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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1380721
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-02 
確定日 2021-12-09 
事件の表示 特願2016− 46067号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月14日出願公開、特開2017−158795号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月9日の出願であって、令和1年10月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月20日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年5月21日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年7月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月26日付け(送達日:同年11月4日)で、同年7月22日付け手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和3年2月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書による補正がなされたものである。

第2 令和3年2月2日付けの手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年2月2日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正は、明細書及び特許請求の範囲を補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1及び2について、本件補正前の令和1年12月20日付けの手続補正書において、

「【請求項1】
遊技者による発射操作に対応する発射強度で遊技球を遊技領域に発射させる発射手段と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な第1通過部及び第2通過部と、
所定条件が成立したことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な有利状態に移行させることが可能な遊技状態移行手段と、
遊技球が前記第1通過部を通過したことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
を備え、
前記所定条件として、少なくとも前記第1通過部の通過を含む第1条件と、前記第2通過部の通過を含む第2条件と、が設定されており、
前記遊技状態移行手段は、前記第1条件及び前記第2条件が成立したことに基づいて、遊技状態を前記有利状態に移行させるものであり、
前記遊技領域には、前記第1通過部を通過する遊技球が前記第2通過部を通過可能な第1ルートと、前記第1通過部を通過する遊技球が前記第1ルートよりも前記第2通過部を通過しにくい第2ルートとが設定されており、
前記第1条件が成立した場合に、遊技機外部の装置に対して第1情報を出力可能な第1出力手段と、
前記第2条件が成立した場合に、遊技機外部の装置に対して第2情報を出力可能な第2出力手段と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記発射操作が行われる発射操作手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」

とあったものを、

「【請求項1】
A 遊技者による発射操作に対応する発射強度で所定周期にて遊技球を遊技領域に発射させる発射手段と、
B 前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な第1通過部及び第2通過部と、
C 所定条件が成立したことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な有利状態に移行させることが可能な遊技状態移行手段と、
D 遊技球が前記第1通過部を通過したことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
を備え、
C1 前記所定条件として、少なくとも前記第1通過部の通過を含む第1条件と、前記第2通過部の通過を含む第2条件と、が設定されており、
C2 前記遊技状態移行手段は、前記第1条件及び前記第2条件が成立したことに基づいて、遊技状態を前記有利状態に移行させるものであり、
E 前記遊技領域には、前記第1通過部を通過する遊技球が前記第2通過部を通過可能な第1ルートと、前記第1通過部を通過する遊技球が前記第1ルートよりも前記第2通過部を通過しにくい第2ルートとが設定されており、
F 前記第1条件が成立した場合に、遊技機外部の装置に対して特定出力手段を介して第1情報を出力可能な第1出力手段と、
G 前記第2条件が成立した場合に、遊技機外部の装置に対して前記特定出力手段を介して第2情報を出力可能な第2出力手段と、
を備え、
H 前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が、前記所定周期よりも短い期間となるように設定されている
I ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
A1 前記発射操作が行われる発射操作手段を備え、
J 前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間の方が、前記第2出力手段による前記第2情報の出力期間よりも短い期間となるように設定されている
I ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」

と補正することを含むものである(なお、AないしJについては、分説するため合議体が付した。下線部は補正箇所を示す。)。

(2)請求項1及び2に係る前記(1)の補正は、次の補正事項からなる。
ア 補正事項A
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「発射手段」に関して、「所定周期にて」遊技球を遊技領域に発射させるという限定事項を追加する。

イ 補正事項FG
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1出力手段」、「第2出力手段」に関して、「第1出力手段」が「特定出力手段を介して」第1情報を出力可能であるという限定事項を追加するとともに、「第2出力手段」が「前記特定出力手段を介して」第2情報を出力可能であるという限定事項を追加する。すなわち、第1出力手段及び第2出力手段は、いずれも同一の出力手段である「特定出力手段」を介して出力可能であるという限定事項を追加する。

ウ 補正事項H
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「発射手段」及び「第1出力手段」に関して、「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が、前記所定周期よりも短い期間となるように設定されている」という限定事項を追加する。

エ 補正事項J
本件補正前の請求項2に係る発明を特定するために必要な事項である「第1出力手段」及び「第2出力手段」に関して、「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が、前記所定周期よりも短い期間となるように設定されている」という限定事項を追加する。

2 補正の適否について
(1)新規事項追加の有無について
上記の各補正事項が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて検討する。

ア 補正事項A
補正事項Aは、当初明細書等の【0125】の「0.6secに1個の遊技球が遊技領域PEに向けて発射されるように遊技球発射機構53が駆動制御される」等の記載に基づくものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

イ 補正事項FG
補正事項FGは、以下に述べるとおり、当初明細書等の範囲内のものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
すなわち、補正事項FGのうち「第1出力手段」に関しては、【0288】に「RAM204に、明示2R確変フラグ、非明示2R確変フラグ、15R確変フラグ又は通常大当たりフラグのいずれかが格納されている」「場合には、外部出力端子99に設けられた大当たり信号用の出力端子の信号出力状態を大当たり信号出力状態とする」ことにより「大当たり信号用の出力端子が遊技ホール側の管理制御装置に接続されている場合には、当該管理制御装置に大当たり信号が出力されるとともに、その出力が一定時間経過後に停止されることで、当該管理制御装置においてパチンコ機10にて、移行前状態が発生してその後に大当たりが発生することを把握することができる」と記載されている。すると、請求項1において、「第1出力手段」の出力する「第1情報」は、「パチンコ機10にて、移行前状態が発生してその後に大当たりが発生すること」に対応するものであり、当該情報は「外部出力端子99に設けられた大当たり信号用の出力端子」を介して出力されている。
また、補正事項FGのうち「第2出力手段」に関しては、【0255】に「外部信号設定処理では、RAM204に、明示2R確変フラグ、非明示2R確変フラグ、15R確変フラグ又は通常大当たりフラグのいずれかが格納されている」「場合には、外部出力端子99に設けられた大当たり信号用の出力端子の信号出力状態を大当たり信号出力状態とする」ことにより「大当たり信号用の出力端子が遊技ホール側の管理制御装置に接続されている場合には、当該管理制御装置に大当たり信号が出力され、当該管理制御装置においてパチンコ機10にて大当たりが発生したことを把握することができる」と記載されている。すると、請求項1において、「第2出力手段」の出力する「第2情報」は、「パチンコ機10にて大当たりが発生したこと」に対応するものであり、当該情報は「外部出力端子99に設けられた大当たり信号用の出力端子」を介して出力されている。
したがって、補正事項FGにおいて「第1出力手段」の「第1情報」の出力及び「第2出力手段」の「第2情報」の出力を介する「特定出力手段」は、上記【0288】及び【0255】に記載の「外部出力端子99に設けられた大当たり信号用の出力端子」に対応するものと見ることができる。

ウ 補正事項H
補正事項Hは、以下に述べるとおり、当初明細書等の範囲内のものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
すなわち、補正事項Hの「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間」に関して、【0288】には「大当たり信号出力状態」「は、一定時間(例えば0.5sec)経過後に停止状態に切り換えられる」と記載されている。また、補正事項Hの「前記所定周期」に関して、補正事項Aにおいて指摘したように、【0125】には「0.6secに1個の遊技球が遊技領域PEに向けて発射されるように遊技球発射機構53が駆動制御される」と記載されている。そのため、「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間」(0.5sec)は「前記所定周期」(0.6sec)よりも短い期間とすることが記載されている。

