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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01R
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01R
管理番号 1379372
審判番号 不服2020-14839  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-23 
確定日 2021-10-27 
事件の表示 特願2014-216505号「試験測定プローブ接続システム及びインターポーザ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年4月30日出願公開、特開2015-83974号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月23日の特許出願であって(パリ条約による優先権主張、2013年10月25日、米国)、平成30年7月6日付けの拒絶理由通知に対し、平成31年1月24日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年6月26日付けの最後の拒絶理由通知に対し、令和2年1月6日に意見書が提出されたところ、同年6月8日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ(原査定の謄本の送達日:同年6月23日)、これに対して、同年10月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲についての補正がされたものである。

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年10月23日にされた手続補正を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の概要
令和2年10月23日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)は、以下の(1)に示される本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下の(2)に示される本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は、補正箇所を示す。

(1)本件補正前
「【請求項1】
縁部から飛び出した薄膜シート形状のプローブ・タブを有すると共に、回路基板と集積回路チップとの間に配置され、上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の信号を伝送可能にするよう構成されるインターポーザと、
上記プローブ・タブの露出した表面上に設けられ、上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の信号の中の第1信号を受けるよう構成される電気リード線と、
上記回路基板と上記集積回路チップから独立して設けられる試験測定システムと、
上記プローブ・タブに着脱可能に接続できるコネクタと、
上記プローブ・タブ上の上記電気リード線と位置が揃うように上記コネクタ内に配置され、測定のために上記試験測定システムへ上記第1信号を伝送可能にする導体と
を具える試験測定プローブ接続システム。」

(2)本件補正後
「【請求項1】
縁部から飛び出した薄膜シート形状のプローブ・タブを複数有すると共に、回路基板と集積回路チップとの間に配置され、上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の異なる信号を伝送可能にするよう構成されるインターポーザと、
複数の上記プローブ・タブそれぞれの露出した表面上に設けられ、上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の異なる信号の中の1つの信号を受けるよう構成される電気リード線と、
上記回路基板と上記集積回路チップから独立して設けられる試験測定システムと、
上記プローブ・タブに着脱可能に接続できるコネクタと、
上記プローブ・タブ上の上記電気リード線と位置が揃うように上記コネクタ内に配置され、測定のために上記試験測定システムへ上記1つの信号を伝送可能にする導体と
を具える試験測定プローブ接続システム。」

2 本件補正についての当審の判断
本件補正は、「インターポーザ」の「縁部から飛び出した薄膜シート形状のプローブ・タブ」について、「インターポーザ」が「複数有する」と補正するとともに、「上記プローブ・タブの露出した表面上に設けられ」る「電気リード線」について、「複数の上記プローブ・タブそれぞれの露出した表面上に設けられ」と補正することを含むから、上記補正は「プローブ・タブ」の個数が「複数」であることに限定したものである。
また、本件補正は、「インターポーザ」が「伝送可能にする」「上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の信号」が「異なる」ものであると補正するとともに、「電気リード線」が「受ける」「上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の信号の中の第1信号」を「複数の異なる信号の中の1つの信号」に補正することを含むから、上記補正は、「上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の信号」の構成を限定したものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、以下では、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か、について検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次に特定されるとおりのものである。
符号A?Fは、本件補正発明の構成を分説するため当審が付した。

「A 縁部から飛び出した薄膜シート形状のプローブ・タブを複数有すると共に、回路基板と集積回路チップとの間に配置され、上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の異なる信号を伝送可能にするよう構成されるインターポーザと、
B 複数の上記プローブ・タブそれぞれの露出した表面上に設けられ、上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の異なる信号の中の1つの信号を受けるよう構成される電気リード線と、
C 上記回路基板と上記集積回路チップから独立して設けられる試験測定システムと、
D 上記プローブ・タブに着脱可能に接続できるコネクタと、
E 上記プローブ・タブ上の上記電気リード線と位置が揃うように上記コネクタ内に配置され、測定のために上記試験測定システムへ上記1つの信号を伝送可能にする導体と
F を具える試験測定プローブ接続システム。」

(2)引用文献
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由において引用された特開2000-323629号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
下線は当審が付した。

