ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C07K |
---|---|
管理番号 | 1379047 |
審判番号 | 訂正2021-390076 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-05-14 |
確定日 | 2021-09-01 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6367393号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6367393号に係る特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項16について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第6367393号は、平成24年2月7日を国際出願日として出願された特願2013-553501号(優先権主張 平成23年2月8日)の一部を特許法第44条第1項の規定により平成29年2月13日に分割出願したものであり、当該分割出願の請求項1?16に係る発明について平成30年7月13日に特許権の設定登録がされ、その後、令和3年5月14日に本件訂正審判が請求されたものである。 また、令和3年7月8日に、審判請求人より上申書が提出された。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 1 請求の趣旨 本件請求の趣旨は、特許第6367393号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項16について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 2 訂正の内容 請求人が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項16において、「・・・PEVTCVWDVSHEDPE・・・」との記載を、「・・・PEVTCVVVDVSHEDPE・・・」との記載に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項16において、「・・・REEQYNSTYRWSVLTVLHQD・・・」との記載を、「・・・REEQYNSTYRVVSVLTVLHQD・・・」との記載に訂正する。 (2)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項16において、「・・・EKHKVYACEV」との記載を、「・・・EKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC」との記載に訂正する。 第3 当審の判断 1 訂正事項1?3について (1)訂正の目的について 訂正事項1?3は、訂正前の請求項16に記載された2つのアミノ酸配列を、訂正後の請求項16に記載の2つのアミノ酸配列に訂正しようとするものであって、訂正後の請求項16に記載される2つのアミノ酸配列は、本件特許明細書【0229】に記載される、抗体の血清中半減期を増加させるFc変異領域を有するものである、抗ブドウ球菌α毒素抗体の重鎖LC10-IgG1-YTE及び軽鎖LC10-κのアミノ酸配列と同一である。そして、本件特許明細書【0316】には、LC10 YTE抗体が、Fc変異体を含むmAb LC10に対応する抗体であることが記載されているから、上記重鎖LC10-IgG1-YTE及び軽鎖LC10-κからなる抗体は、LC10 YTE抗体であると認められる。 訂正前の請求項16に記載の各アミノ酸配列が、本件特許明細書【0229】に記載される、LC10 YTE抗体の重鎖LC10-IgG1-YTE及び軽鎖LC10-κのアミノ酸配列を記載しようとしたものであることは、訂正前の請求項16に記載の2つのアミノ酸配列と同【0229】に記載される2つのアミノ酸配列とが訂正事項1?3以外の部分で同一である点、及び訂正前の請求項16が引用する請求項1に記載の6つのCDR、VH、及びVLのアミノ酸配列が、本件特許明細書【0312】の表7のmAb LC10のそれらと同一である点から、明らかである。 そして、訂正事項1、2で訂正されるアミノ酸部位は、重鎖定常領域に存在し、訂正事項3で訂正されるアミノ酸部位は、軽鎖定常領域に存在すると認められるところ、本願優先日前に公知のヒトIgG1の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域の配列を考慮すれば、本件特許明細書【0229】に重鎖、軽鎖として記載されるアミノ酸配列が正しく記載されたものであり、訂正前の請求項16に記載のアミノ酸配列が誤記であることも、当業者であれば明らかである。 よって、本件訂正1?3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の追加について 訂正後の請求項16に記載の2つのアミノ酸配列は、願書に最初に添付した外国語書面の第78頁に記載される、LC10 YTE抗体の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列と同一であり、訂正事項1?3が、いずれも「願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(外国語書面出願に係る特許にあっては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であることは、明らかである。 よって、本件訂正1?3は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)特許請求の範囲の実質的な拡張又は変更について 訂正事項1は、上記(1)で述べたとおり、誤記を訂正するものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 よって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲の請求項7に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出せない。 よって、特許法126条第7項の規定に適合するものである。 第4 むすび したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 単離抗体又はその抗原結合断片であって、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドに免疫特異的に結合し、且つ (a)配列番号69のアミノ酸配列を含むVH CDR1; (b)配列番号70のアミノ酸配列を含むVH CDR2; (c)配列番号71のアミノ酸配列を含むVH CDR3; (d)配列番号1のアミノ酸配列を含むVL CDR1; (e)配列番号2のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び (f)配列番号68のアミノ酸配列を含むVL CDR3 を含み、前記単離抗体又はその抗原結合断片のVH及びVLは、それぞれ、配列番号57及び58のアミノ酸配列を含む、前記単離抗体又はその抗原結合断片。 