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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1379556
審判番号 不服2021-633  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-15 
確定日 2021-11-04 
事件の表示 特願2017-101384号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月13日出願公開、特開2018-196443号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成29年5月23日の特許出願であって、令和2年6月11日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月17日に意見書および手続補正書が提出されたところ、同年10月7日付け(送達日:同年同月20日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和3年1月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和3年1月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年1月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、令和2年8月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域に設けられた始動領域と、
前記始動領域への遊技球の進入により、所定の保留情報を取得して記憶部に記憶する保留記憶手段と、
始動条件の成立により、前記保留情報に基づいて、前記遊技利益を付与するか否かを判定する判定手段と、
所定の遊技利益の付与に対する期待値が異なる複数の演出パターンが設けられ、所定の演出期間中に演出パターンが変化し得る特定演出を実行する特定演出実行手段と、
前記特定演出の演出パターンが変化する前の所定期間に亘って待機演出を実行し得る待機演出実行手段と、
前記待機演出の実行中に、前記期待値を示唆する示唆演出を実行し得る示唆演出実行手段と、
を備え、
前記特定演出は、前記保留情報に対応する保留表示を表示部に表示する保留表示演出であり、
前記示唆演出は、前記保留表示演出とは異なる演出である遊技機。」は、 審判請求時に提出された手続補正書(令和3年1月15日付け)の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域に設けられた始動領域と、
前記始動領域への遊技球の進入により、所定の保留情報を取得して記憶部に記憶する保留記憶手段と、
始動条件の成立により、前記保留情報に基づいて、遊技利益を付与するか否かを判定する判定手段と、
所定の遊技利益の付与に対する期待値が異なる複数の演出パターンが設けられ、所定の演出期間中に演出パターンが変化し得る特定演出を実行する特定演出実行手段と、
前記特定演出の演出パターンが変化する前の所定期間に亘って待機演出を実行し得る待機演出実行手段と、
前記待機演出の実行中に、前記期待値を示唆する示唆演出を実行し得る示唆演出実行手段と、
を備え、
前記特定演出は、前記保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターンが変化する保留変化演出であり、
前記示唆演出は、前記保留変化演出とは異なる演出である遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。

2 補正の適否
2-1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「特定演出」に関して、「前記保留情報に対応する保留表示を表示部に表示する保留表示演出」を「前記保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターンが変化する保留変化演出」と限定するとともに、「保留表示演出」を「保留変化演出」と限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の段落【0412】、【0413】の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2-2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Jは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「【請求項1】
A 遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、
B 前記遊技領域に設けられた始動領域と、
C 前記始動領域への遊技球の進入により、所定の保留情報を取得して記憶部に記憶する保留記憶手段と、
D 始動条件の成立により、前記保留情報に基づいて、遊技利益を付与するか否かを判定する判定手段と、
E 所定の遊技利益の付与に対する期待値が異なる複数の演出パターンが設けられ、所定の演出期間中に演出パターンが変化し得る特定演出を実行する特定演出実行手段と、
F 前記特定演出の演出パターンが変化する前の所定期間に亘って待機演出を実行し得る待機演出実行手段と、
G 前記待機演出の実行中に、前記期待値を示唆する示唆演出を実行し得る示唆演出実行手段と、
を備え、
H 前記特定演出は、前記保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターンが変化する保留変化演出であり、
I 前記示唆演出は、前記保留変化演出とは異なる演出である
J 遊技機。」

ここで、本件補正発明において、構成Eの「特定演出」は、構成Hにより「前記特定演出は、前記保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターンが変化する保留変化演出であり、」と特定されているので、構成Eの「特定演出」、「演出パターン」は、それぞれ、「保留変化演出」、「保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターン」であると認める。

(2)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献として引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-23290号公報(平成29年2月2日公開)(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。

ア 記載事項
(ア)
「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0006】
かかる問題に鑑み、本発明は、特典が付与される信頼度を表す信頼度表示を変化させる演出態様に対する趣向性を高めることが可能となる遊技機を提供することを目的とする。」

