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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61F
管理番号 1378786
異議申立番号 異議2021-700734  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-27 
確定日 2021-10-22 
異議申立件数
事件の表示 特許第6822217号発明「吸収性物品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6822217号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6822217号の請求項1?11に係る特許(以下「本件特許1」?「本件特許11」といい、これらをまとめて「本件特許」という。)についての出願は、平成29年2月28日に出願され、令和3年1月12日にその特許権の設定登録がされ、令和3年1月27日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対して、令和3年7月27日に特許異議申立人出川栄一郎(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。


第2 本件特許発明
本件特許の請求項1?11に係る発明(以下「本件特許発明1」?「本件特許発明11」といい、これらをまとめて「本件特許発明」という。)は、それぞれ、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
吸収体と、前記吸収体を肌面側から覆う肌面側シートと、前記吸収体を非肌面側から覆う非肌面側シートとを有し、着用者の股下に、長手方向が前記股下の前後方向に沿うように装着される吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収性物品における前記長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、
前記両縁部にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第1弾性部材によって形成されたレッグギャザーと、
前記レッグギャザーよりも前記幅方向の内側寄りに前記レッグギャザーと間をあけてそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第2弾性部材によって形成された内側ギャザーと、を有し、
前記第1弾性部材の方が前記第2弾性部材よりも高い弾性率を有している
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記内側ギャザーの前記幅方向の位置は、前記レッグギャザーよりも幅方向内側寄りで且つ前記吸収体の幅方向両縁部付近に対応するように設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
吸収体と、前記吸収体を肌面側から覆う肌面側シートと、前記吸収体を非肌面側から覆う非肌面側シートとを有し、着用者の股下に、長手方向が前記股下の前後方向に沿うように装着される吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収性物品における前記長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、
前記両縁部にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第1弾性部材によって形成されたレッグギャザーと、
前記長手方向の同位置において前記レッグギャザーよりも前記幅方向の内側寄りで且つ前記吸収体の幅方向両縁部付近であって前記吸収体と重なる位置にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第2弾性部材によって形成された内側ギャザーと、を有し、
前記第1弾性部材の方が前記第2弾性部材よりも高い弾性率を有している
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
前記第2弾性部材は、互いに平行で前記長手方向に延びる複数の第2線状弾性体によって構成され、
前記複数の第2線状弾性体は、前記幅方向の内側のものよりも外側のものの方が高い弾性率を有している
ことを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項55】
前記第1弾性部材は、互いに平行で前記長手方向に延びる複数の第1線状弾性体によって構成され、
前記複数の第1線状弾性体は、前記幅方向の内側のものよりも外側のものの方が高い弾性率を有している
ことを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第1弾性部材は、互いに平行で前記長手方向に延びる単数又は複数の第1線状弾性体によって構成されると共に、前記第2弾性部材は、互いに平行で前記長手方向に延び、前記第1線状弾性体の数よりも多くの複数の第2線状弾性体によって構成されている
ことを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第2弾性部材の有効範囲の全てが、前記吸収体と厚み方向に重なる領域に配置されている
ことを特徴とする請求項1?6の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収体の前記内側ギャザーよりも前記幅方向の内側寄りにそれぞれ、前記長手方向に延びる溝状部が形成されている
ことを特徴とする請求項1?7の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記非肌面側シートは、前記吸収体に近い側から順に層状に配置されたバックシートとカバーシートとを有し、
前記第2弾性部材は、前記バックシートと前記カバーシートとの間に配設され、
前記内側ギャザーは、前記第2弾性部材によって収縮力を受ける前記バックシートと前記カバーシートとにより形成される
ことを特徴とする請求項1?8の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記第1弾性部材は、前記肌面側シートと前記バックシートとの間に配設され、
前記レッグギャザーは、前記第1弾性部材によって収縮力を受ける前記肌面側シートと前記バックシートとにより形成される
ことを特徴とする請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記肌面側シートは、前記吸収体の全面又は幅方向両側縁部を除いた領域に重なるように配置されたトップシートと、前記トップシートよりも幅方向外側に配置されたサイドシートとを有し、
前記サイドシートの幅方向内側には、前記肌面側シートから肌面側に離隔可能に延設された内側延設部を有し、
前記内側延設部に立体ギャザーが設けられている
ことを特徴とする請求項1?10の何れか1項に記載の吸収性物品。」


第3 申立理由の概要
1 申立人は、本件特許は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に規定する要件(以下「サポート要件」という。)及び同項2号に規定する要件(以下「明確性要件」といい、サポート要件とあわせて「記載要件」という。)を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものであると主張する。
2 また、申立人は、下記の刊行物を証拠として提出し、本件特許発明1、7及び11は、特許法29条1項3号の規定に該当し、本件特許1、7及び11は同法29条1項の規定に違反してされたものであるから取り消すべきものであり、本件特許1?11は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから取り消すべきものであると主張する。


甲第1号証:特開2013-208329号公報
甲第2号証:特開2003-135523号公報
甲第3号証:特開2010-115347号公報
甲第4号証:特開2008-119416号公報
甲第5号証:特開2011-250877号公報
甲第6号証:特開2006-122635号公報
以下、甲第1号証?甲第6号証を「甲1」?「甲6」という。

第4 本件特許発明の記載要件違反について
1 本件特許の明細書の記載
本件特許の明細書には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審が付与したものである。以下同じ。)
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、レッグギャザーよりも内側に設けられた吸収体ギャザー(以下、内側ギャザーという)は、吸収体を体に密着させるために有効である。また、液体の排泄物が紙おむつの幅方向の縁部(レッグギャザーの形成された部分)から外部へ漏出する、いわゆる横漏れについても、レッグギャザーと内側ギャザーとで協働して抑制することを期待できる。しかし、このような横漏れの発生の抑制はこれでも十分ではなく、横漏れの発生を抑制するための更なる技術の開発が期待されている。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、レッグギャザーよりも内側に内側ギャザーが設けられた吸収性物品において、横漏れの発生を抑制することができるようにすることを目的の一つとしている。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用及び効果であって、従来の技術では得られない作用及び効果を奏することも、本件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明の吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体を肌面側から覆う肌面側シートと、前記吸収体を非肌面側から覆う非肌面側シートとを有し、着用者の股下に、長手方向が前記股下の前後方向に沿うように装着される吸収性物品であって、前記吸収体は、前記吸収性物品における前記長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、前記両縁部にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第1弾性部材によって形成されたレッグギャザーと、前記レッグギャザーよりも前記幅方向の内側寄りに前記レッグギャザーと間をあけてそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第2弾性部材によって形成された内側ギャザーと、を有し、前記第1弾性部材の方が前記第2弾性部材よりも高い弾性率を有していることを特徴としている。
なお、弾性部材が複数の線状弾性体によって構成される場合は、複数の線状弾性体の弾性率を合成したものが弾性部材の弾性率となる。
【0009】
(2)前記内側ギャザーの前記幅方向の位置は、前記レッグギャザーよりも幅方向内側寄りで且つ前記吸収体の幅方向両縁部付近に対応するように設定されていることが好ましい。
(3)本発明のもう一つの吸収性物品は、吸収体と、前記吸収体を肌面側から覆う肌面側シートと、前記吸収体を非肌面側から覆う非肌面側シートとを有し、着用者の股下に、長手方向が前記股下の前後方向に沿うように装着される吸収性物品であって、前記吸収体は、前記吸収性物品における前記長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、前記両縁部にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第1弾性部材によって形成されたレッグギャザーと、前記長手方向の同位置において前記レッグギャザーよりも前記幅方向の内側寄りで且つ前記吸収体の幅方向両縁部付近であって前記吸収体と重なる位置にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第2弾性部材によって形成された内側ギャザーと、を有し、前記第1弾性部材の方が前記第2弾性部材よりも高い弾性率を有していることを特徴としている。
なお、弾性部材が複数の線状弾性体によって構成される場合は、複数の線状弾性体の弾性率を合成したものが弾性部材の弾性率となる。」
「【0059】
また、図1?図4に示すように、レッグギャザー31の第1弾性部材41は2本の線状弾性体41a,41bが、ズレ止めギャザー32の第2弾性部材42は3本の線状弾性体42a?42cが、立体ギャザー33の第3弾性部材43は2本の線状弾性体43a,43bが、それぞれ設けられるが、各弾性部材41,42,43や各線状弾性体41a,41b,42a?42c,43a,43bは、各ギャザー31,32,33に対する要求に応じた弾性特性のものが適用されている。
【0060】
特に、レッグギャザー31の第1弾性部材41とズレ止めギャザー32の第2弾性部材42との間では、第1弾性部材41の方が第2弾性部材42よりも高い弾性率を有するものが適用されている。つまり、幅方向の内側の弾性部材42よりも幅方向の外側の弾性部材41の方が高い弾性率を有するように構成されている。
言い換えれば、同じ伸び(伸び率)を与えた場合には、幅方向の内側の弾性部材42よりも幅方向の外側の弾性部材41の方が強い弾性力を発揮するように構成されている。
【0061】
なお、ここで言う『弾性率』とは、主として紙おむつ1の長手方向への伸縮に着目した弾性係数あるいは弾性定数であり、以下に示すヤング率Eに相当し、バネ定数kにも対応させることができる。
E=σ/ε
σ:弾性部材の伸張による応力
ε:弾性部材の伸張による歪み
したがって、第1弾性部材41のヤング率(弾性率)をE1、第2弾性部材42のヤング率(弾性率)をE2とすると、E1,E2は次式(1)の関係となる。
E1>E2 ・・・(1)
【0062】
このように、第1弾性部材41の方が第2弾性部材42よりも高い弾性率のものが適用されていると、同じ伸びを与えた場合には、第1弾性部材41の方が第2弾性部材42よりも強い弾性力を発揮する。つまり、レッグギャザー31の方がズレ止めギャザー32よりも強い弾性力で肌面に密着するため、紙おむつ1の装着状態で、レッグギャザー31とズレ止めギャザー32との間の液体は、ズレ止めギャザー32側には移動し易くレッグギャザー31側には漏出し難くなる。」
「【0076】
また、レッグギャザー31を形成する第1弾性部材41の方がズレ止めギャザー(内側ギャザー)32を形成する第2弾性部材42よりも高い弾性率を有しているので、レッグギャザー31とズレ止めギャザー32とが同じように伸びを生じると、第1弾性部材41の方が第2弾性部材42よりも強い弾性力で肌面に密着するため、紙おむつ1の装着状態で、レッグギャザー31とズレ止めギャザー32との間の液体は、ズレ止めギャザー32側には移動し易くレッグギャザー31側には漏出し難くなり、これによって、横漏れが抑制される。」

