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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  B65G
管理番号 1379795
異議申立番号 異議2020-700302  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-28 
確定日 2021-10-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6597061号発明「物品搬送設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6597061号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、5、18、20〕、〔2、4、6?9、11、12、19、22〕、〔13?15、17〕、21について訂正することを認める。 特許第6597061号の請求項1、4、5、12、18、20に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6597061号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし17に係る特許についての出願は、平成27年8月27日に出願され、令和1年10月11日にその特許権の設定登録がされ、令和1年10月30日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、特許異議申立人大隅庸平(以下「異議申立人」という。)により、請求項1、4、5、12に係る特許に対する特許異議の申立てがされた。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和2年4月28日 :異議申立人による特許異議の申立て
令和2年9月2日付け:取消理由通知書
令和2年11月6日 :特許権者による訂正請求書(1)及び意見書(1)
の提出
令和3年1月14日 :異議申立人による意見書(1)の提出
令和3年3月12日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和3年5月17日 :特許権者による訂正請求書(2)及び意見書(2)
の提出
令和3年7月5日 :異議申立人による意見書(2)の提出
なお、訂正請求書及び意見書について、提出日の順に「訂正請求書(1)」のように括弧数字を付している。

第2 訂正請求について
1 訂正の内容
令和3年5月17日の訂正請求書(2)による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。
なお、令和2年11月6日の訂正請求書(1)による訂正は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定されている」
と記載されているものを、
「前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記第1スライド装置の作動を制御する制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され、
前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させる請求項1に記載の物品搬送設備。」
と記載されているものを、独立形式に改め、
「複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させる物品搬送設備。」に訂正する。請求項2の記載を直接又は間接的に引用する請求項4、9、11、12についても同様に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する請求項1?3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。」
と記載されているものを、
「前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する請求項2又は3に記載の物品搬送設備。」に訂正する。請求項4の記載を引用する請求項12についても同様に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する」
と記載されているものを、
「前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記第1スライド装置の作動を制御する前記制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され、
前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に、
「前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動範囲で移動させ、
前記選択部は、前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択し、
前記スライド移動範囲における前記棚横幅方向の一対の端部のうち、前記第1移動制御の実行の開始直前に前記第2移載装置が位置する端部を主端部として、当該主端部に前記第2移載装置が位置している状態を主状態とし、当該主端部とは反対側の端部を副端部として、当該副端部に前記第2移載装置が位置している状態を副状態とし、
前記第1移動制御は、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができるときは、前記主状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができないときは、前記副状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2スライド装置を作動させ且つ前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、請求項4又は5記載の物品搬送設備。」
と記載されているものを、請求項5を引用するものについて独立形式に改め、
「複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動範囲で移動させ、
前記選択部は、前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択し、
前記スライド移動範囲における前記棚横幅方向の一対の端部のうち、前記第1移動制御の実行の開始直前に前記第2移載装置が位置する端部を主端部として、当該主端部に前記第2移載装置が位置している状態を主状態とし、当該主端部とは反対側の端部を副端部として、当該副端部に前記第2移載装置が位置している状態を副状態とし、
前記第1移動制御は、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができるときは、前記主状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができないときは、前記副状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2スライド装置を作動させ且つ前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である物品搬送設備。」に訂正する。請求項6を直接又は間接的に引用する請求項7、8、12についても同様に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項12に、
「前記走行台車に、昇降案内マストが1本のみ立設され、
前記第1マスト及び前記第2マストが、共通の前記昇降案内マストにより構成され、
前記第1昇降体と前記第2昇降体とが、前記昇降案内マストを挟んで前記棚横幅方向の両側に配置されている請求項1?11のいずれか1項に記載の物品搬送設備。」
と記載されているものを、
「前記走行台車に、昇降案内マストが1本のみ立設され、
前記第1マスト及び前記第2マストが、共通の前記昇降案内マストにより構成され、
前記第1昇降体と前記第2昇降体とが、前記昇降案内マストを挟んで前記棚横幅方向の両側に配置されている請求項2?4、6?11のいずれか1項に記載の物品搬送設備。」
に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項13に、
「前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する請求項1?12の何れか1項に記載の物品搬送設備。」
と記載されているものを、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、
「複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する物品搬送設備。」に訂正する。請求項13を直接又は間接的に引用する請求項14、15、17についても同様に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4に、
「前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する請求項1?3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。」
と記載されているものを、
「前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する前記制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する請求項1に記載の物品搬送設備。」と記載して新たに請求項18とする。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項6に、
「前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動範囲で移動させ、
前記選択部は、前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択し、
前記スライド移動範囲における前記棚横幅方向の一対の端部のうち、前記第1移動制御の実行の開始直前に前記第2移載装置が位置する端部を主端部として、当該主端部に前記第2移載装置が位置している状態を主状態とし、当該主端部とは反対側の端部を副端部として、当該副端部に前記第2移載装置が位置している状態を副状態とし、
前記第1移動制御は、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができるときは、前記主状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができないときは、前記副状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2スライド装置を作動させ且つ前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、請求項4又は5記載の物品搬送設備。」
と記載されているのを、請求項4を引用するものについて、
「前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動範囲で移動させ、
前記選択部は、前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択し、
前記スライド移動範囲における前記棚横幅方向の一対の端部のうち、前記第1移動制御の実行の開始直前に前記第2移載装置が位置する端部を主端部として、当該主端部に前記第2移載装置が位置している状態を主状態とし、当該主端部とは反対側の端部を副端部として、当該副端部に前記第2移載装置が位置している状態を副状態とし、
前記第1移動制御は、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができるときは、前記主状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができないときは、前記副状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2スライド装置を作動させ且つ前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、請求項4記載の物品搬送設備。」と記載して新たに請求項19とする。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項12に、
「前記走行台車に、昇降案内マストが1本のみ立設され、
前記第1マスト及び前記第2マストが、共通の前記昇降案内マストにより構成され、
前記第1昇降体と前記第2昇降体とが、前記昇降案内マストを挟んで前記棚横幅方向の両側に配置されている請求項1?11のいずれか1項に記載の物品搬送設備。」
と記載されているものを、
「前記走行台車に、昇降案内マストが1本のみ立設され、
前記第1マスト及び前記第2マストが、共通の前記昇降案内マストにより構成され、
前記第1昇降体と前記第2昇降体とが、前記昇降案内マストを挟んで前記棚横幅方向の両側に配置されている請求項1又は5に記載の物品搬送設備。」と記載して新たに請求項20とする。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項13に、
「前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する請求項1?12の何れか1項に記載の物品搬送設備。」
と記載されているものを、請求項5を引用するものについて独立形式に改め、
「複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する前記制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する物品搬送設備。」と記載して新たに請求項21とする。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項13に
「前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する請求項1?12の何れか1項に記載の物品搬送設備。」
と記載されているのを、請求項2?4、6?12を引用するものについて、
「前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する請求項2?4、6?12の何れか1項に記載の物品搬送設備。」と記載して新たに請求項22とする。

2 訂正の要件
(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1における「第1スライド装置」の構成を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1による第1スライド装置の構成の限定は、明細書の段落【0008】、【0118】、【0123】、【0125】及び【図9】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
さらに、訂正事項1は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そして、訂正事項1は特許異議の申立てがされている訂正前の請求項1に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1の記載を引用していたものを、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項に改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項2により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる事項を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1?3のいずれか1項の記載を引用していたものを、請求項2又は3の記載を引用するものとして引用する請求項の数を減少させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、訂正事項3により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項3は特許異議の申立てがされている訂正前の請求項4及び12に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、請求項5における「第1スライド装置」の構成を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3による第1スライド装置の構成の限定は、明細書の段落【0008】、【0118】、【0123】、【0125】及び【図9】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
さらに、訂正事項4は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そして、訂正事項3は特許異議の申立てがされている訂正前の請求項5に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(5)訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項4又は5の記載を引用していたものを、請求項5の記載を引用するものとして引用する請求項の数を減少させるものであって、かつ、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項に改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるとともに、同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項5により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件について検討を行う。訂正後の請求項6に係る「第2スライド装置」を備える点が特定された発明には拒絶の理由を発見できず、また、請求項の記載全体をみても拒絶の理由を発見しないものであるから、独立して特許を受けることができるものである。

(6)訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項12が訂正前の請求項1?11のいずれか1項の記載を引用していたものを、請求項2?4、6?11のいずれか1項の記載を引用するものとして引用する請求項の数を減少させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、訂正事項6により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項6は特許異議の申立てがされている訂正前の請求項12に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(7)訂正事項7
訂正事項7は、訂正前の請求項13が訂正前の請求項1?12のいずれか1項の記載を引用していたものを、請求項1の記載を引用するものとして、引用する請求項の数を減少させるものであって、かつ、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項に改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるとともに、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項7により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件について検討を行う。訂正後の請求項13に係る「第3移動制御」を備える点が特定された発明には拒絶の理由を発見できず、また請求項の記載全体をみても拒絶の理由を発見しないものであるから、独立して特許を受けることができるものである。

(8)訂正事項8
訂正事項8は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項1?3のいずれか1項の記載を引用していたものを、請求項1の記載を引用するものとして引用する請求項の数を減少させ、新たに請求項18とするものであって、かつ、請求項間の記載の整合を取って「前記」の記載を追加する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。
また、訂正事項8により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項8は特許異議の申立てがされている訂正前の請求項4に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(9)訂正事項9
訂正事項9は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項4又は5の記載を引用していたものを、請求項4の記載を引用するものとして引用する請求項の数を減少させるものであって、新たに請求項19とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、訂正事項9により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とする訂正であるから特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件について検討を行う。訂正後の請求項19に係る「第2スライド装置」を備える点が特定された発明には拒絶の理由を発見できず、また、請求項の記載全体をみても拒絶の理由を発見しないものであるから、独立して特許を受けることができるものである。

(10)訂正事項10
訂正事項10は、訂正前の請求項12が訂正前の請求項1?11のいずれか1項の記載を引用していたものを、請求項1又は5の記載を引用するものとして引用する請求項の数を減少させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、訂正事項10により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項10は特許異議の申立てがされている訂正前の請求項12に係るものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(11)訂正事項11
訂正事項11は、訂正前の請求項13が訂正前の請求項1?12のいずれか1項の記載を引用していたものを、請求項5の記載を引用するものとして引用する請求項の数を減少させるものであって、かつ、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項に改めて請求項21とするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるとともに、同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
また、訂正事項11により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件について検討を行う。訂正後の請求項21に係る「第3移動制御」を備える点が特定された発明には拒絶の理由を発見できず、また、請求項の記載全体をみても拒絶の理由を発見しないものであるから、独立して特許を受けることができるものである。