エ 補正事項J
(ア)補正事項Jは、以下に述べるとおり、新たな技術事項を導入するものである。
補正事項Jは、請求項2を「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間の方が、前記第2出力手段による前記第2情報の出力期間よりも短い期間となるように設定されている」点で限定しようとするものである。
補正事項Jのうち、「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間」は、上記ウで述べたとおり、当初明細書等において「0.5sec」が例示されている(【0288】)。一方、「前記第2出力手段による前記第2情報の出力期間」に対応するのは当初明細書等の【0255】と考えられるが、【0255】には、【0288】と同様に「大当たり信号」を出力することは記載されているものの、【0288】とは異なり、「大当たり信号」の出力期間については何ら記載されていない。
そのため、【0255】及び【0288】からは補正事項Jに対応する記載は導き出せない。
(イ)補正事項Jの補正の根拠について、審判請求人は、審判請求書において、「請求項2は、出願当初明細書における段落0290欄の記載に基づいている」と述べている。【0290】には「なお、大当たり信号用の出力端子や、大当たり及び特別外れ信号用の出力端子を、信号出力状態として維持する時間は、低頻度入賞モードの開閉実行モードに要する期間(1.0sec)よりも短く設定されている。これにより、大当たり信号用の出力端子や大当たり及び特別外れ信号用の出力端子といった共通の出力端子を用いて、大当たり状態の発生と大当たり状態の前の状態の発生とを上記管理制御装置において区別するとともに、開閉実行モードの発生と開閉実行モードの発生前の移行前状態の発生とを上記管理制御装置において区別することができる。」と記載されている。
上記のとおり、【0290】には「大当たり信号用の出力端子」「を、信号出力状態として維持する時間は、低頻度入賞モードの開閉実行モードに要する期間(1.0sec)よりも短く設定」することは記載されている。しかし、当該記載の比較対象は「低頻度入賞モードの開閉実行モードに要する期間(1.0sec)」であり、「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間」と「前記第2出力手段による前記第2情報の出力期間」の長さの比較について言及するものではない。
また、上記のとおり【0290】には「大当たり信号用の出力端子」「といった共通の出力端子を用いて、大当たり状態の発生と大当たり状態の前の状態の発生とを上記管理制御装置において区別する」ことが記載されている。ここで、上記イで述べたとおり、当初明細書等において「第1出力手段」の出力する「第1情報」(「パチンコ機10にて、移行前状態が発生してその後に大当たりが発生すること」)及び「第2出力手段」の出力する「第2情報」(「第2出力手段」の出力する「第2情報」)は、いずれも「外部出力端子99に設けられた大当たり信号用の出力端子」を介して出力される。このように、「第1情報」及び「第2情報」は、いずれも「大当たり信号用の出力端子」から出力される「大当たり信号」であるから、管理制御装置において(他の信号を用いることなく)「大当たり信号」が「第1情報」なのか「第2情報」なのかを区別するために「第1情報」と「第2情報」の出力期間等の出力態様を異ならせるなどの差異を設けることは、技術常識に照らせば当然であるといえる可能性はある。
しかし、【0290】の記載と技術常識から、「第1情報」と「第2情報」の出力期間を異ならせることは新たな技術事項を導入するものではないといい得たとしても、「第1情報」の出力期間と「第2情報」の出力期間の長短の関係までもが当然に導き出されるものではないから、補正事項Jの「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間の方が、前記第2出力手段による前記第2情報の出力期間よりも短い期間となるように設定されている」という技術的事項は、当初明細書等に記載されている事項でもなければ、自明な事項でもない。
(ウ)してみると、請求人による本件補正の根拠についての主張を参酌しても、補正事項Jが、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないとする根拠を見いだすことはできない。
以上より、補正事項Jは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえないことから、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものである。

オ 補正事項Jについての補足
(ア)上記イ〜エにおいては、審判請求人が審判請求書で「請求項1中、「第1出力手段」及び「第2出力手段」の構成において、いずれの出力手段も「特定出力手段を介して」出力する構成であることの補正は、出願当初明細書における段落0255欄及び段落0288欄の記載に基づいている。」と述べていることも考慮して、「第1出力手段」、「第2出力手段」が、それぞれ【0288】、【0255】に基づくものとして判断を示した(その場合、請求項1の「有利状態」は「大当たり」による「開閉実行モード」ということになる。)。
(イ)一方、審判請求人の主張からは離れるが、「第1出力手段」、「第2出力手段」が、それぞれ【0289】、【0256】に基づくものと考えることも可能である。その場合、請求項1の「有利状態」とは「大当たり」の場合だけでなく、「特別外れ」の場合も含めた「開閉実行モード」のことを指し、請求項1の「第1情報」、「第2情報」はそれぞれ、「開閉実行モードの発生前の移行前状態」(【0289】、【0290】)が発生したこと、「開閉実行モード」が発生したこと(【0256】、【0290】)に対応することとなる。また、これらの情報は、いずれも、「外部出力端子99に設けられた大当たり及び特別外れ信号用の出力端子」を介して行われることから、これが請求項1の「特定出力手段」に対応することとなる。
しかし、そのような対応関係を仮定したとしても、上記エ(ア)の議論と同様に、「第1出力手段」の「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間」としては当初明細書等の【0289】において、「外部出力端子99に設けられた大当たり及び特別外れ信号用の出力端子」の信号出力状態を「0.5sec」とすることが例示されている一方、「前記第2出力手段による前記第2情報の出力期間」については【0256】にもその他の段落にも何ら記載されていない。
(ウ)また、【0290】には「大当たり及び特別外れ信号用の出力端子」についても、「大当たり信号用の出力端子」と同様の記載が存在するが、上記エ(イ)での検討と同様に、「第1情報」と「第2情報」の出力期間を異ならせることは新たな技術事項を導入するものではないといい得たとしても、「第1情報」の出力期間と「第2情報」の出力期間の長短の関係までもが当然に導き出されるものではないから、補正事項Jの「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間の方が、前記第2出力手段による前記第2情報の出力期間よりも短い期間となるように設定されている」という技術的事項は、当初明細書等に記載されている事項でもなければ、自明な事項でもない。
(エ)したがって、請求項1の「第1情報」、「第2情報」を、それぞれ、「開閉実行モードの発生前の移行前状態」(【0289】、【0290】)が発生したこと、「開閉実行モード」が発生したこと(【0256】、【0290】)に対応付けて検討しても、やはり、補正事項Jは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえないことから、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものである。

カ まとめ
上記のとおり、本件補正のうち補正事項J(請求項2)は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2)補正の目的について
補正事項Aは、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「発射手段」に関して、「所定周期にて」遊技球を遊技領域に発射させる点を限定するものである。
補正事項FGは、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1出力手段」、「第2出力手段」に関して、いずれも「特定出力手段」(同一の出力手段)を介して出力可能である点で限定するものである。
補正事項Hは、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「発射手段」及び「第1出力手段」に関して、「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が、前記所定周期よりも短い期間となるように設定されている」点を限定するものである。
そして、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正(補正事項A、FG、H)は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(3)独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)についてさらに検討する。

ア 本願補正発明
本願補正発明は、前記「1 補正の内容」において示した次のとおりのものである(なお、AないしIについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。

(本願補正発明)
「【請求項1】
A 遊技者による発射操作に対応する発射強度で所定周期にて遊技球を遊技領域に発射させる発射手段と、
B 前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な第1通過部及び第2通過部と、
C 所定条件が成立したことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な有利状態に移行させることが可能な遊技状態移行手段と、
D 遊技球が前記第1通過部を通過したことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
を備え、
C1 前記所定条件として、少なくとも前記第1通過部の通過を含む第1条件と、前記第2通過部の通過を含む第2条件と、が設定されており、
C2 前記遊技状態移行手段は、前記第1条件及び前記第2条件が成立したことに基づいて、遊技状態を前記有利状態に移行させるものであり、
E 前記遊技領域には、前記第1通過部を通過する遊技球が前記第2通過部を通過可能な第1ルートと、前記第1通過部を通過する遊技球が前記第1ルートよりも前記第2通過部を通過しにくい第2ルートとが設定されており、
F 前記第1条件が成立した場合に、遊技機外部の装置に対して特定出力手段を介して第1情報を出力可能な第1出力手段と、
G 前記第2条件が成立した場合に、遊技機外部の装置に対して前記特定出力手段を介して第2情報を出力可能な第2出力手段と、
を備え、
H 前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が、前記所定周期よりも短い期間となるように設定されている
I ことを特徴とする遊技機。」

イ 引用文献1、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015−177840号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同じ。)。

(ア)「【0009】
本実施形態のパチンコ機1は、遊技ホールの島設備(図示しない)に設置される枠状の外枠2と、外枠2の前面を開閉可能に閉鎖する扉枠3と、扉枠3を開閉可能に支持していると共に外枠2に開閉可能に取付けられている本体枠4と、本体枠4に前側から着脱可能に取付けられると共に扉枠3を通して遊技者側から視認可能とされ遊技者によって遊技球が打込まれる遊技領域5aを有した遊技盤5と、を備えている。
・・・
【0017】
本実施形態のパチンコ機1は、上皿201に遊技球を貯留した状態で、遊技者がハンドルレバー504を回転操作すると、球発射装置680によってハンドルレバー504の回転角度に応じた強さで遊技球が遊技盤5の遊技領域5a内へ打込まれる。そして、遊技領域5a内に打込まれた遊技球が、図示しない入賞口に受入れられると、受入れられた入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出装置830によって上皿201に払出される。この遊技球の払出しによって遊技者の興趣を高めることができるため、上皿201内の遊技球を遊技領域5a内へ打込ませることができ、遊技者に遊技を楽しませることができる。」

