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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 G03F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G03F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03F
管理番号 1379142
審判番号 不服2021-4408  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-05 
確定日 2021-11-02 
事件の表示 特願2018-555021「感光性樹脂組成物及び感光性樹脂積層体」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月14日国際公開、WO2018/105620、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特願2018-555021号(以下、「本件出願」という。)は、平成29年12月5日(先の出願に基づく優先権主張 平成28年12月7日、平成29年3月24日)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和2年 1月14日付け:拒絶理由通知書
令和2年 3月11日提出:意見書
令和2年 6月 5日付け:拒絶理由通知書
令和2年 7月31日提出:意見書
令和2年12月21日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和3年 4月 5日提出:審判請求書
令和3年 4月 5日提出:手続補正書

第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
理由1(新規性)本件出願の請求項1?18に係る発明(出願当初のもの)は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性)本件出願の請求項1?18に係る発明(出願当初のもの)は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
理由3(拡大先願)本件出願の請求項1?18に係る発明(出願当初のもの)は、先の出願前の特許出願であって、先の出願後に国際公開がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者が上記特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また、本件出願の時において、本件出願の出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法29条の2の規定により、特許を受けることができない。
引用文献1:特開2015-18029号公報
引用文献2:特開2012-123394号公報
引用出願3:特願2015-137109号(国際公開第2017/007001号)
引用文献4:特開2003-345000号公報
(当合議体注:
引用文献1は、理由1及び理由2の請求項1?18についての主引用例であり、また、引用文献2又は引用文献4を主引用例とした場合の副引用例である。
引用文献2は、理由1及び理由2の請求項1?9及び請求項11?17についての主引用例であり、また、理由2の請求項10及び請求項18についての主引用例である。
引用出願3は、理由3において引用された出願である。
引用文献4は、理由1及び理由2の請求項1?6、請求項11?13及び請求項17についての主引用例であり、また、理由2の請求項7?10、請求項14?16及び請求項18についての主引用例である。)

第3 本願発明
本件出願の請求項1?16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明16」という。)は、令和3年4月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願発明1は、以下のとおりのものである。
「 支持フィルムと、該支持フィルムの直上に形成された感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、前記支持フィルムの任意の10箇所において、一辺5mmの正方形状の小片を切り出したときの、各小片中に含まれる、1.5μm以上4.5μm未満の微粒子の数が、前記10箇所平均で0?200個であり、
前記感光性樹脂組成物が、該感光性樹脂組成物の全固形分質量基準で、以下の成分:
(A)アルカリ可溶性高分子:10質量%?90質量%;
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:5質量%?70質量%;及び
(C)光重合開始剤:0.01質量%?20質量%;
を含み、
前記(A)アルカリ可溶性高分子の単量体成分が、全単量体成分の合計質量を基準として、スチレンを20質量%以上含有し、かつ
前記(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物を含む、感光性樹脂積層体。」

本願発明2?14は、本願発明1に対してさらに他の発明特定事項を付加したものであり、本願発明15及び請求項16は、本願発明1?14のいずれかの「感光性樹脂積層体」を用いた「レジストパターンの形成方法」の発明である。

第4 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2015-18029号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、前記(A)成分が、(a1)ベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位を55?75質量%、(a2)スチレン誘導体由来の構成単位を5?15質量%及び(a3)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10?30質量%含有する感光性樹脂組成物。
・・省略・・
【請求項4】
支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された請求項1?3に記載の感光性樹脂組成物を含む感光層を備える感光性エレメント。
【請求項5】
前記支持フィルムに含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm^(2)以下である請求項4に記載の感光性エレメント。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、これを用いたレジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関する。」

ウ 「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
・・省略・・
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、密着性及び解像度が良好であり、露光後の感光層が柔軟である、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、これらを用いたレジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。」

エ 「【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、前記(A)成分が、(a1)ベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位を55?75質量%、(a2)スチレン誘導体由来の構成単位を5?15質量%及び(a3)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10?30質量%含有する感光性樹脂組成物を提供する。
【0012】
従来の感光性樹脂組成物を用いて、厚さが400μm以下の基板を使用形成した場合、解像度が10μm以下のパターンは形成できるものの、露光後の感光層が剛直であるためか、基板の取扱い等により露光後の感光層が剥がれる傾向があった。
【0013】
そこで、まず本発明者らは、露光後の感光層の物性に着目し、露光後の感光層に柔軟性を付与させることにより前記不具合を改善可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
・・省略・・
【0016】
また、本発明は、上記支持フィルムに含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm^(2)以下である上記の感光性エレメントを提供する。」

オ 「【発明の効果】
【0021】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、密着性及び解像度に優れ、基板の撓みに十分追従することができる感光性樹脂組成物、感光性エレメント、これを用いたレジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。」

