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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C12G
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C12G
審判 全部申し立て 2項進歩性  C12G
管理番号 1378787
異議申立番号 異議2020-700967  
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-09 
確定日 2021-10-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第6706525号発明「容器詰め炭酸アルコール飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6706525号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6706525号の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成28年3月31日の出願であって、令和2年5月20日にその特許権の設定登録がされ、同年6月10日にその特許掲載公報が発行され、その後、令和2年12月9日に森田 弘潤(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
その後の手続の経緯の概要は次のとおりである。

令和3年 3月12日付け 取消理由通知
同年 4月30日(初回対応) 応対記録
同年 5月17日 上申書の提出
同年 6月22日 訂正請求書・意見書の提出
同年 7月 9日付け 訂正拒絶理由通知
同年 8月12日 意見書・訂正請求取下書の提出

第2 本件発明
本件特許の請求項1?7に係る発明は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本件発明1」などと、また、これらを合わせて「本件発明」ということがある。)である。

「【請求項1】
(A)0.2?1.5g/Lのリンゴ酸と、
(B)5?100ppmのリモネンと、
0.1?5.0g/Lのクエン酸と、
コハク酸、乳酸、及び酢酸の中から選択される1つ以上の第2の酸を合計で0.01?0.5g/Lと、
を含有し、
リンゴ酸とリモネンの質量比「(A)リンゴ酸/(B)リモネン」が6?200であり、
無果汁、又は果汁含有量が5質量%以下である、
柑橘風味の容器詰め炭酸アルコール飲料。
【請求項2】
リンゴ酸の含有量が0.6?1.5g/Lである、請求項1に記載の炭酸アルコール飲料。
【請求項3】
醸造酒を含有する、請求項1又は2に記載の炭酸アルコール飲料。
【請求項4】
前記醸造酒が、ぶどう又はりんごの果実及び/又は果汁を発酵させた果実酒である、請求項3に記載の炭酸アルコール飲料。
【請求項5】
蒸留酒を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
【請求項6】
前記蒸留酒が、糖蜜由来である、請求項5に記載の炭酸アルコール飲料。
【請求項7】
前記蒸留酒が、原料用アルコールである、請求項6に記載の炭酸アルコール飲料。」

第3 当審が通知した令和3年3月12日付け取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由の概要

1 特許異議申立人が申し立てた理由の概要
[申立理由1]本件発明1?7は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、甲第1?4号証に係る発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
[申立理由2]本件発明1?7に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合しない。
よって、本件特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
[申立理由3]本件発明1?7に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合しない。
よって、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
(なお、特許異議申立書に記載された申立理由を条文ごとに上記のとおりに整理した。)

申立理由2の具体的な理由の概要は次の申立理由2-1、2-2のとおりである。
申立理由2-1(リモネンの濃度の数値範囲について)
本件発明1?7は、リモネンの濃度の数値範囲を「5?100ppm」と特定しているところ、本件明細書に記載される実施例、比較例の全てにおいて、リモネンの濃度は60ppmであり(【0006】、【表1】)、リモネンの濃度が60ppm以外である実施例、比較例は一切記載されていない。
よって、本件発明1?7が特定するリモネンの濃度の数値範囲「5?100ppm」といった広い数値範囲において、本件発明1?7の炭酸アルコール飲料が、本件発明1?7の効果とされる「良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ」(【0007】)との効果を奏するものであるか、本件明細書の記載及び本件特許出願時の技術常識をもってしても不明と言う他無く、リモネンの濃度が60ppmのみの実施例の結果をもって、本件発明1?7におけるリモネンの濃度範囲の全ての範囲まで拡張ないし一般化できるとは言えない。
したがって、本件発明1?7はいずれも、明細書の発明の詳細な説明に、当該発明の課題が解決できることを当業者において認識できるように記載されたものとは認められないので、サポート要件に違反するものである。

申立理由2-2(原料酒の種類について)
本件発明1は、「柑橘風味の容器詰め炭酸アルコール飲料」と特定するに止まり、原料酒の種類は特定されていない一方、本件明細書の実施例1?5にはリンゴ酸の濃度が0.26?1.29g/Lである飲料が記載されているが、かかる飲料はベース酒として、原料用アルコールとりんご由来の果実酒との混合酒を用いている。また、本件明細書の実施例6?8にはベース酒として原料用アルコールのみを用いたものが記載されており、そのリンゴ酸の濃度は0.78g/Lの一点のみである(【0015】)。
しかし、醸造酒としては果実や果汁等を発酵させた果実酒が挙げられ、かかる醸造酒は通常コクや複雑味を有する可能性が高いことは技術常識であり、そのことは甲第5?7号証によっても裏付けられるものであり、本件明細書の【0009】にも「アルコール源の一部に果実酒等を用いることにより、飲料の刺激感を低減し、かつ、複雑な香味を付与することができる」と記載されている。
したがって、本件明細書の実施例1?5に記載のようなベース酒に果実酒(醸造酒)を用いた場合に、「良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味と併せ持つこと」といった本件発明の効果は認められるとも言い得るとしても、かかる効果は醸造酒に起因するものが大きいと考えられる。一方、本件明細書の実施例6?8には、ベース酒として原料用アルコールのみを用いているものの、リンゴ酸の濃度は0.78g/Lの一点のみに止まるから、実施例6?8の記載に基づいて、ベース酒として蒸留酒のみを用いたアルコール飲料におけるリンゴ酸0.2?1.5g/Lの全ての範囲にまで同様の効果が奏されるものとは認められない。
したがって、本件発明1のようなあらゆる原料酒を含みうる炭酸アルコール飲料まで、本件発明の効果である「良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味と併せ持つこと」が本件明細書の記載および出願時の技術常識からは直ちに言えないことから、本件発明1におけるリンゴ酸0.2?1.5g/Lの全ての範囲および/またはあらゆる原料酒まで実施例の結果をもってして拡張ないし一般化できるとは言えない。
本件発明2についても同様である。
また、原料酒を蒸留酒とし、醸造酒を含有することが特定されていない本件発明5?7についても、前記のとおり、ベース酒として原料用アルコールのみを用いた本件明細書の実施例6?8は、いずれもリンゴ酸の濃度を0.78g/Lとするものであり、これらの実施例の結果をもってして、ベース酒として蒸留酒のみを用いた炭酸アルコール飲料におけるリンゴ酸0.2?1.5g/L(あるいは0.6?1.5g/L)の全ての範囲にまで同様の効果が奏されるとものと拡張ないし一般化できるとは言えない。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明に開示された内容を、本件発明1、2、5?7の範囲まで拡張乃至一般化できるとは言えず、本件発明1、2、5?7はいずれも、明細書の発明の詳細な説明に、当該発明の課題が解決できることを当業者において認識できるように記載されたものとは認められないので、サポート要件に違反するものである。