(イ)「【0166】
続いて、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤5の構成例について、図47?図49を参照して説明する。図47は遊技盤5の正面図であり、図48は遊技盤5を前方から俯瞰した斜視図であり、図49は遊技盤5を後方から俯瞰した斜視図である。図示するように、パチンコ機1における遊技盤5は外レール6002及び内レール6003を有し、遊技球が打ち込まれる遊技領域5aの外周を区画形成する枠状の前構成部材6001と、前構成部材6001の後側で遊技領域5aを閉鎖するように配置された遊技パネル1100と、遊技領域5aの外側でアウト口6006よりも左側の前構成部材6001下部に配置された機能表示ユニット6040と、遊技領域5a内の左右方向右側でアウト口6006の上側に配置され遊技パネル1100の前面に支持されるアタッカユニット2000と、遊技領域5a内の右側領域に配置され遊技パネル1100の前面でその上下に亘って支持される遊技球誘導路ユニット6010と、遊技領域5aの略中央部分に配置され遊技パネル1100に支持される枠状のセンター役物2300と、遊技パネル1100の後側に取付けられる裏ユニット3000と、裏ユニット3000の後側に遊技パネル1100及びセンター役物(枠状装飾体)2300の枠内を通して遊技者側から視認可能に取付けられ所定の演出画像を表示可能な演出表示手段としての液晶表示装置1400と、を主に備えている。
【0167】
アタッカユニット2000は、遊技パネル1100における右側下部に形成された開口部に対して、前側から挿入された上で、遊技パネル1100の前面に固定されるものである。このアタッカユニット2000は、遊技領域5a内へ打ち込まれた遊技球が受入可能とされる複数の受入口を有している。具体的には、左右方向の略中央に配置され、特別抽選結果が得られる第一始動口2001と、第一始動口2001の右側に配置され左右方向へ大きく延びた矩形状の大入賞口2003と、大入賞口2003の左側及び第一始動口2001の右側に配置された一般入賞口2004と、第一始動口と同様に特別抽選結果が得られる第二始動口を備えた第二始動口ユニット2005とを備えている。第二の始動口ユニット2005は大入賞口2003のほぼ真上に存在する。
【0168】
第二始動口ユニット2005は、遊技球の通過を契機として所定の普通抽選結果が抽選される普通ゲート2005aと、第二始動口2005cと、普通ゲートの普通抽選結果に応じて第二始動口を開閉する可動片2005bと、普通ゲート2005aを通過した後可動片2005bが閉鎖されていることによって第二始動口2005cへ行けない遊技球2006aを大入賞口へ向けて排出する遊技球排出ルート2005dと、ゲート2005aを通過した後可動片2005bが開放されていることによって第二始動口2005cへ遊技球を案内可能な遊技球案内ルート2005eと、が一体化したものとして構成されている。第二始動口ユニット2005の開始端は既述の遊技球誘導路ユニット6010の終端に連通しており、遊技球が右打ちされて遊技球誘導路ユニット6010に入ると遊技球誘導路ユニット6010内を落下して第二始動口ユニット2005に至る。次いで、遊技球はそのまま第二始動口ユニットのゲート2005aを通過した後可動片2005bに至り、可動片2005bが開放している場合には遊技球案内ルート2005eを通過して第二始動口2005cに入球し、一方、可動片2005bが閉鎖されている場合には、遊技球排出ルート2005cを通過して大入賞口2003に向かって落下する。可動片2005bの開閉はソレノイドによって実行される。」

(ウ)「【0172】
既述のように、非時短状態では、右打ちしたとしても第二始動口2005cへの遊技球の入賞は不可能、若しくは極めて低い確率での入賞となる。従って、非時短状態では、上記第二始動口2005cではなく、第一始動口に多くの遊技球が入賞するように、センター役物の左側を狙って遊技球を発射(いわゆる「左打ち」)するほうが遊技者にとって有利である。
【0173】
一方、時短状態では、普通図柄の当選確率は100%であり、更に第二始動口2005cの可動片2005bを長期間(この例では5.5秒間)後退させるため、この場合には右打ちすることで第二始動口2005cへの遊技球の入賞が容易となる。従って、非時短状態では、上記第一始動口ではなく、上記第二始動口2005cに多くの遊技球が入賞するように、センター役物の右側を狙って遊技球を発射(いわゆる「右打ち」)するほうが遊技者にとって有利とされている。この実施の形態にかかるパチンコ機では、いわゆる開放延長機能が作動する遊技状態(時短状態)における普通図柄の当選確率を「255/255」としているが、普通抽選にて普通ハズレよりも普通当りが得られやすい確率にて設定するなど、必ずしも普通当りが100%で当選されるようにしなくてもよい。
【0174】
時短制御としては、普通図柄の当選確率を非時短状態よりも高める制御、普通図柄の変動表示制御に要する時間を非時短状態よりも短縮する制御、第二始動口2005cの可動片2005bを後退させる期間を非時短状態よりも延長する制御、第二始動口2005cの可動片2005bを後退させる回数を非時短状態よりも増加する制御、第一特別図柄表示器1185や第二特別図柄表示器1186における特別図柄の変動表示制御に要する時間(液晶表示装置おける装飾図柄の変動表示制御に要する時間)を非時短状態よりも短縮する制御、のうち何れか一つ又は任意の組み合わせ(全部でもよい)を実行するようにしてもよい。
【0175】
主制御基板4100の主制御MPU4100aは、第一始動口スイッチ、第二始動口スイッチ3022、カウントスイッチ2110、一般入賞口スイッチ3020などの検出信号がオン状態にあるときは、それら信号に応じた賞球が遊技者に払い出されるよう払出制御基板4110に払出制御コマンドを出力する。これにより、払出制御基板4110は、払出モータ駆動回路から払出モータに駆動信号を出力し、遊技者に賞球を払い出すようになる。本例では、例えば、第一始動口2001に遊技球が入賞して第一始動口スイッチ3022がオン状態になると「3球」、第二始動口2005cに遊技球が入賞して第二始動口スイッチ3022がオン状態になると「1球」、大入賞口2003に遊技球が入賞してカウントセンサスイッチ2110がオン状態になると「14球」、一般入賞口2004に遊技球が入賞して一般入賞口スイッチ3020がオン状態になると「10球」の賞球をそれぞれ遊技者に払い出すようにされている。」

(エ)「【0179】
時短状態(高確率時短状態など)にあるときに、普通ゲート2005aに遊技球が受け入れられると、普通図柄としての当りが得られて(当選確率が100%)、第二始動口2005cの可動片2005bが長期間(本例では5.5秒間)に亘って後退した状態にて維持される。したがって、時短状態(高確率時短状態など)にあるときに遊技球が右打ちされると、極めて高い確率(遊技球の略全て)で第二始動口2005cに遊技球が受け入れられるようになる。そして、遊技者がハンドル装置を操作しているときには0.6秒間隔で遊技球が発射されるようになっていることから、時短状態(高確率時短状態など)においては、第二始動口2005cには0.6秒間隔で遊技球が受け入れられることが多くなる。この点、第二始動口2005cへの遊技球の入賞に基づく第二特別図柄のはずれ時の変動パターンテーブルには時短状態(高確率時短状態など)の変動時間として極めて短い0.099秒に設定可能とされている。すなわち、この場合、ハズレが得られたときは、遊技球の発射間隔(0.6秒)未満の時間(0.099秒)だけで図柄変動が終了されるようになることから、第二始動口2005cに遊技球が連続して受け入れられる場合であっても、その受け入れのタイミングは、図柄変動が終了した後に訪れるようになる。これにより、0.6秒間隔で打ち出される遊技球が第二始動口2005cに次々と受け入れるような状況であっても、それらの遊技球が抽選処理に供されないままで排出されてしまうようなことが抑制される。」

(オ)「【0184】
第一始動口2001と一般入賞口2004は上側が開放されており遊技球が常時受入可能となっている。大入賞口2003は、その開口を閉鎖可能な横長矩形状の開閉部材2006によって開閉可能とされている。この開閉部材2006は、下辺が回動可能に軸支されており、略垂直な状態では大入賞口2003を閉鎖して遊技球を受入不能とし、上辺が前側へ傾斜するように回動すると、大入賞口2003を開放して遊技球を受入可能とするようになっている。この開閉部材2006は、通常の遊技状態では大入賞口2003を閉鎖した状態となっており、第一始動口2001や第二始動口2005cへ遊技球が受入れられる(始動入賞する)ことで行われる特別抽選(大当り抽選)の結果に応じて(特別抽選の結果が「大当り」又は「小当り」の時に)アタッカソレノイドの駆動により開閉するようになっている。ただし後述するが、この実施の形態にかかる開閉部材2006は、特別抽選の結果が「大当り(特別当り)」のときは、条件装置が作動したのちに有効ゲート(後述)への遊技球の受け入れがあったことを条件に、アタッカソレノイドの駆動により開閉可能とされる。有効ゲートは、条件装置が作動した後での物連続作動装置を有効にするための特殊ゲートである。有効ゲートは、大当りが当選されたときに、役物連続作動装置が作動するタイミングを遅延させることのできる機能をパチンコ機1に持たせるべく用意されたものである。
【0185】
次に、遊技球誘導路ユニット6000の詳細について説明する。遊技球誘導路ユニット6000は、中空のチューブの形態に形成された樹脂部製品からなり、既述のとおり遊技領域5aの右側で上下に亘って遊技パネル1100に取り付けられている。図50は遊技球誘導路ユニット6010の前面側の部分の図示を省略して、中空チューブの内部構造を示している。図51の(a)は図50の遊技球誘導路ユニット6010を拡大したものであり、図51(b)は遊技球誘導路ユニット6010長手方向の断面図である。」