カ 「【発明を実施するための形態】
【0023】
・・省略・・
【0024】
図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性エレメント1は、支持フィルム10と、感光層20とで構成される。感光層20は支持フィルム10の第1の主面12上に設けられている。また、支持フィルム10は、第1の主面12とは反対側に第2の主面14を有している。
【0025】
(支持フィルム)
本発明で用いる支持フィルム10は、支持フィルムに含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物(以下、単に「粒子等」という)の総数が5個/mm^(2)以下であると好ましい。
【0026】
ここで、支持フィルム10に含まれる直径5μm以上の粒子等には、支持フィルム10の第1の主面12及び第2の主面14から突出しているもの、並びに、フィルム10の内部に存在するものの両方が含まれる。また、直径5μm以上の粒子等には、直径5μm以上の一次粒子及び直径5μm未満の一次粒子の凝集物が含まれる。
【0027】
直径5μm以上の粒子等の総数は、露光及び現像後のレジストの一部欠損を低減する点では、5個/mm^(2)以下であることが好ましく、3個/mm^(2)以下であることがより好ましく、1個/mm^(2)以下であることがさらに好ましい。この粒子等の総数が5個/mm^(2)を超えた感光性エレメントをプリント配線板の製造に使用すると、エッチング時のオープン不良の発生や、めっき時のショート不良の発生の一因になり、プリント配線板の製造歩留りが低下する傾向がある。
【0028】
なお、直径5μm未満の粒子等は支持フィルム10に数多く含まれていても、光散乱に対する影響は大きくない。その要因は、後述する露光工程において、感光層20に光を照射した場合、感光層20の光硬化反応は光照射部のみでなく、若干であるが光が直接照射されていない横方向(光照射方向に対し垂直方向)へも進行する。このため粒子径が小さい場合は、粒子直下部の光硬化反応が充分に進行するが、粒子径が大きくなるに伴い、粒子直下の光硬化反応が充分に進行しないため、レジストの欠け(レジスト欠損)が発生すると考えられる。
【0029】
ここで、支持フィルム10に含まれる直径5μm以上の粒子等とは、支持フィルム10を構成する成分、例えば、ポリマーのゲル状物、原料であるモノマー、製造時に使用される触媒、必要に応じて含まれる無機又は有機微粒子がフィルム作製時に凝集し形成される凝集物、滑剤含有層をフィルム上に塗布した際に発生する滑剤と接着剤による膨らみ、フィルム中に含まれる直径5μm以上の粒子等に起因して生じたものである。直径5μm以上の粒子等の総数を5個/mm^(2)以下にするには、これらの粒子等のうち、粒径の小さなもの又は分散性に優れたものを選択的に用いればよい。
【0030】
上記直径5μm以上の粒子等の総数は、偏光顕微鏡を用いて測定することができる。なお、直径5μm以上の一次粒子と直径5μm未満の一次粒子とが凝集して形成される凝集物は、1個として数える。・・省略・・
【0031】
支持フィルム10の材料は、直径5μm以上の粒子等の総数が5個/mm^(2)以下となるようなものであれば、特に制限されない。支持フィルム10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と表記する)等のポリエステル、並びに、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィンからなる群より選ばれる1種以上の樹脂材料を含むフィルムが挙げられる。
・・省略・・
【0034】
本実施形態においては、支持フィルム10に含まれる直径5μm以上の粒子等の総数を5個/mm^(2)以下に調整すると同時に、このような微粒子を含有する樹脂層を備えた多層支持フィルムであると特に好適である。これにより、フィルムの滑り性が良くなると共に、露光時の光散乱の抑制をバランスよく、より高いレベルで成し遂げることができる。微粒子の平均粒子径は、微粒子を含有する樹脂層の層厚の0.1?10倍であることが好ましく、0.2?5倍であることがより好ましい。平均粒子径が0.1倍未満では滑り性が劣る傾向があり、10倍を超えると感光層に特に凹凸が生じ易い傾向がある。
【0035】
上記微粒子は、微粒子を含有する樹脂層中に樹脂の質量を基準として0.01?50質量%含有されていることが好ましい。そして、上記微粒子としては、例えば、各種核剤により重合時に生成した微粒子、凝集体、二酸化珪素の微粒子(凝集シリカ等)、炭酸カルシウムの微粒子、アルミナの微粒子、酸化チタンの微粒子及び硫酸バリウムの微粒子等の無機微粒子、架橋ポリスチレン樹脂の微粒子、アクリル樹脂の微粒子及びイミド樹脂の微粒子等の有機微粒子、並びに、これらの混合体を用いることができる。
・・省略・・
【0038】
なお、支持フィルム10に含まれる直径5μm以上の粒子等の総数が5個/mm^(2)以下とするためには、微粒子を含有する樹脂層が含有する微粒子の粒径は5μm未満であることが好ましい。そして、露光時の光散乱をより一層低減するために、微粒子の粒径に合わせて微粒子を含有する樹脂層の層厚を適宜調整することが好ましい。
・・省略・・
【0043】
(感光層)
感光層20は感光性樹脂組成物からなる層であり、感光層に(a1)ベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位を55?75質量%、(a2)スチレン誘導体由来の構成単位を5?15質量%及び(a3)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10?30質量%含有する(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する。この場合、感光層はネガ型であり、且つ感光層の解像度が10μm以下であり、露光後の感光層の引張強度が20MPa以上及び伸びが1mm以上であることを満足する。
・・省略・・
【0050】
感光層20を構成する感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー(以下。「(A)成分」という)、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(以下。「(B)成分」という)及び(C)光重合開始剤(以下。「(C)成分」という)を含有する。
以下、上記各成分について詳細に説明する。
【0051】
(A)成分であるバインダーポリマーとしては、(a1)ベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位を55?75質量%、(a2)スチレン誘導体由来の構成単位を5?15質量%及び(a3)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10?30質量%含む。これらの構成単位を含むバインダーポリマーは、それぞれの構成単位に対応する単量体、すなわちベンジル(メタ)アクリレート誘導体、スチレン誘導体、及び(メタ)アクリル酸を含有する単量体組成物を共重合させることにより得られる。このようにして得られる共重合体において各構成単位は、いわゆるランダム共重合体のように共重合体中にランダムに含まれていてもよく、或いはブロック共重合体のように一部の特定の構成単位が局在して存在する共重合体であってもよい。そして、上記構成単位のそれぞれは単一種であっても複数種であってもよい。
【0052】
(A)バインダーポリマーは、(a1)ベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位を特定量含むことにより、樹脂の柔軟性を維持しながら密着性に優れる。ベンジル(メタ)アクリレート誘導体の具体例としては、例えばベンジル(メタ)アクリレート、4-メチルベンジル(メタ)アクリレート、4-エチルベンジル(メタ)アクリレート、4-tertブチルベンジル(メタ)アクリレート、4-メトキシベンジル(メタ)アクリレート、4-エトキシベンジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシルベンジル(メタ)アクリレート、4-クロロベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0053】
(A)バインダーポリマーは、(a2)スチレン誘導体由来の構成単位を特定量含むことにより、細線部の密着性、解像度に優れる。スチレン誘導体の具体例としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレンが挙げられる。
【0054】
(A)バインダーポリマーは、(a3)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を特定量含むことにより、アルカリ現像性に優れる。
【0055】
(A)バインダーポリマーは、(a1)ベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位を55?75質量%含み、樹脂の柔軟性を維持しながら密着性により優れる点では、60?75質量%含むことが好ましく、60?70質量%含むことがより好ましい。
【0056】
(A)バインダーポリマーは、(a2)スチレン誘導体由来の構成単位を5?15質量%含み、密着性及び解像度にさらに優れる点では、5?12質量%含むことが好ましい。また、(a3)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10?30質量%含むが、アルカリ現像性にさらに優れる点では、15?30質量%含むことが好ましく、20?30質量%含むことがより好ましい
・・省略・・
【0061】
(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、炭素数2?6のオキシアルキレン単位(アルキレングリコールユニット)を分子内に4?40有する化合物を含むことが好ましい。(B)成分としてこのような化合物を含有することによって、(A)バインダーポリマーとの相溶性を向上することができる。
【0062】
これらの光重合性化合物の中でも、本発明の効果をより確実に得ることができる傾向があることから、(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物は、下記一般式(II)で表されるビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0063】
【化1】


