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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 A61F 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61F |
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管理番号 | 1379830 |
異議申立番号 | 異議2020-700073 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-02-12 |
確定日 | 2021-10-08 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6560015号発明「使い捨ておむつ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6560015号の明細書、特許請求の範囲を令和3年2月4日に提出された訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。 特許第6560015号の請求項1?6、8、11及び12に係る特許を維持する。 特許第6560015号の請求項7、9及び10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6560015号の請求項1?12に係る特許についての出願は、平成27年4月27日(優先権主張 平成26年5月30日)に出願したものであって、令和元年7月26日に特許権の設定登録がされ、令和元年8月14日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和2年2月12日:特許異議申立人特許業務法人朝日奈特許事務所(以下「申立人A」という。)による特許異議の申立て 令和2年2月13日:特許異議申立人岡林茂(以下「申立人B」という。)による特許異議の申立て 令和2年3月31日付け:取消理由通知書 令和2年5月29日:特許権者による意見書の提出 令和2年6月30日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和2年9月4日:特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 令和2年10月14日:申立人Aによる意見書の提出 令和2年10月30日:申立人Bによる意見書の提出 令和2年12月4日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和3年2月4日:特許権者による訂正請求書及び意見書の提出 なお、令和2年9月4日提出の訂正請求書は、令和3年2月4日に訂正請求書が提出されたことによって、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、令和3年2月4日に提出された訂正請求書について、特許法第120条の5第5項の規定により、申立人A及び申立人Bに対して、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、意見書は提出されなかった。 第2 訂正の請求についての判断 1 訂正の内容 令和3年2月4日提出の訂正請求書による訂正の請求は、「特許第6560015号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?12について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(下線は,訂正箇所に当審で付した。)。 (訂正事項1) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に 「表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備する使い捨ておむつであって、 前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からなり、 前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下であり、その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、そのMDバルクソフトネスが5.0cN以下である使い捨ておむつ。」とあるのを、 「着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備する使い捨ておむつであって、 前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からなり、 前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下であり、その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、そのMDバルクソフトネスが3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmであり、 前記外装体は、着用者の腹側に配される腹側外装体と、背側に配される背側外装体とを有し、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記外層シートと、該外層シートの内面側に配され、前記使い捨ておむつの内面を形成する内層シートと、それらシート間に配された複数の弾性部材とを含んで構成されており、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記縦方向に沿う両外側縁に、前記外層シートと前記内層シートとの間が接合された一対の外側固定領域を有し、 前記複数の弾性部材は、前記一対の外側固定領域それぞれにおいては、前記外層シートと前記内層シートとの間に固定され、該一対の外側固定領域間においては、該外層シート及び該内層シートの何れにも固定されていない使い捨ておむつ。」に訂正する。(請求項1を引用する請求項2?6、8、11、12についても同様に訂正する。) (訂正事項2) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項2に 「前記スパンボンド不織布は、その一面の表面積に占める該スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部の合計面積の割合(エンボス率)が、15%以下である請求項1に記載の使い捨ておむつ。」とあるのを、 「前記スパンボンド不織布は、その一面の表面積に占める該スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部の合計面積の割合(エンボス率)が、15%以下であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記一対の外側固定領域間に、前記横方向に伸縮性を有する伸縮部を有し、 前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下である請求項1に記載の使い捨ておむつ。」に訂正する。(請求項2を引用する請求項3?6、8、11についても同様に訂正する。) (訂正事項3) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (訂正事項4) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項8に 「前記スパンボンド不織布は、構成する繊維の配向方向に直交する方向の破断強度が7.0N/50mm以上である請求項1?7の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。」 とあるのを、 「前記スパンボンド不織布は、構成する繊維の配向方向に直交する方向の破断強度が7.0N/50mm以上であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記吸収性本体よりも外方において、前記外層シートと前記内層シートとが部分的に接合された部分接合領域を有し、 前記部分接合領域は、前記外層シートと前記内層シートとを、前記縦方向及び前記横方向にて、熱融着によって間欠的に接合した複数の外装体熱融着部により形成されており、 ^( )前記部分接合領域においては、前記複数の弾性部材が前記複数の外装体融着部を通らないように横方向に伸長状態で配され、かつ伸長状態で配された該弾性部材の両端部が前記外層シートと前記内層シートとの間に固定されており、該外層シート及び該内層シートのそれぞれが、該複数の弾性部材に亘って連続して延びる複数本の襞を形成している請求項1?6の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。」に訂正する。(請求項8を引用する請求項11、12についても同様に訂正 する。) (訂正事項5) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項9を削除する。 (訂正事項6) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項10を削除する。 (訂正事項7) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項11に 「請求項10に記載の使い捨ておむつ。」とあるのを、 「請求項8に記載の使い捨ておむつ。」に訂正する。(請求項11を引用する請求項12についても同様に訂正する。) (訂正事項8) 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項12に 「前記スパンボンド不織布は、その表面粗さの平均偏差SMDが2.945以上である請求項1?11の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。」とあるのを、 「前記スパンボンド不織布は、その表面粗さの平均偏差SMDが2.945以上であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記一対の外側固定領域間に、前記横方向に伸縮性を有する伸縮部を有し、 前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下である請求項1、3?6、8及び11の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。」に訂正する。 (訂正事項9) 本件訂正前の明細書の【0091】に 「以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。」とあるのを、 「以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。尚、実施例3、4及び6は参考例である。」に訂正する。 ここで、訂正前の請求項1?12は、請求項2?12が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1?12〕について請求されている。 また、訂正事項9は、実施例4と参考例とを整理するものであるから、一群の請求項1?12に関係する訂正であるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 上記訂正事項1は、訂正前の請求項1の「使い捨ておむつ」について「着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有」するものに限定し、「外装体」について「前記外装体は、着用者の腹側に配される腹側外装体と、背側に配される背側外装体とを有し、前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記外層シートと、該外層シートの内面側に配され、前記使い捨ておむつの内面を形成する内層シートと、それらシート間に配された複数の弾性部材とを含んで構成されており、前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記縦方向に沿う両外側縁に、前記外層シートと前記内層シートとの間が接合された一対の外側固定領域を有し、前記複数の弾性部材は、前記一対の外側固定領域それぞれにおいては、前記外層シートと前記内層シートとの間に固定され、該一対の外側固定領域間においては、該外層シート及び該内層シートの何れにも固定されていない」ものに限定し、さらに「スパンボンド不織布」について、そのMDバルクソフトネスが「5.0cN以下」から「3.0?3.3cN」にその範囲を狭め、「その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mm」のものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項1は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項1は、本件特許明細書の【0013】、【0014】、【0018】、【0054】、【0056】及び【0101】の【表1】の実施例1及び2に係る記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 上記訂正事項2は、訂正前の請求項2の「使い捨ておむつ」について、「前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記一対の外側固定領域間に、前記横方向に伸縮性を有する伸縮部を有し、前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD2が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下である」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項2は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項2は、本件特許明細書の【0056】、【0067】、【0068】、【0070】及び【0072】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 上記訂正事項3は、訂正前の請求項7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項3は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項3は、上記アのとおりであるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的 上記訂正事項4は、訂正前の請求項8の「使い捨ておむつ」について、「前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記吸収性本体よりも外方において、前記外層シートと前記内層シートとが部分的に接合された部分接合領域を有し、前記部分接合領域は、前記外層シートと前記内層シートとを、前記縦方向及び前記横方向にて、熱融着によって間欠的に接合した複数の外装体熱融着部により形成されており、前記部分接合領域においては、前記複数の弾性部材が前記複数の外装体融着部を通らないように横方向に伸長状態で配され、かつ伸長状態で配された該弾性部材の両端部が前記外層シートと前記内層シートとの間に固定されており、該外層シート及び該内層シートのそれぞれが、該複数の弾性部材に亘って連続して延びる複数本の襞を形成している」ものに限定し、さらに、上記訂正事項3で請求項7が削除されたことにより、引用する請求項から請求項7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項4は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項4は、本件特許明細書の【0052】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的 上記訂正事項5は、訂正前の請求項9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項5は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項5は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (6)訂正事項6について ア 訂正の目的 上記訂正事項6は、訂正前の請求項10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項6は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項6は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (7)訂正事項7について ア 訂正の目的 上記訂正事項7は、訂正事項1及び4により、請求項8に請求項9及び10の発明特定事項が限定されたことに伴い、請求項11が引用する請求項を請求項10から請求項8に変更するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項7は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項7は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (8)訂正事項8について ア 訂正の目的 上記訂正事項8は、訂正前の請求項12の「使い捨ておむつ」について、「前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記一対の外側固定領域間に、前記横方向に伸縮性を有する伸縮部を有し、前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD2が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下である」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項8は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項8は、本件特許明細書の【0056】、【0067】、【0068】、【0070】及び【0072】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (9)訂正事項9について ア 訂正の目的 上記訂正事項9は、訂正事項1に係る訂正に伴い明細書中の実施例3、4及び6が請求項1に係る発明の実施例でなくなったことから、明細書の記載を整合させるものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項9は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項9は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 (10)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において準用する同法第126条第4項?