(カ)「【図50】



(キ)「【0188】
遊技球誘導路ユニット6010の遊技領域下側領域には直線部6010eに続く膨出部6010kが形成されている。膨出部6010k内には内部チューブ6010mが形成されており、内部チューブ6010mは既述の第二始動口ユニット2000に通じている。内部チューブ6010mの開始端には既述の有効ゲート6010nが設けられており、直線部6010e内を落下しながら進む遊技球はそのまま内部チューブ6010mに向かい、有効ゲート6010nを通過した後第二始動口ユニット2000に到達する。遊技球誘導路ユニット6000内を通過する遊技球は、特に、屈曲部6010dと直線部6010e内を通過する過程でその落下速度が緩和される。したがって、遊技球がその速度が緩和されずに自由落下した場合に比較して、遊技球が演出ゲート6011を通過してから有効ゲート6010nを通過するまで時間を稼ぐことができる。したがって、その分、周辺制御基板は液晶表示装置等での演出に掛けられる時間に余裕を持つことが出来るため、効果的な演出を遊技者に対して提供することができる。このことの詳細については後述する。なお、普通ゲート2005a、演出ゲート6011、及び、有効ゲート6010nは遊技球の通過を検出するゲートスイッチ(ゲートセンサ)を備えている。」

(ク)「【0198】
パチンコ遊技機1の制御構成は、図61に示すように、主制御基板4100、払出制御基板4110及び周辺制御基板4140から主として構成されており、各種制御が分担されている。まず、主制御基板について説明し、続いて払出制御基板、電源基板、そして周辺制御基板について説明する。
【0199】
遊技の進行を制御する主制御基板4100は、図61に示すように、電源投入時に実行される電源投入時処理を制御するとともに電源投入時から所定時間が経過した後に実行されるとともに遊技動作を制御するメイン制御プログラムなどの各種制御プログラムや各種コマンドを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等が内蔵されるマイクロプロセッサである主制御MPU4100aと、各種検出スイッチからの検出信号が入力される主制御入力回路4100bと、各種信号を外部の基板等へ出力するための主制御出力回路4100cと、可動役物用等各種ソレノイドを駆動するための主制御ソレノイド駆動回路4100dと、予め定めた電圧の停電又は瞬停の兆候を監視する停電監視回路4100eと、を主として備えている。」

(ケ)「【0334】
払出制御基板4110は、図67に示すように、払出制御MPU4120a等のほかに、払出制御フィルタ回路4110a等を備えている。この払出制御フィルタ回路4110aは、電源基板851からの+5Vが供給されており、この+5Vからノイズを除去している。この+5Vは、ダイオードPD0を介して電源基板851のキャパシタBC1に供給されるほかに、例えば、払出制御部4120の払出制御MPU4120a等に供給されている。電源基板851からの+12Vは、例えば、払出制御部4120の払出制御入力回路4120b等に供給されるとともに、払出制御基板4110を介して、外部端子板784の外部通信回路784aに供給されている。この外部端子板784の外部通信回路784aは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を伝える信号を遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータへ出力する回路である。ホールコンピュータは、外部通信回路784aから出力される信号から、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視している。なお、電源基板851からの+24は、払出制御基板4110において何ら使用されずに、払出制御基板4110を介して、主制御基板4100に供給されている。」

(コ)「【0486】
次に、払出制御基板4110と主制御基板4100との各種入出力信号と、払出制御基板4110から外部端子板784への各種出力信号について、図77を参照して説明する。
【0487】
払出制御基板4110は、主制御基板4100と各種入出力信号のやり取りを行う。具体的には、図77(a)に示すように、払出制御基板4110は、上述した、払主シリアルデータ送信信号、払主ACK信号、操作信号(RAMクリア信号)、主枠扉開放信号等を、主制御基板4100に出力する。これらの出力される信号は、主制御基板4100の主制御入力回路4100bのプルアップ抵抗により+12V側に引き上げられている。
【0488】
一方、払出制御基板4110は、上述した、主払シリアルデータ受信信号、主払ACK信号、及び操作信号(RAMクリア信号)のほかに、15ラウンド大当り情報出力信号、及び2ラウンド大当り情報出力信号等の大当り情報出力信号、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力信号、始動口入賞情報出力信号等の遊技に関する遊技情報信号や払出停電予告信号等が主制御基板4100から入力される。これらの入力される信号は、払出制御基板4110の払出制御部4120の払出制御入力回路4120bのプルアップ抵抗により+12V側に引き上げられている。
【0489】
払出制御基板4110は、外部端子板784に各種信号を出力する。具体的には、図77(b)に示すように、上述した外端枠扉開放情報出力信号のほかに、払出モータが実際に払い出した遊技球の球数を示す賞球数情報出力信号、主制御基板4100から払出制御基板4110を介して、15ラウンド大当り情報出力信号、及び2ラウンド大当り情報出力信号等の大当り情報出力信号に加えて、確率変動中情報出力信号、特別図柄表示情報出力信号、普通図柄表示情報出力信号、時短中情報出力信号、及び始動口入賞情報出力信号等の遊技情報信号等を、外部端子板784に出力する。これらの出力される信号は、外部端子板784のプルアップ抵抗により+12V側に引き上げられている。
【0490】
外部端子板784から出力される信号は、図示しない遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータに伝わるようになっており、ホールコンピュータは、遊技者の遊技等を監視している。なお、15ラウンド大当り情報出力信号又は2ラウンド大当り情報出力信号を1つの大当り情報出力信号としてホールコンピュータに出力する場合には、ホールコンピュータは、ラウンドが2回となった大当りの回数(2ラウンド大当りの発生回数)と、ラウンドが15回となった大当りの回数(15ラウンド大当りの発生回数)と、が合算されたものがパチンコ遊技機1の大当りの回数となる。このため、ホールコンピュータは、その合算された大当り回数から、2ラウンド大当りの発生回数や15ランド大当りの発生回数を把握することができないので、実際にパチンコ遊技機1で発生した大当り回数が多いのが、2ラウンド大当りであるのか、それとも15ラウンド大当りであるのかを、把握することができない。またパチンコ遊技機1の上方に図示しないデータカウンタが配置されており、遊技者の中には、このデータカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数等を参考にして遊技を行うか否かを選択する者もいる。
【0491】
ところが、データカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数は、実際には2ラウンド大当りの発生回数に偏っている場合もあるので、遊技者が遊技を開始しても、2ラウンド大当りばかり発生して15ラウンド大当りがなかなか発生しないこともある。このように、データカウンタに表示された大当り遊技状態の発生回数は、遊技者に期待感を与えることはできるものの、必要以上に遊技者の射幸心をあおりかねない。
【0492】
そこで、本実施形態では、大当り情報出力信号として、15ラウンド大当り情報出力信号と2ラウンド大当り情報出力信号とを別々にホールコンピュータに出力することにより、ホールコンピュータは、2ラウンド大当りの発生回数と、15ラウンド大当り発生回数と、を正確に把握することができるようになっている。したがって、ホールコンピュータは、実際にパチンコ遊技機1で発生した大当り回数の多いのが、2ラウンド大当りであるのか、それとも15ラウンド大当りであるのかを、把握することができるし、データカウンタには15ラウンド大当りの発生回数と2ラウンド大当りの発生回数とを別々に又は15ラウンド大当りの発生回数のみを大当り遊技状態の発生回数として表示することができるので、必要以上に遊技者の射幸心をあおることもない。
【0493】
なお、本実施形態では、2ラウンド大当り情報出力信号は2ラウンド大当りが発生して終了するまでの期間においてホールコンピュータに出力された状態となっており、15ラウンド大当り情報出力信号も15ラウンド大当りが発生して終了するまでの期間においてホールコンピュータに出力された状態となっている。本実施形態のように、2ラウンド大当り情報出力信号及び15ラウンド大当り情報出力信号をホールコンピュータに出力する方法のほかに、例えば、2ラウンド大当りが発生すると、2ラウンド大当り情報出力信号が所定期間だけホールコンピュータに出力される状態とし、15ラウンド大当りが発生すると、15ラウンド大当り情報出力信号が所定期間だけホールコンピュータに出力される状態とする、このような2ラウンド大当り情報出力信号及び15ラウンド大当り情報出力信号を同一の所定期間だけホールコンピュータに出力する方法も挙げることができる。」