2 明確性要件違反について
本件特許発明の「弾性率」は、上記1の【0061】の記載をみれば、ヤング率を指すものであることは明らかである。そして、下記3で示したとおり、弾性部材の長さと断面積を定めることで、バネ定数kにも対応させることができることは、当業者であれば当然に理解できるものである。
よって、本件特許発明は、明確性要件を満たしている。

3 サポート要件違反について
本件特許発明の課題は、上記1の【0006】、【0007】の記載から、レッグギャザーよりも内側に内側ギャザーが設けられた吸収性物品において、横漏れの発生を抑制することができるようにすることである。
そして、本件特許発明の課題を解決する手段は、同【0008】、【0009】に記載されているように、吸収性物品において、両縁部にそれぞれ配置され、長手方向に収縮力を発揮する第1弾性部材によって形成されたレッグギャザーと、(前記長手方向の同位置において)前記レッグギャザーよりも幅方向の内側寄りで且つ吸収体の幅方向両縁部付近であって前記吸収体と重なる位置にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第2弾性部材によって形成された内側ギャザーとを有し、前記第1弾性部材の方が前記第2弾性部材よりも高い弾性率を有しているものであり、本件特許発明は本件特許の明細書に記載されたものであるといえる。
ところで、本件特許発明は、同【0062】に記載のとおり、「第1弾性部材41の方が第2弾性部材42よりも高い弾性率のものが適用されていると、同じ伸びを与えた場合には、第1弾性部材41の方が第2弾性部材42よりも強い弾性力を発揮する。つまり、レッグギャザー31の方がズレ止めギャザー32よりも強い弾性力で肌面に密着するため、紙おむつ1の装着状態で、レッグギャザー31とズレ止めギャザー32との間の液体は、ズレ止めギャザー32側には移動し易くレッグギャザー31側には漏出し難くなる。」(同【0076】にも、これと同様の記載がある。)という作用効果を奏するとしている。
弾性部材のバネ定数kは、k=E×S/L(ここで、Eはヤング率、Sは弾性部材の断面積、Lは弾性部材の長さ。)であることから、弾性部材の弾性力(収縮力)は、以下のように表すことができる。
F=k×x=E×S×x/L
(ここで、Fは弾性部材の弾性力(収縮力)、xは弾性部材の伸び。以下「弾性力に関する数式」という。)
そうすると、本件特許発明において上記作用効果を奏するような弾性力(収縮力)を第1弾性部材と第2弾性部材にそれぞれ生じさせるには、第1弾性部材と第2弾性部材の弾性率を踏まえつつ、それらの長さや断面積を工夫すればよいことは、当業者であれば当然に理解できることである。
例えば、本件特許発明において、第1弾性部材と第2弾性部材を長手方向の同位置に配置されたもの、つまり、ほぼ同じ長さ(L)であるとしたときには、【0062】に記載のとおり、同じ伸び(x)を与えた場合に第1弾性部材の弾性力(収縮力)の方が第2弾性部材の弾性力(収縮力)よりも大きくするという作用効果を奏するようにするには、上記弾性力に関する数式から、第1弾性部材と第2弾性部材の断面積を同じであればよいことはすぐに分かる。
以上のとおりであるので、本件特許発明は、本件特許の明細書に記載されたものであり、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであるとはいえない。
よって、本件特許発明は、サポート要件を満たしている。

4 請求人の主張について
(1)明確性要件違反
申立人の主張は、要するに、請求項1?11に記載の「弾性率」は、ヤング率を意味するのか、それともヤング率とは異なる概念のバネ定数を意味するのかということが明確でなく、本件特許発明1?11は明確でないというものである。
しかしながら、請求項1?11に記載の「弾性率」は、上記2のとおり、ヤング率を指すものであり、バネ定数を指すものではないことは明らかである。
よって、申立人の主張は、採用することができない。
(2)サポート要件違反
申立人の主張は、要するに、「前記第1弾性部材の方が第2弾性部材よりも高い弾性率を有している」というだけでは、紙おむつの装着状態でレッグギャザーがズレ止めギャザーよりも強い弾性力で肌面に密着するという課題を解決しうると認識できる程度に記載されたものであるといえないというものである。
しかしながら、本件特許発明は、上記3のとおり、吸収性物品(紙おむつ)において第1弾性部材の方が第2弾性部材よりも高い弾性率を有するとしたものであって、その装着状態で横漏れを抑制するという本件特許発明の課題を解決するには、当該弾性部材の長さや断面積を工夫すればよいことは、上述のとおり、技術常識を踏まえれば明らかである。
よって、申立人の主張は、採用することができない。

4 小括
以上のとおり、本件特許は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の記載が記載要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるということはできない。