第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?12〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記のとおり本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1?6、8、11、12に係る発明(以下「本件発明1?6、8、11、12」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?6、8、11、12に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備する使い捨ておむつであって、 前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からなり、 前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下であり、その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、そのMDバルクソフトネスが3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmであり、 前記外装体は、着用者の腹側に配される腹側外装体と、背側に配される背側外装体とを有し、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記外層シートと、該外層ートの内面側に配され、前記使い捨ておむつの内面を形成する内層シートと、それらシート間に配された複数の弾性部材とを含んで構成されており、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記縦方向に沿う両外側縁に、前記外層シートと前記内層シートとの間が接合された一対の外側固定領域を有し、 前記複数の弾性部材は、前記一対の外側固定領域それぞれにおいては、前記外層シートと前記内層シートとの間に固定され、該一対の外側固定領域間においては、該外層シート及び該内層シートの何れにも固定されていない使い捨ておむつ。 【請求項2】 前記スパンボンド不織布は、その一面の表面積に占める該スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部の合計面積の割合(エンボス率)が、15%以下であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記一対の外側固定領域間に、前記横方向に伸縮性を有する伸縮部を有し、 前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下である請求項1に記載の使い捨ておむつ。 【請求項3】 前記スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部は、個々の面積が0.3mm^(2)以下である請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。 【請求項4】 前記スパンボンド不織布は、起毛処理が施されている請求項1?3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 【請求項5】 前記スパンボンド不織布は、軟化剤として、界面活性剤、パラフィンオイルの内の少なくとも1を含んでいる請求項1?4の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 【請求項6】 前記スパンボンド不織布は、捲縮長繊維の含有率が30質量%以上100質量%以下である請求項1?5の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 【請求項8】 前記スパンボンド不織布は、構成する繊維の配向方向に直交する方向の破断強度が7.0N/50mm以上であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記吸収性本体よりも外方において、前記外層シートと前記内層シートとが部分的に接合された部分接合領域を有し、 前記部分接合領域は、前記外層シートと前記内層シートとを、前記縦方向及び前記横方向にて、熱融着によって間欠的に接合した複数の外装体熱融着部により形成されており、 前記部分接合領域においては、前記複数の弾性部材が前記複数の外装体融着部を通らないように横方向に伸長状態で配され、かつ伸長状態で配された該弾性部材の両端部が前記外層シートと前記内層シートとの間に固定されており、該外層シート及び該内層シートのそれぞれが、該複数の弾性部材に亘って連続して延びる複数本の壁を形成している請求項1?6の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 【請求項11】 前記外層シート及び前記内層シートを構成する繊維の繊維配向方向が、前記使い捨ておむつの横方向と同じ方向であり、 前記外装体融着部は、前記繊維配向方向に直交する方向に長い矩形状である請求項8に記載の使い捨ておむつ。 【請求項12】 前記スパンボンド不織布は、その表面粗さの平均偏差SMDが2.945以上であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記一対の外側固定領域間に、前記横方向に伸縮性を有する伸縮部を有し、 前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下である請求項1、3?6、8及び11の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。」 第4 当審の判断 1 取消理由(決定の予告)の概要 本件訂正前の本件発明1?8、11、12に対して通知した、令和2年12月4日付け取消理由通知(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)本件発明1?8、11、12は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用例8に記載された発明及び引用例1?11に記載の事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1?8、11、12係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <刊行物> 申立人Aによる特許異議申立書に添付された証拠 引用例1:特開2013-5879号公報(甲第1号証) 引用例2:特開2010-273972号公報(甲第2号証) 引用例3:特開2011-224386号公報(甲第3号証) 引用例4:特開2009-120975号公報(甲第4号証) 引用例5:特開2011-67602号公報(甲第5号証) 引用例6:特開2013-176708号公報(甲第6号証) 引用例7:特開2009-56142号公報(甲第7号証) 申立人Bによる特許異議申立書に添付された証拠 引用例8:特開2012-92475号公報(甲第1号証) 引用例9:松平光男、’紙おむつトップシートの基本風合い及び総合風合い客観評価法’、日本衣服学会誌、2010、Vol.54、No.1、p.1?10(甲第2号証) 引用例10:特開2011-224386号公報(甲第3号証) 引用例11:特開2006-233364号公報(甲第4号証) また、申立人A、Bより、以下の証拠が提出されている。 申立人Aによる令和2年10月14日の意見書に添付された証拠 引用例12:特開2012-148069号公報(甲第8号証) 引用例13:特開2013-116196号公報(甲第9号証) 引用例14:特開2013-128516号公報(甲第10号証) 申立人Bによる令和2年10月30日の意見書に添付された証拠 引用例15:特開2013-202056号公報(公知資料1) 2 取消理由(決定の予告)についての当審の判断 (1)本件発明1について ア 引用例8記載の事項 引用例8には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、長繊維からなる不織布に関する。 【背景技術】 【0002】 例えば、使い捨ておむつ等の吸収性物品には、破断強度が高く加工適正に優れ、しかも経済的であるとの理由からスパンボンド不織布が多用されている。しかし、スパンボンド不織布は、その製造法上、全体にふっくら感等が足らず、肌触り(風合い)を向上させることが難しかった。」 (イ)「【0006】 したがって、本発明の課題は、破断強度が高いにも拘わらず、全体にふっくら感があり、肌触りの向上した不織布を提供することにある。また、本発明の課題は、ループ状の繊維が少なく、肌に引っかかり難く肌触りの向上した不織布を提供することにある。」 (ウ)「【0037】 起毛している繊維の高さ、及び起毛している繊維に加えて不織布1のバルクソフトネスが8.0cN以下であることが、柔軟なものが得られ肌触りに優れる点で好ましい。さらに0.5?3.0cNであることが、乳児や幼児のうぶ着のようなしなやかなものになる点で好ましい。バルクソフトネスは、以下の測定法により測定する。」 (エ)「【0053】 不織布1の利用範囲は、主として使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品における構成部材に好適に用いられる。構成部材としては、例えば、表面シート、裏面シート、外装体を構成するシート等が挙げられる。不織布1の利用範囲は、その他、清掃用シートにも好適に用いられる。以下、不織布1を利用した使い捨ておむつを例に挙げ、具体的に説明する。 【0054】 パンツ型使い捨ておむつ100は、図7に示すように、吸収体40を含む吸収性本体50と、吸収性本体50の非肌当接面側に位置して該吸収性本体50を固定している外包材60とを備えている。 吸収性本体50は、図8に示すように、液透過性の表面シート70、液不透過性(撥水性も含む)の裏面シート80及び両シート70,80間に介在された液保持性の吸収体40を有しており、実質的に縦長である。 外包材60は、着用者の背側に配される背側部A、腹側に配される腹側部B、それらの間に位置し股間部に配される股下部Cを有しており、背側部Aと腹側部Bの両側縁部6a,6b同士が接合されて、一対のサイドシール部(図示せず)、一対のレッグ開口部(図示せず)及びウエスト開口部(図示せず)が形成される。また、外包材60は、おむつの外面を形成する外層シート62、その肌当接面側に位置して部分的に該外層シート62と接合された内層シート61を有しており、ウエスト開口部及びレッグ開口部を形成するウエスト部及びレッグ部6dにおける両シート61,62間に、ギャザー形成用のウエスト部弾性部材63及びレッグ部弾性部材64が配されている。 【0055】 吸収性本体50は、図7に示すように、外包材60の背側部Aから腹側部Bに跨って配設されており、吸収性本体50の長手方向の両端部は、外包材60の長手方向の両端部よりも長手方向の内方に後退した位置にある。吸収性本体50は、図8に示すように、吸収性本体50の裏面シート80の非肌当接面が、接着剤、ヒートシール、超音波シール等による接合法によって外包材60の内層シート61の肌当接面に接合されている。 吸収性本体50の長手方向の両側部には、図7に示すように、液不透過性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス55,55が設けられている。各側方カフス55の自由端部近傍には、側方カフス形成用の弾性部材56が伸長状態で配設固定されている。側方カフス55は、おむつの装着時に自由端部側が起立し、吸収性本体50の幅方向への排泄物の流出を阻止することができる。側方カフス55形成用シートは、図8に示すように、吸収性本体50の幅方向外方の所定幅の部分55aが、吸収体40の非肌当接面側に巻き込まれて、吸収体40と裏面シート80との間に固定されている。尚、所定幅の部分55aが、裏面シート30と外包材60との間に固定されていてもよい。 【0056】 本発明に係る不織布は、外層シート62として好ましく用いられる。また、表面シート70、裏面シート80、側方カフス55形成用シート、内層シート61として、本発明に係る起毛不織布を用いることもできる。本発明に係る不織布を使用しない場合の各部の部材には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート70としては、液透過性の不織布や、開孔フィルム、これらの積層体等を用いることができ、裏面シート80としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。側方カフス55形成用シートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。内層シート61及び外層シート62としては、撥水性の不織布等を用いることができる。」 (オ)「【0062】 〔実施例1〕 繊維径14.7μmのエチレンプロピレン共重合体樹脂からなるスパンボンドの層を有する、坪量15g/m^(2)の不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布、以下SMSともいう)を使用した(この状態の不織布を比較例5とする。)。次に、このSMS不織布を、図3に示すスチールマッチングエンボスローラー43に通し、図4に示す凸ロール51により表面加工し、二段階処理して不織布を得た。用いたスチールマッチングエンボスローラー43のロール41における各凸部410は、その高さが2.8mmであり、ロール41の各凸部410とロール42の各凹部420との噛み合いの深さは、2.7mmであった。また、回転軸方向に隣り合う凸部410同士の距離(ピッチ)は、7mmであり、周方向に隣り合う凸部410同士の距離(ピッチ)は、7mmであった。また、用いた凸ロール51の各凸部510の高さは、0.6mmであり、回転軸方向に隣り合う凸部510同士の距離(ピッチ)は、1.4mmであり、周方向に隣り合う凸部510同士の距離(ピッチ)は、2.1mmであった。不織布の搬送方向に対して、逆方向に4倍の速度で凸ロールを回転させた。抱き角は130度であった。それぞれの搬送速度は10m/分であった。 【0063】 〔実施例2〕 繊維径17.7μmのプロピレン樹脂からなるスパンボンドの層を有する、坪量15g/m^(2)の不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布、以下SMSともいう)を使用した。次に、このSMS不織布を、実施例1と同様の条件で二段階処理して不織布を得た。 【0064】 〔実施例3〕 繊維径12.9μmのプロピレン樹脂からなるスパンボンドの層を有する、坪量18g/m^(2)の不織布(スパンボンド-スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布、以下SSMSともいう。このSSMS不織布の両面のスパンボンドの層には、柔軟剤を練りこんである。)を使用した。次に、このSSMS不織布を、実施例1と同様の条件で二段階処理して不織布を得た。 【0065】 〔実施例4〕 繊維径14.6μmのプロピレン樹脂からなるスパンボンドの層を有する、坪量12g/m^(2)(スパンボンド-メルトブローン-メルトブローン-スパンボンド積層不織布、以下SMMSともいう)の不織布を使用した。次に、このSMMS不織布を、実施例1と同様の条件で二段階処理して不織布を得た。 【0066】 〔実施例5〕 繊維径14.9μmのエチレンプロピレン共重合体樹脂からなるスパンボンドの層を有する、坪量18g/m^(2)(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布、以下SMSともいう)の不織布を使用した。また、このSMSの不織布の片面のスパンボンドの層には柔軟剤を練りこんである。次に、このSMS不織布の柔軟剤を練りこんだ層側を、実施例1と同様の条件で二段階処理して不織布を得た。 【0067】 〔実施例6〕 繊維径15.0μmのエチレンプロピレン共重合体樹脂からなるスパンボンドの層を有する、坪量18g/m^(2)(スパンボンド-スパンボンド-スパンボンド積層不織布、以下SSSともいう)の不織布を使用した。また、このSSSの不織布には柔軟剤を練りこんである。次に、このSSS不織布を、実施例1と同様の条件で二段階処理して不織布を得た。 【0068】 〔実施例7〕 繊維径14.9μmのプロピレン樹脂からなるスパンボンドの層を有する、坪量18g/m^(2)(スパンボンド-スパンボンド-スパンボンド積層不織布、以下SSSともいう)の不織布を使用した。次に、このSSS不織布を、実施例1と同様の条件で二段階処理して不織布を得た。」 イ 引用例8記載の発明 引用例8の【0053】?