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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C09D 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C09D 審判 全部申し立て 特29条の2 C09D 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C09D 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C09D |
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管理番号 | 1379783 |
異議申立番号 | 異議2021-700275 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-03-16 |
確定日 | 2021-09-14 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6754882号発明「非水系インクジェットインキおよびその印刷物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6754882号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕について訂正することを認める。 特許第6754882号の請求項1?4、6及び7に係る特許を維持する。 特許第6754882号の請求項5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6754882号の請求項1?7に係る特許についての出願は、令和元年11月14日の出願であって、令和2年8月26日にその特許権の設定登録がされ、同年9月16日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1?7に係る特許に対し、令和3年3月16日に特許異議申立人渡辺陽子(以下、「申立人」ともいう。)は特許異議の申立てを行い、当審は同年5月21日付けで取消理由を通知した。この取消理由通知に対して、特許権者は同年6月30日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」とい。)を行った。その訂正の請求に対して、申立人は同年8月17日に意見書を提出した。 第2 訂正の可否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、次の訂正事項1?4のとおりである。なお、訂正前の請求項2?7は、訂正前の請求項1の記載を引用しているから、本件訂正は、一群の請求項1?7について請求されている。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「0.1?5質量%である、」と記載されているのを、「0.1?5質量%であり、前記表面張力調整用添加剤(C)が、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤を含む、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?4及び6?7も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5を削除する(請求項5の記載を引用する請求項6?7も同様に訂正する。)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5いずれか記載の非水系インクジェットインキ。」と記載されているのを、「請求項1?4いずれか記載の非水系インクジェットインキ。」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1?6いずれか記載の非水系インクジェットインキ組成物を」と記載されているのを、「請求項1?4または6いずれか記載の非水系インクジェットインキ組成物を」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について (1)訂正事項1について 訂正前の請求項5は、「前記表面張力調整用添加剤(C)が、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤を含む、請求項1?4いずれかに記載の非水系インクジェットインキ。」と記載されているところ、訂正事項1は、請求項1において、「表面張力調整用添加剤(C)」について、「ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤を含む」点を特定するものであり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項5を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正事項2に伴って、請求項6の引用請求項を「請求項1?5いずれか」から「請求項1?4いずれか」に減少させるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正事項1に伴って、請求項7の引用請求項を「請求項1?6いずれか」から「請求項1?4または6いずれか」に減少させるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 (5)小括 以上のとおり、訂正事項1?4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1?4及び6?7に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1?4及び6?7に記載された次の事項により特定される次のとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に応じて「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)。 「【請求項1】 有機溶剤(A)と、鱗片状金属粒子(B)と、表面張力調整用添加剤(C)とを含有する非水系インクジェットインキであって、 前記有機溶剤(A)は、下記一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を、前記有機溶剤(A)全量に対して10?75質量%含み、 前記鱗片状金属粒子(B)は、平均厚み(t)が1?50nmである鱗片状粒子であり、 前記鱗片状金属粒子(B)の含有量が、前記非水系インクジェットインキ全量に対して0.1?5質量%であり、 前記表面張力調整用添加剤(C)が、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤を含む、非水系インクジェットインキ。 R1-(O-R2)_(n1)-OH [一般式1] (一般式1中、R1は炭素数6?12の炭化水素基を表し、R2は炭素数2または3のアルキレン基を表し、n1は1または2を表す。) 【請求項2】 前記鱗片状金属粒子(B)が、金属元素として、Al、In、および、Cuからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の非水系インクジェットインキ。 【請求項3】 前記有機溶剤(A)が、さらに、アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤(a2)、および/または、アルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアセテート系溶剤(a3)を含む、請求項1または2に記載の非水系インクジェットインキ。 【請求項4】 前記有機溶剤(A)が、さらに、下記一般式2で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-2)を含み、 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)の配合量に対する、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-2)の配合量の比が、10?500質量%である、請求項1?3いずれかに記載の非水系インクジェットインキ。 