【0064】
上記一般式(II)中、R^(5)及びR^(6)は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、メチル基であることが好ましい。Yは炭素数2?6のアルキレン基を示す。n^(1)及びn^(2)はそれぞれ正の整数を示し、n^(1)+n^(2)は2?40の整数であり、6?34の整数であることが好ましく、8?30の整数であることがより好ましく、8?28の整数であることがさらに好ましく、8?20の整数であることが特に好ましく、8?16の整数であることが極めて好ましく、8?12の整数であることが最も好ましい。n_(1)+n_(2)の値が2未満ではバインダーポリマーとの相溶性が低下し、回路形成用基板に感光性エレメントをラミネートした際に剥がれやすい傾向があり、n_(1)+n_(2)の値が40を超えると、親水性が増加し、現像時にレジストが剥がれやすく、耐めっき性が低下する傾向がある。なお、分子内に複数存在するYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
・・省略・・
【0070】
また(B)成分としては、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートも好ましく使用できる。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(VII)、(VIII)又は(IX)で表される化合物が好ましい。
【0071】
【化2】


一般式(VII)中、R^(14)及びR^(15)はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、EOはオキシエチレン基を示し、POはプロピレンオキシ基を示し、S^(1)は1?30の整数を示し、r^(1)及びr^(2)はそれぞれ0?30の整数を示し、r^(1)+r^(2)(平均値)は1?30の整数である。
【0072】
【化3】


一般式(VIII)中、R^(16)及びR^(17)はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示し、r^(3)は1?30の整数を示し、s^(2)及びs^(3)はそれぞれ0?30の整数を示し、s^(2)+s^(3)(平均値)は1?30の整数である。
【0073】
【化4】


