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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H05B
管理番号 1379481
審判番号 不服2021-5151  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-21 
確定日 2021-11-16 
事件の表示 特願2017-553906号「照光制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月20日国際公開、WO2016/166023号、平成30年6月7日国内公表、特表2018-514912号、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)4月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年4月16日、欧州)を国際出願日とする出願であって、令和1年4月5日に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、令和2年3月16日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月17日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、同年12月21日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して、令和3年4月21日に拒絶査定に対する審判請求をされると同時に、特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
1 (理由1)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2 (理由2)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


(1)理由1,2について
・請求項 1?3,5,6,11?13,15
・引用文献 1

(2)理由2について
・請求項 4,7,14
・引用文献 1

・請求項 8?10
・引用文献 1,2

・引用文献等一覧
1.特開2011-138645号公報
2.米国特許出願公開第2012/0101554号明細書

第3 本願発明
本願の請求項1?15に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」?「本願発明15」という。)は、令和3年4月21日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
少なくとも1つの発光デバイスから放射される光を1つ又は複数の制御信号を用いて制御するための照光制御装置であって、
前記照光制御装置は、
第1のユーザから光制御入力データを受信するための照光入力受信デバイスであって、
前記光制御入力データは、少なくとも1つの発光デバイスから放射される照明効果光を制御するための前記第1のユーザの所望の照光要求入力である、照光入力受信デバイスと、
第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられたデータを受信するためのユーザデータ受信デバイスと、
前記光制御入力データ、及び前記第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられた前記データに基づいて前記1つ又は複数の制御信号を生成するためのプロセッサと、
前記1つ又は複数の制御信号を出力する照光制御出力ユニットと、を備える、
照光制御装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの発光デバイスが照光空間内に配置されており、
前記照光制御装置が、前記照光空間内における前記第2のユーザの存在を指示するデータを受信し、
前記プロセッサが、前記指示するデータに更に基づいて前記1つ又は複数の制御信号を生成する、
請求項1に記載の照光制御装置。
【請求項3】
前記光制御入力データは、前記少なくとも1つの発光デバイスからの第1の光出力状態に関連付けられ、
前記1つ又は複数の制御信号は前記少なくとも1つの発光デバイスからの第2の光出力状態に関連付けられ、前記第1の光出力状態は前記第2の光出力状態とは異なる、
請求項1又は2に記載の照光制御装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの発光デバイスが、複数の異なる光出力状態を出力し、
前記光制御入力データが前記光出力状態の第1の範囲内の光出力状態に対応し、
前記プロセッサが、前記1つ又は複数の制御信号を、光出力状態の第2の範囲内の1つ又は複数の光出力状態に対応するように生成し、前記第2の範囲は前記第1の範囲とは異なり、
前記プロセッサが、前記光制御入力データを、前記第2の範囲内の光出力状態に対応するように変更し、
変更された前記光制御入力データを用いて前記1つ又は複数の制御信号を生成するか、
又は、