(12)訂正事項12
訂正事項12は、訂正前の請求項13が訂正前の請求項1?12の何れか1項の記載を引用していたものを、請求項2?4、6?12の何れか1項の記載を引用するものとして引用する請求項の数を減少させるものであって、新たに請求項22とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
また、訂正事項12により、訂正前の特許請求の範囲に含まれないとされていた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることになる、という事情は認められない。
したがって、訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とする訂正であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件について検討を行う。訂正後の請求項21に係る「第3移動制御」を備える点が特定された発明には拒絶の理由を発見できず、また、請求項の記載全体をみても拒絶の理由を発見しないものであるから、独立して特許を受けることができるものである。

3 一群の請求項
(1)本件訂正に係る一群の請求項について
訂正前の請求項2、4、6?9、11?15、17は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用するものであって、請求項1の訂正に伴って訂正されるものである。また、訂正前の請求項6?8、12?15、17は、請求項5の記載を直接又は間接的に引用するものであって、請求項5の訂正に伴って訂正されるものである。これらは共通の請求項を有しているから、訂正前の請求項1、2、4?9、11?15、17に対応する訂正後の請求項1、2、4?9、11?15、17?22は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項を構成する。

(2)別の訂正単位とする求めについて
特許権者は、訂正請求書の第22ページ第3行ないし第9行において、以下のとおり、別の訂正単位とする求めを記載をしている。
「ウ 別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項2、6及び請求項2、6の少なくとも一方を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項4、7?9、11、12、19、22と、訂正後の請求項13及び請求項13を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項14、15、17と、訂正後の請求項21については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。」
当該記載中の「一群の請求項の他の請求項」とは、一群の請求項を構成する訂正後の請求項1、2、4?9、11?15、17?22のうち、別の訂正単位とする求めがされた2、4、6?9、11?15、17、19、21、22を除いた請求項1、5、18、20を指すものである。
そうすると、訂正後の訂正単位は、〔1、5、18、20〕、〔2、4、6?9、11、12、19、22〕、〔13?15、17〕、21となるが、これら訂正単位は、各請求項に対する訂正が、他の訂正単位の請求項に対して影響を及ぼすものではないから、それぞれ別の訂正単位と認める。
したがって、訂正後の請求項における訂正単位は、〔1、5、18、20〕、〔2、4、6?9、11、12、19、22〕、〔13?15、17〕、21のとおりのものと認める。

4 小括
上記2のとおり、訂正事項1?12に係る訂正は、訂正の要件を満たしている。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、5、18、20〕、〔2、4、6?9、11、12、19、22〕、〔13?15、17〕、21について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1?22に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明22」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記第1スライド装置の作動を制御する制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され、
前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する物品搬送設備。
【請求項2】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させる物品搬送設備。
【請求項3】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ 前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置と、前記第2昇降体に支持された第2スライド装置と、を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲及び前記第2スライド装置による前記第2移載装置の移動範囲が、これらの移動範囲の合計が前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満となるように設定されている物品搬送設備。
【請求項4】
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する請求項2又は3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記第1スライド装置の作動を制御する前記制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され、
前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する物品搬送設備。
【請求項6】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動範囲で移動させ、
前記選択部は、前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択し、
前記スライド移動範囲における前記棚横幅方向の一対の端部のうち、前記第1移動制御の実行の開始直前に前記第2移載装置が位置する端部を主端部として、当該主端部に前記第2移載装置が位置している状態を主状態とし、当該主端部とは反対側の端部を副端部として、当該副端部に前記第2移載装置が位置している状態を副状態とし、
前記第1移動制御は、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができるときは、前記主状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができないときは、前記副状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2スライド装置を作動させ且つ前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である物品搬送設備。
【請求項7】
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記第1移載装置は、前記棚横幅方向に並ぶ一対の第1フォーク装置を備え、
前記一対の第1フォーク装置は、第1駆動装置にて前記棚前後方向に出退移動し且つ前記第1スライド装置にて前記棚横幅方向に各別に移動するように構成され、
前記第2移載装置は、前記棚横幅方向に並ぶ一対の第2フォーク装置を備え、
前記一対の第2フォーク装置は、前記棚前後方向に出退移動し且つ前記第2スライド装置にて前記棚横幅方向に各別に移動するように構成され、
前記第2移載装置における前記一対の第2フォーク装置のうち、前記副端部に対して前記主端部が位置する側の第2フォーク装置が前記主端部に位置する状態を、前記主状態とし、
前記第2移載装置における前記一対の第2フォーク装置のうち、前記主端部に対して前記副端部が位置する側の第2フォーク装置が前記副端部に位置する状態を、前記副状態としている請求項6記載の物品搬送設備。
【請求項8】
物品として、棚横幅方向の大きさが異なる複数種類の物品があり、
前記収納部として、棚横幅方向の大きさが異なる複数種類の収納部があり、
前記選択部は、前記第1移載装置から前記第1対象収納部に物品を移載するときは、当該物品の種類に対応した大きさの収納部を前記第1対象収納部として選択し、前記第2移載装置から前記第2対象収納部に物品を移載するときは、当該物品の種類に対応した大きさの収納部を前記第2対象収納部として選択するように構成され、
前記物品収納棚における収納部を管理する制御部は、前記第1移載装置から前記第1対象収納部に物品を移載する場合又は前記第2移載装置から前記第2対象収納部に物品を移載する場合に、前記物品収納棚における前記収納部が形成されていない空き領域に、移載する物品の種類に応じた大きさの収納部を設定し、且つ、前記第1対象収納部から前記第1移載装置に物品を移載する場合又は前記第2対象収納部から前記第2移載装置に物品を移載する場合に、当該物品が収納されていた前記収納部を前記空き領域に設定する請求項7記載の物品搬送設備。
【請求項9】
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記棚横幅方向で前記第1対象収納部と前記第2対象収納部との間に設定されている目標走行停止位置に前記走行台車が位置するように、前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記第2スライド装置を動作させる制御である、第2移動制御を実行する請求項2又は3に記載の物品搬送設備。
【請求項10】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置と、前記第2昇降体に支持された第2スライド装置と、を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記棚横幅方向で前記第1対象収納部と前記第2対象収納部との間に設定されている目標走行停止位置に前記走行台車が位置するように、前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記第2スライド装置を動作させる制御である、第2移動制御を実行する物品搬送設備。
【請求項11】
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲の中央に前記第1移載装置の基準停止位置が設定され、
前記第2スライド装置による前記第2移載装置の移動範囲の中央に前記第2移載装置の基準停止位置が設定され、
前記第1移載装置の前記基準停止位置と前記第2移載装置の前記基準停止位置との前記棚横幅方向での中央位置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部との前記棚横幅方向での中央位置となる位置に、前記目標走行停止位置が設定されている請求項9又は10記載の物品搬送設備。
【請求項12】
前記走行台車に、昇降案内マストが1本のみ立設され、
前記第1マスト及び前記第2マストが、共通の前記昇降案内マストにより構成され、
前記第1昇降体と前記第2昇降体とが、前記昇降案内マストを挟んで前記棚横幅方向の両側に配置されている請求項2?4、6?11のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項13】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する物品搬送設備。
【請求項14】
前記制御装置は、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置する状態で、第1移載制御と第2移載制御との双方を同時に行う同時移載制御を実行し、
前記第1移載制御として、前記第1移載装置を制御して前記第1移載装置から前記第1対象収納部に1個又は2個の物品を移載する第1収納移載制御と、前記第1移載装置を制御して前記第1対象収納部から前記第1移載装置に1個又は2個の物品を移載する第1取出移載制御と、があり、
前記第2移載制御として、前記第2移載装置を制御して前記第2移載装置から前記第2対象収納部に1個又は2個の物品を移載する第2収納移載制御と、前記第2移載装置を制御して前記第2対象収納部から前記第2移載装置に1個又は2個の物品を移載する第2取出移載制御と、がある請求項13に記載の物品搬送設備。
【請求項15】
前記物品収納棚が、前記スタッカークレーンの移動経路を間に挟むとともに前面同士が対向する状態で一対備えられ、
前記制御装置は、第1の前記同時移載制御、前記第3移動制御、第2の前記同時移載制御の順に実行する場合において、第1の前記同時移載制御で前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行した場合は、第2の前記同時移載制御では、前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行し、第1の前記同時移載制御で前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行した場合は、第2の前記同時移載制御では、前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行し、
第1の前記同時移載制御において実行する前記第1取出移載制御及び前記第2取出移載制御では、移載対象の前記収納部に収納されている2つの物品のうちの奥側の物品が出庫対象の物品であり且つ手前側の物品が出庫対象ではない物品である場合に、出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品を、前記一対の物品収納棚のうちの一方の前記物品収納棚の収納部から前記第1移載装置又は前記第2移載装置に移載し、
第2の前記同時移載制御において実行する前記第1収納移載制御及び前記第2収納移載制御では、前記第1移載装置又は前記第2移載装置に出庫対象の物品と出庫対象ではない物品とが支持されている場合に、これら出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品のうちの出庫対象ではない物品のみを、前記第1移載装置又は前記第2移載装置から前記一対の物品収納棚のうちの他方の前記物品収納棚の前記収納部に移載する請求項14に記載の物品搬送設備。
【請求項16】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行し、
前記制御装置は、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置する状態で、第1移載制御と第2移載制御との双方を同時に行う同時移載制御を実行し、
前記第1移載制御として、前記第1移載装置を制御して前記第1移載装置から前記第1対象収納部に1個又は2個の物品を移載する第1収納移載制御と、前記第1移載装置を制御して前記第1対象収納部から前記第1移載装置に1個又は2個の物品を移載する第1取出移載制御と、があり、
前記第2移載制御として、前記第2移載装置を制御して前記第2移載装置から前記第2対象収納部に1個又は2個の物品を移載する第2収納移載制御と、前記第2移載装置を制御して前記第2対象収納部から前記第2移載装置に1個又は2個の物品を移載する第2取出移載制御と、があり、
前記物品収納棚が、前記スタッカークレーンの移動経路を間に挟むとともに前面同士が対向する状態で一対備えられ、
前記制御装置は、第1の前記同時移載制御、前記第3移動制御、第2の前記同時移載制御の順に実行する場合において、第1の前記同時移載制御で前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行した場合は、第2の前記同時移載制御では、前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行し、第1の前記同時移載制御で前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行した場合は、第2の前記同時移載制御では、前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行し、
第1の前記同時移載制御において実行する前記第1取出移載制御及び前記第2取出移載制御では、移載対象の前記収納部に収納されている2つの物品のうちの奥側の物品が出庫対象の物品であり且つ手前側の物品が出庫対象ではない物品である場合に、出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品を、前記一対の物品収納棚のうちの一方の前記物品収納棚の収納部から前記第1移載装置又は前記第2移載装置に移載し、
第2の前記同時移載制御において実行する前記第1収納移載制御及び前記第2収納移載制御では、前記第1移載装置又は前記第2移載装置に出庫対象の物品と出庫対象ではない物品とが支持されている場合に、これら出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品のうちの出庫対象ではない物品のみを、前記第1移載装置又は前記第2移載装置から前記一対の物品収納棚のうちの他方の前記物品収納棚の前記収納部に移載する物品搬送設備。
【請求項17】
前記制御装置は、第2の前記同時移載制御、前記第3移動制御、第3の前記同時移載制御の順に実行する場合において、第2の前記同時移載制御で前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行した場合は、第3の前記同時移載制御では、前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行し、第2の前記同時移載制御で前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行した場合は、第3の前記同時移載制御では、前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行し、
第2の前記同時移載制御において実行する前記第1取出移載制御及び前記第2取出移載制御では、移載対象の前記収納部に収納されている2つの物品のうちの奥側の物品が出庫対象の物品であり且つ手前側の物品が出庫対象ではない物品である場合に、出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品を、前記一対の物品収納棚のうちの一方の前記物品収納棚の収納部から前記第1移載装置又は前記第2移載装置に移載し、
第3の前記同時移載制御において実行する前記第1収納移載制御及び前記第2収納移載制御では、前記第1移載装置又は前記第2移載装置に出庫対象の物品と出庫対象ではない物品とが支持されている場合に、これら出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品のうちの出庫対象ではない物品のみを、前記第1移載装置又は前記第2移載装置から前記一対の物品収納棚のうちの他方の前記物品収納棚の前記収納部に移載する請求項15又は16に記載の物品搬送設備。
【請求項18】
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する前記制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項19】
前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動範囲で移動させ、
前記選択部は、前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択し、
前記スライド移動範囲における前記棚横幅方向の一対の端部のうち、前記第1移動制御の実行の開始直前に前記第2移載装置が位置する端部を主端部として、当該主端部に前記第2移載装置が位置している状態を主状態とし、当該主端部とは反対側の端部を副端部として、当該副端部に前記第2移載装置が位置している状態を副状態とし、
前記第1移動制御は、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができるときは、前記主状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができないときは、前記副状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2スライド装置を作動させ且つ前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、請求項4記載の物品搬送設備。
【請求項20】
前記走行台車に、昇降案内マストが1本のみ立設され、
前記第1マスト及び前記第2マストが、共通の前記昇降案内マストにより構成され、
前記第1昇降体と前記第2昇降体とが、前記昇降案内マストを挟んで前記棚横幅方向の両側に配置されている請求項1又は5に記載の物品搬送設備。
【請求項21】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する物品搬送設備。
【請求項22】
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する請求項2?4、6?12の何れか1項に記載の物品搬送設備。」