(イ)
「【0032】
先ず、本実施形態に係る遊技機1の概略構成について図1乃至図3に基づいて説明する。図1に示すように、遊技機1は、遊技媒体として遊技球を用いるパチンコ遊技機であって、遊技盤2の縁に外側誘導レール3および内側誘導レール4が略円形に配置され、上記外側誘導レール3および内側誘導レール4によって区画された部分には遊技球が発射される遊技領域6が上記遊技盤2上に設けられている。上記遊技領域6には遊技球を誘導する誘導釘(図示せず)が遊技盤2の表面に設けられている。
・・・
【0034】
上記遊技領域6には、中心線上の上部から下部に向かって順に表示装置10、始動入賞口42、大入賞口45、アウト口48が配置されている。上記始動入賞口42および上記大入賞口45の左右には左袖入賞口51、左落とし入賞口52、右落とし入賞口53、右袖入賞口54等の入賞口が配置されている。また、上記表示装置10の左には普通図柄変動開始用ゲート55が設けられ、その下方には風車76が設けられている。更に、風車76の下方には普通図柄表示装置50が組み込まれている。」

(ウ)
「【0041】
また、上記遊技盤2の背面には、始動入賞口検出スイッチ(始動入賞口センサ)が入賞球用通路に設けられており、上記始動入賞口42への遊技球の入賞(入球)を検出するように構成されている。本実施形態において上記始動入賞口42への遊技球の入賞(入球)検出は、所定の乱数値(数値データ)を取得するための起因および上記特別図柄の変動表示開始の起因とされている。上記始動入賞口42への入賞に起因して取得した乱数値(数値データ)は、一旦保留記憶手段(本発明における記憶手段)に記憶される。つまり、上記特別図柄(識別図柄)の変動表示が保留されると共に、上記保留記憶手段に記憶した乱数値(数値データ)の記憶数(保留球数(本願の「保留数」に相当する。))、すなわち上記始動入賞口(始動入賞領域)42への入賞回数が特別図柄変動保留球数として記憶される。」

(エ)
「【0073】
また、変動パターンのうち、後述の保留予告演出パターンには、例として演出時間の最も短い(例えば、演出時間T1が約30秒である。)第1演出パターンと、演出時間が第1演出パターンよりも長い(例えば、演出時間T2が約40秒である。)第2演出パターンと、演出時間が第2演出パターンよりも長い(例えば、演出時間T3が約50秒である。)第3演出パターンと、演出時間が第3演出パターンよりも長い(例えば、演出時間T4が約60秒である。)第4演出パターンとがあり、演出態様乱数用カウンタによって決定される。」

(オ)
「【0097】
上記主制御基板200は、上記ROMに記憶されている制御用プログラムに従い上記マイクロコンピュータのCPUにより制御処理を行う。図4は上記主制御基板200が行うメイン処理のフローチャートである。」

(カ)
「【0111】
それに対して、上記S160-4-1で特別図柄変動保留球数が0ではないと判断された場合には、特別図柄大当たり判定処理(S160-4-5)が行われる。特別図柄大当たり判定処理(S160-4-5)では、図10に示すように、まず、上記入賞検出処理(S140)の特別図柄関係乱数値取得処理(S140-8)で取得された、主制御基板200のRAM(保留記憶手段)に記憶されている大当たり乱数値のうち、一番目の大当たり乱数値が読み出され(S160-4-5-1)、現在確変状態(高確率状態)か確認される(S160-4-5-2)。」