前記光制御入力データが前記第2の範囲内の光出力状態に対応する場合にのみ、前記光制御入力データを用いて1つ又は複数の前記制御信号を生成する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照光制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられた前記データに基づいて所定の制御情報を選択し、
選択された前記所定の制御情報を用いて前記1つ又は複数の制御信号を生成する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照光制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられた前記データに基づいて制御情報の所定のセットにアクセスし、
前記光制御入力データに基づいて前記所定のセットから前記制御情報を選択し、
選択された前記制御情報を用いて前記1つ又は複数の制御信号を生成する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照光制御装置。
【請求項7】
前記照光制御出力ユニットが、前記1つ又は複数の制御信号を、複数の発光デバイスを備える照光制御ネットワークへ出力する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照光制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の照光制御装置を備えるシステムであって、
前記第2のユーザ上に着用され、
前記第2のユーザの生理又は認知状態を監視し、
前記第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられた前記データを前記ユーザデータ受信デバイスへ出力するウェアラブルデバイスを更に備える、
システム。
【請求項9】
前記光制御入力データに関連付けられる前記第1のユーザからの入力要求を受け取り、
前記光制御入力データを前記照光入力受信デバイスへ出力する、光制御入力デバイスを更に備える、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの発光デバイスを更に備える、
請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの発光デバイスから放射される光を1つ又は複数の制御信号を用いて制御するための方法であって、前記方法は、
第1のユーザから光制御入力データを受信するステップであって、前記光制御入力データは、少なくとも1つの発光デバイスから放射される照明効果光を制御するための前記第1のユーザの所望の照光要求入力である、ステップと、
第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられたデータを受信するステップと、
プロセッサを用いて、前記光制御入力データ及び生理又は認知状態データに基づいて前記1つ又は複数の制御信号を生成するステップと、
前記1つ又は複数の制御信号を前記少なくとも1つの発光デバイスへ出力するステップとを含む、
方法。
【請求項12】
前記1つ又は複数の発光デバイスが照光空間内に配置されており、前記方法は、
前記照光空間内における前記第2のユーザの存在を指示するデータを受信するステップと、
前記指示するデータに更に基づいて前記1つ又は複数の制御信号を生成するステップと
を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光制御入力データは、前記少なくとも1つの発光デバイスからの第1の光出力状態に関連付けられ、
前記1つ又は複数の制御信号は前記少なくとも1つの発光デバイスからの第2の光出力状態に関連付けられ、前記第1の光出力状態は前記第2の光出力状態とは異なる、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの発光デバイスは、複数の異なる光出力状態を出力し、前記光制御入力データは前記光出力状態の第1の範囲内の光出力状態に対応し、前記方法は、
前記1つ又は複数の制御信号を、前記光出力状態の第2の範囲内の1つ又は複数の光出力状態に対応するように生成するステップであって、前記第2の範囲は前記第1の範囲とは異なる、生成するステップと、
前記光制御入力データを、前記第2の範囲内の光出力状態に対応するように変更し、
変更された前記光制御入力データを用いて前記1つ又は複数の制御信号を生成するステップ、
又は、
前記光制御入力データが前記第2の範囲内の光出力状態に対応する場合にのみ、前記光制御入力データを用いて前記1つ又は複数の制御信号を生成するステップ、
のうちのいずれか1つ又は複数を含む、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられた前記データに基づいて所定の制御情報を選択するステップと、
選択された前記所定の制御情報を用いて前記1つ又は複数の制御信号を生成するステップと、を更に含む、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の方法。」