R3-(O-R4)_(n2)-OH [一般式2] (一般式2中、R3は炭素数1?5の炭化水素基を表し、R4は炭素数2?6のアルキレン基を表し、n2は1?4の整数を表す。) 【請求項5】(削除) 【請求項6】 プラスチック基材、紙基材、金属基材、および、ガラス基材のいずれかへの印刷用である、請求項1?4いずれか記載の非水系インクジェットインキ。 【請求項7】 基材に、請求項1?4または6いずれか記載の非水系インクジェットインキ組成物を印刷してなる、印刷物。」 第4 取消理由の概要 訂正前の請求項1?4、6及び7に係る特許に対して、令和3年5月21日付けで特許権者に通知した取消理由は、請求項1?4、6及び7に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特願2019-127464号(特開2021-11554号)(甲第2号証。以下、「甲2」という。)に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許に係る出願の発明者が甲2の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許に係る出願の時において、その出願人が甲2の特許出願の出願人と同一でもないから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである、というものである。 第5 取消理由に対する当審の判断 1 甲2の記載について 甲2には、「溶剤系インク組成物」(発明の名称)について、次の記載がある。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 光輝性顔料と、 200℃以下の沸点を有し、28.0mN/m以下の表面張力γ_(1)を有する第1の溶剤と、 200℃超の沸点を有し、28.0mN/m超の表面張力γ_(2)を有する第2の溶剤と、 200℃超の沸点を有し、28.0mN/m以下の表面張力γ_(3)を有する第3の溶剤と、 を含有し、 前記第3の溶剤の含有量が、前記第2の溶剤及び前記第3の溶剤の合計含有量に対して、5.0質量%以上92.0質量%以下である、溶剤系インク組成物。」 (イ)「【0020】 金属顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などの粒子、これらの合金の粒子、及びこれらの混合物が挙げられる。」 (ウ)「【0053】 ??第1の溶剤?? 第1の溶剤は、200℃以下の沸点を有し、且つ、28.0mN/m以下の表面張力γ1を有する。第1の溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:189℃、表面張力:26.9mN/m)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点:176℃、表面張力:27.5mN/m)、エチレングリコールジメチルエーテル(沸点:84℃、表面張力:23.5mN/m)、エチレングリコールジエチルエーテル(沸点:121℃、表面張力:24.5mN/m)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃、表面張力:25.6mN/m)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:124℃、表面張力:27.7mN/m)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:144℃、表面張力:27.8mN/m)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:171℃、表面張力:27.7mN/m)が挙げられる。これらの第1の溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせで用いてもよい。これらの中でも、ジエチレングリコールジエチルエーテル、又はジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましい。 (中略) 【0058】 第2の溶剤としては、特に限定されないが、例えば、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:304℃、表面張力:39.0mN/m)、トリ エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:271℃、表面張力:30.0mN/m)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:249℃、表面張力:31.9mN/m)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:202℃、表面張力:31.3mN/m)、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル(沸点:207℃、表面張力:29.9mN/m)13-ブチレングリコール(沸点:208℃、表面張力:36.1mN/m)が挙げられる。これらの第2の溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせで用いてもよい。これらの中でも、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、又はトリエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。 (中略) 【0066】 第3の溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(沸点:272℃、表面張力:25.6mN/m)、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(沸点:250℃、表面張力:25.4mN/m)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点:230℃、表面張力:23.7mN/m)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:243℃、表面張力:25.7mN/m)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点:259℃、表面張力:26.0mN/m)が挙げられる。これらの第3の溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせで用いてもよい。第3の溶剤は、これらの中でも、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。」 (エ)「【0074】 本実施形態のインク組成物は、例えば、染料等の色材、界面活性剤、浸透剤、保湿剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤等の添加剤が含まれていてもよい。 【0075】 本実施形態のインク組成物は、上述のとおり所定の溶剤を選択することで界面活性剤を添加することなく、インク組成物の表面張力を低下させることができる。従来、インク組成における光沢ムラを抑制するための一般的な対策として、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤の添加が挙げられる。しかしながら、界面活性剤はインク組成物に含まれると、乾燥過程で光輝性顔料が充分に配向しないため、本来の前記溶剤系インク組成物がもっていた光沢性能が得られなくなり、画像の光沢性を損なうおそれがあった。これに対して、本実施形態のインク組成物は、界面活性剤を使用しなくとも、コーヒーステイン現象がより顕著に抑制され、高いDutyを有する画像を形成における光沢ムラがより顕著に低減され、さ らには、パターン形成性がより顕著に優れる。本実施形態のインク組成物は、沸点400℃以上又は不揮発性の界面活性剤を含有しないことが好ましい。