申立理由3の具体的な理由の概要は次の申立理由3-1?3-3のとおりである。
申立理由3-1(リンゴ酸とリモネンの質量比「(A)リンゴ酸/(B)リモネン」について)
本件発明1?7は、「リンゴ酸とリモネンの質量比「(A)リンゴ酸/(B)リモネン」が6?200であり」と特定しているところ、本件明細書に記載の実施例1?8(【0016】、【表1】)において、(A)リンゴ酸と(B)リモネンの値から、質量比(A)/(B)を計算すると、実施例1?8に記載された質量比(A)/(B)と一致しない。
そのため、本件明細書に記載されている、(A)リンゴ酸、(B)リモネンの成分量を含有する実施例1?8を、如何にして本件明細書に記載されている「質量比(A)/(B)」の値のものとするのか、当業者といえども理解することができない。なお、この点につき、実施例1は(A)リンゴ酸及び(B)リモネンの成分量から「質量比(A)/(B)」を計算すれば、4.3となり、本件発明1?7に特定される「質量比「(A)リンゴ酸/(B)リモネン」が6?200であり」の数値範囲外となるから、如何なる理由で「質量比(A)/(B)」が「8.7」となり「実施例」となるのか、当業者といえども理解することができない。
したがって、本件発明1?7について、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、本件発明1?7はいずれも、実施可能要件に違反するものである。

申立理由3-2(リモネンの濃度の数値範囲について)
上記「申立理由2-1」で述べたとおり、本件発明1?7は、本件明細書から読み取れる作用効果を奏し得る範囲と比較して明らかに広範な技術的範囲を規定するものであり、本件発明1?7の構成の範囲内で所望の効果が得られると当業者において認識できる程度に記載されているとは到底認められない。
したがって、本件発明1?7のいずれについても、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、本件発明1?7はいずれも、実施可能要件に違反するものである。

申立理由3-3(原料酒の種類について)
上記「申立理由2-2」で述べたとおり、本件発明1、2、5?7は、本件明細書から読み取れる作用効果を奏し得る範囲と比較して明らかに広範な技術的範囲を規定するものであり、本件発明1、2、5?7の構成の範囲内で所望の効果が得られる
と当業者において認識できる程度に記載されているとは到底認められない。
したがって、本件発明1、2、5?7のいずれについても、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、本件発明1、2、5?7はいずれも、実施可能要件に違反するものである。

特許異議申立人は証拠方法として下記の証拠を提出している。


甲第1号証:特開2007-117063号公報(以下「甲1」ということがある。他の甲各号証についても同様。)
甲第2号証:特開2007-20433号公報
甲第3号証:宮崎県工業技術センター・宮崎県食品開発センター研究報告、平成15年度[2003]、No.48、pp.139-142、「キンカンを利用したアルコール飲料の開発」
甲第4号証:平成19年度「食品添加物基礎教育セミナー」プログラム、表紙、目次、pp.223-232、「酸味料・pH調整剤」
甲第5号証:再公表特許WO2013/118391号
甲第6号証:JSFCA 日本安全食料料理協会 ホームページ、「蒸留酒のとは?醸造酒との違いと種類について」のウェブページ、[Online]、2020年11月16日、インターネットURL:https://www.asc-jp.com/osake/shochu/%E8%92%B8%E7%95%99%E9%85%92%E3%81%AE%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F-%E9%86%B8%E9%80%A0%E9%85%92%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%A8%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
甲第7号証:吉澤淑編、シリーズ《食品の科学》酒の科学、株式会社朝倉書店、2004年12月20日第7刷、表紙、pp.65-69、奥付

2 当審が通知した令和3年3月12日付け取消理由の概要
[理由1](実施可能要件)本件の請求項1?7に係る特許は、発明の詳細な説明が、下記に示すとおり、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

理由1の具体的な理由の概要は次のとおりである。
本件発明1では、リンゴ酸とリモネンの質量比について、「(A)リンゴ酸/(B)リモネン」とされ、また、その範囲は「6?200」と特定されているところ、通常の意味において、当該質量比は、(A)リンゴ酸の濃度を(B)リモネンの濃度で割った値であると解される。
しかし、発明の詳細な説明の表1には、通常の意味における質量比(A)/(B)とは異なる値が記載されており、表1に記載された質量比(A)/(B)をどのように算出するかは、出願時の技術常識を考慮しても不明である。
してみると、仮に上記表1に記載された質量比(A)/(B)の値が正しいとすると、当該質量比(A)/(B)が所定の範囲であることを特定する本件発明1について、どのようにして、質量比(A)/(B)を所定の範囲とするかが出願時の技術常識を考慮しても不明であるから、発明の詳細な説明は、当該発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。
本件発明2?7についても同様である。

この理由1は、上記申立理由3-1と同様の理由である。

第4 当審の判断
当審は、本件発明1?7に係る特許は、当審が通知した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由により取り消すべきものではないと判断する。
理由は以下のとおりである。

1 当審が通知した取消理由について
(1)本件明細書等の記載
願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)には、以下の記載がある。

