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審決分類 |
審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 G06Q 審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) G06Q 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 G06Q 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 G06Q 審判 全部申し立て 2項進歩性 G06Q |
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管理番号 | 1379816 |
異議申立番号 | 異議2020-700871 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-11-13 |
確定日 | 2021-10-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6694104号発明「情報処理システム、方法、プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6694104号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-12〕,13,14について訂正することを認める。 特許第6694104号の請求項1ないし9及び12ないし14に係る特許を維持する。 特許第6694104号の請求項10,11に係る特許についての特許異議申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6694104号の請求項1ないし14に係る特許についての出願は,令和1年10月30日に出願され,令和2年4月20日にその特許権の設定登録がされ,令和2年5月13日に特許掲載公報が発行された。その後,その特許について,令和2年11月13日付けで特許異議申立人奥谷雅子(以下,「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ,当審は,令和3年1月29日付けで取消理由を通知した。特許権者は,その指定期間内である令和3年3月31日に意見書の提出及び訂正の請求(以下,この訂正の請求を単に「本件訂正請求」という。)を行ったところ,その訂正の請求に対して,申立人は,令和3年7月7日付けで意見書を提出した。 第2 訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は,以下の訂正事項1ないし訂正事項13のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「製品」と記載されているのを,「化粧品」と訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6,8及び12も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「製品」と記載されているのを,「化粧品」と訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4,6,8及び12も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「処方」と記載されているのを,「化粧品処方」と訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5,7,9及び12も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「製品」と記載されているのを,「化粧品」と訂正する(請求項4の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「処方」と記載されているのを,「化粧品処方」と訂正する(請求項5の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「製品」と記載されているのを,「化粧品」と訂正する(請求項6の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に「処方」と記載されているのを,「化粧品処方」と訂正する(請求項7の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に「製品」と記載されているのを,「化粧品」と訂正する(請求項8の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に「処方」と記載されているのを,「化粧品処方」と訂正する(請求項9の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11を削除する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項13に「製品」と記載されているのを,「化粧品」と訂正し,「処方」と記載されているのを,「化粧品処方」と訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項14に「製品」と記載されているのを,「化粧品」と訂正し,「処方」と記載されているのを,「化粧品処方」と訂正する。 2.訂正要件についての判断 (1)一群の請求項について ア.訂正前の請求項1,6,8,10,12について,請求項6,8,10,12は,請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって,訂正される請求項1に連動して請求項6,8,10,12も訂正されるものである。したがって,訂正前の請求項1,6,8,10,12に対応する訂正後の請求項1,6,8,10,12は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 イ.訂正前の請求項2,4,6,8,10,12について,請求項4,6,8,10,12は,請求項2を直接又は間接的に引用しているものであって,訂正される請求項2に連動して請求項4,6,8,10,12も訂正されるものである。したがって,訂正前の請求項2,4,6,8,10,12に対応する訂正後の請求項2,4,6,8,10,12は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 ウ.