第5 刊行物の記載及び引用発明
1 甲1
甲1には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1)明細書
「【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、股下域が密着しすぎることなく着用者の身体に沿い、かつ不必要な隙間を低減できる使い捨ておむつの提供を目的とする。」
「【0018】
吸収体40の表面側(肌当接面側)には、液透過性のトップシート50が備えられる。また、吸収体40の裏面側(非肌当接面側)には、液不透過性のバックシート60aが備えられる。」
「【0023】
吸収体40の表面側(トップシート50側)は、脚回り開口部35の周囲に形成され、製品長手方向Lに伸縮可能な一対のレッグ伸縮部75が備えられる。
【0024】
レッグ伸縮部75は、製品長手方向Lにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも長いと共に、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも外側に備えられている。」
「【0026】
また、レッグ伸縮部75は、伸縮性シート等によって実質的に製品長手方向に収縮する部分であり、収縮力が発揮されない状態で伸縮性シートが配置された部分を除く概念である。」
「【0028】
また、かかる伸縮性シートの代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の弾性部材を、1本又は複数本配置することによってレッグ伸縮部75を構成してもよい。」
「【0030】
レッグ伸縮部75の伸縮率は、1.6?2.4倍であることが好ましい。本実施形態では、レッグ伸縮部75の伸縮率は、2.0倍に設定される。」
「【0033】
着用者の身体の皮膚表面の伸びは、臀部において特に大きく、その幅方向外側寄りの位置にて顕著である。また、レッグ伸縮部75は、着用者の身体に密着している。そこで、D2>D1とすることで、着用者の動きが使い捨ておむつ10に加わった場合でも、臀部側でのレッグ伸縮部75が密着したまま伸びることができ、伸びの変化量が大きくてもレッグ伸縮部75が突っ張ることがない。従って、レッグ伸縮部75による使い捨ておむつ10のズレを抑制し得る。
【0034】
また、一対のレッグ伸縮部75の内側(製品幅方向Wにおける中央寄り)には、製品長手方向Lに沿って延びる一対のレッグサイドギャザー80が備えられる。レッグサイドギャザー80は、サイドフラップの製品幅方向の内側端部に設けられており、レッグ伸縮部よりも製品幅方向内側に配置される起立性の伸縮ギャザーである。サイドフラップは、製品幅方向における内側端部において表面シート側に折り返されており、2層積層されている。この2層のサイドフラップ間に、長手方向に伸長された状態で弾性部材76(図2参照)が設けられている。このサイドフラップ70と弾性部材76とでレッグサイドギャザー80が形成される。
【0035】
レッグサイドギャザー80は、バックシート60aに接合される接合部分81と、接合部分81と反対側に位置し、弾性部材(図1において不図示)が配置された自由端部分82とを有する。レッグサイドギャザー80は、着用時には接合部分81を基端部として立ち上がり、自由端部分82が頂点部として着用者の肌と接触する。
【0036】
なお、バックシート60aは、吸収体40と外装シート60との間に配置されており、防漏シートとして機能する。」
「【0044】
また、クロッチ部200が、製品長手方向Lに沿って伸縮可能であるため、前胴回り域20及び後胴回り域30がクロッチ部200の収縮によって立ち上がり易くなり、着用時には、着用者の股部にて身体に沿って平坦な股下域を形成する。クロッチ伸縮部200aから前胴回り域及び後胴回り域が立ち上がるので、使い捨ておむつ10の着用者へのフィット性が向上する。クロッチ伸縮部200aは、伸縮性シートによって構成されることが好ましい。伸縮性シートによってクロッチ伸縮部200aを構成することにより、伸縮性シート200aを配置した領域の吸収コア40aが一様に縮められ、平坦な形状維持がより容易になる。なお、伸縮性シートは、例えば、レッグ伸縮部75と同様の伸縮性シートによって構成することができる。
【0045】
また、かかる伸縮性シートの代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の弾性部材を、複数本配置することによってクロッチ伸縮部200aを構成してもよい。この場合、クロッチ伸縮部200aによって吸収コア40aを一様に縮めるためには、弾性部材同士の間隔を7mm以下、より好ましくは5mm以下であるとよい。また、吸収コア40aを一様に縮めるために、隣り合う弾性部材の間隔の差は、0.5mm以下であることが望ましい。
【0046】
また、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、具体的には、1.2倍以上、1.8倍以下であることが好ましい。本実施形態では、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、1.4倍に設定される。伸縮率は、クロッチ伸縮部200aの伸縮方向(製品長手方向L)における伸縮の程度を意味し、以下のように規定される
【0047】
伸縮率は、伸縮方向(本実施形態では、製品長手方向L)におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮の程度を意味し、以下のように規定される。
伸縮率=(最大伸張状態におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮方向における長さ)/(自然状態におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮方向における長さ)
なお、本明細書において、かかる伸縮率は、例えば、次のように測定されるものとする。
【0048】
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置し、伸縮方向に沿ってクロッチ伸縮部の長さを測定する。この長さを、『自然状態におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮方向における長さ』とする。
【0049】
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が目視にて確認できない状態まで延伸した時の所望領域の伸縮方向における長さを測定する。この長さを、『最大伸張状態におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮方向における長さ』とする。」
「【0053】
一方、クロッチ伸縮部200aの伸縮率を1.8倍よりも大きくすると、クロッチ伸縮部200aの収縮方向における収縮寸法が大きくなり過ぎるため、クロッチ伸縮部200aが存在する領域が、身体に沿うよりも密着する状態となり易く、使い捨ておむつ10が、着用者の下方にズレ易くなってしまう。」
「【0073】
第1領域41と第2領域42との境界は、吸収体40の曲げ剛性が異なる部分であり、吸収体が曲がり易い変曲部となる。よって、吸収体を変形させる外力が掛けられた際に、第1領域41と第2領域42との境界を基点に変形し易くなる。
【0074】
上述のように、股下域25は、少なくとも製品長手方向に収縮するクロッチ伸縮部200aによって着用者側に引き上げられる。よって、着用者に近い位置にクロッチ部200が配置される。したがって、吸収体40は、外部からの重みや負荷が掛かった場合でも、身体に近い位置に沿って配置され易くなる。
【0075】
また、クロッチ伸縮部200aは、少なくとも製品長手方向に収縮しており、周囲の収縮しない部分と比較して曲げ剛性が高くなる。よって、クロッチ伸縮部200aとその周囲との境界は、剛性差によって変曲点となる。したがって、クロッチ伸縮部200aの長手方向両端部に変曲点が設けられ、クロッチ伸縮部が底部となるように変形する。
【0076】
股下域25に位置するクロッチ伸縮部200aが底部を構成し、着用者の股下に対向して配置できる。更に、クロッチ伸縮部よりも前胴回り域側及び後胴回り域側は、クロッチ伸縮部よりも曲げ剛性が低く、着用者の腹側及び背側に沿って配置できる。
【0077】
また、吸収体40には、曲げ剛性の異なる第1領域と第2領域とが設けられている。第1領域41は、クロッチ伸縮部200aから製品長手方向外側(前胴回り域側又は後胴回り域側)に配置されており、第1領域41よりも製品長手方向外側に第2領域42が配置されている。第1領域41と第2領域42との境界は、クロッチ伸縮部の製品長手方向端部よりも製品長手方向外側にずれて配置されている。
【0078】
クロッチ伸縮部200aと第1領域41及び第2領域42との組み合わせにより、剛性差が生じる変曲点を複数設け、段階的に吸収体を変形させて、滑らかに変曲させることができる。例えば、クロッチ伸縮部が設けられている第1領域の曲げ剛性は、クロッチ伸縮部が設けられていない第1領域の曲げ剛性よりも高く、このクロッチ伸縮部が設けられていない第1領域の曲げ剛性は、第2領域の曲げ剛性よりも高い。」
「【0086】
(4)作用・効果
吸収体40に、比較的曲げ剛性の高い第1領域と比較的曲げ剛性の低い第2領域とが設けられており、第1領域41は、クロッチ伸縮部200aから製品長手方向外側(前胴回り域側又は後胴回り域側)に配置されているため、クロッチ伸縮部200aと第1領域41及び第2領域42との組み合わせにより、剛性差が生じる変曲点を複数設け、段階的に吸収体を変形させて、滑らかに変曲させることができる。少なくとも3段階の曲げ剛性の異なる領域を形成し、より身体に沿って使い捨ておむつを配置することが可能となり、着用者と使い捨ておむつとの不必要な隙間を低減できる。
【0087】
また、使い捨ておむつ10の圧搾部は、間欠的に第1領域全域に亘って、複数形成されている。よって、第1領域全体の曲げ剛性をほぼ均等に高くすることができる。更に、第1領域には、複数の圧搾部が間欠的に配置されているため、第1領域には、圧搾された部分と圧搾されていない部分とが混在する。圧搾されていない部分は、圧搾された部分よりも曲げ剛性が低く、柔軟に変形できるため、第1領域41の剛性を高めつつ、丸みのある体のラインに沿って配置できる。
【0088】
また、吸収体に低剛性部としての切欠き115、125が設けられているため、低剛性部が変曲点となり、吸収体が変形し易くなる。また、低剛性部は、クロッチ伸縮部よりも製品長手方向外側に延出している。よって、クロッチ伸縮部によって底部を形成した状態で、クロッチ伸縮部よりも製品長手方向外側の前胴回り域及び後胴回り域を着用者側に立ち上げ易くなる。したがって、より着用者の身体に沿って吸収体を配置し易くなる。
【0089】
更に、第1領域51に低剛性部としての切欠き115、125を設けている。例えば、切欠き及びクロッチ伸縮部200aとの組み合わせによって、吸収体40が体の丸みに沿うような変形を前胴回り域のみ、後胴回り域のみ、若しくは前胴回り域と後胴回り域の両方に形成できる。
【0090】
また、切欠き115,125は、吸収コアが存在しない、又は吸収コアの目付が低いため、切欠き115,125の周囲は、吸収体40が崩れ易く、吸収体の形状を維持し難い。しかし、切欠き115,125を第1領域に設けることにより、切欠き115,125周囲の剛性を高め、吸収体40の形状が維持し易くなる。
【0091】
また、クロッチ伸縮部に第1領域と第3領域とが設けられているため、クロッチ伸縮部に更に変曲点が形成され、吸収体がより身体に沿って配置され易くなる。クロッチ伸縮部の製品長手方向中央は、着用者の排泄口に近くなるように配置され、両脚によって挟まれ易い部分である。クロッチ伸縮部200aの製品長手方向の略中央に第3領域43を配置することにより、脚によって挟まれた際の抵抗を低減することができる。更に、比較的曲げ剛性の低い第3領域43が脚によって挟まれるため、肌への刺激を抑制でき、かつクロッチ伸縮部200aが形成する底部をより体に適した形に形成することができる。」
(2)図面
ア 図1