a)「【背景技術】
【0002】
容器詰め炭酸アルコール飲料は、炭酸ガスを圧入したアルコール含有飲料である。一般的には、容器詰め炭酸アルコール飲料は、風味が少ない蒸留酒などを原料酒として使用し、果汁、香料、甘味料、酸味料等により風味を付け、缶、瓶、ペットボトル等の容器に詰めて提供される。市場では、特にレモン、グレープフルーツなどの柑橘風味を付与した飲料が好まれている。柑橘風味の容器詰め炭酸アルコール飲料においては、適度な酸味、すっきりとした風味及び清涼感を有する良好な柑橘香と、果実由来のコク感や味の複雑さとを併せ持つことが望まれている。
【0003】
柑橘のコク感及び味の複雑さを持った飲料を得るためには、柑橘果汁を一定量以上添加する方法が最も効果的であると考えられている。果汁含有アルコール飲料に関連して、特開2013-126393号公報(特許文献1)には、果汁感はあっても香味のべたつき感のない飲料を提供することを課題とした技術が開示されている。特開2013-126393号公報には、果汁を含有する果汁含有アルコール飲料に添加してこれの香味を改善する香味改善用組成物であって、リンゴ酸とクエン酸の配合比率が10:90?40:60であることを特徴とする、香味改善用組成物が開示されている。
・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、果汁の添加量を増やすと、果汁を加熱殺菌したときに生じるイモ臭及び褐変臭のような不快臭により、良好な柑橘香、すなわち、適度な酸味、すっきりとした風味及び清涼感を有する柑橘香が損なわれやすくなる。また果汁量を増やすことは、飲料の原料原価を上げる要因にもなり得る。そこで、無果汁であるか、又は果汁使用量が少なくても、良好な柑橘香を損なうことなく、コク感や味の複雑味を飲料に付与することが望まれている。
すなわち、本発明の課題は、良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ、無果汁又は低果汁の容器詰め炭酸アルコール飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、リンゴ酸とリモネンとを特定の濃度で飲料に含有させることにより、上記課題を解決できることを見出した。」

b)「【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ、無果汁又は低果汁の容器詰め炭酸アルコール飲料が提供される。」

c)「【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
本実施態様に係る容器詰め炭酸アルコール飲料は、柑橘風味の飲料であり、(A)リンゴ酸及び(B)リモネンを含有する。
リンゴ酸の含有量は、0.2?1.5g/Lであり、好ましくは0.6?1.5g/Lである。
リモネンの含有量は、5?100ppmであり、好ましくは30?90ppm、より好ましくは40?80ppmである。
リンゴ酸とリモネンとの質量比「(A)リンゴ酸/(B)リモネン」は、6?200であり、好ましくは10?100、より好ましくは20?50である。
上記のように、0.2?1.5g/Lのリンゴ酸と、5?100ppmのリモネンとを含有し、リンゴ酸とリモネンとの質量比を6?200とすることにより、高含有量の果汁を用いることなく、容器詰め炭酸アルコール飲料に、良好な柑橘香、味のコクの強さ、及び味の複雑味の強さを付与することができる。
尚、リンゴ酸の含有量が0.2g/L未満である場合には、良好な柑橘香が十分に付与できず、十分なコクの強さが得られず、十分な複雑味が得られない場合があり、1.5g/Lを超える場合には柑橘特有のすっきりした風味や清涼感が感じられ難くなる。
また、リモネンの含有量が5ppm未満である場合には良好な柑橘香が十分に感じられず、100ppmを超える場合には柑橘香が強調され過ぎて味のバランスが悪くなる。
また、リンゴ酸とリモネンとの質量比が6未満である場合には柑橘のコクや複雑味が十分に感じられず、200を超える場合には柑橘の清涼感、すっきり感が感じられなくなる。」

d)「【0009】
本発明の飲料において、アルコール源として用いられる原料酒としては、蒸留酒が好ましく用いられる。蒸留酒としては、ウィスキー、ブランデー、焼酎、及びスピリッツ、及び原料用アルコール等が挙げられる。これらの中でも、糖蜜由来の蒸留酒が好ましく用いられる。糖蜜由来の蒸留酒としては、例えば、連続式蒸留機を用いた甲式焼酎、及び廃糖蜜を発酵させて高度に精製した原料用アルコールが好ましく用いられる。
また、アルコール源の一部が、醸造酒であることもまた好ましい。醸造酒としては、ぶどう又はりんごの果実及び/又は果汁を発酵させた果実酒が好ましく用いられる。アルコール源の一部に果実酒等を用いることにより、飲料の刺激感を低減し、かつ、複雑な香味を付与することができる。
【0010】
飲料に含まれるリモネンは、例えば、柑橘系香料由来、又は、柑橘系果汁由来とすることができる。
柑橘系香料としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、シークァーサー、シトラス等の香料が挙げられ、好ましくはレモン、またはグレープフルーツ香料が用いられる。また、本発明の飲料には、柑橘系香料以外の香料が含まれていてもよい。そのような香料としては、例えば、リンゴ、ブドウ、及びチェリー等のフルーツフレーバーが挙げられる。
上述のように、リモネンは、柑橘系果汁由来とすることができるが、本実施態様の飲料は、無果汁であるか、又は果汁含有量が5質量%以下であることが好ましい。果汁は、通常、加熱殺菌されて使用される。果汁含有量が5質量%を超える場合には、加熱殺菌により生じるイモ臭及び褐変臭のような不快臭が生じて、良好な柑橘香が損なわれやすくなる。果汁を使用する場合、その果汁としては、レモン果汁、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、シークァーサー等の柑橘系果汁が好ましく用いられ、これらの中でもレモン果汁がより好ましい。
【0011】
本実施態様の飲料には、リンゴ酸以外に、酸が含まれていてもよい。酸としては、例えば、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リン酸、乳酸、及び酢酸などが挙げられる。また、好ましくは、クエン酸が用いられる。クエン酸の含有量は、例えば、0.1?5.0g/L、好ましくは0.2?2.0g/Lである。
また、クエン酸(第1の酸)と、コハク酸、酒石酸、リン酸、乳酸、及び酢酸の中から選択される1つ以上の酸(第2の酸)との組み合わせを用いることも好ましい。
第1の酸と第2の酸との組み合わせを用いることにより、柑橘果汁由来のコク感や味の複雑さがより強調されるという効果が得られる。また、第2の酸の含有量の合計は、0.01?0.5g/Lであることが好ましく、より好ましくは0.02?0.3g/Lである。
本実施態様の飲料における総酸度は、例えば、1.0?3.5(g/L)、好ましくは、1.5?3.0(g/L)である。尚、総酸度は、クエン酸換算した酸度を示し、国税庁所定分析法にて定められた酸度の測定方法に基づいて算出される。
尚、飲料に含まれる酸は、アルコール源となる原料酒由来のものであってもよいし、原料酒とは別に後から添加されたものであってもよい。例えば、アルコール源の一部としてりんご由来の果実酒を用いる場合、果実酒中に含まれるリンゴ酸、コハク酸、乳酸、及び酢酸などが、最終的に得られる容器詰め飲料中における酸の含有量に寄与することになる。」