(サ)「【0498】
次に、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される各種コマンドについて説明する。主制御基板4100の主制御MPU4100aは、遊技の進行に基づいて周辺制御基板4140に各種コマンドを送信する。これらの各種コマンドは、2バイト(16ビット)の記憶容量を有するコマンドであり、図79及び図80に示すように、1バイト(8ビット)の記憶容量を有するコマンドの種類を示すステータスと、1バイト(8ビット)の記憶容量を有する演出のバリエーションを示すモードと、から構成されている。
【0499】
各種コマンドは、図79、図80に示すように、特図1同調演出関連、特図2同調演出関連、大当り関連、電源投入、普図同調演出関連、普通電役演出関連、報知表示、状態表示、及びその他に区分されている。
・・・
【0530】
その他の区分には、図80に示すように、始動口入賞、変動短縮作動終了指定、高確率終了指定、特別図柄1記憶、特別図柄2記憶、普通図柄記憶、特別図柄1記憶先読み演出、及び特別図柄2記憶先読み演出という名称のコマンドから構成されている。これらの各種コマンドには、ステータスとして「9*H」、モードとして「**H」(「H」は16進数を表す。)が割り振られている(「*」は、特定の16進数であることを示し、パチンコ遊技機1の仕様内容によって予め定められたものである)。
【0531】
始動口入賞コマンドは、始動口入賞演出開始を指示するものであって、始動口スイッチ3022からの検出信号に基づいて第一始動口2001又は第二始動口2005cに遊技球が入球した場合における演出の開始と、をそれぞれ指示するものであり、変動短縮作動終了指定コマンドは、変動短縮作動状態から変動短縮非作動状態への状態移行を指示するものであり、高確率終了指定コマンドは、高確率状態から低確率状態への状態移行を指示するものであり、特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1保留0〜4個(第一始動口2001に遊技球が入球して機能表示基板の第一特別図柄表示器で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2保留0〜4個(第二始動口2005cに遊技球が入球して機能表示基板の第二特別図柄表示器で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1保留0〜4個(普通ゲート部2005aを遊技球が通過して機能表示基板の普通図柄表示器で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない球数(保留数))を伝えるものであり、特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、特別図柄1保留が機能表示基板の第一特別図柄表示器で特別図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその特別図柄1保留に基づく第一特別図柄表示器による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものであり、特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、特別図柄2保留が機能表示基板の第二特別図柄表示器で特別図柄の変動表示に使用される前に、先読みしてその特別図柄2保留に基づく第二特別図柄表示器による表示結果の予告を報知する先読み演出開始を指示するものである。
【0532】
これらの各種コマンドの送信タイミングとして、始動口入賞コマンドは、始動口入賞時(第一始動口スイッチからの検出信号に基づいて第一始動口2001に遊技球が入球した時や、第二始動口スイッチからの検出信号に基づいて第二始動口2005cに遊技球が入球した時)に、本体枠に設けたスピーカボックスに収容されるスピーカ及び扉枠に設けたスピーカから主に音声でその旨を報知するために送信され、変動短縮作動終了指定コマンドは、規定回数の変動短縮を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信され、高確率終了指定コマンドは、「高確率N回」の場合の高確率回数を消化した変動確定後の停止期間終了時(はずれ停止期間経過後)に送信され、特別図柄1記憶コマンドは、特別図柄1作動保留球数変化時(第一始動口2001に遊技球が入球して機能表示基板の第一特別図柄表示器で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに第二始動口2005cに遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から第二特別図柄表示器で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、特別図柄2記憶コマンドは、特別図柄2作動保留球数変化時(第二始動口2005cに遊技球が入球して機能表示基板の第二特別図柄表示器で特別図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらに第二始動口2005cに遊技球が入球して保留数が増加した時や、その保留数から第二特別図柄表示器で特別図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、普通図柄記憶コマンドは、普通図柄1作動保留球数変化時(ゲート部2005aを遊技球が通過して機能表示基板の普通図柄表示器で普通図柄の変動表示に未だ使用されていない保留数がある状態において、さらにゲート部を遊技球が通過して保留数が増加した時や、その保留数から普通図柄表示器普通図柄の変動表示に使用してその保留数が減少した時)に送信され、特別図柄1記憶先読み演出コマンドは、特別図柄1作動保留球数増加時(第一始動口2001に遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信され、特別図柄2記憶先読み演出コマンドは、特別図柄2作動保留球数増加時(第二始動口2005cに遊技球が入球して保留数が増加した時)に送信される。なお、これらの各種コマンドは、実際には主制御側タイマ割り込み処理の周辺制御基板コマンド送信処理で送信される。
【0533】
ところで、始動口入賞コマンドは、上述したように、始動口入賞時に、本体枠に設けたスピーカボックスに収容されるスピーカ及び扉枠に設けたスピーカから主に音声でその旨を報知するために送信されるが、図64に示した周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドをどのように利用するかについては、パチンコ遊技機の仕様によって異なる場合もある。例えば、本実施形態におけるパチンコ遊技機1では、本体枠に設けたスピーカボックスに収容されるスピーカ及び扉枠に設けたスピーカ130から音声で報知するほかに、不正行為の有無を監視するためにも利用するという仕様のものである。これに対して、他のパチンコ遊技機では、周辺制御基板4140が始動口入賞コマンドを単に受信するだけで、本体枠に設けたスピーカボックスに収容されるスピーカ及び扉枠に設けたスピーカから音声で報知しない仕様のものもある。」

(シ)「【0669】
同図92に示されるように、大当り遊技処理(ステップS240)では、主制御MPU4100aは、まず、ステップS801の処理として、大当り遊技が既に行われている状態にあることを示す大当り遊技中フラグがON状態(セット)にあるか否かを判断する。
【0670】
ここで、この大当り遊技中フラグは、当該大当り遊技処理(ステップS240)に移行してすぐの処理状況にあるときにはOFF状態に操作されている。したがって、当該大当り遊技処理(ステップS240)に移行してすぐの処理状況にあるときには、大当り遊技中フラグはON状態(セット)にない旨判断され(ステップS801におけるNO)、次にステップS802の処理を行う。
【0671】
このステップS802の処理では、上述のインターバル演出(大当り確定のオープニング演出、大入賞口2003の開放確定(ボーナス遊技の実行確定)のチャレンジボーナス演出、若しくは延長演出)が終了したか否か、すなわち上記ステップS607(図90参照)の処理にてセットされたインターバル演出タイマ(ここでは8秒)がタイムアップしたか否かについての判断を行う。インターバル演出タイマ(ここでは8秒)がタイムアップしておらず、上述のインターバル演出(大当り確定のオープニング演出、大入賞口2003の開放確定のチャレンジボーナス演出、若しくは延長演出)が未だ実行中である場合には(ステップS802におけるNO)、当該大当り遊技処理を一旦終了し、ステップS801及びステップS802の処理を通じてインターバル演出タイマ(ここでは8秒)がタイムアップするまで待機する(割込処理を繰り返す)こととなる。
【0672】
ただし、この実施の形態にかかる主制御MPU4100aでは、こうした処理が行われた結果、インターバル演出タイマ(ここでは8秒)がタイムアップした場合であっても(ステップS802におけるYES)、これのみをもって大当り遊技が開始されるようなことがないように、インターバル演出タイマ(ここでは8秒)がタイムアップされた以降、有効ゲート6010n(特定の受入口)を遊技球が通過したか否かについての判断を行う(ステップS803)。そしてこの結果、有効ゲート6010nを遊技球が通過した旨判断されないときは、当該大当り遊技処理を一旦終了し、ステップS803の処理において有効ゲート6010nを遊技球が通過した旨判断されるまで待機する(割込処理を繰り返す)ことで、インターバル演出タイマにより予め定められている時間(ここでは8秒)がタイムアップした以降に有効ゲート6010nに遊技球が受け入れられるまでは大入賞口2003の開閉手段2006を動作させることなくこれを閉状態にて延長維持制御させるようにしている。
・・・
【0675】
そして、こうした処理が行われた結果、ステップS803の処理において有効ゲート6010nを遊技球が通過した旨判断された場合には、役物連続作動装置が作動することによって大当り(条件装置の作動を伴う当り)の当選に応じた開閉部材2006の動作(大当り遊技)が可能とされる状態に移行する。すなわちこの場合、主制御MPU4100aは、まず、ステップS804の処理として、大当り遊技を開始させることを示す大当り開始コマンドをセットするとともに、大当り遊技が既に行われている状態にあることを示す上記大当り遊技中フラグをON状態に操作(セット)し、次にステップS805の処理に移行する。」

(ス)認定事項1
【0188】には「第二始動口ユニット2000」と記載されているが、【0167】等の記載に照らすと、符合2000は「アタッカユニット」の符合であり、「第二始動口ユニット」の符合は「2005」であることから、【0188】の「第二始動口ユニット2000」は、「第二始動口ユニット2005」の誤記であると認める。

(セ)認定事項2
引用文献1の【0172】には「左打ち」をすると「第一始動口に多くの遊技球が入賞する」ことが記載されているが、【図50】の位置関係から、「左打ち」をして「第一始動口2001」に入賞する遊技球が、「第一始動口2001」を通過する前後において「有効ゲート6010n」を通過する可能性はほとんどないことは明らかである。

(ソ)認定事項3
引用文献1の【0489】には「払出制御基板4110は、外部端子板784に」「大当り情報出力信号」や「始動口入賞情報出力信号」等の「各種信号を出力」することが記載されているが、外部端子板784に出力されたあと、これらの信号がどのように用いられるのか明記がない。
もっとも、【0490】には「外部端子板784から出力される信号は、図示しない遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータに伝わるようになっており、ホールコンピュータは、遊技者の遊技等を監視している」ことが記載されている。そうすると、「払出制御基板4110」が「外部端子板784」に出力した「各種信号」は、「外部端子板784」を介して「ホールコンピュータ」に伝えられ、遊技者の遊技等の監視に用いられることは明らかである。
また、引用文献1の【0334】には「外部端子板784の外部通信回路784aは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を伝える信号を遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータへ出力する」こと、「ホールコンピュータは、外部通信回路784aから出力される信号から、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視」することが記載されている。
【0334】の記載も、【0490】と同様に、「外部端子板784」が各種信号を「ホールコンピュータへ出力」することで、「ホールコンピュータ」が「遊技者の遊技を監視」することを可能とする処理について述べているものであるから、【0489】と【0334】を併せて読むと、払出制御基板4110が外部端子板784に出力した大当り情報出力信号、始動口入賞情報出力信号等の各種信号は、外部端子板784の外部通信回路784aを介してホールコンピュータへ出力されるものであると認められる。

