現在、審決メルマガは配信を一時停止させていただいております。再開まで今暫くお待ち下さい。

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 F41G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F41G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F41G
管理番号 1379480
審判番号 不服2021-2218  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-19 
確定日 2021-11-16 
事件の表示 特願2019-528096号「検知された物体の情報項目を少なくとも2つの通信相手の間で伝送するための通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月26日国際公開、WO2018/134318、令和 1年12月12日国内公表、特表2019-535996号、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 理 由
第1 手続きの経緯
本願は、2018年(平成30年)1月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年1月20日 (DE)ドイツ)を国際出願日とする出願であって、その手続の概要は以下のとおりである。

令和 2年 6月 2日付け:拒絶理由通知書
同年 8月28日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 3年 2月19日 :審判請求書、同時に手続補正書の提出
同年 5月20日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由」とい
う。)
同年 7月28日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の理由
原査定の理由は、以下の理由2、3を含むものである。
<理由2>(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

<理由3>(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



●理由2(特許法第29条第1項第3号)について
・請求項1?6、13?15
・引用文献等1

●理由3(特許法第29条第2項)について
・請求項1?7、13?15
・引用文献等1

・請求項8?11
・引用文献等1?3

・請求項12
・引用文献等1?5

<引用文献等一覧>
1.特開2001-66097号公報
2.米国特許出願公開第2009/0195652号明細書
3.米国特許第8939366号明細書(周知技術を示す文献)
4.特開2008-151484号公報(周知技術を示す文献)
5.特開平6-78188号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