「【0012】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、いくつかの典型的なコンデンサ103とメモリ・バンク106が取り付けられた、多くのコンピュータに用いられているような、プリント回路基板101が示されている。また、プリント回路基板101には、プロセッサを挿入することが可能なソケット109が含まれている。ソケット109には、プロセッサ(不図示)を受けるように構成されたホール・グリッドが含まれている。ホールは、互いに、比較的接近して配置されている。ソケット109にプロセッサをはめ込むと、診断のためにプロセッサの最も内部のピンにアクセスするのが極めて困難である。必要とされるプロセッサ・ピンに対するアクセスを可能にするこうした手段の1つが、プロセッサとソケット109の間に配置されるインタポーザの利用である。
【0013】図2を参照すると、使用時、プリント回路基板101のソケット109に差し込まれるインタポーザ123の分解透視図が示されている。プロセッサ125は、さらに、図示のようにインタポーザ123に差し込まれる。インタポーザ123には、ソケット109に結合するようになっているインタポーザ・ソケット・アセンブリ126が含まれている。すなわち、ソケット・アセンブリ126には、通常、ソケット109に差し込まれるプロセッサのピンによく似たピン・グリッド・アレイ(不図示)から突き出した、いくつかのインタポーザ・ピンが含まれている。インタポーザ・ピンは、それぞれ、プローブ先端抵抗器(不図示)を含むプローブ先端に結合されている。インタポーザ123には、診断装置をソケット・アセンブリ126の個々のピンに電気的に結合できるようにする電気コネクタ129も含まれている。個々のプローブ先端は、それぞれのインタポーザ・ピンから電気コネクタ129の1つにおける接点まで延びている。診断装置には、例えば、オシロスコープまたは論理解析器を含むことが可能である。
【0014】次に図3を参照すると、プリント回路基板101、ソケット109、インタポーザ・ソケット・アセンブリ126、及び、プロセッサ153の分解側面図150が示されている。インタポーザ・ソケット・アセンブリ126には、いくつかのインタポーザ・ピン159を含むピン・ソケット156が含まれている。図面が、あまりに複雑で、読み取りがしにくそうに見えるのを防ぐため、インタポーザ・ピン159の全てが示されているわけではないという点に留意されたい。インタポーザ・ピン159は、ピン・ソケット156のホール163に押し込まれている。インタポーザ・ピン159は、一方の端部に、プロセッサ・ピン169が挿入される雌電気接触部166が含まれている。
【0015】インタポーザ・ソケット・アセンブリ126には、いくつかの抵抗器179を備えたパッド・アレイ176を含む、インタポーザ基板173も含まれている。パッド・アレイ176は、本件と同日に出願され、米国特許出願番号09/288372が付与された、「Systemand Method for Probing Dense Pad Arrays」と題する同時係属の米国特許出願に記載のパッド・アレイと同様である。パッド・アレイ176は、本件と同日に出願され、米国特許出願番号09/288347が付与された、「SplitResistor Probe and Method」と題する同時係属の米国特許出願に記載のパッド・アレイにも似ている。インタポーザ・ピン159は、いくつかのハンダ・プリフォーム183を用いて、パッド・アレイ176のパッドにハンダ付けされる。最後に、後述するように、抵抗器179を保護するため、インタポーザ基板173に抵抗器シールド186が取り付けられる。
【0016】図4を参照すると、パッド・アレイ176をさらに詳細に示した、パッド・アレイ・プロービング・システム200の平面図が示されている。パッド・アレイ・プロービング・システム200には、プリント回路基板204または他の同様のフラットな表面部材を通って延びる導電性ホールである、パッド・グリッド203を備える高密度パッド・アレイ176が含まれている。パッド203は、一般に、ソケット、集積回路、または、他の電子装置のそれぞれのピンを受けるのに適している。さらに、高密度パッド・アレイ176は、ボール・グリッド・アレイ、ピン・グリッド・アレイ、プリント回路基板のバイア(via)・アレイ、プリント回路基板において厳密にアライメントがとられたいくつかの導体、または、マルチチップ・モジュールとすることも可能である。高密度パッド・アレイ176には、さらに、第1の端部209及び第2の端部213を備えたいくつかの第1のプローブ先端(tip)抵抗器179aも含まれている。各プローブ先端抵抗器179aの第1の端部209は、それぞれのパッド203に電気的に結合されて、それぞれ、第1のプローブ先端抵抗器179aの第1の端部209とパッド203の間に所定の結合長216が形成される。所定の結合長216は、第1のプローブ先端抵抗器179aが、パッド203にすぐ隣接するようにできるだけ短くする、すなわち、ほぼ製造プロセスが許す限りの短さになるようにする。最も上のパッド203は、図示のように外部プローブ先端抵抗器179bに結合される。
【0017】高密度パッド・アレイ176には、さらに、いくつかの伝送ライン223a、223b、223c、及び、223dが含まれている。伝送ライン223a?223dは、高密度パッド・アレイ176中の第1のプローブ先端抵抗器179aからいくつかの第2のプローブ先端抵抗器179cに経路指定される。第2のプローブ先端抵抗器170cには、第1の端部229及び第2の端部233が含まれている。伝送ライン223a?223dが、第2のプローブ先端抵抗器179cの第1の端部229に結合されている。第2のプローブ先端抵抗器179cの第2の端部233は、コネクタ129に電気的に結合され、コネクタ129は、さらに、ケーブル243を介してロジック・アナライザ239またはオシロスコープ(不図示)に電気的に結合されている。伝送ライン223a?223dは、全体に、高密度パッド・アレイ176から一様に出ているように示されているが、さまざまな考慮に基づいて、高密度パッド・アレイ176から都合のよい方向に特定の経路を辿ることが可能である。例えば、伝送ライン223a?223dの長さを最短にして、高周波数における妨害を制限することが望ましい場合もあるし、あるいは、製造上の限定によって、実際に用いられる高密度パッド・アレイ176からの経路を指示することも可能である。また、パッド203の配置によって、特定のパッド203が高密度パッド・アレイ176から出る可能性のある経路を制限することも可能である。さらに、伝送ライン223a?223dは、プリント回路基板204の上側についてだけしか示されていないが、伝送ライン223a?223dは、プリント回路基板204を貫くバイアを使用して伝送ライン223a?223dの経路を変更することにより、プリント回路基板204の両側に配置することも、あるいは、上側と下側を組み合わせて配置することも可能である。
【0018】高密度パッド・アレイ176の機能性は、次の通りである。プロセッサのような集積回路は、一般に、パッド・アレイ176の各パッドに挿入されるいくつかのピンを備えることが可能である。パッド203は、プリント回路基板204における他の集積回路及び各種コンポーネントにも電気的に接続される。プリント回路基板204における全回路の動作中、信号は、パッド・アレイ176に取り付けられた集積回路とプリント回路基板204の他のコンポーネントの間を伝搬する。
【0019】高密度パッド・アレイ176に取り付けられた集積回路の動作をテストするため、第1のプローブ先端抵抗器179a、伝送ライン223a?223d、及び、第2のプローブ先端抵抗器179cを用いて、高密度パッド・アレイ176のパッド203で伝搬する信号に対するアクセスが行われる。第1及び第2のプローブ先端抵抗器179a及び179cは、パッド203のそれぞれに適用されるプローブとみなされるものの先端に配置されているので、「プローブ先端」抵抗器と呼ばれるという点に留意されたい。すなわち、パッド203で伝搬する信号は、第1のプローブ先端抵抗器179aを通り、伝送ライン223a?223dに沿って進み、第2のプローブ先端抵抗器179cを通って、ロジック・アナライザ239または他の同様の診断装置に伝送される。第1の端部209がパッド203にできるだけ接近するように、第1のプローブ先端抵抗器179aを配置することによって、伝送ライン223a?223dを高密度パッド・アレイ176内のそれぞれのパッド203に結合するプローブ先端抵抗器179aがなければ、別に生じることになるパッド203に対する負荷が低減される。同じことが、コネクタ139に対する電気的結合によって、外部プローブ先端抵抗器179bが結合されているそれぞれのパッド203に対する負荷が生じる可能性のある、外部プローブ先端抵抗器179bについても当てはまる。さらに、高密度パッド・アレイ176外部のあるポイントで、第2のプローブ先端抵抗器179cを伝送ライン223a?223dに結合すると、パッド203の任意の1つと、それぞれのパッド203の近くに経路が来る伝送ライン223a?223dの間のキャパシタンスに起因する、パッド203と伝送ライン223a?223dの間のクロストークの影響が軽減されることになる。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