より具体的には、本実施形態のインク組成物における沸点400℃以上又は不揮発性の界面活性剤の含有量は、好ましくは5.0質量%以下0.0質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以下0.0質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以下0.0質量%以上である。上述のとおり界面活性剤の含有量が所定値以下であることで、光輝性顔料を含むインク組成物と、他の色調のカラーインク組成物が接触した場合に、滲みが発生にくくなる。また、光輝性顔料を含むインク組成物の乾燥した印刷画像の上に、他の色調のカラーインク組成物を更に印刷しメタリックカラー表現を行う場合にも、界面活性剤の含有量が所定値以下であることで、カラーインク組成物の濡れ広がりを阻害せず、画像の密着性を向上させることができる。」 (オ)「【実施例】 【0086】 以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。 【0087】 製造例1?3(アルミニウム粒子A-1、A-2、A-3の製造) -顔料分散液の調製- 溶剤系インク組成物の調製にあたって、溶剤系インク用顔料分散液を製造した。製造方法としては、まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(算術平均表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。 【0088】 次に、このフィルムの一方の面の全体にセルロースアセテートブチレート(ブチル化率35?39%)を塗布した。次に、このセルロースアセテートブチレートを塗布した面側に、蒸着法を用いてアルミニウムで構成された膜(以下、単に「アルミニウム膜」ともいう。)を形成した。 【0089】 次に、アルミニウム膜が形成されたフィルムを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に入れ、超音波を照射した。これにより、平板状のアルミニウム粒子の分散液が得られた。この分散液中におけるアルミニウム粒子の含有率は、3.7質量%であった。さらに、上記のようにして得られたアルミニウム粒子を含む分散液について、遠心分離機(6000rpm×30分)にて、アルミニウム粒子を遠心沈降させ、その上澄み部分を廃棄し、グリコールエーテル(ジエチレングリコールジエチルエーテル又はメチルエチルジグリコール)を加えて、さらに超音波照射することによりアルミニウム粒子を再分散させ、アルミニウム粒子の含有率が6.0質量%の分散液(再分散液)を得た。 【0090】 次に、上記のようにして得られたアルミニウムのグリコールエーテル分散液を市販の循環式超音波分散機により粉砕・分散することによって、微細なアルミニウム粒子の粉砕液を得た。 次に、上記のようにして得られた微細なアルミニウム粒子を含む粉砕液について、アルミニウム粒子100質量部に対して、2-(パーフルオロヘキシル)エチルホスホン酸を5質量部加え、液温55℃で、3時間超音波を照射しながら、アルミニウム粒子の表面処理を行った。最終的な濃度調整を行うことにより、5.0質量%の表面処理された微細アルミニウム分散液を得た。アルミニウム粒子A-1の体積平均粒径D50は0.51μm、平均厚みは16.8nm(分散媒:ジエチレングリコールジエチルエーテル)であった。アルミニウム粒子A-2の体積平均粒径D50は0.47μm、平均厚みは16.5nm(分散媒:メチルエチルジグリコール)であった。アルミニウム粒子A-3の体積平均粒径D50は0.81μm、平均厚みは19.5nm(分散媒:ジエチレングリコールジエチルエーテル)であった。 【0091】 実施例1?17及び比較例1?5 -インク組成物の調製- 各材料を下記の表1に示す組成で混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。具体的には、各材料を均一に混合し、孔径5μmのメンブランフィルターで不溶解物を除去することにより、各インク組成物を調製した。得られたインク組成物について、後述の評価方法で評価を行った。 【0092】 ?インクジェット記録方法? 上記各実施例及び比較例のインク組成物を、インクジェットプリンタ「SC-S70650」(製品名、セイコーエプソン株式会社製)に充填し、インクジェットヘッドから吐出し、被記録媒体である塩化ビニルシート「TJ5829R」(製品名、MACTAC社)に各種評価用のパターンを形成した(Sドット、720×720dpi)印刷後、各種評価に記載した条件で乾燥させた。」 (カ)「【0097】 【表1-1】 ![]() 」 (キ)「【0101】 表1中の各種略語の意味を以下に説明する。 ?顔料? A-1:製造例1のアルミニウム粒子(体積平均粒径D50=0.49μm) A-2:製造例2のアルミニウム粒子(体積平均粒径D50=0.92μm) A-3:製造例3のアルミニウム粒子(体積平均粒径D50=0.43μm) ?アクリル樹脂? 星光PMC社製「商品名GS-1015」 ?第1の溶剤? DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:189℃、表面張力:26.9mN/m) MEDG:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点:176℃、表面張力:27.5mN/m) ?第2の溶剤? BTG:トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:271℃、表面張力:30.0mN/m) MTG:トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:249℃、表面張力:31.9mN/m) ?第3の溶剤? EHDG:ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(沸点:272℃、表面張力:25.6mN/m) EHG:エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル(沸点:250℃、表面張力:25.4mN/m) BFDG:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点:230℃、表面張力:23.7mN/m) MFTG:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:243℃、表面張力:25.7mN/m) HeDG:ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点:259℃、表面張力:26.0mN/m)」 2 甲2に記載された発明(甲2発明)について 甲2の実施例4のインク組成物は、【0092】からインクジェット用インク組成物であり、表1(1/4)(【0097】)から、光輝性顔料(A-1) 1.5質量%、アクリル樹脂0.5質量%、第1の溶剤(S1)としてDEDG(ジエチレングリコールジエチルエーテル) 80.0質量%、第2の溶剤(S2)としてBTG(トリエチレングリコールモノブチルエーテル) 1.5質量%、及び、第3の溶剤(S3)としてEHDG(ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル) 16.5質量%からなるものであると認められる。 また、光輝性顔料(A-1)は、【0089】から平板状のアルミニウム粒子であり、【0090】から、アルミニウム粒子A-1の体積平均粒径D50は0.51μm、平均厚みは16.8nmである。 そうすると、甲2には、実施例4として、 「光輝性顔料(A-1) 1.5質量%、アクリル樹脂0.5質量%、第1の溶剤(S1)としてDEDG(ジエチレングリコールジエチルエーテル) 80.0質量%、第2の溶剤(S2)としてBTG(トリエチレングリコールモノブチルエーテル) 1.5質量%、及び、第3の溶剤(S3)としてEHDG(ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル) 16.5質量%からなり、 光輝性顔料(A-1)は、平板状のアルミニウム粒子であり、体積平均粒径D50は0.51μm、平均厚みは16.8nmである、インクジェット用インク組成物」(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 3 対比・判断 (1)本件発明1について 本件発明1と甲2発明とを、次の「その1」と「その2」の2つの観点から対比・検討する。 (その1) 甲2発明の「インクジェット用インク組成物」は、水を含まず、溶剤からみて非水系であることは明らかであるから、本件発明1の「非水系インクジェットインキ」に相当する。 また、甲2発明の「EHDG(ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル)」は、本件明細書の【0038】において、本件発明1における「一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)」として例示されたものであり、本件発明1の「有機溶剤(A)」及び「一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)」に相当する。 そして、甲2発明の「DEDG(ジエチレングリコールジエチルエーテル)」及び「BTG(トリエチレングリコールモノブチルエーテル)」は、いずれも本件発明1の「有機溶剤(A)」に相当するから、甲2発明の「EHDG(ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル)」の含有量は、「EHDG(ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル)」、「DEDG(ジエチレングリコールジエチルエーテル)」及び「BTG(トリエチレングリコールモノブチルエーテル)」との合計量に対して、約17質量%(16.5/(80.0+1.5+16.5))と求められ、「有機溶剤(A)は、下記一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を、前記有機溶剤(A)全量に対して10?75質量%含」む構成を充足する。 また、甲2発明の「光輝性顔料(A-1)」は、形状が平板状であるから「鱗片状」といえ、しかも、インク組成物における含有量が1.5質量%であるので、甲2発明の「光輝性顔料(A-1)は、平板状のアルミニウム粒子であり、体積平均粒径D50は0.51μm、平均厚みは16.8nmである」構成は、本件発明1の「鱗片状金属粒子(B)は、平均厚み(t)が1?50nmである鱗片状粒子であり、前記鱗片状金属粒子(B)の含有量が、前記非水系インクジェットインキ全量に対して0.1?5質量%である」構成に相当する。 そうすると、本件発明1と甲2発明とは、「有機溶剤(A)と、鱗片状金属粒子(B)とを含有する非水系インクジェットインキであって、 前記有機溶剤(A)は、下記一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を、前記有機溶剤(A)全量に対して10?75質量%含み、 前記鱗片状金属粒子(B)は、平均厚み(t)が1?50nmである鱗片状粒子であり、 前記鱗片状金属粒子(B)の含有量が、前記非水系インクジェットインキ全量に対して0.1?5質量%である、非水系インクジェットインキ。 R1-(O-R2)_(n1)-OH [一般式1] (一般式1中、R1は炭素数6?12の炭化水素基を表し、R2は炭素数2または3のアルキレン基を表し、n1は1または2を表す。)」である点で一致し、次の点で相違が認められる。 (相違点1) 本件発明1は、「表面張力調整用添加剤(C)」を含有し、「表面張力調整用添加剤(C)が、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤を含む」のに対し、甲2発明は、表面張力調整用添加剤を含まない点。 相違点1について検討する。 本件明細書の【0080】には、「本発明では、表面張力調整用添加剤(C)として、シロキサン系、シロキサンアクリル系、フッ素系、フッ素アクリル系、アクリル系、アセチレングリコール系等の界面活性剤を、単独で、または、2種以上併用して使用できる。中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を含む有機溶剤(A)に対する表面張力低下能力の点、および、非水系インクジェットインキの保存安定性の点から、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤である、シロキサン系、および/または、シロキサンアクリル系の界面活性剤を使用することが好ましい。」と記載され、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力用添加剤によって、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を含む有機溶剤(A)に対する表面張力低下作用があり、非水系インクジェットインキの保存安定性を向上させるものであることが記載されている。 そして、本件明細書に記載された実施例において、表面張力調整用添加剤(C)としてポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤(S1?S5)を含有するもの(実施例1、49?52)は、ポリシロキサン鎖構造を有さない表面張力調整用添加剤(S6)を含有するもの(実施例53)よりも、連続吐出安定性、光輝性又は乾燥性に優れるものであることは、【0116】【表4】、【0124】【表6】から理解される。 そうすると、表面張力調整用添加剤(C)としてポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤は、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を含む有機溶剤(A)に対する表面張力低下能力を有するものであって、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力用添加剤を含有する非水系インクジェットインキは、ポリシロキサン鎖構造を有さない表面張力用添加剤を含有する非水系インクジェットインキに比べ、保存安定性、連続吐出安定性、光輝性又は乾燥性に優れるものとなるという作用効果が、実施例において確認されているといえる。 これに対し、甲2には、【0074】に、インク組成物に、界面活性剤等の添加剤が含まれていてもよいことが記載されており、界面活性剤が表面張力調整用添加剤として機能することは明らかであるから、甲2には、甲2発明に表面張力調整用添加剤を含んでもよいことは記載されているといえる。 しかしながら、界面活性剤として、ポリシロキサン鎖構造を有するものが周知であるとしても、界面活性剤にはポリシロキサン鎖構造を有さないものも周知であり、甲2発明が、ポリシロキサン鎖構造の界面活性剤を含有するものであることが実質的に記載されているに等しいとまではいえない。 しかも、上述したように、本件発明1は、一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を含む有機溶剤(A)に、ポリシロキサン鎖構造を有する界面活性剤を添加剤として含有することによって、非水系インクジェットインキの連続吐出安定性、光輝性又は乾燥性に優れるものとなったものであり、そのような作用効果は、甲2の記載からは予測し得ない作用効果である。 したがって、上記相違点1は、実質的な相違点であり、本件発明1は甲2発明ではない。 (その2) 甲2発明の「インクジェット用インク組成物」は、水を含まず、溶剤からみて非水系であることは明らかであるから、本件発明1の「非水系インクジェットインキ」に相当する。 また、甲2発明の「EHDG(ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル)」は、本件明細書の【0038】において、本件発明1におけるの「一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)」として例示されたものであり、本件発明1の「有機溶剤(A)」及び「一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)」に相当する。 