(キ)
「【0137】
また、サブ制御基板205は、図21に示すような10msタイマ割り込み処理(S500)を行う。10msタイマ割り込み処理(S500)では、スイッチ状態取得処理(S501)、コマンド受信許可確認処理(S502)、下皿状態確認処理(S503)、ループシナリオ再設定処理(S504)、コマンド監視処理(S505)、ランプ処理(S506)、スイッチ処理(S507)、コマンド送信処理(S508)等が行われる。
・・・
【0139】
コマンド監視処理(S505)では、主制御基板200から受信したコマンド(制御信号)を解析し、コマンドに対応した処理が行われる。図22に示すように、コマンド監視処理(S505)では、先ず、主制御基板200からコマンド(制御信号)を受信したか否かが判断される(S505-1)。主制御基板200からコマンドを受信していないときには、このコマンド監視処理(S505)は終了する。
【0140】
一方、主制御基板200からコマンドを受信したときには、そのコマンドが上記変動コマンドか否かが判断され(S505-2)、変動コマンドでない場合には、客待ちコマンドか否かが判断される(S505-3)。変動コマンドでもなく、客待ちコマンドでもない場合には、その他のコマンド処理を実施し(S505-4)、コマンド監視処理(S505)は終了する。
・・・
【0142】
上記S505-2において、受信されたコマンドが変動コマンドである場合には、保留予告演出パターンが含まれた保留予告演出コマンドか否かが判断される(S505-6)。この保留予告演出パターンは、特別図柄の変動が開始した後、変動停止又は仮変動停止までの間に、保留球数として表示部11に表示された各保留アイコン83A?83Dのうち、保留予告演出コマンドに含まれた「表示順番」(本願の「保留位置」に相当する。)に対応する対象保留アイコンの色を白色、青色、緑色、赤色、虹色のうちのいずれかの色に段階的に変化させ、又は、当該変動中の大当たりになる信頼度を表す模擬アイコン82の色を白色、青色、緑色、赤色、虹色のうちのいずれかの色に段階的に変化させて、大当たりになる可能性を予告する演出パターンである。
【0143】
ここで、図32に示すように、対象保留アイコン、模擬アイコン82、及び後述の示唆アイコン(本願の「示唆表示」に相当する。)86(図35参照)の白色、青色、緑色、赤色、虹色の表示態様は、この色の順に、大当たりとなる信頼度が高いことを意味している。具体的には、白色は、通常の表示態様である。青色の表示態様は、「リーチ以上」になる可能性が高いことを示唆している。緑色の表示態様は、「スーパーリーチ以上」になる可能性が高いことを示唆している。赤色の表示態様は、大当たりになれば「通常大当たり」以上になる可能性が高いことを示唆している。虹色の表示態様は、大当たりになれば「確変大当たり」になる可能性が高いことを示唆している。
【0144】
そして、受信された変動コマンドに保留予告演出パターンが含まれた保留予告演出コマンドでない場合、つまり、通常変動パターンが含まれた通常変動コマンドの場合には、通常変動コマンド処理を行い(S505-7)、コマンド監視処理(S505)は終了する。一方、受信された変動コマンドに保留予告演出パターンが含まれた保留予告演出コマンドの場合には、図23乃至図31にフローの詳細を示す保留予告演出コマンド処理を行い(S505-8)、コマンド監視処理(S505)は終了する。」

(ク)
「【0147】
次に、保留予告演出パターンを実行する場合の上記保留予告演出コマンド処理(S505-8)について図23?図49に基づいて詳細に説明する。保留予告演出コマンド処理(S505-8)では、図23に示すように、先ず、受信されたが変動コマンドが、「大当たりになる保留アイコンの表示順番(大当たりになる保留情報)」を含んだ変動コマンド(保留予告演出コマンド)か否か(先読み大当たりか否か)が判断される(S505-8-1)。そして、「大当たりになる保留アイコンの表示順番(大当たりになる保留情報)」を含んだ変動コマンドであると判断された場合には(S505-8-1)、変動コマンドに含まれた保留予告演出パターンが「第1演出パターン」であるか否かが判断される(S505-8-2)。
【0148】
そして、変動コマンドに含まれた保留予告演出パターンが「第1演出パターン」であると判断された場合には(S505-8-2)、図24、図33の上段、図35?図38に詳細を示す「第1演出パターン」の当たり保留予告演出表示、つまり、「第1演出パターン」の当たり先読み予告演出表示が実行される。図24に示すように、先ず、ROMから「第1演出パターン」のタイミングチャート(図33の上段参照)が読み出され、予告演出の開始から示唆アイコン(本願の「示唆表示」に相当する。)86を青色に設定するタイミングTA1(秒)、リーチ演出の開始タイミングTS1(秒)、変動終了タイミングT1(秒)の各タイミングがRAMに記憶される(S505-8-2-1)。(示唆アイコン(示唆表示)86が信頼度に対応した表示をするのが、本願の「示唆表示手段」に相当する。)
【0149】
続いて、表示装置10の表示部11に左、中、右特別図柄81A?81Cの変動が開始されると共に、ボールの形状を模した各保留アイコン83A?83Dのうちの保留球数に対応する個数の保留アイコンが表示部11の下端中央部に白色で表示される。また、現在変動中の大当たりになる信頼度を表すボールの形状を模した模擬アイコン82が、表示部11の左下角部に白色で表示される(図35(1))(S505-8-2-2)。
【0150】
また、表示部11に表示されている各保留アイコン83A?83Dのうち、「大当たりになる保留アイコンの表示順番(大当たりになる保留情報)」に基づいて対応する保留アイコン(保留記憶情報)に、色を変更する「対象保留アイコン(対象保留)」として内部的に設定される(本願の「保留位置選択手段」に相当する。)(S505-8-2-2)。例えば、図35(1)に示すように、保留予告演出コマンドに含まれていた「大当たりになる保留アイコンの表示順番(大当たりになる保留情報)」が「2番目」に設定されていた場合には、左から2番目に表示されている保留アイコン83Bが「対象保留アイコン(対象保留)」に設定され、RAMに記憶される(S505-8-2-2)。尚、点線で示される星印は、「対象保留アイコン(対象保留)」を表す説明上の目印であり、表示部11には表示されていない。
【0151】
そして、表示部11の右上に太線四角枠の時間経過表示器85が表示されると共に、この時間経過表示器85に待機状態である旨を表す「待機中」の文字が表示される(図35(1))(S505-8-2-3)。また、時間経過表示器85の上端中央部に、大当たりへの期待度を示唆するボールの形状を模した示唆アイコン86が、通常の表示状態である白色で停止表示される(図35(1))(S505-8-2-3)。」