「【図4】



【図2】及び【図3】の図示内容から、インタポーザ123において、インタポーザ・ソケット・アセンブリ126と電気コネクタ129の間には、インタポーザ基板173から延びた部分が2つ存在することが読み取れる。

引用発明の認定
上記アの記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「プロセッサ125と、プリント回路基板101のソケット109の間に配置され、プロセッサ・ピンに対するアクセスを可能にするインタポーザ123であって、(【0012】、【図2】)
上記ソケット109には、プロセッサ125を受けるように構成されたホール・グリッドが含まれており、(【0012】)
使用時には、プリント回路基板101のソケット109にインタポーザ123が差し込まれ、プロセッサ125は、インタポーザ123に差し込まれるようになっており、(【0013】、【図2】)
インタポーザ123には、ソケット109に結合するようになっているインタポーザ・ソケット・アセンブリ126が含まれており、インタポーザ・ソケット・アセンブリ126には、ソケット109に差し込まれるプロセッサのピンによく似たピン・グリッド・アレイから突き出した、いくつかのインタポーザ・ピンが含まれており、インタポーザ・ピンは、それぞれ、プローブ先端抵抗器を含むプローブ先端に結合されており、
(【0013】、【図2】)
インタポーザ123には、例えば、オシロスコープまたは論理解析器を含む診断装置をインタポーザ・ソケット・アセンブリ126の個々のピンに電気的に結合できるようにする電気コネクタ129も含まれており、個々のプローブ先端は、それぞれのインタポーザ・ピンから電気コネクタ129の1つにおける接点まで延びており、(【0013】、【図2】)
インタポーザ・ソケット・アセンブリ126には、いくつかの抵抗器179を備えたパッド・アレイ176を含む、インタポーザ基板173が含まれており、(【0015】、【図3】)
インタポーザ・ソケット・アセンブリ126と電気コネクタ129の間には、インタポーザ基板173から延びた部分が2つ存在し、
(【図2】、【図3】)
パッド・アレイ・プロービング・システム200には、プリント回路基板204または他の同様のフラットな表面部材を通って延びる導電性ホールである、パッド・グリッド203を備える高密度パッド・アレイ176が含まれており、パッド203は、ソケット、集積回路、または、他の電子装置のそれぞれのピンを受けるのに適しており、高密度パッド・アレイ176には、第1の端部209及び第2の端部213を備えたいくつかの第1のプローブ先端抵抗器179aが含まれており、各プローブ先端抵抗器179aの第1の端部209は、それぞれのパッド203に電気的に結合されており、(【0016】、【図4】)
高密度パッド・アレイ176には、伝送ライン223a、223b、223c、及び、223dが含まれており、伝送ライン223a?223dは、高密度パッド・アレイ176中の第1のプローブ先端抵抗器179aから第2のプローブ先端抵抗器179cに経路が指定され、第2のプローブ先端抵抗器170cには、第1の端部229及び第2の端部233が含まれており、伝送ライン223a?223dが、第2のプローブ先端抵抗器179cの第1の端部229に結合されており、第2のプローブ先端抵抗器179cの第2の端部233は、コネクタ129に電気的に結合され、コネクタ129は、ケーブル243を介してロジック・アナライザ239またはオシロスコープに電気的に結合されており、(【0017】、【図4】)
高密度パッド・アレイ176に取り付けられた集積回路の動作をテストするため、第1のプローブ先端抵抗器179a、伝送ライン223a?223d、及び、第2のプローブ先端抵抗器179cを用いて、高密度パッド・アレイ176のパッド203で伝搬する信号に対するアクセスが行われ、パッド203で伝搬する信号は、第1のプローブ先端抵抗器179aを通り、伝送ライン223a?223dに沿って進み、第2のプローブ先端抵抗器179cを通って、ロジック・アナライザ239または他の同様の診断装置に伝送される、(【0019】)
インタポーザ123。」

ウ 引用文献2
原査定の拒絶の理由において引用された特開平6-109763号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
下線は当審が付した。
「【0009】
【実施例】つぎに図面を参照して本発明を説明する。図1は本発明の一実施例のフラットパッケージ用エミュレーションプローブによりインサーキットエミュレータ(ICE)とターゲットシステム(基板)とを接続した状態の側面図である。図において、本発明のエミュレーションプローブ1は、ICE21とフラットケーブル3の一端とを接続するコネクタ2と、ケーブル3と,ケーブル3の他端に脱着自在のコネクタ4により接続されているプローブ先端部を形成するフレキシブル基板5とから形成されている。
【0010】図2はフレキシブル基板を上から見た平面図である。図において、プローブ先端部を形成するフレキシブル基板5は、薄く柔軟性のある素材でできている基板であり、内部に配線が通っているが多少の曲げでは折れたり断線することはない。配線につながっている電極6は、4辺のうちの長辺2辺のみリード線が引き出されている面実装用パッケージであるスモールアウトラインパッケージ(SOPという)に適合するもので、端子ピッチも0.5mmと非常に小さくなっている。電極6はまた、電極と電極の間には基板がなくすきまがある状態になっており、図3に示すターゲットシステム(基板)2上の電極23と端子数ピッチが同一で、それぞれはちょうど重なり合わせることができる。しかし、最終的にはフレキシブル基板5の電極6をターゲット基板22上の電極23と接触させた状態で半田付けにより固定する。フレキシブル基板5は一枚の基板であることを考えるとかなり細かい配線が可能であり、電極6も細かいピッチでの配線が可能である。
【0011】この様に本発明のエミュレーションプローブは、ターゲットシステム基板との接続にフレキシブル基板を用いることにより、ターゲットのLSIの端子ピッチがSOPのような小さい場合でも容易に作成できる。
【0012】このように、本発明のエミュレーションプローブ1はターゲットシステム22との接続にフレキシブル基板5を使用することによって、ターゲットのLSIの端子ピッチがSOPのように小さい場合でも容易に作成できる。」