そして、甲2発明の「DEDG(ジエチレングリコールジエチルエーテル)」は、本件発明1の「有機溶剤(A)」に相当するから、甲2発明の「EHDG(ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル)」の含有量は、「EHDG(ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル)」と「DEDG(ジエチレングリコールジエチルエーテル)」との合計量に対して、約17質量%(16.5/(80.0+16.5))と求められ、「有機溶剤(A)は、下記一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を、前記有機溶剤(A)全量に対して10?75質量%含」む構成を充足する。 また、甲2発明の「光輝性顔料(A-1)」は、形状が平板状であり「鱗片状」といえ、インク組成物における含有量が1.5質量%であるから、本件発明1の「鱗片状金属粒子(B)は、平均厚み(t)が1?50nmである鱗片状粒子であり、前記鱗片状金属粒子(B)の含有量が、前記非水系インクジェットインキ全量に対して0.1?5質量%である」構成に相当する。 そうすると、本件発明1と甲2発明とは、「有機溶剤(A)と、鱗片状金属粒子(B)とを含有する非水系インクジェットインキであって、 前記有機溶剤(A)は、下記一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を、前記有機溶剤(A)全量に対して10?75質量%含み、 前記鱗片状金属粒子(B)は、平均厚み(t)が1?50nmである鱗片状粒子であり、 前記鱗片状金属粒子(B)の含有量が、前記非水系インクジェットインキ全量に対して0.1?5質量%である、非水系インクジェットインキ。 R1-(O-R2)_(n1)-OH [一般式1] (一般式1中、R1は炭素数6?12の炭化水素基を表し、R2は炭素数2または3のアルキレン基を表し、n1は1または2を表す。)」である点で一致し、次の点で一応の相違が認められる。 (相違点2) 本件発明1は、「表面張力調整用添加剤(C)」を含有し、「表面張力調整用添加剤(C)が、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤を含む」のに対し、甲2発明は、表面張力調整用添加剤を含まない点。 (相違点2について) 相違点2について検討する。 甲2発明は、第2の溶剤(S2)としてBTG(トリエチレングリコールモノブチルエーテル) 1.5質量%を含有しており、甲2の【0075】の「所定の溶剤を選択することで界面活性剤を添加することなく、インク組成物の表面張力を低下させることができる」という記載や、【0101】の表面張力の値からみて、甲2発明の表面張力を調整するものであることは明らかであり、「表面張力調整用添加剤」ということができる。 しかしながら、「BTG(トリエチレングリコールモノブチルエーテル)」は、ポリシロキサン鎖構造を有するものではなく、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤と等価なものとはいえないので、上記相違点2は、実質的な相違点であり、本件発明1は甲2発明ではない。 (2)本件発明2?4、6及び7について 本件発明2?4、6及び7は、本件発明1を引用し、さらに限定するものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2?4、6及び7は甲2発明ではない。 4 まとめ 以上のことから、取消理由で通知した理由は、本件訂正請求によって解消した。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 上記第4で述べた取消理由は、特許異議申立理由の「理由3(拡大先願)」であり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由は、次の理由1、2、4及び5である。なお、申立ての理由における「本件発明」とは、本件訂正前のものを指す。 (1)理由1(新規性(特許法第29条第1項第3号))、理由2(進歩性(同条第2項)) 本件発明は、甲1(特開2008-239951号公報)により、新規性がないか、進歩性がない。 (2)理由4(サポート要件(特許法第36条第6項第1号)、理由5(実施可能要件(同条第4項第1号)) 請求項1では、有機溶剤(A)は、一般式1R1-(O-R2)_(n1)-OHで表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を、含むこと(構成要件B-1)が特定されている。 本件特許明細書の段落【0038】には、種々の一般式1(R1-(0-R2)_(nl)-OH)で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤が例示されているが、本件特許明細書の段落【0104】?【0135】に記載する実施例において、実際に使用されているアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)は、EHG(エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル)、EHDG(ジエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル)、PhPG(プロピレングリコールモノフェニルエーテル)、PhG(エチレングリコールモノフェニルエーテル)、PhDG(ジェチレングリコールモノフェニルエーテル)、BzG(エチレングリコールモノベンジルエーテル)、DdDG(ジエチレングリコールモノドデシルエーテル)のみであり、本件特許明細書の段落【0038】に記載されているような一般式lR1-(O-R2)_(n1)-OHを満たすアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤を含む全ての溶剤系インク組成物が同様の効果(連続吐出安定性、印刷物の光輝性、乾燥性の全てに優れること)奏するかは何ら立証がされておらず、そのような技術常識もない。 よって、請求項1の全範囲にまで拡張ないし一般化することはできないので、サポート要件違反である。また、当業者が請求項1の発明を実施することができる程度に明確にかつ十分に記載されていない。 請求項1を引用する請求項2?7についても同様である。 2 特許異議の申立理由についての当審の判断 (1)理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ア 甲1の記載 甲1には、次の記載がある。 (ア)「【請求項1】 金属顔料を含むメタリックインク組成物と、 有彩色インク組成物、黒色インク組成物、白色インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種以上の光硬化型インク組成物と、 を備えたインクセット。」 (イ)「【請求項3】 前記金属顔料が、平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX-Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5?3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす金属顔料である、請求項1又は2に記載のインクセット。」 (ウ)「【技術分野】 【0001】 本発明は、インクセット、インクジェット記録方法及び記録物に関し、特に、金属光沢を有する塗膜の形成が可能なインクセット、インクジェット記録方法及び記録物に関する。」 (エ)「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、比較的安価な金属材料としてアルミニウムに着目し、高い金属鏡面光沢を有するインク組成物を含むインクセットを構成することにより、印刷物上に金属光沢を有する塗膜を形成することが可能なインクセットを提供することを目的とする。更に光硬化型インク組成物を用いて印刷を行うことで任意の色調のメタリック印刷が可能となる。