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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
管理番号 1379808
異議申立番号 異議2020-700466  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-07-08 
確定日 2021-09-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6627342号発明「OCTモーションコントラストデータ解析装置、OCTモーションコントラストデータ解析プログラム。」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6627342号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、5について訂正することを認める。 特許第6627342号の請求項1、2、4及び5に係る特許を維持する。 特許第6627342号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6627342号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成27年9月4日に出願され、令和元年12月13日にその特許権の設定登録がされ、令和2年1月8日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年7月8日に特許異議申立人 箕浦裕美子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされ、当審は、同年9月30日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年12月25日に意見書及び訂正請求書を提出した。さらに、当審は、令和3年3月10日付けで取消理由(決定の予告)を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年5月13日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、当該訂正の請求を「本件訂正請求」という。)を行い、当審によりその意見書及び本件訂正請求に対して申立人に意見を求めたが、申立人から意見書の提出はなかった。その後、同年9月3日に特許権者の上申書を受理したものである。

第2 訂正の適否についての判断

(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。下線は訂正箇所を表す。

ア 訂正事項1
請求項1の「光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータ」を、「光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータ」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、4も同様に訂正する。)。

イ 訂正事項2
請求項1の「前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された解析チャートに基づいて」を、「前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、4も同様に訂正する。)。

ウ 訂正事項3
請求項1の「前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う」を、「前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、4も同様に訂正する。)。

エ 訂正事項4
請求項2の「前記解析チャートの変更に連動して、変更された解析チャートに基づく解析処理を行う」を、「前記解析チャートの位置情報の変更に連動して、変更された解析チャートの位置情報に基づく解析処理を行う」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。)。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

カ 訂正事項6
請求項4の「請求項1?3のいずれかのOCTモーションコントラストデータ解析装置」を、「請求項1?2のいずれかのOCTモーションコントラストデータ解析装置」に訂正する。
この訂正内容は、訂正特許請求の範囲に記載されているのみであるが、訂正事項5の請求項3の削除に基づいて、通常、連動してなされる訂正内容であるから、訂正請求書に明記はないものの訂正事項として請求されていると推認できるものであり、令和3年9月3日に受理した上申書において、特許権者に当該訂正をする意思があることを確認できたことから、当該訂正を訂正事項として認める。

キ 訂正事項7
請求項5の「光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータ」を、「光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータ」に訂正する。

ク 訂正事項8
請求項5の「前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された解析チャートに基づいて」を、「前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて」に訂正する。

ケ 訂正事項9
請求項5の「前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う」を、「前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う」に訂正する。

コ 訂正後の請求項1?4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

ア 訂正事項1及び7
訂正事項1及び7は、モーションコントラストデータが、同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、本件特許明細書には、「【0055】CPU71は、上記のように、同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを取得すると、OCTデータを処理してモーションコントラストデータを取得する。」との記載があることから、新規事項の追加に該当しない。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項2及び8
訂正事項2及び8は、解析チャートが何に対する解析チャートであり、当該解析チャートの何に基づいて、モーションコントラストデータに対する解析処理を行うのかを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、「前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて」は、本件特許明細書の「【0015】なお、解析チャートは、設定されたセクションでの計測結果の基本統計量を示す解析チャートであってもよく、例えば、モーションコントラストデータの基礎となるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果の基本統計量であってもよい。」、「【0066】<解析チャート>CPU71は、解析チャート504を、第2の画像データ502上に重畳して表示してもよい。この場合、第2の画像データ502は、3次元OCTデータに対する解析結果に基づく計測結果(例えば、解析マップの計測データ)と予め関連付けられてもよく(レジストレーション)、解析チャート504が設定された領域に対応する計測結果が出力される。この場合、第2の画像データ502が3次元OCTデータと関連付けされ、解析チャートが設定された領域に関して解析処理が実行されてもよく、解析結果に基づいて計測結果が出力されてもよい。」、「【0012】また、解析処理部は、解析チャートの位置情報に基づいてモーションコントラストデータに対する解析処理を行う際の基準位置を設定し、設定された基準位置を基準としてモーションコントラストに対する解析処理を行うようにしてもよい。この場合、設定された基準位置を基準として解析領域が設定されてもよい。」との記載から導かれることから、新規事項の追加に該当しない。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ 訂正事項3及び9
訂正事項3及び9は、モーションコントラストデータに対する解析処理の内容を具体的に特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、「前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う」は、本件特許明細書の「【0012】また、解析処理部は、解析チャートの位置情報に基づいてモーションコントラストデータに対する解析処理を行う際の基準位置を設定し、設定された基準位置を基準としてモーションコントラストに対する解析処理を行うようにしてもよい。この場合、設定された基準位置を基準として解析領域が設定されてもよい。」、「【0020】なお、解析処理部は、例えば、解析チャートの中心位置に基づいて、モーションコントラストデータに対する解析処理の中心位置又は基準位置を設定してもよい。」、「【0074】解析チャートと血管解析領域を連動させる場合、CPU71は、第2の画像データ502での解析チャート504の中心504cと、MCデータ402での血管解析領域の中心404cとが、解析上の同一位置に配置されるように、血管解析領域を移動させてもよい。つまり、CPU71は、MCデータ402において、第2の画像データ502における解析チャート504の中心位置に対応する位置に解析領域の中心を設定してもよい。」との記載から導かれることから、新規事項の追加に該当しない。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

エ 訂正事項4
訂正事項4は、解析チャートの何を変更し、当該解析チャートの何に基づく解析処理を行うのかを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、「前記解析チャートの位置情報の変更に連動して、変更された解析チャートの位置情報に基づく解析処理を行う」は、本件特許明細書の「【0072】<解析チャートと血管解析領域の連動>例えば、CPU71は、解析チャート504の位置情報を用いて、MCデータ上での血管領域の抽出を行うようにしてもよい。より詳細には、CPU71は、解析チャート504の移動に連動して、MCデータ上での血管解析領域の位置を移動させるようにしてもよい。この場合、CPU71は、血管解析領域を示す表示(例えば、グラフィック404)を、MCデータ402上で移動させてもよい。つまり、解析チャート504による解析領域の移動に連動して、血管解析領域の位置が変化する。」、「【0073】血管解析領域の移動の結果、MCデータ上での血管解析領域が変更される。そこで、CPU71は、血管解析領域の変更に連動して、変更後の血管解析領域における解析結果を求めてもよい(血管解析の手法については後述する)。」との記載から導かれることから、新規事項の追加に該当しない。そして、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

オ 訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項3の記載を削除するものである。したがって、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

カ 訂正事項6
訂正事項6は、引用請求項数を削除するものである。したがって、訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕、5について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1、2、4及び5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明4」及び「本件発明5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、2、4、5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

(本件発明1)
「 【請求項1】
光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータを解析するためのOCTモーションコントラストデータ解析装置であって、
前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理手段を備えることを特徴とするOCTモーションコントラストデータ解析装置。」

(本件発明2)
「 【請求項2】
前記解析処理手段は、前記解析チャートの位置情報の変更に連動して、変更された解析チャートの位置情報に基づく解析処理を行うことを特徴とする請求項1のOCTモーションコントラストデータ解析装置。」

