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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  A63F
審判 査定不服 特174条1項 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  A63F
審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  A63F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  A63F
管理番号 1379128
審判番号 不服2021-81  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-05 
確定日 2021-11-02 
事件の表示 特願2017-199300号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年5月16日出願公開、特開2019-72053号、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成29年10月13日の出願であって、令和1年8月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月24日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月27日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年4月28日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月28日付け(送達日:同年10月6日)で、同年4月28日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和3年1月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 原審における補正の却下の決定の当否について

請求人は、審判請求書の「請求の趣旨」において、「原査定を取り消す。本願は特許をすべきものである、との審決を求める。」とし、「請求の理由」「本願発明が特許されるべき理由」の「(2)補正の却下の決定に対する意見」において、「令和2年9月28日付けの補正の却下の決定では、本願発明1及び2は引用文献1(特開2016-000076号公報)及び引用文献2(特開2008-000212号公報)に記載された発明から当業者であれば容易に想到し得るものであると認定されている。当該補正の却下の決定に対する意見を以下に述べる。本願発明1及び2と引用文献1に記載された発明とを対比すると、本願発明1及び2は、・「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたとしても、動作電力の供給が開始された場合に前記所定の設定関連処理を実行させるための操作が行われている場合、前記所定の設定関連処理が実行されて前記規制状態ではない状態となる」という構成を備えているのに対して、引用文献1に記載された発明は当該構成を備えていない点で相違する(以下、相違点という)。」
「これに対して、引用文献1には上記相違点に係る構成が記載も示唆もされていないだけではなく、上記更なる課題も記載も示唆もされていない。」「また、引用文献2にも上記相違点に係る構成は記載も示唆もされておらず、・・・。」と述べている。
また、請求人は、同「(3)拒絶査定に対する意見」において、「令和2年4月28日付け手続補正書により補正された請求項1及びそれを従属する請求項2に係る発明は、令和2年2月27日付け拒絶理由通知書による拒絶理由を解消していることは令和2年4月28日付け意見書にて主張した通りである。よって、本願は令和2年2月27日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって拒絶をすべきものであるとする令和2年9月28日付け拒絶査定の判断は妥当ではない。」と主張している。
以上のことを踏まえると、請求人は、審判請求書の「請求の趣旨」において、令和2年9月28日付けの補正の却下の決定の取り消しを求める旨を明記してはいないものの、その取り消しを求めていると認められるから、上記補正の却下の決定の当否について検討する。

[補正の却下の決定の当否の結論]
令和2年9月28日付け補正の却下の決定を取り消す。

[理由]
1 令和2年4月28日付け手続補正の概要

令和2年4月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、本件補正前の特許請求の範囲、すなわち令和1年10月24日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、以下の本件補正後の特許請求の範囲に補正された(下線部は、補正箇所である。AないしEの符号は合議体により付与したものである。)。

本件補正前
「【請求項1】
第1制御手段と、
当該第1制御手段が送信した情報に対応する制御を実行する第2制御手段と、
を備えた遊技機において、
前記第1制御手段は、
遊技者の有利度に対応する複数段階の設定値の中から使用対象となる設定値を設定する設定手段と、
動作電力の供給が開始された場合に供給開始時の処理を開始する手段と、
動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記設定値に関する所定の設定関連処理が実行された状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されたことに対応する第1開始対応情報を送信する第1送信手段と、
動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記所定の設定関連処理が実行されなかった状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されなかったことに対応する第2開始対応情報を送信する第2送信手段と、
動作電力の供給が開始された場合に所定の記憶領域に記憶された情報に関して所定異常が発生しているか否かを監視する所定監視手段と、
当該所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたことに基づいて、遊技を進行させるための所定進行処理の実行が規制される規制状態とする規制手段と、を備え、
前記第2制御手段は、前記第1開始対応情報を受信したことに基づいて所定演出の実行制御を可能とし、前記第2開始対応情報を受信したことに基づいて前記所定演出の実行制御を可能とし、
前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されて前記規制手段により前記規制状態とされた場合、前記第1開始対応情報及び前記第2開始対応情報が前記第1制御手段から送信されない構成であることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技価値を利用して遊技が行われることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」

本件補正後
「【請求項1】
A 第1制御手段と、
B 当該第1制御手段が送信した情報に対応する制御を実行する第2制御手段と、
を備えた遊技機において、
前記第1制御手段は、
A1 遊技者の有利度に対応する複数の設定値の中から使用対象となる設定値を設定する設定手段と、
A2 動作電力の供給が開始された場合に供給開始時の処理を開始する手段と、
A3 動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記設定値に関する所定の設定関連処理が実行された状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されたことに対応する第1開始対応情報を送信する第1送信手段と、
A4 動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記所定の設定関連処理が実行されなかった状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されなかったことに対応する第2開始対応情報を送信する第2送信手段と、
A5 動作電力の供給が開始された場合に所定の記憶領域に記憶された情報に関して所定異常が発生しているか否かを監視する所定監視手段と、
A6 当該所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたことに基づいて、遊技を進行させるための所定進行処理の実行が規制される規制状態とする規制手段と、を備え、
B1 前記第2制御手段は、前記第1開始対応情報を受信したことに基づいて所定演出の実行制御を可能とし、前記第2開始対応情報を受信したことに基づいて前記所定演出の実行制御を可能とし、
C 前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されて前記規制手段により前記規制状態とされた場合であって前記所定の設定関連処理が実行されない場合、前記第1開始対応情報及び前記第2開始対応情報が前記第1制御手段から送信されない構成であり、
D 前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたとしても、動作電力の供給が開始された場合に前記所定の設定関連処理を実行させるための操作が行われている場合、前記所定の設定関連処理が実行されて前記規制状態ではない状態となる
E ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技価値を利用して遊技が行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」