「【図1】



「【図2】



上記記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献2記載事項]
「インサーキットエミュレータ(ICE)とターゲットシステム(基板)とを接続するエミュレーションプローブ1が、ICE21とフラットケーブル3の一端とを接続するコネクタ2と、ケーブル3と、ケーブル3の他端に脱着自在のコネクタ4により接続されるプローブ先端部が形成されたフレキシブル基板5を備えており、(【0009】、【図1】)
プローブ先端部を形成するフレキシブル基板5は、薄く柔軟性のある素材でできている基板であり、内部に配線が通っているが多少の曲げでは折れたり断線することはなく、(【0010】、【図2】)
ターゲットシステム22との接続にはフレキシブル基板5が使用されること。(【0012】)」

エ 引用文献3
当審が新たに引用する特開2007-78675号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0009】
図1は、一実施例に基づくテスト装置100の単純化した概略図である。テスト装置100はオシロスコープ、ロジックアナライザ、スペクトルアナライザ又は同様のデバイスとすることが出来るテスト機器101を含んでいる。ポッド102はテスト機器に、そしてケーブル104を介して増幅器103に接続されている。ケーブル104は1本以上の好適な伝送線とすることが出来、これには同軸伝送線及びリボン同軸伝送線が含まれるがこれらに限られない。ポッド102は電子部品及び回路、受動及び能動電子部品、又はそれらを組み合わせたものを含んでいる。」
「【0013】
ZIF電気コネクタ107はプローブヘッドを、ターゲット110に接続された接続用付属部品109へと接続する。本願において更に詳細を説明するように、ZIFコネクタは、ZIF接続とZIF電気コネクタ107の接続用付属部品109へのロック及びZIF電気コネクタ107の接続用付属部品109からのアンロックを助長するロック/アンロック機構108を含んでいる。」
「【0016】
図2Aは、ZIFコネクタ107、ロック機構108及び伝送線106を含むプローブヘッドの一部分の拡大図である。ロック機構108は接続用組立部品109を受容するように適合した基部201を含む。更にロック機構108は、接続用組立部品109と勘合するように適合したリッジ203を含んでいる。リッジ203をツール(図示せず)又は手動で勘合させることによりロック機構108が動くと、ロック機構108は所定位置へとスライドすることにより、接続用付属部品109を方向202へと移動させ、ZIFコネクタ107のハウジング204中において電気接触を持つ勘合位置へと入れるものである。ZIFコネクタ107は更にハウジング204中の接触部を、トレース206を介して伝送線106と接続する接続インターフェース205も含んでいる。接続インターフェース205は高周波信号伝送用に適合した様々な構造体のうちの1つとすることが出来る。例えば、接続インターフェース205は既知のフレキシブル回路基板及びマイクロストリップ伝送線構造体を具備したものとすることが出来る。
【0017】
本実施例においては、このロック機構はスライドロックとして知られるものである。図2Aに示したように、ハウジング204中の接触部はハウジングから引き抜かれた状態のロック機構108に対して開放位置にある。ロック機構108が方向202へと移動すると、接触部はロック機構108により基部201と接触するように、従って接続用付属部品109へと引き付けられる。接続用付属部品109のハウジング204への移動中、ハウジング中の接触部は開放位置にあることから、接続用付属部品をプローブヘッドと接続する位置へと移動させる為に要する力は小さくて済む。ロック機構108がロック位置へと入る(ハウジング204中の最終位置へと移動する等)と、接触部はロック機構108により引き下げられ、接続用付属部品109の接触部と擦られるように勘合することになる。同様に、ロック機構108がロック位置から(例えば方向202とは反対方向に)移動すると、ハウジング中の接触部はロック機構108により接続用付属部品109の接触部から離れることから、ごく僅かな力により接続用付属部品の除去が容易に出来る。」
「【0019】
図2Bは、一実施例に基づく接続用付属部品109の拡大図である。接続用付属部品109は、基板208上に配置された接触部207を含んでいる。基板208は、高周波信号伝送に好適な誘電体材料とすることが出来る。例えば、基板208は信号伝送線の誘電体であって、基板208の一方の側上に伝送線として機能する接触207を持ち、基板208の他方の側にグラウンドプレーン(図示せず)を配置したものとすることが出来る。特定の実施例においては、基板208はプリント回路基板(PCB)であり、接触207が基板上の電気トレースである。」

「【図1】



「【図2A】



「【図2B】



「【図2C】



「【図2D】



上記記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献3記載事項]
「オシロスコープ、ロジックアナライザ、スペクトルアナライザ等のテスト機器101のプローブヘッドを、ターゲット110に接続された接続用付属部品109へ接続する場合、(【0009】、【0013】、【図1】)
プローブヘッドのZIFコネクタ107は、ZIFコネクタ107のハウジング204中の接触部を、トレース206を介して伝送線106と接続するものであり、ロック機構108のスライドにより、接続用付属部品109が方向202へ移動し、ハウジング204中において電気接触を持つ勘合位置に入り、(【0016】、【図2A】、【図2C】)
接続用付属部品109は、基板208上に配置された接触部207を含んでおり、ロック機構108がロック位置へと入ると、ハウジング204中の接触部は、ロック機構108により引き下げられ、接続用付属部品109の接触部207と擦られるように勘合すること。
(【0017】、【0019】、【図2B】、【図2D】)」

