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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01N
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  G01N
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01N
管理番号 1379784
異議申立番号 異議2021-700158  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-12 
確定日 2021-09-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6740083号発明「免疫学的測定試薬、測定方法及び測定範囲の拡大方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6740083号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。 特許第6740083号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6740083号の請求項1-8に係る特許についての出願は、平成28年10月24日(優先権主張 平成27年10月23日)の出願であって、令和2年7月28日にその特許権の設定登録がされ、同年8月12日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和3年2月12日に特許異議申立人 中島 文乃(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、同年3月31日付け(発送日:同年4月5日)で取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年6月2日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、同年7月15日に意見書を提出した。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容(下線は訂正事項を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記測定対象物質がDダイマー又はフェリチンであり、」と記載されているのを、「前記測定対象物質がDダイマーであり、」に訂正する。そして、請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項4-8も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記測定対象物質がDダイマー又はフェリチンであり、」と記載されているのを、「前記測定対象物質がDダイマーであり、」に訂正する。そして、請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項4-8も同様に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記測定対象物質がDダイマー又はフェリチンであり、」と記載されているのを、「前記測定対象物質がDダイマーであり、」に訂正する。そして、請求項3の記載を直接的または間接的に引用する請求項4-8も同様に訂正する。

なお、訂正前の請求項1、4-8について、請求項4-8はそれぞれ請求項1を直接的または間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正前の請求項2、4-8について、請求項4-8はそれぞれ請求項2を直接的または間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。更に、訂正前の請求項3-8について、請求項4-8はそれぞれ請求項3を直接的または間接的に引用しているものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。
ここで、訂正前の請求項1、4-8に対応する訂正後の請求項1、4-8、訂正前の請求項2、4-8に対応する訂正後の請求項2、4-8、訂正前の請求項3-8に対応する訂正後の請求項3-8は、それぞれ、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項を構成するが、共通する請求項4-8を有するこれらの一群の請求項は組み合されて、訂正前の請求項1-8に対応する訂正後の請求項1-8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当するものである。
したがって、上記訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1?3は、何れも、訂正前の請求項1?3に「Dダイマー又はフェリチン」と択ー的に記載されていた「前記測定対象物質」から「フェリチン」を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、これらの訂正が、新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないことは明らかである。

3 小括
したがって、上記の訂正請求による訂正事項1?3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1-8に係る発明(以下「本件特許発明1-8」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定において、前記測定対象物質がDダイマーであり、0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う、前記測定における測定範囲を拡大する方法。
【請求項2】
測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定において、前記測定対象物質がDダイマーであり、0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う、前記測定における希釈直線性を改善する方法。
【請求項3】
測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定において、前記測定対象物質がDダイマーであり、0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う、前記測定における検量線の形状と検体の希釈特性を近づける方法。
【請求項4】
前記不溶性担体が、ラテックス粒子である、請求項1?3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記緩衝液が、HEPES緩衝液、Tris緩衝液、又はBis-Tris緩衝液から選ばれる、請求項1?4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1?5のいずれか一項に記載の方法に用いるための免疫学的測定試薬であって、測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメント、及び緩衝液を含み、前記緩衝液の濃度が、抗原抗体反応時の反応液中の濃度として0.19mol/L以上となる濃度である、前記免疫学的測定試薬。
【請求項7】
前記不溶性担体が、ラテックス粒子である、請求項6に記載の免疫学的測定試
薬。
【請求項8】
前記緩衝液が、HEPES緩衝液、Tris緩衝液、又はBis-Tris緩衝液から選ばれる、請求項6又は7に記載の免疫学的測定試薬。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1-8に係る特許に対して、当審が令和3年3月31日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)(新規性)訂正前の請求項1-8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1-8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2)(進歩性)訂正前の請求項1-8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1-8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

引用文献1:特開2003-149244号公報(甲1号証)