一般式(IX)中、R^(18)及びR^(19)はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、メチル基であることが好ましい。EOはオキシエチレン基を示し、POはオキシプロピレン基を示す。r^(4)は1?30の整数を示し、s^(4)は1?30の整数を示す。
・・省略・・
【0082】
(B)成分には、密着性、解像性等の現像性及び剥離性を向上させる見地から、更に、エチレン性不飽和結合を一つ有する光重合性化合物を含有させてもよい。
・・省略・・
【0089】
(C)成分である光重合開始剤は、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体を含むことが好ましい。・・省略・・
・・省略・・
【0092】
また、(C)成分である光重合開始剤は、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体と共に、ピラゾリン化合物を含むことが好ましい。(C)成分に、これらピラゾリン化合物を使用することにより、レジストの吸光度を一定の範囲内で維持しつつ、光感度を高くすることが可能となり、プリント配線板の生産性を向上可能な感光性エレメントになる。
・・省略・・
【0095】
また、(C)成分である光重合開始剤としては、上記2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びピラゾリン化合物の他に、その他の光重合開始剤を用いてもよい。・・省略・・
【0096】
(A)成分であるバインダーポリマーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部を基準として、40?70質量部であることが好ましく、45?65質量部であることがより好ましく、50?60質量部であることがさらに好ましい。この配合量が40質量部未満では光硬化物が脆くなる傾向にあり、70質量部を超えると、解像度及び光感度が不十分となる傾向にある。
【0097】
(B)成分であるエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部を基準として、30?60質量部であることが好ましく、35?55質量部であることがより好ましく、40?50質量部であることがさらに好ましい。この配合量が30質量部未満では、解像度及び光感度が不十分となる傾向があり、60質量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
【0098】
(C)成分である光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1?20質量部であることが好ましく、0.2?10質量部であることがより好ましく、0.5?5質量部であることが特に好ましい。この配合量が0.1質量部未満では光感度が不十分となる傾向があり、20質量部を超えると、露光の際に感光性樹脂組成物の表面での光吸収が増大して内部の光硬化が不十分となる傾向がある。」

キ 「【実施例】
【0122】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0123】
(感光性樹脂組成物の基本溶液の作製)
まず、表1に示した組成のバインダーポリマーを下記合成例にしたがって合成した。
・・省略・・
【0129】
【表1】


【0130】
下記表2、3に示した配合量(g)で各成分を配合して、実施例1?13及び比較例1?3の感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
【0131】
【表2】


【0132】
【表3】


【0133】
B-1:FA-321M(EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、日立化成株式会社製、商品名)
B-2:BPE-200(EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、新中村工業株式会社製、商品名)
B-3:FA-MECH(γ-クロロ-2-ヒロドキシプロピル-β´-メタクリロイルオキシエチル-o-フタレート、日立化成株式会社製、商品名)
B-4:FA-024M(PO変性エチレングリコールジメタクリレート、日立化成株式会社製、商品名)
B-5:BPE-100(EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、新中村工業株式会社製、商品名)
C-1:2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体
C-2:1-フェニル-3-(4-メトキシスチリル)-5-(4-メトキシフェニル)ピラゾリン
C-3:N,N´-テトラエチル-4,4´-ジアミノベンゾフェノン
C-4:4-t-ブチルカテコール
【0134】
(感光性エレメントの作製)
感光性エレメントの支持フィルムとして、下記PETフィルムを用意した。各PETフィルムに含まれる5μm以上の粒子等の個数及びヘーズを測定した結果を表2、3に示した。
<支持フィルム>
微粒子を含有する層を表裏に有する3層構造の二軸配向PETフィルム:FB40(東レ株式会社製、商品名)
微粒子が片側にのみ存在する2層構造の二軸配向PETフィルム:A-1517(東洋紡績株式会社製、商品名)
微粒子を含有する層を表裏に有する3層構造の二軸配向PETフィルム:HTR-02(帝人デュポン株式会社製、商品名)
【0135】
上記粒子等の個数は、1mm^(2)単位に存在する5μm以上の粒子等の数を、偏光顕微鏡を用いて測定した値である。その際のn数は5とした。また、ヘーズは、JIS K 7105に準拠して測定した値である。これらの支持フィルムの厚さは、いずれも16μmであった。
【0136】
次に、それぞれのPETフィルム上に上記感光性樹脂組成物の溶液を厚さが均一になるようにして塗布し、100℃の熱風対流乾燥機で5分間乾燥して溶媒を除去した。乾燥後、ポリエチレン製保護フィルム(タマポリ株式会社製、商品名「NF-15」、厚さ20μm)で感光層を被覆して感光性エレメントを得た。なお、乾燥後の感光層の厚さが、表2、3に示した厚さTとなるように感光性樹脂組成物の溶液の塗布量を調整した。
・・省略・・
【0145】
実施例1?4は感光層の厚みを10?50μmと変化させた場合であり、解像度、密着性が5?10μmと良好な値を示している。比較例1、2のバインダー樹脂の(a1)成分のベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位が少ない(A-3)を用いた場合は、レジスト浮きが発生する。また、バインダー樹脂に(a1)成分と(a2)成分のスチレン誘導体由来の構成単位を用いない(A-4)を用いた比較例3の場合、解像度に劣る。これは、感光層の厚さTと感光層の365nmにおける吸光度Aとの比であるY(A/T)が0.001であり、感光層にほとんど光吸収されないためと思われる。一方、Yが0.020を超える実施例11、13は、レジスト断面形状に少し劣るようになる。光重合開始剤が2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体(C-1)とピラゾリン化合物(C-2)では、Yが0.005?0.020の範囲にあり断面形状に優れる。
支持フィルムに含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm^(2)以上の実施例8、9では、レジスト側面形状にやや劣る。
表2、3に示したように、本発明の感光性エレメントを用いた場合、解像度が良好であり、さらにレジストの柔軟性に優れ、400μm以下の薄板基板を使用時にも、歩留を低下させることなくパッケージ基板を生産可能となる。」