請求項1?14に係る発明は明確でない。


第4 本願発明
本願の請求項1?13に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」?「本願発明13」という。)は、令和3年7月28日の手続補正(以下「本件補正」ということもある。)により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
検知された物体の情報項目(OI)を少なくとも2つの第一の通信相手(2)および第二の通信相手(3)の間で伝送するための通信システム(1)において、前記通信システム(1)が、
第一の通信装置(12)および物体検知装置(9)を有する標的距離測定装置(6)として形成され、
前記物体検知装置(9)は、遠く離れた物体(7,7A,7B)を検知し、検知された遠方の前記物体(7,7A,7B)をそれぞれ表現する物体情報項目(OI)を生成するように構成され、
当該物体情報項目(OI)は、前記標的距離測定装置(6)に対する前記物体(7,7A,7B)の相対方位および/または相対位置を表現または関連付けるものであり、
前記第一の通信装置(12)は、生成された前記物体情報項目(OI)を第二の通信相手(3)に送信するように構成される、
少なくとも1つの第一の通信相手(2)と、
眼鏡照準具装置(13)の位置から遠く離れた風景、またはその風景内に置かれた前記物体(7,7A,7B)や標的を、光学的に大きく見せたり拡大したりするように構成されて、光学的拡大素子を備える眼鏡照準具装置(13)として形成され、前記眼鏡照準具装置(13)は、火器装置に取り付け可能なまたは取り付けられる第二の通信装置(17)、および、前記眼鏡照準具装置(13)の方位に応じて変化する視野(16)を表示する第一の表示装置(15)を有し、
前記第二の通信装置(17)は、前記第一の通信相手(2)により送信された前記物体情報項目(OI)を受信するように構成され、
前記第一の表示装置(15)は、前記眼鏡照準具装置(13)の所定の方位で前記視野(16)の外側にある物体(7A,7B)を前記視野(16)の外側として表示可能とするか、または表示する、
少なくとも1つの第二の通信相手(3)と、
第三の通信装置(18)を有するユーザ側モバイル機器としてのラップトップ型PC、スマートフォンまたはタブレット型PCとして形成され、前記第三の通信装置(18)は、前記第一の通信相手(2)により送信される前記各物体情報項目(OI)を受信するように構成され、かつ前記第一の通信相手(2)により送信された、前記物体情報項目(OI)により表現された前記物体(7,7A,7B)の時間的に変化する位置での前記物体情報項目(OI)の経時的な変化を評価するように構成された、少なくとも1つのさらなる第三の通信相手(4)と、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記眼鏡照準具装置(13)の所定の方位で前記視野(16)の外側にある前記物体(7A,7B)は、図形情報項目により、前記視野(16)の外側であるとマーク表示可能とするか、またはマーク表示され、および/または、
前記眼鏡照準具装置(13)の所定の方位で前記視野(16)の外側にある前記物体(7A,7B)は、英数字情報項目により、前記視野(16)の外側であると表示可能とするか、または表示される、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記図形情報項目は、少なくとも1つの図形要素としての点、三角形、四角形など、または複数の、場合により異なる、図形要素の組み合わせからなり、前記英数字情報項目は、少なくとも1つの英数字要素としての文字、数字、または複数の、場合により異なる、英数字要素からなることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記眼鏡照準具装置(13)の所定の方位で前記視野(16)内にある前記物体(7)は、第一の図形情報項目により、前記視野(16)内であるとマーク表示可能とするか、またはマーク表示され、前記眼鏡照準具装置(13)の所定の方位で前記視野(16)の外側にある前記物体(7A,7B)は、前記第一の図形情報項目と異なる第二の図形情報項目により、マーク表示可能とするか、またはマーク表示されることを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第一の図形情報項目および前記第二の図形情報項目は、各記号の形および/または色を表現する少なくとも1つの記号パラメータが異なることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記眼鏡照準具装置(13)の所定の方位で前記視野(16)の外側にある物体(7A,7B)は、前記図形情報項目により、および/または、前記英数字情報項目により、表示可能とするか、または表示され、および/または、
前記各物体(7A,7B)の特性に関する少なくとも1つの物体パラメータが異なる物体(7A,7B)は、異なる図形情報項目および/または英数字情報項目により、表示可能とするか表示されることを特徴とする請求項2?5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記眼鏡照準具装置(13)の所定の方位で前記視野(16)の外側にある物体(7A,7B)は、前記図形情報項目により記号形式で、前記視野(16)の外側であるとしてマーク表示可能とするか、またはマーク表示され、前記記号は、方向記号であり、前記各方向記号は前記眼鏡照準具装置(13)に対して前記各物体(7A,7B)がある方向を指し示し、前記各物体(7A,7B)の前記眼鏡照準具装置(13)との距離を示す前記物体パラメータが異なる物体(7A,7B)は、前記各物体(7A,7B)がある方向を指し示す前記各方向記号が異なる大きさで示されていることを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記視野(16)の内側および/または外側にある前記物体(7,7A,7B)は、少なくとも1つの追加英数字情報項目で追加的に表示可能とするか、または表示され、
前記追加英数字情報項目は、
前記各物体(7,7A,7B)の前記眼鏡照準具装置(13)に対する距離を表現する距離情報項目、または、
前記各物体(7,7A,7B)の現在または将来の位置を表現する位置情報項目、または、
前記各物体(7,7A,7B)の前記眼鏡照準具装置(13)に対する現在または将来の相対位置を表現する相対距離情報項目、または、
前記物体(7,7A,7B)の種類を表現する主題情報項目、または、
前記物体(7,7A,7B)を味方、敵または中立/未知であると評価する物体評価情報項目である、
ことを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記物体検知装置(9)は、前記物体検知装置(9)によって検知された複数の遠く離れた前記物体(7,7A,7B)から、特定の検知された遠方の前記物体(7,7A,7B)をユーザ側が選択するための選択装置(10)を含み、前記物体検知装置(9)は、少なくとも1つのユーザ側が選択した前記検知された遠方の物体(7,7A,7B)を表現する物体情報項目(OI)を生成するように構成されることを特徴とする請求項1?8のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項10】
少なくとも1つの前記さらなる第三の通信相手(4)は、情報を表示するための第二の表示装置(20)、および、地図が記憶される記憶装置を備え、前記第二の表示装置(20)は、地図情報を表示し、かつ、そこにあり、受信した前記物体情報項目(OI)および/または受信した視野情報項目で表現された視線および/または受信した視野情報項目で表現された視野により表現された前記物体(7,7A,7B)を追加的に表示するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項11】
前記第一の通信装置(12)および前記物体検知装置(9)を備え、前記物体検知装置(9)は、遠く離れた物体(7,7A,7B)を検知し、検知された遠方の前記物体(7,7A,7B)を表現する物体情報項目(OI)を生成するように構成され、前記第一の通信装置(12)は、前記第二の通信相手(3)に生成された前記物体情報項目(OI)を送信するように構成されることを特徴とする請求項1?10のいずれか1項に記載の通信システム(1)のための標的距離測定装置(6)。
【請求項12】
前記第二の通信装置(17)、および前記眼鏡照準具装置(13)の方位に応じて変化する視野(16)を表示する第一の表示装置(15)を備え、前記第二の通信装置(17)は、前記第一の通信相手(2)によって送信された前記物体情報項目(OI)を受信するように構成され、
前記第一の表示装置(15)は、受信した前記物体情報項目(OI)を表示するように構成され、前記眼鏡照準具装置(13)の所定の方位で視野(16)の外側にある前記物体(7A,7B)は、前記視野(16)の外側と表示可能とするか、または表示されることを特徴とする請求項1?10のいずれか1項に記載の通信システム(1)のための眼鏡照準具装置(13)。
【請求項13】
検知された物体の情報項目(OI)を少なくとも2つの第一?第三の通信相手(2,3,4)の間で伝送する方法を実行するために、請求項1?10のいずれか1項に記載の通信システム(1)が使用されることを特徴とする方法。」