以下、本件補正後の請求項1及び2に係る発明を、それぞれ、「本願補正発明1」、「本願補正発明2」という。

2 令和2年9月28日付けでした、補正の却下の決定の概要

令和2年9月28日付けでした、補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。
本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としている。この場合、本件補正後の請求項1及び2に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないが、当該補正後の請求項1及び2に係る発明は、同法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下するというものである。

3 本件補正の適否

(1) 補正事項
本件補正は、以下の補正事項を含むものである。

ア 補正事項ア
本件補正前の請求項1の「遊技者の有利度に対応する複数段階の設定値」の記載を、「遊技者の有利度に対応する複数の設定値」と補正する。

イ 補正事項イ
本件補正前の請求項1の「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されて前記規制手段により前記規制状態とされた場合、前記第1開始対応情報及び前記第2開始対応情報が前記第1制御手段から送信されない構成である」の記載を、「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されて前記規制手段により前記規制状態とされた場合であって前記所定の設定関連処理が実行されない場合、前記第1開始対応情報及び前記第2開始対応情報が前記第1制御手段から送信されない構成であり、」と補正する。

ウ 補正事項ウ
本件補正前の請求項1に「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたとしても、動作電力の供給が開始された場合に前記所定の設定関連処理を実行させるための操作が行われている場合、前記所定の設定関連処理が実行されて前記規制状態ではない状態となる」の記載を付加する。

(2) 新規事項の追加の有無
補正事項アないし補正事項ウは、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本願明細書等」という。)における【2062】、【2072】ないし【2078】、図165及び図167等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

(3) 本件補正の目的
補正事項イは、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1制御手段」が行う制御に関して、「前記第1開始対応情報及び前記第2開始対応情報が前記第1制御手段から送信されない」ことが発生するのは、「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されて前記規制手段により前記規制状態とされた場合」のうち「前記所定の設定関連処理が実行されない場合」であることが限定されたものであり、補正事項ウは、前記「第1制御手段」の行う制御に関して、「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたとしても、動作電力の供給が開始された場合に前記所定の設定関連処理を実行させるための操作が行われている場合、前記所定の設定関連処理が実行されて前記規制状態ではない状態となる」点が限定されたものである。
したがって、補正事項イ及び補正事項ウは、補正前の請求項1に記載されていた「第1制御手段」に関する構成を限定するものであり、本件補正の前後で技術分野及び解決課題が同一である。
また、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明を対比すると、両者は産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であると認められる。
よって、補正事項イ及び補正事項ウを含む本件補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

4 独立特許要件

本件補正は、上記3(3)に示したように、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的として含むものであるから、本願補正発明1及び本願補正発明2が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。

(1) 本願補正発明1及び本願補正発明2
本願補正発明1及び本願補正発明2は、それぞれ、上記1の「本件補正後」の【請求項1】及び【請求項2】に記載したとおりのものである。

(2) 引用文献

ア 引用文献1

(ア) 記載事項
令和2年9月28日付けの補正の却下の決定に引用され、本願の出願前に公開された特開2016-76号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。

引1-ア
「【技術分野】
【0001】
本発明は、投入口から投入された遊技媒体を用いて遊技を行うことが可能なスロットマシンに関する。」

引1-イ
「【0059】
さらに、電源ボックス100の前面には、BB終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36bと、電源投入時(起動時)に設定変更状態および設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37と、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては内部抽選の当選確率(払出率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38と、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39とが設けられている。」