(タ)認定事項4
【0489】には、「払出制御基板4110は、」「始動口入賞情報出力信号」「を、外部端子板784に出力する」ことが記載されているが、当該「始動口入賞情報出力信号」がいつ出力されるかは明示されていない。
この点について検討すると、【0334】に「外部端子板784の外部通信回路784aは、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を伝える信号を遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータへ出力する」と記載されているように、「払出制御基板4110」は、「払い出した遊技球の球数」や「遊技情報等」を「ホールコンピュータ」に送信するために、「始動口入賞情報出力信号」を「外部端子板784」に出力している。ここで、上記の【0175】を見ると「第一始動口2001」、「第二始動口2005c」に遊技球が入賞すると、それぞれ、「3球」、「1球」の賞球が払い出されることが記載されている。
また、【0498】、【0532】には、「主制御基板4100から周辺制御基板4140へ」は「始動口入賞時(第一始動口スイッチからの検出信号に基づいて第一始動口2001に遊技球が入球した時や、第二始動口スイッチからの検出信号に基づいて第二始動口2005cに遊技球が入球した時)」に「始動口入賞コマンド」が送信されることが記載されている。
これらの記載に照らせば、賞球が払い出される「始動口入賞時(第一始動口2001に遊技球が入球した時や、第二始動口2005cに遊技球が入球した時)」(すなわち、上記の「始動口入賞コマンド」が「主制御基板4100から周辺制御基板4140へ」送られるのと同時)に、「払出制御基板4110」が「始動口入賞情報出力信号」「を、外部端子板784に出力」することは明らかである。

(チ)認定事項5
【0489】には、「払出制御基板4110は、」「大当り情報出力信号」「を、外部端子板784に出力する」ことが記載されているが、当該「大当り情報出力信号」がいつ出力開始されるかは明示されていない。
この点について検討すると、【0490】には「外部端子板784から出力される信号は、図示しない遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータに伝わるようになっており、ホールコンピュータは、遊技者の遊技等を監視している」と記載され、【0493】には「本実施形態では、2ラウンド大当り情報出力信号は2ラウンド大当りが発生して終了するまでの期間においてホールコンピュータに出力された状態となっており、15ラウンド大当り情報出力信号も15ラウンド大当りが発生して終了するまでの期間においてホールコンピュータに出力された状態となっている」と記載されている。
「大当りが発生して終了するまでの期間」において「大当り情報出力信号」を「ホールコンピュータに出力」するためには、「払出制御基板4110」は「大当たりが発生」した時点で「大当り情報出力信号」「を、外部端子板784に出力する」必要があることは明らかである。

そして、前記(ア)〜(チ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a〜iは、本願補正発明のA〜Iに概ね対応させて当審にて付与した。また、丸括弧内に示された段落番号は、引用文献における引用箇所を示す。)。

(引用発明)
「a 遊技者によって遊技球が打込まれる遊技領域5aを有した遊技盤5を備えるパチンコ機1であって(【0009】)、遊技盤5は、遊技領域5a内の左右方向右側でアウト口6006の上側に配置され遊技パネル1100の前面に支持されるアタッカユニット2000を備え(【0166】)、パチンコ遊技機1の制御構成は、主制御基板4100、払出制御基板4110及び周辺制御基板4140から主として構成されており(【0198】)、遊技の進行を制御する主制御基板4100は、主制御MPU4100aを備え(【0199】)、遊技者がハンドルレバー504を回転操作すると、球発射装置680によってハンドルレバー504の回転角度に応じた強さで0.6秒間隔で遊技球が遊技盤5の遊技領域5a内へ打込まれ(【0017】、【0179】)、
b1 アタッカユニット2000は、遊技領域5a内へ打ち込まれた遊技球が受入可能とされる複数の受入口を有し、具体的には、特別抽選結果が得られる第一始動口2001と、第一始動口2001の右側に配置され左右方向へ大きく延びた矩形状の大入賞口2003と、第一始動口と同様に特別抽選結果が得られる第二始動口を備えた第二始動口ユニット2005とを備え(【0167】)、第二始動口ユニット2005は、遊技球の通過を契機として所定の普通抽選結果が抽選される普通ゲート2005aと、第二始動口2005cと、普通ゲートの普通抽選結果に応じて第二始動口を開閉する可動片2005bと、普通ゲート2005aを通過した後可動片2005bが閉鎖されていることによって第二始動口2005cへ行けない遊技球2006aを大入賞口へ向けて排出する遊技球排出ルート2005dと、ゲート2005aを通過した後可動片2005bが開放されていることによって第二始動口2005cへ遊技球を案内可能な遊技球案内ルート2005eと、が一体化したものとして構成され(【0168】)、
b2 遊技領域5a内の右側領域に配置され遊技パネル1100の前面でその上下に亘って支持される遊技球誘導路ユニット6010(【0166】)には直線部6010eに続く膨出部6010kが形成され、膨出部6010k内には内部チューブ6010mが形成され、内部チューブ6010mの開始端には有効ゲート6010nが設けられており、直線部6010e内を落下しながら進む遊技球はそのまま内部チューブ6010mに向かい、有効ゲート6010nを通過した後第二始動口ユニット2005に到達し(【0188】、認定事項1)、
c 大入賞口2003は、その開口を閉鎖可能な横長矩形状の開閉部材2006によって開閉可能とされ、開閉部材2006は、通常の遊技状態では大入賞口2003を閉鎖した状態となっており、第一始動口2001や第二始動口2005cへ遊技球が受入れられる(始動入賞する)ことで行われる特別抽選(大当り抽選)の結果に応じて(特別抽選の結果が「大当り」又は「小当り」の時に)アタッカソレノイドの駆動により開閉するようになっている(【0184】)が、主制御MPU4100aは有効ゲート6010nに遊技球が受け入れられるまでは大入賞口2003の開閉手段2006を動作させることなくこれを閉状態にて延長維持制御させるようにして(【0672】)おり、有効ゲート6010nを遊技球が通過した旨判断された場合には、役物連続作動装置が作動することによって大当りの当選に応じた開閉部材2006の動作(大当り遊技)が可能とされる状態に移行(【0675】)させ、
d 主制御基板4100の主制御MPU4100aは、第一始動口2001に遊技球が入賞して第一始動口スイッチ3022がオン状態になると「3球」、第二始動口2005cに遊技球が入賞して第二始動口スイッチ3022がオン状態になると「1球」、大入賞口2003に遊技球が入賞してカウントセンサスイッチ2110がオン状態になると「14球」の賞球をそれぞれ遊技者に払い出す(【0175】)ものであり、
e 時短状態では、右打ちすることで第二始動口2005cへの遊技球の入賞が容易となり(【0173】)、非時短状態では、右打ちしたとしても第二始動口2005cへの遊技球の入賞は不可能、若しくは極めて低い確率での入賞となるため、第二始動口2005cではなく、第一始動口に多くの遊技球が入賞するように、左打ちするほうが遊技者にとって有利であり(【0172】)、左打ちをして第一始動口2001に入賞する遊技球が、第一始動口2001を通過する前後において有効ゲート6010nを通過する可能性はほとんどなく(認定事項2)、
fgh 払出制御基板4110が外部端子板784に出力した大当り情報出力信号、始動口入賞情報出力信号等の各種信号は、外部端子板784の外部通信回路784aを介してホールコンピュータへ出力され(認定事項3)、払出制御基板4110は始動口入賞時(第一始動口2001に遊技球が入球した時や、第二始動口2005cに遊技球が入球した時)に始動口入賞情報出力信号を外部端子板784に出力し(認定事項4)、払出制御基板4110は大当たりが発生した時点で、大当り情報出力信号を外部端子板784に出力する(認定事項5)
i パチンコ機1(【0009】)。」

ウ 周知技術
(ア)技術常識
例えば特開2009−279222号公報の【0003】に「「風俗営業等の規則及び業務の適正化に関する法律」における「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」には、発射装置の性能に関して「1分間に100個を超える遊技球を発射することができるものでないこと」と規定されている」と記載され、特開平7−51433号公報の【0002】に「風俗営業等の規則及び業務の適性化に関する法律第6条第1号イの規定によれば、玉の発射数が限定され、1分間に100発まで」と記載されているように、ぱちんこ遊技機における遊技球の発射頻度を1分間100発以内とすること(遊技球の発射周期を0.6秒間以上とすること)は古くから存在する法令の規制により業界に広く定着した技術常識である(なお、本審決起案時においても、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」の第8条において「ぱちんこ遊技機」に関する規制として、消費税を除外して一分間に四百円を超える数の遊技球を発射させることができる性能を有する遊技機は「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機」として規制され、同施行規則第36条1項2号イにおいては「ぱちんこ遊技機」の遊技料金につき、消費税を除外して「玉一個につき四円」を上限としていることから、「ぱちんこ遊技機」における遊技球の発射頻度を1分間100発以内とする規制は存在している。)。