また、本発明の付随的な目的としては、2液型の光硬化型インク組成物において、保存中のゲル化を防止し、保存安定性に優れたインクセットを提供することを目的とする。」 (オ)「【発明の効果】 【0030】 本発明のインクセット、インクジェット記録方法及び記録物によれば、金属顔料を含むメタリックインク組成物を用いることで、記録媒体上に、高い金属光沢(いわゆるメタリック光沢)を有する画像の形成が可能となり、更に、有彩色インク組成物、黒色インク組成物、白色インク組成物とを組み合わせてインクセットを構成することにより、従来のインクセットでは実現できなかった画像、即ち任意の色調を有し、金属光沢を有する画像を形成することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0031】 [実施形態1のインクセット] 本実施形態のインクセットは、既述のとおり、金属顔料を含むメタリックインク組成物と、有彩色インク組成物、黒色インク組成物、白色インク組成物からなる群から選択された少なくとも1種以上の光硬化型インク組成物と、を備えている。これにより、有彩色、黒色及び白色の色調にメタリック調の金属光沢が付加された画像を形成することが可能となる。 【0032】 前記金属顔料(メタリック顔料ともいう)は、平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX-Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5?3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす金属顔料であることが好ましい。」 (カ)「【0037】 前記メタリック顔料は、コストの観点及び金属光沢を確保する観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加されうる別の金属元素または非金属元素としては、金属光沢を有するものであれば特に限定されるものではないが、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等を挙げることができ、これらの単体又はこれらの合金及びこれらの混合物の少なくとも一種が好適に用いられる。 【0038】 前記メタリック顔料の製造方法は、例えば、シート状基材面に剥離用樹脂層と金属又は金属化合物層とが順次積層された構造からなる複合化顔料原体の前記金属又は金属化合物層と前記剥離用樹脂層の界面を境界として前記シート状基材より剥離し粉砕し微細化して平板状粒子を得る。そして、得られた平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX-Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5?3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすものを分取する。」 (キ)「【0041】 前記金属又は金属化合物層の厚さは、20nm以上100nm以下で形成される。これにより、平均厚みが20nm以上100nm以下の顔料が得られる。20nm以上にすることで、反射性、光輝性に優れ、メタリック顔料としての性能が高くなり、100nm以下にすることで、見かけ比重の増加を抑え、メタリック顔料の分散安定性を確保することができる。」 (ク)「【0065】 本実施形態のインクセットに用いられるメタリックインク組成物は、上述したメタリック顔料と、有機溶剤と、樹脂と、を含有するものである。」 (ケ)「【0071】 特に、前記有機溶剤は、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテル、及びラクトンの混合物であることが好ましい。 【0072】 アルキレングリコールモノエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。 【0073】 アルキレングリコールジエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。 【0087】 前記メタリックインク組成物は、少なくとも1種類以上のアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤を含むことが好ましい。該界面活性剤は、インク組成物中の顔料の含有量に対して、0.01重量%以上10重量%以下添加されることが好ましい。」 (コ)「【0090】 シリコーン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK-347、BYK-348、BYK-UV3500、BYK-UV3510、BYK-UV3530、BYK-UV3570(ビックケミージャパン株式会社)が挙げられる。」 (サ)「【0185】 前記光硬化型インク組成物A及び/又は前記光硬化型インク組成物Bは、界面活性剤を使用することができ、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましく、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK-347、BYK-348、BYK-UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を挙げることができる。」 (シ)「【実施例1】 【0212】 1.メタリックインク組成物 (1)メタリック顔料分散液の調製 膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35?39%、関東化学社製)3.0重量%及びジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤社製)97重量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥する事で、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。 【0213】 次に、真空蒸着装置(真空デバイス社製VE-1010型真空蒸着装置)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。 【0214】 次に、上記方法にて形成した積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中、VS-150超音波分散機(アズワン社製)を用いて剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるメタリック顔料分散液を作成した。 【0215】 得られたメタリック顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、メタリック顔料分散液を濃縮し、その後、そのメタリック顔料分散液の濃度調整を行い、5重量%濃度のメタリック顔料分散液1を得た。 【0216】 また、蒸着条件及び/又は超音波分散時間を変化させたメタリック顔料を有するメタリック顔料分散液2を得た。 【0217】 そして、粒子径・粒度分布測定装置(シスメックス社製FPIA-3000S)を用いて、各メタリック顔料の長径(X方向)-短径(Y方向)平面の円相当径の50%平均粒子径R50、平均膜厚Zを測定し、さらに、得られたR50とZの測定値に基づき、R50/Zを算出した。結果を表1に示す。 【0218】 【表1】 ![]() 【0219】 (2)メタリックインク組成物の調製 上記方法にて調製したメタリック顔料分散液を用いて、表2に示す組成にてメタリック顔料インク組成物を調製した。溶媒及び添加剤を混合・溶解し、インク溶媒とした後に、メタリック顔料分散液をそのインク溶媒中へ添加して、更に常温・常圧下30分間マグネティックスターラーにて混合・撹拌して、メタリック顔料インク組成物(S1、S2、S3)とした。 【0220】 表2中、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGdEE)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGdME)は日本乳化剤社製のものを用いた。