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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A47B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A47B
管理番号 1379849
異議申立番号 異議2021-700648  
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-06 
確定日 2021-11-01 
異議申立件数
事件の表示 特許第6806226号発明「フラップ天板付き家具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6806226号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6806226号の請求項1ないし8に係る特許についての出願(以下、「本件出願」という。)は、平成29年9月29日に出願された特願2017-191421号(以下、「原出願」という。)の一部を、令和1年12月23日に新たな特許出願としたものであって、令和2年12月8日にその特許権の設定登録がされ、令和3年1月6日に特許掲載公報が発行された。その後、令和3年7月6日に特許異議申立人 仙波 司(以下、「申立人」という。)より特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし8に係る特許に対して、特許異議の申立てがされたものである。


第2 本件発明
特許第6806226号の請求項1ないし8の特許に係る発明(以下、「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなり、天板には、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部を設けているフラップ天板付き家具であって、
前記脚体は、前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであり、そのベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されており、
前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されており、
キャスタ連動部材が前記両作動部とともに最前進位置に移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となるように構成されているフラップ天板付き家具。
【請求項2】
前記ベースは、前後両端部にキャスタ取付部を有したものであり、前記キャスタ取付部に前記キャスタをそれぞれ取り付けた状態で前記キャスタ連動部材が前記両作動部とともにベース内に収容されるように構成されている請求項1記載のフラップ天板付き家具。
【請求項3】
車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなり、天板には、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部を設けているフラップ天板付き家具であって、
前記脚体は、前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであり、そのベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されており、
前記キャスタが車輪ロック状態に自動的に復帰するのを助ける引張バネが、前記キャスタ連動部材と前記ベースとの間に設けられているフラップ天板付き家具。
【請求項4】
前記引張バネの付勢力に抗しつつ前記キャスタ連動部材が最前進位置まで移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となるように設定されている請求項3記載のフラップ天板付き家具。
【請求項5】
前記動作連動手段が、リンク機構を介して天板のフラップ動作を両キャスタの両作動部間を接続する前記キャスタ連動部材に機械的に伝達するものである請求項3又は4記載のフラップ天板付き家具。
【請求項6】
前記一時解除用操作部は、前記天板の下面における縁近傍に設けられている請求項1、2、3、4又は5記載のフラップ天板付き家具。
【請求項7】
前記一時解除用操作部を操作している場合には前記キャスタが車輪非ロック状態となり、前記一時解除用操作部に対する操作を止めた場合には前記キャスタが車輪ロック状態に自動的に復帰するように構成されている請求項1、2、3、4、5又は6記載のフラップ天板付き家具。
【請求項8】
前記天板が使用姿勢にある状態において、前記一時解除用操作部を操作することによりキャスタ連動部材が前進してキャスタが車輪ロック状態から車輪非ロック状態に切り替わるように構成されている請求項1記載のフラップ天板付き家具。」


第3 申立理由の概要
申立人が申立書において主張する申立理由の要旨は、次のとおりである。

1(明確性)
本件発明1ないし8は不明確である。したがって、本件発明1ないし8についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当するから、取り消されるべきものである(申立書第40頁下から4行-第41頁第18行)。

2(新規性)
本件発明1、及び本件発明1を限定した本件発明6ないし8は、原出願の出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。したがって、これらの発明に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである(申立書第41頁第19行-第45頁第6行)。

3(進歩性)
本件発明1ないし8に係る特許は、下記(1)ないし(7)のとおり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
(1)本件発明1、及び、本件発明1を限定した本件発明2及び6ないし8は、原出願の出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明、及び甲第5号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(申立書第41頁第7行-第51頁第18行)。
(2)本件発明1、及び、本件発明1を限定した本件発明2及び6ないし8は、原出願の出願前に頒布された甲第3号証に記載された発明、及び甲第2号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(申立書第51頁第19行-第55頁第18行)。
(3)本件発明1、及び、本件発明1を限定した本件発明2及び6ないし8は、原出願の出願前に頒布された甲第4号証に記載された発明、及び甲第3号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(申立書第55頁第19行-第61頁第1行)。
(4)本件発明3、及び、本件発明3を限定した本件発明4ないし7は、原出願の出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明、及び甲第6号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(申立書第61頁第2行-第66頁第21行)。
(5)本件発明3、及び、本件発明3を限定した本件発明4ないし7は、原出願の出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明、及び甲第7号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(申立書第66頁第22行-第71頁第5行)。
(6)本件発明3、及び、本件発明3を限定した本件発明4ないし7は、原出願の出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明、及び甲第3号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(申立書第71頁第6行-第76頁第6行)。
(7)本件発明3、及び、本件発明3を限定した本件発明4ないし7は、原出願の出願前に頒布された甲第4号証に記載された発明、及び甲第3号証に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(申立書第76頁第7行-第81頁第22行)。


第4 証拠について
1 証拠一覧
申立人が申立書に添付して提出した証拠は、甲第1号証ないし甲第14号証(以下、「甲1」等という。)であり、以下のとおりである。
甲1: 特開2008-104793号公報
(平成20年5月8日公開)
甲2: 特開2009-153684号公報
(平成21年7月16日公開)
甲3: 特開2017-81474号公報
(平成29年5月18日公開)
甲4: 特開2007-349号公報
(平成19年1月11日公開)
甲5: 登録実用新案第3187234号公報
(平成25年11月14日発行)
甲6: 特開2007-131239号公報
(平成19年5月31日公開)
甲7: 特開2009-160999号公報
(平成21年7月23日公開)
甲8: 実願昭62-85233号(実開昭63-194650号)の
マイクロフィルム
(昭和63年12月14日公開)
甲9: 特開平5-68618号公報
(平成5年3月23日公開)
甲10:特開2003-259918号公報
(平成15年9月16日公開)
甲11:特開2017-140224号公報
(平成29年8月17日公開)
甲12:特開2017-86355号公報
(平成29年5月25日公開)
甲13:特開2000-52704号公報
(平成12年2月22日公開)
甲14:特開2009-153732号公報
(平成21年7月16日公開)
甲15:特開平11-318572号公報
(平成11年11月24日公開)


2 各証拠の記載
(1)甲1
ア 記載事項
甲1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。

(ア)「【0025】
本実施形態の移動机1は、天板2が水平な使用位置にある場合に床面上で固定され、天板2が略垂直な収納位置にある場合に床面上を移動可能に構成されたものであり、長方形の板材からなる天板2と、天板2の長手方向の両端の下方に設けられ、天板支持部30を介して天板2を使用位置と収納位置との間で回動可能に支持すると共に、下方に一対のキャスタ10を夫々備えた一対の脚部4と、脚部4の内部に設けられ、天板2が収納位置にあるとき、または、後述する微調整レバー70が操作されたときに脚部4の下方にキャスタ10を突出させ移動机1の移動を可能とするための昇降機構20と、を備えている。なお、以下、天板2の長手方向を移動机1の左右方向、この方向に直交する方向を前後方向とし、着席側を移動机1の後方(図1の右方)、反対側を移動机1の前方として説明する。
【0026】
脚部4は、図1?図3に示すように、天板2を上方で支持する脚柱6と、脚柱6の下端に前後方向に幅を持って設けられた脚座8と、から構成されており、一対の脚部4は、脚柱6の上方に設けられた框パイプ14で連結されている。」

(イ)「【0042】
次に、連動機構について説明する。連動機構は、図4に示すように、主に、天板2の下方、且つ、後方側の左右の端縁付近に夫々設けられた一対の微調整レバー70と、各微調整レバー70を天板受け金具34に連結するための微調整キー78及びボルト80と、この微調整キー78が挿通されて微調整キー78と一体に回動される回転金具74と、天板2の下方において、左右方向に水平配置されたフロート連動パイプ82と、フロート連動パイプ82と昇降機構20とを連結するフロートキー92と、フロート連動パイプ82の周囲に固定される微調整カム76と、回転金具74を介して微調整レバー70と微調整カム76とを連結するリンク部材72と、から構成されている。」

(ウ)「【0060】
浮動脚106は、金属の板材を折り曲げて形成された断面コの字状の長尺部材であり、開口側を上方にして配置される。そして、一対の平行な第1平面部106aを接続する第2平面部106bの外側の面(つまり、下方側の面)の両端には、キャスタ10が結合されている。」

(エ)「【0066】
本実施形態の移動机1において、天板2が水平な使用位置にある場合には、図6(b)に示すように、小判状のフロートキー92の平行な一対の側面、つまり、昇降カム96の第2平面部96bが、床面に対して垂直に配置され、ロッド98との連結点であるピン100は、昇降カム96の回動中心(つまり、フロートキー92の中心)の下方に配置されている。そして、このとき、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方に位置し、一方、浮動脚106は、テコ104を介して、脚座8の内部で最も上方に位置し、キャスタ10が床面から離間されている。よって、移動机1は、天板2が使用位置にあるときに移動しないように固定される。」

(オ)「【0069】
次に、ロックレバー52を操作した状態で天板2を上方に押し上げて、図7(a)に示す略垂直な(本実施形態では床面となす角度が約80度)収納位置に回転させると、回転金具74を介して、リンク部材72が、天板2の回転中心、つまり、フロート連動パイプ82を中心として回転し、図7(c)に示すように、長孔72dの一端に係合されたピン90を介して微調整カム76が、天板2と共に時計と反対回りに回転する。また、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し、さらに、図7(b)に示すように、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ピン100が、昇降カム96の回動中心の略右側に配置される。
【0070】
そして、このときロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から最も上方に位置に移動し、一方、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地される。
【0071】
ここで、この移動机1において、キャスタ10は、天板2の収納位置への回転の途中で床面に接地される。そして、その後、天板2の回転が進むと、キャスタ10が床面から受ける反発力により、テコ104を介して脚座8が上方に移動し、脚座8が床面から離間される。よって、移動机1は、天板2が収納位置にあるときに、床面に接地されたキャスタ10により移動可能となる。また、天板2が収納位置に移動した際に、ロックプレート54の係合溝54aが、框プレート16の第2凸部16dに係合し、天板2は収納位置で固定される。
【0072】
一方、天板2を収納位置から使用位置に回転させる際には、ロックレバー52を操作して係合を解除しつつ、天板2を押し下げて使用位置に回転させる。このとき、昇降カム96が天板2と共に時計回りに回転し、ピン100は、再び昇降カム96の回動中心の下方に移動する。また、ロッド98が下方に移動すると共に、テコ104を介して浮動脚106が脚座8に対して上方に移動し、キャスタ10が床面から離間される。なお、天板2が使用位置に移動した際に、ロックプレート54の係合溝54aは、再び、框プレート16の第1凸部16cに係合し、天板2は使用位置で固定される。
【0073】
また、天板2が使用位置にある状態で、図8(a)の矢印に示すように、微調整レバー70を手動で操作する、つまり、天板2の下方に手を伸ばして微調整レバー70を垂下された位置から天板2の着席側に引き出す(本実施形態では約120度時計と反対回りに回転させる)と、微調整レバー70の回転に伴い回転金具74が回転する。なお、微調整レバー70は、着席側に引き出された状態で天板2の側端縁の近傍に配置されるので、ユーザは、着席側に立った状態で、容易に微調整レバー70を引き出したままで保持することができると共に、天板2の側端部を掴むことができる。
【0074】
そして、回転金具74と共にピン88が時計と反対回り(つまり、前方)に回転し、リンク部材72が、このピン88を介して前方に移動する。また、リンク部材72が前方に移動するのに伴い、図8(c)に示すように、長孔72dの後方側の端部に係合されていたピン90が前方に移動し、このピン90を介して微調整カム76が、時計と反対回りに回転する。そして、微調整カム76の回転に伴い、フロート連動パイプ82、フロートキー92、及び、昇降カム96が一体に回転し、さらに、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、図8(b)に示すように、ピン100が、昇降カム96の回動中心の右斜め下方に配置される。なお、このときの昇降カム96の回転角度が、天板2を使用位置から収納位置に回転させた場合に比べて小さくなるように、微調整レバー70と、フロート連動パイプ82とが連結されている。
【0075】
そして、微調整レバー70の操作に伴い、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から上方に移動し、一方、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地される。ここで、この移動机1において、キャスタ10は、微調整レバー70が、図8(a)の位置まで完全に引き出される前に、床面に接地される。そして、その後、微調整レバー70が図8(a)の位置まで引き出されると、キャスタ10が床面から受ける反発力により、テコ104を介して脚座8が上方に移動し、脚座8が床面から離間される。よって、移動机1は、微調整レバー70が操作された状態で、床面に接地されたキャスタ10により移動可能となる。」

イ 甲1に記載された発明
上記アより、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「天板2が水平な使用位置にある場合に床面上で固定され、天板2が略垂直な収納位置にある場合に床面上を移動可能に構成される、移動机1であり、
移動机1は、
天板2と、
天板支持部30を介して天板2を使用位置と収納位置との間で回動可能に支持する脚柱6と、脚柱6の下端に前後方向に設けられた脚座8と、から構成される一対の脚部4と、
天板2の下方、且つ、後方側の端縁付近に設けられた微調整レバー70と、
両端にキャスタ10が結合されている浮動脚106とを備え、
天板2が水平な使用位置にある場合には、昇降カム96のロッド98との連結点であるピン100は、昇降カム96の回動中心の下方に配置され、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方に位置し、浮動脚106は、テコ104を介して、脚座8の内部で最も上方に位置し、キャスタ10が床面から離間されて、移動机1は、移動しないように固定され、
天板2を上方に押し上げて、略垂直な収納位置に回転させると、昇降カム96が回転し、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から最も上方に位置に移動し、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され、移動机1は、床面に接地されたキャスタ10により移動可能となり、
天板2が使用位置にある状態で、微調整レバー70を手動で操作すると、昇降カム96が回転し、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から上方に移動し、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され、移動机1は、床面に接地されたキャスタ10により移動可能となる、
移動机。」