2 引用文献1及び甲2及び3号証の記載
(1)引用文献1
ア 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審にて付した。)

(引1a)「【0003】従来、生体試料中の被測定物質を免疫測定する際、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性または両性界面活性剤を免疫反応液中に添加することにより、被測定物質である抗原(又は抗体)の低濃度領域において測定感度及び測定精度を改良できることが知られていた(特開昭58-187802号公報)。一方、免疫沈降反応や免疫凝集反応などの免疫反応において、等量域より抗原(又は抗体)が過剰に存在する場合、沈降物や凝集塊が生成しにくくなって沈降物量が却って減少する現象(「プロゾーン(prozone)現象」という。)が知られている。このため、生体試料中の被測定物質である抗原(又は抗体)が免疫反応液中に高濃度に存在する場合等、ラテックスや金属コロイド等不溶性担体粒子に結合させた抗体(又は抗原)に比して抗原(又は抗体)が過剰に存在する場合、ラテックス凝集法や金属コロイド凝集法で測定するとプロゾーン現象のために測定値が却って小さくなり、このため測定に全く信頼が置けなくなる場合があった。」

(引1b)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記背景のもとで、プロゾーン現象を十分に抑制し、免疫反応液中に被測定物質である抗原(又は抗体)が不溶性担体粒子に結合させた抗体(又は抗原)に比して過剰に含まれていても適切な測定値が得られるようにし、それにより、低濃度から高濃度まで、広い濃度範囲にわたる被測定物質の測定を可能にする方法、これに用いるプロゾーン現象抑制剤、またこれを用いた免疫反応測定用試薬、免疫反応測定方法及びプロゾーン現象の抑制方法を提供することを目的とする。」

(引1c)「【0018】本発明の免疫反応測定用試薬を使用するのに特に適した免疫測定法は、免疫凝集反応を伴うものである。それらのうち、特に好ましいのは、ラテックス凝集法及び金属コロイド凝集法である。金属コロイド凝集法で用いられる金属コロイドとしては、金、銀、セレン等のコロイドがあり、何れでもよいが、利用しやすいという点からは、金コロイドが好ましい。
【0019】例えば、抗原(又は抗体)である被測定物質を測定する場合、ラテックス凝集法、金属コロイド凝集法では、被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)を、担体のラテックスや金属コロイドにあらかじめ結合させておく。その測定例として、金コロイド凝集法の場合、あらかじめ金コロイドと結合させた標識抗体(又は標識抗原)が、被測定物質である抗原(又は抗体)を介して凝集する。その際に生じる色差(色調変化)を光学的に測定し、抗原量または抗体量を測定する。
【0020】本発明の免疫反応測定試薬にて測定される被測定物質としては、タンパク質、脂質、糖類があり、それには例えば、各種抗原、抗体、レセプター、酵素などが含まれる。具体的にはC反応性タンパク(CRP)、繊維素分解産物(FDP)、ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c,α-フェトプロテイン(AFP)、シスタチンC、癌胎児性抗原(CEA)、CA19-9、前立腺特異抗原(PSA)、ペプシノーゲンIおよびII、コラーゲン、血清アミロイドA(SAA)、フェリチン、トランスフェリン、α1-マイクログロブリン、α2-マクログロブリン、β2-マイクログロブリン、α1-アンチキモトリプシン(ACT)、ミオグロビンなどの血液中タンパク質や、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヘリコバクターピロリ、およびこれらに対する抗体などの、感染症に関する抗原や抗体などが挙げられる。本発明によれば、免疫測定反応におけるプロゾーン現象、取り分け抗原過剰によるプロゾーン現象が抑制され、これら被測定物質を、広い濃度範囲にわたって測定することができる。
【0021】本発明において、免疫反応を過度に酸性又はアルカリ性の条件下で行うことは好ましくない。反応液のpHとしては4.5?9.5の範囲とするのがよく、より好ましいのは5.5?8.5の範囲である。pHの維持のためには適当な緩衝剤、例えばリン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、コハク酸緩衝液、あるいはグリシルグリシン、MES(2-(N-モノホリノ)エタンスルホン酸)、HEPES(N-2-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-エタンスルホン酸)、TES(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸))、DIPSO(3-(N'N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)-2-ヒドロキシエチルプロパンスルホン酸)、Tricine(トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン)、TAPS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸)等のグッド緩衝液が好適に用いられる。緩衝剤の使用濃度としては、測定時の免疫反応液中における濃度が5?1000mMになるように、免疫反応測定用試薬に配合すればよく、より好ましくは20?500mMの範囲になるようにすればよい。
【0022】なお、本発明の免疫反応用試薬中には、動物血清、γ-グロブリン、ヒトIgGやIgMに対する特異抗体、アルブミン、またはそれらの変性物や分解物、塩化ナトリウムやその他の無機塩類、糖類、アミノ酸類、EDTA等のキレート剤、DTT等のSH試薬、アジ化ナトリウム等を配合してもよい。これらの物質は、通常この分野で使用される濃度範囲で含まれてよい。
【0023】
【作用】本発明の試薬を用いれば、試料中に被測定物質である抗原(又は抗体)が高濃度に存在するなど、ラテックスや金属コロイド等不溶性担体粒子に結合させた抗体(又は抗原)に比して過剰量の抗原(又は抗体)が存在している場合でも、プロゾーン現象を抑制することができ、試料の希釈等により抗原と抗体の濃度バランスを調節し直すことなしに、広い濃度範囲での被測定物質の免疫反応測定が可能となる。」