(ケ)
「【0177】
そして、変動コマンドに含まれた保留予告演出パターンが「第3演出パターン」であると判断された場合には(S505-8-4)、図26、図27、図34の上段、図35(1)?図36(4)、図42?図46に詳細を示す「第3演出パターン」の当たり保留予告演出表示、つまり、「第3演出パターン」の当たり先読み予告演出表示が実行される。図26に示すように、先ず、ROMから「第3演出パターン」のタイミングチャート(図34の上段参照)が読み出され、RAMに記憶される(S505-8-4-1)。
・・・
【0180】
その後、外れ図柄の左、中、右特別図柄81A、81B、81Cが、表示部11の中央部に大きく変動停止されて、通常外れが付与された旨が報知される(図42(22))(S505-8-4-13)。そして、時間経過表示器85の時間表示欄に、青色の示唆アイコン86が再度、時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復移動表示される旨を表す「継続」の文字が表示される(図42(23))(S505-8-4-14)。
【0181】
そして、表示装置10の表示部11に左、中、右特別図柄81A?81Cの変動が開始されると共に、表示部11に表示されている保留アイコン83Aが削除されて(移動して当該保留の変動が開始される場合)、表示部11に表示されている各保留アイコン83B?83Dが左側へ移動表示されて、新たな各保留アイコン83A?83Cに設定される(図42(23))(S505-8-4-15)。また、削除された(移動して当該保留の変動が開始した場合)保留アイコン83Aが保留予告演出コマンドに含まれていた「大当たりになる保留アイコンの表示順番(大当たりになる保留情報)」に対応する「対象保留アイコン(対象保留)」だった場合には、模擬アイコン82が「対象保留アイコン(対象保留)」に設定され、RAMに記憶される(図42(23))(S505-8-4-15)。尚、模擬アイコン82の点線で示される星印は、「対象保留アイコン」を表す説明上の目印であり、表示部11には表示されていない。
・・・
【0187】
その後、外れ図柄の左、中、右特別図柄81A、81B、81Cが、表示部11の中央部に大きく仮変動停止される(図44(27))(S505-8-4-23)。つまり、擬似的に変動図柄が停止しているように見せている。尚、「仮変動停止」とは、左、中、右特別図柄81A、81B、81Cが、微妙に上下若しくは左右等に揺れている状態や、僅かずつ回転している状態等を意味する。また、時間経過表示器85の時間表示欄に、仮変動停止である旨(まだ変動が終わっていない旨)を表す。また、示唆アイコン86が現れ、赤色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復移動表示される旨を表す「継続」の文字が表示される(図44(27))(S505-8-4-24)。」

(コ)
「【0189】
続いて、時間経過表示器85に予め設定された時間、例えば、「10:00」(秒)が設定され、時間表示欄に表示される(図44(28))(S505-8-4-25)。尚、この時間は、予め第3演出パターンに対応付けてROMに記憶されている。また、赤色の示唆アイコン86が、時間経過表示器85の上端部の左右方向中央位置に停止表示される(図44(28))(S505-8-4-26)。
【0190】
その後、表示部11の中央部に仮変動停止されている左、中、右特別図柄81A、81B、81Cの2回目の変動表示、つまり、再変動が開始され、いわゆる疑似連続予告演出が開始される(図44(28))(S505-8-4-27)。そして、時間経過表示器85に表示されている時間の減算表示が開始される(図44(29))(S505-8-4-28)。また同時に、赤色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復転動する往復移動表示が開始される(図44(29))(S505-8-4-29)。これにより、遊技者に対して、通常大当たりになる遊技が実行される可能性が高いことが示唆される。
【0191】
続いて、時間経過表示器85の減算表示される時間が「00:00」に達するまで、赤色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復移動表示される(S505-8-4-30)。そして、時間経過表示器85の減算表示される時間が「00:00」(秒)に達した場合には(S505-8-4-30)、赤色の示唆アイコン86は、時間経過表示器85の左端位置に移動した際に、「対象保留アイコン(対象保留)」に設定されている緑色の模擬アイコン82に向かって飛ぶように移動表示され、当該模擬アイコン82に当てられる。
【0192】
そして、赤色の示唆アイコン86が緑色の模擬アイコン82に当たった後、削除される(消える)と共に、当該模擬アイコン82が緑色から赤色に設定され(本願の「第2表示制御手段」、「信頼度表示手段」に相当する。)、遊技者に対して、現在の左、中、右特別図柄81A?8Cの変動表示は、通常大当たりになる可能性が高いことが示唆される(図45(31))(S505-8-4-31)。つまり、模擬アイコン82が「信頼度表示」となる。また、時間経過表示器85が表示部11から削除される(消える)(図45(31))(S505-8-4-31)。続いて、表示部11の中央部に変動表示されている左、中、右特別図柄81A?81Cのうち、左特別図柄81Aと右特別図柄81Cが通常当たり図柄(例えば、「6」である。)で停止し、中特別図柄81Bだけが変動しているリーチ変動状態となる(図45(32))(S505-8-4-32)。」