第4 引用文献の記載事項等
1 引用文献1にについて
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)

「【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者が移動する際に患者や被介護者の足元を照らす照明システムに関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、患者と同じ部屋で寝ている別の患者の睡眠をできるだけ妨げないようにしながら、患者のベッドと部屋の出入口との間を患者が容易に移動できるようにすることを目的とする。」

「【0012】
図1において、制御装置1は、施設内の患者が居る各部屋の照明を点灯したり消灯したりするためのものである。また、制御装置1は、照明システムの各構成要素を後述するように制御する。ここで、制御装置1には、施設内の各部屋に設置されている第一の照明装置2、第二の照明装置3、離床センサ4、入退室センサ5および記憶装置6が接続されている。
【0013】
第一の照明装置2は、ランプなどにより構成されており、患者の足元を照明するためのものである。ここで、第一の照明装置2は、患者が使用している各ベッド近傍に少なくとも一台以上設置されている。また、第一の照明装置2は、制御装置1に伝送線を介して接続されている。また、第一の照明装置2は、部屋の出入口付近に居る患者が視認できるような程度の明るさで周囲の床を照明する。また、第一の照明装置2は、自装置を他のベッド近傍に設置された第一の照明装置2と識別するための照明装置識別情報(例えば、照明番号など)が割り振られている。
【0014】
第二の照明装置3は、ランプなどにより構成されており、部屋の出入口付近の足元部分を照明するためのものである。ここで、第二の照明装置3は、部屋の出入口付近に少なくとも一台以上設置されている。また、第二の照明装置3は、制御装置1に伝送線を介して接続されている。また、第二の照明装置3は、ベッド付近に居る患者が視認できるような程度の明るさで周囲の床を照明する。
【0015】
また、第一の照明装置2と第二の照明装置3とを同時に点灯することで、患者のベッド付近の床と部屋の出入口付近の床とが照明される。これにより、ベッド付近に居る患者は、その場所から部屋の出入口までの経路を明確に認識することができるとともに、部屋の出入口付近に居る患者は、その場所から患者のベッドまでの経路を明確に認識することができる。
【0016】
離床センサ4は、シート状のセンサなどにより構成されており、患者がベッドから降りたことを検出するためのものである。ここで、離床センサ4は、患者がベッドから降りたことを検出することができるように、各ベッド近傍の床に設置されている。また、離床センサ4は、制御装置1に伝送線を介して接続されている。また、離床センサ4は、シート上の荷重を検出することで患者がベッドから降りたことを検出する。離床センサ4は、シート上の荷重を検出すると、離床検出信号を制御装置1へ出力する。この離床検出信号は、自装置を他のベッド近傍に設置された離床センサ4と識別するための離床センサ識別情報(例えば、装置番号など)および離床センサ4が設置されている部屋を他の部屋と識別するための部屋識別情報(例えば、部屋番号など)を含む。また、離床センサ4は、患者が部屋の出入口からベッド近傍まで移動した際にシート上の荷重を検出した場合も、離床検出信号を制御装置1へ出力する。
【0017】
入退室センサ5は、赤外線センサなどにより構成されており、人が部屋に入退室したことを検出するためのものである。ここで、入退室センサ5は、部屋の出入口付近に設置されている。また、入退室センサ5は、制御装置1に伝送線を介して接続されている。また、入退室センサ5は、部屋の内側および外側の二箇所で、部屋の出入口を横切るようにして放射した赤外線を受光しており、人体などの物体により放射された赤外線が遮られて受光しなくなることで物体を検出する。そして、入退室センサ5は、赤外線を受光しなくなった順番により、人が部屋に入室したことおよび人が部屋から退室したことを検出する。
【0018】
具体的には、放射されている二本の赤外線のうち、部屋の内側で放射されている赤外線が遮られてから部屋の外側で放射されている赤外線が遮られたと入退室センサ5にて判断した場合に、入退室センサ5は、人が部屋から退室したことを検出する。このとき、入退室センサ5は、退室検出信号を制御装置1へ出力する。一方、放射されている二本の赤外線のうち、部屋の外側で放射されている赤外線が遮られてから部屋の内側で放射されている赤外線が遮られたと入退室センサ5にて判断した場合に、入退室センサ5は、人が部屋に入室したことを検出する。このとき、入退室センサ5は、入室検出信号を制御装置1へ出力する。ここで、退室検出信号および入室検出信号は、入退室センサ5が設置されている部屋を他の部屋と識別するための部屋識別情報を含む。」

「【0030】
以上、詳しく説明したように、本実施形態の照明システムでは、患者がベッドから降りたことを離床センサ4にて検出した場合に、制御装置1は、その離床センサ4の離床センサ識別情報および部屋識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報を取得し、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させるようにしている。このとき、制御装置1は、点灯情報の値を、第一の照明装置2が点灯していることを示すものに書き換えて記憶装置6に記憶させるようにしている。
【0031】
その後、患者の退室を入退室センサ5にて検出した場合に、制御装置1は、入退室センサ5の部屋識別情報を取得し、取得した部屋識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報の中から点灯情報の値が第一の照明装置2の点灯を示すものである照明装置識別情報を取得して、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を消灯させるようにしている。このとき、制御装置1は、患者が退室していることを示す退室情報を、取得した第一の照明装置2の照明装置識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶させるとともに、点灯情報の値を、第一の照明装置2が消灯していることを示すものに書き換えて記憶装置6に記憶させるようにしている。
【0032】
そして、患者の入室を入退室センサ5にて検出した場合に、制御装置1は、入退室センサ5の部屋識別情報を取得し、取得した部屋識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報の中から退室情報が関連付けて記憶されているものを取得して、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させるようにしている。このとき、制御装置1は、点灯情報の値を、第一の照明装置2が点灯していることを示すものに書き換えて記憶装置6に記憶させるとともに、この照明装置識別情報に関連付けて記憶されている退室情報を記憶装置6にてリセットするようにしている。」

