ?シの認定事項を総合すると、甲1には、次のとおりの発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

[甲1発明]
「散薬分包機40と、薬剤秤量装置と、散薬収容器12と、前記散薬収容器12と一体成形された散薬送出部13とを備えた調剤装置であって、
前記薬剤秤量装置は、散薬の重量を検知する重量検知手段を有し、
前記散薬分包機40は、前記散薬収容器12及び散薬送出部13を装着して振動させる振動発生部材15、前記振動発生部材15に連結されたアッパーベース16、ダンパー17及びユニットベース18を有し、
散薬収容器12は、送出を待っている散薬を一時貯留しておくものであり、散薬送出部13は、散薬分包機40の振動発生部材15に装着された際に横方向に開口する先端を有し、
前記散薬収容器12及び前記散薬送出部13が散薬分包機40の振動発生部材15に予め装着され、前記重量検知手段で散薬の秤量が行われ、散薬収容器12に散薬が投入され、振動発生部材15で散薬収容器12及び散薬送出部13が振動され、散薬送出部13の先端から散薬分配分割装置(43?45)に散薬が排出される調剤装置。」

(2)甲2
甲2には、以下の記載がある。

ア 「【0007】【実施例】図1?図3はこの発明による散薬供給装置を採用した散薬分包機の一実施例を示したものであり、この散薬分包機1は、手前に配置された分割包装機2と、その背後に配置された散薬収納庫20とから構成されている。」

イ 「【0009】散薬収納庫20は、散薬をカセット21に収容して、このようなカセット21を散薬の種類に応じて多数具えたものであり、どのカセット21に収容された散薬でも分割包装機2の配分/分割装置3に配分するため、左右の配分/分割装置3a、3bに対応した供給位置40a、40bのいずれにもすべてのカセット21を移動させることのできる移動機構41を具えている。」

ウ 「【0012】供給位置40a、40bには、配分/分割装置3a、3bに配分する散薬を供給するための散薬フィーダ50a、50bが設けられ、各散薬フィーダ50は、その供給位置40に位置するカセット21と、カセット21を作動して散薬を排出させる作動装置51と、カセット21から排出される散薬を計量する計量装置61とから構成されている。」

エ 「【0014】計量装置61は、たとえば、秤量器と秤量皿とからなる秤量装置として構成することができるものであるが、その場合、計量時には、供給位置40に位置するカセット21の前方において、その排出部23の正面出口から排出される散薬を受け取るために、排出部23の正面出口の真下に計量中心が位置するように配置される必要がある。すなわち、計量装置61は、作動装置51のようにつねにカセット21群の昇降領域および循環領域を避けて配置することはできず、計量時にはカセット21の移動領域内に侵入しなければならない。そのため、シフト機構62が設けられ、このシフト機構62が、計量装置61を、その計量中心がカセット21の排出部23の正面出口の真下に位置する計量位置(図2のA)と、計量し終わった散薬を配分/分割装置3に配分する配分位置(図2のB)と、さらには、配分が終わった汚れを除去する清掃位置(図2のC)との間をシフトさせることによって、計量時にのみカセット21の移動領域内に侵入させ、それ以外はカセット21の移動領域から外方へ退避させるように構成されている。そして、計量装置61は、清掃が終わったのち、つぎの散薬計量のため計量位置へシフトされるまでの間、清掃位置で待機するようになっている。また、計量装置61には、配分位置において、配分/分割装置3に対する散薬の配分動作を円滑に行わせるため、散薬を徐々に供給する振動フィーダ63が設けられている。すなわち、振動フィーダ63のトラフ64を、カセット21から受け取る散薬を載せる秤量皿として構成し、このトラフ64を含む振動フィーダ63を秤量器65で支えることによって、計量装置61が構成されている。」

オ 「【0021】支持体43が供給位置40に到達したら、その位置に設けられたリーダライタ81が、その支持体43に装着されているカセット21のデータキャリア80からアドレスおよび薬品名を読み取り、それによって、そのカセット21が所定のものに間違いないことを、散薬供給に先立って確認する。つぎに、散薬フィーダ50を作動させて、そのカセット21から散薬を排出させながら、それを計量位置にある計量装置61によって計量して、その量が所定の量に達したら、散薬フィーダ50の作動を終わらせる。この間も、必要に応じて、他の段の無端条帯42は循環させることができる。また、供給位置40a、40bの間隔が、カセット21のピッチの整数倍となるように配置されているから、散薬を排出させるべき2つのカセット21の間隔が、たまたま供給位置40a、40bの間隔に一致している場合は、散薬フィーダ50a、50bを並行して作動させて、両カセット21から並行して散薬を排出させることかできる。さらに、取出位置90と供給位置40a、40bそれぞれとの間隔も、カセット21のピッチの整数倍となるように配置されているから、散薬フィーダ50の作動中に、並行して、取出位置90にあるカセット21の取出、補充、再装着を行うことができる。
【0022】つぎに、シフト機構62を作動させて、計量装置61を配分位置へシフトさせる。この位置で、計量装置61の振動フイーダ63を作動させるとともに、駆動装置7によって配分/分割装置3の凹溝6を定速回転させ、それにより、振動フィーダ63のトラフ64内にある散薬を、凹溝6の全周にわたって実質的に均等に配分する。計量装置61を配分位置へシフトさせたら、つぎに排出させるべき散薬を収容したカセット21が供給位置40に来るように、移動機構41を作動させて、必要な循環、昇降を行わせることができる。また、必要な循環、昇降の結果、そのカセット21が他方の供給位置40に到達したら、リーダライタ81によるデータキャリア80の読み取りを行うことができるし、その供給位置40の散薬フィーダ50を作動させることもできる。
【0023】配分が終了したら、駆動装置7を切り換えて、配分/分割装置3の凹溝6を、所定の包数に相当する分割数に応じた角度ずつ回動させながら、駆動装置9によって切出装置8を1回転ずつ繰り返し回転させ、それにより、凹溝6内の散薬を1包相当分ずつ切り出して、包装装置5のホッパ4に順次導入する。包装装置5はこれを受けて、その散薬を1包分ずつ分包する。この間も、つぎに排出させるべき散薬を収容したカセット21が供給位置40に来るように、移動機構41を作動させて、必要な循環、昇降を行わせることができ、また、そのカセット21が他方の供給位置40に到達したら、リーダライタ81によるデータキャリア80の読み取りを行うことができるし、その供給位置40の散薬フィーダ50を作動させることもできる。また、配分終了にともない、シフト機構62を作動させて、計量装置61を清掃位置へシフトさせる。この位置で、清掃装置70を作動させて、計量装置61のトラフ64内を清掃する。清掃が終了したら、計量装置61をその位置に待機させるが、つぎに排出させるべき散薬を収容したカセット21が供給位置40に到達したら、シフト機構62を作動させて、計量装置61を計量位置へシフトさせる。それにより、リーダライタ81によるデータキャリア80の読み取りを行うことができるし、供給位置40の散薬フィーダ50を作動させることもできる。」