イ 引用文献1に記載された発明
(ア)上記(引1c)より、引用文献1には、

「免疫反応測定用試薬を使用する免疫測定法は、ラテックス凝集法であり、
抗原(又は抗体)である被測定物質を測定する場合、ラテックス凝集法では、被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)を、担体のラテックスにあらかじめ結合させ、
免疫反応測定試薬にて測定される被測定物質としては、フェリチン、が挙げられ、
免疫測定反応におけるプロゾーン現象、取り分け抗原過剰によるプロゾーン現象が抑制され、これら被測定物質を、広い濃度範囲にわたって測定することができ、
pHの維持のためには適当な緩衝剤としては、トリス塩酸緩衝液、HEPES(N-2-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-エタンスルホン酸)等のグッド緩衝液が好適に用いられ、
緩衝剤の使用濃度としては、測定時の免疫反応液中における濃度が5?1000mMになるように、免疫反応測定用試薬に配合すればよく、より好ましくは20?500mMの範囲になるようにすればよい。
試薬を用いれば、試料中に被測定物質である抗原(又は抗体)が高濃度に存在するなど、ラテックスや金属コロイド等不溶性担体粒子に結合させた抗体(又は抗原)に比して過剰量の抗原(又は抗体)が存在している場合でも、プロゾーン現象を抑制することができ、試料の希釈等により抗原と抗体の濃度バランスを調節し直すことなしに、広い濃度範囲での被測定物質の免疫反応測定が可能となる。」

旨記載されている。

(イ)そうすると、引用文献1には、「免疫反応測定用試薬を使用する免疫測定法」として、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「ラテックス凝集法である免疫反応測定用試薬を使用する免疫測定法において、
被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)を、担体のラテックスにあらかじめ結合させて、抗原(又は抗体)である被測定物質を測定し、
免疫反応測定試薬にて測定される被測定物質は、フェリチンであり、
pHの維持のためには適当な緩衝剤が、
測定時の免疫反応液中における濃度が5?1000mMになる、より好ましくは20?500mMの範囲になるよう、免疫反応測定用試薬に配合された、
トリス塩酸緩衝液、HEPES(N-2-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-エタンスルホン酸)等のグッド緩衝液であり、
広い濃度範囲での試料中の被測定物質である抗原(又は抗体)の免疫反応測定が可能となる
免疫反応測定用試薬を使用する免疫測定法。」