【0056】には、表面シート70、裏面シート80及び両シート70、80間に介在された吸収体40を有する吸収性本体50と、おむつの外面を形成する外層シート62とその肌当接面側に位置する内層シート61を有する外包材60とを具備するパンツ型使い捨ておむつ100であって、外層シート62に実施例1?7の不織布を用いることが記載されているから、特に、実施例1、4、6の不織布を用いるものに着目すると、引用例8には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「表面シート70、裏面シート80及び両シート70、80間に介在された吸収体40を有する吸収性本体50と、おむつの外面を形成する外層シート62とその肌当接面側に位置する内層シート61を有する外包材60とを具備するパンツ型使い捨ておむつ100であって、 外層シート62に坪量15g/m^(2)、18g/m^(2)、又は12g/m^(2)の不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布)を使用したパンツ型使い捨ておむつ100。」 ウ 対比 本件発明1と引用発明とを対比すると、 (ア)引用発明の「不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布)」は、その機能から、本件発明1の「スパンボンド不織布」に相当し、同様に「表面シート70」は「表面シート」に、「裏面シート80」は「裏面シート」に、「吸収体40」は「吸収体」に、「吸収性本体50」は「吸収性本体」に、「外包材60」は「外装体」に、「おむつの外面を形成する外層シート62」は「吸収性本体の非肌対向面側に配された外層シート」に、「パンツ型使い捨ておむつ100」は「使い捨ておむつ」にそれぞれ相当する。 また、引用発明の「パンツ型使い捨ておむつ100」は、着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有することは、明らかである。 (イ)引用発明の「おむつの外面を形成する外層シート62」に「不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布)を使用した」ことは、本件発明1の「前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からな」ることに相当する。 (ウ)引用発明の「外層シート62」の「不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布)」が「坪量15g/m^(2)、18g/m^(2)、又は12g/m^(2)」であることは、本件発明1の「前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下であ」ることに相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、かつ、相違する。 <一致点> 「着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備する使い捨ておむつであって、 前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からなり、 前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下である使い捨ておむつ。」 <相違点1> 外層シートのスパンボンド不織布について、本件発明1は、「その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、そのMDバルクソフトネスが3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmであ」るのに対して、引用発明は、不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布)の表面粗さの平均偏差SMD、摩擦係数の平均偏差MMD、MDバルクソフトネス、微少荷重時の圧縮特性値が不明である点。 <相違点2> 本件発明1は、「前記外装体は、着用者の腹側に配される腹側外装体と、背側に配される背側外装体とを有し、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記外層シートと、該外層シートの内面側に配され、前記使い捨ておむつの内面を形成する内層シートと、それらシート間に配された複数の弾性部材とを含んで構成されており、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記縦方向に沿う両外側縁に、前記外層シートと前記内層シートとの間が接合された一対の外側固定領域を有し、 前記複数の弾性部材は、前記一対の外側固定領域それぞれにおいては、前記外層シートと前記内層シートとの間に固定され、該一対の外側固定領域間においては、該外層シート及び該内層シートの何れにも固定されていない」のに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 エ 判断 以下、相違点について検討する。 <相違点1について> 引用例1?3、5、9?11には、以下の記載がある。 (ア)引用例1 「【0044】 起毛している繊維の高さ、及び起毛している繊維に加えて立体ギャザー形成用シート24のバルクソフトネスが8.0cN以下であることが、柔軟なものが得られ肌触りに優れる点で好ましい。さらに0.5?3.0cNであることが、乳児や幼児のうぶ着のようなしなやかなものになる点で好ましい。バルクソフトネスは、以下の測定法により測定する。」 (イ)引用例2 「【0140】 さらに、吸収材59の偏在の影響を軽減するために、第2シート58におけるセル56C内面に露出する部分において、平均表面摩擦係数MIUを0.2以下、特に0.05?0.15とし、表面摩擦係数の変動偏差MMDを0.01以下、特に0.003?0.008とし、また表面粗さSMDを10マイクロメートル以下、特に3?7マイクロメートルとするのが好ましい。」 (ウ)引用例3 「【0135】 さらに、吸収材59の偏在の影響を軽減するために、第2シート58におけるセル56C内面に露出する部分において、平均表面摩擦係数MIUを0.2以下、特に0.05?0.15とし、表面摩擦係数の変動偏差MMDを0.01以下、特に0.003?0.008とし、また表面粗さSMDを10マイクロメートル以下、特に3?7マイクロメートルとするのが好ましい。」 (エ)引用例5 「【0091】 また、表面特性において、各パラメータの数値が大きいほどに、摩擦特性が高く、表面がざらついていたり、表面上の凹凸形状が大きいことを意味するが、本実施例のおむつの積層シートは、比較例のそれよりも、平均摩擦係数MIU、摩擦係数の平均偏差MMD及び表面粗さの平均偏差SMDのいずれとも小さく、これらのおむつよりも内面(肌対向面)がなめらかであって、肌触りが良好であることを示している。」 (オ)引用例9 「”なめらかさ”については、表面粗さ;SMDや、表面摩擦係数の変動:MMDが小さい程なめらかであることを意味している。」(3頁右欄14?16行) (カ)引用例10 「【請求項6】 前記第2シートにおける前記セル内面に露出する部分は、平均表面摩擦係数MIUが0.2以下、表面摩擦係数の変動偏差MMDが0.01以下、且つ表面粗さSMDが10マイクロメートル以下である、請求項5記載の吸収性物品。」 「【0135】 さらに、吸収材59の偏在の影響を軽減するために、第2シート58におけるセル56C内面に露出する部分において、平均表面摩擦係数MIUを0.2以下、特に0.05?0.15とし、表面摩擦係数の変動偏差MMDを0.01以下、特に0.003?0.008とし、また表面粗さSMDを10マイクロメートル以下、特に3?7マイクロメートルとするのが好ましい。なお、これらはいずれもセルの延在方向に関する数値とする。このように、第2シート58におけるセル56C内面に露出する部分と吸収材59との摩擦がある程度弱いと、吸収材59はセル56C内で偏在していても、吸収膨張の際、第2シート58に接触した後に第2シート58の内面に沿って移動し、吸収材59が広がり易くなり、偏在が低減されるようになる。」 (キ)引用例11 「【請求項1】 一方の表面を含む第1層と、他方の表面を含む第2層とを有し、第2層の密度が第1層の密度よりも低くなっている、エアスルー法によって製造された不織布であって、 少なくとも第1層に含まれる繊維はその横断面が扁平になっており、該繊維はその横断面の長軸方向が前記不織布の平面方向に概ね配向しており、 第1層側の表面は、その表面粗さの平均偏差SMDが2.5μm以下で且つ摩擦係数の平均偏差MMDが0.008未満であり、 前記不織布の圧縮特性の線形性LCが0.3以下で且つ曲げ剛性Bが0.03cN・cm^(2)/cm以下である不織布。」 「【0018】 第1層が以上の構成を有することで、不織布における第1層側の表面は、その表面粗さの平均偏差(以下SMDという)が2.5μm以下、好ましくは2.3μm以下という極めて低い値となる。SMDの下限値に特に制限はなく0に近ければ近いほど好ましいが、下限値が1.0μm、特に0.5μm程度に低くなれば、不織布に十分ななめらかさが付与される。 【0019】 また不織布における第1層側の表面は、その摩擦係数の平均偏差(以下MMDという)が0.008未満、好ましくは0.006以下という極めて低い値となる。MMDの下限値に特に制限はなく0に近ければ近いほど好ましいが、下限値が0.004、特に0.003程度に低くなれば、不織布に十分ななめらかさが付与される。」 そうすると、以上の摘記事項から、不織布において、摩擦係数の平均偏差MMD及び表面粗さの平均偏差SMDのいずれもが小さいほど、肌触りが良好となることは技術常識であるといえ、さらに、摩擦係数の平均偏差MMDを0.0085以下、表面粗さの平均偏差SMDを3.20μm以下とすることは、通常採用される程度の範囲のものであるといえる。 しかし、引用例8には、「起毛している繊維の高さ、及び起毛している繊維に加えて不織布1のバルクソフトネスが8.0cN以下であることが、柔軟なものが得られ肌触りに優れる点で好ましい。さらに0.5?3.0cNであることが、乳児や幼児のうぶ着のようなしなやかなものになる点で好ましい。」(【0037】)と記載されており、引用例1の上記(ア)の記載を踏まえても、そのMDバルクソフトネスを3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmとすることを示唆する記載はない。 また、引用例2?7、9?11にも、 そのMDバルクソフトネスを3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmとすることを示唆する記載はない。 そうすると、本件発明1は、本件特許明細書の【0101】の【表1】の記載から、そのMDバルクソフトネスを3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmとすることで、MDバルクソフトネス及び微少荷重時の圧縮特性値が他の範囲のものより、「肌触りの評価結果」の高いものを得ることができたものであるところ、引用発明の不織布(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布)のMDバルクソフトネスを3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmとする理由はない。 したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本件発明1の事項とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 オ 小括 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及び引用例1?11記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件発明2?6、8、11、12について 本件発明2?6、8、11、12は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、さらに限定を加えるものであるから、本件発明2?6、8、11、12と引用発明とを対比すると、少なくとも上記<相違点1>及び<相違点2>で相違する。 そして、相違点1については、上記(1)エで検討したとおりであるから、本件発明2?6、8、11、12は、引用発明及び引用例1?11記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 取消理由(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断 (1)引用例1を主引用発明とした進歩性について ア 引用例1に記載された発明 引用例1の【請求項1】、【0020】、【0021】、【0026】、【0029】、【0030】、【0044】、【0046】及び【図1】の記載を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 「表面シートと、裏面シートと、これらシート間に配された縦長の吸収体とを備え、縦方向に沿う両側部に、一対の立体ギャザーが、弾性部材を配することによって形成された吸収性物品であって、 一対の前記立体ギャザーそれぞれは、スパンボンド不織布、又はスパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布の少なくとも一部を起毛しているシートを用いて形成されており、 立体ギャザー形成用シートは、その坪量が、5?25g/m^(2)であり、バルクソフトネスが0.5?3.0cNであり、 スパンボンド不織布の圧縮特性値は、15.0(gf/cm^(2))/mm以下であり、肌触りのよいエアスルー不織布に近い肌触りになる観点から、10.0(gf/cm^(2))/mm以下になることがさらに好ましく、下限が、1.00(gf/cm^(2))/mm程度である吸収性物品。」 イ 対比 本件発明1と引用発明1とを対比する。 (ア)引用発明1の「表面シートと、裏面シートと、これらシート間に配された縦長の吸収体」は、図1を参照すると、本件発明1の「着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体」に相当する。 (イ)引用発明1の「吸収性物品」は、本件発明1の「使い捨ておむつ」に相当する。 そうすると、本件発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、相違する。 <一致点> 「着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体を具備する使い捨ておむつ。」 <相違点3> 本件発明1は、「該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体」を具備し、「前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からなり、 前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下であり、その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、そのMDバルクソフトネスが3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmであり、 前記外装体は、着用者の腹側に配される腹側外装体と、背側に配される背側外装体とを有し、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記外層シートと、該外層シートの内面側に配され、前記使い捨ておむつの内面を形成する内層シートと、それらシート間に配された複数の弾性部材とを含んで構成されており、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記縦方向に沿う両外側縁に、前記外層シートと前記内層シートとの間が接合された一対の外側固定領域を有し、 前記複数の弾性部材は、前記一対の外側固定領域それぞれにおいては、前記外層シートと前記内層シートとの間に固定され、該一対の外側固定領域間においては、該外層シート及び該内層シートの何れにも固定されていない」のに対して、引用発明1は、そもそも外装体を有していない点。 ウ 判断 外装体に、MDバルクソフトネスが3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmのスパンボンド不織布を用いることは、引用例2?11に記載されていない。 したがって、外装体を有していない引用発明1において、MDバルクソフトネスが3.0?3.3cN、その微少荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmのスパンボンド不織布の外装体を用いる動機付けはない。 ゆえに、本件発明1は、引用発明1及び引用例2?11記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 小括 したがって、本件発明1は、引用発明1及び引用例2?11記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、本件発明2?6、8、11、12は、本件発明1の発明特定事項を全て備え、さらに限定を加えるものであるから、本件発明2?6、8、11、12と引用発明とを対比すると、少なくとも上記<相違点3>で相違する。 そして、相違点3については、上記ウで検討したとおりであるから、本件発明2?6、8、11、12は、引用発明1及び引用例2?11記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)実施可能要件違反について 申立人Aは、本件特許明細書には、いかにして、「その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、」に調整するのかが開示も示唆もされていないから、本件特許明細書は、当業者が実施することができる程度に記載されていない旨主張する。 しかし、本件特許明細書には、実施例1及び2として、【0092】、【0093】に具体的な製造方法が記載されており、その結果、SMDとMMDが、それぞれ、2.945と0.0071、3.0325と0.0067となったことが記載されている。 