e)「【実施例】
【0015】
(実施例1?5)
表1に示す成分量になるように、ベース酒に、クエン酸、果糖ブドウ糖液糖、レモン香料(リモネン含有)、及び炭酸水を加え、リンゴ酸の濃度が異なる実施例1?5に係る飲料を得た。なお、ベース酒としては、原料用アルコール(エタノール濃度95%)とりんご由来の果実酒との混合物を用い、果実酒の含有量を調製することにより、飲料中のリンゴ酸、コハク酸、乳酸、及び酢酸濃度を調整した。
(実施例6?8)
ベース酒として、原料用アルコール(エタノール濃度95%)を用い、表1に示す成分量になるように、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、酢酸、果糖ブドウ糖液糖、レモン香料、及び炭酸水を加えて、実施例6?8に係る飲料を得た。
(比較例1)
リンゴ酸、コハク酸、乳酸、及び酢酸を添加しなかった以外は実施例6?8と同様にして、比較例1に係る飲料を得た。
【0016】
実施例1?8及び比較例1に係る飲料について、複数の専門パネルによる官能検査を行い、柑橘香の良さ、味のコクの強さ、味の複雑味の強さ、及び総合評価を評価した。官能検査においては、各項目において、比較例1の飲料の値を3として、1?5の5段階で評価を行い、複数の専門パネルの平均値を結果とした。官能評価結果を、専門パネルから得られたコメント共に、表1に示す。尚、柑橘香りの良さは、値が大きいほど、柑橘香が良好であることを示す。味のコクの強さは、値が大きいほど、コクが強いことを示す。複雑味の強さは、値が大きいほど、味が複雑であることを示す。
【表1】

【0017】
表1に示されるように、比較例1と比較して、0.2?1.5g/Lのリンゴ酸、及び5?100ppmのリモネンを含有し、リンゴ酸とリモネンとの質量比(A)/(B)が6?200である実施例1?8の飲料は、柑橘香の良さ、味のコクの強さ、及び味の複雑味の強さのいずれも増強されていた。」

(2)判断
本件発明1では、リンゴ酸とリモネンの質量比について、「「(A)リンゴ酸/(B)リモネン」が6?200であり」と特定されているところ、当該質量比は、(A)リンゴ酸の質量を(B)リモネンの質量で割った値であることは明らかであり、また、この値は、(A)リンゴ酸の濃度を(B)リモネンの濃度で割った値と同じである。
本件明細書の表1の実施例1?8について、(A)リンゴ酸の濃度を(B)リモネンの濃度で割ると、それぞれ、約4.3、8.7、13.0、17.3、21.5、13.0、13.0、13.0であるところ、表1の「質量比(A)/(B)」の欄には、これらとは異なる、8.7、17.3、26.0、34.7、43.3、26.0、26.0、26.0と記載されている。
ここで、上述のとおり、リンゴ酸とリモネンの質量比は、(A)リンゴ酸の質量を(B)リモネンの質量で割った値であることは明らかであるから、当該値の計算値と表1に記載の値とに相違がある以上、表1の「(A)リンゴ酸」、「(B)リモネン」、「質量比(A)/(B)」の欄の記載には、そのいずれかに誤記があるといえる。
そして、たとえ、表1の上記欄の記載に誤記があったとしても、本件明細書の発明の詳細な説明には、リンゴ酸とリモネンとの質量比を6?200とすること(摘示d、【0009】)、飲料に含まれるリモネンは、例えば、柑橘系香料由来、又は、柑橘系果汁由来とすることができること(摘示d、【0010】)、飲料に含まれるリンゴ酸等の酸は、アルコール源となる原料酒由来のものであってもよいし、原料酒とは別に後から添加されたものであってもよいこと(摘示d、【0011】)、実施例(摘示e)として、ベース酒に、クエン酸、果糖ブドウ糖液糖、レモン香料(リモネン含有)、及び炭酸水を加え、リンゴ酸の濃度が異なる飲料を得たこと(実施例1?5)、ベース酒として、原料用アルコール(エタノール濃度95%)を用い、表1に示す成分量になるように、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、酢酸、果糖ブドウ糖液糖、レモン香料、及び炭酸水を加えて、飲料を得たこと(実施例6?8)がそれぞれ記載されており、これらの記載からは、リンゴ酸の量は原料酒又は添加によって調整することができ、リモネンの量は柑橘系香料、柑橘系果汁によって調整することができることを当業者が理解でき、当該調整を実施することができるといえる。そして、リンゴ酸とリモネンの質量比(A)リンゴ酸/(B)リモネンは、単なる割り算により求められるのであるから、当業者がその値を6?200の範囲のものとすることができるといえる。
してみると、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる。
本件発明2?7についても同様である。

したがって、理由1には理由がない。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)甲各号証の記載事項
甲1(特開2007-117063号公報):
1a)「【請求項1】
リン酸又はその塩と、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸、こはく酸、乳酸、グルコン酸、フマル酸、酢酸及びこれらの塩からなる群から選択される1以上とを、酸味料として配合したアルコール飲料であって、酸味料の5?55 w/w%がリン酸であることを特徴とする、アルコール飲料。
・・・
【請求項5】
さらに、果汁を配合することを特徴とする、請求項1?4のいずれか1項に記載のアルコール飲料。」

1b)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのアルコール飲料の後味の悪さを改善し、香味が良好で、爽快なスッキリ感を有するアルコール飲料を提供することを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、さまざまな添加剤の検討を行った結果、リン酸又はその塩を5?55 w/w%含有する酸味料を配合することで、爽快なスッキリ感を有するアルコール飲料が得られることを見出し、本発明を完成させた。」

1c)「【0011】
・・・本発明のアルコール飲料に用いるアルコール原料は、特に限定されず、醸造アルコール、スピリッツ類(ウォッカ、ジン、ラム、等)、リキュール類、ウイスキー、ブランデー、焼酎(甲類、乙類、甲乙混和)等、更には清酒、果実酒、ビール等の醸造酒でも良い。これらを単独で又は複数を組み合わせていても良い。本発明のアルコール飲料は、糖類、果汁類等を含むものであり得る。
・・・
【0013】
果汁類としては、果実及び果汁、野菜片及び野菜汁又はハーブ及びハーブエキスが挙げられる。これらは、ピューレ、果肉、ストレート果汁、濃縮果汁、透明果汁、混濁果汁、等、目的に応じた形態を選択して本発明のアルコール飲料に配合することが出来る。本発明のアルコール飲料について、上記の果汁類の添加の有無は任意である。果汁類を添加する場合、その含有量は0.1?40 w/v%とすることが好ましい。・・・
【0014】
原料果実としては、例えば、レモン、グレープフルーツ(ホワイト種、ルビー種)、ライム、オレンジ類(ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ等)・・・きんかん・・・等を用いることが出来る。」