(サ)
「【0198】
そして、時間経過表示器85に減算表示される時間が、赤色の示唆アイコン86を虹色に設定するタイミングTC2(秒)、例えば、「06:00」(秒)に達した場合には(S505-8-4-70)、赤色の示唆アイコン86が時間経過表示器85の右端位置に移動した際に、当該示唆アイコン86の色が赤色から虹色に変更設定される(本願の「第1表示制御手段」に相当する。)(図47(41))(S505-8-4-71)。その後、虹色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復転動する往復移動表示が開始される(S505-8-4-71)。これにより、遊技者に対して、確変大当たりになる遊技が実行される可能性が高いことが示唆される。
【0199】
続いて、時間経過表示器85の減算表示される時間が「00:00」に達するまで、虹色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復移動表示される(S505-8-4-72)。そして、時間経過表示器85の減算表示される時間が「00:00」(秒)に達した場合には(S505-8-4-72)、虹色の示唆アイコン86は、時間経過表示器85の左端位置に移動した際に、「対象保留アイコン(対象保留)」に設定されている緑色の模擬アイコン82に向かって飛ぶように移動表示され、当該模擬アイコン82に当てられる。」

イ 図面の図示内容
【図34】:保留予告演出のタイミングチャートの一例を示す図である。


【図35】、【図36】:保留予告演出の一例を示す図である。



【図39】、【図42】:保留予告演出の一例を示す図である。


【図43】、【図44】:保留予告演出の一例を示す図である。

【図45】、【図46】:保留予告演出の一例を示す図である。


ウ 認定事項
(シ)
【図45】(30)?(31)には、「赤色の示唆アイコン86が模擬アイコン82に向かって移動表示され、その直後に時間経過表示器85が消える」ことが図示されている。