(2)甲2
ア 記載事項
甲2には、次の事項が記載されている。
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、天板の回動をロックする機構と、キャスターをロックする機構とがリンクしているため、一方の動作に不具合が生じると、もう一方の動作にも不具合が発生する虞があった。例えば、キャスターのロックが故障し、キャスターをロックする部材が変位しなくなったとき、同時に天板をロックする機構も動かなくなり、天板をロックする機構に不具合がなくとも天板のロックおよびアンロックが適切に行えなくなってしまうことや、一方のロック機構が浅めに掛かった結果、一方はロックされるが、もう一方はロックが十分に行われない、といったの問題が発生する可能性があった。さらに、キャスターおよび天板をロックしたとき、その状態を維持するために付勢手段が用いられるが、各機構がリンクしていることから、一方に適切な付勢力を加える付勢手段を用いると、もう一方の付勢力が強すぎることや弱すぎることになり、それぞれに適切な力を加えることができないといった問題があった。
【0005】
それに対し、キャスターをロックする機構と天板をロックする機構とを別々に設けると、キャスターをロックまたはアンロックする操作と、天板の回動をロックまたはアンロックする操作とを別々に行わねばならず、不便であった。」

(イ)「【0024】
移動机1は、前後左右(図1におけるXY平面方向)に拡がる天板10と、左右方向(図1におけるY方向)に並んで配置される一対の脚部20(図1においては片方のみ図示)と、脚部20の下端における前方(図1におけるC方向)側に配置されるロックキャスター30と、ロックキャスター30より後方(図1におけるD方向)側に配置されるキャスター31と、を備えている。
【0025】
脚部20は、略上下方向(図1におけるA-B方向)に延びる第1脚部材21と前後方向(図1におけるC-D方向)に延びる第2脚部材22とからなる。そして、左右方向(図1におけるY方向)に延びる回転軸11を中心として、図1に示すように天板10の主たる面が水平となる使用状態と、図2に示すように天板10の主たる面が略垂直となる移動状態と、の間で回動可能に天板10を保持する。また、第1脚部材21の上端近傍に、後述する天板ロック機構60の一部であるヒンジ金具23が設けられている。
【0026】
また、この脚部20は、キャスターロック機構40を備えている。
キャスターロック機構40は、脚部20内部に配置され、第1脚部材21に沿って延びるロッド41(本発明における第1可動部)と、ロッド41を上方向(図1におけるA方向)に付勢する板バネ42(本発明における第1付勢手段)と、ロックキャスター30が旋回する際の回転軸E上に位置する旋回軸43と、旋回軸43の下端に設けられ、その下端面が笠歯車状に形成された旋回ロック部44と、ロックキャスター30の内部に配置され、ロックキャスター30の回転軸Fと平行な回転軸Gを中心として回転変位するロック片45と、ロック片45の下端に設けられた複数の走行阻止歯46と、を有している。上記旋回軸43は、回転軸Eに沿う方向(図1におけるZ方向)に揺動可能かつ、ロックキャスター30の旋回方向に回転不能に保持されると共に、上方向に付勢されている。
【0027】
移動机1は、天板10の裏面に押圧機構50,天板ロック機構60,およびレバー部70を備えている。天板10の裏面の分解図を図3に示す。
上述した押圧機構50および天板ロック機構60は、天板10の右側端部(図3におけるH方向側端部)近傍に配置された梁枠80に取り付けられている。この梁枠80は、天板10の左右方向(図3におけるH-I方向)と直交し、かつ、天板10の前後方向(図3におけるJ-K方向)に延びる平板状であり、その前方(図3におけるJ方向)側から順に、貫通孔81,曲長孔82,円形ボス部83が形成されている。
【0028】
押圧機構50は、嵌合棒51を備えるロッド押さえ52(本発明における押圧可動部)と、嵌合棒51を外嵌する円筒状の連動金具53と、連動金具53を取り巻くように配置される押圧バネ54(本発明における第3付勢手段)と、連動金具53に取り付けられ、梁枠80と略平行に広がり、くの字型の凹部55を有する回転金具56と、からなる。」

(ウ)「【0031】
天板ロック機構60は、ロック部材63(本発明における第2可動部)と、ロック部材63に取り付けられるロックバネ64(本発明における第2付勢手段)と、ロック座金65と、脚部20に取り付けられたヒンジ金具23(図3には表示しない)と、からなる。
【0032】
ロック部材63には、貫通孔61と、貫通孔61の貫通方向と平行となる方向に突出した突起62と、が設けられている。この貫通孔61には、上記円形ボス部83が挿入する。また、突起62は曲長孔82に挿入する。
【0033】
ロック部材63は、ロック座金65によって、円形ボス部83を回転軸として、突起62が曲長孔82にて移動できる範囲で回転可能となるように取り付けられる。また、ロックバネ64は、ロック部材63に対して、M方向に回転付勢力を加える。
【0034】
レバー部70は、天板10の前後方向(図3におけるJ-K方向)に沿って延びるスライド金具71と、スライド金具71の一方の端部に取り付けられるレバー72と、スライド金具71の他方の端部に配置された筒状のスライド管座73と、スライド金具71をカバーするスライドカバー74と、スライドカバー74に形成された天板10の左右方向(図3におけるH-I方向)に貫通する貫通長孔75に対して挿通するリベット77と、からなる。」

(エ)「【0038】
次に、上述したレバー72の操作によって生じた連動金具53の回転によるロッド押さえ52とロック部材63の動作を、図6?図9に基づいて説明する。
レバー72が操作されず、連動金具53が回転しない図5(a)に対応するロッド押さえ52とロック部材63の位置を図6に示す。
【0039】
ロッド押さえ52は、押圧バネ54により図6における時計回り方向に付勢されており、連動金具53を回転軸として回転し、ロッド41を第1脚部材21に沿った下方向(図6におけるB方向)に付勢する。ロッド41には、板バネ42により第1脚部材21に沿った上方向(図6におけるA方向)の付勢力が加えられているが、板バネ42によるロッド41を上昇させる付勢力が、押圧バネ54によりロッド41を下降させる付勢力より弱いため、下方向に移動することとなる。なお、このときのロッド押さえ52の位置が、本発明における押圧ロック位置となる。
【0040】
ロッド41が下方向に移動すると、旋回軸43がロッド41に押圧されて下方向に移動し、旋回ロック部44がロック片45を下方向に押圧して回転軸Eを中心に反時計回りに回転し、ロックキャスター30の内壁32に接触する。
【0041】
ロック片45の旋回ロック部44と接触する部分は、旋回ロック部44の笠歯車と整合する凹部が形成されており、これらが咬み合うこによりロック片45の旋回軸43を回転軸とする方向の回転が抑制され、その結果ロックキャスター30の旋回が抑制される。
【0042】
また、ロックキャスター30の内壁32は、歯車状に形成されており、ロック片45の走行阻止歯46と咬み合うことにより、ロックキャスター30の回転が抑制される。
このようにして、ロックキャスター30がロックされる。なお、このときのロッド41の位置が本発明におけるキャスターロック位置である。
【0043】
一方、ロック部材63は、ロックバネ64に付勢されて図6における反時計回りに回転し、ロック部材63の鉤部66がヒンジ金具23の第1係合部24と係合することで、天板10の回転をロックしている。この状態において、ロッド押さえ52はロック部材63の突起62と接触していない。なお、このときのロック部材63の位置が本発明における天板ロック位置である。
【0044】
次に、使用者がレバー72を一定量操作し、連動金具53が回転した図5(b)に対応するロッド押さえ52とロック部材63の位置を図7に示す。
ロッド押さえ52は、連動金具53の回転に合わせて図7における反時計回りに回転する。その結果、ロッド41は板バネ42の付勢力により脚部20に沿った上方向に変位するため、旋回軸43が上昇し、旋回ロック部44とロック片45との接触が解除されてロック片45が内壁32から離れるため、ロックキャスター30の回転および旋回が可能となる。このようにして、ロックキャスター30がアンロックされ、移動机1の移動が可能となる。なお、このときのロッド41の位置が本発明におけるキャスターアンロック位置である。
【0045】
このように、キャスターロック機構40は、ロッド41をA-B方向に移動させることで、ロックキャスター30のロックおよびアンロックを切り替えることができる。
また、ロッド押さえ52がロック部材63の突起62と接触し、ロック部材63を図7における時計回り方向に回転させるが、この段階ではロック部材63の鉤部66は第1係合部24に一部係合しているため、天板10の回動はロックされたままである。
【0046】
次に、使用者がさらにレバー72を操作し、連動金具53が最大限に回転した図5(c)に対応するロッド押さえ52とロック部材63の位置を図8に示す。
この状態において、ロッド押さえ52は、図8における反時計回りに最大限回転変位している。ロッド41は、図7の場合と同様に、第1脚部材21に沿った上方向に変位しており、ロックキャスター30のロックは解除された状態である。このとき、ロッド41とロッド押さえ52は接触していない。また、ロッド押さえ52がロック部材63を図7の状態よりさらに時計回り方向に回転させるため、ロック部材63の鉤部66が第1係合部24からはずれ、天板10の回動が許可されたアンロック状態となっており、天板10を回動して起立させることが可能となる。なお、このときのロック部材63の位置が本発明における天板アンロック位置である。
【0047】
天板10を起立させ、レバー72の操作を解除した状態を図9に示す。ロッド押さえ52は、押圧バネ54の付勢力を受け、図9における時計回り方向に回転移動している。また、ロック部材63は、ロックバネ64の付勢力を受け、図9における反時計回り方向に回転移動している。
【0048】
このとき、ロック部材63の鉤部66はヒンジ金具23の第2係合部25と係合しており、その結果、天板10は回動が抑制されたロック状態となる。また、ロッド押さえ52はロッド41に接触しないため、ロッド41は、第1脚部材21に沿った上方向に変位しており、ロックキャスター30は、旋回および回転が許可されたアンロック状態となっている。
【0049】
なお、この状態でレバー72を引く操作すると、ロック押さえ52が反時計回りに回転し、突起62を左方向に移動させることで、ロック部材63を反時計回りに回転させる結果、ロック部材63の鉤部66が第2係合部25から外れ、天板10がアンロックされた状態となり、天板10を回動して水平に戻すことが可能となる。」

(オ)【図1】




(カ)段落【0024】及び【0025】の記載をふまえると、上記【図1】より、脚部20の下端において、前後方向に延びる第2脚部材22の前方、かつ略上下方向に延びる第1脚部材21の下に、ロックキャスター30が配置され、前後方向に延びる第2脚部材22の後方に、キャスター31が配置される様子が、看取される。

イ 甲2に記載された発明
上記アより、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「略上下方向に延びる第1脚部材21及び前後方向に延びる第2脚部材22とからなる脚部20とからなる脚部20と、
主たる面が水平となる使用状態と、主たる面が略垂直となる移動状態との間で、回動可能に脚部20に保持される天板10と、
脚部20の下端において、前後方向に延びる第2脚部材22の前方、かつ略上下方向に延びる第1脚部材21の下に配置されるロックキャスター30、及び、前後方向に延びる第2脚部材22の後方に配置されるキャスター31と、
天板10の裏面に設けられた押圧機構50、天板ロック機構60、及びレバー部70とを備える、移動机1において、
脚部20が備えるキャスターロック機構40は、第1脚部材21に沿って延びるロッド41と、ロッド41を上方向に付勢する板バネ42と、ロックキャスター30が旋回する旋回軸43の下端に設けられた旋回ロック部44と、ロックキャスター30の内部に配置されたロック片45を有し、
押圧機構50は、ロッド押さえ52を有し、
天板ロック機構60は、ロック部材63と、脚部20に取り付けられたヒンジ金具23とを有し、
レバー部70は、天板10の前後方向に沿って延びるスライド金具71と、スライド金具71の一方の端部に取り付けられるレバー72とを有し、
レバー72が操作されないとき、ロッド押さえ52は、押圧バネ54により、ロッド41を第1脚部材21に沿った下方向に付勢し、ロッド41が下方向に移動すると、旋回軸43がロッド41に押圧されて下方向に移動し、ロック片45が下方向に押圧されてロックキャスター30の内壁32に接触して、ロックキャスター30の回転が抑制されるキャスターロック位置となり、一方、ロック部材63は、ロック部材63の鉤部66がヒンジ金具23の第1係合部24と係合することで、天板10の回転をロックしており、
使用者がレバー72を一定量操作すると、ロッド押さえ52は回転し、ロッド41は板バネ42の付勢力により脚部20に沿った上方向に変位するため、旋回軸43が上昇し、ロック片45が内壁32から離れるため、ロックキャスター30の回転および旋回が可能となり、ロックキャスター30がアンロックされ、移動机1の移動が可能となるが、この段階ではロック部材63の鉤部66は第1係合部23に一部係合しているため、天板10の回動はロックされたままであり、
使用者がさらにレバー72を操作すると、ロッド押さえ52は最大限回転変位し、ロッド41は、第1脚部材21に沿った上方向に変位しており、ロックキャスター30のロックは解除された状態であり、このとき、ロッド41とロッド押さえ52は接触しておらず、ロック部材63の鉤部66が第1係合部24からはずれたアンロック状態となっており、天板10を回動して起立させることが可能となり、
天板10を起立させ、レバー72の操作を解除すると、ロック部材63の鉤部66はヒンジ金具23の第2係合部25と係合し、天板10は回動が抑制されたロック状態となり、またロッド押さえ52はロッド41に接触しないため、ロッド41は、第1脚部材21に沿った上方向に変位しており、ロックキャスター30は、旋回および回転が許可されたアンロック状態となっている、
移動机1。」