訂正前の請求項3,5,7,9,11,12について,請求項5,7,9,11,12は,請求項3を直接又は間接的に引用しているものであって,訂正される請求項3に連動して請求項5,7,9,11,12も訂正されるものである。したがって,訂正前の請求項3,5,7,9,11,12に対応する訂正後の請求項3,5,7,9,11,12は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 エ.訂正前の請求項4-12について,請求項12は,請求項4-11を直接的に引用しているものであって,訂正される請求項4-11に連動して請求項12も訂正されるものである。したがって,訂正前の請求項4-12に対応する訂正後の請求項4-12は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 オ.したがって,訂正前の請求項1-12に対応する請求項1-12は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア.訂正事項1,2,4,6,8について 訂正事項1,2,4,6,8は,訂正前の請求項1,2,4,6,8の「製品」について,あらゆる種類の「製品」から「化粧品」に減縮するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして,本件特許の願書に添付した明細書(以下,「本件特許明細書」という。)の段落0011に「本明細書では,主に,特許に関する化粧品を抽出する場合,または,化粧品に関する特許を抽出する場合を一例として説明するが,本発明は,化粧品に限らず任意の製品に適用することができる。」と記載されているから,訂正事項1,2,4,6,8は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載した事項(以下,「当初明細書等」という。)の範囲内のものであり,特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 さらに,訂正事項1,2,4,6,8は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものに該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 イ.訂正事項3,5,7,9について 訂正事項3,5,7,9は,訂正前の請求項3,5,7,9の「処方」について,あらゆる種類の「処方」から「化粧品処方」に減縮するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして,訂正事項3,5,7,9は,本件特許明細書の段落0020に「本発明の一実施形態では,製品に限らず,処方に関する特許を抽出することもできる。取得部101は,ユーザ端末20から,処方内容を取得する。処方内容は,化粧品等の物を作るために必要な原材料の情報を含む。」と記載されているから,訂正事項3,5,7,9は,当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであり,特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 さらに,訂正事項3,5,7,9は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものに該当せず,特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.訂正事項10,11について 訂正事項10,11は,請求項10,11の削除を目的とするものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり,特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり,特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 エ.訂正事項12,13について 訂正事項12,13は,上記ア.及びイ.と同様に,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり,特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり,特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 3.むすび 以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するから,訂正後の請求項〔1-12〕,13,14について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立について 1.本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし14に係る発明(以下,それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明14」という。)は,令和3年3月31日提出の本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 なお,符号A-Cは,説明のために当審で付与したものであり,以下「構成A」-「構成C」という。 「【請求項1】 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と,前記用語に該当する原材料と,が対応付けられたデータベースと, 特許情報を取得する取得部と, 前記データベース,および,化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して,前記用語に該当する原材料と前記化粧品に含まれる原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した特許情報によって特定される請求項に記載されている用語に該当する原材料を含む化粧品を抽出する抽出部と を備えた情報処理システム。 【請求項2】 A 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と,前記用語に該当する原材料と,が対応付けられたデータベースと, B 化粧品情報を取得する取得部と, C 前記データベース,および,化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して,前記化粧品に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した化粧品情報によって特定される化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する抽出部と を備えた情報処理システム。 