(本件発明4)
「 【請求項4】
前記第2の画像データ上での前記解析チャートの位置を設定するための検者からの指示を受け付ける第1の指示受付手段をさらに備え、
前記解析処理手段は、前記第1の指示受付手段によって設定された前記解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行うことを特徴とする請求項1?2のいずれかのOCTモーションコントラストデータ解析装置。」

(本件発明5)
「 【請求項5】
光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータを解析するためのOCTモーションコントラストデータ解析装置において実行されるOCTモーションコントラストデータ解析プログラムであって、前記OCTモーションコントラストデータ解析装置のプロセッサによって実行されることで、
前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理ステップを、前記OCTモーションコントラストデータ解析装置に実行させることを特徴とするOCTモーションコントラストデータ解析プログラム。」

第4 申立人が提出した証拠
申立人が提出した証拠は、次の甲第1号証?甲第7号証(以下、それぞれ「甲1」?「甲7」という。)である。

甲1:米国特許出願公開第2014/0073917号明細書
甲2:TOPCON 取扱説明書 3次元眼底像撮影装置 (3D OCT-1000 MARKII) ソフトウェア編 Version3.00 株式会社トプコン 2008年2月1日
甲3:特開2014-45901号公報
甲4:NIDEK 画像ファイリングソフトウェア NAVIS-EX 取扱説明書
甲5:特開2014-217423号公報
甲6:特開2014-83266号公報
甲7:特開2015-131107号公報

第5 令和2年9月30日付け取消理由の概要
請求項1?5に係る特許に対して、当審が令和2年9月30日付けの取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

1(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

2(新規性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

3(進歩性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。


●理由1(明確性)について

1 請求項1に記載の「解析チャート」が、何に対する解析チャートであるか明確でない。

2 請求項1の「第2の画像データ上に設定された解析チャートに基づいて、前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理手段」という記載では、「第2の画像データ上に設定された解析チャート」が、「前記モーションコントラストデータに対する解析処理」に対して、どのような役割を具体的に果たしているのか規定されていないため、係る記載は明確とはいえない。

3 請求項1を引用する請求項3に記載の「解析処理手段」において、請求項1に記載の「解析チャートに基づいて、前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う」ことと、請求項3に記載の「前記解析チャートの中心位置に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する解析処理の中心位置又は基準位置を設定すること」との技術的な関係が明確とはいえない。

●理由2(新規性)及び理由3(進歩性)について

請求項1?5
刊行物:米国特許出願公開第2014/0073917号明細書(甲1)

第6 取消理由(決定の予告)の概要
請求項1、2、4及び5に係る特許に対して、当審が令和3年3月10日付けの取消理由(決定の予告)通知において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

1(新規性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

2(進歩性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

3(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。


●理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について

請求項1、2、4及び5
刊行物:米国特許出願公開第2014/0073917号明細書(甲1)

●理由3(明確性)について

請求項2に記載の「解析チャート」は、解析チャートの何が変更されるのか明確でない。

第7 各甲号証の記載

1 甲1について

(1)甲1の記載
甲1には、以下の事項が記載されている。原文に続き当審訳を記す。下線は当審で付与した。以下、同様。

(甲1ア)
「[0017] One embodiment is directed to methods for quantitatively measuring blood flow in an ocular vascular bed. In certain embodiments, the method for quantitatively measuring blood flow in an ocular vascular bed may comprise the steps of selecting an ocular vascular bed from which to quantitatively measure blood flow, scanning the ocular vascular bed to obtain M-B scans of OCT spectrum therefrom, splitting the M-B scans of OCT spectrum into M spectral bands and determining a quantitative measurement of blood flow from the M spectral bands. In additional embodiments, the step of splitting the M-B scans of the OCT spectrum into M spectral bands may comprise creating overlapping filters covering the OCT spectrum, and filtering the OCT spectrum with the overlapping filters. In yet further embodiments, the step of determining a quantitative measurement of blood flow from the M spectral bands may comprise creating decorrelation images for the M spectral bands and combining the decorrelation image s for the M spectral bands to create a flow image and/or the step of creating decorrelation images for the M spectral bands may comprise determining amplitude information for each spectral band and calculating decorrelation between adjacent amplitude frames for each spectral band.」
「当審訳:
[0017] 一実施形態は、眼球血管床内の血流を定量的に測定するための方法に関連する。ある実施形態においては、眼球血管床内の血流を定量的に測定するための方法は、定量的に血流を測定する眼球血管床を選択するステップと、OCTスペクトルのM-Bスキャンをそこから得るために、眼球血管床をスキャンするステップと、M個のスペクトル帯域へとOCTスペクトルのM-Bスキャンを分割するステップと、M個のスペクトル帯域から血流の定量的測定値を決定するステップと、を含んでもよい。さらなる実施形態においては、M個のスペクトル帯域へとOCTスペクトルのM-Bスキャンを分割するステップは、OCTスペクトルにわたる重なりフィルタを作成するステップと、重なりフィルタでOCTスペクトルをフィルタ処理するステップと、を含んでもよい。さらに他の実施形態においては、M個のスペクトル帯域から血流の定量的測定値を決定するステップは、M個のスペクトル帯域に対して相関除去画像を作成することと、流体画像を作成するためにM個のスペクトル帯域に対する相関除去画像を組み合わせることを含み、および/もしくは、M個のスペクトル帯域に対して相関除去画像を作成するステップは、各スペクトル帯域に対する振幅情報を決定することと、各スペクトル帯域に対して隣接する振幅フレーム間の相関除去を計算することと、を含んでもよい。」

(甲1イ)
「[0066] In more detail, prior art full-spectrum decorrelation 102 achieves decorrelation purely through process the amplitude signal and does not require phase information. To evaluate the flow signals coming from the scattering tissue, an average decorrelation image D (x,z) at each position is obtained by averaging N-1 decorrelation image frames computed from N reflectance amplitude images frames from M-B mode scanning. Each decorrelation frame is computed from 2 adjacent amplitude frames: A _(n)(x,z) and A _(n+1)(x,z). Using the full spectrum decorrelation method 102, the decorrelation image it is given by the following equation:

[0067] where x and z are lateral and depth indices of the B-scan images and n denotes the B-scan slice index. In this full spectrum equation, the decorrelation signal-to-noise ratio acquired from full spectrum can only be increased by increasing the number N of B-scans taken at the same position. However, more scans require more imaging time which may not be practical.」(当審注:D (x,z)のDは、オーバーラインが引かれている。以下同様。)
「当審訳:
[0066] より詳細には、従来の全スペクトル相関除去102は、単に振幅信号の処理を通して相関除去を達成し、位相情報を必要としない。散乱組織由来の流体信号を評価するために、各位置における平均相関除去画像D(x,z)は、M-Bモードスキャン由来のN個の反射率振幅画像から計算されたN-1個の相関除去画像フレームを平均化することによって取得される。各相関除去フレームは、2つの隣接する振幅フレーム:A_(n)(x,z)およびA_(n+1)(x,z)から計算される。全スペクトル相関除去法102を利用すると、相関除去画像は、以下の式によって与えられる。