オ 引用文献4
当審が新たに引用する特開平9-218221号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般に電子式試験装置に関するものであり、更に詳細には球格子配列表面実装パッケージを電子式測定装置に電気的に接続する試験プローブ組立体に関する。」
「【0003】電子式試験装置(たとえば、オシロスコープ、ロジックアナライザ、エミュレータ)は電圧および電流の波形を含むICの各種電気的局面を分析するのに使用されている。典型的には、部品が搭載されたプリント回路基板には、多数のICパッケージを含む各種電気構成要素が詰め込まれている。板上の構成要素の間隔が密接している(すなわち、高「ボード密度」である)ため、しばしばICを試験装置に電気的に接続するのが困難である。BGAだけが、試験目的でアクセスする「リード線」が存在しないので、この問題を一層悪化させている。」
「【0006】
【実施例】図1は本発明によるプローブ組立体のブロック図を示す。一般に、プローブ組立体は球格子配列に取り付けられた集積回路装置とプリント回路基板との間に差し込まれる。プローブ組立体はユーザが球格子配列の構成が与えられれば他の場合にはアクセス不能である信号にアクセスできるようにする。
【0007】次に図1を参照すると、球格子プローブ120がBGA装置110とプリント回路基板130との間に挟まれている。球格子プローブ120は試験装置140に接続されている。試験装置140は、たとえば、オシロスコープでよい。図1は一つだけの試験装置との接続を示してあるが、本発明はBGA装置を下でわかるように同時に多数の試験装置に接続することを考えている。球格子プローブを介してBGA装置に接続することができる他の試験装置にはロジックアナライザおよび回路エミュレータがある。
【0008】球格子プローブ120はユーザが「インサーキット」(すなわち、プリント回路基板130に電気的に結合されている)であるBGA装置110を試験装置140に接続して個別信号の監視または個別信号の割り込みまたは双方を容易にすることができるように構成されている。個別信号をこうして試験または信号調節に利用することができる。
【0009】図2は本発明によるプローブ組立体の更に詳細なブロック図を示す。BGA装置110は第1および第2の半田ボール202、203を備えて示されている。球格子プローブ120はBGA装置110とプリント回路基板(図示せず)との間に挟まれている。球格子プローブ120の特徴はBGA装置110からの信号をプリント回路基板に送って信号の受動的監視を容易にすることができること、または信号を中断し、試験装置140を通過させ、メッセージを伝え、試験中のシステムに戻ることができることである。」
「【0011】図3は本発明によるプローブ組立体の第1の好適実施例の分解図を示す。球格子プローブ120は相互接続装置324の第1の面に接続されたBGAソケット320を備えている。BGAヘッダ326は相互接続装置324の第2の面に接続されている。相互接続装置324はBGAソケット320およびBGAヘッダをそれぞれ受けるようになっている第1および第2の導電パッド行列322を備えている。相互接続装置324は球格子プローブ120を試験装置(図1の参照番号140)に接続するように構成されている。」
「【0013】球格子プローブ120はBGA装置310をプリント回路基板130に電気的に結合するようになっている。BGA装置310は最初BGAヘッダ312に取り付けられる。BGAヘッダ312は球格子プローブ120のBGAソケット320に接続されるように構成されている。好適実施例では、BGAヘッダ312およびBGAソケット320はともに19×19配列から構成されている。本発明では、たとえば、熱消散に適応する中心空間を持つ配列を含む、他の配列構成が考えられる。」
「【0015】図4はプローブ組立体の第2の好適実施例の分解図を示す。球格子プローブ120はBGAソケット420およびパッド行列(図示せず)を介して接続されているBGAヘッダ430を備えている。この実施例には複数の相互接続装置が図示されている。第1のコネクタ472は2列の信号接点により囲まれている中央接地平面を備えている。コネクタ472は球格子プローブ120に表面実装され、ケーブル470を受け入れるように構成されている。ケーブル470は、たとえば、ロジックアナライザまで引き回すことができる。第2のケーブル460をRS-323形式の相互接続に使用されている形式の標準コネクタを使用して接続する。この第2のケーブル460は回路エミュレータのような他の試験装置まで引き回すことができる。好適実施例では、コネクタ472はペンシルバニア州ハリスバーグのAMP, Incorporatedから入手できるMictor整合インピーダンスコネクタである。」

「【図1】



「【図2】



「【図3】



「【図4】



カ 周知技術・技術常識の認定
(ア)引用文献3記載事項から、次の技術事項は当業者にとって周知であったと認められる(以下「周知技術」という。)。

[周知技術]
「オシロスコープ、ロジックアナライザ等のテスト機器のプローブヘッドを、ターゲット基板に接続された接続用付属部品へ接続する場合、プローブヘッドのコネクタのハウジングの中にある接触部は伝送線と接続されて、信号をテスト機器に伝送するものであり、接続用付属部品は、基板上に配置された接触部を含んでおり、プローブヘッドのコネクタのハウジングの中の接触部は、接続用付属部品の接触部と勘合すること。」

(イ)引用文献4の記載事項(【0003】、【0006】、【0007】、【0015】)から明らかなように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識」という)。

[技術常識]
「集積回路装置とプリント回路基板との間に差し込まれたプローブ組立体を、相互接続装置を介して電子式試験装置に接続して試験を行う場合、その電子式試験装置は、例えば、オシロスコープ、ロジックアナライザ、エミュレータのいずれかであること。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「プリント回路基板101」、「プロセッサ125」及び「インタポーザ123」は、それぞれ本件補正発明の「回路基板」、「集積回路チップ」及び「インターポーザ」に相当する。