【請求項3】 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と,前記用語に該当する原材料と,が対応付けられたデータベースと, 化粧品処方内容を取得し,前記化粧品処方内容は原材料を含む,取得部と, 前記データベースを参照して,前記化粧品処方内容に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した化粧品処方内容に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する抽出部と を備えた情報処理システム。 【請求項4】 前記抽出部は,前記化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語のうちの全ての用語または一部の用語が記載されている請求項を抽出する,請求項2に記載の情報処理システム。 【請求項5】 前記抽出部は,前記化粧品処方内容に含まれる原材料に関連付けられた用語のうちの全ての用語または一部の用語が記載されている請求項を抽出する,請求項3に記載の情報処理システム。 【請求項6】 前記データベースおよび前記対応関係は,前記原材料の配合量をさらに含み, 前記抽出部は,前記用語に該当する原材料の配合量と前記化粧品に含まれる原材料の配合量とが一致するか否かにさらに基づいて抽出する,請求項1または2に記載の情報処理システム。 【請求項7】 前記データベースおよび前記化粧品処方内容は,前記原材料の配合量をさらに含み, 前記抽出部は,前記化粧品処方内容に含まれる原材料の配合量と前記用語に該当する原材料の配合量とが一致するか否かにさらに基づいて抽出する,請求項3に記載の情報処理システム。 【請求項8】 前記データベースおよび前記対応関係は,アイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報をさらに含み, 前記抽出部は,前記請求項についてのアイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報と前記化粧品についてのアイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報とが一致するか否かにさらに基づいて抽出する,請求項1または2に記載の情報処理システム。 【請求項9】 前記データベースおよび前記化粧品処方内容は,アイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報をさらに含み, 前記抽出部は,前記化粧品処方内容についてのアイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報と前記請求項についてのアイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報とが一致するか否かにさらに基づいて抽出する,請求項3に記載の情報処理システム。 【請求項10】(削除) 【請求項11】(削除) 【請求項12】 前記原材料は,INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)名,MID(Monograph ID),CAS(Chemical Abstracts Service)番号のいずれかによって特定される,請求項1から11のいずれか一項に記載の情報処理システム。 【請求項13】 情報処理システムが実行する方法であって, 特許情報または化粧品情報または化粧品処方内容を取得し,前記化粧品処方内容は原材料を含む,ステップと, 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と,前記用語に該当する原材料と,が対応付けられたデータベース,および,化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して,前記用語に該当する原材料と前記化粧品に含まれる原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した特許情報によって特定される請求項に記載されている用語に該当する原材料を含む化粧品を抽出する, あるいは, 前記データベース,および,化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して,前記化粧品に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した化粧品情報によって特定される化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する, あるいは, 前記データベースを参照して,前記化粧品処方内容に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した化粧品処方内容に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する,ステップと を含む方法。 【請求項14】 情報処理システムを, 特許情報または化粧品情報または化粧品処方内容を取得し,前記化粧品処方内容は原材料を含む,取得部, 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と,前記用語に該当する原材料と,が対応付けられたデータベース,および,化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して,前記用語に該当する原材料と前記化粧品に含まれる原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した特許情報によって特定される請求項に記載されている用語に該当する原材料を含む化粧品を抽出する, あるいは, 前記データベース,および,化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して,前記化粧品に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した化粧品情報によって特定される化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する, あるいは, 前記データベースを参照して,前記化粧品処方内容に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した化粧品処方内容に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する,抽出部 として機能させるためのプログラム。」 