[0067] ここで、xおよびzは、B-スキャン画像の横方向および深度指数であって、nはB-スキャンスライス指数を表す。この全スペクトル式において、全スペクトルから取得される相関除去信号ノイズ比は、同一位置で得られるB-スキャンの回数Nを増加させることによってのみ増加させることができる。しかしながら、より多数のスキャンは、実用的ではないより長いイメージング時間を必要とする。」

(甲1ウ)
「[0070] In more detail, split-spectrum decorrelation 122 can produce decorrelation images given by the following equation:

[0071] After splitting the spectrum by applying M (for example, M can=4 as described in an exemplary example below) equally spaced bandpass filters, M individual decorrelation images can be obtained between each pair of B-scans, which can then be averaged along both the lateral (X) and axial (Z) directions to increase DSNR. In split-spectrum decorrelation 122, the average decorrelation image D (x, z) can be described as the average of decorrelation images from M spectral bands. By increasing the number M (up to a point), the decorrelation signal-to-noise ratio can be improved without increasing the scan acquisition time.」
「当審訳:
[0070] より詳細には、分割スペクトル相関除去122は、以下の式によって与えられる相関除去画像を作成することができる。

[0071] 均等間隔帯域通過フィルタにMを適用することによって(以下に例示的実施例として記述されるように、例えば、M=4とすることができる)スペクトルを分割した後、M個の各相関除去画像は、B-スキャンの各対の間に取得することができ、DSNRを増加させるために、その後、横(X)および軸(Z)方向の双方に沿って平均化することができる。分割スペクトル相関除去122において、平均相関除去画像D(x,z)は、M個のスペクトル帯域から相関除去画像の平均として記述することができる。Mの数を(或る点まで)増加させることによって、相関除去信号ノイズ比は、スキャン取得時間を増やすことなく、改善することができる。」

(甲1エ)
「[0101] Any one or more of various embodiments as discussed may be incorporated, in part or in whole, into a system. FIG. 10 illustrates an exemplary embodiment of an in vivo imaging system (e.g. an OCT system) 1000 in accordance with various embodiments described herein. In the embodiments, OCT system 1000 may comprise an OCT apparatus 1002 and one or more processors 1012 coupled thereto. One or more of the processors 1012 may be adapted to perform methods in accordance with various methods as disclosed herein. In various embodiments, OCT system 1000 may comprise a computing apparatus including, for example, a personal computer in any form, and in various ones of these embodiments, one or more of the processors may be disposed in the computing apparatus. OCT systems in accordance with various embodiments may be adapted to store various information. F or instance, an OCT system may be adapted to store parameters and/or instructions for performing one or more methods as disclosed herein.
・・・
[0108] The swept-source OCT system was operated at 100-kHz axial scan repetition rate. In the fast transverse scan (X) direction, the B-scan consisted of 200 A-scans over 3 mm. In the slow transverse scan (Y) direction, there were 200 discrete sampling planes over 3 mm. Eight consecutive B-scans were acquired at each Y position. This is referred to as the “M-B-scan mode” (e.g., as illustrated in FIG. 3) because it enables detection of motion between consecutive B-scans at the same position. Thus, it took 3.2 sec to obtain a 3D volumetric data cube comprised of 1600 B-scans and 32,0000 A-scans. Under this scanning protocol, methods described herein were applied to the repeated frame sequences at each step. Finally, the 200 calculated B-scan frames were combined to form 3D blood perfusion images of posterior part of the human eye.」
「当審訳:
[0101] 議論されるように種々の実施形態のうちの一つ以上は、一部もしくは全体をシステムへと組み入れることができる。図10は、本明細書で記述された種々の実施形態に従う、生体内イメージングシステム(例えばOCTシステム)1000の例示的一実施形態を示す。実施形態において、OCTシステム1000は、OCT装置1002およびそこに結合された一つ以上のプロセッサ1012を含んでもよい。一つ以上のプロセッサ1012は、本明細書で開示されるような種々の方法に従う方法を実施するために適応することができる。種々の実施形態においては、OCTシステム1000は、例えば、任意の形式におけるパーソナルコンピュータを含むコンピューティング装置を含んでもよく、これらの実施形態のうちの種々の一つにおいては、一つ以上のプロセッサはコンピューティング装置内に配置されてもよい。種々の実施形態に従うOCTシステムは、種々の情報を格納するように適応されてもよい。例えば、OCTシステムは、本明細書で開示されるような一つ以上の方法を実施するためのパラメータおよび/もしくは命令を格納するように適応されてもよい。
・・・
[0108] 掃引光源OCTシステムは、100kHzの軸方向スキャン繰り返し率で操作された。高速横断方向スキャン(X)方向において、B-スキャンは、3mmの200回のA-スキャンで構成された。低速横断方向スキャン(Y)方向において、3mmの200個の別個のサンプリング平面が存在した。8回の連続的B-スキャンは、各Y位置で得られた。これは、(例えば、図3に示されたように)“M-Bスキャンモード”と称される。なぜなら、同一位置で連続するB-スキャン間の動作の検出が可能だからである。このように、1600回のB-スキャンと32000回のA-スキャンで構成される3D容積測定データキューブを得るために3.2秒かかる。このスキャンプロトコルの下で、本明細書で記述される方法は、各ステップで繰り返されたフレームシーケンスに対して適用された。最後に、200回計算されたB-スキャンフレームが、ヒトの眼球の後部の3D血液灌流画像を形成するために、組み合わせられた。」

(甲1オ)
「Quantitative Blood Flow Assessment
[0131] A flowchart of quantitative blood flow measurements is provided in FIG. 20. It begins with the detection of measurement flow volumes using reliable anatomical landmarks on reflectance images and ends up with the calculation of two blood flow parameters: flow index and vessel density. Additionally, the measurement of non-perfusion area is also demonstrated for the quantification purpose.

Detection of Measurement Volumes
[0132] Based on the 3D volumetric data set 102 from the above scanning protocol 100, SSADA algorithm 303 is performed on raw interference spectrum 302 and both reflectance intensity images 304 and decorrelation (flow) images 306 can be obtained simultaneously. If necessary, the image distortion due to the saccadic motion artifacts can be reduced by performing 3D registration 307 [Kraus et al., Biomed. Opt. Express 3:1182-1199 (2012)]. When registered B-scan reflectance 308 and registered B-scan flow 310 are processed, at 311, the anatomical landmarks are identified on B-scan reflectance 308 and used for the segmentation of B-scan flow 310. At 313, maximum projection algorithm [Jia et al., Opt. Express 20:4710-4725 (2012)] is applied on both reflectance 308 and segmented flow 312 image. The projection algorithm finds the maximum reflectance and decorrelation value for each transverse position, representing the highest reflectance and fastest flowing vessel lumen respectively. Next, at 317, the landmarks on en face reflectance 314 are identified and used to mask en face segmented flow image 316. Then segmented en face flow image 318 is obtained and used for calculation of flow index 320 and vessel density 322.」
「当審訳:
定量性血流評価
[0131] 定量性血流測定のフローチャートが図20に示される。それは、反射率画像上での確実な解剖学的指標を利用する測定流量の検出で開始し、二つの血流パラメータ(流動指数および血管密度)の計算で終了する。さらに、非灌流領域の測定も、定量化目的で実施される。