イ 引用発明では、「使用時には、プリント回路基板101のソケット109にインタポーザ123が差し込まれ、プロセッサ125は、インタポーザ123に差し込まれるようになっており」、このような「インタポーザ123」は、本件補正発明の「回路基板と集積回路チップとの間に配置され」る「インターポーザ」に相当する。

ウ 引用発明の「高密度パッド・アレイ176のパッド203」は、「ソケット、集積回路、または、他の電子装置のそれぞれのピンを受けるのに適して」おり、「インタポーザ・ソケット・アセンブリ126には、ソケット109に差し込まれるプロセッサのピンによく似たピン・グリッド・アレイから突き出した、いくつかのインタポーザ・ピンが含まれて」いる。
そして、引用発明では、「高密度パッド・アレイ176に取り付けられた集積回路の動作をテストするため」、「高密度パッド・アレイ176のパッド203で伝搬する信号に対するアクセスが行われ」るから、この「パッド203で伝搬する信号」は、「インタポーザ・ピン」ごとに「プリント回路基板101」と「プロセッサ125」との間を伝送する複数の異なる信号であるといえる。
そうすると、引用発明の「インタポーザ123」は、本件補正発明の「上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の異なる信号を伝送可能にする」「インターポーザ」に相当する。

エ 引用発明の「インタポーザ・ソケット・アセンブリ126と電気コネクタ129の間」に「存在」する「部分」は、先端に「コネクタ129」があり、「コネクタ129は、ケーブル243を介してロジック・アナライザ239またはオシロスコープに電気的に結合されて」いるから、この「部分」は、本件補正発明の「プローブ・タブ」と、プローブ部材である点で共通する。
また、引用発明のこの「部分」は「インタポーザ基板173から延びた」ものであるから、本件補正発明の「縁部から飛び出した」「プローブ・タブ」と、縁部から飛び出したプローブ部材であるという点で共通する。
そして、引用発明の「部分」は「2つ存在」するから、このことは、本件補正発明の「複数有する」ことに相当する。

オ 上記ア?エの検討内容をまとめると、本件補正発明の「インターポーザ」と引用発明の「インタポーザ123」は、「縁部から飛び出した」「プローブ部材を複数有すると共に、回路基板と集積回路チップとの間に配置され、上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の異なる信号を伝送可能にするよう構成されるインターポーザ」である点で共通する。

カ 引用発明での「第2のプローブ先端抵抗器170cの第2の端部233」と「コネクタ129」を「電気的に結合」する部分は、「インタポーザ・ソケット・アセンブリ126と電気コネクタ129の間」に「存在」する「部分」に対応しているところ、「パッド203で伝搬する信号は、第1のプローブ先端抵抗器179aを通り、伝送ライン223a?223dに沿って進み、第2のプローブ先端抵抗器179cを通って、ロジック・アナライザ239または他の同様の診断装置に伝送される」から、この「電気的に結合」する部分には、「プリント回路基板101」と「プロセッサ125」との間で伝送される複数の異なる信号を受ける電気リード線が含まれていることは自明である。
そうすると、本件補正発明と引用発明は、「複数の上記プローブ部材それぞれ」「に設けられ、上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の異なる信号の中の1つの信号を受けるよう構成される電気リード線」を備える点で共通する。

キ 引用発明の「高密度パッド・アレイ176に取り付けられた集積回路の動作をテストするため」の「ロジック・アナライザ239または他の同様の診断装置」は、本件補正発明の「上記回路基板と上記集積回路チップから独立して設けられる試験測定システム」に相当する。

ク 引用発明の「パッド・アレイ・プロービング・システム200」では、「各プローブ先端抵抗器179aの第1の端部209は、それぞれのパッド203に電気的に結合されており」、「伝送ライン223a?223d」は「第1のプローブ先端抵抗器179aから第2のプローブ先端抵抗器179cに経路が指定され」、「第2のプローブ先端抵抗器179cの第2の端部233は、コネクタ129に電気的に結合され、コネクタ129は、ケーブル243を介してロジック・アナライザ239またはオシロスコープに電気的に結合されて」いるから、引用発明の「パッド・アレイ・プロービング・システム200」は、本件補正発明の「試験測定プローブ接続システム」に相当する。

上記ア?クより、本件補正発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1?4で相違する。

[一致点]
「縁部から飛び出したプローブ部材を複数有すると共に、回路基板と集積回路チップとの間に配置され、上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の異なる信号を伝送可能にするよう構成されるインターポーザと、
複数の上記プローブ部材それぞれに設けられ、上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の異なる信号の中の1つの信号を受けるよう構成される電気リード線と、
上記回路基板と上記集積回路チップから独立して設けられる試験測定システムと、
を具える試験測定プローブ接続システム。」

[相違点1]
「縁部から飛び出したプローブ部材」について、本件補正発明は、「薄膜シート形状のプローブ・タブ」であるのに対して(構成A)、引用発明は、「薄膜シート形状」であるか明らかではなく、「電気コネクタ129」が先端にあるため「タブ」であるとはいえない点。

[相違点2]
「複数の上記プローブ部材それぞれに設けられ、上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の異なる信号の中の1つの信号を受けるよう構成される電気リード線」について、本件補正発明では、「複数の上記プローブ・タブそれぞれの露出した表面上に設けられ」るのに対して(構成B)、引用発明では、露出した表面上に設けられているか明らかではない点。

[相違点3]
本件補正発明では、「上記プローブ・タブに着脱可能に接続できるコネクタ」(構成D)を備えているのに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。

[相違点4]
本件補正発明では、「上記プローブ・タブ上の上記電気リード線と位置が揃うように上記コネクタ内に配置され、測定のために上記試験測定システムへ上記1つの信号を伝送可能にする導体」(構成E)を備えているのに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。