ク 「
【図1】




(2) 引用発明1
引用文献1には、請求項1の記載を引用し、さらに請求項4の記載を引用する、請求項5に記載された「感光性エレメント」の発明として、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物を含む感光層を備える感光性エレメントであって、
前記感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、前記(A)成分が、(a1)ベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位を55?75質量%、(a2)スチレン誘導体由来の構成単位を5?15質量%及び(a3)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10?30質量%含有し、
前記支持フィルムに含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm^(2)以下である感光性エレメント。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2012-123394号公報(以下、同じく「引用文献2」という。)には、請求項1に記載された「感光性エレメント」の発明として、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「 支持フィルムと、該支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物からなる層と、を備える感光性エレメントであって、
前記支持フィルムのヘーズが0.01?2.0%であり、かつ該支持フィルム中に含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm^(2)以下であり、
前記感光性樹脂組成物からなる層が、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有し、かつ、前記感光性樹脂組成物からなる層の厚さが3?30μmである感光性エレメント。」

3 引用出願3について
原査定の拒絶の理由に引用出願3として引用された特願2015-137109号(国際公開第2017/007001号)(以下、同じく「引用出願3」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、請求項1に記載された「感光性エレメント」の発明として、以下の発明(以下、「先願発明3」という。)が記載されている。
「支持フィルムと、中間層と、感光層とをこの順で備える感光性エレメントであって、前記支持フィルムの厚みが20μm以上であり、該支持フィルムに含まれる直径5μm以上の粒子の数が30個/mm^(2)以下である、感光性エレメント。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2003-345000号公報(以下、同じく「引用文献4」という。)には、請求項1に記載された「フォトレジスト用積層フィルム」の発明として、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。
「ポリエステルフィルム(A)の少なくとも片面にポリエステルフィルム(B)を積層した多層ポリエステルフィルムの片面に、感光層(C)、更にその表面上に保護フィルム(D)を積層してなるフォトレジスト用積層フィルムであって、該多層ポリエステルフィルム中に存在する20μm以上の粗大異物の個数Xが0≦X≦10(個/m^(2))の範囲であり、且つポリエステルフィルム(B)が平均粒径0.8?2.5μmの粒子(I)を0.01?0.1重量%及び平均粒径0.01?0.2μmの粒子(II)を0.1?0.8重量%を含有することを特徴とするフォトレジスト用積層フィルム。」

第5 対比・判断
1 引用文献1を主引用例とする場合
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明1を対比すると、以下のとおりとなる。
(ア)支持フィルム
引用発明1の「支持フィルム」は、本願発明1の「支持フィルム」に相当する。

(イ)感光性樹脂組成物
引用発明1の「(A)バインダーポリマー」は、「(a1)ベンジル(メタ)アクリレート誘導体由来の構成単位を55?75質量%、(a2)スチレン誘導体由来の構成単位を5?15質量%及び(a3)(メタ)アクリル酸由来の構成単位を10?30質量%含有」するものであるところ、引用文献1の【0054】、【0056】等の記載からアルカリ現像性を有するものであり、アルカリ可溶性であると認められる。また、引用発明1の「(A)バインダーポリマー」は、その名称のとおり、「ポリマー」であることから高分子である。そうすると、引用発明1の「(A)バインダーポリマー」は、本願発明1の「(A)アルカリ可溶性高分子」に相当する。
また、引用発明1の「(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物」は、「エチレン性」であることから、二重結合を有することは明らかである。そうすると、引用発明1の「(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物」は、本願発明1の「(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物」に相当する。
さらに、引用発明1の「(C)光重合開始剤」は、本願発明1の「(C)光重合開始剤」に相当する。
そして、引用発明1の「感光性樹脂組成物」は、「(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し」たものであることから、本願発明1の「感光性樹脂組成物」に相当する。また、引用発明1の「感光性樹脂組成物」は、本願発明1の「感光性樹脂組成物」と「以下の成分:
(A)アルカリ可溶性高分子:
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:及び
(C)光重合開始剤:
を含」む点で共通する。