測定容積の検出
[0132] 上述のスキャンプロトコル100由来の3D容量測定データセット102に基づいて、SSADAアルゴリズム303は、未処理干渉スペクトル302に実施され、反射率強度画像304および相関除去(流体)画像306の双方は、同時に取得することができる。必要に応じて、サッケード運動による画像歪みは、3D位置決め307を実施することによって低減することができる[Krausらによる、Biomed.Opt.Express 3:1182-1199(2012)]。位置決めされたB-スキャン反射率308および位置決めされたB-スキャン流体310が処理され、311で、解剖学的指標は、B-スキャン反射率308で識別され、B-スキャン流体310の断片化用に使用される。313において、最大投影アルゴリズム[JiaらによるOpt.Express20:4710-4725(2012)]は、反射率308および断片化された流体312画像の双方に対して識別される。投影アルゴリズムは、各横断方向位置に対して、最大反射率および相関除去値を見出し、最高の反射率および最速の流動血管管腔を其々表す。続いて、317において、正視型反射率314における指標が識別されて、正視型断片化流体画像316をマスクするために使用される。その後、断片化正視型流体画像318は、流動指数320および血管密度322の計算用に得られて使用される。」

(甲1カ)
「[0136] An example demonstrating how to detect optic disc boundary 412 and temporal ellipse of disc 422 is described herein below and in FIG. 23. The NCO 604, which is the termination of the retinal pigment epithelium (RPE)/Bruch's membrane (BM) complex [Strouthidis et al., Invest. Ophthamol. Vis. Sci. 50:214-223 (2009) and Hu et al., Invest. Ophthamol. Vis. Sci. 51:5708-5717 (2010)], can be used to define the ONH margin 412 [Strouthidis et al., Invest. Ophthamol. Vis. Sci. 50:4709-4718 (2009)]. In OCT cross-sectional B-scans, the boundary of the NCO 604, indicated by two green dashed lines 606 is determined by the termination of the RPE/BM complex (two green arrows) 604. It corresponds to the two margin points 608 at the disc region. These representative margin points are transferred on the corresponding flow cross-sectional image 610 and en face projection maps 612. The boundary produced by the surrounding peripapillary choroidal blood flow 614 in the flow data 502 is not optimally used as the detection method for disc margin 412.
[0137] Because the NCO 604 is detectable, it can be manually delineated on the reflectance projection image 314. Shown by FIG. 24, the major 702 and minor axes 704 of the ellipse are calculated along the vertical and horizontal directions. The approximate center of disc is the centroid of the selected ellipse 706.
[0138] After the position and dimensions of a disc are determined, the whole disc 412 and temporal ellipse areas 422 can be segmented for quantitative analysis. The optic disc mask 708 is idealized as an ellipse with vertical diameter (VD) 702 and horizontal diameter (HD) 704. The mask value is 1 inside the ellipse and 0 outside. An elliptical mask 710 is also defined for the disc region temporal to the major superior and inferior branch arteries and veins. The temporal ellipse 422 has a major axis diameter of 0.75 VD and a minor axis diameter of 0.50 HD. The temporal ellipse is tilted inferiorly to fit the tilt of the disc vessel pattern associated with the tilt of the disc-fovea axis 712. According to the literature measurements on the normal population [J. M. McDonnel, “Ocular embryology and anatomy,” in Retina, S. J. Ryan, ed. (CV Mosby, St Louis, 1989), pp. 5-16], the average value of this angle is 7.1°. The temporal ellipse angiography 423 does not contain any major branch retinal blood vessels and therefore may be a better measure of local disc microcirculation.

Definition and Calculation of Flow Index and Vessel Density
[0139] By multiplying different masks 317 with original blood flow projection map 316, respectively, the segmented flow maps 318 can be acquired for further quantification.
[0140] The flow index 320 is defined as the average decorrelation values in the segmented area, which can be given by,

[0141] The vessel density is defined as the percentage area occupied by vessels in the segmented area, using the following formula,

[0142] Where A can be segmented en face flow area 318, D is the decorrelation value acquired by SSADA 303. The threshold used to judge V is 1 or 0 and was set at 0.125, two standard deviations above the mean decorrelation value in noise region. As described by previous report [Jia et al., Opt. Express 20:4710-4725 (2012)], the central FAZ 451 in the normal eyes can be chosen as a noise region after the same scanning pattern 100 was applied on the macular region, and then calculated decorrelation values by SSADA 303.」
「当審訳:
[0136] 視神経乳頭境界412および視神経乳頭の側頭部エリプス422を如何にして検出するかを示す一例は、以下図23に記述される。網膜色素上皮(RPE)/Bruch膜(BM)複合体の終端であるNCO604は[StrouthidisらによるInvest.Ophtamol.Vis.Sci.50:214-223(2009)およびHuらによるInvest.Ophthamol.Vis.Sci.51:5708-5717(2010)]、ONH縁412を画定するために使用することができる[StrouthidisらによるInvest.Ophthamol.Vis.Sci.50:4709-4718(2009)]。OCT断面B-スキャンにおいて、二つの緑色破線606によって示されるNCO604の境界は、RPE/BM複合体(二つの緑色矢印)604の終端によって判定される。それは、視神経乳頭領域における二つの縁点608に対応する。これらの其々の縁点は、対応する流体断面画像610および正視型投影マップ612上に転写される。流体データ502における乳頭周囲脈絡膜血流614を囲むことによって作成される境界は、視神経乳頭縁412に対する検出方法として最適に利用されない。
[0137] NCO604は検出可能であるため、反射率投影画像314に手動で描写することができる。図24に示されるように、エリプスの長軸702および短軸704は、垂直方向および水平方向に沿って計算される。視神経乳頭のおおよその中心は、選択されたエリプス706の重心である。
[0138] 視神経乳頭の位置および寸法を決定した後、視神経乳頭全体412および側頭部エリプス領域422は、定量化解析用に区分化することができる。視神経乳頭マスク708は、垂直径(VD)702と水平径(HD)704を有する楕円として理想化される。マスク値は、楕円内部では1、楕円外部では0である。楕円マスク710は、上流および下流の動静脈に対して側頭部にある視神経乳頭領域に対しても画定される。側頭部エリプス422は、0.75VDの長軸径および0.50HDの短軸径を有する。側頭部エリプスは、視神経乳頭中心窩軸712の傾きに関連する視神経乳頭血管パターンの傾きに適合するように下方へ傾く。健常者における文献での測定値[J.M.McDonnelによる“Ocular embryology and anatomy”,Retina,S.J.Ryan,ed.(CV Mosby,St Louis,1989),pp.5-16]によると、この角度の平均値は7.1°である。側頭部エリプス血管造影423は、如何なる上流の網膜血管も含まないため、視神経乳頭局所微小循環のより良好な測定を提供する。

流動指数および血管密度の定義および計算
[0139] 元の血流投影マップ316と別々のマスク317とを其々乗算することによって、区分化された流動マップ318をさらなる定量化用に取得することができる。
[0140] 流動指数320は、区分化領域における平均相関除去値として定義され、以下の式によって与えられる。