図1

図2

図3


(2)引用文献1の記載から認めら得ること
ア 【0012】?【0014】の記載によれば、制御装置1は、患者が使用している各ベッド近傍に設置される第一の照明装置2と、部屋の出入口付近に設置される第二の照明装置3を点灯したり消灯したりすることが認められる。

イ 【0016】の記載によれば、制御装置1は、各ベッド近傍の床に設置される離床センサ4から伝送線を介して離床検出信号を受信することが認められ、【0017】及び【0018】の記載によれば、制御装置1は、部屋の出入口付近に設置される入退室センサ5から伝送線を介して退室検出信号又は入室検出信号を受信することが認められる。

ウ 【0016】、【0030】?【0032】の記載によれば、制御装置1は、患者がベッドから降りたことを離床センサ4にて検出した場合に、その離床センサからの離床検出信号により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させ、その後、患者の退室を入退室センサ5にて検出した場合に、前記第一の照明装置2および第二の照明装置3を消灯させ、このとき、退室情報を、前記第一の照明装置2の照明装置識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶させ、そして、患者の入室を入退室センサ5にて検出した場合に、記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報の中から退室情報が関連付けて記憶されているものを取得して、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させることが認められる。

(3)引用発明1-1
上記(2)ア?ウを総合すると、引用文献1には、制御装置として、以下の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。

「患者が使用している各ベッド近傍に設置される第一の照明装置2と、部屋の出入口付近に設置される第二の照明装置3を点灯したり消灯したりする制御装置1において、
各ベッド近傍の床に設置される離床センサ4から伝送線を介して離床検出信号を受信し、
部屋の出入口付近に設置される入退室センサ5から伝送線を介して退室検出信号又は入室検出信号を受信し、
制御装置1は、患者がベッドから降りたことを離床センサ4にて検出した場合に、その離床センサからの離床検出信号により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させ、その後、患者の退室を入退室センサ5にて検出した場合に、前記第一の照明装置2および第二の照明装置3を消灯させ、このとき、退室情報を、前記第一の照明装置2の照明装置識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶させ、そして、患者の入室を入退室センサ5にて検出した場合に、記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報の中から退室情報が関連付けて記憶されているものを取得して、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させる、
制御装置1。」

(4)引用発明1-2
上記(2)、(3)を総合すると、引用文献1には、方法として、以下の発明(以下、「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。

「患者が使用している各ベッド近傍に設置される第一の照明装置2と、部屋の出入口付近に設置される第二の照明装置3を点灯したり消灯したりする方法において、
患者がベッドから降りたことを離床センサ4にて検出した場合に、その離床センサからの離床検出信号により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させ、その後、患者の退室を入退室センサ5にて検出した場合に、前記第一の照明装置2および第二の照明装置3を消灯させ、このとき、退室情報を、前記第一の照明装置2の照明装置識別情報に関連付けて記憶装置6に記憶させ、そして、患者の入室を入退室センサ5にて検出した場合に、記憶装置6に記憶されている照明装置識別情報の中から退室情報が関連付けて記憶されているものを取得して、取得した照明装置識別情報により特定される第一の照明装置2および第二の照明装置3を点灯させる、
上記方法。」

2 引用文献2について
引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている(和訳は当審が作成した。)。