エ 引用発明
上記アの記載事項、上記イの図面の図示内容、および、上記ウの認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「a 遊技球が発射される遊技領域6が設けられている遊技盤2(【0032】)と、
b 遊技領域6に配置されている始動入賞口42(【0034】)と、
c 始動入賞口42への入賞に起因して取得した乱数値(数値データ)を記憶する保留記憶手段(【0041】)と、
d 特別図柄変動保留球数が0ではないと判断された場合には、保留記憶手段に記憶されている大当たり乱数値が読み出されて、特別図柄大当たり判定処理を行う主制御基板200(【0097】、【0111】)と、
e、h コマンド監視処理等を行うサブ制御基板205(【0137】)を備え、
サブ制御基板205は、
コマンド監視処理において主制御基板200から受信したコマンドを解析し、コマンドに対応した処理を行い(【0139】)、
受信された変動コマンドに通常変動パターンが含まれた通常変動コマンドの場合には、通常変動コマンド処理を行い(【0144】)、
受信された変動コマンドに保留予告演出パターンが含まれた保留予告演出コマンドの場合には、保留予告演出コマンド処理を行い(【0144】)、
白色は、通常の表示態様であり(【0143】)、
保留予告演出パターンは、保留球数として表示部11に表示された各保留アイコン83A?83Dのうち、対象保留アイコンの色を白色、青色、緑色、赤色、虹色のうちのいずれかの色に段階的に変化させ、又は、当該変動中の大当たりになる信頼度を表す模擬アイコン82の色を白色、青色、緑色、赤色、虹色のうちのいずれかの色に段階的に変化させて、大当たりになる可能性を予告する演出パターンであり(【0142】)、
f、g、i サブ制御基板205は、
保留予告演出コマンド処理において、変動コマンドに含まれた保留予告演出パターンが「第3演出パターン」であると判断された場合には、「第3演出パターン」の当たり先読み予告演出表示を実行し(【0177】)、
「第3演出パターン」の当たり先読み予告演出表示(【0043】、【0143】、【0149】?【0155】、【0157】、【0164】、【0177】?【0193】、【図34】?【図36】、【図39】、【図42】?【図46】)は、
表示装置10の表示部11に左、中、右特別図柄81A?81Cの変動が開始されると共に、ボールの形状を模した各保留アイコン83A?83Dのうちの保留球数に対応する個数の保留アイコンが表示部11の下端中央部に白色で表示され、また、現在変動中の大当たりになる信頼度を表すボールの形状を模した模擬アイコン82が、表示部11の左下角部に白色で表示され、さらに、表示部11の右上に太線四角枠の時間経過表示器85が表示され、時間経過表示器85の上端中央部に、大当たりへの期待度を示唆するボールの形状を模した、信頼度に対応した表示をする示唆アイコン86が停止表示され(【0148】?【0149】、【0151】、【0177】、【0178】、【図34】の上段、【図35】(1)?(2))、
その後、表示部11に表示されている「対象保留アイコン(対象保留)」である、保留アイコン83Aが移動して当該保留の変動が開始され(【0180】?【0181】、【図42】(23))、
その後、外れ図柄の左、中、右特別図柄81A、81B、81Cが、表示部11の中央部に大きく仮変動停止され(【0187】、【図44】(27))、
続いて、時間経過表示器85に時間(例えば、「10:00」(秒))が表示され、赤色の示唆アイコン86が、時間経過表示器85の上端部の左右方向中央位置に停止表示されるとともに、疑似連続予告演出が開始され(【0189】?【0190】、【図44】(28))、
そして、時間経過表示器85に表示されている時間の減算表示が開始され、減算表示と同時に、赤色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復転動する往復移動表示が開始され(【0190】、【図45】(30))、
遊技者に対して、通常大当たりになる遊技が実行される可能性の高いことが示唆され(【0190】)、
往復移動表示は、時間経過表示器85の減算表示される時間が「00:00」に達するまで表示され(【0191】、【図45】(30))、
時間経過表示器85の減算表示される時間が「00:00」(秒)に達した場合には、赤色の示唆アイコン86は、時間経過表示器85の左端位置に移動した際に、対象保留アイコンに設定されている緑色の模擬アイコン82に向かって飛ぶように移動表示され(【0191】、【図45】(30))、
その直後に時間経過表示器85は消え、赤色の示唆アイコン86は、緑色の模擬アイコン82に当たった後、消えるとともに、模擬アイコン82が緑色から赤色に設定される(【0192】、【図45】(31)、認定事項(シ))
j 遊技機100(【0032】)。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)
引用発明の「遊技球が発射される遊技領域6」は、本件補正発明の「遊技球が流下する遊技領域」に相当する。
したがって、引用発明の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当する。

(b)
引用発明の「始動入賞口42」は、本件補正発明の「始動領域」に相当する。
したがって、引用発明の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当する。

(c)
引用発明の「始動入賞口42への入賞に起因して取得した乱数値(数値データ)」は、本件補正発明の「始動領域への遊技球の進入により」「取得」した「所定の保留情報」に相当する。
したがって、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する。

(d)
引用発明の「特別図柄変動保留球数が0ではないと判断された場合」は、本件補正発明の「始動条件の成立」に相当する。
そして、引用発明の「保留記憶手段に記憶されている大当たり乱数値が読み出されて、特別図柄大当たり判定処理を行う主制御基板200」は、本件補正発明の「保留情報に基づいて、遊技利益を付与するか否かを判定する判定手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成dは、本件補正発明の構成Dに相当する。

