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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A61K 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A61K 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する A61K 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する A61K 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する A61K |
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管理番号 | 1379053 |
審判番号 | 訂正2021-390098 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-07-13 |
確定日 | 2021-09-28 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6816012号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6816012号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3-12〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許第6816012号(以下、「本件特許」という。)に係る出願(特願2017-550611号)は、2016年3月22日(パリ条約による優先権主張 2015年3月26日、2015年8月5日 いずれもイタリア(IT))を国際出願日として出願され、令和2年12月25日に特許権の設定登録がなされたものである。 その後、令和3年7月13日に、本件特許に対して本件訂正審判の請求がされたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6816012号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、請求項3から12について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。 そして、本件訂正審判の請求による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、以下の訂正事項1のとおりである。(なお、下線は訂正箇所を示す。) ここで、請求項4?12は、請求項3を直接あるいは間接的に引用する請求項であって、請求項3に連動して訂正されるものであり、下記訂正事項1に関し、請求項3?12は一群の請求項を構成している。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項3に「前記エステルは、好ましくはC1?C3のアルキルエステルである、請求項1又は2に記載の精製方法。」と記載されているのを、 「前記エステルは、好ましくはC1?C3のアルキルエステルであり、前記精製された組成物が、0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカを含有する、請求項1又は2に記載の精製方法。」に訂正する。 また、請求項3を直接又は間接的に引用する請求項4?12も同様に訂正することになる。 第3 当審の判断 1 訂正の目的について 本件訂正前の請求項3は、 「【請求項3】 前記エステルは、好ましくはC1?C3のアルキルエステルである、請求項1又は2に記載の精製方法。」であり、 この請求項3が引用する請求項1は、 「【請求項1】 オメガ3および/またはオメガ6系列に属し、2?6個の二重結合および18個以上の炭素原子を有する、動物および/または植物由来の長鎖多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはエステルを含む組成物であって、精製された組成物は、合計濃度が0.01%以下、すなわち100ppm以下のフラン脂肪酸またはその対応する塩もしくはエステルを含む、長鎖多価不飽和脂肪酸を含む、精製方法であって、 a)精製される長鎖多価不飽和脂肪酸を含む混合物の1重量部を、沸点で、所望により最大20%の水を含む極性溶媒中、好ましくは、メタノールまたはエタノール等のプロトン性溶媒中で少なくとも3重量部の尿素を用いて処理し、前記組成物を含有する尿素包接錯体を生成する段階と、 b)冷却して前記尿素錯体を沈殿させ、前記尿素錯体を濾過により単離し、事前に尿素を飽和させた前記極性溶媒で洗浄する段階と、 c)前記尿素包接錯体を水に溶解し、前記溶解後に形成された油相を、前記油相を水と混合不可能な有機溶媒、典型的にはヘキサンで抽出し、次に前記溶媒を蒸発乾固することによって、または超臨界流体、特に二酸化炭素により前記尿素包接錯体から直接抽出することによって分離する段階と を含む精製方法。」であり、 上記請求項1を引用する同請求項2は、 「【請求項2】 前記脂肪酸は、海洋由来であり、特に、水産養殖魚を含む魚油由来、またはクリルオイル由来、またはさらに藻類およびその他油糧微生物由来、または選択した菌株の藻類またはその他微生物の「単細胞発酵」由来であり、エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5 n-3、全シス)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6 n-3、全シス)またはその塩もしくはエステルを含む、請求項1に記載の精製方法。」