カ 「【図1】



【図2】





キ 上記アの段落【0007】、上記イの段落【0009】及び上記ウの段落【0012】の記載並びに上記カの図1及び2の記載からみて、甲2には、計量装置61を備えた散薬分包機1が記載されていると認められる。

ク 上記エの段落【0014】には、計量装置61を秤量器と秤量皿とからなる秤量装置として構成することが記載され、その具体的構成として、同段落及び図1には、振動フィーダ63のトラフ64を秤量皿として構成し、このトラフ64を含む振動フィーダ63を秤量器65で支えることが記載されている。そして、同段落、上記オの段落【0021】?【0023】及び図2の記載によれば、計量装置61は、計量位置(図2のA)、配分位置(図2のB)及び清掃位置(図2のC)との間でシフトされるから、トラフ64は、その清掃のために振動フィーダ63に着脱される必要がなく、両者は一体的に構成されたものと認められる。

ケ 上記エの段落【0014】の「振動フィーダ63のトラフ64を、カセット21から受け取る散薬を載せる秤量皿として構成し」の記載、上記オの段落【0022】の「計量装置61の振動フイーダ63を作動させるとともに、駆動装置7によって配分/分割装置3の凹溝6を定速回転させ、それにより、振動フィーダ63のトラフ64内にある散薬を、凹溝6の全周にわたって実質的に均等に配分する。」の記載、図1及び2の記載から、振動フィーダ63のトラフ64は、散薬が一時的に溜め置かれる薬剤溜め置き部と、横方向に開口する薬剤排出部とを有していると認められる。

コ 上記エの段落【0014】の「振動フィーダ63のトラフ64を、カセット21から受け取る散薬を載せる秤量皿として構成し、このトラフ64を含む振動フィーダ63を秤量器65で支えることによって、計量装置61が構成されている。」の記載、上記オの段落【0021】の「散薬フィーダ50を作動させて、そのカセット21から散薬を排出させながら、それを計量位置にある計量装置61によって計量し」の記載及び段落【0022】の「計量装置61の振動フイーダ63を作動させるとともに、駆動装置7によって配分/分割装置3の凹溝6を定速回転させ、それにより、振動フィーダ63のトラフ64内にある散薬を、凹溝6の全周にわたって実質的に均等に配分する。」の記載からみて、トラフ64は、トラフ64に散薬が投入され、秤量器65で散薬の秤量が行われ、振動フィーダ63でトラフ64が振動され、薬剤排出部から配分/分割装置3に散薬が排出されるものと認められる。

上記ア?カにおいて摘記した記載内容並びにキ?コの認定事項を総合すると、甲2には、次のとおりの技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。

[甲2技術]
「計量装置61を備えた散薬分包機1であって、前記計量装置61は、秤量器65及びトラフ64を含む振動フィーダ63を有し、前記振動フィーダ63のトラフ64を秤量皿として構成し、前記トラフ64を含む前記振動フィーダ63を前記秤量器65で支えることによって構成されており、前記トラフ64は、散薬が一時的に溜め置かれる薬剤溜め置き部と、横方向に開口する薬剤排出部とを有し、前記トラフ64は、トラフ64に散薬が投入され、前記秤量器65で散薬の秤量が行われ、振動フィーダ63でトラフ64が振動され、薬剤排出部から配分/分割装置3に散薬が排出されるものである散薬分包機1。」

(3)甲3
甲3には、以下の記載がある。

ア 「【0008】【発明が解決しようとする問題点】本発明は上記問題に鑑みてなされ、医薬品のように、種類が変わるとその都度、使用していた容器の洗浄を必要とする振動供給装置であっても容器の脱着が容易で、かつ自動化が図れる振動供給装置を提供することを目的としている。」

イ 「【0014】図9及び図10は、本発明の振動供給装置により粉粒状材料、例えば医薬品等が収容される容器Tを示したものである。容器Tは、材料貯蔵槽部T_(1)と材料排出槽部T_(2)とからなり、いずれの槽部、T_(1)、T_(2)も上方が開口して形成されている。材料貯蔵槽部T_(1)と材料排出槽部T_(2)とは、図10に示したように、開口76から粉粒状材料Sを容器Tから送出する際に、材料Sが緩やかに排出槽部T_(2)側に移されるように、該排出槽部T_(2)が貯蔵槽部T_(1)に比べて長く、全体としてじょうろ状に傾斜した状態に一体形成されている。」