また、γ-ブチロラクトンは関東化学社製のものを用いた。また、N-2043-AF-1およびN-2043-60MEX(ポリアクリルポリオール樹脂エマルジョン)はハリマ化成社製のものを用い、BYK-3500(界面活性剤)はビックケミー・ジャパン社製のものを用いた。なお、単位は重量%である。 【0221】 【表2】 ![]() 」 (ス)「【0263】 4.評価試験 (1)印刷評価試験 上記3で示したインクセットを使用し、ローランドD.G.株式会社製インクジェットプリンタ SJ-540を2台用いて、そのうち1台のインクジェットプリンタ(IJP-1)のブラック列にメタリックインク組成物(S1、S2又はS3)、インク組成物A1、A2(透明インク組成物)をライトシアン列、インク組成物B5、B10(ホワイトインク組成物)をライトマゼンタ列に充填した。 【0264】 もう一台のインクジェットプリンタ(IJP-2)にはそれぞれ対応する色列に対応するインク組成物、即ち、インク組成物B1、B6(ブラックインク組成物)、インク組成物B2、B7(イエローインク組成物)、インク組成物B3、B8(マゼンタインク組成物)、インク組成物B4、B9(シアンインク組成物)をそれぞれブラック列、イエロー列、マゼンタ列、シアン列に充填し、インク組成物A1、A2(透明インク組成物)をライトシアン列に、インク組成物B5、B10(ホワイトインク組成物)をライトマゼンタ列に充填した。印刷は下記印刷パターンに従い実施した。」 イ 甲1に記載された発明(甲1発明) 申立人は、甲1の【0212】?【0221】に記載された「実施例1」の「メタリックインク組成物(S1)」を甲1発明として引用しているので、「メタリックインク組成物(S1)」について検討することとする。 甲1の上記「メタリックインク組成物(S1)」は、【0220】、【0221】の【表2】からみて、次の組成を有しているものと認められる。 「ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGdee) 47.8重量%、 ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE) 45.0重量%、 N-2043-AF-1(ポリアクリルポリオール樹脂エマルジョン) 6.0重量%、 BYK-3500(界面活性剤) 0.2重量%、及び、 顔料固形分 1.0重量%からなるメタリックインク組成物(S1)」(以下、「甲1発明」という。) ウ 対比・判断 (ア)本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGdee)」及び「ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)」は、本件発明1の「有機溶剤(A)」に相当する。 また、甲1発明の「顔料固形分」は、甲1の【0212】?【0215】から明らかなように、アルミニウム蒸着層から得られるものであって、【0218】の【表1】から、厚み0.02μm(20nm)の「鱗片状金属粒子」といえることから、本件発明1の「鱗片状金属粒子(B)」であって、「平均厚み(t)が1?50nmである鱗片状粒子」に相当し、その含有量は、本件発明1の範囲内のものである。 そして、甲1発明の「BYK-3500(界面活性剤)」は、表面張力調整用添加剤として機能することは明らかであり、本件発明1の「表面張力調整用添加剤(C)」に相当する。 また、甲1発明の「メタリックインク組成物(S1)」は、非水系であることは明らかであり、甲1の【0263】?【0264】の記載から、インクジェットインキとして用いられるものである。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「有機溶剤(A)と、鱗片状金属粒子(B)と、表面張力調整用添加剤(C)とを含有する非水系インクジェットインキであって、 前記鱗片状金属粒子(B)は、平均厚み(t)が1?50nmである鱗片状粒子であり、 前記鱗片状金属粒子(B)の含有量が、前記非水系インクジェットインキ全量に対して0.1?5質量%である、非水系インクジェットインキ。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。 (相違点3) 有機溶剤(A)について、本件発明1では、下記一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を、前記有機溶剤(A)全量に対して10?75質量%含むことが特定されているのに対し、甲1発明は、有機溶剤は、「ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGdee)」及び「ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)」であり、その含有量は、それぞれ47.8重量%、45.0重量%であって、甲1発明には、下記一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を含んでいない点。 R1-(O-R2)_(n1)-OH [一般式1] (一般式1中、R1は炭素数6?12の炭化水素基を表し、R2は炭素数2または3のアルキレン基を表し、n1は1または2を表す。) (相違点4) 表面張力調整用添加剤(C)について、本件発明1では、「ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤を含む」ことが特定されているのに対し、甲1発明の「BYK-3500(界面活性剤)」は、ポリシロキサン鎖構造を有する」ものかどうか不明な点。 ここで、事案に鑑み、相違点3について検討する。 甲1発明の「ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGdee)」及び「ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)」は、本件発明1の、一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)と異なるものであり、上記相違点3は実質的な相違点であって、本件発明1は甲1発明ではない。(一般式1に当てはめると、DEGdeeにおいては、R1が炭素数2の炭化水素基、R2が炭素数2のアルキレン基、n1が2であり、OH基は有していない。また、DPGmBEにおいては、R1が炭素数4の炭化水素基、R2が炭素数3のアルキレン基、n1が2である。いずれにしても、R1の炭素数において一般式1を満たしていない。) また、甲1発明の「ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGdee)」及び「ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)」を、本件発明1の、一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)に置き換え、その含有量を10?75質量%とする動機付けはない。 しかも、上記第5 3(1)の相違点1について述べたように、本件発明1は、一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を含む有機溶剤(A)に、ポリシロキサン鎖構造を有する界面活性剤を添加剤として含有することによって、非水系インクジェットインキの連続吐出安定性、光輝性又は乾燥性に優れるものとなったものであり、そのような作用効果は、甲1発明からは予測し得ない作用効果である。 したがって、相違点3に係る本件発明1の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得たものではない。 よって、相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすことができたものである、とすることはできない。 (申立人の主張について) 申立人は、特許異議申立書において、「鱗片状金属粒子を均ーな状態で面配向した状態にし、鱗片状金属粒子を含有するインク組成物により形成される画像の光沢ムラを抑制するために、甲1の【0221】には、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGdEE)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)、及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGdME)を含むメタリックインク組成物S1において、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)とほぼ同様の物性を有し、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)よりも沸点の高いジプロピレングリコールモノヘキシルエーテルに置き換えることには何ら困難性はない。」(特許異議申立書42頁下から8行?末行)と主張している。 しかしながら、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテルが、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)よりも沸点が高く、一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)に相当するものだとしても、甲1発明では、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)の沸点について考慮されたものではなく、甲1の【0071】?【0073】に多数列挙された溶媒の中から、沸点に着目して、特に、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテルを選択して、甲1発明の溶媒のうち、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(DPGmBE)と置き換える動機付けがあるとはいえない。 したがって、申立人の上記主張は採用できない。 (イ)本件発明2?4、6及び7について 本件発明2?4、6及び7は、本件発明1を引用し、さらに限定するものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2?4、6及び7は甲1発明ではなく、甲1発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 (2)申立ての理由3(サポート要件)、4(実施可能要件)について 申立人は、一般式lを満たすアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤を含む全ての溶剤系インク組成物が同様の効果(連続吐出安定性、印刷物の光輝性、乾燥性の全てに優れること)奏するかは何ら立証がされていない旨主張しているものの、その具体的な根拠は何ら示していない。 一方、一般式1で特定されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤に関し、一般式1で特定されるものであれば、非水系インクジェットインキにおける特性や、当該溶剤に対するポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤による作用効果(連続吐出安定性、印刷物の光輝性、乾燥性の全てに優れること)は、大きく異なるものとなるとはいえない。 したがって、本件発明がサポート要件違反である、ということもできないし、明細書の記載が当業者が本件発明1を実施することができる程度に明確にかつ十分に記載されていないものである、ということもできない。 よって、申立ての理由4、5についての申立人の主張は採用することができない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?4、6及び7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1?4、6及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 本件請求項5に係る特許は、訂正により削除されたため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、この特許についての特許異議の申立ては却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 有機溶剤(A)と、鱗片状金属粒子(B)と、表面張力調整用添加剤(C)とを含有する非水系インクジェットインキであって、 前記有機溶剤(A)は、下記一般式1で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)を、前記有機溶剤(A)全量に対して10?75質量%含み、 前記鱗片状金属粒子(B)は、平均厚み(t)が1?50nmである鱗片状粒子であり、 前記鱗片状金属粒子(B)の含有量が、前記非水系インクジェットインキ全量に対して0.1?5質量%であり、 前記表面張力調整用添加剤(C)が、ポリシロキサン鎖構造を有する表面張力調整用添加剤を含む、非水系インクジェットインキ。 R1-(O-R2)_(n1)-OH[一般式1] (一般式1中、R1は炭素数6?12の炭化水素基を表し、R2は炭素数2または3のアルキレン基を表し、n1は1または2を表す。) 【請求項2】 前記鱗片状金属粒子(B)が、金属元素として、Al、In、および、Cuからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の非水系インクジェットインキ。 【請求項3】 前記有機溶剤(A)が、さらに、アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤(a2)、および/または、アルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアセテート系溶剤(a3)を含む、請求項1または2に記載の非水系インクジェットインキ。 【請求項4】 前記有機溶剤(A)が、さらに、下記一般式2で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-2)を含み、 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-1)の配合量に対する、前記アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤(a1-2)の配合量の比が、10?500質量%である、請求項1?3いずれかに記載の非水系インクジェットインキ。 R3-(O-R4)_(n2)-OH[一般式2] (一般式2中、R3は炭素数1?5の炭化水素基を表し、R4は炭素数2?6のアルキレン基を表し、n2は1?4の整数を表す。) 【請求項5】(削除) 【請求項6】 プラスチック基材、紙基材、金属基材、および、ガラス基材のいずれかへの印刷用である、請求項1?4いずれか記載の非水系インクジェットインキ。 【請求項7】 基材に、請求項1?4または6いずれか記載の非水系インクジェットインキ組成物を印刷してなる、印刷物。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2021-09-08 |
出願番号 | 特願2019-206444(P2019-206444) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(C09D)
P 1 651・ 536- YAA (C09D) P 1 651・ 121- YAA (C09D) P 1 651・ 16- YAA (C09D) P 1 651・ 113- YAA (C09D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田澤 俊樹 |
特許庁審判長 |
門前 浩一 |
特許庁審判官 |
亀ヶ谷 明久 川端 修 |
登録日 | 2020-08-26 |
登録番号 | 特許第6754882号(P6754882) |
権利者 | 東洋インキSCホールディングス株式会社 |
発明の名称 | 非水系インクジェットインキおよびその印刷物 |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 三好 秀和 |