第5 当審拒絶理由について
1 本件補正により、補正前の「通信相手(2)」、「通信相手(3)」、「通信相手(4)」、「通信装置(12)」、「通信装置(17)」、「通信装置(18)」、「表示装置(15)」、「表示装置(20)」が、それぞれ、「第一の通信相手(2)」、「第二の通信相手(3)」、「第三の通信相手(4)」、「第一の通信装置(12)」、「第二の通信装置(17)」、「第三の通信装置(18)」、「第一の表示装置(15)」、「第二の表示装置(20)」と補正され、各用語の相互の区別が明確になった。

2 本件補正により、請求項1において「当該物体情報項目(OI)は、前記標的距離測定装置(6)に対する前記物体(7,7A,7B)の相対方位および/または相対位置を表現または関連付けるものであり、」との構成が付加され、「物体情報項目(OI)」がどのような項目であるのか明確になった。

3 本件補正により、補正前の請求項1に記載の「受信した前記物体情報項目(OI)を表示するように構成され」との構成が削除されたため、当該構成に対応する記載不備は解消された。

4 本件補正により、補正前の請求項1の「マーク表示可能」及び「マーク表示」が、それぞれ、「表示可能」、「表示」とされるとともに、補正前の請求項2の「図形情報項目により・・・表示可能とするか、または表示され」が「図形情報項目により・・・マーク表示可能とするか、またはマーク表示され」とされた。これにより、図形情報項目による表示が「マーク表示」であり、英数字情報項目による表示が「表示」である点が明確になった。

5 本件補正により、補正前の請求項5の「前記第二の情報項目」が「前記第二の図形情報項目」とされ、「前記」が指し示すものが明確になった。

6 本件補正により、請求項7が請求項6の従属項とされ、「前記各物体(7A,7B)の前記眼鏡照準具装置(13)との距離を示す前記物体パラメータが異なる物体(7A,7B)は、」との構成が付加された。これにより、「各物体(7A,7B)」が「ある方向を指し示す前記各方向記号が異なる大きさで示され」る条件等が明確になった。

7 本件補正により、補正前の請求項8が補正前の請求項9の内容で限定されるとともに、「前記英数字情報項目または」との記載及び「および/または主題」との記載が削除された。これにより、請求項8の構成が明確になるとともに、削除された構成に対応する記載不備は解消された。

8 上記「1」?「7」のとおり、本件補正により本願発明1?13は明確になっているから、当審拒絶理由は解消した。

第6 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。以下同様である。)。
「【請求項2】 照準用レチクルを具備し小火器に装着する撮像器と、前記小火器又は撮像器に設けられ、照準方向を測定する照準測角器と、上記小火器又は撮像器に設けられる表示器と、射手の位置を測定する自己位置計測手段と、外部から目標位置情報を受信する受信器と、前記自己位置計測手段から得られた自己位置情報と前記目標位置情報と前記照準方向により、前記照準方向に対する目標方向の角度ずれ量を算出するずれ角算出手段と、目標方向を前記撮像器画像上にシンボルで重畳し前記表示器に表示する目標方向シンボル重畳手段とを具備したことを特徴とする小火器用照準補助装置。」