(e、h)
引用発明の「保留予告演出パターン」は、「当該変動中の大当たりになる信頼度を表す模擬アイコン82の色を白色、青色、緑色、赤色、虹色のうちのいずれかの色に段階的に変化させて」「表示部11に表示」される、「大当たりになる可能性」の異なる複数の表示パターンよりなるから、本件補正発明の「所定の遊技利益の付与に対する期待値が異なる複数の表示パターン」に相当する。
そして、引用発明の「保留予告演出パターン」による「模擬アイコン82の色を」「変化させ」る演出は、本件補正発明の「表示部における表示パターンが変化する保留変化演出」、すなわち、演出パターンが変化し得る「特定演出」に相当するとともに、「保留予告演出コマンド」を「受信」したときから「段階的に変化させ」る演出であるから、本件補正発明の「所定の演出期間中に保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターンが変化する保留変化演出」に相当する。
そうすると、引用発明の「受信されたコマンドに変動コマンドに保留予告演出パターンが含まれた保留予告演出コマンドの場合に」「保留予告演出コマンド処理を行」う「サブ制御基板205」は、本件補正発明における「保留変化演出を実行する保留変化演出実行手段」、すなわち、「特定演出を実行する特定演出」に相当する。
引用発明の「保留球数として表示部11に表示された」「当該変動中の大当たりになる信頼度を表す模擬アイコン82の色を白色、青色、緑色、赤色、虹色のうちのいずれかの色に段階的に変化させ」る「保留予告演出パターン」による演出は、本件補正発明の「保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターンが変化する保留変化演出」に相当する。
したがって、引用発明の構成e、hは、本件補正発明の構成E、Hに相当する。
したがって、引用発明の構成e、hは、本件補正発明の構成E、Hに相当する。

(f)
引用発明において、「「第3演出パターン」の当たり先読み予告演出表示」において表示される「時間経過表示器85」による演出は、「表示装置10の表示部11に左、中、右特別図柄81A?81Cの変動が開始されると共に、」「表示部11の右上に太線四角枠の時間経過表示器85が表示され」ることで開始される演出であって、「その後、外れ図柄の左、中、右特別図柄81A、81B、81Cが、表示部11の中央部に大きく仮変動停止され、続いて、時間経過表示器85に時間(例えば、「10:00」(秒))が表示され、赤色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復転動する往復移動表示が開始され、往復移動表示は、時間経過表示器85の減算表示される時間が「00:00」に達するまで」の期間に亘って行われる演出であって、「模擬アイコン82が緑色から赤色に設定される」前に行われる演出である。
そして、上記(e、h)より、引用発明の「模擬アイコン82の色を」「変化させ」る演出は、本件補正発明の「演出パターンが変化し得る特定演出」に相当する。
そうすると、引用発明の「模擬アイコン82が緑色から赤色に設定される」前は、本件補正発明の「保留変化演出の演出パターンが変化する前」に相当し、また、引用発明の「表示装置10の表示部11に左、中、右特別図柄81A?81Cの変動が開始され」てから、「赤色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復転動する往復移動表示が開始され、往復移動表示は、時間経過表示器85の減算表示される時間が「00:00」に達するまで」の期間に亘って「表示装置10の表示部11」に表示される「時間経過表示器85」は、本件補正発明の「所定期間に亘って」「実行し得る」「待機演出」に相当する。
したがって、引用発明の構成f、g、iの「「第3演出パターン」の当たり先読み予告演出表示」において表示される「表示部11の右上に太線四角枠の時間経過表示器85」の「表示」「を実行」する「サブ制御基板205」は、本件補正発明の構成Fの「保留変化演出の表示パターンが変化する前の所定期間に亘って待機演出を実行し得る待機演出実行手段」に相当する。

(g)
引用発明の「減算表示と同時に」「開始される」、「赤色の示唆アイコン86が時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復転動する往復移動表示」は、「遊技者に対して、通常大当たりになる遊技が実行される可能性の高いことが示唆され」る演出であるから、本件補正発明の「待機演出の実行中に、期待値を示唆する示唆演出」に相当する。
したがって、引用発明の構成f、g、iの「先読み予告演出表示」において、「往復移動表示」を「実行」する「サブ制御基板205」は、本件補正発明の構成Gに相当する。

(i)
引用発明における構成e、hの「保留予告演出パターン」による演出のうち、当該変動中の大当たりになる信頼度を表す模擬アイコン82の色を白色、青色、緑色、赤色、虹色のうちのいずれかの色に段階的に変化させ」る演出と、構成f、g、iの「第3演出パターン」による演出のうち、「時間経過表示器85の上端部の左右方向中央位置に停止表示され」たり、「時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復転動する往復移動表示される「示唆アイコン86」による演出とが、演出の対象、表示位置、表示内容の面からみて、異なる演出であることは明らかである。
したがって、引用発明は、本件補正発明の構成Iを備えるものである。