2.取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし14に係る発明についての特許に対して令和3年1月29日付けで通知した取消理由の概要は,次のとおりである。 請求項1に係る発明は,甲第1号証に記載された発明及び参考文献に記載された周知技術に基いて,請求項2-5,8-11,13-14に係る発明は,甲第1号証に記載された発明に基いて,請求項6-7に係る発明は,甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基いて,請求項12に係る発明は,甲第1号証に記載された発明及び甲第3の1号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明することができたものであって,請求項1-14に係る特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,取り消されるべきものである。 (2)甲号証の記載及び参考文献の記載 ア.甲第1号証 (ア)甲第1号証(特開2005-92794号公報)には,以下の事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。以下同様。) 「【0012】 以下,本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。(実施の形態1) まず,本発明の実施の形態1に係る知財評価装置について説明する。 図1は,本実施の形態1に係る知財評価装置の構成を示すブロック図である。 この知財評価装置1は,保有する特許の侵害調査を効率化する装置であり,サーバ装置やパーソナルコンピュータ等によって実現され,入力部10と,照合部11と,他社製品DB格納部12と,自社特許DB格納部13と,表示部14とを備える。」 「【0015】 ここで,他社製品DB120に記録されている情報について説明する。 図2は,他社製品DB120のデータ構造を示す図である。 図2に示すように,この他社製品DB120は,企業別または個人別の他社製品に関する情報が記述されるテーブルが複数連なって構成されており,一つ一つのテーブルには,どの企業または個人の製品に関する情報が記述されているテーブルであるかを示すためのタグが設けられている。 【0016】 また,各テーブルは,他社製品の属する技術分野を記述するための技術分野のフィールド,他社製品の名称を記述するための製品名のフィールド,他社製品における技術的な構成要素を記述するための要素技術のフィールド,および,その要素技術における技術的な特徴を記述するための特徴のフィールドが設けられており,これらのフィールドは,予め他社製品を徹底的に解析して,さらに要素技術ごとにその特徴を割り出すことによって,上記の他社製品に関する情報が記述されている。 なお,図2では,半導体装置を技術分野とし,その構造,材料,プロセス,回路およびパッケージを要素技術としたテーブルの一例を示している。」 「【図2】 ![]() 」 上記図2及び上記段落【0015】の記載から,“他社製品DBに記録されている情報”には,“要素技術として材料があ”ること,及び,“技術的な特徴は(節や文ではなく)語であ”ること,が読み取れる。 「【0017】 次に,自社特許DB130に記録されている情報について説明する。 図3は,自社特許DB130のデータ構造を示す図である。 図3に示すように,この自社特許DB130は,技術分野別で自社特許の内容に関する情報が記述されるテーブルが複数連なって構成されており,一つ一つのテーブルには,どの技術分野の自社特許に関する情報が記述されているテーブルであるかを示すためのタグが設けられている。 【0018】 また,各テーブルは,自社特許を識別するために付される個別の管理番号を記述するための管理Noのフィールド,自社特許を識別するために公的に付される出願番号等を記述するための出願番号のフィールド,自社特許が出願中のものであるのか,特許されて権利化済みのものであるのかを記述するためのステータスのフィールド,自社特許における技術的な構成要素を記述するための要素技術のフィールド,自社特許の特許請求の範囲(クレーム)の番号を記述するためのクレームNoのフィールド,および,クレームにおける技術的な特徴を記述するための特徴のフィールドが設けられており,これらのフィールドは,予め自社特許を解析して,さらに要素技術ごとにクレームを振り分け,クレームの特徴を割り出すことによって,上記の自社特許に関する情報が記述されている。」 「【図3】 ![]() 」 上記図3及び上記段落【0018】の記載から,“自社特許DBに記録されている情報”には,“要素技術として材料があ”ること,“特徴は語であ”ること,及び,“要素技術が材料のクレームNo.として6と7があ”ること,が読み取れる。 「【0034】 図9は,本実施の形態2に係る知財評価装置の構成を示すブロック図である。 図9に示すように,この知財評価装置2は,類似語DB格納部25と,照合部21において価値評価部26とを備える点で,上記実施の形態1に係る知財評価装置1と異なる。また,照合部21において,指定された他社製品と自社特許との照合に際して,種々のオプション条件の設定に従って検索および照合を行なう点で,上記実施の形態1に係る知財評価装置1と異なる。 【0035】 類似語DB格納部25は,上位概念と下位概念の関係にある等,相互に類似する語の集まりである類似語群に関する情報を記録した類似語データベース25a(以下,「類似語DB」という。)を格納するためのハードディスク等の記憶装置である。ここで,類似語群について,より具体的に説明すると,例えば,ゴムという語であれば,上位概念の関係にある弾性体という語や,この上位概念の他の下位概念に該当するバネという語等と共に1つの類似語群を形成することになる。また,類似語DB25aには,この類似語群が複数形成されて予め記録されている。 【0036】 照合部21は,上記実施の形態1の照合部11の機能に加えて,照合に関する種々のオプション条件の設定を受け付け,そのオプション条件に従って自社特許の検索および照合を行なう機能を有し,さらに,価値評価部26を備える。 ここにいうオプション条件としては,例えば,文言侵害だけでなく,均等論の適用の可能性を考慮して自社特許の検索・照合を行なうことや,他社製品と自社特許とを照合した際に一致する度合いを所定の計算式(例えば,一致する語について1語あたり1ポイントとする等)により数値化して照合度として示すこと,そして,他社とライセンス交渉を行なった場合に自社特許について徴収可能な実施料(自社特許の実施の対価)の予測額を他社製品の売上データから算出すること等がある。」 「【0040】 このように構成された知財評価装置2の処理動作について,以下説明する。 