「【0010】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1を示す系統図であり、図において1は小火器、2は撮像器、3は前記小火器1の照準方向を測定する照準測角器、4は撮像器画像、5は照準方向情報、6は自己位置計測手段、7は自己位置情報、8は目標位置を外部から受信する受信器、9は目標位置情報、10は照準方向情報5と自己位置情報7と目標位置情報9から目標方向の照準方向からのずれを算出するずれ角算出手段、11は照準ずれ情報、12は撮像器画像4上に照準ずれ情報11を数字で表示するずれ角重畳手段、13は表示画像、14は表示器、16は目標位置情報発信手段である。また、図2はこの発明の表示器の表示内容の例を示す図であり、図中15は照準レチクル、11は照準ずれ情報である。
【0011】次に操作について図1、図2を参照して説明する。射手は小火器1を構える必要から両手が塞がるため、ヘッドマウントディスプレイあるいは小火器1もしくは撮像器2と一体の形状をなす表示器14により照準動作を行う。撮像器2は視野の中央に照準レチクルをもち、小火器1に固定される。また、照準測角器3は小火器1あるいは撮像器2に取付けられ、測角軸が照準レチクルと平行になるように調整してある。照準測角器3は例えば傾斜計と方位センサからなり、傾斜計は水平面基準による高低角を計測し、方位センサは磁北基準による方位角を計測する。このような測角器はA6サイズの基板1枚の大きさのもので相対角0.1度程度が実現されており、500m先でも1m以内の誤差で方向計測が可能である。目標位置情報発信手段16より発信された目標位置情報9を受信器8で受信する。目標位置情報9と自己位置計測手段6で計測した自己位置情報7はそれぞれ目標と自己位置の緯度、経度、高度情報を含み、ずれ角算出手段10で自己位置基準での目標方位角と、目標までの距離および高低差を算出するとともに、照準測角器3で得た小火器1の照準方位角と高低角情報を含む照準方向情報5から、照準レチクル15に対する目標方向の方位角、高低角ずれを計算し、照準ずれ情報11としてずれ角重畳手段12に出力する。ずれ角重畳手段12にて撮像器画像4に照準ずれ情報11を数値で重畳して表示器14に表示する。射手は照準ずれ情報11の数値が0に近づくように小火器1の射軸を調整し、照準レチクル15近傍にある目標を精照準の上、射撃を行う。
【0012】目標位置情報発信手段16から発信される目標位置情報9は、本発明と同様に自己位置計測手段を備え、さらにレチクルをもつ広視野望遠鏡あるいは撮像器のレチクル方向と軸を整合した測角器と発射したレーザパルスの目標までの往復時間から距離を計測する距離計を備えて、レチクル上の目標の距離と方向を計測できるようにすることで取得可能となる。あるいは、航空機や人工衛星など上空からの測位による位置情報取得も可能である。撮像器2は小火器1の射程にあわせてより遠方の目標を照準できるように倍率を設定しているため視野が狭く、広範囲からの目標の捜索には不向きであるが、目標位置情報発信手段16より目標位置を受信することで効率的に捜索から照準、射撃を行うことができる。撮像器2は可視カメラ、赤外線カメラなど環境に応じて使い分けることで目標の照準がより容易になる。
・・・
【0014】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形態2を示す系統図であり、図において1から11は図1と同じである。20は照準ずれ情報11により撮像器画像4に目標方向シンボルを重畳する目標方向シンボル重畳手段、13と14と16は図1と同じである。また、図4はこの発明の表示器の表示内容の例を示す図であり、図中15は照準レチクル、21は目標方向シンボル、22は目標シンボル、23は目標である。
【0015】次に操作について図3、図4を参照して説明する。目標位置情報発信手段16より発信された目標の緯度、経度、高度情報を含む目標位置情報を受信器8で受信すると、目標位置情報9と自己位置計測手段6で計測した自己位置の緯度、経度、高度情報を含む自己位置情報7と、照準レチクルと平行な測角軸をもつ照準測角器3で得た照準方向情報5から、照準レチクル15に対する目標方向のずれをずれ角算出手段10にて計算し、照準ずれ情報11として目標方向シンボル重畳手段20に出力する。目標方向シンボル重畳手段20では照準ずれ情報11の方位角ずれおよび高低角ずれの何れかが撮像器2の水平方向視野および垂直方向視野の1/2より大きいときは目標が撮像器2の視野外にあると判断し、照準レチクル15から見た目標方向を示す目標方向シンボル21を撮像器画像4に重畳する。また、照準ずれ情報11の方位角ずれおよび高低角ずれが撮像器2の水平方向視野および垂直方向視野の1/2より小さい場合、すなわち目標が撮像器2の視野内にあるときは目標シンボル22を撮像器画像4に重畳する。射手は小火器1の射軸を目標方向シンボル21の方向に移動させ、目標が視野内に入り目標シンボル22が表示されれば、目標シンボル22の近傍にある目標23を精照準し、射撃する。シンボルで表示することにより、射手は一目で目標の方向を判別でき瞬時の動作が可能になる。また、目標が複数存在する場合は目標方向シンボル重畳手段20で最も方向ずれが小さい目標の方向を目標方向シンボル21で表示し、目標が視野内に入った時点で次にずれ角が小さい目標の目標方向シンボルを表示する、あるいは同時に複数の目標方向シンボルを表示することで射撃後すみやかに次目標へ対処することができる。」

また、図3、4は以下のとおりである。
【図3】


【図4】


(2)引用文献1の認定事項
上記(1)の摘示から、次のことが認定できる。
ア 上記請求項2の記載及び図3に示される系統図から、小火器用照準補助装置及び目標位置情報発信手段16によりシステムが構成されていること。