ウ 「【0015】このような容器T内に粉粒状材料、例えば医薬品Sを収容して振動により供給する振動供給装置は、図1及び図2において全体として1で示されている。
【0016】振動供給装置1は、上面に振動駆動部2を備えた振動駆動部本体3と、容器Tを振動駆動部2に搬入するためのトラフ容器搬入機構4を備えたアタッチメント33とからなり、振動駆動部本体3及びアタッチメント33は、基台8に支持されている。振動駆動部本体3では、振動駆動部2を保持する天板32の底部に板ばね取付ブロック12が固定され、該取付ブロック12には、可動コア16が垂下して固定されている。可動コア16は、コイル17を巻装した電磁石18と間隙gをもって配置され、該電磁石18は補助ベースブロック10に固定されている。天板32には更に板ばね取付ブロック11が固定され、またベースブロック7には補助ベースブロック13が固定されている。これら板ばね取付ブロック11と補助ベースブロック13とは、傾斜板ばね15により結合され、また板ばね取付ブロック12と補助ベースブロック10とは、傾斜板ばね14により結合されている。これにより、天板32は、前後一対の傾斜板ばね14、15によりベースブロック7に結合されている。ベースブロック7は防振ばね9を介して基台8に支持されている。」

エ 「【0033】今、容器T内には粉粒状材料として医薬品Sが収容されている。振動駆動部2では、トラフ容器傾倒部材47a、47bが第1の姿勢にあり、第1の板体47c、47dが略水平位置となっている。また、モータ23は稼動しており、ロックレバー87、88は図3において、破線の位置にある。すなわち、ロック機構Rは無効となっている。
【0034】このような状態で、容器Tは一方のコンベヤ装置83上に載置されて、駆動軸85の正回転駆動により振動供給装置1のトラフ容器搬入機構4に移送されてくる。トラフ容器搬入機構4に搬送されてきた容器Tは、速やかにベルト27、27、27上に移送される。ベルト27、27、27により、容器Tが所定距離移送されると、容器Tの材料排出槽部T_(2)に設置された底板73がトラフ容器傾倒部材47の第2の板体47e、47fに当接する。これにより、第2の板体47e、47fのいずれかに設置された、図示しないリミットスイッチが作動する。リミットスイッチが作動すると、この信号に基いてコンベヤ装置83の駆動が停止し、同時にモータ23の駆動も停止する。また、リミットスイッチが作動すると、制御器からの指令によりシリンダ装置80が作動する。シリンダ装置80が作動すると、駆動ロッド41が伸び、駆動レバー42を介して補助レバー44を図1において時計方向に回動させる。補助レバー44が同方向に回動すると、トラフ容器傾倒駆動軸45はこれと一体的に回動する。トラフ容器傾倒駆動軸45の回動によりトラフ容器傾倒部材47a、47b及びこれら部材47a、47bに保持された容器Tも一体的に回動する。トラフ容器傾倒部材47a、47bが所定角度回動すると、第2の板体47e、47fが箱体55の側板77に当接し、同時に軸部先端のカム48がスイッチ49を投入する。この時、容器Tは図10に示す第2の姿勢となる。こうして、スイッチ49が投入されると、制御器からの指令によりシリンダ装置80の作動が停止し、同時にエアシリンダ60が作動する。エアシリンダ60が作動すると、ピストン69が図3において下動し、ローラ駆動部材62を、破線位置から実線位置に移動させる。ローラ駆動部材62が下方に移動すると、揺動レバー67、68は回動し、ローラ64a、64bを凹所62a、62bの開口側に位置させ、かつ回動軸37、38を回動させる。回動軸37、38が所定角度回動すると、ロックレバー87、88も共に回動し、図7に示したようにフック部87a、87bが容器Tの底板73と係合する。これにより、容器Tは、第2の姿勢にロックされる。
【0035】容器Tが第2の姿勢にロックされて振動駆動部2が駆動開始され、これから振動力を受けると、容器T内で搬送されこの開口76から医薬品S等の粉粒状材料が徐々に下方に落下する。従って、開口76の下方に秤衡等を配置することにより、所定量の粉粒状材料を計量することができる。【0036】容器T内に収容された医薬品を所定量計量し、他の医薬品に代えて新たに計量したい場合には、トラフ容器搬入機構4に今、対向していない他のコンベヤ装置84上に、新たな医薬品を収容した容器を第1の姿勢でセットしておく。」

オ 「【図1】



【図9】



【図10】





カ 上記ウの段落【0016】の「振動供給装置1は、上面に振動駆動部2を備えた振動駆動部本体3と、容器Tを振動駆動部2に搬入するためのトラフ容器搬入機構4を備えたアタッチメント33とからなり」の記載及び上記エの段落【0035】の「容器Tが第2の姿勢にロックされて振動駆動部2が駆動開始され、これから振動力を受ける」の記載からみて、甲3には、容器Tを振動させる振動供給装置1が記載されていると認められる。