(2)甲2号証
甲2号証(生物試料分析Vol.29、No 4(2006)301-306頁)には、以下の事項が記載されている。

(甲2a)「Summary LPIA-Ace D-dimer II (D-dimer II) is a latex D-dimer reagent immobilized with monoclonal antibody JIF-23 on latex particles, which recognizes the D_(1) fragments.」(301頁「Summary」、当審訳:「要約 LPIA-AceD-ダイマーII(D-ダイマーII)は、D_(1)断片を認識するモノクローナル抗体JlF-23をラテックス粒子上に固定化したラテックスDダイマー試薬である。」)

(甲2b)「1)測定範囲:0.5から48μg/mL(印字濃度は50μg/mL)。検量線を図3に示す。」(303頁右欄20-21行)

(3)甲3号証
甲3号証(フェリチンキット エルピアエース フェリチンII の添付文書 2014年4月改訂(第4版))には、以下の事項が記載されている。

(甲3a)「●形状・構造等(キットの構成)

1.R-1
2.R-2
抗ヒトフェリチンウサギポリクローナル抗体感作ラテックス

●使用目的

血清中のフェリチンの測定

●測定原理

本キットは,ラテックス凝集反応に伴う濁度光量の減少を光学的に測定するラテックス近赤外光比濁法用フェリチン測定試薬です。
・検出感度が約3ng/mLでRIA,EIAに匹敵します。
・抗原過剰が自動検知されます。
・濁度測定に近赤外線を使用しているため、検体の着色や乳濁に影響されません。」(左欄)

3 当審の判断
(1)新規性及び進歩性について
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
本件特許発明1と引用発明とを対比する。

a 引用発明の「被測定物質である抗原(又は抗体)」及び「試料」は、それぞれ、本件特許発明1の「測定対象物質」及び「被検試料」に相当する。また、引用発明の「被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)」は、本件特許発明1の「測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメント」に相当する。そして、引用発明の「免疫反応測定用試薬を使用する免疫測定法」は、「試料中の被測定物質である抗原(又は抗体)」を「免疫反応測定試薬にて測定」するものであるから、引用発明の「試料中の被測定物質である抗原(又は抗体)」を「免疫反応測定試薬」での「測定」は、本件特許発明1の「被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定」に相当する。

b 引用発明の「担体のラテックス」は、本件特許発明1の「不溶性担体」に相当する。そして、引用発明の「担体のラテックス」は、「被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)」が「あらかじめ結合させ」られているから、「被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)」を「あらかじめ結合」した「担体のラテックス」は、本件特許発明1の「測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体」に相当する。

c 引用発明の「被測定物質を測定」は、「被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)を、担体のラテックスにあらかじめ結合させて」行うから、引用発明の「被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)を、担体のラテックスにあらかじめ結合させて」行う「被測定物質を測定」は、本件特許発明1の「測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定」に相当する。

d 引用発明の「免疫反応測定試薬にて測定される被測定物質」が、「フェリチンであ」ることと、本件特許発明1の「前記測定対象物質がDダイマーであ」ることとは、「前記測定対象物質が抗原であ」ることで共通する。