[0141]区分化領域における血管によって占められる領域の割合として、血管密度は、以下の式を利用して、定義される。

[0142] Aは、区分化正視型流動領域318とすることができ、Dは、SSADA303によって得られた相関除去値である。Vを判定するために使用される閾値は、1もしくは0であって、ノイズ領域内の平均相関除去値を超える二つの標準偏差である0.125に設定された。前述の報告[jiaらによる、Opt.Express 20:4710-4725(2012)]に記述されるように、通常の眼球内の中心FAZ451は、同一のスキャンパターン100が黄斑領域に適用され、その後、SSADA303によって相関除去値が計算された後のノイズ領域として選択することができる。」

(甲1キ)FIG.3


(甲1ク)FIG.20

当審訳:
図20


(甲1ケ)FIG.23

(甲1コ)FIG.24



(2)甲1に記載された発明

ア 甲1には、「OCT装置1002に結合されたプロセッサ1012」(上記(引1エ)[0101])が、「3mmの200回のA-スキャンで構成されたB-スキャン」データ(上記(引1エ)[0108])を、「分割スペクトル相関除去」処理して「相関除去画像」を作成すること(上記(引1ウ))が記載され、前記「相関除去画像」が下記イの「脱相関フロー画像306」であることは明らかであるから、甲1には、「光干渉断層撮影装置1002によって取得された同一位置の時間的に異なる複数のOCTデータを、脱相関法により処理して被検体の脱相関フロー画像306を生成するコンピュータプロセッサ1012」について記載していることが理解できる。

イ 甲1には、上記(引1オ)及び(引1カ)の記載によれば、上記アのコンピュータプロセッサ1012は、FIG.20の定量性血流測定のフローチャートに従い、「複数のOCTデータから生成される反射強度正面画像314に、手動で描かれた視神経乳頭境界412の位置とサイズを、楕円に理想化した視神経乳頭マスク708によって領域区分し、領域区分された領域を、脱相関フロー画像306から生成された正面投影マップ612に転写し、転写された領域の流動指数や血管密度を算出する」ことが記載されていることが理解できる。

ウ 上記ア及びイを含む上記(1)の記載及び図面から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「 光干渉断層撮影装置1002によって取得された同一位置の時間的に異なる複数のOCTデータを、脱相関法により処理して被検体の脱相関フロー画像306を生成し、生成された脱相関フロー画像306を解析して流動指数や血管密度を算出するコンピュータプロセッサ1012であって、
複数のOCTデータから生成される反射強度正面画像314に、手動で描かれた視神経乳頭境界412の位置とサイズを、楕円に理想化した視神経乳頭マスク708によって領域区分し、領域区分された領域を、脱相関フロー画像306から生成された正面投影マップ612に転写し、転写された領域の流動指数や血管密度を算出する手段を備える、コンピュータプロセッサ1012。」

2 甲2の記載
甲2には、以下の事項が記載されている。

(甲2ア)75?77頁
「Retinal Thickness(網膜厚さ)の解析
・・・





甲2には、網膜厚さ解析において、カラー眼底画像上に設定されたグリッド(Rectangular Grid、ETDRS Gridなど)、及びカラー眼底画像上で設定されたグリッドの各枠に対応する領域に数値が記載されている。また、Gridに関する機能として「Reposition」が記載されている。

3 甲3の記載
甲3には、以下の事項が記載されている。

(甲3ア)
「【0006】
ここで、被検眼の診断に際しては、例えば意図した部位及びその近傍について付随情報として網膜層等の断面像に基づく各層の厚さが必要となる場合がある。眼底像中に複数の領域を規定するセクターを配し、セクター内の各領域での平均層厚を表示することで当該要求に対応する手法が知られている。
しかしながら、セクターの移動に伴いセクターの位置する場所における断層像を適応的に表示することは知られておらず、セクターを任意の位置に移動した際にセクターが配置された領域における層厚とセクターが配置された場所における断層像とを比較することは困難であった。」

(甲3イ)
「【0034】
次に、本実施例の特徴であるOCT装置を用いた断層像の取得方法、および処理方法に関して図1?図9を用いて説明する。 図9は断層像取得方法のフローチャートである。ステップS1では図3に示す測定画面中のScan Modeボタン1501からスキャンモードを選択する。スキャンモードは、Macula3D、Glaucoma3D、Disc3Dがあり、スキャンモードを切り替えるとそれぞれのスキャンモードに最適な走査パターン、固視位置が設定される。走査パターンは3Dスキャン、ラジアルスキャン、クロススキャン、サークルスキャン等がある。これらは、各々、本発明において、放射状に配置される複数の断層像群からなる画像、交差した2つの断層像群からなる画像、円筒状に配置される断層像群からなる画像、及び互いに平行な複数の断層像群からなる画像を得る操作パターンとなる。」

(甲3ウ)
「【0044】
[実施例2]
実施例1とは断層像取得方法は同じでレポート画面が異なる。なお、表示されるレポート画面は例えば、図3において選択されるスキャンモードにより異なる。例えば、Scan Modeボタン1501において乳頭撮影モードが選択された場合のレポート画面は図5のようになる。また、例えば、Scan Modeボタン1501において黄斑撮影モードが選択された場合のレポート画面は図6のようになる。図6に示すレポート画面4000は副走査線断層像4401を含む。眼底画像401上には、主走査線4103、副走査線4104およびセクター4105が表示される。なお、レポート画面4000が表示された初期状態においては例えば断層像撮像範囲の中心にセクター4105の中心を一致させる。また主走査線4103と副走査線4104との交点は例えばセクター4105の中心と一致している。レポート画面4000は主走査線4103に対応する断層像である主走査線断層像4301、副走査線4104に対応する断層像である主走査線断層像4401および厚みマップ4701を含む。なお、セクター4105の形状は図6に記載のものに限定されるものではなく、他の形状としてもよい。なお、実施例2においてもパソコンの機能は図10に示したものと略同様であるため詳細な説明は省略する。
【0045】
実施例2においても図9に示した断層像取得方法のフローチャートに従って断層像を取得する。取得された断層像は、図6に示すようにレポート画面4000に表示される。すなわち、表示制御部406は、眼底像と領域を示す表示形態と断層像とを表示手段に表示させる表示制御手段の一例に相当する。
ここで、被検査物の平面画像に相当する眼底画像4101上に表示される主走査線4103、副走査線4104、セクター4105について説明する。図7(a)の初期位置から任意のスキャン中心位置をマウスカーソルでクリックすると図7(b)のように主走査線4103と副走査線4104の交点と生成画像を区画するセクター4105の中心位置とが合致した状態で移動する。すなわち、セクター4105の移動に伴い、レポート画面4000に表示される断層像が変化する。また、マウスカーソル等の入力部929は、表示手段に表示された領域を示す表示形態の位置を変更する変更手段の一例に相当する。図7(b)に示すようにセクター4105移動に伴い主走査線4103および副走査線4104が移動するため、断層像取得手段としての3次元画像抽出部405は領域を示す表示形態の位置が変更された場合、位置変更後の領域における被検眼の眼底の断層像を取得する。そして、表示制御手段は位置変更の領域における断層像に代えて位置変更後の領域における断層像を表示手段に表示させる。
【0046】
また、図7(c)のように主走査線4103、副走査線4104をマウスカーソルでクリック選択し、ドラックをするとセクターは移動せずに主走査線4103、副走査線4103を移動することが出来る。主走査線4103および副走査線4104のそれぞれ対応する主走査線断層像4301および副走査線断層像4401を見ながら主走査線4103、副走査線4104を動かし、それぞれ中心窩が最も窪んでいる位置にすることで中心窩の中心を正確に探すことが出来る。
この時、主走査線と副走査線の交点をマウスカーソルでクリックすると、セクターの中心が主走査線4103と副走査線4104との交点に合致し、中心窩の中心にセクターを正確に移動することが出来る。それによって、中心窩を層厚マップの中心とした正確な網膜厚マップ4502を求めることが出来る為、網膜の診断に役立てることが出来る。即ち、画像を区画するセクターに区分された画像における所定の層、本例では網膜の厚さが表示制御部406によって表示部928に表示される。また、このような断層画像より生成される画像の配置の眼底像中での配置の指定は、表示制御部406において位置指定手段として機能するモジュール領域によって実行される。」