イ 図2



(3)上記(1)及び(2)からみて、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
「吸収体40と、吸収体40を肌面側から覆うトップシート50と、吸収体40を非肌面側から覆うバックシート60aとを有し、着用者の股下に、長手方向が股下の前後方向に沿うように装着される使い捨ておむつ10であって、
吸収体40は、使い捨ておむつ10における長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、
両縁部にそれぞれ配置され、長手方向に伸縮する伸縮性シートによって形成されたレッグ伸縮部75と、
レッグ伸縮部75よりも幅方向の内側よりにレッグ伸縮部75と間をあけてそれぞれ配置され、長手方向に伸縮する伸縮性シートによって形成されたクロッチ伸縮部200aと、を有し、
レッグ伸縮部75の伸縮性シートの方がクロッチ伸縮部200aの伸縮性シートよりも高い伸縮率を有している使い捨ておむつ10。」

2 甲2
甲2には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1)明細書
「【0015】更に本発明は、上記使い捨ておむつが、吸収体3の両側に、起立先端に弾性材7、8を設置した立体ギャザーを配置して成り、該立体ギャザーの弾性材7、8の伸縮率が、上記吸収体3の弾性材4より大い伸縮率を有している吸収性物品を含む使い捨ておむつである。上記によれば、吸収体3の両側に、起立先端に弾性材7、8を設置した立体ギャザーを配置した使い捨ておむつを人体の背中から股間を通して腹部に至る方向に通して人体に装着すると、肌側に対応する立体ギャザーの起立先端が吸収体3の弾性材4より大い伸縮率により肌に対し強く押し付けられる。従って、装着時における吸収体3両側に配置される立体ギャザーの起立先端の弾性材4が、内側の吸収体3の弾力より強く肌に対し押し付けるため、排尿、排便並びに体液の排出等がなされた場合に、これらが吸収体3に吸収されて重量が増加しても、弾性材4の大い伸縮率によって漏洩を防止することができる。」
「【0028】次に、図9は図1?図8(A)のA-A断面図であり、複数の弾性材の各種配置形態が示されている。すなわち、弾性材としての複数の糸ゴム4は、第1実施形態に係る各吸収性物品の吸収体3に対し、その縦方向の中心線から両側端に従って伸縮率が高くなるよう設定した状態で装着することにより、これら糸ゴム4の弾力作用で断面が円弧状に湾曲した形状に形成され、各吸収性物品を人体に装着した際に吸収体3の内側より外側端部が肌に対し強く押し付けるようになっている。
【0029】先ず、図9の(A)に示す糸ゴム4は、装着時に肌側に位置する不織布から成る液透過性の内側表面シート1を2重構造に構成し、これら内側表面シート1、1の内部にその縦方向の中心線から両側端に従って伸縮率が高くなるよう設定した状態で装着されている。
【0030】また、図9の(B)に示す糸ゴム4は、吸収体3の内側と内側表面シート1の内部にその縦方向の中心線から両側端に従って伸縮率が高くなるよう設定した状態で装着されている。
【0031】図9の(C)に示す糸ゴム4は、吸収体3の内部に、この縦方向の中心線から両側端に従って伸縮率が高くなるよう設定した状態で装着されている。
【0032】更に、図9の(D)に示す糸ゴム4は、吸収体3の外側と液不透過性のバックシート2の内部にその縦方向の中心線から両側端に従って伸縮率が高くなるよう設定した状態で装着されている。
【0033】また、図9の(E)に示す糸ゴム4は、装着時に肌側とは反対側に位置するポリエチレンから成る液不透過性のバックシート2に不織布NWを重ねた構造に構成し、これらバックシート2と不織布NWの間にその縦方向の中心線から両側端に従って伸縮率が高くなるよう設定した状態で装着されている。
【0034】このように複数の糸ゴム4を、吸収体3に対し中心線から両側端に従って伸縮率が高くなるよう設定し、各種配置により装着することで、上記の各吸収性物品を、人体の背中から股間を通して腹部に至る方向に通して人体に装着すると、肌側に対応する液透過性の内側表面シート1とその外側表面に対応する液不透過性のバックシート2の間に配置される吸収体3が、複数の糸ゴム4の伸縮率の差によって肌側に対し外側が強く内側が弱く押し付けられて、内部に間隙を有する断面が略円弧状に形成されることから、排尿、排便並びに体液の排出等がなされた場合に、これらが吸収体3に吸収されて重量が増加しても、複数の糸ゴム4の弾力差によって漏洩を防止することができる。
【0035】次に、本発明の第2実施形態に付き図10?13を参照して説明する。図10の(A)は本発明の第2実施形態に係り、止着材を介してウェストベルトホルダに吸収性物品を装着したパット型使い捨ておむつの側面断面図、(B)は吸収性物品の展開平面図、図11の(A)は本発明の第2実施形態に係るパット型使い捨ておむつとしての吸収性物品を止着したテープ型使い捨ておむつの平面図、(B)は(A)のC-C断面図であり、図12は本発明の第2実施形態に係る衛生ナプキンを止着したパンツ型使い捨ておむつの側面断面図である。」
「【0045】図13に示す10Eは、内羽根型使い捨ておむつを示し、この内羽根型使い捨ておむつ10Eは、上端部位に腹部に回して止着すべく一端にファスナF1を設けた横長の止着部を形成し、この止着部の両端から下方に向けて連続的に湾曲して幅狭に形成される延設方向に、矩形状の吸収体3が液透過性の内側表面シート1と液不透過性のバックシート2との間に配置され、バックシート2には、吸収体3を縦方向に横切るように、糸ゴム4が上端部位から下端部位に向けて装着され、下端部位の両側にはファスナF2が上下に設けられている。
【0046】吸収体3両側の平行な幅狭のレッグ部には、弾性材である複数の糸ゴム8がバックシート2に装着されると共に、吸収体3の両側にはバリアカフス6が起立し、このバリアカフス6の先端に弾性体としての糸ゴム7が装着されて立体ギャザーを形成することによって吸収性物品を含む内羽根型使い捨ておむつを構成している。
【0047】従って、上記の吸収性物品を含む内羽根型使い捨ておむつによれば、吸収体3の両側に、起立先端に弾性材を設置した立体ギャザーを配置した使い捨ておむつを人体の背中から股間を通して腹部に至る方向に通して人体に装着すると、肌側に対応する立体ギャザー起立先端が吸収体3の糸ゴム4より大い伸縮率により肌に対し強く押し付けられるので、装着時における吸収体3両側に配置される立体ギャザーの起立先端の糸ゴム4が、内側の吸収体3の弾力より強く肌に対し押し付けるため、排尿、排便並びに体液の排出等がなされた場合に、これらが吸収体3に吸収されて重量が増加しても、糸ゴム4の弾力によって漏洩を防止することができる。」
「【0050】また、図15に示す10Cは内羽根式使い捨ておむつを示し、この内羽根式使い捨ておむつ10Cは、上端部位に腹部に回して止着すべく一端にファスナFを設けた横長の止着部を形成し、この止着部の両端から下方に向けて連続的に湾曲して幅狭に形成される延設方向に、矩形状の吸収体3が液透過性の内側表面シート1と液不透過性のバックシート2との間に配置され、バックシート2には、吸収体3を縦方向に横切るように、その縦方向中心線に対し糸ゴム4が下端部位から上端部位に向けて45°≧θ≧0°の傾斜で開く方向に対称に装着されている。
【0051】そして、吸収体3両側の平行な幅狭のレッグ部には、複数の糸ゴム8がバックシート2に装着されており、これら糸ゴム8は糸ゴム4より大きい弾性収縮率を有する吸収性物品を含む内羽根式使い捨ておむつが構成される。」
「【0075】弾性材44の伸縮率を調整するには図28、図29に示す弾性材ロール51及び51、51′の表面速度差によって行われる。即ち、弾性材ロール51、51′の表面速度が弾性材44の伸縮率となる。
【0076】図28に示す弾性ロール51は、吸収体3の中央部より外側端部に向けてロール径が大径となるように複数の段付き部を設けた段付きロールとして構成され、サーボモータ67により駆動される駆動軸50Bの両端に配置されており、サーボモータ66により駆動される平行ローラ50Aとの間でそれぞれ巻回される糸ゴム4を延伸することで、同軸上で伸縮率を変えることができるようになっている。
【0077】次に、図19に示す弾性ロール51は、段付きロールを2つに分割したもので、サーボモータ67、68により駆動される2軸50C、50Dに分割配置され、サーボモータ66により駆動される平行ローラ50Aとの間でそれぞれ巻回される糸ゴム4を延伸することで、同軸上で伸縮率を変えることができるようになっている。
【0078】すなわち、吸収シート63の下面に供給されるバックシート43に対し、吸収シート63の両側部に隣接配置すべく弾性材44を挟むように結合材を付与した不織布シート45を上記弾性材44と共に供給し、この弾性材44を、幅方向に対し中心側より外側の伸縮率が順次大きくなる張力が付与された状態で供給し、これを上記吸収シート63と不織布シート45との間に挟着する。
【0079】このようにすることで、吸収性物品を連続形成する過程で、弾性材44を幅方向に対し中心側より外側の伸縮率が順次大きくなる張力が付与された状態で連続的に供給しつつ上記吸収シート63と不織布シート45との間に挟着することで、幅方向に対し中心側より外側の伸縮率が順次大きくなるよう、湾曲した略円弧状の吸収性物品を連続的に、効率良く量産することができる。」
(2)図面
ア 図4