(3)甲3
ア 記載事項
甲3には、次の事項が記載されている。

(ア)「【背景技術】
【0002】
従来から、テーブル等の家具として、その底部にローラーを有したキャスタを備えているものが種々知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、キャスタには、前記ローラーの回転動作及び旋回動作を禁止するためのロック部を有しているものがある。そして、従来におけるロック部を作動するための操作は、概して、ロック部に関連させて設けられた操作体を上下方向に移動させることにより行われていた。
【0004】
ところが、このような構成のものであると、例えば、使用者が直接的に視認し得る足先部分を使って操作体を操作するような場合には、当該上下方向に移動する操作体に対して的確に足先部分をアクセスさせ難いものとなり、使用者が快適に操作体を操作することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-233078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、操作性に優れたキャスタ、及び、当該キャスタを有したキャスタ付家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、家具本体の底部にキャスタを設けたキャスタ付家具であって、前記キャスタが、前記家具本体に取り付けられた支持体にターンベースが水平旋回可能に保持されこのターンベースの偏心位置にローラーが枢支されているキャスタ本体と、このキャスタ本体の動きをロックするためのロック位置からそのロックを解除するための非ロック位置までの間で作動する作動子を有したロック部と、このロック部の作動子を作動させて前記ロック部をロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部とを備えてなり、前記操作部が、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子を作動させるプッシュボタンと、このプッシュボタンに一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子を前記ロック位置又は前記非ロック位置に交互に保持する選択保持機構とを備えたものであるキャスタ付家具である。」

(イ)「【0022】
フラップ天板付テーブルAは、フラップ動作可能な天板Cの左右両端部を脚体Dにより支持してなる家具本体たるテーブル本体Bと、このテーブル本体Bの底部に設けられた使用端側のキャスタたる第一のキャスタEと、前記テーブル本体Bの底部に設けられた反使用端側のキャスタたる第二のキャスタFとを備えてなる。
【0023】
テーブル本体Bは、天板Cの両端部を左右の脚体Dによりフラップ動作可能に支持したものであり、前記各脚体Dは前後に延びる脚ベースd1の中央に脚支柱d2を立設したものである。そして、前記テーブル本体Bの底部である前記脚ベースd1の使用端側に第一のキャスタEを設けるとともに反使用端側に第二のキャスタFを設けている。
【0024】
脚ベースd1は、下方に開放されたチャンネル状のものであり、その使用端に前側に向かって開口した窓d11を有している。この脚ベースd1は、使用端部における両側壁d12の内面に第一のキャスタE取付用の凹陥部d13を備えているとともに反使用端部における両側壁d12の内面に第二のキャスタF取付用の凹陥部d14を備えている。」

(ウ)「【0025】
第一のキャスタEは、前記脚ベースd1の使用端側に設けられたもので、キャスタとして機能するローラー3を有した基本構造を備えたキャスタ本体Gと、このキャスタ本体Gの動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で作動する作動子5を有したロック部Hと、このロック部Hの作動子5を作動させて前記ロック部Hをロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部Mとを具備してなる。
・・・(中略)・・・
【0030】
ロック部Hは、前記キャスタ本体Gの動きをロックするためのものであり、前記支持体1に保持されプッシュボタン8に対する操作に応じて前記ロック位置(I)と前記非ロック位置(J)との間で進退動作を行う作動子5と、前記ターンベース2内に昇降可能に保持されたロック体6と、前記作動子5の進退動作を前記ロック体6の昇降動作に変換するカム機構7とを備えてなり、前記作動子5がロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退するのに伴って、前記ロック体6が前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を禁止する係合位置(K)と前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を許容する非係合位置(L)との間で作動し得るように設定されている。
・・・(中略)・・・
【0039】
操作部Mは、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子5を作動させるプッシュボタン8と、このプッシュボタン8に一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子5を前記ロック位置(I)又は前記非ロック位置(J)に交互に保持する選択保持機構たるハートカム機構9とを備えたものである。
【0040】
プッシュボタン8は、前記脚ベースd1の使用端近傍に配されたもので、具体的には、脚ベースd1に設けられた窓d11に突没可能に配されている。このプッシュボタン8は、前記作動子5の外方端に設けられている。すなわち、このプッシュボタン8は、ロック位置(I)において前記脚ベースd1の窓d11から過度に突出していない形態をなすものであり、その背面に前記作動子5におけるプッシュボタン取付部51に取り付けられる取付突片81を備えている。この取付突片81には、前記プッシュボタン取付部51のボルト挿通孔h2に合致するボルト挿通孔h3と、このボルト挿通孔h3の上端部に軸心を一致させて埋設させたナットn1とを備えている。そして、前記作動子5のボルト挿通孔h2から挿入したボルトv1を前記ナットn1に螺着して緊締することによりこのプッシュボタン8を前記作動子5に取り付けている。」

(エ)「【0045】
次に、第二のキャスタFについて説明する。なお、第二のキャスタFの符号については、第一のキャスタEにおいて使用した符号の後に「’」を付したものを使用することとし、詳細な説明を省略することがある。
【0046】
第二のキャスタFは、前記脚ベースd1の反使用端側に前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1’にターンベース2’が水平旋回可能に保持されこのターンベース2’の偏心位置にローラー3’が枢支されているキャスタ本体G’と、このキャスタ本体G’の動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で水平方向に作動する作動子5’を有したロック部H’を具備してなる。すなわち、第二のキャスタFは、操作部Mを備えていない点、及びロック部H’の作動子5’の構造に関する点において第一のキャスタEと異なっているが、第二のキャスタFにおけるキャスタ本体G’と第一のキャスタEにおけるキャスタ本体Gとは同一の構成をなしている。
・・・(中略)・・・
【0051】
すなわち、カム溝71’は、作動子5’の進退方向に沿って延びてなるものであり、浅溝部72’と深溝部73’とが緩やかな段部74’を介して作動子5’の進退方向に隣接させて設けられている。そして、作動子5’がロック位置(I)にある状態では、前記カム溝71’の深溝部73’が前記支持体1’におけるボス部14’の直上に位置するように設定されている。作動子5’が非ロック位置(L)にある状態では、前記カム溝71’の浅溝部72’が前記支持体1’におけるボス部14’の直上に位置するように設定されている。なお、第一のキャスタEにおいては、前記浅溝部72が内方端側に位置し前記深溝部73が外方端側に位置しているのに対して、この第二のキャスタFにおいては、前記浅溝部72’が外方端側に位置し前記深溝部73’が内方端側に位置している。そのため、第一のキャスタEの作動子5と前記第二のキャスタFの作動子5’とを連結杆Nにより直結しても両キャスタE、Fのロック体6、6’が同期して係合位置(K)と非係合位置(L)との間で作動するようになっている。」

(オ)「【0057】
この非ロック状態においては、プッシュボタン8が脚ベースd1の使用端から突出した状態となる。」

(カ)「【0065】
前記作動子5が前記支持体1に保持されて水平方向に進退するものであり、前記プッシュボタン8が、前記作動子5の外方端に設けられたものであり、前記作動子5と前記支持体1との間にハートカム機構9が設けられている。このため、プッシュボタン8の操作によって好適に操作力が伝達され、一方向の押し込み操作を繰り返して好適にロックのオン/オフを切り替えることができるものとなる。
【0066】
テーブル本体Bが、前後方向に延びた脚ベースd1を備えたものであって、前記作動子5が前記支持体1に保持されて水平方向に進退するものであり、前記脚ベースd1の使用端側に前記操作部Mを備えた前記キャスタEが設けられているとともに前記脚ベースd1の反使用端側に前記脚ベースd1に取り付けられた支持体1’にターンベース2’が水平旋回可能に保持されこのターンベース2’の偏心位置にローラー3’が枢支されているキャスタ本体G’と、このキャスタ本体G’の動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で水平方向に作動する作動子5’を有したロック部H’を具備してなる反使用端側のキャスタFが設けられており、この反使用端側のキャスタFの前記作動子5’と前記使用端側のキャスタEの作動子5とを連結杆Nを介して連動可能に連結している。このため、一方側のプッシュボタン8に対する操作によって第一、第二のキャスタE、Fを共に操作し得るものとなる。
【0067】
前記使用端側のキャスタEの作動子5と、前記反使用端側のキャスタFの作動子5’とが、一本の連結杆Nにより直結されたものである。このため、脚ベースd1内に複雑な機構を構築する必要なく、一方側のプッシュボタン8に対する操作によって第一、第二のキャスタE、Fを共に操作し得るものとなる。」

イ 甲3に記載された発明
上記アより、甲3には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「前後に延びる脚ベースd1の中央に脚支柱d2を立設し、脚ベースd1の使用端側に第一のキャスタEを、反使用端側に第二のキャスタFを設けた、脚体Dを有し、
フラップ動作可能な天板Cの左右両端部を脚体Dにより支持してなる、フラップ天板付テーブルAであって、
使用端側の第一のキャスタEは、
ローラー3を有したキャスタ本体Gと、このキャスタ本体Gの動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で作動する作動子5を有したロック部Hと、このロック部Hの作動子5を作動させて前記ロック部Hをロック状態又は非ロック状態に切り替えるための操作部Mとを具備し、
作動子5がロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退するのに伴って、ロック体6が前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を禁止する係合位置(K)と前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を許容する非係合位置(L)との間で作動し、
操作部Mは、略水平な一方向の押圧操作力を受け付けその押圧操作力を利用して前記作動子5を作動させるプッシュボタン8と、このプッシュボタン8に一方向の押圧操作力が加えられる毎に前記作動子5を前記ロック位置(I)又は前記非ロック位置(J)に交互に保持する選択保持機構たるハートカム機構9とを備え、作動子5の外方端に設けられたプッシュボタン8は、前記脚ベースd1の使用端近傍に、脚ベースd1に設けられた窓d11に突没可能に配され、
第二のキャスタFは、操作部Mを備えていない点、及びロック部H’の作動子5’の構造に関する点において第一のキャスタEと異なっているが、第一のキャスタEと同一の構成をなすロック体6’を有し、第一のキャスタEの作動子5と前記第二のキャスタFの作動子5’とを連結杆Nにより直結しても両キャスタE、Fのロック体6、6’が同期して係合位置(K)と非係合位置(L)との間で作動するようになっており、
反使用端側のキャスタFの前記作動子5’と前記使用端側のキャスタEの作動子5とを連結杆Nを介して連動可能に連結し、一方側のプッシュボタン8に対する操作によって第一、第二のキャスタE、Fを共に操作し得るものとし、
プッシュボタン8の一方向の押し込み操作を繰り返して好適にロックのオン/オフを切り替えることができ、非ロック状態においては、プッシュボタン8が脚ベースd1の使用端から突出した状態となる、
フラップ天板付テーブルA。」

(4)甲4
ア 記載事項
甲4には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0014】
本実施形態では、本発明に係るテーブルTは、全体斜視図である図1、及び側面図である図2に示すように、家具本体たるテーブル本体2と、当該テーブル本体2を下方より支持する脚体1とを具備している。ここで本実施形態において、テーブルTの使用端側を前端側と記載し、反使用端側を後端側と記載するものとする。
【0015】
テーブル本体2は、前記図1及び図2に示している使用位置から側面図を図3に示すような起立位置へとフラップ動作可能に左右の脚柱11に支持させた天板20と、天板20の後端側に下肢空間を隠蔽すべく設けたパネル21とを具備してなる。そして、天板20を起立位置に保持した状態で、当該テーブルTと他のテーブルTの脚ベース10同士を一部重合し得るように構成している。なお、図2以降では、パネル21は省略して示している。
【0016】
次に、脚体1の各部の具体的な構成について、以下に詳述する。
【0017】
前記図1及び図2に示すように、脚体1は脚ベース10と、脚柱11と、テーブルTの使用端側に位置する第一キャスタ3と、該第一キャスタ3と略同一構成でありテーブルTの反使用端側に位置する第二キャスタ4とを具備している。
【0018】
ここで、本実施形態において一対のキャスタ3、4は床面に対して移動不能にロックされるロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態とを相互に切り換える後述のロック手段3A、4Aを有している。そして本実施形態に係る脚体1はロック手段3A、4Aを作動させるために外力により操作される後述の操作手段5と、該操作手段5に入力された操作力を一対のロック手段3A、4Aに同時に伝達する後述の操作力伝達手段6とを具備することにより、一対のキャスタ3、4のロック又はロック解除を同時に行うことを可能としている。このような機構の詳細は後で説明する。また、キャスタ3と操作力伝達手段6との接続部の平面図を図4に示す。」

(イ)「【0022】
第一キャスタ3は、キャスタ本体31と、このキャスタ本体31を支持するとともに取付爪322aを介して脚ベース10に位置決めされるケース32及びケース32に対して水平方向に摺動するロックレバー33とを具備している。
・・・(中略)・・・
【0028】
ロックレバー33は、先端側が上述したケース32の摺動空間32Sに摺動可能に挿入されるとともに基端側がケース32の外へ露出するように位置付けられている。また、ロックレバー33の上面に、ロックピン314の上端と当接する当接部331を形成している。この当接部331は、前部に位置し略鉛直上方を向く第1当接面331aと、後部に位置し略鉛直上方を向くとともに前記第1当接面よりも下方に位置する第2当接面331bと、これら第1当接面331a及び第2当接面331bを接続する傾斜面331cとを有する。さらに、このロックレバー33の基端側に、後述する操作力伝達手段6の取付孔6xと係合可能な取付突起332を形成している。そして、ロックピン314の当接部314aをこのロックレバー33の当接部331に当接させたままこのロックレバー33をテーブルTの前後方向、すなわち脚ベース10の長手方向に沿ってスライドさせることにより、ロックピン314を上下動させるようにしている。ここで本実施形態において、台座313及びロックピン314は、台座313の旋回する軸線上に位置するように構成しているため、キャスタ本体31の旋回に拘わらずロックピン314とロックレバー33との相対位置が変化することなく安定してロックピン314を操作し得るようになっている。
【0029】
そして本実施形態において当該キャスタ3は、本車輪311及び台座313の動作をロックするロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態とに相互に切り換えるロック手段3Aを有しており、当該ロック手段3Aについて、以下に詳述する。」