(3)引用発明1
上記(1)及び(2)から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「 小火器用照準補助装置及び目標位置情報発信手段16により構成されるシステムであって、
小火器用照準補助装置は、照準用レチクル15を具備し小火器1に装着する撮像器2と、前記小火器1又は撮像器2に設けられ、照準方向を測定する照準測角器3と、ヘッドマウントディスプレイと一体の形状をなす表示器14と、射手の位置を測定する自己位置計測手段6と、外部から目標位置情報9を受信する受信器8と、前記自己位置計測手段6から得られた自己位置情報7と前記目標位置情報9と前記照準方向により、前記照準方向に対する目標方向の角度ずれ量を算出するずれ角算出手段10と、目標方向を前記撮像器画像4上にシンボルで重畳し前記表示器14に表示する目標方向シンボル重畳手段20とを具備し、
目標位置情報発信手段16から発信される目標位置情報9は、自己位置計測手段を備え、さらにレチクルをもつ広視野望遠鏡あるいは撮像器のレチクル方向と軸を整合した測角器と発射したレーザパルスの目標までの往復時間から距離を計測する距離計を備えて、レチクル上の目標の距離と方向を計測できるようにすることで取得可能となり、
撮像器2は小火器1の射程にあわせてより遠方の目標を照準できるように倍率を設定しており、
目標位置情報発信手段16より発信された目標の緯度、経度、高度情報を含む目標位置情報9を受信器8で受信すると、目標位置情報9と自己位置計測手段6で計測した自己位置の緯度、経度、高度情報を含む自己位置情報7と、照準レチクル15と平行な測角軸をもつ照準測角器3で得た照準方向情報5から、照準レチクル15に対する目標方向のずれをずれ角算出手段10にて計算し、照準ずれ情報11として目標方向シンボル重畳手段20に出力し、
目標方向シンボル重畳手段20では照準ずれ情報11の方位角ずれおよび高低角ずれの何れかが撮像器2の水平方向視野および垂直方向視野の1/2より大きいときは目標が撮像器2の視野外にあると判断し、照準レチクル15から見た目標方向を示す目標方向シンボル21を撮像器画像4に重畳し、
照準ずれ情報11の方位角ずれおよび高低角ずれが撮像器2の水平方向視野および垂直方向視野の1/2より小さい場合、すなわち目標が撮像器2の視野内にあるときは目標シンボル22を撮像器画像4に重畳し、
射手は小火器1の射軸を目標方向シンボル21の方向に移動させ、目標が視野内に入り目標シンボル22が表示されれば、目標シンボル22の近傍にある目標23を精照準し、射撃する、
システム。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項
引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている({ }は、当審の仮訳である。以下同様である。)。
「[0035]Embodiments of the system of the invention comprise a remote control station. In these embodiments the mobile platform comprises a transceiver for transmitting information from the mobile platform to the remote control station. The mobile platform also comprises an electro-mechanical mechanism executing control signals that are wirelessly transmitted from the control station to the mobile platform by a remote operator. Additional information from sensors installed on the mobile platform may also be wirelessly transmitted to the remote control station to assist the operator to control the mobile platform.」
{[0035]本発明のシステムの実施形態は、遠隔制御ステーションを含む。これらの実施形態では、モバイルプラットフォームは、モバイルプラットフォームからの情報を遠隔制御装置に送信するためのトランシーバを含む。また、モバイルプラットフォームは、無線遠隔操作によって制御局から移動体プラットフォームに送信される制御信号を実行する電気機械的機構を含む。移動プラットフォーム上に設置されたセンサからの追加の情報はまた、無線で遠隔制御ステーションに送信モバイルプラットフォームを制御するためにオペレータを補助することができる。}

「[0057]As an example of the type of information that can be determined from the images supplied by the imaging sensor, tactical markings 11, 12, and 13 on interface 20 respectively show the operator the direction in which he is looking in relation to the platform as well as the location of a moving object (the man in the doorway) in relation to his direction of observation. In the embodiment shown a range measurement detector is incorporated. The operator simply points at (touches) the object on the screen to which he wishes to measure the range and the range is displayed beside that object 40. The interface then allows directing weapons systems towards the object designated by the operator.」
{[0057]イメージセンサによって供給された画像から決定することができる情報の種類の例として、インターフェース20上の戦術的印11、12、及び13は、それぞれ、操作者がプラットフォームに対して見ている方向、ならびに観察方向に対して移動する物体(出入り口にいる男性)の位置を示している。実施形態では、距離測定検出器が組み込まれている。オペレータは、範囲を測定したい画面上のオブジェクトを単に指し示す(触れる)と、そのオブジェクト40の横に範囲が表示される。次に、インターフェースは、オペレータによって指定されたオブジェクトに向けて兵器システムを向けることを可能にする。}

また、図4は、以下のとおりである。



3 引用文献3について
(1)引用文献3に記載された事項
引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、行数は明細書の中央に付された数字による。
(明細書第1欄第第6、7行)
「The present disclosure relates generally to the field of targeting display systems」
{本開示は、一般に、標的表示システムの分野に関する。}

(明細書第7欄第32?39行)
「In the illustrated exemplary embodiment, a range field 455 presented near the top of image 400 along the vertical axis provides a range from the targeting display system to targeted object 405 (e.g., in meters, kilometers, feet, yards, miles, etc.). An azimuth field 465 provided near the bottom of image 400 along the vertical axis identifies the relative or absolute azimuth from the user to targeted object 405 in selected units (mil, degrees, etc.).」
{図示の例示的な実施形態では、垂直軸に沿って画像400の上部近くに提示される範囲フィールド455は、標的表示システムから標的物体405までの範囲(例えば、メートル、キロメートル、フィート、ヤード、マイルなど)を提供する。
垂直軸に沿って画像400の下部近くに提供される方位角フィールド465は、選択された単位(ミル、度など)で、ユーザから標的オブジェクト405までの相対的または絶対的な方位角を識別する。}