e 引用発明の「免疫反応測定用試薬を使用する免疫測定法」は、「被測定物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)」の反応であるから、本件特許発明1の「抗原抗体反応を行う」「方法」に相当する。そして、引用発明の「緩衝剤」は、「トリス塩酸緩衝液、HEPES(N-2-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-エタンスルホン酸)等のグッド緩衝液」であるから、「トリス塩酸緩衝液、HEPES(N-2-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-エタンスルホン酸)等のグッド緩衝液」である「緩衝剤」は、本件特許発明1の「緩衝液」に相当する。また、引用発明の「緩衝剤」は、「測定時の免疫反応液中における濃度が5?1000mMになる、より好ましくは20?500mMの範囲になるよう、免疫反応測定用試薬に配合され」ており、「20?500mM」は、「0.02?0.5mol/L」であるから、引用発明の「測定時の免疫反応液中における濃度が5?1000mMになる、より好ましくは20?500mMの範囲になるよう、免疫反応測定用試薬に配合された」「緩衝剤」は、本件特許発明1の「0.19mol/L以上の濃度の緩衝液」に相当する。そして、引用発明の「緩衝剤」は、「測定時の免疫反応液中における」「免疫反応測定用試薬に配合され」ているものであるから、引用発明の「測定時の免疫反応液中における濃度が5?1000mMになる、より好ましくは20?500mMの範囲になるよう」「緩衝剤」が「配合された」免疫反応測定用試薬を使用する免疫測定法」は、本件特許発明1の「0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う」「方法」に相当する。

f 引用発明の「免疫反応測定用試薬を使用する免疫測定法」は、「広い濃度範囲での試料中の被測定物質である抗原(又は抗体)の免疫反応測定が可能となる」ものであるから、本件特許発明1の「前記測定における測定範囲を拡大する方法」とは、「広い濃度範囲で測定可能となる方法」である点で共通する。

g 以上より、本件特許発明1と引用発明とを対比すると、両者は、次の一致点及び相違点を有する。

(一致点)「測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定において、前記測定対象物質が抗原であり、0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う、広い濃度範囲で測定可能となる方法。」

(相違点1)広い濃度範囲で測定可能となることが、本件特許発明1では、「前記測定における測定範囲を拡大する」ことであるのに対し、引用発明では、「広い濃度範囲での」「測定が可能となる」ことである点。

(相違点2)前記測定対象物質が、本件特許発明1が、「Dダイマー」であるのに対し、引用発明は、「フェリチン」である点。

(イ)判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
引用文献1には、段落【0020】に「・・・免疫反応測定試薬にて測定される被測定物質としては、タンパク質、脂質、糖類があり、それには例えば、各種抗原、抗体、レセプター、酵素などが含まれる。具体的にはC反応性タンパク(CRP)、繊維素分解産物(FDP)、ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c,α-フェトプロテイン(AFP)、シスタチンC、癌胎児性抗原(CEA)、CA19-9、前立腺特異抗原(PSA)、ペプシノーゲンIおよびII、コラーゲン、血清アミロイドA(SAA)、フェリチン、トランスフェリン、α1-マイクログロブリン、α2-マクログロブリン、β2-マイクログロブリン、α1-アンチキモトリプシン(ACT)、ミオグロビンなどの血液中タンパク質や、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヘリコバクターピロリ、およびこれらに対する抗体などの、感染症に関する抗原や抗体などが挙げられる。・・・」と、「免疫反応測定試薬にて測定される被測定物質」としては、「タンパク質、脂質、糖類」がありその例として、「各種抗原、抗体、レセプター、酵素などが含まれる」旨記載されているものの、具体例として「Dダイマー」は記載されていない。
そうすると、緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行った場合において、測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定における測定範囲がどの程度になるかは、実際に試験してみなければわからないという、当該技術分野の技術常識を考慮すると、上記相違点2に係る構成は、引用文献1の記載事項を考慮したとしても、引用発明から当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
また、甲3号証に記載の測定対象物質はフェリチンであって、Dダイマーは記載されておらず、そして、甲2号証には、ラテックス粒子上に抗D_(1)断片モノクローナル抗体を固定化した、ラテックス凝集法によるDダイマー測定試薬が記載され、測定範囲の上限が48μg/mlであることも記載されているものの、緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行った場合に、ラテックス凝集法によるDダイマー測定の測定範囲がどのようになるかに関し記載されていないから、上記相違点2に係る構成は、甲2及び3号証に記載された事項を参酌したとしても、引用発明から当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、引用発明及び甲2及び3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