図12は,知財評価装置2の動作を示すフロー図である。 まず,知財評価装置2は,このフローに先立って,ユーザが所望する場合には,先に述べた照合に関するオプション条件の設定の入力を受け付けておく。 次に,知財評価装置2は,上記実施の形態1と同様に,入力部20を介して,ユーザから自社特許を侵害しているか否かの調査を所望する他社製品の指定の入力を受け付け(S30),照合部11において,指定された他社製品を,他社製品DB格納部22に格納されている他社製品DB220の中から検索し(S32),指定された他社製品を抽出し,要素技術毎の特徴を読み出してメモリに保持しておく。 【0041】 続いて,知財評価装置2は,照合部21において,照合に関するオプション条件の設定の有無を判断する(S34)。 照合に関するオプション条件の設定がある場合(S34のYes),知財評価装置2は,照合部21において,設定されたオプション条件とメモリに保持した他社製品の要素技術毎の特徴に基づいて,自社特許DB格納部23に格納されている自社特許DB230の中から同一の特徴を有する自社特許の検索を開始する(S36)。このとき,オプション条件として,均等論の適用の可能性を考慮して自社特許の検索・照合を行なうことが設定されていれば,照合部21は,類似語DB格納部25に格納されている類似語DB25aを参照しながら,自社特許の検索・照合を行なう。」 「【0051】 図15は,自社特許候補一覧画面の一例を示す図である。 図15に示す自社特許候補一覧画面例260は,知財評価装置2の上記処理動作における照合結果の出力表示画面の一例である。 このように,知財評価装置2は,照合部21において,設定された照合オプション条件に従って,他社製品毎の特徴と同一の特徴を有する自社特許をリストアップし,表示部24を介して自社特許候補リスト261として出力表示し,ユーザに,指定の他社製品によって侵害されている可能性のある自社特許を提示する。」 「【図7】 ![]() 」 自社特許候補一覧画面の一例を示す図である上記図7から,“要素技術が材料のクレームNo.として6が照合結果として表示され”ていること,が読み取れる。 (イ)上記甲第1号証の記載(特に下線部の記載)より,上記甲第1号証には,次の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 知財評価装置であって,入力部と,照合部と,他社製品DB格納部と,自社特許DB格納部と,表示部と,を備え, 他社製品DBに記録されている情報は, 製品名と,要素技術と,技術的な特徴を記述するための特徴であり, 要素技術として材料があり,技術的な特徴は語であり, 自社特許DBに記録されている情報は, 要素技術と,クレームNoと,クレームにおける技術的な特徴を記述するための特徴であり, 要素技術として材料があり,技術的な特徴は語であり,要素技術が材料のクレームNo.として6と7があり, 知財評価装置は,類似語DB格納部と価値評価部も備え, 類似語DBは,語と,下位概念に該当する語とで,1つの類似語群を形成して記録され, 価値評価部は,一致する語について1語あたり1ポイントとする等により数値化して照合度として示し, 入力部を介して,他社製品の指定の入力を受け付け, 照合部において,指定された他社製品の特徴を読み出し,他社製品の特徴に基づいて,自社特許DBの中から同一の特徴を有する自社特許の検索を行い,類似語DBを参照しながら,自社特許の検索・照合を行ない, 他社製品の特徴と同一の特徴を有する自社特許を,表示部を介して表示し, 要素技術が材料のクレームNo.として6が照合結果として表示される 知財評価装置。 イ.甲第2号証 (ア)甲第2号証(特開2006-18557号公報)には,以下の事項が記載されている。 「【0012】 本発明の特許マップ作成支援システム(1)は,数値限定を伴う特許情報の分析結果を出力するシステムであって,該特許情報のうち特許請求の範囲を取り出す取出し手段(11)と,該特許請求の範囲に記載された特定事項の数値範囲を分析する分析手段(13)と,前記分析手段による分析結果を出力する出力手段(40)とを有することによって上記の課題を解決する。」 「【0015】 尚,「出力手段」によって出力される態様は,利用者の希望する態様であればよく,分析手段によって分析されたデータを整理表としてモニタやプリンタに出力する場合や所定のデータ形式に変換してデータベースに記憶させる場合等がある。 【0016】 整理表の形式は特に限定されるものではないが,例えば合金の含有成分を整理表として作成する場合,成分を横または縦に展開し,範囲の上限と下限とを別の項目として分けて表示したり,「1?5%」と表示するなど,利用者が使い易い形式で表示すればよい。」 「【図6】 ![]() 」 (イ)上記甲第2号証の記載(特に下線部の記載)より,上記甲第2号証には,次の発明(以下,「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 特許マップ作成支援システムであって, 特許請求の範囲に記載された特定事項の数値範囲を分析し, 分析されたデータを整理表として出力し, 前記整理表は,含有成分と範囲を含む, 特許マップ作成支援システム。 ウ.甲第3の1号証 (ア)甲第3の1号証(化粧品原材料検索ツール「Cosmetic-Info.jp」カタログ)には,以下の事項が記載されている。 ![]() (イ)上記甲第3の1号証の記載(特に下線部の記載)より,上記甲第3の1号証には,次の発明(以下,「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 成分をINCI,及び,CASで表すデータベース。 エ.参考文献 (ア)参考文献(特開2005-115594号公報)には,以下の事項が記載されている。 「【0019】 このように構成された特許資産価値評価装置1の処理動作について,以下説明する。 図4は,特許資産価値評価装置1の動作の第1例を示すフロー図である。 まず,特許資産価値評価装置1は,入力部10を介して,ユーザから価値評価の対象となる特許(対象特許)の指定の入力を受け付ける(S10)。 次に,特許資産価値評価装置1は,価値判定部11において,指定された対象特許を,特許情報DB格納部12に格納されている特許情報DB120の中から検索し(S12),指定された対象特許を抽出し,要素技術毎の特徴を読み出してメモリに保持しておく。 【0020】 そして,特許資産価値評価装置1は,価値判定部11において,メモリに保持した対象特許の要素技術毎の特徴に基づいて,製品情報DB格納部13に格納されている製品情報DB130の中から同一の特徴を有する製品の検索を開始する(S14)。 