そうすると、本件発明は、【0092】及び【0093】の製造方法により製造できると、当業者であれば、理解できるから、本件特許明細書は、当業者が実施することができる程度に記載されている。 第5 むすび 以上のとおり、本件発明1?6、8、11及び12は、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人A及びBがした特許異議の申立理由によっては、本件発明1?6、8、11及び12に係る特許を取り消すことはできない。 また、請求項7、9及び10に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項7、9及び10に対して、申立人A及びBがした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 使い捨ておむつ 【技術分野】 【0001】 本発明は、使い捨ておむつに関する。 【背景技術】 【0002】 使い捨ておむつ等の吸収性物品には、構成部材の一部に、スパンボンド不織布が用いられている。一般的に、スパンボンド不織布は、コストが安く抑えられ、剛性が低く、こしがないのが特徴であるが、なめらかさや柔らかさに劣るものが多い。例えば、特許文献1には、使い捨ておむつの表面材として好適に用いることができるスパンボンド不織布が記載されている。また、特許文献2には、パンツ型使い捨ておむつの外装体に、スパンボンド不織布を用いた使い捨ておむつが記載されている。 【0003】 特許文献1に記載のスパンボンド不織布を表面材に用いて使い捨ておむつを構成すれば、コストを抑えることができる。また、特許文献2に記載のパンツ型使い捨ておむつによれば、外装体がスパンボンド不織布で構成されているので、コストを抑えることができると共に、特許文献2に記載のスパンボンド不織布は、界面活性剤を含んで形成されているので、なめらかさが向上する。 【0004】 これとは別に、本出願人は、先に、使い捨ておむつの最外面の構成材として用いられる不織布として、表面粗さの平均偏差、及び摩擦係数の平均偏差を規定するエアスルー不織布を開示した(特許文献3)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】特開2001-146674号公報 【特許文献2】特開2010-273960号公報 【特許文献3】特開2006-233364号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかし、特許文献1には、スパンボンド不織布に求める特性として、なめらかで、ドレープ性があり、かつふんわり性のある布ライクの観点に関して、何ら記載されていない。その為、特許文献1に記載のスパンボンド不織布を、使い捨ておむつの最外面の構成材として用いると、肌触りが悪く、製品の品質が低下してしまう。 【0007】 また、特許文献2に記載のスパンボンド不織布は、界面活性剤を含んで形成されているので、布ライクの一要因であるなめらかさに関しては向上しているが、特許文献2には、その他の布ライクの要件に関しては、何ら記載されていない。その為、特許文献1に記載のスパンボンド不織布を、使い捨ておむつの最外面の構成材として用いると、肌触りに違和感が有り、製品の品質が低下してしまう。 【0008】 また、特許文献3に記載の使い捨ておむつの最外面の構成材として用いられる不織布は、エアスルー不織布であり、コストを安く抑えることが難しい。また、特許文献3には、布ライクの観点を満たすスパンボンド不織布に関して、何ら記載されていない。 【0009】 したがって本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る使い捨ておむつを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明は、表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備する使い捨ておむつであって、前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からなり、前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下であり、その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、そのMDバルクソフトネスが5.0cN以下である使い捨ておむつを提供するものである。 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、剛性が低く、布ライク性の向上したスパンボンド不織布を、外面を形成する外層シートに用いているので、肌触りが良く、コストを安く抑えることができる。 【図面の簡単な説明】 【0012】 【図1】図1は、本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの使用状態(着用状態)を示す斜視図である。 【図2】図2は、図1に示すおむつを展開して引き伸ばした状態を肌当接面側から展開平面図である。 【図3】図3は、スパンボンド不織布を起毛処理する際に用いる好適な加工装置を示す模式図である。 【図4】図4は、図3に示す加工装置の部分延伸加工部を斜めから見た模式図である。 【図5】図5は、図3に示す加工装置の起毛加工部を斜めから見た模式図である。 【図6】図6は、図1に示すおむつの融着部列及びその融着部列を構成する外装体融着部を拡大して示す拡大平面図である。 【図7】図7は、図1に示すおむつにおけるウエスト伸縮部の横方向に沿う断面を示す拡大断面図である。 【図8】図8は、図1に示すおむつにおける胴回り伸縮部の横方向に沿う断面を示す拡大断面図である。 【発明を実施するための形態】 【0013】 以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の一本実施形態である使い捨ておむつ1は、図1,図2に示すとおり、液透過性の表面シート2、液難透過性の裏面シート3、これら両シート2,3間に配された吸収体4を備えた縦長の吸収性本体10と、吸収性本体10の非肌対向面側に配された外装体5とを具備するおむつである。本実施形態において、おむつ1は、外装体5が、着用者の腹側に配される腹側部と、背側に配される背側部と、それらの間に位置する股下部に区分されており、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部S,Sが形成されている。具体的に、おむつ1は、外装体5が、着用者の腹側に配される腹側外装体5Aと、背側に配される背側外装体5Bと、それら5A,5Bの間に位置する股下領域に配される股下外装体5Cとに別部材として区分されており、腹側外装体5Aの両側縁部5a1,5a1と背側外装体5Bの両側縁部5b1,5b1とが接合されて一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成された所謂パンツ型使い捨ておむつである。 【0014】 おむつ1は、図2に示すとおり、展開させかつ伸長させた状態を平面視して、着用者の前後方向に相当する縦方向(X方向)とこれに直交する横方向(Y方向)とを有している。また、おむつ1は、その縦方向(X方向)に、着用時に着用者の腹側に配される腹側領域A、着用時に着用者の背側に配される背側領域B、腹側領域Aと背側領域Bとの間に位置する股下領域Cとに区分されている。また、本明細書において、肌対向面は、おむつ1又はその構成部材(例えば吸収性本体10)における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、パンツ型使い捨ておむつ1又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。おむつ1において、縦方向(X方向)は、おむつ1又はその構成部材である吸収性本体10の長辺に沿う方向に一致し、横方向(Y方向)は、使い捨ておむつ又はその構成部材である吸収性本体10の幅方向に一致する。 また、おむつ1は、縦方向(X方向)に延びる縦中心線CLに対して左右対称形となっている。従って、以下の説明では、左右対称な部分については、主に、一方のみについて説明する。 【0015】 尚、上述したおむつ1を展開させかつ伸長させた状態とは、図2に示すように、サイドシール部Sを引き剥がして、おむつ1を展開状態とし、その展開状態のおむつ1を、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態を意味する。 【0016】 吸収性本体10は、図2に示すとおり、一方向(縦方向(X方向))が相対的に長い縦長の形状を有している。吸収性本体10は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2と、非肌対向面を形成する液難透過性(撥水性も含む)の裏面シート3と、これら両シート2,3間に介在配置された液保持性の吸収体4とを具備する。また、吸収性本体10の縦方向(X方向)に沿う両側部には、図2に示すように、縦方向(X方向)に伸長状態で配された弾性部材を有する側方カフス6,6が設けられている。具体的には、側方カフス6は、液不透過性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成されており、各側方カフス6の自由端部近傍には、立体ギャザー形成用弾性部材61が縦方向(X方向)に伸長した状態で配されている。おむつの着用時には、立体ギャザー形成用弾性部材61の収縮により側方カフス6の自由端部側が起立し、所謂立体ギャザーとなり、横方向(Y方向)への体液の流出が阻止される。 【0017】 以上のように構成された吸収性本体10は、その縦方向(X方向)を、展開かつ伸長状態におけるおむつ1の縦方向(X方向)に一致させて、外装体5の中央部に、接着剤によって接合されている。このように、外装体5は、使い捨ておむつ1の厚み方向(Z方向)における、吸収性本体10を構成する裏面シート3の非肌対向面側に配されて接着固定されている。具体的には、おむつ1の外装体5は、上述の通り、腹側領域Aに位置する腹側外装体5Aと、背側領域Bに位置する背側外装体5Bと、それら(腹側外装体5A,背側外装体5B)の間に位置する股下領域Cに位置する股下外装体5Cとに別部材で構成されており、腹側外装体5A、背側外装体5B及び股下外装体5Cとして区分されている。外装体5は、股下外装体5Cの縦方向(X方向)の両端部それぞれに、腹側外装体5A及び背側外装体5Bそれぞれが接合されて一体に形成されている。このように形成された外装体5の横方向(Y方向)中央部に吸収性本体10が接合されており、吸収性本体10が、腹側外装体5Aから背側外装体5Bに亘って配されている。 【0018】 外装体5は、使い捨ておむつ1の外面を形成する外層シート51を有しており、該外層シート51がスパンボンド不織布から形成されている。具体的には、おむつ1における腹側外装体5A及び背側外装体5Bは何れも、図2に示すように、展開かつ伸長状態(図2参照)において、横方向(Y方向)に長い長方形状をなしている。おむつ1における腹側外装体5A及び背側外装体5Bは何れも、おむつ1の外面を形成する外層シート51と、外層シート51の内面側に配され、おむつ1の内面を形成する内層シート52とを含んで構成されており、更におむつ1においては、外層シート51と内層シート52との間に横方向(Y方向)に伸長状態で配された複数本の糸状の弾性部材53を含んで構成されている。腹側外装体5A及び背側外装体5Bは、外層シート51と内層シート52との間が、例えばヒートシール、高周波シール、若しくは超音波シール等の融着、又は接着剤等の公知の接合方法により部分的に接合されて形成されることが好ましく、おむつ1においては、後述する融着による外装体融着部54にて部分的に接合されている。おむつ1においては、腹側外装体5A及び背側外装体5Bそれぞれの外層シート51が、スパンボンド不織布から形成されている。 【0019】 おむつ1における股下外装体5Cは、おむつ1の外面を形成する1枚のシート(外層シート51)で形成されている。股下外装体5Cは、吸収性本体10を構成する裏面シート3における股下領域Cの部分を覆っている。股下外装体5Cのおむつ縦方向(X方向)に沿う両側縁は、吸収性本体10を構成する裏面シート3の縦方向(X方向)に沿う両側縁に略一致しており、股下外装体5Cは、矩形状に形成されている。おむつ1においては、股下外装体5Cの外層シート51が、スパンボンド不織布から形成されている。 【0020】 外層シート51のスパンボンド不織布は、下記の要件(1)?要件(4)を全て満たす不織布であり、下記の要件(1)?要件(5)を全て満たす不織布であることが好ましい。以下、具体的に説明する。 外層シート51のスパンボンド不織布は、その坪量(要件(1))が、剛性を低くする観点から、19g/m^(2)以下であり、18g/m^(2)以下であることが好ましい。尚、スパンボンド不織布の坪量の下限値としては、10g/m^(2)以上であることが好ましい。 【0021】 外層シート51のスパンボンド不織布は、その表面粗さの平均偏差SMD(要件(2))が、3.20μm以下であり、3.1μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。尚、スパンボンド不織布の表面粗さの平均偏差SMDの下限値としては、0に近ければ近いほど好ましいが、0.5μm以上であれば、不織布に十分ななめらかさが付与される。 【0022】 外層シート51のスパンボンド不織布は、その摩擦係数の平均偏差MMD(要件(3))が0.0085以下であり、0.0075以下であることが好ましい。尚、スパンボンド不織布の摩擦係数の平均偏差MMDの下限値としては、0に近ければ近いほど好ましいが、0.003以上であれば、不織布に十分ななめらかさが付与される。 【0023】 表面粗さの平均偏差SMD及び摩擦係数の平均偏差MMDは、以下の書籍に記載の方法に従い、カトーテック株式会社製のKESFB4-AUTO-A(商品名)を用いて測定される。具体的には以下の方法で測定される。 川端季雄著、「風合い評価の標準化と解析」、第2版、社団法人日本繊維機会学会 風合い計量と規格化研究委員会、昭和55年7月10日発行 【0024】 〔表面粗さの平均偏差SMDの測定法〕 20cm×20cmの試験片(外層シート51)を準備し、平滑な金属平面の試験台に取りつける。接触子を9.8cN(誤差±0.49cN以内)で試験片に圧着する。試験片を0.1cm/secの一定速度で水平に2cm移動させる。試験片には19.6cN/cmの一軸張力が与えられる。接触子は、0.5mm径のピアノ線を幅5mmでU字状に曲げたものからなり、9.8cNで試験片を圧着する。接触子は、ばねで圧着される。ばねの定数は24.5cN/mm(誤差±0.98cN/mm以内)とし、共振周波数は表面接触から離れた状態で30Hz以上とする。表面粗さの平均偏差の測定値はSMD値で表される。この測定をMD及びCDともに行い、下記式(1)から平均値を出し、これを表面粗さの平均偏差SMDとする。 表面粗さの平均偏差SMD={(SMD_(MD)^(2)+SMD_(CD)^(2))/2}^(1/2)…(1) 【0025】 〔摩擦係数の平均偏差MMDの測定法〕 20cm×20cmの試験片(外層シート51)を準備し、平滑な金属平面の試験台に取りつける。接触子を49cNの力で接触面を試験片に圧着し、試験片を0.1cm/secの一定速度で水平に2cm移動させる。試験片には19.6cN/cmの一軸張力が与えられる。接触子は、表面粗さの測定に用いた接触子と同じ0.5mm径のピアノ線を20本並べ幅10mmでU字状に曲げたもので、重錘によって49cNの力で接触面を試験片に圧着させている。摩擦係数の平均偏差の測定値はMMD値で表される。この測定をMD及びCDともに行い、下記式(2)から平均値を出し、これを摩擦係数の平均偏差MMDとする。 摩擦係数の平均偏差MMD={(MMD_(MD)^(2)+MMD_(CD)^(2))/2}^(1/2)…(2) 【0026】 外層シート51のスパンボンド不織布は、そのMDバルクソフトネス(要件(4))が、5.0cN以下であり、4.0cN以下であることが好ましく、3.5cN以下であることが更に好ましい。尚、スパンボンド不織布のMDバルクソフトネスの下限値としては、0に近ければ近いほど好ましいが、0.5cN以上であれば、不織布に十分なドレープ性が付与される。MDバルクソフトネスは、以下の測定法により測定する。 【0027】 〔MDバルクソフトネスの測定方法〕 MDバルクソフトネスは、22℃65%RH環境下にて、外層シート51を構成繊維の配向方向に沿うCD方向に150mm、CD方向に直交するMD方向に30mm切り出し、直径45mmのリング状に、ホッチキスを用いて端部を上下2箇所で止める。このときステープラーの芯はCD方向に長くなるようにする。引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA-100」)を用いて、試料台の上に前記リングを筒状に立て、上方から台とほぼ平行な平板にて圧縮速度10mm/分の速度で圧縮していった際の最大荷重を測定し、MD方向の測定値をMDバルクソフトネスとする。 【0028】 外層シート51のスパンボンド不織布は、その微小荷重時の圧縮特性値(要件(5))が、15.0(gf/cm^(2))/mm以下であることが好ましく、14.0(gf/cm^(2))/mm以下であることが更に好ましく、13.0(gf/cm^(2))/mm以下であることが特に好ましい。尚、スパンボンド不織布の微小荷重時の圧縮特性値の下限値としては、0に近ければ近いほど好ましいが、1.0(gf/cm^(2))/mm以上であれば、不織布に十分なふんわり感が付与される。微小荷重時の圧縮特性値は、以下の測定法により測定する。 【0029】 〔微小荷重時の圧縮特性値の測定法〕 微小荷重時の圧縮特性値の算出の元となるデータの測定はカトーテック株式会社製のKES FB3-AUTO-A(商品名)を用い、22℃65%RH環境下にて測定を行う。具体的には、外層シート51を20cm×20cmに3枚カットして測定サンプルを準備する。次にそのうちの1枚の測定サンプルを試験台に設置する。