イ 本件特許発明2及び3について
本件特許発明2及び3は、本件特許発明1の「前記測定における測定範囲を拡大する」ことを、本件特許発明2は、「前記測定における希釈直線性を改善する」ことと、本件特許発明3は、「前記測定における検量線の形状と検体の希釈特性を近づける」こととしたものであるが、本件明細書を参酌すると、本件特許発明1の「前記測定における測定範囲を拡大する」こと、本件特許発明2の「前記測定における希釈直線性を改善する」こと及び本件特許発明3の「前記測定における検量線の形状と検体の希釈特性を近づける」ことは、表現は違うものの、技術的に同じ事項を特定しているといえる。
そうすると、本件特許発明2及び3と引用発明との間には、上記相違点1に対応する相違点1’と、上記相違点2がある。
したがって、本件特許発明2及び3は、上記相違点2の点において、上記ア(イ)と同様の理由により、引用発明及び甲2及び3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

ウ 本件特許発明4及び5について
本件特許発明4は、本件特許発明1?3の「前記不溶性担体が、ラテックス粒子である」旨の、本件特許発明5は、本件特許発明1?4の「前記緩衝液が、HEPES緩衝液、Tris緩衝液、又はBis-Tris緩衝液から選ばれる」旨の、それぞれ、限定を加えたものであり、引用発明の「担体」は「ラテックス」であって、引用発明の「緩衝液」は、「トリス塩酸緩衝液、HEPES(N-2-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-エタンスルホン酸)等のグッド緩衝液であ」るから、本件特許発明4及び5と、引用発明との間には、少なくとも上記相違点2がある。
そうすると、本件特許発明4及び5は、上記相違点2の点で、上記ア及びイと同様の理由により、引用発明及び甲2及び3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

エ 本件特許発明6?8について
本件特許発明6は、本件特許発明1?5のいずれか一項に記載の方法に用いるための免疫学的測定試薬であって、本件特許発明1?5で特定している「免疫学的測定試薬」を特定しているものであり、引用発明との間には、少なくとも上記相違点2があるから、上記ア?ウと同様の理由により、引用発明及び甲2及び3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
また、本件特許発明7は、本件特許発明6の「前記不溶性担体が、ラテックス粒子である」旨の、本件特許発明8は、本件特許発明6及び7の「前記緩衝液が、HEPES緩衝液、Tris緩衝液、又はBis-Tris緩衝液から選ばれる」旨の、それぞれ限定をしたものであるが、引用発明の「担体」は「ラテックス」であり、引用発明の「緩衝液」は、「トリス塩酸緩衝液、HEPES(N-2-ヒドロキシエチル-ピペラジン-N'-エタンスルホン酸)等のグッド緩衝液であ」るから、本件特許発明7及び8と、引用発明との間には、少なくとも上記相違点2がある。
そうするとは、本件特許発明7及び8は、上記相違点2の点で、上記ア?ウと同様の理由により、引用発明及び甲2及び3号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