ここで,特許資産価値評価装置1は,価値判定部11の使用度判定部15において,メモリに保持している対象特許の要素技術毎の特徴と,製品の要素技術毎の特徴とを照合し,両者がマッチング(一致)するか否かによって対象特許の使用度合いを判定する(S16)。この照合に際しては,文言一致だけでなく,自動翻訳ソフトウェア等で用いられる構文・意味解析機能も併用することにより照合の精度を向上させることが好ましい。 【0021】 すなわち,製品の要素技術の特徴が対象特許の要素技術の特徴とマッチングした場合(S16のYes),特許資産価値評価装置1は,価値判定部11において,その製品に関する情報を出力するためのリストに追加し(S18),そのリストをメモリに保持しておく。製品の要素技術の特徴が対象特許の要素技術の特徴とマッチングしなかった場合(S16のNo),または,リスト追加を終えると,特許資産価値評価装置1は,製品情報DB130に記録されている次の製品を検索し,全ての製品について対象特許の要素技術の特徴と照合するまでステップS16およびステップS18の動作を繰り返す(ループA)。」 (イ)上記参考文献の記載(特に下線部の記載)より,上記参考文献には,次の周知技術(以下,「周知技術1」という。)が記載されていると認められる。 特許資産価値評価装置であって, 入力部を介して対象特許の指定の入力を受け付け, 価値判定部において,対象特許の特徴と,製品の特徴とを照合し, 製品の特徴が対象特許の特徴とマッチングした場合,その製品に関する情報をメモリに保持しておく, 特許資産価値評価装置。 3.取消理由についての当審の判断 (1)特許法29条2項について ア.本件発明2について 事案に鑑みて,本件発明2について先に検討する。 (ア)対比 本件発明2と甲1発明とを対比する。 a.構成Aについて 甲1発明の「クレーム」及び「語」は,それぞれ,本件発明2の「請求項」及び「用語」に相当する。 また,「原材料」という単語は,原料または材料を意味するから,甲1発明の「材料」は,本件発明2の「原材料」に相当する。 そして,甲1発明の「自社特許DBに記録されている情報は,要素技術と,クレームNoと,クレームにおける技術的な特徴を記述するための特徴であり,要素技術として材料があり,技術的な特徴は語であり,要素技術が材料のクレームNo.として6と7があり」との記載から,甲1発明の「自社特許DB」は,「特許」文献の「クレーム」に記載されている「材料」“に関連づけられた”「語」を記録しているものと認められ,また,「DB」は,“データベース”を意味していることは明らかである。 してみると,本件発明2の「データベース」と,甲1発明の「自社特許DB」とは,下記の点(相違点1)で相違するものの,“特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語を記憶しているデータベース”である点で共通する。 b.構成Bについて 本件発明2の「取得部」と,甲1発明の「他社製品の指定の入力を受け付け」る「入力部」とは,下記の点(相違点2)で相違するものの,“製品情報を取得する取得部”である点で共通する。 c.構成Cについて 「他社製品DB」の「材料」の「語」は,“製品に含まれる原材料”であるといえるから,本件発明2の「対応関係」と,甲1発明の「他社製品DB」とは,下記の点(相違点2)で相違するものの,“製品と前記製品に含まれる原材料との対応関係”である点で共通するといえる。 甲1発明は,「類似語DB」に,ある「語」と,その「語」“に該当する”「下位概念に該当する語」が記録されることを含んでいる。 また,「類似語DB」の「下位概念に該当する語」は,「他社製品DB」の「材料」の「語」と同じであることを含んでいる。 そうすると,甲1発明は,「製品」に含まれる「材料」の「語」と,「下位概念に該当する語」とが「同一」であるか否かに基づいて,「入力を受け付け」た「他社製品の指定」によって特定される「製品」に含まれる「材料」に関連付けられた「語」が記載されている「クレーム」を“抽出”しているといえる。 したがって,本件発明2と,甲1発明とは,下記の点(相違点2)で相違するものの,“前記データベース,および,製品と前記製品に含まれる原材料との対応関係を参照して,前記製品に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した製品情報によって特定される製品に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する抽出部”を備えるものである点で共通する。 d.甲1発明の「知財評価装置」は,「入力部を介して,他社製品の指定の入力を受け付け,照合部において,指定された他社製品の特徴を読み出し,他社製品の特徴に基づいて,自社特許DBの中から同一の特徴を有する自社特許の検索を行い,類似語DB を参照しながら,自社特許の検索・照合を行ない,他社製品の特徴と同一の特徴を有する自社特許を表示部を介して表示し,要素技術が材料のクレームNo.として6が照合結果として表示される」という情報処理を実行するシステムであるので,本件発明2の「情報処理システム」に対応する。 e.上記a.?d.を踏まえると,本件発明2と甲1発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 (一致点) 「特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語を記憶しているデータベースと, 製品情報を取得する取得部と, 前記データベース,および,製品と前記製品に含まれる原材料との対応関係を参照して,前記製品に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて,前記取得した製品情報によって特定される製品に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する抽出部と を備えた情報処理システム。」 (相違点) (相違点1) 本件発明2は,「特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と,前記用語に該当する原材料と,が対応付けられたデータベース」を備えているのに対して,甲1発明は,“特許文献のクレームに記載されている材料に関連づけられた語を記録している自社特許DB”を備えている点。 (相違点2) 本件発明2は,取得するものは「化粧品情報」であり,参照する対応関係は「化粧品」と「化粧品に含まれる原材料」であり,抽出された請求項に記載されているものは「前記取得した化粧品情報によって特定される化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語」であるのに対して,甲1発明は,取得するものは「製品情報」であり,参照する対応関係は「製品」と「製品に含まれる原材料」であり,抽出された請求項に記載されているものは「前記取得した製品情報によって特定される製品に含まれる原材料に関連付けられた用語」である点。 (イ)判断 相違点1,2について判断する。 甲1発明は,「類似語DB」に,ある「語」と,その「語」“に該当する”「下位概念に該当する語」を記録していることを含んでいる。 また,「類似語DB」の「語」は,「自社特許DB」の「材料」の「語」と同じであることを含んでいる。 そうすると,その「類似語DB」の「語」の「下位概念に該当する語」は,“原材料に関連付けられた用語に該当する原材料”であるといえるから,本件発明2の「データベース」と,甲1発明の「類似語DB」とは,“原材料に関連付けられた用語と,前記用語に該当する原材料を記憶しているデータベース”である点で共通するといえる。 しかしながら,甲1発明は,一般的な製品の様々な特徴に対応する請求項を抽出するものであるので,請求項の語の下位概念に該当する語が他社製品DBに記録されている場合だけでなく,請求項の語の上位概念に該当する語が他社製品DBに記録されている場合もあり得る。 そのため,甲1発明は,類似語DBを,自社特許DB及び他社製品DBとは,別のDBとすることで,請求項の語の下位概念に該当する語が他社製品DBに記録されている場合だけでなく,請求項の語の上位概念に該当する語が他社製品DBに記録されている場合にも,請求項を抽出するようになっている。 よって,自社特許DBと類似語DBを非正規化し,1つのDBとする動機がない。 また,甲第2号証,甲第3の1号証,及び,参考文献にも,「特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と,前記用語に該当する原材料と,が対応付けられたデータベース」は記載されていない。 したがって,本件発明2は,甲第1号証に記載された発明(甲1発明),甲第2号証ないし甲第3の1号証に記載された発明,及び,参考文献に記載された周知技術1に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 イ.本件発明1,3,13,14について 本件発明1,3,13,14は,本件発明2の上記相違点に係る構成を備えるものであるから,本件発明2と同じ理由により,甲第1号証に記載された発明(甲1発明),甲第2号証ないし甲第3の1号証に記載された発明,及び,参考文献に記載された周知技術1に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 ウ.本件発明4-9,12について 本件発明4-9,12は,本件発明1,2または3をさらに減縮した発明であり,本件発明2の上記相違点に係る構成を備えるものであるから,本件発明2と同じ理由により,甲第1号証に記載された発明(甲1発明),甲第2号証ないし甲第3の1号証に記載された発明,及び,参考文献に記載された周知技術1に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。 エ.本件発明10,11について 本件発明10,11は削除された。 4.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要は,請求項2-5に係る発明は,甲第1号証に記載された発明であるから,請求項2-5に係る特許は,特許法29条1項3号の規定に違反してされたものであり,取り消されるべきものである,というものである。 しかしながら,上記3.(1)ア.?ウ.に記載した通り,請求項2-5に係る発明は,甲第1号証に記載された発明との間に相違点があるから,甲第1号証に記載された発明ではない。 第4 むすび 以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した異議申立ての理由及び証拠によっては,本件請求項1-9,12-14に係る特許を取り消すことはできない。また,他に取り消すべき理由を発見しない。 さらに,本件請求項10,11は,本件訂正請求による訂正により削除されたため,申立人による特許異議の申立てについて,本件請求項10,11に係る申立ては,申立ての対象が存在しないものとなった。 そのため,本件請求項10,11に係る特許異議の申立ては不適法であって,その補正をすることができないものであることから,特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と、前記用語に該当する原材料と、が対応付けられたデータベースと、 特許情報を取得する取得部と、 前記データベース、および、化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して、前記用語に該当する原材料と前記化粧品に含まれる原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した特許情報によって特定される請求項に記載されている用語に該当する原材料を含む化粧品を抽出する抽出部と を備えた情報処理システム。 【請求項2】 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と、前記用語に該当する原材料と、が対応付けられたデータベースと、 化粧品情報を取得する取得部と、 前記データベース、および、化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して、前記化粧品に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した化粧品情報によって特定される化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する抽出部と を備えた情報処理システム。 【請求項3】 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と、前記用語に該当する原材料と、が対応付けられたデータベースと、 化粧品処方内容を取得し、前記化粧品処方内容は原材料を含む、取得部と、 前記データベースを参照して、前記化粧品処方内容に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した化粧品処方内容に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する抽出部と を備えた情報処理システム。 【請求項4】 前記抽出部は、前記化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語のうちの全ての用語または一部の用語が記載されている請求項を抽出する、請求項2に記載の情報処理システム。 