引1-ウ
「【0073】
図3に示すように、スロットマシン1には、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0074】
・・・。
【0075】
電源基板101には、ホッパーモータ34bと、払出センサ34cと、満タンセンサ35aと、打止スイッチ36aと、自動精算スイッチ36bと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38と、電源スイッチ39とが接続されている。
【0076】
遊技制御基板40には、1枚BETスイッチ5と、MAXBETスイッチ6と、スタートスイッチ7と、ストップスイッチ8L、8C、8Rと、精算スイッチ10と、リセットスイッチ23と、ドア開放検出スイッチ25と、リールセンサ33L、33C、33Rとが接続されているとともに、電源基板101を介して払出センサ34cと、満タンセンサ35aと、打止スイッチ36aと、自動精算スイッチ36bと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38とが接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力される。
【0077】
遊技制御基板40には、クレジット表示器11と、遊技補助表示器12と、ペイアウト表示器13と、1?3BETLED14?16と、投入要求LED17と、スタート有効LED18と、ウェイト中LED19と、リプレイ中LED20と、BETスイッチ有効LED21と、左、中、右停止有効LED22L、22C、22Rと、設定値表示器24と、返却スイッチ60と、リールモータ32L、32C、32Rとが接続されているとともに、電源基板101を介してホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の制御に基づいて駆動される。
【0078】
遊技制御基板40には、流路切替ソレノイド30、投入メダルセンサ31、通過センサ70a、および撮影カメラ70bを備えたメダルセレクタ29が接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の制御に基づいて駆動される。
【0079】
遊技制御基板40には、遊技の制御を行うメイン制御部41が搭載されている。メイン制御部41は、メインCPU41aと、ROM41bと、RAM41cと、I/Oポート41dとを備えたマイクロコンピュータからなる。
【0080】
遊技制御基板40には、所定範囲(本実施の形態では0?65535)の乱数を発生させる乱数回路42と、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43と、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44と、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45と、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46と、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47と、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48と、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49と、その他各種デバイスおよび回路とが搭載されている。
【0081】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラムを実行して、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブルなどの固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域などとして使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0082】
メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持される。
【0083】
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。メインCPU41aは、割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(メイン)を実行し、一定時間間隔ごとにタイマ割込処理(メイン)を実行する。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡する。
【0084】
電断処理においては、当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして、使用している可能性がある全てのレジスタをRAM41cに退避させる処理が行われる。これにより、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。次に、全出力ポートを初期化した後、RAM41cに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行わないループ処理に入る。そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。このように電断処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納され、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAM41cに格納されているデータが正常か否かを確認できる。
【0085】
リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させる。リセット回路49は、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行わなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させる回路である。
【0086】
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に各種のコマンドを送信する。ここで、遊技制御基板40から演出制御基板90へは、たとえば、ダイオードやトランジスタなどの単方向性回路などを用いて、一方向(遊技制御基板40から演出制御基板90への方向)のみにしか信号が通過できないように構成されている。そのため、遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送信され、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送信されることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へのコマンド送信は、シリアル通信にて行われる。なお、遊技制御基板40と演出制御基板90とは、直接接続される構成に限らず、たとえば、中継基板を介して接続されるように構成してもよい。
【0087】
演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力される。
【0088】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図2参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、演出用停止LED57a?57dなどの演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91による制御に基づいて駆動される。
【0089】
本実施の形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、演出用停止LED57a?57dなどの演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としてもよい。このような構成では、サブ制御部91および出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われる。
【0090】
本実施の形態では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、演出用停止LED57a?57dを例示しているが、演出装置は、これらに限られず、たとえば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用してもよい。
【0091】
演出制御基板90には、演出の制御を行うサブ制御部91と、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92と、演出効果LED52と、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93と、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94と、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95と、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ回路96と、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98とが搭載されている。
【0092】
サブ制御部91は、サブCPU91aと、ROM91bと、RAM91cと、I/Oポート91dとを備えたマイクロコンピュータにて構成されている。サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。」

引1-エ
「【0109】
[設定値]
本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率(賭数設定に用いたメダルの総数と、入賞によって払い出されたメダルの総数との比率)が変わる。詳しくは、内部抽選などにおいて設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わる。設定値は1?6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0110】
設定値の変更および確認をするためには、設定キースイッチ37をON状態にする必要がある。設定キースイッチ37をON状態にすると、遊技の進行が不可能な状態である設定変更状態および設定確認状態に移行して、液晶表示器51の画面上に選択画面が表示される。選択画面において、設定確認モードを選択すると、現在の設定値が液晶表示器51の画面上に表示される。選択画面において、設定変更モードを選択すると、現在の設定値が液晶表示器51の画面上に表示されるとともに、リセット/設定スイッチ38を操作することによって設定値が変更され、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定する。設定キースイッチ37をOFFにすると、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
【0111】
[電断処理]
本実施の形態のスロットマシン1においては、メイン制御部41は、タイマ割込処理(メイン)を実行するごとに、電断検出回路48からの電圧低下信号が検出されているか否かを判定する停電判定処理を行い、停電判定処理において電圧低下信号が検出されていると判定した場合に、次回復帰時にRAM41cのデータが正常か否かを判定するためのデータを設定する電断処理(メイン)を実行する。
【0112】
メイン制御部41は、その起動時においてRAM41cのデータが正常であることを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMデータが正常でない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させる。
【0113】
サブ制御部91もタイマ割込処理(サブ)において電断検出回路98からの電圧低下信号が検出されているか否かを判定し、電圧低下信号が検出されていると判定した場合に、次回復帰時にRAM91cのデータが正常か否かを判定するためのデータを設定する電断処理(サブ)を実行する。
【0114】
サブ制御部91は、その起動時においてRAM91cのデータが正常であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブ制御部91の処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAM91cのデータが正常でない場合には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化する。この場合、メイン制御部41と異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
【0115】
サブ制御部91は、その起動時においてRAM91cのデータが正常であると判断された場合でも、メイン制御部41から設定変更状態に移行した旨を示す設定コマンドを受信した場合、起動後一定時間が経過してもメイン制御部41の制御状態が復帰した旨を示す復帰コマンドも設定コマンドも受信しない場合にも、RAM91cを初期化する。この場合も、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
【0116】
[初期化]
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。RAM41cの格納領域は、重要ワーク、特別ワーク、非保存ワーク、一般ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
【0117】
本実施の形態においてメイン制御部41は、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37およびリセット/設定スイッチ38の双方がONの状態での起動時、設定キースイッチ37がON、リセット/設定スイッチ38がOFFの状態での起動時、設定キースイッチ37がOFFの状態での起動時でRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の5つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる5種類の初期化を行う。
【0118】
初期化0は、RAM異常エラー時、設定キースイッチ37およびリセット/設定スイッチ38の双方がONの状態での起動時に行う初期化であり、初期化0では、RAM41cの全ての領域が初期化される。初期化1は、起動時において設定キースイッチ37がON、リセット/設定スイッチ38がOFFの状態であり、設定変更状態へ移行する場合においてその前に行う初期化であり、初期化1では、RAM41cの格納領域のうち重要ワークおよび特別ワーク以外の領域が初期化される。初期化2では、RAM41cの格納領域のうち一般ワーク、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。初期化3は、起動時において設定キースイッチ37がOFFの状態であり、かつRAM41cのデータが破壊されていない場合において行う初期化であり、初期化3では、非保存ワーク、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、1ゲーム終了時に行う初期化であり、初期化4では、RAM41cの格納領域のうち、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。」