(ウ)「【0031】
他方、脚ベース10の後端壁10b側には上述した第一キャスタ3に対向して位置付けられている第二キャスタ4が設けられている。ここで、当該第二キャスタ4は、上述した第一キャスタ3と同様の構成を有しているので詳細な説明を省略するものとする。また、第二キャスタ4におけるロックレバーを43、ロック手段を4Aと記載するように、第一キャスタ3に対応する第二キャスタ4の各箇所並びに構成要素には、符号の第一桁の「3」を「4」に置き換えて記載するものとする。ここで、脚ベース10の幅方向中央で切断した状態の断面図を図6及び図8に示す。図6はロック手段4Aをロック解除状態とした場合の図である。また、図8はロック手段4Aをロック状態とした場合の図である。なお、前記図6及び図8では、脚ベース10及び脚柱11は、想像線により示している。」

(エ)「【0033】
具体的には、操作手段5は、前記図5及び図7に示すように、外力により押圧されるペダル511を有する操作体51と、脚ベース10の内部において操作体51の下端部に当接し、ペダルの移動に伴い回動し操作力伝達手段6と係合する係合子たる振り子部材52とを有している。そして、これら操作体51及び振り子部材52は、それぞれ脚ベース10の内部に固定された回動軸51X、52Xに軸着されている。すなわち、操作体51及び振り子部材52は脚ベース10に間接的に固定された状態となっている。なお、前記回動軸51X、52Xは、本実施形態では脚ベース10の上面に固定して取り付けられる操作体収納具101に両端を支持させるようにしている。」

(オ)「【0035】
一方、操作力伝達手段6は、一対のロック手段3A、4Aの間に架設した棒状に延びる板部材60と、前記振り子部材52の当接部に当接する当接壁61とを利用して形成しているものである。前記板部材60には、前記ロックレバー33、43の取付突起332、432に係合可能な取付孔6x、6xを形成していて、これら取付突起332、432及び取付孔6x、6xを係合させることにより板部材60とロックレバー33、43とを接続して、これらを同時に脚ベース10の長手方向にスライド移動可能にしている。前記当接壁61は、本実施形態では前記ロックレバー33の基端部に形成している。」

(カ)「【0038】
また、本実施形態では、前記操作力伝達手段6をロック位置及びアンロック位置のいずれかに選択的に係止する係止手段7を具備する。
【0039】
この係止手段7は、前記図2、図3、図6、及び図8に示すように、前記操作力伝達手段6の板部材60に接続しているカム部材71と、前記脚柱11内部に配され、下端部が前記カム部材71に形成した溝71mと係合可能なピン72と、前記板部材60及び前記カム部材71を後方、すなわちロック解除位置側に付勢する付勢手段たるバネ73とを利用して形成している。また、この係止手段7は、前記操作手段5への同一の操作を受けて前記ロック解除位置から前記ロック位置、又は前記ロック位置から前記ロック解除位置への切替を行うように構成している。ここで、板部材60にカム部材71を取り付けた状態の平面図を図9に示す。
【0040】
さらに詳述すると、前記溝71mは、略ハート型をなし、前記板部材60をロック位置に位置させる第1係止位置と、前記板部材60をロック解除位置に位置させる第2係止位置とを有するとともに、これら第1係止位置及び第2係止位置は、ハート型のくぼみの部分に位置している。
【0041】
前記ピン72は、脚柱11内部に配され、上述したように、下端部が前記カム部材71に形成した溝71mと係合可能である。そして、天板20が使用位置にある場合の天板20と脚体1との境界付近の斜視図を図10に示すように、上端部にはクランク部721を形成していて、天板20が使用位置から起立位置に移動する際にはこの天板20に付勢されて移動する。なお、このピン72のクランク部721が天板20に付勢されて移動する機構については後述する。また、前記図10においては、天板20の一部を破断して示している。
【0042】
前記バネ73は、本実施形態では、前記図5及び図7に示すように、操作体収納具101の内部に設けていて、一端部をこの操作体収納具101の後端に配しているとともに、他端部を前記振り子部材52に当接させ、この振り子部材52をアンロック位置側、すなわち後方に付勢している。そして、この振り子部材52に当接する前記操作力伝達手段6をもアンロック位置側、すなわち後方に付勢している。
【0043】
そして、前記第1係止位置又は第2係止位置のいずれかにピン72が達した際に、この溝71mを設けたカム部材71を前記バネ73により後方に付勢し、カム部材71をピン72に圧着させることにより前記板部材60をロック位置又はロック解除位置に選択的に係止させるようにしている。
・・・(中略)・・・
【0046】
しかして本実施形態では、前記天板20が起立位置にある際に、前記ロック手段3A、4Aをすべてロック解除状態にするロック解除手段8をさらに具備する。
【0047】
具体的には、前記天板20が使用位置にある際には、上述したように、また、前記図2に示すように、前記ピン72の下端部をカム部材71に係合させているとともに、前記天板20が起立位置にある際には、前記図3に示すように、前記ピン72の下端部とカム部材71との係合を解除し、係止手段7を、前記天板20が使用位置にある際にのみ機能させるようにしている。そして、前記バネ73を利用し、前記天板20が起立位置にある際に前記操作力伝達手段6を常にアンロック位置に位置させるようにしている。」

イ 甲4に記載された発明
上記アより、甲4には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「テーブル本体2と、脚体1とを具備する、テーブルTであって、
脚体1は、脚ベース10と、脚柱11と、テーブルTの使用端側に位置する第一キャスタ3と、該第一キャスタ3と略同一構成でありテーブルTの反使用端側に位置する第二キャスタ4とを具備し、一対のキャスタ3、4は床面に対して移動不能にロックされるロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態とを相互に切り換えるロック手段3A、4Aを有し、
テーブル本体2は、使用位置から起立位置へとフラップ動作可能に左右の脚柱11に支持させた天板20を具備し、
第一キャスタ3は、脚ベース10に位置決めされるケース32及びケース32に対して水平方向に摺動するロックレバー33とを具備し、ロックレバー33をテーブルTの前後方向、すなわち脚ベース10の長手方向に沿ってスライドさせることにより、ロックピン314を上下動させ、本車輪311及び台座313の動作をロックするロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態とに相互に切り換えるロック手段3Aを有しており、
第二キャスタ4は、第二キャスタ4におけるロックレバー43、ロック手段4Aを具備し、第一キャスタ3と同様の構成を有しており、
操作手段5は、外力により押圧される操作体51と、ペダルの移動に伴い回動し操作力伝達手段6と係合する振り子部材52とを有し、操作体51及び振り子部材52は、それぞれ脚ベース10の内部に固定された回動軸51X、52Xに軸着されており、
操作力伝達手段6は、棒状に延びる板部材60とロックレバー33、43とを接続して、これらを同時に脚ベース10の長手方向にスライド移動可能にしており、
操作力伝達手段6をロック位置及びアンロック位置のいずれかに選択的に係止する係止手段7は、操作力伝達手段6の板部材60に接続しているカム部材71と、下端部が前記カム部材71に形成した溝71mと係合可能なピン72と、前記板部材60及び前記カム部材71を後方、すなわちロック解除位置側に付勢するバネ73とを利用し、前記操作手段5への同一の操作を受けて前記ロック解除位置から前記ロック位置、又は前記ロック位置から前記ロック解除位置への切替を行うように構成し、前記溝71mは、略ハート型をなし、前記板部材60をロック位置に位置させる第1係止位置と、前記板部材60をロック解除位置に位置させる第2係止位置とを有しており、
前記ピン72は、脚柱11内部に配され、天板20が使用位置から起立位置に移動する際にはこの天板20に付勢されて移動し、前記天板20が使用位置にある際には、前記ピン72の下端部をカム部材71に係合させているとともに、ロック解除手段8により、前記天板20が起立位置にある際には、前記ピン72の下端部とカム部材71との係合を解除し、係止手段7を、前記天板20が使用位置にある際にのみ機能させるようにし、前記バネ73を利用し、前記天板20が起立位置にある際に前記操作力伝達手段6を常にアンロック位置に位置させるようにしている、
テーブルT。」

(5)甲5
甲5には、次の事項が記載されている。
ア 「【0023】
本考案のオーバーベッドテーブル1は、図1?図3に示すようにキャスタ2を有するテーブル本体と、キャスタ2を転動不能にロック及びロック解除する制動部8a、8bと、制動部8a、8bを操作する制動操作部7と、制動操作部7と制動部8a、8bとを連結した連結軸9a、9bとを備えている。
【0024】
テーブル本体は、テーブル板10と、テーブル板10を下方側から支持した支柱3a、3bと、支柱3a、3bの下端に連結された脚部4a、4bとを備えている。」

イ 「【0090】
次に、本考案のオーバーベッドテーブル1の動作について説明する。本考案のオーバーベッドテーブル1は、例えばテーブル板10がベッドを跨ぐように配設され、その状態でキャスタ2をロック状態に制動操作されて使用される。
【0091】
キャスタ2をロック状態にするには、前操作レバー73a又は後操作レバー73bを、図5に示す状態から、図5の反時計方向(図5の矢印の方向)に図9に示す状態まで回動操作する。これにより、回動操作部材71が同方向に回動し、その回動に伴い左右の両第1連動杆76が押されて、左第1連動部材75aの第1連動杆76が左側(図5の矢印の方向)に、右第1連動部材75bの第1連動杆76が右側(図5の矢印の方向)にそれぞれ移動する。
【0092】
そして、左第1連動部材75aの第1連動杆76の移動によって、作動杆77を介して、左連結軸9aが図5の時計方向(図5の矢印の方向)に回動し、その回動に伴って左制動部8aの連結片83が左連結軸9aを回動の軸にして同方向に回動する。
【0093】
又、右第1連動部材75bの第1連動杆76の移動によって、作動杆77を介して、右連結軸9bが図5の反時計方向(図5の矢印の方向)に回動し、その回動に伴って右制動部8bの連結片83が右連結軸9bを回動の軸にして同方向に回動する。
【0094】
これらの連結片83それぞれの回動によって、左制動部8a及び右制動部8bのそれぞれの第2連動部材本体81が後方側(図5の矢印の方向)に移動し、この移動に伴い、シャフト部材6の第2連動部材係合部63がシャフト係合部82のロック解除用係合部82bに係合した図7、図8に示す状態から、案内部82cを通ってロック用係合部82aに相対移動して、図11、図12に示すように、ロック用係合部82aと係合する。
【0095】
この状態で、転動ロック操作部材27と車輪24の第2ギア24dとが噛合して車輪24の車軸23c回りの回転、即ち旋回ができなくなるとともに、第1係合部材26aと第2係合部材26bとが係合して車輪24の主軸22回りの回転、即ち転動ができなくなり、ロック状態になる。」

ウ 【図2】(a)




エ 【図5】




(6)甲6
甲6には、次の事項が記載されている。
ア 「【0017】
本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1?図13は、本発明の一実施形態を示す。
図1?図3に示すように、このテーブルは、前後方向を向く水平脚杆(1)の後部(中間部とすることもある)より脚柱(2)が立設された側面視ほぼL字状の左右1対の脚(3)(3)の上部に、天板(4)の中間部を、左右方向を向く水平軸(5)をもって枢着し、天板(4)が、図1に示すように、ほぼ水平をなす使用位置と、図2に示すように、脚柱(2)と平行の上下方向を向く折り畳み位置とに回動しうるようになっている。
【0018】
天板(4)と、その後部下方に設けた後面板(6)とを、図1に示す使用位置と、図2に示すように、後面板(6)が天板(4)の直下に位置するようにした折り畳み位置とに回動しうるようにするための回動機構(7)に関しては、本発明に直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0019】
各脚(3)の水平脚杆(1)の下面前後部には、キャスタ(8)(8)と、各キャスタ用のロック装置(9)(9)とがそれぞれ設けられている。したがって、脚(3)(3)の下端に設けた4個のキャスタ(8)をもって、脚(3)(3)と、この脚(3)(3)によって支持された天板(4)とが支持されている。
【0020】
天板(4)の前部下面(左右方向に関しては、一側部または中央部)には、1個の操作レバー(10)が、上下方向を向く軸(11)をもって、ロック位置(L)とアンロック位置(U)とに回動可能として枢着されている。
この操作レバー(10)は、上述した4個のロック装置(9)と、連係手段(12)をもって、操作レバー(10)のロック位置からアンロック位置への回動に連動して、全ロック装置(9)がロック解除され、また操作レバー(10)のアンロック位置からロック位置への回動に連動して、全ロック装置(9)がロックされるように互いに連係されている。
【0021】
次に、この連係手段(12)の詳細について説明する。
図4?図6に示すように、左右の脚(3)の水平脚杆(1)の下面における前後方向の中間部には、回動リンク(13)の中間部が、上下方向を向く軸(14)をもって、枢着されている。
回動リンク(13)の一端と前方のロック装置(9)における作動杆(15)と、また回動リンク(13)の他端と後方のロック装置(9)における作動杆(15)とは、それぞれ前後方向を向く連結杆(16)(16)をもって、互いに連結されている。
【0022】
各連結杆(16)と回動リンク(13)の各端部との連結は、各連結杆(16)における軸(14)に近接した方の端部に固着した平面L字状の接続金具(17)の遊端部を、回動リンク(13)の各端部に、上下方向を向く軸(18)をもって連結することにより、軸(14)を中心として、両接続金具(17)が巴状の配置となるようにするのが好ましい。
【0023】
前方の連結杆(16)の後端に固着された接続金具(17)における軸(18)より後方に突出する延長部(17a)には、ワイヤ(19)の一端が止着されている。ワイヤ(19)は、軸(14)より後方における水平脚杆(1)の下面に設けられた保持片(20)に一端が止着された可撓性のガイドチューブ(21)内に挿入され、ガイドチューブ(21)とともに、脚(3)における水平脚杆(1)に沿って後方に向かった後、脚柱(2)内を通って、上方に立ち上がり、次いで天板(4)の下面に沿って、操作レバー(10)まで至っている。」