キ 上記イの段落【0014】の「容器Tは、材料貯蔵槽部T_(1)と材料排出槽部T_(2)とからなり、いずれの槽部、T_(1)、T_(2)も上方が開口して形成されている。材料貯蔵槽部T_(1)と材料排出槽部T_(2)とは、図10に示したように、開口76から粉粒状材料Sを容器Tから送出する際に、材料Sが緩やかに排出槽部T_(2)側に移されるように、該排出槽部T_(2)が貯蔵槽部T_(1)に比べて長く、全体としてじょうろ状に傾斜した状態に一体形成されている。」の記載、上記エの段落【0034】の「容器Tは一方のコンベヤ装置83上に載置されて、駆動軸85の正回転駆動により振動供給装置1のトラフ容器搬入機構4に移送されてくる。」の記載、同段落の「容器Tは図10に示す第2の姿勢となる。」の記載及び段落【0035】の「容器Tが第2の姿勢にロックされて振動駆動部2が駆動開始され、これから振動力を受けると、容器T内で搬送されこの開口76から医薬品S等の粉粒状材料が徐々に下方に落下する。」の記載並びに上記オの図10の記載からみて、甲3の容器Tは、材料貯蔵槽部T_(1)と、材料排出槽部T_(2)の開口76とを有するものと認められる。そして、図10に示される容器Tの第2の姿勢において、医薬品S等の粉粒状材料が下方に落下することからみて、前記開口76は、容器Tが振動駆動部2に移送されて第2の姿勢にロックされた際に横方向に開口するものと認められる。

ク 上記エの段落【0033】の「容器T内には粉粒状材料として医薬品Sが収容されている。」の記載、段落【0034】の「このような状態で、容器Tは一方のコンベヤ装置83上に載置されて、駆動軸85の正回転駆動により振動供給装置1のトラフ容器搬入機構4に移送されてくる。」の記載、同段落の「容器Tは図10に示す第2の姿勢となる。」の記載及び段落【0035】の「容器Tが第2の姿勢にロックされて振動駆動部2が駆動開始され、これから振動力を受けると、容器T内で搬送されこの開口76から医薬品S等の粉粒状材料が徐々に下方に落下する。従って、開口76の下方に秤衡等を配置することにより、所定量の粉粒状材料を計量することができる。」の記載からみて、甲3の容器Tは、容器Tに医薬品Sが収容され、医薬品Sが容器Tに入れられたままの状態で、容器Tが振動駆動部2に移送されて第2の姿勢にロックされ、振動駆動部2で容器Tが振動され、材料排出槽部T_(2)の開口76から秤衡等に医薬品Sが排出されるものと認められる。

ケ 上記クの認定に関連し、上記エの段落【0035】には、振動供給装置1の振動駆動部2の振動力を受けて容器T内に収容された医薬品Sが開口76から徐々に下方に落下し、開口76の下方に秤衡等を配置することで、容器Tから排出された医薬品Sを所定量計量することが記載されていると認められる。

上記ア?オにおいて摘記した記載内容及びカ?ケの認定事項を総合すると、甲3には、次のとおりの技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。

[甲3技術]
「容器Tを振動させる振動供給装置1であって、容器Tは、材料貯蔵槽部T_(1)と、振動駆動部2に移送されて第2の姿勢にロックされた際に横方向に開口する材料排出槽部T_(2)の開口76とを有し、前記容器Tは、容器Tに医薬品Sが収容され、医薬品Sが容器Tに入れられたままの状態で、容器Tが振動駆動部2に移送されて第2の姿勢にロックされ、振動駆動部2で容器Tが振動され、材料排出槽部T_(2)の開口76から秤衡等に医薬品Sが排出されるものである振動供給装置1。」

(4)甲4
甲4には、以下の記載がある。

ア 「第1図はこの発明の一実施例を示し、1は所定量の散剤を所定包数に分割して包装する分割包装装置2を具えた散剤分包機、3は多数の装置びん4、4…が置かれた棚5、5…の手前において所定高さの台6上に秤7が設置された調剤台である。調剤台3には、秤7で計量された散剤を一旦収容する容器8が複数個用意されていて、各容器8にはバーコードからなる容器の識別情報9が設けられている。調剤台3にはまた、図示しない適宜の入力端末装置から転送される調剤すべき散剤の薬品名および、果粒、細果粒、粉末等による流動性状、指定量、分割包数等からなる調剤情報を表示する適宜の表示部材10と、バーコードリーダ11とが設けられている。」(2頁右上欄第15行?左下欄第8行)

イ 「第1図





上記ア及びイにおいて摘記した記載内容を総合すると、甲4には、次のとおりの技術(以下、「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。

[甲4技術]
「台6上に秤7が設置され、秤7で計量された散剤を一旦収容する容器8が複数個用意され、各容器8にはバーコードからなる容器の識別情報9が設けられ、バーコードリーダ11が設けられた調剤台3。」

5 当審の判断
5-1 理由1について
(1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「散薬分包機40」は、本件発明1の「本体装置」に相当し、以下同様に、「散薬」は「薬剤」に、「装着」は「載置」に、「散薬分配分割装置(43?45)」は「薬剤分配装置」に、「調剤装置」は「薬剤払出し装置」に相当する。
甲1発明の「散薬収容器12」と「散薬送出部13」は、一体成形されたものであり、その機能、形状等からみて、両者を合わせたものが本件発明1の「薬剤容器」に相当する。そして、甲1発明の「散薬収容器12」は、送出を待っている散薬を一時貯留しておくものであるから、本件発明1の「薬剤が一時的に溜め置かれる薬剤溜め置き部」に相当し、甲1発明の「散薬送出部13の先端」は、散薬分包機40の振動発生部材15に装着された際に横方向に開口し、散薬分配分割装置(43?45)に散薬が排出される部分であるから、本件発明1の「薬剤排出部」に相当する。
甲1発明の「振動発生部材15」及び「アッパーベース16、ダンパー17及びユニットベース18」は、その機能、形状等からみて、これらを合わせたものが本件発明1の「容器振動台」に相当する。
したがって、両者は、
「本体装置と、薬剤秤量装置と、薬剤容器とを備えた薬剤払出し装置であって、
前記薬剤秤量装置は、薬剤の重量を検知する重量検知手段を有し、
前記本体装置は、前記薬剤容器を載置して振動させる容器振動台を有し、
薬剤容器は、薬剤が一時的に溜め置かれる薬剤溜め置き部と、本体装置の容器振動台に載置された際に横方向に開口する薬剤排出部とを有し、
前記薬剤容器は、薬剤容器に薬剤が投入され、容器振動台で薬剤容器が振動され、薬剤排出部から薬剤分配装置に薬剤が排出されるものである薬剤払出し装置。」
という点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本件発明1では、薬剤容器は、薬剤容器に薬剤が投入され、重量検知手段で薬剤の秤量が行われ、薬剤が薬剤容器に入れられたままの状態で、薬剤容器が本体装置の容器振動台に載置されるものであるのに対し、甲1発明では、散薬収容器12及び散薬送出部13は、散薬分包機40の振動発生部材15に予め装着され、重量検知手段で散薬の秤量が行われ、散薬収容器12に散薬が投入されるものである点。