(明細書第11欄第49?63行)
「Embodiments of the present disclosure may be practiced in a networked environment using logical connections to one or more remote computers having processors. Logical connections may include a local area network (LAN) and a wide area network (WAN) that are presented here by way of example and not limitation. Such networking environments are commonplace in office-wide or enterprise-wide computer networks, intranets and the Internet and may use a wide variety of different communication protocols. Those skilled in the art will appreciate that such network computing environments will typically encompass many types of computer system configurations, including personal computers, hand-held devices, multi-processor systems, microprocessor-based or programmable consumer electronics, network PCs, servers, minicomputers, mainframe computers, and the like.」
{本開示の実施形態は、プロセッサを有する1つまたは複数のリモートコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化された環境で実施することができる。論理接続には、ローカルエリアネットワーク(LAN)とワイドエリアネットワーク(WAN)が含まれる場合がる。これらは、限定ではなく例としてここに示されている。このようなネットワーク環境は、オフィス全体または企業全体のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットでは一般的であり、さまざまな異なる通信プロトコルを使用する場合がある。当業者は、そのようなネットワークコンピューティング環境が、通常、パーソナルコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な民生用電子機器、ネットワークPC、サーバ、ミニコンピュータを含む多くのタイプのコンピュータシステム構成を包含することを理解するであろう。}

また、図4は、以下のとおりである。


4 引用文献4について
(1)引用文献4に記載された事項
引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0024】
受信装置31は、送信装置21から送信された敵位置情報を受信し、地図プロット装置41に送る。受信装置32は、送信装置22から送信された敵位置情報を受信し、地図プロット装置41に送る。受信装置33は、送信装置23から送信された味方位置情報を受信し、地図プロット装置41に送る。受信装置34は、送信装置24から送信された味方位置情報を受信し、地図プロット装置41に送る。
【0025】
地図プロット装置41は、ディスプレイ装置を含み、受信装置31および受信装置32から送られてくる敵位置情報、ならびに、受信装置33および受信装置34から送られてくる味方位置情報に基づき、地図上に、敵の砲弾発射位置、敵の砲弾着弾位置および味方の砲弾発射位置(味方の小銃等および戦車砲の発射位置)をプロットして表示する。」

また、図5は、以下のとおりである。
【図5】

5 引用文献5について
(1)引用文献5に記載された事項
引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0013】しかも、レーザ測距装置23により、レーザ経路26をたどり指定された目標物の測距が可能となり、信号処理部23により、画像情報による方位角とレーザ測距装置23による距離情報により目標物の位置が把握でき、移動目標履歴モニタ24の予め用意してある担任範囲の地図画面に移動目標履歴画像27に黒丸27aで示すように目標物の履歴を表示することができる。」

また、図1は以下のとおりである。
【図1】



第7 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「目標位置情報発信手段16」、「小火器用照準補助装置」、「目標」及び「目標位置情報9」は、それぞれ、本願発明1の「第1の通信相手」、「第2の通信相手」、「物体」及び「物体情報項目」に相当する。また、引用発明1の「目標位置情報」は、「自己位置計測手段を備え、さらにレチクルをもつ広視野望遠鏡あるいは撮像器のレチクル方向と軸を整合した測角器と発射したレーザパルスの目標までの往復時間から距離を計測する距離計を備えて、レチクル上の目標の距離と方向を計測できるようにすることで取得可能とな」るものであるから「目標」が検知されたものであることは明らかであり、本願発明1の「検知された物体の情報項目」に相当する。

イ 引用発明1の「小火器用照準補助装置」の「受信器8」は、「目標位置情報発信手段16より発信された目標の緯度、経度、高度情報を含む目標位置情報9」を「受信」するものである。そうすると、引用発明1の、かかる構成を有する「小火器用照準補助装置及び目標位置情報発信手段16により構成されるシステム」は、上記アも踏まえると本願発明1の「検知された物体の情報項目を少なくとも2つの第一の通信相手および第二の通信相手の間で伝送するための通信システム」に相当する。

ウ 引用発明1の「目標位置情報発信手段16から発信される目標位置情報9」は、「自己位置計測手段を備え、さらにレチクルをもつ広視野望遠鏡あるいは撮像器のレチクル方向と軸を整合した測角器と発射したレーザパルスの目標までの往復時間から距離を計測する距離計を備えて、レチクル上の目標の距離と方向を計測できるようにすることで取得可能とな」るものである。そうすると、引用発明1の「目標位置情報発信手段16」が、遠くの「目標」を検知して、該検知された遠方の「目標」の「目標位置情報9」を生成する検知装置を有することは明らかである。また、引用発明1の「目標位置情報発信手段16」は、「目標位置情報9」を「発信」するから、通信装置を有することも明らかである。そうすると、引用発明1の「目標位置情報発信手段1」が、かかる構成を有することは、上記アも踏まえると本願発明の「少なくとも1つの第一の通信相手」が「第一の通信装置および物体検知装置を有する標的距離測定装置として形成され、前記物体検知装置は、遠く離れた物体を検知し、検知された遠方の前記物体をそれぞれ表現する物体情報項目を生成するように構成され」ることに相当する。