引1-オ
「【0155】
本実施の形態では、メイン制御部41が演出制御基板90に対して、BETコマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、同時操作コマンド、入賞判定コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラー報知コマンド、同時操作エラーコマンド、復帰コマンド、設定変更コマンド、操作検出コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。」

引1-カ
「【0171】
復帰コマンドは、メイン制御部41が電断前の制御状態に復帰した旨を示すコマンドである。復帰コマンドは、メイン制御部41の起動時において電断前の制御状態に復帰した際に送信される。
【0172】
設定変更コマンドは、設定変更状態および設定確認状態に移行する旨を示すコマンドである。設定変更コマンドは、設定変更状態および設定確認状態に移行する際に送信される。」

(イ) 引用発明
上記した記載事項を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。aないしeの符号は、本願補正発明1の構成AないしEに対応させて合議体により付与したものである。

「a,b 投入口から投入された遊技媒体を用いて遊技を行うことが可能なスロットマシン1であって(【0001】)、スロットマシン1には、遊技状態を制御する遊技制御基板40、遊技状態に応じた演出を制御する演出制御基板90、電気部品の駆動電力を生成する電源基板101が設けられ(【0073】)、遊技制御基板40には、遊技の制御を行うメイン制御部41が搭載され、メイン制御部41は、メインCPU41aと、ROM41bと、RAM41cと、I/Oポート41dとを備えたマイクロコンピュータからなり(【0079】)、メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に各種のコマンドを送信し(【0086】)、演出制御基板90には、演出の制御を行うサブ制御部91が搭載され(【0091】)、サブ制御部91は、サブCPU91aと、ROM91bと、RAM91cと、I/Oポート91dとを備えたマイクロコンピュータにて構成され(【0092】)、
a1 電源基板101には、電源投入時(起動時)に設定変更状態および設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37と、設定変更状態においては内部抽選の当選確率(払出率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38が接続され(【0059】、【0075】)、遊技制御基板40には、電源基板101を介して設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38の検出信号が入力され(【0076】)、設定キースイッチ37をON状態にすると、遊技の進行が不可能な状態に移行し、リセット/設定スイッチ38を操作することによって設定値が変更され、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、設定キースイッチ37をOFFにすると、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行し(【0110】)、
a2 遊技制御基板40には、電源投入時にメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49が搭載され(【0080】)、リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させ(【0085】)、
a3,a4 メイン制御部41が演出制御基板90に対して、復帰コマンド、設定変更コマンドを含む複数種類のコマンドを送信し(【0155】)、復帰コマンドは、メイン制御部41が電断前の制御状態に復帰した旨を示すコマンドであり、メイン制御部41の起動時において電断前の制御状態に復帰した際に送信され(【0171】)、設定変更コマンドは、設定変更状態および設定確認状態に移行する旨を示すコマンドであり、設定変更状態および設定確認状態に移行する際に送信され(【0172】)、
a5 メインCPU41aは、電断処理においては、使用している可能性がある全てのレジスタをRAM41cに退避させる処理を行い、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにし、RAM41cに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAM41cに格納されているデータが正常か否かを確認でき(【0083】、【0084】)、
a6 メイン制御部41は、その起動時においてRAM41cのデータが正常であることを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMデータが正常でない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させ(【0112】)、
b1 サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信される復帰コマンド、設定変更コマンドを含む複数種類のコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行い(【0092】、【0155】)、
c,d メイン制御部41は、RAM異常エラー発生時、RAM41cの全ての領域が初期化される初期化を行う(【0117】、【0118】)、
e スロットマシン1(【0073】)。」

イ 引用文献2

(ア) 記載事項
同本願の出願前に公開された特開2008-212号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