(イ)引用文献2、引用文献2記載事項
本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011−161099号公報(引用文献2)には以下の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
「【0049】
パチンコ遊技機1背面において、上方には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(図74に示す始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。」
「【0477】
以上に示したステップS1001〜S1030の処理によって、第1始動入賞口13aへの入賞(第1始動口スイッチ14aのオン)または第2始動入賞口13bへの入賞(第2始動口スイッチ15aのオン)が発生すると、始動口信号が出力される。すなわち、始動口信号が200ms間オン状態となった後、200ms間オフ状態になる。この始動口信号がホールコンピュータに入力されることによって、第1始動入賞口13aまたは第2始動入賞口13bへの入賞個数を認識させることができる。」

そして、上記(ア)で述べたとおり、「ぱちんこ遊技機」の技術分野では遊技球の発射周期を0.6秒間以上とすることは技術常識であるから、引用文献2における始動口信号の出力期間である200ms(0.2秒)が、遊技球の発射周期より短い期間であることは自明である。

(ウ)引用文献3、引用文献3記載事項
本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015−27616号公報(引用文献3)には以下の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。
「【0055】
パチンコ遊技機1裏面において、上方には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(図45に示す図柄確定回数1信号、始動口信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、入賞信号、セキュリティ信号、高確中信号、賞球情報)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。」
「【0422】
情報出力処理のステップS1002〜S1020および図50に示す入賞タイマセット処理によって、第1始動入賞口13への入賞(第1始動口スイッチ13aのオン)、第2始動入賞口14への入賞(第2始動口スイッチ14aのオン)が発生すると、始動口信号が出力される。すなわち、始動口信号が100ms間オン状態となった後、100ms間オフ状態になる。この始動口信号がホールコンピュータに入力されることによって、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞個数を認識させることができる。」

そして、上記(ア)で述べたとおり、「ぱちんこ遊技機」の技術分野では遊技球の発射周期を0.6秒間以上とすることは技術常識であるから、引用文献3における始動口信号の出力期間である100ms(0.1秒)が、遊技球の発射周期より短い期間であることは自明である。

(エ)周知技術
上記の技術常識、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項に照らせば、「第1始動入賞口又は第2始動入賞口に入賞が発生した際に、パチンコ遊技機の外部に始動口信号を遊技球の発射周期より短い期間出力すること」は周知技術であるといえる。

エ 対比
本願補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。

(ア)特定事項A
引用発明のaの「遊技盤5の遊技領域5a」は、本願補正発明の「遊技領域」に相当する。
引用発明のaの「球発射装置680」は、「遊技者」により「回転操作」されると「遊技球」を「遊技盤5の遊技領域5a」に「打込」むものであるから、本願補正発明の「遊技者による発射操作に対応」して「遊技球を遊技領域に発射させる発射手段」に相当する。また、上記「球発射装置680」は、「遊技者」が「ハンドルレバー504を回転操作」をした際の「回転角度に応じた強さで0.6秒間隔」で「遊技球」を「打込」むものであるから、本願補正発明の特定事項Aの「遊技者による発射操作に対応する発射強度で所定周期にて遊技球を遊技領域に発射させる」ものである。
そうすると、引用発明のaは本願補正発明の特定事項Aに相当する構成を含む。

(イ)特定事項B
引用発明のb1の「第一始動口2001」及び「第二始動口2005c」は、本願補正発明の「第1通過部」に相当する。引用発明のb2の「有効ゲート6010n」は、本願補正発明の「第2通過部」に相当する。
そうすると、引用発明のbは本願補正発明の特定事項Bに相当する構成を含む。

(ウ)特定事項C、C1、C2
引用発明のcの「開閉部材2006の動作(大当り遊技)が可能とされる状態」は、本願補正発明の特定事項Cの「有利状態」に相当する。引用発明においてそのような状態に移行するためには、「大当りの当選」に加えて、「有効ゲート6010nを遊技球が通過」する必要がある。また、「大当たりの当選」のためには、その前提として「第一始動口2001や第二始動口2005cへ遊技球が受入れられる(始動入賞する)ことで行われる特別抽選(大当り抽選)」が行われる必要がある。
上記(イ)で述べたとおり引用発明の「第一始動口2001」及び「第二始動口2005c」は、本願補正発明の「第1通過部」に相当するものであり、引用発明において「第一始動口2001や第二始動口2005cへ遊技球が受入れられる(始動入賞する)」ことは「開閉部材2006の動作(大当り遊技)が可能とされる状態」(有利状態)に移行するために必要な条件の一つである。してみれば、引用発明のcにおいて「第一始動口2001や第二始動口2005cへ遊技球が受入れられる(始動入賞する)」という条件は、本願補正発明の特定事項C1の「前記第1通過部の通過を含む第1条件」に相当する。
また、上記(イ)で述べたとおり、引用発明の「有効ゲート6010n」は、本願補正発明の「第2通過部」に相当するものであり、引用発明において「有効ゲート6010nを遊技球が通過」することは「開閉部材2006の動作(大当り遊技)が可能とされる状態」(有利状態)に移行するために必要な条件のもう一つである。してみれば、引用発明のcにおいて「有効ゲート6010nを遊技球が通過」するという条件は、本願補正発明の特定事項C1の「前記第2通過部の通過を含む第2条件」に相当する。
さらに、「有効ゲート6010nを遊技球が通過」して「開閉部材2006の動作(大当り遊技)が可能とされる状態」(有利状態)に移行させる処理を行う「主制御MPU4100a」は、本願補正発明の特定事項C及び特定事項C2の「遊技状態移行手段」に相当する構成を含む。
そうすると、引用発明のcは本願補正発明の特定事項C、C1、C2に相当する構成を含む。

(エ)特定事項D
引用発明のdによれば、「主制御基板4100の主制御MPU4100a」「は、第一始動口2001」又は「第二始動口2005c」(第1通過部)「に遊技球が入賞」した場合に、それぞれ、「3球」、「1球」「の賞球をそれぞれ遊技者に払い出す」のであり、当該処理は、本願補正発明の「遊技者に特典を付与する」処理に相当する。
そうすると、引用発明のdは本願補正発明の特定事項Dに相当する構成を含む。

(オ)特定事項E
引用発明のeによれば、「時短状態では、右打ちすることで第二始動口2005cへの遊技球の入賞が容易」となる。また、引用発明のb1、b2によれば、「第二始動口2005c」(第1通過部)が存在する「第二始動口ユニット2005」に遊技球が到達するためには、その前に「有効ゲート6010n」(第2通過部)を通過する必要がある。したがって、引用発明のeにおいて、「第二始動口2005c」に至る「右打ち」のルートは、本願補正発明の「第1通過部を通過する遊技球が前記第2通過部を通過可能な第1ルート」に相当する。
次に、引用発明のeによれば「非時短状態では、右打ちしたとしても第二始動口2005cへの遊技球の入賞は不可能、若しくは極めて低い確率での入賞となるため、第二始動口2005cではなく、第一始動口に多くの遊技球が入賞するように、左打ちするほうが遊技者にとって有利」とされている。ここで、「左打ちをして第一始動口2001」(第1通過部)「に入賞する遊技球が、第一始動口2001」(第1通過部)「を通過する前後において有効ゲート6010n」(第2通過部)「を通過する可能性はほとんどな」いのであるから、引用発明のeにおいて「第一始動口」(第1通過部)に至る「左打ち」のルートは、本願補正発明の「前記第1通過部を通過する遊技球が前記第1ルートよりも前記第2通過部を通過しにくい第2ルート」に相当する。
そうすると、引用発明のeは本願補正発明の特定事項Eに相当する構成を含む。

(カ)特定事項F
引用発明のfghの「ホールコンピュータ」、「外部端子板784の外部通信回路784a」、「始動口入賞情報出力信号」は、それぞれ、本願補正発明の「遊技機外部の装置」、「特定出力手段」、「第1情報」に相当する。
そして、引用発明のfghによれば、引用発明の「払出制御基板4110」は「始動口入賞時(第一始動口2001に遊技球が入球した時や、第二始動口2005cに遊技球が入球した時)」(第1条件が成立した場合)に、「始動口入賞情報出力信号」(第1情報)「を外部端子板784に出力」することで、当該信号が「外部端子板784の外部通信回路784a」(特定出力手段)「を介してホールコンピュータ」(遊技機外部の装置)へ出力されるのであるから、引用発明の「払出制御基板4110」は、本願補正発明の「前記第1条件が成立した場合に、遊技機外部の装置に対して特定出力手段を介して第1情報を出力可能な第1出力手段」に相当する。
そうすると、引用発明のfghは本願補正発明の特定事項Fに相当する構成を含む。

(キ)特定事項G
引用発明のfghの「大当り情報出力信号」は、本願補正発明の「第2情報」に相当する。
そして、引用発明のfghによれば、引用発明の「払出制御基板4110」は「大当たりが発生した時点」で「大当り情報出力信号」(第2情報)「を外部端子板784に出力」することで、当該信号が「外部端子板784の外部通信回路784a」(特定出力手段)「を介してホールコンピュータ」(遊技機外部の装置)へ出力される。
そうすると、引用発明の「払出制御基板4110」は「遊技機外部の装置に対して前記特定出力手段を介して第2情報を出力可能な第2出力手段」である点で本願補正発明の特定事項Gと共通する。