イ 「【0027】
操作レバー(10)の操作部(10a)を、図7に実線で示すロック位置(L)から、同じく想像線で示すアンロック位置(U)へ回動させると、両ワイヤ(19)(19)が、巻取ドラム(23)の外周面に巻き付けられて、ガイドチューブ(21)(21)から引き出され、左右の脚(3)の下面における回動リンク(13)が、図5に示すロック位置(L)から、図6に示すアンロック位置(U)へ回動させられ、前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)に向かって引き寄せられ、4個のロック装置(9)の作動杆(15)が、ほぼ同時に引き出されて、すべてのロック装置(9)がロック解除され、テーブルを自由に動かすことができるようになる。
【0028】
操作レバー(10)の操作部(10a)を、図7に想像線で示すアンロック位置(U)から、同じく実線で示すロック位置(L)へ回動させると、両ワイヤ(19)(19)が緩められ、
ロック装置(9)に内蔵した、後述する圧縮コイルばね(48)の付勢力により、回動リンク(13)が上記と逆方向に回動させられ、前後の連結杆(16)(16)が互いに軸(14)から離れる方向に移動して、4個のロック装置(9)の作動杆(15)が、ほぼ同時にロック装置(9)内に進入し、すべてのロック装置(9)がロックされ、テーブルは不動となる。」

ウ 【図1】




エ 【図5】及び【図6】




(7)甲7
甲7には、次の事項が記載されている。
ア 「【0020】
(1).概要
まず、概要を説明する。図1のうち(A)は折り畳み式テーブルの側面図、(B)は部分的な分離側面図である。折り畳み式テーブル1は、図示しない横長フレームで連結された左右の脚装置2と、跳ね上げ式の天板3を備えている。
【0021】
脚装置2は、床に沿って略前後方向に延びる脚ベース2aとこの脚ベース2aの後端部から傾斜姿勢で立ち上がった脚支柱2bとで側面視略L形の形状になっており、脚ベース2aの前後両端部に本実施形態のキャスタ4を取付けている。脚ベース2aの前端部と後端部との下面部は、下向きに開口した切欠き部になっている(切欠き部を符号2cで示す。)。脚2はその全体がアルミダイキャストのような金属成形品から成っている。
・・・(中略)・・・
【0023】
折り畳み式テーブル1における脚2の脚ベース2aは下向きに開口した樋状(チャンネル状)になっており、脚ベース2aのうち前後キャスタ4の間の適当な位置には操作手段5を設けている。詳細は後述するが、操作ボタン6を繰り返し押すとキャスタ4はロック状態とフリー状態(ロック解除状態)とに交互に切り替わる。」

イ 「【0077】
既述のとおり操作手段5のボタン75は上下の部材75a,75bからなっており、下部材75aは弾性爪(図示せず)によって昇降体65の本体部に抜け不能に保持されており、他方、上部材75bはこれに設けた弾性爪(図示せず)によって下部材75aに離脱不能に保持されている。そして、下部材75aはアクリル等の透明な樹脂でブロック状(中実)に形成されており、また、上部材75bは透明又は半透明な樹脂からなっている。そして、フリー状態では下部才75aの端面が外側に露出して、ロック状態では下部才75aの端面が外ケース64の内部に隠れるように設定している。」

ウ 【図1】




(8)甲8ないし甲11、及び甲14ないし甲15
甲8ないし甲11、及び甲14ないし甲15には、摘記は省略するが、キャスタの接地及び非接地を切り換える家具に関する記載がある。

(9)甲12
甲12には、次の事項が記載されている。
ア 「【0041】
図2、図6、図8に示すように、テーブル装置10は、天板30の下面に設置された操作レバー63によって連係部材61を操作可能とし、前後キャスター26,27の床面Fに対しての転動を可能とする転動可能状態と前記転動を不能とする転動不能状態とを切り替え可能とする転動切替装置66を備えている。」

イ 「【0045】
操作機構67は、操作レバー63の操作力を連係部材61側に伝達するワイヤー68と、操作レバー63および連係部材61の間に配設される中継部材71と、備えている。ワイヤー68は、操作レバー63と中継部材71との間に渡る第一ワイヤー68aと、中継部材71と連係部材61との間に渡る第二ワイヤー68bと、を備える。両ワイヤー68a,68bは、アウターケーブル内にインナーケーブルを摺動可能に挿通した既知の操作ケーブルである。」

ウ 「【0055】
次に、作用について説明する。
まず、天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合においては、図10に示すように、前部ストッパ部材51と後部ストッパ部材52とが床面Fに接地し、前後キャスター26,27が床面Fから浮いた状態となる。これにより、テーブル装置10が床面F上での移動が拘束されて固定的に設置された状態となる。
天板30が通常使用状態にありかつ操作レバー63が操作前状態にある場合においては、ワイヤー68に引張力が作用しておらず、連係部材61が前方に揺動しきってスイング部材55の揺動をロックした状態になっている。」

エ 「【0058】
次いで、天板30の前端部30aを上方に引き上げて天板30を軸線C1回りに回動させると、跳ね上げ連動機構79において連動ピン76が連動ディスク75に係合し、連動ディスク75および中継部材71を天板30と同方向(後転方向)に回動させる(図9(c)参照)。通常使用状態にある天板30が回動して連動ピン76が連動ディスク75に係合するには、天板30を約30度回動させる必要がある。この位相差により、天板30の跳ね上げ直後から前後キャスター26,27を接地させてテーブル装置10を移動させてしまうことを規制する。
【0059】
中継部材71の後転方向の回動により第二ワイヤー68bが上方に引かれると、第二ワイヤー68bが連係部材61を前方へ揺動させるとともにスイング部材55を上方へ揺動させ、後部ストッパ部材52を床面Fから離間させて後キャスター27を接地させる。
そして、天板30が跳ね上げ状態まで回動すると、第二ロックピン31qがロックレバー34の係合凹部34uに係合し、天板30を跳ね上げ状態にロックする。
【0060】
図11に示すように、後部ストッパ部材52が床面Fから離間して後キャスター27を床面Fに接地させると、脚部21が後下がりに僅かに傾動し、前キャスター26を床面Fに接地させるとともに前部ストッパ部材51を床面Fから離間させる。これにより、支持脚20において前後キャスター26,27のみが床面Fに接地し、テーブル装置10の拘束が解除されて床面F上で容易に移動可能な状態となる。
【0061】
操作レバー63を操作する場合、通常使用状態にある天板30の下方において、幅方向両側にある左右操作レバー63の指掛かり部63dを前方かつ幅方向外側へ回動させるように操作する(図8参照)。すると、第一ワイヤー68aが前方に引かれて中継部材71を後転方向に回動させる(図9(b)参照)。中継部材71の後転方向の回動により第二ワイヤー68bが上方に引かれると、第二ワイヤー68bが連係部材61を前方へ揺動させるとともにスイング部材55を上方へ揺動させ、後部ストッパ部材52を床面Fから離間させて後キャスター27を接地させる。これにより、天板30を跳ね上げる場合と同様、支持脚20において前後キャスター26,27のみが床面Fに接地し、テーブル装置10の拘束が解除されて床面F上で容易に移動可能な状態となる。」

オ 「【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、操作レバー63を天板30の下面に支持したが、これに限らず、上部構造体11の何れの場所に設けてもよい。脚部21の後方にのみ揺動可能な後部ストッパ部材52を備える構成に限らず、前方のみあるいは前後両方に揺動可能な接地部材を備える構成であってもよい。ストッパ部材によりキャスターの接地状態を切り替える構成に限らず、キャスターの車輪をロック可能な構成であってもよい。一対の支持脚20を備える什器に限らず、天板30のサイズおよび形状等によっては、一本のみあるいは三本以上の支持脚を備える構成であってもよい。テーブル装置10への適用に限らず、他形態の天板付什器に適用してもよい。
ここで、天板付き什器の幅が大きい場合、幅方向一側の操作レバー63のみを操作することが有り得る。このとき、幅方向一側に立った使用者は、片手で操作レバー63を操作しつつ、もう一方の手で天板30の幅方向外側における任意の位置を保持することとなるが、この場合にも、操作レバー63が幅方向外側に回動操作されるので、使用者が操作レバー63を引き易い。すなわち、幅方向一側のみに操作部材が設けられる構成であってもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。」

カ 【図9】




(10)甲13
甲13には、摘記は省略するが、車輪の回転をロック状態とフリー状態とに切り替えられるキャスタ装置に関する記載がある。


第5 当審の判断
1 申立理由1(本件発明1ないし8の明確性)について(前記「第3の1」)
(1)申立人の主張
申立人は、本件発明1及び3において、「動作連動手段」、「一時解除用操作部」、及び「キャスタ連動部材」という構成要素について、各構成要素間の構造的関係が何ら規定されていないから、各構成要素の技術的意味を理解することができず、明細書及び図面並びに出願時の技術常識を考慮した場合でも、上記各構成要素間の構造的関係を限定する発明特定事項が不足していることが明らかであるから、発明が不明確である旨を主張している。
また申立人は、本件発明2及び4ないし8についても、同様に発明が不明確である旨を主張している(申立書第40頁下から4行-第41頁第18行)。

(2)検討
上記申立人の主張について検討する。
「動作連動手段」、「一次解除用操作部」、及び「キャスタ連動部材」について、本件発明1及び3は、いずれも次の構成を有する(AないしCの分節は、当審で付した)。
「A 車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段とを具備してなり、
B 天板には、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部を設けているフラップ天板付き家具であって、
C 前記脚体は、前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであり、そのベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されており、
・・・(後略)・・・・。」

本件発明1及び3において、「動作連動手段」については、上記構成A及びBより、「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と」を有する「フラップ天板付き家具」において、「この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える」ことが、特定されている。
本件発明1及び3において、「一次解除用操作部」については、上記構成A及びBより、「天板のフラップ動作を利用」して「切り換え」が行われる「前記キャスタ」の「前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態」のうち、「前記車輪ロック状態」を「一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするため」の「操作部」であり、「前記天板」に設けられていることが、特定されている。
本件発明1及び3において、「前記キャスタ連動部材」については、構成Cより、「脚体」が備える「ベース」の「前後両端部」に「それぞれ取付け」られた「キャスタ」である「前記両キャスタ」を、「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換える」ための部材であり、「ベース内」に配されて「前後方向移動」により上記「切り換え」を行う部材であることが、特定されている。
そして、本件発明1ないし3においては、上記構成AないしCより、「動作連動手段」による「天板のフラップ動作を利用」した「前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態」への切り換え、及び、「天板」に設けられた「一時解除用操作部」により「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とする」こと、のいずれについても、「脚体」が備える「ベース」の「前後両端部」に取り付けられた「前記両キャスタ」を対象として、同「ベース内」において「キャスタ連動部材」が「前後方向移動」することで、「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態」の「切り換え」が行われることが、特定されているということができる。
したがって、本件発明1及び3において、「動作連動手段」、「一時解除用操作部」、及び「キャスタ連動部材」という各構成要素の技術的意味は理解することができ、それぞれの構成要素相互の関係も、構造及び機能の両面から特定されているから、本件発明1及び3は、申立人が申し立てる点について、発明の技術的意味を理解するための発明特定事項が不足しているものではない。
また、本件発明1及び3におけるその余の構成、及び、本件発明2並びに4ないし8における付加的構成についても、発明が不明確となる点はない。

(3)申立理由1についての結論
よって、本件発明1ないし8は明確であり、これに反する申立人の主張は採用することができない。

2 申立理由2(本件発明1、及び本件発明1を限定した本件発明6ないし8の新規性)について(前記「第3の2」)
(1)本件発明1について
ア 甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「脚部4」は、本件発明1における「脚体」に相当する。甲1発明において、「脚部4」が有する「脚座8」に設けられた「浮動脚106」に結合されている「キャスタ10」は、本件発明1において、「脚体」が有する「キャスタ」に相当する。
甲1発明における「天板2」は、「水平な使用位置」と「略垂直な収納位置」をとることができ、「脚部4」が有する「脚柱6」に「天板支持部30を介して」「使用位置と収納位置との間で回動可能に支持」されているから、本件発明1における「前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板」に相当する。甲1発明における上記「天板2」を備えた「移動机1」は、本件発明1における「フラップ天板付き家具」に相当する。
甲1発明における、「キャスタ10が床面から離間されて、移動机1は、移動しないように固定され」る状態と、本件発明1における「車輪ロック状態」とは、「キャスタによる移動をしない状態」という点で共通する。甲1発明における、「キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され、移動机1は、床面に接地されたキャスタ10により移動可能とな」る状態と、本件発明1における「車輪非ロック状態」とは、「キャスタにより移動可能な状態」という点で共通する。甲1発明において、「キャスタ10」を、「キャスタ10が床面から離間されて、移動机1は、移動しないように固定され」る状態と、「キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され、移動机1は、床面に接地されたキャスタ10により移動可能とな」る状態との、2つの状態とすることができる構成と、甲1発明において、「キャスタ」を「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能」である構成とは、「キャスタ」を「キャスタによる移動をしない状態又はキャスタによる移動が可能な状態に選択切換可能」である点で、共通する。
甲1発明において、「昇降カム96」「ロッド98」及び「テコ104」は、「天板2が水平な使用位置にある場合には、昇降カム96のロッド98との連結点であるピン100は、昇降カム96の回動中心の下方に配置され、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方に位置し、浮動脚106は、テコ104を介して、脚座8の内部で最も上方に位置し、キャスタ10が床面から離間されて、移動机1は、移動しないように固定」され、「天板2を上方に押し上げて、略垂直な収納位置に回転させると、昇降カム96が回転し、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から最も上方に位置に移動し、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され、移動机1は、床面に接地されたキャスタ10により移動可能と」しているから、天板2の回動動作を利用してキャスタの2つの状態を切り換えるように動作を連動させているということができ、本件発明1において、「この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタ」の2つの状態を切り換える「動作連動手段」に相当する。
甲1発明において、「天板2の下方、且つ、後方側の端縁付近に設けられた微調整レバー70」は、「天板2が使用位置にある状態で、微調整レバー70を手動で操作すると、昇降カム96が回転し、ロッド98との連結点であるピン100の位置も回転して、ロッド98は、脚柱6の内部で最も下方の位置から上方に移動し、浮動脚106は、テコ104を介して脚座8に対して下方に移動し、キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され、移動机1は、床面に接地されたキャスタ10により移動可能となる」ものであるから、本件発明1における「天板」に設けられた、「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」とは、「天板」に設けられた、「前記キャスタによる移動をしない状態を一時的に解除して前記キャスタによる移動が可能な状態とするための一時解除用操作部」という点で、共通する。
甲1発明における、「脚部4」が有する「脚柱6の下端に前後方向に設けられた脚座8」は、本件発明1における「脚体」が備える「ベース」に相当する。