(ウ)感光性樹脂組成物層
引用発明1の「感光層」は、「支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物を含む」ものであり、「支持フィルム上に形成された」とは、引用文献1の図1等に示されるように「感光層」が「支持フィルム」の直上に形成されることを意味するものと認められる。
そうすると、引用発明1の「感光層」は、本願発明1の「感光性樹脂組成物層」に相当する。また、引用発明1の「感光層」は、本願発明1の「支持フィルムの直上に形成された感光性樹脂組成物を含む」の要件を満たすものである。

(エ)感光性樹脂積層体
引用発明1の「感光性エレメント」は、「支持フィルムと、前記支持フィルム上に形成された感光性樹脂組成物を含む感光層を備える」ものであり、「支持フィルム」とその上に形成された「感光性樹脂組成物を含む感光層」を備えていることから、感光性の樹脂が積層された積層体であるといえる。
そうすると、引用発明1の「感光性エレメント」は、本願発明1の「感光性樹脂積層体」に相当する。また、引用発明1の「感光性エレメント」は、本願発明1の「支持フィルムと、該支持フィルムの直上に形成された感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、を備える」の要件を満たすものである。

イ 一致点及び相違点
以上より、本願発明1と引用発明1とは、
「 支持フィルムと、該支持フィルムの直上に形成された感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂組成物層と、を備える感光性樹脂積層体であって、
前記感光性樹脂組成物が、以下の成分:
(A)アルカリ可溶性高分子:
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:及び
(C)光重合開始剤:
を含む、
感光性樹脂積層体。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
「支持フィルム」に含まれる粒子について、本願発明1では、「前記支持フィルムの任意の10箇所において、一辺5mmの正方形状の小片を切り出したときの、各小片中に含まれる、1.5μm以上4.5μm未満の微粒子の数が、前記10箇所平均で0?200個であ」るのに対して、引用発明1では、「前記支持フィルムに含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm^(2)以下である」点。

(相違点2)
「感光性樹脂組成物」に含まれる各成分の量について、本願発明1では、「感光性樹脂組成物の全固形分質量基準で」「(A)アルカリ可溶性高分子:10質量%?90質量%;(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:5質量%?70質量%;及び(C)光重合開始剤:0.01質量%?20質量%;」となっているのに対して、引用発明1ではそのような特定がない点。

(相違点3)
「(A)アルカリ可溶性高分子の単量体成分」について、本願発明1では、「全単量体成分の合計質量を基準として、スチレンを20質量%以上含有し」ているのに対して、引用発明1では、「スチレン誘導体由来の構成単位を5?15質量%」含有すると特定されている点。

(相違点4)
「(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物」について、本願発明1では、「分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する化合物を含む」のに対して、引用発明1では、そのような特定がない点。

ウ 判断
上記相違点1について検討する。
引用文献1の【0027】には、「直径5μm以上の粒子等の総数は、露光及び現像後のレジストの一部欠損を低減する点では、5個/mm^(2)以下であることが好ましく」と記載され、「この粒子等の総数が5個/mm^(2)を超えた感光性エレメントをプリント配線板の製造に使用すると、エッチング時のオープン不良の発生や、めっき時のショート不良の発生の一因になり、プリント配線板の製造歩留りが低下する傾向がある。」と記載されている。一方で、直径5μm未満の粒子については、「なお、直径5μm未満の粒子等は支持フィルム10に数多く含まれていても、光散乱に対する影響は大きくない」との記載(【0028】)、「直径5μm以上の粒子等の総数を5個/mm^(2)以下にするには、これらの粒子等のうち、粒径の小さなもの又は分散性に優れたものを選択的に用いればよい。」との記載(【0029】)、及び、「支持フィルム10に含まれる直径5μm以上の粒子等の総数が5個/mm^(2)以下とするためには、微粒子を含有する樹脂層が含有する微粒子の粒径は5μm未満であることが好ましい。」との記載(【0038】)がある。
引用文献1のこれらの記載からは、直径5μm以上の粒子については、露光及び現像後のレジストの一部欠損を低減する点で少ない方が好ましいとされている一方で、直径5μm未満の粒子については、光散乱に対する影響は大きくないことから、特段含まれる量についての記載はなく、逆に、【0029】、【0038】の記載からは、粒子を含めるときにはその直径を5μm未満とすることの示唆があると理解される。
したがって、引用文献1のこれらの記載から、引用発明1おいて、直径5μm未満の粒子の数を少なくすることの動機付けがなく、当業者であっても、引用発明1において、本願発明1の相違点1に係る構成を満たすようにすることが容易に想到できたことであるとはいえない。
また、国際公開第2017/007001号の[0035]には、「直径2μm以上5μm未満の粒子の数は、直径5μm以上の粒子の数と相関があり、直径5μm以上の粒子の数が少なければ、直径2μm以上5μm未満の粒子の数も少なくなる。」と記載があるが、国際公開第2017/007001号は、先の出願後に公知になったものであるし、仮に、当該記載のような傾向が、引用発明1においても当てはまるとしても、当該記載は、直径5μm以上の粒子の数と直径2μm以上5μm未満の粒子の数との相関関係を述べているにすぎず、直径2μm以上5μm未満の粒子の数の絶対数の関係まで述べているわけではない。したがって、直径5μm以上の粒子の数が少ない場合に、直径2μm以上5μm未満の粒子の数も少なくなるといっても、直径2μm以上5μm未満の粒子が具体的にどの程度の数含まれることになるのかは明らかでない。したがって、国際公開第2017/007001号の[0035]の記載を踏まえて検討しても、引用発明1が上記相違点1に係る要件を満たすものであるとまでいうことはできない。
なお、引用文献1の【0134】に記載された支持フィルムは、5μm以上の粒子等の個数を測定した結果が【表2】、【表3】に示されているものの、これらの支持フィルムに1.5μm以上4.5μm未満の微粒子の数がどの程度含まれているかは明らかでない。また、このことは、国際公開第2017/007001号の[0035]の記載を踏まえて検討しても同様である。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本願発明2?16について
本願発明2?16は、本願発明1の構成を全て具備するものであるから、本願発明2?16も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献1に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