引2-ア
「【0048】
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。・・・。」

引2-イ
「【0182】
図11は、遊技制御基板101のCPU111が実行する起動処理を示すフローチャートである。この起動処理は、遊技制御基板101のリセット回路からリセット信号が入力されて制御部110が起動されたときに行われる処理である。なお、リセット信号は、電源投入時及び制御部110の動作が停滞した場合に出力される信号であるので、起動処理は、電源投入に伴う制御部110の起動時及び制御部110の不具合に伴う再起動時に行われる処理となる。
【0183】
起動処理では、まず、内蔵デバイスや周辺IC、スタックポインタ等を初期化し(ステップS101)、RAM112へのアクセスを許可する(ステップS102)。そして、設定キースイッチ92がONの状態か否かを判定する(ステップS103)。設定キースイッチ92がONでなければ、RAM112に記憶されているデータのうちパリティ格納領域112-7を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算する(ステップS104)。
【0184】
次に、ここで計算したRAMパリティがパリティ格納領域112-7に格納されているRAMパリティ、すなわち前回の電源断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し(ステップS105)、双方のRAMパリティが一致したか否か、すなわちRAMに格納されているデータが正常か否かを判定する(ステップS106)。
【0185】
ステップS106においてRAMパリティが一致していなければ、RAM112に格納されているデータが正常ではないので、図13に示すRAM異常エラー処理に移行する。RAMパリティが一致していれば、RAM112に格納されているデータが正常であるので、スタック領域112-6に格納されているレジスタを復帰し(ステップS107)、割込禁止を解除して(ステップS108)、電源断前の処理に戻る。
【0186】
また、ステップS103において設定キースイッチ92がONの状態であれば、さらにデータクリアスイッチ95がONの状態であるかどうかを判定する(ステップS109)。データクリアスイッチがオンでなければ、設定キースイッチ92がONの状態であっても、データクリアスイッチ95の状態がONでなければ、RAM異常エラーコードがセットされているかどうかにより、RAM異常エラーがあった後に起動処理が行われたかどうかを判定する(ステップS110)。
【0187】
RAM異常エラーコードがセットされていれば、RAM112のデータが正常なデータでないままであるので、再び図13に示すRAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラーコードがセットされていない場合は、RAM112のデータに問題はなく、設定値の変更だけを行ってもよいので、ステップS113の処理に進む。
【0188】
一方、ステップS109でデータクリアスイッチ95の状態がONであれば、スタック領域112?6のうち使用中の領域と設定値ワーク112-4とを除いてRAM112に格納されているデータを全て初期化(設定値ワーク112-4は1に書き換える)する(ステップS111)。さらに、RAM122のデータが初期化された旨を示す初期化コマンドを生成して、演出制御基板102に送信する(ステップS112)。そして、ステップS113の処理に進む。
【0189】
ステップS113では、図12に示す設定変更処理を実行して、新たな設定値を設定して、設定値ワーク112-4に格納させる。そして、設定変更処理の終了後、割込禁止を解除すると(ステップS114)、遊技の進行が可能な状態となってゲーム制御処理に移行する。」

引2-ウ
「【0196】
上記のように起動処理においては、設定キースイッチ92がONの状態でない場合に、電源断時に計算したRAMパリティと起動時に計算したRAMパリティとを比較することで、RAM112に記憶されているデータが正常か否かを判定し、RAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラー処理では、RAM異常エラーコードをゲーム回数表示部21に表示させた後、いずれの処理も行わないループ処理に移行するので、ゲームの進行が不能化される。
【0197】
RAMパリティが一致しなければ、割込が許可されることがないので、一度RAM異常エラー処理に移行すると、設定キースイッチ92がONの状態で起動し、割込禁止が解除されるまでは、電源が遮断しても電断割込処理は行われない。すなわち、電断割込処理において新たにRAMパリティが計算されて格納されることはないので、制御部110が起動しても設定キースイッチ92がON、データクリアスイッチ95がONの状態で起動した場合を除き、常にRAMパリティは一致することがないので、制御部110を起動させてゲームを開始(再開)させることができないようになっている。
【0198】
そして、RAM異常エラー状態に一度移行すると、設定キースイッチ92がON、データクリアスイッチ95がONの状態で起動し、RAM112のデータがクリアされ、さらに設定変更処理が行われて設定スイッチ91の操作により新たな設定値が選択・設定されるまで、ゲームの進行が不能な状態となる。すなわち、RAM異常エラー状態に移行した後には、RAM112のデータがクリアされ、さらに設定スイッチ91の操作により新たに設定値が選択・設定されたことを条件に、ゲームの進行が不能な状態が解除され、ゲームを開始(再開)させることが可能となる。
【0199】
一方、設定キースイッチ92がONの状態でも、データクリアスイッチ95がOFFの状態で起動すれば、RAM112のデータはクリアされずに、新たな設定値の選択・設定だけが可能となる。但し、RAM異常エラー状態に制御されていたときに設定キースイッチ92がON、データクリアスイッチ95がOFFの状態で起動すると、最初からRAM異常エラー処理に制御されて、新たな設定値の選択・設定を行うことができない。また、内部抽選において設定値または賭け数が適切でないとことにより制御されたRAM異常エラー状態も、RAM112のデータをクリアし、新たな設定値を設定した後でなければ解除されることはない。」

(イ) 引用文献2に記載された事項
上記した記載事項を総合すると、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