である。 すなわち、訂正後の請求項3は、訂正前の請求項3における精製方法について、請求項1又は2に記載の精製方法により得られる「精製された組成物」が「0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカを含有する」ものである方法であることを特定したものであるから、請求項3についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 請求項3を引用する訂正後の請求項4?12についての訂正も、同様である。 よって、訂正事項1による請求項3?12についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面である本件特許の設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)の【0113】?【0115】には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付した。 「【0113】 本発明のプロセスに従う精製後、多数の多価不飽和脂肪酸の精製組成物が得られたが、これらのうち、当然ながら限定的ではないいくつかの例を、以下で手短に大まかに報告する。 ・・・ 【0114】 これらすべての組成物は、 - 0.1%以下、すなわち1000ppm以下、好ましくは0.01%以下、すなわち、100ppm以下の合計濃度のフラン脂肪酸またはその対応する塩もしくは好ましくはC1?C3のアルキルエステルを合わせたものを含むことを特に特徴とする。 【0115】 当該組成物はまた、一般に、 ・・・ - 5.0ng/g以下、好ましくは0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカ、 ・・・を含むことをさらに特徴とする。」 すなわち、訂正後の請求項3で特定された、請求項1又は2に記載の精製方法により得られる「精製された組成物が、0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカを含有する」ものである点は、本件明細書等に記載されている事項である。 請求項3を引用する訂正後の請求項4?12についても、同様である。 よって、訂正事項1による請求項3?12についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。 3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上述のとおり、訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項3の精製方法をさらに特定するものであり、この訂正は、訂正前の請求項3に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項3に記載された発明の対象や目的を変更するものでもない。 請求項3を引用する訂正後の請求項4?12についての訂正も、同様である。 よって、訂正事項1による請求項3?12についての訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合する。 4 独立特許要件 上記1で説示したとおり、上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、かかる訂正によって、その範囲が減縮された、特許請求の範囲の請求項3?12については、本件訂正後のこれらの請求項に記載されている事項により特定される発明が特許法第126条第7項に規定する要件(「特許出願の際独立して特許を受けることができるものであること」、いわゆる、独立特許要件)に適合するか検討を要するものであるが、本件訂正後の請求項3?12に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は見出せない。 よって、訂正事項1による請求項3?12についての訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 オメガ3および/またはオメガ6系列に属し、2?6個の二重結合および18個以上の炭素原子を有する、動物および/または植物由来の長鎖多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはエステルを含む組成物であって、精製された組成物は、合計濃度が0.01%以下、すなわち100ppm以下のフラン脂肪酸またはその対応する塩もしくはエステルを含む、長鎖多価不飽和脂肪酸を含む、精製方法であって、 a)精製される長鎖多価不飽和脂肪酸を含む混合物の1重量部を、沸点で、所望により最大20%の水を含む極性溶媒中、好ましくは、メタノールまたはエタノール等のプロトン性溶媒中で少なくとも3重量部の尿素を用いて処理し、前記組成物を含有する尿素包接錯体を生成する段階と、 b)冷却して前記尿素錯体を沈殿させ、前記尿素錯体を濾過により単離し、事前に尿素を飽和させた前記極性溶媒で洗浄する段階と、 c)前記尿素包接錯体を水に溶解し、前記溶解後に形成された油相を、前記油相を水と混合不可能な有機溶媒、典型的にはヘキサンで抽出し、次に前記溶媒を蒸発乾固することによって、または超臨界流体、特に二酸化炭素により前記尿素包接錯体から直接抽出することによって分離する段階と を含む精製方法。 