上記相違点について検討する。
上記4(2)記載のとおり、甲2には、「計量装置61を備えた散薬分包機1であって、前記計量装置61は、秤量器65及びトラフ64を含む振動フィーダ63を有し、前記振動フィーダ63のトラフ64を秤量皿として構成し、前記トラフ64を含む前記振動フィーダ63を前記秤量器65で支えることによって構成されており、前記トラフ64は、散薬が一時的に溜め置かれる薬剤溜め置き部と、横方向に開口する薬剤排出部とを有し、前記トラフ64は、トラフ64に散薬が投入され、前記秤量器65で散薬の秤量が行われ、振動フィーダ63でトラフ64が振動され、薬剤排出部から配分/分割装置3に散薬が排出されるものである散薬分包機1。」(甲2技術)が記載されている。
甲2技術の「散薬」は、本件発明1の「薬剤」に相当し、甲2技術の「振動フィーダ63」、「トラフ64」、「秤量器65」及び「配分/分割装置3」は、その機能からみて、本件発明1の「容器振動台」、「薬剤容器」、「重量検知手段」及び「薬剤分配装置」にそれぞれ相当する。よって、甲2技術の「トラフ64」は、本件発明1のように「薬剤容器に薬剤が投入され、重量検知手段で薬剤の秤量が行われ、容器振動台で薬剤容器が振動され、薬剤排出部から薬剤分配装置に排出される」ものである。
しかしながら、甲2技術の「トラフ64」は「振動フィーダ63」に含まれるものであり、両者は一体的であって、前者が後者に載置されるものではないから、本件発明1のように「薬剤が薬剤容器に入れられたままの状態で、薬剤容器が本体装置の容器振動台に載置される」ものではない。
次に、上記4(3)に記載のとおり、甲3には「容器Tを振動させる振動供給装置1であって、容器Tは、材料貯蔵槽部T_(1)と、振動駆動部2に移送されて第2の姿勢にロックされた際に横方向に開口する材料排出槽部T_(2)の開口76とを有し、前記容器Tは、容器Tに医薬品Sが収容され、医薬品Sが容器Tに入れられたままの状態で、容器Tが振動駆動部2に移送されて第2の姿勢にロックされ、振動駆動部2で容器Tが振動され、材料排出槽部T_(2)の開口76から秤衡等に医薬品Sが排出されるものである振動供給装置1。」(甲3技術)が記載されている。
甲3技術の「医薬品S」は、本件発明1の「薬剤」に相当し、甲3技術の「振動駆動部2」、「容器T」、「材料貯蔵槽部T_(1)」及び「材料排出槽部T_(2)の開口76」は、その機能からみて、本件発明1の「容器振動台」、「薬剤容器」、「薬剤溜め置き部」及び「薬剤排出部」にそれぞれ相当する。そして、甲3技術の「振動駆動部2に移送されて第2の姿勢にロックされ」及び「収容され」は、その態様から、本件発明1の「容器振動台に載置され」及び「投入され」にそれぞれ相当する。よって、甲3技術の「容器T」は、本件発明1のように「薬剤容器に薬剤が投入され、薬剤が薬剤容器に入れられたままの状態で、薬剤容器が本体装置の容器振動台に載置され、容器振動台で薬剤容器が振動され、薬剤排出部から薬剤が排出される」ものである。
しかしながら、甲3技術の「秤衡等」は、容器Tから排出された医薬品Sを所定量計量するものであり、容器T内に収容された医薬品Sを所定量計量するものではないから、その機能からみて、本件発明1の「重量検知手段」には相当しない。よって、甲3技術の「容器T」は、本件発明1のように「重量検知手段で薬剤の秤量が行われ」るものではない。
以上のように、甲2技術及び甲3技術は、上記相違点に係る本件発明1の技術事項を部分的にしか開示しない。そして、甲2技術を甲1発明に適用することで甲1発明の「散薬収容器12」及び「散薬送出部13」を「薬剤容器に薬剤が投入され、重量検知手段で薬剤の秤量が行われる」ものとし、さらに甲3技術を適用することで、「薬剤が薬剤容器に入れられたままの状態で、薬剤容器が本体装置の容器振動台に載置される」ものとするように、甲2技術と甲3技術から上記相違点に係る一部の技術事項のみをそれぞれ取り出して甲1発明に組み合わせる動機付けはない。
よって、上記相違点は、当業者が容易に想到し得るものではない。
したがって、本件発明1は、甲1発明ではなく、甲1発明並びに甲2技術及び甲3技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本件発明2?6について
本件発明2?6は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、上記(1)で示した理由と同様に、甲1発明及び甲2?4技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)本件発明7について
本件発明7の「薬剤容器に薬剤を投入して前記重量検知手段で薬剤の秤量を行い、薬剤を薬剤容器に入れたままの状態で、薬剤容器を本体装置の容器振動台に載置し」と、上記(1)で検討した本件発明1と甲1発明との相違点に係る本件発明1の「薬剤容器は、薬剤容器に薬剤が投入され、前記重量検知手段で薬剤の秤量が行われ、薬剤が薬剤容器に入れられたままの状態で、薬剤容器が本体装置の容器振動台に載置され」とは、発明特定事項が、薬剤払出し方法における薬剤容器の使用方法の特定(本件発明7)であるか、薬剤払出し装置における薬剤容器の機能の特定(本件発明1)であるかによる表現上の差異があるのみで、その内容は実質的に同じであるから、本件発明7と甲1発明には、本件発明1と甲1発明との上記相違点と実質的に同じ相違点がある。
よって、本件発明7と甲1発明との他の相違点の有無を検討するまでもなく、上記(1)で示した理由と同様に、本件発明7は、甲1発明及び甲2?4技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)小括
以上のとおり、本件発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではなく、本件発明1?7は、同条第2項の規定に違反するものではないから、理由1によっては、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。