「[0008] While a light system provides wellness benefits to a user, different users tend to have different responses to the application of light. With different users having different responses to the application of light, it is desirable to include a feedback to the system so that the system may be suitably tuned to the particular user's characteristics. While many users will tend to have similar characteristics, most users will have somewhat different responses to the application of light for therapeutic and wellness benefits. With a suitable application of light, selected for the particular user based upon their individual characteristics, the user may achieve the improved health and wellness benefits.」
(和訳:[0008] ある光システムはあるユーザに健康上の利益を提供するが、異なるユーザは光の照射に対して異なる反応をする傾向にある。異なるユーザは光の照射に対して異なる反応をするので、そのシステムが特定のユーザの特性に適切に適合できるように、そのシステムへのフィードバックを含むことが好ましい。多くのユーザが似た傾向を持つ傾向にあるが、ほとんどのユーザが、治療と健康の利益のための光の照射に対してやや異なる反応をする。個別の特性に基づいて、特定のユーザに対して選ばれた、適切な光の照射であれば、そのユーザは、改善された健康の利益を得ることができる。)

「[0010] Referring to FIG. 1, a lighting system may be controlled by a light controller to manage a number of different attributes, each of which may individually or collectively contribute to the wellness and health of a user.・・・」
(和訳:[0010] 図1を参照すると、照明システムは、ある1人のユーザの健康に個別的に又は限定的に寄与し得る、多くの異なる属性を管理する光制御装置によって制御することができる。・・・)

「[0012] Referring to FIG. 2, an analysis engine may be used to selectively control the light controller interconnected to the lighting system. The analysis engine may be operating on a local computer, a service on the Internet, or operating on a cloud computing platform, or otherwise.・・・」
(和訳:[0012] 図2を参照すると、分析エンジンは、照明システムに相互接続される光制御装置を限定的に制御するために使用することができる。分析エンジンは、ローカルコンピュータや、インターネット上のサービス、すなわち、クラウド・コンピューティング・プラットフォームやその他のもので、動作できる。・・・)

「[0019] In addition, sensors associated with the user may likewise provide data to the analysis engine. The sensors may include physiological sensors and light sensitive sensors in the environment of the user. Preferably, the light sensitive sensors and the physiological sensors are worn by the user.・・・」
(和訳:[0019] 加えて、ユーザに関するセンサは、同様に、分析エンジンにデータを提供できる。それらセンサは、生理的センサと光センサを含むことができる。好ましくは、光センサと生理的センサはそのユーザに装着される。)

図1

図2


第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1-1とを対比すると、後者の「第一の照明装置2」及び「第二の照明装置3」は、前者の「発光デバイス」に相当し、以下同様に、「制御装置1」は「照光制御装置」に相当する。
後者の「制御装置1」は、何らかの信号を用いて第一の照明装置2や第二の照明装置3を点灯したり消灯したりするのは明らかであるから、後者の「患者が使用している各ベッド近傍に設置される第一の照明装置2と、部屋の出入口付近に設置される第二の照明装置3を点灯したり消灯したりする制御装置1」は、前者の「少なくとも1つの発光デバイスから放射される光を1つ又は複数の制御信号を用いて制御するための照光制御装置」に相当する。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点1>
少なくとも1つの発光デバイスから放射される光を1つ又は複数の制御信号を用いて制御するための照光制御装置。

<相違点1>
照光制御装置が、本願発明1では、「第1のユーザから光制御入力データを受信するための照光入力受信デバイスであって、前記光制御入力データは、少なくとも1つの発光デバイスから放射される照明効果光を制御するための前記第1のユーザの所望の照光要求入力である、照光入力受信デバイスと、第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられたデータを受信するためのユーザデータ受信デバイスと、前記光制御入力データ、及び前記第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられた前記データに基づいて前記1つ又は複数の制御信号を生成するためのプロセッサと、前記1つ又は複数の制御信号を出力する照光制御出力ユニットと、を備える」のに対して、引用発明1-1では、そのような構成を備えない点。