イ 図9



ウ 図13



エ 図19



オ 図20



カ 図28



キ 図29



(3)上記(1)及び(2)からみて、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
「 吸収体3と、吸収体3を肌面側から覆う内側表面シート1と、吸収体3を非肌面側から覆うバックシート2とを有し、着用者の股下に、長手方向が股下の前後方向に沿うように装着される内羽根型使い捨ておむつ10Eであって、
吸収体3は、内羽根型使い捨ておむつ10Eにおける長手方向と直交する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、
両縁部にそれぞれ配置され、長手方向に収縮力を発揮するレッグ部に装着された糸ゴム8と、
糸ゴム8よりも幅方向の内側よりに糸ゴム8と間をあけてそれぞれ配置され、長手方向に収縮力を発揮する、吸収体3を縦に横切るようにバックシート2に装着された糸ゴム4と、を有し、
糸ゴム8の方が糸ゴム4よりも大きい弾性収縮率を有している
内羽根型使い捨ておむつ10E。」

3 甲3
甲3には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1)明細書
「【0027】
[1]本発明の吸収性物品の特徴部分の構成:
本発明の吸収性物品は、図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、長尺帯状の弾性体15が、バックシート20の吸収体22に接する面又はその反対側の面のいずれか一方の面の長手方向に沿って、吸収体22の長手方向の両側縁よりも内側に相当する部分に、左右対称に伸張状態にて配置されている点に特徴がある。このような構成とすることによって、装着時に、吸収体22の弾性体15に挟まれた部分が下側に膨出し、着用者の股下に空間が形成され、トップシート18及び吸収体22と肌との密着を避けることが可能となる。」
「【0029】
また、本発明の吸収性物品は、図3に示すように、弾性体15が、バックシート20のいずれか一方の面の、吸収体22を長手方向に平行に三等分したうちの中央領域100を除く左右端縁領域101(101a,101b)に相当する部分に配置されていることが好ましい。」
「【0031】
[1-1]弾性体:
本発明の吸収性物品は、バックシートの吸収体に接する面(バックシート上面)又はその反対側の面(バックシート下面)のいずれか一方の面の長手方向に沿って、長尺帯状の弾性体が、吸収体の長手方向の両側縁よりも内側に相当する部分に、左右対称に伸張状態にて配置されている。このような構成とすることにより、装着の際に、あらかじめ伸張状態にて配置された弾性体が吸収性物品の前後方向に収縮する力を及ぼすため、吸収体を中心とする吸収性物品の股下部において、左右の弾性体に挟まれた部分が、その収縮力によって下方向へ膨らみを形成するようになる。
【0032】
弾性体は、バックシートのいずれか一方の面の長手方向に沿って、左右対称に配置されることが好ましく、配置本数に特に制限はないが、左右に1本ずつ配置されるほか、吸収体を締め付けすぎることなく適度な収縮力を及ばせることが可能な範囲において、左右に複数本ずつ配置されてもよい。
【0033】
また、弾性体は、バックシートのいずれか一方の面の、吸収体を長手方向に平行に三等分したうちの中央領域を除く左右端縁領域に相当する部分に配置されることが好ましい。このように、左右の弾性体が吸収体の中央部分を挟むような位置に弾性体を配置することによって、吸収体の中央部分が自然に下方向へ膨出するため、着用者の肌と排泄物の接触を効果的に防止することが可能となる。
【0034】
弾性体の性質については、吸収体の収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の引張力、固定時の伸長率等を決定すればよい。
【0035】
弾性体の材料としては、従来の吸収性物品に使用されてきた材料を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
【0036】
弾性体は、十分な伸縮力を作用させるため、伸張状態にてバックシートへ配置されることが好ましい。例えば、弾性体が天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴムの弾性糸からなる糸ゴムである場合には、150?400%の伸張率で配置されることが好ましく、200?300%の伸張率で配置されることがより好ましい。このような範囲の伸張状態で配置されることにより、着用者の身体に対して過度の締め付け力を及ぼすことなく、吸収体に対して十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
【0037】
上記のような弾性体は、バックシートに対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。また、図2A及び図2Bに示す吸収性物品1Bのように、バックシート20の外表面側にカバーシート24を設ける場合には、バックシート20とカバーシート24の間に弾性体15を挟んで同時に接着することもできる。」
「【0064】
立体ギャザー伸縮材としては、従来の吸収性物品で使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
【0065】
立体ギャザーの種類としては、(1)吸収性物品の内側に向かって傾倒する内倒しギャザー、(2)吸収性物品の外側に向かって傾倒する外倒しギャザー、(3)高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)等を挙げることができる。これらの中では、防漏性が高い点において内倒しギャザーが特に好ましい。
【0066】
尚、「吸収体の長手方向の両側縁に沿って」とは、概ね吸収体の長手方向の両側縁と同方向に立体ギャザーが付設されていることを意味する。但し、吸収体の側縁は、脚周り開口部に沿って曲線的に形成される場合もあり、直線的に形成されているとは限らない。従って、立体ギャザーは、必ずしも吸収体の側縁に接するように付設されている必要はなく、吸収体の側縁と同一の軌跡を描くように付設されている必要もない。通常は、吸収体の形状に拘らず、直線的に立体ギャザーを配置することが多い。
【0067】
[2-5]各種伸縮材:
吸収性物品においては、漏れ防止やフィット性向上を目的として、各種伸縮材が配置される。本発明の吸収性物品は、例えばテープ型使い捨ておむつの場合であれば、図2A,図2Bに示す吸収性物品1Bのように、脚周り伸縮材40及びウエスト周り伸縮材42が配置されていることが好ましい。一方、パンツ型使い捨ておむつの場合には、図1A?Cに示す吸収性物品1Aのように、これらに加えて更に腹周り伸縮材44が配置されていることが好ましい。
【0068】
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの排泄液の横漏れを効果的に防止することができる。
【0069】
脚周り伸縮材40は、パンツ型使い捨ておむつの場合であれば、図1Aに示すように、脚周り開口部12(12a,12b)の軌跡に沿って曲線的に配置する構成等を採用することができ、一方、テープ型使い捨ておむつの場合には、図2Aに示すように、脚周り開口部12(12a,12b)に内接するように直線的に配置する構成等を採用することができる。
【0070】
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト周り開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの排泄液の漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。」