5-2 理由2について
(1)特許法第44条第1項柱書に規定する分割要件について
申立人は、特許異議申立書において、
「請求項1、7に記載の「薬剤容器」には、本件明細書【0052】【0066】の記載を参照すると、「手動形薬剤容器5a」「収容形薬剤容器4」の両方が含まれている。そして請求項1、7では、「薬剤容器」に薬剤が投入され、薬剤秤量装置の重量検知手段で秤量が行われると特定されている。
これに対し、本件明細書の記載では、手動形薬剤容器5aは、薬剤秤量装置3で秤量される(【0124】)。一方、「収容形薬剤容器(4)」は、容器振動台11の重量測定手段56で秤量が行われるのであって(【0124】)、請求項1、7で特定されている薬剤秤量装置3では秤量されない。
よって、請求項1、7には、「収容形薬剤容器4」でも薬剤秤量装置3で秤量する場合が含まれている。このような場合は、本件出願の基礎出願に係る甲第5号証には記載されていないから、本件出願に際して、基礎出願にない新たな技術事項が導入されている。
従って、本件出願は分割要件に違反しているから、特許法第44条第2項の適用外となり出願日遡及効を有さないので、原出願日ではなく現実の出願日で特許要件の判断がされるべきである。また、「新たな技術的事項」には優先権の効力は及ばない。」
と主張している(特許異議申立書41頁15行?42頁5行)。

本件特許の明細書には、以下の記載がある。

ア 「【0043】
以上、本発明の概要について説明した。次に、本発明の実施形態をより具体的に説明する。
以下に説明する薬剤払出し装置1は、図1の通り、本体装置2と、薬剤秤量装置3と、収容形薬剤容器4及び手動形薬剤容器5aによって構成されている。なお収容形薬剤容器4は、付属的な部材であり、本発明とは直接的な関連性は無い。
本実施形態の本体装置2は、筐体40によって囲まれており、その内部は、薬剤棚部領域100と、薬剤分割領域101と、薬剤包装領域102に分かれている。
薬剤棚部領域100には、収容形薬剤容器4を設置する容器保管装置103 (図2)が設けられている。
なお薬剤棚部領域100の各部材についても付属的な部材であり、本発明とは直接的な関連性は無い。」

イ 「【0065】
次に収容形薬剤容器4について説明する。収容形薬剤容器4は、本発明の付属的部品であり、本発明の作用効果には直接的な影響を与えるものではない。」

ウ 「【0066】
本実施形態の本体装置2では、薬剤容器(収容形薬剤容器4又は手動形薬剤容器5a)と、容器振動台11によって一組の薬剤フィーダ10aが構成される。
即ち薬剤容器(収容形薬剤容器4又は手動形薬剤容器5a)と、容器振動台11とは別々のものであり、散薬を分包する際に、両者が結合されて薬剤フィーダ10aを構成する。
本実施形態で採用する本体装置2は、収容形薬剤容器4及び手動形薬剤容器5aを使い分けることができるものである。収容形薬剤容器4には、予め、特定の薬剤が充填され、薬剤棚部領域100の容器保管装置103に収容される。
手動形薬剤容器5aには、特定の患者に対する処方箋に則った薬剤が、薬剤師の手によって一つずつ入れられる。
本発明は、手動形薬剤容器5aを使用する点に特徴がある。手動形薬剤容器5aは、容器保管装置103に収容されることなく、容器振動台11に設置される。」

エ 「【0118】
以上説明した実施形態では、本体装置2は、収容形薬剤容器4を設置する容器保管装置103 (図2)を有している。また本体装置2は、ロボット110を備えている。しかしながら、容器保管装置103やロボット110は必須ではなく、図24に示す本体装置170の様にこれらを持たないものであってもよい。」

上記ア?エにおいて摘記した記載内容より、本件特許の明細書に実施形態の一部として記載された「収容形薬剤容器4」が、本件発明1及び7の「薬剤容器」に含まれないことは明らかである。
よって、本件発明1及び7は、申立人の主張するように「「収容形薬剤容器4」でも薬剤秤量装置3で秤量する場合が含まれている。」ものではなく、原出願の明細書等で開示された範囲内のものである。
以上より、本件特許の請求項1、7に係る発明は、原出願の出願当初及び分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であり、本件特許についての出願は分割要件を満たすものである。

(2)特許法第29条第1項第3号及び同条第2項について
上記(1)のとおり、本件特許についての出願は分割要件を満たすものであるから、本件特許は、原出願の出願日である平成27年3月17日に出願したものとみなされる。また、新規性及び進歩性の判断の基準日は、優先権主張の日である平成26年3月18日となる。
よって、当該基準日より後である令和1年7月18日に公開された甲5に記載された発明では、本件発明1?7の新規性及び進歩性は否定できない。