1d)「【0019】
本発明のアルコール飲料におけるカーボーネーションの有無は任意であり、炭酸ガスを含有していても、含有していなくてもよい。」

1e)「【0036】
実施例2
果汁と高甘味度甘味料を用いて果汁・高甘味度甘味料含有アルコール飲料を調製した。表5に示す配合により、アルコール、水、果汁、高甘味度甘味料、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、クエン酸三ナトリウム、フレーバーを加えて得た調合液を、実施例1と同様に処理してアルコール飲料(実施例2)を調製した。対照として、リン酸の代わりにクエン酸を配合したもの(比較例2-1)、リン酸の代わりにリンゴ酸を配合したもの(比較例2-2)を、酸度が一致するように調製した。
【0037】
【表5】



甲2(特開2007-20433号公報):
2a)「【請求項1】
果汁に合成香気成分を該香気成分の水に対する溶解度以上の量を混合してホモジナイズすることにより得られる風味強化果汁。
【請求項2】
前記香気成分の混合量は、前記果汁に対して0.001質量%以上5質量%以下である請求項1に記載の風味強化果汁。
【請求項3】
前記合成香気成分は合成リモネンを含むものであり、前記果汁はパルプを含む請求項1または2に記載の風味強化果汁。
【請求項4】
前記合成リモネンは、水に対する溶解度以上の量が混合されている請求項3に記載の風味強化果汁。
【請求項5】
前記合成リモネンの混合量は、前記果汁に対して0.001質量%以上5質量%以下である請求項3または4に記載の風味強化果汁。
・・・
【請求項7】
前記果汁は、柑橘系果汁である請求項1から6いずれか記載の風味強化果汁。
【請求項8】
請求項1から7いずれか記載の風味強化果汁を飲料に添加して得られる風味強化飲料。
【請求項9】
前記飲料は、炭酸飲料、アルコール飲料、およびアルコール炭酸飲料よりなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項8に記載の風味強化飲料。


2b)「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0010】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、合成香気成分を調合した合成香料にありがちな特徴香が突出したバランスの悪さを是正し、果実本来の調和のある香りを飲料等に付与することができる力価の高い風味強化果汁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、果汁に合成香気成分を調合してなる合成香料を添加し、これをホモジナイズして果汁中に均質分散させることで、柑橘系果実本来の調和のある香りを有し、また、添加量1/100以下と力価の高い風味強化果汁が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」

2c)「【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ベースとなる果汁に合成香気成分を混合してホモジナイズしているので、合成香料にありがちな特徴香が突出したバランスの悪さが是正され、柑橘系果実本来の調和のある香りを有する風味強化果汁が得られる。また、香料並の力価を有しているので、天然香料と同様に添加量1/100以下で使用でき、作業も簡便でコスト的にも有利である。具体的には、天然香料をベースに使用することなく、天然香料に合成香気成分を上乗せして調合した合成香料よりも、50倍程度の高力価での使用ができるので、コストも1/5以下に低減できる。
【0028】
また、合成香気成分としてリモネンを用い、パルプを含有する果汁を用いた場合には、これらを混合してホモジナイズすることによりリモネンがパルプに吸着され、果汁中に均質に分散され安定化される。これによって、リモネンが分離して遊離することがなく、リモネンの存在によって、果汁中に含有された合成香料の各香気成分の突出がより一層是正され、果実本来の香りが再現できる。さらには、リモネンは揮発性が高いので、容器開栓時のトップフレーバーの立ちが良くなると共に、他の香り成分の揮発性も高める効果があるため、全体に果実の香りが強くなり、フレッシュ感が増大する。
【0029】
また、添加する合成香気成分の種類や量等に調和を与えることより、天然では入手困難な香りのものを製造でき、嗜好性の高い飲料等を自由にしかも大量に製造することができる。」

2d)「【0045】
こうして得られた風味強化果汁は、通常の香料並みの1/1000程度の力価を有しているので、この風味強化果汁をチュ?ハイ等の飲料に0.1?0.5%程度添加することにより、飲料は十分な柑橘類等の果実の香りが得られる。また、この方法で製造することで、通常使用が難しい高力価な合成香気成分を使用することができるので、果実飲料等の製造作業が簡便である。また、果汁や合成香気成分は天然香料に比べて低コストであるので、コスト的にも有利である。」

2e)「【0053】
<実施例1>
先ず、合成香気成分として、αターピネオール、グループフルーツメルカプタン、スチラリルイソブチレート、リナロールネロール、ゲラニオール、ゲラニアール、ノナナール、ネリルアセテート、ゲラニルアセテートを55%エタノール溶液に総量で2質量%添加して溶解し、力価1/10万のグレープフルーツ様の香りを呈するアルコール合成香料Aを作成する。
・・・
【0057】
<実施例2>
先ず、実施例1と同様にして、力価1/10万のグレープフルーツ様のアルコール合成香料Aを作成する。
【0058】
次いで、グレープフルーツ6倍濃縮混濁果汁に、上記アルコール合成香料Aを1質量%と、d-リモネンを0.5質量%とを添加し、高速ホモミキサーを使用して3000rpmの条件で15分間、攪拌ホモジナイズしたあと、高圧ホモジナイザーで250kg/cm^(2)の圧力で、更に微細、均一化し、合成香気成分が果汁中に均質に分散され、安定化されたグレープフルーツ風味強化果汁を得た。
【0059】
得られたグレープフルーツ風味強化果汁は、グレープフルーツから抽出された天然香料並の1/1000程度の力価を有していた。尚、力価は実施例1と同様の方法により測定した。また、この果汁は、保存中にリモネンが分離してオイル浮きすることも無かった。
【0060】
そして、実施例1と同様に、得られた風味強化果汁をチューハイに1質量%加えることにより、調和のとれた新鮮なグレープフルーツ風味のチューハイを得ることができた。」