次に、面積2cm^(2)の円形平面の鋼板間で圧縮する。圧縮速度20μm/sec、最大圧縮荷重10gf/cm^(2)、回復過程も同一速度で測定する。このとき、鋼板間の変位量をx(mm)とし、荷重をy(gf/cm^(2))とし、荷重を検知した点の位置をx=0として圧縮方向に測定する。xの値は圧縮されるほど大きくなる。 【0030】 微小荷重時の圧縮特性値は測定したデータ(x、y)より、微小荷重時の厚みの変形量を抽出して算出する。具体的には回復過程ではない一回目の、荷重が0.30gf/cm^(2)から1.00gf/cm^(2)の間の荷重とそのときの変形量のデータを抽出し、xとyの関係について近似直線を最小二乗法により求め、そのときの傾きを上記特性値とする(単位(gf/cm^(2))/mm)。1枚の測定サンプルで3箇所測定する。3枚のサンプル合計9箇所の測定を行う。9箇所それぞれの特性値を算出して、それらの平均値をその不織布の微小荷重時の圧縮特性値とする。 【0031】 外層シート51のスパンボンド不織布は、柔軟な不織布となる観点から、ポリオレフィン系重合体であるプロピレン系重合体から形成されていることが好ましい。プロピレン系重合体としては、分子量分布(Mn/Mn)が1.5以上3.5以下のプロピレン系重合体であることが好ましい。また、プロピレン系重合体としては、滑らかで柔軟な不織布となる観点から、ランダムコポリマー、ホモポリマー、ブロックコポリマーのいずれか1種以上を5?100重量%、より好ましくは25重量%?80重量%含んだ樹脂からなるものであることが好ましい。また、これらのコポリマーやホモポリマーを混合してもよいし、他の樹脂を混合してもよく、ポリプロピレンのホモポリマーとランダムコポリマーの混合物であってもよい。さらにはプロピレン成分をベースとしたランダムコポリマーとして、エチレンやα-オレフィンと共重合したものが好ましく、エチレンプロピレンランダム共重合体が特に好ましい。プロピレン系重合体としては、同様な観点から、エチレンプロピレンランダム共重合体を主成分として5?100重量%含んだ重合体であることが好ましく、25重量%以上含んだ重合体であることが更に好ましい。エチレンプロピレンランダム共重合体中には、エチレン含有量が2.0mol%以上10.0mol%以下であることが好ましく、エチレン含有量が3.0mol%以上8.0mol%以下であること更に好ましい。また、プロピレン重合体としては、環境の観点から、再生ポリプロピレン樹脂を25重量%以上含んだ重合体であることが好ましく、50重量%以上含んだ重合体であることが更に好ましい。 【0032】 外層シート51のスパンボンド不織布は、柔軟性の観点から、捲縮長繊維の含有率が、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、形態安定性の観点から、100質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることが更に好ましく、具体的には、柔軟性と形態安定性との両立の観点から、30質量%以上100質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。 【0033】 ここで捲縮長繊維とは、例えば、熱可塑性樹脂を溶融紡糸した後、該溶融紡糸された糸状体を左右あるいは前後から異なる温度の冷却風を当てて冷却したり、若しくは片方から冷却風を当てて冷却したり、又は、異型断面繊維あるいは偏芯中空繊維として溶融紡糸された糸状体や、融点の異なる重合体を用いて複合溶融紡糸された糸状体を冷却したりして形成された捲縮する繊維を示す。捲縮長繊維は、通常捲縮数を好ましくは10個/25mm以上、更に好ましくは15個/25mm以上、特に好ましくは20個/25mm以上有する顕在捲縮長繊維である。該顕在捲縮長繊維は、通常、繊維径が0.5d以上5.0d以下の範囲にあることが好ましく、0.5d以上3.0d以下の範囲にあることが更に好ましい。尚、捲縮長繊維の捲縮数は、以下の測定法により測定する。 【0034】 〔捲縮長繊維の捲縮数(個/25mm)の測定法〕 表面が滑らかで光沢のある紙片に空間距離25mmの区分線を引く。次いで、エンボスロールにより加熱加圧処理される前の長繊維ウエブから、捲縮性が損なわれないように慎重に採取した捲縮長繊維を1本ずつ、空間距離に対して25±5%の緩みをもたせて、両端を前記紙片に接着剤で貼り付け固着させる。この試料を1本ずつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に初荷重(0.18mN×表示テックス数)をかけたときの、つかみ間の距離(空間距離)(mm)を測定する。そして、その時の捲縮数を数え、25mm間当たりの捲縮数を求める。捲縮数は、山と谷を全部数え、その数の半分の値を捲縮数とする。捲縮数は不織布の中から捲縮長繊維のみを取り出して20本を測定し、その平均値を小数点1けたまで求めたものを捲縮数とする。なお、捲縮数の測定は、JIS Z8703(試験場所の標準状態)に規定する温度20±2℃、湿度65±2%の恒温室内で実施する。 【0035】 外層シート51のスパンボンド不織布は、使用時の破れの防止及び加工適性の観点から、構成する繊維の配向方向に直交する方向の破断強度が、7.0N/50mm以上であることが好ましく、8.0N/50mm以上であることが好ましく、そして、30.0N/50mm以下であることが好ましく、具体的には、7.0N/50mm以上30.0N/50mm以下であることが好ましく、8.0N/50mm以上30.0N/50mm以下であることが更に好ましい。破断強度は、以下の測定法により測定する。 【0036】 〔破断強度の測定法〕 22℃65%RH環境下にて、外層シート51を構成繊維の配向方向に沿うCD方向に50mm、CD方向に直交するMD方向に200mmの長方形状に測定片を切り出す。この切り出された測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、MD方向が引張方向となるように、引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA-100」)のチャックに取り付ける。尚、チャック間は150mmとする。そして、測定サンプルを300mm/分の速度で引っ張り、測定サンプルの破断に至るまでの最大荷重点を、構成する繊維の配向方向に直交する方向(MD方向)の破断強度とする。 【0037】 外層シート51のスパンボンド不織布は、その構成繊維を固着してスパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部を有している。複数の熱融着部は、柔軟で肌触り良い不織布となる観点から、個々の面積が、0.3mm^(2)以下であることが好ましく、0.1mm^(2)以上0.25mm^(2)以下であることが更に好ましく、0.1mm^(2)以上0.2mm^(2)以下であることが特に好ましい。熱融着部の数は、10個/cm^(2)以上250個/cm^(2)以下であることが好ましく、35個/cm^(2)以上65個/cm^(2)以下であることが更に好ましい。 【0038】 また、外層シート51のスパンボンド不織布は、その一面の表面積に占める前記複数の熱融着部の合計面積の割合(エンボス率)が、柔軟で肌触り良い不織布となる観点から、15%以下であることが好ましく、5%以上13%以下であることが更に好ましく、6%以上11%以下であることが特に好ましい。 【0039】 外層シート51のスパンボンド不織布を構成する前記熱融着部は、エンボス(エンボス凸ロールとフラットロールなどによる)による熱圧着により間欠的に形成されたものや、超音波融着によるもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させたものなどが挙げられる。これらの中で熱圧着によるものが繊維を破断させやすい点で好ましい。前記熱融着部の形状は、特に制限されず、例えば、円形、菱形、三角形等の任意の形状であってもよい。 【0040】 外層シート51のスパンボンド不織布は、肌触り向上の観点から、起毛処理が施されていることが好ましい。スパンボンド不織布に起毛処理を施す場合には、例えば、図3に示すような、部分延伸加工部200と、部分延伸加工部200の下流側に配される起毛加工部300とを備えた加工装置100を用いて行う。 【0041】 部分延伸加工部200は、外層シート51のスパンボンド不織布の原料不織布51Mの複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す部分であり、加工装置100においては、図3,図4に示すように、一対の凹凸ロール21,22からなるスチールマッチングエンボスローラー23を備えている。一対の凹凸ロール21,22は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のものである。スチールマッチングエンボスローラー23は、凹凸ロール21の周面に設けられた複数個の凸部210と凹凸ロール22の周面に設けられた複数個の凹部220とが、互いに噛み合うように形成されており、複数個の凸部210は、凹凸ロール21の回転軸方向及び周方向にそれぞれ均一に且つ規則的に配されている。部分延伸加工部200は、スチールマッチングエンボスローラー23の上流側及び下流側に、原料不織布51Mを搬送する搬送ロール24,25を備えている。 【0042】 凹凸ロール21の各凸部210は、凹凸ロール21の周面から凸部210の頂点までの高さが、1?10mmであることが好ましく、2?7mmであることが更に好ましい。回転軸方向に隣り合う凸部210同士の距離(ピッチ)は、0.01?20mmであることが好ましく、1?10mmであることが更に好ましく、周方向に隣り合う凸部210同士の距離(ピッチ)は、0.01?20mmであることが好ましく、1?10mmであることが更に好ましい。凹凸ロール21の各凸部210の頂部表面の形状に特に制限はなく、例えば、円形、多角形、楕円形等が用いられ、各凸部210の頂部表面の面積は、0.01?500mm^(2)であることが好ましく、0.1?10mm^(2)であることが更に好ましい。凹凸ロール22の各凹部220は、凹凸ロール21の各凸部210に対応する位置に配されている。凹凸ロール21の各凸部210と凹凸ロール22の各凹部220との噛み合いの深さ(各凸部210と各凹部220とが重なっている部分の長さ)は、0.1?10mmであることが好ましく、1?5mmであることが更に好ましい。 【0043】 起毛加工部300は、図3,図5に示すように、周面に凸部310が設けられた凸ロール31を備え、凸ロール31の上流側及び下流側に、原料不織布51Mを搬送する搬送ロール32,33を備えている。凸ロール31は、その回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって回転する。 【0044】 凸ロール31の各凸部310は、凸ロール31の周面から凸部310の頂点までの高さが、0.001?3mmであることが好ましく、0.001?0.1mmであることが更に好ましい。回転軸方向に隣り合う凸部310同士の距離(ピッチ)は、0.1?50mmであることが好ましく、0.1?3mmであることが更に好ましく、周方向に隣り合う凸部310同士の距離(ピッチ)は、0.1?50mmであることが好ましく、0.1?3mmであることが更に好ましい。凸ロール31の各凸部310の頂部表面の形状に特に制限はなく、例えば、円形、多角形、楕円形等が用いられ、各凸部310の頂部表面の面積は、0.001?20mm^(2)であることが好ましく、0.01?1mm^(2)であることが更に好ましい。 【0045】 このような構成の部分延伸加工部200及び起毛加工部300を備えた加工装置100を用いて起毛処理を施した外層シート51の製造方法について説明する。 先ず、外層シート51のスパンボンド不織布の原料不織布51Mを巻き出して、搬送ロール24,25により、原料不織布51Mを部分延伸加工部200の備えるスチールマッチングエンボスローラー23の一対の凹凸ロール21,22間に搬送する。そして、原料不織布51Mを一対の凹凸ロール21,22間で挟圧し、原料不織布51Mにダメージを与える。 【0046】 次に、ダメージが与えられた原料不織布51M’を、搬送ロール32,33により、起毛加工部300の備える凸ロール31に搬送する。起毛加工部300においては、ダメージを与えられた原料不織布51M’の表面を、凸ロール31により加工し、スパンボンド不織布を構成する長繊維の一部を破断し、該長繊維の一端部のみがスパンボンド不織布の熱融着部により固定されている起毛繊維を有する起毛処理の施された外層シート51を製造することができる(図3参照)。 【0047】 外層シート51のスパンボンド不織布は、肌触りがよく、表面の肌摩擦を低くし、しなやかさが向上する観点から、構成繊維に軟化剤を練りこんだり、軟化剤を塗布したりして形成されていることが好ましい。軟化剤としては、界面活性剤、パラフィンオイルの内の少なくとも1を含んでいることが好ましい。また、必要に応じて、公知の薬剤を副次的添加剤(少量成分)として軟化剤に添加してもよい。また、必要に応じて、滑剤を軟化剤に添加してもよい。 【0048】 界面活性剤としては、カルボン酸塩系のアニオン界面活性剤、スルホン酸塩系のアニオン界面活性剤、硫酸エステル塩系のアニオン界面活性剤、リン酸エステル塩系のアニオン界面活性剤(特にアルキルリン酸エステル塩)等のアニオン界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート等の多価アルコールモノ脂肪酸エステル、N-(3-オレイロキシ-2-ヒドロキシプロピル)ジエタノールアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビット蜜ロウ、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の、非イオン系界面活性剤:第4級アンモニウム塩、アミン塩又はアミン等のカチオン界面活性剤;カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体等の、両性イオン界面活性剤などを使用することができる。 【0049】 パラフィンオイル等の種々のオイルとしては、40℃での動粘度が20cst(センチストークス)以上800cst以下であることが好ましく、40cst以上600cst以下であることが更に好ましい。さらに前記オイルの流動度が0℃以上-40℃以下であることが好ましく、0℃以上-30℃以下であることが更に好ましく、引火点(COC法)が200℃以上400℃以下であることが好ましく、250℃以上350℃以下であることが更に好ましい。 【0050】 滑材としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、などを使用することができる。 【0051】 また、外層シート51のスパンボンド不織布は、スパンボンド不織布単体の形状以外に、スパンボンド不織布が複数枚重ねられてなる、例えば、スパンボンド-スパンボンド-スパンボンド積層不織布、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布、スパンボンド-スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド積層不織布等の形状であってもよい。該積層不織布の形状である場合には、一層のスパンボンド不織布の層のみに上記軟化剤を練りこむことが好ましく、全てのスパンボンド不織布の層に練りこむ等してもよい。 【0052】 おむつ1における腹側外装体5A及び背側外装体5Bに関して、更に詳述すると、図2に示すように、外層シート51及び内層シート52を構成する繊維の繊維配向方向が、使い捨ておむつ1においては、おむつ1の横方向(Y方向)と同じ方向である。そして、腹側外装体5A及び背側外装体5Bは、それぞれ、吸収性本体10よりも外方において、外層シート51と内層シート52とが部分的に接合された部分接合領域JTを有している。おむつ1の部分接合領域JTは、外層シート51と内層シート52とを、横方向(Y方向)及び縦方向(X方向)にて、熱融着によって間欠的に接合した複数の外装体融着部54により形成されている。部分接合領域JTにおいては、複数の弾性部材53が複数の外装体融着部54を通らないように横方向(Y方向)に伸長状態で配され、かつ伸長状態で配された弾性部材53の両端部が外層シート51と内層シート52との間に固定されており、該外層シート51及び該内層シート52のそれぞれが、該複数の弾性部材53に亘って連続して延びる複数本の襞57を形成している。以下、具体的に説明する。 【0053】 おむつ1の外装体5は、おむつ1の横方向(Y方向)に伸縮性を有する伸縮部を備えている。具体的には、おむつ1の腹側外装体5A及び背側外装体5Bの部分接合領域JTは、吸収性本体10よりも外方に形成されており、吸収性本体10の縦方向(X方向)の両端部10a,10bそれぞれよりもX方向外方に形成されるウエスト伸縮部G1と、吸収性本体10の縦方向(X方向)に沿う両側縁10s,10sの位置よりも横方向(Y方向)外方に位置し、且つウエスト伸縮部G1より股下部C側であってサイドシール部Sの下端より上方に形成される胴回り伸縮部G2,G2とを有している。即ち、本実施形態において、部分接合領域JTは、横方向(Y方向)に伸縮性を有する伸縮部を備え、該伸縮部が、ウエスト伸縮部G1と胴回り伸縮部G2とを有している。ウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2においては、外層シート51と内層シート52との間が、横方向(Y方向)及び縦方向(X方向)にて、間欠的に散点状に配された多数の外装体融着部54において接合されている。 【0054】 図2に示すように、おむつ1の腹側外装体5A及び背側外装体5Bのそれぞれにおけるウエスト伸縮部G1には、外層シート51と内層シート52とが融着した外装体融着部54が、X方向に沿って一列をなすように間欠的に形成されており、その複数の外装体融着部54からなる融着部列54Sが、Y方向に間隔を開けて複数列形成されている。 