第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
令和2年11月6日付け訂正請求書(1)に記載された特許請求の範囲の請求項1、4、5、12に係る特許に対して、当審が令和3年3月12日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(進歩性)請求項1、4、5に係る発明は、引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に記載された技術的事項に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、4、5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。また、請求項12に係る発明は、引用文献1に記載された発明並びに引用文献2、3、4及び5に記載された技術的事項に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項12に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

<引用文献等一覧>
1.特開2005-104675号公報
2.特公昭54-24194号公報
3.特開平7-25413号公報
4.欧州特許出願公開第2345605号明細書
5.特開2002-114318号公報

なお、引用文献1?5は、特許異議申立書における甲第1?3、5及び6号証である。

第5 当審の判断
1 引用文献1に記載された技術的事項及び発明
(1)引用文献1の記載
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。
「【0003】
また、上記のような構成の自動倉庫において、通常荷収納棚の棚連は、施工上傾くことは避けられず、上下方向の荷収容部の位置にスタッカークレーンの走行方向において差異が生じるという問題がある。それに対処するため荷収納部の定位置はある程度大きく作られ、キャリッジが荷収納部の中心に止まるには、その定位置に入った後のパルス数をカウントしてスタッカークレーンを停止している。」
「【0005】
また、スタッカークレーンの走行停止位置はパルスにて検出されているが、上記のように荷収納棚の棚連が傾き荷収容部位置にスタッカークレーンの走行方向において差異が生じた場合、棚連の最下段の荷収納部と最上段の荷収納部では走行停止位置が異なり、その差が許容値範囲内であれば良いが、許容値範囲を越えた場合、キャリッジのフォークの出し入れができないようにインターロックをかけ、荷収納部の位置が許容値範囲内になるようにスタッカークレーンを走行させていた。その分荷入出庫のサイクルタイムが長くなるという問題があった。」
「【0016】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1乃至図3は本発明に係る自動倉庫の構成を示す図で、図1は荷収納棚の外観構成を示す図、図2はスタッカークレーンの側面構成を示す図、図3は自動倉庫の平面構成を示す図、図4は自動倉庫の制御系のシステム構成を示す図である。荷収納棚10は、図示するように、上下方向に複数段(m段)の荷収納部11を有する棚連12を水平方向に複数連(n連)配置した構成のものである。この荷収納棚10を2基(荷収納棚10-1、荷収納棚10-2)所定の間隔、即ち、スタッカークレーン20が走行可能な間隔を設けて平行に配置している。なお、荷収納棚10-1、10-2に隣接して入庫ステーション41、出庫ステーション42が配置されている。
【0017】
スタッカークレーン20は荷収納棚10-1と荷収納棚10-2の間を走行できるようになっており、走行方向の前後に第1のキャリッジ21及び第2のキャリッジ22がそれぞれ独立して昇降できるように配置されている。各キャリッジ21、22は荷Mを出し入れするためのフォーク23、24を具備している。スタッカークレーン20は制御手段30により、走行、第1及び第2のキャリッジ21、22の昇降、及びそのフォーク23、24の出し入れ等が制御されるようになっている。制御手段30は荷収納棚10-1、10-2の荷Mが収納されていない空の荷収納部11を検出する空荷収納部検索手段31を具備し、更に荷収納棚10-1、10-2の各荷収納部11の荷のデータを格納した在庫データ記憶部32と、第1のキャリッジ21のフォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して第2のキャリッジ22のフォーク24がアクセスしようとする荷収納部11の走行方向位置をパルス数の絶対値で検索する荷収納部位置検索手段33と、各荷収納部11のスタッカークレーン20の走行方向位置を実測して得た荷収納部位置データを格納した荷収納部位置データ記憶部34を具備する。」
「【0030】
上述したように、通常荷収納棚10の棚連12は、施工上スタッカークレーンの走行方向に傾くことは避けられず、棚連12上下方向の荷収容部位置はスタッカークレーンの走行方向において差異が生じている。それに対処するため荷収納部の定位置はある程度大きく作られている。キャリッジのフォークが荷収納部の中心に止まるには、その定位置に入った後のパルス数をカウントし、スタッカークレーンを停止する。図11に示すように荷収納棚10の棚連12がスタッカークレーン20の走行方向に傾いている場合、第1のキャリッジ21のフォーク23を基準としてスタッカークレーン20を停止すると、第2のキャリッジ22のフォーク24がアクセスしようとする段の荷収納部位置のカウント数が許容値範囲を越える場合がある。
【0031】
図4の荷収納部位置データ記憶部34には、上記のように荷収納棚10の各荷収納部11のスタッカークレーン20の走行方向の位置を予め実測して得た荷収納部位置データを格納している。荷収納部位置検索手段33は荷収納部位置データ記憶部34を検索して第1のキャリッジ21のフォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して、第2のキャリッジ22のフォーク24がアクセスする荷収納部のパルス数を検索する。制御手段30はパルス数の絶対値が許容値範囲内であれば、第1のキャリッジ21のフォーク23と第2のキャリッジ22のフォーク24を同時に出すように制御する。パルス数の絶対値が許容値範囲を越えれば、第1のキャリッジ21のフォーク23で荷Mを荷収納部11に収納した後、フォーク23を引き込んだ後、第2のキャリッジ22のフォーク24が絶対値が許容値範囲内になるようにスタッカークレーンを走行制御してサイクルタイムを短縮している。
【0032】
荷収納部位置データ記憶部34には荷収納棚10の棚連12ごとに、図12に示すように走行ストライカ(長さLmm)35の端部から1段目荷収納部、2段目荷収納部、3段目荷収納部・・・・最上m段目荷収納部のセンターS1、S2、S3・・・・までの距離をパルス数a、b、c・・・・zで予め実測して格納している。制御手段30は荷収納部位置検索手段33で各荷収納部のパルス数a、b、c・・・・zを検索し、その値が許容値範囲内か許容値範囲外かで下記のように制御を行う。以下、第1のキャリッジ21のフォーク23を第1フォーク、第2のキャリッジ22のフォーク24を第2フォークとして説明する。
【0033】
第1フォーク23がアクセス(入庫)する荷収納部11(1段目の荷収納部)の走行定位置にあって、第2フォーク24がアクセスしようとする荷収納部11(2段目の荷収納部)の位置のパルス数(連ピッチP+センターからのズレX)が許容値範囲内にある場合のアクセス(入庫)動作を図13に基づいて説明する。スタッカークレーン20が走行ストライカ35(図12参照)を検出した後、aパルスカウントして図13(a)に示すように目的位置に停止する。これにより第1のキャリッジ21は第1フォーク23がアクセスできる位置にあるのでそのまま位置を保持、第2のキャリッジ22は第2フォーク24がアクセスする2段目の荷収納部11まで上昇する。この状態で図13(b)に示すように、第1フォーク23と第2フォーク24を同時に出し、荷M、Mを1段目の荷収納部11と2段目の荷収納部11に挿入する。続いて図13(c)に示すように、第1フォーク23と第2フォーク24を同時に降下させ、荷M、Mを各荷収納部11、11に収納し、続いて図13(d)に示すように、第1フォーク23と第2フォーク24を同時に引き込める。
【0034】
次に、第1フォーク23がアクセスする荷収納部11(1段目の荷収納部)の走行定位置にあって、第2フォーク24が入庫しようとする荷収納部11(m段目の荷収納部)の位置のパルス数(連ピッチP+センターからのズレY)が許容値範囲外にある場合の入庫動作を図14及び図15に基づいて説明する。先ず図14(a)に示すように、スタッカークレーン20が走行ストライカ35を検出した後、aパルスカウントして目的位置に停止する。これにより第1のキャリッジ21は第1フォーク23がアクセスする位置にあるのでそのまま位置を保持、第2のキャリッジ22は第2フォーク24がアクセスするm段目の荷収納部11まで上昇する。この状態で図14(b)に示すように、第1フォーク23を出し、第2フォーク24を待機状態とする。続いて図14(c)に示すように第1フォーク23をフォーク下レベルまで降下させ、荷Mを1段目の荷収納部11に収納(載置)した後(この状態でフォーク23は荷収納部11内でスタッカークレーン20が走行方向に移動できる)、図14(d)に示すように、スタッカークレーン20をYパルス分走行移動させ第2フォーク24の位置を許容値範囲内とする。」
「【図2】


「【図11】



(2)引用文献1に記載された技術的事項
ア 引用文献1には、自動倉庫において、通常荷収納棚の棚連は、施工上傾くことは避けられず、棚連の最下段と最上段の荷収容部の位置にスタッカークレーンの走行方向において差異が生じるという課題があり、さらにこのような差が許容値範囲を超えた場合、荷収納部の位置が許容値範囲内になるようにスタッカークレーンを走行させており、その分荷入出庫のサイクルタイムが長くなるという課題があることが記載されている(段落【0003】、【0005】、【0030】及び図11)。