【請求項2】 前記単離抗体又はその抗原結合断片が、 (a)13nM以下のα毒素に対する親和性定数(K_(D)); (b)α毒素モノマーに結合するが、α毒素のα毒素受容体との結合は阻害しない; (c)α毒素オリゴマーの形成を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%阻害する; (d)α毒素細胞溶解活性を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%低下させる;及び (e)細胞浸潤及び炎症誘発性サイトカイン放出を低下させる; からなる群から選択される特性の1つ以上を有する、請求項1に記載の抗体又は抗原結合断片。 【請求項3】 請求項2の前記(d)におけるα毒素細胞溶解活性が、細胞溶解及び溶血アッセイにより決定されるものである、及び/又は 請求項2の前記(e)細胞浸潤及び炎症誘発性サイトカイン放出の低下が動物肺炎モデルにおける低下である、 請求項2に記載の抗体又は抗原結合断片。 【請求項4】 請求項1?3のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片を含む組成物。 【請求項5】 前記組成物がさらなる薬剤を含み、前記さらなる薬剤が抗生物質である、請求項4に記載の組成物。 【請求項6】 (a)請求項1?3のいずれか1項に記載の抗体若しくは抗原結合断片又は請求項4若しくは5に記載の組成物; (b)前記組成物の使用説明書又は前記組成物の使用説明書の入手方法指図書 を含むキット。 【請求項7】 対象における肺炎の予防、治療又は管理のための、請求項1?3のいずれか1項に記載の抗体若しくは抗原結合断片又は請求項4若しくは5に記載の組成物。 【請求項8】 対象における皮膚感染病態の予防、治療又は管理のための、請求項1?3のいずれか1項に記載の抗体若しくは抗原結合断片又は請求項4若しくは5に記載の組成物。 【請求項9】 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素オリゴマーの形成を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%又は95%阻害するための、請求項1?3のいずれか1項に記載の抗体若しくは抗原結合断片又は請求項4若しくは5に記載の組成物。 【請求項10】 配列番号39の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素の断片に免疫特異的に結合する、請求項1?3のいずれか1項に記載の抗体又は抗原結合断片。 【請求項11】 前記抗体又はその抗原結合断片が、 (a)配列番号39のアミノ酸261?272; (b)配列番号39のアミノ酸173?201; (c)配列番号39のアミノ酸261?272及び配列番号39のアミノ酸173?201;又は (d)配列番号39のアミノ酸248?277 を含む断片に結合する、請求項10に記載の単離抗体又は抗原結合断片。 【請求項12】 前記抗体又はその抗原結合断片が、配列番号39の残基T261、T263、N264、K266及びK271と接触する、配列番号39の残基N177、W179、G180、P181、Y182、D183、D185、S186、W187、N188、P189、V190、Y191及びR200と接触する、又は配列番号39の残基T261、T263、N264、K266、K271、N177、W179、G180、P181、Y182、D183、D185、S186、W187、N188、P189、V190、Y191及びR200と接触する、請求項10又は11に記載の単離抗体又は抗原結合断片。 【請求項13】 前記抗体又はその抗原結合断片がα毒素のヘプタマー形成を阻止し、及び前記抗体又は抗原結合断片が、配列番号39のT261、T263、N264、K266、K271、N177、W179、G180、P181、Y182、D183、D185、S186、W187、N188、P189、V190、Y191及びR200からなる群から選択される1つ以上の残基と接触する、請求項1?3のいずれか1項に記載の抗体若しくは抗原結合断片。 【請求項14】 前記抗生物質がバンコマイシンである、請求項5に記載の組成物。 【請求項15】 α毒素オリゴマーの形成を阻害するための、請求項12に記載の単離抗体又は抗原結合断片。 【請求項16】 単離抗体又はその抗原結合断片が、Fc変異領域を含み、 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSHDMHWVRQATGKGLEWVSGIGTAGDTYYPDSVKGRFTISRENAKNSLYLQMNSLRAGDTAVYYCARDRYSPTGHYYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK 及び DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQSISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCKQYADYWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC を含む、請求項1?3、7?13及び15のいずれか1項に記載の単離抗体又はその抗原結合断片。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-07-21 |
結審通知日 | 2021-07-28 |
審決日 | 2021-08-18 |
出願番号 | 特願2017-23905(P2017-23905) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(C07K)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 池上 文緒 |
特許庁審判長 |
中島 庸子 |
特許庁審判官 |
田村 聖子 平林 由利子 |
登録日 | 2018-07-13 |
登録番号 | 特許第6367393号(P6367393) |
発明の名称 | 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素に特異的に結合する抗体及び使用方法 |
代理人 | 特許業務法人平木国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人平木国際特許事務所 |