また、腹側外装体5A及び背側外装体5Bのそれぞれにおける胴回り伸縮部G2にも、外層シート51と内層シート52とが融着した外装体融着部54がX方向に沿って一列をなすように間欠的に形成されており、複数の外装体融着部54からなる融着部列54Pが、Y方向に間隔を開けて複数列形成されている。 おむつ1の腹側外装体5A及び背側外装体5Bそれぞれにおいては、ウエスト伸縮部G1の融着部列54Sと、胴回り伸縮部G2の融着部列54Pとが、X方向に連続する一列を形成している。 おむつ1を展開して引き伸ばした状態において、横方向(Y方向)に隣り合う融着部列54S,54Sどうしの間隔(融着部列54P,54Pどうしの間隔)は、剛性の低いスパンボンド不織布においても、後述する襞57を形成し易く、縦方向(X方向)への剛性を高めて操作性を向上する観点から、1mm以上20mm以下であることが好ましく、3mm以上10mm以下であることが更に好ましい。 【0055】 おむつ1のウエスト伸縮部G1においては、一の融着部列54Sを構成する複数の外装体融着部54のそれぞれのX方向の位置と、該一の融着部列54Sに隣り合う別の融着部列54Sを構成する複数の外装体融着部54のそれぞれのX方向の位置とが略一致している。そして、複数本の弾性部材53が、それぞれ、複数の融着部列54Sそれぞれの外装体融着部54,54どうし間の隙間を通って、Y方向に延びるように配されている。それらの複数の弾性部材53は、何れも、外層シート51と内層シート52との間に配されている。 同様に、胴回り伸縮部G2,G2においても、一の融着部列54Pを構成する複数の外装体融着部54のそれぞれのX方向の位置と、該一の融着部列54Pに隣り合う別の融着部列54Pを構成する複数の外装体融着部54のそれぞれのX方向の位置とが略一致している。そして、複数本の弾性部材53が、それぞれ、複数の融着部列54Pそれぞれの外装体融着部54,54どうし間の隙間を通って、Y方向に延びるように配されている。それらの複数の弾性部材53も、何れも、外層シート51と内層シート52との間に配されている。 【0056】 本実施形態のおむつ1においては、図2に示すように、腹側外装体5A及び背側外装体5Bは、何れも、X方向に沿う両外側縁それぞれに、外層シート51と内層シート52との間が接着剤を介して接合された一対の外側固定領域55を有しており、また、吸収性本体10の側縁10sの位置の近傍に、外層シート51と内層シート52との間が接着剤を介して接合された本体側固定領域56を有している。 ウエスト伸縮部G1には、複数本の弾性部材53が、一対の外側固定領域55間に亘って配されており、それらの弾性部材53は、一対の外側固定領域55それぞれにおいて外層シート51と内層シート52との間に固定されている。一方、外側固定領域55間においては、外層シート51及び内層シート52の何れにも弾性部材53は固定されていない。 他方、胴回り伸縮部G2には、複数本の弾性部材53が、外側固定領域55と本体側固定領域56との間に亘って配されており、それらの弾性部材53は、外側固定領域55と本体側固定領域56のそれぞれにおいて外層シート51と内層シート52との間に固定されている。一方、外側固定領域55と本体側固定領域56との間においては、外層シート51及び内層シート52の何れにも弾性部材53は固定されていない。尚、一対の本体側固定領域56,56間においては、弾性部材53が配されていないか、弾性部材53が、切断等の弾性伸縮性を発現しないようにする処理を施された状態で配されている。 【0057】 本体側固定領域56は、図2に示すように、その全体が吸収性本体10と重なるように形成されていても良いが、吸収性本体10の側縁10sの内外に跨るように形成されていても良い。また、本体側固定領域56は、吸収性本体10の側縁10sより横方向(Y方向)外方に形成されていても良い。なお、本体側固定領域56の全体が吸収性本体10と重なっている態様には、本体側固定領域56の横方向(Y方向)外側の端縁の位置と吸収性本体10の側縁10sの位置とが一致する態様と、本体側固定領域56が、吸収性本体10の側縁10sとの間に所定の間隔を設けて形成されている態様との両者が含まれる。 【0058】 上述した融着部列54S,54Pを構成する複数の外装体融着部54は、おむつ1においては、何れも、図6に示すように、相互間に隙間mを開けてX方向に並んだ一対の融着部u,dからなる。外装体融着部54は、おむつ1においては、平面視形状(隙間mを含めた全体形状)が、繊維配向方向(使い捨ておむつ1においては横方向(Y方向)と同じ方向)に直交する方向(X方向)に長い矩形状である。外装体融着部54は、複数の弾性部材53に亘って連続して延びる複数本の襞57の形成性や、外装体5のX方向の柔軟性向上の観点から、X方向の長さL1が、Y方向の長さL2の、好ましくは2倍以上、より好ましくは7倍以上であり、また好ましくは10倍以下、より好ましくは9倍以下である。具体的に、外装体融着部54のX方向の長さL1は、しなやかで柔軟なスパンボンド不織布の特性が維持される観点から、1mm以上8mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることが更に好ましい。 【0059】 また、外装体融着部54を構成する個々の融着部u,dも、それぞれ、X方向に長い形状を有することが好ましい。個々の融着部u,dは、複数の弾性部材53に亘って連続して延びる複数本の襞57の形成性等から、X方向の長さL3が、Y方向の長さL4(長さL2と同じ)の、好ましくは1倍以上、より好ましくは2倍以上であり、また好ましくは4倍以下、より好ましくは5倍以下である。 【0060】 また、外装体融着部54の前記隙間mの長さL5(図6参照,融着部u,d間の距離)は、X方向に隣り合う外装体融着部54,54どうし間の距離L6未満であることが好ましい。前記隙間mの長さL5を、前記距離L6未満とすることで、外装体融着部54,54間に弾性部材53が強固に固定されないことによる襞57の柔軟性と、融着部列間に、弾性部材53と交差してX方向に連続して延びる襞57の形成性との両立が容易となる。同様の観点から、長さL5の前記距離L6に対する比率は、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下であり、また好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。 【0061】 また、X方向に隣り合う弾性部材53,53どうしの間隔L7(図6参照)に対する外装体融着部54のX方向の長さL1の比(L1/L7)は、弾性部材53の伸縮性を妨げ難く、弾性部材53の跡を着用者の肌に付け難くする観点から、0.1以上0.8以下であることが好ましく、0.2以上0.6以下であることが更に好ましい。具体的には、X方向に隣り合う弾性部材53,53どうしの間隔L7は、4mm以上12mm以下であることが好ましく、5mm以上10mm以下であることが更に好ましい。 【0062】 外装体融着部54は、外層シート51と内層シート52とを重ねて、その部分に、熱エンボス加工を施すことにより形成されている。熱エンボス装置としては、エンボスロールとアンビルロールとを備え、そのエンボスロールの外周面に、外装体融着部54の融着部u,dに対応する形状の凸部を有するものを用いることができる。外装体融着部54を形成する加工として、熱エンボス加工に代えて、超音波シール、レーザー等を採用することもできる。 【0063】 また、前述したサイドシール部Sは、外装体融着部54の形成後に、腹側部A側の本体側固定領域56と背側部B側の本体側固定領域56とを重ねて、その部分に熱エンボス加工を施すことにより形成されている。また、サイドシール部Sを形成する加工として、熱エンボス加工に代えて、超音波シール、レーザー、接着剤等を採用することもできる。 【0064】 おむつ1のウエスト伸縮部G1においては、図7に示すように、外層シート51と内層シート52との間に横方向(Y方向)に伸長状態で配された弾性部材53が収縮することにより、隣接する融着部列54S間の外層シート51及び内層シート52が厚み方向外方に膨らむように変形して、隣接する融着部列54S間に外層シート51又は内層シート52,51Rからなる襞57が生じると共に、両シート51,52間には、襞57と襞57とに周囲を囲まれた中空部58が形成される。 なお、おむつ1においては、腹側外装体5A及び背側外装体5Bそれぞれにおける外層シート51を構成するシート材が、ウエスト開口部WOの周縁に沿って内層シート52の肌当接面側に折り返されており、その折り返し部分51Rが、ウエスト伸縮部G1における内層シート52の肌当接面側を覆っている(図7参照)。また、その折り返し部分51Rは、全面的又は部分的に塗工された接着剤により内層シート52及び/又は吸収性本体3の肌当接面に接合されている一方、外装体融着部54には融着されていない。 【0065】 胴回り伸縮部G2においては、図8に示すように、外層シート51と内層シート52との間に横方向(Y方向)に伸長状態で配された弾性部材53が収縮することにより、隣接する融着部列54P間の外層シート51及び内層シート52が厚み方向外方に膨らむように変形して、隣接する融着部列54P間に外層シート51又は内層シート52,51Rからなる襞57が生じると共に、両シート51,52間には、襞57と襞57とに周囲を囲まれた中空部58が形成される。 【0066】 おむつ1の腹側外装体5A及び背側外装体5Bそれぞれにおいては、ウエスト伸縮部G1の襞57と、胴回り伸縮部G2の襞57とが、X方向に連続して形成されている。また、おむつ1の腹側外装体5A及び背側外装体5Bそれぞれにおいては、ウエスト伸縮部G1の中空部58と、胴回り伸縮部G2の中空部58とが、X方向に連続して形成されている。このように、複数本の襞57が、複数の横方向(Y方向)に延びる弾性部材53に亘って連続して延びている。 【0067】 以上のように構成されたおむつ1においては、上述したように、外装体5が、外層シート51及び内層シート52を備え、横方向(Y方向)に伸縮性を有する伸縮部を備えている。該伸縮部は、ウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2を有している。おむつ1の外装体5における前記伸縮部は、下記の要件(I)?要件(III)を全て満たすものである。以下、具体的に説明する。 【0068】 おむつ1の外装体5における前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)(要件(I))が、おむつ1の肌触り向上の観点から、6.0μm以下であり、5.5μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることが更に好ましい。尚、前記伸縮部の表面粗さの平均偏差SMD_(2)の下限値としては、0に近ければ近いほど好ましいが、0.5μm以上であれば、おむつ1の外装体5に十分ななめらかさが付与される。外装体5における前記伸縮部の表面粗さの平均偏差SMD_(2)は、上述した外層シート51のスパンボンド不織布の表面粗さの平均偏差SMDと同様に、カトーテック株式会社製のKESFB4-AUTO-A(商品名)を用いて測定される。具体的には以下の方法で測定される。 【0069】 〔外装体における伸縮部の表面粗さの平均偏差SMD_(2)の測定法〕 使い捨ておむつの腹側の外装体における伸縮部、即ち、おむつ1においては、自然状態の腹側外装体5Aにおけるウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2にて、縦方向(X方向)に3.5cm、横方向(Y方向)に可能な限り長い長方形状に測定片を切り出す。この切り出された測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、横方向(Y方向)に100%伸長させた状態で、この測定サンプルの外層シート51側が測定面となるように、平滑な金属平面の試験台に取りつける。接触子を9.8cN(誤差±0.49cN以内)で測定サンプルに圧着する。測定サンプルを0.1cm/secの一定速度で縦方向(X方向)に2cm移動させる。測定サンプルには19.6cN/cmの一軸張力が与えられる。接触子は、0.5mm径のピアノ線を幅5mmでU字状に曲げたものからなり、9.8cNで測定サンプルを圧着する。接触子は、ばねで圧着される。ばねの定数は24.5cN/mm(誤差±0.98cN/mm以内)とし、共振周波数は表面接触から離れた状態で30Hz以上とする。外装体における伸縮部の表面粗さの平均偏差の測定値はSMD_(2)値で表される。この測定を縦方向(X方向)のみ3回行い、平均値を出し、これを外装体における伸縮部の表面粗さの平均偏差SMD_(2)とする。 【0070】 おむつ1の外装体5における前記伸縮部は、そのKES圧縮試験機による圧縮率(要件(II))が、おむつ1の肌触り向上の観点から、70%以上であり、73%以上であることが好ましく、75%以上であることが更に好ましい。尚、KES圧縮試験機により測定された圧縮率は、値が大きければ大きいほど、クッション性に優れていることを意味するが、前記圧縮率の上限値としては、95%以下であれば、おむつ1の外装体5に十分なクッション感が付与される。外装体5における前記伸縮部のKES圧縮試験機による圧縮率は、具体的には以下の方法で測定される。 【0071】 〔外装体における伸縮部のKES圧縮試験機による圧縮率の測定法〕 使い捨ておむつの腹側の外装体における伸縮部、即ち、おむつ1においては、自然状態の腹側外装体5Aにおけるウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2にて、縦方向(X方向)に3.5cm、横方向(Y方向)に可能な限り長い長方形状に測定片を切り出す。この切り出された測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、横方向(Y方向)に70%伸長させた状態で、この測定サンプルの外層シート51側が測定面となるように、平滑な金属平面の試験台に取りつける。測定装置として、カトーテック株式会社製のKES-FB3圧縮試験機を用い、圧縮面積2cm^(2)で測定サンプルの0.5gf/cm^(2)荷重下での厚みT_(0)を測定する。次に加圧速度20μm/秒で試料を圧縮する。圧縮に連れて荷重が増加していく。圧縮は荷重が50gf/cm^(2)となるまで行う。そして、50gf/cm^(2)荷重下での厚みT_(m)を測定する。厚みT_(0)から厚みT_(m)を引いた値を厚みT_(0)で除し、これに100を乗じることでKES圧縮試験機による圧縮率(%)を算出する。つまり、圧縮率(%)は、((T_(0)-T_(m))/T_(0))×100から算出される。 【0072】 おむつ1の外装体5における前記伸縮部は、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率(要件(III))が、おむつ1の肌触り向上の観点から、40%以下であり、39%以下であることが好ましく、38%以下であることが更に好ましい。尚、KES圧縮試験機による圧縮回復率の下限値としては、30%以上であれば、おむつ1の外装体5に十分な圧縮やわらかさが付与される。外装体5における前記伸縮部のKES圧縮試験機によるに圧縮回復率は、具体的には以下の方法で測定される。 【0073】 〔外装体における伸縮部のKES圧縮試験機による圧縮回復率の測定法〕 使い捨ておむつの腹側の外装体における伸縮部、即ち、おむつ1においては、自然状態の腹側外装体5Aにおけるウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2にて、縦方向(X方向)に3.5cm、横方向(Y方向)に可能な限り長い長方形状に測定片を切り出す。この切り出された測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、横方向(Y方向)に70%伸長させた状態で、この測定サンプルの外層シート51側が測定面となるように、平滑な金属平面の試験台に取りつける。測定装置として、カトーテック株式会社製のハンディ圧縮試験機(KES-G5)を用い、測定サンプルを0.02mm/secの圧縮速度で最大荷重50gf/cm^(2)になるまで圧縮した時の圧縮仕事量(a)、その後同速度で圧力を取り除き荷重が0になった時の回復仕事量(b)から、下記式(3)によって圧縮回復率(%)を算出する。 圧縮回復率=(b/a)×100(%)・・・(3) 【0074】 上述した使い捨ておむつ1の各部の形成材料について説明する。 吸収性本体10を構成する表面シート2、裏面シート3、吸収体4及び側方カフス6等としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、透湿性の樹脂フィルム等を用いることができる。吸収体4としては、吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成された吸収コアをティッシュペーパーによって被覆されているものを用いることができる。また、側方カフス6としては、撥水性の単層又は多層構造の不織布等を用いることができる。 【0075】 外装体5の腹側外装体5A及び背側外装体5Bを構成する内層シート52としては、上述した外層シート51と同じシート材(スパンボンド不織布)を用いることができるが、異なるシート材を用いてもよい。外層シート51と異なる内層シート52としては、特に柔軟性等の観点から、エアスルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布等からなる単層の不織布又は2層以上の積層不織布等を用いることができる。 【0076】 弾性部材(立体ギャザー形成用弾性部材61、弾性部材53等)としては、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形又は多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。 各部材を固定する外側固定領域55及び本体側固定領域56等を形成する接着剤としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のホットメルト接着剤等を特に制限なく用いることができる。 【0077】 上述したパンツ型使い捨ておむつ1を使用した際の作用効果について説明する。 