(2)図面
ア 図1A



イ 図1B



ウ 図1C



エ 図2A



オ 図2B



カ 図3




4 甲4
甲4には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1)明細書
「【0035】
さらに、おむつ本体2の股下フラップ部13に位置する裏面シート4の不透液性シート17と表面シート3の疎水性シート16との間には、このおむつ本体2の長手方向Aに沿って複数、例えば2本の第1股下回り弾性体31が直線状に配設されている。このため、これら股下フラップ部13のうち第1股下回り弾性体31が配設された領域に、第1レッグギャザーとなる第1股下回り弾性領域32が形成される。また、これら第1股下回り弾性体31は、おむつ本体2の凹弧状縁11の長手方向Aの両端部間に亘って直線的に配設されているとともに、おむつ本体2の幅方向Bに向けて離間されて平行に配設されている。さらに、これら第1股下回り弾性体31は、おむつ本体2の長手方向Aの中央部に配設されており、これら第1股下回り弾性体31の長手方向Aの両端部が、吸収体5の凹弧状縁12の両端部において、この吸収体5に重なる位置までに亘って設けられている。」
「【0037】
また、このおむつ本体2の股下回り部7の裏面シート4の不透液性シート17と不織布シート18との間には、このおむつ本体2の長手方向Aに沿って複数、例えば3本の第2股下回り弾性体33が直線状に配設されている。そして、これら第2股下回り弾性体33は、おむつ本体2の疎水性シート16の基端部22よりも幅方向Bの内側であって、このおむつ本体2の股下回り部7に位置している吸収体5の幅方向Bの両側部である凹弧状縁12に重なる位置に配設されている。よって、これら第2股下回り弾性体33は、おむつ本体2の股下回り部7において、第1股下回り弾性体31よりも幅方向Bの内側に配設されている。さらに、これら第2股下回り弾性体33は、おむつ本体2の長手方向Aの中央部に配設されており、第1股下回り弾性体31の長さよりも短い長さに形成されている。」
「【0047】
次いで、このおむつ本体2の背側腰回り部6の幅方向Bの両側部に取り付けられているテープファスナ42を、このおむつ本体2の腹側腰回り部8に取り付けられているループファスナ41上に係脱可能に係合させて、このおむつ本体2を身体に装着する。
【0048】
このとき、このおむつ本体2の各股下フラップ部13に取り付けられている疎水性シート16の自由縁部24の弾性部材25の弾性力によって、これら弾性部材25が長手方向に縮んで、これら疎水性シート16の延出部23が股下フラップ部13から内側に向けて起立してフラップとなって装着者の股下回り部に接触し、この表面シート3の透液性シート15の幅方向Bの両側部からの尿などの漏れを防止する。
【0049】
また、このおむつ本体2の各股下フラップ部13に取り付けた第1股下回り弾性体31の弾性力によって、これら第1股下回り弾性体31が長手方向Aに縮んで、これら股下フラップ部13の外側縁部に位置している第1股下回り弾性領域32が第1レッグギャザーとなって、疎水性シート16の延出部23が接触する位置よりも外側の装着者の股下回り部に接触し、この疎水性シート16の幅方向Bの両側部からの尿などの漏れを防止する。
【0050】
さらに、このおむつ本体2の吸収体5の股下回り部7の幅方向Bの両側部に取り付けた第2股下回り弾性体33の弾性力によって、これら第2股下回り弾性体33が長手方向Aに縮んで、この吸収体5の幅方向Bの両側部に位置している第2股下回り弾性領域34が第2レッグギャザーとなって、疎水性シート16の延出部23が接触する位置よりも内側の装着者の股下回り部に接触し、この吸収体5の幅方向Bの両側部からの尿などの漏れを防止する。」
「【0076】
さらに、図11に示す第8の実施の形態のように、吸収体5の幅方向Bの両側部に重なる位置の長手方向Aの全体に連続して配設させた第2股下回り弾性体33および第3股下回り弾性体44を、この吸収体5の両側部に重なる位置からおむつ本体2の背側腰回り部6、股下回り部7および腹側腰回り部8の疎水性シート16上までに亘って延在させて平行に離間させて並設させることもできる。
【0077】
このとき、第2股下回り弾性体33あるいは、この第2股下回り弾性体33および第3股下回り弾性体44は、第1股下回り弾性体31の引っ張り張力より大きな引っ張り強度となるように配設されている。そして、これら第1股下回り弾性体31、第2股下回り弾性体33および第3股下回り弾性体44の引っ張り強度は、素材を変更したり、同一の素材を使用して太さや厚さの規格を変更したり、同一の素材で同一の規格のものの取り付けるときの伸ばし率、すなわち延伸倍率を変更したりして調整されている。
【0078】
この結果、第2股下回り弾性体33あるいは、この第2股下回り弾性体33および第3股下回り弾性体44の引っ張り張力を、第1股下回り弾性体31の引っ張り張力より大きくすることにより、使い捨ておむつ1の装着時に、第1股下回り弾性領域32が装着者の股下回り部を締付けすぎず、第2股下回り弾性領域34あるいは第3股下回り弾性領域45が装着者の鼠径部および臀部の肌に密着して漏れを防止するから、これら股下回り部、鼠径部および臀部からの尿などの漏れを防止できるとともに、この使い捨ておむつ1の装着感を向上できる。
【0079】
なお、吸収体5の幅方向Bの両側縁をより装着者に密着させる観点から、第2股下回り弾性領域34あるいは、この第2股下回り弾性領域34および第3股下回り弾性領域45は、第1股下回り弾性領域32よりも幅方向Bの幅寸法、すなわち幅方向Bの面積が大きくすることが好ましい。具体的には、第2股下回り弾性体33あるいは、この第2股下回り弾性体33および第3股下回り弾性体44を第1股下回り弾性体31の配設間隔よりも幅広な配設間隔としたり、これら第2股下回り弾性体33あるいは、この第2股下回り弾性体33および第3股下回り弾性体44の配設本数を増やしたりして構成する。
【0080】
ここで、第3股下回り弾性体44の少なくとも一部をおむつ本体2の表面シート3の疎水性シート16の基端部22に交差させて配設させることにより、これら第3股下回り弾性体44による影響をほとんど受けずに、この疎水性シート16の延出部23を装着時に起立させることができる。さらに、この疎水性シート16の延出部23を装着時に起立しやすくするためには、この疎水性シート16の自由縁部24の長手方向Aの収縮率を、第1股下回り弾性領域32、第2股下回り弾性領域34および第3股下回り弾性領域45それぞれの長手方向Aの収縮率よりも大きくすることが好ましい。
【0081】
さらに、図12に示す第9の実施の形態のように、吸収体5の幅方向Bの両側部に長手方向Aに沿って切り欠かれた断面凹状の溝部47を形成した構成とすることもできる。この溝部47は、第2股下回り弾性体33よりも幅方向Bの内側に位置しており、この第2股下回り弾性体33の長手方向Aの長さよりも短い長さに形成されている。また、この溝部47は、吸収体5の第2股下回り弾性体33が配設されている第2股下回り弾性領域34よりも幅方向Bの内側に設けられており、この吸収体5の幅方向Bの両側部を長手方向Aに切り欠いて形成されている。さらに、この溝部47上には、表面シート3の透液性シート15が積層されており、この透液性シート15は、溝部47内において裏面シート4の不透液性シート17上に接着されて固定されている。」