以上を整理すると、本件発明1と甲1発明とは、
「キャスタによる移動をしない状態又はキャスタによる移動が可能な状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板と、この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記キャスタによる移動をしない状態又は前記キャスタによる移動が可能な状態に切り換える動作連動手段とを具備してなり、天板には、前記キャスタによる移動をしない状態を一時的に解除して前記キャスタによる移動が可能な状態とするための一時解除用操作部を設けているフラップ天板付き家具であって、
前記脚体は、ベースを備えたものである、
フラップ天板付き家具。」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1A>
「キャスタ」の2つの状態、取り付け箇所、及び2つの状態を切り換える構成に関し、
本件発明1においては、「キャスタ」の2つの状態が「車輪ロック状態」及び「車輪非ロック状態」であり、「キャスタ」は「ベース」の「前後両端部」に「それぞれ取付け」られており、2つの状態を状態を切り換えるために、「ベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されて」いるのに対し、
甲1発明においては、「キャスタ10」の2つの状態が「床面から離間され」た状態及び「床面に接地された」状態であり、「キャスタ10」は「脚座8」ではなく「浮動脚106」の「両端」に「結合」されており、2つの状態を切り換えるために、「浮動脚106」が、「キャスタ10が床面から離間され」る「脚座8の内部で最も上方」の位置から、「キャスタ10が脚座8の下方から突出されて、床面に接地され」る「脚座8に対して下方に移動」する点。

<相違点1B>
「キャスタ」の2つの状態を切り換える相違点1Aの構成を前提に、
本件発明1においては、「前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されており、キャスタ連動部材が前記両作動部とともに最前進位置に移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となるように構成されている」のに対し、
甲1発明においては、「キャスタ10」が「床面から離間され」た状態と「床面に接地された」状態とを切り換えるために「浮動脚106」を上下移動させるものであり、甲1発明における上記構成を有さない点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点1Aについて
上記相違点1Aに係る両者の構成は、キャスタによる移動の可否を切り換えるという目的において共通するものの、当該目的を達成するための構成として、キャスタを取り付ける箇所、移動を可能としたキャスタの状態及び移動しないようにしたキャスタの状態、並びに、キャスタの2つの状態を切り換えるための機構が、いずれも異なるものである。そして、本件明細書の段落【0048】に、「・・・しかも、脚体の制動・非制動1A、1Bは、キャスタ4、5の車輪44、54をロック状態(L)又は非ロック状態(N)に切り換えることにより行っているので、例えば、キャスタを床面に対して浮上又は着地させて制動又は非制動を切り換えるものに比べて切換操作を比較的小さな力で行うことができる。そのため、天板2のフラップ動作に悪影響を及ぼすことなくフラップ動作と制動・非制動の切り換え動作を連動させることが可能になる。」と記載されるように、甲1発明のようにキャスタを床面に対して浮上又は着地させる構成に対し、上記相違点1Aに係る本件発明1の構成を採用することにより、構成の相違に依拠した効果も生じるものであると認められる。
したがって、上記相違点1Aは、実質的な相違点である。

(イ)小括
上記(ア)のとおり、上記相違点1Aは実質的な相違点であるから、その余の上記相違点1Bについて判断するまでもなく、本件発明1は甲1発明と同一ではない。

(2)本件発明1を限定した本件発明6ないし8について
本件発明8は、本件発明1の構成を全て有し、さらに構成を限定したものであるところ、上記(1)のとおり、本件発明1は甲1発明と同一でないから、本件発明8も甲1発明と同一ではない。
本件発明6及び7は、本件発明1又は3の構成を全て有し、さらに構成を限定したものであるところ、本件発明1の構成を全て有する本件発明6及び7については、本件発明8について上述したと同様に、甲1発明と同一ではない。

(3)申立人の主張について
本件発明1と甲1発明との上記相違点1Aに関し、申立人は申立書において、甲1発明における移動規制状態及び移動可能状態は、本件発明1における「車輪ロック状態」及び「車輪非ロック状態」に相当するから、上記相違点1Aは相違点ではない旨を主張している(申立書第42頁第15行ないし第16行)。
しかしながら、甲1発明において、移動机1の移動が規制される状態は、「キャスタ10が床面から離間されて、移動机1は、移動しないように固定され」る状態であって、キャスタ10の車輪をロックしているものではないから、本件発明1における「車輪ロック状態」には相当しない。また、甲1発明において、移動机1を移動可能とした状態は、移動を規制する状態においては床面から離間させるキャスタ10を、床面に接地させた状態であるから、ロック/非ロックを切り換える車輪を非ロックとするものではなく、本件発明1における「車輪非ロック状態」には相当しない。
そして、本件発明1と甲1発明との相違点は、上記(1)アに示した上記相違点1A及び上記相違点1Bのとおり認定されるべきものであり、上記相違点1Aは上記(1)イ(ア)に示したとおり、実質的な相違点である。
したがって、上記申立人の主張を考慮しても、本件発明1と甲1発明とは、同一でない。

(4)申立理由2についての結論
よって、本件発明1、及び本件発明1を限定した本件発明6ないし8は、甲1発明と同一ではない。

3 申立理由3(本件発明1ないし8の進歩性)について(前記「第3の3(1)、(4)?(6)」)
(1)甲2発明を主たる引用発明とした、本件発明1ないし8の進歩性
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明における「略上下方向に延びる第1脚部材21及び前後方向に延びる第2脚部材22とからなる脚部20とからなる脚部20」は、本件発明1における「脚体」に相当する。
甲2発明において、「脚部20の下端において、前後方向に延びる第2脚部材22の前方、かつ略上下方向に延びる第1脚部材21の下に配置されるロックキャスター30」は、「キャスターロック機構40」により、「ロックキャスター30の回転が抑制される」「ロック」された状態(以下、「キャスターロック状態」という。)と、「旋回および回転が許可されたアンロック状態」(以下、「キャスターアンロック状態」という。)とを取ることができるから、本件発明1において、「脚体」が有する「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタ」に相当する。
甲2発明における「主たる面が水平となる使用状態と、主たる面が略垂直となる移動状態との間で、回動可能に脚部20に保持される天板10」は、本件発明1における「前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板」に相当する。甲2発明における「移動机1」は、「回動可能」な「天板10」を有しているから、本件発明1における「フラップ天板付き家具」に相当する。
甲2発明において、「レバー72」は、「天板10の裏面」に設けられた「レバー部70」の一部であり、キャスターロック状態である「ロックキャスター30」を、「使用者がレバー72を一定量操作」すると、キャスターアンロック状態とするから、本件発明1において、「天板」に設けられた「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」に相当する。
甲2発明において、「脚部20の下端」で「前後方向に延びる第2脚部材22」は、「前方」に「ロックキャスター30」を配置し、「後方」に「キャスター31」を配置したものであるから、本件発明1において、「脚体」が備える「前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベース」に相当する。

以上を整理すると、本件発明1と甲2発明とは、
「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板とを具備してなり、天板には、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部を設けているフラップ天板付き家具であって、
前記脚体は、前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものである、
フラップ天板付き家具。」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点2A>
「キャスタ」の状態の切り換えと「天板」との関係に関し、
本件発明1においては、「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」を備えるのに対し、
甲2発明においては、「レバー72」を「一定量操作」すると、「天板10の回動はロックされたまま」である状態で、「ロックキャスター30」がキャスターロック状態からキャスターアンロック状態へと変わり、「さらにレバー72を操作」すると、「天板10を回動して起立させることが可能」な「天板10」の「アンロック状態」となり、その後「天板10」の「回動」が行われる点。

<相違点2B>
状態の切り換えの対象とする「キャスタ」に関し、
本件発明1においては、「そのベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されて」おり、ベースの「前後両端部」に取付けられた「両キャスタ」を「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換える」対象とするのに対し、
甲2発明においては、「脚部20の下端において、前後方向に延びる第2脚部材22の前方、かつ略上下方向に延びる第1脚部材21の下に配置されるロックキャスター30、及び、前後方向に延びる第2脚部材22の後方に配置されるキャスター31」のうち、「ロックキャスター30」のみをキャスターロック状態とキャスターアンロック状態との切り換えの対象とする点。

<相違点2C>
「キャスタ」の状態を切り換える具体的な手段として、
本件発明1においては、「そのベース内に前後方向移動」する「キャスタ連動部材」を配し、「前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されており、キャスタ連動部材が前記両作動部とともに最前進位置に移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となる」構成を備えるのに対し、
甲2発明においては、「脚部20の下端において、前後方向に延びる第2脚部材22の前方、かつ略上下方向に延びる第1脚部材21の下に配置されるロックキャスター30」について、「第1脚部材21に沿って延びるロッド41と、ロッド41を上方向に付勢する板バネ42と、ロックキャスター30が旋回する旋回軸43の下端に設けられた旋回ロック部44と、ロックキャスター30の内部に配置されたロック片45」を設け、「使用者がレバー72を一定量操作するとロッド押さえ52は回転し、ロッド41は板バネ42の付勢力により脚部20に沿った上方向に変位するため、旋回軸43が上昇し、ロック片45が内壁32から離れるため、ロックキャスター30の回転および旋回が可能となり、ロックキャスター30がアンロックされ、移動机1の移動が可能となるが、この段階ではロック部材63の鉤部66は第1係合部23に一部係合しているため、天板10の回動はロックされたままであり」、「使用者がさらにレバー72を操作」し、また「天板10を起立させ、レバー72の操作を解除」した状態では、「ロッド押さえ52はロッド41に接触しないため、ロッド41は、第1脚部材21に沿った上方向に変位しており、ロックキャスター30は、旋回および回転が許可されたアンロック状態となっている」ように構成している点。

(イ)相違点についての判断
a 相違点2Aについて
上記相違点2Aについて判断する。
上記第4の2(2)ア(ア)に摘記した甲2の段落【0004】及び【0005】の記載からみて、甲2において発明が解決しようとする課題は、キャスターをロックする機構と天板をロックする機構を一部供用し、キャスターをロックまたはアンロックする操作と、天板の回動をロックまたはアンロックする操作とを別々に行わねばならない不便を解消すること、及び、天板の回動をロックする機構と、キャスターをロックする機構とについて、付勢力を個別に調整可能とすることを可能とし、一方の動作に不具合が生じると他方の動作にも不具合が生じることを防止することであると認められる。
また、甲2発明において、天板10を起立回動させる動作に先立つ、天板10のロックを解除するためのレバー72の操作の途中において、天板10のロックが未だ解除されていない時点で、ロックキャスター30をキャスターロック状態からキャスターアンロック状態へと切り換える、本件発明1との上記相違点2Aに関する構成は、甲2における上記解決しようとする課題に対応した構成であると認められる。
そのため、甲2発明において、天板10のロックを解除するためのレバー72の操作の途中において、ロックキャスター30をキャスターロック状態からキャスターアンロック状態へと切り換える構成を、天板10の回動動作を利用してキャスターの状態を切り換える構成を含む、上記相違点2Aに係る本件発明1の構成へと変更する動機付けがあるということはできない。
ここで、甲1及び甲3ないし甲15には、上記第4の2(1)及び(3)ないし(10)に示した事項が記載されているが、以下に述べるとおり、いずれも甲2発明において、上記相違点2Aに係る本件発明1の構成をとることを記載あるいは示唆するものではない。
甲1には、上記第4の2(1)に示した事項が記載されているが、甲2発明において、天板10のロック解除を行うレバー72の操作の途中においてロックキャスター30をキャスターアンロック状態へと切り換える構成を、甲1における天板2の回転及び微調整レバー70の操作のいずれによってもキャスタ10の状態を切り替える構成に変更することは、甲2において解決しようとした課題に対応した構成を離れる変更であり、甲1の記載を考慮しても、動機付けがあるということはできない。また、甲1はキャスタ10の接地と非接地とを切り換えるために、キャスタ10を脚座8ではなく浮動脚106に取り付けており、甲2発明とはキャスタの状態切り換えに関し、前提とする構成が異なるから、その点からも甲2発明において甲1に示される構成を採用することには阻害要因があるといえる。そして、甲2発明において甲1に記載される構成を採用しても、キャスタの接地と非接地とを切り換える構成となるから、上記相違点2Aに係る本件発明1の構成に至るものではない。
甲3及び甲4には、上記第4の2(3)及び(4)に示した事項が記載されているが、いずれもキャスタの状態の切り換えについては、脚部に設けた1つの操作部材を操作する毎に2つの状態を切り換える構成を採用している。そして、1つの操作部材を操作する毎にキャスタの2つの状態を切り換える構成は、甲2発明における、天板10のロック解除を行うレバー72の操作の途中においてロックキャスター30をキャスターアンロック状態へと切り換える構成とは整合しないものであり、甲2発明において甲3又は甲4に記載される構成を採用する動機付けはない。また、甲3又は甲4に記載される、脚部に設けた1つの操作部材を操作する毎にキャスタの2つの状態を切り換える構成は、天板の回動を利用した状態切り換え、及び天板に設けた操作部材の操作を伝達して行う状態切り換えと、そのままでは連係させることができず、甲4においても、「ロック解除手段8」を用いた「天板20」との関連づけは、「脚ベース10」に設けた「操作手段5」を操作する毎にキャスタの2つの状態を切り換える「係止手段7」における「ピン72」の係合を解除する、という構成にとどまる。そのため、甲3及び甲4におけるキャスタの状態の切り換えを、天板の動作及び天板における操作の両方と連係させるためには、甲3及び甲4に記載される構成にさらなる変更を加える必要があるところ、甲2発明において甲3又は甲4の構成を採用したうえで、さらにキャスタの状態切り換えについて「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」及び「天板」に設ける「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」の両方を備えることは、甲1ないし甲15のいずれの記載を考慮しても、示唆されていない。
甲5には、上記第4の2(5)に示した事項が記載されているが、テーブル板10に設けた操作レバー73aの操作を、テーブル板10を支持する支柱3a及び3bに沿った連結軸9a及び9bの回動によって、脚部4a及び4bのキャスタ2に伝えるという構成であり、甲2発明において採用すべき動機付けはない。また、甲5における、操作レバー73aの操作を支柱3a及び3bに沿った連結軸9a及び9bの回動によって脚部4a及び4bに伝える構成においては、テーブル板10のフラップ動作と関連づけるうえではさらに構成を変更する必要があるところ、甲2発明において甲5の構成を採用し、さらにキャスタの状態切り換えについて「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」及び「天板」に設ける「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」の両方を備えることは、甲1ないし甲15のいずれの記載を考慮しても、示唆されていない。
甲6には、上記第4の2(6)に示した事項が記載されているが、天板(4)に設けた1個の操作レバー(10)の操作を、ワイヤ(19)によって、各脚(3)の水平脚杆(1)に設けた全ロック装置(9)に伝えるという構成であり、甲2発明において採用すべき動機付けはない。また、甲6におけるワイヤ(19)を用いた伝達構成は、天板(4)のフラップ動作と関連づけるうえではさらに構成を変更する必要があるところ、甲2発明において甲6の構成を採用し、さらにキャスタの状態切り換えについて「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」及び「天板」に設ける「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」の両方を備えることは、甲1ないし甲15のいずれの記載を考慮しても、示唆されていない。
甲7には、上記第4の2(7)に示した事項が記載されているが、脚ベース2aに設けた操作手段6を繰り返し押すことでキャスタ4をロック状態とフリー状態とに交互に切り替える技術であり、甲3及び甲4について上述したと同様に、甲2発明において採用すべき動機付けはなく、甲1ないし甲15の記載を考慮しても、甲2発明において上記相違点2Aに係る本件発明1の構成とすることを示唆するものではない。
甲8ないし甲11、及び甲14ないし甲15は、上記第4の2(8)に述べたとおり、キャスタの接地と非接地とを切り換えるものであり、甲2発明において上記相違点2Aに係る本件発明1の構成とすることを示唆するものではない。
甲12には、上記第4の2(9)に示した事項が記載されているが、甲2発明において、天板10のロック解除を行うレバー72の操作の途中においてロックキャスター30をキャスターアンロック状態へと切り換える構成を、甲12における天板30の回転及び操作レバー63の操作のいずれによってもキャスターの状態を切り替える構成に変更することは、甲2において解決しようとした課題に対応した構成を離れる変更であり、甲12の記載を考慮しても、動機付けがあるということはできない。
甲13は、上記第4の2(10)に述べたとおり、車輪の回転をロック状態とフリー状態とに切り替えられるキャスタ装置に関する記載があるが、甲2発明において、上記相違点2Aに係る本件発明1の構成とすることを示唆するものではない。
したがって、甲2発明において上記相違点2Aに係る本件発明1の構成とすることは、甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではない。