イ 引用文献1には、上下方向に複数段の荷収納部11を有する棚連12を水平方向に複数連配置した構成の荷収納棚10を2基所定の間隔で平行に配置し、2基の荷収納棚10の間を走行し走行方向前後に配置され互いに独立して昇降し且つ荷収納棚10の荷収納部11に荷Mを出し入れする第1フォーク23を有する第1のキャリッジ21及び第2フォーク24を有する第2のキャリッジ22を具備するスタッカークレーン20を配置し、制御手段30でスタッカークレーン20の走行、第1のキャリッジ21及び第2のキャリッジ22の昇降、及びそのフォーク23、24の出し入れ等の制御を行うように構成された自動倉庫が記載されている(段落【0016】、【0017】及び図1?4)。

ウ 引用文献1には、スタッカークレーン20が、棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、走行台車に立設された第1マストと、第1マストと同じ走行台車に立設された第2マストと、第1マストに沿って案内される第2のキャリッジ22と、第2のキャリッジ22とは独立して昇降自在に第2マストに沿って案内され且つ第2のキャリッジ22と平面視で棚横幅方向に並ぶ第1のキャリッジ21と、を備えていることが記載されている(【図2】)。

エ 引用文献1には、スタッカークレーン20の走行、第1及び第2のキャリッジ21、22の昇降及びそのフォーク23、24の出し入れを制御する制御手段30が、第1のキャリッジ21の第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して、第2のキャリッジ22の第2フォーク24がアクセスする荷収納部11のパルス数の絶対値が許容値範囲内である場合には、第1フォーク23と第2フォーク24を同時に出すように制御し、パルス数の絶対値が許容値範囲外である場合には、第1フォーク23で荷収納部11との間で荷Mを移載した後、第2フォーク24が絶対値が許容値範囲内になるようにスタッカークレーン20の走行台車を走行制御することが記載されている(段落【0017】、【0030】?【0034】及び【図11】?【図14】)。
上記において、パルス数の絶対値が許容値範囲内である場合とは、例えば、第1フォーク23がアクセスする荷収納部11が1段目であるのに対し、第2フォーク24がアクセスする荷収納部11が2段目であり、互いの収納段が近いことにより、センターからのズレXが小さい場合を意味している(段落【0033】及び【図13】)。これに対し、パルス数の絶対値が許容値範囲外である場合とは、例えば第1フォーク23がアクセスする荷収納部11が1段目であるのに対し、第2フォーク24がアクセスする荷収納部11がm段目(【図14】には、4段目の場合が記載されている。)であり、互いの収納段が遠いことにより、センターからのズレYが大きい場合を意味している(段落【0034】及び【図14】)。
すなわち、引用文献1には、第1フォーク23がアクセスする荷収納部11に対して、第2フォーク24がアクセスする荷収納部11の収納段が近い場合にはスタッカークレーン20を移動させず、遠い場合には第2フォーク24がアクセス可能となるようにスタッカークレーン20の走行台車を走行制御させることが記載されているといえる。

(3)引用文献1に記載された発明
上記(2)の記載を総合して整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「複数の荷収納部11が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された荷収納棚10と、
荷収納棚10の前方を棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーン20と、を備えている自動倉庫であって、
スタッカークレーン20が、
棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
走行台車に立設された第1マストと、
第1マストと同じ走行台車に立設された第2マストと、
第1マストに沿って案内される第2のキャリッジ22と、
第2のキャリッジ22とは独立して昇降自在に第2マストに沿って案内され且つ第2のキャリッジ22と平面視で棚横幅方向に並ぶ第1のキャリッジ21と、
第2のキャリッジ22に支持されて荷収納部11と自己との間で荷Mを移載する第2フォーク24と、
第1のキャリッジ21に支持されて荷収納部11と自己との間で荷Mを移載する第1フォーク23と、
複数の荷収納部11の中から、第1フォーク23がアクセスする荷収納部11と、第2フォーク24がアクセスする荷収納部11を選択する選択部と、
スタッカークレーン20の走行、第1及び第2のキャリッジ21、22の昇降及びそのフォーク23、24の出し入れを制御する制御手段30が、第1のキャリッジ21の第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して、第2のキャリッジ22の第2フォーク24がアクセスする荷収納部11のパルス数の絶対値が許容値範囲内である近い段の場合には、第1フォーク23と第2フォーク24を同時に出すように制御し、パルス数の絶対値が許容値範囲外である遠い段の場合には、第1フォーク23で荷収納部11との間で荷Mを移載した後、第2フォーク24が絶対値が許容値範囲内になるようにスタッカークレーン20の走行台車を走行制御する自動倉庫。」

2 引用文献2に記載された技術的事項
(1)引用文献2の記載
ア 第1欄第26行?第35行
「このような荷取扱い装置において、もし前記収納棚が該荷取扱い装置の進行方向と平行な方向に傾斜しておれば、荷取扱い装置が1つの上下方向収納空間列の上端または下端で位置決めされて停止しても、その位置決め位置から上下方向に離れた収納空間に荷台を対応させたとき、この荷台の位置に対して対応収納空間が横方向にずれてしまうのである。この結果、その収納空間に対する荷の出し入れが不可能になつたり、安全な荷の出し入れが行なえなくなるのである。」
イ 第2欄第15行?第29行
「4は本発明荷取扱い装置であって、前記収納棚1にそつて架設されている天井レール5に吊り下げられた前後一対のフレーム6に昇降自在に保持されている荷台7をもつている。この荷台7は第2図、第3図で示すように、前記収納空間2に対して出退自在な状態で昇降枠17の上に載置した可動枠27に保持されている。またこの可動枠27は、前記昇降枠17に設けたレール28を介して、該昇降枠17に対して前記収納棚1にそつて移動可能に構成してあり、かつ、その移動を行なわせる駆動装置の一例であるシリンダ装置26が、該可動枠27と前記昇降枠17との間に介在してある。」
ウ 第3欄第36行?第4欄第1行
「荷搬入時には、荷受台9に置かれた荷Aが荷台7上に移された後、荷取扱い装置4は指示された箇所にある上下方向収納空間列に向つて走行し、その収納空間列に至つて、第2図に示すように位置決め片10を感知片13が感知すれば、荷取扱い装置4がその場所で停止する。一方荷台7は、荷取扱い装置4の走行中または停止中もしくはその両時期にわたつて、指示された高さの収納空間2に対応する高さにまでフレーム6にそつて上昇する。」
エ 第4欄第13行?第33行
「もし、収納棚1が傾斜していて縦柱14とフレーム6とが平行でない状態で、荷台7の横方向位置修正を行なわずに荷を収納空間2に搬入させると第2図仮想線A’に示すように左右の荷受用棧3に荷が不均等に乗る事になつて極めて危険であるが、このようなときに光源19から発する光線はたとえば光線吸収塗色面16にのみ当つて反射する為、偏差検出装置23から逆方向出力25が生じてシリンダ装置26が作動し、荷台7を第3図中Lで示す矢印方向に移動させる事になる。そして前記光線と境界線との間の位置ずれ量だけ荷台7が移動すると、既に述べたところから明らかなように偏差検出装置23から出力がなくなる為、シリンダ装置26が停止し、その位置で荷台7が停止する(第2図参照)。この状態で荷Aの搬入を行なう事により、荷は左右の荷受用棧3に均等に乗せられる事になるのである。収納棚1が逆方向に傾斜しておれば、上記機構により可動枠27は、第3図中Rで示す方向に、荷台7と対向する収納空間2とのずれ量だけ自動的に移動せしめられるのである。」
オ 第2図




(2)引用文献2に記載された技術的事項
ア 引用文献2には、荷取扱い装置において、もし収納棚が荷取扱い装置の進行方向と平行な方向に傾斜しておれば、荷取扱い装置が1つの上下方向収納空間列の上端または下端で位置決めされて停止しても、その位置決め位置から上下方向に離れた収納空間に荷台を対応させたとき、この荷台の位置に対して対応収納空間が横方向にずれてしまう結果、その収納空間に対する荷の出し入れが不可能になったり、安全な荷の出し入れが行なえなくなるという課題があることが記載されている(第1欄第26行?第35行)。

イ 引用文献2には、収納棚1に沿って架設されている天井レール5に吊り下げられた前後一対のフレーム6に昇降自在に保持されている荷台7を有し、荷台7は、収納空間2に対して荷の出し入れを行なえるように、収納空間2に対して出退自在な状態で昇降枠17の上に載置した可動枠27に保持されており、可動枠27は、昇降枠17に設けたレール28を介して、昇降枠17に対して収納棚1に沿って移動可能に構成してある荷取扱い装置4が記載されている(第2欄第15行?第29行及び第1図?第3図)。

ウ 引用文献2には、荷取扱い装置4の走行中または停止中もしくはその両時期にわたって、荷台7をフレーム6にそって上昇させることが記載されている(第3欄第36行?第4欄第1行)。

エ 引用文献2には、収納棚1が傾斜していて縦柱14とフレーム6とが平行でない状態で、荷台7の横方向位置修正を行なわずに荷を収納空間2に搬入させると第2図仮想線A’に示すように左右の荷受用棧3に荷が不均等に乗る事になって極めて危険であるが、このようなときにフレーム6を移動させて荷台7の横方向位置を修正するのではなく、シリンダ装置26を作動させ、荷台7と対向する収納空間2とのずれ量だけ荷台7を移動させた状態で荷Aの搬入を行なう事により、荷Aは左右の荷受用棧3に均等に乗せられる事になることが記載されている(第4欄第13?33行)。