(2)サポート要件について
当審において、訂正前の請求項1?8に係る発明について、本件特許発明の課題は、「免疫学的測定において、低濃度域からより高濃度域まで、正確に測定することができる、免疫学的測定方法および測定試薬を提供する」ことであり、本件の明細書の発明の詳細な説明には、実施例として、「フェリチン測定試薬」の「緩衝液濃度が0.05mol/Lの場合」と「緩衝液濃度が0.5mol/L(正確には0.47mol/L)の場合」について記載され、その結果が【表5】、【図4】及び【図5】に記載されている。また、具体的な数値は記載されていないものの、「上記検体とは別検体を使用して1.0mol/L(0.94mol/L)の緩衝液を使用して測定した場合においても、検量線の形状に検体の希釈特性が近付き、希釈直線性が改善される傾向が観察された。」旨記載され、訂正前の請求項1?3に係る発明及びこれら発明を引用する訂正前の請求項4?8に係る発明は、何れも「0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う」旨の限定をしているものであるのに対し、「フェリチン測定試薬」における該限定範囲内の具体的な実施例は、「緩衝液濃度が0.5mol/L(正確には0.47mol/L)の場合」のみであって、「上記検体とは別検体を使用して1.0mol/L(0.94mol/L)の緩衝液を使用して測定した場合」について記載されているものの、どのような結果となるかの具体的数値は示されていない。
そして、上記範囲外の、「フェリチン測定試薬」の「緩衝液濃度が0.05mol/Lの場合」と、範囲内の「緩衝液濃度が0.5mol/L(正確には0.47mol/L)の場合」との比較から、「0.19mol/L以上」のすべての緩衝液の濃度において「免疫学的測定において、低濃度域からより高濃度域まで、正確に測定することができる、免疫学的測定方法および測定試薬を提供する」との課題が解決できるとは、当該技術分野の技術常識を考慮しても導くことができるとはいえない。
そうすると、「フェリチン測定試薬」において「緩衝液濃度が0.05mol/Lの場合」と「緩衝液濃度が0.5mol/L(正確には0.47mol/L)の場合」との結果及び「上記検体とは別検体を使用して1.0mol/L(0.94mol/L)の緩衝液を使用して測定した場合」の結果が良好であった事実から、「前記測定対象物質が」「フェリチンであ」る場合の、「免疫学的測定において、低濃度域からより高濃度域まで、正確に測定することができる」「緩衝液」の濃度範囲を「0.19mol/L以上」の範囲まで拡張ないし一般化することは、当該技術分野の技術常識を考慮してもできないものであるから、訂正前の請求項1?8に係る発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるとはいえない旨通知したが、上記訂正によって、訂正前の請求項1?8も係る発明の「測定対象物質」が「Dダイマー又はフェリチン」から、「Dダイマー」に訂正されたので、上記理由は解消した。

(3)申立人の意見について
令和3年7月15日に提出した意見書において、申立人は、以下のとおり主張している。

「(2) 特許異議申立人の反論
引用文献1の第0020段落には、被測定物質としては、「各種抗原、抗体、レセプター、酵素などが含まれる。」と記載され、多数の具体例が列挙されている。
確かに、ここで列挙された具体例の中にDダイマーは含まれてはいないが、具体例を記載している文の末尾が「挙げられる。」であり、例示であることが明記されている。
一方、特許異議申立書で主張したように、甲第2号証(生物試料分析 Vol.29,No4(2006)301-306頁)には、Dダイマーをラテックス凝集法で測定することや、その測定範囲の上限が48μg/mlであることが記載されている。
してみると、引用文献1に記載されている方法で、Dダイマーを測定可能なことは当業者が容易に想到し得るものと解される。さらに、Dダイマーを測定した、本件特許の実施例で最も高い値は、第0041段落の表1に示される、緩衝液濃度が0.5mol/Lの場合における47.24であるから、本件特許発明による顕著な効果も認められない。
さらに、引用文献1の実施例では、緩衝液濃度が本件特許発明で規定する濃度範囲の下限よりも低くなっているが、開示は、実施例に限定されるものではない。引用文献1の第00 1 8段落には、「緩衝剤の使用濃度としては、測定時の免疫反応液中における濃度が5-1000mMになるように、免疫反応測定用試薬に配合すればよく、より好ましくは20-500mMの範囲になるようにすればよい。」(下線強調)と記載されており、緩衝液の濃度として20-500mMの範囲が好ましいことが記載されている。この範囲は、本願請求項1で規定される0.19mol/L以上(すなわち、190mM以上)と大幅に重複するものであり、本願発明で規定される緩衝液の濃度も引用文献1に明記されている。
よって、訂正後の本件特許発明も、進歩性は肯定されないと思料する。」