(4)判断
上記相違点1?4について検討する。
ア 相違点1、3について
引用文献2記載事項には、「インサーキットエミュレータ(ICE)とターゲットシステム(基板)とを接続するエミュレーションプローブ1が、ICE21とフラットケーブル3の一端とを接続するコネクタ2と、ケーブル3と、ケーブル3の他端に脱着自在のコネクタ4により接続されるプローブ先端部が形成されたフレキシブル基板5を備えており、プローブ先端部を形成するフレキシブル基板5は、薄く柔軟性のある素材でできている基板」であることが開示されている。
ここで、引用文献2記載事項の「薄く柔軟性のある素材でできている」「プローブ先端部を形成するフレキシブル基板5」は、本件補正発明の「薄膜シート形状のプローブ・タブ」に対応するものであり、引用文献2記載事項の「脱着自在のコネクタ4」は、本件補正発明の「上記プローブ・タブに着脱可能に接続できるコネクタ」に対応するものである。
そして、前記(2)カ(イ)において認定したとおり、「集積回路装置とプリント回路基板との間に差し込まれたプローブ組立体を、相互接続装置を介して電子式試験装置に接続して試験を行う場合、その電子式試験装置は、例えば、オシロスコープ、ロジックアナライザ、エミュレータのいずれかであること。」が技術常識であるから、接続される試験装置がオシロスコープであるか、ロジックアナライザであるか、エミュレータであるかによって、プローブ組立体の接続部材に相違するところはない。
そうすると、引用文献2記載事項の「エミュレーションプローブ1」の「薄く柔軟性のある素材でできている」「プローブ先端部を形成するフレキシブル基板5」や「脱着自在のコネクタ4」を、引用発明の「オシロスコープまたは論理解析器を含む診断装置」と「インターポーザ123」の接続に適用する際、引用発明の「インタポーザ・ソケット・アセンブリ126と電気コネクタ129の間」に「存在」する「部分」(プローブ部材)の先端にある「電気コネクタ129」に代えて、先端もフレキシブル基板の延長部で構成して、全体をタブ状とすることにより、上記相違点1、3に係る本件補正発明の構成A、Dとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2、4について
前記(2)カ(ア)において認定したとおり、「オシロスコープ、ロジックアナライザ等のテスト機器のプローブヘッドを、ターゲット基板に接続された接続用付属部品へ接続する場合、プローブヘッドのコネクタのハウジングの中にある接触部は伝送線と接続されて、信号をテスト機器に伝送するものであり、接続用付属部品は、基板上に配置された接触部を含んでおり、プローブヘッドのコネクタのハウジングの中の接触部は、接続用付属部品の接触部と勘合すること。」は、周知技術である。
ここで、「接続用付属部品」の「基板上に配置された接触部」は、基板上の露出した表面に設けられた導電部であるといえる。
また、「プローブヘッドのコネクタのハウジングの中にある接触部」は「接続用付属部品の接触部と勘合する」から、接続用付属部品の接触部と位置が揃うようにコネクタ内に配置された導体であるといえる。
そして、引用発明、引用文献2記載事項及び上記周知技術は、いずれも試験装置を試験対象に接続された接続用付属部品へ接続する点で共通するから、上記技術常識に照らして引用文献2記載事項及び周知技術を引用発明に適用することにより、上記相違点2、4に係る本件補正発明の構成B、Eとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

ウ そして、本件補正発明の奏する効果についても、引用発明、引用文献2記載事項、周知技術及び技術常識から当業者が予測可能な範囲内のものにすぎず、格別顕著なものであるということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2記載事項、周知技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、以下の主張をしている。
「(c)引用発明の説明と本願発明との違いについて
引用文献1には、インターポーザ123が、インターポーザ・ソケット・アセンブリ126、及び、診断装置を上記インターポーザ・ソケット・アセンブリ126の個々のピンに結合できるようにする電気コネクタ129を含むこと([0012])が記載され、また、図2からは、上記インターポーザ・ソケット・アセンブリ126と上記電気コネクタ129との間にフレキシブル基板が設けられるものと考えられます。しかし、電気コネクタ129がフレキシブル基板と着脱可能との記載は明細書中には一切なく、また、図を参照しても、電気コネクタ129の着脱可能なことを前提とした構造であることを示唆する描写はありません。よって、複数の電気コネクタ129は、そのままでは、集積回路のような非常に小さな電気的接続ピン等が多数存在する周辺の回路と干渉するリスクがあることから、こうした干渉を避けるため、これ電気コネクタ129を安定的に固定して使用することが前提となっていると考えるのが合理的であり、測定中に着脱を繰り返すことは想定されていないと考えられます。
このとき、引用文献2の発明は、段落0003に「本発明の対象であるフラットパッケージ用エミュレーションプローブは、インサーキットエミュレータ(以下ICEと称す)と開発しようとするLSIが実装されるべき基板(ターゲットシステム)とを接続するものであり、ICEとターゲットシステム間の信号の受け渡しはこのエミュレーションプローブを介して行われる。」とあり、インサーキットエミュレータ(ICE)は、一般に、開発中の基板(引用文献2では、ターゲットシステム(基板)22)にCPU(引用文献2では、LSI10)の代わりに装着してターゲットシステム22におけるプログラムの動作検証(デバッグ)を行うための試験測定装置であることから、エミュレーションプローブは、回路基板(ターゲット基板22)と集積回路チップ(LSI10)との間で伝送される信号を試験測定装置(ICE21)へ伝送することはありませんし、事実、ターゲット基板22の動作を確認(デバッグ)している状態の図1では、LSI10が描写されていません。図4では、ターゲット基板22とLSI10との間にエミュレーションプローブ7が配置されていますが、これは、段落0014にあるように、ICEでLSIを模倣する代わりに「デバッグ終了後ターゲットシステム上に実際のLSIを搭載して使用したい場合」ですから、ここでもやはり、ターゲット基板22LSI10との間で伝送される信号を試験測定装置(I
CE21)へ伝送することはありません。そして、図4の「デバッグ終了後」の状態(本願発明で言えば、測定が終了した状態に対応)では、段落0014に「本発明のエミュレーションプローブではコネクタでフラットケーブル3とフレキシブル基板7とを切り離すことができる。」としても、フレキシブル基板7は、1箇所でのみコネクタ4と接続できるので、本願発明のように、他の場所にあるフレキシブル基板から回路基板(ターゲット基板22)と集積回路チップ(LSI10)の間に伝送される信号を試験測定システム(ICE21)に伝送することも、当然にありません。そもそも、デバッグが終了しているのですから、引用文献1と同様に、やはり、測定中に着脱を繰り返すことを想定するものではありません。このように、引用文献2記載のエミュレーションプローブは、「プローブ」という名称が付いていても、本願の発明における「回路基板と集積回路チップの間に伝送される信号」を試験測定システムに伝送するためのものではなく、よって、本願発明でいうインターポーザに対応するものは、何ら開示していないことから、引用文献1記載のインターポーザに、引用文献2記載のエミュレーションプローブの構成を適用するという動機付けは生じるものではなく、よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明に引用文献2に記載された発明を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものではないと考えます。」