オ 引用文献2には、可動枠27による荷台7の移動範囲は、収納棚1の横幅方向に隣接する一対の収納空間2の離間距離未満となっていることが記載されている。(第2図)。

3 引用文献3に記載された技術的事項
(1)引用文献3の記載
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は自動倉庫のスタッカークレーンに関する。」
「【0003】
【発明の目的】前記従来の自動倉庫において、昇降台に例えば2つの物品移載装置を左右に並べて設置すれば、左右に並ぶ物品移載装置を使用して、物品収納棚への物品の収納・取り出しを効率よく行なうことが出来る。しかし、前記ラック装置は、構造支柱と、その構造支柱より断面形状が小さい(左右幅が小さい)棚用支柱が左右方向に並ぶものであったため、構造支柱を挾んだ左右の物品収納棚の左右方向中心間の長さと、棚用支柱を挾んだ左右の物品収納棚の左右方向中心間の長さとが相違するため、物品移載装置の左右方向中心の間隔を前記のいずれの長さに合わせたとしても、他方の長さには合わないため、合わせていない方の2つの物品収納棚への物品の収納・取り出しの際、一方の物品収納棚への物品の収納・取り出しを行なった後、重量のあるスタッカークレーンを左右に移動させて、他方の物品収納棚への物品の収納・取り出しを行なわなければならないと云う手間があった。この発明は、重量のあるスタッカークレーンを左右に移動させることなく、物品の収納・取り出しを効率良く行なえるようにすることを目的とするものである。」
「【0007】スタッカークレーン通路16をあけるようにして前後一対のラック装置1が床面に立設されている。前記ラック装置1は、所定間隔で左右に並ぶ前側の多数の構造支柱3と、これら前側の構造支柱3の後方にそれとの間に所定間隔をあけて並ぶ後側の構造支柱3と、これら左右の構造支柱3に高さ方向に所定間隔で渡された構造梁4と、前後の構造支柱3に高さ方向に所定間隔で渡された構造桟5と、前記前側の構造梁4及び後側の構造梁4に左右方向に所定間隔で、且つ、前後のものが対向するようにして渡された、構造支柱3より断面形状が小さい(左右幅が小さい)棚用支柱7と、前記棚用支柱7の左右両側及び構造支柱3の棚用支柱7に対向する側に取付桟8を介して所定間隔で取り付けられた物品支承部材9とを有しており、前記構造支柱2及び棚用支柱3を介することなく対向する左右の物品支承部材9によって物品収納棚10が構成され、左右一対の物品支承部材9間は、後述のスライドフォーク23の上下方向の移動を許容するフォーク通過間隙11となされている。前記前後のラック装置1の物品収納棚10の出し入れ口13は相互に対向している。前記棚用支柱7の左右方向中心から物品収納棚10の左右方向中心までの長さがlとなされ、構造支柱3の左右方向中心から物品収納棚10の左右方向中心までの長さがLとなされている。」
「【0009】前記スタッカークレーン通路16に上下一対のガイドレール18が長手方向を左右方向に向けるようにして配され、これらガイドレール18にスタッカークレーン19が左右動自在に案内されるようになされており、このスタッカークレーン19は、走行台車20と、この走行台車20に設けられた一対のマスト22に昇降自在となされた昇降台22と、この昇降台22の右側に公知の進退機構によって前後方向に水平摺動自在に設けられた右側のスライドフォーク23と、昇降台22の左側に以下に詳述する作動装置31によって左右動自在に設けられた左右動台26と、この左右動台26に公知の進退機構によって前後方向に水平摺動自在に設けられた左側のスライドフォーク23とを有している。前記左右側のスライドフォーク23の左右方向中心間の長さは、左右動台26が一番右に寄った位置において、2l(棚用支柱7を挾んだ左右の物品収納棚10の左右方向中心間の長さ)となされている。なお、左右のスライドフォーク23の上面は面一又はほぼ面一となされている。前記スライドフォーク23は、公知のごとく、物品Wの下方への突出・昇降台22の上昇による物品Wの持ち上げ・昇降台22側への退入という動作を行なって物品Wを昇降台22に引き込み、前記と逆の動作によって物品収納棚10等に物品Wを降ろすことが出来る。なお、スライドフォーク23に代えて別の物品移載装置を使用するようにしてもよい。また、スライドフォーク23の台数も3台以上であってもよい。
【0010】前記作動装置31は、昇降台22に搭載された正逆回転自在なモーター32を有しており、このモーター32の回転軸33にアーム34が設けられ、このアーム34の自由端に回転自在に設けられたローラー35が、左右動台26に設けられたガイド板37に形成された縦溝38に左右の遊びなく嵌められている。このような構成によって、アーム34を揺動させることによって左右動台26を左右動させることが出来る。この実施例では、右側のスライドフォーク23の左右方向中心が物品収納棚10の左右方向中心と一致するように、スタッカークレーン19が停止させられるようになされている。また、左右動台26は、常態にあっては左右側のスライドフォーク23の左右方向中心間の長さが2lとなる位置に停止するようになされている。従って、スタッカークレーン19が左右のスライドフォーク23間に棚用支柱7をはさむように停止する場合には、左右動台26を動かす必要はない。他方、スタッカークレーン19が左右のスライドフォーク23間に構造支柱3をはさむように停止する場合には、左右動台26を左側に長さ(L-l)だけ動かすこととなる。このような構成によって、2つの物品Wを一度に物品収納棚10に収納したり、物品収納棚10から取り出したりすることが出来る。なお、この実施例にあっては、左右動台26の移動が必要な場合には、スタッカークレーン19の走行中に左右動台26を移動させておき、スタッカークレーン19の停止と同時に2つの物品Wの移載を可能としている。」

(2)引用文献3に記載された技術的事項
ア 引用文献3には、2つの物品移載装置を昇降台に左右に並べて設置したスタッカークレーンを使用して、ラック装置中の物品収納棚への物品の収納・取り出しを行なう自動倉庫において、該ラック装置が、構造支柱及び該構造支柱より左右幅が小さい棚用支柱とが用いられていることに起因して、物品収納棚の左右方向中心間の長さと、物品移載装置の左右方向中心の間隔が合っていないものであって、一方の物品収納棚への物品の収納・取り出しを行なった後、重量のあるスタッカークレーンを左右に移動させて、他方の物品収納棚への物品の収納・取り出しを行なわなければならないと云う手間があったので、重量のあるスタッカークレーンを左右に移動させることなく、物品の収納・取り出しを効率良く行なえるようにすることを目的としていることが記載されている(段落【0003】)。

イ 引用文献3には、スタッカークレーン通路16をあけるようにして前後一対のラック装置1が床面に立設され、ラック装置1は、所定間隔で左右に並ぶ多数の構造支柱3と、構造支柱3より断面形状が小さい(左右幅が小さい)棚用支柱7と、棚用支柱7の左右両側及び構造支柱3の棚用支柱7に対向する側に所定間隔で取り付けられた物品支承部材9とを有しており、対向する左右の物品支承部材9によって物品収納棚10が構成され、左右一対の物品支承部材9間は、スライドフォーク23の上下方向の移動を許容するフォーク通過間隙11となされ、棚用支柱7の左右方向中心から物品収納棚10の左右方向中心までの長さがlとなされ、構造支柱3の左右方向中心から物品収納棚10の左右方向中心までの長さがLとなされており、
スタッカークレーン通路16にガイドレール18が長手方向を左右方向に向けるようにして配され、ガイドレール18にスタッカークレーン19が左右動自在に案内されるようになされており、スタッカークレーン19は、走行台車20と、走行台車20に設けられた一対のマスト21に昇降自在となされた昇降台22と、昇降台22の右側に公知の進退機構によって前後方向に水平摺動自在に設けられた右側のスライドフォーク23と、昇降台22の左側に作動装置31によって左右動自在に設けられた左右動台26と、左右動台26に公知の進退機構によって前後方向に水平摺動自在に設けられた左側のスライドフォーク23とを有し、左右側のスライドフォーク23の左右方向中心間の長さは、左右動台26が一番右に寄った位置において、2l(棚用支柱7を挾んだ左右の物品収納棚10の左右方向中心間の長さ)となされ、スライドフォーク23は、物品Wの下方への突出・昇降台22の上昇による物品Wの持ち上げ・昇降台22側への退入という動作を行なって物品Wを昇降台22に引き込み、前記と逆の動作によって物品収納棚10等に物品Wを降ろすことができる自動倉庫が記載されている(段落【0001】、【0007】、【0009】及び図1、2)。

ウ 引用文献3には、左右動台26は、常態にあっては左右側のスライドフォーク23の左右方向中心間の長さが2lとなる位置に停止するようになされ、スタッカークレーン19が左右のスライドフォーク23間に棚用支柱7をはさむように停止する場合には、左右動台26を動かす必要はなく、他方、スタッカークレーン19が左右のスライドフォーク23間に構造支柱3をはさむように停止する場合には、左右動台26を左側に長さ(L-l)だけ動かすことによって、2つの物品Wを一度に物品収納棚10に収納したり、物品収納棚10から取り出したりすることが出来ることが記載されている(段落【0010】及び図4)。
よって、左右動台26によるスライドフォーク23の移動範囲(L-l)は、ラック装置1の横幅方向に隣接する一対の物品収納棚10の離間距離(2Lまたは2l)より小さいと認められる。

エ 引用文献3には、スタッカークレーン19の走行中に左右動台26を移動させておき、スタッカークレーン19の停止と同時に2つの物品Wの移載をすることが記載されている(段落【0010】)。

4 取消理由(進歩性)について
(1)審理対象
特許異議申立書において特許異議の申立てがされた請求項は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1、4、5、12である。ここで、訂正前の請求項1及び5は独立形式請求項であり、訂正前の請求項4は、訂正前の請求項1?3のいずれか1項の記載を引用する請求項であり、訂正前の請求項12は、訂正前の請求項1?11のいずれか1項の記載を引用する請求項である。
これに対し、上記本件訂正の上記訂正事項3により、訂正後の請求項4は、訂正後の請求項2又は3の記載を引用する請求項となっている。そして、上記本件訂正の上記訂正事項8により、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項4に対応する発明特定事項は、新たに請求項18とされている。このため、本件訂正後の審理対象に、訂正後の請求項18を加える。
同様に、上記本件訂正の上記訂正事項6により、訂正後の請求項12は、訂正後の請求項2?4、6?11のいずれか1項の記載を引用する請求項となっている。そして、上記本件訂正の上記訂正事項11により、訂正前の請求項1又は5の記載を引用する請求項12に対応する発明特定事項は、新たに請求項20とされている。このため、本件訂正後の審理対象に、訂正後の請求項20を加える。
したがって、本件訂正後の審理対象は本件発明1、4、5、12、18、20である。

(2)本件発明1
ア 対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「荷収納部11」は、本件発明1の「収納部」に相当する。
引用発明の「荷収納棚10」は、本件発明1の「物品収納棚」に相当する。
引用発明の「スタッカークレーン20」は、本件発明1の「スタッカークレーン」に相当する。
引用発明の「自動倉庫」は、本件発明1の「物品搬送設備」に相当する。
引用発明の「第2のキャリッジ22」は、本件発明1の「第1昇降体」に相当する。
引用発明の「第1のキャリッジ21」は、本件発明1の「第2昇降体」に相当する。
引用発明の「荷M」は、本件発明1の「物品」に相当する。
引用発明の「第2フォーク24」は、本件発明1の「第1移載装置」に相当する。
引用発明の「第1フォーク23」は、本件発明1の「第2移載装置」に相当する。
引用発明の「第2フォーク24がアクセスする荷収納部11」は、本件発明1の「前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部」であるから、「第1対象収納部」に相当する。
引用発明の「第1フォーク23がアクセスする荷収納部11」は、本件発明1の「前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部」であるから、「第2対象収納部」に相当する。
引用発明の「スタッカークレーン20の走行、第1及び第2のキャリッジ21、22の昇降及びそのフォーク23、24の出し入れを制御する制御手段30」は、「第1のキャリッジ21の第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して、第2のキャリッジ22の第2フォーク24がアクセスする荷収納部11のパルス数の絶対値」が許容値範囲内である近い段の場合には、スタッカークレーン20の走行台車が走行せずに「第1フォーク23と第2フォーク24を同時に出すように制御」し、許容値範囲外である遠い段の場合には、「第2フォーク24が絶対値が許容値範囲内になるようにスタッカークレーン20の走行台車を走行制御する」ものであるから、本件発明1の「前記第1スライド装置の作動を制御する制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され」ていることとの関係において、「制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と遠い段に属する場合とで、前記第1移載装置の基準停止位置からの第1移載装置の移動量を異ならせるように構成され」ている限りにおいて共通している。