(3)小括
本願発明1?16は、引用文献1に記載された発明でない。また、本願発明1?16は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献1の記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

2 引用文献2を主引用例とする場合
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明2を対比すると、本願発明1と引用発明2は、少なくとも以下の点で相違する。
(相違点2)
「支持フィルム」に含まれる粒子について、本願発明1では、「前記支持フィルムの任意の10箇所において、一辺5mmの正方形状の小片を切り出したときの、各小片中に含まれる、1.5μm以上4.5μm未満の微粒子の数が、前記10箇所平均で0?200個であ」るのに対して、引用発明2では、「該支持フィルム中に含まれる直径5μm以上の粒子及び直径5μm以上の凝集物の総数が5個/mm^(2)以下であ」る点。

イ 判断
上記相違点2について検討する。
引用文献2の【0022】?【0024】及び【0033】には、上記1(1)ウで示した引用文献1と同様の記載がある。そして、上記1(1)ウで示した理由と同様の理由により、当業者であっても、引用発明2において、本願発明1の相違点2に係る構成を満たすようにすることが容易に想到できたことであるとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献2に記載された発明及び引用文献1、2に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本願発明2?16について
本願発明2?16は、本願発明1の構成を全て具備するものであるから、本願発明2?16も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献2に記載された発明及び引用文献1、2に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

(3)小括
本願発明1?16は、引用文献2に記載された発明でない。また、本願発明1?16は、当業者であっても、引用文献2に記載された発明及び引用文献1、2の記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

3 引用出願3について
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と先願発明3を対比すると、本願発明1と先願発明3は、少なくとも以下の点で相違する。
(相違点3-1)
本願発明1では、「感光性樹脂組成物層」が「支持フィルムの直上に形成され」ているのに対して、先願発明3では「支持フィルムと、中間層と、感光層とをこの順で備え」られており、「感光層」と「支持フィルム」との間に「中間層」を有している点。

(相違点3-2)
「支持フィルム」に含まれる粒子について、本願発明1では、「前記支持フィルムの任意の10箇所において、一辺5mmの正方形状の小片を切り出したときの、各小片中に含まれる、1.5μm以上4.5μm未満の微粒子の数が、前記10箇所平均で0?200個であ」るのに対して、先願発明3では、「該支持フィルムに含まれる直径5μm以上の粒子の数が30個/mm^(2)以下である」点。

イ 判断
上記相違点3-1について検討する。
引用出願3の願書に最初に添付した明細書の【0011】?【0014】(国際公開第2017/007001号の[0011]?[0014])の記載によれば、先願発明3は、「中間層」への粒子の形状跡の転写を抑制するためのものであり、「中間層」を必須の構成要素としていると認められる。
次に、上記相違点3-2について検討する。
引用出願3の願書に最初に添付した明細書の【0034】(国際公開第2017/007001号の[0035])には、「直径2μm以上5μm未満の粒子の数は、直径5μm以上の粒子の数と相関があり、直径5μm以上の粒子の数が少なければ、直径2μm以上5μm未満の粒子の数も少なくなる。」と記載があるが、当該記載は、直径5μm以上の粒子の数と直径2μm以上5μm未満の粒子の数との相関関係を述べているにすぎず、直径2μm以上5μm未満の粒子の数の絶対数の関係まで述べているわけではない。したがって、直径5μm以上の粒子の数が少ない場合に、直径2μm以上5μm未満の粒子の数も少なくなるといっても、直径2μm以上5μm未満の粒子が具体的にどの程度の数含まれることになるのかは明らかでない。
そうすると、上記相違点3-1及び相違点3-2は、課題解決のための具体的手段における微差であるということはできない。
したがって、本願発明1は、先願発明3と同一であるということができない。