エ 引用発明1の「目標位置情報発信手段16」が「目標位置情報9」を「小火器用照準補助装置」の「受信器8」に「発信」することは、上記アも踏まえると本願発明1の「前記第一の通信装置は、生成された前記物体情報項目を第二の通信相手に送信するように構成される」ことに相当する。

オ 引用発明1の「小火器用照準補助装置」の「表示器14」は「ヘッドマウントディスプレイと一体の形状をなす」ものであり、また、「射手」は「小火器1の射軸を目標方向シンボル21の方向に移動させ、目標が視野内に入り目標シンボル22が表示されれば、目標シンボル22の近傍にある目標23を精照準し、射撃する」から「小火器用照準補助装置」は、「眼鏡照準具装置」として形成されているといえる。

カ 引用発明1の「小火器用照準補助装置」の「撮像器2」は、「小火器1の射程にあわせてより遠方の目標を照準できるように倍率を設定して」いる。当該「倍率」の「設定」が、光学的拡大素子により行われていることは技術常識からみて明らかである。

キ 引用発明1の「小火器用照準補助装置」の「表示器14」は、「小火器1に装着する撮像器2」で撮像した「撮像器画像4」を「表示する」ものであるから、「小火器用照準補助装置」の「撮像器2」の方位に応じて変化する視野を「表示」することは明らかである。

ク 引用発明1の「小火器用照準補助装置」の「受信器8」及び「表示器14」は、それぞれ、本願発明1の「第二の通信装置」及び「第一の表示装置」に相当する。

ケ 引用発明1の「小火器用照準補助装置」が上記カに記載の構成を有する「撮像器2」、「受信器8」、及び、上記キに記載の構成を有する「表示器14」を「具備」していることと、本願発明1の「少なくとも1つの第二の通信相手」が「眼鏡照準具装置の位置から遠く離れた風景、またはその風景内に置かれた前記物体や標的を、光学的に大きく見せたり拡大したりするように構成されて、光学的拡大素子を備える眼鏡照準具装置として形成され、前記眼鏡照準具装置は、火器装置に取り付け可能なまたは取り付けられる第二の通信装置、および、前記眼鏡照準具装置の方位に応じて変化する視野を表示する第一の表示装置を有」することとは、上記ア及びオ?クも踏まえると「少なくとも1つの第二の通信相手」が「眼鏡照準具装置の位置から遠く離れた風景、またはその風景内に置かれた前記物体や標的を、光学的に大きく見せたり拡大したりするように構成されて、光学的拡大素子を備える眼鏡照準具装置として形成され、前記眼鏡照準具装置は、第二の通信装置、および、前記眼鏡照準具装置の方位に応じて変化する視野を表示する第一の表示装置を有」するという点で共通する。

コ 引用発明1の「小火器用照準補助装置」の「受信器8」が「目標位置情報発信手段16より発信された」「目標位置情報」を「受信する」ことは、上記ア及びクも踏まえると本願発明1の「前記第二の通信装置は、前記第一の通信相手により送信された前記物体情報項目を受信するように構成され」ることに相当する。

サ 引用発明1の「小火器用照準補助装置」において「目標位置情報9と自己位置計測手段6で計測した自己位置の緯度、経度、高度情報を含む自己位置情報7と、照準レチクル15と平行な測角軸をもつ照準測角器3で得た照準方向情報5から、照準レチクル15に対する目標方向のずれをずれ角算出手段10にて計算し、照準ずれ情報11として目標方向シンボル重畳手段20に出力し、目標方向シンボル重畳手段20では照準ずれ情報11の方位角ずれおよび高低角ずれの何れかが撮像器2の水平方向視野および垂直方向視野の1/2より大きいときは目標が撮像器2の視野外にあると判断し、照準レチクル15から見た目標方向を示す目標方向シンボル21を撮像器画像4に重畳」して「表示器14に表示する」ことは、上記ア及びケも踏まえると本願発明1の「前記第一の表示装置は、前記眼鏡照準具装置の所定の方位で前記視野の外側にある物体を前記視野の外側として表示可能とするか、または表示する」ことに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。
<一致点>
「 検知された物体の情報項目を少なくとも2つの第一の通信相手および第二の通信相手の間で伝送するための通信システムにおいて、前記通信システムが、
第一の通信装置および物体検知装置を有する標的距離測定装置として形成され、
前記物体検知装置は、遠く離れた物体を検知し、検知された遠方の前記物体をそれぞれ表現する物体情報項目を生成するように構成され、
前記第一の通信装置は、生成された前記物体情報項目を第二の通信相手に送信するように構成される、
少なくとも1つの第一の通信相手と、
眼鏡照準具装置の位置から遠く離れた風景、またはその風景内に置かれた前記物体や標的を、光学的に大きく見せたり拡大したりするように構成されて、光学的拡大素子を備える眼鏡照準具装置として形成され、前記眼鏡照準具装置は、第二の通信装置、および、前記眼鏡照準具装置の方位に応じて変化する視野を表示する第一の表示装置を有し、
前記第二の通信装置は、前記第一の通信相手により送信された前記物体情報項目を受信するように構成され、
前記第一の表示装置は、前記眼鏡照準具装置の所定の方位で前記視野の外側にある物体を前記視野の外側として表示可能とするか、または表示する、
少なくとも1つの第二の通信相手と、
を備える通信システム。」