「電源投入に伴う制御部110の起動時に行われる起動処理において(【0182】)、
設定キースイッチ92がONの状態か否かを判定し、設定キースイッチ92がONでなければ、RAM112に記憶されているデータのRAMパリティを計算し、前回の電源断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し、RAMパリティが一致していなければ、RAM異常エラー処理に移行し、RAMパリティが一致していれば、電源断前の処理に戻り(【0183】-【0185】)、RAM異常エラー処理では、ゲームの進行が不能化され(【0196】)、
設定キースイッチ92がONの状態であれば、さらにデータクリアスイッチ95がONの状態であるかどうかを判定し、設定キースイッチ92がONの状態であっても、データクリアスイッチ95の状態がONでなければ、RAM異常エラーコードがセットされているかどうかにより、RAM異常エラーがあった後に起動処理が行われたかどうかを判定し、RAM異常エラーコードがセットされていれば、RAM異常エラー処理に移行し、データクリアスイッチ95の状態がONであれば、RAM112に格納されているデータを全て初期化し(【0186】-【0188】)、設定変更処理を実行して、新たな設定値を設定し、設定変更処理の終了後、遊技の進行が可能な状態となり(【0189】)、
RAM異常エラー状態に一度移行すると、設定キースイッチ92がON、データクリアスイッチ95がONの状態で起動し、RAM112のデータがクリアされ、さらに設定変更処理が行われて設定スイッチ91の操作により新たな設定値が選択・設定されるまで、ゲームの進行が不能な状態となる(【0198】)、
スロットマシン(【0048】)。」

(3)本願補正発明1と引用発明との対比

本願補正発明1と引用発明とを対比する。

(a) 本願補正発明1の構成A及び構成Bについて
引用発明の構成a,bにおける「遊技状態を制御する遊技制御基板40」は、本願補正発明1の構成Aにおける「第1制御手段」に相当する。
また、引用発明の構成a,bにおける「遊技制御基板40」が「搭載」する「メイン制御部41」の「メインCPU41a」が「送信」する「各種のコマンド」は、本願補正発明1の構成Bにおける「第1制御手段が送信した情報」に相当し、引用発明の構成a,b及びb1における「遊技制御基板40から送信される」「コマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行」う「サブCPU91a」を「備え」る「サブ制御部91」を「搭載」する「演出制御基板90」は、本願補正発明1の構成Bにおける「第1制御手段が送信した情報に対応する制御を実行する第2制御手段」に相当する。
そして、引用発明の構成a,bにおける「スロットマシン1」は、本願補正発明1の構成Bにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成A及び構成Bに相当する構成を有する。

(a1) 本願補正発明1の構成A1について
引用発明の構成a1における「電源投入時(起動時)に設定変更状態および設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37と、設定変更状態においては内部抽選の当選確率(払出率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38」に関して、「設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38」の「検出信号」が「電源基板101を介して」「入力され」る「遊技制御基板40」は、検出信号が入力されることによって内部抽選の当選確率(払出率)の設定値を変更するものであるから、本願補正発明1の構成A1における「遊技者の有利度に対応する複数の設定値の中から使用対象となる設定値を設定する設定手段」としての機能を有するものである。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成A1に相当する構成を有する。

(a2) 本願補正発明1の構成A2について
引用発明の構成a2における「遊技制御基板40」に「電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させ」る「リセット回路49」が「搭載され」ることは、本願補正発明1の構成A2における「第1制御手段」が「動作電力の供給が開始された場合に供給開始時の処理を開始する手段」を「備え」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成A2に相当する構成を有する。

(a3) 本願補正発明1の構成A3について
引用発明の構成a3,a4における「設定変更状態および設定確認状態に移行する旨を示す」「設定変更コマンド」は、構成a1に特定された「電源投入時(起動時)に設定変更状態および設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37」が操作されたことを示すものであるから、電源投入時(起動時)の「設定値」の「変更」に関連する操作の実行に関するコマンドであるといえ、一方、本願補正発明1の構成A3における「前記供給開始時の処理にて前記設定値に関する所定の設定関連処理が実行された状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されたことに対応する第1開始対応情報」は、「所定の設定関連処理が実行されたことに対応」するものであるから、引用発明の構成a3,a4における「設定変更状態および設定確認状態に移行する旨を示す」「設定変更コマンド」は、本願補正発明1の構成A3における「動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記設定値に関する所定の設定関連処理が実行された状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されたことに対応する第1開始対応情報」に相当する。
そして、引用発明の構成a,b及び構成a3,a4における「遊技制御基板40には、」「演出制御基板90に対して」「設定変更コマンド」「を送信」する「メイン制御部41が搭載される」ことは、本願補正発明1の構成A3における「第1制御手段」が「動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記設定値に関する所定の設定関連処理が実行された状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されたことに対応する第1開始対応情報を送信する第1送信手段」を「備え」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成A3に相当する構成を有する。

(a4) 本願補正発明1の構成A4について
引用発明の構成a3,a4において、「メイン制御部41が電断前の制御状態に復帰した旨を示す」「復帰コマンド」は、電断前の制御状態に復帰した旨を示すものであるから、「メイン制御部41の起動時において」「設定値」の「変更」を実行しないことを示すコマンドであるといえ、本願補正発明1の構成A4における「前記供給開始時の処理にて前記所定の設定関連処理が実行されなかった状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されなかったことに対応する第2開始対応情報」に相当する。
そして、引用発明の構成a,b及び構成a3,a4における「遊技制御基板40には、」「演出制御基板90に対して」「復帰コマンド」「を送信」する「メイン制御部41が搭載される」ことは、本願補正発明1の構成A3における「第1制御手段」が「動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記設定値に関する所定の設定関連処理が実行された状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されたことに対応する第1開始対応情報を送信する第1送信手段」を「備え」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成A4に相当する構成を有する。