(2)本願発明2?16について
本願発明2?16は、本願発明1の構成を全て具備するものであるから、本願発明2?16も、本願発明1と同じ理由により、先願発明3と同一であるということができない。

(3)小括
本願発明1?16は、引用出願3の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であるということができない。

4 引用文献4を主引用例とする場合
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明4とを対比すると、本願発明1と引用発明4は、少なくとも以下の点で相違する。
(相違点4)
「支持フィルム」に含まれる粒子について、本願発明1では、「前記支持フィルムの任意の10箇所において、一辺5mmの正方形状の小片を切り出したときの、各小片中に含まれる、1.5μm以上4.5μm未満の微粒子の数が、前記10箇所平均で0?200個であ」るのに対して、引用発明4では、「該多層ポリエステルフィルム中に存在する20μm以上の粗大異物の個数Xが0≦X≦10(個/m^(2))の範囲であり、且つポリエステルフィルム(B)が平均粒径0.8?2.5μmの粒子(I)を0.01?0.1重量%及び平均粒径0.01?0.2μmの粒子(II)を0.1?0.8重量%を含有する」と特定されている点。

イ 判断
上記相違点4について検討する。
引用文献4には、「従来考えられていたポリエステルフィルム中の異物よりもさらに小さな異物が回路欠陥の原因となっていること、及びポリエステルフィルム中に、特定範囲の平均粒径をもつ粒子を含有させないことが解像度向上につながることを見出し、このポリエステルフィルムを用いれば、高解像度のフォトレジスト用積層フィルムを作成できることを見出し本発明に到達した。」と記載され(【0007】)、「20μm以上の粗大異物」については、「20μm以上の大きさの粗大異物の個数が10個/m^(2)より多いと、レジスト硬化の際、紫外線の光路を遮断し、回路欠陥の原因となる。特に最大長が50μm以上の粗大異物はレジストとフォトマスクの密着不良の原因となり解像度にも悪影響を与えるため、このような粗大異物は2個/m^(2)以下であることが好ましい。」と記載され(【0022】)、「平均粒径0.8?2.5μmの粒子(I)」及び「平均粒径0.01?0.2μmの粒子(II)」については、「本発明のポリエステルフィルム(B)には、フィルムの滑り性と透明性の両立の観点から、平均粒径0.8?2.5μmの粒子(I)を、0.01?0.1重量%含有させることが必要であり、0.02?0.07重量%を含有させることが好ましい。また、平均粒径0.01?0.2μmの粒子(II)を、0.1?0.8重量%含有させることが必要であり、0.2?0.6重量%含有させることが好ましい。」と記載されている(【0032】)。
しかしながら、引用発明4の「平均粒径0.8?2.5μmの粒子(I)」については、ポリエステルフィルム(B)に含まれる量のみが記載されているが、粒子の数については記載されておらず、また、引用文献4の他の記載等を踏まえて検討しても、引用発明4が、本願発明1の相違点4に係る要件を満たしていると認めることはできず、また、そのような蓋然性が高いとも認められない(なお、このことは、引用文献4の実施例で用いられる支持層(多層ポリエステルフィルム)についても同様である。)。
また、引用文献4の記載を考慮しても、引用発明4において、相違点4に係る要件を満たすようにする動機付けがあると認めることもできない。このことは、引用文献1の記載を考慮しても同様である。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献4に記載された発明及び引用文献1、4に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本願発明2?16について
本願発明2?16は、本願発明1の構成を全て具備するものであるから、本願発明2?16も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献4に記載された発明及び引用文献1、4に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

(3)小括
本願発明1?16は、引用文献4に記載された発明でない。また、本願発明1?16は、当業者であっても、引用文献4に記載された発明及び引用文献1、4の記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

第6 原査定について
理由1(新規性)について
上記「第5」1、2及び4に述べたとおりである。

理由2(進歩性)について
上記「第5」1、2及び4に述べたとおりである。

理由3(拡大先願)について
上記「第5」3に述べたとおりである。

以上のとおり、原査定の理由を維持することはできない。
なお、前置報告において示された特開2012-37872号公報、特開2011-48270号公報について検討しても、上記「第5」1に示した理由と同様の理由により、本願発明1?16は、当業者であっても、これらの文献に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本件出願を拒絶することはできない。
また、他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-10-18 
出願番号 特願2018-555021(P2018-555021)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G03F)
P 1 8・ 121- WY (G03F)
P 1 8・ 161- WY (G03F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 純平  
特許庁審判長 榎本 吉孝
特許庁審判官 早川 貴之
関根 洋之
発明の名称 感光性樹脂組成物及び感光性樹脂積層体  
代理人 中村 和広  
代理人 三橋 真二  
代理人 齋藤 都子  
代理人 青木 篤  
代理人 三間 俊介  
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