そうすると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と遠い段に属する場合とで、前記第1移載装置の基準停止位置からの第1移載装置の移動量を異ならせるように構成されている物品搬送設備。」

<相違点1>
本件発明1は、「第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
第1スライド装置は、第1移載装置を、第1昇降体に対して棚横幅方向に沿って移動させ、
第1スライド装置による第1移載装置の移動範囲が、棚横幅方向に隣接する一対の収納部の離間距離未満に設定され」るとともに、
「前記第1スライド装置の作動を制御する制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され」ており、さらに、
「前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する」ものであるのに対し、
引用発明は、「スタッカークレーン20の走行、第1及び第2のキャリッジ21、22の昇降及びそのフォーク23、24の出し入れを制御する制御手段30が、第1のキャリッジ21の第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して、第2のキャリッジ22の第2フォーク24がアクセスする荷収納部11のパルス数の絶対値が許容値範囲内である近い段の場合には、第1フォーク23と第2フォーク24を同時に出すように制御し、パルス数の絶対値が許容値範囲外である遠い段の場合には、第1フォーク23で荷収納部11との間で荷Mを移載した後、第2フォーク24が絶対値が許容値範囲内になるようにスタッカークレーン20の走行台車を走行制御する」ものであって、
引用発明は第2フォーク24を棚横幅方向に沿って移動させる本件発明1の「第1スライド装置」に相当するものを有しておらず、該「第1スライド装置」に相当するものではなくスタッカークレーン20の走行制御により第2フォーク24の位置を調整するものであって、第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して第2フォーク24がアクセスする荷収納部11が異なる段且つ近い段である場合に、スタッカークレーン20が走行せずに第2フォーク24がアクセスするものであり、さらに、第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して第2フォーク24がアクセスする荷収納部11が遠い段である場合に、スタッカークレーン20の走行台車の走行制御が第1フォーク23で荷収納部11との間で荷Mを移載した後である点。

イ 判断
以下、相違点1について検討する。
(ア)上記1(2)エのとおり、引用文献1に記載の自動倉庫における入庫動作は、第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して、第2フォーク24がアクセスする荷収納部11の位置が、パルス数の絶対値が許容値範囲の内外で場合分けされている。そして、上記許容値範囲外の場合では、引用文献1の段落【0034】に、「先ず図14(a)に示すように、スタッカークレーン20が走行ストライカ35を検出した後、aパルスカウントして目的位置に停止する。これにより第1のキャリッジ21は第1フォーク23がアクセスする位置にあるのでそのまま位置を保持、第2のキャリッジ22は第2フォーク24がアクセスするm段目の荷収納部11まで上昇する。」と記載されていることから、第2のキャリッジ22の昇降制御は、スタッカークレーン20の走行制御と同時に行われることが把握できる。なおここで、上記適記箇所に明記されていないが、段落【0033】に記載の上記荷収納部11が許容値範囲内の場合では、「第1フォーク23と第2フォーク24を同時に出し」との記載があることから、第1のキャリッジ21の昇降制御が必要な場合は、第2のキャリッジ22と同様に、スタッカークレーン20の走行制御と同時に昇降制御が行われるものと認められる。
このように、引用発明では、2つのフォークによる荷Mの入庫に際し、自動倉庫における荷収納棚の棚連の施工上生じる傾きに対し、その位置ずれが大きい場合には、スタッカークレーンを走行方向に移動させることで対応しているものである。そして、上述のとおり、第1のキャリッジ21及び第2のキャリッジ22の昇降移動は、スタッカークレーン20の移動と同時になされるものであるが、これは、第1のフォーク23がアクセスする荷収納棚11の目的位置への移動と同時になされるものであり、第2のフォーク24がアクセスする荷収納棚11への移動のために、第1のフォーク23の入庫の後に、スタッカークレーン20を移動させて位置ずれに対応させるものと同時に行われるものではなく、また、同時に行うことができないものである。
すなわち、引用発明は、上記相違点1のうち、特に本件発明1の「前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する」ことについて、単に相違しているのみならず、同時に行うものとすることに阻害要因を有しているものであるといえる。

(イ)引用文献2には、上記2(2)イ及びオのとおり、フレーム6に沿って案内される昇降枠17に支持された可動枠27を備え、可動枠27は、荷台7を、昇降枠17に対して収納棚1の横幅方向に沿って移動させ、可動枠27による荷台7の移動範囲が、収納棚1の横幅方向に隣接する一対の収納空間2の離間距離未満となっている荷取扱い装置4が記載されている。
また、上記1(2)ア及び上記2(2)アのとおり、引用発明と引用文献2に記載の技術的事項は、いずれも物品搬送設備の技術分野に属する技術であり、「物品収納棚が傾く」という点で共通の課題を有するものである。
そして、引用発明は、上記1(2)エには、「パルス数の絶対値が許容値範囲外である場合」にスタッカークレーン20の走行台車を走行制御することで、当該パルスの絶対値を許容値範囲内とするものであるが、上記1(2)アのとおり、このような課題解決方法では、依然としてサイクルタイムが長くなるという課題を有していることが認識されている。
そうすると、引用文献2に記載の技術的事項は、フレーム6を移動させて荷台7の横方向位置を修正するのではなく、シリンダ装置26を作動させ、荷台7と対向する収納空間2とのずれ量だけ荷台7を移動させることで位置ずれを解消するものであるから、引用発明において認識されていた課題を解決するために、引用文献2に記載の技術的事項を適用して、引用発明の「第2のキャリッジ22」に、引用文献2に記載の荷台7を棚横幅方向に沿って移動させることができる「可動枠27」を設け、該可動枠27による第2フォーク24の移動範囲を、棚横幅方向に隣接する一対の荷収納部11の離間距離未満とすることが、仮にできたとしても、引用文献2には、上記2(2)ウのとおり、荷取扱い装置4の走行中または停止中もしくはその両時期にわたって、荷台7をフレーム6にそって上昇させることが記載されているところ、荷台7の上昇と、上記2(2)エにおけるシリンダ26による荷台7の横方向位置の修正が同時に行われていることについての記載も示唆もない。この横方向位置の修正は、収納棚1に縦柱14による光線の反射を検知するものであり、収納棚1が傾斜している場合、縦柱14が傾斜しており、高さ位置に応じてシリンダ装置26により修正すべき位置も変化してしまうものであることは、第2図からも明らかであるから、上記2(2)エに記載の技術的事項を荷台7の上昇と同時に行うことが容易であったということもできない。
したがって、相違点1に係る本件発明1の構成は、引用発明と引用文献2に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たことではない。

(ウ)引用文献3に記載の技術的事項は、上記3(2)アのとおり、ラック装置に用いられる左右幅の異なる構造支柱と棚用支柱との2種類の支柱が用いられていることに起因する左右方向幅の違いに対応するために、スタッカークレーンを左右に移動させずに物品の収納・取り出しを効率良く行うことを前提としたものである。さらに、上記3(2)ア及びイのとおり、スタッカークレーン19は、1つの昇降台22に2つのスライドフォーク23が左右に並べて設けられる構造であるから、一度に収納・取り出しを行う物品は、同じ段に収納されている場合に限定されるものであり、例えば、1台のスタッカークレーンに複数の昇降台を持つものではなく、また、複数の昇降台とすることを示唆するものでもない。
これに対し、引用発明は、上記1(2)アのとおり、荷収納棚の棚連が施工上傾くことにより、棚連の最下段と最上段の荷収納部の位置にスタッカークレーンの走行方向において差異が生じるという構造を前提とした課題を有するものである。そして、上記1(2)ウ及びエのとおり、スタッカークレーン20が、それぞれ独立して昇降自在な第1のキャリッジ21と第2のキャリッジ22にそれぞれ載置された、第1のフォーク23と第2のフォーク24によって互いの収納棚の等しいか又は異なる段における棚に荷Mを入庫するものである。
そうすると、引用発明と引用文献3に記載の技術的事項とは、いずれも物品搬送設備の技術分野に属する技術であると言えるが、前提とする構造及び課題は異なるものであり、さらに、1つのスタッカークレーンで行おうとする物品の収納・取り出しの対象が、引用発明は収納棚の異なる段のものも扱うものであるのに対し、引用文献3は同じ段に限られるものであり、異なるものである。
引用文献3には、上記3(2)ウ及びエのとおり、1つの昇降台22に設けられた左右のスライドフォーク23間の距離を変化させるように左右動台26を設けたものであり、さらに、スタッカークレーン19の走行中に左右動台26を移動させておく点が記載されている。
しかしながら、引用発明と引用文献3に記載の技術的事項は、上述のとおり異なる課題を前提として、さらに、スタッカークレーンの構造も異なるものであることから、当業者にとって、これらを結びつける動機付けは存在しないというべきである。
相違点1に係る本件発明1の構成は、引用発明と引用文献3に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たことではない。

ウ 小括
以上によれば、本件発明1は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明4について
訂正後の請求項4は、訂正後の請求項2又は3の記載を引用するものである。そして、訂正後の請求項4に係る発明は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と引用発明とを対比すると、両者は、上記(2)アで挙げた一致点を有し、更に、引用発明の「スタッカークレーン20の走行、第1及び第2のキャリッジ21、22の昇降及びそのフォーク23、24の出し入れを制御する制御手段30」は、本件発明5の「前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置」に相当する点で一致する。
そうすると、本件発明5と引用発明は次の点で相違している。

<相違点1’>
本件発明5は、「第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
第1スライド装置は、第1移載装置を、第1昇降体に対して棚横幅方向に沿って移動させ」るとともに、
「前記第1スライド装置の作動を制御する制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され」ており、さらに、
「前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する」ものであるのに対し、
引用発明は、「スタッカークレーン20の走行、第1及び第2のキャリッジ21、22の昇降及びそのフォーク23、24の出し入れを制御する制御手段30が、第1のキャリッジ21の第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して、第2のキャリッジ22の第2フォーク24がアクセスする荷収納部11のパルス数の絶対値が許容値範囲内である近い段の場合には、第1フォーク23と第2フォーク24を同時に出すように制御し、パルス数の絶対値が許容値範囲外である遠い段の場合には、第1フォーク23で荷収納部11との間で荷Mを移載した後、第2フォーク24が絶対値が許容値範囲内になるようにスタッカークレーン20の走行台車を走行制御する」ものであって、
引用発明は第2フォーク24を棚横幅方向に沿って移動させる本件発明1の「第1スライド装置」を有しておらず、該「第1スライド装置」に相当するものではなくスタッカークレーン20の走行制御により第2フォーク24の位置を調整するものであって、第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して第2フォーク24がアクセスする荷収納部11が異なる段且つ近い段である場合に、スタッカークレーン20が走行せずに第2フォーク24がアクセスするものであり、さらに、第1フォーク23の停止位置にある荷収納部11に対して第2フォーク24がアクセスする荷収納部11が遠い段である場合に、スタッカークレーン20の走行台車の走行制御が第1フォーク23で荷収納部11との間で荷Mを移載した後である点。