<相違点1>
上記「物体情報項目」に関して、本願発明1では、「前記標的距離測定装置に対する前記物体の相対方位および/または相対位置を表現または関連付けるものであ」るのに対して、引用発明1では、「目標の緯度、経度、高度情報を含む目標位置情報9」である点。

<相違点2>
上記「第2の通信装置」に関して、本願発明1では、「火器装置に取り付け可能なまたは取り付けられる」のに対して、引用発明1では、そのように特定されていない点。

<相違点3>
本願発明1では、「通信システム」が「第三の通信装置を有するユーザ側モバイル機器としてのラップトップ型PC、スマートフォンまたはタブレット型PCとして形成され、前記第三の通信装置は、前記第一の通信相手により送信される前記各物体情報項目を受信するように構成され、かつ前記第一の通信相手により送信された、前記物体情報項目により表現された前記物体の時間的に変化する位置での前記物体情報項目の経時的な変化を評価するように構成された、少なくとも1つのさらなる第三の通信相手」を備えるのに対して、引用発明1では、「システム」がそのような通信相手を備えるか不明である点。

(2)相違点についての判断
ア まずはじめに、上記相違点1?3は、実質的な相違点であるので、本願発明1は引用発明1であるということはできない。
よって、本願発明1は特許法29条1項3号に該当しない。
イ 次に、事案に鑑み、相違点3について先に検討する。
引用文献2には、モバイルプラットフォームは、モバイルプラットフォームからの情報を遠隔制御装置に送信するためのトランシーバを含むことが記載されている。
引用文献3には、標的表示システムを、プロセッサを有する1つまたは複数のリモートコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化された環境で実施することが記載されている。
しかしながら、引用文献2及び3には、上記相違点3に係る本願発明1の構成のうち、少なくとも「前記物体情報項目により表現された前記物体の時間的に変化する位置での前記物体情報項目の経時的な変化を評価する」との構成を開示していない。
また、上記引用文献2及び3から、システムにおいて他の端末にも情報を送信可能に構成することが周知技術であるといえるとしても、当該周知技術は、上記相違点3に係る本願発明3の構成のうち、少なくとも「前記物体情報項目により表現された前記物体の時間的に変化する位置での前記物体情報項目の経時的な変化を評価する」との構成を具備するものではない。
そうすると、引用発明1に引用文献2、3に記載された事項及び上記周知技術を適用しても上記相違点3に係る本願発明1の構成には至らない。
なお、原査定で周知技術を示す文献として提示された引用文献4及び5にも上記相違点3に係る本願発明1の構成は記載も示唆もされていない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、引用文献2、3に記載された事項及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、本願発明1は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものではない。

2 本願発明2?13について
本願発明2?13は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに本願請求項2?13において特定される発明特定事項により限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明1、引用文献2、3に記載された事項、周知技術(引用文献2、3)、周知技術(引用文献4、5)に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。
よって、本願発明2?13は、特許法29条1項3号に該当せず、同法29条2項の規定により特許を受けることができないものではない。

第8 原査定について
本件補正により、本願発明1?13は、上記相違点3に係る本願発明1の構成を有するものとなっている。
そのため、上記第7のとおり、本願発明1?13は、引用発明1であるとはいえず、引用発明1、引用文献2に記載された事項及び周知技術(引用文献2?5)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、原査定の拒絶の理由を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審決日 2021-10-26 
出願番号 特願2019-528096(P2019-528096)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (F41G)
P 1 8・ 113- WY (F41G)
P 1 8・ 121- WY (F41G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 立花 啓森本 哲也  
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 藤井 昇
畔津 圭介
発明の名称 検知された物体の情報項目を少なくとも2つの通信相手の間で伝送するための通信システム  
代理人 牛木 護  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