(2)図面
ア 図1



イ 図3



ウ 図11



エ 図12




5 甲5
甲5には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1)明細書
「【0122】
(側縁部弾性伸縮部材)
吸収体56の側縁部に吸収材59があっても横漏れ防止には殆ど寄与せず、吸収膨張した後には脚周りにもたついた装着感をもたらすため好ましくない。そこで、図2、図3、図9、図10、図2
7、図29に示すように、吸収体56の幅方向両側縁部又はその側方に、細長状の側縁部弾性伸縮部材85を前後方向に沿って伸長状態でホットメルト接着剤等により固定するのも好ましい。この側縁部弾性伸縮部材85が設けられていると、図27及び図29に示すように、吸収体56の側縁部が幅方向中央側の部分に対して表面側に坂状に持ち上げられるため、セル56C内に封入された吸収材59は、坂状部分により側縁部寄りに移動し難くなり、吸収体56の側縁部への偏りは防止される。しかも、この坂状部分により排泄物の側方への移動も抑制されるため、横漏れ防止効果もより一層のものとなる。」
「【0127】
側縁部弾性伸縮部材85としては、糸状、帯状等の天然又は合成ゴムを用いることができる。側縁部弾性伸縮部材85の太さは、合成糸ゴムを用いる場合は310?1240dtexが好ましく、470?940dtexがより好ましい。天然ゴムの場合はこれと同等の太さするのが好ましい。側縁部弾性伸縮部材85の固定時の伸長率は、200?350%が好ましく、220?280%がより好ましい。側縁部弾性伸縮部材85の太さ及び伸長率は、いずれか一方又は両方を、分割用弾性伸縮部材80と同じにする他、分割用弾性伸縮部材80と異ならしめる(例えば、分割用弾性伸縮部材80よりも太くする、及び/又は伸長率を高くする)こともでき、分割用弾性伸縮部材80よりも太くするのが好ましく、分割用弾性伸縮部材80よりも伸長率を高くするのが好ましい。」

(2)図面
ア 図2



イ 図3



ウ 図9



エ 図27



オ 図29




6 甲6
甲6には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(1)明細書
「【0035】
また、弾性伸縮部材5は直線状に設けることもできるが、図示形態のように前後方向中間部では弾性伸縮部材5を括れ部分4Uの側縁に沿って曲線状に設けると、直線状に設けられている場合と比べて幅方向に作用する収縮力が増加する結果、両側部がより高く反り上がることになり、より深いポケット部が形成されるようになる。
【0036】
さらに、図示形態のように、弾性伸縮部材5を各側部に複数列設ける場合、各側部の弾性伸縮部材5のうち幅方向外側の弾性伸縮部材5の伸縮力を幅方向内側のそれ以下となるようにテンションを設定することもできるが、反対に幅方向外側の弾性伸縮部材5の伸縮力を幅方向内側のそれよりも大きくした方が製品の反りが円滑になり、フィット性も高くなるため好ましい。また、図示形態のように、吸収体4が反り上がり部分(起立部分)まで延在していると、ポケット部の内周側面においても吸収がなされるため、漏れ防止効果が高くなる。」

(2)図面(図1)





第6 対比・判断
1 本件特許発明1
(1)甲1発明を主引用発明とする場合
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「吸収体40」は、その機能や構造からみて、前者の「吸収体」に相当し、以下同様に、「トップシート50」は「肌面側シート」に、「バックシート60a」は「非肌面側シート」に、「使い捨ておむつ10」は「吸収性物品」に、「伸縮する」は「収縮力を発揮する」に、「伸縮性シート」は「第1弾性部材」に、「伸縮性シート」は「第2弾性部材」に、それぞれ相当する。
本件特許発明1の「レッグギャザー」と甲1発明の「レッグ伸縮部75」とは、レッグ部の収縮部である点で共通する。
本件特許発明1の「内側ギャザー」と甲1発明の「クロッチ伸縮部200a」とは、内側の収縮部である点で共通する。
してみると、本件特許発明1と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「吸収体と、前記吸収体を肌面側から覆う肌面側シートと、前記吸収体を非肌面側から覆う非肌面側シートとを有し、着用者の股下に、長手方向が前記股下の前後方向に沿うように装着される吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収性物品における前記長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、
前記両縁部にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第1弾性部材によって形成されたレッグ部の収縮部と、
前記レッグギャザーよりも前記幅方向の内側寄りに前記レッグギャザーと間をあけてそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第2弾性部材によって形成された内側の収縮部と、を有している、
吸収性物品。」
<相違点1>
レッグ部の収縮部について、本件特許発明1では、レッグギャザーであるのに対して、甲1発明では、レッグ伸縮部75である点。
<相違点2>
内側の収縮部について、本件特許発明1では、内側ギャザーであるのに対して、甲1発明では、クロッチ伸縮部200aである点。
<相違点3>
第1弾性部材と第2弾性部材について、本件特許発明1では、前者の方が後者よりも高い弾性率を有しているのに対して、甲1発明では、前者の方が後者よりも高い伸縮率を有している点。
イ 判断
事案に鑑み、まず相違点3について検討する。
本件特許発明の弾性率は、上記第4の1の【0061】に記載されたとおり、ヤング率を指すものであり、材料(素材)に固有のものである。すると、上記相違点3に係る本件特許発明1は、第1弾性部材と第2弾性部材とは、それぞれヤング率の異なる材料(素材)であるといえる。
一方、甲1発明の第1弾性部材と第2弾性部材の伸縮率はそれぞれ異なるものとはいえ、同じ伸縮性シートで形成されている。
してみると、相違点3に係る本件特許発明1の構成は実質的な相違点であり、本件特許発明1は甲1発明であるとはいえない。
また、甲2?6には、吸収性物品(紙おむつ)において、レッグ部に形成された弾性部材と、それよりも内側に配置され吸収体に形成された弾性部材と有するものが記載されているが、これら弾性部材の材料(素材)のヤング率がそれぞれ異なるものであることについては、甲2?6のいずれにも記載も示唆もされていない。
してみると、甲1発明に甲2?6に記載の技術を適用しても、相違点3に係る本件特許発明1の構成とはならない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2?6に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)甲2発明を主引用発明とする場合
ア 対比
本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、後者の「吸収体3」は、その機能及び構造からみて、前者の「吸収体」に相当し、以下同様に、「内側表面シート1」は「肌面側シート」に、「バックシート」は「非肌面側シート」に、「内羽根型使い捨ておむつ10E」は「吸収性物品」に、それぞれ相当する。
本件特許発明1の「第1弾性部材によって形成されたレッグギャザー」と甲2発明の「レッグ部に装着された糸ゴム8」とは、レッグ部に配置されたある弾性部材である点で共通する。
本件特許発明1の「第2弾性部材によって形成された内側ギャザー」と「吸収体3を縦に横切るようにバックシート2に装着された糸ゴム4」とは、レッグ部よりも内側よりに配置されたもう一つの弾性部材である点で共通する。
してみると、本件特許発明1と甲2発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「吸収体と、前記吸収体を肌面側から覆う肌面側シートと、前記吸収体を非肌面側から覆う非肌面側シートとを有し、着用者の股下に、長手方向が前記股下の前後方向に沿うように装着される吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収性物品における前記長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、
前記両縁部にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮するレッグ部に配置されたある弾性部材と、
前記レッグギャザーよりも前記幅方向の内側寄りに前記レッグギャザーと間をあけてそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮するレッグ部よりも内側よりに配置されたもう一つの弾性部材と、を有している、
吸収性物品。」
<相違点4>
ある弾性部材について、本件特許発明1では、第1弾性部材によって形成されたレッグギャザーであるのに対して、甲2発明では、レッグ部に装着された糸ゴム8である点。
<相違点5>
もう一つの弾性部材について、本件特許発明1では、第2弾性部材によって形成された内側ギャザーであるのに対して、甲2発明では、吸収体3を縦に横切るようにバックシート2に装着された糸ゴム4である点。
<相違点6>
ある弾性部材ともう一つの弾性部材について、本件特許発明1では、前記第1弾性部材の方が前記第2弾性部材よりも高い弾性率を有しているのに対して、甲2発明では、糸ゴム8の方が糸ゴム4よりも大きい弾性収縮率を有している点。
イ 判断
事案に鑑み、まず相違点6について検討するに、相違点6は相違点3と同じである。
そうすると、上記(1)のとおり、相違点6に係る本件特許発明1の構成は実質的な相違点であり、本件特許発明1は甲2発明であるとはいえないし、甲2発明に甲1、3?6に記載の技術を適用しても、相違点6に係る本件特許発明1の構成とはならない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲2発明及び甲1、3?6に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