<相違点2>
本件発明5は、「前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部」を有するものであるのに対し、
引用発明は、複数の荷収納部11の中から、第1フォーク23がアクセスする荷収納部11と、第2フォーク24がアクセスする荷収納部11を選択しているものの、「第1スライド装置」を備えていないため、「棚横幅方向の離間距離が第1スライド装置による第2フォーク24と第1フォーク23との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの荷収納部11を選択する」ものではない点。

<相違点3>
制御装置に関し、本件発明5は、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ「前記第1スライド装置を動作させる」制御を実行するのに対し、
引用発明は、第2フォーク24と第2フォーク24がアクセスする荷収納部11との間で荷Mを移載できる目標停止位置に第2フォーク24が位置するように、第2のキャリッジ22を昇降移動させ且つ「走行台車を走行移動させる」制御を実行する点。

イ 判断
上記相違点1’について検討する。
上記相違点1’は、「前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され」るとの発明特定事項が含まれていないことを除き、上記相違点1と一致するものである。
そうすると、上記相違点1’に係る本件発明5の構成は、上記(2)イと同様の理由により、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たことではない。

ウ 小括
したがって、上記相違点2及び3について検討するまでもなく、本件発明5は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件発明12について
訂正後の請求項12は、訂正後の請求項2?4、6?11の記載を引用するものである。そして、訂正後の請求項12に係る発明は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)本件発明18について
本件発明18は、本件発明1の構成を備えるものであるから、引用発明との関係において、少なくとも上記相違点1を有するものである。
したがって、上記(2)イと同様の理由により、本件発明18は、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(7)本件発明20について
本件発明20の発明特定事項に関して、引用文献4の段落[0008]ないし[0010]及びFIG.1、2、5には、二つの棚ラック10a、10bと、棚ラック10a、10bの棚横幅方向に延びるレール21と、モータ22によってレール21に沿ってスライド可能に立設された1本のコラム20と、コラム20を挟んで棚横幅方向の両側に配置された垂直平行ガイド29a、29bと、コラム20に沿って垂直方向にスライド可能に取り付けられている把持装置30a、30bとを備えた物品搬送設備であって、把持装置30a、30bは、垂直平行ガイド29a、29bに沿って垂直方向にスライド可能に取り付けられているスライド33a、33bと、スライド33a、33bに固定された水平アーム32a、32bとを含む支持体によって保持されている物品搬送設備が記載されている。
また、引用文献5の第3頁左欄第9?50行及び図1には、下部フレーム1、上部フレーム2、下部フレーム1と上部フレーム2の間に連設された1対のたてフレーム3によって形成された主枠を1つ備え、1対のたてフレーム3の上下に下部走行車輪6と上部走行車輪8を設け、2つの昇降搬器15が、1対のたてフレーム3を挟んで両側に配置されているスタッカクレーンが記載されている。
しかしながら、本件発明20は、本件発明1又は5の構成を備えるものであるから、引用発明との関係において、少なくとも上記相違点1又は相違点1’を有するものである。
したがって、上記(2)イ又は上記(4)イと同様の理由により、本件発明20は、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 甲第4号証を主引用例とする理由について
異議申立人は、特許異議申立書において、甲第4号証を主引用例とした理由を主張している。
甲第4号証(米国特許出願公開第2013/0209202号明細書)に記載された発明(以下、「甲4発明」という。)の倉庫システム10は、「図1に破線で示された荷積み台36」が、本件発明1の「第1スライド装置」に相当するものである。
本件発明1と甲4発明とは、少なくとも以下の相違点を有するものである。
すなわち、本件発明1は「第1スライド装置による第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され」る構成を有しているのに対し、甲4発明は該構成を有していない点で相違する(相違点A)。
さらに、本件発明1は、「前記第1スライド装置の作動を制御する制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され」る構成を有しているのに対し、甲4発明は該構成を有していない点で相違する(相違点B)。
加えて、本件発明1は、「前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する」構成を有しているのに対し、甲4発明は、吊上げユニット30によって荷積み台36をマスト28に沿って高さ方向Yに移動させることと、荷積み台36がX方向に移動することが同時に行われるか不明である点で相違する(相違点C)。
このうち、上記相違点Bについて、甲4発明は保管ラック12が施工上傾くものであることを考慮しているものではないから、引用文献2に記載の技術的事項を適用する動機付けを有するものではない。また、仮に甲4発明に引用文献3に記載の技術的事項を適用したとしても、左右の荷積み台36がそれぞれ同じ段か異なる段かによって、荷積み台36の移動量を異なるものとする上記相違点Bに係る構成には到らない。
したがって、本件発明1は、甲4発明並びに引用文献2及び3に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。本件発明4、5、12、18及び20についても同様である。
また、異議申立人は、特許異議申立書において、甲4発明に引用文献2、引用文献3、甲第7号証及び甲第8号証に記載の周知技術を適用する理由についても主張をしている。しかし、特許異議申立書の第43ページ第5行ないし第9行に記載のとおり、甲第7号証は引用文献2と同様なものとして例示されており、また、甲第8号証は引用文献3と同様なものとして例示されているにすぎない。そうすると、上記と同様に、本件発明1、4、5、12、18、20は、甲4発明並びに引用文献2、引用文献3、甲第7号証及び甲第8号証に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 引用発明に甲第8号証に記載の技術的事項を適用する理由について
異議申立人は、令和3年7月5日の意見書(2)において、甲第8号証(特開2000-255708号公報)を引用発明に適用することについて主張している。
甲第8号証は、上述のとおり、引用文献3と同様な技術的事項が記載されている。
すなわち、甲第8号証の段落【0003】及び【図5】には、自動倉庫の棚を構成する主柱の幅Sと間柱幅sが異なるものであることが記載されている。また、甲第8号証の段落【0011】並びに【図1】及び【図2】には、1台の昇降台7に2つのシャトルフォーク8、9が支承されていることが記載されている。さらに、甲第8号証の【0012】には、昇降台7にシャトルフォーク8と9の間隔を変更するシリンダ装置12を設けることが記載されている。
甲第8号証に記載の上記事項は、いずれも上記第5 3(2)に記載の引用文献3に記載の技術的事項に共通するものである。そうすると、上記第5 4(2)イ(ウ)と同様に、引用発明に甲第8号証に記載の技術的事項を適用する動機付けは存在しないというべきである。
したがって、本件発明1は、引用発明及び甲第8号証に記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。本件発明4、5、12、18、20についても同様である。