上記主張について検討すると、確かに、甲2号証には、上記主張のとおり、Dダイマーをラテックス凝集法で測定することや、その測定範囲の上限が48μg/mlであることが記載されているが、緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行った場合に、ラテックス凝集法によるDダイマー測定の測定範囲がどのようになるかに関し記載されていないことは、上記(1)ア(イ)で指摘したとおりである。
そうすると、上記(1)ア(イ)で検討したとおり、本件特許発明1?8は、甲2号証に記載された技術事項を参酌したとしても、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 進歩性について
申立人は、特許異議申立書において、本件特許発明1?8は、甲1?3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものである旨主張している。
しかしながら、上記第4の3(1)ア(イ)で検討したとおり、甲3号証に記載の測定対象物質はフェリチンであって、Dダイマーは記載されておらず、また、甲2号証には、ラテックス粒子上に抗D_(1)断片モノクローナル抗体を固定化した、ラテックス凝集法によるDダイマー測定試薬が記載され、測定範囲の上限が48μg/mlであることも記載されているものの、緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行った場合に、ラテックス凝集法によるDダイマー測定の測定範囲がどのようになるかに関し記載されていないから、甲2及び3号証に記載された技術事項を参酌したとしても、本件特許発明1?8は、引用発明である甲1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到しうるものであるとはいえない。
したがって、申立人のかかる主張は採用されない。

2 実施可能要件について
申立人は、訂正前の請求項1?8に係る発明は、被測定物質がフェリチンの場合には、請求項1?3に係る発明の全範囲において、どのように実施すれば、本件特許発明における効果が得られるか不明であるから、実施可能要件を満たしていない旨主張している。
しかしながら、上記訂正により、訂正前の請求項1?8も係る発明の「測定対象物質」が「Dダイマー又はフェリチン」から、「Dダイマー」に訂正されたので、上記理由は解消した。
したがって、申立人のかかる主張は採用されない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1-8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1-8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定において、前記測定対象物質がDダイマーであり、0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う、前記測定における測定範囲を拡大する方法。
【請求項2】
測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定において、前記測定対象物質がDダイマーであり、0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う、前記測定における希釈直線性を改善する方法。
【請求項3】
測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメントを固定化した不溶性担体を用いる、被検試料中の前記測定対象物質の免疫学的測定において、前記測定対象物質がDダイマーであり、0.19mol/L以上の濃度の緩衝液の存在下で抗原抗体反応を行う、前記測定における検量線の形状と検体の希釈特性を近づける方法。
【請求項4】
前記不溶性担体が、ラテックス粒子である、請求項1?3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記緩衝液が、HEPES緩衝液、Tris緩衝液、又はBis-Tris緩衝液から選ばれる、請求項1?4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1?5のいずれか一項に記載の方法に用いるための免疫学的測定試薬であって、測定対象物質に対する抗体若しくはそのフラグメント、及び緩衝液を含み、前記緩衝液の濃度が、抗原抗体反応時の反応液中の濃度として0.19mol/L以上となる濃度である、前記免疫学的測定試薬。
【請求項7】
前記不溶性担体が、ラテックス粒子である、請求項6に記載の免疫学的測定試薬。
【請求項8】
前記緩衝液が、HEPES緩衝液、Tris緩衝液、又はBis-Tris緩衝液から選ばれる、請求項6又は7に記載の免疫学的測定試薬。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-09-06 
出願番号 特願2016-208003(P2016-208003)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G01N)
P 1 651・ 113- YAA (G01N)
P 1 651・ 537- YAA (G01N)
P 1 651・ 851- YAA (G01N)
P 1 651・ 536- YAA (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大瀧 真理  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 福島 浩司
伊藤 幸仙
登録日 2020-07-28 
登録番号 特許第6740083号(P6740083)
権利者 株式会社LSIメディエンス
発明の名称 免疫学的測定試薬、測定方法及び測定範囲の拡大方法  
代理人 山口 健次郎  
代理人 森田 憲一  
代理人 山口 健次郎  
代理人 森田 憲一  
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