(甲3エ)図6


(甲3オ)図7


甲3には、眼底画像4101上にセクター4105を設定し、セクター4105に区分された各領域の網膜の厚さがレポート画面4000の厚みマップ4701に表示されることが記載されている。また、眼底画像4101上に表示されるセクター4105の中心をマウスカーソルでクリックすると中心窩の中心に移動することができ、中心窩を中心とした網膜の厚みマップ4701にセクター4105に区分された各領域の網膜の厚さを表示することが記載されている。

4 甲4の記載
甲4には、以下の事項が記載されている。

(甲4ア)248頁




(甲4イ)248頁
「〇1(当審注:原文は丸囲い付き1。以下同様。) 解析チャート
黄斑付近の領域を細分して平均の厚み(μm)を表示します。またその解析チャートを、ETDRSとGChartから選択します。
・・・
オーバーレイで「層の厚み+解析チャート」を選択した場合は、SLO画像にチャートのパターンが表示されます。」

(甲4ウ)249?250頁
「〇5
・・・
オーバーレイで「層の厚み+解析チャート」を選択している場合、解析チャートをドラッグさせて移動できます。
解析チャートの移動に伴い、解析チャートに表示された厚みの値が更新されます。」

(甲4エ)250頁




甲4には、オーバーレイで「層の厚み+解析チャート」を選択した場合は、SLO画像にチャートのパターンが表示されることが記載されている。また、オーバーレイで「層の厚み+解析チャート」を選択している場合、解析チャートをドラッグさせて移動でき、解析チャートの移動に伴い、解析チャートに表示された厚みの値が更新されることが記載されている。

5 甲5の記載
甲5には、以下の事項が記載されている。

(甲5ア)
「【0052】
(レポート画面の構成)
図4を用いて本実施形態に係るレポート画面4000について説明する。レポート画面4000は、モニタ928に表示される画面であり、撮像した被検眼像および画像解析データを詳細に確認する画面である。
【0053】
4001は患者情報表示部であり、本画面で表示されている患者の情報、例えば患者ID、患者名、生年月日、性別、人種などを表示する。4100は2次元画像表示画面であり、SLO像もしくは、取得された断層画像から再構築或いは再構成した被検眼画像であるプロジェクション像が表示される。4200は断層画像表示画面であり、取得された断層画像が表示される。2次元画像表示画面4100には、断層画像表示画面4200に表示されている断層像を取得した際の走査軌跡の概要図が矢印4102として重畳表示される。さらに、後述するセクターデータのもととなるグリッド4103が重畳表示される。
【0054】
4300は層厚マップ、4400は比較層厚マップ、4500はセクター層厚データ、4600は比較セクター層厚データである。以下では、これらについて詳細に説明する。」

(甲5イ)
「【0081】
(セクターデータ) 次に、図10を用いて、セクター層厚データの構成について説明する。図10(a)の4501は、前述のグリッド4103によって被測定物を分割した際の、各セクター内の層厚平均値を示したセクター層厚データである。図10(a)の4502は、複数の近接する複数のセクター領域を組み合わせた際の、各セクター内の層厚平均値を示したセクター層厚データである。図10(a)の4503は、全てのセクター領域を組み合わせた際の、セクター内の層厚平均値を示したセクター層厚データである。
【0082】
次に、図10(b)を用いて、セクター層厚データを生成し表示する動作フローについて説明する。ステップS201からステップS205までは上述の層厚マップのステップS1からステップS5までと同様の動作であるので説明を省略する。ステップS205で有意領域を設定した後、ステップS206で解析画像生成部934はステップS204で得られた層構造と、グリッド4103のデータをもとにセクターを生成し、そのセクターを構成する全ての層厚データから各セクターの層厚平均値を算出する。次に、ステップS205で生成された有意領域の情報に基づき、ステップS206でセクター層厚データを生成し、ステップS207で表示する。
【0083】
ここで、セクター層厚データの表示方法は、図10(a)で示された数字のみの表示に限ることは無い。例えば、図10(c)に示すように、各セクターをその層厚に対応する色で塗りつぶすように表示してもよい。また、図10(d)に示すように、二次元画像や前述の層厚マップに重畳する形式で表示しても良い。」

(甲5ウ)図4


(甲5エ)図10


甲5には、2次元画像表示画面4100に表示された2次元画像にグリッド4103が重畳表示され、2次元画像としてSLO画像が表示されること、グリッド4103によって被測定物を分割した際の各セクター内の層厚平均値を表示することが記載されている。また、セクター層厚データ(各セクター内の層厚平均値)は、二次元画像に重畳表示されても良いことが記載されている。

6 甲6の記載
甲6には、以下の事項が記載されている。

(甲6ア)
「【0128】
網膜厚マップ110は、被検眼の網膜厚の二次元的な分布を示すカラーマップであり、層厚に応じた色分けされる。網膜厚マップ110は、網膜層の厚みを示す厚みマップ、被検眼の網膜層の厚みと正常眼データベースに記憶された正常眼の網膜層の厚みとの比較結果を示す比較マップ、被検眼の網膜層の厚みと正常眼データベースに記憶された正常眼の網膜層の厚みとのずれを標準偏差にて示すデビエーションマップ、各検査日との厚みの差分を示す検査日比較厚み差分マップ、などが考えられる。なお、網膜厚マップ110の表示領域に表示されるマップの代わりとして、スキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO)、眼底カメラ等によって取得された眼底正面画像を表示するようにしてもよい。
【0129】
なお、網膜厚マップ110の表示領域に表示する二次元画像は、二次元画像選択領域112によって選択可能である。二次元画像選択領域112では、例えば、表示部1に出力された二次元画像の種別が判別可能に表示される。図4では比較マップが選択された状態となっている。検者は、図5のようなカスタマイズ画面において、所望のマップあるいは眼底正面像を選択することによって所期する二次元画像を出力できる(図5参照)。
【0130】
断層画像120を表示する領域に表示される断層画像は、網膜厚マップ110の測定エリアに対応する断層画像が表示される。例えば、初期設定として、網膜厚マップ110の中心部に対応するラインに対応する断層画像が表示される。なお、出力される断層画像は、任意の選択可能であり、網膜厚マップ110上で任意に設定される切断ラインに対応する断層画像が表示部1上に出力されるようになっている。
【0131】
解析チャート130は、被検眼の網膜厚の二次元的な分布を領域毎の平均を求めたチャートである。網膜厚マップ110が黄斑マップの場合、GCHART、S/Iチャート、ETDRSチャート等が選択的に表示される。
【0132】
また、解析チャート130には、所定領域での層厚を数値にて表示する数値表示領域が付されてもよい。数値表示領域には、例えば、全体の平均網膜厚、中心窩での網膜厚、中心窩を中心とする所定エリア内での平均網膜厚(例えば、1、2、3mm)等が表示される。」