イ 上記アの主張について検討すると、
(ア)本件補正発明の「コネクタ」について、「プローブ・タブに着脱可能に接続できる」と特定されているものの、請求人が主張するような「測定中に着脱を繰り返す」ためのものであるとは特定されていないから、このような主張は、請求項の記載に基づかないものである。
また、請求人の主張に沿って、引用発明の「電気コネクタ129」が、フレキシブル基板(引用発明の「インタポーザ・ソケット・アセンブリ126と電気コネクタ129の間」に「存在」する「部分」)と着脱を繰り返すものではないとしても、当該「電気コネクタ129」に接続される「ケーブル243」には、「電気コネクタ129」に接続される接続部があるのが通常であり(技術常識を示す文献として引用した引用文献4の【図4】のケーブル460及び470の先端の接続部も参照)、ケーブル243側の当該接続部は、電気コネクタ129と繰り返し着脱可能になっていると考えることができる(周知技術を示す文献として引用した引用文献3の【図2C】及び【図2D】のロック機構108も参照)。
そうすると、引用発明の「インタポーザ・ソケット・アセンブリ126と電気コネクタ129の間」に「存在」する「部分」(請求人が「フレキシブル基板」と称している部分)は、電気コネクタ129を介してはいるものの、ケーブル243側の接続部と繰り返し着脱可能になっているコネクタ構造を有しているといえる。
そして、前記(4)のアにおいて説示したとおり、引用発明に引用文献2記載事項を適用して、「インタポーザ・ソケット・アセンブリ126と電気コネクタ129の間」に「存在」する「部分」(プローブ部材)の先端にある「電気コネクタ129」に代えて、先端もフレキシブル基板の延長部で構成して、全体をタブ状とすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、また、ケーブル243側の接続部との接続に係る上記コネクタ構造の具体的な態様として、引用文献2記載事項の「脱着自在のコネクタ4」を適用することは、当業者ならば格別の困難性はない。

(イ)引用文献1記載のインターポーザに引用文献2記載のエミュレーションプローブの構成を適用する動機付けがない旨の主張については、前記(4)のアにおいて検討したとおり、技術常識に照らせば、接続される試験装置がオシロスコープであるか、ロジックアナライザであるか、エミュレータであるかによって、プローブ組立体の接続部材に相違するところはないから、引用文献2記載事項の「エミュレーションプローブ1」の「薄く柔軟性のある素材でできている」「プローブ先端部を形成するフレキシブル基板5」や「脱着自在のコネクタ4」を、引用発明の「オシロスコープまたは論理解析器を含む診断装置」と「インターポーザ123」の接続に適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(ウ)したがって、請求人の上記アの主張を採用することはできない。

(6)小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2において説示したとおり却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明は、令和元年1月24日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次に特定されるとおりである。

「【請求項1】
縁部から飛び出した薄膜シート形状のプローブ・タブを有すると共に、回路基板と集積回路チップとの間に配置され、上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の信号を伝送可能にするよう構成されるインターポーザと、
上記プローブ・タブの露出した表面上に設けられ、上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の信号の中の第1信号を受けるよう構成される電気リード線と、
上記回路基板と上記集積回路チップから独立して設けられる試験測定システムと、
上記プローブ・タブに着脱可能に接続できるコネクタと、
上記プローブ・タブ上の上記電気リード線と位置が揃うように上記コネクタ内に配置され、測定のために上記試験測定システムへ上記第1信号を伝送可能にする導体と
を具える試験測定プローブ接続システム。」

2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:特開2000-323629号公報(再掲)
引用文献2:特開平6-109763号公報(再掲)

3 引用文献に記載された事項
上記引用文献1には、[引用発明]において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
また、上記引用文献2から、[引用文献2記載事項]において認定したとおりの技術事項が認められる。
さらに、上記引用文献3から、[周知技術]において認定したとおりの周知技術が認められ、上記引用文献4から、[技術常識]において認定したとおりの技術常識が認められる。

4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「インターポーザ」の「縁部から飛び出した薄膜シート形状のプローブ・タブ」について、「インターポーザ」が「複数有する」という限定を省き、「上記プローブ・タブの露出した表面上に設けられ」る「電気リード線」について、複数の上記プローブ・タブの「それぞれ」に設けられるという限定を省き、「インターポーザ」が「伝送可能にする」「上記回路基板と上記集積回路チップとの間の複数の信号」が「異なる」ものであるという限定を省き、「上記回路基板と上記集積回路チップの間で伝送される複数の信号」の構成についての限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の2において説示したとおり、引用発明、引用文献2記載事項、周知技術及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2記載事項、周知技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2021-05-28 
結審通知日 2021-06-01 
審決日 2021-06-14 
出願番号 特願2014-216505(P2014-216505)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01R)
P 1 8・ 575- Z (G01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 浩史  
特許庁審判長 居島 一仁
特許庁審判官 濱本 禎広
濱野 隆
発明の名称 試験測定プローブ接続システム及びインターポーザ  
代理人 特許業務法人山口国際特許事務所  
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