(a5) 本願補正発明1の構成A5について
引用発明の構成a5における「電断処理においては、使用している可能性がある全てのレジスタをRAM41cに退避させる処理を行い、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにし、RAM41cに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、次回起動時において計算したRAMパリティと比較する」「メインCPU41a」は、本願補正発明1の構成A5における「動作電力の供給が開始された場合に所定の記憶領域に記憶された情報に関して所定異常が発生しているか否かを監視する所定監視手段」に相当し、引用発明の構成a,b及び構成a5における「遊技制御基板40には、」「メインCPU41a」「を備えた」「メイン制御部41」が「搭載され」ることは、本願補正発明1の構成A5における「第1制御手段」が「所定監視手段」を「備え」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成A5に相当する構成を有する。

(a6) 本願補正発明1の構成A6について
引用発明の構成a6における「起動時においてRAM41cのデータが正常であることを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMデータが正常でない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させ」る「メイン制御部41」は、本願補正発明1の構成A6における「当該所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたことに基づいて、遊技を進行させるための所定進行処理の実行が規制される規制状態とする規制手段」に相当し、引用発明の構成a,b及び構成a6における「遊技制御基板40には、」「メイン制御部41」が「搭載され」ることは、本願補正発明1の構成A6における「第1制御手段」が「規制手段」を「備え」ることに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成A6に相当する構成を有する。

(b1) 本願補正発明1の構成B1について
引用発明の構成a,b及び構成b1における「サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信される復帰コマンド、設定変更コマンドを含む複数種類のコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行」うことは、本願補正発明1の構成B1における「前記第2制御手段は、前記第1開始対応情報を受信したことに基づいて所定演出の実行制御を可能とし、前記第2開始対応情報を受信したことに基づいて前記所定演出の実行制御を可能と」することに相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成B1に相当する構成を有する。

(c、d) 本願補正発明1の構成C及び構成Dについて
引用発明の構成c,dにおける「メイン制御部41は、RAM異常エラー発生時、RAM41cの全ての領域が初期化される初期化を行う」ことと、本願補正発明1の構成Dにおける「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたとしても、動作電力の供給が開始された場合に前記所定の設定関連処理を実行させるための操作が行われている場合、前記所定の設定関連処理が実行されて前記規制状態ではない状態となる」こととは、引用発明が「初期化を行う」ことによって「RAM異常エラー状態」による「遊技の進行」の「不能化」が解除されることは当業者にとって明らかであるから、両者は、「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたとしても、」「規制状態ではない状態となる」条件を有する点で一致する。

(e) 本願補正発明1の構成Eについて
引用発明の構成eにおける「スロットマシン1」は、本願補正発明1の構成Eにおける「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本願補正発明1の構成Eに相当する構成を有する。

以上のことから、本願補正発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。

<一致点>
「A 第1制御手段と、
B 当該第1制御手段が送信した情報に対応する制御を実行する第2制御手段と、
を備えた遊技機において、
前記第1制御手段は、
A1 遊技者の有利度に対応する複数の設定値の中から使用対象となる設定値を設定する設定手段と、
A2 動作電力の供給が開始された場合に供給開始時の処理を開始する手段と、
A3 動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記設定値に関する所定の設定関連処理が実行された状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されたことに対応する第1開始対応情報を送信する第1送信手段と、
A4 動作電力の供給が開始された場合において前記供給開始時の処理にて前記所定の設定関連処理が実行されなかった状況であることに基づいて、当該所定の設定関連処理が実行されなかったことに対応する第2開始対応情報を送信する第2送信手段と、
A5 動作電力の供給が開始された場合に所定の記憶領域に記憶された情報に関して所定異常が発生しているか否かを監視する所定監視手段と、
A6 当該所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたことに基づいて、遊技を進行させるための所定進行処理の実行が規制される規制状態とする規制手段と、を備え、
B1 前記第2制御手段は、前記第1開始対応情報を受信したことに基づいて所定演出の実行制御を可能とし、前記第2開始対応情報を受信したことに基づいて前記所定演出の実行制御を可能とし、
D’ 前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されたとしても、前記規制状態ではない状態となる条件を有する、
E 遊技機。」

そして、両者は、以下の点で相違する。

<相違点1> (構成Cに関して)
本願補正発明1は、「所定監視手段により」「所定異常が発生していることが特定されて」「規制手段により」「規制状態とされた場合であって、」「所定の設定関連処理が実行されない場合、」「第1開始対応情報及び」「第2開始対応情報が」「第1制御手段から送信されない構成」とされているのに対して、引用発明は、「RAM異常と判定し、」「RAM異常エラー状態に制御し、」「遊技の進行を不能化」した場合に、「復帰コマンド」及び「設定変更コマンド」が「遊技制御基板40から送信」されるか否かが不明である点。

<相違点2> (構成A5、Dに関して)
「動作電力の供給が開始された場合に所定の記憶領域に記憶された情報に関して所定異常が発生しているか否かを監視する」「所定監視手段により」「所定異常が発生していることが特定された」場合の「規制状態ではない状態となる」条件に関して、本願補正発明1は、「動作電力の供給が開始された場合に」「所定の設定関連処理を実行させるための操作が行われている場合、」「所定の設定関連処理が実行されて」「規制状態ではない状態となる」のに対して、引用発明は、電源投入時(起動時)の「設定値」の「変更」に関連する操作である、「設定キースイッチ37をON状態にすると、遊技の進行が不可能な状態に移行し、リセット/設定スイッチ38を操作することによって設定値が変更され、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、設定キースイッチ37をOFFにすると、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納される」操作によっては、「RAM異常エラー状態に制御」したことによる「遊技の進行を不能化」(規制状態)が解除されない点。