甲3(宮崎県工業技術センター・宮崎県食品開発センター研究報告、平成15年度[2003]、No.48、pp.139-142、「キンカンを利用したアルコール飲料の開発」):
3a)「全国第1位の生産量を誇る当県のキンカンを原料にリキュールの研究開発を行ってきた。本研究では、キンカンを漬け込む最適な条件を検討した。・・・リキュール中の有機酸の経時変化を測定した。」(139頁6?10行)

3b)「

」(141頁左欄)
3c)「

」(142頁左欄)

甲4(平成19年度「食品添加物基礎教育セミナー」プログラム、表紙、目次、pp.223-232、「酸味料・pH調整剤」):
4a)「2.酸味料・pH調整剤の機能
1)酸味の付与
酸味料は、その種類によって酸味の質や呈味時間が異なる。
果実に多く含まれる酸味はその殆どが単一の酸味成分のみではなく、数種の酸味料で構成されている。 酸味の大部分はクエン酸、リンゴ酸、酒石酸及び乳酸である。
このような複合による呈味の付与は、調味料や甘味料の分野では以前から行われており、食品の多くがこれらの複合作用を利用して製造されており、食品の旨味を醸し出している。
酸味料の場合もこのような考え方から、複合により酸味料の特徴を上手く引き出す味の付与が行われるようになってきた。
酸味料の組合せによって、酸味の立ち上がりやピーク到達時間を早めたり、より美味な酸味に仕上げる事が可能である。」(226頁1?13行)

4b)「

」(226頁)

甲5(再公表特許WO2013/118391号):
5a)「【0003】
飲食品の風味の中で「コク・ボディ感(コク)」は、例えば、ワインなどの果実酒の場合、「厚みやふくらみ」とも称され、摂食時の満足感につながる重要な要素である。」

甲6(JSFCA 日本安全食料料理協会 ホームページ、「蒸留酒のとは?醸造酒との違いと種類について」のウェブページ、[Online]、2020年11月16日、インターネットURL:https://www.asc-jp.com/osake/shochu/%E8%92%B8%E7%95%99%E9%85%92%E3%81%AE%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F-%E9%86%B8%E9%80%A0%E9%85%92%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%A8%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/):
6a)「醸造酒は不純物が混じりやすいため、お酒だけでは出せない、複雑な香り、風味を持つことが多いです。」(3頁14?15行)

甲7(吉澤淑編、シリーズ《食品の科学》酒の科学、株式会社朝倉書店、2004年12月20日第7刷、表紙、pp.65-69、奥付):
7a)「醸造酒(清酒,ビール,ワインなど)は不揮発成分である炭水化物,窒素成分,有機酸などを多く含むが,蒸留酒(焼酎,ウイスキー,ブランデー,スピリッツなど)はこれらの成分をほとんど含まない。」(65頁3?6行)

7b)「ぶどう果汁の有機酸は酒石酸とリンゴ酸がほとんどで,このままワインの方に移行するが,そのほか,酢酸,コハク酸,乳酸,ピルビン酸などがアルコール発酵で生成される.」(66頁21?23行)

(2)申立理由1について
ア 甲1に記載された発明
甲1には、後味の悪さを改善し、香味が良好で、爽快なスッキリ感を有するアルコール飲料についての記載があるところ(摘示1a?1e)、実施例2としてその具体的な飲料が記載されている(摘示1e)。
したがって、甲1には、
「スピリッツ72.90ml、ライチ果汁0.60g、ローズヒップ果汁2.90g、アセスルファムカリウム0.30g、スクラロース0.02g、リン酸0.27g、クエン酸2.10g、リンゴ酸0.70g、クエン酸三ナトリウム0.70g、香料1.20g、水残余、炭酸ガス適量、合計1000.00mlである果汁・高甘味度甘味料含有アルコール飲料」の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

イ 本件発明1について
(ア)対比・判断
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「果汁・高甘味度甘味料含有アルコール飲料」は、炭酸ガスを含有するものであるから、本件発明1の「炭酸アルコール飲料」に相当する。
甲1発明の飲料は、合計1000.00ml中にリンゴ酸0.70gを含有するから、本件発明1の「(A)0.2?1.5g/Lのリンゴ酸」を含有することに相当する。
甲1発明の飲料は、合計1000.00ml中にクエン酸2.10gを含有するから、本件発明1の「0.1?5.0g/Lのクエン酸」を含有することに相当する(なお、甲1発明の飲料は、クエン酸三ナトリウム0.70gを含有するところ、それを構成するクエン酸が本件発明1における「クエン酸」であるとしても、甲1発明は本件発明1のクエン酸の含有割合を満たす。)。
甲1発明の飲料は、果汁として、ライチ果汁0.60g、ローズヒップ果汁2.90gを含むところ、その合計量は3.50gであるから、本件発明1の「無果汁、又は果汁含有量が5質量%以下である」ことに相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、
「(A)0.2?1.5g/Lのリンゴ酸と、
0.1?5.0g/Lのクエン酸と、
を含有し、
無果汁、又は果汁含有量が5質量%以下である、
炭酸アルコール飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本件発明1は「(B)5?100ppmのリモネン」を含有するのに対し、甲1発明はリモネンを含有しない点。

<相違点2>
本件発明1は「コハク酸、乳酸、及び酢酸の中から選択される1つ以上の第2の酸を合計で0.01?0.5g/L」を含有するのに対し、甲1発明はかかる成分を含有しない点。

<相違点3>
本件発明1は「リンゴ酸とリモネンの質量比「(A)リンゴ酸/(B)リモネン」が6?200であ」ると特定しているのに対し、甲1発明はかかる特定をしていない点。