(2)判断
相違点1は、実質的な相違点であるので、本願発明1は引用発明1-1であるということはできない。
相違点1に係る本願発明1の構成は、第1のユーザからの光制御入力データと第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられたデータに基づいて発光デバイスを制御するものであり、複数の患者からのデータに基づいて照明装置を制御するものではない。
これに対して、引用発明1-1は、入院している患者が、夜間に同室の他の患者の睡眠の妨げがないように病室の入退室がしやすくするために(引用文献1の【0001】及び【0007】参照)、離床センサ4と入退室センサ5を利用して第一の照明装置2と第二の照明装置3の制御をするものであり、単一の患者の行動に関するデータに基づいて照明装置を制御するものであるといえる。そして、引用文献1には、複数の患者からのデータに基づいて照明装置を制御することや、一方の患者のデータについてその生理又は認知状態に関連付けられたデータを用いることについては、何ら記載されておらず、示唆もない。そうすると、引用文献1には、相違点1に係る本願発明1の構成を採用することについて、動機付けがあるとは認められない。
また、引用文献2には、ユーザごとに適切な光を提供できるよう、ユーザの生理的データの情報を用いた光制御の技術が記載されているが、単一のユーザの情報に基づいて当該ユーザに対して制御するものであり、複数のユーザからのデータに基づいて照明を制御するというものではない。してみると、仮に、引用発明1-1に対して引用文献2に記載の光制御の技術を適用したとしても、相違点1に係る本願発明の構成とはならない。
したがって、本願発明1は、引用発明1-1に基いて、又は、引用発明1-1及び引用文献2に記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、本願発明1は、引用発明1-1であるということはできず、また、引用発明1-1に基づいて、又は引用発明1-1及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

2 本願発明2?10について
本願発明2?10は、本願発明1の全ての構成を含み、本願発明1の構成を更に限定するものであるから、上記1(2)で説示したとおり、本願発明2,3,5,6は引用発明1-1であるということはできず、また、本願発明2?10は、引用発明1-1に基いて、又は、引用発明1-1及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明11について
(1)対比
上記1(1)の対比を踏まえつつ、本願発明11と引用発明1-2を対比すると、その一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点2>
少なくとも1つの発光デバイスから放射される光を1つ又は複数の制御信号を用いて制御するための方法。

<相違点2>
本願発明11は、「第1のユーザから光制御入力データを受信するステップであって、前記光制御入力データは、少なくとも1つの発光デバイスから放射される照明効果光を制御するための前記第1のユーザの所望の照光要求入力である、ステップと、第2のユーザの生理又は認知状態に関連付けられたデータを受信するステップと、プロセッサを用いて、前記光制御入力データ及び生理又は認知状態データに基づいて前記1つ又は複数の制御信号を生成するステップと、前記1つ又は複数の制御信号を前記少なくとも1つの発光デバイスへ出力するステップと」を含むのに対し、引用発明1-2は、そのような構成(ステップ)を含まない点。

(2)判断
相違点2は、実質的な相違点であるから、本願発明11は、引用発明1-2ではないことは明らかである。
また、相違点2は、実質的に相違点1と同じであるから、上記1(2)で説示したのと同じ理由により、本願発明11は、引用発明1-2に基いて、又は、引用発明1-2及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明12?15について
本願発明12?15は、本願発明11の全ての構成を含み、本願発明11の構成を更に限定するものであるから、上記3(2)で説示したとおり、本願発明12,13,15は引用発明1-2ではなく、本願発明12?15は、引用発明1-2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、上記3(2)で説示したとおり、本願発明12?15は、引用発明1-2及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない

第6 原査定について
上記第5で説示したとおり、本願発明1?3,5,6,11?13,15は、引用文献1に記載された発明ではなく、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本願発明4,7,14も、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本願発明8?10は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の拒絶理由は維持できない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-10-28 
出願番号 特願2017-553906(P2017-553906)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H05B)
P 1 8・ 121- WY (H05B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野木 新治  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 芦原 康裕
八木 誠
発明の名称 照光制御装置  
代理人 柴田 沙希子  
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