2 本件特許発明2
本件特許発明2は、本件特許発明1に対して、上記第2のとおり、請求項2において特定した事項をさらに付加することにより限定された発明である。
そうすると、本件特許発明2も、上記1で示した理由と同じ理由により、甲1発明、甲2発明であるとはいえず、甲1発明及び甲2?6に記載の技術に基いて、また、甲2発明及び甲1、3?6に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3 本件特許発明3
(1)甲1発明を主引用発明とする場合
本件特許発明3と甲1発明とを対比すると、後者の「吸収体40」は、その機能や構造からみて、前者の「吸収体」に相当し、以下同様に、「トップシート50」は「肌面側シート」に、「バックシート60a」は「非肌面側シート」に、「使い捨ておむつ10」は「吸収性物品」に、「伸縮する」は「収縮力を発揮する」に、「伸縮性シート」は「第1弾性部材」に、「伸縮性シート」は「第2弾性部材」に、それぞれ相当する。
本件特許発明3の「レッグギャザー」と甲1発明の「レッグ伸縮部75」とは、レッグ部の収縮部である点で共通する。
本件特許発明3の「内側ギャザー」と甲1発明の「クロッチ伸縮部200a」とは、内側の収縮部である点で共通する。
してみると、本件特許発明3と甲1発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「吸収体と、前記吸収体を肌面側から覆う肌面側シートと、前記吸収体を非肌面側から覆う非肌面側シートとを有し、着用者の股下に、長手方向が前記股下の前後方向に沿うように装着される吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収性物品における前記長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、
前記両縁部にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第1弾性部材によって形成されたレッグ部の収縮部と、
前記レッグギャザーよりも前記幅方向の内側寄りに前記レッグギャザーと間をあけてそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮する第2弾性部材によって形成された内側の収縮部と、を有している、
吸収性物品。」
<相違点7>
レッグ部の収縮部と内側の収縮部の位置関係について、本件特許発明3では、長手方向の同位置であるのに対して、甲1発明では、そのように特定されていない点。
<相違点8>
レッグ部の収縮部について、本件特許発明3では、レッグギャザーであるのに対して、甲1発明では、レッグ伸縮部75である点。
<相違点9>
内側の収縮部について、本件特許発明3では、内側ギャザーであるのに対して、甲1発明では、クロッチ伸縮部200aである点。
<相違点10>
第1弾性部材と第2弾性部材について、本件特許発明3では、前者の方が後者よりも高い弾性率を有しているのに対して、甲1発明では、前者の方が後者よりも高い伸縮率を有している点。
イ 判断
事案に鑑み、まず相違点10について検討するに、相違点10は相違点3と同じである。
そうすると、上記1(1)のとおり、相違点10に係る本件特許発明3の構成は実質的な相違点であり、本件特許発明3は甲1発明であるとはいえないし、甲1発明に甲2?6に記載の技術を適用しても、相違点10に係る本件特許発明3の構成とはならない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明3は、甲1発明であるとはいえず、甲1発明及び甲2?6に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)甲2発明を主引用発明とする場合
本件特許発明3と甲2発明とを対比すると、後者の「吸収体3」は、その機能及び構造からみて、前者の「吸収体」に相当し、以下同様に、「内側表面シート1」は「肌面側シート」に、「バックシート」は「非肌面側シート」に、「内羽根型使い捨ておむつ10E」は「吸収性物品」に、それぞれ相当する。
本件特許発明3の「第1弾性部材によって形成されたレッグギャザー」と甲2発明の「レッグ部に装着された糸ゴム8」とは、レッグ部に配置されたある弾性部材である点で共通する。
本件特許発明3の「第2弾性部材によって形成された内側ギャザー」と「吸収体3を縦に横切るようにバックシート2に装着された糸ゴム4」とは、レッグ部よりも内側よりに配置されたもう一つの弾性部材である点で共通する。
してみると、本件特許発明3と甲2発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「吸収体と、前記吸収体を肌面側から覆う肌面側シートと、前記吸収体を非肌面側から覆う非肌面側シートとを有し、着用者の股下に、長手方向が前記股下の前後方向に沿うように装着される吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記吸収性物品における前記長手方向と交差する幅方向の外側の両縁部を除いて配置され、
前記両縁部にそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮するレッグ部に配置されたある弾性部材と、
前記レッグギャザーよりも前記幅方向の内側寄りに前記レッグギャザーと間をあけてそれぞれ配置され、前記長手方向に収縮力を発揮するレッグ部よりも内側よりに配置されたもう一つの弾性部材と、を有している、
吸収性物品。」
<相違点11>
ある弾性部材ともう一つの弾性部材の位置関係について、本件特許発明3では、長手方向の同位置であるのに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
<相違点12>
ある弾性部材について、本件特許発明3では、第1弾性部材によって形成されたレッグギャザーであるのに対して、甲2発明では、レッグ部に装着された糸ゴム8である点。
<相違点13>
もう一つの弾性部材について、本件特許発明3では、第2弾性部材によって形成された内側ギャザーであるのに対して、甲2発明では、吸収体3を縦に横切るようにバックシート2に装着された糸ゴム4である点。
<相違点14>
ある弾性部材ともう一つの弾性部材について、本件特許発明3では、前記第1弾性部材の方が前記第2弾性部材よりも高い弾性率を有しているのに対して、甲2発明では、糸ゴム8の方が糸ゴム4よりも大きい弾性収縮率を有している点。
イ 判断
事案に鑑み、まず相違点14について検討するに、相違点14は相違点3と同じである。
そうすると、上記1(2)のとおり、相違点14に係る本件特許発明3の構成は実質的な相違点であり、本件特許発明3は甲2発明であるとはいえないし、甲2発明に甲1、3?6に記載の技術を適用しても、相違点14に係る本件特許発明3の構成とはならない。
よって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明3は、甲2発明であるとはいえず、また、甲2発明及び甲1、3?6に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

4 本件特許発明4?11
本件特許発明4?11は、本件特許発明1又は3に対して、上記第2のとおり、請求項4?11において特定した事項をさらに付加することにより限定された発明である。
そうすると、本件特許発明4?11も、上記1又は3で示した理由と同じ理由により、甲1発明、甲2発明であるとはいえず、甲1発明及び甲2?6に記載の技術に基いて、また、甲2発明及び甲1、3?6に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

5 小括
以上のとおり、本件特許発明1?11は、甲1発明、甲2発明であるとはいえず、甲1発明及び甲2?6に記載の技術に基いて、また、甲2発明及び甲1、3?6に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。


第7 むすび
したがって、本件特許発明1?11に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び提出された証拠によっては、取り消すことができない。
また、他に本件特許発明1?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-10-13 
出願番号 特願2017-37364(P2017-37364)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (A61F)
P 1 651・ 121- Y (A61F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西本 浩司  
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 芦原 康裕
八木 誠
登録日 2021-01-12 
登録番号 特許第6822217号(P6822217)
権利者 王子ホールディングス株式会社
発明の名称 吸収性物品  
代理人 真田 有  
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