【請求項5】 前記抽出部は、前記化粧品処方内容に含まれる原材料に関連付けられた用語のうちの全ての用語または一部の用語が記載されている請求項を抽出する、請求項3に記載の情報処理システム。 【請求項6】 前記データベースおよび前記対応関係は、前記原材料の配合量をさらに含み、 前記抽出部は、前記用語に該当する原材料の配合量と前記化粧品に含まれる原材料の配合量とが一致するか否かにさらに基づいて抽出する、請求項1または2に記載の情報処理システム。 【請求項7】 前記データベースおよび前記化粧品処方内容は、前記原材料の配合量をさらに含み、 前記抽出部は、前記化粧品処方内容に含まれる原材料の配合量と前記用語に該当する原材料の配合量とが一致するか否かにさらに基づいて抽出する、請求項3に記載の情報処理システム。 【請求項8】 前記データベースおよび前記対応関係は、アイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報をさらに含み、 前記抽出部は、前記請求項についてのアイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報と前記化粧品についてのアイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報とが一致するか否かにさらに基づいて抽出する、請求項1または2に記載の情報処理システム。 【請求項9】 前記データベースおよび前記化粧品処方内容は、アイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報をさらに含み、 前記抽出部は、前記化粧品処方内容についてのアイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報と前記請求項についてのアイテム分類と容器と適用先と乳化型と剤型と粘度とpHとのうちの少なくとも1つの情報とが一致するか否かにさらに基づいて抽出する、請求項3に記載の情報処理システム。 【請求項10】(削除) 【請求項11】(削除) 【請求項12】 前記原材料は、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)名、MID(Monograph ID)、CAS(Chemical Abstracts Service)番号のいずれかによって特定される、請求項1から11のいずれか一項に記載の情報処理システム。 【請求項13】 情報処理システムが実行する方法であって、 特許情報または化粧品情報または化粧品処方内容を取得し、前記化粧品処方内容は原材料を含む、ステップと、 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と、前記用語に該当する原材料と、が対応付けられたデータベース、および、化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して、前記用語に該当する原材料と前記化粧品に含まれる原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した特許情報によって特定される請求項に記載されている用語に該当する原材料を含む化粧品を抽出する、 あるいは、 前記データベース、および、化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して、前記化粧品に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した化粧品情報によって特定される化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する、 あるいは、 前記データベースを参照して、前記化粧品処方内容に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した化粧品処方内容に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する、ステップと を含む方法。 【請求項14】 情報処理システムを、 特許情報または化粧品情報または化粧品処方内容を取得し、前記化粧品処方内容は原材料を含む、取得部、 特許文献の請求項に記載されている原材料に関連付けられた用語と、前記用語に該当する原材料と、が対応付けられたデータベース、および、化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して、前記用語に該当する原材料と前記化粧品に含まれる原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した特許情報によって特定される請求項に記載されている用語に該当する原材料を含む化粧品を抽出する、 あるいは、 前記データベース、および、化粧品と前記化粧品に含まれる原材料との対応関係を参照して、前記化粧品に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した化粧品製品情報によって特定される化粧品に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する、 あるいは、 前記データベースを参照して、前記化粧品処方内容に含まれる原材料と前記用語に該当する原材料とが一致するか否かに基づいて、前記取得した化粧品処方内容に含まれる原材料に関連付けられた用語が記載されている請求項を抽出する、抽出部 として機能させるためのプログラム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2021-09-24 |
出願番号 | 特願2019-197177(P2019-197177) |
審決分類 |
P
1
651・
841-
YAA
(G06Q)
P 1 651・ 113- YAA (G06Q) P 1 651・ 121- YAA (G06Q) P 1 651・ 851- YAA (G06Q) P 1 651・ 854- YAA (G06Q) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鹿野 博嗣 |
特許庁審判長 |
田中 秀人 |
特許庁審判官 |
須田 勝巳 塚田 肇 |
登録日 | 2020-04-20 |
登録番号 | 特許第6694104号(P6694104) |
権利者 | 株式会社 資生堂 |
発明の名称 | 情報処理システム、方法、プログラム |
復代理人 | 新川 圭二 |
復代理人 | 新川 圭二 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠重 |
復代理人 | 山下 真由美 |
復代理人 | 山下 真由美 |
復代理人 | 山口 昭則 |
復代理人 | 山口 昭則 |