b 相違点2Bについて
上記相違点2Bについて判断する。
甲2発明においては、上記aで検討したとおり、甲2において発明が解決しようとする課題に対応して、本件発明1との上記相違点2Aに関する構成である、天板10のロックを解除するためのレバー72の操作の途中において、ロックキャスター30をキャスターロック状態からキャスターアンロック状態へと切り換える、という構成を採用している。
また、本件発明1との上記相違点2Bに関する構成である、キャスターの状態の切り換えの対象を、「脚部20の下端において、前後方向に延びる第2脚部材22の前方、かつ略上下方向に延びる第1脚部材21の下に配置されるロックキャスター30、及び、前後方向に延びる第2脚部材22の後方に配置されるキャスター31」のうち「ロックキャスター30」のみとする構成は、「天板10のロックを解除するためのレバー72の操作の途中」において状態を切り換える対象とするキャスターを、「略上下方向に延びる第1脚部材21の下」という、「天板10」に設けた「レバー72」の途中までの操作を伝達するのに適した配置のものとしているから、上記相違点2Aに関する甲2発明の構成と関連し、甲2において発明が解決しようとする課題に対応した構成と理解される。
そして、上記aで検討したとおり、甲2発明において、天板10のロックを解除するためのレバー72の操作の途中において、ロックキャスター30をキャスターロック状態からキャスターアンロック状態へと切り換える、という構成を離れる動機付けはないから、キャスターの状態を切り換える対象を、「天板10」に設けた「レバー72」の途中までの操作を伝達するのに適した配置の「ロックキャスター30」のみとする、上記相違点2Bに関する構成についても、離れる動機付けはない。
また、甲1及び甲3ないし甲15の記載を参照しても、次のとおり、甲2発明において上記相違点2Bに係る本件発明1の構成をとることが示唆されているとはいえない。
甲1、甲8ないし甲11、甲14ないし甲15は、上記aに述べたとおり、キャスタの接地と非接地とを切り換えるものであり、甲2発明において「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」を切り換える対象を全てのキャスターとするのに適した構成を示すものではない。
甲3、甲4及び甲7は、上記aに述べたとおり、操作部材を操作する毎にキャスタをロック状態とフリー状態とに交互に切り換えるものであり、甲2発明において、天板10のロックを解除するためのレバー72の操作の途中においてキャスタ-の状態をキャスターアンロック状態とするうえで採用する動機付けがない。
甲5及び甲6は、上記aに述べたとおり、天板における操作部材の操作を、回転又はワイヤを用いて脚部へ伝達するものであるから、甲2発明において、天板10のロックを解除するためのレバー72の操作の途中においてキャスタ-の状態を切り換えるうえで、採用する動機付けがない。
また、甲3ないし甲7は、全てのキャスターの状態を切り換える構成のみに着目しても、状態の切り換えの対象を「ロックキャスター30」のみとする甲2発明の構成に比較して、脚部内のキャスタ-間に複雑な機構を組み込むものであるから、甲2発明において、状態の切り換えの対象を「ロックキャスター30」のみとする構成に代えて、甲3ないし甲7の構成を採用する動機付けがあるということはできない。
甲12及び甲13も、甲2発明において、状態の切り換えの対象を「ロックキャスター30」のみとする構成に代えて、全てのキャスターについて「車輪ロック状態」と「車輪非ロック状態」とを切り換えるのに適した具体的な構成を開示するものではない。
したがって、甲2発明において上記相違点2Bに係る本件発明1の構成とすることは、甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではない。

c 小括
上記a及びbのとおり、甲2発明において上記相違点2A及び2Bに係る本件発明1の構成とすることは、甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではないから、上記相違点2Cについて判断するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、並びに甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明3について
本件発明3は、本件発明1における「前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されており、キャスタ連動部材が前記両作動部とともに最前進位置に移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となるように構成されている」という構成に代えて、「前記キャスタが車輪ロック状態に自動的に復帰するのを助ける引張バネが、前記キャスタ連動部材と前記ベースとの間に設けられている」という構成を採用したものであり、その余の構成は本件発明1と共通している。
そのため、上記ア(ア)における本件発明1と甲2発明との対比を踏まえると、本件発明3と甲2発明とは、少なくとも本件発明1と甲2発明との相違点2A及び相違点2Bにおいて相違する。
そして、上記ア(イ)で判断したとおり、甲2発明において上記相違点2A及び上記相違点2Bに係る構成とすることは、甲1及び甲3ないし甲15を考慮しても、当業者にとって容易に想到できたものではない。
したがって、その余の点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲2発明、並びに甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明2、及び本件発明4ないし8について
本件発明2、及び本件発明4ないし8は、本件発明1又は本件発明3の構成を全て有し、さらに限定を加えたものである。
そして、上記ア及びイのとおり、本件発明1及び3は、甲2発明、並びに甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明1又は3をさらに限定した構成について検討するまでもなく、本件発明2、及び本件発明4ないし8は、甲2発明、並びに甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲3発明を主たる引用発明とした、本件発明1、並びに本件発明1を限定した本件発明2及び本件発明6ないし8の進歩性(前記「第3の3(2)」)
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と、甲3発明とを対比する。
甲3発明において、「前後に延びる脚ベースd1の中央に脚支柱d2を立設し、脚ベースd1の使用端側に第一のキャスタEを、反使用端側に第二のキャスタFを設けた、脚体D」は、本件発明1における、「キャスタを有する脚体」、及び、「前記脚体は、前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたもの」である構成に相当する。
甲3発明において、「第一のキャスタE」が、「ローラー3を有したキャスタ本体Gと、このキャスタ本体Gの動きをロックするためのロック位置(I)からそのロックを解除するための非ロック位置(J)までの間で作動する作動子5を有したロック部Hと」を有して、「作動子5がロック位置(I)と非ロック位置(J)との間で進退するのに伴って、ロック体6が前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を禁止する係合位置(K)と前記ローラー3の回転及び前記ターンベース2のターン動作を許容する非係合位置(L)との間で作動」するものであり、また「第二のキャスタF」が、「第一のキャスタEと同一の構成をなすロック体6’」を有して、「両キャスタE、Fのロック体6、6’が同期して係合位置(K)と非係合位置(L)との間で作動するようになって」いる構成は、本件発明1において、「脚体」が有する「キャスタ」が「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能」である構成に相当する。
甲3発明において、「フラップ動作可能な天板Cの左右両端部を脚体Dにより支持してなる」構成は、本件発明1において、「前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板」を有する構成に相当する。
甲3発明における「フラップ天板付テーブルA」は、本件発明1における「フラップ天板付き家具」に相当する。
甲3発明において、「反使用端側のキャスタFの前記作動子5’と前記使用端側のキャスタEの作動子5とを連結杆Nを介して連動可能に連結し、一方側のプッシュボタン8に対する操作によって第一、第二のキャスタE、Fを共に操作し得るものとし、プッシュボタン8の一方向の押し込み操作を繰り返して好適にロックのオン/オフを切り替えることができ、非ロック状態においては、プッシュボタン8が脚ベースd1の使用端から突出した状態となる」構成は、本件発明1において、「そのベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されており、前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いる構成に相当する。

以上を整理すると、本件発明1と甲3発明とは、
「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記脚体は、前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであり、そのベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されており、
前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されている、
フラップ天板付き家具。」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点3A>
「キャスタ」の状態切り換えと「天板」との関係に関し、
本件発明1においては、「この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」を有するとともに、「天板には、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部を設けて」いるのに対し、
甲3発明においては、キャスタの状態切り換えは「脚ベース1」から突没可能に配された「プッシュボタン8」に「一方向の押圧操作が加えられる毎」に行われ、「天板C」とは関係しない点。

<相違点3B>
本件発明1においては、「キャスタ連動部材が前記両作動部とともに最前進位置に移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となるように構成されている」のに対し、
甲3発明においては、「非ロック状態においては、プッシュボタン8が脚ベースd1の使用端から突出した状態となる」点。

(イ)相違点についての判断
a 上記相違点3Aについて
上記相違点3Aについて判断する。
甲3発明は、キャスタの状態切り換えについて、「脚ベース1」から突没可能に配された「プッシュボタン8」に「一方向の押圧操作が加えられる毎」に行う構成を採用しているところ、脚部に設けた1つの操作部材を操作する毎にキャスタの2つの状態を切り換える構成は、天板の回動を利用した状態切り換え、及び天板に設けた操作部材の操作を伝達して行う状態切り換えと、そのままでは連係させることができず、天板の動作及び天板における操作と連係させるためには構成に変更を加える必要がある。
そして、一の操作部材の操作毎に2つの状態を切り換えるキャスタについて、「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」及び「天板」に設ける「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」の両方を備えることは、甲1ないし甲2及び甲5ないし甲15のいずれを考慮しても、記載も示唆もされていない。甲4には、上記第4の2(4)に示した事項が記載されているが、甲4においても、「ロック解除手段8」を用いたキャスタの状態切り換えと天板との関係付けに関しては、操作手段5の一操作毎にキャスタ3、4の状態を切り換える係止機構7におけるピン72と略ハート型の溝71mとの係合について、天板20が起立位置にあるときには解除する、というものであるから、一の操作部材の操作毎に2つの状態を切り換えるキャスタについて、「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」及び「天板」に設ける「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」の両方を備えることを記載あるいは示唆するものではない。
したがって、甲3発明において、上記相違点3Aに係る本件発明1の構成とすることは、甲1ないし甲2、及び甲4ないし甲15に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではない。

b 小括
上記aのとおり、甲3発明において上記相違点3Aに係る本件発明1の構成とすることは、甲1ないし甲2及び甲4ないし甲15に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではないから、上記相違点3Bについて判断するまでもなく、本件発明1は、甲3発明、並びに甲1ないし甲2及び甲4ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明1を限定した本件発明2、及び本件発明6ないし8について
上記アのとおり、本件発明1は、甲3発明、並びに甲1ないし甲2及び甲4ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明1をさらに限定した構成について検討するまでもなく、本件発明1を限定した本件発明2、及び本件発明6ないし8は、甲3発明、並びに甲1ないし甲2及び甲4ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)甲4発明を主たる引用発明とした、本件発明1ないし8の進歩性(前記「第3の3(3)、(7)」)
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と、甲4発明とを対比する。
甲4発明において、「脚体1は、脚ベース10と、脚柱11と、テーブルTの使用端側に位置する第一キャスタ3と、該第一キャスタ3と略同一構成でありテーブルTの反使用端側に位置する第二キャスタ4とを具備し、一対のキャスタ3、4は床面に対して移動不能にロックされるロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態とを相互に切り換えるロック手段3A、4Aを有」し、「第一キャスタ3」は「脚ベース10に位置決めされるケース32」を有し、「本車輪311及び台座313の動作をロックするロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態と」に切り換えが行われ、「第二キャスタ4」は「第一キャスタ3と同様の構成を有」する構成は、本件発明1において、「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体」を有する構成、及び、「前記脚体は、前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたもの」である構成に相当する。
甲4発明において、「テーブル本体2は、使用位置から起立位置へとフラップ動作可能に左右の脚柱11に支持させた天板20を具備」する構成は、本件発明1において、「前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板」を有する構成に相当する。
甲4発明において、「第一キャスタ3」が「脚ベース10に位置決めされるケース32」に対して「水平方向に摺動するロックレバー33とを具備し、ロックレバー33をテーブルTの前後方向、すなわち脚ベース10の長手方向に沿ってスライドさせることにより、・・・(中略)・・・ロック状態と前記ロックが解除されたロック解除状態とに相互に切り換えるロック手段3A」を有しており、「第二キャスタ4は、第二キャスタ4におけるロックレバー43、ロック手段4Aを具備し、第一キャスタ3と同様の構成を有して」おり、「操作力伝達手段6は、棒状に延びる板部材60とロックレバー33、43とを接続して、これらを同時に脚ベース10の長手方向にスライド移動可能にして」いる構成は、本件発明1において、「そのベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されており、前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されて」いる構成に相当する。
甲4発明において、「棒状に延びる板部材60とロックレバー33、43とを接続して、これらを同時に脚ベース10の長手方向にスライド移動可能にして」いる「操作力伝達手段6」が、「前記板部材60及び前記カム部材71を後方、すなわちロック解除位置側に付勢するバネ73」を利用している構成は、甲4においては段落【0014】に記載されるように「反使用端側を後端側と記載」していることから、甲4発明における「後方」とは「反使用端」の方向であること、並びに、机の「使用端」側から机を使用する使用者から見ると「反使用端」の方向は前方となることを踏まえると、「板部材60とロックレバー33、43」とが、「後方、すなわちロック解除位置側に付勢するバネ73」により、反使用端側、すなわち机の使用者から,見て前方に位置する状態で、ロック解除の状態となる構成ということができるから、本件発明1における「キャスタ連動部材が前記両作動部とともに最前進位置に移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となる」構成に相当する。