<相違点4>
炭酸アルコール飲料について、本件発明1は「柑橘風味の容器詰め」と特定しているのに対し、甲1発明はかかる特定をしていない点。

相違点1及び3はいずれもリモネンに関する事項を含むから併せて検討する。
甲1には、アルコール飲料の後味の悪さを改善し、香味が良好で、爽快なスッキリ感を有するアルコール飲料を提供することを目的とすること、リン酸又はその塩を5?55 w/w%含有する酸味料を配合することで、爽快なスッキリ感を有するアルコール飲料が得られることを見出し、発明を完成させたことが記載されている(摘示1b)。
甲1にはリモネンを配合することについての記載はない。
甲1には、飲料に果汁を配合することが記載され(摘示1a、請求項5)、原料果実として、レモン、グレープフルーツ(ホワイト種、ルビー種)、ライム、オレンジ類(ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ等)・・・きんかん・・・等を用いることができることが記載されている(摘示1c)。
一方、甲2には、合成香気成分を調合した合成香料にありがちな特徴香が突出したバランスの悪さを是正し、果実本来の調和のある香りを飲料等に付与することができる力価の高い風味強化果汁を提供することを目的とすることが記載されており(摘示2b)、果汁に合成香気成分を該香気成分の水に対する溶解度以上の量を混合してホモジナイズすることにより得られる風味強化果汁、合成香気成分がリモネンを含むものであり、その混合量が果汁に対して0.001質量%以上5質量%以下であること、果汁が柑橘系果汁であること、該風味強化果汁をアルコール炭酸飲料に添加することが記載されている(摘示2a)。
上記のとおり、甲1に記載された発明はアルコール飲料の後味の悪さを改善し、香味が良好で、爽快なスッキリ感を有するアルコール飲料を提供することを目的とするものであるところ、甲2に記載された発明のように、合成香気成分を調合した合成香料にありがちな特徴香が突出したバランスの悪さを是正し、果実本来の調和のある香りを飲料等に付与することができる力価の高い風味強化果汁を提供することとはその課題が共通するものではなく、また、甲1に記載された発明は合成香気成分を配合することが必須のものでもないから、甲1発明にリモネンを配合する動機付けがない。
また、甲2には、リンゴ酸とリモネンの質量比に着目し、その比(A)リンゴ酸/(B)リモネンを6?200とすることについては記載も示唆もされていない。
甲3には、キンカンリキュールにクエン酸、リンゴ酸、D-リモネン、酢酸等が含まれていることが(摘示3a?3c)、甲4には、果実に多く含まれる酸味はその殆どが単一の酸味成分のみではなく、数種の酸味料で構成されており、酸味の大部分はクエン酸、リンゴ酸、酒石酸及び乳酸であることが記載されているが(摘示4a、4b)、これら甲各号証の記載を参酌しても、甲1発明にリモネンを、リンゴ酸との質量比(A)リンゴ酸/(B)リモネンが6?200となるように配合することは記載も示唆もされているとはいえない。
してみると、相違点1及び3に係る本件発明1の技術的事項を、甲1発明に採用することが当業者が容易になし得た事項であるということはできない。
そして、本件発明1は、良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ、無果汁又は低果汁の容器詰め炭酸アルコール飲料が提供されるという、本件明細書に記載の効果を奏するものである。
したがって、相違点2及び4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1?4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本件発明2?7について
本件発明2?7はいずれも本件発明1を直接的・間接的に引用してさらに技術的事項を限定した発明であるから、本件発明1と同様に、甲1?4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、コストを低減することや、飲料に良好な香りを付与することは、当該技術分野における自明の課題であるから、甲1発明において、上述のような利点がある甲2に記載の風味強化果汁を用いることは、当業者が容易に想到し得ることであり、甲2の記載に従って風味強化果汁を用いれば、本件発明1に記載のリモネン含有量、及びリンゴ酸とリモネンの質量比を満たすアルコール飲料が製造されると認められる旨主張する(特許異議申立書14頁)。
仮に、コストの低減、飲料に良好な香りを付与することが当該技術分野における自明の課題であるとしても、甲1に記載の発明と甲2に記載の発明とで、解決しようとする課題が異なることは上述のとおりであり、甲1には、甲1に記載の発明によってすでに課題が解決されている状況の下、さらに新たな成分を配合してコストの低減、良好な香りを付与する動機付けがあるとはいえない。
したがって、上記主張を採用することはできない。

オ まとめ
以上のとおりであるから、申立理由1には理由がない。

(2)申立理由2について
ア 本件発明が解決しようとする課題
本件明細書等の全ての記載事項及び技術常識からみて、本件発明が解決しようとする課題は、「良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ、無果汁又は低果汁の容器詰め炭酸アルコール飲料を提供すること」(【0005】)であると認める。

イ 判断
(ア)申立理由2-1(リモネンの濃度の数値範囲について)について
発明の詳細な説明には、「リモネンの含有量は、5?100ppmであり、好ましくは30?90ppm、より好ましくは40?80ppmである」こと、「0.2?1.5g/Lのリンゴ酸と、5?100ppmのリモネンとを含有し、リンゴ酸とリモネンとの質量比を6?200とすることにより、高含有量の果汁を用いることなく、容器詰め炭酸アルコール飲料に、良好な柑橘香、味のコクの強さ、及び味の複雑味の強さを付与することができる」こと、「リモネンの含有量が5ppm未満である場合には良好な柑橘香が十分に感じられず、100ppmを超える場合には柑橘香が強調され過ぎて味のバランスが悪くなる」こと、「飲料に含まれるリモネンは、例えば、柑橘系香料由来、又は、柑橘系果汁由来とすることができる」ことが一般的に記載され(摘示c、d)、リンゴ酸を含有しリモネンの成分量が60ppmである実施例1?8の飲料が、リンゴ酸を含有せずリモネンの成分量が60ppmである比較例1の飲料と比較して、「柑橘香の良さ、味のコクの強さ、及び味の複雑味の強さのいずれも増強されていたこと」が記載されている(摘示e)。
そして、これらの記載に接した当業者は、本件発明1で特定されるリモネンの含有量5?100ppmの範囲について、当該範囲未満である場合には、良好な柑橘香が十分に感じられず、当該範囲を超える場合には、柑橘香が強調され過ぎて味のバランスが悪くなるという、本件発明1で特定される含有量の範囲の境界値について、上記課題との関係を理解することができ、実施例で示された評価の記載も考慮すれば、本件発明1で特定されるリモネンの量を含有する飲料が、良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ、無果汁又は低果汁の容器詰め炭酸アルコール飲料を提供することができることを認識できるといえる。
してみると、本件発明1は、当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲内のものであり、発明の詳細な説明に記載したものである。
本件発明2?7についても同様である。