使い捨ておむつ1は、図1に示すおむつ1の外面を形成する外層シート51がスパンボンド不織布から形成されており、該スパンボンド不織布が要件(1)?要件(4)を全て満たす不織布である。具体的には、前記スパンボンド不織布の坪量が、18g/m^(2)以下であるとの要件(1)を満たすので、剛性が低く、コストを安く抑えることができる。また、前記スパンボンド不織布の表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下で、且つ該スパンボンド不織布の摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下であるとの要件(2)及び要件(3)を満たすので、不織布のなめらかさが向上している。また、前記スパンボンド不織布のMDバルクソフトネスが5.0cN以下であるとの要件(4)を満たすので、不織布のドレープ性が向上している。従って、外層シート51を構成するスパンボンド不織布は、要件(1)?要件(4)を全て満たす不織布であるので、剛性が低く、布ライク性の向上した不織布である。よって、このようなスパンボンド不織布を、外層シート51に用いた使い捨ておむつ1は、肌触りが良く、コストを安く抑えることができる。また、上述したおむつ1では、更に、前記スパンボンド不織布の微小荷重時の圧縮特性値が15.0(gf/cm^(2))/mm以下であるとの要件(5)を満たすので、不織布のふんわり感が向上している。従って、外層シート51を構成するスパンボンド不織布は、要件(1)?要件(5)を全て満たす不織布であるので、剛性が低く、布ライク性の向上した不織布である。よって、このようなスパンボンド不織布を、外層シート51に用いた使い捨ておむつ1は、肌触りが良く、コストを安く抑えることができる。 【0078】 また、使い捨ておむつ1は、図2に示すように、腹側外装体5A及び背側外装体5Bが、それぞれ、吸収性本体10よりも外方に、外層シート51と内層シート52とが部分的に接合された部分接合領域JTを有している。部分接合領域JTを有するおむつ1を着用すると、腹側外装体5A及び背側外装体5Bが柔らかく、通気性も向上しているので、製品の品質が更に向上する。 【0079】 また、使い捨ておむつ1は、図7,図8に示すように、腹側外装体5A及び背側外装体5Bそれぞれにおいて、複数本の襞57が、複数の横方向(Y方向)に延びる複数の弾性部材53に亘って連続して延びており、おむつ1の着用時に、ウエスト伸縮部G1の中空部58と、胴回り伸縮部G2の中空部58とが、X方向に連続して形成されるようになる。その為、おむつ1を着用すると、通気性が良く、弾性部材53の跡が着用者の肌に付き難く、製品の品質が更に向上する。 【0080】 また、使い捨ておむつ1は、図2,図6に示すように、腹側外装体5A及び背側外装体5Bそれぞれに配された外装体融着部54が、X方向に長い矩形状であり、X方向に延びるウエスト伸縮部G1の融着部列54S及び胴回り伸縮部G2の融着部列54Pが、横方向(Y方向)に略等間隔に複数列形成されている。その為、複数の弾性部材53に亘って連続して延びる複数本の襞57が形成され易く、ウエスト伸縮部G1の中空部58及び胴回り伸縮部G2の中空部58が、X方向に連続して形成され易くなり、おむつ1を着用すると、通気性が更に良く、弾性部材53の跡が着用者の肌に更に付き難くなる。また、外装体融着部54が、腹側外装体5A及び背側外装体5Bを形成する外層シート51及び内層シート52を構成する繊維の配向方向に直交する方向(X方向)に長い矩形状である。その為、外層シート51及び内層シート52それぞれを構成する繊維の配向方向に直交する方向(X方向)の強度を補強し、おむつ1を着用する際に裂け難くなり、製品の品質が更に向上する。 【0081】 また、使い捨ておむつ1は、図2に示すおむつ1の外装体5における伸縮部(ウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2)が、要件(I)?要件(III)を全て満たしている。具体的には、外装体5における伸縮部が、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)が6.0μm以下であるとの要件(I)、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上であるとの要件(II)、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下であるとの要件(III)を全て満たしているので、おむつ1の外装体5の肌触りが良い。 【0082】 以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。 例えば、使い捨ておむつ1は、外装体5は、図1,図2に示すように、腹側外装体5A、背側外装体5B及び股下外装体5Cに別部材として区分された分割型のパンツ型使い捨ておむつであるが、外装体が、腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bにわたる砂時計状等の連続した形状の外装体であってもよい。具体的には、外装体を構成する外層シート51及び内層シート52それぞれが、腹側領域Aから背側領域Bにまで亘って連続する一枚のシートからなり、これら両シート51,52間に複数本の弾性部材53を固定して形成された外装体を用いたパンツ型使い捨ておむつであってもよい。このようなパンツ型使い捨ておむつの場合には、外層シート51がスパンボンド不織布となる。また、弾性部材53を有さず、外装体5が1枚のシート材からなり、該1枚のシート材が腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bにわたる砂時計状等の連続した形状で形成されており、背側部Bの左右両側縁部に一対のファスニングテープが設けられ、腹側部Aの非肌対向面に、該ファスニングテープを止着させるランディングテープが設けられた展開型の使い捨ておむつであってもよい。このような展開型の使い捨ておむつの場合には、前記1枚のシート材がスパンボンド不織布となる。また、外装体5が1枚のシート材からなり、該1枚のシート材が腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bにわたる矩形状等の連続した形状で形成されており、背側部Bの左右両側縁部それぞれに、横方向外方に延出するサイドパネルが取り付けられ、該サイドパネルの横方向外方側にファスニングテープが取り付けられた展開型の使い捨ておむつであってもよい。このような展開型の使い捨ておむつの場合には、前記1枚のシート材がスパンボンド不織布となる。 【0083】 また、使い捨ておむつ1の外装体5を構成する腹側外装体5A及び背側外装体5Bは、図2に示すように、部分接合領域JTが、外層シート51と内層シート52とを、熱融着によって接合した外装体融着部54により形成されているが、外層シート51と内層シート52とを、横方向(Y方向)及び縦方向(X方向)にて、接着剤によって間欠的に接合して形成されていてもよい。 【0084】 また、使い捨ておむつ1の外装体5を構成する腹側外装体5A及び背側外装体5Bは、図2に示すように、外装体融着部54が、平面視形状(隙間mを含めた全体形状)が、繊維配向方向に直交する方向(X方向)に長い矩形状であるが、他の形状であってもよい。また、外装体融着部54が、図2,図6に示すように、相互間に隙間mを開けてX方向に並んだ一対の融着部u,dから形成されているが、連続する1個の融着部から形成されていてもよい。 【0085】 上述した実施形態に関し、さらに以下の使い捨ておむつを開示する。 【0086】 <1> 表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備する使い捨ておむつであって、 前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からなり、 前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下であり、その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、そのMDバルクソフトネスが5.0cN以下である使い捨ておむつ。 【0087】 <2> 前記スパンボンド不織布は、その坪量が、好ましくは18g/m^(2)以下であり、10g/m^(2)以上である前記<1>に記載の使い捨ておむつ。 <3> 前記スパンボンド不織布は、前記表面粗さの平均偏差SMDが、3.1μm以下、好ましくは3.0μm以下であり、平均偏差SMDの下限値が、0に近ければ近いほど好ましく、更に好ましくは0.5μm以上である前記<1>又は<2>に記載の使い捨ておむつ。 <4> 前記スパンボンド不織布は、前記摩擦係数の平均偏差MMDが0.0075以下であり、平均偏差MMDの下限値が、0に近ければ近いほど好ましく、更に好ましくは0.003以上である前記<1>?<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <5> 前記スパンボンド不織布は、前記MDバルクソフトネスが、4.0cN以下、好ましくは3.5cN以下であり、前記MDバルクソフトネスの下限値が、0に近ければ近いほど好ましく、更に好ましくは0.5cN以上である前記<1>?<4>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <6> 前記スパンボンド不織布は、前記微小荷重時の圧縮特性値が、14.0(gf/cm^(2))/mm以下、好ましくは13.0(gf/cm^(2))/mm以下であり、前記微小荷重時の圧縮特性値の下限値が、0に近ければ近いほど好ましく、更に好ましくは1.0(gf/cm^(2))/mm以上である前記<1>?<5>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <7> 前記スパンボンド不織布は、その一面の表面積に占める該スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部の合計面積の割合(エンボス率)が、15%以下である前記<1>?<6>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <8> 前記スパンボンド不織布は、その一面の表面積に占める該スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部の合計面積の割合(エンボス率)が、5%以上13%以下、好ましくは6%以上11%以下である前記<1>?<7>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 【0088】 <9> 前記スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部は、個々の面積が0.3mm^(2)以下である前記<1>?<8>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <10> 前記スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部は、個々の面積が、0.1mm^(2)以上0.25mm^(2)以下、好ましくは0.1mm^(2)以上0.2mm^(2)以下である前記<1>?<9>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <11> 前記スパンボンド不織布は、熱融着部の数が、10個/cm^(2)以上250個/cm^(2)以下、好ましくは35個/cm^(2)以上65個/cm^(2)以下である前記<1>?<10>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <12> 前記スパンボンド不織布は、起毛処理が施されている前記<1>?<11>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <13> 前記スパンボンド不織布は、軟化剤として、界面活性剤、パラフィンオイルの内の少なくとも1を含んでいる前記<1>?<12>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <14> 前記スパンボンド不織布は、捲縮長繊維の含有率が30質量%以上100質量%以下である前記<1>?<13>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <15> 前記スパンボンド不織布は、その微小荷重時の圧縮特性値が15.0(gf/cm^(2))/mm以下である前記<1>?<14>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <16> 前記スパンボンド不織布は、構成する繊維の配向方向に直交する方向の破断強度が7.0N/50mm以上である前記<1>?<15>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <17> 前記外装体は、着用者の腹側に配される腹側外装体と、背側に配される背側外装体とを有し、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記外層シートと、該外層シートの内面側に配され、前記使い捨ておむつの内面を形成する内層シートとを含んで構成されており、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記吸収性本体よりも外方において、前記外層シートと前記内層シートとが部分的に接合された部分接合領域を有している前記<1>?<16>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <18> 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記外層シートと、前記内層シートと、それらシート間に配された複数本の糸状の弾性部材とを含んで構成されており、 前記部分接合領域は、前記外層シートと前記内層シートとを、縦方向及び横方向にて、熱融着によって間欠的に接合した複数の外装体融着部により形成されており、 前記部分接合領域においては、前記複数の弾性部材が前記複数の外装体融着部を通らないように横方向に伸長状態で配され、かつ伸長状態で配された該弾性部材の両端部が前記外層シートと前記内層シートとの間に固定されており、該外層シート及び該内層シートのそれぞれが、該複数の弾性部材に亘って連続して延びる複数本の襞を形成している前記<17>に記載の使い捨ておむつ。 <19> 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、前記吸収性本体の縦方向(X方向)の両端部それぞれよりも縦方向外方に形成されるウエスト伸縮部を有しており、 前記ウエスト伸縮部には、外層シートと内層シートとが融着した前記外装体融着部が、縦方向(X方向)に沿って一列をなすように間欠的に形成されており、複数の該外装体融着部からなる融着部列が、横方向(Y方向)に間隔を開けて複数列形成されている前記<17>又は<18>に記載の使い捨ておむつ。 <20> 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、吸収性本体10の縦方向(X方向)に沿う両側縁の位置よりも横方向(Y方向)外方に位置する胴回り伸縮部を有しており、 前記胴回り伸縮部には、外層シートと内層シートとが融着した前記外装体融着部が縦方向(X方向)に沿って一列をなすように間欠的に形成されており、複数の該外装体融着部からなる融着部列が、横方向(Y方向)に間隔を開けて複数列形成されている前記<17>?<19>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 【0089】 <21> 横方向(Y方向)に隣り合う前記融着部列どうしの間隔は、1mm以上20mm以下、好ましくは3mm以上10mm以下である前記<19>又は<20>に記載の使い捨ておむつ。 <22> 前記ウエスト伸縮部には、複数本の弾性部材が、一対の外側固定領域間に亘って配されており、 前記弾性部材は、一対の前記外側固定領域それぞれにおいて前記外層シートと前記内層シートとの間に固定されており、該外側固定領域間においては、該外層シート及び該内層シートの何れにも固定されていない前記<19>に記載の使い捨ておむつ。 <23> 前記外装体融着部は、縦方向(X方向)の長さL1が、横方向(Y方向)の長さL2の、2倍以上、好ましくは7倍以上であり、また、10倍以下、好ましくは9倍以下である前記<18>?<22>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <24> 前記外装体融着部の縦方向(X方向)の長さL1は、1mm以上8mm以下、好ましくは1mm以上5mm以下である前記<18>?<23>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <25> 前記外装体融着部を構成する個々の融着部は、縦方向(X方向)の長さL3が、横方向(Y方向)の長さL4の1倍以上、好ましくは2倍以上であり、また4倍以下、好ましくは5倍以下である前記<18>?<24>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <26> 前記外装体融着部を構成する個々の融着部間の隙間の長さL5(前記外装体融着部を構成する融着部間の距離)は、縦方向(X方向)に隣り合う該外装体融着部どうし間の距離L6未満である前記<18>?<25>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <27> 前記外装体融着部を構成する個々の融着部間の隙間の長さL5の、縦方向(X方向)に隣り合う該外装体融着部どうし間の距離L6に対する比率は、40%以下、好ましくは35%以下であり、また25%以上、好ましくは30%以上である前記<18>?<26>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <28> 縦方向(X方向)に隣り合う前記弾性部材どうしの間隔L7に対する前記外装体融着部の縦方向(X方向)の長さL1の比(L1/L7)は、0.1以上0.8以下、好ましくは0.2以上0.6以下である前記<18>?