以上を整理すると、本件発明1と甲4発明とは、
「車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に選択切換可能なキャスタを有する脚体と、前記脚体に支持されて使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板とを具備してなるフラップ天板付き家具であって、
前記脚体は、前後両端部にキャスタをそれぞれ取付けたベースを備えたものであり、そのベース内に前後方向移動により前記両キャスタを車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えるためのキャスタ連動部材が配されており、
前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されており、
キャスタ連動部材が前記両作動部とともに最前進位置に移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となるように構成されているフラップ天板付き家具。」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点4>
「キャスタ」の状態切り換えと「天板」との関係に関し、
本件発明1においては、「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」を有するとともに、「天板には、前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部を設けて」いるのに対し、
甲4発明においては、キャスタの状態切り換えには、「脚ベース10」に設けられた「操作手段5」への「同一の操作を受けて前記ロック解除位置から前記ロック位置、又は前記ロック位置から前記ロック解除位置への切替を行う」ように、「略ハート型」の「溝71m」と「係合可能なピン72」とを用いる「係止手段7」を用いており、キャスタの状態切り換えと「ロック解除手段8」による「天板20」との関係付けについては、「天板20が起立位置にある際には、前記ピン72の下端部とカム部材71との係合を解除」することで、「前記天板20が起立位置にある際に前記操作力伝達手段6を常にアンロック位置に位置させるようにしている」点。

(イ)相違点についての判断
上記相違点4について判断する。
甲4発明において、キャスタの状態切り換えと天板との関係について採用する構成は、「操作手段5」への「同一の操作を受けて前記ロック解除位置から前記ロック位置、又は前記ロック位置から前記ロック解除位置への切替を行う」ようにした「係止手段7」について、「ロック解除手段8」により、「天板20が起立位置にある際には、前記ピン72の下端部とカム部材71との係合を解除」することに特化したものであり、上記相違点4Aに係る本件発明1の構成の前半部における「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」、及び上記相違点4に係る本件発明1の構成の後半部における「天板」に設けた「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」の両方を備える構成とするには、天板の回動及び/又は天板における操作をキャスタのロック手段に伝達する機構を、大きく変更する必要がある。
そして、「操作手段5」への「同一の操作を受けて前記ロック解除位置から前記ロック位置、又は前記ロック位置から前記ロック解除位置への切替を行う」ようにした「係止手段7」について、「天板20が起立位置にある際には、前記ピン72の下端部とカム部材71との係合を解除」する上記の構成を離れて、「天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」及び「天板」に設けた「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」の両方を設けることは、甲4中に記載も示唆もされておらず、甲4発明においてかような変更を行う動機付けはない。
また、甲1ないし甲3及び甲5ないし甲15を考慮しても、甲4発明において、上記相違点4に係る本件発明1の構成を採用することは、記載も示唆もされていない。

イ 本件発明3について
本件発明3は、本件発明1における「前記両キャスタは、それぞれ作動部を前後方向に移動させることによって車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換わるように構成されたものであり、前記両作動部が前記キャスタ連動部材により接続されており、キャスタ連動部材が前記両作動部とともに最前進位置に移動した状態で前記両キャスタが車輪非ロック状態となるように構成されている」という構成に代えて、「前記キャスタが車輪ロック状態に自動的に復帰するのを助ける引張バネが、前記キャスタ連動部材と前記ベースとの間に設けられている」という構成を採用したものであり、その余の構成は本件発明1と共通している。
そのため、上記ア(ア)における本件発明1と甲4発明との対比を踏まえると、本件発明3と甲4発明とは、少なくとも本件発明1と甲4発明との相違点4において相違する。
そして、上記ア(イ)で判断したとおり、甲4発明において上記相違点4に係る構成とすることは、甲1ないし甲3及び甲5ないし甲15を考慮しても、当業者にとって容易に想到できたものではない。
したがって、その余の点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲4発明、及び甲1ないし甲3及び甲5ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明2、及び本件発明4ないし8について
本件発明2、及び本件発明4ないし8は、本件発明1又は本件発明3の構成を全て有し、さらに限定を加えたものである。
そして、上記ア及びイのとおり、本件発明1及び3は、甲4発明、並びに甲1ないし甲3及び甲5ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件発明1又は3をさらに限定した構成について検討するまでもなく、本件発明2、及び本件発明4ないし8は、甲4発明、並びに甲1ないし甲3及び甲5ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)申立人の主張について
ア 甲2発明を主たる引用発明として
(ア)上記相違点2Aについて
本件発明1及び本件発明3のそれぞれと甲2発明との上記相違点2Aに関し、申立人は申立書において、甲2発明におけるロッド41及びロッド押さえ52等は天板10のフラップ動作を利用してロックキャスター30を車輪ロック状態又は車輪非ロック状態に切り換えており、甲2発明における天板10に設けられたレバー72等は車輪ロック状態を一時的に解除して車輪非ロック状態としているから、上記相違点2Aは相違点ではない旨を主張している(申立書第45頁第11行ないし下から3行、及び第61頁第6行ないし下から8行)。
しかしながら、甲2発明においては、天板10を起立回動させる動作に先立つ、天板10のロックを解除するためのレバー72の操作の途中において、天板10のロックが未だ解除されていない時点で、ロッド押さえ52の回転及びロッド41の上昇により、ロックキャスター30はキャスターロック状態からキャスターアンロック状態へと切り換えられており、さらにレバー72が操作されて、天板10のロック解除が行われ、天板10が回動される際には、ロッド押さえ52は上昇しきったロッド41に接触しておらず、ロックキャスター30はキャスターアンロック状態のままとなるから、甲2発明における上記の構成を、本件発明1及び3における「この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」を具備する構成に相当するということはできない。
したがって、本件発明1及び本件発明3のそれぞれと甲2発明との相違点は、上記相違点2Aを含めて認定されるべきである。
そして、上記相違点2Aに係る本件発明1及び本件発明3の構成は、上記(1)ア(イ)a及び上記(1)イに示したとおり、甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではない。

(イ)上記相違点2Bについて
申立人は申立書において、本件発明1と甲2発明との上記相違点2Bに関し、甲1、甲4、甲5、甲8、甲10等に示される周知技術であるから想到容易である旨を主張している(申立書第46頁第6行ないし第49頁第18行)。
また、申立人は申立書において、本件発明3と甲2発明との上記相違点2Bに関し、甲6、甲7又は甲3に記載された事項に基いて、想到容易である旨を主張している(申立書第62頁第1行ないし第76頁第6行における、「○1 請求項3」中の「(1)相違点1」に関する主張。なお「○1」は○の中に1を示す。)。
しかしながら、甲2発明において、上記相違点2Bに係る本件発明1及び本件発明3の構成とすることは、上記(1)ア(イ)b及び上記(1)イに示したとおり、甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項を考慮しても、当業者にとって想到容易ではない。

(ウ)小括
したがって、申立人の上記主張を考慮しても、甲2発明を主たる引用発明とした本件発明1ないし8の進歩性について、上記(1)と異なる判断をすべき事情は見いだせない。

イ 甲3発明を主たる引用発明として
本件発明1と甲3発明との上記相違点3Aに関し、申立人は申立書において、甲2発明に基づいて想到容易である旨を主張している(申立書第52頁第5行ないし第53頁第9行)。
しかしながら、甲2発明における「天板10」に設けた「レバー72」は、操作の途中において「ロックキャスター30」をキャスターロック状態からキャスターアンロック状態へと切り換えることで、「天板10」の「ロック」の「解除」と操作の一部を共用しているものであるから、甲3発明における、「脚ベース1」から突没可能に配された「プッシュボタン8」に「一方向の押圧操作が加えられる毎」にキャスタの2つの状態を切り換える操作における操作手段として、採用できるものではない。また、甲3発明において、操作手段の一操作毎にキャスタの2つの状態を切り換える構成を離れて、甲2発明における「天板10」に設けた「レバー72」を採用する動機付けはない。さらに、甲3発明において、たとえ操作手段の一操作毎にキャスタの2つの状態を切り換える構成に代えて、甲2発明の構成を採用したとしても、キャスタの状態の切り換えは、「レバー72」の途中までの操作により、天板のロックを解除するより前の段階で行われることとなるから、上記相違点3Aに係る本件発明1の構成に至るものではない。
したがって、申立人の上記主張を考慮しても、甲3発明を主たる引用発明とした本件発明1、並びに本件発明1を限定した本件発明2及び本件発明6ないし8の進歩性について、上記(2)と異なる判断をすべき事情は見いだせない。

ウ 甲4発明を主たる引用発明として
本件発明1及び3のそれぞれと甲4発明との上記相違点4に関し、申立人は申立書において、甲4発明における「係止手段7」及び「ロック解除手段8」は、本件発明1及び3における「この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」に相当し、甲4発明における「操作手段5」は、「天板」に設けられていないものの、本件発明1及び3における「車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」に相当するから、上記相違点4に係る本件発明1及び3の構成のうち、実際の相違点となる構成は、本件発明1及び3においては「一時解除用操作部」が「天板」に設けられているのに対し、甲4発明においては「操作手段5」が「天板」に設けられていない点である旨を主張している。
そして申立人は、「一時解除用操作部」を「天板」に設けることは、甲12、甲1、甲2に示されるとおり周知技術であるから、想到容易である旨を主張している(申立書第55頁第19行ないし第58頁下から9行、及び第76頁第10行ないし第79頁第3行における、「(相違点2)」に関する主張。)。
しかしながら、甲4発明においては、「操作手段5」への「同一の操作を受けて前記ロック解除位置から前記ロック位置、又は前記ロック位置から前記ロック解除位置への切替を行う」ようにした「係止手段7」について、「ロック解除手段8」により、「天板20が起立位置にある際には、前記ピン72の下端部とカム部材71との係合を解除」するから、「操作手段5」の操作によってキャスタが「ロック位置」にある際に「天板20」が「起立位置」へと回動させた場合に限って、「ピン72」の係合が解除されることによりキャスタが「ロック解除位置」へと切り替わるものの、その余のキャスタの状態の切り換えは、常に「操作手段5」により行われることとなる。かような甲4発明における「操作手段5」が、本件発明1及び3における「前記車輪ロック状態を一時的に解除して前記車輪非ロック状態とするための一時解除用操作部」に相当するということはできず、また甲4発明において、「操作手段5」により「ロック位置」となっている場合に限って「ピン72」の係合解除によりキャスタを「非ロック位置」とする「ロック解除手段8」が、本件発明1及び3における「この天板のフラップ動作を利用して前記キャスタを前記車輪ロック状態又は前記車輪非ロック状態に切り換える動作連動手段」に相当するということはできないから、本件発明1及び3のそれぞれと甲4発明との相違点は、上記(3)ア(ア)及び上記(3)イに示したとおり、上記相違点4を含めて認定されるべきである。
そして、上記(3)ア(イ)及び上記(3)イに示したとおり、甲4発明において上記相違点4に係る構成とすることは、甲1ないし甲3及び甲5ないし甲15を考慮しても、当業者にとって容易に想到できたものではない。
したがって、申立人の上記主張を考慮しても、甲4発明を主たる引用発明とした本件発明1ないし8の進歩性について、上記(3)と異なる判断をすべき事情は見いだせない。

(5)申立理由3についての結論
よって、本件発明1ないし8は、甲2発明、並びに甲1及び甲3ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1、並びに、本件発明1を限定した本件発明2及び本件発明6ないし8は、甲3発明、並びに甲1ないし甲2及び甲4ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明1ないし8は、甲4発明、並びに甲1ないし甲3及び甲5ないし甲15に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、申立書に記載された特許異議申立理由、及び提出された証拠によっては、請求項1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2021-10-21 
出願番号 特願2019-231312(P2019-231312)
審決分類 P 1 651・ 113- Y (A47B)
P 1 651・ 537- Y (A47B)
P 1 651・ 121- Y (A47B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 下井 功介  
特許庁審判長 長井 真一
特許庁審判官 田中 洋行
有家 秀郎
登録日 2020-12-08 
登録番号 特許第6806226号(P6806226)
権利者 コクヨ株式会社
発明の名称 フラップ天板付き家具  
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