(イ)申立理由2-2(原料酒の種類について)について
発明の詳細な説明には、「アルコール源として用いられる原料酒としては、蒸留酒が好ましく用いられる」こと、「アルコール源の一部が、醸造酒であることもまた好ましい」こと、「アルコール源の一部に果実酒等を用いることにより、飲料の刺激感を低減し、かつ、複雑な香味を付与することができる」ことが記載され(摘示d)、さらに、「クエン酸(第1の酸)と、コハク酸、酒石酸、リン酸、乳酸、及び酢酸の中から選択される1つ以上の酸(第2の酸)との組み合わせを用いることも好ましい」こと、「第1の酸と第2の酸との組み合わせを用いることにより、柑橘果汁由来のコク感や味の複雑さがより強調されるという効果が得られる」ことが記載されている(摘示d)。また、実施例1?5として、「ベース酒としては、原料用アルコール(エタノール濃度95%)とりんご由来の果実酒との混合物を用い」たもの、実施例6?8として、「ベース酒として、原料用アルコール(エタノール濃度95%)を用い」たものが記載され、実施例1?8の飲料が、リンゴ酸を含有しない比較例1の飲料と比較して、「柑橘香の良さ、味のコクの強さ、及び味の複雑味の強さのいずれも増強されていたこと」が記載されている(摘示e)。
上述のとおり、発明の詳細な説明には、アルコール源の一部に果実酒等を用いることにより、飲料の刺激感を低減し、かつ、複雑な香味を付与することができることが記載され、甲5?7に、「飲食品の風味の中で「コク・ボディ感(コク)」は、例えば、ワインなどの果実酒の場合、「厚みやふくらみ」とも称され、摂食時の満足感につながる重要な要素である」こと、「醸造酒は不純物が混じりやすいため、お酒だけでは出せない、複雑な香り、風味を持つことが多い」こと、「醸造酒(清酒,ビール,ワインなど)は不揮発成分である炭水化物,窒素成分,有機酸などを多く含むが,蒸留酒(焼酎,ウイスキー,ブランデー,スピリッツなど)はこれらの成分をほとんど含まない」こと、「ぶどう果汁の有機酸は酒石酸とリンゴ酸がほとんどで,このままワインの方に移行するが,そのほか,酢酸,コハク酸,乳酸,ピルビン酸などがアルコール発酵で生成される」ことが記載されている(摘示5a?7b)ことから、果実酒等の醸造酒が飲料の刺激感の低減、複雑な香味の付与に影響するといえるとしても、本件明細書の発明の詳細な説明には、好ましいアルコール源は蒸留酒であることが記載され(摘示d)、実施例において果実酒を用いなかった場合であっても(実施例6?8)、柑橘香の良さ、味のコクの強さ、及び味の複雑味の強さのいずれも増強されていたことが記載されている。また、原料酒以外にも、「第1の酸と第2の酸との組み合わせを用いることにより、柑橘果汁由来のコク感や味の複雑さがより強調されるという効果が得られる」ことが記載されている(摘示d)から、本件発明1は、第1の酸と第2の酸とを組み合わせることによっても、柑橘果汁由来のコク感や味の複雑さが強調されることが理解できる。
してみると、これら発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、原料酒は醸造酒に限定されるものではなく、原料酒として醸造酒を用いずとも、上記課題を解決できると認識できるといえる。

さらに、実施例において、原料酒として原料用アルコールを用いた場合のリンゴ酸の含有量は0.78g/Lのもののみであるが、発明の詳細な説明には、「リンゴ酸の含有量は、0.2?1.5g/Lであり、好ましくは0.6?1.5g/Lである」こと、「リンゴ酸の含有量が0.2g/L未満である場合には、良好な柑橘香が十分に付与できず、十分なコクの強さが得られず、十分な複雑味が得られない場合があり、1.5g/Lを超える場合には柑橘特有のすっきりした風味や清涼感が感じられ難くなる」ことが記載されており(摘示c)、これらの記載に接した当業者は、本件発明1で特定されるリンゴ酸の含有量0.2?1.5g/Lの範囲について、当該範囲未満である場合には、良好な柑橘香が十分に付与できず、十分なコクの強さが得られず、十分な複雑味が得られない場合があり、当該範囲を超える場合には、柑橘特有のすっきりした風味や清涼感が感じられ難くなるという、本件発明1で特定される含有量の範囲の境界値について、上記課題との関係を理解することができ、実施例で示された評価の記載も考慮すれば、本件発明1で特定されるリンゴ酸を含有する飲料が、良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ、無果汁又は低果汁の容器詰め炭酸アルコール飲料を提供することができることを認識できるといえる。
してみると、本件発明1は、当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲内のものであり、発明の詳細な説明に記載したものである。

本件発明2、5?7についても同様である。

ウ まとめ
以上のとおりであるから、申立理由2には理由がない。

(3)申立理由3について
ア 申立理由3-2(リモネンの濃度の数値範囲について)について
上記(2)イ(ア)で述べたとおり、発明の詳細な説明の記載から、当業者は、本件発明1で特定されるリモネンの量を含有する飲料が、良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ、無果汁又は低果汁の容器詰め炭酸アルコール飲料を提供することができることを認識できるといえ、また、当業者はリモネンの濃度は、柑橘系香料又は柑橘系果汁の量により調整することができるといえるから(摘示d)、発明の詳細な説明は、本件発明1について、そのリモネンの濃度の全範囲において当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる。

本件発明2?7についても同様である。

イ 申立理由3-3(原料酒の種類について)について
上記(2)イ(イ)で述べたとおり、発明の詳細な説明の記載から、当業者は、原料酒は醸造酒に限定されるものではなく、原料酒として醸造酒を用いずとも、良好な柑橘香と、強いコク感及び複雑味とを併せ持つ、無果汁又は低果汁の容器詰め炭酸アルコール飲料を提供することを認識できるといえ、また、当業者は原料酒として、各種の物を用いることができるといえるから(摘示d)、発明の詳細な説明は、本件発明1について、原料酒の種類にかかわらず、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる。

本件発明2、5?7についても同様である。

ウ まとめ
以上のとおりであるから、申立理由3には理由がない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、請求項1?7に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2021-10-11 
出願番号 特願2016-71567(P2016-71567)
審決分類 P 1 651・ 536- Y (C12G)
P 1 651・ 537- Y (C12G)
P 1 651・ 121- Y (C12G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西 賢二  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 齊藤 真由美
冨永 保
登録日 2020-05-20 
登録番号 特許第6706525号(P6706525)
権利者 アサヒビール株式会社
発明の名称 容器詰め炭酸アルコール飲料  
代理人 山崎 一夫  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 須田 洋之  
代理人 市川 さつき  
代理人 服部 博信  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 藤原 健史  
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