<27>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <29> 縦方向(X方向)に隣り合う前記弾性部材どうしの間隔L7は、4mm以上12mm以下、好ましくは5mm以上10mm以下である前記<18>?<28>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <30> 前記外層シート及び前記内層シートを構成する繊維の繊維配向方向が、前記使い捨ておむつの横方向と同じ方向であり、 前記外装体融着部は、前記繊維配向方向に直交する方向に長い矩形状である前記<18>?<29>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 【0090】 <31> 前記腹側外装体と前記背側外装体とが別部材で構成されている前記<17>?<30>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <32> 前記外層シートは前記スパンボンド不織布から形成されており、 前記外層シートの前記スパンボンド不織布は、ポリオレフィン系重合体であるプロピレン系重合体から形成されている前記<17>?<31>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <33> 前記プロピレン系重合体は、分子量分布(Mn/Mn)が1.5以上3.5以下のプロピレン系重合体である前記<32>に記載の使い捨ておむつ。 <34> 前記プロピレン系重合体は、ランダムコポリマー、ホモポリマー、ブロックコポリマーのいずれか1種以上を5?100重量%、好ましくは25重量%?80重量%含んだ樹脂からなる前記<32>又は<33>に記載の使い捨ておむつ。 <35> 前記プロピレン系重合体は、エチレンプロピレンランダム共重合体を主成分として5?100重量%含んだ重合体、好ましくはエチレンプロピレンランダム共重合体を主成分として25重量%以上含んだ重合体である前記<32>?<34>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <36> 前記エチレンプロピレンランダム共重合体中は、エチレン含有量が2.0mol%以上10.0mol%以下、好ましくはエチレン含有量が3.0mol%以上8.0mol%以下である前記<35>に記載の使い捨ておむつ。 <37> 前記スパンボンド不織布がスパンボンド-スパンボンド-スパンボンド積層不織布(SSS積層不織布)である前記<1>?<36>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。 <38> 表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備し、該外装体が、着用者の腹側に配される腹側部と、背側に配される背側部と、それらの間に位置する股下部に区分されており、腹側部の両側縁部と背側部の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部が形成されているパンツ型使い捨ておむつであって、 前記外装体は、前記パンツ型使い捨ておむつの外面を形成する外層シートと、該外層シートの内面側に配された内層シートとを備え、前記パンツ型使い捨ておむつの横方向に伸縮性を有する伸縮部を備えており、 前記外装体における前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下であるパンツ型使い捨ておむつ。 【実施例】 【0091】 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。尚、実施例3、4及び6は参考例である。 【0092】 [実施例1] エチレン含有のエチレンプロピレンランダム共重合体となる樹脂及び軟化剤としてエルカ酸アミドを押出機に供給して溶融混練し、紡糸ノズル孔から紡糸し、紡糸した長繊維を捕集面上に堆積させ、熱エンボスロールを用いて、エンボス率9%(個々の熱融着部の面積0.18mm^(2))でエンボス処理して、目付17g/m^(2)のスパンボンド不織布を作製した。作製されたスパンボンド不織布に対し、図3に示す加工装置100を用いて起毛処理を施した。作製されたスパンボンド不織布に関し、上述した測定法により、表面粗さの平均偏差SMD、摩擦係数の平均偏差MMD、MDバルクソフトネス及び微小荷重時の圧縮特性値を求め、表1に示した。尚、用いたスチールマッチングエンボスローラー23の凹凸ロール21における各凸部210は、その高さが2.8mmであり、凹凸ロール21の各凸部210と凹凸ロール22の各凹部220との噛み合いの深さは、2.7mmであった。また、回転軸方向に隣り合う凸部210同士の距離(ピッチ)は、7mmであり、周方向に隣り合う凸部210同士の距離(ピッチ)は、7mmであった。また、用いた凸ロール31の各凸部310の高さは、0.6mmであり、回転軸方向に隣り合う凸部310同士の距離(ピッチ)は、1.4mmであり、周方向に隣り合う凸部310同士の距離(ピッチ)は、2.1mmであった。 【0093】 [実施例2] ポリプロピレン単独重合体と、エチレンプロピレンランダム共重合体とを押出機に供給して溶融混練し、紡糸ノズル孔から紡出した後、冷却エアを吹付けて捲縮を発現させて、捕集面上に堆積させ、熱エンボスロールを用いて、エンボス率8%(個々の熱融着部の面積0.37mm^(2))でエンボス処理して、目付18g/m^(2)のスパンボンド不織布を作製した。作製されたスパンボンド不織布に関し、上述した測定法により、表面粗さの平均偏差SMD、摩擦係数の平均偏差MMD、MDバルクソフトネス及び微小荷重時の圧縮特性値を求め、表1に示した。 【0094】 [実施例3] エチレン含有のエチレンプロピレンランダム共重合体となる樹脂及び軟化剤としてパラフィンオイルを押出機に供給して溶融混練し、紡糸ノズル孔から紡糸し、紡糸された長繊維を捕集面上に堆積させ、熱エンボスロールを用いて、エンボス率6.6%(個々の熱融着部の面積0.17mm^(2))でエンボス処理して、目付17g/m^(2)のスパンボンド不織布を作製した。作製されたスパンボンド不織布に関し、上述した測定法により、表面粗さの平均偏差SMD、摩擦係数の平均偏差MMD、MDバルクソフトネス及び微小荷重時の圧縮特性値を求め、表1に示した。 【0095】 [実施例4] 実施例1と同様にして作製したスパンボンド不織布に対し、起毛処理は施さないものを実施例4とした。作製されたスパンボンド不織布に関し、上述した測定法により、表面粗さの平均偏差SMD、摩擦係数の平均偏差MMD、MDバルクソフトネス及び微小荷重時の圧縮特性値を求め、表1に示した。 【0096】 [比較例1] 熱エンボスロールを用いて、エンボス率16%(個々の熱融着部の面積0.31mm^(2))でエンボス処理する以外は、実施例3と同様にして目付17g/m^(2)のスパンボンド不織布を作製した。作製されたスパンボンド不織布に関し、上述した測定法により、表面粗さの平均偏差SMD、摩擦係数の平均偏差MMD、MDバルクソフトネス及び微小荷重時の圧縮特性値を求め、表1に示した。 【0097】 [比較例2] 熱エンボスロールを用いて、エンボス率15%(個々の熱融着部の面積0.72mm^(2))でエンボス処理する以外は、実施例3と同様にして目付20g/m^(2)のスパンボンド不織布を作製した。作製されたスパンボンド不織布に関し、上述した測定法により、表面粗さの平均偏差SMD、摩擦係数の平均偏差MMD、MDバルクソフトネス及び微小荷重時の圧縮特性値を求め、表1に示した。 【0098】 [比較例3] エチレン含有のエチレンプロピレンランダム共重合体となる樹脂を押出機に供給して溶融混練し、紡糸ノズル孔から紡糸し、紡糸された長繊維を捕集面上に堆積させ、熱エンボスロールを用いて、エンボス率18%(個々の熱融着部の面積0.3mm^(2))でエンボス処理して、目付17g/m^(2)のスパンボンド不織布を作製した。作製されたスパンボンド不織布に関し、上述した測定法により、表面粗さの平均偏差SMD、摩擦係数の平均偏差MMD、MDバルクソフトネス及び微小荷重時の圧縮特性値を求め、表1に示した。 【0099】 〔性能評価〕 実施例1?4、比較例1?3の不織布に関し、「肌触り」を以下の方法で測定・評価し、表1に示した。 【0100】 <肌触りの評価> 女性モニター10人に、各不織布の肌触りの評価を、温度:25℃、湿度:40%の環境下で行った。各モニターの評価に応じて、下記の点数を付け、モニター10人の平均点(小数点以下を四捨五入)を肌触りの評価点とした。 5点:肌触りが良い。 4点:肌触りがやや良い。 3点:普通。 2点:肌触りがやや悪い。 1点:肌触りが悪い。 【0101】 【表1】 【0102】 表1に示す結果から明らかなように、実施例1?4のスパンボンド不織布は、比較例1?3のスパンボンド不織布に比べ、肌触りが良好なシートであった。従って、実施例1?4のスパンボンド不織布を、使い捨ておむつの外面を形成する外層シートに使用すれば、肌触りが良く、製品の品質の向上が期待できると共に、コストの抑制が期待できる。 【0103】 [実施例5] 実施例1のスパンボンド不織布を外層シートに使用して、図1?図2に示す形態のおむつである花王株式会社製の「メリーズパンツ(登録商標) さらさらエアースルー Lサイズ」を製造した。 【0104】 [実施例6] 実施例4のスパンボンド不織布を外層シートに使用する以外は、実施例1と同様にして、実施例6のパンツ型使い捨ておむつを製造した。 【0105】 [比較例4] 比較例3のスパンボンド不織布を外層シートに使用する以外は、実施例1と同様にして、比較例4のパンツ型使い捨ておむつを製造した。 【0106】 [比較例5] 大王製紙株式会社のグーン(登録商標) やわらかフィットパンツ Lサイズを、そのまま比較例5のパンツ型使い捨ておむつとした。 【0107】 [比較例6] ユニ・チャーム株式会社のムーニーマン(登録商標) エアフィット Lサイズを、そのまま比較例6のパンツ型使い捨ておむつとした。 【0108】 [比較例7] P&G社製のパンパース(登録商標) さらさらパンツ Lサイズを、そのまま比較例7のパンツ型使い捨ておむつとした。 【0109】 〔性能評価〕 実施例5?6、比較例4?7のパンツ型使い捨ておむつに関し、上述した測定法により、外装体における伸縮部の表面粗さの平均偏差SMD_(2)、該伸縮部のKES圧縮試験機による圧縮率、及び該伸縮部のKES圧縮試験機による圧縮回復率を求め、表2に示した。 また、実施例5?6、比較例4?7のパンツ型使い捨ておむつに関し、「肌触り」を以下の方法で測定・評価し、表2に示した。 【0110】 <肌触りの評価> 女性モニター10人に、各パンツ型使い捨ておむつの肌触りの評価を、温度:25℃、湿度:40%の環境下で行った。各モニターの評価に応じて、下記の点数を付け、モニター10人の平均点(小数点以下を四捨五入)を肌触りの評価点とした。 5点:肌触りが良い。 4点:肌触りがやや良い。 3点:普通。 2点:肌触りがやや悪い。 1点:肌触りが悪い。 【0111】 【表2】 【0112】 表2に示す結果から明らかなように、実施例5?6のパンツ型使い捨ておむつは、比較例4?7のパンツ型使い捨ておむつに比べ、肌触りが良好なおむつであった。 【符号の説明】 【0113】 1 使い捨ておむつ(パンツ型使い捨ておむつ) 10 吸収性本体 2 表面シート 3 裏面シート 4 吸収体 5 外装体 5A 腹側外装体 5B 背側外装体 5C 股下外装体 51 外層シート 52 内層シート 53 弾性部材 54 外装体融着部 55 外側固定領域 56 本体側固定領域 57 襞 58 中空部 6 側方カフス 61 立体ギャザー形成用弾性部材 A 腹側領域、B 背側領域、C 股下領域 100 加工装置 200 部分延伸加工部 21,22 凹凸ロール 210 凸部 220 凹部 23 スチールマッチングエンボスローラー 300 起毛加工部 31 凸ロール 310 凸部 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、表面シート、裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備する使い捨ておむつであって、 前記外装体は、前記使い捨ておむつの外面を形成する外層シートを有しており、該外層シートがスパンボンド不織布からなり、 前記スパンボンド不織布は、その坪量が19g/m^(2)以下であり、その表面粗さの平均偏差SMDが3.20μm以下、その摩擦係数の平均偏差MMDが0.0085以下、そのMDバルクソフトネスが3.0?3.3cN、その微小荷重時の圧縮特性値が8.0?12.4(gf/cm^(2))/mmであり、 前記外装体は、着用者の腹側に配される腹側外装体と、背側に配される背側外装体とを有し、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記外層シートと、該外層シートの内面側に配され、前記使い捨ておむつの内面を形成する内層シートと、それらシート間に配された複数の弾性部材とを含んで構成されており、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記縦方向に沿う両外側縁に、前記外層シートと前記内層シートとの間が接合された一対の外側固定領域を有し、 前記複数の弾性部材は、前記一対の外側固定領域それぞれにおいては、前記外層シートと前記内層シートとの間に固定され、該一対の外側固定領域間においては、該外層シート及び該内層シートの何れにも固定されていない使い捨ておむつ。 【請求項2】 前記スパンボンド不織布は、その一面の表面積に占める該スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部の合計面積の割合(エンボス率)が、15%以下であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記一対の外側固定領域間に、前記横方向に伸縮性を有する伸縮部を有し、 前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下である請求項1に記載の使い捨ておむつ。 【請求項3】 前記スパンボンド不織布を構成する複数の熱融着部は、個々の面積が0.3mm^(2)以下である請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。 【請求項4】 前記スパンボンド不織布は、起毛処理が施されている請求項1?3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 【請求項5】 前記スパンボンド不織布は、軟化剤として、界面活性剤、パラフィンオイルの内の少なくとも1を含んでいる請求項1?4の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 【請求項6】 前記スパンボンド不織布は、捲縮長繊維の含有率が30質量%以上100質量%以下である請求項1?5の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 【請求項7】 (削除) 【請求項8】 前記スパンボンド不織布は、構成する繊維の配向方向に直交する方向の破断強度が7.0N/50mm以上であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記吸収性本体よりも外方において、前記外層シートと前記内層シートとが部分的に接合された部分接合領域を有し、 前記部分接合領域は、前記外層シートと前記内層シートとを、前記縦方向及び前記横方向にて、熱融着によって間欠的に接合した複数の外装体融着部により形成されており、 前記部分接合領域においては、前記複数の弾性部材が前記複数の外装体融着部を通らないように横方向に伸長状態で配され、かつ伸長状態で配された該弾性部材の両端部が前記外層シートと前記内層シートとの間に固定されており、該外層シート及び該内層シートのそれぞれが、該複数の弾性部材に亘って連続して延びる複数本の襞を形成している請求項1?6の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 【請求項9】 (削除) 【請求項10】 (削除) 【請求項11】 前記外層シート及び前記内層シートを構成する繊維の繊維配向方向が、前記使い捨ておむつの横方向と同じ方向であり、 前記外装体融着部は、前記繊維配向方向に直交する方向に長い矩形状である請求項8に記載の使い捨ておむつ。 【請求項12】 前記スパンボンド不織布は、その表面粗さの平均偏差SMDが2.945以上であり、 前記腹側外装体及び前記背側外装体は、それぞれ、前記一対の外側固定領域間に、前記横方向に伸縮性を有する伸縮部を有し、 前記伸縮部は、その表面粗さの平均偏差SMD_(2)が6.0μm以下、そのKES圧縮試験機による圧縮率が70%以上、そのKES圧縮試験機による圧縮回復率が40%以下である請求項1、3?6、8及び11の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2021-09-30 |
出願番号 | 特願2015-90572(P2015-90572) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(A61F)
P 1 651・ 536- YAA (A61F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 北村 龍平 |
特許庁審判長 |
久保 克彦 |
特許庁審判官 |
佐々木 正章 井上 茂夫 |
登録日 | 2019-07-26 |
登録番号 | 特許第6560015号(P6560015) |
権利者 | 花王株式会社 |
発明の名称 | 使い捨ておむつ |
代理人 | 特許業務法人翔和国際特許事務所 |
代理人 | 松嶋 善之 |
代理人 | 成瀬 源一 |
代理人 | 特許業務法人翔和国際特許事務所 |
代理人 | 松嶋 善之 |
代理人 | 成瀬 源一 |
代理人 | 前田 秀一 |
代理人 | 岩本 昭久 |
代理人 | 前田 秀一 |
代理人 | 岩本 昭久 |