(甲6イ)図4


(甲6ウ)図5


甲6には、表示された眼底正面画像に解析チャート130が重畳表示され、解析チャート130は、被検眼の網膜厚の二次元的な分布を領域毎の平均を求めたチャートであり、解析チャート130には、所定領域での層厚を数値にて表示する数値表示領域が付されてもよいことが記載されている。

7 周知技術
上記甲2?6の記載によれば、OCTデータ解析装置において、表示された眼底正面画像に、OCTデータに基づく網膜の層厚解析の領域を示す解析チャートを重畳表示することは、周知技術であるといえる。

8 甲7の記載
甲7には、以下の事項が記載されている。

(甲7ア)
「【0016】
機能OCT画像データは、例えば、Phase Difference、Phase variance、Doppler variance等のドップラーOCT画像(位相差画像)を基にした画像データ、複素OCT信号のベクトル差分(VD: Vector Difference)に基づく画像データ、強度信号のDecorrelationに基づく画像データ、Speckle variance等の強度のばらつきを画像化した画像データ等であってもよい。また、機能OCT画像データは、例えば、Scattering OCT,Polarization Sensitive OCT,Stereoscopic OCT等から取得された各種OCT信号を処理することで取得されてもよい。機能OCT画像データは、画像データであってもよいし、信号データであってもよい。
・・・
【0021】
<モーションコントラストの生成>
本装置1は、例えば、時間の異なる同じ位置における少なくとも2つの検出信号から2種類以上の手法で試料のモーションコントラストを機能OCT画像として算出してもよい。そして、それらを基にした結果を組み合わせたものを試料画像としてもよい。
【0022】
取得された複素OCT信号から試料のモーションコントラストを算出する手法としては、例えば、複素OCT信号の位相差(PD: Phase Difference)を用いる手法(非特許文献1参照。以下、ドップラー位相法,PD法ともいう)、複素OCT信号のベクトル差分(VD: Vector Difference)を用いる手法(非特許文献3参照。以下、ベクトル差分法,VD法ともいう)、スペックルバリアンス(SV: Speckle Variance)を用いる方法(非特許文献2参照。以下、SV法ともいう)等がある。」

甲7には、機能OCT画像データは、強度信号のDecorrelationに基づく画像データであり、試料のモーションコントラストを機能OCT画像として算出することが記載されている。

第8 当審の判断1(新規性進歩性)
令和2年9月30日付けの取消理由通知、及び令和3年3月10日付けの取消理由(決定の予告)通知に記載した新規性進歩性に係る取消理由について、以下検討する。

1 本件発明1について

(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。


(ア)甲1発明の「光干渉断層撮影装置1002によって取得された同一位置の時間的に異なる複数のOCTデータを、脱相関法により処理して」「生成」された「被検体の脱相関フロー画像306」は、本件発明1の「光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータ」に相当する。

(イ)甲1発明の「光干渉断層撮影装置1002によって取得された同一位置の時間的に異なる複数のOCTデータを、脱相関法により処理して被検体の脱相関フロー画像306を生成し、生成された脱相関フロー画像306を解析して流動指数や血管密度を算出するコンピュータプロセッサ1012」は、本件発明1の「光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータを解析するためのOCTモーションコントラストデータ解析装置」に相当する。


(ア)甲1発明の「複数のOCTデータから生成される反射強度正面画像314」は、「脱相関フロー画像306」とは異なるから、本件発明1の「前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ」に相当する。

(イ)甲1発明の「反射強度正面画像314に、手動で描かれた視神経乳頭境界412の位置とサイズを、楕円に理想化した視神経乳頭マスク708」は、「流動指数や血管密度を算出する」ための解析領域を設定する解析チャートといえるから、本件発明1の「第2の画像データ上に設定された」「解析チャート」に相当する。

(ウ)また、甲1発明の「複数のOCTデータ」から「生成された脱相関フロー画像306を解析して流動指数や血管密度を算出する」ことは、本件発明1の「OCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力する」ことに相当する。

(エ)上記(イ)及び(ウ)を踏まえると、甲1発明の「反射強度正面画像314に、手動で描かれた視神経乳頭境界412の位置とサイズを、楕円に理想化した」、「複数のOCTデータ」から「生成された脱相関フロー画像306を解析して流動指数や血管密度を算出する」ための「視神経乳頭マスク708」は、「反射強度正面画像314」上に設定された、「OCTデータを処理して得られた前記モーションコントラストデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャート」といえることから、本件発明1の「第2の画像データ上に設定された、前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャート」と、「第2の画像データ上に設定された、」「OCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャート」の点で共通する。

(オ)甲1発明の「視神経乳頭境界412の位置とサイズを楕円に理想化した視神経乳頭マスク708によって領域区分し、領域区分された領域を、脱相関フロー画像306から生成された正面投影マップ612に転写」することは、転写する上で、視神経乳頭境界412を理想化した楕円の中心位置に基づいて、正面投影マップ612での中心位置が設定されることは明らかであるから、本件発明1の「解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定」することに相当するといえる。

(カ)甲1発明の「転写された領域の流動指数や血管密度を算出する」ことは、本件発明1の「設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う」ことに相当する。

(キ)以上から、甲1発明の「複数のOCTデータから生成される反射強度正面画像314に、手動で描かれた視神経乳頭境界412の位置とサイズを、楕円に理想化した」、「複数のOCTデータ」から「生成された脱相関フロー画像306を解析して流動指数や血管密度を算出する」ための「視神経乳頭マスク708によって領域区分し、領域区分された領域を、脱相関フロー画像306から生成された正面投影マップ612に転写し、転写された領域の流動指数や血管密度を算出する手段」と、本件発明1の「前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理手段」とは、「前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、OCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理手段」の点で共通する。

よって、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。

(一致点)
「 光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータを解析するためのOCTモーションコントラストデータ解析装置であって、
前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、OCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理手段を備える、OCTモーションコントラストデータ解析装置。」

(相違点)
前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理手段で用いる解析チャートが、本件発明1では、「前記モーションコントラストデータとは異なる」OCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートであるのに対し、甲1発明では、「複数のOCTデータ」から「生成された脱相関フロー画像306を解析して流動指数や血管密度を算出する」ための「視神経乳頭マスク708」であって、「モーションコントラストデータ」に相当する「脱相関フロー画像306」とは異なるOCTデータを解析するための解析チャートではない点。