【請求項2】 前記脂肪酸は、海洋由来であり、特に、水産養殖魚を含む魚油由来、またはクリルオイル由来、またはさらに藻類およびその他油糧微生物由来、または選択した菌株の藻類またはその他微生物の「単細胞発酵」由来であり、エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5 n-3、全シス)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6 n-3、全シス)またはその塩もしくはエステルを含む、請求項1に記載の精製方法。 【請求項3】 前記エステルは、好ましくはC1?C3のアルキルエステルであり、 前記精製された組成物が、0.5ng/g以下の合計濃度のPCBマーカを含有する、請求項1又は2に記載の精製方法。 【請求項4】 前記アルキルエステルは、エチルエステルであり、EPAもしくはEPAエチルエステルまたはDHAもしくはDHAエチルエステルまたはそれらの合計の濃度は、組成物の15?100重量%、好ましくは50?100重量%である、請求項3に記載の精製方法。 【請求項5】 オメガ3および/またはオメガ6系列に属し、2?6個の二重結合および18個以上の炭素原子を有する、動物および/または植物由来の前記長鎖多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはエステルは、オメガ3および/またはオメガ6系列の少なくとも18個の炭素原子および2?6個の二重結合を有するアシル基を少なくとも含む、海洋、水産養殖、藻類または発酵由来を含む動物または植物由来の油または脂肪を、アルカリ加水分解もしくは酸加水分解するか、または所望により酵素触媒反応下で好ましくはC1?C3の脂肪族アルコールとエステル交換し、次に請求項1に開示の精製方法にかけることによって得られる、請求項1から4のいずれか1項に記載の精製方法。 【請求項6】 前記加水分解またはエステル交換から得られる前記長鎖多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはエステルは、蒸留または分子蒸留または「短行程」蒸留によって、飽和成分および低不飽和度のその他成分との尿素の漸進的な錯化による分別、ならびに生成された錯体の除去によって、また向流抽出、硝酸銀水溶液抽出、超臨界流体を用いた抽出および/または分別、その後、請求項1に従って前記段階a)の尿素中への包接を行うことによって、多価不飽和成分の濃縮の操作にかけられる、請求項5に記載の精製方法。 【請求項7】 前記方法は、前記段階c)で回収した前記多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはアルキルエステルに、分子/短行程蒸留または超臨界流体を用いた抽出を行う段階d)を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の精製方法。 【請求項8】 前記組成物が15?30%の前記多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはアルキルエステルの含有量を有し、尿素を用いた前記組成物の前記段階a)の処理は、1重量部の前記混合物を、3段階で連続して合計3?6重量部の尿素を用いて処理することによって実行される、請求項1から7のいずれか1項に記載の精製方法。 【請求項9】 前記組成物が31?80%の前記多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはアルキルエステルの含有量を有し、尿素を用いた前記組成物の前記段階a)の処理は、1重量部の前記混合物を、2段階で連続して合計3?5重量部の尿素を用いて処理することによって実行される、請求項1から7のいずれか1項に記載の精製方法。 【請求項10】 前記組成物が80%超の前記多価不飽和脂肪酸またはその塩もしくはアルキルエステルの含有量を有し、尿素を用いた前記組成物の前記段階a)の処理は、1重量部の前記混合物を、1段階で3?4重量部、好ましくは4重量部の尿素を用いて処理することによって実行される、請求項1から7のいずれか1項に記載の精製方法。 【請求項11】 尿素を用いた前記組成物の前記段階a)の処理は、極性溶媒として、4.5?7重量部の量のメタノールまたは45?65重量部の量のエタノールを使用することによって行われる、請求項1から10のいずれか1項に記載の精製方法。 【請求項12】 前記精製方法によって得られる組成物が0.5ng/g以下の合計濃度でポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)を含有する、請求項1から11のいずれか1項に記載の精製方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2021-08-25 |
結審通知日 | 2021-08-30 |
審決日 | 2021-09-15 |
出願番号 | 特願2017-550611(P2017-550611) |
審決分類 |
P
1
41・
841-
Y
(A61K)
P 1 41・ 856- Y (A61K) P 1 41・ 851- Y (A61K) P 1 41・ 854- Y (A61K) P 1 41・ 855- Y (A61K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鳥居 福代 |
特許庁審判長 |
前田 佳与子 |
特許庁審判官 |
渕野 留香 穴吹 智子 |
登録日 | 2020-12-25 |
登録番号 | 特許第6816012号(P6816012) |
発明の名称 | 多価不飽和脂肪酸の精製方法 |
代理人 | 特許業務法人後藤特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人後藤特許事務所 |