(ク)特定事項H
上記(カ)のとおり、引用発明のfghは、引用発明の「払出制御基板4110」(第1出力手段)が「始動口入賞情報出力信号」(第1情報)を出力することから、当該情報につき何らかの出力期間が設定されている点、すなわち、「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が設定されている」点で、本願補正発明の特定事項Hと共通する。

(ケ)特定事項I
引用発明のiの「パチンコ機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
そうすると、引用発明のiは本願補正発明の特定事項Iに相当する構成を含む。

上記(ア)〜(ケ)からみて、本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「A 遊技者による発射操作に対応する発射強度で所定周期にて遊技球を遊技領域に発射させる発射手段と、
B 前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な第1通過部及び第2通過部と、
C 所定条件が成立したことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な有利状態に移行させることが可能な遊技状態移行手段と、
D 遊技球が前記第1通過部を通過したことに基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段と、
を備え、
C1 前記所定条件として、少なくとも前記第1通過部の通過を含む第1条件と、前記第2通過部の通過を含む第2条件と、が設定されており、
C2 前記遊技状態移行手段は、前記第1条件及び前記第2条件が成立したことに基づいて、遊技状態を前記有利状態に移行させるものであり、
E 前記遊技領域には、前記第1通過部を通過する遊技球が前記第2通過部を通過可能な第1ルートと、前記第1通過部を通過する遊技球が前記第1ルートよりも前記第2通過部を通過しにくい第2ルートとが設定されており、
F 前記第1条件が成立した場合に、遊技機外部の装置に対して特定出力手段を介して第1情報を出力可能な第1出力手段と、
G’ 遊技機外部の装置に対して前記特定出力手段を介して第2情報を出力可能な第2出力手段と、
を備え、
H’ 前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が設定されている
I 遊技機。」

(相違点1)(構成G)
「遊技機外部の装置に対して前記特定出力手段を介して第2情報を出力可能な第2出力手段」に関して、
本願補正発明の「第2出力手段」においては、「前記第2条件が成立した場合に」上記「第2情報を出力可能」とされているのに対し、
引用発明の「払出制御基板4110」においては、「大当たりが発生した時点」で「大当り情報出力信号」(第2情報)が出力されるものの、ここでいう「大当たりが発生した時点」が、特別抽選の結果が「大当り」となった場合を意味するのか、「有効ゲート6010nを遊技球が通過」した場合(第2条件が成立した場合)を意味するのか、不明な点。

(相違点2)(構成H)
「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間」に関して、
本願補正発明では、「前記所定周期よりも短い期間となるように設定されている」のに対し、
引用発明では、「払出制御基板4110」(第1出力手段)による「始動口入賞情報出力信号」(第1情報)の出力期間が明らかではなく、「球発射装置680」が「遊技球」を「打込」む間隔である「0.6秒間隔」(所定周期)よりも短い期間であるか不明な点。

オ 相違点についての当審の判断
(ア)相違点1について
引用発明のc、dにあるように、引用発明においては、特別抽選の結果が「大当り」となっただけでは「大入賞口2003の開閉手段2006」は「閉状態」のままであり、「有効ゲート6010nを遊技球が通過」してはじめて「開閉部材2006の動作(大当り遊技)が可能とされる状態に移行」し、「大入賞口2003に遊技球が入賞」することにより賞球(1球の入賞あたり「14球」)が払い出される状態となる。

引用文献1の【0334】に記載されているように、「ホールコンピュータ」が「外部通信回路784aから出力される信号から、パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視」するために、引用発明では「大当り情報出力信号」を出力しているのである。
このように、「パチンコ遊技機1が払い出した遊技球の球数やパチンコ遊技機1の遊技情報」を「ホールコンピュータ」が「監視」するという目的を考慮すれば、引用発明における「大当たりが発生した時点」として、特別抽選の結果が「大当り」となった場合(大量の賞球が未だ払い出される状態ではない状態)ではなく、「大入賞口2003に遊技球が入賞」することにより賞球(1球の入賞あたり「14球」)が払い出される状態に移行する条件である「有効ゲート6010nを遊技球が通過」した場合(第2条件が成立した場合)において、「払出制御基板4110」が「大当り情報出力信号」(第2情報)を出力する構成を採用して、上記相違点1に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。

(イ)相違点2について
上記ウ(エ)で述べたとおり、「第1始動入賞口又は第2始動入賞口に入賞が発生した際に、パチンコ遊技機の外部に始動口信号を遊技球の発射周期より短い期間出力すること」はパチンコ遊技機の技術分野において周知技術である。
上記エ(カ)で述べたとおり、引用発明の「始動口入賞情報出力信号」(周知技術における「始動口信号」に対応)は本願補正発明の「第1情報」に相当することから、上記周知技術は、本願補正発明の「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が、前記所定周期よりも短い期間となるように設定されている」に相当するものである。
引用発明と周知技術は、パチンコの遊技機に関する点で技術分野が共通し、外部の装置に第1始動入賞口又は第2始動入賞口に入賞が発生したことを出力する点で機能も共通していることから、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。

カ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人は、審判請求書において、本願補正発明の特徴的構成として「構成A:第1条件が成立した場合に遊技機外部の装置に対して第1情報を出力する第1出力手段と、第2条件が成立した場合に遊技機外部の装置に対して第2情報を出力する第2出力手段と、がいずれも特定出力手段を介してそれぞれの情報を出力すること」、「構成B:第1出力手段による第1情報の出力期間が、遊技球の発射周期よりも短い期間に設定されていること」を挙げている。そして、引用文献1は「構成Bはもちろん、構成Aについてすら記載も示唆もされていない」と述べている。
(イ)しかしながら、上記エ(カ)(キ)で述べたとおり、引用発明は「始動口入賞情報出力信号」(第1情報)と「大当り情報出力信号」(第2情報)のいずれも、「外部端子板784の外部通信回路784a」(特定出力手段)を介して「ホールコンピュータ」(遊技機外部の装置)に送信しているため、上記「構成Aについて」「記載も示唆もされていない」という審判請求人の主張は採用できない。
また、審判請求人は「構成A」による効果として「それぞれ別々の出力端子を用意する必要がなくなる」という効果も主張しているが、請求項1の記載上、「遊技機外部の装置」へは「特定出力手段を介して」出力されることが記載されるのみで、引用発明のように「外部端子板784の外部通信回路784a」(特定出力手段)を介して出力する構成が排除されるものではないから、審判請求人の上記主張は請求項の記載に基づくものとはいえない。
さらに、審判請求人は「第1条件及び第2条件が成立して有利状態へ移行した段階だけでなく、第1条件が成立して、有利状態への移行が可能な移行前状態に設定された段階で、当該遊技機に接続されている外部の装置(例えば、遊技ホールのホールコンピュータ)がそれを把握することが可能となる」等の効果も縷々述べているが、本願発明において「第1条件」は「第1通過部の通過を含む第1条件」としか記載されておらず、「有利状態への移行が可能な移行前状態」になることに限定されるものではなく、引用発明のように「第一始動口2001や第二始動口2005c」(第1通過部)を遊技球が通過する(始動入賞する)構成も排除するものではないため、これらの効果も請求項の記載に基づくものとはいえない。
(ウ)また、審判請求人は「構成B」による効果として「第1出力手段と第2出力手段とで特定出力手段を共用する構成Aにおいて、同じタイミングでいずれの情報も出力しなければならない状況を生じにくくすることで、特定出力手段を共用しながら遊技機外部の装置に対して各条件が成立したことの情報を好適に出力することが可能」等の効果を述べているが、そのような効果は、上記引用発明に上記周知技術を適用して「始動口入賞情報出力信号」の出力期間を短くすれば、当然に得られる効果にすぎない。
(エ)以上に照らせば、審判請求人の主張は、いずれも進歩性の論拠として採用することはできない。

キ まとめ
以上のように、本件補正発明は、当業者が、引用発明及び周知技術から容易に発明できたものである。
したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)むすび
以上のことから、本件補正(請求項2に係る補正事項J)は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、当該補正は同法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものである(上記(1)参照)。
また、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである(上記(3)参照)。
よって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されることとなったので、令和1年12月20日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の「1 補正の内容」に示した令和1年12月20日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1のとおりのものであると認める。

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


1.特開2015−177840号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定については、前記第2、2(3)イの「引用文献1、引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2、2(3)アの「本願補正発明」のうち、「発射手段」が「所定周期にて」遊技球を発射させる構成(特定事項Aの一部)を削除し、「第1出力手段」及び「第2出力手段」が「特定出力手段を介して」出力を行う構成(特定事項F、Gの一部)を削除し、「前記第1出力手段による前記第1情報の出力期間が、前記所定周期よりも短い期間となるように設定されている」という構成(特定事項H)を削除するものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、前記相違点2が存在しないことになり、引用発明に基づいて前記相違点1に係る特定事項をなすことは、前記第2、2(3)オ(ア)で述べたとおり、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
したがって、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記の限定事項も含む本願補正発明が、前記第2、2(3)キに記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2021-09-28 
結審通知日 2021-10-05 
審決日 2021-10-19 
出願番号 P2016-046067
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 千本 潤介
▲高▼橋 祐介
発明の名称 遊技機  
代理人 山田 強  
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