(j)
引用発明の構成jの「遊技機100」は、本件補正発明の構成Jの「遊技機」に相当する。

(k)
上記(a)?(j)によれば、本件補正発明と引用発明は、
[一致点]
「【請求項1】
A 遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、
B 前記遊技領域に設けられた始動領域と、
C 前記始動領域への遊技球の進入により、所定の保留情報を取得して記憶部に記憶する保留記憶手段と、
D 始動条件の成立により、前記保留情報に基づいて、遊技利益を付与するか否かを判定する判定手段と、
E 所定の遊技利益の付与に対する期待値が異なる複数の演出パターンが設けられ、所定の演出期間中に演出パターンが変化し得る特定演出を実行する特定演出実行手段と、
F 前記特定演出の演出パターンが変化する前の所定期間に亘って待機演出を実行し得る待機演出実行手段と、
G 前記待機演出の実行中に、前記期待値を示唆する示唆演出を実行し得る示唆演出実行手段と、
を備え、
H 前記特定演出は、前記保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターンが変化する保留変化演出であり、
I 前記示唆演出は、前記保留変化演出とは異なる演出である
J 遊技機。」
の点で一致し、相違点はない。

よって、本件補正発明は、引用発明である。

(4)請求人の主張について
請求人は、令和3年1月15日付けの審判請求書において、次の点について主張をする。
「引用文献1には、色が変化する示唆アイコンが表示され、示唆アイコンが保留アイコンに衝突して、保留アイコンが示唆アイコンの色に変化する演出が記載されている。拒絶査定謄本において審査官殿が指摘されているように、引用文献1の示唆アイコンは、保留変化演出を構成する一部の演出である。このため、引用文献1の示唆アイコンは、補正後の請求項1に係る発明の、保留変化演出とは異なる示唆演出には相当しない。
また、引用文献1には、保留変化演出とは異なる、期待値を示唆する演出を実行するという記載も示唆もない。」((4)本願発明と引用発明との対比)
そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記(3)(i)において検討したように、「対象保留アイコン」と「模擬アイコン82」に対する演出と、「示唆アイコン86」に対する演出とは、前者の演出が、「各保留アイコン83A?83Dのうち、対象保留アイコンの色」や、「模擬アイコン82の色」を「段階的に変化させ」る演出であり、後者の演出が、「時間経過表示器85の上端中央部に」表示される「大当たりへの期待度を示唆するボールの形状を模した」演出や、「時間経過表示器85上を左右全幅に渡って往復転動する往復移動表示される」演出であって、両者は、演出の対象、表示位置、表示内容の面からみて、異なる演出であることは明らかである。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(5)小括
上記(3)、(4)において検討したように、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

2-3 まとめ
上記2-2において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年8月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域に設けられた始動領域と、
前記始動領域への遊技球の進入により、所定の保留情報を取得して記憶部に記憶する保留記憶手段と、
始動条件の成立により、前記保留情報に基づいて、前記遊技利益を付与するか否かを判定する判定手段と、
所定の遊技利益の付与に対する期待値が異なる複数の演出パターンが設けられ、所定の演出期間中に演出パターンが変化し得る特定演出を実行する特定演出実行手段と、
前記特定演出の演出パターンが変化する前の所定期間に亘って待機演出を実行し得る待機演出実行手段と、
前記待機演出の実行中に、前記期待値を示唆する示唆演出を実行し得る示唆演出実行手段と、
を備え、
前記特定演出は、前記保留情報に対応する保留表示を表示部に表示する保留表示演出であり、
前記示唆演出は、前記保留表示演出とは異なる演出である遊技機。」

2 拒絶の理由(令和2年6月11日付け)
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
「1.(新規性)この出願の下記の請求項1?3係る発明は、その出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項1?3に係る発明は、その出願前に日本国内において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。

引用文献1.特開2017-23290号公報

3 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2017-23290号公報の記載事項及び引用物発明の認定については、前記「第2 2 2-2(2)引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由]」で検討した本件補正発明において、補正前の請求項1の構成Kに「前記保留情報に対応する保留表示の、表示部における表示パターンが変化する保留変化演出」とあったものを「前記保留情報に対応する保留表示を表示部に表示する保留表示演出」とその限定を省くとともに、「保留変化演出」とあったものを「保留表示演出」と、本件補正発明から構成H?Iについての限定を省くことを含むものである。
そうすると、前記「第2[理由] 2 2-2(3)対比」における検討内容からみて、本願発明は、引用発明に一致するものであって、相違する点はない。
したがって、本願発明は、引用発明である。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
よって、本願は拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2021-08-24 
結審通知日 2021-08-31 
審決日 2021-09-14 
出願番号 特願2017-101384(P2017-101384)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 隼人  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 長崎 洋一
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人青海特許事務所  
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