(3)小括
以上のとおり、本件発明1?7は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではなく、同条第2項の規定に違反するものではないから、理由2によっては、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。

5-3 理由3について
(1)特許法第36条第6項第1号について
申立人は、特許異議申立書において、
「薬剤容器で複数の薬剤を取り扱う場合には、薬剤のコンタミネーションを防止するために薬剤容器の清掃が必要となる。つまり、従来の投入ホッパとトラフに代えて用いられる薬剤容器を清掃する必要がある。
しかしながら、本件明細書には、このように複数の薬剤を取り扱う場合においても清掃が不要になることについて何ら記載されていないから、当業者において課題(投入ホッパとトラフを清掃する必要がない)を解決できることを認識できない。
よって、独立項である請求項1、7に係る各発明、及び、従属項である請求項2?6に係る各発明は、明細書の記載によりサポートされていない。」
と主張している(特許異議申立書42頁15?25行)。

これに関し、本件特許の発明の詳細な説明の段落【0017】には、発明が解決しようとする課題として、以下の記載がある。

「【0017】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、投入ホッパとトラフを清掃する必要がない薬剤払出し装置を提供することを目的とするものである。」

ここで、従来技術として、甲1を参照すれば、上記4(1)キの段落【0044】には、「洗浄等のために散薬収容器12及び散薬送出部13を交換する」と記載され、「散薬収容器12」(「投入ホッパ」に相当)と「散薬送出部13」(「トラフ」に相当)を洗浄(「清掃」に相当)することが記載されている。
さらに、上記4(1)オの段落【0032】には、「秤量済み散薬を手で運ぶ際に用いられる容器」と記載されている。申立人が主張するように、当該容器で複数の薬剤を取り扱う場合には、薬剤のコンタミネーションを防止するために当該容器を清掃する必要がある。仮に、複数の薬剤毎に当該容器を複数用意したとしても、当該容器の使用後、次回の使用までに各容器の清掃が必要なことは明らかである。
すなわち、従来技術においては、複数の薬剤を取り扱う場合に、投入ホッパとトラフの清掃に加え、秤量済み散薬を手で運ぶ際に用いられる容器を清掃する必要がある。
本件発明1及び7の「薬剤容器」は、その機能からみて、従来技術の投入ホッパ及びトラフと、秤量済み散薬を手で運ぶ際に用いられる容器を兼ねたものといえるから、本件発明1及び7において、複数の薬剤を取り扱う場合に、当該「薬剤容器」の清掃が必要であるとしても、清掃が必要な部材が従来技術よりも減ることは明らかであり、本件特許の発明の詳細な説明の上記段落【0017】の「投入ホッパとトラフを清掃する必要がない」の記載は、本件発明1及び7のそのような効果を表現したものとして理解できる。
よって、本件発明1及び7には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されているから、発明の詳細な説明に記載したものである。本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2?6も同様に、発明の詳細な説明に記載したものである。

(2)特許法第36条第6項第2号について
申立人は、特許異議申立書において、以下のように主張している。
「このように、請求項1、7で特定されている「薬剤容器」には、「手動形薬剤容器5a」「収容形薬剤容器4」の両方が含まれている。しかしながら、収容形薬剤容器4には、薬剤が予め収容(充填)されているため、薬剤が投入され秤量が行われるよう構成されていない。」(特許異議申立書43頁11?14行)
「以上を総合すると、請求項1、7の「薬剤容器」には、「薬剤が投入され、薬剤秤量装置の重量検知手段で秤量が行われる」ことができない構成を含む。
よって、独立項である請求項1、7に係る各発明、及び、従属項である請求項2?6に係る各発明は不明確である。」(特許異議申立書44頁14?18行)

しかしながら、上記5-2(1)に示したように、本件特許の明細書に実施形態の一部として記載された「収容形薬剤容器4」が、本件発明1及び7の「薬剤容器」に含まれないことは明らかである。
よって、本件発明1及び7は、申立人の主張するように「「薬剤容器」には、「薬剤が投入され、薬剤秤量装置の重量検知手段で秤量が行われる」ことができない構成を含む。」ものではないから、本件発明1及び7は、明確である。本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2?6も同様に明確である。

また、申立人は、特許異議申立書において、
「また、請求項1の分説要件Eについては、薬剤容器の使い方が特定されているに過ぎず、物の発明としての薬剤容器(薬剤払出し装置)のいかなる構成を特定するものか不明である。よって、独立項である請求項1に係る発明、及び、従属項である請求項2?6に係る各発明は不明確である。」
と主張している(特許異議申立書44頁19?23行)。

しかしながら、申立人が分説要件Eとした本件発明1の「前記薬剤容器は、薬剤容器に薬剤が投入され、前記重量検知手段で薬剤の秤量が行われ、薬剤が薬剤容器に入れられたままの状態で、薬剤容器が本体装置の容器振動台に載置され、容器振動台で薬剤容器が振動され、薬剤排出部から薬剤分配装置に薬剤が排出されるものである」は、「薬剤払出し装置」が備える「薬剤容器」の機能を特定した発明特定事項として明確に理解できるから、本件発明1は、物の発明として明確である。本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明2?6も同様に明確である。

また、申立人は、特許異議申立書において、
「また、請求項7につき、分説要件Yの、薬剤秤量装置に関する「情報書き込み手段及び/又は秤量装置側読み取り手段」と、分説要件AAの、薬剤容器に関する「情報記録部材及び/又は容器識別部材」と、について、「又は」で結ばれる組み合せにおいて、薬剤秤量装置と薬剤容器との間で情報伝達ができなくなる組合せが含まれている。具体的には、薬剤秤量装置が情報書き込み手段のみ有する場合、薬剤容器の情報を薬剤秤量装置側で読み取ることができない。よって、請求項7に係る発明は不明確である。」
と主張している(特許異議申立書44頁24行?45頁4行)。