(2)判断

新規性
上記相違点が本件発明1と甲1発明との間にある以上、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。

進歩性
上記相違点について検討する。

(ア)上記第7の7で述べたとおり、上記甲2?6の記載によれば、OCTデータ解析装置において、表示された眼底正面画像に、OCTデータに基づく網膜の層厚解析の領域を示す解析チャートを重畳表示することは、周知技術であるといえる。当該周知技術における解析チャートは、網膜の層厚解析のための解析チャートであるから、「前記モーションコントラストデータとは異なる」OCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートといえる。
しかしながら、当該周知技術における解析チャートは、上記相違点に係る本件発明1の構成のように、網膜の層厚解析のための解析チャートをモーションコントラストデータに対する解析に兼用するものでない。
そして、仮に、甲1発明に当該周知技術を適用しても、モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理手段で用いる解析チャートと、網膜の層厚解析のための解析チャートとを別々に設定するだけで、解析チャートを兼用する上記相違点に係る本件発明1の構成には至らない。
また、甲7(第7の8参照。)には、上記相違点に係る本件発明1の構成について記載も示唆もなく、当該構成が周知技術であるという証拠も見当たらない。
よって、上記相違点に係る本件発明1の構成とすることは、甲1発明及び甲2?甲7に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(イ)そして、本件特許明細書の【0005】、【0006】に記載の「モーションコントラストデータを用いた解析と、OCTデータを用いた解析(例えば、眼底の層厚解析)とが独立しており、手間であった」「従来技術の問題点」「を鑑み、モーションコントラストデータの解析を好適に行うことができる」という本件発明1が奏する作用・効果は、甲1発明及び甲2?甲7から当業者が予測し得ることとはいえない。

(3)小括
したがって、本件発明1は、甲1発明であるとはいえず、また当業者であっても、甲1発明及び甲2?甲7に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本件発明2及び4について
本件発明2及び4は、本件発明1を減縮した発明であり、上記相違点に係る本件発明1の構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲1発明であるとはいえず、また当業者であっても、甲1発明及び甲2?甲7に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本件発明5について
本件発明5は、本件発明1に対応するOCTモーションコントラストデータ解析プログラムの発明であり、上記相違点に係る本件発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、甲1発明であるとはいえず、また当業者であっても、甲1発明及び甲2?甲7に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第9 当審の判断2(明確性)

1 令和2年9月30日付け取消理由通知に記載した明確性に係る取消理由について

(1)請求項1に記載の「解析チャート」が、何に対する解析チャートであるか明確でない旨を指摘したところ、本件訂正請求による訂正により、「解析チャート」が「前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための」ものに特定されたことで、何に対する解析チャートであるのか明確になったので、当該取消理由は解消した。

(2)請求項1の記載では、「解析チャート」が、「前記モーションコントラストデータに対する解析処理」に対して、どのような役割を具体的に果たしているのか明確でない旨を指摘したところ、本件訂正請求による訂正により、「解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う」と変更されたことで、「解析チャート」の役割が明確になったので、当該取消理由は解消した。

(3)請求項1を引用する請求項3に記載では、請求項1との技術的な関係が明確でない旨を指摘したところ、本件訂正請求による訂正により、請求項3は削除されたので、当該取消理由は解消した。

2 令和3年3月10日付け取消理由(決定の予告)通知に記載した明確性に係る取消理由について
請求項2に記載の「解析チャート」は、解析チャートの何が変更されるのか明確でない旨を指摘したところ、本件訂正請求による訂正により、解析チャートの「位置情報」が変更される点が明確になったので、当該取消理由は解消した。

第10 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(特許法第36条第6項第1号)について
申立人は、請求項2に記載の「前記解析チャートの変更に連動して、変更された解析チャートに基づく解析処理を行う」に関して、本件特許明細書に具体的に記載されているのは、解析チャートの表示位置の変更に連動して、モーションコントラストデータに対する解析領域の位置を変更すること、解析チャートの範囲の変更に連動して、モーションコントラストデータに対する解析領域の範囲を変更すること、解析チャートの表示位置の変更に連動して、モーションコントラストデータに対する解析処理の基準位置を変更することであり、本件特許明細書には、解析チャートの種類、分割領域数の変更や、その変更に基づく解析処理などの開示はないから、当該解析処理を行うことを包含する本件発明2はサポート要件に違反する旨主張するところ、本件発明2は、本件訂正請求による訂正により、解析チャートの変更対象が「位置情報」に特定されたことから、本件特許明細書に記載されたものとなり、当該特許異議申立理由は解消した。

第11 むすび
以上のとおりであるから、令和2年9月30日付けの取消理由通知、及び令和3年3月10日付けの取消理由(決定の予告)通知に記載した取消理由、並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、4及び5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他には、本件請求項1、2、4及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。

よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータを解析するためのOCTモーションコントラストデータ解析装置であって、
前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理手段を備えることを特徴とするOCTモーションコントラストデータ解析装置。
【請求項2】
前記解析処理手段は、前記解析チャートの位置情報の変更に連動して、変更された解析チャートの位置情報に基づく解析処理を行うことを特徴とする請求項1のOCTモーションコントラストデータ解析装置。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記第2の画像データ上での前記解析チャートの位置を設定するための検者からの指示を受け付ける第1の指示受付手段をさらに備え、
前記解析処理手段は、前記第1の指示受付手段によって設定された前記解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行うことを特徴とする請求項1?2のいずれかのOCTモーションコントラストデータ解析装置。
【請求項5】
光干渉断層計によって取得された被検体のモーションコントラストデータであって同一位置に関して時間的に異なる複数のOCTデータを処理して得られるモーションコントラストデータを解析するためのOCTモーションコントラストデータ解析装置において実行されるOCTモーションコントラストデータ解析プログラムであって、前記OCTモーションコントラストデータ解析装置のプロセッサによって実行されることで、
前記モーションコントラストデータとは異なる画像データである第2の画像データ上に設定された、前記モーションコントラストデータとは異なるOCTデータに対する解析結果に基づく計測結果を出力するための解析チャートの位置情報に基づいて、前記モーションコントラストデータに対する中心位置又は基準位置を設定し、設定された前記中心位置を中心として又は前記基準位置を基準として前記モーションコントラストデータに対する解析処理を行う解析処理ステップを、前記OCTモーションコントラストデータ解析装置に実行させることを特徴とするOCTモーションコントラストデータ解析プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-09-13 
出願番号 特願2015-175194(P2015-175194)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A61B)
P 1 651・ 121- YAA (A61B)
P 1 651・ 113- YAA (A61B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 宮川 哲伸  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
渡戸 正義
登録日 2019-12-13 
登録番号 特許第6627342号(P6627342)
権利者 株式会社ニデック
発明の名称 OCTモーションコントラストデータ解析装置、OCTモーションコントラストデータ解析プログラム。  
代理人 水越 邦仁  
代理人 水越 邦仁  
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