(4) 判断
事案に鑑みて、相違点2について検討する。

<相違点2について>
本願補正発明1の相違点2に係る構成は、「動作電力の供給が開始された場合に所定の記憶領域に記憶された情報に関して所定異常が発生しているか否かを監視する」「所定監視手段により」「所定異常が発生していることが特定されたとしても、」「動作電力の供給が開始された場合に」「所定の設定関連処理を実行させるための操作が行われている場合、」「所定の設定関連処理が実行されて」「規制状態ではない状態となる」というものであり、本願補正発明1は、上記相違点2に係る構成を有することにより、請求人が審判請求書において主張するように、「動作電力の供給が開始された場合に所定異常が発生していることが特定されたとしても、動作電力の供給を再度開始させることなく遊技を開始させることが可能となるため、遊技ホールの管理者による作業 が煩雑なものとなってしまわないようにすることが可能となる」という作用効果を奏し得るものである。
一方、引用発明は、上記相違点2に係る構成を有しておらず、また、上記(2)イ(イ)に示した引用文献2記載事項は、「RAM異常エラー状態に一度移行すると、設定キースイッチ92がON、データクリアスイッチ95がONの状態で起動し、RAM112のデータがクリアされ、さらに設定変更処理が行われて設定スイッチ91の操作により新たな設定値が選択・設定されるまで、ゲームの進行が不能な状態となる」ものであるから、RAM異常エラー状態からゲームの進行を可能とするためには、「設定キースイッチ92がON、データクリアスイッチ95がONの状態」での「起動」が必要であると認められ、上記相違点2に係る構成を有するものではない。

してみると、本願補正発明1の上記相違点2に係る構成は、引用発明も引用文献2記載事項も有しておらず、引用発明に引用文献2記載事項を適用することによって当業者が容易に想到し得るものとは認められない。

したがって、本願補正発明1は、上記相違点2に係る構成を備えることにより、他の相違点に係る構成について検討するまでもなく、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

また、本願補正発明2は、本願補正発明1を引用し、さらに構成を付加したものであることから、本願補正発明1と同様に、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(5)まとめ
以上のことから、本願補正発明1及び本願補正発明2は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないことから、特許法第29条第2項の規定によって、特許出願の際独立して特許を受けることができないものではなく、他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もない。

よって、本願補正発明1及び本願補正発明2は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項(独立特許要件)に適合する。

5 むすび
以上のとおりであるので、令和2年9月28日付け補正の却下の決定は取り消す。

第3 本願発明について判断

1 本願発明
以上のとおり、令和2年9月28日付け補正の却下の決定は取り消されたから、本願の請求項1及び2に係る発明は令和2年4月28日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

理由1(新規事項)
令和1年10月24日付け手続補正書でした補正は、「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されて前記規制手段により前記規制状態とされた場合、前記第1開始対応情報及び前記第2開始対応情報が前記第1制御手段から送信されない」との記載によって特定される事項を含む補正後の請求項1に係る発明が、本願明細書等の記載の範囲内のものではないことから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

理由2(進歩性)
本願の請求項1及び2に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
引用文献1:特開2016-76号公報
引用文献2:特開2008-212号公報

3 原査定の拒絶の理由についての判断
(1) 理由1について
本件補正により、補正前の請求項1の記載における「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されて前記規制手段により前記規制状態とされた場合、前記第1開始対応情報及び前記第2開始対応情報が前記第1制御手段から送信されない」との記載は、「前記所定監視手段により前記所定異常が発生していることが特定されて前記規制手段により前記規制状態とされた場合であって前記所定の設定関連処理が実行されない場合、前記第1開始対応情報及び前記第2開始対応情報が前記第1制御手段から送信されない」との記載に補正された。
そして、上記の補正は、本件補正の補正事項イに対応し、上記第2[理由]3(2)の「新規事項の追加の有無」において検討したように、上記補正事項イは、新たな技術事項を導入するものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものであるから、原査定の拒絶の理由における理由1は、本件補正により解消したと認められる。
したがって、本願は、原査定の拒絶の理由における理由1によって拒絶すべきものとすることはできない。

(2) 理由2について
本願の請求項1及び2に係る発明は、上記第2[理由]1に示した本願補正発明1及び本願補正発明2である。
そして、上記第2[理由]4において検討したように、本願補正発明1及び本願補正発明2は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないことから、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、本願は、原査定の拒絶の理由における理由2によって拒絶すべきものとすることはできない。

4 まとめ
以上のことから、本願について、原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることができない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり、審決する。
 
審決日 2021-10-14 
出願番号 特願2017-199300(P2017-199300)
審決分類 P 1 8・ 121- WYA (A63F)
P 1 8・ 575- WYA (A63F)
P 1 8・ 55- WYA (A63F)
P 1 8・ 572- WYA (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 武田 知晋  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
太田 恒明
発明の名称 遊技機  
代理人 安藤 悟  
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