第7 むすび
以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1、4、5、12、18、20を取り消すことはできない。また、ほかに本件発明1、4、5、12、18、20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記第1スライド装置の作動を制御する制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され、
前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する物品搬送設備。
【請求項2】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させる物品搬送設備。
【請求項3】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置と、前記第2昇降体に支持された第2スライド装置と、を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲及び前記第2スライド装置による前記第2移載装置の移動範囲が、これらの移動範囲の合計が前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満となるように設定されている物品搬送設備。
【請求項4】
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する請求項2又は3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記第1スライド装置の作動を制御する前記制御装置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部とが同じ段に属する場合と異なる段に属する場合とで、前記第1スライド装置による前記第1移載装置の基準停止位置からのスライド移動量を異ならせるように構成され、
前記制御装置が、前記第1昇降体を昇降移動させる制御及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御と同時に、前記第1スライド装置により前記第1移載装置を前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動させる制御を実行する物品搬送設備。
【請求項6】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動範囲で移動させ、
前記選択部は、前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択し、
前記スライド移動範囲における前記棚横幅方向の一対の端部のうち、前記第1移動制御の実行の開始直前に前記第2移載装置が位置する端部を主端部として、当該主端部に前記第2移載装置が位置している状態を主状態とし、当該主端部とは反対側の端部を副端部として、当該副端部に前記第2移載装置が位置している状態を副状態とし、
前記第1移動制御は、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができるときは、前記主状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができないときは、前記副状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2スライド装置を作動させ且つ前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である物品搬送設備。
【請求項7】
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記第1移載装置は、前記棚横幅方向に並ぶ一対の第1フォーク装置を備え、
前記一対の第1フォーク装置は、第1駆動装置にて前記棚前後方向に出退移動し且つ前記第1スライド装置にて前記棚横幅方向に各別に移動するように構成され、
前記第2移載装置は、前記棚横幅方向に並ぶ一対の第2フォーク装置を備え、
前記一対の第2フォーク装置は、前記棚前後方向に出退移動し且つ前記第2スライド装置にて前記棚横幅方向に各別に移動するように構成され、
前記第2移載装置における前記一対の第2フォーク装置のうち、前記副端部に対して前記主端部が位置する側の第2フォーク装置が前記主端部に位置する状態を、前記主状態とし、
前記第2移載装置における前記一対の第2フォーク装置のうち、前記主端部に対して前記副端部が位置する側の第2フォーク装置が前記副端部に位置する状態を、前記副状態としている請求項6記載の物品搬送設備。
【請求項8】
物品として、棚横幅方向の大きさが異なる複数種類の物品があり、
前記収納部として、棚横幅方向の大きさが異なる複数種類の収納部があり、
前記選択部は、前記第1移載装置から前記第1対象収納部に物品を移載するときは、当該物品の種類に対応した大きさの収納部を前記第1対象収納部として選択し、前記第2移載装置から前記第2対象収納部に物品を移載するときは、当該物品の種類に対応した大きさの収納部を前記第2対象収納部として選択するように構成され、
前記物品収納棚における収納部を管理する制御部は、前記第1移載装置から前記第1対象収納部に物品を移載する場合又は前記第2移載装置から前記第2対象収納部に物品を移載する場合に、前記物品収納棚における前記収納部が形成されていない空き領域に、移載する物品の種類に応じた大きさの収納部を設定し、且つ、前記第1対象収納部から前記第1移載装置に物品を移載する場合又は前記第2対象収納部から前記第2移載装置に物品を移載する場合に、当該物品が収納されていた前記収納部を前記空き領域に設定する請求項7記載の物品搬送設備。
【請求項9】
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記棚横幅方向で前記第1対象収納部と前記第2対象収納部との間に設定されている目標走行停止位置に前記走行台車が位置するように、前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記第2スライド装置を動作させる制御である、第2移動制御を実行する請求項2又は3に記載の物品搬送設備。
【請求項10】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置と、前記第2昇降体に支持された第2スライド装置と、を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記棚横幅方向で前記第1対象収納部と前記第2対象収納部との間に設定されている目標走行停止位置に前記走行台車が位置するように、前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記第2スライド装置を動作させる制御である、第2移動制御を実行する物品搬送設備。
【請求項11】
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲の中央に前記第1移載装置の基準停止位置が設定され、
前記第2スライド装置による前記第2移載装置の移動範囲の中央に前記第2移載装置の基準停止位置が設定され、
前記第1移載装置の前記基準停止位置と前記第2移載装置の前記基準停止位置との前記棚横幅方向での中央位置が、前記第1対象収納部と前記第2対象収納部との前記棚横幅方向での中央位置となる位置に、前記目標走行停止位置が設定されている請求項9又は10記載の物品搬送設備。
【請求項12】
前記走行台車に、昇降案内マストが1本のみ立設され、
前記第1マスト及び前記第2マストが、共通の前記昇降案内マストにより構成され、
前記第1昇降体と前記第2昇降体とが、前記昇降案内マストを挟んで前記棚横幅方向の両側に配置されている請求項2?4、6?11のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項13】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1スライド装置による前記第1移載装置の移動範囲が、前記棚横幅方向に隣接する一対の前記収納部の離間距離未満に設定され、
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する物品搬送設備。
【請求項14】
前記制御装置は、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置する状態で、第1移載制御と第2移載制御との双方を同時に行う同時移載制御を実行し、
前記第1移載制御として、前記第1移載装置を制御して前記第1移載装置から前記第1対象収納部に1個又は2個の物品を移載する第1収納移載制御と、前記第1移載装置を制御して前記第1対象収納部から前記第1移載装置に1個又は2個の物品を移載する第1取出移載制御と、があり、
前記第2移載制御として、前記第2移載装置を制御して前記第2移載装置から前記第2対象収納部に1個又は2個の物品を移載する第2収納移載制御と、前記第2移載装置を制御して前記第2対象収納部から前記第2移載装置に1個又は2個の物品を移載する第2取出移載制御と、がある請求項13に記載の物品搬送設備。
【請求項15】
前記物品収納棚が、前記スタッカークレーンの移動経路を間に挟むとともに前面同士が対向する状態で一対備えられ、
前記制御装置は、第1の前記同時移載制御、前記第3移動制御、第2の前記同時移載制御の順に実行する場合において、第1の前記同時移載制御で前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行した場合は、第2の前記同時移載制御では、前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行し、第1の前記同時移載制御で前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行した場合は、第2の前記同時移載制御では、前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行し、
第1の前記同時移載制御において実行する前記第1取出移載制御及び前記第2取出移載制御では、移載対象の前記収納部に収納されている2つの物品のうちの奥側の物品が出庫対象の物品であり且つ手前側の物品が出庫対象ではない物品である場合に、出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品を、前記一対の物品収納棚のうちの一方の前記物品収納棚の収納部から前記第1移載装置又は前記第2移載装置に移載し、
第2の前記同時移載制御において実行する前記第1収納移載制御及び前記第2収納移載制御では、前記第1移載装置又は前記第2移載装置に出庫対象の物品と出庫対象ではない物品とが支持されている場合に、これら出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品のうちの出庫対象ではない物品のみを、前記第1移載装置又は前記第2移載装置から前記一対の物品収納棚のうちの他方の前記物品収納棚の前記収納部に移載する請求項14に記載の物品搬送設備。
【請求項16】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行し、
前記制御装置は、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置する状態で、第1移載制御と第2移載制御との双方を同時に行う同時移載制御を実行し、
前記第1移載制御として、前記第1移載装置を制御して前記第1移載装置から前記第1対象収納部に1個又は2個の物品を移載する第1収納移載制御と、前記第1移載装置を制御して前記第1対象収納部から前記第1移載装置に1個又は2個の物品を移載する第1取出移載制御と、があり、
前記第2移載制御として、前記第2移載装置を制御して前記第2移載装置から前記第2対象収納部に1個又は2個の物品を移載する第2収納移載制御と、前記第2移載装置を制御して前記第2対象収納部から前記第2移載装置に1個又は2個の物品を移載する第2取出移載制御と、があり、
前記物品収納棚が、前記スタッカークレーンの移動経路を間に挟むとともに前面同士が対向する状態で一対備えられ、
前記制御装置は、第1の前記同時移載制御、前記第3移動制御、第2の前記同時移載制御の順に実行する場合において、第1の前記同時移載制御で前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行した場合は、第2の前記同時移載制御では、前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行し、第1の前記同時移載制御で前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行した場合は、第2の前記同時移載制御では、前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行し、
第1の前記同時移載制御において実行する前記第1取出移載制御及び前記第2取出移載制御では、移載対象の前記収納部に収納されている2つの物品のうちの奥側の物品が出庫対象の物品であり且つ手前側の物品が出庫対象ではない物品である場合に、出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品を、前記一対の物品収納棚のうちの一方の前記物品収納棚の収納部から前記第1移載装置又は前記第2移載装置に移載し、
第2の前記同時移載制御において実行する前記第1収納移載制御及び前記第2収納移載制御では、前記第1移載装置又は前記第2移載装置に出庫対象の物品と出庫対象ではない物品とが支持されている場合に、これら出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品のうちの出庫対象ではない物品のみを、前記第1移載装置又は前記第2移載装置から前記一対の物品収納棚のうちの他方の前記物品収納棚の前記収納部に移載する物品搬送設備。
【請求項17】
前記制御装置は、第2の前記同時移載制御、前記第3移動制御、第3の前記同時移載制御の順に実行する場合において、第2の前記同時移載制御で前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行した場合は、第3の前記同時移載制御では、前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行し、第2の前記同時移載制御で前記第1収納移載制御及び前記第2取出移載制御を実行した場合は、第3の前記同時移載制御では、前記第1取出移載制御及び前記第2収納移載制御を実行し、
第2の前記同時移載制御において実行する前記第1取出移載制御及び前記第2取出移載制御では、移載対象の前記収納部に収納されている2つの物品のうちの奥側の物品が出庫対象の物品であり且つ手前側の物品が出庫対象ではない物品である場合に、出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品を、前記一対の物品収納棚のうちの一方の前記物品収納棚の収納部から前記第1移載装置又は前記第2移載装置に移載し、
第3の前記同時移載制御において実行する前記第1収納移載制御及び前記第2収納移載制御では、前記第1移載装置又は前記第2移載装置に出庫対象の物品と出庫対象ではない物品とが支持されている場合に、これら出庫対象の物品と出庫対象ではない物品との2個の物品のうちの出庫対象ではない物品のみを、前記第1移載装置又は前記第2移載装置から前記一対の物品収納棚のうちの他方の前記物品収納棚の前記収納部に移載する請求項15又は16に記載の物品搬送設備。
【請求項18】
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する前記制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行する請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項19】
前記第2昇降体に支持された第2スライド装置を更に備え、
前記第2スライド装置は、前記第2移載装置を、前記第2昇降体に対して前記棚横幅方向に沿ってスライド移動範囲で移動させ、
前記選択部は、前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置及び前記第2スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択し、
前記スライド移動範囲における前記棚横幅方向の一対の端部のうち、前記第1移動制御の実行の開始直前に前記第2移載装置が位置する端部を主端部として、当該主端部に前記第2移載装置が位置している状態を主状態とし、当該主端部とは反対側の端部を副端部として、当該副端部に前記第2移載装置が位置している状態を副状態とし、
前記第1移動制御は、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができるときは、前記主状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させ、
前記主状態の前記第2移載装置を前記第2目標停止位置に位置させたと仮定した場合に、前記第1移載装置を前記第1目標停止位置に位置させることができないときは、前記副状態で前記第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2スライド装置を作動させ且つ前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、請求項4記載の物品搬送設備。
【請求項20】
前記走行台車に、昇降案内マストが1本のみ立設され、
前記第1マスト及び前記第2マストが、共通の前記昇降案内マストにより構成され、
前記第1昇降体と前記第2昇降体とが、前記昇降案内マストを挟んで前記棚横幅方向の両側に配置されている請求項1又は5に記載の物品搬送設備。
【請求項21】
複数の収納部が、上下方向に複数段且つ棚横幅方向に複数列配置された物品収納棚と、
前記物品収納棚の前方を前記棚横幅方向に沿って走行移動するスタッカークレーンと、を備えている物品搬送設備であって、
前記スタッカークレーンが、
前記棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車と、
前記走行台車に立設された第1マストと、
前記第1マストと同じ前記走行台車に立設された第2マストと、
前記第1マストに沿って案内される第1昇降体と、
前記第1昇降体とは独立して昇降自在に前記第2マストに沿って案内され且つ前記第1昇降体と平面視で前記棚横幅方向に並ぶ第2昇降体と、
前記第1昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第1移載装置と、
前記第2昇降体に支持されて前記収納部と自己との間で物品を移載する第2移載装置と、を備え、
前記第1昇降体に支持された第1スライド装置を更に備え、
前記第1スライド装置は、前記第1移載装置を、前記第1昇降体に対して前記棚横幅方向に沿って移動させ、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記複数の収納部の中から、前記棚横幅方向の離間距離が前記第1スライド装置による前記第1移載装置と前記第2移載装置との最小離間距離以上で且つ最大離間距離以下であって同じ又は異なる高さに位置する2つの前記収納部を前記第1対象収納部及び前記第2対象収納部として選択する選択部と、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記第2昇降体を昇降移動させ且つ前記走行台車を走行移動させるとともに、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置するように、前記第1昇降体を昇降移動させ且つ前記第1スライド装置を動作させる制御である、第1移動制御を実行し、
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を前記第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する前記制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する物品搬送設備。
【請求項22】
前記棚横幅方向に対して平面視で直交する方向を棚前後方向として、
前記複数の収納部の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を収納可能に構成され、
前記第1移載装置及び前記第2移載装置の夫々が、前記棚前後方向に並ぶ状態で2つの物品を支持可能に構成され、
前記第1移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第1対象収納部とし、前記第2移載装置が物品を移載する対象となる前記収納部を第2対象収納部として、
前記スタッカークレーンの作動を制御する制御装置が、前記第1移載装置と前記第1対象収納部との間で物品を移載できる位置である第1目標停止位置に前記第1移載装置が位置し且つ前記第2移載装置と前記第2対象収納部との間で物品を移載できる位置である第2目標停止位置に前記第2移載装置が位置するように、前記走行台車を走行移動させ且つ前記第1昇降体及び前記第2昇降体を昇降移動させる制御である、第3移動制御を実行する請求項2?4、6?12の何れか1項に記載の物品搬送設備。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-09-15 
出願番号 特願2015-168160(P2015-168160)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (B65G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福島 和幸  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 内田 博之
杉山 健一
登録日 2019-10-11 
登録番号 特許第6597061号(P6597061)
権利者 株式会社ダイフク
発明の名称 物品搬送設備  
代理人 弟子丸 健  
代理人 特許業務法人R&C  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 特許業務法人R&C  
代理人 田巻 文孝  

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