これに関し、本件特許の明細書の段落【0040】?【0042】には、以下の記載がある。

「【0040】
また上記した実施形態では、手動形薬剤容器5aに書き込み可能な情報記録部材たるRFIDタグ22を設け、情報記録部材に調剤情報を記録し、情報記録部材から本体装置2に調剤情報を伝達した。即ち先の実施形態では、手動形薬剤容器5aは情報記録部材たるRFIDタグ22を有し、RFIDタグ22は、情報の書き換えが可能であり、薬剤秤量装置3は、情報書き込み手段たるRFIDリーダライタ134を有し、RFIDリーダライタ134によって調剤に関連する情報がRFIDタグ22に記録され、RFIDタグ22に記録された情報が本体側情報読み取り手段たるRFIDリーダ16で読み取られることによって調剤に関連する情報が、手動形薬剤容器5aに関連付けて本体装置2に送られる。
【0041】
これに代わって薬剤秤量装置3から有線又は無線によって直接本体装置2に調剤情報を送信してもよい。また他の中央制御装置等を介して薬剤秤量装置3から本体装置2に調剤情報を送信してもよい。
この方法を採用する場合には、本体装置2に、本体側情報読み取り手段として信号を受信する受信手段を設ける。また手動形薬剤容器5aに設けられたバーコード24を利用する。そして薬剤秤量装置3は、バーコードリーダ32を秤量装置側情報読み取り手段として機能させて手動形薬剤容器5aを特定する情報を読み取る。
さらに本体装置2には、容器識別部材を認識する容器確認手段を設ける。容器確認手段は例えばバーコードリーダである。なお手動形薬剤容器5aに設けられたRFIDタグ22を容器識別部材とし、容器確認手段とて前記RFIDリーダ16を使用してもよい。
【0042】
そして薬剤秤量装置3で薬剤を秤量する際に、バーコードリーダ32によって手動形薬剤容器5aを特定する情報を読み取り、調剤に関連する情報と手動形薬剤容器5aを特定する情報を関連付けて薬剤秤量装置3から発信し、本体装置2でこの情報を受信する。
その後、本体装置2の容器確認手段で手動形薬剤容器5aを個別に特定し、手動形薬剤容器5aに関連する調剤情報に則って薬剤を分割し、包装する。」

上記段落【0040】には、薬剤秤量装置が「情報書き込み手段」として「RFIDリーダライタ134」を有し、薬剤容器が「情報記録部材」として「RFIDタグ22」を有する実施形態が記載されている。そして、上記段落【0041】には、薬剤秤量装置が「秤量装置側情報読み取り手段」として「バーコードリーダ32」を有し、薬剤容器が「容器識別部材」として「バーコード24」を有する別の実施形態が記載されている。すなわち、上記段落【0040】及び【0041】には、薬剤秤量装置の「RFIDリーダライタ134」と薬剤容器の「RFIDタグ22」の組み合せで調剤に関連する情報を本体装置に送る実施形態と、薬剤秤量装置の「バーコードリーダ32」と薬剤容器の「バーコード24」の組み合せで調剤に関連する情報を本体装置に送る実施形態が記載されている。
本件発明7の薬剤秤量装置は、「情報書き込み手段及び/又は秤量装置側情報読み取り手段」を有し、薬剤容器は「情報記録部材及び/又は容器識別部材」を有するものであり、前者の手段と後者の部材の組み合せは9通り考えられるが、そのうち前者が「RFIDリーダライタ134」であり後者が「バーコード24」、又は前者が「バーコード-リーダ32」であり後者が「RFIDタグ22」、という前者と後者との間で情報の受け渡しができない手段と部材の組み合せが選択されないことは、上記段落【0040】及び【0041】の記載と技術常識を考慮すれば、明らかである。
よって、本件発明7は、明確である。

また、申立人は、特許異議申立書において、
「また、請求項7につき、分説要件AAの「調剤に関連する情報が、薬剤容器に関連付けて本体装置に送られるものであり」について、調剤に関する情報がどのような手順で本体装置に送られるのか、例えば「情報記録部材及び/又は容器識別部材」と「本体側情報読み取り手段」との関係において不明である。よって、請求項7に係る発明は不明確である。」
と主張している(特許異議申立書45頁5?10行)。

しかしながら、本件特許の明細書の上記段落【0040】の記載から、薬剤容器に設けられたRFIDタグ22に記録された情報が本体装置に設けられたRFIDリーダ16で読み取られることによって、調剤に関連する情報が、薬剤容器に関連付けて本体装置に送られること、あるいは、上記段落【0041】及び【0042】の記載から、薬剤容器に設けられたバーコード24がバーコードリーダ32で読み取られ、調剤に関連する情報が、薬剤容器に関連付けて有線又は無線によって本体装置に送られることが、当業者であれば理解することができるから、調剤に関連する情報が本体装置に送られる手順は、明確に理解できる。
よって、本件発明7は、明確である。

(3)小括
以上のとおり、本件特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たす特許出願に対してされたものであるから、理由3によっては、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。

6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。


 
異議決定日 2021-09-29 
出願番号 特願2019-161189(P2019-161189)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (A61J)
P 1 651・ 537- Y (A61J)
P 1 651・ 121- Y (A61J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 段 吉享  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 栗山 卓也
津田 真吾
登録日 2020-11-18 
登録番号 特許第6796270号(P6796270)
権利者 株式会社湯山製作所
発明の名称 薬剤払出し装置、並びに、薬剤払出し方法  
代理人 藤田 隆  
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